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1966-02-05 第51回国会 衆議院 予算委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年二月五日(土曜日)    午前十時十一分開議  出席委員    委員長 福田  一君    理事 赤澤 正道君 理事 久野 忠治君    理事 田中 龍夫君 理事 松澤 雄藏君    理事 八木 徹雄君 理事 川俣 清音君    理事 楯 兼次郎君 理事 野原  覺君       相川 勝六君    愛知 揆一君       荒木萬壽夫君    荒舩清十郎君       井出一太郎君    今松 治郎君       小川 半次君    大橋 武夫君       上林山榮吉君    川崎 秀二君       倉成  正君    登坂重次郎君       中曽根康弘君    灘尾 弘吉君       丹羽 兵助君    西村 直己君       野田 卯一君    橋本龍太郎君       古井 喜實君    松浦周太郎君       水田三喜男君    大原  亨君       加藤 清二君    勝間田清一君       角屋堅次郎君    小松  幹君       高田 富之君    中澤 茂一君       永井勝次郎君    八木  昇君       山中 吾郎君    山花 秀雄君       春日 一幸君    加藤  進君  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         法 務 大 臣 石井光次郎君         外 務 大 臣 椎名悦三郎君         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君         文 部 大 臣 中村 梅吉君         厚 生 大 臣 鈴木 善幸君         農 林 大 臣 坂田 英一君         通商産業大臣  三木 武夫君         運 輸 大 臣 中村 寅太君         郵 政 大 臣 郡  祐一君         労 働 大 臣 小平 久雄君         建 設 大 臣 瀬戸山三男君         自 治 大 臣 永山 忠則君         国 務 大 臣 上原 正吉君         国 務 大 臣 福田 篤泰君         国 務 大 臣 藤山愛一郎君         国 務 大 臣 松野 頼三君         国 務 大 臣 安井  謙君  出席政府委員         内閣官房長官 橋本登美三郎君         内閣法制局長官 高辻 正己君         総理府総務副長         官       細田 吉藏君         総理府事務官         (中央青少年問         題協議会事務局         長)      赤石 清悦君         公正取引委員会         委員長     北島 武雄君         総理府事務官         (行政管理庁行         政管理局長)  井原 敏之君         防衛政務次官  井村 重雄君         総理府事務官         (経済企画庁国         民生活局長)  中西 一郎君         総理府事務官         (科学技術庁研         究調整局長)  高橋 正春君         法務事務官         (入国管理局         長)      八木 正男君         外務事務官         (アジア局長) 小川平四郎君         外務事務官         (北米局長)  安川  壯君         外務事務官         (条約局長)  藤崎 萬理君         大蔵事務官         (主計局長)  谷村  裕君         大蔵事務官         (理財局長)  中尾 博之君         運輸事務官         (航空局長)  佐藤 光夫君         建設事務官         (計画局長)  志村 清一君         建設事務官         (都市局長)  竹内 藤男君         自治事務官         (行政局長)  佐久間 彊君         自治事務官         (財政局長)  柴田  護君  委員外出席者         専  門  員 大沢  実君     ————————————— 二月五日  委員重政誠之君及び三原朝雄辞任につき、そ  の補欠として倉成正君及び佐藤孝行君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員佐藤孝行辞任につき、その補欠として三  原朝雄君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和四十一年度一般会計予算  昭和四十一年度特別会計予算  昭和四十一年度政府関係機関予算      ————◇—————
  2. 福田赳夫

    福田委員長 これより会議を開きます。  昭和四十一年度一般会計予算昭和四十一年度特別会計予算昭和四十一年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、審査を進めます。  これより総括質疑に入りたいと思いますが、昨夜、東京湾において発生いたしました全日空機墜落事故は、全く痛ましい、遺憾の限りでございます。  この際、罹災者方々の御冥福を祈る意味におきまして、当委員会において黙祷をささげたいと存じますので、報道関係以外の方は全員起立を求めます。   〔総員起立黙祷
  3. 福田赳夫

    福田委員長 この際、内閣総理大臣より発言を求められておりますので、これを許します。内閣総理大臣
  4. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 今回の全日空機墜落事故は、一瞬にして百三十三名のとおとい生命を失ったのでありまして、まことに痛ましい限りであります。遭難者に対し、また御遺族に対しまして、衷心より御同情申し上げるとともに、深く弔意を表する次第であります。政府は、昨夜、直ちに総理府の中に運輸大臣を長とする事故応急対策本部を設置いたしまして、今回の遭難事故に対する対策につきまして万全を期する態勢を整えておるのであります。  御承知のように、航空機が大型化されるに伴いまして、事故発生も、また発生いたしました際の犠牲もまことに大きいものがあるのであります。今回の事故につきましては、もちろんのことでありますが、善後措置遭難者の敬弔、さらにまた遺族に対する慰問措置等万全を期するように、会社のなすべきこと、また政府の尽くすべき点等について十分考えてまいりますが、何といたしましても事故原因を徹底的に究明いたしまして、再びかような事故の起こらないよう、今後の航空事業の発展のために私ども対策立てることが最も必要なことだと思います。この意味におきまして、今回の事故探求措置につきましては、いままでにない民間の力も動員するような態勢のもとにこの原因の究明に力をいたし、今後重ねてかような事故が起こらないように対策を講じてまいりたい、かように思います。  一言発言いたします。
  5. 福田赳夫

    福田委員長 この際、事故状況につきまして政府報告を求めることといたします。運輸大臣中村寅太君。
  6. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 昨夜、東京湾上におきまして起こりました全日空機事故により多数のとうとい人命を失いましたことは、まことに痛恨の至りでありまして、ここにつつしんで哀悼の意を表しつつ、いままで判明いたしました事故概要並びに政府のとりました措置につきまして御報告申し上げます。  全日本空輸所属ボーイング727型機は、同社の千歳−東京便として機長高橋正樹ほか六名が乗り組み、乗客百二十六名を乗せて、二月四日十七時五十五分千歳飛行場を離陸し、東京国際空港に向けて出発しました。  同機は、十八時四十八分大子ビーコン、十八時五十六分東京VOR上空を通過し、十八時五十九分千葉上空において東京国際空港管制塔から進入許可を受けました。十九時ゼロ分三十秒、管制塔からの呼びかけに応答しましたが、その三十秒後の十九時一分、管制塔から着陸灯点灯指示をしましたところ応答がなく、自後、管再塔は繰り返し呼び出しを行ないましたが、同機からは何らの応答もありませんでした。  かねてから常置されてあります航空機救難調整本部は、直ちに下総及び木更津飛行場に対し、同機の不時着の有無を照会しましたが、該当機がない旨の連絡がありましたので、同機遭難を予想し、捜索救難活動を開始することとし、直ちに警察、海上保安庁及び自衛隊救難機関出動を要請しました。  二十三時五十五分捜索機木更津北方七海里付近においてANA(全日空)の標示のある翼の一部を発見し、機体の内張りの一部及び乗客の衣類を収容しました。零時五分捜索船は、羽田灯標東南東六・四海里で最初の遺体二体を収容しました。五日一時四十四分、捜索船千葉灯標西南西七海里付近において全日空標示のある胴体を発見しました。一時五十五分同本部は、海上自衛隊水中処分隊出動を要請しました。その後相次いで遺体収容が行なわれ、五日九時現在三十体を収容いたしました。  この間政府といたしましては、事故発生後直ちに関係者を参集せしめ、総理府運輸大臣本部長とする全日空機事故応急対策本部を設置し、当面の対策を協議するとともに、米軍に対し、外務省を通じ捜索のための出動を要請しました。  運輸大臣は、これより先、直ちに羽田に急行し、救難調整本部から情報を聴取するとともに、捜索救難に全力をあげるよう指示をしました。航空局は、五日四時三十分係官を遭難現場に派遣し、事故現場調査を開始しました。運輸大臣は、対策本部会合終了後、再び羽田救難調整本部におもむき、現地指揮をとるとともに、本朝、日の出を待って海上保安庁長官官房長航空局長とともにヘリコプターで遭難現場におもむき、現地指揮をとりました。  以上が現在までの事故概要並びに措置でありますが、当面の緊急対策につきましては、直ちに対策本部におきまして真剣に検討実施してまいりたい所存であります。  以上をもって報告を終わります。     —————————————
  7. 福田赳夫

    福田委員長 ただいまの件につきまして質疑の通告がありますので、これを許します。西村直己君。
  8. 西村直己

    西村(直)委員 ただいま予算委員会を通しまして、党派を越えて国会一同が、なくなられました犠牲者に対しまして心から弔意を表しました。まさに日本といたしまして、また世界航空史上におきましても、一機によって百三十三名失われたというのは初めてのことだそうであります。まことに御同情にたえません。同時に、われわれとしても、今後航空輸送事業、ことに世界一周あるいは日ソの間におけるモスクワ路線等が新しく始まる、日本航空事業に対して信頼を増さんとするやさきだけに、本問題は重大であります。細部にわたりましては、本日、私、質問の時間をいただいておりますから、その際に触れることにいたしまして、基本的な問題だけちょっとこの機会政府側意見を承っておきたいと思います。  今回の事故原因がどこにあるかということ、これは大きな問題であります。なぜなれば、その原因いかんによっては、全日空がたしか五機、日航が二機等々、ボーイング727をすでに現実に使っておる、これからも毎日お客さまが乗っていかなければならぬ飛行機であります。それだけに国民は非常に不安を持つであろうと思うのであります。  そこで、この原因でありますが、一つ構造上の原因であるか、あるいは整備の上の原因であるか、保安の上の原因であるか、あるいは操縦の上のミスであるか、こういったことが出てまいろうと思います。ベテランの操縦士だ、保安羽田空港であるから管制官が数分前には連絡をとり合っておる、整備は一応千歳で十分やったといわれておる。そうすると、機体構造上の問題であるというならば、これは専門の問題でございますから、私どもがかれこれ言うべきではない。ただ幅広く御調査願いたい。アメリカの連邦航空局調査を一緒にやろうじゃないかといっているくらいでありますから、幅広く的確に原因をおつかみ願いたい。  それから当面におきましては、遺族方々の、いろいろなこれに対する礼儀の尽くし方等も十分行政指導をしていただきたい、こう思うのであります。  それからいま一つ大事な点は、経済が進みますと、いろいろ交通機関が超近代化と申しますか、超高速化してまいります。たとえば、航空機のみならず新幹線、これらも、かりに間違って事故を起こしますれば、やはり相当な人命を損傷する。人命尊重というのは、われわれの時代においては最も大事なことでありますが、これらのいわゆる交通機関を扱う場における従事員あるいはそれの管理者、これらを人的に管理するということはたいへん大事なことだろうと思うのであります。普通の労務以上に他人の生命というものを預かっておる仕事であります。  航空自衛隊におきましてもよく事故はあります。たとえば浜松の航空自衛隊の基地、これがたしか数年にわたって、一万何千時間といいますか、はっきり覚えておりませんが、無事故を続けておる。最近一機、操縦上のミスがあって事故をやったのでありますが、その記録というものは世界的にも相当びっくりされておる。これには非常な人的な管理をやかましくやっております。たとえば滑走路なら滑走路に、自分のつけておる帽子の記章というか、とめ金一個が落ちても、それがジェット機推進機の中へ巻き込まれたら事故になる。そういうものまで一々つけないように、くぎ一本落ちないように滑走路を毎日点検する。そういうような微細なところから始めているように私は聞いて、初めて一万何千時間という無事故記録をつくったのであります。  私は、そういうような意味におきまして、民業におきましても、経済上の問題はありましょうとも、そういったようなことから航空輸送事業管理というものを、ひとつしっかり立てていただきたい。  それから、時間がありませんからもう一つお聞きしておきたいことは、これは特に総理大臣にお聞きしたいのでありますが、国内国際を通じまして、航空界というものが安定しておりません。御存じのとおり、航空審議会等を通して答申は一応持っておりますが、行政上今後どう執行していくか大きな問題があります。また日本はかつて——現在でもそうだと思いますが、潜在的には、航空機工業に対しては相当な能力を持っておる。航空機工業——現在YSというものがある程度成功はしつつありますが、諸種の問題を残しております。こういったような航空をめぐる国策を、やはりもう抜本的にお立てになる時期ではないか、一つ運輸省あるいは通産省的な立場だけにおまかせになる段階ではない。うっかりすると外国機の輸入に対しまして、商社がこれをめぐっていわゆる動き過ぎるというようなうわさも飛びます。だから経済ベースだけでものごとを解決する前に、何か国策として基本的にお立てになる段階にもう迫られておる。ここらは、総理大臣中心に、ひとつ何かそういうようなあらゆる方面の英知を集められまして、方向を基本的にお立てになる時期ではないか。災いを転じて福となすということばがありますが、そういう点をひとつお考え願いたいと思います。基本の問題につきまして、ひとつ総理大臣から御答弁を願い、細部運輸大臣あるいは通産大臣等から御答弁願ってけっこうでございます。
  9. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 ただいま西村君が御指摘になりました数点、これはもちろん今回の事故に対する善後措置として私どもが力を入れようとするところのものであります。その中には、遭難者の遺骸の収容等につきましても、また遺族慰問等についても、これは万全を期するように行政的な指導をする、これが第一点でありますし、次の点は、今回の事故についてあらゆる方途で科学的な原因追及、探求していく。そうして将来の事故再発のないように備えていく、こういう問題であります。これらの点は、御指摘のとおり十分万全を尽くすつもりであります。  さらに、最後にお話しになりましたわが国航空業界あり方について、また航空機製造工業等あり方について、国策としてこういう問題と取り組め、こういう御注意でありますが、今日までもわが国航空機工業については、これは国策の重要な一つの柱として真剣に取り組んできております。ただいまおことばにありましたYSを開発したのもそういう意味合いにおいて開発されたのであります。今後、ただいまのように、大型化し、また高速度化してくる航空機の将来の事故発生した場合に、その被害が非常に大きくなる、こういうことに備えまして、さらに現代の科学技術で可能な範囲の対策、研究をすべきこと、これは間違いないところであります。わが国航空技術研究所、これなどは誇り得る施設でありますし、私はそういう意味におきまして十分各方面動員体制もとれる、かように思いますので、御注意になりました点、これを深く念頭に置いて、航空機工業の今後のあり方についても十分考えてまいるつもりであります。  また、航空業界そのもの編成しかた等につきましては、各党におきましてそれぞれ十分研究されておるようであります。経営上の問題にやはり不備な点があるようでありますので、今後の航空業界編成等について、いわゆる民間の意欲を十分育て上げると同時に、及ぼすところの影響の公共性のその重大な意義を持つこの事業に対しまして、政府はもっと指導的な立場で取り組むべきものだと思います。  また、事故発中等について、管理の点を強く指摘されましたが、このことは最も大事なことだろうと思いますし、事業経営基本でもありますので、これらの点もお話のようにさらに万全を期していくように注意してまいるつもりでございます。  お答えいたします。
  10. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 ただいま西村委員から申されましたように、将来事故をなくしていくためには、今回の事故原因を究明して、これに対策立てていくということが第一段階であるということ、ごもっともでございまして、私らのほうでも、今回の全日空機事故応急対策本部といたしましてけさ九時から会合を持ちまして、運輸省の中に事故原因を究明するために、第三者の学識経験者を含めた調査機関を設置して、直ちに事故原因を究明するということを決定いたしました。きょうの午後に際しましても直ちに発足して措置してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  11. 三木武夫

    三木国務大臣 西村委員の、日本国産機をもっと本腰を入れて振興をはかれという御意見は、われわれも全くそのように考えておるわけでございます。航空機工業振興をはかることは日本精密工業に対する技術水準の向上の効果も持ちますし、輸出産業としても伸ばし得るものでありますから、従来、昭和三十三年でありましたか、日本航空機工業振興法などの御設定を願い、YS11もほとんど政府の出資によって国産機製造を始めておるのですが、しかし、先進国はもっと本腰を入れて、航空機工業がある水準に達するまではよほど力を入れておるわけであります。われわれとしても、根本的に国産機振興策というものはとの機会に考えてみたいと思っておる点でございます。
  12. 西村直己

