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1965-12-21 第51回国会 衆議院 予算委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和四十年十二月二十日)(月曜 日)(午前零時現在)における本委員は、次の通 りである。    委員長 青木  正君    理事 赤澤 正道君 理事 植木庚子郎君    理事 小川 半次君 理事 古川 丈吉君    理事 加藤 清二君 理事 川俣 清音君    理事 辻原 弘市君 理事 今澄  勇君       相川 勝六君    愛知 揆一君       荒木萬壽夫君    荒舩清十郎君       井出一太郎君    稻葉  修君       今松 治郎君    江崎 真澄君       大橋 武夫君    大平 正芳君       上林榮吉君    川崎 秀二君       小坂善太郎君    櫻内 義雄君       重政 誠之君    登坂重次郎君       中曽根康弘君    灘尾 弘吉君       丹羽 兵助君    西村 直己君       野田 卯一君    古井 喜實君       松浦周太郎君    三原 朝雄君       水田三喜男君    八木 徹雄君       石田 宥全君    石橋 政嗣君       大原  亨君    片島  港君       小松  幹君    高田 富之君       中井徳次郎君    中澤 茂一君       永井勝次郎君    野原  覺君       山花 秀雄君    横路 節雄君       佐々木良作君    永末 英一君       加藤  進君 ————————————————————— 昭和四十年十二月二十一日(火曜日)    午前十一時四十七分開議  出席委員    委員長 青木  正君    理事 赤澤 正道君 理事 植木庚子郎君    理事 小川 半次君 理事 古川 丈吉君    理事 八木 徹雄君 理事 加藤 清二君    理事 川俣 清音君 理事 辻原 弘市君    理事 今澄  勇君       相川 勝六君    愛知 揆一君       荒木萬壽夫君    荒舩清十郎君       井出一太郎君    今松 治郎君       江崎 真澄君    大橋 武夫君       大平 正芳君    上林榮吉君       鯨岡 兵輔君    小坂善太郎君       櫻内 義雄君    重政 誠之君       塚田  徹君    登坂重次郎君       中曽根康弘君    丹羽 兵助君       西村 直己君    野田 卯一君       橋本龍太郎君    古井 喜實君       松浦周太郎君    湊  徹郎君       山村新治郎君    有馬 輝武君       石田 宥全君    石橋 政嗣君       大原  亨君    片島  港君       小松  幹君    高田 富之君       中井徳次郎君    中澤 茂一君       永井勝次郎君    野原  覺君       山花 秀雄君    横路 節雄君       永末 英一君    加藤  進君  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         法 務 大 臣 石井光次郎君         外 務 大 臣 椎名悦三郎君         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君         文 部 大 臣 中村 梅吉君         厚 生 大 臣 鈴木 善幸君         農 林 大 臣 坂田 英一君         通商産業大臣  三木 武夫君         運 輸 大 臣 中村 寅太君         郵 政 大 臣 郡  祐一君         労 働 大 臣 小平 久雄君         建 設 大 臣 瀬戸山三男君         自 治 大 臣 永山 忠則君         国 務 大 臣 上原 正吉君         国 務 大 臣 福田 篤泰君         国 務 大 臣 藤山愛一郎君         国 務 大 臣 松野 頼三君         国 務 大 臣 安井  謙君  出席政府委員         内閣官房長官 橋本登美三郎君         内閣法制局長官 高辻 正巳君         総理府事務官         (人事局長)  増子 正宏君         外務事務官         (アジア局長) 後宮 虎郎君         外務事務官         (北米局長)  安川  壯君         外務事務官         (経済協力局         長)      西山  昭君         外務事務官         (経済局長)  中山 賀博君         大蔵事務官         (主計局長)  谷村  裕君         大蔵事務官         (理財局長)  中尾 博之君         大蔵事務官         (銀行局長)  佐竹  浩君         厚生事務官         (年金局長)  伊部 英男君         農林事務官         (大臣官房長) 大口 駿一君         農林事務官         (農林経済局         長)      森本  修君         水産庁次長   石田  朗君         通商産業事務官         (通商局長)  渡邊彌榮司君         運輸事務官         (大臣官房長) 深草 克巳君         郵政事務官         (大臣官房長) 鶴岡  寛君         郵政事務官         (電気通信監理         官)      畠山 一郎君         郵政事務官         (郵政局長)  長田 裕二君         郵政事務官         (経理局長)  淺野 賢澄君         労働基準監督官         (労働基準局         長)      村上 茂利君         建設事務官         (計画局長)  志村 清一君         自治事務官         (財政局長)  柴田  護君  委員外出席者         専  門  員 大沢  実君     ————————————— 十二月二十一日  委員稻葉修君、灘尾弘吉君、丹羽兵助君、古井  喜實君、水田三喜男君、石橋政嗣君及び片島港  君辞任につき、その補欠として塚田徹君、橋本  龍太郎君、湊徹郎君、鯨岡兵輔君、山村新治郎  君、有馬輝武君及び堀昌雄君が議長指名で委  員に選任された。 同日  委員鯨岡兵輔君、塚田徹君、橋本龍太郎君、湊  徹郎君及び山村新治郎辞任につき、その補欠  として古井喜實君、稻葉修君、灘尾弘吉君、丹  羽兵助君及び水田三喜男君が議長指名委員  に選任された。 同日  理事八木徹雄君八月十二日委員辞任につき、そ  の補欠として八木徹雄君が理事に当選した。     ————————————— 十二月二十日  昭和四十年度一般会計補正予算(第3号)  昭和四十年度特別会計補正予算(特第2号)  昭和四十年度政府関係機関補正予算(機第2号) 同月二十一日  昭和四十年度政府関係機関補正予算(機第3号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件   理事補欠選任  昭和四十年度一般会計補正予算(第3号)  昭和四十年度特別会計補正予算(特第2号)  昭和四十年度政府関係機関補正予算(機第2号)      ————◇—————
  2. 青木正

    青木委員長 これより会議を開きます。  午後一時より再開することとし、暫時休憩いたします。    午前十一時四十八分休憩      ————◇—————    午後一時七分開議
  3. 青木正

    青木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、理事補欠選任についておはかりいたします。  委員の異動によりまして、現在理事が一名欠員となっております。  つきましては、この際その補欠選任を行ないたいと存じますが、これは委員長において指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 青木正

    青木委員長 御異議なしと認めます。よって、八木徹雄君を理事指名いたします。      ————◇—————
  5. 青木正

    青木委員長 これより昭和四十年度一般会計補正予算(第3号)、特別会計補正予算(特第2号)及び政府関係機関補正予算(機第2号)、以上三案を一括して議題とし、審査に入ります。     —————————————  昭和四十年度一般会計補正予算(第3号)  昭和四十年度特別会計補正予算(特第2号)  昭和四十年度政府関係機関補正予算(機第2号)   〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  6. 青木正

    青木委員長 まず各案の趣旨につきまして政府説明を求めます。大蔵大臣福田赳夫君。
  7. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 政府は、今回、昭和四十年度一般会計補正予算(第3号)、特別会計補正予算(特第2号)及び政府関係機関補正予算(機第2号)を国会に提出いたしました。  ここに、予算委員会の御審議をお願いするにあたり、その概要を御説明申し上げます。  一般会計でございますが、昭和四十年度租税及び印紙収入につきましては、経済活動の停滞を反映いたしまして、その収入見込み額が大幅な減少を来たすことが明らかとなりましたので、最近までの収納実績等を勘案して、今回、当初予算額から二千五百九十億円を減額することといたしております。この租税及び印紙収入の異常な減少に対しましては、その減収見込み額補てんするため、臨時応急的な特例措置として、別途今国会に提出いたしております昭和四十年度における財政処理特別措置に関する法律案により、公債を発行することといたしまして、公債金二千五百九十億円を歳入予算に計上いたしております。  なお、この公債は、資金運用部資金による引き受け及び市中公募により発行することといたしておるのであります。  次に、歳出追加につきましては、国家公務員等給与改善をはじめ、当初予算作成後に生じた事由に基づき、特に緊急に措置を要するものについて、総額千四百十二億円を計上いたしております。これが財源措置につきましては、従来の補正予算において財源の大宗をなしておりました租税及び印紙収入が、さきに申し述べましたように、かえって大幅に減少が見込まれるという困難な財源事情にあったのでありますが、税外収入において四百六十四億円、前年度剰余金受け入れにおいて百八十七億円、合計六百五十一億円を歳入追加計上するとともに、なお不足する七百六十一億円につきましては、既定経費の節減三百三十億円、出資融資等への振りかえによる減額二百五十二億円、予備費減額五十億円等の歳出減額を行ない、これが財源に充てることといたしております。  次に、追加を行なう事項につきまして、それぞれ御説明いたします。  まず、給与改善費でありますが、これは、去る八月十三日に行なわれました人事院勧告を尊重し、本年九月にさかのぼって国家公務員等給与改善実施することとして、三百五十三億円を計上しております。  災害対策費といたしましては、百六十六億円を計上いたしております。本年は、台風二十三号、二十四号、二十五号等により、昨年を大幅に上回る災害発生が見られ、これにつきましては、すでに既定予備費をもって応急の措置を講じてまいったのでありますが、なお今後の復旧等に必要な経費といたしまして百四十二億円計上いたしております。このほか、緊急砂防事業費として三億円、過年発生災害復旧事業費として二十一億円を追加することとしておるのであります。  第三は、農業共済保険特別会計への繰り入れに必要な経費であります。これは、農業共済保険特別会計における再保険金支払い財源に充てるため、一般会計から同特別会計へ十六億円を繰り入れるものであります。  第四は、食糧管理特別会計への繰り入れに必要な経費でありまして、二百九億円を計上いたしております。食糧管理特別会計につきましては、四十年産国内米政府買い入れ価格が当初予算において予定していた価格を上回って定められたこと等に伴い、食糧管理勘定における損失が大幅に増加する見込みとなりましたので、消費者米価を明年一月より改定して同勘定収支について改善をはかることといたしているのでありますが、なおその損失が、当初予算において予定していた額よりも相当増加いたすのであります。  したがいまして、今回同特別会計経理運営改善をはかるため、百五十億円を調整勘定繰り入れることとしたものであります。  なお、このほか、農産物等安定勘定及び砂糖類勘定に対し、三十九年度において生じた損失補てんするため、合わせて五十九億円の繰り入れを行なうことといたしております。  第五は、消費者米価改定に伴う生活保護費等増加でありまして、三億円を計上いたしております。  第六は、義務的経費不足額補てんに要する経費でありまして、国民健康保険助成費二百八億円、義務教育費国庫負担金百二億円等、四百二十六億円を計上いたしております。  第七は、日韓国交正常化に伴い必要な経費でありまして、韓国に拿捕された漁船にかかる船主及び抑留乗り組み員に対し、総額四十億円の特別給付金を支給することといたしますほか、韓国との無償経済協力に要する経費として十八億円を見込む等、合わせて六十二億円を計上しておるのであります。  第八は、中小企業信用保険公庫出資金でありまして、中小企業者に対する事業資金の融通の円滑化をはかるため、中小企業信用保険制度拡充強化することとしておりますが、これに伴って同公庫融資基金を増額するため十億円を追加出資するものであります。  第九は、揮発油税収入減少等に伴う揮発油税等道路特定財源道路整備特別会計への繰り入れ修正減少額補てんするため、一般財源による同特別会計への繰り入れ追加するに必要な経費でありまして百二十八億円を計上しております。  以上御説明いたしました項目のほか、炭鉱整理促進費補助金糖価安定事業団交付金追加等につきまして、それぞれ所要追加を行なうことといたしておるのであります。  以上の歳入歳出追加及び修正減少によりまして、昭和四十年度一般会計予算総額は、歳入歳出とも六百五十一億円を増加して、三兆七千四百四十七億円と相なるのであります。  なお、大蔵省証券の発行及び一時借入金の最高額につきましては、当初予算において、二千億円と規定していたのでありますが、国庫収支の推移に関する今後の見通しに基づき、今回の予算総則補正におきまして、この最高額を四千億円に改めることといたしておるのであります。  次に、特別会計予算及び政府関係機関予算におきましては、今夏以来実施中の景気対策及びただいま御説明いたしました一般会計予算補正等に関連し、特別会計においては、交付税及び譲与税配付金特別会計国債整理基金特別会計国立学校特別会計等十五の特別会計予算につき、また、政府関係機関においては、日本国有鉄道日本電信電話公社第六政府関係機関予算につきまして、それぞれ所要補正を行なうことといたしておるのであります。  また、当面の景気対策につきましては、今夏以来金融面における措置に加えて、財政面においても財政投融資の繰り上げ及び拡充公共事業の繰り上げ施行等措置を講じてまいったのでありますが、今回、さらに特別の措置として、一般会計特別会計及び政府関係機関公共事業関係等事業について総額約一千億円の債務負担行為の活用をはかることといたしております。これによりまして、本年度末から来年度初めにかけての公共事業関係事業量は引き続き高い水準を保ち、当面の景気対策に資することになると考えます。  なお、今回の補正予算におきまして新たに追加計上いたします債務負担行為限度額は、当初予算に計上した限度額の中で、本年度に支出化することとされたものに振りかえて実行上措置するものが二百億円ありますので、これを除きまして、総額八百二十七億円と相なるのであります。  次に、財政投融資計画におきましては、景気対策の一環として推進しつつある財政投融資対象機関事業拡充地方財政対策及び今回の補正予算に関連して所要改定を行なうこととし、総額千三百三十五億円の投融資増加することといたしております。そのうちのおもなものは、日本国有鉄道二百五十億円、住宅金融公庫百十四億円、日本開発銀行二百億円、日本住宅公団百八十六億円、日本道路公団百二十億円及び地方公共団体三百十五億円等であります。  以上の結果、本年度財政投融資改定計画額は、先般決定いたしました石炭合理化事業団及び中小企業金融機関に対する追加額二百七十九億円と合わせ一兆七千八百二十億円と相なるわけであります。  最後に、特に地方財政対策について申し上げます。  本年度における地方財政は、国の場合と同様、歳入面において地方税等の大幅な減少が見込まれるとともに、歳出面では、公務員給与改善災害復旧等多額追加財政需要があり、これが財源対策は、きわめて困難な情勢にありますので、政府としては、次の特別の措置を講ずることといたしました。  まず、地方交付税交付金につきましては、今回の予算補正において所得税法人税及び酒税収入見込み額減額することに伴い五百十二億円の減額となるべきところ、特別措置としてこれを減額せず、当初予算額どおりとすることといたしましたほか、地方公務員給与改善財源に資するため、一交付税及び譲与税配付金特別会計において、資金運用部資金から三百億円を借り入れ、当初の地方交付税交付金にこれを加算することといたしました。  また、国税と同様相当大幅な減収が見込まれる地方税等減収対策として総額四百億円の地方債追加し、そのうち資金運用部資金によって百五十億円を引き受けることといたしました。  以上の諸措置によりまして、地方財政対策に万全を期することといたしておるのであります。  以上、ごく概略を御説明いたしましたが、なお詳細にわたりましては、政府委員をして、補足して説明いたさせます。  何とぞ、御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
  8. 青木正

