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1966-03-10 第51回国会 衆議院 本会議 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月十日(木曜日)     —————————————  議事日程 第十二号   昭和四十一年三月十日    午後二時開議  第一 農業近代化助成資金設置に関する法律   の一部を改正する法律案内閣提出)  第二 海岸法の一部を改正する法律案内閣提   出)  第三 国立養護教諭養成所設置法の一部を改正   する法律案内閣提出)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  議員請暇の件  国土開発縦貫自動車道建設審議会委員選挙  海外移住審議会委員任命につき国会法第三十九   条但書規定により議決を求めるの件  在外財産問題審議会委員任命につき国会法第三   十九条但書規定により議決を求めるの件  国立近代美術館評議員会評議員任命につき国会   法第三十九条但書規定により議決を求める   の件  蚕糸業振興審議会委員任命につき国会法第三十   九条但書規定により議決を求めるの件  日程第一 農業近代化助成資金設置に関する   法律の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第二 海岸法の一部を改正する法律案(内   閣提出)  日程第三 国立養護教諭養成所設置法の一部を   改正する法律案内閣提出)  児童扶養手当法の一部を改正する法律案内閣   提出)及び重度精神薄弱児扶養手当法の一部   を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明及   び質疑  関税定率法の一部を改正する法律案内閣提   出)、関税暫定措置法の一部を改正する法律   案(内閣提出)、関税法等の一部を改正する   法律案内閣提出)及び関税法等の一部を改   正する法律の施行に伴う関係法律整備等に   関する法律案内閣提出)の趣旨説明及び質   疑    午後二時十六分開議
  2. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————  議員請暇の件
  3. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) おはかりいたします。  議員山本幸一君、同大村邦夫君及び同肥田次郎君から、海外旅行のため、三月十三日から四月五日まで二十四日間、議員地崎宇三郎君から、海外旅行のため、三月二十六日から四月三十日まで三十六日間、右いずれも請暇申し出があります。これを許可するに御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。      ————◇—————  国土開発縦貫自動車道建設審議会委員選挙
  5. 山口喜久一郎

  6. 海部俊樹

    海部俊樹君 国土開発縦貫自動車道建設審議会委員選挙は、その手続を省略して、議長において指名されんことを望みます。
  7. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 海部俊樹君の動議に御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 御異議なしと認めます。  議長は、国土開発縦貫自動車道建設審議会委員小松幹君を指名いたします。      ————◇—————  海外移住審議会委員任命につき国会法第三十九条但書規定により議決を求めるの件  在外財産問題審議会委員任命につき国会法第三十九条但書規定により議決を求めるの件  国立近代美術館評議員会評議員任命につき国会法第三十九条但書規定により議決を求めるの件  蚕糸業振興審議会委員任命につき国会法第三十九条但書規定により議決を求めるの件
  9. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) おはかりいたします。  内閣から、海外移住審議会委員に本院議員千葉三郎君を、在外財産問題審議会委員に本院議員中野四郎君を、国立近代美術館評議員会評議員に本院議員稲葉修君、同松本七郎君、参議院議員林屋亀次郎君を、蚕糸業振興審議会委員に本院議員小川平二君、同小渕恵三君、同金丸徳重君、同坂村吉正君、同高田富之君、参議院議員木暮武太夫君、同中村英男君、同八木一郎君を任命するため、それぞれ国会法第三十九条但書規定により本院の議決を得たいとの申し出があります。右申し出のとおりに御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。      ————◇—————  日程第一 農業近代化助成資金設置に関す   る法律の一部を改正する法律案内閣提出
