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1966-03-03 第51回国会 衆議院 予算委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月三日(木曜日)    午前十時十九分開議  出席委員    委員長 福田  一君    理事 赤澤 正道君 理事 久野 忠治君    理事 田中 龍夫君 理事 松澤 雄藏君    理事 八木 徹雄君 理事 川俣 清音君    理事 楯 兼次郎君 理事 野原  覺君    理事 小平  忠君       相川 勝六君    愛知 揆一君       荒木萬壽夫君    井出一太郎君       今松 治郎君    植木庚子郎君       江崎 真澄君    小川 半次君       上林山榮吉君    倉成  正君       坂村 吉正君    竹内 黎一君       登坂重次郎君    灘尾 弘吉君       丹羽 兵助君    西村 直己君       野田 卯一君    橋本龍太郎君       古井 喜實君    松浦周太郎君       三原 朝雄君    水田三喜男君       足鹿  覺君    大原  亨君       加藤 清二君    角屋堅次郎君       多賀谷真稔君    高田 富之君       中澤 茂一君    永井勝次郎君       穗積 七郎君    武藤 山治君       八木  昇君    山中 吾郎君       山花 秀雄君    今澄  勇君       竹本 孫一君    加藤  進君  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         法 務 大 臣 石井光次郎君         外 務 大 臣 椎名悦三郎君         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君         文 部 大 臣 中村 梅吉君         厚 生 大 臣 鈴木 善幸君         農 林 大 臣 坂田 英一君         通商産業大臣  三木 武夫君         運 輸 大 臣 中村 寅太君         郵 政 大 臣 郡  祐一君         労 働 大 臣 小平 久雄君         建 設 大 臣 瀬戸山三男君         自 治 大 臣 永山 忠則君         国 務 大 臣 上原 正吉君         国 務 大 臣 福田 篤泰君         国 務 大 臣 藤山愛一郎君         国 務 大 臣 松野 頼三君         国 務 大 臣 安井  謙君  出席政府委員         内閣官房長官 橋本登美三郎君         内閣法制局長官 高辻 正巳君         大蔵事務官         (主計局長)  谷村  裕君         大蔵事務官         (主税局長)  塩崎  潤君         大蔵事務官         (理財局長)  中尾 博之君         大蔵事務官         (証券局長)  松井 直行君         大蔵事務官         (銀行局長)  佐竹  浩君         厚 生 技 官         (環境衛生局         長)      舘林 宣夫君         厚生事務官         (社会局長)  今村  譲君         農林事務官         (農地局長)  大和田啓気君         通商産業事務官         (通商局長)  渡邊彌榮司君         通商産業事務官         (貿易振興局         長)      高島 節男君         通商産業事務官         (企業局長)  島田 喜仁君         通商産業事務官         (繊維局長)  乙竹 虔三君         中小企業庁長官 山本 重信君         建設事務官         (計画局長)  志村 清一君         建 設 技 官         (住宅局長)  尚   明君  委員外出席者         衆議院事務総長 久保田義麿君         参議院参事         (事務次長)  岸田  実君         国立国会図書館         副館長     岡部 史郎君         会計検査院事務         総長      白木 康進君         専  門  員 大沢  実君     ————————————— 二月二十四日  委員野田卯一君、勝間田清一君、小松幹君、多  賀谷真稔君、永井勝次郎君、山花秀雄君及び竹  本孫一辞任につき、その補欠として木村剛輔  君、楢崎弥之助君、田原春次君、坂本泰良君、  田口誠治君、山田耻目君び玉置一徳君が議長  の指名委員選任された。 同日  委員坂本泰良君、田口誠治君及び楢崎弥之助君  辞任につき、その補欠として中嶋英夫君、山口  丈太郎君及び河野正君が議長指名委員に選  任された。 同日  委員大原亨君、加藤清二君、河野正君、山口丈  太郎君、山田耻目君及び今澄勇辞任につき、  その補欠として茜ケ久保重光君、滝井義高君、  小林進君、永井勝次郎君、只松祐治君及び受田  新吉君が議長指名委員選任された。 同日  委員茜ケ久保重光君、滝井義高君、只松祐治君  及び玉置一徳辞任につき、その補欠として石  田宥全君細谷治嘉君、八木一男君及び竹本孫  一君が議長指名委員選任された。 同日  委員石田宥全君及び細谷治嘉辞任につき、そ  の補欠として帆足計君及び村山喜一君が議長の  指名委員選任された。 同日  委員小林進君、田原春次君、中嶋英夫君、帆足  計君、村山喜一君、八木一男君及び受田新吉君  辞任につき、その補欠として勝間田清一君、小  松幹君、多賀谷真稔君、大原亨君、加藤清二君  山花秀雄君及び今澄勇君が議長指名委員に  選任された。 同月二十五日  委員松浦周太郎君、勝間田清一君、小松幹君、  多賀谷真稔君、永井勝次郎君及び今澄勇辞任  につき、その補欠として熊谷義雄君、佐藤觀次  郎君、細谷治嘉君、栗原俊夫君、山口丈太郎君  及び受田新吉君が議長指名委員選任され  た。 同日  委員大原亨君、加藤清二君、栗原俊夫君、佐藤  觀次郎君及び細谷治嘉辞任につき、その補欠  として片島港君、石田宥全君松浦定義君、武  藤山治君及び小林進君が議長指名委員に選  任された。 同日  委員小林進君、松浦定義君、武藤山治君及び山  口丈太郎辞任につき、その補欠として華山親  義君、田口誠治君、只松祐治君及び金丸徳重君  が議長指名委員選任された。 同日  委員石田宥全君片島港君、金丸徳重君、只松  祐治君及び山花秀雄辞任につき、その補欠と  して加藤清二君、大原亨君、永井勝次郎君、湯  山勇君及び栗林三郎議長指名委員選任  された。 同日  委員湯山勇辞任につき、その補欠として大村  邦夫君が議長指名委員選任された。 同日  委員大村邦夫辞任につき、その補欠として堀  昌雄君が議長指名委員選任された。 同日  委員熊谷義雄君、栗林三郎君、田口誠治君、華  山親義君、堀昌雄君、受田新吉君及び加藤進君  辞任につき、その補欠として松浦周太郎君、山  花秀雄君、多賀谷真稔君、小松幹君、勝間田清  一君、今澄勇君及び谷口善太郎君が議長指名  で委員選任された。 同月二十六日  委員今松治郎君、倉成正君、竹内黎一君、大原  亨君、加藤清二君、勝間田清一君、小松幹君、  多賀谷真稔君、今澄勇君及び竹本孫一辞任に  つき、その補欠として山本勝市君、纐纈彌三君、  奥野誠亮君、栗原俊夫君、芳賀貢君、石田宥全  君、二宮武夫君、稻村隆一君、山下榮二君及び  玉置一徳君が議長指名委員選任された。 同日  委員奥野誠亮君、稻村隆一君及び二宮武夫君辞  任につき、その補欠として渡海元三郎君、田中  武夫君及び西宮弘君が議長指名委員選任  された。 同日  委員栗原俊夫君、田中武夫君、永井勝次郎君、  西宮弘君及び芳賀貢辞任につき、その補欠と  して田口誠治君、神近市子君、森本靖君、安井  吉典君及び山口丈太郎君が議長指名委員に  選任された。 同日  委員石田宥全君安井吉典君、山口丈太郎君及  び玉置一徳辞任につき、その補欠として、華  山親義君、中井徳次郎君、村山喜一君及び稲富  稜人君が議長指名委員選任された。 同日  委員村山喜一辞任につき、その補欠として加  藤清二君が議長指名委員選任された。 同日  委員纐纈彌三君、渡海元三郎君、山本勝市君、  神近市子君、田口誠治君、中井徳次郎君、華山  親義君、森本靖君、稲富稜人君び山下榮二君  辞任につき、その補欠として倉成正君、竹内黎  一君、今松治郎君、多賀谷真稔君、大原亨君、  小松幹君、勝間田清一君、永井勝次郎君、竹本  孫一君及び今澄勇君が議長指名委員選任  された。 同月二十八日  委員相川勝六君、今松治郎君、勝間田清一君、  小松幹君、永井勝次郎君、山中吾郎君、今澄勇  君及び竹本孫一辞任につき、その補欠として  藤尾正行君、砂田重民君、中村重光君、肥田次  郎君、泊谷裕夫君、滝井義高君、春日一幸君及  び山下榮二君が議長指名委員選任され  た。 同日  委員藤尾正行君、泊谷裕夫君、中澤茂一君及び  山花秀雄辞任につき、その補欠として山本勝  市君、藤田高敏君、山田長司君及び村山喜一君  が議長指名委員選任された。 同日  委員藤田高敏君、村山喜一君及び山田長司君辞  任につき、その補欠として稻村隆一君、田原春  次君及び平林剛君が議長指名委員選任さ  れた。 同日  委員稻村隆一君、田原春次君、多賀谷真稔君及  び平林剛辞任につき、その補欠として小川三  男君、田口誠治君、田中武夫君及び吉村吉雄君  が議長指名委員選任された。 同日  委員小川三男君、滝井義高君、肥田次郎君及び  吉村吉雄辞任につき、その補欠として中井徳  次郎君、小林進君、茜ケ久保重光君及び八木一  男君が議長指名委員選任された。 同日  委員茜ケ久保重光君、田中武夫君、中井徳次郎  君、中村重光君及び山下榮二辞任につき、そ  の補欠として栗林三郎君、大村邦夫君、武藤山  治君、大出俊君及び竹本孫一君が議長指名で  委員選任された。 同日  委員大村邦夫辞任につき、その補欠として、  堀昌雄君が議長指名委員選任された。 同日  委員砂田重民君及び山本勝市君辞任につき、そ  の補欠として今松治郎君及び相川勝六君が議長  の指名委員選任された。 同日  委員大出俊君、栗林三郎君、小林進君、田口誠  治君、堀昌雄君、武藤山治君、八木一男君、春  日一幸君及び谷口善太郎辞任につき、その補  欠として勝間田清一君、小松幹君、山中吾郎君  山花秀雄君、多賀谷真稔君、永井勝次郎君、中  澤茂一君、今澄勇君及び林百郎君が議長指名  で委員選任された。 三月一日  委員勝間田清一君、小松幹君、多賀谷真稔君、  中澤茂一君、永井勝次郎君、今澄勇君及び竹本  孫一辞任につき、その補欠として田口誠治君  原茂君、二宮武夫君、村山喜一君、栗原俊夫君  受田新吉君及び竹谷源太郎君が議長指名で委  員に選任された。 同日  委員大原亨君、二宮武夫君及び原茂辞任につ  き、その補欠として東海林稔君、伊藤よし子君  及び中井徳次郎君が議長指名委員選任さ  れた。 同日  委員伊藤よし子君、東海林稔君及び中井徳次郎  君辞任につき、その補欠として山田耻目君、森  義視君及び滝井義高君が議長指名委員に選  任された。 同日  委員滝井義高君、森義視君及び山田耻目君辞任  につき、その補欠として武藤山治君、泊谷裕夫  君及び兒玉末男君が議長指名委員選任さ  れた。 同日  委員兒玉末男君、田口誠治君、泊谷裕夫君、武  藤山治君、村山喜一君、山花秀雄君及び受田新  吉君辞任につき、その補欠として帆足計君、華  山親義君、湯山勇君、八木一男君、楢崎弥之助  君、島上善五郎君及び吉川兼光君が議長指名  で委員選任された。 同日  委員楢崎弥之助君、八木一男君、湯山勇君及び  竹谷源太郎辞任につき、その補欠として山田  耻目君堀昌雄君、大原亨君及び玉置一徳君が  議長指名委員選任された。 同日  委員堀昌雄君及び吉川兼光辞任につき、その  補欠として、松井誠君及び永末英一君が議長の  指名委員選任された。 同日  委員栗原俊夫君、島上善五郎君、華山親義君、  帆足計君、松井誠君、山田長司君、玉置一徳君  及び永末英一辞任につき、その補欠として永  井勝次郎君、山花秀雄君、勝間田清一君、多賀  谷真稔君、小松幹君、中澤茂一君、竹本孫一君  及び今澄勇君が議長指名委員選任された。 同月二日  委員小松幹君、多賀谷真稔君、中澤茂一君、今  澄勇君及び竹本孫一辞任につき、その補欠と  して伊藤よし子君、兒玉末男君、栗原俊夫君、  永末英一君及び内海清君が議長指名委員に  選任された。 同日  委員伊藤よし子君、栗原俊夫君、兒玉末男君、  永井勝次郎君、山花秀雄君及び内海清辞任に  つき、その補欠として田口誠治君、大出俊君、  堀昌雄君、矢尾喜三郎君、吉村吉雄君及び玉置  一徳君が議長指名委員選任された。 同日  委員大出俊君、勝間田清一君、堀昌雄君、矢尾  喜三郎君、吉村吉雄君及び永末英一辞任につ  き、その補欠として只松祐治君、石野久男君、  村山喜一君、永井勝次郎君、華山親義君及び受  田新吉君が議長指名委員選任された。 同日  委員石野久男君、加藤清二君、華山親義君及び  村山喜一辞任につき、その補欠として島上善  五郎君、赤路友臟君西宮弘君及び多賀谷真稔  君が議長指名委員選任された。 同日  委員島上善五郎君及び西宮弘辞任につき、そ  の補欠として泊谷裕夫君及び河野正君が議長の  指名委員選任された。 同日  委員赤路友藏君、河野正君、田口誠治君、泊谷  裕夫君、帆足計君及び玉置一徳辞任につき、  その補欠として大村邦夫君、中村重光君、帆足  計君、辻原弘市君、小林進君及び山下榮二君が  議長指名委員選任された。 同日  委員大村邦夫君、小林進君、只松祐治君、辻原  弘市君、中村重光君、受田新吉君及び山下榮二  君辞任につき、その補欠として加藤清二君、小  松幹君、中澤茂一君、勝間田清一君、山花秀雄  君、今澄勇君及び竹本孫一君が議長指名で選  任された。 同月三日  委員木村剛輔君勝間田清一君、小松幹君、永  井勝次郎君、山花秀雄君及び林百郎君辞任につ  き、その補欠として野田卯一君、足鹿覺君、穗  積七郎君、安井吉典君、武藤山治君及び加藤進  君が議長指名委員選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  主査からの報告聴取  昭和四十一年度一般会計予算  昭和四十一年度特別会計予算  昭和四十一年度政府関係機関予算      ————◇—————
  2. 福田一

    福田委員長 これより会議を開きます。  昭和四十一年度一般会計予算昭和四十一年度特別会計予算昭和四十一年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  去る二十四日から六日間にわたって審査を行なってまいりました分科会審査は、昨二日をもちまして全部終了いたしました。  この際、各分科会主査より、それぞれ分科会における審査報告を求めます。   〔発言する者あり〕
  3. 福田一