    青木委員長 引き続き、政府委員補足説明を許します。主計局長谷村裕君。
  9. 谷村裕

    谷村政府委員 昭和四十年度補正予算概要につきましては、ただいま大蔵大臣から御説明いたしましたとおりでありますが、なお細部にわたりまして補足して説明することといたします。  今回の一般会計補正予算における歳入歳出補正額は、それぞれ六百五十一億円であります。  まず、補正額について御説明いたしますと、歳入につきましては、追加額は三千二百六十二億円、修正減少額は二千六百十一億円、差し引き補正額は六百五十一億円となっております。  また、歳出につきましては、追加額は千四百十二億円、修正減少額は七百六十一億円でありまして、差し引き補正額は、歳入と同額の六百五十一億円となっております。  この結果、昭和四十年度一般会計歳入歳出予算の規模は、補正予算(第1号)後の三兆六千七百九十六億円から、歳入歳出とも六百五十一億円を増加して、三兆七千四百四十七億円となります。  以下、歳入歳出のそれぞれについて、御説明いたします。  まず、歳入修正減少額二千六百十一億円は、すべて租税及び印紙収入にかかるものでありまして、そのおもなる内訳は、源泉所得税九十億円、法人税千三百九十五億円、酒税二百五十億円、揮発油税百三十二億円、物品税二百四十八億円、有価証券取引税四十九億円、関税三百三十二億円等であります。  なお、砂糖消費税及び石油ガス税について、二十一億円の増収を見込んでおりますので、租税及び印紙収入の全体といたしましては、二千五百九十億円の減少となります。  次に、歳入追加額三千二百六十二億円のうち、税外収入四百六十四億円及び前年度剰余金受け入れ百八十七億円につき補足説明いたします。  税外収入四百六十四億円のうち三百十七億円は、日本銀行納付金増加を見込むことによるものであります。これにつきましては、三十九年度下期及び四十年度上期における決算に基づく増加額九十七億円のほか、四十年度下期分の納付金二百二十億円を本年度歳入受け入れることといたしております。  また、前年度剰余金受け入れ百八十七億円は三十九年度決算における新規純剰余金二百四十億円から地方交付税及び道路整備費並びに公債償還財源に充てる見込み額五十三億円を控除した額であります。  次に、歳出追加額千四百十二億円の内訳について補足説明いたします。  給与改善費三百五十三億円の内訳は、一般会計職員分百七十八億円、他会計繰り入れ分五十億円、義務教育費国庫負担金百億円、補助職員分二十五億円であります。  次は、災害対策費百六十六億円でありますが、本年は、台風二十三号、二十四号、二十五号等による公共土木施設及び農林水産業施設被害報告額は、昨年を大幅に上回る二千百億円に達するものとなりました。これが復旧につきましては、すでに予備費をもって二百八十一億円を支出したのでありますが、今回、さらに災害復旧事業進捗をはかるため、今後予備費により措置するものを除き、百四十二億円を補正予算に計上することといたしました。  このほか、四十年発生災害に伴って、荒廃した河川渓流における崩壊等を緊急に防止するため、緊急砂防事業費三億円を追加いたしますとともに、三十七年及び三十八年発生災害復旧等事業につきましても、その後の実施状況の調査結果に基づき二十一億円を追加して、予定進捗率の確保をはかることといたしております。  なお財政投融資計画におきましても、災害復旧事業等に伴う地方公共団体負担増加に対処するため、今回、地方公共団体に対し百五十五億円を追加融資して、災害復旧に遺憾なきを期しております。  次は、農業共済保険特別会計への繰り入れに必要な経費十六億円であります。本年は、春の異常気象収穫期台風等により、かなりの被害発生いたしましたため、農業共済保険特別会計農業勘定から支出する再保険金が当初の予定を上回り、再保険金支払い財源不足を生ずることが見込まれますので、一般会計からこの特別会計農業勘定への繰り入れ額追加するものであります。  次は、食糧管理特別会計への繰り入れに必要な経費二百九億円であります。四十年産米生産者米価は、三十九年産米に対し、石当たり千三百七十四円引き上げられたのでありますが、これに伴い、同特別会計食糧管理勘定損失は、当初予算における見込み額千八十七億円をはるかに上回ることが見込まれるに至りました。政府といたしましては、この状況にかんがみ、四十一年一月一日から、消費者米価を平均八・六%引き上げることとしたのでありますが、同勘定損失は引き上げ後においてもなお千二百六十二億円にのぼると見込まれますので、同特別会計経理運営改善をはかるため、今回、調整勘定に百五十億円を繰り入れることといたしております。これにより四十年度予算における調整勘定への繰り入れ額は千二百五億円となります。  このほか、三十九年度に生じた損失補てんするため、同会計農産物等安定勘定へ六億円、砂糖類勘定へ五十三億円を繰り入れることといたしております。  次は、消費者米価改定に伴う増加経費でありまして、生活保護費及び児童保護費などについて合計三億円の増額を予定いたしております。  次は、国民健康保険助成費等義務的経費不足額補てんに必要な経費でありまして、四百二十六億円を計上いたしております。  このうちのおもなるものは、国民健康保険助成費二百八億円及び義務教育費国庫負担金百二億円でありますが、地方財政の現況にかんがみまして、この二つの経費につきましては、それぞれ三十九年度精算不足額百十一億円及び五十四億円のみならず、四十年度不足を生ずると見込まれる額九十七億円及び四十八億円につきましても、今回、特にこれを追加することとしている次第でございます。  次は、日韓国交正常化に伴い必要な経費でありまして、六十二億円を計上いたしております。まず、韓国に拿捕されました漁船にかかる船主及び抑留乗組員等に対し、総額四十億円の特別給付金を支給することといたしております。  次に、財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定の実施に伴い、四十年度無償経済協力に必要な額といたしまして、十八億円を計上しております。  このほか、日本国と大韓民国との間の漁業に関する協定等の実施に伴い、漁業の自主規制及び取り締まり等のため、四億円を計上いたしております。  次は、中小企業信用保険公庫に対する追加出資でありまして、十億円を計上いたしております。  中小企業者に対する事業資金の融通の円滑化をはかるため、先般、中小企業信用保険につき、保険料率の大幅な引き下げを実施し、さらに限度二百万円までの無担保保険及び連鎖倒産等防止のための保険制度の新設等、その制度の拡充強化をはかることといたしました。これらの措置実施に伴い、都道府県の信用保証協会の活動を促進するため、中小企業信用保険公庫融資基金として、当初予算において出資予定しております六十億円に加えて十億円を追加するものであります。  次は、道路整備特別会計への繰り入れに必要な経費でありまして、百二十八億円を計上いたしております。  道路整備特別会計に対しましては、道路整備費のための特定財源として、毎年度揮発油税等の収入予算額に相当する金額を一般会計から繰り入れることとなっております。今回、揮発油税の収入減少等に伴い、揮発油税等収入相当額財源道路整備特別会計への繰り入れ額を、百二十八億円修正減少することといたしましたが、既定事業量を確保するため、一般財源による同特別会計への繰り入れを同額追加計上することといたしたものであります。  このほか、炭鉱整理促進費補助金につき十三億円、また、糖価安定事業団交付金につき九億円を計上する等、所要措置を講ずることとしております。  次に、歳出修正減少額は、七百六十一億円となっております。今回の補正予算の編成に際しましては、総額千四百十二億円にのぼる歳出追加財源措置といたしましては、さきに述べましたように、まず税外収入四百六十四億円及び前年度剰余金受け入れ百八十七億円によって、六百五十一億円の歳入増加をはかることといたしましたが、なお不足する財源七百六十一億円につきまして、既定歳出修正減少を行ない、これに充当することといたした次第であります。  以下、歳出修正減少内訳について御説明いたします。  まず既定経費の節減により、三百三十億円の修正減少を行なうことといたしております。この内訳は、当初予算に計上されました旅費、庁費等の節約百四十四億円、不用額の減九十六億円及び国債整理基金特別会計に対する国債利子等の繰り入れ減額九十億円であります。  次に、出資減額及びこれに関連する特別会計繰り入れ減額により二百五十二億五千万円の修正減少を行なうことといたしております。  すなわち、まず、道路整備特別会計におきまして、日本道路公団出資金百二十億円を減額することとし、これに伴い、同特別会計への一般財源繰り入れ額修正減少することといたしております。また、産業投資特別会計におきましては、住宅金融公庫出資金につき二十五億円を、また、農林漁業金融公庫出資金につき百億円をそれぞれ減額することとし、これに伴い、同特別会計への繰り入れ額百二十五億円を修正減少することといたしております。このほか、産炭地域振興事業出資金につきましても、当初予算額から七億五千万円を減額することといたしておりますので、以上合わせて二百五十二億五千万円の修正減少となるのであります。  なお、これらの四機関に対しましては、別途財政投融資計画におきまして出資減額に見合う資金追加を行ない、既定事業規模の確保をはかることといたしております。  次に、予備費につきましては、当初予算計上額五百億円は、十二月二十日現在において残額百四十一億円となっておりますが、このうち今回五十億円を修正減少して歳出追加財源に充てることといたしております。  さきに御説明いたしましたとおり、今回、揮発油税の収入予算額減額すること等に伴い、揮発油税財源道路整備特別会計への繰り入れ額につき百二十八億円を修正減少することといたしております。  以上により、歳出修正減少額は、合計七百六十一億円と相なるのであります。  次に、特別会計補正予算(特第2号)について御説明いたします。今回、補正措置をとっておりますのは、国債整理基金特別会計等十五特別会計でありますが、その多くは、ただいま申し上げました一般会計補正に関連するものでありますので、以下主要なものについて御説明することといたします。  まず、国債整理基金特別会計でありますが、これは、その歳出において、国債発行に伴い必要な国債証書製造費及び国債事務取り扱い手数料等の経費追加する等の補正を行なうことといたしております。また、歳入におきましては、一般会計繰り入れ減額した金額を含め九十一億円を修正減少するとともに、この会計剰余金をこの際歳入として受け入れる等の補正を行なうことといたしております。  次に、交付税及び譲与税配付金特別会計であります。さきに御説明いたしましたとおり、一般会計におきまして、所得税法人税及び酒税歳入予算額につき、合わせて千七百三十四億円の修正減少を行なっているのでありますが、これに伴い、本来ならば一般会計から地方交付税交付金財源に充てるためこの特別会計繰り入れる金額は、三税の減少額の二九・五%に相当する五百十二億円を減額することとなるのであります。しかしながら、当面の地方財政状況にかんがみ、今回の補正予算におきましては、特別の措置として、この五百十二億円を減額せず、当初予算額七千百六十二億円のままといたしているのであります。  次に、地方公共団体が行なう職員の給与改善財源に資するため、この特別会計において資金運用部資金三百億円を借り入れ、これにより地方交付税交付金の増額を行なうことといたしております。  次に、産業投資特別会計でありますが、これは、その歳入において、一般会計からの受け入れ額を百二十五億円減額するとともに、その歳出において、産業投資支出のうち住宅金融公庫出資金を四十億円から十五億円に、農林漁業金融公庫出資金を百五十六億円から五十六億円に、それぞれ減額することといたしております。  次に、道路整備特別会計であります。揮発油税等特定財源減少については、一般会計において財源補てん措置を講じております。しかし、他方、本会計歳出において日本道路公団出資金を百二十億円減額するとともに、給与改善実施に伴い必要な予算追加五億円がありますので、差し引き一般会計からの受け入れ額は百十五億円を減少することとなるのであります。  次に、政府関係機関補正予算(機第2号)について御説明いたします。今回、補正措置を講ずることといたしておりますのは、日本国有鉄道日本電信電話公社、住宅金融公庫、農林漁業金融公庫、公営企業金融公庫及び日本開発銀行の六機関でありますが、このうち、日本国有鉄道及び日本電信電話公社につき、御説明することといたします。  日本国有鉄道につきましては、景気対策の一環としての工事規模の拡充台風二十四号等災害復旧及び緊急に必要な保安対策等を実施するため、改良費二百二十億円及び修繕費等二百七十六億円を追加することといたしております。これらの事業追加に要する財源をまかなうため、鉄道債券の発行等により四百九十六億円を調達することといたしております。  日本電信電話公社につきましては、景気対策の一環として、加入電話を三万個増設するため、建設費を百億円追加することとし、この財源として電信電話債券九十七億円及び設備料三億円を追加することといたしております。  次に、債務負担行為千二十七億円の内訳について御説明いたします。  まず、一般会計においては、公共事業につき二百九十九億円及び官庁営繕につき二十六億円、計三百二十五億円を計上いたしております。このうち、公共事業内訳は、空港十億円、農業基盤十五億円、災害復旧二百七十億円及び海岸四億円であります。  次に、特別会計においては、公共事業につき三百二億円及び国立学校施設につき百億円、計四百二億円を計上いたしております。公共事業内訳は、道路百五十億円、治水九十五億円、港湾五十二億円及び特定土地五億円であります。  また、政府関係機関においては、日本国有鉄道につき二百億円及び日本電信電話公社につき百億円、計三百億円となっております。  なお、以上のうち、日本国有鉄道の二百億円につきましては、当初予算に計上いたしました債務負担行為限度額のうち今回の補正予算において四十年度中に支出化する二百億円がありますので、これを減額すべきところ、これをそのままとしておくことにより実行上債務負担行為の額を二百億円増加することといたしておりますので、今回の補正追加計上した債務負担行為総額は八百二十七億円となっております。  次に、財政投融資計画におきましては、今回総額千三百三十五億円の追加を行なうことといたしております。その内訳は、日本国有鉄道二百五十億円、日本電信電話公社五十億円、住宅金融公庫百十四億円、公営企業金融公庫五十億円、日本開発銀行二百億円、日本住宅公団百八十六億円、日本道路公団百二十億円、阪神高速道路公団四十二億円、産炭地域振興事業団八億円及び地方公共団体三百十五億円となっております。  なお、このほか、住宅金融公庫及び農林漁業金融公庫に対する産業投資特別会計からの出資百二十五億円を減額して、資金運用部資金の融資に振りかえることとしております。  以上に必要な原資といたしましては、公募債借り入れ金に八百九十億円を期待いたしますほか、資金運用部資金五百七十億円の追加予定いたしております。
  10. 青木正