    西村(直)委員 時間がございませんから、簡単でありますが、大事な点を一つ申し上げておきたいのであります。  今回ジェット機事故を起こしている。ジェット機というものが事故を起こせばああいうような状態になりやすい。私は、実は日本の国が、国内においてピュアージェットを、あの短い距離で、経済性が非常に負担が大きいものを導入した、こういうこと自体が、すでに日本航空機の行き方について弱かったというか、そのつどそのつど政策を取り過ぎた、また、国産機YSはターボジェットでありますから、これは滑走路も短くてよろしいし、それから経費も安くて済むし、ピュアージェットとはだいぶ違う。これが一年ずれてきたためにボーイングが入った。こういうような考え方をみますと、政策後手後手に回っている。これを今回のなくなられた多数の方の贈りものとして、私どもはいわゆる前向きと言ってはおかしいのでありますが、抜本的にひとつ国産機にぐっと力を入れながら、日本の国情に合ったようなものを、商社につられたような行き方でないような、ひとつ航空機機種の選び方というようなものを中心に考えていく時代に変わっているのじゃないか、同時に、輸送におきましても、運輸省の中でお扱いになっておるというと、何といってもシェア競争のために妥協しなければならない。それを国全体のたてまえから、どうすればいいのだということをやはりお考えになる時期にきているのじゃないか。これを総理大臣にひとつお取り上げ願いたい。これがまた最終的にお使いになりますところの一般方々に、ほんとうに生命を守っていく安全輸送を、快適輸送をしてあげるという基本になるのじゃないか、この点につきましてひとつ御考慮を願いたいのでありますが、総理大臣にひとつもう一ぺん御所見を、その点だけ承っておきたいと思います。
  13. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 いまの航空機の現状についてあるいはピュアージェットジェット機がただいまの航空業界の圧倒的に要求される航空機でありますが、御説のように、わが国航空技術そのものから申せば、なかなかピュアージェット製造することもできないというので、国産機はその程度の低いものでがまんしていた。またその技術まで上げるということは、今日の状況においてはこれは不十分だ、またたいへん金もかかることだ、こういうことで、この国産航空機はどの限度やれるかということを当時いろいろ考えて、そうしてあれを決定したのであります。しかし、今日はもうすでにそれから数年たっておりますから、また新しい方策を立てるべき時期に来ているだろう、かように思います。しかし、西村君の言われるとおり、わが国航空技術がそういう意味で非常な立ちおくれを来たしておること、このギャップを取り戻すことは非常に困難なことだ、こういうところもございますから、この対策等については、十分実情を把握しながら将来のあるべき姿というものに対応してまいるようにいたしたいと思います。もっと具体的に申しますならば、現在の資本、あるいは現在の財力あるいは技術等の点から申しまして、直ちにピュアージェットに移行するということはなかなか困難ではないか、かように私は思いますが、いずれにしても支障を来たさないように、他の航空技術にひけをとらないように進めてまいるように努力したい、かように思います。
  14. 福田赳夫

    福田委員長 楯兼次郎君。
  15. 楯兼次郎

    楯委員 私は、社会党を代表いたしまして、突然の質問でありますが、昨夜起こりました航空事故に対しまして、党を代表をいたしまして罹災者方々につつしんで哀悼の意を表するとともに、政府基本的な問題について御忠告を申し上げたいと思うわけであります。  実は私ども昨晩この航空事故を聞きましてがく然としたわけであります。おそらく全議員がそうであったと思いますが、十二時過ぎまでテレビによって、現場はどうなっておるであろう、それでも生存をして救助される人が、陸地が近いだけに多少なりともあるのではないか、こう思ってテレビに十二時過ぎまでかじりつきまして心配をいたしておりましたのは、私一人ではないと思います。先ほど運輸大臣の御報告にもございましたように、確認されました遺体は三十数体だそうでありますが、まずおそらく全員絶望、これが残念ながら正しいのではないかと思います。重ねて哀悼の意と、遺族方々に心から御同情を申し上げる次第であります。  そこで、詳細な問題につきましては十二日に私もこの委員会質問をするようになっております。それから運輸委員会あるいは本会議等でも、この問題について緊急質問が行なわれることだと思います。  そこで、当面必要な問題につきまして申し上げるのでありますが、先ほども西村委員から申されておりましたように、この事故原因をひとつ徹底的に検討をし、追及をしてもらいたいということであります。きのう事故が起きまして、航空関係者お話を聞いておりますると、このボーイング727というのは非常に優秀な飛行機である、こういうことを関係者が放送されておるすぐあとで、放送記者が、いやそうじゃない、昨年アメリカにおいては三回も事故をやっておる、アメリカの航空委員会で、あまり事故をやるのでどこに欠点があるかいま検討をしておる、こういうようなことも放送されるわけであります。これでは、われわれはほんとうに優秀な飛行機であるのか、あるいは日本では初めてでしょうけれども、アメリカ等においては事故の連発をしておる、一体どっちがほんとうか、こういう点で非常に疑惑を招くわけであります。また、北海道からたびたび利用をいたしておりまするわが同僚議員の見解を聞きますると、信憑性があるかどうかわかりませんけれども、あの飛行機は非常に急上昇をする、離陸してすぐ上空に直線のように飛び上がる、こういう話であります。急上昇をするということは、着陸のときに今度は急降下をする、しかもエンジンがうしろのほうについておる、こういうような話をけさ聞いたわけでありまするので、非常にむずかしいのではありますが、ぜひひとつ徹底的に事故原因調査していただきたい。  そこで、安全であるか、優秀であるか、あるいは不備な点が多いかわかりませんけれども、この飛行機は一体日本になお何機ぐらいあって使用されておるか、こういうことをひとつお聞きをいたしたいと思います。
  16. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 本機のボーイング727は、現在日本航空において二機、全日空において、事故機を含めまして五機使用いたしておる現状でございます。
  17. 楯兼次郎

    楯委員 この事故にかんがみまして、同機種の航空機につきましては特別の点検なり整備なり措置がなされなければならぬと思うのでありますが、そういう点について、運輸大臣はどういうふうにお考えになっておるか、お伺いをしたいと思います。
  18. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 航空機事故は非常に重大なことになりますので、各航空会社とも全力をあげて点検あるいは調整等に尽くしておる実情でございまして、われわれは現在航空会社がやっておりますそういう処置は、万全に近いものと信じておる次第でございます。
  19. 楯兼次郎

    楯委員 いまここで私の質問が予想外であるということかどうか知りませんが、他の飛行機同機種のものであっても安全だ、従来どおりの点検整備で、ということではいけないと思います。したがって、私は専門家ではありませんからわからぬのでありますが、この事故にかんがみまして特別の何らかの手当てをして今後使用すべきである、こういうように私は考えますので、この点御忠告を申し上げておきたいと思います。それから私は、単に飛行機の性能だけではないと思います。これは十二日の日に私もここで質問をいたしたいと思うのでありますが、日本は交通事故によって、私が申し上げるまでもなく一年間に人口一万三千人の町がなくなって、四十万人以上の傷病者の町ができるというほど交通事故があるのです。(「世界一だよ。」と呼ぶ者あり)そこで、この航空事故につきましても、まあ陸上でもそうでありますが、航空事故というのは、いま野原君も言っておりましたように、私はおそらく世界一だと思うのであります。たまたまこの事件が起きまして、よその新聞を見ますると、これは総理大臣のほうの中国新聞でありますが、今度は山陰の美保基地で、自衛隊機が二・五メートルの超低空飛行を行なって、下を列車が通っておる。まさにこれに衝突しようとした。列車がブレーキをかけたので安全であったけれども、そのまま列車が運行をしておれば、ここでもまた列車と飛行機による大惨事が起きておる、こうこれに報道されておるわけです。こういう状態です。それで私は考えるのでありますが、日本の交通関係の設備というのは、飛行機で言いますと、飛行機滑走路——飛行場ですか、列車で言いますと、車両、線路、そういうものが完全に一致をしておらないように考えるわけです。飛行機はりっぱだが滑走路は短い、列車は、箱はものすごくデラックスだが、それを乗せておるレールはとても補修をする時間のないほど列車の密度がたくさんでがたがたである。少しも一致をしておらないところにこの交通事故が起こる原因があるような気がするのです。これは自動車にしてもしかりです。べらぼうにデラックスな自動車はできますが、これを乗せておる道路は、申し上げるまでもなくとても小さくて、いなかのほうへ行けば行き違いもできない。こういうところに原因がある、一致をしておらないというところに原因があるというような気が私はしますので、こういう面もひとつよくお考えをいただきまして措置をしていただきたい。このようについでに申し上げておきたいと思います。  次に、われわれ社会党として特に政府に御要望を申し上げたいのは、被災者に対しまする補償はもちろんでありますが、お気の毒な遺族に対しまする援護であります。私、突然でありまするので詳細はわかりませんけれども、これまた後日専門の委員から皆さんに御相談があることと思いますけれども、ぜひこのお気の毒な罹災者あるいは遺族の方に、ひとつ万全な援護措置を考えていただきたい、このことを要望申し上げまして、簡単でございまするが、党を代表して弔意と、政府に対する御注意をば二点申し上げる次第であります。
  20. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 政府に対する要望並びに注意、これはつつしんで承っておきますが、ただいまお話のありましたように、ジェット機、これは先ほど西村君も御意見として述べられましたが、たいへん優秀な航空機でございます。この優秀だということは、わずかな狂いがとんでもない事故を引き起こすのだということを言われておると思います。したがいまして、ちょうど楯君の経験されておる国鉄新幹線におきましてもこのことが言えるだろう。新幹線はスピードが非常に速い。しかし同時に、これは非常に優秀な科学と技術の総合的な所産だ。わずかな狂いが実は非常な事故を起こしやすい、こういう意味で盛んに注意されておるのであります。今回のジェットは、私はしろうとでありますが、そのことだけはわかる。これが非常に正確な、精度の高い技術だ、かように思いますと、わずかな狂いで重大な事故を引き起こす。したがって、これの取り扱いにおいては一そう注意し、その補修あるいは点検等も在来の行き方でなしに、特別な注意を要するものだ、かようにしろうとながら考える次第でありまして、私は、この点を特に今後も注意してまいりたいと思います。  政府におきましては、今回の事故は、ただいまのような観点から、衆知を集めてその原因を探求すべし、かように実は考えておりますので、今朝すでに民間の有識者をも含めて、事故の探求、どういう原因からこれが引き起こされたか、そういうものを追及する、すでにその調査委員会等の結成も決意したような次第であります。各方面の知識を集める、そうして万全を期していくということをいたすつもりでございます。また、ただいまお話しになりました罹災者に対する敬弔あるいは遺族の方の援護等の処置につきましては、先ほど来申し上げておりますとおり、会社におきましても、すでに、できるだけのことをいたしたい、かように申しておりますが、政府行政の面から、行政指導も十分して、ただいま御指摘になりましたような諸点について十分注意をいたすつもりでございます。  また、先ほどのお話のうちにありました、総合的な観点からやはり事故防止ということを気をつけてほしいというお話でありますが、鉄道の新幹線等につきましては、この点では十分考慮されたと思います。しかし、まだまだそれでも、今回のような雪害等に当面いたしますと、予想しなかったような点もあるのでありまして、万全だとは言えない。さらにさらに技術は進めていかなければならないと思います。  また、自動車事故防止等については、御指摘のとおり、道路の整備なりその他指導標あるいは立体交差、あるいは跨線橋等々のものが整備されることと相まって初めて事故の減少の効果があがるのでありますから、そういう意味の総合的な注意も怠らないようにいたしてまいりたい、かように思います。
  21. 福田赳夫

    福田委員長 春日一幸君。
  22. 春日一幸

    ○春日委員 私は、民社党を代表いたしまして、今回の大惨事に遭難されましたお気の毒な遭難者各位に心から御同情申し上げ、その御冥福を祈りながら、当面の重要な二、三の問題について政府の所見をただしたいと思います。  まずその第一点は、ただいま楯君からも政府に御要望がありましたが、遭難者各位に対します補償の問題並びに遺家族に対する援護措置についてでございます。もとよりこの種の問題は、本質的には企業責任に帰結する問題であるかもしれませんけれども、しかしながら、この事業が厳重なる政府管理、監督のもとに置かれておりまする事業でありますだけに、さらに今回の被害が大きなものでありますだけに、特にその企業責任だけではその要請を弁じがたい場合もあり得ると思うのでございます。こういうような意味合いにおいて、ただ企業経理の可能、不可能の限界をこえて措置をせなければならない場合もあり得ると思うので、この場合政府はどのように助成の措置をとっていく見解であるか、その方針について総理より御答弁を願いたいと思います。
  23. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 会社におきましても、すでに社長が表明いたしておりますように、できるだけの処遇はしていく、かように申しておりますから、政府もこの会社の処置を十分監視いたしまして、遭難者並びに遺族との間に問題を起こさないように最善の行政指導をしてまいるつもりでございます。
  24. 春日一幸

    ○春日委員 適切なる行政指導の行なわれることは、これは当然行政府の責務であろうと思いますが、そのような形式的な行政責務の限界をこえて、実質的な寄与を行なわなければならない場合もあり得ると思いますので、この問題については、政府のほうにおかれましても、よくその実態に即して、遭難者に対しまする補償と遺族に対しまする救援、援護措置、これが完全に行なわれますよう善処あらんことを強く要望いたしておきます。  次は、この事故原因の探求でありますが、ただいま自民、社会両党の質問に答えられて、政府は徹底的にこれを究明すると述べられておりまするが、このことはまさしくこの種の事故再発防止の大前提となる要件であろうと思うのでございます。したがって、最もすみやかに、かっこれを厳格に行なわれまするよう——新聞報道に伝えたところによりますと、この種の事故原因の探求というものがきわめて困難であるといわれておるのでございます。そのような過去の事例にかんがみまして、わが国においてこの種の大惨事が再発しないようにすることは、これは事故原因がいずこにあるのか、それを正確に把握し、それが対策立てることにあると思うのでございます。万全を期せられることを強く要望をいたします。  続いて、二、三の問題についてお伺いをいたしまするが、従来運輸省は、次の諸点についてどのような監督を行なってきたものであるか。第一番は、乗務員の労働条件、これが過重にわたるがごときことはなかったかどうか、これについてどのような基準を示してその監督、指導を行なってきたのであるか。  第二点は、この飛行場の機能についてでございます。現在あの羽田飛行場が狭きに過ぎて、これが当面する飛行機発着をさばく能力がないということで、他に適地を求めて、その飛行場を新設する工事が進められておるわけでございます。もしそれ、現在の羽田飛行場が狭隘に過ぎて、発着飛行機を収拾する能力なしとするならば、あるいはこれに若干の危惧があるといたしまするならば、これはもう飛行機の発着制限を厳粛に行なって、安全第一の措置をとらなければならないし、そうあってしかるべきだと思うのでございます。現在の羽田飛行場のそのような機能が、安全第一の本旨に照らして何ら心配はない状態であるのかどうか。もし心配の状態があるならば、発着制限というようなものを行なって、とにかくこの種の事故の再発を防ぐの万全の措置をとるべきであると思うが、実態はどうか。  第三点は、いま楯君が御腰間になっておりましたが、727のあの飛行機の性能には、現にアメリカにおいて昨年度連続三回の事故が起きておった。こういうような事実関係にかんがみまして、これは心配ないかどうかは当然その再検討があってしかるべき問題であったと思うのでございます。アメリカにおきましてこのような事故が続発した事例に徴し、政府は何らかの検討を行なったか、行なった結果、心配ないという結論の上に立ってその航行を許したものであったのかどうか、そのような事故はそのまま聞き流しておいたのか、その点について経過をひとつ御説明を願いたい。  それから飛行機の性能について、当然運輸省がしばしば検討をされておると思うのであるが、それは一体どのような基準と規模において性能点検がなされておるものであるのか。  以上四点について、政府から御答弁を願います。
  25. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 春日委員の御質問にお答えいたしますが、労働状況が過重になって事故を引き起こすというような事情にありはせぬかという御心配でございますが、私らは、事故を完全になくして安全を確保するようにという平素の指導を強くやっておりまして、現在の労働状況がすぐ事故につながるというようなことはないという自信の上に立って指導しておる次第でございます。  第二点の、羽田飛行場が狭いために事故が起こるというようなことが心配せられるのではないかという御配慮でございますが、現時点に立ちましては、事故につながるほど羽田が狭いということではございませんが、近い将来にはやはり羽田飛行場が狭隘に過ぎて、やがて事故等にもつながるおそれなしといたしませんので、新しい空港をすみやかに設置して、その危険をなくするという方向で進めておる次第でございます。  それから飛行機の検討につきましては、これはこの種の飛行機では、先ほど楯委員も仰せられておりましたが、過去いろいろ事故等があったことがございまして、その事故原因等につきましては、飛行機の本質的な不備か、あるいは人為的な事故か等をいろいろ検討いたしました。これはわが国だけでなく、この飛行機を使っております各国が技術的に専門的に検討いたしました結果、現時点におきましては、安全な、優秀な飛行機であるという見解に立ってこの飛行機を使っておるような次第でございまして、検討の処置等につきましても万遺憾はなかったものと信じておる次第でございます。  第四点の整備その他の専門的なことにつきましては、航空局長からお答えさせますので、お聞き取り願いたいと思います。
  26. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 ただいま運輸大臣からお答えいたしました具体的な問題について、なお申し上げた諸点において十分注意してまいりますが、今回特にこの事故の探求につきましては、民間技術者等を参加させまして、そうして調査委員会において十分ひとつ完全に徹底的に調べ上げよう、かように実は考えておるのであります。いままでどうも調査委員会等が非常に政府の好みに応じた委員ばかり集めるのじゃないかという批判もときどきございますから、この問題については、ただいま申し上げるように、民間の協力も得る、こういうことでほんとうに真剣に原因を探求したい、かように思います。
  27. 春日一幸

