○植木
委員 第四
分科会における
審査の
経過並びに結果について御
報告申上げます。
本
分科会の
審査の
対象は、
昭和四十一年度総
予算中、
経済企画庁、農林省及び通商産業省の
所管であります。
本
分科会における
審議の
経過は、二月二十四日午前、まず各
省庁当局からの
所管予算の
説明聴取、しかる後、直ちに
質疑に入りました。自来、昨三月二日まで、日曜日以外連日にわたって、
審議いたしたのであります。
質疑者の数は
延べ四十六人、
質疑時間は通算約三十五時間にわたりましたが、
分科員各位の御
協力により、終始円滑に
審議を行なうことができました。
質疑の
内容は、きわめて
広範多岐にわたりますので、その詳細につきましては、
会議録に譲ることを御了承願いまして、ここでは簡単に若干の点について申し上げたいと存じます。
まず、
経済企画庁
所管について申し上げます。
政府は、中期
経済計画を破棄し、新
経済計画を作成すると聞くが、その意図は何か。また、計画期間は何年とし、消費者物価の目安はどの程度に置くかとの
質疑がありました。
これに対する
政府の
答弁は、中期
経済計画の策定当時と今日とでは、
経済情勢や基礎数字等に大きな違いが生じ、財政政策上でも公債発行を行なうに至ったので、この新しい事態に対応しながら、ひずみの是正を目標とした施策に取り組むことが適当と考え、新
経済計画の作成に着手することとしたのである。すなわち
経済の均衡ある安定成長につとめ、国民生活の着実な向上をはかることを目的とし、
昭和四十年度を基準とした新統計により作業に着手したい。計画期間は、四十一年度から五カ年くらいのものを考えてみているが、まだ完全に固まった
構想ではない。その間の
経済成長率は七%ないし八%と見て、消費者物価はおおむねこれを三%以内に押えることを目安にしていきたいと思う、とのことでございました。
そのほか、
経済調査委託費、水資源開発対策、水質基準の保全、中央卸売市場対策、地域開発対策、今後の景気対策、
経済見通しと物価政策、特に電話料金の値上げ、
政府出資特殊法人の
あり方、公共企業体と外資導入等の諸問題についての
質疑応答がありました。
次に、農林省
所管について申し上げます。
特に林業政策に
質疑が集中し、
昭和三十九年に林業基本法が制定されて以来、これと表裏一体となるべき法案の提出や、
予算上の
措置に何ら見るべきものがない。また、国有林野事業の収支は悪化し、赤字は必至の勢いである。中央森林
審議会の答申に基づき、国有林野事業の
運営が公社公団化するようになった場合に、その公共性の面よりも企業性の面が優先して、人員整理が行なわれるようになりはしないか。また、最近外材の輸入が増加しているが、その抑制策はどうか、との
質疑がありました。
これに対する
政府の
答弁は、林業基本法の精神に基づき、民生
協力、国土保全等の見地から、極力公共性を優先し、林道の整備、小規模林業の経営規模の拡大、協業化の促進等をはかり、林業構造
改善事業の推進をしてきた。本年度の
予算でも、特に治山、造林、林道等の事業費の増額及び補助単価の引き上げ等を
措置してあり、法案についても、近く入り会い林野の近代化に関する法案を提出する予定であって、しかも決して現状で満足しているわけではなく、今後も前向きに努力していく。国有林野事業の収支が、事務費、人件費の増加等により、悪化しているのは事実であるが、経営面で、でき得る限り能率的に、かつ合理的に
運営するとともに、
予算面等でも、万全の
措置を講じて、収支の健全化につとめたい。また、中央森林
審議会の答申は、将来の国有林野事業の
あり方に関するものであり、慎重に検討する所存であるが、今後とも企業性よりも公共性を優先して能率的に事業を行なうことに変わりはなく、なお、少なくとも現時点においては、必ずしもこれを独立の企業体とする意向はなく、人員整理についても考えておらない。また、最近における外材の輸入は、国産材の供給不足に対する補完的見地から必要であり、今後の需給見込みからしても、
昭和五十年ごろまでは外材輸入は若干ずつ増加する見込みである。なお、外材の輸入業者に対する直接的規制
措置はこれを避け、業界自体が自主的に適正な
措置をとるよう指導していきたいとのことでありました。
その他、漁業災害補償、
農地の生前贈与、国土の総合的な利用区分の調査、農業協同組合の合併、地方卸売市場の整備対策、養鶏の
振興対策、沼、ため池の所有権と転用対策、農業用水の確保、コンニャク対策、米の需給と輸入、ミツマタの需給対策、ノリやカズノコの輸入対策等の諸問題について
質疑応答がありました。
最後に、通商産業省
所管について申し上げます。
繊維対策につきまして、本年度、繊維工業整備特別対策費として初めて五億五千万円が計上されているが、この程度の
予算で繊維産業が不況から立ち直れると思うか。不況カルテルが三月末で期限切れになるが、今後の対策はどうか。また、貿易対策につきまして、低開発諸国との片貿易をいかに是正するのか、また輸出保険
制度の整備拡充のためには当然輸出保険特別会計の資金三十億円をさらに増額すべきではないか、との
質疑がありました。
これに対する
政府の
答弁は、繊維産業対策費としては決して多い金額とは思わぬが、
政府の繊維産業に対する意欲の一端を示したものである。しかし繊維産業は金額の多寡よりも根本的な構造改革が必要であり、現在繊維工業
審議会でその抜本対策を検討中であるが、その中に
政府の意欲が生
かされるようにつとめてまいりたい。不況カルテル問題は、通商産業省でなく、業界自体が決定すべきものであるけれども、これを延長する場合においても、ただいたずらに延長するだけでなく、構造改革等のための具体策が必要であり、また、これを廃止する場合においては、当然中小業者に及ぼす影響も考え、その間における
調整緩和の
措置をとることが必要である。低開発諸国に対する片貿易の是正問題については、わが国としては国民所得の一%ぐらいの程度は低開発国の援助に向けるべきであるとの世界貿易
会議の勧告もあるので、援助等も考えなければならず、なかなかむずかしい面もあるが、漸次一次産品の輸入増加等により是正していきたいと思い、本年度
予算で一次産品輸入促進特別基金として三億円をジェトロに出資することにしておる。輸出保険特別会計への出資の増額は、最近の低開発国の外貨事情の悪化等もあり、必要があれば年度途中でも
措置したいが、本格的には四十二年度
予算で講じてまいりたい所存であるとのことでありました。
その他、日米綿製品協定、石炭対策と炭鉱離職者の住宅対策、大型プロジェクトの推進、共産圏貿易、貿易大学の設置、公害対策、万国博覧会開催事業費の地元負担、営利企業への就職、中小企業の組織整備及び近代化対策、工業用水道事業に対する補助、再販売価格の維持契約、電力料金の適正化、独禁法の運用と管理価格、鉄鋼の輸出別ワク
制度と勧告操短等の諸問題について熱心な
質疑応答が行なわれました。
かくして昨日全
質疑を終了し、しかる後、本
分科会の討論採決は
予算委員会に譲ることに決定した次第であります。
以上御
報告申し上げます。