    青木委員長 以上をもちまして、政府説明は終わりました。  本会議終了後再開することとし、この際暫時休憩いたします。    午後一時四十分休憩      ————◇—————    午後四時二十八分開議
  11. 青木正

    青木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。昭和四十年度補正予算三案について審議を進めます。  これより質疑に入ります。それでは野田卯一君。
  12. 野田卯一

    野田(卯)委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、佐藤総理以下閣僚に対しまして、外交並びに経済政策について若干の質問を試みたいと思います。どうか私に対する答弁を通じまして、国民に、佐藤内閣はどう考えているか、またどう理解しているかということがよくわかるように御答弁をぜひいただきたいと思います。  最初に、外交問題に入りたいと思いますが、過去十四年間、日本と韓国との間に交渉されてまいりました各種の懸案を妥結いたしまして、このたび日韓友好条約が成立をしましたことは、まことにわれわれとしては慶祝にたえないところでございます。この日韓問題につきまして、国会における論議が非常な大荒れとなりまして、国会歴史が始まって以来といわれるような大きな混乱を生じましたことは、まことに遺憾しごくでございます。最近に至りまして、自由民主党、社会党、民社党の間に国会正常化に関する申し合わせができまして、国会が軌道に乗ることになりましたから、私は、この際、一言総理大臣の御意見を伺いたいことは、この日韓問題が国会で非常に紛糾いたしましたが、世論が日韓友好条約の妥結に大部分は賛成していることは、幾多の世論調査の明らかに示すところでございます。また、社会党の支持者においても大きな割合の人々がこの問題に賛成し、共産党の支持者の中にもたくさんの支持者があるわけであります。こういうように国民の大多数が賛成をしているこの問題を取り上げまして国会で議論する際に、あのような混乱と醜態を暴露することは、まことに国民に対しても申しわけないことだと思うのであります。私は、こういう問題について各党間に意見の相違のあることはやむを得ないと思いますが、こういう国民の大多数が賛成し、多数党であるところの自民党が多年研究の結果、是なりと信じて、国会政府が提案いたしましたものを、どんなことをしても国会を通さないのだ、力ずくでも、からだを張っても通さないのだということがあらかじめ宣言されるというようなことになりますと、私は、それは国会の議論というものが——国会は、御承知のように言論の府でありまして、論議を尽くすことはけっこうでありますが、審議を尽くすべく国会を開こうとすれば、七十日の国会をこちらが要求しているのにかかわらず、四十日にとどめようと主張したり、あるいはまた、国会が開かれましたあとにおいても、約三週間というものをいろいろな理由のために空過するというようなことは、私はいままでかってなかったことだと思うのです。でありますから、私は、論議は論議でございますが、少数意見の尊重もございましょう、しかしながら、最後は大多数の者が支持することが言論の府において最終的に賛成を得まして通過するというたてまえ、端的に言いますならば、論議は尽くし、少数意見も尊重するけれども、多数決の原理というものは国会並びに議会の根本原則であるというその事柄、この事柄をよく国民にもわかっていただき、われわれ自身もその考えに徹しなければ、私は今後における国会運営の真の意味の正常化はあり得ない、かように考えておるのでございますが、この点に関する総理大臣の御意見を承りたいと思います。
  13. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 お答えいたします。  ただいまお尋ねになりました点については、各党ともたいへん反省をいたしまして、御承知のように、船田前議長、田中前副議長等のあっせんにより、ようやく国会正常化の方向に向かってきたのであります。しかし、もちろんただいまの申し合わせ、それによって全部が解決したというものではございませんし、また、そういう意味で過去のものについてのいろいろ反省もしてみる、これも大事なことであります。しかし、ただいま申すように、国会正常化の方向へ各党が申し合わせをしたのでありますから、せっかくできたこの申し合わせがりっぱに結実するように一そうの努力をしたいと、かように考えます。私は、ただいまお話しになりましたが、いわゆる多数決の原理というものがどれだけ尊重されるか、また、少数党の意見というものがいかにして取り入れられるか、また、いわゆる物理的な抵抗というような事柄が今後いかに排除されるか、一にいわゆる言論の府である、また、民主主義によって運営される国会であるべきだと、かように思いますので、ただいまの過去についての反省も必要なことでありますが、ただいまようやく話し合いがついたその際でございますので、前向きに、われわれが期待、希望を持ってひとつ取り組んでまいりたいと、かように考えます。
  14. 野田卯一