    福田委員長 静粛に願います。  まず、第一分科会主査井出一太郎君。
  4. 井出一太郎

    井出委員 第一分科会における審査経過並びに結果について御報告申し上げます。  本分科会審査対象は、昭和四十一年度総予算中、皇室費国会裁判所内閣防衛庁及び経済企画庁を除く総理府法務省及び文部省所管並びに他の分科会所管以外の事項であります。  審査は、二月二十四日、各省庁当局より所管予算説明を聴取し、引き続き質疑に入り、昨日まで日曜日を除いて六日間にわたり慎重に審議いたしました。  その間、質疑者の数は延べ四十四名、質疑時間は約三十四時間に及びましたが、各分科員協力を得まして円滑に審議が行なわれました。  質疑応答内容は、きわめて広範多岐にわたっておりますので、その詳細につきましては会議録に譲ることといたしまして、ここでは質疑の二、三について簡単にその概要を申し上げます。  まず、総理府所管につきましては、各省庁青少年行政をどのように総合調整するのか。政府は、青少年育成国民運動を推進するというが、具体的指導方針を出すべきではないか。また、農村の出かせぎ青少年対策として、農村各地に冬の間、事業を興し、青少年を収容する施設をつくって、勤労させてはどうかとの趣旨質疑に対しまして、これまで青少年行政総合調整は、中央青少年問題協議会でやっていたが、これを審議機関として活用するとともに、行政部門を内部に吸収して一青少年局を中心に各省庁責任者幹事会を持って相互連絡調整をはかりたい。青少年指導目標として、いずれ民主的な青少年憲章をつくるつもりで準備を始めている。また、農村の出かせぎ青少年対策に対する提案については、非常に賛成なので、関係各省連絡をとって実現できるよう努力したいとの答弁がありました。  以上のほか、沖繩におけるテレビ放送NHK放送青少年対策予算同和対策審議会の答申と行政機構の整備、ロケット開発と科学技術庁の責任公務員給与と人事院の勧告時期、公務員年金局構想公務員制度審議会の今後のあり方農地買収者等給付金支給事務費と市町村の負担等の諸問題について質疑が行なわれました。  次に、法務省所管について申し上げます。  蓼承志氏ら中国幹部の訪日について入国を拒否するという外務省方針が伝えられているが、法務省はどのように考えているかとの趣旨質疑に対しまして、外務省の意見は聞いていないが、具体化したら関係各省庁とよく相談して慎重にきめたいとの答弁がありました。  以上のほか、新潟県の知事選挙、国士館大学の暴行事件会社更生法改正法制審議会に対する諮問、土地所有権高圧電力線社内預金の禁止、受刑者の食料、医療の改善等の諸問題について質疑が行なわれました。  次に、文部省所管について申し上げます。  高校生献血は十六歳以上になっているが、健康上問題であり、外国並みに十八歳まで引き上げるべきではないか。また、幼稚園及び高等学校義務教育に加える意図はないか。重症心身障害児対策として、全国各府県に特殊教育学校を設置する構想があるかとの趣旨質疑に対しまして、高校生献血については、身体検査保護者の承諾を得るよう指導しており、年齢引き上げの点については検討したい。幼稚園及び高等学校義務教育については、現在の段階では、両者ともに小中学校と同じ意味における義務教育としては考えていないが、いずれ近い将来に具体的な研究をしなければならないものと考える。また、特殊教育施設としての養護学校については、現在、精薄関係六十校、肢体不自由者関係五十九校、病弱関係三十四校あるが、肢体不自由児学校は、四十一年度に全県に設置されるよう所要の補助金も計上しているとの答弁がありました。  以上のほか、産炭地教育振興対策僻地教育振興対策僻地教職員待遇改善、双ケ岡文化財保護法の適用、私学振興対策義務教育教科書無償給与父兄負担教育費税外負担無給医局員対策学校医待遇改善国立劇場運営育英資金の実態、ボクシングと高校生埋蔵文化財保護対策の強化、放送法改正高等学校通信教育進学制度検討等の諸問題について質疑が行なわれました。  なお、義務教育教科書無償給与に関する問題につきましては、質疑者加藤清二分科員より、本委員会で本問題に対する総理大臣の見解を承りたいという希望がありました。  以上のほか、皇室費につきましては、宮殿新営、宮中席次、天皇の海外旅行等の諸問題、国会所管につきましては、国会予算の編成と議会運営国会職員給与体系待遇改善委員会庁舎の新営、記者会館の新営、国会議員の歳費、国立国会図書館運営国会総理府人事局との関係国会職員採用方法国会調査機構あり方等の諸問題、裁判所所管につきましては、最高裁判所庁舎の新営、家庭裁判所調査官待遇改善少年法改正裁判所職員臨時措置法取り扱い等の諸問題につきまして、活発かつ熱心に質疑応答が行なわれました。  かくて、昨日質疑を終了し、分科会の討論、採決は本委員会に譲ることに決定した次第であります。  以上、簡単ではありますが、御報告申し上げます。(拍手)
  5. 福田一

  6. 愛知揆一

    愛知委員 第二分科会における審査経過及び結果を御報告いたします。  第二分科会審査対象は、昭和四十一年度本予算中、会計検査院防衛庁外務省及び大蔵省所管の部分でありまして、二月二十四日より昨三月二日まで、慎重に審査いたしました。  審査の順序は、初めに、各省各庁よりそれぞれ所管予算説明を聴取し、次いで各省別質疑を行ないました。  質疑は、終始熱心かつ活発に行なわれ、質疑者延べ四十人、質疑時間は通算二十九時間に及びましたが、その詳細は会議録でごらんを願うこととし、ここには若干の問題を取り上げて報告するにとどめます。  まず、外務省関係質疑について申し上げます。第一に、核のかさの論議として、日本安全保障は、アメリカの核のかさのもとでの安全保障かどうか、またそれは事実上、日本アメリカ核戦略体制のもとに組み入れられていることを意味するのではないかとの質疑が行なわれました。これに対する答弁は、核のかさというのはあいまいな用語ではあるが、米国の核の抑止力日本の安全を保証しているという意味では、核のかさのもとにあると言ってよかろう。ただし、核兵器の国内持ち込みは認めず、多角的な核戦略体制には加入しないという方針は堅持しているが、これは米国の核の抑止力が働いていることを否定するものではないという趣旨でありました。  次に、国連軍あるいは国連警察軍への参加は考え得られるのかどうか、またそれは憲法上どうなのかさらには伝えられる国連協力法案内容は何かとの質疑が行なわれました。これに対する答弁は、国連軍あるいは国連警察軍といっても、その内容には幾通りもあるが、軍事的制裁はもちろん、およそ武力行使を伴うような組織に参加することは、すべてが直ちに憲法違反とはいえないにしても、現在の段階では考慮する必要はない。しかし平和維持のための監視機構のごときものに人員を派遣することは憲法上は差しつかえないと思う。ただし、それも軍事的専門家を必要とするような場合、勢い自衛隊員ということになろうが一そうなると自衛隊法との関係があって、なかなかむずかしい。また、国連協力法案と報道されているものは、国連出兵というような問題ではなく、国連協力のために特に何らかの経済上の措置をとる必要がある場合、国内法体制を整備する必要があるのではないかと考えられる程度のものであるとの答弁でありました。  外務省関係では、このほか、ベトナム問題に関するソ連の対日抗議日ソ領事条約原子力潜水艦及び原子力空母の寄港、韓国への経済協力等の問題が取り上げられました。  次に、大蔵省関係について申し上げます。  まず、株価の現状と証券対策について、株価は東証の修正平均で千五百円前後にまで上昇しており、一部にはこれに対する不安感もあるようだが、当局の認識はどうか。また、今後の市場の欄乱要因として、証券保有組合共同証券等によるたな上げ株の放出が予想されるが、その見通しはどうか。証券基金制度構想はどうか。さらには、運用預かり制度改善元本割れの投資信託の対策をどうするか等の質疑がありました。これに対する答弁は、現在の株価の上昇は、一部には株式の発行抑制、市場の需給調整というような副次的な要因も見のがし得ないが、基本的には日本経済の前途に対する期待のあらわれであると認識すべきであって、投機的要因を心配する必要はあるまい。いわゆるたな上げ株は、いずれ市場に放出されるものと思われるが、その時期、方法等はそれぞれ自主的な判断にまかせるべきである。証券基金制度については、具体的な構想はいまだ明らかでないが、保有組合の組合規約に、利益の半分は資本市場の育成のために還元されることになっており、また共同証券の譲渡益についても同様なことが期待され得るので、見通しは明るい。運用預かりの制度は、現在健全に運用されてはいるが、制度自体が元来証券会社の金繰りのためのものであり、逐次廃止していきたい。また投資信託の元本割れ回復のためには、特別の運用努力、信託報酬の辞退などを期待している。以上のような答弁でありました。  次に、国債発行と中小金融機関との関係について、特に中小金融機関が都市銀行より一そう格差のつくような立場になりはしないかという点、物品税軽減と価格の引き下げの関係農地の生前贈与、印刷局工場の機構改革、接収ダイヤモンド評価の方法等についての質疑が行なわれました。   〔発言する者あり〕
  7. 福田一

    福田委員長 静粛に願います。
  8. 愛知揆一

    愛知委員 次に、防衛庁関係では、二次防の実績から三次防の内容、治安出動のための演習、自衛隊の海外派遣、飛行場周辺地区の消音施設等についての質疑があり、政府側から自衛隊の海外派兵は考えられないとの答弁がありました。また、会計検査院関係については、必要的検査事項と任意的検査事項、災害復旧工事に対する検査などについての質疑がありましたが、これらの内容は、いずれも会議録に譲ることといたします。  質疑終了後、分科会の討論採決は本委員会に譲ることに決定いたしました。  以上、御報告いたします。(拍手)
  9. 福田一

    福田委員長 次に、第三分科会主査代理倉成正君。
  10. 倉成正

    倉成委員 第三分科会における審議経過及び結果について御報告申し上げます。  本分科会は、昭和四十一年度総予算中、労働省、自治省及び厚生省所管に関するものでありまして、二月二十四日審議を開始し、政府の提案理由の説明を聴取した後、質疑に入り、昨日まで六日間にわたり、慎重審査を行なってまいりました。  質疑応答の詳細はきわめて広範多岐にわたっておりますので、それらの詳細は会議録をごらん願うこととし、この際は、時間の関係もございますので、質疑の若干のみを取り上げ、御紹介することにいたしたいと思います。  まず、出かせぎ労働者対策の質疑につきまして、政府から、出かせぎ労働者は職業安定所の窓口を通じて就労するよう、市町村、市町村農業委員会協力を得て、雇用経路を明確にするよう努力している。また、建設省の協力を求め、下請の賃金未払いの補償の手を元請に対して打てないかを協議しているところであるとの答弁がありました。  地方公務員定年制の質疑について、政府は、地方団体が、五十五歳を下回らないよう定年制を定め得るようにしたいと考えているが、その理由は、すでに多くの地方団体において、五十五歳で勧奨退職として実施されているし、また、退職年金支給期を定年の最低とすることが適当であるからであり、この規定により、定年を何歳ときめるかは、地方団体が自主的に決定するものであるから、五十五歳が定年制そのものになるとは考えていないとの答弁がありました。  固定資産税改正の問題につきまして、政府は、固定資産税の四十一年度までの暫定措置改正し、今回土地負担改正案を提案した理由は何か、今回の改正に伴う負担増はどうなるか、また、家賃に対するはね返りをどう見るか、また、今回の土地負担増加は一律引き上げであり、地価の値上がりの理由だけで増税は納得できない。公平の原則を確立するため、次年度まで待って検討すべきである。  以上の問いに対し、政府から、本年度は公債発行、大幅減税など、財政経済政策の大幅な転換が行なわれ、所得税、住民税の大幅減税の機会に、地方税の大宗の一である固定資産税の弾力性を与え、また、固定資産税の内容をなす土地、建物、償却資産のうち、最も評価額の多い土地税が最も低率の課税額になっている不合理をこの際是正しようとするものである。ことに、大都市の土地再開発は緊要となっているにもかかわらず、大都市を中心とする都市財政悪化や、三十九年当時より二五%もの市街地価格の値上がりによる用地費の増加など、都市計画、環境施設整備に支障を生ずるおそれがあり、土地負担の改正によって都市の財源を充実しようとするものである。土地税改正による負担増は、農地は据え置きであり、宅地については、一戸当たり平均増加額は年三百五十八円、月にして三十円、都市計画税を含めても四十三円程度であり、一方、所得税、住民税の基礎控除の大幅引き上げと大幅減税がはかられているのである。家賃に及ばす影響は〇・〇九%にすぎず、その影響はほとんどないはずである。また、土地などの財産課税は、一律にきめざるを得ない性質のものであり、今回の改定にあたっては、こうした点を十分考慮し、次年度においては、評価額の改定は行なわず、また、税率も低位に押え、負担調整についても緩和措置を講じているとの答弁がありました。  中小企業の償却資産課税の質疑につきまして、政府は、地方財政が苦しいからといって、この徴税を強行していることはない。なお、償却資産の基礎控除を引き上げよという要望が来ているが、当面その考えはないとの答弁がありました。この問題に対し、春日分科員より、主査に対し、中小企業償却資産について、基礎控除を現行十五万円から、最低五十万円に引き上げるべきである。この理由として、中小企業償却資産の種類、評価額等複雑困難な税であり、納税者を混乱せしめており、納税思想を高める上から検討を行なう必要があること。また、中小企業振興対策として、各種の中小企業の特別措置関係を含め、これらとあわせ償却資産の基礎控除の検討を行なう必要があること。また、基礎控除を現行十五万円から、最低五十万円に引き上げても、減税額はわずか十五億円にすぎないこと、むしろこれにより税収は増加が予想されるなど、政府及び各政党の検討課題とすべきであるとの申し出がなされました。  同和対策の質疑につきましては、現在、策定されている同和対策特別措置法の内容を中心に、機構問題をはじめ、労働条件、雇用条件の差別廃止、各種施設の整備拡充、社会福祉、及び失対事業の充実、国庫補助対象補助率、補助単価の拡充及び改善等、行財政各般にわたる質疑が行なわれたのであります。これに対し、政府は、現在、内閣関係各省次官で構成する同和対策推進協議会を設置し、特別措置法を制定する方向で検討が加えられている。同和対策は長い期間をかけることなく、五年間程度の期間で解決をはかりたい。労働条件、雇用条件の差別撤廃については、行政指導を一段と強化する。また、環境整備、社福会祉を最重点に、各種施策を総合的に進め、交付金、補助率補助額については綜合的に対処する、との答弁がありました。  以上の質疑のほか、労働省関係として雇用対策法制定の問題、春闘に対する政府の見解、ILO二十六号条約、百二号条約、百五号条約などの批准問題、労使定期協議の国会報告、技術労働者の海外移住の問題、一酸化炭素中毒に対する特別立法制定、最低賃金等の問題。  自治省関係といたしましては、公共事業上期集中支出と自治体の態勢、大幅増加の地方債の消化、大都市及び工特、新産地域における土地の先行投資、地方公営企業経営と赤字対策、工場誘置条令の廃止、国有財産評価問題、選挙法の改正、交付税、補助金の配分及び交付、交通事故対策、山林火災消防対策等の問題。  厚生省関係といたしまして、生活保護費と最低生活費、児童手当制度の問題、重度心身障害児等障害児対策、あるいは「歩みの箱」などの芸能人寄付金の免税問題、保育所等各施設整備及び施設職員問題、各種健康診断、幼児の歯の検査等健康管理の問題、らい、ガン、結核、新潟の水俣病等、医療対策、医師、看護婦の施設、療養所、国立病院及び僻地、離島における不足及び充足対策、歯科医療における問題、売血問題、薬禍問題等薬務行政、環境衛生企業の近代化及び協業化対策、水道料金の地域格差と是正、ごみ処理、下水道終末処理の問題、国民の利用できる体育場の大量建設、水質保全、油の海岸汚染防止条約批准及び公害基本法等公害対策、国交回復下における韓国人及び朝鮮人の生活保護、国民健保加入の問題などが取り上げられたのであります。  以上をもちまして、昨二日質疑は全部終了し、討論採決につきましては、慣例により、委員会に譲ることに決定した次第であります。  以上、第三分科会報告といたします。
  11. 福田一

