○
安井委員 これは単に遺憾ではいかぬですよ。もっときちっとした処理を私はしてもらいたいと思うのです。
これからひとつそういう点で御
質問したいわけでありますが、大体自治
大臣、
大蔵大臣は、
昭和三十九年の三月三十一日に通った地方税法
改正法が施行されるまでのいきさつについて、あまりお知りにならぬのじゃないかと思うのです。だから、私はそれを若干申し上げたいわけでありますが、固定資産税の基礎になります固定資産の評価がえが、三十九年の一月一日付で行なわれたのは御
承知のとおりです。それまでの経過の中で、この評価がえというのはいままでの方式を根本的に改める大改革で、評価の仕組みそのものを変えてしまう、こういうことです。そのことによりまして、家屋の償却資産は、大体新評価によってもあまり大きな
変化はなかった。しかし、土地についてはこれが大変革で、売買価額方式に変わったものですから、田畑は大体四倍くらいに変わる、こういうふうな実態があって、農民団体等からも相当強い反対運動もあり、いろんな経過で大体一、三倍程度で田畑はおさまったわけです。新評価と旧評価は。ところが、宅地のほうは全国平均で六・三七倍、これは自治省の統計です。大きく上がっているところは、十倍から五十倍も上がっているところもあります。宅地については。山林は三・〇五倍、その他が五・六七倍、五割増し、六増割しというなら話はまだわからぬわけでもありませんけれども、五倍ないし六倍が全国平均であります。それによって標準税率が百分の一・四七、これはたいへんな増税になるわけですから、全国的に反対運動が起きて、その反対運動の中で
昭和三十八年の十月二十二日の閣議決定で、新評価には変わるけれども、三年間は農地据え置き、その他は一・二倍にとどめるという決定がなされたわけです。三十八年十月二十二日は、お並びの
大臣も御記憶にあるかもしれませんが、その翌日衆議院は解散されたわけです。衆議院解散の前日の閣議で、これでは選挙にたいへんだというので、前日評価据え置きの決定がなされた、こういう経過があるわけです。その後、あの国会の中でいろいろな
論議のもと可決されたわけでありますが、その中でも、三年間の据え置きはよいとして、その後はどうするか、四年目はどうするかということで、
政府もこの問題の処理に当たったし、私どももその立場で
論議を進めたわけです。三年間の据え置きというものははっきりしておるわけです。地方税法の附則の中にはっきり書いてある。附則第三十四項ないし第四十一項が加えられて、三年度分は据え置きないし二〇%増にとどめる、こういう規定であるわけであります。その三年目というのが
昭和四十一年度、もういままさに迎えんとしておる
昭和四十一年度が三年目であります。これに対して、この間うちの御説明によっても、A、B、Cの三ランクに分けて、Aは三倍までの値上がり、それからBは八倍までの値上がり、Cは八倍以上の値上がりと新評価と旧評価の値上がりの率を押えて、それぞれAクラスは毎年一割増していく、Bクラスは毎年二割上げていく、Cクラスは毎年三割上げていく、こういう法案をいま自治省はお出しになろうとしておるわけです。特に都市計画税は、毎年Aクラスは三割増し、Bクラスは六割増し、Cクラスは九割増しです。三年後には六倍ないし十倍というふうな大幅な引き上げにしようとしているわけです。私は、この引き上げの問題自体に問題があると思います。平均が六割増しというならまだ話はわからないわけではないですが、六倍ですよ。十倍のやつもあるし、十二、三倍のやつもあるわけです。そういう値上がりを、これは何年もかかってやるわけです。大体お聞きすると、十年ぐらいかかって新評価まで、五倍、六倍まで上げるのだというお話のようでありますけれども、そういう上げ方自体に私は問題があるし、上げてしまうということでこの法律がつくられれば、十年間毎年税金が上がるということですよ。毎年三割ずつ税金が上がるという法律を今度お出しになるというわけですね。減税法ということは私は聞いたことがあるけれども、毎年税金を上げるという法律を、十年間の税金の値上がりを、国会のいまの議決によってそれを決定づけるという問題ですから、私はこれは重大な問題だと思う。それについて、税率でももっとお考えになるというなら話はわかります。税率のことは全く考えない。税制調査会の