    野田(卯)委員 次に、日韓関係について申したいのでありますが、韓国におきまして、日韓友好条約の締結に一部の者が猛烈に反対をいたしました力一部の学生が特に極端に反対をいたしたのでございますが、この反対の理由の中に、条件が韓国側に不利であると言う者がございますが、これは日本側でも不利だと言う者はありまして、両方が不利だと言っていることはむしろ公平だとも見る見解がございます。学生諸君並びに一部の者が強く言っておりますことは、経済侵略ということであります。日韓新関係が結ばれたあと、日本の資本勢力が韓国になだれ込んできて、韓国の経済を支配するのではなかろうか、こういうようなことを申しておるのであります。こんなことはわれわれも考えたことはございませんし、政府当局もお考えになったこともないし、また、おも立った人々はだれも考えておらないと思うのであります。しかしながら、現在実際の状況を見ますと、日本の商社の代表が韓国に多数駐在いたしまして、活発な商業活動を営んでおり、今度日韓新関係の設定を機会に大いに商売をやろうという意欲のもとに大々的に活動し、それが過当競争までに発展しているのじゃないかと私は思う。この日本の商社間の過当競争があまり行き過ぎますと、韓国の各方面に日本の真意を誤解せしめるような現象も起こってくるのではないかということを憂うるのでございます。したがいまして、私は、日韓の友好関係を維持し、両国間の経済関係を緊密にしていくために、業界の人々も、どうか今度の日韓友好関係のできました真の意味を理解されまして、韓国経済のほんとうの建て直しに協力するのだ、国民生活の向上に尽くすのだという、ほんとうに誠意に満ちた意識に基づいてぜひとも経済活動をしていただきたい。この点につきまして、私は、政府当局においてもできるだけ強力なる指導をしていただきたいということを念ずるものでございます。  また、経済援助の実行におきましても、従来のわれわれの経験に照らしますと、政府当局、特に佐藤総理大臣は、このような問題については非常に熱心でございますので、問題をスムーズに、迅速に処理することについて常に配意しておられますが、これが実際の問題になると、なかなかそうは動かない。特に官僚組織が複雑でありまして、いろいろな手続に時間を要し、また各省間のセクショナリズムがありまして、なかなかスムーズに、スピーディーにいかないのが従来の例でございます。この点に顧みられまして、今後日韓間に横たわるいろいろな問題を解決する際、ぜひとも総理大臣が各省に、各大臣に号令されまして、できるだけ過去にあったような経験を繰り返さないように、ぜひとも御配意を願いたいと存ずるのでございまして、この点に関する総理の御決意を承りたいと思います。
  15. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 ただいま経済侵略ということばをいみじくも使われましたが、私は、戦後の日本の姿、また、日本の歩む方向、これについてぜひ深い理解を持っていただきたい、かように思うのであります。  私が申し上げるまでもなく、戦前におきましては、非常な膨張政策をとっていた、あるいは帝国主義だとかいうような非難も受けた、かように思いますが、私どもは、そういう軍国主義的あるいは帝国主義的な考え方は、もちろん冒頭から持っておりませんけれども、そういう誤解を受けるような行為も一切やらないのだ、戦後におきましては、いわゆる膨張政策、こういうことはもう一てきして、さようなものはみじんも身につけないのだ、こういうことでこの国がスタートした、かように私は思います。日韓交渉が長い時日を要したということも、この過去の日本と現在の日本を理解するのに、ただいまのように時間がかかったのだ、かようにも実は言えるのではないかと思います。もう今日は経済侵略など考えておらない。したがって、ほんとうに心から経済協力をしてくれる、韓国の経済の発展を心から願っておる、日韓相互ともどもに経済の繁栄に努力すべきだ、こういうように私どもが努力しておるのでございます。したがいまして、これは政府ばかりではなく、日本国民全体がこの考え方に透徹することが必要だ、かように思います。もちろん民主国家でございますから、多数の人がおり、また、それらの者の意見がいろいろ分かれておる、かように考えますけれども、ただいま申し上げた点については、誤解を受けてはならない、かように思いますので、なお私どものあり方を知っていただく上に欠くるものがあるようですから、一そう努力してまいりたい、かように思いますし、また、各省におきまして韓国といろいろ折衝、交渉をいたします際に、いわゆる官僚機構が繁文縟礼に流れるとか、そういう意味で能率的でない、こういうようなことがあっては相ならないと思います。そういう意味では、できるだけ親切に、ほんとうに韓国の求むるところ、われわれも同じような気持ちで事務の処理に迅速に、円滑にいくようにいたしたいと思います。ただいま経済協力の基本的なものはきめられておりますが、ただいま申し上げるように、経済協力が十分効果をあげる、そういう意味で一そう両国間に友好親善関係が樹立され、もっとあっさりと、こだわりなしに話し合うということになれば、さらにこの友好状況改善していくこともできるし、また、経済の発展に寄与することもできるのではないか、かように私は思います。
  16. 野田卯一

    野田(卯)委員 韓国と日本との貿易関係を見ますと、韓国は日本からたくさん物を買っている。ところが、日本が韓国から買うものは少ないのでありまして、おそらく日本の買うものの数倍のものを韓国が買っているのではないかと思うのです。そこで、韓国といたしましては、国際収支も決して楽じゃございませんので、できるだけ日本が韓国のものを買ってもらいたい、かような希望を表明しております。韓国はいろんな地下資源がございますが、こういうものについてはほとんど問題がございません。しかし、韓国は、御承知のように、人口の三分の二が農業その他の第一次産業に従事しておる。したがいまして、韓国から日本が買うとすると、どうしても農業その他第一次産業の産品というものに目をつけなければなりません。そこで、韓国といたしましては、この第一次産業の産品をできるだけ日本に輸入してもらいたいと考えておるのでございますが、日本側としては、また、日本の農民その他のものも控えておるわけでございます。その間の利害の調整というものも考えなくてはならない。その点はよくわかるのであります。しかしながら、こういう新しい、いわゆる運命共同的な関係ができました以上は、どうか韓国の第一次産業をある程度支持して、韓国の繁栄をはかる意味におきましても、第一次産業の産品の日本に対する輸入、これについて特別の配慮を政府として払わるべきではないか、日本としても払うべきじゃないかというふうに考えるのであります。例のノリの問題でございますが、これがいつも問題になりまして、わずかなことのために、日本と韓国との間の悪い感情を誘発する大きな原因になっておることは、御承知のとおりでございます。これは一つの例でございますが、こういう問題について、第一次産業の生産品につきまして今後特段の配慮をなすべきである、かように考えておりますが、本件に関しまして農林大臣の御所見を承りたいと思います。
  17. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 ただいまの野田委員のお説のとおりでございまして、非常に向こうから輸入するものよりも輸出するものが多いのでございますから、第一次産品のごときはでき得る限り輸入につとめてまいりたい、こう考えております。ただ、非常な零細漁民あるいは農民の関係でありますから、国内の調整、それはよく考えながら、その態勢を整えながら、十分その目的に沿うようにやってまいりたいと存じます。私が向こうへ参りまして、車農林部長官とも長らく懇談をいたしまして、いろいろお話をいたしたのでございますが、ノリの問題も、いまお話しになりましたが、今年のやつは解決しております。その困難ないろいろの事情等については、別に政府の問題というわけではないのでありますが、その困難な点を除去していくようにつとめてまいりたい、こう考えております。  それから農産物等につきましても、米のごときはやはり六万トンばかり輸入することにいたしておりまするが、私は向こうの車長官とお話をしたときには、韓国としては、食糧全体はやはり足らないのですな。したがって、米を輸出して雑穀を輸入しておるという状況でございます。そこで、私どもとしては、米のごときはでき得る限り日本の生産状態と対応して輸入するようにいたしたいと思うのであるが、貴国においても十分食糧の増産という問題を特別にお考えになる必要がある、そういう意味において、私どもは技術協力という点については特によく考えていきたいと思うがというので、たいへん了承いたしておるようなわけでございます。
  18. 野田卯一

    野田(卯)委員 今回の日韓友好条約等によりまして、日韓間のおもな懸案はほとんど解決を見たのでありますが、問題は竹島の問題でございます。これは昨日も本会議政府側の答弁があったごとく、解決を見ないで今後の折衝にまかされた一というわけであります。日本としては日本の領土であり、韓国としては韓国の領土であるとお互いに主張いたしておるのでありまして、これがやはり両国間の国民の感情に大きな刺激を与える問題でございますので、私は、取り扱いに双方ともきわめて慎重でなければならぬと思うのであります。最近、御承知のように、この竹島の周囲に十二海里の専管水域を設定するという問題が報ぜられております。これが日本人に対してかなりな感情を刺激する材料になっておると私は考えるのであります。私どもは、韓国側が、竹島の問題については、問題が根本的に解決されるまでできるだけ自重した態度をとっていただきたい、これは私は国民の念願であろうと思います。この件につきまして、先般批准書交換のために外務大臣が韓国にいらっしゃったときに、向こうの最高幹部とお話し合いがあったかのごとく承っておるのでございますが、その内容をこの席を通じて国民に知らせていただきたいと思います。
  19. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 あらゆる機会を利用してこの竹島の問題について話し合うという一般の方針に関連して、批准書交換の際の機会を利用すべきだというような御質問等もありまして、何かそういうスケジュールになっておるかのごとき印象を一般に与えておりますが、必ずしも批准書交換の際が適当であるということをきめたわけでもなかった。今度行きまして、そういううまいチャンスがあればと思ったのでありますけれども、遺憾ながらそのチャンスがなかった。もう少し友好ムードが熟成した際をねらっておもむろに話を持ちかけるという考え方を持っております。
  20. 野田卯一

    野田(卯)委員 日韓問題の次に、今度ベトナムの問題に入りたいと思います。  ベトナムの最近の情勢は、新聞でも報ぜられておりますように、本年になりましてからアメリカの力強い介入が目立つのであります。私が本年一月ベトナムを訪問いたしましたときには、アメリカのベトナムの駐留軍は二万三千人でありましたが、最近はそれが十六万にもなり、あるいはそれ以上になったかと伝えられております。また、二月からは御承知のように北爆が開始され、また南爆も激しく行なわれておるのでありまして、この北爆につきましては、世界各国におきましてもいろいろな批判もあるところであります。私が一月訪問いたしまして、ベトナムのアメリカの担当者と申しますか、責任者の皆さんとお話をした際に、そのころ南ベトナム政府といたしましては、ぜひとも北ベトナムを攻めてもらいたい、すなわち北進論であります。これを強く南ベトナム政府はアメリカに要請をしておりました。しかしながらアメリカ政府としては、事重大でありますから、容易にみこしを上げないという状況でありました。しかしながら、いろいろと検討をいたした末、ついに二月になりましてから北爆が開始をされておるのであります。  私はこの北進論についていろいろと話し合ったときに、一体北爆ということが起こったときに、日本の世論はどうなるだろうか、これに対する反応はどうなるだろうかというような話も出ておりましたが、私は、北進論はなぜ必要かということがまずわからないと、国民の正しい批判は受けられないのではないだろうかというような感想を漏らしておったのであります。御承知のように、アメリカがなぜ北進が必要であるか、北爆が必要であるか、それは結局北ベトナムとベトコンとの関係になるのであります。ベトコンと北ベトナムとが不可分の一体である、北ベトナムの勢力によってベトコンが動かされておる、こういう事実をはっきりと証拠立てて天下に発表いたしましたのが、これがベトナム白書でありまして、これが北爆の始まったころでございます。したがいまして、この方面の北ベトナムとベトコンとの間の関係に対する解明、これがほとんどそれまでにはなされておらなかったというのが実情だろうと思います。それがために、北爆が始まってから北ベトナムとベトコンとの関係が出ましたので、むしろそれが言いわけのようになってしまうというようなことで、世論を混迷におとしいれている点があるのでありまして、この点につきましては、アメリカのPR不足、あるいはPRがへたであるということを痛感をする次第であります。  そこで私は、ここで私が聞きましたベトコン並びに北ベトナムとの関係を申し上げる前に、一体日本の外務省は北ベトナムとベトコン、これについてどういうふうな見方をしているのか、その関係についていかに考えていらっしゃるかということを、まずお尋ねを申し上げたい次第であります。
  21. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 以前は北ベトナムとベトコンとの関係は、いろいろな諸説ふんぷんとしておりまして、はっきりわからないような状況にございましたが、最近ではベトコンと北ベトナムというものは密接な不可分の関係がある、表裏一体をなしておるものであるというようなことは、もうすでに常識になっておるのじゃないかと思います。われわれもさように考えております。
  22. 野田卯一

