運営者
Bitlet
姉妹サービス
kokalog - 国会
yonalog - 47都道府県議会
nisalog - 東京23区議会
serelog - 政令指定都市議会
hokkaidolog - 北海道内市区町村議会
aomorilog - 青森県内市区町村議会
iwatelog - 岩手県内市区町村議会
miyagilog - 宮城県内市区町村議会
akitalog - 秋田県内市区町村議会
yamagatalog - 山形県内市区町村議会
fukushimalog - 福島県内市区町村議会
ibarakilog - 茨城県内市区町村議会
tochigilog - 栃木県内市区町村議会
gunmalog - 群馬県内市区町村議会
saitamalog - 埼玉県内市区町村議会
chibalog - 千葉県内市区町村議会
tokyolog - 東京都内市区町村議会
kanagawalog - 神奈川県内市区町村議会
nigatalog - 新潟県内市区町村議会
toyamalog - 富山県内市区町村議会
ishikawalog - 石川県内市区町村議会
fukuilog - 福井県内市区町村議会
yamanashilog - 山梨県内市区町村議会
naganolog - 長野県内市区町村議会
gifulog - 岐阜県内市区町村議会
sizuokalog - 静岡県内市区町村議会
aichilog - 愛知県内市区町村議会
mielog - 三重県内市区町村議会
shigalog - 滋賀県内市区町村議会
kyotolog - 京都府内市区町村議会
osakalog - 大阪府内市区町村議会
hyogolog - 兵庫県内市区町村議会
naralog - 奈良県内市区町村議会
wakayamalog - 和歌山県内市区町村議会
tottorilog - 鳥取県内市区町村議会
shimanelog - 島根県内市区町村議会
okayamalog - 岡山県内市区町村議会
hiroshimalog - 広島県内市区町村議会
yamaguchilog - 山口県内市区町村議会
tokushimalog - 徳島県内市区町村議会
kagawalog - 香川県内市区町村議会
ehimelog - 愛媛県内市区町村議会
kochilog - 高知県内市区町村議会
fukuokalog - 福岡県内市区町村議会
sagalog - 佐賀県内市区町村議会
nagasakilog - 長崎県内市区町村議会
kumamotolog - 熊本県内市区町村議会
oitalog - 大分県内市区町村議会
miyazakilog - 宮崎県内市区町村議会
kagoshimalog - 鹿児島県内市区町村議会
okinawalog - 沖縄県内市区町村議会
使い方
FAQ
このサイトについて
|
login
×
kokalog - 国会議事録検索
1965-12-21 第51回国会 衆議院 予算委員会 第1号
公式Web版
会議録情報
0
本
国会召集日
(
昭和
四十年十二月二十日)(月曜 日)(午前零時現在)における本
委員
は、次の通 りである。
委員長
青木
正君
理事
赤澤
正道
君
理事
植木庚
子郎君
理事
小川
半次
君
理事
古川
丈吉
君
理事
加藤
清二
君
理事
川俣
清音
君
理事
辻原
弘市君
理事
今澄
勇君
相川
勝六
君
愛知
揆一君
荒木萬壽夫
君
荒舩清十郎
君
井出一太郎
君 稻葉 修君 今松
治郎
君
江崎
真澄
君
大橋
武夫
君
大平
正芳
君
上林
山
榮吉
君 川崎 秀二君
小坂善太郎
君
櫻内
義雄
君
重政
誠之
君
登坂重次郎
君
中曽根康弘
君
灘尾
弘吉
君
丹羽
兵助
君
西村
直己
君
野田
卯一
君
古井
喜實
君
松浦周太郎
君 三原 朝雄君
水田三喜男
君
八木
徹雄
君
石田
宥全君
石橋
政嗣君
大原
亨君
片島
港君
小松
幹君
高田
富之
君
中井徳次郎
君
中澤
茂一
君
永井勝次郎
君
野原
覺君
山花
秀雄
君
横路
節雄
君
佐々木良作
君
永末
英一
君
加藤
進君 ————————
—————————————
昭和
四十年十二月二十一日(火曜日) 午前十一時四十七分
開議
出席委員
委員長
青木
正君
理事
赤澤
正道
君
理事
植木庚
子郎君
理事
小川
半次
君
理事
古川
丈吉
君
理事
八木
徹雄
君
理事
加藤
清二
君
理事
川俣
清音
君
理事
辻原
弘市君
理事
今澄
勇君
相川
勝六
君
愛知
揆一君
荒木萬壽夫
君
荒舩清十郎
君
井出一太郎
君 今松
治郎
君
江崎
真澄
君
大橋
武夫
君
大平
正芳
君
上林
山
榮吉
君
鯨岡
兵輔
君
小坂善太郎
君
櫻内
義雄
君
重政
誠之
君
塚田
徹君
登坂重次郎
君
中曽根康弘
君
丹羽
兵助
君
西村
直己
君
野田
卯一
君
橋本龍太郎
君
古井
喜實
君
松浦周太郎
君 湊
徹郎
君
山村新治郎
君
有馬
輝武
君
石田
宥全君
石橋
政嗣君
大原
亨君
片島
港君
小松
幹君
高田
富之
君
中井徳次郎
君
中澤
茂一
君
永井勝次郎
君
野原
覺君
山花
秀雄
君
横路
節雄
君
永末
英一
君
加藤
進君
出席国務大臣
内閣総理大臣
佐藤 榮作君 法 務 大 臣
石井光次郎
君 外 務 大 臣
椎名悦三郎
君 大 蔵 大 臣
福田
赳夫
君 文 部 大 臣
中村
梅吉君 厚 生 大 臣 鈴木 善幸君 農 林 大 臣 坂田
英一
君
通商産業大臣
三木
武夫
君 運 輸 大 臣
中村
寅太
君 郵 政 大 臣 郡 祐一君 労 働 大 臣 小平 久雄君 建 設 大 臣
瀬戸山三男
君 自 治 大 臣 永山 忠則君 国 務 大 臣 上原 正吉君 国 務 大 臣
福田
篤泰君 国 務 大 臣
藤山愛一郎
君 国 務 大 臣 松野 頼三君 国 務 大 臣 安井 謙君
出席政府委員
内閣官房長官
橋本登美三郎
君
内閣法制局長官
高辻 正巳君
総理府事務官
(
人事局長
) 増子 正宏君
外務事務官
(
アジア局長
) 後宮
虎郎
君
外務事務官
(
北米局長
) 安川 壯君
外務事務官
(
経済協力局
長) 西山 昭君
外務事務官
(
経済局長
) 中山
賀博
君
大蔵事務官
(
主計局長
)
谷村
裕君
大蔵事務官
(
理財局長
) 中尾 博之君
大蔵事務官
(
銀行局長
) 佐竹 浩君
厚生事務官
(
年金局長
) 伊部 英男君
農林事務官
(
大臣官房長
) 大口 駿一君
農林事務官
(
農林経済局
長) 森本 修君
水産庁次長
石田
朗君
通商産業事務官
(
通商局長
) 渡邊彌榮司君
運輸事務官
(
大臣官房長
) 深草 克巳君
郵政事務官
(
大臣官房長
) 鶴岡 寛君
郵政事務官
(
電気通信監理
官) 畠山 一郎君
郵政事務官
(
郵政局長
) 長田 裕二君
郵政事務官
(
経理局長
) 淺野
賢澄
君
労働基準監督官
(
労働基準局
長) 村上 茂利君
建設事務官
(
計画局長
) 志村 清一君
自治事務官
(
財政局長
) 柴田 護君
委員外
の
出席者
専 門 員 大沢 実君
—————————————
十二月二十一日
委員稻葉修
君、
灘尾弘吉
君、
丹羽兵助
君、
古井
喜實
君、
水田三喜男
君、
石橋政嗣君及び片島
港 君
辞任
につき、その
補欠
として
塚田徹
君、
橋本
龍太郎
君、
湊徹郎
君、
鯨岡兵輔
君、
山村新治郎
君、
有馬輝武
君及び
堀昌雄
君が
議長
の
指名
で委 員に選任された。 同日
委員鯨岡兵輔
君、
塚田徹
君、
橋本龍太郎
君、湊
徹郎
君及び
山村新治郎
君
辞任
につき、その
補欠
として
古井喜實
君、
稻葉修
君、
灘尾弘吉
君、丹
羽兵助
君及び
水田三喜男
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同日
理事八木徹雄
君八月十二日
委員辞任
につき、そ の
補欠
として
八木徹雄
君が
理事
に当選した。
—————————————
十二月二十日
昭和
四十
年度
一般会計補正予算
(第3号)
昭和
四十
年度
特別会計補正予算
(特第2号)
昭和
四十
年度
政府関係機関補正予算
(機第2号) 同月二十一日
昭和
四十
年度
政府関係機関補正予算
(機第3号) は本
委員会
に付託された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
理事
の
補欠選任
昭和
四十
年度
一般会計補正予算
(第3号)
昭和
四十
年度
特別会計補正予算
(特第2号)
昭和
四十
年度
政府関係機関補正予算
(機第2号) ————◇—————
青木正
1
○
青木委員長
これより
会議
を開きます。 午後一時より再開することとし、暫時
休憩
いたします。 午前十一時四十八分
休憩
————◇————— 午後一時七分
開議
青木正
2
○
青木委員長
休憩
前に引き続き
会議
を開きます。 この際、
理事
の
補欠選任
についておはかりいたします。
委員
の異動によりまして、現在
理事
が一名欠員となっております。 つきましては、この際その
補欠選任
を行ないたいと存じますが、これは
委員長
において
指名
するに御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
青木正
3
○
青木委員長
御
異議
なしと認めます。よって、
八木徹雄
君を
理事
に
指名
いたします。 ————◇—————
青木正
4
○
青木委員長
これより
昭和
四十
年度
一般会計補正予算
(第3号)、
特別会計補正予算
(特第2号)及び
政府関係機関補正予算
(機第2号)、以上三案を一括して議題とし、審査に入ります。
—————————————
昭和
四十
年度
一般会計補正予算
(第3号)
昭和
四十
年度
特別会計補正予算
(特第2号)
昭和
四十
年度
政府関係機関補正予算
(機第2号) 〔
本号末尾
に掲載〕
—————————————
青木正
5
○
青木委員長
まず各案の趣旨につきまして
政府
の
説明
を求めます。
大蔵大臣福田赳夫
君。
福田赳夫
6
○
福田
(赳)
国務大臣
政府
は、今回、
昭和
四十
年度
一般会計補正予算
(第3号)、
特別会計補正予算
(特第2号)及び
政府関係機関補正予算
(機第2号)を
国会
に提出いたしました。 ここに、
予算委員会
の御
審議
をお願いするにあたり、その
概要
を御
説明
申し上げます。
一般会計
でございますが、
昭和
四十
年度
の
租税
及び
印紙収入
につきましては、
経済活動
の停滞を反映いたしまして、その
収入見込み額
が大幅な
減少
を来たすことが明らかとなりましたので、最近までの
収納実績等
を勘案して、今回、当初
予算額
から二千五百九十億円を
減額
することといたしております。この
租税
及び
印紙収入
の異常な
減少
に対しましては、その
減収見込み額
を
補てん
するため、臨時応急的な
特例措置
として、別途今
国会
に提出いたしております
昭和
四十
年度
における
財政処理
の
特別措置
に関する
法律案
により、
公債
を発行することといたしまして、
公債金
二千五百九十億円を
歳入予算
に計上いたしております。 なお、この
公債
は、
資金運用部資金
による引き受け及び
市中公募
により発行することといたしておるのであります。 次に、
歳出
の
追加
につきましては、
国家公務員等
の
給与改善
をはじめ、当初
予算作成
後に生じた事由に基づき、特に緊急に
措置
を要するものについて、
総額
千四百十二億円を計上いたしております。これが
財源措置
につきましては、従来の
補正予算
において
財源
の大宗をなしておりました
租税
及び
印紙収入
が、さきに申し述べましたように、かえって大幅に
減少
が見込まれるという困難な
財源事情
にあったのでありますが、
税外収入
において四百六十四億円、前
年度
剰余金
の
受け入れ
において百八十七億円、
合計
六百五十一億円を
歳入
に
追加
計上するとともに、なお
不足
する七百六十一億円につきましては、
既定経費
の節減三百三十億円、
出資
の
融資等
への振りかえによる
減額
二百五十二億円、
予備費
の
減額
五十億円等の
歳出
の
減額
を行ない、これが
財源
に充てることといたしております。 次に、
追加
を行なう事項につきまして、それぞれ御
説明
いたします。 まず、
給与改善費
でありますが、これは、去る八月十三日に行なわれました
人事院勧告
を尊重し、本年九月にさかのぼって
国家公務員等
の
給与改善
を
実施
することとして、三百五十三億円を計上しております。
災害対策費
といたしましては、百六十六億円を計上いたしております。本年は、
台風
二十三号、二十四号、二十五
号等
により、昨年を大幅に上回る
災害
の
発生
が見られ、これにつきましては、すでに
既定
の
予備費
をもって応急の
措置
を講じてまいったのでありますが、なお今後の
復旧等
に必要な
経費
といたしまして百四十二億円計上いたしております。このほか、
緊急砂防事業費
として三億円、過
年発生災害
の
復旧事業費
として二十一億円を
追加
することとしておるのであります。 第三は、
農業共済
再
保険特別会計
への
繰り入れ
に必要な
経費
であります。これは、
農業共済
再
保険特別会計
における再
保険金
の
支払い財源
に充てるため、
一般会計
から同
特別会計
へ十六億円を
繰り入れ
るものであります。 第四は、
食糧管理特別会計
への
繰り入れ
に必要な
経費
でありまして、二百九億円を計上いたしております。
食糧管理特別会計
につきましては、四十
年産国内米
の
政府買い入れ価格
が当初
予算
において
予定
していた
価格
を上回って定められたこと等に伴い、
食糧管理勘定
における
損失
が大幅に
増加
する
見込み
となりましたので、
消費者米価
を明年一月より
改定
して同
勘定
の
収支