    福田委員長 次に、第四分科会主査植木庚子郎君。
  12. 植木庚子郎

    ○植木委員 第四分科会における審査経過並びに結果について御報告申上げます。  本分科会審査対象は、昭和四十一年度総予算中、経済企画庁、農林省及び通商産業省の所管であります。  本分科会における審議経過は、二月二十四日午前、まず各省庁当局からの所管予算説明聴取、しかる後、直ちに質疑に入りました。自来、昨三月二日まで、日曜日以外連日にわたって、審議いたしたのであります。  質疑者の数は延べ四十六人、質疑時間は通算約三十五時間にわたりましたが、分科員各位の御協力により、終始円滑に審議を行なうことができました。  質疑内容は、きわめて広範多岐にわたりますので、その詳細につきましては、会議録に譲ることを御了承願いまして、ここでは簡単に若干の点について申し上げたいと存じます。  まず、経済企画庁所管について申し上げます。  政府は、中期経済計画を破棄し、新経済計画を作成すると聞くが、その意図は何か。また、計画期間は何年とし、消費者物価の目安はどの程度に置くかとの質疑がありました。  これに対する政府答弁は、中期経済計画の策定当時と今日とでは、経済情勢や基礎数字等に大きな違いが生じ、財政政策上でも公債発行を行なうに至ったので、この新しい事態に対応しながら、ひずみの是正を目標とした施策に取り組むことが適当と考え、新経済計画の作成に着手することとしたのである。すなわち経済の均衡ある安定成長につとめ、国民生活の着実な向上をはかることを目的とし、昭和四十年度を基準とした新統計により作業に着手したい。計画期間は、四十一年度から五カ年くらいのものを考えてみているが、まだ完全に固まった構想ではない。その間の経済成長率は七%ないし八%と見て、消費者物価はおおむねこれを三%以内に押えることを目安にしていきたいと思う、とのことでございました。  そのほか、経済調査委託費、水資源開発対策、水質基準の保全、中央卸売市場対策、地域開発対策、今後の景気対策、経済見通しと物価政策、特に電話料金の値上げ、政府出資特殊法人のあり方、公共企業体と外資導入等の諸問題についての質疑応答がありました。  次に、農林省所管について申し上げます。  特に林業政策に質疑が集中し、昭和三十九年に林業基本法が制定されて以来、これと表裏一体となるべき法案の提出や、予算上の措置に何ら見るべきものがない。また、国有林野事業の収支は悪化し、赤字は必至の勢いである。中央森林審議会の答申に基づき、国有林野事業の運営が公社公団化するようになった場合に、その公共性の面よりも企業性の面が優先して、人員整理が行なわれるようになりはしないか。また、最近外材の輸入が増加しているが、その抑制策はどうか、との質疑がありました。  これに対する政府答弁は、林業基本法の精神に基づき、民生協力、国土保全等の見地から、極力公共性を優先し、林道の整備、小規模林業の経営規模の拡大、協業化の促進等をはかり、林業構造改善事業の推進をしてきた。本年度の予算でも、特に治山、造林、林道等の事業費の増額及び補助単価の引き上げ等を措置してあり、法案についても、近く入り会い林野の近代化に関する法案を提出する予定であって、しかも決して現状で満足しているわけではなく、今後も前向きに努力していく。国有林野事業の収支が、事務費、人件費の増加等により、悪化しているのは事実であるが、経営面で、でき得る限り能率的に、かつ合理的に運営するとともに、予算面等でも、万全の措置を講じて、収支の健全化につとめたい。また、中央森林審議会の答申は、将来の国有林野事業のあり方に関するものであり、慎重に検討する所存であるが、今後とも企業性よりも公共性を優先して能率的に事業を行なうことに変わりはなく、なお、少なくとも現時点においては、必ずしもこれを独立の企業体とする意向はなく、人員整理についても考えておらない。また、最近における外材の輸入は、国産材の供給不足に対する補完的見地から必要であり、今後の需給見込みからしても、昭和五十年ごろまでは外材輸入は若干ずつ増加する見込みである。なお、外材の輸入業者に対する直接的規制措置はこれを避け、業界自体が自主的に適正な措置をとるよう指導していきたいとのことでありました。  その他、漁業災害補償、農地の生前贈与、国土の総合的な利用区分の調査、農業協同組合の合併、地方卸売市場の整備対策、養鶏の振興対策、沼、ため池の所有権と転用対策、農業用水の確保、コンニャク対策、米の需給と輸入、ミツマタの需給対策、ノリやカズノコの輸入対策等の諸問題について質疑応答がありました。  最後に、通商産業省所管について申し上げます。  繊維対策につきまして、本年度、繊維工業整備特別対策費として初めて五億五千万円が計上されているが、この程度の予算で繊維産業が不況から立ち直れると思うか。不況カルテルが三月末で期限切れになるが、今後の対策はどうか。また、貿易対策につきまして、低開発諸国との片貿易をいかに是正するのか、また輸出保険制度の整備拡充のためには当然輸出保険特別会計の資金三十億円をさらに増額すべきではないか、との質疑がありました。  これに対する政府答弁は、繊維産業対策費としては決して多い金額とは思わぬが、政府の繊維産業に対する意欲の一端を示したものである。しかし繊維産業は金額の多寡よりも根本的な構造改革が必要であり、現在繊維工業審議会でその抜本対策を検討中であるが、その中に政府の意欲が生かされるようにつとめてまいりたい。不況カルテル問題は、通商産業省でなく、業界自体が決定すべきものであるけれども、これを延長する場合においても、ただいたずらに延長するだけでなく、構造改革等のための具体策が必要であり、また、これを廃止する場合においては、当然中小業者に及ぼす影響も考え、その間における調整緩和の措置をとることが必要である。低開発諸国に対する片貿易の是正問題については、わが国としては国民所得の一%ぐらいの程度は低開発国の援助に向けるべきであるとの世界貿易会議の勧告もあるので、援助等も考えなければならず、なかなかむずかしい面もあるが、漸次一次産品の輸入増加等により是正していきたいと思い、本年度予算で一次産品輸入促進特別基金として三億円をジェトロに出資することにしておる。輸出保険特別会計への出資の増額は、最近の低開発国の外貨事情の悪化等もあり、必要があれば年度途中でも措置したいが、本格的には四十二年度予算で講じてまいりたい所存であるとのことでありました。  その他、日米綿製品協定、石炭対策と炭鉱離職者の住宅対策、大型プロジェクトの推進、共産圏貿易、貿易大学の設置、公害対策、万国博覧会開催事業費の地元負担、営利企業への就職、中小企業の組織整備及び近代化対策、工業用水道事業に対する補助、再販売価格の維持契約、電力料金の適正化、独禁法の運用と管理価格、鉄鋼の輸出別ワク制度と勧告操短等の諸問題について熱心な質疑応答が行なわれました。  かくして昨日全質疑を終了し、しかる後、本分科会の討論採決は予算委員会に譲ることに決定した次第であります。  以上御報告申し上げます。
  13. 福田一

  14. 荒木萬壽夫

    ○荒木委員 第五分科会における審査経過並びに結果について御報告申し上げます。  本分科会審査対象は、昭和四十一年度予算中、建設省、運輸省及び郵政省所管の分でありまして、去る二月二十四日から昨三月二日まで日曜を除く六日間にわたり、連日慎重、かつ熱心に審査いたしました。  各省から説明を聴取した後質疑を行ないましたが、これらの詳細につきましては、会議録に譲ることといたしまして、ここでは、その大要について、簡単に御報告申し上げたいと存じます。  まず、建設省所管について申し上げます。  有料道路の問題について、名神高速道路は当初の見込みに反し、きわめて利用度が低く、特にトラックの利用度が低いことは、見込み違いが大きく、この分では、採算上、今後借入金の償還などに支障を来たすと思われるが、一体この原因はどこにあるのか、政府は、早急に、有料道路の料金のあり方や利用度の向上について検討し、料金については、この際引き下げに踏み切るべきであるとの質疑がありました。  これに対して、建設省から、名神高速道路の利用状況は、現在一日およそ七千七百台の自動車が利用しており、これは当初見込みの力三%であり、また収入面では、一日およそ一千四百万円の収入で、これも当初見込みの六四%という低い利用状況である。この主たる原因は、トラックの利用度が乗用車に比べて低いということのほか、栗東−小牧間の開通がおくれたことにあると思う。しかしながら、アメリカなど諸外国の場合でも、トラックは乗用車に比べて、二年くらい利用がおくれるというのが通例でもあるので、利用度は漸次向上するものと思うが、今のような実績を漫然と黙認するわけにはいかないので、目下、日本道路公団に利用度の向上策、同時に料金改定についても検討させている。その結果を待って、とりあえず、料金については四月から値下げ実施に踏み切る考えである、との答弁がありました。  道路問題については、現行の道路整備五カ年計画では、実情に即しないということで、これをさらに改定するという話があるが、政府はいつごろ改定するのか。あわせてその構想を明らかにされたいとの質疑がありました。  これに対し、建設大臣から、現在の道路整備五カ年計画は、昭和三十九年度から、投資総額、四兆一千億をもって始められたのでありますが、この程度の規模では、国土縦貫高速道路や、一般道路の抜本的整備という要請に応じ切れないので、四十二年度から、新たに第三次五カ年計画を発足させたいと考えている。その構想としては、政府の新しい経済計画の策定に合わせて、投資規模は、七ないし八兆円程度の大規模なものとなろう。投資額が大きくなるので、とても一般財源だけではまかない切れず、したがって、今後の道路建設には、国債による大幅な投資が必要になるものと考えている。との答弁がありました。  建設省関係におきましては、その他、中央縦貫自動車道の建設促進、万国博覧会に関連した周辺道路の整備、一般道路の整備促進のほか、治山、治水事業、宅地及び住宅対策、砂利採取の乱掘防止、市街地開発等、建設行政各般の問題について、熱心なる質疑応答がかわされました。  次に、郵政省所管について申し上げます。  郵政省関係では、農村における有線放送電話のあり方について、現在の有線放送、特に全国三十四カ所の有線放送電話は、農林省、自治省、郵政省及び電電公社の四者が関係して、行政的に互いに競合、混乱を来たしており、このことは行政管理庁からもその調整の必要が指摘されている。  この法律は、本年十一月一ぱいをもって終了するという、時限法であるが、政府はそのあとどうするのか、この際、混乱と競合を調整するため、時限を延長し、その間、関係各省と学識経験者で構成する審議会を設けて、今後のあり方を根本的に検討し、その答申を待って、政府方針を確立することが、最も賢明にして適切なやり方だと思うが、その考えはないか、との質疑がございました。これに対しまして、郵政大臣から、農村の有線放送電話に対しては、郵政省と農林省とが、それぞれ別個に補助金を出しているが、できればこれの一元化が望ましい。御指摘のとおり、この問題は時限法であり、その期限切れの関係などもあるので、早急に検討の必要がある。審議会を設置せよという御意見は、貴重な御意見であるので、これらの点を含めて早い機会に検討したい、との答弁がありました。  郵政省関係においては、その他郵便料金の値上げ問題、郵便業務の増加対策、電話料金の値上げ、電話積滞数の解消、テレビ、難視聴地域の解消、郵政犯罪の撲滅等、郵政、電電各般の諸問題について委員各位より熱心な質疑並びに要望がありました。  最後に、運輸省所管につきましては、国鉄運賃法の成立がおくれたことによって、五ないし六十億円に及ぶ減収がもはや確定的となっているが、政府は、この減収分については、当然さきに成立した補正予算の再補正として機第4号を提出して処理すべきであると思うが、運輸大臣はこの事態にいかに対処するのか、との質疑がありました。これに対しまして運輸大臣の答弁は、この問題については、もとより大蔵当局とよく相談して処理するつもりであるが、ただいまのところでは、この程度の減収分については、国鉄の企業努力、資産の売却等によって、支障なく処理できるものと考えている、というのでありました。  また、通行税の問題について、現行の通行税は、本来目的税として国鉄に還元して使わせるべきであるにもかかわらず、政府は一般財源に繰り入れている。この際、これをあらためて国鉄に還元使用させるか、しからずんば思い切って廃止するべきではないか、との質疑がありました。これに対しては、通行税は、一種の奢侈税であって、必ずしも目的税とはいえない。運輸当局としては、還元よりもむしろ廃止の方が望ましいと考え、できるだけ早い機会に廃止の方向で目下検討中である、との答弁がありました。  以上のほか、全日空事故の原因調査、日米航空料金協定の問題、大都市交通緩和対策、新国際空港の指定地と地元対策、国鉄建設工事の促進、海運造船振興対策、身体障害者の割引乗車優遇措置等、運輸行政各般の問題についていずれも真摯な質疑が活発に行なわれたのであります。  かくて、昨二日質疑終了後、分科会における討論、採決は、本委員会に譲ることに決定して、全審査を終了いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)
  15. 福田一

    福田委員長 以上をもちまして、分科会主査の  報告は終了いたしました。     —————————————
  16. 福田一

    福田委員長 大原亨君より、この際、八木昇君、加藤清二君、ただいまの主査報告に関連して政府に対し質疑をいたしたいとの申し出があります。順次これを許します。八木昇君
  17. 八木昇

    八木(昇)委員 私は、ただいまの各分科会主査報告のうち第三分科会報告につきまして、問題点を一点にしぼりまして質問をいたしたいと思っております。  といいますのは、この分科会で滝井委員の質問に関連をいたしまして、環境衛生関係の金融に関しまして、大蔵省と厚生省それぞれの答弁が食い違ったままでございました。で、政府としての統一した見解、答弁というものがなされないままに、うやむやで一応終わっておるわけであります。これは、当然予算そのものにも関連をしてまいりまするし、このままで私どもはこの分科会報告を了承するわけにまいらないと考えておるからでございます。  そこで、その質疑に入るに先立ちまして、まず厚生大臣の御見解を最初問いただしたいと思うのでありますが、当初、御承知のように、この環境衛生に関する金融については、この際環境衛生金融公庫法という独立の公庫を設置する必要があるということを厚生省はお認めになりまして、その法案まで用意をされたわけであります。全国には約千三百万人の環境衛生業者並びにその従業員がおるのでございまして、そのうち約八割に相当する人たちが五人未満の労働者をかかえておるという零細企業であります。クリーニング業とか、あるいはふろ屋さん、美容、理容、あるいはいろいろなその他十八業種がこの対象でございますが、一体この環境衛生関係については、単独の金庫をつくらなければならないということを厚生省が決意するに至った理由、これをこの際もう一度明らかにしておいてもらいたいと思うのであります。  で、私の考えでは、環境衛生関係については各種の制約がある。たとえばふろ屋さんの料金につきましては、これは知事でありますかの認可を必要とする。あるいは、床屋さんの場合でも、むちゃくちゃに値を下げてはならないというので、下限の限度が引かれておる。あるいは普通の職業でありますと、結核でありましても、何とか働ければ仕事ができますが、散髪屋さんの職人は、それは許されない。そういうような制約がある。しかも、こういう環境衛生事業というものは非常に近代化がおくれており、共同化がおくれておるということを考えますと、どうしてもこの際単独の金融公庫というものを設置する必要があるという強い熱意のもとにこのことが考えられたと思うのでございますけれども、あらためてお伺いをいたします。なぜ、厚生省は環境衛生金融公庫法というものの設置を思い立つに至ったか、これが第一の質問です。  第二の質問は、昨年末の政府予算案最終決定のぎりぎり決着までもんだのがこの環境衛生金融公庫法関係でございまして、結局大蔵省から押えつけられたと私は思うのでございますが、この設立がついにお流れになった。そうして国民金融公庫の中に一つのワクを設けるということでお茶を濁された。こういう結果になっておるのでありまするが、それは、みだりに公庫や公団というものの設置は今後政府はしないという、そういう紋切り型の原則の犠牲になったと、こう私は考えておりますが、将来ともいまの国民金融公庫の中で、環境衛生関係はこれから先も扱うということについて、今日厚生大臣は、将来ともそうであってもやむを得ないとお考えになっておるのであるか、その初心忘るべからずと言いますか、あくまでも初心を今後とも貫き通すお考えであるか、これが質問の第二点。ひとつ端的に答えてください。
  18. 鈴木善幸