    ○春日委員 航空事業の重要性にかんがみまして、特にこれが人命に直結する事業性格にかんがみまして、政府におかれましては、この際とにかく航空事業全般について、総合的かつ根本的に再検討されまして、健全なる発達、のみならずとにかく安全第一、このことのために適切なる措置を万全に講ぜられますことを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
  28. 福田赳夫

    福田委員長 この際、川俣清音君より議事進行について発言を求められておりますので、これを許します。川俣清音君。
  29. 川俣清音

    ○川俣委員 予算委員会の審議に入る前に、政府並びに予算委員会を構成しておる者といたしまして、ぜひ、この国会における予算委員会は、国民の特に注目しておるところでございますだけに、最も能率ある運営をしていただかなければならぬと存じますと同時に、充実した予算委員会として終了させたいと願うものでございます。予算の提出が、政府の手違いによるのか怠慢によるのか別にいたしまして、非常におくれておりますので、国民は非常な心配をいたしております。それだけに、国会の正常化ということの具現のためにも充実した予算委員会として運営していかなければならないのがわれわれに課せられた任務だと存じます。と同時に、政府もよほど心得ていただかなければならないと思うのでございます。それは、毎年のことであり、当然のことではありながら、全閣僚が出席をして、内閣として責任を負わなければならない予算委員会でありますだけに、この出席はもちろんのこと、時間もひとつ厳守していただかなければ能率的な運営はできない。能率的な運営ができなければ充実した委員会にもならないと存じます。そういう意味で、ぜひお互いに自粛いたしまして、時間を厳守することが第一だと思います。私どもも自粛自戒をいたしまして、最も能率ある、しかも充実した委員会にしたいことを願っておりますので、これに対する政府の見解を承りたい。  なお、資料の提出を要望しておりながら、いつも予算委員会の終わるころでなければその資料が出てこないというようなことでは、十分な審議はできないこと、もちろんでございます。特に、地方財政が逼迫しておるときに、地方財政計画を首長くして待っておるのでございます。例年の例を見ますると、地方交付税に基づいて義務づけられた書類の提出が三月になる。しかも予算委員会が終わってから提出されるようなことが多いのであります。こういうことでは、予算審議を促進してほしいなどということは言えないはずだと存じます。もちろんガリ版で、簡単な資料として二月中に出されたこともございますけれども、本提出は三月になる。早いときで三月の八日ですか、おそいときは三月の二十四日です。こんなことでは、三月中に予算審議を終わりたいというような政府の希望は、みずから放棄したということになると思うのでございますので、すみやかな提出が望ましいと思います。  次には、われわれも時間を厳守してまいりますだけに、特に能率をあげるには、やはり政府の出席がよくなければならない。この点について、これをぜひ守るということ、われわれもまた委員会構成員として、当然時間を厳守してまいりたいと思いますので、政府の見解をここで明らかにしていただき、それから審議に入りたいと思いますので、総理大臣の見解と、責任のある御答弁を願いたいと思います。
  30. 福田赳夫

    福田委員長 ただいまの御発言でございますが、委員長に対する要望も含まれておるやに承りました。この点につきましては、御趣旨に沿うよう委員会の運営をしてまいりたいと存じます。
  31. 橋本登美三郎

    ○橋本政府委員 ただいまの川俣委員からの発言でありまするが、もちろんこの出席につきましては、政府側といたしましては必ず時間を守って出席をいたすように私が督励をいたし、かつまた鞭撻をいたす方針でありますから、御了承を願いたいと思います。  なお、渉外事項等でやむを得ざる事故があります場合は、事前に委員長もしくは一部皆さんに御了解を願って、まごつくことのないようにいたしたいと考えております。  資料の提出の件でありまするが、従来いろいろ当方の不手ぎわからしておくれました点はおわびを申し上げまするが、今後さようなことのないように、昨日も委員長から一応資料の提出方の話もありましたので、さっそく各省大臣に強く指示をいたしまして、すみやかに、かつできるだけ多く資料を提出するように取り運びをいたしております点を御了承を願いたいと思います。
  32. 川俣清音

    ○川俣委員 いま私統計を持ってきておりますが、時間がかかりますので読み上げませんが、大臣の答弁がもたもたしたり取り消しをしたような、時間を空費している場合が非常に多い。もう少し勉強させておかないというと、これは運営ができないのです。野党の質問で答えられないために時間を空費するというようなことのないようにしなければ能率的ではないと思います。ただ野党にだけ時間を責めているだけでは十分じゃございません。われわれも今度の国会はかなり厳格に、十分の審議を尽くしたいと思っております。これが国会の正常化であると同時に、議会制民主主義の徹底でなければならないと思いますので、閣僚にも十分勉強されておることの責任をもう少し強く感じてもらわなければならぬと思いますが、この点についてはどうですか。
  33. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 ただいま、社会党を代表してだと思いますが、国会の正常化について積極的にこの上とも努力する、社会党においてもさように考え、委員会の能率、さらにまた充実した言論の展開といいますか、政策の展開をするというお話であります。もちろん政府も、この国会の正常化、ということは心から願っておることでございますし、ことに昨年の臨時国会の成績が国民の期待に反するものがありまして、まことに遺憾に思っておりました。この原因がいずれにあるかということを申すわけじゃございません。そこで、昨年は各党におきまして、正常化についてその方向の申し合わせをいたしました。私は、言論の府である国会が十分に審議を尽くすこと、またそういう際に少数意見も尊重されなければならない、同時にまた物理的抵抗はこれを排除する、この基本的な方向はこれできまったと思います。さらにその線に沿って、ただいまも、時間を厳守する、そうして能率の上がる、充実した方向で行きたい、ついては、政府並びに与党毛当然その責任を持ってやるべきだ、かような御趣旨でお話がございました。私ども一そう自粛自戒いたしまして、ただいまあげられましたような諸点について、今度は批判を受けるようなことのないようにいたしたいと思います。ただ私が申し上げたいのは、当予算委員会だけの問題だけではなしに、国会全体、各委員会等も非常に能率的に開かれ、充実した議論が展開できるようにこれまた十分あんばいしていただきたい、かように私は思いますので、国会全体の問題としてただいまの御発言を、また御注意をさような意味におきまして理解し、政府はもちろんその責任を持って、進んで御趣旨に沿うようにいたしたい、かように思います。     —————————————
  34. 福田赳夫

    福田委員長 これより西村直己君の質疑に入ります。西村直己君。
  35. 西村直己

    西村(直)委員 自民党を代表いたしまして、いただきました時間の範囲内で質問をいたします。したがいまして、質問も要点をなるたけ短く申し上げ、かつ御答弁もなるべく要を得ていただきたいとお願いを申し上げます。  第一は、政治の基本姿勢の問題としてお聞きしたいのであります。  今回の総理大臣の施政方針演説を拝聴いたしますと、私ども単に与党の立場だからではございません。一般にとにかく姿勢がはっきりしてまいった、これはすなおに受け取ってけっこうではないかと私は思うのであります。総理大臣も閣僚をみずからの手でお選びになる、そしていよいよ本番というか、本格的な佐藤内閣の仕事に入ろうという決意のほどが私どもはうかがわれる。言いかえますれば、この機会に不況を克服して物価を安定する、そのために新しい財政経済政策も取り入れよう、外交におきましても、親善外交というムード外交から、進んで自主的に、能動的に、ひとつ具体的にアジアの安定を通して世界の平和に寄与し、わが国の発展に寄与しようという決意のほどは十分うかがわれるのであります。ただ、これを具体的に実践していく場合におきまして、特に内政等の場合におきまして、行政の機構が縦割りである。したがいまして、うっかりするというと、各省大臣が国務大臣の座を離れて、行政長官の立場であるいは予算編成に加わられる、あるいは行政上の仕事を中心にせられざるを得ないという従来の趨勢に対しまして、物価の問題一つ取り上げましても、総合調整、総合指導をしなければならぬという段階に入っておるのではないか。そこに総理大臣指導力、国民に対する信頼力を立てるという大事な段階である。  これは官房長官にひとつ承りたいのでありますが、臨時行政調査会の答申等が出まして、内閣を強化するためにいろいろなくふうをこらされておる。またこの国会で、内閣に関するそのための法案等をつくろうとされておるが、その内容、考え方をひとつ明らかにしていただきたいと思うのであります。
  36. 橋本登美三郎

    ○橋本政府委員 さきに答申されました臨調の内閣強化案なるものは、かなり思い切った意見を述べられております。臨調の答申の精神とするところは、最近の行政事務の複雑かつ多岐にわたること、かつまた行政機関の簡素、合理化というところを目標にしての答申の精神と解釈をいたしておるわけであります。政府といたしましては、この答申を受けて、行政管理庁長官のもとに種々検討を加えてまいっておるわけでありまするが、かなり根本的な点にわたり、かつ全行政にも影響を及ぼす重要な答申でありますので、慎重に、かつ勇気を持ってこれが取り扱い方を考えなければならぬという方針のもとでやってまいっておりまするが、まず根本的な問題をもちろん考えると同時に、現在内閣関係の行政は、ただいま申しましたように、各方面にわたり、かつまた複雑な状態になっておりまして、いわゆる一省で解決できない問題がかなり今日の新しい社会情勢から数多く生まれてまいっております。それがために内閣は昨年秋に、方針として、内閣のうちに関係閣僚協議会という形において、これら行政の複雑なるものを整備し、かつまた合理化するための方法として閣僚協議会なるものを設置いたしておりまして、その数が現在十二になっております。その閣僚協議会があらゆる意味において相当の効果をあげつつあることは御理解を願えると思うのでありまするが、それにつれて内閣のとりあえずの強化、これが運用、かつまた今日の政治は、御承知のように国民をして政治の実態を知らしめるという、いわゆるPR、広報の面においても考慮する必要がある、かような観点から、全面的には臨調の答申をそのまま実行することはいまの段階ではなかなかに困難な点がありまするが、それに一歩でも近づくというような考え方のもとに、今回の昭和四十一年度の予算におきましても、内閣官房長官のスタッフを強化するというたてまえで、予算の中にもまた内閣官房の規定を強化するという方針で目下検討を加えておりまして、これが成案を得ますれば、関係委員会並びに予算委員会の御審議を願って、第一段階としての内閣の強化政策をとってまいりたい、かように考えておる次第であります。
  37. 西村直己

    西村(直)委員 そうすると、もう一度お伺いしますが、これは副長官という制度をふやすのか、それとも補佐官という考え方か。補佐官である場合には何か特殊な考え方があるのか、内容があるのか、そこのところをひとつ承りたいのであります。
  38. 橋本登美三郎

    ○橋本政府委員 臨調の考え方は、内閣総理大臣の補佐官、ある意味においては一種のインナーキャビネットの形をとろうという考え方のようでありますが、これは全体の内閣行政といいますか、各省行政等とにらみ合わせませんと、直ちにこれだけをピックアップして活用することはなかなか困難がある。そこで、第一段階としていま検討中のものは、現在の副長官制は一応そのままにして、先ほど申し上げました各省の横の関係を調整し、これを促進し、能率化するというたてまえにおいて、いわゆる資格は、副長官のような資格を与えるのは特に考えようと思いますが、重要な人を配置して、これが能率化をはかる。  なお、他に、先ほど申しましたような国民とともに歩み、国民に政治の実態を知らしめるという意味から、いわゆるこの広報あるいは報道を兼ねた有力なるスタッフを官房長官のもとに持つ、こういう形で、必ずしもこれは十分であるとは考えておりませんけれども、ただいまの現状からもってすれば、この程度の改善がかなり有効なものになるであろうという想定のもとに、目下検討を加えておる、こういう状態であります。
  39. 西村直己

    西村(直)委員 いずれこの問題は、内閣において法律化されて国会に提案されると思うのでありますが、問題は、いま少し考え方をきちっと整理をしていただきたいと思うのであります。ということは、官房長官に従属する副長官であるか、あるいは内閣を強化していくための補佐的な作業に中心を置くかによってだいぶ性格が違ってまいる。いずれにしましても私の希望し訴えたいことは、いわゆる内閣総理大臣指導力というものを与える方法は、大事な段階ではないかと思うのであります。その趣旨をどう生かしていくかということについてごくふうを願いたい。各省行政がどうしても縦割りになっております。ところが、今日ほど総合調整、総合指導しなければならぬ、また総理大臣そのものが政府の施政方針演説の中でその決意を出しておられる段階であります。もまたそれについていくと私は思うのであります。そういう意味でひとつお考えを願いたいというのであります。  次の問題は、外交の基本の問題であります。外交の基本の問題に入りますにつきましても、最近私ども政府からいただきます材料等を通じましても、アメリカあるいは欧州各国におきましても、日本の外交姿勢に対する不満と申しますか、批判はかなり強くなっておる。これは何も私自体が言うのでありませんで、政府から配付になっております材料等を拝見しましても、そういう率直な翻訳を載っけてわれわれのところに配っていただいておる。それはどういう点かと申しますと、何も日本のとっておる、自由陣営に属しておる姿勢そのものがいいとか悪いのでなくて、それを何となく遠慮深く、あるいは慎重過ぎて、積極的な姿がちっとも出てないじゃないか、日本は工業国としては世界の三本柱の一つ経済的にはそういっておられる。ところがその面だけが浮かび上がって、その他の面においては積極性がないじゃないか、これは欧州の自由陣営に属するイギリスあるいは西ドイツ。またアメリカにおきましても、最近私が拝見しましたものでも、アメリカの「フォーリン・アフェアーズ」の編集長あたりの論文に、中立日本という論文を出しておる。日本——われわれは中立というものは、少なくともわが党並びにわが政府においては絶対にこれを幻想である、中立主義というものは幻想であるという姿勢をとっているのに対して、そういうような見方で批判をしておるというようなことに対しまして、われわれはやはりはっきりしたものを外交の上においても基本的にはもっと打ち出すべきじゃないかと考えておるのであります。日本においては、知識人がむしろ実際はリードし過ぎている、その知識人というものが狭い視野からいろいろものを訴え過ぎておる、そして国民というものは、民主主義という看板であるが、ただそういう集団的な中へ入ると無知になって引っぱられているじゃないか、こういうことを書いてあります。いまの「フォーリン・アフェアーズ」の編集長の意見をそのまま読みましても、政府のリーダーシップが弱く、また政治的に可能なことに対する視野と積極性が欠けておる、イニシアチブは左翼に握られたままであり、その左翼は、議会で実現できないことを街頭でなし遂げようとする、いわゆる議会主義を否認しているじゃないか、こういうような論評を率直にいっておるのであります。日本の安全は米国に保障してもらいながら、その保護を確実にするための手段をちょっとでも米国に与えることについては、ちっぽけな機関を起こすことさえもごめんだといっておる。要するにもらうものはもらって、払うものは一銭も払わないんだというけちな根性でやっておるじゃないか、この姿は中立日本じゃないか、自己主義日本じゃないか、こういうような論評を相当強くやり出しておる。それに対して総理は、今回の施政方針演説におきましても安全保障体制の問題に触れられまして、安全保障というものは、やはり現実の立場から見れば、もう日本の国民にとってはきわめてしあわせなものなんだ、大事なものなんだ、こういうふうにはっきり言っておられる。この姿勢は、もうはっきりしてきて私はけっこうだと思います。従来の施政方針演説よりは一歩前進をされておる。  しかし、まだ国内には安保解消論もあります。排撃論もある、あるいは有事駐留というような論をなす方々もあるのでありますが、一面私どもがちょっと心配しておりますのは、一九七〇年の危機、危機と言って、それをこわそうという人たちを中心に、いかにも日本にその機会に対決が起こるんだ、革命が起こるんだと、不安醸成をやっているような感じが私はしてならないのであります。このあえて日本人の中に混乱を起こし、対決の場を求めるというような動きに対しましては、私どもはこれははっきりした態度で封殺をしていかなければならぬ。一九七〇年というと昭和四十五年でありまして、政府あるいは国会は万国博覧会を開こうとしておる。   〔委員長退席、赤澤委員長代理着席〕  この万国博覧会のスローガンというか、目標は、たしか進歩と調和、こういうスローガンであります。そうすると、進歩と調和に対して対決を求める、破壊と混乱を求める、これはいわゆる国際的に信頼をかちえる日本の姿ではないと、私どもはこう思うのであります。そこで安保のいわゆる改定、改定というが、あの安保条約十条をごらんいただけばわかるのでありますが、七〇年がまいりました場合に、一方が意思を表明すればこれを解消し得る権利が発生する、こういう形になっているわけであります。したがって私どもは、わが党の立場におきましても、き然たる態度で、安保というものは現実的には日本の国民の、あるいは日本国の平和と繁栄の前進のためには大事なものだ、必要なものだ、これを不断に堅持、維持していくという姿勢、態勢、国民啓発、これをしっかりおやりいただきたいと思うのでありますが、総理の御所信を承りたいのであります。
  40. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 一九七〇年、いわゆる安保条約改定の年、これをめぐりまして、ただいま御指摘になりましたような議論が国内にありますことは承知いたしております。安全保障条約をつくりました当初におきまして、この条約ができれば日本が必ず戦争に巻き込まれるんだ、そして軍国主義化するんだ、かような非難を受けたものでありますが、今日さようなことはなく、このもとにおいて日本の安全が確保され、私どもが繁栄への道を歩んできたこと、これは高くそのまま評価してしかるべきものだと思います。問題は、私ども自身が自衛力を増強しながらも、なおかつ日米安保体制のもとでわが国の安全を確保していく、これが実は現実の姿ではないか、現実の問題として望ましい形ではないかということを、施政演説でも端的に披露いたしたのであります。しかしながら、国内におきましては、さような考え方について、あるいは民主社会党の、常時駐留をやめて有事駐留に切りかえろとか、あるいは軍事基地を整理しろとか等々の話がございますし、もう一つは、安全保障条約は全然不要なんだ、かような条約は締結の要なし、これを持つことは戦争への危険を必ずつくり出すんだ、そういう意味で、改定すべきではなく、これを廃止すべしという議論のあるのは、御指摘のとおりであります。それに対しまして私どもは、今日の国際情勢のもとにおいては、またわが国の力をもってしては安全保障条約は必要だ、これが現実の問題だ、かように考えております。その意味で、中身の改正はもちろんいたすつもりはございません。本会議でお答えいたしたのでありますが、一九七〇年までにはなお時間のあることでありますから、もちろんその間における国際情勢の変化に私どもが対応する態度を決定する、そのことを保留しながら、ただいまは変える意思なし、かようなことを実ははっきり申し上げたのであります。  もう一つ大事なことは、一国の安全を確保する体制といたしましての防衛力の問題は、これは、短期間の計画ではわが国の安全を確保する上において非常に危険だということであります。したがいまして、この安全保障条約のその期限が到来いたしました際に、ただ単に条文上のたてまえから、一方が通告しない限りこれは存続するのだ、こういうことだけで一国の安全は確保されるとは実は考えないのでありまして、やはり長期的な防衛計画というものは絶対に必要だ、かような立場で安全保障条約と取り組むべきだ、かように私は考えておるのであります。  申し上げるまでもないことでありますが、要約してもう一度申せば、この安全保障条約の問題に政府が取り組んでおります場合に、一つはその内容がどうなるかという問題、もう一つは、相当の長期にわたっての防衛計画を立ててはじめてわが国の安全が確保されるのだ、この二つの点を今後とも十分検討を続ける、こういう態度でこの問題と取り組んでいきたい、かように私は思っております。
  41. 西村直己

    西村(直)委員 基本においては私もわかるのであります。ただ、いまの総理のことばをとらえるようでありますが、検討を続けるというふうに、こうおつしゃると、国民は、何か中身を直すんじゃないかという印象をいつも持つのでありまして、問題は、内容については現状を堅持していくんだ、それから先については、一つは、いろいろ情勢もありましょうが、私どもは必ずしもあの条約をいじらぬでも、これは固まった意見ではありませんけれども、国家が意思を固め、相手が意思を固めれば、これは不動なものにもなっていくのであります。したがって、一九七〇年危機というものに対しては、危機はないんだというくらいの考え方で国民を指導なさっていただきたい、これが私の主張でございます。同時に、その裏としては、防衛力整備計画は、現在練りつつあるのは六ヵ年計画であります。六ヵ年ということは、一九七一年までたしかかかると思うのでありまして、これらとの総合から考えましても、政府並びにわが党の姿勢というものははっきりしているんだ、いわんや調和と躍進の世界的な行事も迎えようではないか、混乱と破壊というものは排撃するんだ、こういう姿勢を絶えず明らかにしていただきたい。  次に、われわれは国連との関係を考えなければならぬ。そこで、国連の安全保障理事国となった、また現在は議長国であります。そうなりますと、さっき申しましたように、外交においても能動的に出てくる場ができているわけであります。そこで、その国連でいろいろ問題が起こってきた場合において、わが国わが国なりに、たとえばとり得るものがあり得るのじゃないか。たとえば、かつてレバノンで紛争が起こったときに監視団に出ることを避けたというか、遠慮したというようなことは、当時いろいろこの国会におきましても問題になったのでありますが、現在はもう情勢が変わりました。もちろんわが国憲法としては、海外にそういうものが出ていくことは、憲法上の解釈としては私は十分出得る余地はあると思う。また政府もそういうお考えだと思うのですが、自衛隊法上問題は残るでありましょう。しかし、理事会で正式に決定してきたような場合、わが国もすべての諸般の情勢から、議長国なりあるいは理事国として動かなければならぬ、協力しなければならぬというような場合におきまして、監視団というようなもの、あるいはそれらに準ずるような事柄というものは、積極的にもちろん協力をしていかなければならぬような場合が起こると思うのであります。もちろんその場合におきましても、多少の意見は起こるでありましょうが、その点につきまして外務大臣はどういう御所見を持っておられるか、ひとつ聞いておきたいと思います。
  42. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 たとえばレバノンの場合をとりまして、あの際安保理事会が、当事国の同意を得て監視団を派遣するということになったわけでありますが、そういう場合どう考えるか、こういうお話でございますが、問題は、自衛隊法のたてまえからいって、これをいじらないとむずかしい問題があることは御承知のとおりでありますが、もし基本的に憲法上どういうことになるかという御質問であれば、憲法上は私は差しつかえないものと考えております。  なお、法制局長官の意見も徴して……。
  43. 高辻正己

    ○高辻政府委員 お答えを申し上げます。  御指摘がありましたとおりに、昭和三十三年のことでございますが、レバノン国連監視団というものが組織される計画がございまして、実はわが国にもそういう連絡がございました。実は、結論的に申せばただいま外務大臣が仰せのとおりでございまして、当時からレバノンの国連監視団というものは、その使命は、レバノンの国境を越えて人員や武器等資材が不法に浸透される、それを監視をする。監視をするにつきましては、専門家でないとぐあいが悪いので、これは部隊ではなくして、特定のそれぞれの国の将校何名かを加えてその任務に当たらせよう、こういうわけでございます。したがいまして、武力の行使を否認しております憲法九条の問題ではない。問題があるとすれば、むしろやはり御指摘のとおりに、これまた御指摘がございましたが、自衛隊法上そういう任務を、いまの自衛隊法の上からいいますと、自衛官に与えられているというふうには直ちには見られないではないかというようなことから、自衛官がそのままの立場で行くことについては問題がありそうだというのが、当時の結論でございました。このような関係の使命は、国連の活動の分野には実は幾つかの例がございます。それと同じような例であります限り、御質問の中にもありましたし、外務大臣の答弁の中にもありましたように、憲法上の問題はない、自衛隊法上もしくは政策上の問題として考慮すべき点があるとすれば、それだけである、こういうふうに考えます。
  44. 西村直己

    西村(直)委員 ここで時間をかけて論議をするということもどうかと思います。法理論の問題もありますから。ただ、私は、憲法上の問題としては別に何ら差しつかえない。自衛隊法上問題があるがという場合におきましても、国連が決議をして、いわゆる国連の指定する自衛隊外の団長の場合に専門家として参加していくような場合、場合によっては身分を変えて外務省所属で行くというような場合におきましては、私は、監視団に参加することは差しつかえない。その程度のことの協力さえもしないでいくということ自体が、それじゃ国連に協力していくということを口ではしゃべっておるけれども、何ら行動においては協力の姿勢が出てこないというような点が、私は考えられるのではないかと思うのであります。これは、多少野党においては論議はされると思いますが、政府におきましても将来に向かって所信をはっきりおきめ願っておきたい問題であります。  それからベトナムの問題で、国連の安保理事会でいまアメリカが提案し、松井大使、議長としてたいへん御苦労であります。私は、この国連の場におきましてああいう提議があったということ自体、あの広い国連というものが、何といっても世界——弱いとはいっても、世界の共通の場であります。平和維持の場であります。そこでいろいろ論議されることは、まことにけっこうなことだ。アメリカけしからぬというよりは、むしろけっこうなことだ。そうしてそこでもって事実を明らかにしてもらいたい。言いかえますれば、南ベトナム、あるいは紛争に対するたしか監視委員会がある。その監視委員会からも、数回にわたって北からの侵略というものを盛んに報告をしておる、正式に報告をしておるのであります。北爆停止中でも、御存じのとおり侵略がある。侵略があるから、そこに反対行動が起こって、平和と自由を守っておる。この事実を明らかにしていくならば、国民というものはわかってくれる。世界の国民もわかる。正しい事実認識のもとにこの理事会が動いてくれることが望ましい。そういうような場を活用することが、また議長日本としての正しい姿ではないかと思うのであります。これに対しまして、総理大臣ひとつお考えを……。あるいは外務大臣でも——外務大臣にひとつやってもらいますか。
  45. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 御指摘のとおり、北からの絶えざる浸透行動が、あるいはまた侵略が行なわれておるということに問題があるのでありまして、これを排除するためのアメリカの軍事行動が非常に目立っておるというだけの話なんで、片一方はゲリラでやる、片一方は正規の軍事行動をとるということで、どっちかというとアメリカの軍事行動のほうが目立っておる。その表面だけを見てベトナムの問題を判定するということが間違いであるということは、われわれは絶えず主張し続けてきておるとおりでありまして、全く御同感でございます。   〔赤澤委員長代理退席、委員長着席〕
  46. 西村直己

    西村(直)委員 次に、対ソ関係で椎名外務大臣が行かれまして、領土問題と、それから日ソ航空協定を結ばれたのでありますが、今回の総理大臣の施政演説を拝見しましても、いかなる国とも共存をしてまいりたい、こういう考え方が述べられております。それから平和共存ということばも使っておられます。平和共存と、同時に安全保障体制の堅持、こういう二つの外交路線がはっきりしておるのであります。ただ、倉石議員から本会議でもありましたとおり、平和共存の本質については、いろいろ論議はあるでありましょう。たとえば、私どもは、平和共存といいましても、あくまでも平和共存には内政不干渉、相互の立場尊重という、しっかりした原則が絶えず立っていかなければならぬ。そこで、その平和共存、内政不干渉というような場合におきまして、政府としてもやはりこの内政干渉という事実が明らかになった場合には、ぴしゃっと態度をはっきりしてもらいたい。たとえば先般の日中友好大集会というか、三百人だか五百人だか、青少年が招待状を受けまして、そしてしまいには旅券を出さなければ外務省をどうするとかいって、あそこへすわり込みをやっておる。そして向こうの要人の発言を拝見いたしますと、日本の革命はいよいよ近いのだ、諸君よしっかりしろ、諸君とは仲よくやって、お互い人民同士で新しい日本、新しい中国をつくろうじゃないかとあおる。それから今度は、安保は反対しろ、原潜は反対しろ、日韓条約は反対しろ、やあそれはやるのだといって、頭の弱い人たちはそれで洗脳されて、一生懸命になって内地に帰って活動家としてやるのであります。中年層の者は、行ってみても、それはある程度しか受け入れられないからあまり効果はない。しかし、これに対しては、その関係した国は三億円を使ったとか、大成功であったとかいって、また今後も続けていこう、こういう体制であります。  そこで、私どもは、こういったような今後も続くであろう招待外交というか、人事交流というか、平和の名に隠れた一つの内政干渉的な問題が起こったときにおいて、たとえば政府から黒白を明らかにして言ってもらうこともいいが、もう少しきちっとした体制を事前に用意される必要があるのではないか。外務大臣、この旅券発行等について、そういう場合においての何か基本的考え方をお持ちであるか、ひとつ聞かしていただけますか。
  47. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 旅券発行の事務は法務省でやっておりますが、しかし、この問題については外務者も関係しておりますから、御質問でございますからお答え申し上げますが、これは事後にわかった問題でありまして、事前に多少そういう気配が察せられないことはございませんけれども、それが表面にあらわれてない。それで、ただ招待に応ずるというような形でこういう問題が起こるのであります。旅券発行の問題につきましては、今日の国際情勢といたしまして非常に緩和されてきておる、そういう情勢でもございますので、当初これはきわめて友好的な招待である、こういうふうに解釈をしておったのでありますが、だんだん途中から実態が明らかになってまいりましたので、関係各省と協議して、この問題に対して制限を加えるという措置をとった次第であります。
  48. 西村直己

    西村(直)委員 法務大臣にも旅券発行につきまして……。
  49. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 日中友好関係で中共に招かれてたくさん参りましたが、その状態は、報告によりますと、たいへんな歓迎と申しますか、国をあげてというくらいな歓迎を受けたようでございます。それがどういうふうな影響を及ぼしますか、ただいまその状況をまだつまびらかにしていないのでございますが、これは両国の国交にいい影響を及ぼすか、あるいは悪い影響を及ぼすかということにつきまして、私どもは十分な研究をいたしたいと思って注意をいたしております。
  50. 西村直己

    西村(直)委員 私の党を代表して言わんとするところは、もちろん政経分離の原則のもとに友好親善というか、経済拡大をするとか、いろいろなことは必要でありましょう。しかし、あくまでも内政不干渉、相互立場の尊重という原則のもとに、こういつたことは政府としても指導性を持ってぴしっとやる。行かせるものは行かせる、そのかわり行かせない者は行かせないという、きちっとした姿勢を不断に持つように努力をしていただきたいのであります。どうせ一部の人たちのやることは、秘密裏にやります。事前にすっかり用意をして、その指導を与えてわっとくるのでありますから、政府のほうはあとから後手後手で、ただ事後の収拾になる。そうすれば、政府は妨げているのだ−だから、事実中共におきましても、日本の反動政府は諸君の来ることを妨げるじゃないか、こればかしを宣伝しておる。そうすると、政府はけしからぬのだと、行った者も感謝しない。これではいかぬ。行った者は行った者なりの意義があるならば、日本の国益になるならなるという意識のもとに行かせる。これはいいと思います。  次に、私は時間がありませんから、日ソの問題について二点お尋ねします。  日ソの問題は、先般外務大臣が行かれて、日ソの間で親善友好、たとえイデオロギー、政治体制が違っても、日ソの間であそこまで相互の信頼が増したということは、日本、また世界平和のために、私は非常にけっこうだと思います。そこで一つ領土の問題でありますが、領土につきましては、国後、択捉を返してもらいたい、おれのほうの固有領土だ。ところが、あちらさんは、解決済みだ。その間における問題は私どもも聞いておるが、そのとおり受け取ってよろしいのでありますか、外務大臣どうですか。
  51. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 ソ連は、大戦の前後を通じてかなり領土が膨張しておる。単に日本の固有の領土である国後、択捉が云々というのじゃございませんで、ドイツとの関係、あるいは東欧諸国との関係、あるいはバルト海沿岸地方、いろいろその領土については相当拡張を見ておるのでございまして、これら一帯についてきわめてかたい考え方を持っておるのではないかと私は考えたのでありますが、しかし、日本としてはこれ以上日ソの関係を無限に進めていくというような希望は持てない。それはなぜかというと、領土を含めて平和条約の問題が解決しておらない。であるからして、より高次の日ソの関係をつくり出して、そしてそれによってより大なる利益をお互いに享受するという、つまり新しい開拓をする上において、少しぐらいの犠牲はお互いに払ってもいいのじゃないか。われわれは、日本の国民だれ一人としてこの問題に対しては納得しない。この問題を迫ったのであります。しかし、これは解決済みであるということで、それ以上どうも話が進まないというのが現状でございます。
  52. 西村直己

    西村(直)委員 そこでお聞きしておきたいのは、沖繩、小笠原と関連しなければ返さないという考え方がソ連側には出ているのか。この間も国会の本会議の討論で一部の方がこういう発言をされたように思いますが、日ソ関係は日米関係である。言いかえれば沖繩、小笠原というものをアメリカががんばっている以上、あくまでも国後、択捉は返さぬのだ、そこまで規定づけてしまっている。そうじやなくて、あくまでも日ソの問題は日ソの問題である。中共にも関係なければ、アメリカにも関係ない。日ソ間においての話、向こうは向こうで、それはおれのものだと言うし、こっちはおれのものだと言う。そういうふうに解釈してよろしいのかどうか。
  53. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 御指摘のとおりでありまして、他の日本の領土に関連したような考え方は、会談の上では寸毫もうかがうことはできなかった。
  54. 西村直己

    西村(直)委員 その点でありますが、私どもは第三国の関係ではない、あくまでも日ソ日ソの関係だ、こう思うのであります。ただ、ソ連には共産党という政党があります。それがやはり日本から行く諸団体等には働きかけをいたします。私の持っておる材料、これもあるいは情報にすぎないとおっしゃるかもしれませんけれども、ハバロフスクにおきましても去年大集会がありました。その場合に、事前に日本から行った主要役員、もちろんこれは団長は加藤勘十さんでありました。そうして総評中心の団体が行かれた場合に、主要役員が五名ほど、あるいは六名ほど出られる。ソ連のほうからは、どうせ党でありましょう、代表が出る。こういうソ連側には強い要望があった。私どもにはこういうように材料としていただいておる。それは第一には、共産主義運動発展のためには、中共や日共などに対する批判というものは、一切この場では、今回の集会では行なってもらいたくない。もう一つは、北方領土については、これは安保条約、アメリカの軍事基地問題との関係があるんだからということを日本国民に理解を深めさせるべきだから、単に北方領土問題だけを取り上げることは危険であって、お互いの国の友好関係を阻害するのだ、こういうふうな指導というか、要望を強くやる。これはもちろんその行かれた方々に対しては、おそらくそういうことじゃないのだという議論があったそうでありまして、この提案は不満足であったそうでありますけれども、結局、最終的にはうやむやになったというか、押し切られたというふうなかっこうになっておるように、私どもはそういう材料を持っておるのでありますが、私どもは、あくまでも日ソ間は日ソ間の問題だ、中共にもアメリカにも関係ない問題で、平和共存であり、親善友好であり、そういう共存体制を持っていくんだ、この思想は貫くべきだと思います。領土問題においては、まさにこれは大事な点であります。もう一度椎名外務大臣の御答弁を承りたいのであります。
  55. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 私も、一体この問題に対して中共がどういうことを言っておるか、あるいはまたソ連が、かつてそういう集会か何かの場合にどういうことを言っておるか知りませんけれども、とにかくそういう問題は、これは、関係のない問題である、あくまで日ソの問題にこれは限定して考えていくべきものである、こう考えておったのでありますが、会談の経過はまさにそのとおりで、向こうは何にもそういう問題に対しては言い出しません。
  56. 西村直己

    西村(直)委員 次に、日ソ航空協定の問題でわれわれが関心を持つのは、暫定運航であります。共同運航と申しますか、これはやむを得ないと思います。しかし、その場合におきましても、二年間というものを強い要望をして、シベリア開放をせよ、またそれは了承した。これをどうしても私どもは二年以内に努力をしていただきたい。そうしませんと、暫定運航とは申しながら、事実上はこれは商務協定を結びまするというと、ずるずるずるずるそこに事実上行なわれていく。そうすると、急にそれじゃやめようといったところで、北極回りに基地の配置であるとか、いろいろ経済上の問題であるとか、また国民あるは両民族の便益等から考えますと、事実不平等な形が行なわれているものの切りかえが困難なんであります。その点が、これはいずれ協定が国会へ出てまいります場合にも一つの論になるでありましょうが、この点につきまして、政府としては不断に、二年以内に実現をしてもらうのだ、この決意については強い決意をお持ちになって、今後も努力をされるかどうか、その点をお伺いしておきたいのであります。
  57. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 この問題は、すでに航空協定の審議の際にも十分に両国当事者間において論議された問題であり、その論議の内容について、向こうは向こうとしてしばしば請訓をいたしまして、本国の訓令によってだんだん固めて、あのような状況に落ちついたわけでありますが、しかし、私も向こうに参りましたのをいい機会として、グロムイコ外務大臣に対しましても、あるいはロギノフ民間航空大臣との会談におきましても、いろいろ御承知の経過を経て、二年以内ということをわれわれは強く要望しておる。これに対して、貴国の反応はこれを了承する——了承というそのことばは、日本語と向こうじゃ少し違うようでありますが、同意ということじゃないらしい。同意するに近い意味の理解のようでありますが、そういう回答を得て、そしてわれわれは、ぜひ二年以内に本格的な乗り入れを実現するようにしたいというのが、日本全体の世論である、であるからして、もう協議はこういうふうに固まったから、ばか念を押すわけではないけれども、どうぞこれに狂いのないように、外務大臣としてもあるいは民間航空大臣としても、今後ともひとつ大いに努力していただきたい、必ず二年以内に実現するように努力していただきたいということを申し入れまして、向こうはその点は了承したということになっておるのであります。
  58. 西村直己

    西村(直)委員 これは今後の交渉事項でもあるし、ソ連側の努力を信頼する以外にないのでありますが、日本の側としては、不断に決意を持って努力をしていただきたいということを申し上げたいのであります。  この機会に、運輸大臣はあるいは運輸委員会に行かれると思いますから、先ほどの航空事故の問題に関連して一、二お聞きをしておきたいと思います。  先ほど私が申し上げました点の中で、ボーイングはたしか国内に七機——あるいはまだ発注をしておるかもしれませんが、今後ボーイングを使っていくのか。もちろん経済上は使わなければなりますまい。そこで、それに対して、使うほうとしては、ボーイングはあぶないじゃないか。アメリカで三回も事故を起こしておる。あの機種あういう構造から見ると、ジェット機であって、しかも滑走距離は短い。したがって、急激な下降をする。こういうような場合に、はたして安全であるかという不安感がある。しかし、運輸大臣は、新聞で拝見すれば、これは使っていくのだ、こういうふうな御発言をなさっておるようであります。そうなれば、先ほどたしか民社党の春口委員からでしたかお話があったと思いますが、特別にこれに気をつけるとか、早く原因を確かめるとか、そういう点についてひとつ正式な御発言を願いたいのであります。
  59. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 今回事故を起こしましたこの飛行機は、御承知のように、非常に新しい飛行機でございますし、世界各国の航空企業も十数社、しかも二百数十機にわたってこれを現在使っておる飛行機でございます。アメリカで先般三回か事故があったというようなことでございますが、その調査の結果も、二回は操縦の誤りによる事故であったというような結論になっておるような事情でございまして、大体この機種は、安全度がやはり非常に高い飛行機である、これは世界航空界の常識でございます。しかし、不幸にして今回事故は起こしましたが、この事故が起こりましたことによって、今後直ちにこの飛行機を使わないという考えは、現時点では持っておりません。しかし、先ほど申し上げましたように、民間の権威等を含めまして事故原因を十分検討いたしました結果、もしも将来不安があるというようなことであれば、それはそのときさらに考えますけれども、現時点におきましては、この飛行機は決して不安な飛行機ではないという見解が、これが世界航空界の常識でございますので、その線に沿って、使っていくというたてまえをとっておることを御了承願いたいと思います。
  60. 西村直己

    西村(直)委員 総理大臣にも先ほど御答弁願いましたが、ちょっと私の質問の趣旨をまあ御理解いただけなかったと思うので、ちょっと食い違いがありますので、その点を明らかにしたいと思いますのは、実は、日本航空輸送行政と申しますか、これが何といっても立ちおくれがありまして、今日再編成の問題でも、非常な問題が残っておる状況です。狭い国土の中でもって民間航空と申しますか、国内だけでも三社、ローカル線を入れると数社ある。これは漸次整理はしていかなければならぬ。しかし、その間において、今度は航空機工業のほうもストップをかけられて、二十八年ごろからたしか再開したと思います。そこで、日本の潜在工業能力というもの、あるいは輸送技術というものについては、相当な自信は持ってしかるべきだ。しかし、これを行政の面からうまくリードしていかなければいけない。しかし同時に、これは民業とからまりますから、経済上のいろいろな問題もある。さっき申し上げたのは、私は実は、純粋のジェット機をこの国内の短いところで走り回らせることは、経済上も損なら、ちょっと羽田から上がれば、すぐもうおりなければならぬ。そういうようなところで、非常な金がかかって、しかも緻密なものを、何もぱあっといくようなものを導入するというようなことよりは、むしろターボジェットぐらいでやるほうがよかったのではないか。また、当時私ども個人としてはそういう考え方を強く持っておったが、不幸にしてピュアジェット化してしまった。それはそれなりで今日やむを得ないとしましても、今後、国産機——YSならYSというものがいま優秀である。しかし、これに対しても政府は、航空機製造株式会社等をつくられて、国策会社をつくられて、財投等も入れておるが、たとえば開発費のようなものを価格の中にはうり込んでおるのですよ、五十億円の。それだから、なかなか輸出においても、ユーザーといういわゆる官庁方面でも、財政のたてまえからそう簡単には買えない。いいものをつくっても、量産できなければ詰まってしまう。こういうようなところも関連いたしまして、輸送と生産、こういうものを一体的に考えながら、一運輸省、一防衛庁、一通産省というような行政の縦割りの中でそれぞれがそれぞれの利害の立場から言う以上に、ひとつもう根本的な国策立てるべきではないか。私は、そのピュアジェットを日本の国がすぐ取りかかれという質問じゃございませんで、むしろ後手後手国策がついていくようなことだと、行き詰まってしまいやせぬか。こういうような機会に、ひとつ総洗いして立て直してみたらどうかというのが、私の質問であります。それには具体的にはどうしたらいいのかといいますと、航空審議会というものもある。航空機工業審議会というものもある。各省ばらばらにあるわけであります。もちろん、民間人は専門家がそれぞれ参加しておりましょう。それを統一的に内閣のもとで強化して、財政当局の大蔵省あたりも加えて、ひとつ抜本的にやってみたらどうか。出すべき金は出す、落とすものは落とすという姿勢でリードされたほうがいいのじゃないか。こういうのが私の構想でございまして、したがって、必要あればそういうものの合同の、政府中心部に大きな国策を起こすというか——国鉄でありましても、ああいう国鉄基本問題懇談会というものをつくりまして、一応方向づけをしたのであります。航空は、もう今日は、一ぺん落ちれば全部死ぬというような危険性を持ちながら、しかし時代の要請であります。そういうような姿勢で、何か基本的にお取り組みになる組織をお持ちになってスタートをお切りになったらいいのじゃないか、こういう質問でございますので、御所見がありますれば、承りたいのであります。
  61. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 ただいまのお話のように私は先ほどとりまして、別に誤解はしておらないつもりです。それでお答えしたのです。経営上の問題は、日本国内が幾つの会社がいいのかというようなこともしばしば論議されて、ただいまは小業者等も合併して三つの形態でやる、こういうような話になっていると思います。これは、現状においてはまずこの程度でよろしいのじゃないかと私も思っております。  問題は、いまのターボジェットで、ピュアージェットはなるべくやめろ、こう言われましても、それはもうピュアージェットのほうが利用が、みんなスピードアップを好んでいるのですから、大阪行きにいたしましても、やはりジェット機が喜ばれておる。これはもうターボジェットの時期じゃないというのがいまの状況でございます。したがって、利用者の立場から申せば、国土も狭いけれども、これはもうジェット機がぜひほしい、こういうような考え方であります。  ただ、それじゃ日本航空機製造事業はどうなっているか。これは、ピュアージェットをつくることがたいへん技術的にも、また資力的にも困るような状態だ、だから、なかなかピュアージェットの生産までには踏み切れない、ただいま言われるように、航空機製造事業をもっと発展させなければならない、ターボジェットで満足すべき状態じゃない、国産ピュアージェットもひとつ考えろ、それには開発費などの点において政府自身がこれを助成しろ、これはひとつのりっぱな考え方だと思います。しかし私は、いまの国際的な視野に立ってものを考えてみますると、先進国では、ジェットの点においては非常に格段な進歩を来たしておりますので、これを追っかけていくということは非常に困難な状態じゃないかと思います。そういう意味で、先ほどのようなお答えをいたしたのであります。  ただいま国産機、これは自衛隊などでもいろいろ必要が叫ばれており、また利用されております。しかしながら、非常に高性能のものについては、今日どうも情けないかな、わが国産にたよるわけにいかないというのが現状ではないか。それを、それでは今後どのくらい期間をかければ追いつけるのかと言われると、そこにはまずこの技術上の開きは簡単なものじゃないのだ、こういうように技術者も考えておる、かように私は存じておるのであります。そういう意味から、ただいまの航空機製造についての今後の方針等、もっと国産も高度のものにしろ、こういうように言われるが、同時に高度のものを考えるという、そういう努力をしながらも、なかなか追いついていけないのが現状ではないか、かように私は思います。私は、この国土の狭いところでジェット機を使うことは不適当だ、かように言うことはないんじゃないか。ただいま北海道へ行き、あるいは九州に飛び、また関西に飛んでも、やはりジェット機の利用度というもの、また利用客のほうからも非常に好んでおられる。もうフレンドシップとジェット機が同じ航空路を飛んでいる場合には、フレンドシップのほうには客は行かないで、わずかそれが十分早いというこのジェット機にみんな吸収されるのですから、その辺のこともやはり考えていただきたいと思います。とにかく技術の進歩、それを万全に使うということが今日私どもの生活を向上さすゆえんでもあり、またそこにわれわれの進歩があるのだ、かように私は考えますので、今後の方針決定においても、ただいまのような考え方で取り組んでいただきたい、かように思います。
  62. 西村直己

    西村(直)委員 いずれこれは運輸委員会等の問題になりますから、私どもは避けますが、私の考えは、ピュアージェットは結局こういうことです。いまピュアージェットはもう事実上使っておるのですから、これをやめろという考えはありません。ただ問題は、ターボジェットをせっかく開発して優秀なものをつくりながら、ああいうものをつくっても、開発費をしょわせて売ろうとか、使わせようとかいうようなことになる間に、またこれが時代が古くなっていく、こういうような点でも航空機工業とユーザーである運輸省的の立場と、よほどうまくからみ合わせていくということが必要ではないか。そういうような意味からも、単に行政の縦割りの中で解決するには、航空輸送行政、生産行政両方とも大事な問題で、基本的にお取り上げになっていただきたい、こういう気持ちでございます。  次に、財政経済の運営の基本問題を取り上げたいと思います。これは、主として大蔵大臣と経企庁長官の問題でありますが、今日、一つは、こういう財政転換をなさいまして、公債を導入する、大幅減税をやる、非常に私はこれは一つの大きな構想である、またこれを与党の立場からはぜひ成功させたい、こう思うのでありますが、今回の財政転換におきまして、一つ説をなす者は、こういう心配を持っておる。今回の財政並びに財政投融資規模では、需給ギャップが相当開いておるのだ。言いかえれば供給力が相当あるのだ。それに対してこの程度の財政刺激では、いかに大蔵大臣が財政上の主導型がフィスカルポリシーだとおっしゃっても、なかなか景気はそう簡単に立ち直りませんよ。去年の秋までには直すのだ、ことしの春には直るのだと言ったが、大蔵大臣の御発言はまた延びて、ことし一ぱいはだめなんだ、これは本会議の演説にも多少そういう趣旨のことがあらわれている。言いかえれば、下からの需要を起こせ、こういう論に対しては、私は私なりに意見がありますが、そこで、どの程度に供給力を見、ギャップをどの程度に見るか、通説は、三兆円くらいのギャップがある。これに対して、三兆円くらいのギャップに対して追いかけていかなければならないじゃないか、これは数字的にいろいろ計算のとり方はあると思いますが、私は現在の公債、財政の規模一七・九%をふくらませ、財投をたしか二五%かふくらませたあの規模が、いまの経済下においては、その消化力から一切を考えてぎりぎりの線ではないか。そうして、今度はそれの使い方の問題で、大蔵大臣は、おそらく公共投資の促進として刺激をやっていけば十分に間に合うのだ、需給のギャップは埋められるのだ、あるいはギャップがあっても、後年度に向かってだんだん埋めていくのだというそこらの点をはっきり御説明願いたいと思います。言いかえますれば、今回の予算は、景気は必ず立ち直るのだということを国民は聞きたいと思います。またその景気は、いつごろをめどとして立て直していくのか。確かに現在でこぼこには直りつつあります。ある程度少し上向いてきたものもあります。まだ浸透していないものもあります。いろいろありますが、その点をまずお聞かせを願いたいと思うのであります。
  63. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 ただいまお話しのデフレギャップ解消論、こういうことのあることはよく承知をいたしております。ただいま非常に大きな設備過剰がある。つまり生産力が遊んでおる。この生産力をフルに活動せい、こういう議論であります。しかしながら、ただいま私どもが当面しておる問題は、かねて申し上げておりますように、二つあるわけです。一つは、当面しておる不況を解決する、しかし同時に、この不況を回復する過程を通じまして、経済の安定をはからなければならない、こういうことであります。いま遊休設備がどのくらいありますか。これは、遺憾ながら正確な統計がありませんのでわからないのでありますが、あるいは三割あるのだ、遊休供給力が三兆円も遊んでおるのだというような説がありますが、かりに三割設備が遊んでおる、こういうふうに考えると、稼働率は七%ということになるのです。これを一挙に埋めて一〇〇%まで持っていく必要はもちろんないわけですが、九〇%まで持っていく、こういうことになりますと、二〇%の経済成長を必要とするということになるわけであります。二〇%の経済成長を一年のうちにやり遂げるということになったら、一体どうなる。これは、また再びわれわれが過去数年間に経験した以上の大きなひずみというものを巻き起こす、救いがたいような状態を現出するということにつながってくるわけであります。そういうことはできるものでもありませんし、また、することは適当なことではないのであります。そういうことを考えますと、デフレギャップの問題は、時間をかけて解決していかなければならぬ。それに向かって着実な動きを昭和四十一年度は示していくべき年にしなければならぬ。こういう基本的な考え方に立っておるわけであります。  そういう考え方から、昭和四十一年度におきましては、安定成長率といわれる七、八%の成長を達成する。これじゃ一年の間だけではデフレギャップは解決しませんけれども、さらにまた安定成長速度を四十二年度にも四十三年度にも続けて、ひずみなき当面の経済問題の解決をやっていこう、こういう考え方に基づきまして、ともかく四十一年度は七・五%の経済成長を達成する。七・五%の経済成長を達成するという場合におきまして、経済要因はどういうふうに動くであろうか。消費はまず四十年度のような動きを示すであろう。輸出は一〇%ぐらい伸びるであろう。そういう際に財政が働きを示さなければならぬ。その働きを示すべき規模は、これは民間投資が横ばいであるというふうに想像されるに際しまして、それを補って、しかも七・五%の成長を達成する規模でなければならぬ。そういうふうに考えまして、一般会計におきましては四兆三千億円、また、地方財政におきましては四兆一千億円、財政投融資二兆円、こういう規模をきめ、この規模の財政が国民経済の動きの中において占める地位、これは二三%でございます。その場合は、設備投資が、過去におきましてはそのような地位を占めておったのですが、今度は転落いたしまして、一五%ぐらいになる。そういう形で財政が七・五%の成長の中心的な指導役をつとめる。こういうふうな考えのもとに予算を編成しておるわけなんであります。  しかし、実際問題といたしますと、七・五%の成長が、上半期はそう動きがなくて、下半期に集中して達成されるのだということになりますと、下半期半年の間に七・五%の成長を達成したのでは、これは年率七・五%にはならないのであります。したがいまして、七・五%の成長を達成するためには、もう上半期から相当の動きが始まらなければならぬ。そういうような見地から、公共事業費を中心といたしまして、その支出を、また契約を上半期に集中する、こういう考え方をとっておるわけであります。幸か不幸か、四十年度について見ますと、支出が非常におくれておるのです。公共事業費の上半期の支出がわずかに二八%であります。七二%というものが下半期に集まっておるわけであります。しかも十二月以降にその支出が行なわれる、こういう状態になってきております。したがいまして、ここ年度末までにこの財政が経済に与える影響というものは、相当顕著なものがあるだろう。それが、私はそのまま四十一年度の上半期支出促進に乗っていくという形にすべきである、こういうふうに考えておるのでありますが、いま内閣に公共事業等実施推進本部をつくって、これを現実のものとして実施していきたい、こういうふうに考えておるわけであります。景気は秋よくなるのだとか、あるいはいろいろな見方がありますが、私は秋に景気がよくなると言うのじゃない、今日からもう動き出していかなければならぬ、新年度に入ったならば、相当顕著なる形で景気回復、つまり成長が上向きに転じたという勢いがあらわれてこなければならぬし、またあらわれるであろう、こういうふうに確信をいたしておるわけであります。
  64. 西村直己

    西村(直)委員 この問題につきましては、おそらく他の議員の方からも相当議論が出ると思いますが、私ども政府・与党一緒に予算を協力し合った考えのもとでありますから、これ以上論をとりませんが、特にこのような問題は、大きな数字でありますけれども、たとえばデフレギャップがどのくらいあるかというような見方の違いもあります。それから、これは党をさして悪いのでありますが、社会党の御方針、政策を拝見しますると、下から盛り上げろ、所得税をもっとうんと減税しろ、低生産性部門にはもっと金を出せ、それから同時に公債は反対なんだ、それで賃金を上げろということになると、どこにその財源をとるか、こういう問題になってくると、お答えがないように思うのです。いわんやその上に私どもが心配しておるのは、デフレギャップというものを徐々に埋めていくんだというような考え方ならわかるのでありますが、急激にこれを数字的に無理に計算をしてきて埋めようとすると、今度は逆にインフレというものを起こす。たとえば、都市を中心に賃金が上がれば、農村なり低生産性のサービス業等がとたんに一緒についてくる。そうなれば結局はまた収益がなくなるから値段を上げるとか、あるいは倒産が続くとかいう現象が来るのでありまして、よほどこの点は政府は御自信があるのでありますから、国民に積極的な御説明を不断に願いたい、景気が直るのだと。  もう一つ大事なのは、むしろ私は予算は絵に描いたもちだと言っているのであります。問題は、これをどう食べていくか、消化していくかの問題であります。そこで、公共投資の推進という問題がたいへんな問題だと思うのであります。ところが、この公共投資の推進にあたって、契約は六〇%というが、支出についてはまだはっきりおきめになっておらないのか。一時、支出は上期にたしか四〇%ぐらいにいくかどうかというような話も出ておりましたが、私どもが新聞で拝見するところでは、契約を六〇%ぐらいしたいのだという、その点はどういうふうになっておりますか。
  65. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 経済の動きと関係が特に密着しておりますのは契約なんです。契約が行なわれますると、そこで民間経済活動が起こってくる、こういうことに相なるわけであります。支払いは契約の、またそれに基づく工事実行の結果として清算的に行なわれる、こういうものでありまして、経済の動きとの関係におきましては、これは第二義的なものである。そういう関係から契約中心主義ということをとったわけであります。契約が六〇%上半期に行なわれる、そういう際における支出は、おそらく四〇%を相当こえるということに相なろうと思っております。
  66. 西村直己

    西村(直)委員 地方財政のたてまえから見ますと、知事会議もなさるようでありますが、もちろん早く計画を立てて、そして補助金などを早くきめてもらわなければならぬ。この準備はだいぶ進めておられるようでありますが、特に国債を出していく、そうして仕事をする、これは今後安定成長を目ざしている中において、二年、三年は国債政策を続けて、景気の上昇いかんによっては、これを弾力的に将来扱っていく、こういうことでございますから、その面では国債政策は理解できるが、国が国債政策をとる、地方財政は、今年度はたしかいろいろな特例の方法で手当てをしておる、特別起債であるとか、あるいは特例交付金四百十四億円、それでやっておる、暫定措置的なものをとっておるというような場合に、今後国債で建設事業というか、公共事業をやる。その場合には地方負担というものが出てまいります。その地方負担というものは、地方財政のいまの現状あるいは方向からいきますと、どうしてもそう急に豊かにはならない。そうすると、地方債というもので受けていかなければならぬ。そのような場合に、地方債の消化はもちろん、資金全体から考えていくというふうに政府は御説明になるでありましょうが、国債の金利というものは地方債より安いのです。そうすると、地方債は地方銀行等は受けても——国債を地方銀行が受けた場合に、金利を少しでもよけいもらいたい、少しでもそういうものに——弱い立場でありますから、圧力をかけるようなことになると、地方債というものは困難になりやすいとか、あるいはおくれがちになりやすい、受け入れ態勢が延びていく。そうなるとなかなか支出促進と申しましても、地方財政とのかみ合わせをよほどしっかりおやりにならぬとおくれていくじゃないか。  立ちましたついででありますから申しますが、昨年追加投資をなさった、七月二十七日ですか、私は党の立場から——総理大臣、大蔵大臣は一生懸命号令をかけておるけれども、お役所の社会にはそれぞれやはりしきたりがありまして、上のほうで言われたことが下まで浸透する間にその施政が半年くらいかかってしまう。そこで追加需要が具体化したのは、波及効果を持ってきたのは、かなりおそかったと思うのであります。今回そのあやまち一と言っては失礼だが、そういうものは起こさないようにしてもらいたい。実はあのとき、私ども総理大臣本部長にした不況克服本部ぐらいつくったらどうだということを正式に文書で申し入れたぐらいであります。各省が行政の縦割りでありますから、そういう意味でよほどこれはがんばっていかないと具体的浸透がない、こういう点を私は心配しておる。  もう一つは給与の問題でありますが、公務員のベースアップというのがどうしても当然ついてまいる。その場合に、地方財政としては、やがて年度途中に公務員ベースアップが来るであろうといって、そこのところをふところ勘定をしながらやっておりますから、今度のような場合におきましても及び腰になっている。こういうことも考慮にお入れになりながらやっていかなければならぬと思いますが、御所見はどうでありましょうか。
  67. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 地方財政の面が国と一体となって財政経済の運営に重要な役割りを持っておるわけなんです。これはもう地方、中央一体という考え方で立ち向かわなければならぬ、そういうふうに考えております。昭和四十一年度の予算の編成にあたりましても、そういう考え方を貫いたつもりなんでありますが、従来ともすると地方財政はあと回しだ、予算編成ではおおむねの場合におきまして、最後の最後になりまして地方関係の予算がきまってくる、しかも相当のいきさつを経てきまる、こういうような状態でありましたが、私は、予算の編成にあたりましては、地方財政先議でなければならぬ、そういうふうに考えまして、今回の予算の編成でも、まず地方財政のほうを見当をつけましてから各省の予算に臨むという考え方を実行したわけなんです。  ただ、四十年度について見ますると、結局途中で財源欠陥が出てくるというような状態から、地方財政の運営が非常にむずかしくなってきております。その財源対策としては、政府におきましても、かなり充実した対策をとったのでありまするが、その関連の法律案が、いわゆる臨特法というので、年内に成立するに至らなかった。やっと一月十八日でしたかになってこれが成立するという状態になりました関係上、非常に仕事が立ちおくれてまいりまして、残念に思っておる次第でございまするが、今後はこの実施面、これは中央、地方一体となって立ち向かっていきたい。それにつきましては、自治大臣におきましても、地方事業推進本部なるがごときものを設けましてやっていきたい、また、自治団体のほうにはまた自治団体ごとに事業実施推進本部をつくるというくらいなことで、中央、地方綿密な連絡のもとに遺憾なきを期していきたい。かように存じております。
  68. 西村直己

    西村(直)委員 自治大臣にお聞きします。公共事業を何といっても推進するには運輸省、建設省——特に建設省、農林省は大きな役割りを持っているでしょうが、受けるのは自治省、市町村あるいは県です。そこで、簡単でよろしゅうございますから、自治大臣からもその受け入れの態勢の決意を聞きたいことが一つ。ということは、県は県、市は市、町村は町村で歯車がよほど合わぬと、今度は国の段階で急ぎだした、県の段階で急ぎだしても、市町村が動いていないという場合もあります。補助金なんかにおいては特にしかり。そこで受け入れ態勢に対する決意。  それからもう一つは、ついでに自治大臣にお聞きしたいのでありますが、いまの財源は臨時特例をつくっておりますが、あなたのほうとしては将来に向かって、少なくともたばこで分けるやつですな。本数で分ける二百四十億、あれはたばこ消費税のアップというものを強く期待しておるのか、また大蔵大臣はそれに対してはどうお考えになるか、こういうような点をひとつお聞きしたいと思います。
  69. 永山忠則

    ○永山国務大臣 公共事業を促進するために、自治大臣を中心に、知事会並びに町村会、市長会等を中心にいたしまして推進本部をつくりまして、また地方庁も各自推進本部を組織化いたしまして、これが実現を力強く推進をいたしたいと考えておる次第でございます。  なお、臨時特例交付税の中に二百四十億ございますが、それは、本年度はたばこの本数配分で分配をいたしますことは、四十二年度からたばこの消費税の改定によって恒久財源化いたしたいというように考えておる次第でございます。
  70. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 ただいま自治大臣から申し上げたとおりに考えております。
  71. 西村直己

    西村(直)委員 それから、これはもう簡単にお聞きしますが、今度は公債論のほうであります。これは歯どめということ、確かに市中消化、あるいは財政法四条による公共事業、こういうことでありますが、基本は何といっても財政の国民経済の中における適正規模というのを不断に強調もされ、またこれは当然のことであります。この適正規模というものは、背景のとり方、または経済の運行のいかんによって変わってはまいる。数字で別に言うことは困難だと思います。また言ったところで、これは描いたもちである。だから、計画経済でないから必ずしも長期的にこれを数字的にぴしゃっといくというべき問題ではないのでありますが、これに対して大蔵大臣並びに総理大臣が、将来もう財政については適正なる規模を守るのだという決意、これは国民の聞きたいところだと思うのであります。どういうふうな姿勢で守っていくのか。インフレは起こしませんとおっしゃっておる。そのとおりでありますが、それをさらにもう一歩掘り下げて、ひとつ所信をこの機会にお述べ願いたいと思うのであります。
  72. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 公債を発行した場合におきまして、これが乱に流れないという最大の歯どめは、お話のとおり公債を財源として運営する財政の規模が適正である、この一点に私はあると思うのであります。そういう点から、内閣全体の方針といたしまして、この適正なる予算の規模というものは守り抜いて、そして公債政策が持つ使命を完全に果たしていきたい、かように考えております。
  73. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 ただいま大蔵大臣が答えたとおりでございますが、この公債を発行した場合に、一番国民が心配しておるのは、インフレになる危険があるのじゃないかということであります。また、一部の諸君は、これが軍事的な意義を持つことになるのじゃないか、この二つが公債に対する強い批判だと思います。しかし、ただいま申し上げますように、公債を発行いたしましても、これは乱に流れない、いわゆる放漫的な財政にならない、このことがもうはっきりインフレへの歯どめであること、これはおわかりだと思います。同時にまた、軍事的な意義を持たないという、この点は、これはもう日本の憲法がはっきりいたしておりますので、公債政策そのものが軍事的な膨張につながるものでないこと、これはおわかりだと思います。  そこで、まず第一の、乱に流れない、放漫にならない、こういうことで真剣に内閣がこれと取り組む、そういう場合に、しばしば言われることでありますが、幾ら政府が、また政党が乱に流れないといっても、圧力団体というものがあるじゃないか、その圧力団体に屈するようなことがしばしば過去においてあった、これではそれはだめだ、かように言われるのであります。私は、今回の予算編成におきましても、各種圧力団体、いわゆる圧力団体というものに左右されることなしに、私ども政府の考え方を貫いてまいりました。その場合に、いわゆる公社、公団等も新規なものを考えない、ことしはそういうものをつくらたい、また、行政費を節約するという意味で、いわゆる安い政府、チープガバメント、こういう観点のもとに能率を上げていこうじゃないか、だから、新局を創設する場合には、どこかの局を、取りかえのものを一つ見つけてこい、こういうことで非常にやかましい話をいたしました。党の政調会でこの政府の施策に協力を願った、こういうことで今回の予算はりっぱに国民の輿望にこたえることができた、ただいま言う、放漫にならない、圧力団体に屈しない予算をつくった、かように私は確信しております。(拍手)  同時に、このことは、片一方で大幅減税しこの減税をしたことと、この公債ともやはり結びつけて考えていただきたいのでありまして、ただいまの放漫な予算をつくらないということ、同時に、国民負担を軽減さすんだ、公債の負担は現在の国民の負担なのか、将来の国民の負担になるのか、こういうような議論がございます。そういうようなことともあわせて、とにかく国民負担を軽減する、こういう意味で大幅減税を片一方で実施している。だから、公債を発行して積極的な予算をつくりましたが、国民的な負担というものは軽減されておる。そうして将来の経済発展、それを担保にしてこの際公債を発行した、かような立場に立っておるのであります。私は、ただいま言われるインフレへの危険、あるいは軍事的な発展にこれがつながるのだという、このことは間違った考え方だということを重ねて申し上げまして、政府の強い決意のほどを十分に理解していただきたい、かように思います。
  74. 西村直己

    西村(直)委員 財政節約、けっこうであります。そういう面で適正規模ということの決意を述べられた。そこでこの実行にどうしたらいいか。最初に申し上げたように、内閣総理大臣というものがどうしてもその責任を背負う、信頼を増す、そういうような方向でいこうという場合において、さっきのような掘り下げた問題はまだ残っておりますが、内閣総理大臣を強化していく。単に大蔵省の権限を取り上げるとか、そういう小さい問題じゃありません。それをやはりよくお考えになって政治指導をやっていかれることが大事だと思います。  そこで、もう一つは、末端におきまして、案外これは気がつかないうちに、外郭団体というものがやっぱりカキのからのように食いついちゃっているわけです。一つの例を申し上げますと、構造改善事業というようなものがあります。確かにいいことです。しかし、この連合会がある。私が経験したので、いなかの小さな村で設計をしようというと、一々その連合会まで持ってきて、何か連合会の指定するものに設計をさして、そうして何か分担金をとられて、それをやらなければ金がおりてこないというような仕組みになっておる。こういうような場合に、はたしてそういうことが必要であるのか。それぞれの外郭団体というものは、それぞれの立場では私は必要だと思います。しかし、財政節約をやっていく場合に、それじゃそういうものはどこから費用を出すかといえば、構造改善の事業費の中からやはり分担金は出ていくわけです。きたないことばで言えば、うっかりすると、ピンはねということになるわけであります。こういうような点も、政府においても各公共事業費等について一ぺんよく検討されてみたらどうか。これは御答弁は要りません。  そういうようなことがありますが、この公債についてひとつお聞きしておきたいのは、百万円単位であるが、小型公債というか、小型的なものをお出しになるのか。実はわれわれの家庭にまで証券会社から、今度百万円まで公債をお求めになりますと、別ワクで利子免税になりますよ、こういう通知が一時まいったのです。ちょっとおかしいと思って私はびっくりしたのでありますが、そこらのところはどういうふうになっておりますか。公債で別ワク利子免税というようなことはないのだと思うのでありますが、そういうような広告まで私らのところに来たのを覚えておりますので、ちょっと大蔵大臣の御所見を伺いたい。言いかえれば、小型の何か貯蓄債券みたいなもの、要するに公債が定着して、家庭のたんすの中に入ってくれることは私は望ましいことだと思うのであります。広く安定しますから。ただ、問題は、そういった点についてどうして家庭へ浸透させるかというようなことについてお考えがあれば承りたい。  あわせて、もう一つは、金融との一体化でありますから、中央銀行法、日銀法を改正しろという一声があります。これに対する御所見も承りたいのであります。
  75. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 自由民主党の中にも、あるいは経済界の一部にも、百万円を限りまして、百万円以下につきましては公債を特別免税をすべし、こういう議論があったわけであります。いろいろ検討してみた。これも一理のあることかと思いまして検討してみたのですが、結局、今日もう公債の準備が進んでおる、しかも、利回りにつきましてシンジケートとも打ち合わせをしておる、その利回りが特別免税を前提としないというところできめられておるわけです。そういう際に、突如として、少額につきましては特別の免税をするということになりますると、利回りの体系を乱すというような、おそれもありますので、今回はそれを見送ったわけです。しかし、それじゃ、小型の特別免税づきの債券を出すということも考えられるのじゃないかという意見もまた出てきておるわけであります。これをどうするかという問題は今後検討していきたい、今後の宿題ということにただいま考えております。  また、日本銀行法の改正につきましては、一昨年、金融制度調査会の答申に基づきまして、政府におきましては一応の改正案をまとめてみたのです。で、先般の通常国会にこれを提案するというところまで段階が進んだわけでございまするが、そういうことまでは結果的には立ち至らなかったわけです。今日になってみますると、その後事情が非常に変化してきております。特に、公債を発行するという政策下におきましては、金融のあり方というものも大きく変わっていかなければならぬし、また、その使命も重大になってきております。そういうことを考えますると、いままで考えられました日銀法改正案ではたしていいのか、こういう問題が起こってきておるわけであります。私は、そういうことからせっかく準備はされてきた日銀法改正案でありまするけれども、公債政策が一体どういうふうな動きになってくるのだろうかという実績も少し見た上、この問題の検討をしてみたい、こういうふうに考えておるのでありまして、したがってこの国会に日銀法の改正案を提案するという考えはありません。なお、公債の発行ともにらみ合わして、少し根本的に考え直してみて、成案を得た上これを提案をすることにいたしたい、かような考えでございます。
  76. 西村直己

    西村(直)委員 次に、物価の問題に基本的に触れておきたいと思います。  物価につきましては、なかなかこれはむずかしい問題であるということは私どももよくわかるのであります。ただ、政府の要人からときどき物価にはきめ手がないんだという表現が出る。これは、私はよくないと思うのであります。きめ手がないというなら、それじゃもうやり方はないんだという見方にとれる。これはいけないのでありまして、今年だけでもやるんだ、この決意をやはり不断に出していただきたい。今回の公取委員会、あるいは小麦粉の問題、これは、やはりある意味におきましても、政府が何といってもこの段階にやり切ろうという意欲が——公取の場合は独立機関でありますが、小麦粉の場合においては、政府はよくやられた。やはりこれで国民の信頼を増しておると思うのであります。もちろん中小企業の体質改善の問題、合理化等はあとに残った問題であります。  そこで、この物価問題の取り上げ方、取り組み方の問題であります。一つは、やろうと思いますと、構造上の理由が相当あると思います。そこで構造に手をつけていくと、いいことばかり言っておったのじゃ構造は直らぬで、ただ低利資金をもらってずるずるいくというようなかっこうになります。  そこで、この構造関係と取っ組むとある程度抵抗はありましょう。また公取委員会が、あるいは不当なカルテル、管理価格等に対してメスを入れる、抵抗はありましょう。これは、政府はいろいろな抵抗はあっても排除していくという決意は、やはりお持ちになる必要がある。これは国民大衆のためだ。元来、物価というものは、一億がみんな使っておりますから、全部が被害者という意識にとらわれておるから、物価の面から言いましては、おれは困っているんだ、迷惑を受けたんだ、迷惑を受けたんだと言いながら、この被害者に当たる一億の国民の相当数は、今度は可処分所得を受けているあるいは生産者であり、勤労者であり、あるいは流通業者である。その人たちは、今度は自分の取り分だけはほしいほしいとこう言っておる。そこに矛盾がある。だから、言いかえますれば、私は、生産者なり流通業者、その他の立場に立ったら、自分の言うべき分はあるでありましょう。それは、各省行政がそれぞれまたある場合には指導もし、あるいは保護もし、あるいは助けもしなければならぬ立場に立つと思います。しかし今度は、物価というたてまえからいきますと、一億でございますから、だれしもが安いほうがいい。税金と同じでございます。  そこで私は、最初の論に戻りますが、こういうような問題と取っ組む場合には、総理大臣中心のよほどの強い力、決意というものが必要だ、こういうふうに考えていくわけであります。言いかえますれば、物価問題をするには、政府も決意を持つ、抵抗を排除しながら、やるべきことはやっていく、かわりに今度は一億の総消費者に対しても協力を求める。不断に事態の実情をわかってもらう。この歩み方がなければ、部分部分だけでもって要求をして、そうしては困る困るといって、部分的な解決に引きずり込まれておったのでは、私は、どこまで続くぬかるみぞという結果になるのではないか。その意味では、経企庁長官というのはたいへんな御苦労の場でありますけれども、がんばっていただきたいのであります。  したがって、まず第一に大事なのは、物価上昇の原因、実態というものをわかりやすく国民に説明しないと——たとえば、私はいなかの新聞にこういう投書があったのを見たのです。七十九になるおばあさんから、不景気になると物価は下がるんだ、ところが、今日は不景気で物価が上がっているのは、世の中にどこかに悪いやつがいるんだと思うがどうでしょうかという投書があった。私は、これはほんとうの正しい庶民の声だと思う。そうすると、一面の者は、それは政府が悪いのだとか、いや資本家が悪いのだとか、いや労働者が悪いとか、そういうような端的な結論で割り切ろうとするから物価問題が混迷に入る。そうじやないのです。やはり一億全部が被害者であり消費者であり、同時にまた、生産者であり、流通業者であり、勤労者である。それぞれが自分の可処分所得を大きくしたいという加害の面もある。これも考えつつやっていこうじゃありませんかという姿勢でないと、この物価問題の基本的な姿勢ができない。  だから、政府に御要望するのは、やっぱりこの事態を明らかにし、正しい認識のもとに国民に総協力を求める。幸いに国会にも物価委員会ができました。したがって今度は、野党の方々も、ただ責めておるだけでは解決しないでしょう。と同時に、与党の者も、しり込みしてやっておっただけでもいかぬし、同時に政府は、国会答弁で逃げ回っておっても解決しない。こういう場ができた以上は、私はこういうところからも建設的な意見をお互いがかわして、物価問題を解決するような総努力をやっていくべきじゃないかと思うのであります。  そこで、たとえばこの中には構造改善施策というものもあります。政府の御説明によりますと、また民間に伝わっておるのは、百五十七億しか物価施策はないのだといわれておる。ちっぽけなものだと言うが、私は間接費がいろいろあると思うのであります。輸送、道路、考えますればそういうものまでが全部物価対策に向かっていかなければならぬ。そういうような御説明が必要でありますが、何かそういったことについて御説明ができますか。いまなければよろしゅうございますが、将来はっきりした資料を国民に流してもらいたい。たとえば、昨日の大蔵大臣のこの場における説明でも、縦割りの御説明はあったけれども、物価としてはこういうふうな金でございます。間接的にはこうでございますということがちょっと出ていないように思いましたが、ああいう説明のときにも、不断に出していくべきじゃないか。そうすると、相当な財政投融資資金というものは物価対策に向かっているのだ、政府はこうやっているのだという、この決意が具体的に数字的に示される。減税におきましても、物品税を減税したら、政府はほんとうに物品税が現場においてそれだけ下がっているかどうか、監視と指導を加えていただきたいのであります。こういう点をまとめまして藤山さんにお聞きしたいと思います。
  77. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 物価の今日のような状況、まことに遺憾でございまして、これに取り組んで安定をさせるということは、西村委員と同じような考え方で私も決意を持ってこれに当たってまいるつもりでございます。したがいまして、その間におきましては、あるいは抵抗もあるだろうと思いますけれども、それらを排除しながら、できるだけ私としては全力をあげてやってまいりたいと思います。  今日、物価高になった、不景気でありながら物価高になったという原因は、いま西村委員が御指摘になりましたように、主として構造上の問題から第一点はきておると思います。したがって、この構造上の問題を解決しなければならぬのでございまして、今回の予算におきましても、直接の新しい施策あるいは直接に下げていくというような問題については、御指摘のような百五十七億とかいわれておるような金額でございますけれども構造上の問題を改めていくということ、これは若干長期にわたりますけれども、そういうものを拾い上げてみますと、今度の予算の中に相当巨額なものがあるわけでございまして、それが全部が物価に影響するとも思いませんけれども、多くの部分が物価引き下げに影響してくるものだと思います。たとえば低生産性部門の生産性向上にあたりまして、四十年度の予算には約二千億が計上されておるのでございまして、これはむろん農業の場合におきましても、あるいは工業その他の問題、直接、間接の問題でございますから、そういうような構造上の問題に触れまして、しかもそれが一、二年の間に物価問題に影響してくる新しい施策として取り上げられてくるものだと思います。  また、たとえば労働力の流通を完全にしていく、これも今日の物価に影響している問題でございまして、それに対する経費等につきましても相当な経費が計上されておる。そういうようなことでございまして、たとえば住宅をたくさんつくっていって、それによって住宅供給を全うしてまいりますことによって、やはり住宅費の安定ということに寄与してまいるのでございまして、そういう点も、申せば、今日景気刺激の予算であると同時に、私は、物価に対して間接的に相当寄与し得る予算ができ上がっている、こう考えておるのでございます。したがって、これらのものが適正に今後運用されて、そうして住宅問題の解決あるいは労働流動性の解決というようなものに寄与しながら、そのこと自体が物価問題の解決の一つの道になっていく、こう私は考えております。
  78. 西村直己

    西村(直)委員 時間がありませんから、簡単に質問し、簡単に御答弁を要点だけお述べ願いたいと思いますが、金融の問題なんかでも、大蔵大臣は、国会を通して、歩積み、両建てはないんだとよくおっしゃいますが、実際には都市銀行ないし地方銀行の有力なものでも、ちょいちょいそういう例はあるのです。たとえば、例を申し上げますと、私の知っている例でも、ある中小企業者が苦労してどこからか、生命保険から金をさがしてくる。そうすると、歩積みをしなさいといってとられてしまうという例があるのでありまして、実質金利の低下なんかについてもよほどお考えを願いたいのであります。  もう一つ、これは総理府の長官にもひとつ聞いておきたいし、総理大臣にも御答弁が必要だと思うのであります。何も私は与党の立場だから、労働のことを圧力的に言うわけじゃありません。ただ春闘というものがございます。これはやはり何といっても今後の物価上昇に対する一つの大きな影響力を持つ。そこで、春闘でもしこれが相当大きな、大幅なアップが行なわれてくれば、公務員のベースアップ、産米、そうして消費者米価、こういうような悪循環を繰り返してくる。この間、総理大臣——新聞で拝見したのでは、定期会合といいますか、総評との御会合をやった。その席を通しても、生産性を上回るという——生産性というものを中心にひとつやってもらえぬか。私は久しぶりにあの定期会合でああいう意見が出たことはけっこうだと思います。実はあの定期会合を見ておりましても、世間でこういう批判があるのであります。何か総評だけがばかにえらくなっちゃって、総理大臣の隣へ第二政府のようにすわり込んで何かいばっちゃっているじゃないか、こういう不満は相当あるのです。われわれ中小企業者にも、農民にも、それじゃ定期会合をやれ。ですから私は、ああいう会合を通しても、総理が物価その他の問題でも、言うべきことはき然として言っていただく、これを絶えず国民にも通していただくようにお願いしたい。  そこで、この春闘に対する考え方、もう一つは、公務員のベースアップ等も、それは必要でしょう。勤労者は何といっても生活が楽じゃありませんから、いろいろしていかなければなりません。けれども、公務員のベースアップなんかも、やり方によっては次年度で予算措置をすれば、最初からこれは予定できます。そうしてバックペイするとかいうようなくふうが必要な段階にきたんじゃないか。人事院の勧告なんかにつきましても、あのあり方が……。これは、総理府の長官において何か検討しておられるなら、検討中でもけっこうですから、この点に触れていただきたい。  それから、いまの労働賃金と労働争議、特に春闘というのは大きなやはりキイポイントでありますから、それに対する総理の御所信を承りたいのであります。
  79. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私は、ただいまお尋ねのありました春闘と賃金との関係について、私の意見を述べてみたいと思います。  事の起こりは、ただいま物価問題と政府が真剣に取り組んでおる。国民生活を守るのが政治の目標なんだ。その意味で物価問題と真剣に取り組む。なかなか複雑なむずかしい問題だが、これを克服することがわれわれに課せられた政治の課題だ、かように申し、同時に、不況を克服することと物価を安定さすことは矛盾しない政策である、だから、同時にこの二つを解決するのだ。そうして、生活を守る、また向上さす、これがわれわれの政治の目標だ、こういうことを申して、真剣に立ち上がっておるわけであります。  そこで、この問題は、先ほどのお話にもありましたように、物価問題については、政府自身のかたい決意とまた実行力、これも必要だが、同時に国民の協力、これが必要なんだ。国民の協力がなければ物価問題は安定しない、また不況の克服もできない、こう先ほど言われましたが、そのとおりであります。そこで私は、国民の協力を得る上からも、ただいまの勤労者におきましても、賃金の適正化という立場でものごとを考えてもらいたい。このことは最も大事なことだ。いままで私はしばしば申したのでありますが、もうかっておる、利益のある企業において、その利益の配分が、賃金の引き上げあるいは配当の増加とか、こういうことに使われることも、それは別にとやかく言うわけでもないが、一億総消費者という最終的な立場、この消費者である立場を考えれば、生産の上がったその利益をやはり最終の受益者に還元する、こういう態度が望ましいのだ。そういう意味で、やはり価格を下げるということも考えてほしい。これはどのくらいの割合が適当だと、かようには言わないが、この三つを考えること、賃金、配当、同時にまた物価、最終消費者に還元することを忘れてはいかぬ、かように実は申しておるのであります。そういう立場から申しまして、ただいまの政府の施策、これはこの春闘の相場にもよるが、そうでなければ、これは順調に国民の協力を得る、そうして物価も安定への道をたどる、このことを実は申したのであります。  そこで、その春闘の相場というものは一体どうなんだ、こういうことが一部からとやかくいわれております。もともと民間の賃金の問題は、政府自身がこれに干渉するということは、現在の法制のもとでは望ましい形ではない。したがいまして、政府は、ただいま私自身の所信を発表はいたしておりますが、それだからといって、直ちに政府自身がこの問題に干渉するという考え方ではございません。ここに誤解があってはなりません。しかしながら、この春闘のあり方については、各種経済団体等におきまして、労使双方でせっかく協議をし、そうして良識のある解決を遂げられる。だから労使双方の協議による良識のある解決方法、それによってものごとが決定されることが望ましい。ところが、一部で非常にいわれておりますのは、所得の平準化、これが必要なんだ、だから、また同時に、賃金の平準化ということが強く要望されております。その結果、利益の上がらない赤字の会社でも、賃金の平準化だからこれは同一にするのだ、所得の平準化だからどれもこれもみんな同じ所得でなければならない、いわゆる政治の分野にまで実は経済闘争であるこの問題が発展をしてきておるのであります。  そこで、私は、根本に申します。春闘というものが良識のある解決方法をすべきだということを申しておるのは、その点なんです。ただいま申すように、賃金の平準化あるいは所得の平準化、これが現在の経済の実情に合わない、その状況のもとにおいて叫ばれ、そのとおりが実施されるところに、物価問題がゆがめられて形成されるということにもなるのであります。政治の問題から申せば、こういうような所得の平準化、賃金の平準化、これは望ましいことでありますから、すべての産業が格差のないように、また同一産業においては、事業間に格差のないように、そういう政治をすべきものだ、かように私は思っております。思っておりますが、現状においてはさような状態になっておらない。だから、幾ら格差を解消しようとして努力いたしましても、いまなお最も大きいものが中小企業や農業の他産業との格差の問題、同じような鉱工業の企業間におきましても、石炭鉱業と電力産業とでは非常な格差がある。また地域的にも格差がある。こういうものが、ただ簡単な所得の平準化あるいは賃金の平準化、これだけで片づけられてはとんでもないことになるのだ、かように実は考えておるのでありまして、そういう意味注意をただいま喚起している。これは、政府自身が一々問題に関与するという態度は、現状のもとにおいては望ましいことではない、かように思いますので、労使双方が良識のある解決をすべきだ、かように考えております。
  80. 西村直己

    西村(直)委員 物価に対しまして政府も非常な決意を持っておる。私は、景気浮揚につきましても、総理大臣は財政転換をやるとまで言われている。物価につきましても、国民の非常な待望の問題であります。したがって、政府政府なりに非常な決意で、ひとつ総理大臣中心に今後とも立ち上がって、国民に協力を求め、また国民の側からも協力する。また国会におきましても、せっかく衆参両院に物価委員会というものができました以上は、この物価悪循環というか、物価の騰貴を退治するんだ、この姿勢で政治責任を責たしていくべきだと思います。  関連しまして、というよりは、大きくこの物価に関連することでは、地価の問題があります。そこで、これも論じますれば時間がかかりますし、それぞれの委員会等においてまた今後も出ると思いますから、簡単に申し上げますと、基本的にはやはり国土の利用計画を再検討というか、相当検討する段階に来ているんじゃないか。ことに何といっても都市化傾向が強いのでありまして、一説によれば、太平洋岸に半分くらい、あるいはもうそれ以上の人間が集中していく。そうして、それがただ連檐の都市をつくっていく。言いかえれば、スプロール現象だけでつながっていったらたいへんなことになる。そして、それが地価のつり上げに変わっていくんだ、こういうふうな点からいろいろ考えていくと、いわゆる従来の都市計画法ではいけない段階にきている。この問題が一つ。したがって、都市計画法というものを再検討する用意をされているかどうか、建設大臣にひとつ伺いたい。  それからもう一つは、当面の措置としては、土地収用にあたって現時点における価格等でいこうとか、あるいはそれに関連する土地増価税というようなものの考え方もありましたが、税制はこれでなかなかむずかしいと思います。簡単にはいかぬと思いますが、一つの考え方は、利用計画を基本的によくにらみ合わせられながら、いまの計画性のもとに、たとえばニュータウンをつくるなり、宅地造成をするなりしていきませんと、関連したところが結局は繰り返しを生ずる危険性があるのであります。たとえば多摩の丘陵にニュータウンを三十万つくる、何をつくる、そこへ一部は電車がついても、結局それはそのパイプにつながって東京へ流れ込めば、新宿なりその他の副都心が込んでしまう。そうすると、結局都市を新しくつくるのに、名前はニュータウンであっても、うっかりすると、そこはやはり大型なベッドタウンじゃないか。ただまわりの環境が、少し道路がよくなったり学校ができたというだけであって、経済活動はむしろ東京を中心に来るとか、あるいはそうならばそうなるで、東京の立体化——空中はいまあいております。東京は二十三区でも現在一・七階です。こんな近代国家はないです。一・七階で、土地はないといっている。スプロールというのは、ヘビがはうようにだんだん無計画に伸びていく。そういうようなところを抜本的に検討する段階へ来ているんじゃないかと私は思うのであります。ただそんなことを言っては二年かかる、三年かかるということになりますれば、当面措置としては、土地収用法の改正なりをお考えになっていく。こういうような観点から地価対策をお進めにならないといかぬのじゃないか。ただ金融だ税だという部分部分からだけではいけないような感じがする。いわんや、これはもういまから都市化現象がひどくなってくると、二十一世紀というとこれから三十五年しかありません。三十五年過去にさかのぼると昭和五年ですから、昭和五年からの今日と、これから先の三十五年といっても二十一世紀に入っちゃうのですから、そういうことを考えますと、いまからそういう長期構想のものを持っていてもいいんじゃないか、こういう考え方がありますので、具体的には土地収用法の改正、あるいは都市計画関係、あるいは都市再開発に対する考え方について、建設大臣から要点だけお願いしたいと思います。
  81. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 ごく簡単にというお話でありますから、簡単に申し上げます。  いまお話しのように、土地利用計画、これはもう率直に言って、日本の土地利用計画は非常におくれております。これは、今日までの日本の発展の度合いがそういう状況になっておったといえばそういうことでありますが、いまの時点では、お話のとおり全国の土地利用計画に入るべき段階にきておる。しかし、これは非常な大問題でありまして、そう一朝一夕にまいらない。私どもは、いまの状態ではやはり大都市を中心とした、たとえば首都圏であるとか、あるいは近畿圏、あるいは中京圏も入れていいでしょう。まずそういうところから土地利用計画を進めなければならない。根本的には、今度御承知のとおり農業関係の土地改良の十ヵ年計画を立てましたが、そういうものとかみ合わせて農業政策はどうあるべきか。したがって、その他の土地はどうあるべきかという根本的な問題に入るべき場合でありますけれども、それは相当長期を要しますから、当面はそういう大都市周辺の土地利用計画をまず立つべきである、かように考えております。  それから、過密都市の立体化、これももちろん問題でありますが、私は、これも大きく言いますと、わが国の領土の全国的なやはり構造改革をする。大きく言いますと、世間でいわれておりますように国土の改造をはかる、こういう大きな構想のもとにおいてこれを解決する。長期にわたってはさような考えを持ちませんと、ただ単に都市の内部だけでこれを解決するということは、全く不可能であります。けれども、当面の問題としては、やはり都市内の立体化、この都市の改造というものももちろん並行してやらなければならない。いずれにいたしましても、こういう問題を解決する大前提として、地価の問題をやはりこの際根本的に考え直さなければならない。土地制度と地価対策というものは、私は単に都市計画その他の関係だけでなしに、すべての日本の将来の政治の基礎である、かような考えを持っております。したがって、簡単に申し上げておきますが、これも非常に複雑な、長い間の社会、経済、いろいろな関連がありますから、一刀両断というようなわけにはまいりません。そこで、まずこの際は土地収用法を改正して、いわゆる不当な利益は個人に与えない、基本的な考えをさように持っていきたい。ただ公共事業というものに関連して、土地収用法の適用以外の地価を放任するというわけにはまいらない。そのバランスをとるために税制等によってあんばいをいたしたい、かような考えでいま準備を進めておりますから、ぜひ御協力をお願いしたいと思います。
  82. 西村直己

    西村(直)委員 物価は非常に困難であります。正直に言いまして。しかし、さっき申し上げましたように、きめ手がないというようなことではなくて、きめ手は、方法はある。ただむずかしいが、みんなでやろう、政府も決意を持ってやるのだということなので、ひとつわれわれも立ち上がり、一緒にやってまいりたいと思います。  そこで、時間もたちましたから、最後に青少年問題を、総理府総務長官を中心に聞いておきたいと思います。  倉石議員からも本会議でこの問題は触れております。私どもは、青少年はやはり健全に育成すべきだ。もちろん、しかしその前提としては、その指導的あるいは先輩に当たる者も、これは絶えず反省していかなければいかぬと思います。先般国会でピストル事件のようなものが起こりましたのは、まことにざんきにたえないのでありまして、そういう意味では、私は青少年不良化防止対策も必要だが、同時に老壮年不良化防止対策も必要だということを言ってもいいくらいじゃないかという面もあります。しかし、ただそういう批判だけをしておったのではいけないのでありまして、たとえば生活環境というか、青少年の環境づくりということが大事であります。環境づくりにただ金を使えばいいのだ、金がないからだといろだけで問題をいくべきじゃないと思います。ややもすると、運動を起こすと、金を金をというだけではいけないのでありまして、金だけということではなしに、やり方の問題であります。たとえば映画、テレビ、これも確かにありますが、それらに対しても何か映倫のあり方等を、たとえそれは憲法における表現の自由でありましても、何らかの方法が考えられてしかるべきじゃないか。もう少し公的な問題として、実は一つの例を申し上げます。こういう事例がありました。(発言する者あり)お静かに聞いていただ、きたいのでありますが、ヌードと申しますあのストリップであります。実は、私のことを申し上げて失礼でありますが、私の市で起きた事件であります。あるいは東海道の沿線でできた事件であります。岐阜にある、ある親分的な業者がストリップをずっとやるわけです。ストリップの女の子を持っているわけであります。そうして、それが方々でやるわけであります。市民としては、住宅に近い妙な横丁でそういうものをやられちゃたまらぬ。ところが、たまたまその土地を買って建築許可を出す。そうすると、いまの法制からいくと、環境衛生というようなたてまえから、あるいは消防法のたてまえから、これは許可せざるを得ないようなかっこうになる。そこで市民は、青少年教育上困る。来るのも、土地の人間ではなくてよその旅行者が来る、こういうような状況であります。そうすると市民としては困るので、」大市民運動が起こりました。市会では、自民党はもちろん共産党に至るまで全会一致で反対決議をして、その副申をもって知事に出しても、結局はいまの法制上からいくと許可せざるを得ないから、勧告したのであります。ストリップはやらないという条件で、じゃ建築なさいよといって建築許可を出す。そうすると、結果においてはどうなったかというと、結果は、始めると、営業成績上どうしても健全娯楽じゃだめだからストリップをやる。そうすると電柱にも外国人のヌードまで連れてきてやるということを出す。新聞は、初めはそれをたたいたけれども、いつの間にか新聞がヌード来たるというような広告を出す。こういうことになってしまいますと、市会というものは、なるほど規模は小さいかもしれませんけれども、一応、法律上は全市民の代表の意見であります。これをも越えてやっていくというような環境に対しては、やはり私は、こういうものは各省が行政が縦割りになっておる、それじゃ警察権を使ったらどうだ。これはまた行き過ぎの場合も起こるし、警察権を発動する場合には、業界はじょうずでありますから、ちゃんと張っておりまして、おまわりさん来るぞと言えばすらっと逃げるとか、あるいはつかまればつかまるだけの人間を用意しておいて、次の代役を出すとか、ちゃんと仕組みを持っている場合もあると私は思います。そういう点を考えまして、環境づくりというものは、口では言うのは簡単でありますけれども、よほど掘り下げましていかぬというと、上っつらだけの運動になる。この点をひとつお考え願いたいと思うが、総理府長官はどういうお考えであるか。
  83. 安井謙

    ○安井国務大臣 環境の悪化が青少年に非常に影響を持つことはもう御説のとおりでございまして、これは法律で締まるべきものは十分締まっていただくことも当然でございますが、同時に、これは何と申しましても、業界自身あるいは世論、そういったものの力で全体を押えていくのが一番有効かと存じております。私どもそういう方向で昨年以来、マスコミ方面で出版、放送、テレビ及び広告の四部門に分けまして、学識経験者と業界との懇談を続けておりまして、少なくとも協会、組合加入者の業界の方々はそういったものを厳に自粛する態勢をとっていただく。ところがアウトサイダーといったようなものがございまして、なかなか簡単にまいりませんが、これは国民的な世論を起こすことによって、あるいは国民の関心を大きくすることによって、私どもそういうものを狭めていきたい。また映倫等におきましても、せんだっての話し合いの結果、映画等における広告類につきましては、映倫が全面的に従来と変わって検閲する、こういう制度もいま順次とられつつあるわけであります。国民的な関心のもとに、そういった環境浄化を今後もはかってまいりたいと思っておる次第でございます。
  84. 西村直己

    西村(直)委員 これは考え方としてはわかります。世論を背景とか、抽象的な考え方はわかりますけれども、私らのいまの例から申し上げますと、世論を起こして、そして市会が正式に決議をしても、なお全市民のいやがるものがそこに事実上発生していくというようなことに対しては、単に、失礼ではありますが、われわれが文章や口で世論世論と言う以上に、やはり政治はもちろんのこと、行政においてもこういった問題に真剣に取り組んでいく必要があるんじゃないかと思います。  それから最後に、私はもうこれで結論をいたします。今日一つ欠けておるのは、事態に対する認識がやはり十分でない。正確な把握をしていただくと同時に、そこに故意に曲げられたいろんな考え方が入ってきている。それからもう一つは、最初からずっと私が申し上げておるように、できる限りひとつ政府は明確に態度を打ち出すのだという方針で進んでいただきたい。せっかくこの今回の施政方針を中心政策論争でいくのだ、だから国会の予算委員会を通しましても、私は委員長にもお願いしたいのだが、ここでただ政府を追い詰めればいいのだ、たたけばいいのだ、被告と検事のような関係でなしに、ひとつわれわれのほうも努力しなければならぬ。同時にまた、政府のほうも国会答弁だけでごまかせばいいんだという印象を与えないように、ひとつ説得力を持ってやっていただきたい。そのかわり質問するほうも、ただ大臣が答弁できないから喜ぶというようなことでなしに、こまかい点は、私は大臣知らぬでいいと思うのであります。細部は事務当局にどんどん説明させていいと思うのであります。そのぐらいの姿勢を、寛容の姿勢を持って、能率ある国会をやって国民の期待にこたえ、最後にはひとつ国民の協力というものをやはり求めていく態勢が必要だろうと思うのであります。どうぞそういう点をお願いしながら質問を終わるわけであります。(拍手)
  85. 福田赳夫

    福田委員長 これにて西村君の質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  86. 福田赳夫

    福田委員長 この際、参考人出頭要求の件についておはかりいたします。  来たる七日午後の質疑の際に、日本銀行総裁の出席を求めたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  87. 福田赳夫

    福田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  次会は来たる七日午前十時より開会することといたします。本日はこれにて散会いたします。   午後一時二十七分散会