答申を読んでみても、税率その他の問題は非常にめんどうだから、これから
検討する。とりあえず評価だけはどんどん上げていくんだ、そういうふうな
答申です。それを受けてのやつというのは、私は大きな問題があると思う。もう少し言わしてもらえば、これは一人の演説になって恐縮ですが、あとこれからの
質問に対して、
大臣腹をきめてお答えを願いたいのですけれども、本質論として、私は、固定資産税は財産課税か、収益課税かという問題もあるわけです。こういう
論議がまだなされていない。つまり固定資産を持っておることによって、そこで収益をあげるものなら、その収益で払いますよ。しかし、住宅などは、住んでおるだけで収益にはならない。財産があるんだからそうだろうというけれども、住んでおるだけでは、それは収益というものには直ちに通じてはこないわけです。何か収益がなければ住んでいられないかもしれないが……。そういうふうに収益課税か財産課税かという
考え方で、今後の課税の方式というものは変わってこなければいけないと思います。あるいは土地と家屋と償却資産、この三者の間のバランスの問題も全く
論議がなされていない。税率の問題も、もちろんそうです。評価だけ上げてしまって税率をそのままにしておいていいというわけではないです。それからまた大企業のほうは、現行の固定資産税の中でも特別措置があって、発電所などは三割でいい、税金は三分の一でよろしい、あるいは三分の二でよろしいというような特例がある。そういう特例を置くぐらいなら、私は、そんなのをやめて、今日
経済性の低い農業に対する特別措置をやるべきだと思う。こういうふうな問題もあります。
それからまたもう
一つの問題は、早川自治
大臣と私は、地方行政
委員会で、この法案をつくるときにはっきり約束をして、速記録に残したのです。私どもはこの法律は通さぬと言う。しかし、どうしても通してくれ、三月三十一日ですよ。そういう段階で、早川自治
大臣が私の
質問に約束をしたのは、新評価に移行することによって大きな増税にはなりません、移行しても将来大きな増税はいたしません、こういう約束をはっきりしているわけです。速記録をよくごらんください。こういうふうな仕組みの中に、経過がずっと今日までにあるわけです。私は、この問題については、こういう雑本問題はきょうは論じません。これはもう
一つ機会を改めてお
話し合いをいたしたいと思いますが、私はきょうはっきり
大臣にお考えをお聞きいたしたいのは、この三年間の暫定期間中にいま現にある段階において、法律
改正をやるということが誤りだ、こういう点を申し上げたいわけでありますが、その前にひとつ
大蔵大臣に伺いたいのは、先ほど来いろいろと今度の地方
財政の欠陥補てんのために措置をされたというふうにおっしゃったが、自治省とどうしても話が合わない最後の三百五十億くらいの際に、固定資産税と都市計画税の引き上げで百億円、あるいはもっとちょっと多くなるかもしれませんけれども、この百億円等を見込んで自治省との折り合いがついているわけであります。だから、
大蔵大臣が百億何がしのお金をきちっと御処理されれば、今日のような、自治
大臣が遺憾でありますと言うふうな特例期間の中途における値上げという事態が起きなかったわけですよ。私は、法案は自治省でつくったのかもしれないけれども、その種をまいたのはやはり
大蔵大臣だと思います。これは、やはり
大蔵大臣の地方
財政の危機に対する認識の不足で、自治体のほうは評価がえをしているのだから、自分で、自まかないで税金を上げて、それでまかなえばいいじゃないか、そういう安易なお考えで主張されたものだから、自治省のほうは、三年間の暫定期間を一年繰り上げて出さざるを得なかった、こういう事情があるのじゃないかと思うのです。だから、これは私は単に法案の問題でなしに、予算の問題だと思うのです。どうでしょう。大蔵省が百億円何がしの調達をほかの措置でおやりになれば、こういう問題は起きなかったと思うのですが、
大蔵大臣、どうですか。