    ○鈴木国務大臣 環境衛生営業に対する金融措置につきましては、ただいま八木さんがお述べになりましたように、環境衛生営業関係の企業者並びに従業員は全国で千三百万人にも及んでおります。しかも従業員を数名しか使っていないような零細企業がその八割以上を占めておる、こういう企業基盤の脆弱な、恵まれない営業でございます。しかるに、一面におきまして、その営業は、国民の日常生活にきわめて関係の深い公衆浴場でありますとか、あるいは理容、美容、クリーニング業あるいは飲食業等々、きわめて重要な企業である。特に最近公共料金の問題とともにサービス料金を適正に押えなければいけない、こういう要請もございまして、どうしてもこの環境衛生営業の近代化あるいは協業化ということが強く要請をされておるわけでございます。そこで、そのためにはどうしても長期、低利の金融措置を講ずる必要があるということで、協会関係者をはじめといたしまして強い要望があったわけであります。私はその所管大臣といたしまして、ぜひこのおくれておる環境衛生営業の近代化、協業化を促進をいたしてまして、そしてサービス料金等を適正に押えていきたい、かような観点で環境衛生金融公庫の創設を考え、立案を進めておったのであります。  しかるところ、政府及び自由民主党におきまして、昭和四十一年度の予算編成にあたりまして、公庫、公団はこの際は絶対につくらないと、こういう予算編成方針が決定を見た次第でございます。そこでいろいろ大蔵大臣とも御相談をし、また党の首脳部とも御相談をいたしました結果、環境衛生金融公庫にかわる措置といたしまして、国民金融公庫に二百億円の別ワクを設定いたしまして、理事を一名、また特別の部課を設置いたしまして、そして環境衛生営業に対する金融を行なう、こういうことに決定を見た次第でございます。その貸し付け条件等につきましては、目下大蔵、厚生両当局で話し合いを進めておる段階でございますが、できるだけ早くこれを決定いたしたいと考えております。
  19. 八木昇

    八木(昇)委員 そこで、そういう厚生大臣の御熱意にもかかわらず、またそのような答弁にもかかわらず、大蔵省の答弁は違うのですね。それはあとで指摘をいたしますが、その前に大蔵大臣にちょっと伺っておきたいと思うのですが、結局あの環境衛生金融公庫というものはつくらない、そのかわり国民金融公庫の中で環衛関係については二百億の別ワクを設けるということにしたと、こういうのでございますが、従来も環境衛生関係に国民金融公庫は貸し出しをやっているわけですね。例年貸し出しをやっている。私が聞きましたところでは、昭和三十九年度に百四十六億円貸し出していますね。本年昭和四十年度も十二月末までくらいの間にやはり百三十億くらい貸し出しをしておるようでございます。そうしますと、ここで新たに二百億のワクを設けると、こういうのですけれども、これは従来貸し出しておりました百五十億前後の額にプラス二百億、当然そうでございましょうね。地方ではそう理解をしておりますが……。
  20. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 二百億は別ワクでございます。ただ、従来百十数億貸しておるということはそのとおりでありますが、別ワクの二百億は指定施設に対しましての別ワクでありますので、指定施設に従来の貸し出しで該当するものがあればそっちのほうに移るという、こういう関係が起こるかと思います。しかし、あくまでも別ワクでございます。
  21. 八木昇

    八木(昇)委員 どうもその説明では釈然としませんですがね。そうすると、貸し出しは昭和四十一年度に百五十億プラス二百億、大体三百五十億前後になるということにはならないのですね。というのは、たとえばいままでの年で環境衛生関係に百五十億ぐらいの貸し出しがなされておりましたが、その中にも指定業種のやつがあるわけですね。それはどのくらいあるわけですか。
  22. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 政府委員がお答えします。
  23. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 これはむしろ厚生省からお答えしたほうがいいかと思いますが、いろいろ厚生省とも打ち合わせておりますが、実は精密な統計が厚生省においても把握されておりません。
  24. 八木昇

    八木(昇)委員 そんなでたらめな話で、一体予算が通せますか。大体おおよそのところはわかるはずだ。
  25. 舘林宣夫

    舘林政府委員 従来国民金融公庫の中でどの程度貸しておるかという統計が、国民金融公庫の統計表にあらわれておりまして、それから推定いたしますと、昭和三十九年度に百四十九億環境衛生関係営業に貸しておるわけでございまして、したがいまして、四十年度はかなりそれを上回るものと、かように私ども考えております。その中でどの程度、今回問題にいたしております指定業種の近代化、合理化、協業化というような種類の貸し出しが行なわれておるかということは、厚生省側で全国の千四百万人の業種の調査をすることは容易でございませんので、国民金融公庫の統計から推計をするだけでございますが、かなり大きな部分これらに貸し付けが行なわれておる、かように推定いたしております。
  26. 八木昇

    八木(昇)委員 そういうような、何といいますか、こういう権威のある、しかもびた一文についても厳密な審議をしなければならぬ予算審議にあたって、いまのようなでたらめな答弁は私は許されないと思う。大体今度のこの新しい別ワク二百億という打ち出しであるけれども、従来より以上環境衛生関係に具体的に幾ばくの額の貸し出し増加になるのかわからないというわけでしょう。そんなでたらめな答弁で私は了承できませんが、もう一度答弁してください。
  27. 舘林宣夫

    舘林政府委員 ただいまお尋ねのございました二百億を、従来のワクの中の貸し出しと完全に別個に指定業種の近代化、合理化に貸すということでございますれば、おおむね先ほど八木先生のおっしゃいましたように、従来のワク、プラスの二百億になる筋合いでございます。ただ近代化、合理化に二百億の金が貸されれば、従来百数十億で貸されておったワクの範囲内の一部がそちらに移るといいますか、そのようなことも考えられますので、完全にそれに上乗せになると必ずしも言い切れないかもしれませんが、ただ従来かなり希望が多かったものが、貸し付け額はその希望の半額程度でございますので、その考え方からいたしますと、二百億のかりにワクができましても、なおそのワクに入り切らない近代化、協業化に該当する貸し付け希望が相当あるものと思われますので、十分貸し付けを行うとすれば両者合算をした額になると、かように思うております。
  28. 八木昇

    八木(昇)委員 これは、内容がわからないなんということは許されません。ただいまお話があっておりますところの指定施設というのは、たとえばふろ屋さんがボイラーを新しく古いやつを取りかえるとか、もう内容はきまっておるのでしょう。それならば、従来のそういういわゆる指定施設に対する百四十九億の昭和三十九年度の貸し出しの中で、どれだけ貸し出されたかということがわからぬはずがないじゃないですか、わからぬはずないですよ。それはそれといたしまして、先ほど大蔵大臣は、二百億は別ワクだとおっしゃった以上、従来の貸し出し程度、百五十億前後プラス二百億、これはそう理解していいでしょうな。
  29. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 従来のものから、従来の指定施設の系統のものが二百億のほうへ移るものがあるわけであります。ですから、二百億プラス百五十億であったならば、百五十億マイナスX、こういうことになるわけであります。
  30. 八木昇

    八木(昇)委員 予算委員長、これは党派をこえて純公平にひとつ御判断願いたいと思うのですが、一体百四十九億の中に、指定業種に貸し出されたものはこの中の相当多くの部分であろうというようなことを言うのですが、相当多くの部分であるのかないのかもわからないわけなんですね、この諸君は。かりに相当多くの部分で、百四十九億のうち百億が指定施設であったとすれば、そうすると、二百億の別ワクを設けたというけれども、しかし、それは実際には百億貸し出しがふえたということにすぎないことになる。しかし、今度かりに従来の貸し出し百四十九億のうちに指定業種への貸し出しが五十億であったとすれば、新しく設けられた別ワクは二百億マイナス五十億の百五十億ふえた、といういうことになる、全くつじつまが合わないのですね。しかも、これが予算書に関係がある。なぜかといいますと、御承知のように国民金融公庫の貸し出し金利は、従来八分七厘であった。それをことしは八分四厘に引き下げるというのでしょう。ところが、八分七厘の貸し出し金利であれば国民金融公庫の収支はまあまあとんとんでまかなえるが、これを八分四厘に引き下げると赤字が出る。その赤字に相当する七億円は、政府は一般会計から補給する、こういうことになっていますね。これは、こういうこととからんできますね。しかも、これはあとでさらに問題にいたしますが、厚生大臣は今後とも話し合いをして、八・四の金利を環境衛生関係についてはさらに引き下げるように努力をするという意味の発言をしているのですから、そうしますると、かりにこれが八%に下がったということになると、これは国家予算書にも関係しますよ。しかるにもかかわらず、いまのようなまことに不細工な答弁でこのまま審議を続けるわけにいきませんよ。ひとつ的確な資料を要求いたします。
  31. 舘林宣夫

    舘林政府委員 昭和三十九年度の国民金融公庫の発表いたしております貸し付けの内容から推計いたしますと、百四十九億のうちの約二〇%が運転資金に貸されておりまして、八〇%が設備資金でございます。この設備資金のほとんどの大きな部分が設備の近代化、合理化というようなものに貸されておるもの、かように私どもは考えております。
  32. 八木昇

    八木(昇)委員 そういうような説明ではだめですね。設備資金といいましても、これはいろいろあるわけです。従業員を二、三人雇っておるクリーニング屋さん、あるいは家族労働だけでやっておるクリーニング屋さんというようなものと、最近は資本金何千万円というようなものすごく大きなクリーニング屋さんもあります。そこで、いわゆる指定施設と称せられる分が幾らであるかということを答えてください。
  33. 舘林宣夫

    舘林政府委員 指定施設としては非常に多数の施設がございますので、おもなものを申し上げますと、たとえばクリーニング業につきましては、自動式複合ドライ機、万能プレス、自動ワイシャツプレス機、その他のプレス機、共同洗たく工場用の水洗ドライの設備、共同仕上げ工場の諸設備、それから企業合同をいたします場合の設備といたしましては、クリーニング業に必要な一式、従業員の確保のための共同の寄宿舎、原材料の共同購入事業をするための共同購入の運転資金、衛生設備の改善をするための洗たく物の保管ケース、その他洗たく場の改善の費用、公衆浴場につきましては、自動式重油燃料装置、循還ろ過装置、温水器、その他共同重油地下貯蔵所の設備、スチームバス、家族浴室、娯楽設備等の特殊設備。運転資金といたしましては重油、洗いおけ等の共同購入等の運転資金、理容業につきましては、理容師養成施設改善設備の整備、理容機械、化粧品等の共同購入の運転資金、理容器具の格納設備、洗い場の改善、美容につきましてもほぼ同じような関係になっております。飲食店につきましては、電気自動炊飯器その他でございます。
  34. 八木昇

    八木(昇)委員 そういうのを聞いたってしようがないのですよ。ぼくが質問をしておる骨子は、政府は羊頭を掲げて狗肉を売るということだ。二百億の別ワクを設けて、環境衛生業者が待望久しかったところの環境衛生金融公庫の設置は一応見送ったけれども、別ワク二百億を設けたのだという羊頭を掲げて、事実は狗肉を売っているじゃないか。実際には幾らふえるのかしらぬけれども、百億くらいしかふえない。しかもそのふえる分は、いわゆる指定施設と称せられるものであって、零細な一般大衆、環境衛生業者にほとんど無縁な者のワクがふえるだけじゃないかという点を指摘しておるわけですから。しかも、一体具体的にどれだけ新しく貸し出し資金量がふえたのか明確に捕捉できないままで分科会報告を認めろなんということはむちゃじゃないか。こういうことを言っているわけですから、ひとつその点、大蔵大臣からもう一度明快に答えていただきたいと思います。政治というのはこういうごまかしじゃいけません。大体それは一銭一厘というわけにいかぬかもしれませんが、端的に環境衛生業者に対して国民金融公庫の貸し出しワクが幾ばくの額ふえたということがぴたっと明らかにならなければなりませんので、ひとつもう一度答弁してください。
  35. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 二百億は別ワクであります。この別ワクは環境衛生の指定施設に対するものであります。ところが、従来の系統のものの中に、指定施設に該当するものがあるわけです。それがこの二百億の中に流れていく。したがいまして、従来のものから指定施設に相当する分を除いたものが一般の融資として取り扱われる、さような関係になるのです。それをいま私、数字がどうなるかということにつきましては、まだ承知しておらない、こういう状況でございます。
  36. 八木昇

    八木(昇)委員 どうも了承できませんが、この問題に対する態度は、私としましては一応留保しておきます。大体時間を三十分程度ぐらいでやれということでございますので、あとの肝心のところに入る前に引っかかっておりますので、次に進めたいと思います。あと十数分ぐらいになるかもわかりませんが、お許しいただきたいと思います。  ところで、この第三分科会での政府答弁が、大蔵省と厚生省で実は違っている。そこでもう一度確認をしたいのでありますが、結局国民金融公庫の中に環境衛生関係の別ワク二百億を設ける、それは指定施設関係へ貸し出す、こういうことになったわけですが、その貸し出し条件ですが、簡単に言いますと、金利は幾らにするか、あるいは無担保の貸し付け最高限度は幾らにするか、あるいは償還期限、そういったものはどういうふうにするのか、これについて銀行局長から分科会答弁がありましたが、もう一度簡単にひとつ答弁してください。
  37. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 お答えを申し上げます。  まず、融資限度でございます。これは従来一般三百万円でございましたが、これを新たに五百万円まで引き上げる。それから次に、担保でございます。これは二百万円以内の貸し付け先に対しましては、原則として担保を取らない、こういうことで運営する。第三は、償還期限でございます。これは、一般には設備七年、運転五年ということでございますが、この還境衛生十八業種の指定施設に関しましては、設備について十年まで延長をいたす。そのうち据え置き期間を一年までとする。それから最後に金利でございます。この金利につきましては、先ほど厚生大臣からもお話がございましたように、目下のところきまっておらないという段階でございますが、私が分科会においてお答えいたしましたところは、これは国民金融公庫における普通金利、すなわち八分四厘ということを考えておるということを申したわけでございます。
  38. 八木昇

    八木(昇)委員 金利については、いまちょっと弁解がましく言われたのですが、要するに八分四厘でいく、こういう御答弁でございました。これは事実議事録を見ていただけばはっきりしております。しかも、これらのいろいろな貸し出し条件については、とうとうと述べられたですね。結局、貸し付け金利については八分四厘、担保は無担保最高二百万円まで、貸し出し最高限度は、たしか五百万円と答弁されたと思います。ということは、国民金融公庫の貸し出し条件そのものは、環境衛生関係だからといって何ら違っておりませんね。ただ、この特別施設に関しましての返済期限等について若干違いがあるという答弁だと私は理解するのですが、そうですか。
  39. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 お答え申し上げます。  環境衛生関係で特に優遇をいたすと、こうなっておりますのは、二点ございまして、一点は、先ほど大蔵大臣からお答えございましたように、二百億円という別ワクを設けるという点。それから第二点は、償還期限について一般のものより長くするということでございます。
  40. 八木昇

    八木(昇)委員 そこでお伺いをいたしますが、いまの銀行局長答弁に対して、厚生大臣は、要約すればこう答えられたのですね。ただいまの融資条件についての銀行局長の発言は、局長個人の考えであって、政府の決定した方針ではない。環境衛生金融公庫新設見送りは、同公庫設立の趣旨にのっとり国民金融公庫が運営されることを条件に、予算編成当時党四役の裁定が行われたのであり、融資条件などは、党四役をまじえて厚相、蔵相できめるもので、その方向で結論を出したいというふうに自分としては考えておるのであって、いまの銀行局長答弁は、これは局長個人の答弁である、こうお答えになった。さすれば、政府としては、L体どうするのかということについて、はっきりしないままになっているわけです。両者の言い分が並行線をたどったまま答弁された形になっておりますが、これをどういうふうにつじつまを合わせるおつもりでありましょうか。それは、厚生大臣でも大蔵大臣でもけっこうです。
  41. 鈴木善幸

    ○鈴木国務大臣 銀行局長から述べられました点は、まだ大蔵大臣と厚生大臣との、責任者の間で決定をいたしたものでございません。まだそういう段階に至っていないものでございます。私は分科会で申し上げましたように、この問題は非常に重要な問題でございますので、責任者の間でよく話し合いをして、妥当な結論を得たい、またその際には、党のほうでも重大な関心を持っておられる問題でございますので、党の首脳部とも御相談をして決定をすべきものである、かように分科会でも申し上げたのでありまして、現在もさように考えております。
  42. 八木昇