  11. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 日程第一、農業近代化助成資金設置に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。     —————————————   農業近代化助成資金設置に関する法律の一部を改正する法律案  右  国会提出する。   昭和四十一年二月七日          内閣総理大臣 佐藤 榮作     —————————————    農業近代化助成資金設置に関する法律の一部を改正する法律  農業近代化助成資金設置に関する法律昭和三十六年法律第二百三号)の一部を次のように改正する。  附則中第二項を第三項とし、第一項の次に次の一項を加える。2 政府は、昭和四十一年度において、資金から一般会計歳出財源に充てるための繰入れをすることができるものとし、同年度末における資金の額は、十億円とする。    附 則  この法律は、昭和四十一年四月一日から施行する。     …………………………………      理 由  昭和四十一年度において、農業近代化助成資金から一般会計歳出財源に充てるための繰入れをすることができるものとし、同年度末の同資金の額を十億円とする必要がある。これが、この法律案提出する理由である。     —————————————
  12. 山口喜久一郎

  13. 三池信

    三池信君 ただいま議題となりました農業近代化助成資金設置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、大蔵委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  農業近代化助成資金は、農業経営近代化をはかるため、農業協同組合等いわゆる系統金融機関農業者等に対して長期かつ低利の施設資金等を貸し付けた場合において、都道府県が当該農業協同組合等利子補給を行なうのに必要な経費を国が補助するための財源を確保する目的で、一般会計所属資金として、昭和三十六年度に創設されたものであります。この資金には、一般会計からの繰り入れ金、及びこれを資金運用部に預託することにより生ずる利子をもって充て、その利子のうちから利子補給補助に必要な金額一般会計に繰り入れて支出してまいりました。  ところが、昭和四十一年度におきましては、公債をも発行して所要の財源を調達しなければならないような財政事情でありますので、この資金のうち、十億円を留保した上、その残余約二百八十一億円を一般会計歳出財源に充てるため取りくずすことといたそうとするものであります。  なお、農業近代化資金利子補給補助につきましては、一般会計一般財源により十分これを確保し、今後の農業近代化資金の融通に支障がないよう措置することといたしております。  本案につきましては、審査の結果、去る八日、質疑を終了し、直ちに討論に入りましたところ、日本社会党を代表して平林剛委員より、今回財政上の理由から近代化助成資金十億円を残して他を一般会計に繰り入れてしまったという措置は、近代化助成資金制度が設けられたときの考え方から著しい後退を示したものであり、また、利子補給等措置で実質的な目的は達せられると言われるが、この制度そのものは不安定な要素を加えるに至ったとして、本案に反対の旨の意見が述べられました。  次いで、採決いたしましたところ、本案は多数をもって原案のとおり可決となりました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  14. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 採決いたします。  本案委員長報告可決であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立
  15. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第二 海岸法の一部を改正する法律案内閣提出
