○谷村
政府委員 昭和四十一
年度予算の概要につきましては、ただいま大蔵大臣から御説明いたしましたとおりでございますが、なお細部にわたりまして補足して御説明することといたします。
近年の
一般会計当初
予算について、それぞれ前
年度当初
予算に対する伸び率を比較いたしますと、四十一
年度予算の伸び率一七・九%は、四十
年度予算における一二・四%、三十九
年度予算における一四・二%、三十八
年度予算における一七・四%のいずれをも上回り、三十七
年度予算における二四・三%以来四年ぶりの高い伸び率となっております。
四十一
年度一般会計予算の
規模は、四十一
年度の
国民総
生産の見込み額三十兆八十五百億円の一四%に相当するものであります。
最近の当初
予算について、その
規模を、それぞれの
年度の
国民総
生産の当初見通しと比較いたしますと、四十一
年度における一四%は、四十
年度における一三%、三十九
年度における一三・五%を上回り、三十八
年度の一四%と並ぶものとなっております。
次に、
国民総
生産に対する中央、
地方の
政府財貨サービス購入の割合は、四十一
年度には二三・二%に達すると見込まれるのでありますが、これは、四十
年度当初における二一・四%、三十九
年度当初における二一・九%、三十八
年度当初における二二%のいずれをも上回るものであります。
次に
歳入について申し上げますが、
歳入予算のうち、
税外収入三千八百十三億円の内訳は、専売納付金千八百十四億円、うち日本専売公社の納付金は千八百一億円、官業益金及び官業
収入百七十三億円、このうち国立療養所等の病院
収入が百六十億円、それから
政府資産整理
収入二百六十四億円及び雑
収入千五百六十一億円となっております。
この雑
収入のうちのおもなものといたしましては、日本銀行納付金四百二十二億円のほか、四十一
年度の特別の
財源対策として予定いたしました外国為替
資金受け入れ百四十三億円及び農業
近代化助成
資金受け入れ二百八十一億円が含まれてあります。
公債発行の対象となります
経費の金額七千六百五十億円の内訳は、
一般会計予算総則第七条に掲げました
公共事業費六千六百六十三億円、これは
公共事業関係費が五千八百六十八億円、その他
施設費七百九十五億円の計でございます。そのほか、
出資金八百億円及び貸し付け金百八十七億円でございます。
それから前
年度剰余金受け入れ五十三億円は、三十九
年度決算の結果新たに生じた純
剰余金二百四十億円のうち、四十
年度補正予算第三号において
歳入予算に計上いたしました額百八十七億円を控除した残額でございまして、
地方交付税及び
道路整備費に六億円、
国債償還の
財源に四十七億円が充てられることとなっております。
次に
歳出のほうを申し上げます。
社会保障関係費六千二百十七億円は、前
年度当初
予算に対し千五十一億円の
増加、伸び率は二〇・三%でございます。
生活保護費のうち、
生活扶助基準の引き上げは二二・五%でございます。これにより、
東京都の標準四人
世帯に例をとりますと、生活扶助の支給額が月一万八千二百四円から二万六百六十二円に
増額されることと相なります。
重症
心身障害児対策といたしましては、新たに国立療養所等に五百二十床の
施設を設けますほか、民間
施設に対する療育費
補助を
増額し、また、在宅重症心身障害児の訪問指導を開始するなど、対策の
強化をはかっております。
また、従来の重度精神薄弱児扶養手当を重度障害児扶養手当に改めまして、新たに重度身体障害児をも支給対象に含めることといたしております。
国民年金についてちょっと申し上げますが、
拠出制国民年金は、
年金水準の大幅引き上げを行なうことといたしております。これにより、たとえば、二十五年
拠出の老齢
年金は、月額二千円から五千円に
増額されることとなり、夫婦合わせていわゆる一万円
年金が実現いたします。
また、
福祉年金におきましても、老齢
福祉年金の月額千三百円からこれを千五百円に引き上げるのほか、障害、母子及び準母子の各
年金月額の引き上げ並びに各種所得制限の
緩和等を行なうことといたしております。
国民健康保険助成費のうち市町村に対する
療養給付費関係の
国庫補助体系につきましては、次のようにその
整備をはかっております。すなわち、従来、
世帯員七割
給付の実施に伴う療養
給付改善特別
補助金と、
財政調整交付金の中に含まれておりました
世帯主
給付改善交付金とを、これまで
補助率二五%であった
療養給付費補助金に統合いたしまして、これに伴いその
補助率を四〇%に引き上げますとともに、
財政調整交付金の交付率を一〇%から五%に改めることといたしました。
文教及び