    八木(昇)委員 もうほとんど結論でございますが、ただいまの厚生大臣の御答弁のとおりに理解していいかどうか、これは大蔵大臣に確かめておきたいと思うのでございます。というのは、たとえば、私どもは環境衛生関係の設備近代化、共同化の促進のためには、金利は六分五厘くらいに引き下げろという強い要望をしているわけです。金利の引き下げは、法律の制定をまつまでもなく、国民金融公庫の業務方法書を変えるということで、大蔵大臣の認可を得ればできるわけです。それはできますけれども、しかし、さらに環境衛生関係の貸し付け金利を引き下げますと、これは国の予算関係しますね、一般会計からの補助との関連が出てきますから。そういうことで困るようなことにならないか。いまの厚生大臣の答弁のように、誠心誠意今後話し合いをして、貸し出し条件については、環境衛生業者の実態に即するように善処したいという厚生大臣の答弁どおりに大蔵大臣も了承せられるかどうか、確かめておきたいと思います。
  43. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 厚生大臣からそういう要請のあることはよく承知しております。しかし、八分四厘という国民金融公庫の一般金利は、これは中小企業者すべてに適用されているわけです。環境衛生以外におきましても、中小企業者の中には重要な仕事をしている者も相当あるわけです。それとの権衡という問題が一つある。それから御指摘の予算の問題もあるわけです。それらを総合いたしまして結論を出すべきものだ、こういう考えでありますが、いずれにいたしましても、二、三日中には結論を出したい、さように考えております。
  44. 八木昇

    八木(昇)委員 いまの御答弁のように、近日中に結論を出されませんと、これは予算審議そのものにもからまると、少し大きな言い方をすれば私そう考えますので、ひとつ厚生大臣の答弁の線に沿って緊急に善処し、政府の態度を出されるように要望いたしまして、私の質問を終わります。
  45. 福田一

    福田委員長 次に、加藤溝二君。
  46. 加藤清二

    加藤(清)委員 大蔵大臣に特にお尋ねしますが、今国会におきまして特に問題となりました点のうち、国民がぜひ聞きたい、そこでわれわれがこれに対して質問をした、ところが答えがない、あっても食い違っている、資料を要求した、資料の提出がない、あってもきわめてずさんで理解に苦しむ、こういう問題のみを集約いたしまして質問をいたしまするから、さよう心得た上においての簡潔な御答弁をお願いいたします。  第一番は、あなたは公債発行について、一年間は買いオペの対象にしない、貸し担保にもしない、こう答えておられます。ところで、同じこれを扱われる日銀総裁は、中澤質問、勝間田質問、加藤質問について同じようなことを答えておられる。しかし新聞記者会見においては、さようでない発表をしていらっしゃる。大蔵大臣と日銀総裁との、同じ時期において、同じ国債の扱いについての答弁の食い違いは、これは国民としては受け取りがたい。そこであなたは、その違いは日銀総裁のほうが違っておるのだ、私の言っておることが正しいのだ、だから今国会中にしかりおく、注意をしておくと、こうおっしゃられました。実行に移されましたか。
  47. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 実行に移しました。これは重大な問題でありますから、私から重ねて申し上げておきますが、日銀総裁は本委員会におきまして私と同じことを申し上げておるのです。それが最近の記者会見でまた同じ問題に触れた、その結果が、新聞紙上で伝えられるところによりますると、多少あいまいな点がある、その点が御指摘を受けておると思うのであります。どういうふうに話してそういうふうな新聞記事になったのですかと言ったところ、それは、言わんとするところは国会答弁したことと寸分間違いはありません、こういうことであります。すなわち、私が申し上げておることも、日本銀行総裁が申し上げておりますることも、終始一貫しておるのです。第一点は、国債は担保またはオペレーションの対象にする、ただし一年間につきましては、オペレーションの対象に一はいたしません、これは日本銀行に内規もあります。この内規の改正をすることは考えておりません、こういうことです。それから貸し付けにつきましては、そういう内規はありませんけれども、実際の運用上さようにいたしますと、非常にはっきりしておるのであります。
  48. 加藤清二

    加藤(清)委員 あなたが注意なさった結果、日銀総裁はどのような意思表明をされたのですか、あなたの注意に対して、これを全面的に受け入れられたのですか、それとも意見の不一致で終わっておるのですか、その点をはっきりしないというと、問題はインフレ論に発展するわけでございます。
  49. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 日本銀行総裁と私との間に何らの意見の相違がない、こういうことが確認をされたわけであります。
  50. 加藤清二

    加藤(清)委員 相違のない意見は、あなたの意見に一致したのか、日銀総裁の意見に一致したのか、その点を確認しておきたい。
  51. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 私が本席でしばしば述べましたとおりに一致したわけであります。
  52. 加藤清二

    加藤(清)委員 それでこそ大蔵大臣としての資格があるというものです。  そこで、次にお尋ねいたしたいのは、本会議における成田質問、本委員会における勝間田質問、中澤質問等におきまして申し上げたこと、特に私が詳細にわたって分科会においてお尋ねいたしましたけれども、いまだ約束が不履行の点がございます。それは財政計画、償還計画、減債基金の制度の見通し、これを要求したにもかかわりませず、いまだに提出がない。提出されたものを見ますると、いわゆる減債基金、これは計画ではないのです。これは昔こうでした、外国ではこうでしたというやつだけなんです。今日の公債について、しからばどのような計画があるか、どのような基金においてどのような返済をするか、それは何ら触れられていない。こんなものを必要だなどというて出されるあなたの良心を疑う。国民を瞞着するのもはなはだしい。はっきりとほんとうの計画書、国民が納得するところの返済計画をここへ御提出願いたい。それでなければ予算は通らぬ。
  53. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 財政計画につきましては、これは非常に重大な問題だと思うのです。つまり、公債を発行した今後の財政の運営は、これは財政自体の動きもありまするけれども、同時に経済界の動きと非常に関係がある。経済界が非常な勢いで積極的に動くという際には、財政はむしろ縮小ぎみにやっていこう、また経済界が落ち込んでおるという際には、財政が積極的な任務を持とう、そういうことで、財政も民間経済活動もくるめての経済全体を、なだらかに成長さしていこう、こういう考え方をとるわけです。そういうことから見まするときに、経済の動きを一体どういうふうに予測するか、きわめて困難な問題であります。  それから財政計画を示せというゆえんのものは、これは七年後以降において財政がどうなるか、こういうことが根幹になるだろうと思う。しかし、そういう年次的なことを数字でお示しする、これは非常に困難なことは、加藤委員御専門でございますので、十分御理解がいけると思うのでありまするが、まずGNPがどうなるか、これが問題なんです。それからその際におきまして、租税収入が一体どういうふうに上がってくるであろうか、これの見方も大きな要因であります。そういうことを考えますときに、公債の額というようなこともおのずから出てくるわけですが、何としてもそれらの数字がどういうふうに想定されるかという背後には、経済の動きという問題がある、これがそう七年も先のことを予測するようなことはきわめて困難である、だから、そういう不確定の基礎の上に立ちまして積み上げられるところの不確定数字を並べましても意味はない、いたずらに誤解を招くのみである、こういうふうに考えまして、これはいたずらなる数字を羅列するよりは、大体の傾向としてこういうふうになるだろう、こういう考え方を申し上げて御理解を得たほうがいいのではあるまいか、さように考えまして、数字による財政計画また償還計画、さようなものをお示しいたさないほうがいい、かように結論しておるわけであります。
  54. 加藤清二

    加藤(清)委員 七年先の見通しは不確定である、不確定要素が多い、GNPもまたどのように変わるかもわからない。だから正確なものは出せない。それでは答弁にならないのです。なぜかならば、大臣が御承知のとおり、この財政法第四条には、私が申し上げますまでもなく、「公債を発行し又は借入金をなす場合においては、その償還の計画を国会に提出しなければならない。」と明記されている。この国債の場合は七年です。むしろ短いと言わざるを得ない。十年、二十年という国債もある。それを想定してもなお本法は計画書を提出しろと明記している。にもかかわらず、それが出ない。その理由が不確定要素であるから出ないということでは、これは法律に従ったとは言えない。法律違反の疑いが濃厚になってくると言わなければならない。したがって、もし本日ここに出ないと、——事実出てない。しかるに予算は早う通せという矢のような催促なんです。これじゃ片手落ちじゃございませんか。あなたは、本日でなければせめて近き将来において提出するか、ないしは国民の理解を得られるような別途変わった方法等を講じられる用意がございますか、ございませんか。これでほおかぶりして逃げるつもりですか。
  55. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 財政法第四条では、お話のように、国債を発行する場合には償還計画を出さなければならぬ、こういうふうに書いてある。その立法者の意図等を今回非常にせんさくもし、検討もしてみたわけです。そういう御指摘のような二十年あるいは三十年の場合もありましょう、その先々までの償還計画というもの、これは検討することができるはずがない。そういうことを承知してかしないでか、ともかく財政法では償還計画を書け、こう言っておる。それは、ただいま予算書の資料として書いてあるようなことを書きなさい、こういう趣旨であるというふうに解釈せざるを得ないのであります。したがいまして、財政法の解釈といたしましては、ただいま予算書の資料として掲げてあるもので足りるとするほかはない。いまそういう結論になっておるわけです。しかし基本的な問題は、どういう考え方でこれを償還していくか、こういうことにあるのじゃあるまいか。これは説明をもって補足さしていただくというほかはない、さように考えております。
  56. 加藤清二

    加藤(清)委員 問題は、民間で金を貸し借りした場合に、最も不可欠な条件としては、金額と金利と返済計画と返済の期限なんです。それなくては、金の貸借関係は発生しないのです。公債は、国民から政府が金を借りることなんです。借金の証文なんです。その証文に返済計画もなければ期限もあやふやであるということでは、これは法律違反のみならず、これを発行するあなたの責任として、責任を全うしたとは言えない。国民は納得できない。そこで、あなたがそうおっしゃるなら一歩譲って、せめて償還方法をどう国民に納得させるような説明をなさるのか。あなたはさきの質問に、借りかえとおっしゃった。借りかえとは何か。手形の書きかえと一緒なんです。手形の長期化は不良手形として取り締まるということなりておる。そうでしょう。そういうやさきだから、あなたはここではっきりとした償還計画をお示し願いたい。償還の計画というよりも方法、腹、何でもとにかく国民が納得する、質問者が納得して引き下がれるという、それを出していただきたい。
  57. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 公債は、今回昭和四十年度の特例債ですね。これが二千五百九十億円、それから四十一年度に七千三百億円の建設公債、こういうことになっております。そこで昭和四十年度の二千五百九十億円、これは特例債、臨時緊急の措置として発行するものでありますので、これにつきましては七年後に全額現金償還をいたしたい、そういう考えであります。そのためには、その前から国債整理基金に積み立てを行なうとか、いろいろな準備もしなければならぬ、こういうふうに考えております。  それから昭和四十一年度の建設公債、これは、四十年度の公債とは性格が違う、こういうふうに考えておるわけです。それで、ただいま加藤さんは、私がそれを借りかえでやっていくのだというようなお話でございましたが、そういう表現でありますと私の真意ではないのです。これもできる限り現金償還に努力をいたします。そのための事前の積み立て等も行ないます。しかしこの建設公債は、七年という期限にはなっておりますけれども、しばしば御説明してあるように、これは国民の財産として残る公共施設等と見合いをとって発行させるものである。それらの資産は、あるいは耐用年数からいいまして、ダムのごとく七十年というようなものもあります。あるいは建物にいたしましても、三十年、四十年というような長いものである。でありますから、発行する公債は七年というのがそもそも短か過ぎるのです。七年というのでなくて、大体二十年でありますとか、せいぜい十五年でありますとか、場合によっては三十年という公債でもいいわけであります。でありますから努力はいたしますが、しかし、いずれ一挙に七年後に多額の額を現金で償還するということは困難であろう、そういう額につきましては、借りかえをもってこれを行なうのだ、こういうふうにいたしましても、考え方としては無理はないじゃありませんか、こういうことを申し上げたわけであります。
  58. 加藤清二

    加藤(清)委員 あなたのほうが予算書に添付された償還計画は、これは償還方法を列挙したにすぎないのですね。しかも、あれは紙切れ一枚ですよ、これはてんで問題にならないのですよ。あんなものはだれだって償還計画とは言えない。なお、そこへ持ってきて借りかえとおっしゃった。借りかえを何年繰り返すのか、何回繰り返すのか、最後はやはりインフレで、インフレ返済ではないかとか、戦争でパーにするのではないかという心配が国民の中にあるわけなんです。それでは公債をシンジケートで命令して割り当てしても、なかなかに消化ができないという結果が目に見えてくるわけなんです。したがって、国民の納得するような計画、基金を積み立てるとおっしゃれば、その減債基金の積み立て方法、こういうものをちゃんと提出されてしかるべきだ。ここで押し問答すれば、時間かせぎと疑われてもこっちも片腹痛いですから……。そこであなたは、勝間田氏の要求した財政計画、償還計画、また私が分科会において再三要求したそれをこれで済ますつもりですか、それとも最も期近において何らかの形のものを出されるのか、私としてはぜひ出してもらいたい、こう思う、きょうでなくてもいいから。
  59. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 計数を並べまして、何年度の財政はどうなる、何年度の財政はどうなる、これを七年先まで、あるいは償還の方法によりましては二十年くらいになるかもしらぬ。それを並べることは意味がないことである、私はこういうふうに考えております。先ほど申し上げたとおりであります。しかし、考え方自体を文章にする、そうして御理解の一助ともしていただく、こういうことは私は意義のあることであると思います。さような意味においての資料は早急に提出いたします。
  60. 加藤清二

    加藤(清)委員 それではいまの大臣の答弁で、早急に国民が納得してくれるようなデータを提出するというおことばでございまするので、それを了として私は次へ進みたいと思いまするが、問題は、その計画の中にどのようなことばが入ってくるかはわかりませんけれども、いままでのあなたの一連の答弁からいたしますると、これは財政法第六条の剰余金の二分の一の額を国債整理基金に繰り入れるという考え方、いままでのあなたの答弁の中からして、いまではございませんが、一方では公債を発行している状態のもとにあって、税の自然増収はあります。それだけ公債発行額を減らすということになると思われるのですが、剰余金が発生せず、財政法第六条は空文化するではないかという疑いが発生するわけなんです。この点についてはどうお考えでございますか。
  61. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 原則といたしまして、公債発行下におきましては、剰余金が出にくい状態になると思います。したがいまして、お話のように、あるいは実質的に空文化するという傾向になってくる。しかし、私が申し上げますのは、それ以外の方途を講じまして一般会計から整理基金に繰り入れをいたしますとか、あるいは、まだ結論を得ておりませんけれども、いわゆる減債基金制度を取り入れるとかなんとかいたしまして、現金償還の財源をその時点までにできるかぎり積み立てておく、こういう考えでございます。
  62. 加藤清二

    加藤(清)委員 この問題は、まだいままで国会で論議されていない問題なんです。国に剰余金が発生した。それに片や公債を発行している。金はもうかっているのに借金しているというかっこうですね。これは識者のとらざるところなんです。借金して金利を払いながら剰余金をためておくという、そんなあほな手はないわけなんです。この点についていままで今国会では論議されていないのです。したがって、そういう事態が発生した場合にどうするかということは、はっきりしておいてもらいたい。初めての答弁ですから、もう一度はっきりしてもらいたい。
  63. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 減債の方式につきましては、ただいまの国債整理基金の財政法第六条の方式もあります。それから、各国の一部でやっているような減債基金制度というようなものもある。それらを総合いたしまして、どれがいいかということをこの一年間に結論を得たい、かように考えております。
  64. 加藤清二

