○大原
委員 次に、私もしばしば議論いたしました薬禍事件であります。これは、私おとなげないと思いましたが、この前の
国会で上原長官とやりとりいたしました。しかし上原長官の答弁を読んでみますと、これはなっておらぬわけです。全くでたらめです。私は上原技術庁長官ときょうはあらためて
質疑応答をやりとりする意思はない。ないです。私もその問題については若干触れておるが、これは科学技術庁長官に御答弁を求めましても、科学技術庁長官じゃない、わが社を
代表いたしましてという答弁ですから、これは私は
質疑応答は
意味がないと思っておる。しかしながら、私はこの際ぜひとも
指摘しておきたい点について厚生大臣に見解を求めるのです。
上原長官の――上原会長と言うか、社長と言うか、上原長官の答弁をずっと読んでみると、これはひどいのだ。私は科学技術庁長官として許しがたいと思う。私は前に神田厚生大臣といろいろやりとりをいたしました。けれ
ども、これは何も私はあったわけではない。また医療保険や薬の問題で科学技術庁長官とやりとりするのは私は不本意ですよ。ですけれ
ども、
国会の権威において看過できない問題が二、三点あるから、この問題について議事録に即して私の見解を述べて厚生大臣の見解を聞きたい。
上原長官の答弁の中におきましては、ピリン系の劇薬は百年来非常によくきく云々とずっとあるわけであります。こういう宣伝があるわけです。これは、薬がきかなければ売れませんから入れておるわけでございますという非論理的な
説明もあるわけです。こういうことは、いま医学界でははっきりいたしておるのです。こんなことが分かれておることはないのです。ピリン系の劇薬は、鎮痛やそういう作用については神経系統に働きかけて作用を及ぼすけれ
ども、かぜのビールスには関係ないのです。そうしてお医者さんが診断する場合に、ピリン系の劇薬の入っておるアンプルのかぜ薬をどんどん飲んでおると、からだの調子が変わっていて、熱の上がり下がりその他について正しく診断できない、そういう
意見が医学界からも出ておるのです。ですから、私
どもは身体を守る、健康を守るというような点からいっても、強力パブロンが一億数千万本売られて、百数十億円も
国民が消費いたしまして、その中でショック死を起こして死ぬどいうようなことは、これはもはや許すべきことではない。メーカーもその上にあぐらをかくべきでない。だからこそこの前の
国会でえらい討論をいたしまして、これは禁止いたした。つまり
許可の取り消しを申し出でさせたのであります。これは神田厚生大臣が残した、少ないけれ
どもただ
一つの実績である。この点について、私は上原技術庁長官の答弁はまことに遺憾ですが、厚生大臣がもし所見があれば聞きたいし、特に答弁の速記録の中に、特異体質の持ち主は患者が一番よく知っております。これを売っておる薬屋も承知いたしております。こういうことなんですよ。しかし特異体質は、これは医学上は患者に自覚症状がないのが
一つの特色でもあるわけです。だから、この
委員会におきましては特異体質の研究をしようじゃないかということで、河野
委員やその他から議論が出まして、この問題が進んでおるわけであります。異常体質の研究をしなければならぬ。解剖してみて初めて特異体質がわかってくる。しかるに上原長官の答弁を聞くと、特異体質の持ち主は患者が一番よく知っている、薬屋さんも知っているということだ。しかしながら、患者は全部その体質を知っている薬局に行って買うとは限らぬわけですから、これもこじつけですが、つまり、この裏を返すとどういうことかというと、飲んで死んだその人が往生せよということだ。そんな医薬品や医療についての行政がありますか。こういうことは私は絶対に納得できぬですよ。そういう態度というのは科学的じゃないですよ。非科学的である。
それからもう
一つ、議事録を見てみますと、薬禍が起きておることを承知の上で厚生省も免許しております。製造業者も製造しております。販売業者も販売いたしております。こういう答弁である。何たるたわけたことであるか。何たることであるか。このことをどうしてなくするかということが私
どもが真剣に討議をしておる問題である。一人の
人間の命が地球よりも重たいということばがあるけれ
ども、人命尊重というのはかくのごときものである。含有量は、強力パブロンは免許基準を下回っております。記録によりますととういう御答弁もある。しかしショック死をたくさん私は厚生省でやってみたけれ
ども、大正製薬のものがずいぶんこれはある。りっぱなものだ。数からいえばりっぱなものだ、中身はでたらめだけれ
ども。これを見ると、特徴はピリン系の錠剤やアンプル入りを重ねて飲んだり、ほかの会社のものを、名前の違ったやつを飲んだりして、量を過ごしてショック死を起こしておる。味がついておるものだからちょっと飲む、こういうことであります。しかも解熱作川があるだけであって、その作用がかぜにきくわけでもないのに、それを飲んで死んでいくということがたくさんある。だから、これは薬の販売のしかたやそれから薬屋が、メーカーがそういう副作用のある薬を
一般国民に提示するしかたというものに問題があるのではないか。しかもそのことについて、副作用を隠して誇大宣伝をするところに問題があるのではないか。
責任問題については、あとこれは必要があれば触れますけれ
ども、強力パブロン、アンプル入りのかぜ薬、サリドマイドで両手両足がぶらぶらになって、数十人の父兄が奇形児をかかえて非常に困っておるのであります。そういう面において、私は医薬品メーカーのあり方や、薬務行政のあり方について、根本的に検討し面さなければいかぬ。人命尊重、
ほんとうの技術尊重というたてまえで立て直しをしないと、これは医療保険全体がひずんでくるのではないか、こういうふうに私は思うのであります。私は、それらの問題について概括的に厚生大臣に書いたいところですが、こっちへいきまして
総理大臣、これは何回も議論を聞いておりますから、
総理大臣から、私はこの問題ははっきりした、
国民が納得できる御答弁をいただきたい。