○楢崎
委員 それでは、私が手元に持っておりますものがそれであるかどうかは、お聞きになってあとでお考えを聞きたいと思います。
私の手元にある「竜情報月間要約7月分
昭和39年8月航空幕僚監部防衛部
調査第一課」、読んでみます。
その要約の目次は、「1、全般2、
地方自治体 3、対象勢力の
動向 4、報導等 5、今後のみとおし」こういう目次でつくられております。
それでは一応読み上げます。
1 全 般
(1) 本月間をもって県下各自治体の定例議会は福岡市議会を残して全部終了した。
一部3月議会で、反対決議および反対決議案審議保留とした自治体で再提案の懸念ありとするところもあったが、いずれも上提されず全般にN問題については低調であった。
(2) 9月の福岡市長選挙を目ざし社会党は前衆議院議員柏正雄を推薦し、これが必勝を期するため、日共と協定を結んだが、これは去る38・4統一
地方選においても社共は
政策協定の提携により、社共統一候補による統一選挙を推進し、この効果として安保共闘の再開をはじめとして、1〜3月中に12回にわたる統一行動をもりあげたことは記憶に新しいことであり、今回の社共協定が当面する政治問題についての統一行動の契機をつくることも考えられる。
(3) 7月9日社会党は改憲、核武装阻止福岡県
会議を結成したが、これによって4・17スト以降安保共闘解消の方向を打ち出した。社会党はこの組織の中核としてN問題を具体的にとりあげる公算が非常に強い。
(4) 本月間は8月原水禁大会成功を目ざして日本原水協が各地区において平和行進、教宣活動等を
実施し、その中にN基地化反対を織り込んでいたが、N反対運動としては表立った動きは見られなかった。
2
地方自治体
(1) 春日地区
〇春日町議会
マル社木田議員はさきの3月議会以来陳情組の防音工事の交渉が成功していないので今度の議会にN反対と併せてとりあげようと工作中であったが上提の段階に至らなかった。
その他の自治体ともN問題なし。
(2) 築城地区
〇勝山町議会
去る3月21日マル共光吉議員が提出した「地対空誘導弾ナイキ基地建設に関する意見書」については廃案とした。
その他の自治体ともN問題なし。
(3) 芦屋地区、久留米地区
共にN問題をとりあげた自治体なし。
なお、残る福岡市議会は8月1日終了で現在までのところN問題なし。
これをもって全自治体の議会は終了するが、次期定例議会は9月開催の予定である。
3 対象勢力の
動向
(1) 春日地区
7・3 福岡市民会館において社会党主催で「柏正雄を激励する会」が開かれた。
来賓として楢崎代議士が挨拶し、その中でN問題についての発言あり、また集会中配布した
資料の中にもN問題につきふれていた。
7・9 改憲・核武装阻止福岡県
会議結成さる。
16・00より県教育会館ホールに於いて結成式
実施され、当面の運動方針、役員を決定。
不明 社会党は福岡市長選を目ざし柏正雄の必勝を期すため日共と協定を結んだ。
(2) 芦屋地区
7・9 自労中間分会の代表2名が中間市役所を訪れ、諸要求事項2、3項目のうち「核兵器持込反対」の一項を内容とする要求書を市長宛手交した。
7・17 芦屋町内で福岡生保同5名が核兵器持込禁止のたすきをかけ携帯マイクで“核兵器持込禁止、原水禁世界大会を成功させよう”と放送して歩いた。
7・19 芦屋町内で芦屋町原水協は原水禁世界大会参加資金カンパのため携帯マイクで呼びかけ、その中で“芦屋はN陣地の有力な候補地である。N配備は核武装につながる、反対しなければならない……”とあった。
7・28 飯塚市周辺に改憲、核武装阻止福岡県
会議が“N基地反対”のビラを貼布。
(3) 築城地区
7・2 16・00〜17・00の間築城町内においてマル社吉元町議が携帯マイクにより、憲法改悪阻止、築城N配備反対について放送して歩いた。
7・9 17・00から10日にかけて築城町駅前、基地周辺に対し、日本原水協のビラが貼布された。その中に“築城N基地化反対”のビラがあった。
(4) 久留米地区
7・? 高良台周辺の部落民の中で久留米・社会党地区事務
局長山本末男にNについての話しをきこうという声が一部にあったが、4特連が中心となり表面に出ないうちに自衛隊の方でPRをする方針で臨み、阻止しえた模様である。
7・? 地元警察の情報によれば、民青同築後支部某がN陣地公式発表後も反対運動を
実施すると語ったとのことである。
4 報道等
7・1 NHKローカルニュースは九州基地視察中の小野
防衛施設庁長官の福岡における記者会見でN陣地候補地殆んど決定と報道。
7・6 朝日新聞(朝刊)の「青鉛筆」欄に築城周辺議員等の入間基地見学について掲載。
7・8 KBC TV 18・45ニュースで築城基地周辺議員等の入間基地見学の模様を報道。築城基地は3月以降N陣地の有力候補地になっていると伝えた。
7・11 NHKTVニュース 07・45〜08・00「再編成された西日本防空」報道
7・22 西日本新聞は「雁の巣返還されない。NASA中継局に使用」と報道。
7・22 RKBラジオは「爆音と漁民」について報道。N問題にはふれなかった。
5 今後の見とおし
(1) 現時点における対象勢力のN反対運動の動きとしては表立ったものはみられず、8月原水禁世界大会成功、生活権要求等などに便乗したところのN設置反対運動がみられる
程度であるが、原水禁世界大会が終了し、九月下旬以降予想されるN大隊設置場所の正式発表後においては対象勢力のN設置反対闘争が活発に展開されるのではないかと推測される。
(2) 9月福岡市長選挙を目ざして結ばれた社共の
政策協定は当面する政治問題についての統一行動の契機をつくり、ひいてはN反
対運動を盛り上げる要因となるのではないかと思われる。これが「竜情報月間要約」七月分の内容であります。大体こういうものであろうとあなたも思われますか。