    加藤(清)委員 それに関連して、四十年度、ついさきの国会で通過を見ましたこの公債発行ですが、これが新聞その他の情報によりますると、自然増が二千五百四十億程度あるではないか、こういわれておるのです。そうなってきますると、さきの国会で通過を見たところの公債発行額、これはいまの理論からいきますると減らしてしかるべきである、こういうことになるわけなんです。これも今度の国会では触れられておりません。これはどうなさるのです。
  65. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 まず実際の傾向を申し上げますと、歳入税収欠陥が二千五百九十億円だ、こういうふうに見通して、その補てんの公債の発行の御審議をお願いした。ところがその後の推移を見ておりますと、一つはビール価格の改定というものがビール消費税に多少の響きがあります。それからもう一つは、金利が安くなったものですから、税の延滞をするよりは早く納めちゃったほうがいい、銀行から借りて納めたほうがいいという傾向があるやに見受けられます。そこで、法人税の即納がふえてきておる。そういうようなことから、昨年に比べまして徴収歩合というものが幾らかいい。そこから見ると、あるいは二百億近くの増収があるのじゃあるまいかと想像されるような事態もあるのであります。これはもう少し推移を見なければわかりません。即納でありまするから、繰り上げ払いということであります。あとで減ってくるということも考えなければならぬ。そういうことで、もっと時間的に推移を見なければ的確なことはわかりませんけれども、それを見定めました上、予定したものよりは収入が多いということがはっきりいたしますれば、もちろん予定の公債はこれを減額をする、かようなことに相なります。
  66. 加藤清二

    加藤(清)委員 四十年度予算で自然増が発生する見込みが立ってきた。もし自然増が確実に発生するという確定的な要素がキャッチされた場合には、発行予定の公債を減額する、かように確認してよろしゅうございますか。
  67. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 大体さようでけっこうです。  ただ、加藤さん、なかなか理論的にこられますから一言つけ加えておきますが、推定というか、どのくらいの税額になるか、大蔵省が推定した後においてもまだ多少の誤差というものが出てきますから、その誤差が出るという点は、これはお含みおき願いたい、かように存じます。
  68. 加藤清二

    加藤(清)委員 その誤差の許容額は少ないほどあなたの頭のよさを証明することになると思います。しかも国民に対してそれがほんとうの政治家としての態度だと思う。それを心得た上にお願いしたい。  次に、最後に承りたいことがございます。それは先日のこの予算委員会が催したところの金融懇談会、ここへ日本証券業協会連合会の会長、それから証券投資信託協会の会長等に御出席を願って、今日の投資証券の元本割れ、これは一体いつ正常に戻るのか、五千円の元本額面が三千五百円から四千円にしかならない。五年もたっている、七千円になるべきが至当なところ、約半分である。これでは国民が投資証券のみならず、今度発行される公債に対してまでも信頼度を失っていく。そこで、これははっきり確答してもらいたい、いつになったら元本を保証して凍結を解くのか、繰り延べ、繰り延べを解くのかという質問に対して、私どもの手ではできません、一にかかって政府の御指導と御援助以外にございませんと、こういう答弁なんです。そうなった場合に、大蔵大臣としては、片や公債で追い打ちをかけて買ってもらおうというやさきに、片や、かつて買った投資証券が元本割れで、しかも凍結されてしまって動きがとれぬ、こういう状況をながめて、あなたはどうこれに対処をなさろうとしていらっしゃるのか。
  69. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 さような相当激しい額面割れが昨年は出たわけです。そういうようなことを非常に憂慮いたしまして、投資信託対策がとられた。これは加藤さんも御承知のとおりであります。それに呼応いたしまして、業界におきましても一年延期、まあ三千円、四千円で返したのじゃ気の毒だから、一年待ってください、一年の間には改善が見られるかもしれぬ、こういうので、一年待ってきておるというのが今日の現状じゃないか、かように思います。私は、この一年の間に市況も非常に回復して、したがいまして昨年のような激しい元本割れの事態ではない。しかし、まだ元本まで回復したか、こう言いますると、そこまでいっておらないというふうに聞いております。これは、しかし業界におきましても、商売でありますから、また新しい契約もとらなければならぬ。それにはなるべく有利に旧債は返したほうがよろしい、こういう立場もあります。ですから相当勉強はすると思うのでありますが、一年延ばしたからといって、これで元本はそのままお支払いしますという約束をしたわけでもなし、また政府はそれに対して何ら責任を負っているものでもない。証券行政全体を健全に運営する、それがこの投資信託の有利な償還に響くようにということを念願するのみであります。
  70. 加藤清二

    加藤(清)委員 この問題は、投資証券の元本割れ対策、それから運用預かりの過大な行き過ぎ、これは、さきの質問に対して、前向きの姿勢でこれが一日も早く直るようにするという御答弁があったわけなんです。ところで具体的には、それではどうなさろうとしていらっしゃるのかということが聞きたい主眼なんです。
  71. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 私は、満額償還というような事態になることは期待はいたしますが、それをそうさせるのだというお約束をしたことはありませんです。しかし証券業界は、株価もだいぶ立ち直ってきておる、そういうようなことから見まして、それに近い償還が行なわれる、また満額までいけば非常にけっこうだ、そういう頭をもって証券界全体の指導にあたっていきたい、こういうふうに考えております。
  72. 加藤清二

    加藤(清)委員 これで質問を終わりたいと思いますが、まだ十分な納得はいきません。したがって、別な委員会で行ないたいと思いまするけれども、この運用預かりの行き過ぎということがやがて山一問題を呼んだわけでございます。したがって、一波万波を呼んでいろいろな悪事が発生してくるわけです。そこでこの山一の問題にも関連して、ぜひ運用預かりの許容限度とい、うものを、はっきりとこの際今国会でめどをつけてやるということが、指導よろしきを得たという結果になるではないかと思います。それについて高田君が何か関連がある、こう言っておりますので、高田君に譲って、私の質問は終わります。
  73. 福田一

    福田委員長 高田富之君の関連質疑を許します。
  74. 高田富之

    ○高田委員 ただいまの加藤委員の発言に関連しまして、一問だけお伺いしたいと思います。  これから一々一問一答は、時間の関係がありますのでやりませんから、私の発言が終わりましたら、ひとつ納得がいくように明快な御見解の表明をいただきたいと思います。それがいただけないと、困るわけです。  それでは、この間の第二分科会における経過をまず一言申し上げますと、本委員会総括質問のときに、中澤君並びにただいまの加藤君からの質問がございまして、山一証券から日銀がとった担保の内容について具体的に知りたいと、こういうことでありましたが、明確な、具体的な資料がその後も提出されなかったということで、分科会におきまして重ねて加藤委員から具体的な担保の明細を示してもらいたい、こういう質問がありましたところ、手元にない、あるいは現在わからないというような、まことに納得のいかない答弁があったように私は聞いておりました。そこで、加藤委員からさらに続けまして質問したのですが、どうも要領を得ないので結局それはこういうものじゃないか、こういうことで、手持ちの資料に基づいて質疑が続けられたのでありますが、時間の関係もありまして、十分な事実の表明もできなかった。したがってまた、政府当局の納得のいく解明も得られないままに終わった。私、これを終始聞いておりまして、これは相当重大な問題を含んでいるんではないか、国民の非常に関心の高い問題であるだけに、疑惑をこのために国民が持つということになりますと、事は重大でありますので、このままにせずに、やはりこれは全部情報に基づく事情等であっても明らかにして、それに基づいて、もし事実であればそれに対して政府はどう処置する、事実かどうかわからなければ責任を持って調査するとか、そういう責任のある回答をいただかないと、疑惑は疑惑を生むということをおそれるわけであります。そういう経過でございます。そういう経過に基づきまして一部明らかにされつつありましたことをさらに続けて、もう少し詳細に申し上げたいと思うのですが、これは、くされ果てた山一新幹部の鉄面皮と、それとなれ合いで支援する恥知らずの銀行団と政治屋どもに、第二、第三の鉄槌を下すべきである。二百八十億に対する二十億の担保は、金融秩序を守るための異例の措置ではなく、金融秩序を破壊するための異例の措置と国民の大多数は受け取っておる。で、担保の二十億も山一直接のものではなく、山一傍系の法人のものと信ぜられる。そうして、その法人が提出承認の総会を開かずに提出されたものではないかと疑われる。関係の会社とは、山共不動産株式会社、湖尻開発株式会社、東洋航空工業株式会社、真鶴植木株式会社、横浜フェアレーン株式会社、東京フェアレーン株式会社、株式会社国際友情クラブ、株式会社OS牧場、株式会社HNS牧場、相武開発株式会社等々十一社のうち、山共不動産と東洋航空工業、国際友情クラブの財産が二十億の担保になっているのではないかと思われる。そして、この担保を出しておると考えられます。ただいまあげましたような幾つかの関係子会社というものが、これが非常にいかがわしい会社であって、相当多くの問題を含んでおる。先般委員会でちょっと項目が出されておりまして、私ども事の重大性を非常に痛感したわけなのですが、たとえば選挙資金流用の件というようなことも、この株式会社国際友情クラブに関しましてはございます。それはどういうことかと言いますと、一万石に余る同地の樹木が、間伐の名のもとに三十八年以降断続的に伐木され、現在は三千石くらいしか残っていないにもかかわらず、この収入は、会社に記帳納入されず、某、某、某らによって選挙資金として某知事、某代議士、某県議、某市長、町議等々に献金したと三取締役は言っておるが、このほか銀行団から派遣の山一重役に贈られた、大部分はこれら三氏のふところに入ったものであると、こういうふうなこともあり、さらに供応の件ということで、ちょっとこの前も発言があったのですが、その内容は、農地を逐次名目変更して山林にしておるが、その方法は、ブルドーザーをもって現況をめちゃくちゃにしておき、伐採された根もない松の幼木をそのあとへ差し込んで、山林と称して地元農業委員を承認させ、その認定のあとは、千葉その他の料亭で委員を大接待し、金や物品を贈っておる、こういうことをやっている会社なんです。さらに着服。着服ということは、この内容は、樹木一万石購入にあたって白紙領収証に捺印させ、それにプラスアルファを加えて差金を着服しているほかに、礼金、リベートとして同地水吉在住の某氏を使用して金をとっておる。こういうようなこと。それからまた株式会社OS牧場、株式会社HNS牧場につきましても契約不履行に関する問題、供応に関する事実、こういうものがありますし、東京フェアレーン株式会社、東洋航空工業株式会社には着服の件。この着服の件は、三十九年同社創立当時、新宿に同会館を設立するにあたり、用地二千坪を買収したが、伊田社長は富士観光株式会社芹沢常務と折衝し、地価坪あたり二十五万円の同所を三十五万円の高値で買収したが、その差額を某、某、某ら一連一派で着服した云々。こういうようなこともあり、さらにそのほかにも同様の着服の事件がございます。  さらに取り込み詐欺の事件。これで終わりますが、取り込み詐欺の事件のところを申し上げますと、これは東洋航空の地所のうち生田団地五万坪を公団に売却するにあたって、同社と整地工事契約を結んでいた間組は、公団と引き継ぎ工事契約が結べなかった、そのため工事契約を破棄した。間組専務は、友人の村神取締役に、五百万円を預ければ恩に着ると語っていた。しかるに一千三百万円を支出し、しかも間組本社に持参せず、現場事務所で支払い、領収証も間本社ではなく、すりかえて現場主任発行のものである。これについて現場を供応、買収し、白紙領収証を受け取り、一千万円の取り込みを働いたのではないかと疑われている云々。こういう会社なんですよ。  こういうところの不動産が山一の担保として出されているのではないか、こういうわけなんです。したがって、その担保なるものも、実際株式会社として、総会の議を経て出されたものではないのじゃないか。さらにそういうものが実在するのかどうかもあぶない。よく見せ金というのが使われますが、これは見せ担保だろう、こういう疑いがあるわけであります。事はきわめて重大であり、山一の幹部、重役連中が、もしこういうことがあるとすれば、腐敗、堕落の絶頂にある。わが国財界の恥部というものを遺憾なくこれはさらけ出したものである。これを救済するために二百何十億というような莫大な金を簡単に出していく銀行団、銀行のあり方、これはきわめて重大な問題を投げかけておると思うのであります。  本件については、先ほど申しましたように、さらに疑惑が拡大することをおそれますがゆえに、この事態についての当局の調査があるならば、また資料がありますならば、ここではっきりお示しを願い、ないならば、今後の方策についてお約束を願う、こういうふうにしたいと思います。
  75. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 今回の特別融資の担保として取ってあるものは、これは第一線の三銀行、それから最終債権者である日本銀行、これが精査して取ったものでありまして、その担保価値とか担保物権とかいうものにつきましては、これは私は間違いない、そういうふうに思います。また手続においても遺漏は万々あるまい、こういうふうに考えます。ただ、いまお読み上げがありましたような事件めいたものが、担保として取られましたその会社にあるかどうか、これは私は全然承知をいたしておりませんです。これがほんとうかどうかというようなことは、担保とどういう関係があるか、私もちょっと関係がよくつかめませんが、事件めいた事実の有無というようなことは、これは債権者のほうでは的確にはわかりかねることじゃないか、そういうふうに私は思います。債権者が担保に関連して調べ得ることは一切調べて御報告することができる、かように存じます。
  76. 高田富之

    ○高田委員 先般、資料はさっき中澤氏や加藤氏から要求がありまして、出してもらったのですが、それは資料というに値しないものでありまして、総額が何か金額で書いてある程度のものであります。そういうことを要求しているのではないのですから、担保の具体的な明細ですね、土地であれば、どこそこの何番地の何坪で、農地であるとか山林であるとか、現在だれの名義になっているとか、こういうことを明細に出していただきたい、こう思います。それはいいですね。出しますね。
  77. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 これは、担保権者とも相談いたしますが、できる限り御要請に沿うようにいたしたい、かように存じます。
  78. 高田富之

    ○高田委員 では、本委員会中に、至急にひとつ出してください。調べればすぐわかるでしょう。いまのような疑惑があるだけに、この問題はほおかむりはできない問題ですから、早急に本委員会中に出すように要請いたしまして質問を終わります。
  79. 福田一

    福田委員長 次に、大原亨君。
  80. 大原亨

    大原委員 私は第五分科会その他の分科会で問題になった、この際特に予算審議する上において明らかにしておきたい、こういう問題点につきまして二、三の問題を集中的に取り上げまして質問いたします。  第一に厚生大臣に、生活保護者の住宅扶助の問題について聞きたい、こういうふうに思うわけですが、その前にお尋ねしたい点は、生活保護者の中で非稼働世帯の一日一人分の食費は一級地において幾らか、四級地において幾らか、こういう点についてお答えいただきたい。御承知のように、本年の予算では、大蔵大臣その他との質疑応答でも明らかなように、生活保護費を二二・五%値上げをしたということでございますが、しかし、いま生活保護の問題については、憲法二十五条の健康で文化的な生活を保障するものではない、こういうことで、違憲裁判が岡山地裁以来ずっと続きまして、いま最高裁にかかっておるのであります。したがって、私は党の指示によりまして、このことをこの際明らかにしたい。それが分科会でも議論になったことですから、明らかにしておきたい。物価がどんどん上がっておるときにおける低所得階層のそういう実態を私どもは把握をして、四十一年度の予算案を審議すべきである、こういうように考えますがゆえに、まずその点につきましてお答えをいただきたい。   〔委員長退席、赤澤委員長代理着席〕
  81. 鈴木善幸

    ○鈴木国務大臣 生活保護費の問題でございますが、この基準を改定するにあたりましては、一般国民の生活水準の上昇と見合って生活保護基準の引き上げも行なう、こういう考えでございまして、経済見通しによりますと、一般の消費水準の上昇は、昭和四十一年度におきましては一〇・二%ということでございますが、ただいまお話しのように、生活保護基準は二二・五%引き上げた次第であります。したがいまして、格差の縮小がそれによってできると私どもは確信をいたしておるのでありますが、いま数字といたしましては、標準世帯四人の家庭における食費は、一級地におきましては、昭和四十年度は一日一人当たり九十七円二十五銭でございましたものが、四十一年度には百十円二十八銭でございます。それから四級地は、四十年度におきましては一日一人七十一円が、昭和四十一年度には八十円五十銭、こういうことになります。
  82. 大原亨

