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1966-04-15 第51回国会 衆議院 本会議 第41号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年四月十五日(金曜日)     —————————————  議事日程 第二十七号   昭和四十一年四月十五日    午後二時開議  第一 公職選挙法の一部を改正する法律案(内   閣提出)  第二 石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正   する法律案内閣提出)  第三 地方交付税法の一部を改正する法律案   (内閣提出)  第四 昭和四十一年度における地方財政特別   措置に関する法律案内閣提出)  第五 健康保険法等の一部を改正する法律案   (内閣提出)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  義務教育学校施設費国庫負担法の一部を改正   する法律案内閣提出参議院回付)  最高裁判所裁判官退職手当特例法案内閣提出、   参議院回付)  通商産業省設置法の一部を改正する法律案(内   閣提出参議院回付)  日程第一 公職選挙法の一部を改正する法律案  (内閣提出)  日程第二 石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を   改正する法律案内閣提出)  日程第三 地方交付税法の一部を改正する法律   案(内閣提出)  日程第四 昭和四十一年度における地方財政の   特別措置に関する法律案内閣提出)  日程第五 健康保険法等の一部を改正する法律   案(内閣提出)  アジア開発銀行を設立する協定締結について   承認を求めるの件の趣旨説明及び質疑  国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律   案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑    午後三時四十七分開議
  2. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————  義務教育学校施設費国庫負担法の一部を改   正する法律案内閣提出参議院回付
  3. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) おはかりいたします。  参議院から、内閣提出義務教育学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案最高裁判所裁判官退職手当特例法案通商産業省設置法の一部を改正する法律案が回付されました。この際、議事日程に追加して右三回付案を順次議題とするに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  まず、義務教育学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案参議院回付案議題といたします。     —————————————
  5. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 採決いたします。  本案参議院修正同意諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  6. 山口喜久一郎

  7. 山口喜久一郎

  8. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 採決いたします。  本案参議院修正同意諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  9. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 起立多数。よって、参議院修正同意するに決しました。     —————————————  通商産業省設置法の一部を改正する法律案   (内閣提出参議院回付
  10. 山口喜久一郎

  11. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 採決いたします。  本案参議院修正同意諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  12. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 起立多数。よって、参議院修正同意するに決しました。      ————◇————— 日程第一 公職選挙法の一部を改正する法律  案(内閣提出
  13. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 日程第一、公職選挙法の一部を改正する法律案議題といたします。     —————————————
  14. 山口喜久一郎

  15. 志賀健次郎

    志賀健次郎君 ただいま議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして、公職選挙法改正に関する調査特別委員会における審議経過並びに結果について御報告申し上げます。  最近における急激な人口移動社会生活複雑化の傾向は、選挙人名簿の適正な調製を困難ならしめ、名簿に脱漏、誤載、二重登録を生ぜしめる等、制度上の欠陥があらわれてきているのであります。このため、選挙制度審議会においては、現行選挙人名簿制度を抜本的に改正する必要があるとして、去る二月十五日、永久選挙人名簿制度要綱決定いたしたのであります。  本案は、この要綱に基づき、公職選挙法所要改正を行なおうとするもので、そのおもな内容は次のとおりであります。  第一は、選挙人名簿は、カード式永久据え置き名簿とし、当初の名簿調製後は、新有権者及び住所移転者についてのみ、毎年三月及び九月の二回、追加登録を行なう制度を採用することといたしております。  第二は、選挙人は、随時選挙人名簿登録申し出ができることとし、申告主義原則といたしております。  第三は、二重登録を防止するため、住所移転者登録申し出をするときは、選挙人名簿登録の異動に関する文書を提出しなければならないことといたしております。  第四は、市町村の選挙管理委員会は、毎年三月一日及び九月一日までに申し出のあった者につき、あらかじめその選挙資格を調査し、縦覧異議申し出を経た上、三月三十日及び九月三十日に選挙人名簿登録することといたしております。  第五は、当初の選挙人名簿は、全世帯について選挙人選挙資格を一斉に調査し、この結果に基づいて現行選挙人名簿に必要な修正を加えて正確に調製し直したものを、一定期間縦覧の上、これを政令で定める日に永久選挙人名簿とすることといたしております。  第六は、天災事変等により住所を移転した者等について認められていた特別選挙権はこの際整理することとし、さらに特別区においても選挙人の属する区に三カ月以上住所を有することを名簿登録要件とすることといたしております。  以上のほか、選挙人名簿に関する関係規定その他必要な規定の整備を行なうことといたしております。  なお、この法律は、政令の定める日から施行することといたしております。  以上が本案のおもな内容であります。  本案は、三月二十九日本特別委員会に付託され、同月三十一日永山自治大臣より提案理由説明を聴取し、慎重に審議を行なってまいりましたが、その詳細につきましては会議議に譲ることといたします。  かくて、昨十四日、本案に対する質疑を終了し、採決の結果、本案全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  16. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 採決いたします。  本案委員長報告可決であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  17. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第二 石炭鉱業合理化臨時措置法の一部   を改正する法律案内閣提出
  18. 山口喜久一郎

  19. 山口喜久一郎

  20. 加藤高藏

    加藤高藏君 ただいま議題となりました石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案について、石炭対策特別委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  わが国石炭鉱業は、数次にわたる施策の実施にかかわらず、その経営はますます深刻化し、この際このまま放置するならば、石炭鉱業はきびしい事態に抗し切れず、全面的に崩壊することが憂慮されているのであります。  かかる事態に対処し、石炭鉱業を安定せしめるため、すみやかに適切な対策の確立が強く要請されており、政府においても近々抜本的な石炭対策を樹立する運びとなっていることは御承知のとおりであります。  本案は、抜本的な石炭対策の樹立と並行し、当面する石炭施策の一環として提出されたものでありまして、石炭鉱業合理化事業団の取り扱う業務の範囲を拡大すること等により、石炭鉱業体質改善に寄与するとともに、合理化計画の円滑な遂行を期そうとするものであります。  次に、本案内容を簡単に申し上げます。  第一は、石炭鉱業合理化事業団業務炭鉱機械貸し付け業務を新たに加えるとともに、石炭運賃の延納にかかる債務の保証業務昭和四十二年三月三十一日まで延長することであります。  第二は、石炭鉱業合理化事業団保有鉱区及び石炭鉱山整理促進交付金制度により放棄された鉱区について、隣接鉱区から一体的に開発することが著しく合理的である場合に限って、例外的に再活用を認めることであります。  本案は、去る三月三日当委員会に付託され、三月九日三木通商産業大臣より提案理由説明を聴取し、自来、数次にわたり慎重な審議を行ない、昨四月十四日、質疑を終了し、直ちに採決いたしましたところ、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。  なお、本案に対し、鉱区活用に際しての配慮、炭鉱機械貸し付け制度の円滑な運用、石炭運賃についての検討を骨子とする附帯決議が付されたことを申し添えて、御報告を終わります。(拍手)     —————————————
  21. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 採決いたします。  本案委員長報告可決であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  22. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第三 地方交付税法の一部を改正する法   律案内閣提出)  日程第四 昭和四十一年度における地方財政   の特別措置に関する法律案内閣提出
  23. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 日程第三、地方交付税法の一部を改正する法律案日程第四、昭和四十一年度における地方財政特別措置に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。     —————————————
  24. 山口喜久一郎

  25. 岡崎英城

    岡崎英城君 ただいま議題となりました二法案について、地方行政委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、地方交付税法の一部を改正する法律案について申し上げます。
  26. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 両案を一括して採決いたします。  両案の委員長報告はいずれも修正であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  27. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告のとおり決しました。      ————◇—————  日程第五 健康保険法等の一部を改正する法   律案内閣提出
  28. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 日程第五、健康保険法等の一部を改正する法律案議題といたします。     —————————————
  29. 山口喜久一郎