  16. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 日程第二、海岸法の一部を改正する法律案議題といたします。     —————————————   海岸法の一部を改正する法律案  右  国会提出する。   昭和四十一年二月二日           内閣総理大臣 佐藤 榮作     —————————————    海岸法の一部を改正する法律  海岸法昭和三十一年法律第百一号)の一部を次のように改正する。  第二十六条第一項に次のただし書を加える。   ただし、政令で定める地域に係る海岸保全区域において施行するものに要する費用は、国がその三分の二を、当該海岸管理者の属する地方公共団体がその三分の一を負担するものとする。    附 則1 この法律は、昭和四十一年四月一日から施行する。2 昭和四十年度以前の年度予算に係る負担金に係る経費金額昭和四十一年度以降に繰り越されたものに係る海岸保全施設の新設、改良又は災害復旧に要する費用についての国及び海岸管理者の属する地方公共団体負担の割合については、改正後の海岸法第二十六条第一項ただし書の規定にかかわらず、なお従前の例による。     …………………………………      理 由  一定地域における直轄の海岸保全施設に関する工事に要する費用についての国の負担率引き上げることにより、その工事を促進する必要がある。これが、この法律案提出する理由である。     —————————————
  17. 山口喜久一郎

  18. 田村元

    田村元君 ただいま議題となりました海岸法の一部を改正する法律案につきまして、建設委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、臨海地域における国土保全開発緊要性にかんがみ、政令で定める一定地域において主務大臣海岸管理者にかわってみずから施行する海岸保全施設に関する工事に要する費用について、国の負担率現行の二分の一から三分の二に引き上げることにより、工事を促進し、もって海岸事業を積極的に推進することをその内容とするものであります。  本法案は、去る二月二日本委員会に付託され、二月二十三日提案理由説明を聴取し、自来慎重に審査を進めてまいったのでございますが、審査の詳細は会議録に譲ることといたします。  かくて、三月四日質疑を終了し、三月九日、討論を省略して直ちに採決いたしましたところ、本法案全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決定いたした次第であります。  なお、本法案には、自由民主党、日本社会党及び民主社会党を代表して井原岸高君より、附帯決議を付すべしとの動議提出され、全会一致をもって可決せられました。附帯決議内容は、海岸事業長期計画、国の負担率海岸行政の一元化に関するものでありますが、その詳細は会議録に譲ることといたします。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  19. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 採決いたします。  本案委員長報告のとおり決するに御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日税第三 国立養護教諭養成所設置法の一部を改正する法律案内閣提出
  21. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 日程第三、国立養護教諭養成所設置法の一部を改正する法律案議題といたします。     —————————————   国立養護教諭養成所設置法の一部を改正する法律案  右  国会提出する。   昭和四十一年一月三十一日          内閣総理大臣 佐藤 榮作     —————————————    国立養護教諭養成所設置法の一部を改正する法律  国立養護教諭養成所設置法昭和四十年法律第十六号)の一部を次のように改正する。  第二条第二項の表北海道学芸大学養護教諭養成所の項の次に次のように加える。   弘前大学養護教   諭養成所    青森県  弘前大学   大阪学芸大学養   護教諭養成所  大阪府  大阪学芸大学  第二条第二項の表岡山大学養護教諭養成所の項の次に次のように加える。   熊本大学養護教   諭養成所    熊本県  熊本大学    附 則  この法律は、昭和四十一年四月一日から施行する。     …………………………………      理 由  弘前大学養護教諭養成所ほか二国立養護教諭養成所設置する必要がある。これが、この法律案提出する理由である。     —————————————
  22. 山口喜久一郎

  23. 八田貞義