について
改善
をはかることといたしているのでありますが、なおその
損失
が、当初
予算
において
予定
していた額よりも相当
増加
いたすのであります。 したがいまして、今回同
特別会計
の
経理運営
の
改善
をはかるため、百五十億円を
調整勘定
へ
繰り入れ
ることとしたものであります。 なお、このほか、
農産物等安定勘定
及び
砂糖類勘定
に対し、三十九
年度
において生じた
損失
を
補てん
するため、合わせて五十九億円の
繰り入れ
を行なうことといたしております。 第五は、
消費者米価
の
改定
に伴う
生活保護費等
の
増加
でありまして、三億円を計上いたしております。 第六は、
義務的経費
の
不足額
の
補てん
に要する
経費
でありまして、
国民健康保険助成費
二百八億円、
義務教育費国庫負担金
百二億円等、四百二十六億円を計上いたしております。 第七は、
日韓国交
の
正常化
に伴い必要な
経費
でありまして、
韓国
に拿捕された漁船にかかる船主及び抑留乗り組み員に対し、
総額
四十億円の
特別給付金
を支給することといたしますほか、
韓国
との
無償経済協力
に要する
経費
として十八億円を見込む等、合わせて六十二億円を計上しておるのであります。 第八は、
中小企業信用保険公庫出資金
でありまして、
中小企業者
に対する
事業資金
の融通の
円滑化
をはかるため、
中小企業信用保険制度
を
拡充
強化することとしておりますが、これに伴って同
公庫
の
融資基金
を増額するため十億円を
追加
出資
するものであります。 第九は、
揮発油税収入
の
減少等
に伴う
揮発油税等道路特定財源
の
道路整備特別会計
への
繰り入れ
の
修正減少額
を
補てん
するため、
一般財源
による同
特別会計
への
繰り入れ
を
追加
するに必要な
経費
でありまして百二十八億円を計上しております。 以上御
説明
いたしました項目のほか、
炭鉱整理促進費補助金
、
糖価安定事業団交付金
の
追加等
につきまして、それぞれ
所要
の
追加
を行なうことといたしておるのであります。 以上の
歳入歳出
の
追加
及び
修正減少
によりまして、
昭和
四十
年度
一般会計予算
の
総額
は、
歳入歳出
とも六百五十一億円を
増加
して、三兆七千四百四十七億円と相なるのであります。 なお、
大蔵省証券
の発行及び一時借入金の
最高額
につきましては、当初
予算
において、二千億円と規定していたのでありますが、
国庫収支
の推移に関する今後の見通しに基づき、今回の
予算総則補正
におきまして、この
最高額
を四千億円に改めることといたしておるのであります。 次に、
特別会計予算
及び
政府関係機関予算
におきましては、今夏以来
実施
中の
景気対策
及びただいま御
説明
いたしました
一般会計
の
予算補正等
に関連し、
特別会計
においては、
交付税
及び
譲与税配付金特別会計
、
国債整理基金特別会計
、
国立学校特別会計等
十五の
特別会計予算
につき、また、
政府関係機関
においては、
日本国有鉄道
、
日本電信電話公社
第六
政府関係機関予算
につきまして、それぞれ
所要
の
補正
を行なうことといたしておるのであります。 また、当面の
景気対策
につきましては、今夏以来
金融面
における
措置
に加えて、
財政面
においても
財政投融資
の繰り上げ及び
拡充
、
公共事業
の繰り上げ
施行等
の
措置
を講じてまいったのでありますが、今回、さらに特別の
措置
として、
一般会計
、
特別会計
及び
政府関係機関
の
公共事業関係等
の
事業
について
総額
約一千億円の
債務負担行為
の活用をはかることといたしております。これによりまして、本
年度
末から来
年度
初めにかけての
公共事業関係
の
事業量
は引き続き高い水準を保ち、当面の
景気対策
に資することになると考えます。 なお、今回の
補正予算
におきまして新たに
追加
計上いたします
債務負担行為
の
限度額
は、当初
予算
に計上した
限度額
の中で、本
年度
に支出化することとされたものに振りかえて実行上
措置
するものが二百億円ありますので、これを除きまして、
総額
八百二十七億円と相なるのであります。 次に、
財政投融資計画
におきましては、
景気対策
の一環として推進しつつある
財政投融資対象機関
の
事業
の
拡充
、
地方財政対策
及び今回の
補正予算
に関連して
所要
の
改定
を行なうこととし、
総額
千三百三十五億円の
投融資
を
増加
することといたしております。そのうちのおもなものは、
日本国有鉄道
二百五十億円、住宅金融
公庫
百十四億円、日本開発銀行二百億円、
日本住宅公団
百八十六億円、
日本道路公団
百二十億円及び
地方公共団体
三百十五億円等であります。 以上の結果、本
年度
の
財政投融資
の
改定計画額
は、先般決定いたしました
石炭合理化事業団
及び
中小企業金融
三
機関
に対する
追加額
二百七十九億円と合わせ一兆七千八百二十億円と相なるわけであります。 最後に、特に
地方財政対策
について申し上げます。 本
年度
における
地方財政
は、国の場合と同様、
歳入面
において
地方税等
の大幅な
減少
が見込まれるとともに、
歳出面
では、
公務員
の
給与改善
、
災害復旧等多額
の
追加財政需要
があり、これが
財源対策
は、きわめて困難な情勢にありますので、
政府
としては、次の特別の
措置
を講ずることといたしました。 まず、
地方交付税交付金
につきましては、今回の
予算補正
において
所得税
、
法人税
及び
酒税
の
収入見込み額
を
減額
することに伴い五百十二億円の
減額
となるべきところ、
特別措置
としてこれを
減額
せず、当初
予算額どおり
とすることといたしましたほか、
地方公務員
の
給与改善
の
財源
に資するため、一
交付税
及び
譲与税配付金特別会計
において、
資金運用部資金
から三百億円を借り入れ、当初の
地方交付税交付金
にこれを加算することといたしました。 また、国税と同様相当大幅な
減収
が見込まれる
地方税等
の
減収対策
として
総額
四百億円の
地方債
を
追加
し、そのうち
資金運用部資金
によって百五十億円を引き受けることといたしました。 以上の諸
措置
によりまして、
地方財政
の
対策
に万全を期することといたしておるのであります。 以上、ごく概略を御
説明
いたしましたが、なお詳細にわたりましては、
政府委員
をして、補足して
説明
いたさせます。 何とぞ、御
審議
の上、すみやかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
青木正
7
○
青木委員長
引き続き、
政府委員
の
補足説明
を許します。
主計局長谷村裕
君。
谷村裕
8
○
谷村政府委員
昭和
四十
年度
補正予算
の
概要
につきましては、ただいま
大蔵大臣
から御
説明
いたしましたとおりでありますが、なお細部にわたりまして補足して
説明
することといたします。 今回の
一般会計補正予算
における
歳入
、
歳出
の
補正額
は、それぞれ六百五十一億円であります。 まず、
補正額
について御
説明
いたしますと、
歳入
につきましては、
追加額
は三千二百六十二億円、
修正減少額
は二千六百十一億円、
差し引き補正額
は六百五十一億円となっております。 また、
歳出
につきましては、
追加額
は千四百十二億円、
修正減少額
は七百六十一億円でありまして、
差し引き補正額
は、
歳入
と同額の六百五十一億円となっております。 この結果、
昭和
四十
年度
一般会計歳入歳出予算
の規模は、
補正予算
(第1号)後の三兆六千七百九十六億円から、
歳入歳出
とも六百五十一億円を
増加
して、三兆七千四百四十七億円となります。 以下、
歳入歳出
のそれぞれについて、御
説明
いたします。 まず、
歳入
の
修正減少額
二千六百十一億円は、すべて
租税
及び
印紙収入
にかかるものでありまして、そのおもなる
内訳
は、
源泉所得税
九十億円、
法人税
千三百九十五億円、
酒税
二百五十億円、
揮発油税
百三十二億円、
物品税
二百四十八億円、
有価証券取引税
四十九億円、関税三百三十二億円等であります。 なお、
砂糖消費税
及び
石油ガス税
について、二十一億円の増収を見込んでおりますので、
租税
及び
印紙収入
の全体といたしましては、二千五百九十億円の
減少
となります。 次に、
歳入
の
追加額
三千二百六十二億円のうち、
税外収入
四百六十四億円及び前
年度
剰余金
の
受け入れ
百八十七億円につき
補足説明
いたします。
税外収入
四百六十四億円のうち三百十七億円は、
日本銀行納付金
の
増加
を見込むことによるものであります。これにつきましては、三十九
年度
下期及び四十
年度
上期における
決算
に基づく
増加額
九十七億円のほか、四十
年度
下期分の
納付金
二百二十億円を本
年度
の
歳入
に
受け入れ
ることといたしております。 また、前
年度
剰余金
の
受け入れ
百八十七億円は三十九
年度
決算
における新規純
剰余金
二百四十億円から
地方交付税
及び
道路整備費
並びに
公債償還
の
財源
に充てる
見込み額
五十三億円を控除した額であります。 次に、
歳出
の
追加額
千四百十二億円の
内訳
について
補足説明
いたします。
給与改善費
三百五十三億円の
内訳
は、
一般会計職員分
百七十八億円、他
会計繰り入れ分
五十億円、
義務教育費国庫負担金
百億円、
補助職員分
二十五億円であります。 次は、
災害対策費
百六十六億円でありますが、本年は、
台風
二十三号、二十四号、二十五
号等
による
公共土木施設
及び
農林水産業施設
の
被害報告額
は、昨年を大幅に上回る二千百億円に達するものとなりました。これが
復旧
につきましては、すでに
予備費
をもって二百八十一億円を支出したのでありますが、今回、さらに
災害復旧事業
の
進捗
をはかるため、今後
予備費
により
措置
するものを除き、百四十二億円を
補正予算
に計上することといたしました。 このほか、四十
年発生災害
に伴って、荒廃した
河川渓流
における
崩壊等
を緊急に防止するため、
緊急砂防事業費
三億円を
追加
いたしますとともに、三十七年及び三十八年
発生
の
災害復旧等事業
につきましても、その後の
実施状況
の調査結果に基づき二十一億円を
追加
して、
予定
の
進捗率
の確保をはかることといたしております。 なお
財政投融資計画
におきましても、
災害復旧事業等
に伴う
地方公共団体
の
負担増加
に対処するため、今回、
地方公共団体
に対し百五十五億円を
追加
融資して、
災害復旧
に遺憾なきを期しております。 次は、
農業共済
再
保険特別会計
への
繰り入れ
に必要な
経費
十六億円であります。本年は、春の
異常気象
、
収穫期
の
台風等
により、かなりの
被害
が
発生
いたしましたため、
農業共済
再
保険特別会計
の
農業勘定
から支出する再
保険金
が当初の
予定
を上回り、再
保険金
の
支払い財源
に
不足
を生ずることが見込まれますので、
一般会計
からこの
特別会計
の
農業勘定
への
繰り入れ額
を
追加
するものであります。 次は、
食糧管理特別会計
への
繰り入れ
に必要な
経費
二百九億円であります。四十
年産米
の
生産者米価
は、三十九
年産米
に対し、
石当たり
千三百七十四円引き上げられたのでありますが、これに伴い、同
特別会計食糧管理勘定
の
損失
は、当初
予算
における
見込み額
千八十七億円をはるかに上回ることが見込まれるに至りました。
政府
といたしましては、この
状況
にかんがみ、四十一年一月一日から、
消費者米価
を平均八・六%引き上げることとしたのでありますが、同
勘定
の
損失
は引き上げ後においてもなお千二百六十二億円にのぼると見込まれますので、同
特別会計
の
経理運営
の
改善
をはかるため、今回、
調整勘定
に百五十億円を
繰り入れ
ることといたしております。これにより四十
年度
予算
における
調整勘定
への
繰り入れ額
は千二百五億円となります。 このほか、三十九
年度
に生じた
損失
を
補てん
するため、同
会計
の
農産物等安定勘定
へ六億円、
砂糖類勘定
へ五十三億円を
繰り入れ
ることといたしております。 次は、
消費者米価
の
改定
に伴う
増加経費
でありまして、
生活保護費
及び
児童保護費
などについて
合計
三億円の増額を
予定
いたしております。 次は、
国民健康保険助成費等義務的経費
の
不足額
の
補てん
に必要な
経費
でありまして、四百二十六億円を計上いたしております。 このうちのおもなるものは、
国民健康保険助成費
二百八億円及び
義務教育費国庫負担金
百二億円でありますが、
地方財政
の現況にかんがみまして、この二つの
経費
につきましては、それぞれ三十九
年度
精算不足額
百十一億円及び五十四億円のみならず、四十
年度
に
不足
を生ずると見込まれる額九十七億円及び四十八億円につきましても、今回、特にこれを
追加
することとしている次第でございます。 次は、
日韓国交
の
正常化
に伴い必要な
経費
でありまして、六十二億円を計上いたしております。まず、
韓国
に拿捕されました漁船にかかる船主及び抑留乗組員等に対し、
総額
四十億円の
特別給付金
を支給することといたしております。 次に、財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定の
実施
に伴い、四十
年度
の
無償経済協力
に必要な額といたしまして、十八億円を計上しております。 このほか、日本国と大韓民国との間の漁業に関する協定等の
実施
に伴い、漁業の自主規制及び取り締まり等のため、四億円を計上いたしております。 次は、中小企業信用保険
公庫
に対する
追加
出資
でありまして、十億円を計上いたしております。
中小企業者
に対する
事業資金
の融通の
円滑化
をはかるため、先般、中小企業信用保険につき、保険料率の大幅な引き下げを
実施
し、さらに限度二百万円までの無担保保険及び連鎖倒産等防止のための保険制度の新設等、その制度の
拡充
強化をはかることといたしました。これらの
措置
の
実施
に伴い、都道府県の信用保証協会の活動を促進するため、中小企業信用保険
公庫
の
融資基金
として、当初
予算
において
出資
を
予定
しております六十億円に加えて十億円を
追加
するものであります。 次は、
道路整備特別会計
への
繰り入れ
に必要な
経費
でありまして、百二十八億円を計上いたしております。
道路整備特別会計
に対しましては、
道路整備費
のための特定
財源
として、毎
年度
の
揮発油税
等の収入
予算額
に相当する金額を
一般会計
から
繰り入れ
ることとなっております。今回、
揮発油税
の収入
減少等
に伴い、
揮発油税
等収入相当額
財源
の
道路整備特別会計
への
繰り入れ額
を、百二十八億円
修正減少
することといたしましたが、
既定
の
事業量
を確保するため、
一般財源
による同
特別会計
への
繰り入れ
を同額
追加
計上することといたしたものであります。 このほか、
炭鉱整理促進費補助金
につき十三億円、また、
糖価安定事業団交付金
につき九億円を計上する等、
所要
の
措置
を講ずることとしております。 次に、
歳出
の
修正減少額
は、七百六十一億円となっております。今回の
補正予算
の編成に際しましては、
総額
千四百十二億円にのぼる
歳出
追加
の
財源措置
といたしましては、さきに述べましたように、まず
税外収入
四百六十四億円及び前
年度
剰余金
の
受け入れ
百八十七億円によって、六百五十一億円の
歳入
増加
をはかることといたしましたが、なお
不足
する
財源
七百六十一億円につきまして、
既定
の
歳出
の
修正減少
を行ない、これに充当することといたした次第であります。 以下、
歳出
の
修正減少
の
内訳
について御
説明
いたします。 まず
既定経費
の節減により、三百三十億円の
修正減少
を行なうことといたしております。この
内訳
は、当初
予算
に計上されました旅費、庁費等の節約百四十四億円、不用額の減九十六億円及び
国債整理基金特別会計
に対する国債利子等の
繰り入れ
の
減額
九十億円であります。 次に、
出資
の
減額
及びこれに関連する
特別会計
繰り入れ
の
減額
により二百五十二億五千万円の
修正減少
を行なうことといたしております。 すなわち、まず、
道路整備特別会計
におきまして、
日本道路公団
出資
金百二十億円を
減額
することとし、これに伴い、同
特別会計
への
一般財源
の
繰り入れ額
を
修正減少
することといたしております。また、産業投資
特別会計
におきましては、住宅金融
公庫
出資
金につき二十五億円を、また、農林漁業金融
公庫
出資
金につき百億円をそれぞれ
減額
することとし、これに伴い、同
特別会計
への
繰り入れ額
百二十五億円を
修正減少
することといたしております。このほか、産炭地域振興
事業
団
出資
金につきましても、当初
予算額
から七億五千万円を
減額
することといたしておりますので、以上合わせて二百五十二億五千万円の
修正減少
となるのであります。 なお、これらの四
機関
に対しましては、別途
財政投融資計画
におきまして
出資
の
減額
に見合う資金
追加
を行ない、
既定
の
事業
規模の確保をはかることといたしております。 次に、
予備費
につきましては、当初
予算
計上額五百億円は、十二月二十日現在において残額百四十一億円となっておりますが、このうち今回五十億円を
修正減少
して
歳出
追加
の
財源
に充てることといたしております。 さきに御
説明
いたしましたとおり、今回、
揮発油税
の収入
予算額
を
減額
すること等に伴い、
揮発油税
等
財源
の
道路整備特別会計
への
繰り入れ額
につき百二十八億円を
修正減少
することといたしております。 以上により、
歳出
の
修正減少額
は、
合計
七百六十一億円と相なるのであります。 次に、
特別会計補正予算
(特第2号)について御
説明
いたします。今回、
補正
の
措置
をとっておりますのは、
国債整理基金特別会計
等十五
特別会計
でありますが、その多くは、ただいま申し上げました
一般会計
の
補正
に関連するものでありますので、以下主要なものについて御
説明
することといたします。 まず、
国債整理基金特別会計
でありますが、これは、その
歳出
において、国債発行に伴い必要な国債証書製造費及び国債事務取り扱い手数料等の
経費
を
追加
する等の
補正
を行なうことといたしております。また、
歳入
におきましては、
一般会計
が
繰り入れ
を
減額
した金額を含め九十一億円を
修正減少
するとともに、この
会計
の
剰余金
をこの際
歳入
として
受け入れ
る等の
補正
を行なうことといたしております。 次に、
交付税
及び
譲与税配付金特別会計
であります。さきに御
説明
いたしましたとおり、
一般会計
におきまして、
所得税
、
法人税
及び
酒税
の
歳入予算
額につき、合わせて千七百三十四億円の
修正減少
を行なっているのでありますが、これに伴い、本来ならば
一般会計
から
地方交付税交付金
の
財源
に充てるためこの
特別会計
に
繰り入れ
る金額は、三税の
減少
額の二九・五%に相当する五百十二億円を
減額
することとなるのであります。しかしながら、当面の
地方財政
の
状況
にかんがみ、今回の
補正予算
におきましては、特別の
措置
として、この五百十二億円を
減額
せず、当初
予算額
七千百六十二億円のままといたしているのであります。 次に、
地方公共団体
が行なう職員の
給与改善
の
財源
に資するため、この
特別会計
において
資金運用部資金
三百億円を借り入れ、これにより
地方交付税交付金
の増額を行なうことといたしております。 次に、産業投資
特別会計
でありますが、これは、その
歳入
において、
一般会計
からの
受け入れ
額を百二十五億円
減額
するとともに、その
歳出
において、産業投資支出のうち住宅金融
公庫
出資
金を四十億円から十五億円に、農林漁業金融
公庫
出資
金を百五十六億円から五十六億円に、それぞれ
減額
することといたしております。 次に、
道路整備特別会計
であります。
揮発油税
等特定
財源
の
減少
については、
一般会計
において
財源
補てん
措置
を講じております。しかし、他方、本
会計
の
歳出
において
日本道路公団
出資
金を百二十億円
減額
するとともに、
給与改善
の
実施
に伴い必要な
予算
の
追加
五億円がありますので、差し引き
一般会計
からの
受け入れ
額は百十五億円を
減少
することとなるのであります。 次に、
政府関係機関補正予算
(機第2号)について御
説明
いたします。今回、
補正
の
措置
を講ずることといたしておりますのは、
日本国有鉄道
、
日本電信電話公社
、住宅金融
公庫
、農林漁業金融
公庫
、公営企業金融
公庫
及び日本開発銀行の六
機関
でありますが、このうち、
日本国有鉄道
及び
日本電信電話公社
につき、御
説明
することといたします。
日本国有鉄道
につきましては、
景気対策
の一環としての工事規模の
拡充
、
台風
二十四
号等
の
災害
の
復旧
及び緊急に必要な保安
対策
等を
実施
するため、改良費二百二十億円及び修繕費等二百七十六億円を
追加
することといたしております。これらの
事業
の
追加
に要する
財源
をまかなうため、鉄道債券の発行等により四百九十六億円を調達することといたしております。
日本電信電話公社
につきましては、
景気対策
の一環として、加入電話を三万個増設するため、建設費を百億円
追加
することとし、この
財源
として電信電話債券九十七億円及び設備料三億円を
追加
することといたしております。 次に、
債務負担行為
千二十七億円の
内訳
について御
説明
いたします。 まず、
一般会計
においては、
公共事業
につき二百九十九億円及び官庁営繕につき二十六億円、計三百二十五億円を計上いたしております。このうち、
公共事業
の
内訳
は、空港十億円、農業基盤十五億円、
災害復旧
二百七十億円及び海岸四億円であります。 次に、
特別会計
においては、
公共事業
につき三百二億円及び国立学校施設につき百億円、計四百二億円を計上いたしております。
公共事業
の
内訳
は、道路百五十億円、治水九十五億円、港湾五十二億円及び特定土地五億円であります。 また、
政府関係機関
においては、
日本国有鉄道
につき二百億円及び
日本電信電話公社
につき百億円、計三百億円となっております。 なお、以上のうち、
日本国有鉄道
の二百億円につきましては、当初
予算
に計上いたしました
債務負担行為
の
限度額
のうち今回の
補正予算
において四十
年度
中に支出化する二百億円がありますので、これを
減額
すべきところ、これをそのままとしておくことにより実行上
債務負担行為
の額を二百億円
増加
することといたしておりますので、今回の
補正
で
追加
計上した
債務負担行為
の
総額
は八百二十七億円となっております。 次に、
財政投融資計画
におきましては、今回
総額
千三百三十五億円の
追加
を行なうことといたしております。その
内訳
は、
日本国有鉄道
二百五十億円、
日本電信電話公社
五十億円、住宅金融
公庫
百十四億円、公営企業金融
公庫
五十億円、日本開発銀行二百億円、
日本住宅公団
百八十六億円、
日本道路公団
百二十億円、阪神高速道路公団四十二億円、産炭地域振興
事業
団八億円及び
地方公共団体
三百十五億円となっております。 なお、このほか、住宅金融
公庫
及び農林漁業金融
公庫
に対する産業投資
特別会計
からの
出資
百二十五億円を
減額
して、
資金運用部資金
の融資に振りかえることとしております。 以上に必要な原資といたしましては、公募債借り入れ金に八百九十億円を期待いたしますほか、
資金運用部資金
五百七十億円の
追加
を
予定
いたしております。
青木正
9
○
青木委員長
以上をもちまして、
政府
の
説明
は終わりました。 本
会議
終了後再開することとし、この際暫時
休憩
いたします。 午後一時四十分
休憩
————◇————— 午後四時二十八分
開議
青木正
10
○
青木委員長
休憩
前に引き続き
会議
を開きます。
昭和
四十
年度
補正予算
三案について
審議
を進めます。 これより質疑に入ります。それでは
野田
卯一
君。
野田卯一
11
○
野田
(卯)
委員
私は、自由民主党を代表いたしまして、佐藤総理以下閣僚に対しまして、外交並びに経済政策について若干の質問を試みたいと思います。どうか私に対する答弁を通じまして、国民に、佐藤内閣はどう考えているか、またどう理解しているかということがよくわかるように御答弁をぜひいただきたいと思います。 最初に、外交問題に入りたいと思いますが、過去十四年間、日本と
韓国
との間に交渉されてまいりました各種の懸案を妥結いたしまして、このたび日韓友好条約が成立をしましたことは、まことにわれわれとしては慶祝にたえないところでございます。この日韓問題につきまして、
国会
における論議が非常な大荒れとなりまして、
国会
歴史が始まって以来といわれるような大きな混乱を生じましたことは、まことに遺憾しごくでございます。最近に至りまして、自由民主党、社会党、民社党の間に
国会
の
正常化
に関する申し合わせができまして、
国会
が軌道に乗ることになりましたから、私は、この際、一言総理大臣の御意見を伺いたいことは、この日韓問題が
国会
で非常に紛糾いたしましたが、世論が日韓友好条約の妥結に大部分は賛成していることは、幾多の世論調査の明らかに示すところでございます。また、社会党の支持者においても大きな割合の人々がこの問題に賛成し、共産党の支持者の中にもたくさんの支持者があるわけであります。こういうように国民の大多数が賛成をしているこの問題を取り上げまして
国会
で議論する際に、あのような混乱と醜態を暴露することは、まことに国民に対しても申しわけないことだと思うのであります。私は、こういう問題について各党間に意見の相違のあることはやむを得ないと思いますが、こういう国民の大多数が賛成し、多数党であるところの自民党が多年研究の結果、是なりと信じて、
国会
に
政府
が提案いたしましたものを、どんなことをしても
国会
を通さないのだ、力ずくでも、からだを張っても通さないのだということがあらかじめ宣言されるというようなことになりますと、私は、それは
国会
の議論というものが——
国会
は、御承知のように言論の府でありまして、論議を尽くすことはけっこうでありますが、
審議
を尽くすべく
国会
を開こうとすれば、七十日の
国会
をこちらが要求しているのにかかわらず、四十日にとどめようと主張したり、あるいはまた、
国会
が開かれましたあとにおいても、約三週間というものをいろいろな理由のために空過するというようなことは、私はいままでかってなかったことだと思うのです。でありますから、私は、論議は論議でございますが、少数意見の尊重もございましょう、しかしながら、最後は大多数の者が支持することが言論の府において最終的に賛成を得まして通過するというたてまえ、端的に言いますならば、論議は尽くし、少数意見も尊重するけれども、多数決の原理というものは
国会
並びに議会の根本原則であるというその事柄、この事柄をよく国民にもわかっていただき、われわれ自身もその考えに徹しなければ、私は今後における
国会
運営の真の意味の
正常化
はあり得ない、かように考えておるのでございますが、この点に関する総理大臣の御意見を承りたいと思います。
佐藤榮作
12
○佐藤
内閣総理大臣