  30. 田中正巳

    田中正巳君 ただいま議題となりました健康保険法等の一部を改正する法律案について、社会労働委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、健康保険法の一部改正について申し上げます。  近年における健康保険財政は、多額の赤字が生じ、きわめて逼迫した事態となっておりますので、本案は、とりあえず応急対策として、標準報酬月額最高額現行の五万二千円から十万四千円に、また、保険料率現行の千分の六十三から千分の七十に引き上げることであります。  次に、船員保険法の一部改正について申し上げます。  改正の第一は、健康保険の場合と同趣旨で、標準報酬月額最高額現行の七万六千円から十万四千円に、また、疾病部門にかかる保険料率一般給付分現行の千分の五十一から千分の五十四に、災害補償分現行の千分の四十から千分の四十六に、それぞれ引き上げることであります。  第二は、労働者災害補償保険法等にならい、職務上の障害年金及び遺族年金の額を引き上げるとともに、既決定職務上の障害年金及び遺族年令の額についても、改正案算定方式に準じ所要引き上げ等を行なうことであります。  次に、厚生年金保険及び船員保険交渉法の一部改正について申し上げます。  本案は、厚生年金保険及び船員保険制度間における高齢者に対する老齢年金取り扱い等に関し適切な調整措置を講じようとするものであります。  本案は、昨四十年十二月二十八日に提出され、本年三月一日本会議において趣旨説明が行なわれ、同日本委員会に付託となり、自来、きわめて熱心なる質疑応答が行なわれたのでありますが、その詳細は会議録で御承知願います。  かくて、四月十四日、質疑を打ち切り、討論を行ないましたが、さらに自由民主党日本社会党民主社会党の三派共同による修正案が提出されました。  その内容は、健康保険保険料率については、千分の七十を千分の六十五に改めるとともに、健康保険法及び船員保険法施行期日については「公布の日」とし、保険料率標準報酬に関する部分は四月一日から、職務年金部門については二月一日から適用することであります。  次いで、採決を行ないましたところ、本案は多数をもって修正議決すべきものと議決した次第であります。  なお、本案に対し、「政府管掌健康保険国庫負担定率化については、抜本対策の際検討すること。」との附帯決議を付することに決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  31. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 採決いたします。  本案委員長報告修正であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  32. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり決しました。      ————◇—————  アジア開発銀行を設立する協定締結について承認を求めるの件の趣旨説明
  33. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) アジア開発銀行を設立する協定締結について承認を求めるの件について、議院運営委員会決定により、趣旨説明を求めます。外務大臣椎名悦三郎君。   〔国務大臣椎名悦三郎登壇
  34. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) アジア開発銀行を設立する協定締結について承認を求めるの件につきまして、趣旨を御説明いたします。  アジア地域経済開発促進するために金融機関を設立すべきであるとの要望が、一九六三年十二月に開催されたエカフェ諸国閣僚会議において、アジア開発銀行設立計画という形で具体化されて以来、協定案の作成について交渉が続けられてまいりましたところ、昨年十二月二日から十二月四日までマニラで開催された全権会議において、同協定案が採択され、その署名開放期限たる本年一月三十一日までに、わが国を含む三十一カ国が同協定に署名しております。  この協定は、アジア及び極東の地域における経済成長及び経済協力を助長し、同地域内の低開発諸国経済開発促進に寄与するために、アジア開発銀行を設立することを目的とするものであり、銀行の当初の授権資本を十億ドルと定めるとともに、銀行の諸業務の詳細、総裁、総務会及び理事会等からなる銀行の組織及び機能、銀行及びその職員等に対する特権、免除等について規定しております。  この協定は、また、少なくともエカフェ域内国十カ国を含み、かつ、授権資本の六五%以上を代表する十五の署名国が、批准書または受諾書国際連合事務総長に寄託したときに効力を生ずることとなっており、受諾書または批准書寄託期限は本年九月三十日以前となっております。  アジアに位置し、かつ、エカフェ域内各国と緊密な協力関係にあるわが国といたしましては、この銀行の活動を通じて、アジア地域における経済協力に貢献し、もってアジア諸国とのきずなをより強固なものにしていく必要があるとの見地に立ち、政府は、銀行に二億ドルを出資することを予定するとともに、この協定の採択のための全権会議最終日である昨年十二月四日に、他の多数の諸国とともにこの協定に署名した次第であり、早急にこの協定を受諾することがきわめて望ましいと考えております。  以上がアジア開発銀行を設立する協定締結について承認を求めるの件の趣旨でございます。(拍手)      ————◇—————  アジア開発銀行を設立する協定締結につい   て承認を求めるの件(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
  35. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) ただいまの趣旨説明に対して質疑の通告があります。これを許します。西村関一君。   〔議長退席、副議長着席〕   〔西村関一登壇
  36. 西村関一

    西村関一君 私は、ただいま趣旨説明のありましたアジア開発銀行協定につき、日本社会党を代表し、総理並びに関係大臣に、以下若干の質問を行なおうとするものであります。(拍手)  まず第一は、わが国外交基本方針についてであります。  歴代の自由民主党政府は、わが国外交方針として、国連中心主義自由主義諸国との協調アジア外交の推進の三原則外交の基調とする旨しばしば述べてこられました。佐藤内閣もこの方針を踏襲しておられることには変わりがありませんが、私の疑問といたしまするところは、今日の大国中心主義の不完全な国連の問題はさておき、自由主義諸国との協調アジアの一国としての立場の堅持とは相矛盾するものを持っていないかということであります。  戦後初めてわが国が提唱して、先般東京において開催せられました東南アジア開発閣僚会議においても、政府は、国民所得の一%の援助を主として東南アジア諸国に振り向けようと約束せられたのであります。これがさしずめ国内的に増税や物価引き上げと同じ経済要因となるかどうかという問題は別として、私がお尋ねいたしたいのは、低開発諸国に対する経済援助の理念をどこに置いておられるかということであります。  第二次大戦後、植民地支配から脱して政治的独立を達成したアジア・アフリカ、ラテンアメリカ諸国は、先進資本主義諸国に対して、経済的にも独立を要求して、開発援助よりも、その経済成長率を高め、工業化を進めるための貿易環境改善を強く要求していることは、政府も御承知のところであります。その援助は、実際には被援助国従属化に役立たせるかのようなものであってはならないことは申すまでもありません。わが国は、アジアの一国として、アジア人とともに考えアジア人とともに悩み、アジア人とともに行動することによって、西欧先進諸国にインパクトを加える役割りを持っていると思うが、総理のお考えはいかがでございましょうか。  政府の最近の外交政策を見ますると、口にアジア一員としての立場を堅持すると言いながら、実際には自由主義諸国との協調、もっとはっきり言えば、いまアジアにおいて失敗失敗を重ねているアメリカ外交政策に追従しているような印象を強く受けるのであります。追従するだけではなしに、アメリカ失敗のしりぬぐいをしようとするのが佐藤内閣アジア外交の本質であります。  昨年十一月二十三日、第二十回国連総会会議において表決を問うた中国代表権問題を例にとってみましても、アジア諸国重要事項指定方式賛成した国は、日本、ラオス、マレーシア、フィリピン、タイ、トルコ、ヨルダン、レバノンの八カ国に対し、反対した国は、アフガニスタン、カンボジア、ビルマ、セイロン、インド、ネパール、パキスタン、シンガポール、イラク、シリア、イエーメン、モンゴルの十二カ国を数え、六一年の第十六回総会のときの十対十に比べ、八対十二と反対意思表示をした国のほうが多くなっているのであります。したがって、わが国が真にアジア一員としての立場を貫こうとするならば、当然アジア諸国の大勢にくみして反対票を投ずるか、さもなくば、せめて棄権して、共同提案国立場をとるべきではなかったと思いますが、いかがでございましょうか。  すでに今日においては、アジアの諸問題ばかりでなく、世界的に重要な多くの事項が、中華人民共和国の参加なしには何ら効果のある解決策が見出されないことはもはや常識となっているのに、また、アメリカにおいてさえも、ダレス氏の中国封じ込め政策はいまや重荷になってきつつある情勢であるにかかわらず、政府はいつまでこの現実に目をおおおうとするのでございましょうか。このこと自体、アジア諸国わが国に対する不信感を増す結果となっていることをおそれるがゆえに、政府アジア外交基本的態度について、この際明確にお聞きしておきたいのであります。  特に、最近のベトナム情勢について見ましても、政府は、アメリカベトナムにおける軍事行動を肯定し、ライシャワー大使でさえも戸惑うくらいアメリカの肩を持っておられるのであります。いまや、南ベトナムのユエやダナンやサイゴンにおいて、民衆不平不満は爆発し、反政府運動反米運動に転化しつつあります。一時小康を得たかのように見えますが、二重内戦の危機は深まりつつあります。私は、昨年一月南北ベトナムを訪れましたとき、サイゴンのある影響力のある代表的知識人の一人から、「大きな声では言えないが、戦争はもう一日もごめんだ、共産主義はきらいだけれども、ホー・チ・ミンはわれらの英雄である。」というようなことを聞かされました。今日、ジョンソン大統領が十億ドルの札束を鼻先に突きつけて開発援助をしようと言っても、一部の腐敗した軍人や政治家は歓迎するかもしれませんが、民衆の心をつかんでいない援助はどういう結果を生むかということは、今日のベトナムの現状が如実に示していると思いますが、以上の見地から、これら経済援助のあり方について、総理外務、通産の各大臣の御見解を承りたい。  第二番目にお伺いいたしたいことは、アジア開発銀行性格についてであります。  協定第三条によりますと、加盟国の地位はエカフェ加盟国に開放されることになっておりますが、それらの諸国の中で幾つかの国は署名していないようであります。その原因はどこにあるとお考えでございましょうか。また、域外先進国出資金としては、アメリカの二億ドルは額が多過ぎると思いませんか。アメリカの強力な発言権のもとにあるアメリカひもつき銀行に、日本太鼓持ちをしているような印象を受けますが、この点いかがでございましょうか。  もしアジア開発銀行世界銀行のような性格を持つことになれば、われわれは、この銀行が実際にはアメリカの意向によって運営され、決してアジア民族の真に欲するようなものにならないことをおそれるものでございます。(拍手)  例を東京都の水道料金値上げ問題について申しますならば、都の水道料金値上げに対して、都議会の社会党がストップをかけました。そのとたんに、世界銀行は、料金値上げをしなければ金は貸さないと、政治的圧力をかけてきたのであります。日本国首都東京都は、いまだかつて外債を不払いにしたためしはございません。内政干渉もはなはだしいといわなければなりません。  われわれは、アジア開発銀行がこのような性格のものにならないかということを心配いたしております。国民の血税からなる七百二十億円、二億ドルの巨費をこれに出資するのでありますから、この際、このことについて大蔵大臣の所信を伺っておきたいのであります。  現在、アジア地域、特にベトナムにおいて大規模の破壊行動が行なわれております。それでなくても貧しいアジア諸国で、特にベトナムにおいて戦争をやめることをしないで、はたして経済的発展が望まれるとお考えでございましょうか。まず戦争をやめて、それから経済開発にかかるべきではないでしょうか。たとえどのような経済援助が行なわれましても、現在の状態では、それが直接間接軍事目的に使用される場合があり得ると思います。道路、港湾施設その他純粋な産業開発のもののみとは言えません。また、アジアにはベトナムを含めて幾つかの紛争があります。その当事国の一方だけを援助することは、それが経済目的であれ、医療目的であれ、教育目的であれ、受け入れる国と受け入れない国との対立をかき立て、戦争や紛争を鎮静するより激化させ、さらに、援助供与国まで紛争に巻き込む危険があり、東南アジア全般の安定を考えることができなくなってくると思いますが、いかがでしょうか。総理外務並びに当時の首席全権であられた藤山経済企画庁長官の御見解を承りたい。  第三番目に、さきにもちょっと触れましたが、昨年四月七日、ジョンソン大統領がボルチモア市のジョンズホプキンズ大学における演説において発表した、東南アジア開発のために十億ドルを出資する用意がある旨のいわゆるジョンソン構想とこのアジア開発との関連についてお伺いをしたいのです。  ジョンソン構想は、ベトナム戦争の処理について、軍事行動だけでは東南アジアの政治的安定、また平和を確保することができないという考えから出発をし、その手始めとして、特別委員会をつくり、その委員長に前世界銀行総裁ブラック氏を任命したとのことでありますが、アジア開発銀行協定は、このジョンソン演説をきっかけとしたかのように、急速にまとまり、あたかもジョンソン構想が肩がわりしてアジア開発銀行となって発足するのではないか、また、ジョンソン構想はマーシャル・プランのアジア版といわれ、一部の国から疑惑の目をもって見られていますから、この際、ジョンソン構想がどのような形態、組織をもって活動しているか、また、そのアジア開発銀行との関連性について、外務大臣並びに良心的知米派といわれている三木通産大臣にお伺いいたします。  第四番目に、東南アジア開発閣僚会議アジア開発銀行との関係についてお伺いいたします。  新聞の報ずるところによりますと、この会議共同コミュニケに、東南アジア諸国はそれぞれの政治的立場の違いを越えて経済開発で協力できるとの字句を織り込もうといたしましたが、フィリピン、南ベトナム、タイなど反共色の強い諸国の代表が強硬に反対したために、以上の字句が案文から削られたとのことであります。その間の事情並びにこれに対する政府の所信、及び韓国が開催を希望しているアジア外相会議アジア反共会議となる公算が大きいと思われますが、政府はこれに出席するかどうか、また、アジア開発銀行東南アジア開発閣僚会議との関係について、総理外務、大蔵各大臣にお伺いをいたします。最後に、第五番目にお伺いいたしたいのは、政府アジア開発銀行の本店は当然東京に来るものとして諸般の準備を進めておられたと伺っております。ところが、昨年十一月二十九日からマニラで開かれたエカフェ経済協力閣僚会議最終日の十二月一日、二度にわたる決選投票の結果、僅差でマニラ誘致がきまりました。会場を出る藤山首席代表の顔は青ざめ、がっくりした表情は隠せなかったと、当時の新聞は報じておりました。  私は、ここで、アジ銀の本店がどこになるかということを問題にしているのではございません。この一つのことを例としてもわかりますように、外務省の情勢分析がいかに甘いか、言いかえれば、いかに不勉強であるかということを物語っていると思うのでございます。(拍手)また、ただ単に不勉強だけでなしに、このことは、日本外交の姿勢そのものに問題があると思うのであります。それは、日本外交アジアにおける間違った大国意識にあると思います。もちろん、国家に対する自信と誇りを保たなければならないことは言うをまちません。しかし、それ以上に、アジアの国の心をつかむととが大切であると思います。  アジアの国の心をしっかりとつかむかつかまないかということは、言うまでもなく、第一線にあって絶えず接触を保っている在外公館であり、個々の外交官でございます。ところが、アジア諸国に派遣せられる外交官の中には、米国、英国等先進国に派遣される者に比し、何か一種の卑屈感を持っている者があるのではないか。したがって、アジア諸国に行きたがらない傾向があるということを聞いております。また、相手の面前では口に出しませんが、心の底では、われわれは世界の先進国、おまえたちとは違うのだといった優越感がひそんでいて、ちょっとしたはずみにそれがちらつくようなことがあるのではないでしょうか。  私は、日本外交官は、世界のどの国の外交官と比べても、決して遜色があるとは思いません。東南アジア諸国の公館で働く外交官の中には、人知れず苦労をしておられる方があることも知っております。しかし、今度のアジ銀東京誘致に失敗したことは、現地外交官の責任だけを追及するのではなく、何か日本アジア外交の面で反省しなければならない点があるのではないでしょうか。それは、日本の間違った大国主義に対する後進諸国の反発のあらわれではなかったでしょうか。これはまた、アジアの心をつかむアジア外交という点で従来少しく欠くるととろがあったことに対する頂門の一針ではなかったでしょうか。あえて総理並びに外務大臣の見解をただしまして、私の質問を終わります。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇
  37. 佐藤榮作

