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1966-05-10 第51回国会 衆議院 本会議 第48号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十一年五月十日(火曜日)
—————————————
昭和
四十一年五月十日 午後二時 本
会議
—————————————
○本日の
会議
に付した案件
土地収用法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
) 及び
土地収用法
の一部を
改正
する
法律施行法
案(
内閣提出
)の
趣旨説明
及び
質疑
午後二時四十六分
開議
山口喜久一郎
1
○
議長
(
山口喜久一郎
君) これより
会議
を開きます。
————◇—————
土地収用法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
)及び
土地収用法
の一部を
改正
する
法律施行法案
(
内閣提出
)の
趣旨説明
山口喜久一郎
2
○
議長
(
山口喜久一郎
君)
内閣提出
、
土地収用法
の一部を
改正
する
法律案
、及び
土地収用法
の一部を
改正
する
法律施行法案
について、
趣旨
の
説明
を求めます。
建設大臣瀬戸山三男
君。 〔
国務大臣瀬戸山三男
君
登壇
〕
瀬戸山三男
3
○
国務大臣
(
瀬戸山三男
君)
土地収用法
の一部を
改正
する
法律案
及び同
法施行法案
について、その
趣旨
を御
説明
申し上げます。 近年の
地価高騰
の実情にかんがみ、
政府
は総合的な
地価対策
を逐次実施しつつありますが、その一環として、
公共事業
のための
用地取得制度
の
改善
をはかる必要があります。すなわち、
公共事業
における
用地費
は、
事業費
のうち大きな割合を占め、しかも年々増加の一途をたどっておりますが、
公共事業
のために
値上がり
したいわゆる
開発利益
を含む
土地価格
で
用地
を買収することは、
公共事業
の
施行
が
国民
全体の負担において行なわれているものだけに、きわめて不合理であり、何らかの
改善措置
が早急に講ぜられる必要があります。
現行
の
土地収用法
は、
収用
する
土地
の
損失補償
について、
収用
の
裁決
のときの
近傍類地
の
取引価格等
を
基準
とすることとしておりますが、
裁決
時においては、
事業
が実施されることによる
値上がり
の期待をもって
近傍地
の
地価
は著しく騰貴しております。
収用
の時期がおくれればそれだけ
値上がり
を招き、いわゆるごて得の弊害を生じ、
早期買収
について
協力
を得ることが困難であったのであります。 そこで、このような
現行制度
を
改正
して、
開発利益
の帰属の
合理化
をはかることが、
社会
の要請にこたえる至当な
措置
であると考える次第であります。 すなわち、今回の
改正案
におきましては、
収用
する
土地
に関する
補償額
の
算定
の時期を
原則
として
事業認定
の
告示
のときとし、また、このような
補償額算定
の
原則
をとることに伴い、被
収用者
は、
収用裁決
前においても
起業者
に対し
補償金
の
支払い請求
を行なうことができることとし、その
利益
の
保護
をはかるための
措置
をとることといたしました。 次に、
土地収用法
の一部を
改正
する
法律案
の主要な点について御
説明
申し上げます。 第一に、
収用
する
土地
に対する
補償金
の額は、
近傍類地
の
取引価格
を考慮して
算定
した
事業認定
の
告示
のときにおける相当な
価格
に、
権利収得裁決
のときまでの
物価
の変動に応ずる
修正率
を乗じた額とすることといたしました。 第二に、右の
改正
に対応して、
土地所有者等
の
利益
の
保護
をはかるため、
事業認定
の
告示
があった後、
土地所有者等
は、いつでも
起業者
に対し
補償金
の
支払い
を請求することができることといたしました。 第三に、大
規模
な
事業等
におきまして、全体の
用地取得
を初年度に完了することができない場合等を考慮いたしまして、
起業者
は、
事業認定
の申請にあたって、
起業地
の全部または一部について、
収用手続
を一時保留することができることといたしました。
起業者
は、この保留した
土地
について、必要に応じ、
都道府県知事
に対し
収用手続
の
開始
の
告示
を申請するものとし、
補償額
の
算定
、
補償金
の
支払い請求等
につきましては、
手続開始
の
告示
のときを
事業認定
の
告示
のときとみなすものといたしました。 第四に、
収用
の
裁決
を
権利取得裁決
と
明け渡し裁決
とに分離いたしました。
土地
に関する
対価補償
を、
物件移転料等
の
補償
と切り離してすみやかに
権利取得
の
裁決
をすることとし、
起業者
が実際に
土地
を必要とするとき、または
土地所有者等
が希望するときに、あらためて
移転料等
の
損失
の
補償
、
土地
、
物件
の
明け渡し
の
期限等
を内容とする
明け渡し裁決
を行なうこととしたものであります。 なお、
補償金
の
支払い請求
の
制度
を設けたことに伴い、
事業認定
において
起業地
を確定することとし、そのため不要となる
土地細目
の
公告
の
手続
は廃止することといたしました。 次に、
土地収用法
の一部を
改正
する
法律施行法案
の主要な点について御
説明
申し上げます。 まず、
改正法
は、公布の日から起算して八月をこえない
範囲
内において政令で定める日から
施行
することといたしました。 第二に、
改正法
の
施行
の際、すでに
現行法
による
事業
の
認定
を受けている
事業
については、
土地細目
の
公告
を終わったものは
現行法
の
手続
によることとし、その他のものは
改正法
による
手続保留
の
事業
の
認定
を受けたものとみなすことといたしました。 第三に、
土地収用法
を適用して
収用
または
使用
をする旨を定めた
都市計画法等
の
各種事業法
及び
公共用地
の
取得
に関する
特別措置法
、
不動産登記法
その他の
関係法律
について、必要な規定の
整備
を行ないました。 以上が
土地収用法
の一部を
改正
する
趣旨
でございます。(
拍手
)
————◇—————
土地収用法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
)及び
土地収用法
の一部を
改正
する
法律施行法案
(
内閣提出
)の
趣旨説明
に対する
質疑
山口喜久一郎
4
○
議長
(
山口喜久一郎
君) ただいまの
趣旨
の
説明
に対して
質疑
の通告があります。これを許します。
岡本隆一
君。 〔
岡本隆一
君
登壇
〕
岡本隆一
5
○
岡本隆一
君 私は、
日本社会党
を代表いたしまして、ただいま
趣旨説明
のありました
土地収用法
の一部を
改正
する
法律案
に関連して、
目下わが国
の緊迫した課題である
地価対策
につきまして、
総理
並びに
関係閣僚
に
質問
をいたしたいと思うのであります。(
拍手
) 一昨年も
政府
は
土地収用法
の一部
改正案
を提案いたしました。その際、
日本社会党
は、
土地収用権
の
強化
には
地価
の安定が先決問題であることを強く主張したのであります。そして、
地価
問題にきわめて消極的な
政府
の態度にかんがみまして、
地価安定施策
の
強化
に関する
決議案
を
衆議院
において議決することを要求したのであります。その結果、
政府
並びに与党もそれを当然のことといたしまして、一昨年五月、本院におきまして、自民党の正
示啓次郎
君が三党を代表して
決議案
を上程し、満場一致それが可決されたのであります。 しかるに、その後二年、
政府
は
地価対策
にはきわめて冷淡でありました。本議決に応じまして設置されました
宅地審議会
が、
政府
の諮問に応じていろいろ適切な
答申
を行ないましても、一向にこれにこたえようとせず、ようやく、今般
地価対策
として
土地収用法
の一部
改正
及び
租税特別措置法
の一部
改正
を提案してまいったのであります。 本
改正案
の背景は、いわゆる
瀬戸山構想
であります。
土地
は
国民
全体のものである。
土地
の
所有者
は、それを有効に
利用
することを
国民
からゆだねられたものである。したがって、
土地
の
所有者
にはそれを有効適切に
利用
する義務があり、したがって、
土地所有権
にはおのずから強い制約がある。
土地
は他の
生産財
のごとく商品化さるべきでないということであります。この
考え方
は、いまや極度に緊迫した
わが国
の
土地事情
を反映した世論の動向であり、
衆議院
における過般のわれわれの決議の精神でもあります。
総理
は、一昨年
佐藤内閣
の誕生に際して、
人間尊重
の
政治
を説き、それには
物価
の安定と
住宅難
の
解決
が一番重要であることを強調されました。
物価
の中で一番
値上がり
の激しいのは
地価
であります。そして、それがまた
住宅難
の一番大きな
原因
となっているのであります。成立以来二年、
佐藤内閣
の
地価対策
に対する足取りは、きわめてマンマンデーであります。
総理
は、一体こんなことで
地価
の安定ができると考えておられるのか。この程度の
対策
で
地価
の
騰勢
をとどめる
自信
を持っておられるのか。
国民
の求めているのは、単なる
地価
の
抑制
ではなくて、
地価
の引き下げであります。はたしてこれで
地価
を引き下げ得るという
自信
を持っておられるのか、
総理
の御
所見
を承りたいと存じます。(
拍手
) 最近の
週刊誌
は、
佐藤総理
の
申告所得
が六百三十四万であると騒いでおります。それは、白々しいうそは言いなさんなということであります。私は、
総理
が、この
所得申告
のような通り一ぺんの御
答弁
でなく、
住宅難
に苦しむ
国民
の心の琴線に触れるあたたかい御
答弁
をお願いいたしたいと思うのであります。(
拍手
)
地価
問題の
解決
に最も重要な
役割り
を果たすのは、
土地利用計画
の
確立
であります。このことは、すでに、
政府
の
諮問機関
である
宅地制度審議会
の
答申
したところでもあります。今日、
わが国
の
土地利用状況
は、きわめて乱雑であります。
交通機関
、
上下水道等
の
公共施設
に恵まれた
市街地
で、
売り惜しみ
の
農地
にペンペン草が生え、一方では、安値を求めて
農地
の中に
工場
や
住宅
が割り込んでいきます。かくて、
都市
は、平面的に果てしなく無秩序に広がり、
公共施設
の効果も著しく低下いたします。同時に、
農地
は
工場
や
住宅
の蚕食によって高値を呼び、農業の
経営規模
の拡大に大きな障害となっているのであります。
地価
の高騰、それに基因する
農業経営基盤
の破壊、
農林大臣
は一体これにどう対処しようとしておられるのか。いまや、
土地利用区分
の
確立
により
農地
の
スプロール
を防止することが、
日本農業
の
体質改善
に欠くべからざる
措置
であると思うのでありますが、
農林大臣
の御
所見
を承りたいと思うのであります。(
拍手
) 狭い
国土
に多くの
国民
がひしめいている
わが国
こそ、
土地
を最も有効適切に
利用
しなくてはなりません。
土地利用計画
の
確立
によって、
市街地
に眠っている
土地
を有効に
利用
するとともに、
農地
の
スプロール
を禁止して、
農地
もまた完全に保全されなくてはなりません。現在の
農地法
の運用は、この点きわめてあいまいであります。一昨年の
宅地審議会
の
答申
は、
首都圏
、
近畿圏
のごとき、産業と人口の集中の激しい
地域
には、
市街化地域
、
市街化調整地域
を指定して、
市街化地域
については、
農地転用
の制限を撤廃するとともに、その
土地利用
を促進するための行政的、
税制的措置
を講ずべしとしているのであります。これに対し、私どもは、全国の市町村において
土地利用計画
を立て、
国土
を
市街化地域
、
農林業地域
に区分して、
市街化地域
には、
土地区画整理
を促進して
宅地
の供給を豊富にするとともに、
農林業地域
には
工場
、
住宅等
の
スプロール
を禁止して、
農地
の保全をはかるべきであると主張するのであります。
土地利用計画
の樹立は、
わが国土地政策
の基本的な問題でありますが、一面、これは
土地
の
所有権
を著しく制約することになりますので、
政府
はことさらにこれを怠っているのであります。
計画
的な
土地利用
を忘れた
土地政策
は、およそナンセンスであります。
土地事情