    八田貞義君 ただいま議題となりました法律案につきまして、文教委員会における審査経過とその結果を御報告申し上げます。  本案の要旨は、弘前大学養護教諭養成所ほか二つの国立養護教諭養成所設置し、昭和四十一年四月一日から施行することであります。  本案は、去る一月三十一日内閣から本院に提出され、同日当委員会に付託、二月十八日政府より提案理由説明を聴取いたしました。以来慎重に審査いたしましたが、その詳細は会議によって御承知を願います。  かくて、三月九日、本案に対する質疑を終了し、討論通告がないため直ちに採決に入りましたところ、本案全会一致をもって原案のとおり可決されました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  24. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 採決いたします。  本案委員長報告のとおり決するに御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  児童扶養手当法の一部を改正する法律案内閣提出)及び重度精神薄弱児扶養手当法の一部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明
  26. 山口喜久一郎

  27. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 児童扶養手当法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  児童扶養手当制度は、発足後四年余りを経過し、今日まで手当額引き上げ支給制限緩和等改善が行なわれてまいりましたが、今回、さらに内容充実をはかるため、手当額引き上げ所得による支給制限緩和等を行なうことによりまして、制度改正をはかることといたしたものであります。  以下、改正案のおもな内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、手当額引き上げでございますが、その月額を、児童一人の場合には現行千二百円であるのを千四百円に、児童二人の場合には現行の千九百円を二千百円に、児童三人以上の場合には、現行では千九百円に三人以上の児童一人につき四百円を加算することとなっているのを、二千百円に三人以上の児童一人につき四百円を加算することといたしたのであります。  第二に、支給制限緩和でございますが、受給資格者本人所得による手当支給制限限度額を二十二万円から二十四万円に引き上げるとともに、受給資格者扶養義務者所得による支給制限基準額を七十一万六千円から八十一万八千円に引き上げ配偶者所得による支給制限をこれに吸収することといたしたものでございます。  最後に、実施の時期につきましては、手当額引き上げに関する事項昭和四十二年一月分から、支給制限緩和に関する事項昭和四十一年五月分から、それぞれ施行することといたしております。  以上が児童扶養手当法の一部を改正する法律案趣旨でございます。  次に、重度精神薄弱児扶養手当法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。  重度精神薄弱児扶養手当制度は、一昨年発足し、昨年の改正によりその内容改善を見たところでありますが、重度精神薄弱児と同様の状態にある身体重度障害のある児童の現状を考慮するとき、これらの児童にも手当支給する必要が痛感される次第であります。したがいまして、今回の改正案は、身体重度障害を有する児童に新たに手当支給することとし、なお、所得による支給制限緩和を行なうことにより、制度改正をはかることとしたものであります。  以下、改正案のおもな内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、法律の題名でございますが、今回新たに身体重度障害を有する児童につきましても手当支給することとしておりますことを勘案いたしまして、従来の重度精神薄弱児扶養手当法特別児童扶養手当法に改めることといたしたものでございます。  第二に、支給対象となる児童につきまして、従来の重度精神薄弱児に加えて、新たに、身体重度障害を有する児童に対しましても、児童一人につき月額千二百円の手当支給することとし、手当の名称を特別児童扶養手当に改めたのでございます。  第三に、支給制限緩和でございますが、受給資格者本人所得による手当支給制限限度額を二十二万円から二十四万円に引き上げるとともに、受給資格者扶養義務者所得による支給制限基準額を七十一万六千円から八十一万八千円に引き上げ配偶者所得による支給制限をこれに吸収することといたしたものでございます。  最後に、実施の時期につきましては、身体重度障害を有する児童に対する手当支給に関する事項昭和四十一年九月分から、支給制限緩和に関する事項は同年五月分から、それぞれ施行することといたしております。  以上が重度精神薄弱児扶養手当法の一部を改正する法律案趣旨でございます。(拍手)      ————◇—————  児童扶養手当法の一部を改正する法律案内閣提出)及び重度精神薄弱児扶養手当法の一部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