    ○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 西村君にお答えいたします。  国連中心主義、あるいは自由主義諸国との親交を重ね、同町にアジアにある国としての外交と、こういう三つの柱をいままで言っていたがということですが、私もこの三つの柱で外交を進めていくつもりであります。  私が申し上げるまでもなく、アジアにはそれぞれの国がそれぞれの立場において政治を行なっておりますし、また、これがイデオロギーの相違でもあります。また、ときに、奨める国、貧しき国、いわゆる開発途上にある国もあるわけであります。そういう意味で、種々の国が存在しておりますが、その中にあって、平和を守り、安定を希望し、繁栄を願う、どうしたらいいか。これは、わが国の場合におきましては、しばしば申し上げておりますように、日本はこういう国々と仲よくしていく。それには、みずからが自由を守り、平和に徹する、そのことが大事なんだ。そうしてすべての国と仲よくしていく。特定の国を敵視するというようなことをしない。その意味において、どうかお互いに独立を尊重し、内政に干渉されないこと、こういうことを願って、そうしてわが国外交を推進しておるわけであります。  私は、今回開かれましたアジア開発閣僚会議などは、その意味におきまして、相互の理解を深め、ただいま申し上げるようなその立場について十分理解し、お互いの主張等についても十分これを了解することができた、かように思いますので、今後の協力の体制、その基盤ができたように感ずるのであります。私は、こういうような事柄が積み重ねられて、そうしてアジアの安定と繁栄への道をたどることができる、かように思います。  ただいま、中共の国連加入の問題につきまして日本のとった態度はどうも解せないというお話がありました。しかし、私がしばしば申し上げておりますように、中共の国連加盟、これは隣国でありますだけに重要な問題であります。ことに、国民政府と条約を締結し、その間におきまして国際的な権利義務を持つ、そういう立場にあって、中国代表権、そういうこともからむ国連の加盟問題でありますだけに、これが慎重であるのは、これは当然といわなければならないと思います。私は、この機会に重ねて申しますが、わが国は特定の国を敵視する、こういうようなことは絶対にしないのだ、この点の誤解のないように願っておきます。  また、アジア開発銀行、この問題につきましていろいろお話がありましたが、後ほど外務大臣からお答えをさせたいと思います。  ただ、私は、この機会にもう一言述べてみたいのは、ベトナム問題でございます。ベトナム問題に対するアメリカの態度、これを日本特別に支援している、かようなことを言われておりますが、私は、アメリカの態度に対して十分の理解を持ち、また、これに対しても了解しております。しかして、アメリカ自身が、同時に、十億ドルの経済開発、そういう決意をする、そういう用意があるということも申しておりますように、アメリカ自身は、東南アジア諸国の安定と繁栄に多大の関らを示しておるのであります。この国がいわゆる北爆をするということ、そこらに矛盾があるのではないか、また、日本がこの北爆を承認しておる、そこに矛盾があるのではないか、こういう御指摘だと思いますが、この点は、しばしば申し上げましたように、アメリカ自身はこの安定と平和を心から願っておりますが、南ベトナムにおけるいわゆる破壊活動、その行動は続けられておる。しかも、これに対する北からの援助がある。こういう点から、アメリカはやむを得ずして限定的な軍事行動をとっておる。このような状態を御了承いただきたいと思います。  その他の問題につきましては、所管大臣からお答えさせます。(拍手)   〔国務大臣椎名悦三郎登壇
  38. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 戦争地域に対する経済援助は、これはおっしゃるとおり、実際上の効果をあげることは至難でございますが、しかし、難民救済あるいは不足しておる医療援助、これは一そう必要なのではないか、こう考えております。ただ、一方に援助して片方にやらないというのは手落ちではないかというお話でございましたが、もともと人道上の意味でこういうことをやろうとしておるのでございまして、他方からの要請があれば、これは私どもは援助を実行するのにやぶさかではございません。  それから、アジア開銀のマニラに決定した事情は、これは外務省がぼんやりしておったのじゃないか、情勢分析が非常に甘かったのではないかというようなお話でございますが、今後一そうこういう方面には勉強させていただきますが、大体の観測といたしましては、本店も日本、総裁も日本、それじゃ少し欲ばり過ぎるという考え方がずっと関係国にびまんしておったようでございます。そういう誤解を生ぜしめることは、これまた腕の足らないところかもしれませんが、今後十分に気をつけます。  開発閣僚会議において、一切の政治的な意図を乗り越えてという文句が、いよいよ共同宣言を出す場合に省かれたのはどういうわけだ、こういうお話でございました。これは会議開催までは、開催の趣旨というものは、あくまで純経済的にこれをやるのだ、政治的な意図は毛頭ないのだということをPRする。また、ただから宣伝ではなくて、全くそのとおりにわれわれは考えて、その趣旨が徹底するように極力宣伝をしてまいったのであります。さて、会議がいよいよ実現いたしまして、もう会議も終わって共同宣言を出すということになると、こういう文句はむしろ要らないじゃないか、もうこの二日間にわたって、事実において、一切の政治的意図を乗り越えて純粋に経済会議をやったのだ、最後になって共同コミュニケを出す場合に、この文句があるほうが、むしろ、かえって痛くない腹を探られるようなもので、こんなものは要らないという話でございましたから、それはもっともだというので、これを省いたわけであります。  それから、南ベトナム国内の紛争の事実に徴して、いろいろ御批判、御意見の提出がございましたが、対アジア経済協力性格は、あくまで、政治的意図によるものではなくて、これらの国を繁栄させる、そうして、ともどもに日本もその恩恵を分かち合う、こういう性格のものであるということは再三申し上げてあるとおりでありまして、その点はひとつ御了解を願いたいと思います。  それから、韓国の提唱する外相会議、これは反共会議になるのではないかというような御疑念を持っておられるようでございましたが、われわれも、そういったような、意味のない、肩ひじを怒らしてただ揚言するというような空疎な会議であってはならぬ、そういう懸念を持つのでありまして、そういう意味において、来たるバンコクにおける予備会議には、あの現地の大使に出席いたさせまして、そして十分に、そういう空漠たる会議にならぬように意見も言わせる。どうしてもわれわれの意図と反するような場合には、これは参加するかどうかということをあらためて考えざるを得ない、こういう態度でございます。(拍手)   〔国務大臣藤山愛一郎君登壇
  39. 藤山愛一郎