    野田(卯)委員 私もときどきいろいろと討論会とか、あるいはベトナム問題に関するいろいろな会合に引き出されまして、意見を述べさせられるのでありますが、そのとき感じますことは、学生諸君とかあるいは一部の人々は、ベトコンというものは、これは北ベトナムとあまり関係がないものだ、こういうような宣伝と申しますか、そういうような先入観を持ちましてこの問題を批判していることを痛切に感ずるわけであります。私としては、ラオスにおもむき、南ベトナムにおもむきまして、詳細に現地について調べておりますので、ベトコンと北ベトナムの問題について詳しく解明をいたすのでありますが、その詳しい解明を聞くと、若干そうかなというような顔つきをするのでありますが、以前においては、何かその間にあまり関係はないのだ、ベトコンというのは、これは南ベトナムの民族解放戦線であって、北ベトナムとはあまり関係がないのだ、両方断ち切っても存在し得るものだ、こういうような考えを持っておる者が多いのであります。したがいまして、この間の理解を深めないと、北爆に関する正しい批判もできないのではないかというふうに私は考えまして、今後この方面にわれわれとしても啓蒙する必要があるのではないかというふうに感ずるのでありますが、この問題について私は奇異に感じますことは、ジュネーブ協定の問題であります。いつも議論をいたしておりますと、最後には北ベトナム、南ベトナム、両方が一九五四年のジュネーブ協定を尊重する、尊重すると、こう言う。そして両方とも尊重すると言い、しかも両方ともが、相手方がジュネーブ協定を破っている、北ベトナムあるいはベトコン側からいうと、南ベトナムがこれを破っているという。南ベトナムからいうと、北ベトナムはこれを破っていると、双方が同じことを申しておるのであります。したがって聞く者がすっかり迷ってしまう、正しい判断が得られないというのが私は実情だと思う。私はただ抽象的に申し上げているのではなくて、多数の演説会、討論会その他を通じて私がじかに触れたことを申し上げているのでありますが、この点に関しての外務省の御見解をお話し願いたいと思います。
  23. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 ジュネーブ協定の内容につきましては数項目あるわけであります。それで、両方ともジュネーブ協定によってと、こういうことを主張しておるのでありますが、これをよく分析いたしますと、あのジュネーブ協定には、南ベトナム及びアメリカは参加をしておらない。でありますから、協定に従うというような法律上の関係は出てこないわけなんです。にもかかわらず、そういうことを言うのはなぜか、こういうことになるのでありますが、ジュネーブ協定からもう十年以上もたっておる、状況もだいぶ変わっておるというようなことでございまして、法律的な意味において、その協定を順守するとか、これに従うというようなことでなくて、ジュネーブ協定の精神に従う、こういうふうに解釈すべきものと考えております。それでアメリカのほうは、武力をもって南ベトナムの独立と平和、安全を脅威する、欄乱するということは、ジュネーブ協定の精神にこれは反するものである、こういう解釈をとっております。ところが北ベトナムのほうは、ジュネーブ協定の内容に、第三国の軍隊あるいはその軍隊の行動というものを、これは排除していかなくちゃいかぬ、そういう外国の干渉というものを一切排除して、そして自由な立場においてベトナム人同士で話し合うと、こういったような趣旨のことが書いてあるのであります。でありますから、そういうたてまえからいって、まず文句なしに出ていけ、これがジュネーブ協定を順奉するゆえんであるということを主張する。それでジュネーブ協定といいますけれども、精神といいますけれども、両方都合のいいことを言っているのではないか、こういうふうに思われるのでありますが、しかしアメリカ側の言い方は、南ベトナムが、ジュネーブ協定の精神に反して北から非常な浸透を受けておる、そして独立と安全を脅威されておる、これを排除することに協力してくれ、こういうことを言われているので、自分らは南ベトナムの要請に従って動いておるのである。それで、もしも北からの武力浸透、侵略がなければ、いつでもそういうことがはっきりと見すえがつけば、われわれはここにおる必要はないのだ、こういうことを言っておるのでありますが、どうも私はアメリカ側の言い方のほうがほんとうだと思うのであります。しかし、いまのところ、両方ともジュネーブ協定云々ということを言っておりますが、それぞれの立場、それから考え方がかように違うということをわれわれは了解をしております。
  24. 野田卯一

    野田(卯)委員 最近における南ベトナムにおきましてわれわれの最も注意を引く現象は、いわゆる戦争避難民が政府の勢力下の地域に蝟集してきておることであります。これは本年の一月にはそういう現象はなかったのであります。ところが、その後ベトコンがいままで勢力の強かった地域におきまして非常に苛酷なる税金をかけるとか、あるいは若人の徴発をする、動員をするというようなことが相次ぐために、こういうベトコン地域から続々と避難民が南政府の勢力範囲に参りまして、その数が十万になり、二十万になり、三十万になり、四十万になり、五十万にふえて、今日では六十万になるのじゃないだろうかということが言われておるのであります。この避難民をリセットルするために、政府も非常な努力をいたしまして、あるいはその中の十万、二十万というものはリセットルされておるかもしれません。しかし、大部分の難民は、やはり難民として存在しておるわけであります。この戦争の犠牲者に対しまして援護の手を伸ぶべきである、人道的な立場から申しましても、援護の手を差し伸ぶべきであるという議論が、各方面においていま唱えられておるのであります。わが国は、昨年は医療協力、緊急援助といたしまして、南ベトナムに医師団を派遣いたしまして、医療協力をいたしまして、これがたいへんな人気と申しますか、たいへんな評判となりまして、日本に対する信頼と申しますか、日本の評価というものを非常に高からしめておったのであります。私は、この戦争の犠牲者たるこの難民諸君に対しましても、日本は人道的な立場から、われわれの力の許す限り援助を与えてやるべきものであると、かように思うのでございますが、本件に関する総理大臣の御所信を承りたいと思います。
  25. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 難民救護について協力したらどうか、御説のとおりでございます。昨年の出かけました医療救護団、これはたいへん評判がよかった。私も人道的な立場において協力することは、いわゆる戦争協力、これとは全然事柄が違うのでありますから、これとはっきり区別して、そして人道的な見地からの難民救助はいたすべきだ、かように考えております。
  26. 野田卯一

    野田(卯)委員 次に、インドネシアの問題に移りたいと思いますが、インドネシアにおきましては、去る九月三十日にクーデターがございました。そのクーデターの性質につきましては、皆さん御承知のとおりに、共産党が自分の国内における政敵ともいうべき陸軍の勢力を打倒するためになしたクーデターでありましたが、これは失敗に帰しまして、逆に今日では、陸軍を中心とする軍部が、政権のヘゲモニーをとりまして、共産党を粛清し、これを抑圧しているというのが現状であると伝えられておるのであります。ことしの春から夏にかけましての情勢は、インドネシアにおける共産党が非常な勢力を得まして、この共産党は、インドネシアが終戦後独立いたしました当時はわずかに三千人にすぎなかったのが、最近におきましては、これが三百万人に増加をしてまいりました。また、共産系の労働組合あるいは共産系の農民団体あるいは共産系の婦人団、青年団等の数を合計いたしますと、二千万になんなんとすると伝えられておった次第であります。このように共産党の力が全国を風靡するような形になりまして、何事も共産党の承諾を得なければ事を運ぶことができないと、かように言われておったのであります。特に問題となりましたのは、共産党の首領であるアイジットが、インドネシアのスカルノ大統領に向かいまして提案した第五軍の設定であります。御承知のようにインドネシアにおきましては、陸軍、海軍、空軍、警察の四軍のほかに、今度アイジットが数百万あるいは千数百万にのぼる民兵をつくれという要求をしたことであります。私は、この問題はどう発展していくか非常に注目をいたしておったのでございますが、もしこのアイジットの要求がいれられまして、この陸海空、警察のほかに第五軍の民兵というものができまして、千万人をこえるような多くの者が武器弾薬を携帯するということになったならば、それこそインドネシアの将来は風前のともしびと申しますか、インドネシア自体としては現政権、いままでの政治のあり方と非常に変わった政治のあり方となる、いわゆる共産化される、共産党の支配するインドネシアになるのではなかろうかということが憂えられておったのであります。さすがにスカルノ大統領も、このアイジットの要求に対しましては直ちに賛成しかねておりましたが、これにまっこうから反対したのが、言うまでもなく軍部であり、その中心の陸軍であります。こういうわけで、共産党と陸軍との間に非常な激しい対立が起こってまいりまして、それが今回のクーデターの大きな原因になったのであります。しかしながら、共産党のほうは時期を誤りまして、ついに陸軍に名をなさしめたのであります。それで私は、マレーシアに参りましたときに非常に感じましたことは、コンプランテーション、要するにインドネシアがマレーシアに対して経済断交、外交断交をして、しかもその上に正規の軍隊を送って、マレーシア、マレー半島あるいはボルネオのマレーシア領に侵入させて治安を欄乱しておるという事実でありまして、これに対しまして、マレーシアは極力防衛の地位に立っておりました。それがために、これまでマレーシアにおきましては軍事費の負担というものはきわめて軽かったのでございますが、私の聞いたところによりますと、最近は以前に三十倍する軍事費を支出して、そうして防衛努力をしているということであります。これが財政上の大きな負担となることは言うまでもございません。またコンプランテーション、対決政策によって経済断交をされましたので、いままで御承知のごとくシンガポールは、前にインドネシアの島々を控えまして、それとの中継貿易によって繁栄しておったのが、そのルートが絶たれましたので、シンガポールの経済は全く沈衰をいたしまして、経済上の大打撃を受けておったのであります。このように軍事的に申しましても、経済的に申しましても、財政的に申しましても、このコンフランテーション、対決政策はマレーシアの国並びに国民に対して重大なる脅威を与えておったのでございますが、しかしながら、この対決政策は両刃のやいばでありまして、マレーシアを傷つけると同時に、インドネシア自体を非常に傷つけておりまして、インドネシアはそれがために国内の経済はほとんどめちゃくちゃになってしまっておるというようなことを伝えられておったのであります。われわれは今度の革命騒ぎ、クーデター騒ぎを契機といたしまして、インドネシアの国内における最近の経済並びに民生の状態に触れることができたのでありますが、御承知のごとく、いまではたいへんな物不足、あるいは物価騰貴、インフレの高進に国民は悩んでおるのであります。私は、いま政権をとっているこの陸軍が、今後この国の体制をよく立て直し、りっぱなインドネシアになし得るかどうかということは、さしあたって国民に着物を与え、食べものを与え、住まいを与えることができるかどうかにかかっておると思います。共産党は弾圧されまして、まさに地下にもぐっておりますが、もし国民に対するこれらの施策が十分に行なわれない、国民が大きな不満を抱くようになりますなれば、地下にもぐっておるところの共産党が、あるいはゲリラその他の形によって台頭してまいりまして、インドネシアの治安が乱され、国運があぶなくなることは当然でございます。  ここにおきまして、現在の政府は、この国民の生活を確保し、国民に生活の安心を与えるために、各国に依頼をいたしまして、物資の補給にもっぱら努力いたしておるのであります。日本の国に対しましては、インドネシア政府からは、繊維品が日本は安くていいものがたくさんございますので、日本から多量の繊維品を買い付けて、そうしてこれをなるべくなれば旧正月の前に入手して、国民諸君に配給したいという計画を立てておるのであります。この交渉がいま日本と行なわれておりますが、御承知のような状態でございますので、外貨に不足いたしまして、延べ払いを認めてくれということを要請しておるのであります。この延べ払いを認めるかどうか、その他の支払い条件等の問題で事が長引いておりまして、いまだこの問題が解決しておらないやに承るのであります。私は、インドネシアの現状に照らして、同国の政治の安定、民生の安定の立場からいいましたら、こういうものこそ、いままでの前例はないかもしれませんが、それを破って、繊維品を供給してやるのが、アジアの兄貴分としての日本の当然の責務ではないか、かように存ずる次第でございますが、本件に関する総理大臣の御意見を承りたいと思います。
  27. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 ただいまの問題は、異例ではございますが延べ払いを認める、こういうことできようの閣議で決定いたしました。
  28. 野田卯一