  28. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) ただいまの趣旨説明に対して質疑通告があります。これを許します。伊藤よし子君。   〔伊藤よし子登壇
  29. 伊藤よし子

    伊藤よし子君 私は、ただいま御提案になりました児童扶養手当法の一部を改正する法律案並びに重度精神薄弱児扶養手当法の一部を改正する法律案につきまして、日本社会党を代表して、総理並びに関係大臣に若干の御質問を申し上げたいと存じます。(拍手)  まず第一に、総理大臣にお伺いしたいのでございますが、四十一年度予算は、総額四兆三千百億円の一般会計予算と、二兆三百億円の財政投融資という、戦後初めての国債をかかえての大型積極財政規模でございまして、これによって不況を克服し、経済を立て直すのだと総理は御説明になっております。この全体の予算の批判はすでに予算委員会等で多くの委員からされておりますので、私はいまここでその点に触れようとは存じませんが、ただ一点、このような大型予算の中に占める社会保障関係費につきまして申し上げたいと存じます。  総額六千二百十七億円の社会保障関係費の対前年度伸び率は二〇・五%で、全体の予算伸びが一七・九%に対して、厚生省関係などでは、でき過ぎた感もある明年度予算と自賛しておられる向きもあるやに承っておりますが、私の見るところ、社会保険関係の赤字を埋める費用に相当食われ、真の社会保障の前進のために使われる費用は微々たるものにすぎないではないかと思います。特に私が御指摘申し上げたいのは、総予算の中に占める社会福祉関係費用でございまして、その比率はここ数年来少しも伸びておりません。これら社会福祉関係対象となる人々は、総理施政方針演説の中のおことばをかりれば、経済の発展から取り残され、減税の利益にも浴さない階層の人々であり、貧困に苦しみ、老齢や病気や心身障害に悩んでいる、いわば社会の谷間にある人々で、これに対しあたたかい充実した援護の手を差し伸べることが肝要だと総理も言っておられますが、私もまことにそのとおりだと考えます。ところが、総理のそのおことばにもかかわらず、ただいま申し上げましたような膨大なる四十一年度予算の中に占める社会福祉関係費は、総額もわずかであり、一向に伸展しておりません。最近の相次ぐ物価高の中で、一番きびしい影響を受け、生活にあえいでいる母子家庭をはじめ、社会福祉関係対象者に対する施策は、この際何よりも優先して充実強化をはかることこそ、現在当面のやらなければならない政治的な課題だと考えるのでございますが、この点総理はいかにお考えになっておりますか。(拍手)この程度の社会福祉関係費で足れりとお考えでございますか、この点総理の御所信を承りたいと存じます。  また、ただいま御提案になりました法案につきまして、重症心身障害児の問題でございますが、三年前、御自分でも身障児を持たれる作家の水上勉氏が、例の「拝啓池田総理大臣殿」という公開状を発表されて、わが国のたいへんおくれております心身障害児対策の立ちおくれをきびしく批判されたのをきっかけに、あらためて国民の注目をひくようになり、今回、佐藤内閣におかれましても、この重症心身障害児対策重点施策一つとして、施政方針演説の中にもお取り上げになっておられるのでございますけれども、本年一月初め、まだ松のとれない、正月の気分も抜けないときに、静岡県下におきまして、生まれながらの脳性麻痺のために口もきけず手足も不自由な寝たきりの十三歳の一人むすこを、父親が思い余って絞殺し、自分も自殺をはかったという悲劇が新聞に載りましたことは、総理も御存じのとおりだと存じます。このような破局的な事件にまで至らなくとも、重症障害児を持つために崩壊寸前状態にある家庭は少なくないと思います。いまや重症心身障害児の問題は大きな社会問題ともなっております。  そこで、このような重症心身障害児全国で一万七千余いると推定されておりますが、これらの重症児やその家族を救うには、当面何をおいてもその保護収容施設をふやすことが急務と考えます。ところが、現在あるのは全国でわずかに三カ所、収容定員も三百人余にすぎません。今回の四十一年度予算では、国立収容所を十一カ所新設される御予定のようでございますけれども、もしその全部がフルに実現いたしましても、わずかに五百二十ベッドにすぎず、一万数千人といわれる要収容児に対しては、焼け石に水にすぎません。