○玉置
委員 私は、民社党を
代表いたしまして、今回の補正予算に関連いたしまして、政府の海運政策、船員政策並びに日韓国交正常化を真に意義あらしめるために、政府の外交姿勢、ことに今後のアジアの外交姿勢につきまして、
質問をいたしたいと思います。
そこで、まず外交案件から入っていきたいと思います。御承知のとおり、日韓国会は混乱のうちに、去る十二月十一日、ようやくその成立を見たのでありまして、去る十八日には韓国のソウルにおきましてこれが批准書の交換が行なわれたことは、御承知のとおりでございます。この国会審議を振り返ってみますと、韓国との国交正常化は、いわゆる善隣友好外交の推進でありまして、
日本の平和にとっても、はたまたアジアの平和にとりましても、有益であり、必要欠くべからざるものであるとする推進論者と、それから、日韓
条約は南北両朝鮮の統一を阻害するものである、中国をはじめとします共産圏諸国とのみぞを深くして、その本質は軍事
条約であって、アジアの緊張を激化させる以外の何ものでもない、こういった
二つの反対論が激突したのであります。これを直ちに軍事
条約と見まして、戦争への道に直結するということも、はなはだオーバーな
表現でありますけれ
ども、また一方、
アメリカをうしろだてとしますアジアにおける自由陣営諸国の結束の強化に役立ったことも、いなめない客観的な事実であると思います。したがって、この日韓国交の正常化が、アジアの平和に積極的な寄与をなして、真にわが国のためにプラスになるか、あるいはまた逆にアジアの緊張を激化しまして、わが国にとりましても有害なものになるかどうかは、日韓正常化のあとに続いていきます今後の
佐藤内閣の外交姿勢のいかんにかかっておると言っても過言でないと思います。わが党は、御承知のとおり、日韓国会におきまして、
今澄政審会長を立てまして、わが国の進むべき外交の道はただ
一つ、すなわち、対米追随の外交でもなければ、逆に米国を敵とする容共路線でもない、それは、
アメリカに対しては自主外交であり、共産陣営に対しては共存の道であることを力説したのも、このゆえんであります。日韓
条約は、この外交方針によってこそ、真に意義あり、価値あるものである。この
意味におきまして、われわれは日韓
条約を是認したのであります。本日は、その
責任上、今後のわが国の外交方針、主としてアジア外交に対する
佐藤内閣の態度につきましてこれからお伺いをしていきたい、かように存じます。
そこで、最近起こりました外交事件で、私の興味をそそったものに
二つございます。
一つは、アジアの開発銀行本店が、
国民の多くの期待に反しまして、フィリピンのマニラに設置された問題であり、いま
一つは、わが国がAA諸国の協力を得まして、国連の安全保障
理事会の任期二年の非常任
理事国に当選したことであります。
まず、アジア開発銀行の
関係につきまして、お伺いをしていきたいと思います。もともと、アジアの開発銀行のアイデアは
アメリカの発想にかかるものでありまして、その後主として
日本がお世話をしてきたことは御承知のとおりでございます。その出資金もまた、
アメリカに次いで
日本が他のアジアの各国の群を抜いて多額であることも御承知のとおりでございます。この本店は、交通、通信、経済その他の各般の観点から
考えましても、当然東京に設置されるものであることは、
国民がひとしく信じておったところでありますが、ふたをあけてみますと、全く意外にもフィリピンのマニラに取られてしまった。
国民は非常に驚いておるというのが事実である、かように存じます。これほど近年あわを食ったと申しますか、意外に感じられる外交事例というものは少なかったんじゃないか、かような
意味におきまして、どう見てもこれは
日本の外交の失敗であったといわざるを得ないと思うわけでありますが、これにつきまして、
総理はどういうふうにお
考えになっておるか、御所見を承っておきたいと思います。