    野田(卯)委員 総理大臣がきょうの閣議で決定をしたということを承りまして、私も非常にうれしく存ずる次第でございます。  次に、私は、経済協力、経済外交について触れたいと思います。本会議でも質問がございましたが、アジアの開発銀行をつくることにつきましては、われわれ自由民主党といたしましても、これまでたいへんに骨折ってまいった次第でございます。このアジア開銀の問題につきまして、これがジョンソン構想によって促進されたごとく伝える者がございます。そう誤解しておる者もございますが、これは非常な誤りでございまして、われわれがアジア開銀の問題を取り上げましたのは、ヨーロッパにおいてEECというもの、ヨーロッパ経済共同体というものができまして、非常な伸展を遂げておる、この勢いに刺激されまして、アジアの地域におきましても、これと同じような構想が打ち立てられないものだろうか、アジアにおる国々がそれぞればらばらに行動しておるよりも、できるだけ手をつないで、お互いに助け合っていったほうが、アジア各国それぞれの進歩発展に貢献するのではないか、こういう観点に立ちまして、アジアにおける共同体の構想を練ったのであります。  しかしながら、アジア諸国の経済あるいは政治その他の状況がヨーロッパのそれとは非常に違っておりまして、先方におきましては相当均一的な、国と国とがよく似ておりますけれども、アジアの国々はいろんな点において非常な開きがございます。したがって、いまにわかにEECのような、欧州経済共同体のようなものをアジアにつくることはなかなか困難であるということを発見いたしました。しかしながら、何か一つあるいは二つできないだろうかといろいろと探索しました結果、アジアに開発銀行という金融機関をつくったらどうだろうか、各国が出資し、また域外の地域からも援助を受けて開発銀行をつくりまして、そうして未開発の土地の開発に便したらどうだという構想が生まれてまいりました。この考え方については、初めから日本は熱心でございます。しかしながら、これが一時とまどいましたのは、当時のインドの態度であります。インドはわれわれのこの構想に参画することをむしろいなんでおったのでありますが、その後、EECが発展いたしまして、イギリス本国がEECに加盟をするということになってきました。これは加盟は実現しませんでしたが、その寸前までいったわけです。もしイギリス本国がEECに加盟をいたしますと、当然ブリティッシュ・エンパイアに属する、英帝国に属するインドは、おのずから英本国から切り離さなければならない。すなわちインドは、これからイギリスにあまりたよらないで、自前で生活をして国を立てていかなければならぬ、こういう情勢が見通されてまいります。ここにおきましてインドは、対英依存という観念から自立という観点に切りかえますと、どうしても自分の前に、自分の国の前後左右に広々と広がっておるところのアジアの諸国と緊密な連携をとらなければならないという結論に到達いたしまして、この結果、アジア開銀の思想に参画し、同意をするに至ったのであります。何といいましても、アジアにおいてこういう問題を計画するときには、日本とインドというものが動きませんと、なかなか実効があがりません。こういうわけで、アジアにおける日本とインドがこの問題について意見が合いましたので、その他の国々も誘いまして、この構想がどんどんと進んでまいったような次第でございます。  ところが、この開銀に対しまして、アメリカ側からの出資をしてもらいたい、あるいは援助をしてもらいたいという問題が持ち上がりまして、昨年もその問題について交渉がされたのでありますが、そのときはまだアメリカは必ずしも積極的に必ず出資をしますという態度を示しておらなかったのであります。しかしながら、漸次態度が変わってまいりまして、その後ジョンソン構想が打ち出されたのが四月七日でございますが、そのころからアメリカの態度が急速に進んできたことは事実でございます。そうして一億ドルの出資をするということもきまり、またそのほかに、必要があれば信託金として一億ドル出すというような線もはっきりしてまいったのであります。このようにいたしまして、アジアの国々が中心となって問題を進めてまいりまして、それがようやくでき上がるころになりましてアメリカがこれに参画するに至った、こういうようないきさつでありまして、決してジョンソン構想のしりぬぐいとか、あるいはその補完的な作用のためにアジア開銀がつくられたのではないということを、私は実地に関係した者として、この席で申し上げておきたいのであります。  この開銀をつくる際に、その本店をどこにするか、あるいは初代の総裁を何ぴとにするかということについて前々から論議がございました。日本にしたらどうかというような議論がだんだん高くなりまして、最近におきましては、日本に当然回ってくるのではなかろうかというような期待が抱かれておりました。しかしまた、総裁もやはり日本人にしたらどうかというような、またこういう説が出てきたのであります。ところが、よく考えてみますと、十八カ国が参画してやるのに、本店も日本だ、あるいは総裁も日本だというのは少し欲ばり過ぎじゃないか、どちらかであって、二つということはちょっと無理じゃないか、そういう考え方も当然出てきたわけであります。そこで、そのいずれを取るかという問題になるのでありますが、きまるのは先に本店がきまるので、だから本店をもらおうか、こういうような考え方に進んできた。ところが今度このことをきめるために、藤山長官がわざわざマニラにいらっしゃいまして御奮闘なさいましたが、ついにこれが日本に来ないで、フィリピンに行ってしまった。これはいろいろな理由があります。藤山長官からは言いにくいことがございましょうから、私が自由な立場から申しますなれば、あの本店をきめる会議を、本店を熱心に自分のところに置こうと主張しておるマニラで開くこと自体に問題があったと思うのです。現にマニラにおきましては、マニラに誘致するために各国代表に非常に力強い働きかけがあったということは事実でございます。またアメリカのブラック氏が、本店はマニラに置こう、そして総裁は日本にしようという自分の腹案を持っておって、それに従って動いたと思われる節が大いにあるのであります。こういうようなことと、もう一つは、藤山さんが昨日おっしゃいましたように、日本がアジアの諸国に対する平生の気の配り方、心の入れ方が不十分であったのではなかろうか、こういう問題もあるのであります。  私どもは、この最後にお述べになりましたことについて、十分に考慮を払うべきだと思います。どこの国に参りましても、日本に対して敬意を払い、非常に日本は評判がいい、われわれを歓待してくれるというふうにわれわれは思っておりますが、しかし、現実にわれわれが対外経済協力の一つ一つの案件を処理するときのその姿、その手続の進め方、取り扱い方を見たときに、私は決して彼らに対して非常な好感を与えるようなやり方をしているとは思いません。正直に申しますと、佐藤総理大臣は非常に積極的であります。外国から経済協力あるいは技術協力を求めに来た人がありますと、総理大臣は、大体会う人のレベルがきまっておるから、そういう者に会うなというような勧奨がありましても、それを退けてどんどん会われまして、そしてきわめて好意に満ちた発言をされまして、各国のそういう関係の人々をインスパイアしておられることを私は身をもって見ておるわけです。ところがこの総理大臣の肝心な、東南アジアをほんとうに思われて、それと日本としっかり手をつなごうとする意図が、必ずしも各省において大臣から末端までつながっておらないという事実を私は非常に残念に思う。もし佐藤総理大臣のようなお考えで日本の官庁組織が全部動くとしたなれば、こんなことは絶対に起こらなかったと私は思う。これは私の独断かもしれませんが、ここに私と同感の人が非常に多いと思う。でありますから、この点は、佐藤総理大臣のようなお気持ちが内閣、政府の末端まで透徹するように、どうか今後お導きをいただきたいと思う。  そうして、今後こういう問題を再び繰り返さない、特にアジア開銀につきましては、総裁をぜひとも日本の人でもって充てられるよう、これを実現するように努力をしてもらいたいと私は思いますが、この総裁を日本に取り得るかどうかということの見通しにつきまして、藤山長官なり外務大臣からお見通しを承りたいと思います。
  29. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 先般会議に参りまして、本店が決定しましたあと、各国の代表が寄りまして、いろいろ話し合いがございましたけれども、多くの国は、本店がフィリピンにきまった以上、当然日本が総裁を出すべきじゃないだろうかというような意見でございます。ただ、あの投票の間におきまして、これらの問題についてフィリピンと話し合いをしたような国がございます。したがって、それらの国々は、必ずしも今日の状態ですぐに日本に賛成するかどうかということについては、若干の疑問がございます。したがって、これらの問題については、今後十分日本としても各国と接触をしながら、日本が出す場合の準備をしなければならぬのではないか、こう思っております。
  30. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 これは来年の九月までにきまればいいのでありまして、十分に慎重考慮して、これに対処したいと思います。
  31. 野田卯一

    野田(卯)委員 次に、日本の海外経済協力並びに技術協力の問題でございますが、御承知のように、昨年の貿易開発会議におきまして、国民所得の一%というものを海外経済協力あるいは技術協力に向けるという決議がなされております。日本側としてはすぐということはむずかしいが、三年間くらいたったらこの目標を達成させたいということも話しておるような次第でございます。現状は、御承知のように〇・四%から五%しかしておりません。それをここ何年かかかりまして一%に近づけたい、こういう政府としても考えを述べておる次第であります。  また日本が一生懸命に入りたいと努力して入りました例のOECDのDACにおきましては、最近になりまして、経済協力というものはただ延べ払いというようなものだけじゃないのだ、それよりは、主力をなすものは低利、長期の融資等である。そういうわけで、それを具体的に示しまして三%以下の金利の二十五年以上のものが八〇%をこえるように努力しようという申し合わせがなされておるのであります。これは、今日直ちにこれを実行することはむずかしいと思いますが、この二つの——国民所得の一%というのは量であります。それから、三%以下、二十五年以上という、それを八〇%以上にしようということは質の問題だと思うのです。海外経済協力の量と質におきまして、現在の日本のやっておりますそれと比べますと、相当大きな距離があるのであります。しかしながら、日本が世界の先進国の一つにしてもらった、OECDに熱心に加盟を求めたことは、日本が世界の先進国の一つとして待遇されることを望んだことだと思うのです。世界の先進国の一つとして待遇されることを望むなれば、当然先進国の一つとしての義務を果たさなければなりません。そういう意味におきまして、私は、この経済協力の量と質という問題は、今日直ちに問題にはいたしませんけれども、ここ何年かの間にはその目標に進んでいかないと、御承知のようにOECDの中で日本は、何と申しますか、一番冷たい目でもって見られることになることは必定だと思うのであります。  したがいまして、私は、今日、日本の経済協力の中心機関である海外経済協力基金というものがございまして、われわれが一生懸命になりまして数年前つくったものが今日までいかなる働きをしておるか、どんな能率をあげておるかということを振り返ってみますと、まことに背に汗の流れる感がするのであります。これについては、私はここで詳しく申し上げませんが、いろいろな理由がある。でありますが、これはもう担当の大臣、皆さん方よく御存じでございますが、どうかこの点を十分に掘り下げて御検討なさいまして、内閣みずから先頭に立たれまして、この経済技術協力というものを各国に伍して恥ずかしからぬ態勢において実施をする、特に日本といたしましては、われわれの周囲にたくさんの貧乏な、これから開発しなければならないところの友邦を控えておる特別な立場にある点から申しましても、ヨーロッパの諸国よりは一そうこの点は配意をしなければならぬのではないかと考えるのであります。  私は、その意味において、政府にありますところの海外経済協力に関する各種の機関、これを活用されるとともに、さらにこれに一つ大きな強いインスピレーションと申しますか、大きな気魄を総理大臣みずからこれに吹き込んでいただきたい。私は、特に日本のために、またアジアのためにこれをお願いを申し上げる次第でございます。  次に、経済問題についてお尋ねしたいと思います。  最初に簡単に、現在の不況の原因を一体どういうふうに見ておられるか、まず経済企画庁長官にお伺いしたいと思います。
  32. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 今日の経済不況の原因は、いわゆる循環的なものでなくして、構造上から来ておる問題だと思います。昨年貿易が困難な状況になりまして、それを是正するために金利を上げまして、そうして金融の引き締めをやったわけでございます。そういうようなことで、貿易が改善してまいりましたときにこれをゆるめてまいったのでございますけれども、そのゆるめてまいりました成果は、過去におけるような成果が出てまいりません。これは全く構造上の問題と、たびたびこういうような引き締めたりゆるめたりということをやりました結果、ここに来ておるのだと思います。したがって、構造上の問題を解決しない限り、なかなか困難な問題がそこにあろうと思います。
  33. 野田卯一