    大原委員 東京のようなところで、昭和四十一年で百十円二十八銭で一日一人が食費をまかなう、四級地では八十円五十銭でまかなう。これは主食だけを考えてみましてもそうですけれども、八十円五十銭で三食を食べるわけですね。これで、いまの物価上昇のときにおきまして、三食の食事で生きるだけの栄養がとれますか。この点についてはどういうようにお考えですか。これはカロリーの点から言いましても、最低の生活を保障するものではない、二十五条違反ではないか、こういう議論が明確に成立するのではないか。端的にこれは質問いたします。
  83. 鈴木善幸

    ○鈴木国務大臣 カロリーの問題につきましては政府委員から答弁させます。
  84. 今村譲

    ○今村政府委員 お答え申し上げます。  カロリーの問題につきましては、栄養審議会というのが厚生省にございます。それで昭和三十四年、ちょっと古いのでありますけれども、日本国民の所要熱量に関する答申というのがございまして、これは零歳から高齢者まで各歳ごとにどのくらいのカロリーが要るのか、たとえば無業の二十代くらいでは二千二百カロリーとか、子供ならばもっと高い。もっと小さい子供ならばもっと低いというような基準量が出ておるのでございます。それで、生活保護法におきましてはそのとおりにカロリーを計算いたしまして、標準四人世帯というのは、三十五歳の男、三十歳の女、九歳の男の子、四歳の女の子というものを想定いたしまして、それのカロリー量は栄養審議会のほうから答申のありましたものを全部積み上げまして、それが四人世帯として一日に総カロリー幾らというふうになるように計算してございます。
  85. 大原亨

    大原委員 非常に抽象的な答弁ですが、一日八十円五十銭は、一食が二十六円ぐらいですか、これでは米一合にいたしましても、それを考えてみましても、燃料その他を考えてみましても八十円では実際できないです。私、一つ念のために聞くのですが、これは厚生大臣、無理にお答えいただかぬでもけっこうですが、御承知でしたらひとつお答えいただきたいのです。東京都ののら犬の一日の係留費は幾らですか。のら犬をつかまえてきて三日間くらい飼っておきますね。そのときの野犬の一日の係留費はことしは幾らですか——どうやら答える人が一人もいないのだが、これは政府予算関係があるのですよ。大蔵大臣大臣にかわって私がお答えいたしますが、東京都の野犬の一日の係留費は七十円です。生活保護の一日分八十円五十銭。前は七十一円だったものを八十円五十銭に引き上げた、こういうふうにずいぶんがんばって言われるのですが、これはのら犬並みですよ。実際には生活保護以下の人が相当おるのです。今回の四十一年の引き上げによりまして、生活保護が標準世帯で二万円をこえる、二万六百六十二円ということに相なっておるわけですが、しかし、分析をいたしまして食費を見ましたら、これはのら犬と同じようなものであります。  そこで、私はこの問題だけを議論しておるわけではないのですが、住宅扶助は東京都において一カ月幾らになりますか。幾らの家賃の家に住むことになりますか。政府委員でけっこうです。
  86. 今村譲

    ○今村政府委員 お答え申し上げます。  住宅扶助は、基準は月に二千円となっておりますが、特例がありまして、第二種公営住宅の限度額ということで、五千八百円まで認められるということになっております。
  87. 大原亨

    大原委員 平均で二千円で、五千八百円まで認められる、こういうことですけれども、事実上東京都内においてそういう住宅はないわけです。実際に生活保護者が東京都内において住宅に支出をしている金額と、そして住宅扶助のこの定額、予算額との間においてどのようなギャップがあるか、こういうことを御調査になったことがありますか。——時間が何ですし、とんち教室じゃないから奇襲はしませんが、東京都の二千円の住宅扶助で、特殊なのが認められて五千八百円であって、これは、私の調査によるとほとんどないのですよ。母子家庭や老人家庭等が生活保護を受けて、いまのような宅地が値上がりをし、家賃が値上がりをしているときに、政府施策住宅にも入れないという実情において、三千円、四千円で世帯をかかえて生活はできないと私は思う。これもやはり憲法二十五条の精神から言えば違反ですよ。これは明らかに違反です。私は生活保護を社会保障、所得保障の中でどのように位置づけるのか、こういう問題については議論を持っておるわけであります。しかしながら、日本の所得保障、年金等は、ヨーロッパその他に比べまして、アジアの先進国どころか、児童手当もないという実情でありますから、非常に水準が低い中において、やむなく生活保護が補完的な救貧政策としてある。だから、この運営においては二十五条の精神を十分活用して、前の予算委員会分科会等においてもずっと議論になったように、権利として保障されるような、二十五条の精神に基づくようなそういう精神でこれを向上しながら、全体の所得保障、年金保障を引き上げていかなければならぬ、こう思うわけであります。大蔵大臣、これはあなたは一三・五%上げたということで、いばってはおられませんけれども、いろいろ感じがあると思うのですが、私どもは、この問題は、日本のいまの物価高の非常に残酷な政治の中においては、これは無視することのできない人道上の問題である、こういうふうに思いますがあなたはいかがですか。
  88. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 ともかく政治の目標は日陰者をなくすということでありますから、生活保護の施策はますますこれを充実していく必要があると思います。一三・五というのは、今日の財政からいいますると努力した、こういうふうに御認識願いたいのですが、この努力は今回限りのものとせず、今後もこの方向で一そう進めていく、こういう方針であります。
  89. 大原亨

    大原委員 建設大臣、これは別の角度で私は議論するのですが、いま与野党間で問題となっている固定資産税の評価がえ、増税の問題ですね。これは自治大臣は事情変更の原則で何とか抽象的に突っぱろう、こういうことであります。その中身は言われぬわけであります。しかし、この出てまいりました経過を見ますと、住宅政策、宅地政策としてこれは出てきておる、こういう面があるわけであります。この法律論争については私はもうやりません。これは本法では三年ということになっておって、その三年の評価について、附則については三十九年から四十一年まで例外を設けておるわけであります。そういたしまして、あれほどの審議を経ました国会審議を無視いたしまして、最終年度の四十一年にかってに評価がえの提案をいたすというふうなことは、既得権、期待権侵害であるし、地方税法に違反をする、こういう議論は私はいまいたしません。いたしませんが、これは住宅政策として、宅地政策として出てきておる問題であるというふうに私も承知をいたしておるわけであります。  そこで、時間の関係で端的に、質問をいたすわけですが、私の手元にある建設省の資料によりますと、借家、借間の住宅の中に占める比率は非常に上がっておる。これは約三割をこえている。それから新しい住宅も、これは借家のほうが非常に率が多い、こういうことであります。それから家賃の上昇率を私手元にとって調べてみますると、これは六大都市ですが、昭和三十年を一といたしますると、昭和三十八年——その後上がり方がひどいのですが、昭和三十八年は大体四・二倍に家賃だけでも上がっておる、こういうことであります。こういう実情の中において固定資産税の評価がえをして、若干でも、二戸平均いたしまして五百十一円だというのですが、しかし百二億円の財源を取り上げるために、こういう固定資産税の増税をするということは、これは物価が現在どんどん上昇中である、昨年は七・六%、一月には一%、二月にはついこの間の統計では一・二%、ひどい上昇ぶりである。特に都市勤労者の実収入は昨年に比較いたしまして〇・三も下がっておる、こういういまだかつて戦後ない悪政である。そして借家が漸次拡大をしているというふうなときにおいて、そういう実情において、これは家賃の値上がりその他に公平に課税するというよりも、家賃その他の値上がりに反映をして、これは物価の上昇にさらに拍車をかけるものではないか。こういう点について、私は政策面においても問題点が残されておるというふうに思うわけですが、その点につきまして、住宅問題宅地問題はずいぶんこれからも議論になるし、いままでも議論になった問題ですが、その一点にしぼって建設大臣の御所見をお聞かせいただきたい。
  90. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 固定資産税に限らず、税はできるだけ上げないほうがよろしいという基本的な考えを持っております。ただ御承知のとおり、ここでもしばしば御説明がありましたが、非常に宅地等の地価の値上がりがある、いわゆる評価が非常に違ってきておる。そういうことで固定資産税の改正をしたい、こういうことでありまして、私はその限度であろうと思います  家賃に影響するお話は大体いまのようなことでありますが、できるだけそれに非常な負担をかけない範囲で上げようということでありますから、私どもは賛成をして提案しようとするわけでございます。
  91. 大原亨

    大原委員 賛成をして提案をするというふうな消極的な賛意でございますが、私は、政策面において、とにかく宅地なり住宅というものがどんどん上がるのだ、家賃が上がるのだという前提で、固定資産税を公平にかけなければならぬというそういう十年計画を立てるというようなことは、これはさか立ちをしておるのであって、宅地を安定させるという政策を前提にして、そして税金は公平に取っていく、できるだけ少なくしていく、大衆負担にならぬようにして、物価にはね返らぬようにする、こういうことが私は政策のたてまえでなければならぬと思うのです。その点においては、私はいま問題となっておる固定資産税の再評価ということは、単に一面的にこれを判断することは間違いではないか、こう思います。
  92. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 固定資産税の評価がありますが、これに応じて現行の税率をかけて、上がるに応じて固定資産税を上げていくということは、私は適当でないと思います。そういうことは、政府が将来それに応じてだんだん上げていくということは考えておらないと思います。もしそういうことでありますれば、税率を非常に下げて、いわゆる国民の税負担を適当に押える、これは当然なことであろうと思っております。
  93. 大原亨

    大原委員 当然の税金は当然取るというのですが、三十八年の評価から比較いたしましたら、六倍ないしひどいのは五十倍、六十倍上がっておるのですよ。さらにそれが上がるだろうということを想定したような税金のかけ方をやりましたら、これは家賃や地代、宅地の価格に対しまして非常に心理的な微妙な影響を与えるのです。私は、そういう配慮が政策上ないのがこの制度の致命的な欠陥ではないかと思うが、大蔵大臣いかがですか。政策の面から答えてください。
  94. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 固定資産税は地方財政の見地からお願いをいたしておるわけでありますが、固定資産税の税率が千分の十四である、それが一割上がる、こういう状態を考えますときに、私はさして影響はないのじゃないか、住民税の減税等を行なう、そういうような見合いから考えますと、まあまあということで、地方財政に御協力願うということかと存じます。
  95. 大原亨

    大原委員 安井君はエレベーターと言い、エスカレーションと言うようなものでしょうが、やはりそういうことは上がることを予想しておる、たくさん取ることを予想しておるということになりますと、終着駅まで早く取ってしまえ、こういういま家賃やその他に対する心理的な影響、はね返りというものがあるわけであります。  それから大したことはないと言われる。大したことがないのだったらやらなければいいのであります。これはそういう議論でしょうが、国民はそれでは納得できませんよ。これはいろいろな論説やその他を見てみましてもそうですよ。逆に言えばそうですよ。それは政策上もそうです。だからいまは慎重な配慮をして、物価政策をやることが第一ですよ。その要請にこたえるような政策をやるべきではないかということですね。  では次に、建設大臣にお尋ねします。これは問題点をずばりずばり言うが、住宅五カ年計画は六百七十万戸を四十五年までに建てるというのですが、最近一部伝えられるところによると、公営、公団、公庫、政府施策住宅中心でなしに、持ち家を中心にして政策を立てるのだ、こういうお考えがあるやに聞くわけですが、いかがですか。
  96. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 私どもの基本的な考え方は、自分でできる人は自分で建ててもらいたい。人間だれしも自分で家を建てたいという欲望があり、努力をすることは私は当然だと思っております。ただ、御承知のとおり、そういう意欲があり努力はしたいけれども、いまの経済上あるいは所得の水準上できない方々がたくさんある。これは政府あるいは国の力によって住宅を供給すべきだ、こういう基本的な考えを持っておるわけでございます。
  97. 大原亨

    大原委員 建設省の調査によりましても、所得階層別の土地購入難易度というところで、年収九十五万以下の階層は、金融公庫の金を借りても、いまはとてもじゃないが、土地が手に入らぬから、そのために家も建てられない、こういう結果が出ておるのです。これは建設省の昨年末の調査です。それから経済企画庁の調査によりますと、資金的に、もうとてもじゃないが追っつかない、無理だ、とても家は入手できないというのが四〇・二%で、資金的に無理しないと、とてもじゃないができないというのが、やや程度が下がっているのが四四・二%、つまり八四%は手が届かない、住宅については。そういう実情から考えてみた際に、自分でつくれる者はつくれということで、持ち家中心の五カ年計画を立てて、六百七十万戸建てますの、一世帯一住宅でありますのということは、おこがましいじゃないかそういう政策は。その点については、生活保護者の住宅補助が二千円ということで議論いたしましたが、やはり低所得階層を中心にいたしまして、そうして相当数の所得のところまで政府施策住宅の政策を広げていく、こういうことが私は基本でなければならぬと思うのですが、その点について態度がはっきりしていないのが政府の五カ年計画の非常に致命的な欠陥ではないか。
  98. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 五カ年計画の細部にわたる振り分けは、これから検討することにいたしております。  いま統計等をお話しになりましたが、そういうことはもちろん私どもは勘案して、自分でできない方に重点を置いてやる、こういう基本方針でございます。
  99. 大原亨

    大原委員 これは政府委員でよろしいのですが、公営、公団、公庫——金融公庫は頭金をつけて、自己負担金を出してやるわけですが、金融公庫の融資で家を建てる際に、宅地を確保しようとすればどのくらいの自己負担が必要なんですか。これは私は端的にひとつ聞いてみたい。どのくらいな割合の自己負担が宅地を買うという際には必要なんですか。
  100. 尚明

    ○尚政府委員 お答えいたします。住宅金融公庫の融資を受けて家を建てますときに、宅地につきましての頭金は、場所によっていろいろ違うわけでございますけれども、おおむねその土地の地価の半分ないし場合によっては三分の二くらい頭金として用意しなければならないというようなことが大都市では起きます。
  101. 大原亨

    大原委員 三分の一ないし三分の二の頭金。三分の二ということになれば、頭金じゃなくて胴体ですよ。そんなのは。つまり宅地を住宅金融公庫で金を借りてやると、住宅自体についても頭金が要るわけです。これは胴みたいな頭金が要るわけだ。宅地を買おうと思うと八割しか融資しないというのだが、八割というのは、評価が非常に安いから、ずっと下がっているわけで、そして三分の一から三分の二でまるっきり自分で負担しなければならぬというのは、政府施策住宅という、国の責任で住宅を建てますという政策の中において、これはほとんど持ち出しをしなければできぬようなことでしょう。これは自力建設と同じことですよ。ドイツなんかみたいに、思い切って民間融資を導入して、利子補給をしていく。どっと銀行や生命保険の金を使って利子補給をして、これで建てるのが民間の自力建設だというふうに言っているなら、これはまだいいわけです。長期低利の金をうんと融資をして、計画を立ててやるならいいです。しかし、これは政府施策住宅でございますのといって、公庫でやる場合には三分の一から三分の二も自己負担するというふうな、そういうことで政策を進めるというようなことは、これは宅地やあるいは住宅の建設費の単価の問題があるのですが、宅地がべらぼうに上がっているという証拠になりますよ。全く政府の政策を実行する上においては障害になっておって、決定的にこれを阻害しておる、阻止しておる。政府の言うことは、全くこれは政策としては中身がないということなんです。自力建設と同じことなんですね。  そこで私はお尋ねするのですが、公営住宅ですね、一種、二種があって、一種は三万六千円、二種は二万円以下の所得のある人が入ることになっておるが、所得がある程度上がったら出ていけと、こういうわけですけれども、一年間に九十何万円、特に土地まで買おうと思うと、百五、六十万の年収がないと土地を買って家を建てられないという世論調査のアンケートが出ておるのですが、そのギャップは、公営住宅と民間建設の住宅、あるいは金融公庫の問題を含めて、その間はべらぼうに大きいわけですよ、だから、それに対する政策がなければ住宅政策ということは言えない、こう思うのですが、建設大臣いかがですか。
  102. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 お話しのとおりに、非常な困難なところがあります。いま金融公庫の融資によりますものは、御承知のとおりある程度力のある人に金融公庫から貸して、自分で建ててもらうという制度になっておる。それ以下の人は公営住宅、——一種、二種の公営住宅をできるだけよけい建てるという政策を強行しなければならない。ただ実際上、宅地の価格はあまりに高いですから、そこでどうしてもやはり二万円前後の宅地を大量に供給する。これも簡単じゃありませんけれども、それに最大の努力をしないと金融公庫の問題とはマッチしない、こういう実情をよく認識してやらなければならない、こういうことでございます。
  103. 大原亨

    大原委員 私は、住宅五カ年計画の初年度の昭和四十一年の宅地についての数字を調べてみたのです。五カ年計画の中で、宅地は一億四千五百万坪である、こういうふうに言っておるわけです。しかし、本年度分としては幾らの宅地をつくるのかというと、一千一百五十万坪だというわけです。一千一百五十万坪を五倍してみましても一億四千五百万坪にはならないわけです。全くならぬわけです。三千万坪として大体いいわけですね。一年に三千万坪はなくてはならぬのに、五カ年計画の中でこういう初年度の予算であれば、これは土地の高い入手難ということもあって、この計画どおりできないということもあるのですが、これは五カ年計画の基礎の数字といたしましては全くでたらめじゃないのだろうか、こういうふうに思うわけですが、この点はいかがですか。
  104. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 一億四、五千万坪といいますのは、これは、それで済むということでありませんので、少なくとも公団あるいは地方公共団体がそれだけ公的な造成をしなければならない。民間でやることもありますし、民間でやるところも相当あります。なお、造成をしなくともよろしい宅地も相当にあります。あるいは区画整理のところもある。こういうものを差し引きまして、新たに造成をしなければならないところはそのくらいある、こういう計画であります。こまかい数字は事務当局から御説明申し上げます。
  105. 大原亨

    大原委員 これは議論しておってもしょうがないから。私は、宅地政策について先般閣議で決定されましたいろんな施策について、いろいろと検討をいたしてみました。固定資産税の再評価、増税の問題もその一つですが、一つはこういうことであります。私ども社会党は、公団をどんどんつくるというのは反対ですが、しかし、宅地の確保のための事業公団はつくるべきであるという議論をいたしまして、結論を出したのです。これはなぜかと言いますと、宅地は、いまの山一証券の担保の問題でも出ておりましたが、公団や公庫やその他の宅地を買いあさりますときに、ずいぶん政治家が介入して汚職になるわけです。売り込み競争なんかがあるわけです。窓口がぱらぱらでありましたのが一ぱい矛盾が出てまいりまして、つり上げる。安定さぜるのではなしにどんどんつり上げるのですよ。だから、政府の政策は住宅金融公庫や住宅公団に副総裁や副理事長を置いて、役人をふやしておいて、そうしてそこで宅地政策をやるのだというんですから、ばらばらなんですね。私どもは、窓口を一元的にして、そうして大量に宅地を供給する、需要供給のバランスをとる、都市計画と相呼応いたしまして宅地を造成をする、こういうことを思い切ってやらなければ、政府の住宅政策というものは絵にかいたもちである、こういう考え方を持っておるわけです。だから、政府のそういう窓口をばらばらにいたしまして、副総裁やえらい人をたくさんつくりまして、そこへ予算を分けて、そこで宅地を造成していくという政策というものは、宅地の価格政策と考え合わしてみた場合においては、これは非常な欠陥があるのではないか。建設大臣、いかがですか。
  106. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 いまお話しのように、当初、私どもは宅地開発公団というような強力な別途の機関をつくって、これに専念さすべきである、こういう構想を一応立てました。ところが、まあこの際借金してやる、借金といいますか、公債を発行してやるような事態で何となく別途の機関をつくるというようなことは、この際一切遠慮をしよう、これが一つの理由。特に、一つは、この際機構いじりをするということは、御承知のとおり、早く予算の実行をしたいというときに多少でもおくれるということは、今年度は適当ではなかろう。これは別にこの構想を全部やめたということではなしに、今年度は一応見送ってまた検討しよう、宅地開発の問題は、いまお話しのように片手間でできる仕事ではありません。しかし、それにしても、いまの状態では弱体であるから、それに備えるだけの措置をしておこうというのが、いま提案いたしております考え方でございます。
  107. 大原亨

    大原委員 大蔵大臣はどういう見解なんですか。社会開発とか住宅政策とかいうことをずいぶん宣伝をしている。最近は声が小さくなりましたが、どういう見解ですか。
  108. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 私は、わが国の内政の中で住宅問題というものは非常に重大である、極端に言いますると、第一の重大な問題である、そういうふうに考えるわけです。やはり国民のだれしもが家を持ちたい、これはもう生活のよりどころであります。この夢を充足するということは政府の最大の課題である、こういうふうに考えるわけです。その中でもやはり段階があると思うので、持ち家までいけば、これが民間造成によろうが、あるいは政府施策によりましょうが、いずれにしても、この持ち家ということになれば完全にその夢は達成できるわけでありまするが、そこまでいかないにしても、借り家にいたしましても、まあ生活の本拠としてふさわしい形の貸し家を持つということかと思うのであります。とにかくそういうことを施策の重点にしなければならぬ。四十一年度の予算でも、とにかく住宅政策ということは、乏しい財政の中でありますが、優先的に考えたつもりです。資金も一般会計、財政投融資を通じまして千億円を増額する。これは相当大幅な増額をいたしたつもりなんであります。幸いに七カ年計画という構想もできましたので、これを着実に実行する、これが私の基本的な考え方でございます。
  109. 大原亨

    大原委員 宅地の大量供給についての実情と認識というものが私は足らないと思うのです。住宅公団や公庫とかその他というのは、土地の買いあさりをやるんですよ。そうしたら、各知事や自治体はいまからけっちんを食らわしているんですね。これは大迷惑だといっているのですよ。そういうときに、他力本願のようなことで、他人のふんどしで相撲を取るというふうなことではいけないのじゃないか。たとえば、ドイツなんかでやったのは、長期低利の金、ずっと二分か三分くらいの利子の金を貸す。民間資金を導入して利子補給などをやったらしいのですが、そうして資金上は家賃にちょっと毛のはえた程度で自分の家ができるというふうな政策、宅地政策、土地政策というものをきちっとやった。その二つの政策を思い切ってやっていけば、固定資産税なんか下がるかもしれぬ、評価が下がるから。そうするとあなたは、税金がよけい取れぬから、大蔵大臣としては反対かもしれぬが、そういうことになるのかもしれません。とにかく、思い切った政策をやらなければならぬですよ。そのときには、いままでの既成の事業団や公団等は整理いたしましても、必要なものについては思い切って出していって、そうして資金を導入していくということが、住宅の安定と生活安定と景気の調整その他にも役立つんじゃないでしょうかね。この点は非常に認識不足ではないですか。口では言われますけれども、いかがですか。
  110. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 住宅政策を進める場合において、土地政策は非常に重大だと思うのです。これは、土地に対する考え方の根本的な再検討から出発しなければならぬ。建設大臣はそういう方向で非常に意欲的でありまして、今国会でも土地収用法の改正、そして住宅問題、その前提となる土地問題、これのとにかく最大の隘路である土地問題、これを切り開いていく、こういう考え方でありますが、私も全面的にこの考え方には賛成でございます。
  111. 大原亨

    大原委員 いま大蔵大臣から土地収用法の問題が出たのですが、私は時間の関係で議論すまいと思ったのですが、ちょっと触れておきます。  土地収用法を改正して事業認定時をもって収用する、こういう制度は、ごね得をなくするという面においては一見筋が通っておるようです。土地に対する公共性から。しかし、いまのように地価がどんどん上がっているということになりましたならば、いままでの土地収用法でも収用審議会にかけたやつはほとんどないというくらいで、実際には話し合いでやっておるのですが、やはりこの問題も、事業認定時に移しましても、地価が安定しないで宅地がどんどん上がっているということになれば、やはりトラブルが起きてくるのであります。だから、土地収用法は権力で取り上げるということの一つのなには持っておりますが、これは問題を解決する道ではない、こういうことであります。  それから、民間の力に依存をして宅地造成を進めていく、こういう政策の中で、私は第五分科会におきまして加藤分科員その他が出された問題、ひとつ法律上の問題があるから、これは予算上の裏づけの問題と一緒に質問をいたしておくのであります。それは名古屋市の千種というところの例を一つ引かれたわけであります。一定の地域のところに、相当いいところでありますが、高速道路、環状線が通る、あるいは地下鉄の路面電車が通っていくというようなことなどで、六十億円くらいの金を出し合って、保留分を出し合って、そうしてそれらの仕事に協力をしようということで土地区画整理組合をつくったわけであります。そして法律の土地区画整理法の百二十一条の二によりますと、組合費の事業費に見合う二分の一以内を無利子で貸し付けるという法律になっているのです。民間でやる場合には。助成の方法がなくて無利子で貸し付けるという方法になっている。事業費に見合う二分の一以内を貸し付けるということになっている。しかしこの場合の例でいきますと、これはほかのところもみなそうなんですが、二分の一以内を無利子で貸しつけるというのですが、六十億円の事業費でしたら三十億円ということになる。それをどうでも当局、地建のほうで査定をいたしまして、十億円余りにいたしました。そういたしましても、半分ということになれば五億円ということになる。これを円滑にやる上においては、これが必要なわけであります。しかしながら、実際には政府は地建を通じまして一億円しか融資をしない、こういうごとになった。それだから、騒音は起きるかい、ガスは放流されるかい、そういう公害の谷間において宅地を造成をいたしまして、区画整理をするという目標を持ってやったところが、つくったってそういう宅地に値しないということになっている。非常に不満が爆発している。その一つの理由は、土地区画整理法の百二十一条の二のこの法律を、これほど住宅問題、宅地問題がやかましいときに、政府が裏づけのある措置をしてない。これは明らかに土地区画整理法の百二十一条の二の違反ではないか、少なくともこの精神に違反をするんじゃないか。まるで民間の土地造成その他にまかせっぱなしにしておいて、保留分やあるいは減歩その他について出し合いをしてやるというふうな全くの野放しのような政策ではないか、予算の裏づけがないではないか、こういう法律上の問題と、具体的なそういう今日の大都市における都市改造の困難な問題をここに取り上げて議論をいたしたわけであります。これは結着はついていないわけでありますが、法律上の見解と予算上の問題について、法律上の問題については、建設大臣、予算上のそういう施策の貧困な問題については、大蔵大臣、それぞれ御答弁をいただきます。
  112. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 その問題は分科会でも御議論があったわけでありますが、失礼でありますけれどもちょっと誤解があると思うのです。  いまお読み上げになりました土地区画整理法の百二十一条の二と申しますか、その第一項に書いてありますのは、これは数年前にこういう制度改正してつくったのでありまして、いわゆる組合施行の土地区画整理事業については、これはお互いが集まって計画を立て、そしてその地域の区画整理をして住みよい環境をつくろうということを組合でやることでありまして、皆さんがお集まりになって協議をされて計画を立て、それを知事及び建設大臣が認可を与える、こういうことになっております。そういう場合にも、事業を進めるについては資金繰りが要りますから、これは、でき上がるまでには保留地をつくって、組合の財産をつくって、それを売り払って事業費をつくるという制度であります。ただ、それまでの資金繰りも悪かろうから、それには政府も少し無利子の金を貸そうじゃないか、こういう制度でありまして、この二分の一というのは、失礼でありますけれども、これは事業費の二分の一ではなくて、都道府県がその組合に金を貸しますから、その二分の一以内は政府から……。(「貸してないですよ」と呼ぶ者あり)そこが問題でありまして、事業費の二分の一と誤解をされておるところに根本の誤りがあります。  そこで、都道府県が資金繰りとして貸す金のうち半分は政府から無利子のものを都道府県に貸します。それを組合に利用さしてくださいという制度でありまして、事業費の二分の一というとたいへんなことでありますから、それはこの法律には書いてない。重ねて申し上げますが、都道府県が運用資金として貸す場合に、その半分を政府が無利子の資金を都道府県に出してあげます。こういうことでありまして、事業費とは全然別でございますから、誤解のないようにお願いいたします。
  113. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 ただいま建設大臣が申し上げたとおりであります。法律上の解釈といたしましては、加藤委員から、どうも法に違反しているんじゃないかというようなお話でありましたが、違反しているというふうには考えません。額の問題としてそれが適当であったかどうか、こういう問題でございますが、これは建設省、大蔵省よく相談いたしまして、まあ今日の財政上この程度ということに相なった次第でございます。
  114. 大原亨

    大原委員 時間がまいりましたから……。加藤委員も発言されておるように、これは全くすれ違いなんです。二分の一以内となっておるから、極端に言えば幾ら少なくともいいわけですよ。しかしながら、土地区画整理組合をつくって宅地の造成や都市改造について自主的な協力を求めようという際に、ただ予算が十一億円足らずで無利子の融資をするのだというふうなことでは、これは絶対に住民の納得、理解を受けるような施策はできぬわけですよ。そこに実際上の問題として、特に自分たちのために環境をつくるのだといったところで、都市の公害問題その他で、今日はそういうふうに自由にできないようになっておる。そういうところでは交通施設の問題等も大きな問題になっておって、それらは明らかに全部国が初めからやるべきなんです。だから、それを対象にして区画整理組合を自分たちがつくるのだというふうなたてまえではあるけれども、法律をそういうふうに運用していってこの無利子の金を融資するなどというふうなことについては、これは住民が納得できないだろう。この点については、これはまだ決定してない部面もあるようですが、私は一つの例を申し上げたのですが、今後十分に議論をして、納得できるようなそういう施策を進めてもらいたいというのであります。
  115. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 こういうことは、国民の皆さんに誤解があってはなりませんから、お答えいたしておきます。  先ほど申し上げましたように、これは事業費の二分の一ということでなしに、この事業は大体十億ということになっております。六十万坪ぐらい。大体そういうものなんです。どこでもそうです。そういうことに組合できまっておるのですから、そういうような計画になっておるですから、そこで先ほど申し上げましたように、組合では農林関係の系統の資金その他を三億ぐらいかけて運用しようということになっております。そういう事業をやられる場合に、都道府県も幾らか貸してやろう、その半分に見合うもの、二分の一は無利子の金を政府が国からも貸そうということになっておるわけです。二分の一以内だからかってにできるのだろうと一やればできないことはありませんが、現在やはり二分の一を貸しておるのです。その予算の多い少ないはあります。予算に出ております五億五千万というのは、都道府県が貸します五億五千万と合わせて十一億、ちょうど法律に二分の一以内とありますけれども、二分の一を貸しておるわけです。これは七年計画、五年ないし七年というのが、これはだいぶ手間のかかる仕事でありますから、との具体的な場合には七年計画であります。それに対しておおむね一億ぐらいとしておる。これが適当であるかどうかという議論はよくわかります。これは先ほど大蔵大臣も言われたように、もう少し−私もさように思う。こういう事業は、もっとやりやすいように、政府なり国なりどこからか借りなければならないのですから、最後に精算する、こういう金でございますから、もっと国も力を入れて資金を多く貸し付けるということは、これは今後努力をしなければならない、こういうことでございます。
  116. 赤澤正道

    赤澤委員長代理 これにて主査報告に関連しての質疑は終了いたしました。午後は昭和四十一年度総予算に対する一般質疑を続行することといたします。  この際、暫時休憩いたします。   午後一時十八分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