もちろん私もこれらの重症児が一年や二年で全部収容できるとは考えませんが、この際、年次計画でもお立てになって、順次収容できるような対策を立てることが私は必要だと考えるのでございますけれども、四十一年度重点施策一つにも取り上げられております重症心身障害児対策を、総理は全体としてどのように把握し、また今後どのように取り組もうとお考えになっておりますか、特にこの点総理の御所信を承りたいと存じます。  次に、法案に入りまして、今回の御改正は、従来ありました重度精神薄弱児扶養手当法を、重度障害児にまで支給の範囲を広げるものでございまして、この点私たちももちろん異論はございませんが、問題は、その手当支給の額でございます。従来の月千二百円という額があまりにも少ない上に、しかも他の手当等が今日引き上げられようとしていますのに、なぜこれだけは従来と同じ千二百円に据え置かれるのか、私には納得ができないのでございます。(拍手)激しい物価上昇のおりから、これでは実質的には支給の額が下げられたと同様になると思います。この点いかにお考えになりますか、厚生大臣のお考えを伺いたいと存じます。  また、母子福祉年金等との併給も許されていないようでございますが、それでは、母子家庭などで重症心身障害児を持っている場合、何らこの手当の恩恵を受けないことになり、まことに不合理きわまりないと思います。また、この種の手当の性質上、受給制限が福祉年金等と同様にきびしくされていることは、社会保障制度審議会の答申にも指摘されているところでございまして、たいへん大きな問題のあるところだと考えます。この点いかにお考えになっておりますか、あわせて厚生大臣のお考えを伺いたいと存じます。  いま一つは、この際特に厚生大臣に伺いたいのでございますけれども、先ほど申し上げましたように、重症心身障害児対策としては、何よりもまず収容施設をたくさんつくることが一番大切でありますが、その点では、来年度十一カ所の国立収容所が新設されることは少なくとも一歩前進だと考えます。しかし、一月十八日の朝日新聞に出ておりましたように、重度身障児施設として有名でございますびわこ学園に、今度第二びわこ学園が新築されたのでございますが、その看護婦が集まらないで、新収容児ゼロで開園をされた、これでは宝の持ちぐされで、せっかくの四十一年度予算による全国十一カ所の収容施設新設分も、運営の面で結局は絵にかいたもちになりはしないかと関係方面をたいへん心配させているという記事が載っておりましたけれども、私も同様な心配を抱くものでございまして、せっかくりっぱな施設ができましても、それが生かされて運営されるには、一にかかって人の問題であると思います。その中で働く職員の確保なしには、これは不可能でございます。この点、すべての福祉関係の諸施設にも共通の問題でございますけれども、特に重症心身障害児の場合には、普通児ならば親でもやらないような世話までしなければなりません。このような職員の労苦に対して、それにふさわしい待遇を保障することが、何よりも私は職員確保の中心になる問題点だと思うのでございます。そして、定員をふやして、交代が十分にとれるように配慮が必要だと考えます。また、そうした専門の職員の養成も、非常に現在足らないのでございますけれども、大切な点だと思いますが、これらの点を含めて、どのような対策をお考えになっておりますか、お伺いをしたいと存じます。  また、現在ある重症児対策とともに、このような不幸な心身障害児の発生を未然に防ぐ対策もぜひやらなければならない施策だと考えます。今日、心身障害児の発生の原因はまだつまびらかではございませんが、専門家の一致した意見によれば、胎児、乳児期の母親や子供の何らかの障害によるものが多いとされております。この時期の母子の心身両面にわたる保健衛生対策こそ、重症児の出現を防ぐ重要なかぎだといわれております。その意味で、昨年制定されました母子保健法などの充実強化とともに、医学的な立場からの重症心身障害児の発生原因を徹底的に究明する努力がされなければならないと考えるのでございますが、この点について厚生大臣はいかにお考えになっておりますか、お伺いしたいと思います。  なお、最近、社会問題としてもたいへん問題になっております心身障害者——児を含めての障害者のコロニーの設置の問題は、世のおかあさん方の切なる悲願でございますが、このようなコロニーの問題についてどのような対策がとられておりますか、これもあわせてお伺いしたいと存じます。(拍手)  次に、児童扶養手当法の一部改正について御輿間申し上げたいと存じますが、この法案は、母子福祉年金が夫に死別した者に支給されるのに対して、生別の母子世帯に支給されるものでございまして、母子福祉年金が明年度からは月現在の千五百円から千七百円に引き上げられるのに対しまして、この扶養手当法のほうは、ただいま御説明がございましたように、上げられても千四百円にすぎません。