    野田(卯)委員 私は、経済の不況の原因については、ただいま長官は構造上の原因だとおっしゃいましたが、これについては循環的な経済循環の現象でもあるという説もありまして、これについては深入りをいたしません。とにかく今日の経済不況というものは、終戦後最大の経済不況といわれ、本会議でも総理もお述べになりましたように、破産が依然として毎月五百をこえ、ばく大なる金額がそれに伴っておるわけであります。こういうような不況は、われわれとしてもまだ経験をしたことがないのであります。その不況の克服の一つの——私はあえて一つと申します。一つの方法といたしまして、政府は、六月の十八日並びに七月の二十七日に対策を御決定になって、それを実施に移しておられます。この二つの決定が実施に移されたときに、国民はどう考えたかと申しますと、政府がこれだけやってくれるのだから、さぞかし景気はよくなるだろうと非常に楽しみにしておったのでございます。また私たちも、こういう政策をとられて有効需要が喚起されれば景気はよくなる、だから九月期決算は前の三月期の決算よりはよくなるだろうということをひそかに待望しておったのであります。しかるに、その後七月になり、七月から八月になり、九月になり、十月になりましても景気がよくなるとか、景気の花が咲くめどがなかなかつかない、こういうのでありまして、九月の決算におきましては、前の三月期に比べまして二〇%の減益であり、配当も一〇%を割って九%に下がるというような状況であります。なお、来年の三月期にはどうだ、これならば多少よくなるのじゃないだろうか、こういうふうに私どもは思いますが、これを民間の実業家の諸君の意見を総合いたしますと、三月期もなかなかよくならぬだろう、横ばいか、下がるのじゃないかというような、あまり明るくない見通しをしているような次第でございます。こういうように、せっかく六月並びに七月に政府がやってくださった施策がなかなか浸透しないで、景気が依然として低迷する、一体これはどういうわけなのか、この点を私どもは至るところで人からも聞かれます。われわれ自分自身も疑問を持っているのでございますが、これにつきまして、まず大蔵大臣から説明をいただきたいと思います。
  34. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 今日の景気は、ただいま企画庁長官からお話がありましたように、構造的な要因もあります。同時に景気循環的な要因もあります。過去数カ年間に設備投資が非常に高度に行なわれておる、その設備の過剰がただいま企業の収益力を低下さしておる、こういうことかと思うのであります。過剰設備が出たといってそれに費やした金利を払わないで済むというわけにはまいらない。また、人は集めておる、これを今日の状態におきましては整理するというわけにもまいらぬ。そういうことで金利、人件費の負担がかさんでおるわけであります。個々の企業として見ると、どうしても収益力が悪化してまいる、こういう状況かと思うのです。そういう状態に対しまして、政府では金融緩和政策をまずとったわけですが、これがそう響きがない。そこで財政が出動するというので、財政方面の繰り上げを考えるとか、あるいは財政投融資の拡大をいたしますとかやってみたのですが、これが計画をいたしましても、この実施に相当の手間がかかるという問題があるのであります。それにいたしましても、できる限りの努力をして急がなければならぬ、こういうことで財政投融資のほうは順調に進んでおります。  ただ公共事業のほうが、五月に行なわれました一割留保という問題があり、手戻りになっておる。また地方財政が思わしくないという状況、そういうことから公共事業の施行はたいへんおくれてしまって、十月までの実績を見ておるのでありますが、これではほとんど各月前年の実額を下回るというような状態です。しかし、十一月になりましてから大幅に公共事業の支出はふえてまいっております。十二月になりましても同じ状況が続いております。さらに今回補正予算が編成され、またその補正予算の中では昭和四十一年度公共事業に対しまして繰り上げ契約をすることができるというような措置も講じておりますので、年末から年度末にかけての支払いは相当多額に上る、こういうふうに見ておりますので、景気浮揚に対しまして財政が相当効果的な働きをする、かように見ておる次第でございます。
  35. 野田卯一

    野田(卯)委員 この効果が早く上がらないという一つの原因に、御承知のように、公共事業を急いでやると申しましても、公共事業政府の金だけでやるものではございません。当然地方団体がこれに金をつけ加えまして行なわれるのであります。ところが、今日におきましては、中央政府も財政的にきわめて困難でございますが、地方団体のほうがもっと困っておる。だから中央政府がやれやれといってもなかなか地方団体が自分のほうが金の都合がつかないで、これを受け入れかねるというわけで、公共事業実施について政府に返上した県があるということを聞いておるのでございますが、その間の事情を自治大臣から承りたいと思います。
  36. 永山忠則

    ○永山国務大臣 公共事業を返上いたしたところはございませんが、 (「あるよ」と呼ぶ者あり)まだ見合わしておるところはございます。
  37. 野田卯一

    野田(卯)委員 私は、政府がいろいろな仕事をされるときに、政府自体のことを考えられることは当然でございますが、今日のごとく地方団体と政府と一体になってやらなければならないときには、あわせて地方団体のことも十分に考えていただきたいと思います。私が今回の補正予算を見ましてうれしく思いましたことは、いままでの大蔵省と自治省の関係におきましては、とかく大蔵省は中央財政主義であり、自治省は地方財政を守るという観点からかなりの意見の対立がございましたが、今回の補正予算を見ますと、御承知のように、主税の減収によりまして当然地方の交付税が減るのをそのままにしておいてやろうというような態度がとられております。また、いろいろと給与の増加に対する問題については、三百億の起債を認めるとか、あるいはまた地方税の減収に対しては四百億の起債を認めて、百五十億でしたか資金運用部で引き受ける、こういうことが出ておるのであります。私は、これを実現するためには、地方財政に関係した方々の非常な御努力の結果であろうと思いますが、私が予算を見たときに、こういう大蔵省と自治省、中央政府と地方団体とが苦しみを同じくするというか、苦しみに対して同じ気持ちで立ち向かうという姿勢が、この補正予算にはっきりあらわれてきておるということは非常にけっこうなことだと思うのであります。おそらく私が知っておる範囲では、これほど気持ちよく予算を受け取れたことはないと思うのです。これは、やはり福田大蔵大臣、永山自治大臣の御奮闘の結果だと思いますが、どうかこの補正予算であらわされた精神、中央財政と地方財政とぴたっと一つに考えていく、いま非常に苦しくなってからそうなったのかもしれませんが、とにかく両者を一つに考えるという考え方を徹底していただきたいと思います。政府が違っておりましても国民は同じさいふから金を出し、同じように金をもらうのでありまして、国民から見れば一つであります。でありますから、どうか今回の補正予算において示されましたようなぱっちりと手をつなぐ協調的な態度をこの次に来たるべき明年度の、昭和四十一年度予算においてもぜひともあらわしていただきたいし、実現をしていただきたいということを今日から要望申し上げておく次第でごいざます。  次に補正予算に入りますが、補正予算の項目で特に目を引くものは給与改善費でございます。この給与改善費三百五十三億円でございますが、これについて、私ども自民党の中の労働対策に携わる者からいたしますと、人事院勧告はできるだけこれを尊重すべきである、したがって五月から実施をしろという人事院勧告であれば、なるべくそれに近づけてやるべきであるというわけで、御承知のように昨年からこれを繰り上げて九月——従来は十月から実施しておりましたのを九月からこれを行なうことにいたしました。本年は非常に財政が困難なことは皆さん御承知のとおりでございまして、二千六百億の公債発行をしなければならないというような窮境に立っての財政の中におきましても、昨年つくりました九月というのをこわさないで本年も九月から実施をするということにいたしましたのは、これはやはり労働政策を重んずるという自由民主党の精神のあらわれであると思うのであります。  ところで、私どもこの問題を内部で論議しておるときに、五月までさかのぼれという議論もかなり強いのであります。それに対していつも難色を示されるのはだれかといえば、これはむしろ地方財政を代表する国会議員の方であります。この方からいたしますと、中央政府は繰り上げてやっても何とかまかないがつくかもしれない。しかし地方財政ではたいへんだ、そんなに繰り上げられたらたいへんだというわけで、非常に難色を示されるのでございますが、われわれが地方団体の人件費を調べてみますと、中央政府から見ますとはるかに人件費の割合が多い。ちょっと古い統計によりましても、人件費の府県の割合は四〇%であり、六大都市、その他の市でも二八%、会計の平均で三四・八%、三五%くらいになっておるわけであります。最近になりますともう少しパーセントが多くなっているのではないかともいわれておる。こういうふうに人件費が三分の一以上を占めておりますので、これが五月にさかのぼってベースアップをするということになりますと、地方財政に対しては耐えられない負担になるだろうと思う。予算の組みかえをやるといいましても、すでにきまった予算をひっくり返すということになりまして大騒動になる。地方財政の立場からかなり強い難色が出ておりまして、九月以上にさかのぼるということについてもなかなかむずかしいのであります。  そこで、私どもは、公務員につきましてはストライキ、団交を禁止しているというたてまえからいいまして、やはり人事院という機関がありまして、その立場を守ってくれるという。これは尊重しなければならないという意味から、できるだけ歩調を合わしていきたいと思います。しかし、現在の人事院のあの発表のしかたなどからいたしますと、なかなか実際むずかしいんじゃないか。こういうわけで、何とかこの難関を打開して、財政上にそんなに大きな苦しみを与えないで、しかも公務員の立場を守っていくにはどうしたらいいかというわけで、一生懸命に研究を続けておるわけであります。政府当局におきましても、この件をいま御審議中でございますが、この件に関する政府側の御見解をお漏らしをいただきたいと思います。
  38. 安井謙

    ○安井国務大臣 お話のとおり、公務員のベースアップにつきましては、年度の途中で当該年度の四月の公務員と民間との格差を見て勧告があるというようなことになっておりまして、当該年度で処理すべきものを、その年に入ってから勧告があるという、はなはだ予算処理上ぐあいの悪い制度になっております。と申しまして、この時期を、それじゃいつにしたらいいかということになりますと、一年ずらすということにでもなれば、十一月というような形もできますが、本来それでは性質が合いませんし、また予備費を組むとか、あるいはその他の方法といいましても、それはなかなか財政法上の問題もございまして、いま鋭意検討中でございますが、これならだいじょうぶだという妙案がまだ見つからないような事情にございます。
  39. 野田卯一