の悪化が
国民
の生活と
経済
を著しく脅かしている今日、
総理
はこれを勇を鼓して断行すべきであると思うのでありますが、
総理
にはたしてその勇気ありやいなや、率直にお答え願いたいと存じます。そして、万難を排して真に
土地利用計画
を樹立する決意があれば、いつごろまでに、いかなるプログラムによってこれを推し進められる御所存なのか、これはわれわれの最も関心を持つ問題であるだけに、詳細にお答えを願いたいと存じます。(
拍手
)
農地
を守るための
農地法
に対し、
庶民
の
宅地
を確保するための
宅地法
、また、狭い
国土
をできるだけ有効に
利用
するための
土地基本法等
を策定し、その中で、
わが国
の混乱した
土地利用
の姿を是正し、
合理化
すべきであると思うのであります。それとともに、すでに骨とう化した
都市計画法
や無力化して至るところに
不法建築
を許している
建築基準法等
の一連の
土地利用規制関係法
の
抜本的改正
が必要であると思いますが、
建設大臣
の御
所見
を承りたいと存じます。
地価対策
としての
税制改革
には、二つの価があります。
地価
は、道路、
交通機関等
の
社会資本
の投入による
利用価値
の増大とともに高騰いたします。かかる
社会資本
の導入による不労
所得
は、これを
社会
に還元すべきであるというのが、
土地増価税
の
考え方
であり、
政府
の今般提案しております
租税特別措置法
の
改正案
の
考え方
であります。これは一面、
思惑買い
を防止し、
架空需要
の
抑制策
とはなりますが、その反面において
売り惜しみ
の
原因
ともなり、これのみによっては
地価抑制
に十分な効果を期待することはできません。せっかくの
値上がり
を
譲渡所得税
に吸い上げられるよりは、みずから
利用
することによってその
潜在利潤
を完全に自分のものにしようとして
売り惜しみ
を助長するからであります。さらにまた、いまの
地価暴騰
の一因をなした大企業の先行的買いあさりをも防止することはできません。したがって、
社会資本
の導入によりその
立地条件
が
宅地
化さるべき状態となった
地域
につきましては、これを
宅地開発地域
として、
社会
的に有効に
利用
させるための
利用促進税
がなくてはなりません。すなわち、
空閑地税
の
構想
であります。
市街化地域
に遊ぶ
土地
に
空閑地税
を課することは、
徴税技術
上きわめて困難であるとの説をなす者があります。たとえば
田中
前
大蔵大臣
のごときであります。しかし、それは、やる気のない者の言いのがれにすぎません。きわめて捕捉しがたい
個人所得
すらぴしぴし把握して、税金を取り上げ、
庶民
を重税に泣かしめているほどの
わが国
の
徴税力
であります。
地域住民
の
協力
を得た適正な
査定機関
をもってすれば、それが
空閑地
なりやいなやの判断は、さして困難であるはずはありません。
土地増価税
によって
架空需要
を抑え、一面、
空閑地税
をもって
売り惜しみ
する
土地
を吐き出させる、この二面作戦をもってしてこそ、初めて
地価
の
値下がり
を期待することができるのであります。
国民
の求めてやまないのは、単なる
地価
の
抑制
にあらずして、
地価
の大幅な
値下がり
であります。
地価
の
値下がり
に対して最も脅威を感ずるものは、
金融資本
であります。
金融機関
の貸し出しの最も安全な
抵当物件
とされているのは、
土地
であります。そして
土地
は、急速なる
騰勢
の中で、膨大な
信用インフレ
の基盤となっているのであります。かりに著しい
地価
の
値下がり
があった場合には、いまや大きな
経済活動
を行ないつつある
土地売買業者
の一群は、たちまち
借り入れ金
の利息も支払えないことになって、買い込んだ膨大な
土地
のダンピングに出るよりしかたのないことになります。それによってばく大な被害を受ける
金融機関
が、
地価抑制
に反対するのは当然であります。
田中
前
大蔵大臣
が
空閑地税
の設定に強硬に反対されたのは、もとの
日本電建
の社長たる経歴からのみでなく、
金融資本
の意向を代表して反対されたものと私は理解しているのであります。(
拍手
)
福田大蔵大臣
も、
田中
さん同様、
空閑地税
にあくまで反対されますかどうか、御
所見
を承りたいと存じます。 しかしながら、
宅地難
の
現状
にははなはだきびしいものがあります。
庶民
は、安住のために、ネコの額のような狭い
土地
を入手するのに、生涯の勤労の
成果
を奪われているのであります。
政府
の怠慢による
地価
の
暴騰
は、
勤労者
の汗とあぶらの結晶を、少数の
土地ブローカー
や僥幸に恵まれた一部
都市周辺農家
に吸い上げさせているのであります。
正直者
がばかを見る
政治
とは、まさにこれであります。この
現状
を
総理
は何とごらんになりますか、御
所見
を承りたいのであります。(
拍手
)
思惑買い
をして
値上がり
を待つ
ブローカー
、それを助長して
信用インフレ
の中でばく大な利潤をあげつつある
金融資本
、
総理
は、いま、これを守るか、あるいは
住宅難
、
宅地難
に苦しむ
勤労者
の悩みを
解決
するか、この二つの道の一つを選ぶ
分岐点
に立っておられるのであります。(
拍手
)
総理
は、いま住むに
土地
なき幾百万の
宅地困窮者
をかかえ、一国の宰相としていかなる責任を感じておられるか、その
解決
をいかなる決意をもって行なわれんとされるのか、
国民
の前にこの議場を通じてお示しを願いたいと思うのであります。(
拍手
)
公共用地取得
の
方法
として
土地区画整理法
が
利用
され、これが各地に大きな紛争を惹起しております。これは
地価
の
暴騰
が
原因
となって、減歩不可能な零細な
土地所有者
、
使用権者
が著しく高額の
清算金
を負担しなければならないところに基因しているのであります。たとえば、
新大阪駅前
の
土地区画整理事業
がここ数年著しく難航していますが、これは万国博の開催に際し、会場と
新大阪
駅、さらに御堂筋とを結ぶ重要な路線でありますが、はたしてこれを円満に早急に
解決
する
自信
があるかどうか、
建設大臣
の見通しを承りたいのであります。
土地区画整理法
は、
昭和
二十九年、まだ
地価
の比較的安定した時期に公布された
法律
でありまして、今日のごとく
地価
の著しく高騰した
市街地
及びその
周辺部
に適用するには無理な
法律
であります。これを補うために、先年いわゆる
市街地改造法
が
施行
されたのでありますが、
政府
は、財政上の理由から、一向にこれを活用しようといたしません。
既成市街地
を高度に
利用
することも、
土地政策
上きわめて重要なことでありますが、
市街地
及びその
周辺部
の
公共施設
の
整備
には、その
事業
を、単に道路あるいは
公園等
の単独の
事業
という
考え方
に立たないで、常に
住宅対策
をその中に織り込み、
市街地改造法
を適用して
事業
を
総合化
、立体化すべきであると思うのでありますが、
建設大臣
の御
所見
を承りたいと存じます。 昨年の
通常国会
には、大
規模
な
ニュータウン建設
を目的とした新
市街地開発法案
が提出予定されていましたが、
土地
の
還元譲渡
という新しい
宅地開発
の方式、あるいは大量の
農地
が集約的に失われることが
政府部
内の抵抗にあって、立ち消えになっております。さらにまた、
市街地
の
高層利用
を目的とした
市街地
再
開発法案
の
構想
が打ち出されておりますが、これも一向姿をあらわしてまいりません。こうして
地価対策
にはいろいろな
構想
が生まれますが、それが
施策
として実を結ぶものは、いずれも中途はんぱな無力なものばかりであります。
宅地審議会
のせっかくの真剣な論議、
検討
を、美しいにじを描く
シャボン玉
のごときものにしてはなりません。
政府
は、その
成果
をまじめに取り上げ、
施策
の上に生かすつもりがあるのか、これらは一朝の夢のごときものであるとされるのか、
建設大臣
の御
所見
を承りたいと存じます。
宅地難
のきびしさは、せっかく
政府
が今
国会
に提案いたしました
住宅建設計画法
をも全く無力なものといたしております。新五カ年
計画
も、その六割を
民間自力建設
に依存せんとしておりますが、その六割をこえる
貸し家建設
の大部分が、狭小な二階建てのアパートとならざるを得ない
現状
では、せっかくの
住宅建設計画法
も、
スラム建設計画法
に化し去ることは必至であります。
住宅建設計画法策定
のいまこそ、これと並行して強力な
地価対策
を進めなければなりません。
総理
の御
所見
を承りたいと存じます。 以上、私は、
物価
高と
住宅難
にあえぐ
庶民
を代表して、
わが国現下
の
緊急課題
である
地価対策
について、その
問題点
をお尋ねいたしました。
住宅難
に苦しむ幾百万の
国民
の前に、あたたかい、愛情のあふれる
政府
の御見解を示されることを期待いたしまして、私の
質問
を終わります。(
拍手
) 〔
内閣総理大臣佐藤榮作
君
登壇
〕
佐藤榮作
6
○
内閣総理大臣
(
佐藤榮作
君) 御
指摘
のように、
土地
、同時にまた、その
地価
ということは、いわゆる
物価
を形成する上におきましても一番大きな影響を与えるものだと思っております。したがいまして、
国民生活
を安定向上さすためにも、また
経済
を発展さすためにも、この
土地
問題を
解決
しなければならないことは、ただいまの御
指摘
のとおりであります。したがいまして、
政府
におきましては、昨年から
地価対策閣僚協議会
を開きまして種々
検討
を遂げてまいったのであります。ただいまもお話がありましたが、
土地
はやはり
希少価値
とでも申しますか、
宅地
が不十分だ、そういうところで特殊の
金融
のある者が不当な
所得
を得るというような、いわゆる投機的な対象にもなりやすいのであります。したがいまして、種々
検討
した結果、とにかく
宅地
を公的に、いわゆる公団その他によりまして積極的に造成すると同時に、
民間
においても
宅地造成
をする人に対して、これを強力に助成する、こういう処置をとってまいりました。また、
既成
の
市街地等
におきましては、
土地
の
利用
を高度化するという
方法
で指導もいたしてまいりました。また、
取得
を円滑にするために今回の
土地収用法
の
改正
も考えたわけであります。さらにまた、
譲渡価格
の差益に対する
課税
というような点も
結論
を出しまして、御
審議
を願うことにいたしておるわけであります。 私は、
地価
問題はまことに重大な問題であるが、同時に、総合的な
施策
をしない限り十分の
成果
をあげることはできないと思います。今回
土地収用法
の
改正
を提案いたしまして御
審議
を願っておるのも、以上のような経過に基づくものでありまして、これが
一つ
の柱である、かように思いますから、ぜひとも御
審議
におきまして御
協力
を得て、この
国会
中にぜひとも成立させていただきたいと思います。 第二に、
土地
の適正なる
利用計画
を樹立すること、これが必要だということ、これは御
指摘
のとおりであります。私もそのことが必要だと思います。同町にまた、
土地
の
所有権者
が
土地利用
の
規制
を受ける、これもやむを得ないことだと思います。
所有権者
が受忍し得るような
規制方法
、それはどういうような
規制
の
範囲
か、さらにまた、そういう場合に
補償
の
必要性
の
有無等
を十分
検討
する必要があると思います。今日の憲法のもとにおきましては、私権はたやすくは侵害されてはならないのでありますから、そういう意味で、ただいま
宅地審議会
におきましてこの点についての
検討
を願っておるのでございます。
所有権者
の
利用
の
規制
の問題、同時に、その
範囲
、その
補償
の
必要性
の
有無等
についての
結論
を得ました上で、ただいまの適正なる
土地利用計画
を樹立して、これを行なっていく、こういうことでありたいと思っております。この点では、いましばらく時間をかしていただきたいと思います。 その他の点につきましては、他の
大臣
からお答えいたさせます。(
拍手
) 〔
国務大臣福田赳夫
君
登壇
〕
福田赳夫
7
○
国務大臣
(
福田赳夫
君) お答えいたしますが、
岡木
さんのただいまの御意見を伺っておりますと、大体
瀬戸山構想
といわれる
考え方
の
基本
については御
賛成
のようですが、私も、いわゆる
瀬戸山構想
につきましては、これに全面的に
賛成
で、これを推進しているわけであります。 今回、この
考え方
が、全面的ではありませんけれども、その
構想
の第一着手といたしまして、
土地収用法
の
改正
、かような形で打ち出されておるわけであります。これは、ごね得を排除して
土地
の
公共利用
を促推しよう、こういう
趣旨
に基づくものでありまするが、
租税政策
の
運用
の面でもこれを順調に行なわせる作用はできないか、かような
考え方
から、
租税特別措置法
の
立法
につきまして今回御
審議
をお願いすることにいたしたわけでございます。つまり、この
立法
によりまして、
土地収用
を受ける人は従来よりも安い
価格
で
補償
されるわけであります。したがいまして、
租税
、面ではこれらの方々に対する
課税
を従来よりも軽くしよう、こういう
趣旨
であります。ところが、
土地収用
を受け、
公共
の用途に
土地
を提供する者が安い
価格
で
収用
される、税は軽いにいたしましても、元の
価格
が安いということになりますると、その
収用
を受けた
土地
に隣接する
土地
ですね、その
土地
とのバランスの問題が生じてくるわけであります。つまり、隣の
収用
に
関係
のない
土地
は高くどんどん自由に売られている。それとの
関係
が問題になってくるわけであります。また同時に、隣の
土地
ばかりではない、広く全国的に
土地
の
増価
によって転売され
利益
を享受する人々との間の関連が出てくるわけであります。そういうことを考えまして、
土地収用
また
公共
に提供する
土地
に
関係
のない
土地
につきましては、逆に
租税
の面におきましては従来よりも重い
税金
をかけていこう、こういう
考え方
を取り入れるものでありまして、これはまさに、
岡木
さんの言われる
土地増価
に対する
施策
として、これも一歩前進をしたものと、さように考えておるわけであります。
空閑地税
をどうするかという問題でありますが、これは技術的に非常に問題があります。つまり、いかなる
土地
をもって
空閑地
となすかということは、いまお話しの
土地利用計画
というものが
確立
しておらない限り、これはなかなか判定は不可能といわざるを得ないのであります。したがいまして、
政府
といたしましては、いま
土地
の
利用計画
ということを考えておりまするが、それらの
計画
の策定等と見合いをとり、こういう問題も、せっかくの御意見でもありますので、慎重に、しかも真剣に
検討
してみたい、かように考えておる次第でございます。(
拍手
) 〔
国務大臣
瀬戸山三児君
登壇
〕
瀬戸山三男
8
○
国務大臣
(
瀬戸山三男
君) お答えいたします。
土地
の
制度
及び
地価対策
、こういう
問題点
については、いま岡本さんがお話しになったことと、私ども
政府
の
考え方
とは、おおむね一致しておると私は確信しております。ただ、御承知のとおり、いま
総理
からもお話しになり、あるいは税制について
大蔵大臣
大臣
からもお答えがありましたが、
土地
と人間の
関係
がきわめて深刻であり、また長い、歴史を持っております。したがって、実際の問題になりますと、やはりこれを一刀両断にというわけにはまいらないことは、
岡木
さんあるいは皆さんもよく御理解ができると思います。そういう問題で、先ほど
総理
からもお答えになりましたし、皆、さまもよく御理解を願っておると思いまするが、やはり
土地
が人間
生活
にきわめて密接であるし、また、これは
国民
全体と申しますか、
社会
全部にこれを
利用
するという
基本
的な観念が
国民
の皆さまによく御理解を願えるということがすべての
政治
の大前提である、私はさように考えます。したがって、一挙にこれを一刀両断というわけにはなかなかまいらない。これはぜひひとつ御理解を願って、御
協力
を願いたいと思います。 そういう意味におきまして、いまの状態から見ますると、お話のように、もうすでにこういう問題の起こらなかった大正八年にできました
都市計画法
などは非常に時代おくれであります。これは数年前からこの
改正
を
検討
しておりますが、この新しい時代に合った
都市計画法
に改めるべきである。できるだけすみやかに、各方面の意見を聞きまして、
改正
をいたしたいと準備を進めておる次第であります。 なお、区画整理の問題に触れられましたが、区画整理も、これは
関係
住民がお互い集まって、わが町をお互いの共同の力で改革をしようというきわめて民主的な
制度
でありますから、私はこの
制度
自体はきわめてけっこうなことであると思います。ただ、御承知のとおりに、
わが国
においては
土地
があまりに細分化されております。零細に分かれております。人おのおの考えが違いますから、その調整をはかるのに相当の困難を来たしておることは事実でありますが、これは理解をして、この
制度
が円満にいくことを私どもは期待し、努力を続けたいと思っております。 なお、
土地
の
制度
及び
地価対策
についての
基本
的な法制あるいは
基本
法、いろいろあると思いますが、その点については
総理
からもお答えになりましたし、私どもは、ややもうすでに時期おくれだと思いますけれども、しかし、この問題は未来永遠に続く大問題でありますから、これもやはり皆さまとともにその
制度
を
確立
する必要を感じて、目下その
検討
を進めておるわけでございます。 それからもう
一つ
、先年
宅地審議会
で
答申
を受けました例の
還元譲渡
方式による新
市街地開発法案
でありますが、これは、今回の
土地収用法
の
改正
あるいは御承知の新
住宅
市街地
開発法、こういうものであの内容のある部分は
解決
をいたしております。ただ、先ほど申し上げましたように、区画整理の場合と同じように、一ぺん
取得
いたしました
土地
を還元する場合にどういう方式をとったほうがいいか、それがうまくいくかどうかという、きわめて技術的な問題でいろいろ意見がありまして、まだほんとうに
自信
を得る段階に、至っておりません。これは今後積極的に推進をいたしたいと思います。いま申し上げましたような各種の
法律
がありますけれども、私どもがこれを
検討
してみますと、いまやそういう個々の手段ではとうてい
わが国
の
現状
を、この
土地
及び
住宅
問題を
解決
するには不満足である、もっと抜本的な、根本的な法制、
制度
をすみやかに
確立
すべきである、こういうふうな考えを持っております。 それから、先ほどお話しになりました
市街地改造法
に基づく
市街地
の改良が、やや今日理解を受けまして進んでおりますが、おっしゃるとおりに、公営
住宅等
これに加味すべきである、私は非常な貴重な御意見として拝聴いたしました。当然にそうあるべきである。そうしませんと、
市街地
に高層
住宅
ビルを建てましても、安い家賃がとれません。したがって、こういうものには公営
住宅
及び
金融
公庫の資金を投入して、そういう
地域
にも公営
住宅等
ができるようにしたい。すみやかにいわゆる
土地
の高度
利用
に
住宅
が併用されるようにしたい。これは今後すみやかにそういう方式で
検討
を進めたいと思っております。(
拍手
) 〔
国務大臣
坂田英一君
登壇
〕
坂田英一
9
○
国務大臣
(坂田英一君) 岡本議員にお答え申し上げることは
農地
との
関係
の部面であると思います。この
土地
を
計画
的に有効に
利用
する上において、本法案の適切なる実行に待つよりほかにないと思うのでございまするが、ただ、農耕地の中に無
計画
に虫食いのように
住宅
が建てられるということになりますと、
土地
の
価格
にも影響し、あるいは用排水等にも支障があるということがございまするので、さようなことのないように、これらの問題のときには
関係
当局で十分話し合いをして進めるということがいいじゃないかと思っておるし、現にさような方向に進んでおるわけでございます。 それから、
土地
を
計画
的に有効に
利用
するのには、私ども、
国土
の
計画
的、合理的な
利用計画
が必要であるということは、岡本議員からの御説のとおりであると思うのでございますが、しかし、種々の調査が現在行なわれておりまするが、実際問題として、また技術的に、いろいろ先ほどもお話がありましたとおり、非常に困難な問題でありまするので、十分慎重にその点
検討
を加えてまいりたいと存じます。(
拍手
)
山口喜久一郎
10
○
議長
(
山口喜久一郎
君) これにて
質疑
は終了いたしました。
————◇—————
山口喜久一郎
11
○
議長
(
山口喜久一郎
君) 本日は、これにて散会いたします。午後三陸二十分散会
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