    国務大臣(藤山愛一郎君) マニラにおけるアジア開発銀行の設立会議におきまして、日本に本店誘致ができなかったことはまことに遺憾でございますが、その原因を要約してみますると、三つほどに言えると思います。  一つは、先ほど椎名外務大臣が言われましたように、日本は本店所在地をもらうのであって、私も、総裁は資金を運用する借り入れ国側の実情に即した国の方が出るのが適当ではないかということを各国代表に申しましたけれども、しかし、やはり本店をとったあと日本に総裁がいくのじゃないかというような心配がみなぎっておったことは事実でございます。  それから第二は、この会議にあたりまして、私ども今後考えなければなりませんが、会議の事前にすでに相当な取引が行なわれているということでございまして、たとえば、日本に投票するだろうと考えておりましたタイの国のごときも、SEATOの本部をマニラに持っていくか、タイに持っていくかということで、SEATOの本部がすでにタイにきまりましたので、それではその取引としてフィリピンにアジア開銀の本店を持っていく、タイとの間には取引ができておりましたことは、タイの代表が私にはっきり申したことでございます。たとえば。パキスタンのごときも、回教徒の関係及び印パ紛争におけるイランの自分の国に対する援助の状況等から見て、イランが立候補している限り、自分の国はイランに投票せざるを得ない、こういう立場をはっきり明確にいたしたのでございまして、これら等々の問題を通じまして、やはり事前に相当な準備が必要であることを痛感いたした次第でございます。  第三は、立候補いたしております都会でもってこの種の会議を開きますことが、いかに困難であるかということを知ったわけでありまして、今後、立候補を相争う国の都会でこの種の会議を開かない、立候補していない国の都会で開くということが大事だと思います。われわれ、現地の新聞その他から、相当やはり不公正な論議を受けたのでございます。  これらを通じまして——ただ、しかし、いかなる会議に出ましても、首席全権としては、それらの困難を乗り切って日本誘致を達成しなければならないのでございますが、私も最大の努力をいたしましたけれども、結果を得られないことについては、私自身、自責の念を持っておる次第でございます。  なお、アメリカが二億ドル出すから、相当にこの機関をアメリカが牛耳るのではないかというような御質問の趣旨かと思います。しかし、条約によりましても、議決権につきましては、各国が基礎的に二割の平等の票を持ちまして、その上の八割は出資別で投票権を持つことになっております。したがいまして、原案によりますれば、域内国が六割、域外国が四割でございます。当時までの状況から申せば、域内国が六割六分くらいの出資を申し込んでおり、域外国は三割に達しない出資でございます。したがいまして、四割、六割となりましたときに、議決権の数から申せば、当然域内国の意思が通ってまいるわけでございます。しかも、会議を通じまして、域内国の心持ちは、相当に域外国に対しまして自主独立立場で活動をしようという気持ちが横溢いたしておったのでございまして、たとえば、先ほども申しましたように、域内国の申し込みが六割以上に達したにかかわらず、域外国の申し込みがまだ所定の数字に達しない以上は、役員の選出を七、三で、域内七、域外三と規約になっておりますが、その出資が予定どおりになるまでは、役員は域外国からは二名にしぼろうじゃないかということが、ほとんど全会の考え方でございます。そういう状況でございますから、私は、アメリカが二億ドルを出資いたしましても、あの会議の席上を通じての域内国の意気込みから申しまして、それから、なお十億ドルの開発銀行の資金では十分足りませんので、将来ヨーロッパ等において債券を募集することになろうと思います。それらのことを相関連して考えてみまして、アメリカが二億ドルの出資でもってこの中を完全に牛耳るということは考えられないことだと考えております。(拍手)   〔国務大臣福田赳夫君登壇
  40. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 私に対する質問の第一点は、アメリカが二億ドル出す、アメリカ的になるんじゃないか、そういう点でありますが、ただいま藤山長官からお答えがありましたとおりであります。私がつけ加えることはございません。  第二の点は、アジア開発銀行アジア開発閣僚会議との関係いかん、こういうことでございますが、これは違っている点もあるし、同じ点もある。違っている点は、アジア開発銀行エカフェの発想に基づくものであります。  これに反し、アジア開発閣僚会議のほうはわが国政府の発想、発想の主体が違うわけであります。それから地域が違うのです。アジア開発銀行は、アジア全域を対象とし、これに融資を行なわんとするものである。この問の閣僚会議のほうは、東南アジア諸国を相手にいたしておるわけであります。ただ、この二つの機関、これを通じましてアジアの連帯が強化され、また同時に、その余恵がわが国にも反映してくるという点につきましては、これは同一の効果を持つ、こういうふうに考えます。  今日、世界では、ケネディラウンドに見られるがごとき世界的な連帯化の傾向、こういうものもあります。また、EECや、EFTAや、あるいはコメコンに見られるような、地域的連帯を強化しようという傾向も見られる。そういう二つの潮流の問に処して、わが日本アジアにおいてどういう立場をとるべきか。やはり私は、世界的な規模における自由交流、連帯化の傾向に同調していかなければならぬと同時に、それと矛盾しないということを心しながら、同時に、アジア諸国との連帯を強化しなければならぬ。その方法は、いろいろな方法が出てくるということは、私は、これはむしろ歓迎すべきことじゃないか、さように考えておる次第でございます。アジア開発銀行と、アジア開発閣僚会議は少しも矛盾するところはない、かように考えております。(拍手)   〔国務大臣三木武夫君登壇
  41. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 西村君の私に対する御質問は、アジア開銀がジョンソン構想の下請機関ではないか、どう思うかという御質問でありますが、地域的に金融機関をつくるというのは世界的な傾向で、低開発国の開発促進するためには金融機関が要る。ラテンアメリカにもアフリカにもできておって、アジアにも数年前から、エカフェを中心として、アジアのイニシアチブで地域的な金融機関をつくろうではないかという動きがあって、これが実を結んだものでありまして、ジョンソン構想はそれからずっとあとから出てきたのであって、ジョンソン構想が出てきたのでアジア開銀ができたということは、そういうことではないということでございます。  第二点は、経済協力に対するどういうタイプがあるかという御質問でありますが、これはやはり一つには資金、技術、貿易という面があるわけであります。  資金では、直接の借款あるいは合弁会社による現地で事業を興すという形の協力のしかたと、日本から技術を輸出して、それと資本が結ぶ場合が多いわけでありますが、技術を海外に輸出する。もう一つは貿易でありますが、日本が長期の延べ払いによって貿易を拡大していくという面、相当長期の延べ払いをアジアにやっておるわけであります。  もう一つ重要な問題は、第一次産品の輸入を促進するということでなければ、低開発国に対しての貿易は拡大しない。そのためには、どうしても、あるいは国際価格に比べてみて高い場合においても、補助金のような制度活用して日本が輸入を促進するという一つの形、もう一つは、やはり現地で日本の必要な物資を開発して輸入するという開発輸入の形、今後低開発国に対する経済開発促進するためには、第一次産品の輸入を促進するということについて、何かこれを促進できる仕組みというものをいまやっておりますけれども、まだこれはやはり十分とは言えない、もっと積極的に仕組みを考えることが必要であると考えております。(拍手
  42. 園田直

    ○副議長(園田直君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————  国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明
  43. 園田直

    ○副議長(園田直君) 内閣提出国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律案について、議院運営委員会決定により、趣旨説明を求めます。国務大臣安井謙君。   〔国務大臣安井謙君登壇
  44. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。  国民の祝日に関する法律は、昭和二十二年の第二回国会において制定されたものであります。当時の国会における審議の過程において、将来なお祝日の増加が予想されていたところでありますが、国民の間に現行の祝日のほかに幾つかの祝日にふさわしい日を加えたいという要望があり、国会におきましても、御承知のとおり、国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律案が、昭和三十二年の第二十六回国会以降昭和三十九年の第四十六回国会まで、議員提案として七回提出されましたほか、継続審査として三回ありましたが、いずれも不成立となったものであります。  政府といたしましては、このような事情にかんがみ、昨年は政府において、新たに国民の祝日を加えることとし、第四十八回国会に国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律案を提案いたしたのでありますが、国会会期終了により、これまた審査未了と相なりました。よって、ここに再びこの法律案を提案いたした次第であります。  以下、この法律案の概要につきまして御説明いたします。  この法律案におきましては、現行国民の祝日に、新たに、建国記念の日(二月十一日)、敬老の日(九月十五日)及び体育の日(十月十日)を加えることといたしております。  まず、建国記念の日につきましては、建国をしのび、国を愛し、国の発展を期するという、国民がひとしく抱いておる感情を尊重して、国民の祝日にすることといたしたのであります。(拍手)また、この日を二月十一日といたしましたのは、この日が明治初年以来七十有余年にわたり祝日として国民に親しまれてきた伝統を尊重したからでございます。(拍手)  次に、敬老の日につきましては、多年にわたり社会に尽くしてこられた年寄りの方々に感謝するとともに、老後の精神的な安定を願い、敬老の口を国民の祝日にすることにしたのであります。(拍手)また、この日を九月十五日といたしましたのは、昭和二十六年以来十数年にわたり「としよりの日」として全国各地においてその趣旨にふさわしい行事が行なわれており、また、昭和三十八年に制定されました老人福祉法において「老人の日」として九月十五日が定められていることなどによって、この日が広く国民の間に浸透しておるからでございます。(拍手)  最後に、体育の日につきましては、国民がスポーツに親しみ、その精神を通じて健康な心身をつちかって、明るく住みよい社会を建設することを願い、体育の日を国民の祝日とすることといたしたのであります。また、この日を十月十日といたしましたのは、昭和三十六年に制定されましたスポーツ振興法において「スポーツの日」として十月の第一土曜日が定められていることを尊重し、あわせて、成功をおさめました一昨年のオリンピック東京大会を記念し、その開会式の日を選んだものであります。(拍手)  また、以上の改正に伴い、関連する法律についても所要規定の整備を行なうこととしております。  以上が国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律案趣旨でございます。(拍手)      ————◇—————  国民の祝日に関する法律の一部を改正する法   律案内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
  45. 園田直

    ○副議長(園田直君) ただいまの趣旨説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。辻寛一君。   〔辻寛一君登壇
  46. 辻寛一

    ○辻寛一君 自由民主党を代表いたしまして、ただいま趣旨説明のありました国民の祝日に関する法律の一部改正案について御質問を申し上げます。  この法律案に盛られた三日の祝日のうち、敬老の日と体育の日についてもお尋ねをいたしたい点が若干ありますが、日本の純風美俗を忘れず、しかも近代的国家の祝日として追加するにふさわしい意味においては、おそらくあげて国民賛成を得るところかと思いますので、時間の関係上、この場合私は、質問の焦点を第一に上げられておる建国記念の日一本にしぼります。  そもそも、建国記念の日を二月十一日に定めんとする案につきましては、ここ十数年の間にしばしば各種の調査機関によって世論調査が行なわれ、そのつど国民多数の賛成を得ておるのでありますが、一面、これに反対する議論の存することも事実でありまして、この間のいきさつを十分承知せられる政府があえて再びここに提案されるに至った以上、必ずや、きわめて最近における世論調査の動向などもさらに慎重に検討されるとともに、賛否両論の間にあって去就をきめかねている人々に対しても納得せしむるに足る思想的根拠に基づく自信を持って相まみえられたものと推察いたします。したがって、私は、ただいまの趣旨説明にあるごとく、「建国をしのび、国を愛し、国の発展を期する」云々なる簡単な理由だけでは、元来賛成立場にある者には簡にしてわが意を得たりとうなずき得るかと思いますが、さらに進んで、すべての国民にその意のあるところを明らかにする必要があると存じますので、以下、諸点について、政府の真意と信念のほどを率直にお尋ねいたしたいのであります。  ことしは、ありし日の皇紀で言えば二千六百二十六年に当たるわけですが、この紀元の年数については、学問上種々議論の分かれているところであります。しかし、少なくとも、西暦紀元三世紀から四世紀にかけて大和朝廷が日本全国をほぼ統一したことは、おおよその歴史学者が認むるところであります。まさに、国を肇むること宏遠にして、しかも、一系の皇位を中心に、完全に近い単一民族として生々発展せること、世界に類を見ないみごとな国柄であることに、いささかの誤りもありません。(拍手)  もとより、歴史はその事実性に根拠を置かねばならぬことは当然ですが、歴史的事実、すなわち史実とは、一部の学者の言うような物的関係のみでは決してない。人間の心理的事実をもあわせ考えることが、より科学的態度であると私は思う。(拍手)かくて、古典に見える神話や伝承というものは、祖先の信仰やものの考え方、ものの見方、つまり祖先の心理的、精神的事実を何らかの意味において写し出しておるものであって、真実の歴史的現象とは、これをこそ申すべきであります。(拍手日本書紀にしるされた神武天皇即位までのくだりは、それが史実でないとか、つくりごとであるとか、さらには、神武天皇の実在など怪しいものだとか、いろいろの議論が行なわれておるが、私は、むしろ、これこそわれわれの祖先たる古代日本人が心に描いた建国のイメージであると解すべきものであると考えます。(拍手政府は、日本書紀に見える神武天皇即位の日を一体どのように解釈されておるか、これをまず伺いたいのでございます。(拍手)  そこで、もしそれ、日本書紀の神武天皇紀を建国のイメージとして祖先の筆と思いに忠実ならんとすれば、それは二月十一日ではなく、そのまますなおに正月一日をとるか、あるいは、万象すべて新たならんとする一陽来復の日を意味するとして、立春の日あたりを建国の記念日にすることが妥当ではないかという意見もあります。あえて政府が二月十一日説を堅持するのは、いかなる見解と所信に基づくものであるかを明らかにされたいのであります。  説明の冒頭に、「建国をしのび、」とあるが、一体、日本の建国の精神なるものをどのように解するかが問題です。史実にない、昔々大昔のことはこの際たな上げをいたしまして、はっきりした史実の上からまずたどってまいりましょう。古事記、日本書紀のできたおよそ百年も前に、聖徳太子が十七条の憲法を制定され、「和を以て貴しと為す」の大精神でこれを貫かれておることを疑う者はありますまい。当時、六、七世紀の世界の歴史は、ヨーロッパにおいてもアジアにおいても一様に、何々族侵入、または征服、何々王国滅亡、何々王朝成立などという、興亡変転ただならぬ人類闘争の年表に終始しておる中にあって、すでに早くも平和宣言の行なわれた日本であることを、われわれは思い起こしたい。(拍手)これこそは、古代の先祖から受け継いだ日本人の血脈に本来この和の大精神が一貫して流れておった証拠でなくて何でありましょう。かるがゆえに、その昔建国の初めにあたってかくも詔ありしならんとする当時の祖先の祈りと願いがこって神武天皇紀所載のもろもろのことばとなったものと解して、いささかもふしぎはありません。すなわち、鋒刃の威をからずとか、言向けやわすとか、やいばに血塗らず話し合いで平和のうちに事を処するという建国の精神が明らかにここににじみ出ておるのであります。八紘一宇とか、撃ちてしやまむということばが卒然と引き抜かれて逆用されたことはまことに残念ですが、本来は平和に徹した日本民族であることを、われわれは祖先の血の中から確認すべきであると存じます。(拍手政府は、いかに建国をしのぶべしとなすか、お考えを承りたいのであります。  次に、「国を愛し、」云々と述べておられるが、国を愛するとはどういうことであるか。およそ、独立国をなす民族として、国民として、自分の国を大切に思い、その発展を念ずることは、民族として自然の心情であるはずです。オリンピックに寄せられた参加各国のあの民族的熱情、日の丸と君が代に味わったわれらの感激、さすが民族の祭典といわれるだけ、一瞬に燃えたぎる民族的情感の激しさ、美しさ、これこそ素朴な愛国心の発露にほかなりません。(拍手)ただし、いかに民族自然の情感といたしましても、これをいわゆる平生一片の心とするには、正しく積極的に導き育てることによって、初めてその全きを得るものであると存じます。さればこそ、ソ連でも中共でも、その憲法の中に祖国愛と祖国防衛とを国民の神聖なる義務として定めておるではありませんか。国体のいかんにかかわらず、政体の変遷を問わず、祖国愛の涵養は世界共通のまさに厳粛なる事実であります。過去における行き過ぎた国家主義についてはわれわれの深く反省するところでありますが、民族としての誇りを失い、卑屈におちいり、自分の祖国を軽べつすることあまりにもはなはだしきものある現状は、まことに慨嘆にたえないのであります。(拍手)  政治の姿勢を正す、これをモットーにされておる総理は、まず国民の精神的背骨を正す一助としてもこの際建国記念日を欲するのだ、願わくはこの信念に基づく積極的態度を明確にしていただきたい。国家の前途まことに憂うべきものが多い今日、佐藤内閣総理大臣国民に訴うる烈々たる憂国の雄たけびを承りたいものであります。(拍手)  二月十一日、すなわちこれ紀元節の復活、これがそもそもくせ者だと反対論者は言うのです。紀元節はとりもなおさず明治政府がつくり出した思想的産物であり、この日を中心にした一連の歴史はついに祖国を誤らせる羽目に至らせたではないか、その日をそのまま復活しようとする魂胆こそ危険千万であるといきまくのですが、これこそ、あつものにこりてなますを吹くたぐいの思い過ごしです。紀元節こそいい迷惑だといわなければなりません。何をもっていうか。明治維新とともに封建制度から近代国原として立ち上がらんとする日本を囲んで、当時こぞってアジアにそれこそ帝国主義の魔手を仲ばしておった列強の虎視たんたんたる中にあって、国民的自覚と民族的気魄を呼びさまし、小国なりとも不屈の精神をたたき出す筋金の一本にこの紀元節が役立ったとすれば、まさにそのとおりでしょう。(拍手)大東亜戦争を憎むのあまり、日清、日露の両戦役すらまるで日本の侵略戦争であったごとくみずから白眼視し、よく国難を克服して前進した祖先、先輩のとうとい足跡を非難し、しかもその進軍ラッパが紀元節であったごとく論じ去らんとする人々がいまだあとを絶たないのは、まことに悲しむべきことであります。(拍手)  紀元節七十余年の歴史は、悠久の紀元に比べれば決して長いとは行えませんが、国民の国を興す精神的支柱としてその果たした役割りは、後に至って心ない人々によって便乗的に逆用された点を率直に認むるも、その功罪は償ってなお光輝ある伝統であると私はかたく信じますが、これらの紀元節抹殺論に対し、政府の見解と所信を伺いたいのであります。  さらに一つ、教育に関連して私はお尋ねしたい。  戦時中のいわゆる皇国史観が、ときに神がかりになり、偏狭の愛国心をそそる結果になったとすれば、戦後の社会科歴史は、これとは逆に、祖国喪失、国籍不明をそそる唯物史観の歴史教育であったと思います。戦後二十年、もういいかげんに本心に立ち返り、日本人みずから自分の国の正当な価値判断ぐらいはできるようになりたいものです。(拍手)それには、まず、祖国の歩み来たった真の姿を正しく把握する歴史教育が行なわれなければならぬ。伝承や神話をすべて追放して科学性を誇る戦後の歴史教育のひずみを正すべきであると思います。  そこで、建国記念の日を二月十一日としたら、一体学校ではどのようにこの日を説明なさるつもりであるか。反対論者の言うように、国のはじめがうそのはじめに相なってはなりません。私は、伝承は伝承として、神話は神話として、率直に教えてこそ、真の教育であると思います。これに対する具体的な取り扱い方針とともに、今後の日本の歴史教育はいかにあるべきか、文部大臣の御抱負を伺いたいと存じます。(拍手)  最後に、私は、念を押してお尋ねをしておきたい。  世上、往々にして、建国記念の日を設けるのは、ちょうど人間に誕生日あり、これを祝うがごとく、国に誕生日あり、これを祝うのは当然であると申しまするが、いやしくも建国を記念する日は、そのような次元の低い、俗流的な考え方から発すべきではないと存じます。もしこういう考え方を推し進めていけば、国がある限り、いつの昔か誕生したに違いないのだから、議論の的になりやすい二月十一日にこだわる必要はない、折り合いがつく日ならいつだっていいじゃないかなどという安易な意見にもなりかねないのです。これは断じていけない。私は、あくまで、建国の大精神が未来永劫につながり、われわれ日本民族の血管に流れ流れて尽きぬことをこいねがえばこそ、政府提案のこの日を、わが日本国民の建国を記念するに最もふさわしい日であると確信いたしております。  政府もまた、この二月十一日こそ日本民族が建国を記念して祝う最適の日であって、他にかえ得べき候補の日は断じてなしとの正しき理念と、ゆるがざる信念と、しかして大いなる熱情をもって、広く全国民に普及徹底せしむべく最善の努力をいたさるべきものであると存じまするが、これに対する政府の明快なる所信を承ることにして、私の質問を終わります。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇
  47. 佐藤榮作

    ○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 辻君にお答えいたします。  先ほど安井君から提案の趣旨説明をいたしました。このたび、「建国記念の日」、これを設けるというのは、簡単ではありますが、言われましたとおり、建国をしのび、国を愛し、国の発展を期するという、国民ひとしく抱いているその感情を率直に認めて、そしてこの日を定めようとするものであります。どこまでもその国民の大多数の感情を尊重していくという考え方であります。(拍手)  私が申し上げるまでもないことでありますが、国を愛する、いわゆる愛国心、これは正しく理解されなければなりません。国を愛する心は一体どういうものか、どうもわからないと言う人があります。しかしながら、日本人が日本人としての自覚を持ち、そうして民族と、国土、またその国の文化、これを愛し、そうして国際社会の一員として十分この国の役割りを果たしたい、こういうことで、この国を発展させようとする態度、同時にまた、その心情、これが愛国心だ、私はかように思うのであります。(拍手)この愛国心、こういう事柄はいずれの国も大事に育てて、これを涵養しております。ことに社会主義の国などは、愛国心のない者は存在の意義すらない、かようにいって、これを抹殺しようとまでしておる。したがいまして、愛国心を涵養する、そのことを排斥する、除外する、退けるような国はどこにもない。日本人の一部におきまして、私どものこの愛国心、この愛国的発露、これを嘲笑する向きがあったり、また、これを涵養しようとする考え方について批判を下そうとする者がある。私は、日本人だけが各国と別な行き方をしなければならない、こういうことはないと思います。(拍手国民は率直にその国土を愛する。その気持ちを率直に認めるべきだ、また尊重すべきだと思います。  過去におきましてもしばしばこの種の提案がなされたのでありますが、今日まで、いわゆる建国記念の日が休日、国民祭日として取り上げられなかった。私はまことに残念に思っております。今回こそは、昨年に引き続き再度提案いたしておるのでありまするが、国民大多数のこの意向に沿う、こういう意味で御審議を願っておるのでありますから、どうか皆さま方の御支援と御協力によりまして成立を見るようにいたしたいものだと思います。(拍手)  また、この二月十一日という日が定められて、そのために、過去の紀元節と結びつけていろいろな批判を下しておる人があります。私は、過去の紀元節、これがいわゆる軍国主義的な発展過程へたどったものだとは思いません。紀元節とそういう過去の戦争とは何ら関係のないことであります。(拍手)このことは賢明な諸君はよく知っておる。こういう建国記念の日というようなことは、国民がどうしてもきめなければならない、その建国をしのぶというその気持ち、民族的なその熱情、これをもっと徹底さすことになるならば、二月十一日について、あるいは正月がどうとか、あるいは旧正月がどうとか、そんな議論は私はないと思います。そういう意味で、今回こそはぜひともこの法律が成立するように心からお願いをいたします。(拍手)   〔国務大臣安井謙君登壇
  48. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 神武天皇の即位の日を政府はどう考えておるかというお尋ねでございます。  これは申すまでもございませんが、日本の古代史の正典といわれておりまする日本書紀の一節、いわゆる神武天皇の橿原即位の故事によっておることは御承知のとおりでございます。ただ、日本書紀の背景をなすものは、これまた私どもがくどくど申すに及ばないかと存じまするが、あの推古時代から飛鳥、奈良朝にかけまして、日本の国の基礎が最も固まり、文化的にも非常に隆盛になった時代、あの奈良朝の先覚者たちが、自分たちの力でできたこの日本をほんとうに愛し、そうして先祖をしのんで、自分たちの先祖はこういうものであったであろう、あるいはこうあってほしいという願望を込めて、当時の伝承あるいは記録によって、いわゆる今日でいう学識経験者によってつづられたものが、今日の正典である日本書紀でございます。(拍手)  その日本書紀の内容には、脈々たる日本民族の歴史の血が流れておると私どもは思います。この歴史の真実性につきましていろいろなことが学問的にいわれておることは、私どもも十分承知しております。しかし、史実的にあるいは考古学的に正しいということと、この何千年来の長い歴史を流れてきた日本書紀の精神、民族の素朴な気持ちというものは、これはおのずから別であるべきものであろうと私どもは存じます。(拍手)  たとえば、御承知のように、この日本書紀の史実についてこれは正しくないのだ、事実に間違っておるのだという学説は多々ございます。明治時代でいえば、代表的なのが那珂博士のそれでございましょう。あの日本書紀は、六百年くらい引き伸ばされておる、こういう説を、讖緯説をもって立証されております。しかしながら、那珂博士といえども、あの著書の末尾におきまして、それは学問的な分野における話であって、日本民族の伝統として、公式の祝日、紀元節を自分は抹消しようなどとは毛頭考えていないということを言っておられるのであります。また、昭和年代におきまして筆禍事件まで起こされました津田左右吉博士、同じく、この日本書紀の事実に反する部分を種々指摘されておりますが、その津田博士ですら、終戦後、日本でいままであった民族の三大節のうちで、元日は残った、また、天長節は、名前は変わったが、天皇誕生日という形で残っておる、ただ紀元節、二月十一日だけがなくなっておることは、いかにもさびしいことで、これは民族として当然復帰をすべきものだ、(拍手)この歴史的事実に対してはっきりとした反証をあげられておる有識者たちが、口をそろえてそういう主張をされておるわけでございます。  私どもは、今日、日本の憲法が、日本国の象徴としての天皇、あるいは日本国民統合の象徴としての天皇を、しかも世襲制度として認めております。その世襲制度としておる天皇の先祖、いわゆる神武天皇が即位をされたというこの民族の伝承が、またわれわれの建国をしのぶ日として、そうしてこれを象徴的に建国をしのぶ日とすることは、すなおな国民感情に一番これは触れてくる問題であろうという確信を持っておる次第でございます。(拍手)  先ほどいろいろ総理からもお話がありましたように、紀元節が軍事的に悪用されたという例はまことに遺憾でございまするが、これは紀元節が悪いのではなくて、そのときの政治状況が悪かったわけでございます。紀元節は、かつて大正から昭和にかけましていわゆる護憲三派のあの国民大会、あるいはまたその他の治安維持法反対、あるいは普選の実現促進の大会のために二月十一日はしばしば使われておるというようなことを見ましても、私どもは、これが、国民の世論の上からも、感情の上からも、一番適切なものだと確信をいたしておる次第でございます。(拍手)   〔国務大臣中村梅吉君登壇
  49. 中村梅吉

    国務大臣(中村梅吉君) ただいま、これから神話の取り扱いとか、歴史教育のあり方についてどうかという御質問でございました。  ただいま安井大臣からるるこの問題については申し上げられましたので、私はごく簡単にいたしたいと思いますが、御承知のとおり、現在の学習指導要領におきましても、歴史は歴史、神話は神話として取り扱っております。二月十一日が紀元節であったというような、いろいろな問題点もありますが、この二月十一日が建国の日としてきまりますならば、われわれは、これは正確な歴史として教えるのではなくて、やはり日本の国で長い間伝承してきた神話として教育上取り上げるべきであろうと思うのであります。  そこで、問題は、建国記念日についてはいつにするか、いろいろ議論はございますが、なるべくならば、やはり従前のいろいろな言い伝えや慣例を尊重する。たとえば、いままででも「成人の日」はやぶ入りの日にしておる。あるいは「こどもの日」は、いつからできたかわかりませんが、やはり子供の日としてそういう日を選んでおる。したがいまして、そういう長い間の言い伝えや伝承、とにかく日本のような古い歴史を持った国にいたしますと、古い歴史というものは、完全な歴史の部分もあるでしょうし、完全な歴史とはいかないけれども、伝承として長い間国民に守られたり伝えられたりしてきておる部分がございますから、同じ記念日をつくるならば、そういう伝承の長い歴史を持っておる日が私どもも妥当であろう、かように思っておる次第でございます。(拍手)  御質問に最後に率直に申し上げれば、日本書紀は日本書紀として、また歴史は歴史として、神話は神話として教育上は取り上げてまいるつもりでございます。(拍手)     —————————————
  50. 園田直

    ○副議長(園田直君) 村山喜一君。   〔村山喜一君登壇
  51. 村山喜一

    ○村山喜一君 私は、日本会社党を代表いたしまして、ただいま趣旨説明のありました、国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律案に対し、質疑を行ない、政府の意図を明らかにいたさんとするものであります。(拍手)  まず最初に、佐藤総理にお尋ねいたしたいことは、国民の祝日に対する基本的な考え方をどう認識しておられるかということであります。  民主国家における国民の祝日とは、国民生活と深く結びついたもので、国民がこぞってこれを祝い、全国民的な共感の上に制定さるべき性質のものであり、一政党の独占物であってはならないのであります。(拍手)言いかえるならば、国民の祝日は、国民生活に密着したものの中から、与野党が全面的に一致し得るものを国民に提示し、同時に、世論がそれを制定することに積極的な喜びと意義を見出し、率直に国民感情になごむ中で、新たな歴史的役割りをになうに足るナショナル・ホリデイでなければならないのであります。その考え方を肯定されるとするならば、具体的に野党側に対してどのような積極的な祝日予定日決定の調整をされたのか、その努力は全然初めからなされていないのではないか、その理由を明らかにされたいのであります。  第二の問題といたしまして明らかにいたしたいのは、二月十一日は旧紀元節であることは御承知のとおりでありますが、これを建国の日とする根拠はどこにもないのであります。諸外国の例を見ても、歴史の古いイギリス等においては建国記念日はないのであり、建国記念日的なものが制定されているアメリカ、ソ連、中華人民共和国等の国々では、独立記念日とか、共和国宣言記念日とか、憲法記念日とか解放記念日であって、史実に基づいて、全国民的共感の上に設定されているのであります。日本の旧紀元節のような神話的かつ伝承的な建国の日を記念して祝っているのは、世界でただ一つ、隣の韓国の開天節があるだけであります。(拍手)  提案の説明によると、「建国をしのび、国を愛する心を養う日として、明治以来七十年の伝統を尊重して」となっており、従来の日本書紀にある神武天皇の即位の伝承をそのまま民族的な伝承として受け継ぐという説明からすると、神がかりから近代的になってはおります。しかしながら、本質は何ら変わっていないのであります。三笠宮の発言をかりるまでもなく、「二月十一日を祝うというのは皇室の宗教的な私事であり、この日を全国民の祝日とすることは、神道行事を国民に強制することになるし、歴史的根拠のない日を建国記念日とすることは正しい歴史を教えることにはならない」という正当な主張をごまかしながら、巧みに紀元節の復活をはからんとするものであります。(拍手)  旧紀元節が初めて国民の祝日となったのは、明治二十二年二月十一日、欽定憲法が発布された日からであります。旧憲法は、天皇制の専制に立憲主義をよそおったものにすぎず、神格天皇と忠良なる臣民による国家主義が戦争と結びつき、天皇三権の軍国主義の紀元節として、国民をファシズム的専制支配に組み込んで敗戦を招き、新憲法制定とともにその歴史的な幕は閉じたのであります。(拍手)新しい憲法の中に生まれた国民の祝日に、旧憲法的感覚の建国記念日を加えようという佐藤総理の決意は、憲法を尊重するということを口では唱えながら、これを軽視するものであるといわなければなりません。(拍手)  建国をしのぶとは何であるか。神武建国の説話が民族の精神をあらわす神話であるとするならば、わが国民は、再びいわゆる天つ神の子孫をいただき、金のトビや八咫のカラスに助けられて、八紘一宇を目ざし、戦争にいくのを理想としておるということになるが、それでよいのか。軍国主義民族になることをみずから否定した憲法の精神に反することは明白であります。  さらに重大な問題は、一宗教法人にすぎない神社本庁が、一九五四年一月、全国の神社に指示した事実に見られまするように、この日は神社神道の祭典の日であります。神社本庁は、紀元節の復活の通達に見られまするように、祭典と紀元節を結びつけ、国家神道失地回復運動を粘り強く続けております。平和憲法は、国民の基本的権利として宗教の自由を保障し、国や地方公共団体が宗教を援助することを禁止しております。神社神道の一祭典日にすぎない二月十一日を建国の日にすることは、政府みずから憲法違反を犯すことになると言えるが、総理考えを承りたいのであります。(拍手)  第三点として、自民党総裁である総理にただしたいのは、自民党の態度についてであります。  私の手元にその文書がありますが、その見出しには、「建国記念日を二月十一日にすることは、自由民主主義国家建設の思想的基盤を固めることであり」「建国記念日の復元の戦は思想的関ヶ原の合戦であり、国家百年の大計の出発点となる」と確信するとしております。史実として論証は困難であることを認めながらも、旧憲法的感覚により独善的に国民に押しつけようとしているのであります。すなわち、自民党政府は、旧紀元節の復活を自民党の思想的なものとして日本のマイランダとしようとしているのではないか。説明を願いたいのであります。  次に、担当国務大臣である安井総務長官に、提出の経緯について伺いたいのであります。  本法案の国会提出の経緯は、御承知のように、昭和三十二年二月、第二十六回国会へ議員立法で提出されて以来、過去七回、そのつど、野党をはじめ、学者、文化人等、多くの国民反対にあって廃案となった、いわくづきの法案であります。それにもかかわらず、佐藤総理は、昨年二月三日、全国知事会の席上、国民の意識と生活実態とは無関係に、二月十一日建国記念日設定に賛意を表明し、続いて三月三十一日、第四十八回国会に初めて佐藤内閣の手によって政府提出を行なってきたのであります。しかし、これも廃案のうき目にあったことは言うまでもありません。雲にそびゆる高千穂の歌とともに、軍国主義にかり立てられた壮年以上の悪夢とは別に、戦後の新憲法と新しい教育のもとで育てられてきた青少年たちにとっては、紀元節の問題は、国民生活から消え去ったという事実の中で、無関係な存在となっております。紀元節改廃の問題が提起された昭和二十三年のころの世論は、たしか八割の賛成がありました。しかし、その後、昭和三十五年二月、内閣の広報室において調査を政府がいたしたのによりますると、祝日をふやすことに賛成はわずかに一五%、いまのままでよいというのが七三%、建国の記念日については、この一五%のうちわずかに八%程度にすぎないのであります。(拍手)しかも、建国記念日の賛否については、制定当時においては賛成八〇%であったものが、四〇%ずつ賛否同数と相なっております。これに基づいて、政府においては、祝祭日については世論の統一が必要である、建国記念日は一致した世論がなしという結果を発表したのであります。さればこそ、三十六年の河野案に見られたように、祝休日三倍増というバラ色の気球を打ち上げてみたり、「老人の日」や「体育の日」をおまけにつけて、休みがふえるからと、大衆をごまかしてきたのであります。世代の交代とともに、反対賛成を上回ってきている現実を直視する自信がないからこそ、世論調査もやらないで一方的に押しつけようとしているのであります。(拍手)  安井国務大臣は、院内外に対し広く意見を聞き、慎重な調査を行ない、科学的な検討を加えて提案したのであると言われるならば、具体的に、いつ、いかなる方法で、どの程度の規模での国民的調査と科学的な検討を行なったのか、また、その結果についてはどのような集約を得ているのか、具体的に、「建国記念の日」、「敬老の日」、「体育の日」について説明を願いたいのであります。  中村文部大臣にお尋ねいたします。  学習指導要領は、文部大臣が定めることになっております。学校教育の目標達成のため、学校が計画実施する教育活動として学校行事が位置づけられておりますが、その中で、国民の祝日については、小学校、中学校、高等学校ともに、「国民の祝日などにおいて儀式を行う場合には、生徒に対してこれらの祝日などの意義を理解させるとともに、国旗を掲揚し、君が代をせい唱させることが望ましい。」となっております。二月十一日に建国の日が定められた場合には、歴史的な事実としては、天皇主権の大日本帝国憲法発布の日であり、軍国主義の記念日であり、戦争につながった日であり、うその歴史の強制は、教育や学問をねじ曲げ、国民を戦争に追いやったのが真実であるのでありますから、それを、教育基本法の精神にのっとり、教えて差しつかえないものだと私たちは考えます。それとも、また、うその歴史を教えるように指導要領を改悪し、教科書をつくりかえるのか、正直な答弁を願いたいのであります。(拍手)  体育の日を祝日にしなければならない積極的理由、また教育界内外の世論の動向を示されたいのであります。  次に、小平労働大臣にお尋ねしたいことは、三十六年、河野プランが出されたときは、労働時間を週四十時間に、週休二日制を主張する労働組合からも、また使用者側の日経連からも、反対され、つぶされました。きのうの本会議で明らかにされたように、月収わずか一万八千円以下の労働者が全国に四百万人も残されておるのが、今日の状態であります。低賃金労働者ほど労働条件に恵まれず、日給制が多いのであります。休みがふえて喜ぶのは、直接生産と結びつかないホワイトカラーにすぎないのであります。これに反して、逆に収入が減る、就労の機会が少なくなる階層があります。これに対して、法律にあるように、より豊かな生活を築き上げ、こぞって祝い、感謝し、記念する日にすることができる労働政策を示してもらいたいのであります。どういう対策を持っておられるのか、説明を願います。  鈴木厚生大垣にお尋ねいたしたいのは、「老人の日」は、今日では国民生活の中に定着いたしております。特別に祝日を設けるよりも、ゆりかごから墓場まで、社会保障の充実こそ必要であり、これこそ、真に老人に対する愛情のある政治といえると思うのであります。それをなさずして祝日を設けても意味はないのであります。どのような措置を講ずる用意があるのか、説明されたいのであります。  最後に、総理にただしたいのは、平和の日を設定せよという声は、法律制定当時から強かったにもかかわらず、何らの考慮も払われていないのみならず、政府はみずから憲法記念行事を故意にボイコットしてきているのであります。佐藤総理が真に平和を願うならば、憲法記念日を祝うことこそ大切であり、国民はそれを求めているのであります。総理、あなたは、国会に議席を持つ政党のうち、賛成なのは自民党だけで、全野党はあげて反対というこの法案を、ごり押しで通過をはかる決意なのか。かりに強引に処理されたとしても、法律趣旨に反する祝日になり、日本国民の世論を二分することは明らかであります。私は、日本民族に三十八度線を構築するようなかかる法案は、直ちに撤回すべきであると確信を持っておりますが、総理の真意は那辺にあるのか、国民の前に明らかにされたいのであります。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇
  52. 佐藤榮作