    野田(卯)委員 どうか政府側におきましても、この問題は、われわれも非常に真剣に考えておる問題でございますから、できるだけ早く御研究の上、結論を出していただきたいということをお願いする次第であります。  次に、今度の補正予算における最も大きな特色は、何といいましても公債の発行であります。先ほど大蔵大臣より御説明がありましたように、税収減二千五百九十億円、全額それだけの公債を発行して、事業を推進していこうという態度であります。私は現下の情勢からいたしまして、この態度は当然に支持さるべきものであろうと思います。しかし、いままで終戦後二十年間、わが国は公債というものを発行しておらない。一般会計における公債を発行しないという、いわゆる健全財政と申しますか、均衡財政の方針を堅持してまいっておるのであります。  そこで、私どもこの際に考えなければならないことは、政府が現下の事態を乗り切るために公債政策をとること、それ自体は是認されます。しかしながら、今日まで二十年間、われわれが公債発行というものに対してどういう態度をとってきたか。自由民主党といたしましては、公債を発行するということは、予算が膨大になってインフレを招くおそれありという、そういう見解に基づきまして、公債発行をいままでどちらかというと押えてきた、公債発行の態度をとらなかったという事実だけは念頭に置く必要がある。と申しますのは、国民はわれわれのそういう指導に同調いたしまして、公債を発行することはよほど慎重でなければならぬというふうな頭ができ上がっております。この二十年間のわれわれの訓練と申しますか、指導によりましてできた国民の頭というものを転換させるためには、それだけに非常な親切な、ほんとに丁重に、行き届いた説明を、それに対する態度が要ると思うのであります。それなくして進みますと、国民の間に、これはインフレだ、インフレだと言うような人も世の中にはずいぶんおりますので、それに刺激されまして、国民がいわゆるインフレムードにでも一なりましたら、私は非常にわれわれの思わざるところに結果するのではないかということをおそれるのであります。したがいまして、私どもが二十年間公債政策をとらなかった、そして、むしろ公債はインフレに通ずるごとくずっと印象づけてきたということを頭に置いて、特に総理大臣、大蔵大臣におきましては、この問題を善処していただきたいということをまずお願いする次第であります。  そこで、大蔵大臣はその点は十分御承知でございますから、今度公債発行政策をとられるについても、一面においては非常に用心深い態度をとっておられる。財政演説でお話しになったように、まず財政の規模というものを適当にするのだ、公債を発行するから何でも公債でやれというような態度ではいけない。公債を発行しなければならないような状態であるから、不要不急の経費はできるだけ切り詰めてやっていきたい、こういうような財政の規模を適正な限度にとどめるということに非常な注意を払っておられます。これは当然であります。また、こういう態度をとり続けていかれるべきだと思います。  それから公債発行の対象でございますが、今回の補正予算に出ております公債は、言うまでもなく、これは歳入の欠陥を補てんする公債でございますが、これは臨時的なもの、年度末迫っての問題でございますから、こういう方策をとらざるを得なかったという事情は、私どもよくわかるのであります。しかし、これはあくまで例外といたしまして、本格的な公債は四十一年度以降になるわけであります。その際に大蔵大臣は、対象としてあくまで財政法第四条の精神に従って、公共事業とか、あるいは投資、貨し付け金というようなものに限定をする、そしてこの線であくまでやっていくのだということを言っておられます。  そこで、まず私はこれについて大蔵大臣にお尋ねしたいのですが、公共事業とか、あるいは貸し付け金とか出資とかいうものは、きわめてばく然たることばでございますから、一体実際においてはどんなことを、もう少し詳しくどんなものがこれに含まれると考えておるのか、また昭和四十年度の当初予算においてそれに該当する項目の総金額は幾らぐらいになるのか、この点をひとつお示しいただきたいと思います。
  40. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 ただいま四十一年度以降発行する公債の対象として考えておりますのは、お話のような公共事業などの建設的経費、それから投資、貸し付け金であります。これの性格でございますが、投資、貸し付け金、これは御説明するまでもないと思いますが、公共事業費は国民の財産としてあとに残るものである、こういう考え方でございます。もとより予算上におきまして公共事業費といわれるもの、それは当然入ります。それから住宅、そういうようなものも入ります。また環境改善施設というようなもの、これも含まれるわけでございます。昭和四十年度においてそれらに該当するものは、大体六千数百億という程度でございます。
  41. 野田卯一

    野田(卯)委員 この問題については、またいずれ将来詳しくお示し願う機会がございますので、これでとどめますが、公債について一番大蔵大臣が頭を悩ましておられることは、消化の問題だろうと思うのです。公債を一兆出すとか一兆五千億出すとか、ことばはどうでも言えますけれども、これを消化しなければならないという大蔵大臣の立場は、非常に私はデリケートだと思うのです。大きな数字をかかえて、これが消化されなかったときは、結局、形は消化するけれども、すなわち日本銀行信用に依存するところの消化になってしまうのです。だから、大蔵大臣は日本銀行信用に依存しない範囲で公債を発行していこう、そこにちょっと外から見てわからぬほどの苦心があるわけであります。  そこで、私は消化についていろいろとお話を承りたいと思いますが、この消化については、ことしと申しますか、昭和四十一、二年に出されます歳入欠陥公債も、あるいは明年度発行されますところの建設公債も、消化という点においては同じことだと思うのです。おそらく条件も同じような条件をお考えになるだろうと思う。そこで新聞によりますと、今度の公債の利率でありますが、これを六分五厘にして、そうしてその利回りは六分七厘ないし八厘くらいにしたいというふうなことを考えておられるということであります。この利率をきめられる上におきまして、大蔵大臣は、いろんな説がいろんなほうから入ってまいっておりますから、十二分に考え、また関係の方面とも十分打ち合わせて進行しておられるだろうと思います。  そこで私は、かりに表面が六分五厘、利回りは六分七厘くらいと想定いたしましてお尋ねをいたしたいと思いますが、この金利でいったときに一体だれに消化させるつもりなのか。私は、公債の消化は一般大衆がするのが一番理想だと思いますが、なかなかそう簡単にいきません。特に日本のように公社債市場ができていない、あるいはまだこれになれていないところでは、私は急に一般大衆を対象とする公社債市場はできないと思う。今度の場合におきましては、特に最初でありましてマーケットがありませんから、できないと思いますが、一体どういうふうに割り当てをされるつもりなのだろうか。時間の関係がありますから私のほうから申し上げますが、伝えられるところによると、一般の大きな銀行には五〇%、それから地方銀行には二五%、それから証券会社に一般大衆を対象として売らせるのが一〇%、あと相互銀行とか信用金庫だとかあるいは生命保険とかに持たせるというようなことが、どこかの新聞に出ていたように記憶するのです。そこで、一体そういうふうにお考えになっておるかどうか一その点をまず簡単にひとつお答えをいただきたいと思います。
  42. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 消化につきましては、大体九割以上を金融機関というふうに考えておるのです。その中でどういうふうな割り振りになりますかということにつきましては、ともかく一般に公債等を募集する、各国のように公債消化のためのシンジケートを結成する。このシンジケートの話し合いにおきまして、その割り振りを自主的にきめてもらう。また条件等につきましては、シンジケートと政府との間において話し合いをしてきめる、こういう段取りを考えておるわけであります。
  43. 野田卯一

    野田(卯)委員 この筋道はわかりましたが、シンジケートにしてもいろんな方法がございましょうが、結局実質的においては割り当てになると思うのです。そこで、この金利について、各銀行、各金融機関の資金コストはどのくらいだろうか。一体市中の大銀行の資金コストはどれだけだ、あるいは地方の銀行の資金コスト、あるいは信用金庫の資金コスト、相互銀行の資金コスト、こういうものと見合わして、いま申しましたたとえば六分七厘というような利回りが一体どういうことになるのか、それを上回るのか下回るのか、その辺のところをちょっとお話をしていただきたいと思います。
  44. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 ただいま考えております表面金利が六分五厘である、そしてこれを九十八円六十銭で売り出すということにしますと、利回りが応募者で六分七厘九毛五糸、こういうことになるわけであります。そういう場合に、ただいまお話しのように、地方というか、中小の金融機関に対しましてはコスト割れを生ずるような傾向があるわけでありまして、その点私どもも心配はいたしておるのですが、しかし地方の中小金融機関におきましても、預金準備という性格の公債の保有、これは私は相当額を考えられていいんじゃないか。コストの問題と別に、そういう角度の保有というものはあってしかるべきじゃないか、またそれは健全なやり方じゃないか、こういうふうに考えておるわけであります。
  45. 野田卯一

    野田(卯)委員 公債政策の問題は、また他日詳しくいろいろとお話し合う機会があると思いますから、この程度にとどめまして、最後にお尋ねしたいのは消費者物価の問題であります。この問題につきましては、これまで、いまから一年くらい前を振り返ってみますと、消費者物価が上がっていくのは主として経済の高度成長の結果である、したがって高度成長をある程度抑制すれば消費者物価の高騰は相当押え得る、こういうような考え方が当時プリベイルしておった。その考え方が当時あったように思います。ところで、その後の実績を見ますと、昭和四十年度の経済成長率は、実質におきまして二・何%という最近における最低の数字を示すわけであります。ここ十何年間における最低だと思いますが、そういう低い成長率を示しました。しかるにかかわらず、消費者物価というものは七・五%アップになるだろう。七・五%アップというのは、これまた未曾有の高レートであります。経済成長が一番低いのに消費者物価が一番高くなる、そういう現象が生ずるわけであります。でありますから、経済成長を押えれば消費者物価は安定するだろうと思っておった者から見ると、全く理解に苦しむというような結果に相なるのであります。まずこういう単純な質問をいたしまして、それに関する経済企画庁長官の御答弁をいただきたいと思います。
  46. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 経済が成長してまいります過程、特に日本におきましては、九千万の人口が非常に多いといっておりますけれども、今日のような経済の発展をしてまいりますと、労働力人口というものは必ずしもあり余っているというのでなくして、供給面から見ると、かなり需要面との間が円滑にいっておらぬというのが、経済成長の過程において起こっておったわけです。したがいまして、賃金の平準化というような作用が起こりまして、賃金の平準化が起こってまいりますれば、自然合理化をしてきた、近代化をしてきたという産業は、生産性の向上によってそれを吸収することができますけれども、日陰になっておりまして合理化も進まない、あるいは近代化も進まない、生産性の向上もいまだしというところになりますと、どうしても賃金の上昇というものが影響してまいることは、これはやむを得ないことだ。したがって、これらのことを考えてまいりますと、合理化ができておらぬような面について十分な合理化をやっていかなければ、その原因の一つは取り除くことができないと思います。同時に、今日構造上にいろいろのゆがみやひずみが出てきておりますので、そういう現象が起こっておる、たとえば国民総生産が二十数兆にもなったというような産業の現状におきまして、それでは輸送手段というものがそれに対応するような状況になっておるかと申しますと、必ずしもなっておりません。国民総生産が十数兆の時代とそう大きくそれらのものの改善が行なわれておらぬところにも、輸送経路の一つの輸送費の節約と申しますか、輸送の円滑化を欠くというような点にも原因があると思います。また農業の面におきましても、特に生鮮食料品というような問題につきましては、都市生産業と農家との間の格差というもの、それを埋めてまいるためには農業生産品の価格が上がってまいらなければ農業者としてもほんとうの真の生産意欲を燃やしてまいりません。したがって、そういうものについての価格の安定、そして農業に従事する人々が安心して仕事に従事せられるような状態ができてまいりますことが、供給の円滑化をはかっていくというようなことになってまいると思います。したがって普通の状況ならば、不景気であれば物価は安くなる、賃金は安くなるというような状況でございますが、今日は、不景気になりましてもそういう状況にならぬわけでありまして、またならぬことが経済発展の過程において望ましいことでもあるわけでありますから、それを吸収できるような方策を逐次講じていくことによってこれを安定さしていかなければならぬ、こう考えております。
  47. 野田卯一

    野田(卯)委員 私は非常に単純な形で質問したのですが、非常に答弁がむずかしいと思うのです。いまお話しに、なったことは、従来お聞きしたことのほとんど線を出ません。出ませんので、ことしはとにかく二%そこそこの成長で、いままでの最高の七・五%の物価の上昇を遂げるということについてはもう少しパーシュエイシブな、もう少し説得的な理由がなければならぬと思うのです。そうしませんと国民は納得しないと思うのです。でありますから、これはよく御研究くださいましてどうか国民が聞いてもなるほどな、それじゃ将来はこうなるだろうというふうに、今日を納得し、あしたに希望の持てるような説明のしかたなり、ものの考え方を発表していただきたい。そういうことを特にお願い申し上げます。  私はいろいろな問題も、むずかしい問題がたくさんございますが、物価の問題が、消費者物価の問題が一番やっかいじゃないか。いろいろな経済上の困難、矛盾、すべてのものがここに集まってきております。私は物価問題は単なる経済問題だとは思いません。特に日本においては政治問題がからんでおる。でありますから、政治問題と経済問題、いろんな問題がからんだ結果が物価にあらわれてきておりますから、これは広く大きな立場でもって、政府が本腰を入れてこの問題に取り組まなければいけないと思うのです。最近承りますところによると、佐藤総理大臣はこの物価問題解決に相当な意欲を見せておられるということであります。私、非常にけっこうであり、当然そうしていただかなければならぬと思う。特に私は、これまで佐藤総理大臣があるいはILOの問題を解決され、あるいは農地報償の問題を解決され、また非常な大問題であった日韓問題をお片づけになった。私は非常な功績だと思う。その熱意をもちまして、今度、経済不況の克服と消費者物価の安定のために全力を傾けて御努力くださらんことを心からお願い申しまして、私の質問を終わります。(拍手)
  48. 青木正

    青木委員長 これにて野田君の質疑は終了いたしました。  この際暫時休憩いたします。  なお、引き続き理事会を開きますから、理事の諸君は委員長室にお集まりを願います。    午後六時二分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕      ————◇—————