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河野(正)
委員 答弁はけっこうでございますけれども、数字の上から見てまいりましても、納得のいく
答弁とは受け取りがたいのでございます。三分の二、私は野放し——これは学者によってつかみ方が違いますので、極端に言えば三分の三と言う人もおるかもしれない。それは別として、いずれにしても多数の
精神障害者が野放し
状態にある。しかも、それらに対して早急に対策を立てなければならぬ。ところが、いま申し上げますように全国でも八県、さっき申し上げましたが、この八県においては県立の、県の施設すらないというていたらくでございます。こういうことで、私はたとえここでいろいろりっぱな
答弁を願いましても、それは全く絵にかいたもちで、私どもはそのまま額面どおり受け取るわけにまいりません。それから、なるほど近年化学療法その他によりまして治療法が非常に進歩いたしました。そういうことから、在宅患者もかなりふえてまいりました。
厚生省としては、ベッドが足らぬでも、そのほうでもという御意見かもわかりません。しかし現実には、この
精神衛生法の第四十三条におきましては、治療の必要を認めた際には精神病医師が訪問指導する、こういうことになっておるわけです。ところが、現実に訪問指導を行ない得るスタッフであるのかどうかということになりますと、専門医もございませんし、午前中御
指摘の相談員もおらぬ、こういうていたらくでございます。ですから、御
答弁はりっぱな御
答弁をいただきましても、
現状から申し上げますと、いま申し上げますように、全くこの施策というものは空白
状態というふうに御
指摘を申し上げましても過言ではなかろうと思います。これはもう
答弁要りません。
現状がそうですから要りません。
そこで、時間もございませんから、きわめて重大な点にしぼってお尋ねを申し上げたいと思います。
今度、
京都の
ピストル魔、これも御
承知のように
同意入院がございましたけれども、入院後、家族等の希望があって退院をしておる。そういう患者のグループというのがかなり多いわけであります。これは経済上の問題も伴っておると思います。そこで、一例でございますけれども、今度の
ピストル魔の不祥
事件、この原因はいろいろあろうと思いますけれども、この精神衛生の面から取り上げると、これは全部
厚生省に
責任がある。というのは、本来から申し上げますと、この
病院をふやすということ、ベッドをふやすということも必要でございますけれども、いわゆる
病院から社会に復帰する中間施設がない。今度の場合も、中間施設に収容して、そうしてきめのこまかい観察をし、また監視をしておったならば、私は今度のような
事件は起こらなかったというふうに
考えるわけであります。ところが、そういう中間施設がない。これはもう昨年六月の
精神衛生法の改正の際にも、
委員会では附帯決議をしておるわけです。中間施設をつくりなさい。これは時の厚生大臣も善処いたしますと言っているけれども、つくってくれない。そこに今度の問題、これは一例でございますけれども、たくさんそういうケースがある。ですから、今日いろいろな、十七歳の非行青
少年が行ないましたいわゆる不祥
事件がございますが、その
事件というものは、社会的ないろいろな施策で防止しなければならぬということでございますけれども、少なくとも今度の場合、これはライシャワーのときもそうでございました、それから、例の十七歳のホステス殺しも睡眠薬の常用者であるということで、この問題は厚生大臣に関連が非常に深いわけです。そこで私は、この問題の抜本的解決と言わぬけれども、かなり大きなウエートを持っていいと思いまする点は、やはり中間施設というものを早急につくらなければならぬ。これは
京都大学の村上教授も言っておられまするように、
病院と社会をつなぐアフターケア、いわゆる中間施設、これをつくって、この患者の経過というものをあたたかく観察をし、そうして、もうこれならばだいじょうぶという時期が来て社会に送り込んだならば、こういった問題の過半数は防ぐことができるだろう、こういう学界の
指摘もあるわけです。それで、私は、この中間施設というものは、いま申し上げますように、今日の非行
少年に限りませず、いろいろな社会の
精神障害者、偏執者、ノイローゼもそうでございますけれども、そういう患者の諸君が衝撃的に行ないますいろんな不祥
事件、そういう問題を防ぐ
意味におきましては非常に重大な問題でございますので、これらについては、大蔵大臣も、ひとつ真剣に御検討願って
お答えをいただきたい、かように思います。