    ○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 私の国民祝日に関する基本的な考え方は、国民の祝日に関する法律、その第一条に規定されております。これを私は尊重し、これを守っていくつもりであります。何と書いてあるか。私が読むまでもなくすでに御承知だと思いますが、「自由と平和を求めてやまない日本国民は、美しい風習を育てつつ、よりよき社会、より豊かな生活を築きあげるために、ここに国民こぞって祝い、感謝し、又は記念する日を定め、これを「国民の祝日」と名づける。」かように実は申しております。(拍手)私は、こういう立場で、ただいま国民こぞって建国の日をひとつ定めようとしております。  どうして与野党一致しない未熟なものを出したか、こういうお尋ねでありますが、これは御承知のように、もうすでに議員提案もされ、おそらく、国会におきまして七回も審議されただろうと思います。継続審議がそのうち三回もあった、かように思います。また昨年は同様のものを提案した、これは政府が提案したのでございます。これは皆さまの御審議をいただいたと思います。私は、国会におきまして皆さまの御審議をいただくこと、それこそが野党に対する政治工作だと、かように思っております。国会の審議、その以外に取引をする、これは慎まなければならないことだ、かように思います。(拍手)  また、この法律が党利党略だと、かような御批判を受けておりますが、建国の日、これをつくろうというのに、党利党略、そんなけちな考え方で提案などいたしません。(拍手)これは国民こぞってやるのであります。私が申し上げるまでもなく、皆さん方も十分御承知のことだと思いますが、政治の要諦は、申すまでもなく、国民の声を聞いて、そうして事を行なう、これこそが政治の要諦であります。国民とともに、国民のために政治をする、その態度でなければならない。そのときに、国民自身のために、国民とともに政治をする、その考え方でなければいけない。十分御了承いただきたい。  次に、この二月十一日云々でございますが、先ほど来お答えいたしましたように、伝承であろうが、神話であろうが、とにかく国民に最も親しまれておるこの日を、私どもは建国の日といたしたい、かように思っております。  また、今回政府がきめようとするものは憲法違反ではないかというお話がございます。しかし、これは憲法違反ではございません。御承知のように、今回定めようとするものは、特定の宗派のためにこの休みをつくろうというものではありませんし、また、申すまでもないことでありますが、今日の憲法は政教分離の原則に立っておるのでありまして、こういうものが、休みをこしらえたからといって、憲法違反などになるわけがございません。  最後に、平和の日をつくれという御提案でございます。これは社会党の御提案として十分検討したらいい、かように私は思っております。  国内に三十八度線をつくらない、こういう意味で、この提案を撤回したらどうかということでありますが、これは撤回などいたしません。どうか、御審議の上、ぜひ成立させていただきたいとお願いをいたします。(拍手)   〔国務大臣中村梅吉君登壇
  53. 中村梅吉

    国務大臣(中村梅吉君) 祝祭日等について、そういう行事の中で、祝祭日の意義、あるいは国旗の掲揚とか、君が代の斉唱とかいうことを学習指導要領に書いて、こういう指導をしておるが、二月十一日の建国記念日という日ができたら、学習指導要領ではどうやるのか、こういう趣旨のお尋ねのように思います。この建国記念日という日がきまりますれば、私どもは、決してこれが先ほど御指摘のありましたように悪い意味の日ではないことを周知徹底させる必要はあると思います。しかしながら、御承知のとおり、さっき御指摘のように、二月十一日は開戦やあるいは戦勝の日に利用しているじゃないか、こういうことを言われましたが、先ほど安井大臣からも申されたように、二月十一日という日は、あるいは平和運動や、あるいは普選運動や、あるいは自由の拡大をする、いわば自由民権運動や、こういうことにも利用されておるのでありまして、教育の上で歴史を取り上げるとするならば、よいことも悪いこともくるめて歴史は歴史としてこれは教えなければなりません。二月十一日につきましては、御承知のとおり、伝承神話は伝承神話としてわれわれは指導をし、教育の中に織り込むべきである、かように考えております。したがって、あくまで歴史は歴史、伝承神話は伝承神話、こういうことで教育上取り上げてまいりたいと思っております。  なお、「体育の日」の行事等についてお話がございましたが、「体育の日」は、現在、御承知のとおり、スポーツ振興法によって「スポーツの日」というのがあります。これには、御承知のとおり、スポーツの日にふさわしい行事をたくさんやっておりますので、この「スポーツの日」が、いわゆるオリンピック記念の十月十日という日が「体育の日」ということにきまりますならば、われわれは、現在スポーツ振興法によって定められ、また現在やっておりますこのスポーツ振興の日の諸行事を大体「体育の日」に移し、さらに体育にふさわしい行事を進めるようにいたしたいと考えております。(拍手)   〔国務大臣安井謙君登壇
  54. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 二月十一日が皇室の行事に関係のある日であり、また、これに対して世論をどういう程度に慎重に調査しておるかというお問いに対して御答弁いたしますが、祝日の中で皇室の行事を対象にしておる祝日は今日でもたくさんあるのでございます。一月一日、四月二十九日の天皇誕生日、あるいは春分、秋分の日、あるいは勤労感謝の新嘗祭、こういったように、現在でもすでにこの皇室の行事と非常に関連のあるものを採用しておりまして、特に二月十一日をとったからといって、それが格別復古主義とかなんとかいうことには当たるまいと考えております。  なお、世論調査の件でございまするが、昭和二十三年にこの祝日をきめようというときに、世論調査をいたしました際も、第一位は一月一日、第二位が四月二十九日の天皇誕生の日、第三位が二月十一日建国の日、以下十何位までこれは国民投票でも出ておるわけでございます。しかも、当時NHKで調査をいたしました数字によりましても、紀元節があるほうがいいというのが八七%、二月十一日がよいというのが七三%、なくてもいいというのは四・五%といったような数字が出ております。なお、最近の数字によりましても、やはり二月十一日がよろしいと断定をされておりますのが五八・二%、反対といいますのが七・八%。ことしになりましても、同じく五七・六%が賛成、こういうふうに相なっておるわけでございます。また、ある女子大学の統計をとりましたのでは、九〇%は賛成、しかも、二月十一日が戦争と関係はない、こう言い切っておるのが、そのうち七〇%あるといったような点でございまして、私どもはその他有識者、学者の説それぞれも慎重に検討いたしております。個人によりましてはいろいろな御説もございますが、やはり国民の世論の大数に従うのが、一番すなおで正しい態度であろうと私どもは思っております。(拍手)   〔国務大臣小平久雄君登壇
  55. 小平久雄

    国務大臣(小平久雄君) 私に対する御質問の趣旨は、休日がふえても喜ぶのはホワイトカラーだけで、ブルーカラーのほうは、むしろ収入減になるので喜ばないのじゃないか、どうしてその収入を確保し、生活を確保するかという御趣旨と思います。もちろん、祝日が作業上休日であり、しかも、日給である場合には、原則として給料が払われないということでございましょうが、そういうことになれば、もちろんこれは収入が減ります。しかしながら、現実は一体どういうことになっておるかということにつきまして、やや古いのでありますが、昭和三十八年に労働省で調査をしたことがございます。これは全国で千三百余の工場、事業場について調べたのでございますが、これによりますると、休日を有給制にいたしておりますものが四九・五%、それから無給制のものが四二・八%、それから一部有給制をとっておりますものが九・九%、こういうことでございまして、私は、これは三十八年の調査でございますから、今日におきましてはもう少し有給制がふえておるのではないかと思っております。これは推測でございますが、いずれにいたしましても、大半のものは休日も有給制をとっておる、こういうことでございますから、祝日がふえましても大半の者が減収にはならない、こういう結果になると思うのであります。もとより、この休日を有給制にするかどうかということは、労使間できめらるべき筋合いではございますが、せっかく休日がふえるのでございますから、あるいは祝日がふえるのでございますから、労働省としましては、実情に即しながら、なるべく有給制を採用するように指導しまして、労働者諸君もともども喜べるようにひとつ指導したい、かように考えております。(拍手)   〔国務大臣鈴木善幸君登壇
  56. 鈴木善幸

    国務大臣(鈴木善幸君) お答えいたします。  長年社会の進展に寄与いたしました先覚者としまして、老人の方々に対しまして敬愛の情を示すということは、国民感情として当然のことだと思うのであります。この意味におきまして、従来から「としよりの日」としてやってまいりましたところの九月十五日を国民の祝日にいたしますことによりまして、さらに国民の間に老人福祉の念を深める、そういう関心と理解を高めますと同時に、また一般国民の老後に対する自覚を促すということは、きわめて意義深いことだと思うのでございます。また、この敬老の日を祝日にすることにつきましては、御老人の方々だけでなしに、国民各層が強く要望しておるところでございます。(拍手
  57. 園田直

    ○副議長(園田直君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  58. 園田直

    ○副議長(園田直君) 本日は、これにて散会いたします。    午後六時六分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         法 務 大 臣 石井光次郎君         外 務 大 臣 椎名悦三郎君         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君         文 部 大 臣 中村 梅吉君         厚 生 大 臣 鈴木 善幸君         通商産業大臣  三木 武夫君         労 働 大 臣 小平 久雄君         自 治 大 臣 永山 忠則君         国 務 大 臣 藤山愛一郎君         国 務 大 臣 安井  謙君  出席政府委員         内閣官房内閣審         議室長兼内閣総         理大臣官房審議         室長      高柳 忠夫君         内閣法制局長官 高辻 正巳君      ————◇—————