お答えいたします。 ただいまお尋ねになりました点については、各党ともたいへん反省をいたしまして、御承知のように、船田前
議長
、田中前副
議長
等のあっせんにより、ようやく
国会
正常化
の方向に向かってきたのであります。しかし、もちろんただいまの申し合わせ、それによって全部が解決したというものではございませんし、また、そういう意味で過去のものについてのいろいろ反省もしてみる、これも大事なことであります。しかし、ただいま申すように、
国会
正常化
の方向へ各党が申し合わせをしたのでありますから、せっかくできたこの申し合わせがりっぱに結実するように一そうの努力をしたいと、かように考えます。私は、ただいまお話しになりましたが、いわゆる多数決の原理というものがどれだけ尊重されるか、また、少数党の意見というものがいかにして取り入れられるか、また、いわゆる物理的な抵抗というような事柄が今後いかに排除されるか、一にいわゆる言論の府である、また、民主主義によって運営される
国会
であるべきだと、かように思いますので、ただいまの過去についての反省も必要なことでありますが、ただいまようやく話し合いがついたその際でございますので、前向きに、われわれが期待、希望を持ってひとつ取り組んでまいりたいと、かように考えます。
野田卯一
13
○
野田
(卯)
委員
次に、日韓関係について申したいのでありますが、
韓国
におきまして、日韓友好条約の締結に一部の者が猛烈に反対をいたしました力一部の学生が特に極端に反対をいたしたのでございますが、この反対の理由の中に、条件が
韓国
側に不利であると言う者がございますが、これは日本側でも不利だと言う者はありまして、両方が不利だと言っていることはむしろ公平だとも見る見解がございます。学生諸君並びに一部の者が強く言っておりますことは、経済侵略ということであります。日韓新関係が結ばれたあと、日本の資本勢力が
韓国
になだれ込んできて、
韓国
の経済を支配するのではなかろうか、こういうようなことを申しておるのであります。こんなことはわれわれも考えたことはございませんし、
政府
当局もお考えになったこともないし、また、おも立った人々はだれも考えておらないと思うのであります。しかしながら、現在実際の
状況
を見ますと、日本の商社の代表が
韓国
に多数駐在いたしまして、活発な商業活動を営んでおり、今度日韓新関係の設定を機会に大いに商売をやろうという意欲のもとに大々的に活動し、それが過当競争までに発展しているのじゃないかと私は思う。この日本の商社間の過当競争があまり行き過ぎますと、
韓国
の各方面に日本の真意を誤解せしめるような現象も起こってくるのではないかということを憂うるのでございます。したがいまして、私は、日韓の友好関係を維持し、両国間の経済関係を緊密にしていくために、業界の人々も、どうか今度の日韓友好関係のできました真の意味を理解されまして、
韓国
経済のほんとうの建て直しに協力するのだ、国民生活の向上に尽くすのだという、ほんとうに誠意に満ちた意識に基づいてぜひとも
経済活動
をしていただきたい。この点につきまして、私は、
政府
当局においてもできるだけ強力なる指導をしていただきたいということを念ずるものでございます。 また、経済援助の実行におきましても、従来のわれわれの経験に照らしますと、
政府
当局、特に佐藤総理大臣は、このような問題については非常に熱心でございますので、問題をスムーズに、迅速に処理することについて常に配意しておられますが、これが実際の問題になると、なかなかそうは動かない。特に官僚組織が複雑でありまして、いろいろな手続に時間を要し、また各省間のセクショナリズムがありまして、なかなかスムーズに、スピーディーにいかないのが従来の例でございます。この点に顧みられまして、今後日韓間に横たわるいろいろな問題を解決する際、ぜひとも総理大臣が各省に、各大臣に号令されまして、できるだけ過去にあったような経験を繰り返さないように、ぜひとも御配意を願いたいと存ずるのでございまして、この点に関する総理の御決意を承りたいと思います。
佐藤榮作
14
○佐藤
内閣総理大臣
ただいま経済侵略ということばをいみじくも使われましたが、私は、戦後の日本の姿、また、日本の歩む方向、これについてぜひ深い理解を持っていただきたい、かように思うのであります。 私が申し上げるまでもなく、戦前におきましては、非常な膨張政策をとっていた、あるいは帝国主義だとかいうような非難も受けた、かように思いますが、私どもは、そういう軍国主義的あるいは帝国主義的な考え方は、もちろん冒頭から持っておりませんけれども、そういう誤解を受けるような行為も一切やらないのだ、戦後におきましては、いわゆる膨張政策、こういうことはもう一てきして、さようなものはみじんも身につけないのだ、こういうことでこの国がスタートした、かように私は思います。日韓交渉が長い時日を要したということも、この過去の日本と現在の日本を理解するのに、ただいまのように時間がかかったのだ、かようにも実は言えるのではないかと思います。もう今日は経済侵略など考えておらない。したがって、ほんとうに心から経済協力をしてくれる、
韓国
の経済の発展を心から願っておる、日韓相互ともどもに経済の繁栄に努力すべきだ、こういうように私どもが努力しておるのでございます。したがいまして、これは
政府
ばかりではなく、日本国民全体がこの考え方に透徹することが必要だ、かように思います。もちろん民主国家でございますから、多数の人がおり、また、それらの者の意見がいろいろ分かれておる、かように考えますけれども、ただいま申し上げた点については、誤解を受けてはならない、かように思いますので、なお私どものあり方を知っていただく上に欠くるものがあるようですから、一そう努力してまいりたい、かように思いますし、また、各省におきまして
韓国
といろいろ折衝、交渉をいたします際に、いわゆる官僚機構が繁文縟礼に流れるとか、そういう意味で能率的でない、こういうようなことがあっては相ならないと思います。そういう意味では、できるだけ親切に、ほんとうに
韓国
の求むるところ、われわれも同じような気持ちで事務の処理に迅速に、円滑にいくようにいたしたいと思います。ただいま経済協力の基本的なものはきめられておりますが、ただいま申し上げるように、経済協力が十分効果をあげる、そういう意味で一そう両国間に友好親善関係が樹立され、もっとあっさりと、こだわりなしに話し合うということになれば、さらにこの友好
状況
を
改善
していくこともできるし、また、経済の発展に寄与することもできるのではないか、かように私は思います。
野田卯一
15
○
野田
(卯)
委員
韓国
と日本との貿易関係を見ますと、
韓国
は日本からたくさん物を買っている。ところが、日本が
韓国
から買うものは少ないのでありまして、おそらく日本の買うものの数倍のものを
韓国
が買っているのではないかと思うのです。そこで、
韓国
といたしましては、国際
収支
も決して楽じゃございませんので、できるだけ日本が
韓国
のものを買ってもらいたい、かような希望を表明しております。
韓国
はいろんな地下資源がございますが、こういうものについてはほとんど問題がございません。しかし、
韓国
は、御承知のように、人口の三分の二が農業その他の第一次産業に従事しておる。したがいまして、
韓国
から日本が買うとすると、どうしても農業その他第一次産業の産品というものに目をつけなければなりません。そこで、
韓国
といたしましては、この第一次産業の産品をできるだけ日本に輸入してもらいたいと考えておるのでございますが、日本側としては、また、日本の農民その他のものも控えておるわけでございます。その間の利害の調整というものも考えなくてはならない。その点はよくわかるのであります。しかしながら、こういう新しい、いわゆる運命共同的な関係ができました以上は、どうか
韓国
の第一次産業をある程度支持して、
韓国
の繁栄をはかる意味におきましても、第一次産業の産品の日本に対する輸入、これについて特別の配慮を
政府
として払わるべきではないか、日本としても払うべきじゃないかというふうに考えるのであります。例のノリの問題でございますが、これがいつも問題になりまして、わずかなことのために、日本と
韓国
との間の悪い感情を誘発する大きな原因になっておることは、御承知のとおりでございます。これは一つの例でございますが、こういう問題について、第一次産業の生産品につきまして今後特段の配慮をなすべきである、かように考えておりますが、本件に関しまして農林大臣の御所見を承りたいと思います。
坂田英一
16
○坂田
国務大臣
ただいまの
野田
委員
のお説のとおりでございまして、非常に向こうから輸入するものよりも輸出するものが多いのでございますから、第一次産品のごときはでき得る限り輸入につとめてまいりたい、こう考えております。ただ、非常な零細漁民あるいは農民の関係でありますから、国内の調整、それはよく考えながら、その態勢を整えながら、十分その目的に沿うようにやってまいりたいと存じます。私が向こうへ参りまして、車農林部長官とも長らく懇談をいたしまして、いろいろお話をいたしたのでございますが、ノリの問題も、いまお話しになりましたが、今年のやつは解決しております。その困難ないろいろの事情等については、別に
政府
の問題というわけではないのでありますが、その困難な点を除去していくようにつとめてまいりたい、こう考えております。 それから農産物等につきましても、米のごときはやはり六万トンばかり輸入することにいたしておりまするが、私は向こうの車長官とお話をしたときには、
韓国
としては、食糧全体はやはり足らないのですな。したがって、米を輸出して雑穀を輸入しておるという
状況
でございます。そこで、私どもとしては、米のごときはでき得る限り日本の生産状態と対応して輸入するようにいたしたいと思うのであるが、貴国においても十分食糧の増産という問題を特別にお考えになる必要がある、そういう意味において、私どもは技術協力という点については特によく考えていきたいと思うがというので、たいへん了承いたしておるようなわけでございます。
野田卯一
17
○
野田
(卯)
委員
今回の日韓友好条約等によりまして、日韓間のおもな懸案はほとんど解決を見たのでありますが、問題は竹島の問題でございます。これは昨日も本
会議
で
政府
側の答弁があったごとく、解決を見ないで今後の折衝にまかされた一というわけであります。日本としては日本の領土であり、
韓国
としては
韓国
の領土であるとお互いに主張いたしておるのでありまして、これがやはり両国間の国民の感情に大きな刺激を与える問題でございますので、私は、取り扱いに双方ともきわめて慎重でなければならぬと思うのであります。最近、御承知のように、この竹島の周囲に十二海里の専管水域を設定するという問題が報ぜられております。これが日本人に対してかなりな感情を刺激する材料になっておると私は考えるのであります。私どもは、
韓国
側が、竹島の問題については、問題が根本的に解決されるまでできるだけ自重した態度をとっていただきたい、これは私は国民の念願であろうと思います。この件につきまして、先般批准書交換のために外務大臣が
韓国
にいらっしゃったときに、向こうの最高幹部とお話し合いがあったかのごとく承っておるのでございますが、その内容をこの席を通じて国民に知らせていただきたいと思います。
椎名悦三郎
18
○椎名
国務大臣
あらゆる機会を利用してこの竹島の問題について話し合うという一般の方針に関連して、批准書交換の際の機会を利用すべきだというような御質問等もありまして、何かそういうスケジュールになっておるかのごとき印象を一般に与えておりますが、必ずしも批准書交換の際が適当であるということをきめたわけでもなかった。今度行きまして、そういううまいチャンスがあればと思ったのでありますけれども、遺憾ながらそのチャンスがなかった。もう少し友好ムードが熟成した際をねらっておもむろに話を持ちかけるという考え方を持っております。
野田卯一
19
○
野田
(卯)
委員
日韓問題の次に、今度ベトナムの問題に入りたいと思います。 ベトナムの最近の情勢は、新聞でも報ぜられておりますように、本年になりましてからアメリカの力強い介入が目立つのであります。私が本年一月ベトナムを訪問いたしましたときには、アメリカのベトナムの駐留軍は二万三千人でありましたが、最近はそれが十六万にもなり、あるいはそれ以上になったかと伝えられております。また、二月からは御承知のように北爆が開始され、また南爆も激しく行なわれておるのでありまして、この北爆につきましては、世界各国におきましてもいろいろな批判もあるところであります。私が一月訪問いたしまして、ベトナムのアメリカの担当者と申しますか、責任者の皆さんとお話をした際に、そのころ南ベトナム
政府
といたしましては、ぜひとも北ベトナムを攻めてもらいたい、すなわち北進論であります。これを強く南ベトナム
政府
はアメリカに要請をしておりました。しかしながらアメリカ
政府
としては、事重大でありますから、容易にみこしを上げないという
状況
でありました。しかしながら、いろいろと検討をいたした末、ついに二月になりましてから北爆が開始をされておるのであります。 私はこの北進論についていろいろと話し合ったときに、一体北爆ということが起こったときに、日本の世論はどうなるだろうか、これに対する反応はどうなるだろうかというような話も出ておりましたが、私は、北進論はなぜ必要かということがまずわからないと、国民の正しい批判は受けられないのではないだろうかというような感想を漏らしておったのであります。御承知のように、アメリカがなぜ北進が必要であるか、北爆が必要であるか、それは結局北ベトナムとベトコンとの関係になるのであります。ベトコンと北ベトナムとが不可分の一体である、北ベトナムの勢力によってベトコンが動かされておる、こういう事実をはっきりと証拠立てて天下に発表いたしましたのが、これがベトナム白書でありまして、これが北爆の始まったころでございます。したがいまして、この方面の北ベトナムとベトコンとの間の関係に対する解明、これがほとんどそれまでにはなされておらなかったというのが実情だろうと思います。それがために、北爆が始まってから北ベトナムとベトコンとの関係が出ましたので、むしろそれが言いわけのようになってしまうというようなことで、世論を混迷におとしいれている点があるのでありまして、この点につきましては、アメリカのPR
不足
、あるいはPRがへたであるということを痛感をする次第であります。 そこで私は、ここで私が聞きましたベトコン並びに北ベトナムとの関係を申し上げる前に、一体日本の外務省は北ベトナムとベトコン、これについてどういうふうな見方をしているのか、その関係についていかに考えていらっしゃるかということを、まずお尋ねを申し上げたい次第であります。
椎名悦三郎
20
○椎名
国務大臣
以前は北ベトナムとベトコンとの関係は、いろいろな諸説ふんぷんとしておりまして、はっきりわからないような
状況
にございましたが、最近ではベトコンと北ベトナムというものは密接な不可分の関係がある、表裏一体をなしておるものであるというようなことは、もうすでに常識になっておるのじゃないかと思います。われわれもさように考えております。
野田卯一
21
○
野田
(卯)
委員
私もときどきいろいろと討論会とか、あるいはベトナム問題に関するいろいろな会合に引き出されまして、意見を述べさせられるのでありますが、そのとき感じますことは、学生諸君とかあるいは一部の人々は、ベトコンというものは、これは北ベトナムとあまり関係がないものだ、こういうような宣伝と申しますか、そういうような先入観を持ちましてこの問題を批判していることを痛切に感ずるわけであります。私としては、ラオスにおもむき、南ベトナムにおもむきまして、詳細に現地について調べておりますので、ベトコンと北ベトナムの問題について詳しく解明をいたすのでありますが、その詳しい解明を聞くと、若干そうかなというような顔つきをするのでありますが、以前においては、何かその間にあまり関係はないのだ、ベトコンというのは、これは南ベトナムの民族解放戦線であって、北ベトナムとはあまり関係がないのだ、両方断ち切っても存在し得るものだ、こういうような考えを持っておる者が多いのであります。したがいまして、この間の理解を深めないと、北爆に関する正しい批判もできないのではないかというふうに私は考えまして、今後この方面にわれわれとしても啓蒙する必要があるのではないかというふうに感ずるのでありますが、この問題について私は奇異に感じますことは、ジュネーブ協定の問題であります。いつも議論をいたしておりますと、最後には北ベトナム、南ベトナム、両方が一九五四年のジュネーブ協定を尊重する、尊重すると、こう言う。そして両方とも尊重すると言い、しかも両方ともが、相手方がジュネーブ協定を破っている、北ベトナムあるいはベトコン側からいうと、南ベトナムがこれを破っているという。南ベトナムからいうと、北ベトナムはこれを破っていると、双方が同じことを申しておるのであります。したがって聞く者がすっかり迷ってしまう、正しい判断が得られないというのが私は実情だと思う。私はただ抽象的に申し上げているのではなくて、多数の演説会、討論会その他を通じて私がじかに触れたことを申し上げているのでありますが、この点に関しての外務省の御見解をお話し願いたいと思います。
椎名悦三郎
22
○椎名
国務大臣
ジュネーブ協定の内容につきましては数項目あるわけであります。それで、両方ともジュネーブ協定によってと、こういうことを主張しておるのでありますが、これをよく分析いたしますと、あのジュネーブ協定には、南ベトナム及びアメリカは参加をしておらない。でありますから、協定に従うというような法律上の関係は出てこないわけなんです。にもかかわらず、そういうことを言うのはなぜか、こういうことになるのでありますが、ジュネーブ協定からもう十年以上もたっておる、
状況
もだいぶ変わっておるというようなことでございまして、法律的な意味において、その協定を順守するとか、これに従うというようなことでなくて、ジュネーブ協定の精神に従う、こういうふうに解釈すべきものと考えております。それでアメリカのほうは、武力をもって南ベトナムの独立と平和、安全を脅威する、欄乱するということは、ジュネーブ協定の精神にこれは反するものである、こういう解釈をとっております。ところが北ベトナムのほうは、ジュネーブ協定の内容に、第三国の軍隊あるいはその軍隊の行動というものを、これは排除していかなくちゃいかぬ、そういう外国の干渉というものを一切排除して、そして自由な立場においてベトナム人同士で話し合うと、こういったような趣旨のことが書いてあるのであります。でありますから、そういうたてまえからいって、まず文句なしに出ていけ、これがジュネーブ協定を順奉するゆえんであるということを主張する。それでジュネーブ協定といいますけれども、精神といいますけれども、両方都合のいいことを言っているのではないか、こういうふうに思われるのでありますが、しかしアメリカ側の言い方は、南ベトナムが、ジュネーブ協定の精神に反して北から非常な浸透を受けておる、そして独立と安全を脅威されておる、これを排除することに協力してくれ、こういうことを言われているので、自分らは南ベトナムの要請に従って動いておるのである。それで、もしも北からの武力浸透、侵略がなければ、いつでもそういうことがはっきりと見すえがつけば、われわれはここにおる必要はないのだ、こういうことを言っておるのでありますが、どうも私はアメリカ側の言い方のほうがほんとうだと思うのであります。しかし、いまのところ、両方ともジュネーブ協定云々ということを言っておりますが、それぞれの立場、それから考え方がかように違うということをわれわれは了解をしております。
野田卯一
23
○
野田
(卯)
委員
最近における南ベトナムにおきましてわれわれの最も注意を引く現象は、いわゆる戦争避難民が
政府
の勢力下の地域に蝟集してきておることであります。これは本年の一月にはそういう現象はなかったのであります。ところが、その後ベトコンがいままで勢力の強かった地域におきまして非常に苛酷なる税金をかけるとか、あるいは若人の徴発をする、動員をするというようなことが相次ぐために、こういうベトコン地域から続々と避難民が南
政府
の勢力範囲に参りまして、その数が十万になり、二十万になり、三十万になり、四十万になり、五十万にふえて、今日では六十万になるのじゃないだろうかということが言われておるのであります。この避難民をリセットルするために、
政府
も非常な努力をいたしまして、あるいはその中の十万、二十万というものはリセットルされておるかもしれません。しかし、大部分の難民は、やはり難民として存在しておるわけであります。この戦争の犠牲者に対しまして援護の手を伸ぶべきである、人道的な立場から申しましても、援護の手を差し伸ぶべきであるという議論が、各方面においていま唱えられておるのであります。わが国は、昨年は医療協力、緊急援助といたしまして、南ベトナムに医師団を派遣いたしまして、医療協力をいたしまして、これがたいへんな人気と申しますか、たいへんな評判となりまして、日本に対する信頼と申しますか、日本の評価というものを非常に高からしめておったのであります。私は、この戦争の犠牲者たるこの難民諸君に対しましても、日本は人道的な立場から、われわれの力の許す限り援助を与えてやるべきものであると、かように思うのでございますが、本件に関する総理大臣の御所信を承りたいと思います。
佐藤榮作
24
○佐藤
内閣総理大臣
難民救護について協力したらどうか、御説のとおりでございます。昨年の出かけました医療救護団、これはたいへん評判がよかった。私も人道的な立場において協力することは、いわゆる戦争協力、これとは全然事柄が違うのでありますから、これとはっきり区別して、そして人道的な見地からの難民救助はいたすべきだ、かように考えております。
野田卯一
25
○
野田
(卯)
委員
次に、インドネシアの問題に移りたいと思いますが、インドネシアにおきましては、去る九月三十日にクーデターがございました。そのクーデターの性質につきましては、皆さん御承知のとおりに、共産党が自分の国内における政敵ともいうべき陸軍の勢力を打倒するためになしたクーデターでありましたが、これは失敗に帰しまして、逆に今日では、陸軍を中心とする軍部が、政権のヘゲモニーをとりまして、共産党を粛清し、これを抑圧しているというのが現状であると伝えられておるのであります。ことしの春から夏にかけましての情勢は、インドネシアにおける共産党が非常な勢力を得まして、この共産党は、インドネシアが終戦後独立いたしました当時はわずかに三千人にすぎなかったのが、最近におきましては、これが三百万人に
増加
をしてまいりました。また、共産系の労働組合あるいは共産系の農民団体あるいは共産系の婦人団、青年団等の数を
合計
いたしますと、二千万になんなんとすると伝えられておった次第であります。このように共産党の力が全国を風靡するような形になりまして、何事も共産党の承諾を得なければ事を運ぶことができないと、かように言われておったのであります。特に問題となりましたのは、共産党の首領であるアイジットが、インドネシアのスカルノ大統領に向かいまして提案した第五軍の設定であります。御承知のようにインドネシアにおきましては、陸軍、海軍、空軍、警察の四軍のほかに、今度アイジットが数百万あるいは千数百万にのぼる民兵をつくれという要求をしたことであります。私は、この問題はどう発展していくか非常に注目をいたしておったのでございますが、もしこのアイジットの要求がいれられまして、この陸海空、警察のほかに第五軍の民兵というものができまして、千万人をこえるような多くの者が武器弾薬を携帯するということになったならば、それこそインドネシアの将来は風前のともしびと申しますか、インドネシア自体としては現政権、いままでの政治のあり方と非常に変わった政治のあり方となる、いわゆる共産化される、共産党の支配するインドネシアになるのではなかろうかということが憂えられておったのであります。さすがにスカルノ大統領も、このアイジットの要求に対しましては直ちに賛成しかねておりましたが、これにまっこうから反対したのが、言うまでもなく軍部であり、その中心の陸軍であります。こういうわけで、共産党と陸軍との間に非常な激しい対立が起こってまいりまして、それが今回のクーデターの大きな原因になったのであります。しかしながら、共産党のほうは時期を誤りまして、ついに陸軍に名をなさしめたのであります。それで私は、マレーシアに参りましたときに非常に感じましたことは、コンプランテーション、要するにインドネシアがマレーシアに対して経済断交、外交断交をして、しかもその上に正規の軍隊を送って、マレーシア、マレー半島あるいはボルネオのマレーシア領に侵入させて治安を欄乱しておるという事実でありまして、これに対しまして、マレーシアは極力防衛の地位に立っておりました。それがために、これまでマレーシアにおきましては軍事費の負担というものはきわめて軽かったのでございますが、私の聞いたところによりますと、最近は以前に三十倍する軍事費を支出して、そうして防衛努力をしているということであります。これが財政上の大きな負担となることは言うまでもございません。またコンプランテーション、対決政策によって経済断交をされましたので、いままで御承知のごとくシンガポールは、前にインドネシアの島々を控えまして、それとの中継貿易によって繁栄しておったのが、そのルートが絶たれましたので、シンガポールの経済は全く沈衰をいたしまして、経済上の大打撃を受けておったのであります。このように軍事的に申しましても、経済的に申しましても、財政的に申しましても、このコンフランテーション、対決政策はマレーシアの国並びに国民に対して重大なる脅威を与えておったのでございますが、しかしながら、この対決政策は両刃のやいばでありまして、マレーシアを傷つけると同時に、インドネシア自体を非常に傷つけておりまして、インドネシアはそれがために国内の経済はほとんどめちゃくちゃになってしまっておるというようなことを伝えられておったのであります。われわれは今度の革命騒ぎ、クーデター騒ぎを契機といたしまして、インドネシアの国内における最近の経済並びに民生の状態に触れることができたのでありますが、御承知のごとく、いまではたいへんな物
不足
、あるいは物価騰貴、インフレの高進に国民は悩んでおるのであります。私は、いま政権をとっているこの陸軍が、今後この国の体制をよく立て直し、りっぱなインドネシアになし得るかどうかということは、さしあたって国民に着物を与え、食べものを与え、住まいを与えることができるかどうかにかかっておると思います。共産党は弾圧されまして、まさに地下にもぐっておりますが、もし国民に対するこれらの施策が十分に行なわれない、国民が大きな不満を抱くようになりますなれば、地下にもぐっておるところの共産党が、あるいはゲリラその他の形によって台頭してまいりまして、インドネシアの治安が乱され、国運があぶなくなることは当然でございます。 ここにおきまして、現在の
政府
は、この国民の生活を確保し、国民に生活の安心を与えるために、各国に依頼をいたしまして、物資の補給にもっぱら努力いたしておるのであります。日本の国に対しましては、インドネシア
政府
からは、繊維品が日本は安くていいものがたくさんございますので、日本から多量の繊維品を買い付けて、そうしてこれをなるべくなれば旧正月の前に入手して、国民諸君に配給したいという計画を立てておるのであります。この交渉がいま日本と行なわれておりますが、御承知のような状態でございますので、外貨に
不足
いたしまして、延べ払いを認めてくれということを要請しておるのであります。この延べ払いを認めるかどうか、その他の支払い条件等の問題で事が長引いておりまして、いまだこの問題が解決しておらないやに承るのであります。私は、インドネシアの現状に照らして、同国の政治の安定、民生の安定の立場からいいましたら、こういうものこそ、いままでの前例はないかもしれませんが、それを破って、繊維品を供給してやるのが、アジアの兄貴分としての日本の当然の責務ではないか、かように存ずる次第でございますが、本件に関する総理大臣の御意見を承りたいと思います。
佐藤榮作
26
○佐藤
内閣総理大臣
ただいまの問題は、異例ではございますが延べ払いを認める、こういうことできようの閣議で決定いたしました。
野田卯一
27
○
野田
(卯)
委員
総理大臣がきょうの閣議で決定をしたということを承りまして、私も非常にうれしく存ずる次第でございます。 次に、私は、経済協力、経済外交について触れたいと思います。本
会議
でも質問がございましたが、アジアの開発銀行をつくることにつきましては、われわれ自由民主党といたしましても、これまでたいへんに骨折ってまいった次第でございます。このアジア開銀の問題につきまして、これがジョンソン構想によって促進されたごとく伝える者がございます。そう誤解しておる者もございますが、これは非常な誤りでございまして、われわれがアジア開銀の問題を取り上げましたのは、ヨーロッパにおいてEECというもの、ヨーロッパ経済共同体というものができまして、非常な伸展を遂げておる、この勢いに刺激されまして、アジアの地域におきましても、これと同じような構想が打ち立てられないものだろうか、アジアにおる国々がそれぞればらばらに行動しておるよりも、できるだけ手をつないで、お互いに助け合っていったほうが、アジア各国それぞれの進歩発展に貢献するのではないか、こういう観点に立ちまして、アジアにおける共同体の構想を練ったのであります。 しかしながら、アジア諸国の経済あるいは政治その他の
状況
がヨーロッパのそれとは非常に違っておりまして、先方におきましては相当均一的な、国と国とがよく似ておりますけれども、アジアの国々はいろんな点において非常な開きがございます。したがって、いまにわかにEECのような、欧州経済共同体のようなものをアジアにつくることはなかなか困難であるということを発見いたしました。しかしながら、何か一つあるいは二つできないだろうかといろいろと探索しました結果、アジアに開発銀行という金融
機関
をつくったらどうだろうか、各国が
出資
し、また域外の地域からも援助を受けて開発銀行をつくりまして、そうして未開発の土地の開発に便したらどうだという構想が生まれてまいりました。この考え方については、初めから日本は熱心でございます。しかしながら、これが一時とまどいましたのは、当時のインドの態度であります。インドはわれわれのこの構想に参画することをむしろいなんでおったのでありますが、その後、EECが発展いたしまして、イギリス本国がEECに加盟をするということになってきました。これは加盟は実現しませんでしたが、その寸前までいったわけです。もしイギリス本国がEECに加盟をいたしますと、当然ブリティッシュ・エンパイアに属する、英帝国に属するインドは、おのずから英本国から切り離さなければならない。すなわちインドは、これからイギリスにあまりたよらないで、自前で生活をして国を立てていかなければならぬ、こういう情勢が見通されてまいります。ここにおきましてインドは、対英依存という観念から自立という観点に切りかえますと、どうしても自分の前に、自分の国の前後左右に広々と広がっておるところのアジアの諸国と緊密な連携をとらなければならないという結論に到達いたしまして、この結果、アジア開銀の思想に参画し、同意をするに至ったのであります。何といいましても、アジアにおいてこういう問題を計画するときには、日本とインドというものが動きませんと、なかなか実効があがりません。こういうわけで、アジアにおける日本とインドがこの問題について意見が合いましたので、その他の国々も誘いまして、この構想がどんどんと進んでまいったような次第でございます。 ところが、この開銀に対しまして、アメリカ側からの
出資
をしてもらいたい、あるいは援助をしてもらいたいという問題が持ち上がりまして、昨年もその問題について交渉がされたのでありますが、そのときはまだアメリカは必ずしも積極的に必ず
出資
をしますという態度を示しておらなかったのであります。しかしながら、漸次態度が変わってまいりまして、その後ジョンソン構想が打ち出されたのが四月七日でございますが、そのころからアメリカの態度が急速に進んできたことは事実でございます。そうして一億ドルの
出資
をするということもきまり、またそのほかに、必要があれば信託金として一億ドル出すというような線もはっきりしてまいったのであります。このようにいたしまして、アジアの国々が中心となって問題を進めてまいりまして、それがようやくでき上がるころになりましてアメリカがこれに参画するに至った、こういうようないきさつでありまして、決してジョンソン構想のしりぬぐいとか、あるいはその補完的な作用のためにアジア開銀がつくられたのではないということを、私は実地に関係した者として、この席で申し上げておきたいのであります。 この開銀をつくる際に、その本店をどこにするか、あるいは初代の総裁を何ぴとにするかということについて前々から論議がございました。日本にしたらどうかというような議論がだんだん高くなりまして、最近におきましては、日本に当然回ってくるのではなかろうかというような期待が抱かれておりました。しかしまた、総裁もやはり日本人にしたらどうかというような、またこういう説が出てきたのであります。ところが、よく考えてみますと、十八カ国が参画してやるのに、本店も日本だ、あるいは総裁も日本だというのは少し欲ばり過ぎじゃないか、どちらかであって、二つということはちょっと無理じゃないか、そういう考え方も当然出てきたわけであります。そこで、そのいずれを取るかという問題になるのでありますが、きまるのは先に本店がきまるので、だから本店をもらおうか、こういうような考え方に進んできた。ところが今度このことをきめるために、藤山長官がわざわざマニラにいらっしゃいまして御奮闘なさいましたが、ついにこれが日本に来ないで、フィリピンに行ってしまった。これはいろいろな理由があります。藤山長官からは言いにくいことがございましょうから、私が自由な立場から申しますなれば、あの本店をきめる
会議
を、本店を熱心に自分のところに置こうと主張しておるマニラで開くこと自体に問題があったと思うのです。現にマニラにおきましては、マニラに誘致するために各国代表に非常に力強い働きかけがあったということは事実でございます。またアメリカのブラック氏が、本店はマニラに置こう、そして総裁は日本にしようという自分の腹案を持っておって、それに従って動いたと思われる節が大いにあるのであります。こういうようなことと、もう一つは、藤山さんが昨日おっしゃいましたように、日本がアジアの諸国に対する平生の気の配り方、心の入れ方が不十分であったのではなかろうか、こういう問題もあるのであります。 私どもは、この最後にお述べになりましたことについて、十分に考慮を払うべきだと思います。どこの国に参りましても、日本に対して敬意を払い、非常に日本は評判がいい、われわれを歓待してくれるというふうにわれわれは思っておりますが、しかし、現実にわれわれが対外経済協力の一つ一つの案件を処理するときのその姿、その手続の進め方、取り扱い方を見たときに、私は決して彼らに対して非常な好感を与えるようなやり方をしているとは思いません。正直に申しますと、佐藤総理大臣は非常に積極的であります。外国から経済協力あるいは技術協力を求めに来た人がありますと、総理大臣は、大体会う人のレベルがきまっておるから、そういう者に会うなというような勧奨がありましても、それを退けてどんどん会われまして、そしてきわめて好意に満ちた発言をされまして、各国のそういう関係の人々をインスパイアしておられることを私は身をもって見ておるわけです。ところがこの総理大臣の肝心な、東南アジアをほんとうに思われて、それと日本としっかり手をつなごうとする意図が、必ずしも各省において大臣から末端までつながっておらないという事実を私は非常に残念に思う。もし佐藤総理大臣のようなお考えで日本の官庁組織が全部動くとしたなれば、こんなことは絶対に起こらなかったと私は思う。これは私の独断かもしれませんが、ここに私と同感の人が非常に多いと思う。でありますから、この点は、佐藤総理大臣のようなお気持ちが内閣、
政府
の末端まで透徹するように、どうか今後お導きをいただきたいと思う。 そうして、今後こういう問題を再び繰り返さない、特にアジア開銀につきましては、総裁をぜひとも日本の人でもって充てられるよう、これを実現するように努力をしてもらいたいと私は思いますが、この総裁を日本に取り得るかどうかということの見通しにつきまして、藤山長官なり外務大臣からお見通しを承りたいと思います。
藤山愛一郎
28
○藤山
国務大臣
先般
会議
に参りまして、本店が決定しましたあと、各国の代表が寄りまして、いろいろ話し合いがございましたけれども、多くの国は、本店がフィリピンにきまった以上、当然日本が総裁を出すべきじゃないだろうかというような意見でございます。ただ、あの投票の間におきまして、これらの問題についてフィリピンと話し合いをしたような国がございます。したがって、それらの国々は、必ずしも今日の状態ですぐに日本に賛成するかどうかということについては、若干の疑問がございます。したがって、これらの問題については、今後十分日本としても各国と接触をしながら、日本が出す場合の準備をしなければならぬのではないか、こう思っております。
椎名悦三郎
29
○椎名
国務大臣
これは来年の九月までにきまればいいのでありまして、十分に慎重考慮して、これに対処したいと思います。
野田卯一
30
○
野田
(卯)
委員
次に、日本の海外経済協力並びに技術協力の問題でございますが、御承知のように、昨年の貿易開発
会議
におきまして、国民所得の一%というものを海外経済協力あるいは技術協力に向けるという決議がなされております。日本側としてはすぐということはむずかしいが、三年間くらいたったらこの目標を達成させたいということも話しておるような次第でございます。現状は、御承知のように〇・四%から五%しかしておりません。それをここ何年かかかりまして一%に近づけたい、こういう
政府
としても考えを述べておる次第であります。 また日本が一生懸命に入りたいと努力して入りました例のOECDのDACにおきましては、最近になりまして、経済協力というものはただ延べ払いというようなものだけじゃないのだ、それよりは、主力をなすものは低利、長期の
融資等
である。そういうわけで、それを具体的に示しまして三%以下の金利の二十五年以上のものが八〇%をこえるように努力しようという申し合わせがなされておるのであります。これは、今日直ちにこれを実行することはむずかしいと思いますが、この二つの——国民所得の一%というのは量であります。それから、三%以下、二十五年以上という、それを八〇%以上にしようということは質の問題だと思うのです。海外経済協力の量と質におきまして、現在の日本のやっておりますそれと比べますと、相当大きな距離があるのであります。しかしながら、日本が世界の先進国の一つにしてもらった、OECDに熱心に加盟を求めたことは、日本が世界の先進国の一つとして待遇されることを望んだことだと思うのです。世界の先進国の一つとして待遇されることを望むなれば、当然先進国の一つとしての義務を果たさなければなりません。そういう意味におきまして、私は、この経済協力の量と質という問題は、今日直ちに問題にはいたしませんけれども、ここ何年かの間にはその目標に進んでいかないと、御承知のようにOECDの中で日本は、何と申しますか、一番冷たい目でもって見られることになることは必定だと思うのであります。 したがいまして、私は、今日、日本の経済協力の中心
機関
である海外経済協力基金というものがございまして、われわれが一生懸命になりまして数年前つくったものが今日までいかなる働きをしておるか、どんな能率をあげておるかということを振り返ってみますと、まことに背に汗の流れる感がするのであります。これについては、私はここで詳しく申し上げませんが、いろいろな理由がある。でありますが、これはもう担当の大臣、皆さん方よく御存じでございますが、どうかこの点を十分に掘り下げて御検討なさいまして、内閣みずから先頭に立たれまして、この経済技術協力というものを各国に伍して恥ずかしからぬ態勢において
実施
をする、特に日本といたしましては、われわれの周囲にたくさんの貧乏な、これから開発しなければならないところの友邦を控えておる特別な立場にある点から申しましても、ヨーロッパの諸国よりは一そうこの点は配意をしなければならぬのではないかと考えるのであります。 私は、その意味において、
政府
にありますところの海外経済協力に関する各種の
機関
、これを活用されるとともに、さらにこれに一つ大きな強いインスピレーションと申しますか、大きな気魄を総理大臣みずからこれに吹き込んでいただきたい。私は、特に日本のために、またアジアのためにこれをお願いを申し上げる次第でございます。 次に、経済問題についてお尋ねしたいと思います。 最初に簡単に、現在の不況の原因を一体どういうふうに見ておられるか、まず経済企画庁長官にお伺いしたいと思います。
藤山愛一郎
31
○藤山
国務大臣
今日の経済不況の原因は、いわゆる循環的なものでなくして、構造上から来ておる問題だと思います。昨年貿易が困難な
状況
になりまして、それを是正するために金利を上げまして、そうして金融の引き締めをやったわけでございます。そういうようなことで、貿易が
改善
してまいりましたときにこれをゆるめてまいったのでございますけれども、そのゆるめてまいりました成果は、過去におけるような成果が出てまいりません。これは全く構造上の問題と、たびたびこういうような引き締めたりゆるめたりということをやりました結果、ここに来ておるのだと思います。したがって、構造上の問題を解決しない限り、なかなか困難な問題がそこにあろうと思います。
野田卯一
32
○
野田
(卯)
委員
私は、経済の不況の原因については、ただいま長官は構造上の原因だとおっしゃいましたが、これについては循環的な経済循環の現象でもあるという説もありまして、これについては深入りをいたしません。とにかく今日の経済不況というものは、終戦後最大の経済不況といわれ、本
会議
でも総理もお述べになりましたように、破産が依然として毎月五百をこえ、ばく大なる金額がそれに伴っておるわけであります。こういうような不況は、われわれとしてもまだ経験をしたことがないのであります。その不況の克服の一つの——私はあえて一つと申します。一つの方法といたしまして、
政府
は、六月の十八日並びに七月の二十七日に
対策
を御決定になって、それを
実施
に移しておられます。この二つの決定が
実施
に移されたときに、国民はどう考えたかと申しますと、
政府
がこれだけやってくれるのだから、さぞかし景気はよくなるだろうと非常に楽しみにしておったのでございます。また私たちも、こういう政策をとられて有効需要が喚起されれば景気はよくなる、だから九月期
決算
は前の三月期の
決算
よりはよくなるだろうということをひそかに待望しておったのであります。しかるに、その後七月になり、七月から八月になり、九月になり、十月になりましても景気がよくなるとか、景気の花が咲くめどがなかなかつかない、こういうのでありまして、九月の
決算
におきましては、前の三月期に比べまして二〇%の減益であり、配当も一〇%を割って九%に下がるというような
状況
であります。なお、来年の三月期にはどうだ、これならば多少よくなるのじゃないだろうか、こういうふうに私どもは思いますが、これを民間の実業家の諸君の意見を総合いたしますと、三月期もなかなかよくならぬだろう、横ばいか、下がるのじゃないかというような、あまり明るくない見通しをしているような次第でございます。こういうように、せっかく六月並びに七月に
政府
がやってくださった施策がなかなか浸透しないで、景気が依然として低迷する、一体これはどういうわけなのか、この点を私どもは至るところで人からも聞かれます。われわれ自分自身も疑問を持っているのでございますが、これにつきまして、まず
大蔵大臣
から
説明
をいただきたいと思います。
福田赳夫
33
○
福田
(赳)
国務大臣
今日の景気は、ただいま企画庁長官からお話がありましたように、構造的な要因もあります。同時に景気循環的な要因もあります。過去数カ年間に設備投資が非常に高度に行なわれておる、その設備の過剰がただいま企業の収益力を低下さしておる、こういうことかと思うのであります。過剰設備が出たといってそれに費やした金利を払わないで済むというわけにはまいらない。また、人は集めておる、これを今日の状態におきましては整理するというわけにもまいらぬ。そういうことで金利、人件費の負担がかさんでおるわけであります。個々の企業として見ると、どうしても収益力が悪化してまいる、こういう
状況
かと思うのです。そういう状態に対しまして、
政府
では金融緩和政策をまずとったわけですが、これがそう響きがない。そこで財政が出動するというので、財政方面の繰り上げを考えるとか、あるいは
財政投融資
の拡大をいたしますとかやってみたのですが、これが計画をいたしましても、この
実施
に相当の手間がかかるという問題があるのであります。それにいたしましても、できる限りの努力をして急がなければならぬ、こういうことで
財政投融資
のほうは順調に進んでおります。 ただ
公共事業
のほうが、五月に行なわれました一割留保という問題があり、手戻りになっておる。また
地方財政
が思わしくないという
状況
、そういうことから
公共事業
の施行はたいへんおくれてしまって、十月までの実績を見ておるのでありますが、これではほとんど各月前年の実額を下回るというような状態です。しかし、十一月になりましてから大幅に
公共事業
の支出はふえてまいっております。十二月になりましても同じ
状況
が続いております。さらに今回
補正予算
が編成され、またその
補正予算
の中では
昭和
四十一
年度
の
公共事業
に対しまして繰り上げ契約をすることができるというような
措置
も講じておりますので、年末から
年度
末にかけての支払いは相当多額に上る、こういうふうに見ておりますので、景気浮揚に対しまして財政が相当効果的な働きをする、かように見ておる次第でございます。
野田卯一
34
○
野田
(卯)
委員
この効果が早く上がらないという一つの原因に、御承知のように、
公共事業
を急いでやると申しましても、
公共事業
は
政府
の金だけでやるものではございません。当然地方団体がこれに金をつけ加えまして行なわれるのであります。ところが、今日におきましては、中央
政府
も財政的にきわめて困難でございますが、地方団体のほうがもっと困っておる。だから中央
政府
がやれやれといってもなかなか地方団体が自分のほうが金の都合がつかないで、これを
受け入れ
かねるというわけで、
公共事業
の
実施
について
政府
に返上した県があるということを聞いておるのでございますが、その間の事情を自治大臣から承りたいと思います。
永山忠則
35
○永山
国務大臣
公共事業
を返上いたしたところはございませんが、 (「あるよ」と呼ぶ者あり)まだ見合わしておるところはございます。
野田卯一
36
○
野田
(卯)
委員
私は、
政府
がいろいろな仕事をされるときに、
政府
自体のことを考えられることは当然でございますが、今日のごとく地方団体と
政府
と一体になってやらなければならないときには、あわせて地方団体のことも十分に考えていただきたいと思います。私が今回の
補正予算
を見ましてうれしく思いましたことは、いままでの大蔵省と自治省の関係におきましては、とかく大蔵省は中央財政主義であり、自治省は
地方財政
を守るという観点からかなりの意見の対立がございましたが、今回の
補正予算
を見ますと、御承知のように、主税の
減収
によりまして当然地方の
交付税
が減るのをそのままにしておいてやろうというような態度がとられております。また、いろいろと給与の
増加
に対する問題については、三百億の起債を認めるとか、あるいはまた地方税の
減収
に対しては四百億の起債を認めて、百五十億でしたか資金運用部で引き受ける、こういうことが出ておるのであります。私は、これを実現するためには、
地方財政
に関係した方々の非常な御努力の結果であろうと思いますが、私が
予算
を見たときに、こういう大蔵省と自治省、中央
政府
と地方団体とが苦しみを同じくするというか、苦しみに対して同じ気持ちで立ち向かうという姿勢が、この
補正予算
にはっきりあらわれてきておるということは非常にけっこうなことだと思うのであります。おそらく私が知っておる範囲では、これほど気持ちよく
予算
を受け取れたことはないと思うのです。これは、やはり
福田
大蔵大臣
、永山自治大臣の御奮闘の結果だと思いますが、どうかこの
補正予算
であらわされた精神、中央財政と
地方財政
とぴたっと一つに考えていく、いま非常に苦しくなってからそうなったのかもしれませんが、とにかく両者を一つに考えるという考え方を徹底していただきたいと思います。
政府
が違っておりましても国民は同じさいふから金を出し、同じように金をもらうのでありまして、国民から見れば一つであります。でありますから、どうか今回の
補正予算
において示されましたようなぱっちりと手をつなぐ協調的な態度をこの次に来たるべき明
年度
の、
昭和
四十一
年度
の
予算
においてもぜひともあらわしていただきたいし、実現をしていただきたいということを今日から要望申し上げておく次第でごいざます。 次に
補正予算
に入りますが、
補正予算
の項目で特に目を引くものは
給与改善費
でございます。この
給与改善費
三百五十三億円でございますが、これについて、私ども自民党の中の労働
対策
に携わる者からいたしますと、
人事院勧告
はできるだけこれを尊重すべきである、したがって五月から
実施
をしろという
人事院勧告
であれば、なるべくそれに近づけてやるべきであるというわけで、御承知のように昨年からこれを繰り上げて九月——従来は十月から
実施
しておりましたのを九月からこれを行なうことにいたしました。本年は非常に財政が困難なことは皆さん御承知のとおりでございまして、二千六百億の
公債
発行をしなければならないというような窮境に立っての財政の中におきましても、昨年つくりました九月というのをこわさないで本年も九月から
実施
をするということにいたしましたのは、これはやはり労働政策を重んずるという自由民主党の精神のあらわれであると思うのであります。 ところで、私どもこの問題を内部で論議しておるときに、五月までさかのぼれという議論もかなり強いのであります。それに対していつも難色を示されるのはだれかといえば、これはむしろ
地方財政
を代表する国
会議
員の方であります。この方からいたしますと、中央
政府
は繰り上げてやっても何とかまかないがつくかもしれない。しかし
地方財政
ではたいへんだ、そんなに繰り上げられたらたいへんだというわけで、非常に難色を示されるのでございますが、われわれが地方団体の人件費を調べてみますと、中央
政府
から見ますとはるかに人件費の割合が多い。ちょっと古い統計によりましても、人件費の府県の割合は四〇%であり、六大都市、その他の市でも二八%、
会計
の平均で三四・八%、三五%くらいになっておるわけであります。最近になりますともう少しパーセントが多くなっているのではないかともいわれておる。こういうふうに人件費が三分の一以上を占めておりますので、これが五月にさかのぼってベースアップをするということになりますと、
地方財政
に対しては耐えられない負担になるだろうと思う。
予算
の組みかえをやるといいましても、すでにきまった
予算
をひっくり返すということになりまして大騒動になる。
地方財政
の立場からかなり強い難色が出ておりまして、九月以上にさかのぼるということについてもなかなかむずかしいのであります。 そこで、私どもは、
公務員
につきましてはストライキ、団交を禁止しているというたてまえからいいまして、やはり人事院という
機関
がありまして、その立場を守ってくれるという。これは尊重しなければならないという意味から、できるだけ歩調を合わしていきたいと思います。しかし、現在の人事院のあの発表のしかたなどからいたしますと、なかなか実際むずかしいんじゃないか。こういうわけで、何とかこの難関を打開して、財政上にそんなに大きな苦しみを与えないで、しかも
公務員
の立場を守っていくにはどうしたらいいかというわけで、一生懸命に研究を続けておるわけであります。
政府
当局におきましても、この件をいま御
審議
中でございますが、この件に関する
政府
側の御見解をお漏らしをいただきたいと思います。
安井謙
37
○安井
国務大臣
お話のとおり、
公務員
のベースアップにつきましては、
年度
の途中で当該
年度
の四月の
公務員
と民間との格差を見て勧告があるというようなことになっておりまして、当該
年度
で処理すべきものを、その年に入ってから勧告があるという、はなはだ
予算
処理上ぐあいの悪い制度になっております。と申しまして、この時期を、それじゃいつにしたらいいかということになりますと、一年ずらすということにでもなれば、十一月というような形もできますが、本来それでは性質が合いませんし、また
予備費
を組むとか、あるいはその他の方法といいましても、それはなかなか財政法上の問題もございまして、いま鋭意検討中でございますが、これならだいじょうぶだという妙案がまだ見つからないような事情にございます。
野田卯一
38
○
野田
(卯)
委員
どうか
政府
側におきましても、この問題は、われわれも非常に真剣に考えておる問題でございますから、できるだけ早く御研究の上、結論を出していただきたいということをお願いする次第であります。 次に、今度の
補正予算
における最も大きな特色は、何といいましても
公債
の発行であります。先ほど
大蔵大臣
より御
説明
がありましたように、税収減二千五百九十億円、全額それだけの
公債
を発行して、
事業
を推進していこうという態度であります。私は現下の情勢からいたしまして、この態度は当然に支持さるべきものであろうと思います。しかし、いままで終戦後二十年間、わが国は
公債
というものを発行しておらない。
一般会計
における
公債
を発行しないという、いわゆる健全財政と申しますか、均衡財政の方針を堅持してまいっておるのであります。 そこで、私どもこの際に考えなければならないことは、
政府
が現下の事態を乗り切るために
公債
政策をとること、それ自体は是認されます。しかしながら、今日まで二十年間、われわれが
公債
発行というものに対してどういう態度をとってきたか。自由民主党といたしましては、
公債
を発行するということは、
予算
が膨大になってインフレを招くおそれありという、そういう見解に基づきまして、
公債
発行をいままでどちらかというと押えてきた、
公債
発行の態度をとらなかったという事実だけは念頭に置く必要がある。と申しますのは、国民はわれわれのそういう指導に同調いたしまして、
公債
を発行することはよほど慎重でなければならぬというふうな頭ができ上がっております。この二十年間のわれわれの訓練と申しますか、指導によりましてできた国民の頭というものを転換させるためには、それだけに非常な親切な、ほんとに丁重に、行き届いた
説明
を、それに対する態度が要ると思うのであります。それなくして進みますと、国民の間に、これはインフレだ、インフレだと言うような人も世の中にはずいぶんおりますので、それに刺激されまして、国民がいわゆるインフレムードにでも一なりましたら、私は非常にわれわれの思わざるところに結果するのではないかということをおそれるのであります。したがいまして、私どもが二十年間
公債
政策をとらなかった、そして、むしろ
公債
はインフレに通ずるごとくずっと印象づけてきたということを頭に置いて、特に総理大臣、
大蔵大臣
におきましては、この問題を善処していただきたいということをまずお願いする次第であります。 そこで、
大蔵大臣
はその点は十分御承知でございますから、今度
公債
発行政策をとられるについても、一面においては非常に用心深い態度をとっておられる。財政演説でお話しになったように、まず財政の規模というものを適当にするのだ、
公債
を発行するから何でも
公債
でやれというような態度ではいけない。
公債
を発行しなければならないような状態であるから、不要不急の
経費
はできるだけ切り詰めてやっていきたい、こういうような財政の規模を適正な限度にとどめるということに非常な注意を払っておられます。これは当然であります。また、こういう態度をとり続けていかれるべきだと思います。 それから
公債
発行の対象でございますが、今回の
補正予算
に出ております
公債
は、言うまでもなく、これは
歳入
の欠陥を
補てん
する
公債
でございますが、これは臨時的なもの、
年度
末迫っての問題でございますから、こういう方策をとらざるを得なかったという事情は、私どもよくわかるのであります。しかし、これはあくまで例外といたしまして、本格的な
公債
は四十一
年度
以降になるわけであります。その際に
大蔵大臣
は、対象としてあくまで財政法第四条の精神に従って、
公共事業
とか、あるいは投資、貨し付け金というようなものに限定をする、そしてこの線であくまでやっていくのだということを言っておられます。 そこで、まず私はこれについて
大蔵大臣
にお尋ねしたいのですが、
公共事業
とか、あるいは貸し付け金とか
出資
とかいうものは、きわめてばく然たることばでございますから、一体実際においてはどんなことを、もう少し詳しくどんなものがこれに含まれると考えておるのか、また
昭和
四十
年度
の当初
予算
においてそれに該当する項目の総金額は幾らぐらいになるのか、この点をひとつお示しいただきたいと思います。
福田赳夫
39
○
福田
(赳)
国務大臣
ただいま四十一
年度
以降発行する
公債
の対象として考えておりますのは、お話のような
公共事業
などの建設的
経費
、それから投資、貸し付け金であります。これの性格でございますが、投資、貸し付け金、これは御
説明
するまでもないと思いますが、
公共事業
費は国民の財産としてあとに残るものである、こういう考え方でございます。もとより
予算
上におきまして
公共事業
費といわれるもの、それは当然入ります。それから住宅、そういうようなものも入ります。また環境
改善
施設というようなもの、これも含まれるわけでございます。
昭和
四十
年度
においてそれらに該当するものは、大体六千数百億という程度でございます。
野田卯一
40
○
野田
(卯)
委員
この問題については、またいずれ将来詳しくお示し願う機会がございますので、これでとどめますが、
公債
について一番
大蔵大臣
が頭を悩ましておられることは、消化の問題だろうと思うのです。
公債
を一兆出すとか一兆五千億出すとか、ことばはどうでも言えますけれども、これを消化しなければならないという
大蔵大臣
の立場は、非常に私はデリケートだと思うのです。大きな数字をかかえて、これが消化されなかったときは、結局、形は消化するけれども、すなわち日本銀行信用に依存するところの消化になってしまうのです。だから、
大蔵大臣
は日本銀行信用に依存しない範囲で
公債
を発行していこう、そこにちょっと外から見てわからぬほどの苦心があるわけであります。 そこで、私は消化についていろいろとお話を承りたいと思いますが、この消化については、ことしと申しますか、
昭和
四十一、二年に出されます
歳入
欠陥
公債
も、あるいは明
年度
発行されますところの建設
公債
も、消化という点においては同じことだと思うのです。おそらく条件も同じような条件をお考えになるだろうと思う。そこで新聞によりますと、今度の
公債
の利率でありますが、これを六分五厘にして、そうしてその利回りは六分七厘ないし八厘くらいにしたいというふうなことを考えておられるということであります。この利率をきめられる上におきまして、
大蔵大臣
は、いろんな説がいろんなほうから入ってまいっておりますから、十二分に考え、また関係の方面とも十分打ち合わせて進行しておられるだろうと思います。 そこで私は、かりに表面が六分五厘、利回りは六分七厘くらいと想定いたしましてお尋ねをいたしたいと思いますが、この金利でいったときに一体だれに消化させるつもりなのか。私は、
公債
の消化は一般大衆がするのが一番理想だと思いますが、なかなかそう簡単にいきません。特に日本のように公社債市場ができていない、あるいはまだこれになれていないところでは、私は急に一般大衆を対象とする公社債市場はできないと思う。今度の場合におきましては、特に最初でありましてマーケットがありませんから、できないと思いますが、一体どういうふうに割り当てをされるつもりなのだろうか。時間の関係がありますから私のほうから申し上げますが、伝えられるところによると、一般の大きな銀行には五〇%、それから地方銀行には二五%、それから証券会社に一般大衆を対象として売らせるのが一〇%、あと相互銀行とか信用金庫だとかあるいは生命保険とかに持たせるというようなことが、どこかの新聞に出ていたように記憶するのです。そこで、一体そういうふうにお考えになっておるかどうか一その点をまず簡単にひとつお答えをいただきたいと思います。
福田赳夫
41
○
福田
(赳)
国務大臣
消化につきましては、大体九割以上を金融
機関
というふうに考えておるのです。その中でどういうふうな割り振りになりますかということにつきましては、ともかく一般に
公債
等を募集する、各国のように
公債
消化のためのシンジケートを結成する。このシンジケートの話し合いにおきまして、その割り振りを自主的にきめてもらう。また条件等につきましては、シンジケートと
政府
との間において話し合いをしてきめる、こういう段取りを考えておるわけであります。
野田卯一
42
○
野田
(卯)
委員
この筋道はわかりましたが、シンジケートにしてもいろんな方法がございましょうが、結局実質的においては割り当てになると思うのです。そこで、この金利について、各銀行、各金融
機関
の資金コストはどのくらいだろうか。一体市中の大銀行の資金コストはどれだけだ、あるいは地方の銀行の資金コスト、あるいは信用金庫の資金コスト、相互銀行の資金コスト、こういうものと見合わして、いま申しましたたとえば六分七厘というような利回りが一体どういうことになるのか、それを上回るのか下回るのか、その辺のところをちょっとお話をしていただきたいと思います。
福田赳夫
43
○
福田
(赳)
国務大臣
ただいま考えております表面金利が六分五厘である、そしてこれを九十八円六十銭で売り出すということにしますと、利回りが応募者で六分七厘九毛五糸、こういうことになるわけであります。そういう場合に、ただいまお話しのように、地方というか、中小の金融
機関
に対しましてはコスト割れを生ずるような傾向があるわけでありまして、その点私どもも心配はいたしておるのですが、しかし地方の中小金融
機関
におきましても、預金準備という性格の
公債
の保有、これは私は相当額を考えられていいんじゃないか。コストの問題と別に、そういう角度の保有というものはあってしかるべきじゃないか、またそれは健全なやり方じゃないか、こういうふうに考えておるわけであります。
野田卯一
44
○
野田
(卯)
委員
公債
政策の問題は、また他日詳しくいろいろとお話し合う機会があると思いますから、この程度にとどめまして、最後にお尋ねしたいのは消費者物価の問題であります。この問題につきましては、これまで、いまから一年くらい前を振り返ってみますと、消費者物価が上がっていくのは主として経済の高度成長の結果である、したがって高度成長をある程度抑制すれば消費者物価の高騰は相当押え得る、こういうような考え方が当時プリベイルしておった。その考え方が当時あったように思います。ところで、その後の実績を見ますと、
昭和
四十
年度
の経済成長率は、実質におきまして二・何%という最近における最低の数字を示すわけであります。ここ十何年間における最低だと思いますが、そういう低い成長率を示しました。しかるにかかわらず、消費者物価というものは七・五%アップになるだろう。七・五%アップというのは、これまた未曾有の高レートであります。経済成長が一番低いのに消費者物価が一番高くなる、そういう現象が生ずるわけであります。でありますから、経済成長を押えれば消費者物価は安定するだろうと思っておった者から見ると、全く理解に苦しむというような結果に相なるのであります。まずこういう単純な質問をいたしまして、それに関する経済企画庁長官の御答弁をいただきたいと思います。
藤山愛一郎
45
○藤山
国務大臣
経済が成長してまいります過程、特に日本におきましては、九千万の人口が非常に多いといっておりますけれども、今日のような経済の発展をしてまいりますと、労働力人口というものは必ずしもあり余っているというのでなくして、供給面から見ると、かなり需要面との間が円滑にいっておらぬというのが、経済成長の過程において起こっておったわけです。したがいまして、賃金の平準化というような作用が起こりまして、賃金の平準化が起こってまいりますれば、自然合理化をしてきた、近代化をしてきたという産業は、生産性の向上によってそれを吸収することができますけれども、日陰になっておりまして合理化も進まない、あるいは近代化も進まない、生産性の向上もいまだしというところになりますと、どうしても賃金の上昇というものが影響してまいることは、これはやむを得ないことだ。したがって、これらのことを考えてまいりますと、合理化ができておらぬような面について十分な合理化をやっていかなければ、その原因の一つは取り除くことができないと思います。同時に、今日構造上にいろいろのゆがみやひずみが出てきておりますので、そういう現象が起こっておる、たとえば国民総生産が二十数兆にもなったというような産業の現状におきまして、それでは輸送手段というものがそれに対応するような
状況
になっておるかと申しますと、必ずしもなっておりません。国民総生産が十数兆の時代とそう大きくそれらのものの
改善
が行なわれておらぬところにも、輸送経路の一つの輸送費の節約と申しますか、輸送の
円滑化
を欠くというような点にも原因があると思います。また農業の面におきましても、特に生鮮食料品というような問題につきましては、都市生産業と農家との間の格差というもの、それを埋めてまいるためには農業生産品の
価格
が上がってまいらなければ農業者としてもほんとうの真の生産意欲を燃やしてまいりません。したがって、そういうものについての
価格
の安定、そして農業に従事する人々が安心して仕事に従事せられるような状態ができてまいりますことが、供給の
円滑化
をはかっていくというようなことになってまいると思います。したがって普通の
状況
ならば、不景気であれば物価は安くなる、賃金は安くなるというような
状況
でございますが、今日は、不景気になりましてもそういう
状況
にならぬわけでありまして、またならぬことが経済発展の過程において望ましいことでもあるわけでありますから、それを吸収できるような方策を逐次講じていくことによってこれを安定さしていかなければならぬ、こう考えております。
野田卯一
46
○
野田
(卯)
委員
私は非常に単純な形で質問したのですが、非常に答弁がむずかしいと思うのです。いまお話しに、なったことは、従来お聞きしたことのほとんど線を出ません。出ませんので、ことしはとにかく二%そこそこの成長で、いままでの最高の七・五%の物価の上昇を遂げるということについてはもう少しパーシュエイシブな、もう少し説得的な理由がなければならぬと思うのです。そうしませんと国民は納得しないと思うのです。でありますから、これはよく御研究くださいましてどうか国民が聞いてもなるほどな、それじゃ将来はこうなるだろうというふうに、今日を納得し、あしたに希望の持てるような
説明
のしかたなり、ものの考え方を発表していただきたい。そういうことを特にお願い申し上げます。 私はいろいろな問題も、むずかしい問題がたくさんございますが、物価の問題が、消費者物価の問題が一番やっかいじゃないか。いろいろな経済上の困難、矛盾、すべてのものがここに集まってきております。私は物価問題は単なる経済問題だとは思いません。特に日本においては政治問題がからんでおる。でありますから、政治問題と経済問題、いろんな問題がからんだ結果が物価にあらわれてきておりますから、これは広く大きな立場でもって、
政府
が本腰を入れてこの問題に取り組まなければいけないと思うのです。最近承りますところによると、佐藤総理大臣はこの物価問題解決に相当な意欲を見せておられるということであります。私、非常にけっこうであり、当然そうしていただかなければならぬと思う。特に私は、これまで佐藤総理大臣があるいはILOの問題を解決され、あるいは農地報償の問題を解決され、また非常な大問題であった日韓問題をお片づけになった。私は非常な功績だと思う。その熱意をもちまして、今度、経済不況の克服と消費者物価の安定のために全力を傾けて御努力くださらんことを心からお願い申しまして、私の質問を終わります。(拍手)
青木正
47
○
青木委員長
これにて
野田
君の質疑は終了いたしました。 この際暫時
休憩
いたします。 なお、引き続き
理事
会を開きますから、
理事
の諸君は
委員長
室にお集まりを願います。 午後六時二分
休憩
————◇————— 〔
休憩
後は
会議
を開くに至らなかった〕 ————◇—————