科学振興費五千四百三十三億円は、前
年度当初
予算に対し六百八十二億円の
増加、伸び率は一四・四%であります。
義務教育諸学校の
学級編制基準の
改善は、一学級当たりの最高児童生徒数四十八人を四十七人とすることを内容とするものであります。
公立文教施設整備費については、学校統合、危険改築等を重点としてその大幅な
増加をはかるとともに、単価、構造比率及び屋内運動場の
補助基準等の
改善を行なうこととして、前
年度予算に比べ二割増の二百四十七億円を計上いたしております。
学校給食の
改善の内容は、国内産なま牛乳の使用量の引き上げ、前
年度の七十万石から百万石へとふやしております。給食設備の
整備、学校栄養職員の増員、要保護及び準要保護児童生徒のおかず代の引き上げなど、その内容の
改善をはかっております。さらに、高度
僻地の学校の児童生徒に対しましては、新たに、パン及びミルクを無償で給与することといたしております。
私学の
振興につきましては、
私立学校振興会に対する
出資を十億円から十二億円に、
財政投融資を百億円から百九十億円に
増額いたしまして、その
貸し付け規模を百五十億円から二百四十億円と飛躍的に
拡大することといたしております。
このほか、理科教育設備、研究設備等に対する
補助を
強化することとし、これらを含め、私立学校助成費として前
年度当初
予算に比べ二割増の五十二億円を計上いたしております。
一般会計における
地方財政対策は、
地方交付税交付金七千五百七倍円、
臨時地方特例交付金四百十四億円、
合計七千九百二十一億円でございます。これは、前
年度当初
予算における
地方交付税交付金七千百六十二億円に対し、七百五十九億円の
増加となっております。
地方交付税交付金につきましては、交付税率を二九・五%から三二%に引き上げました。
地方交付税交付金七千五百七億円は、四十一
年度における所得税、
法人税及び酒税の
収入見込み額の
合計額二兆主千四百五十六億円にこの交付税率三二%を乗じて得ました額七千五百六億円と過
年度精算額一億円との
合計額でございます。
臨時地方特例交付金四百十四億円につきましては、二百四十億円は、日本専売公社が小売り人等へ売り渡す製造たばこの本数によりまして、また、百七十四億円は、普通交付税の配分方式に準じまして、それぞれ
地方公共団体に交付することといたしております。
以上の
措置により、現行交付税率で算定した場合に対し、
合計一千億円の対策を講じた次第であります。
公共事業関係費は、特別失業対策
事業費四十一億円を含めて
合計八千八百四億円でございます。
これは前
年度当初
予算に対し一千四百四億円の
増加、伸び率は一九%となっております。
政府施策住宅の
建設単価は、建築物価指数の上昇率のほか、質の
向上をも加味いたしまして、工事費、用地費単価ともその引き上げを行なっております。
また、
規模は、第二種
公営住宅の中層耐火等につき〇・五坪、
改良住宅につき一坪、
公庫住宅の分譲共同
住宅につき〇・五坪、
公団住宅の普通分譲
住宅につき一坪、その他の
公団住宅につき〇・五坪をそれぞれ
拡大することといたしております。
さらに、四十一
年度の重点
施策である中堅勤労者の持ち家対策につきましては、新たに公庫に産業労働者用分譲
住宅制度を設け、従業員が勤務先から貸し付け等を受けて分譲
住宅を取得する
制度を設けました。また、公団におきましても、一定の賃貸期間経過後分譲する方式の分譲
住宅制度を設けることといたしました。四十一
年度におきましては、両者それぞれ五千戸ずつ、
合計一万戸を予定いたしております。
道路整備事業費三千六百十三億円の
財源構成は、揮発油税
収入等の特定
財源が二千七百九十八億円、一般
財源が八百十五億円となっております。特に一般
財源につきましては、揮発油税
収入の伸びの鈍化等を勘案し、前
年度当初
予算の五百二十億円に対し二百九十五億円という大幅な
増額を行なっているのでございます。
日本国有鉄道の
工事規模につきましては、前
年度当初
予算の三千億円から三千六百億円に
拡大することといたしております。
日本電信電話公社建設費につきましては、前
年度当初
予算の三千三百六十九億円から四千百二十億円に
拡大することといたしております。
貿易
振興及び
経済協力費二百八十一億円は、前
年度当初
予算に対し、百五十二億円の加増、伸び率は一一七・五%でありまして、前
年度の二倍をこえる
予算額となっております。
また、このほか海運対策費百四十五億円を計上いたしております。
日本輸出入銀行におきましては、
貸し付け規模を前
年度当初
計画の千九百四十五億円から二千三百三十億円に
拡大することといたしております。
海外経済協力基金に対する
一般会計出資及び
財政投融資を、それぞれ前
年度の十億円から七十五億円に
増額し、合わせて百五十億円の
財政資金を投入し、その
事業規模を百四十億円から二百二十億円に
拡大することといたしております。
なお、
韓国に対する
無償経済協力費につきましては、別途、
特殊対外債務処理費のうちに八十九億円を計上いたしております。
アジア
開発銀行は、アジア地域について、地域一内の
経済成長を高め、
経済協力を助長し、かつ、地域内の
開発途上にある加盟国の
経済開発を
促進することを目的として設立されるものでありまして、四十一
年度には、同銀行に対し三十六億円(一千万ドル)を
出資することといたしております。
日本
開発銀行の海運融資ワクは、七百七十三億円でありまして、前
年度当初
計画の五百七十三億円に対し、二百億円の
増額となっております。
中小企業対策費二百九十三億円は、前
年度当初
予算に対し、七十七億円の
増加、伸び率は三五・八%であります。
中小企業高度化資金につきましては、
一般会計から
中小企業高度化資金融通特別会計へ八十億円を繰り入れ、同特別会計から都道府県に八十一億円の貸し付けを行なうことといたしております。
その内容につきましては、償還期間の延長等
貸し付け条件の大幅な
改善をはかるとともに、新たに消費者
物価対策の一環として、流通過程の
合理化をはかるため、商工業協業化
資金のうちに
小売商連鎖化資金一億円を追加し、また、小
規模企業共同工場建設貸与資金十六億円を創設いたしております。
政府関係中小
金融三機関に対する
財政投融資二千五百四億円の内訳は、
国民金融公庫千百二十九億円、
中小企業金融公庫千三百十億円及び商工組合中央金庫六十五億円となっております。
国民金融公庫及び
中小企業金融公庫におきましては、本年四月以降、長期貸し出しの基準金利を現行の年利八・七%から〇・三%
引き下げて八・四%といたしますほか、商工組合中央金庫におきましても、組合貸しの長期貸し出しについて年利〇・三%の
引き下げをはかることといたしております。
農林水産業構造
改善対策費二百三十四億円の内訳は、農業関係百九十五億円、林業関係二十四億円及び沿岸漁業関係十五億円となっております。このうち、農業
構造改善事業につきましては、四十一
年度に新たに四百八十地域において
事業に着手いたしますほか、さらに五百市町村を
計画地域として指定することといたしております。
生鮮食料品対策のおもな項目は、野菜の
生産と出荷の安定をはかるための野菜
集団産地の
育成、カンラン等の価格安定
資金の助成、
食肉供給の増強をはかるための肉用牛繁殖
育成センターの設置等に対する助成、中央卸売り市場の
整備に対する
補助の
増加、
水産物価格の安定をはかるため
冷凍化した多獲性の魚の出荷調整
事業の試験的な実施などであります。
農林漁業金融公庫におきましては、新規貸し付け契約額を前
年度の千二百四十億円から千四百二十億円に
拡大することといたしております。
農業近代化資金の新規
貸し付けワクを前
年度の七百億円から八百億円に
拡大いたしますとともに、
生産家畜及び果樹の
育成資金等を新たに融資対象に加え、また、貸し付け金利を年利〇・五%
引き下げることといたしております。
なお、
農業近代化資金にかかる債務保証
制度を
充実強化するため、都道府県の
農業信用基金協会の行なう債務保証について保険するとともに、債務保証に必要な
資金の融資を行なうため設立される農業信用保険協会に対して四十四億円を交付することといたしております。
特別会計につきましては、
一般会計の関連する項目においてそれぞれ御説明いたしましたので、ここでは四十一
年度に
新設を予定する地震再保険特別会計及び都市
開発資金融通特別会計について御説明いたします。
なお、この二特別会計の
新設に伴い、特別会計の数は四十五と相なります。
地震再保険特別会計は、地震等による被災者の生活安定に寄与するため、
住宅及び家財について超過損害再
保険制度を創設することに伴って新たに設けられるものであります。
都市
開発資金融通特別会計は、大都市における再
開発を
促進し、都市
計画事業を円滑に実施するため、関係
地方公共団体に対して
工場跡地等の買収及び特に重要な都市
計画施設の用地の先行取得を行なうための
資金を融資することを目的として、新たに設けられるものであります。
なお、この会計に対しては、
一般会計から五億円を繰り入れますほか、十億円の
財政投融資を行なうことにいたしております。
政府関係機関につきましては、関連する項目においてそれぞれ御説明いたしたとおりでございます。
以上でございます。