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西村(直)
委員 いずれこの問題は、内閣において法律化されて国会に提案されると思うのでありますが、問題は、いま少し考え方をきちっと整理をしていただきたいと思うのであります。ということは、
官房長官に従属する副長官であるか、あるいは内閣を強化していくための補佐的な作業に
中心を置くかによってだいぶ性格が違ってまいる。いずれにしましても私の希望し訴えたいことは、いわゆる
内閣総理大臣に
指導力というものを与える方法は、大事な
段階ではないかと思うのであります。その趣旨をどう生かしていくかということについてごくふうを願いたい。各省
行政がどうしても縦割りになっております。ところが、今日ほど総合調整、総合
指導しなければならぬ、また
総理大臣そのものが
政府の施政方針演説の中でその決意を出しておられる
段階であります。もまたそれについていくと私は思うのであります。そういう
意味でひとつお考えを願いたいというのであります。
次の問題は、外交の
基本の問題であります。外交の
基本の問題に入りますにつきましても、最近私
ども政府からいただきます材料等を通じましても、アメリカあるいは欧州各国におきましても、
日本の外交姿勢に対する不満と申しますか、批判はかなり強くなっておる。これは何も私自体が言うのでありませんで、
政府から配付になっております材料等を拝見しましても、そういう率直な翻訳を載っけてわれわれのところに配っていただいておる。それはどういう点かと申しますと、何も
日本のとっておる、自由陣営に属しておる姿勢そのものがいいとか悪いのでなくて、それを何となく遠慮深く、あるいは慎重過ぎて、積極的な姿がちっとも出てないじゃないか、
日本は工業国としては
世界の三本柱の
一つ、
経済的にはそういっておられる。ところがその面だけが浮かび上がって、その他の面においては積極性がないじゃないか、これは欧州の自由陣営に属するイギリスあるいは西ドイツ。またアメリカにおきましても、最近私が拝見しましたものでも、アメリカの「フォーリン・アフェアーズ」の編集長あたりの論文に、中立
日本という論文を出しておる。
日本は
——われわれは中立というものは、少なくともわが党並びにわが
政府においては絶対にこれを幻想である、中立主義というものは幻想であるという姿勢をとっているのに対して、そういうような見方で批判をしておるというようなことに対しまして、われわれはやはりはっきりしたものを外交の上においても
基本的にはもっと打ち出すべきじゃないかと考えておるのであります。
日本においては、知識人がむしろ実際はリードし過ぎている、その知識人というものが狭い視野からいろいろものを訴え過ぎておる、そして国民というものは、民主主義という看板であるが、ただそういう集団的な中へ入ると無知になって引っぱられているじゃないか、こういうことを書いてあります。いまの「フォーリン・アフェアーズ」の編集長の
意見をそのまま読みましても、
政府のリーダーシップが弱く、また政治的に可能なことに対する視野と積極性が欠けておる、イニシアチブは左翼に握られたままであり、その左翼は、議会で実現できないことを街頭でなし遂げようとする、いわゆる議会主義を否認しているじゃないか、こういうような論評を率直にいっておるのであります。
日本の安全は米国に保障してもらいながら、その保護を確実にするための手段をちょっとでも米国に与えることについては、ちっぽけな機関を起こすことさえもごめんだといっておる。要するにもらうものはもらって、払うものは一銭も払わないんだというけちな根性でやっておるじゃないか、この姿は中立
日本じゃないか、自己主義
日本じゃないか、こういうような論評を相当強くやり出しておる。それに対して総理は、今回の施政方針演説におきましても安全保障体制の問題に触れられまして、安全保障というものは、やはり現実の
立場から見れば、もう
日本の国民にとってはきわめてしあわせなものなんだ、大事なものなんだ、こういうふうにはっきり言っておられる。この姿勢は、もうはっきりしてきて私はけっこうだと思います。従来の施政方針演説よりは一歩前進をされておる。
しかし、まだ
国内には安保解消論もあります。排撃論もある、あるいは有事駐留というような論をなす
方々もあるのでありますが、一面私
どもがちょっと心配しておりますのは、一九七〇年の危機、危機と言って、それをこわそうという人たちを
中心に、いかにも
日本にその
機会に対決が起こるんだ、革命が起こるんだと、不安醸成をやっているような感じが私はしてならないのであります。このあえて
日本人の中に混乱を起こし、対決の場を求めるというような動きに対しましては、私
どもはこれははっきりした態度で封殺をしていかなければならぬ。一九七〇年というと
昭和四十五年でありまして、
政府あるいは国会は万国博覧会を開こうとしておる。
〔
委員長退席、
赤澤委員長代理着席〕
この万国博覧会のスローガンというか、目標は、たしか進歩と調和、こういうスローガンであります。そうすると、進歩と調和に対して対決を求める、破壊と混乱を求める、これはいわゆる
国際的に信頼をかちえる
日本の姿ではないと、私
どもはこう思うのであります。そこで安保のいわゆる改定、改定というが、あの安保条約十条をごらんいただけばわかるのでありますが、七〇年がまいりました場合に、一方が意思を表明すればこれを解消し得る権利が
発生する、こういう形になっているわけであります。したがって私
どもは、わが党の
立場におきましても、き然たる態度で、安保というものは現実的には
日本の国民の、あるいは
日本国の平和と繁栄の前進のためには大事なものだ、必要なものだ、これを不断に堅持、維持していくという姿勢、
態勢、国民啓発、これをしっかりおやりいただきたいと思うのでありますが、総理の御所信を承りたいのであります。