この点、社会保障制度審議会の答申にも、母子福祉年金と同額に引き上げよとありますのに、なぜお引き上げになりませんでしたのか。生別と死別とにかかわらず、母子家庭には変わりはございません。この点はぜひ母子福祉年金とせめて同額に引き上げるべきだと考えますが、厚生大臣はどのようにお考えになっておりますか、お伺いしたいと思います。(拍手)  なお、私は、この際ついでながら文部大臣にお伺いしたいのでございますけれども、現在義務教育の対象となっている児童のうち、特殊学級を設けて教育をする必要のある児童の数は現在どれだけあって、現状はどのようになっているか、お伺いしたいと思います。また、養護学校に入れる必要があると認められる児童は全体として何人ぐらいございますか、それに対して現状はどうなっておりますか、幾つ全国に養護学校がありますか、どれだけこれらの児童に教育が与えられているか、この点お伺いしたいと存じます。  私がこれをお尋ねいたしますのは、現在全国に七十万ともいわれるようなこれらの特殊教育の対象となる児童に対し、文教行政と厚生行政の谷間にあって、どちらからも顧みられないで取り残されている児童がまだ多数にあるではないかと考えるからでございます。この点については、文部省と厚生省との緊密なる連絡のもとに、それら対象児童が国の行政から落ちこぼれないように格段の御努力を願わなければならないと考えるわけでございますが、この点については、文部、厚生両大臣から、いかにお考えになっておりますか、お伺いをしたいと存じます。  その他にも、私は、十八歳以上の重症心身障害者の問題とか、いろいろお伺いしたい点がございますけれども、時間もまいりましたので、これは委員会であらためて御質問を申し上げることにいたしまして私の質問を終わるわけでございますが、最後に、いまや大きな社会問題化している重症心身障害児対策並びに物価上昇のためにあえいでいる社会福祉関係対象者に対して、この際政府が、ただ経済政策だけをおとりになればいい、不況さえ打開すればいいということではなくて、こうした不幸なる人たちに対しまして力強い、あたたかい対策をお立ていただきますように、私は、全国の不幸なる子供を持たれるおかあさん方にかわりまして強く政府に御要望を申し上げまして、本日の質問を終わりたいと存じます。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作登壇
  30. 佐藤榮作

    内閣総理大臣佐藤榮作君) お答えいたします。  私からお答えするのは二点であります。  まず、その第一は、社会保障、ことに社会福祉費が全体の予算のうちに占むる割合がたいへん小さいじゃないか、ことに、この際積極的な大型予算を組んだにしては、どうもこれらについての配慮が足らない、かようなお話でございます。この点につきまして、私が申し上げるまでもなく、国民の生活を守り、向上させ、安心して生活ができるようにする、これが政治であると、かようにもいわれております。この意味で、いわゆる福祉国家の建設ということが叫ばれておるのであります。そういう意味から、政府は、予算編成にあたりましては、必ずこの社会保障費、これがどうなるかということで十分注意いたしておるのであります。ただいまも御指摘にありましたように、本年は六千二百十七億を計上しておる。この額が非常に多いと私は申しません。しかし、非常に寡少だ、かようなものでもないだろう。かように私は考えるのであります。また、福祉費といたしまして、ことしは五百十一億が計上されております。この金額もまた、たいへん実情等から見ますると不十分だ、かような御批判はあろうかと思いますが、先ほど申しますような福祉国家建設、このために私どもも最善の努力をするつもりでございますので、今後とも、社会保障費あるいは社会福祉費、これらの充実をはかっていくように最善の努力をするつもりでございます。  次に、重度心身障害者に対する対策の基本的態度であります。考え方であります。御指摘のとおりに、ただいまこれは社会問題であり、同時にそれが政治問題に発展をしておるわけであります。今日までのところ、この重症心身障害者に対しての施設としては見るべきものがございません。ことに、御指摘にありましたように、その収容施設はまことに不十分であります。この収容施設を中心にいたしまして整備をはかっていくというのが私どもの考え方であります。その中には、お話にありましたように、コロニーの設置につきましても、いろいろ準備を進めていく考えでございます。  その他の点については関係大臣からお答えをいたします。(拍手)   〔国務大臣鈴木善幸登壇
  31. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 今回児童扶養手当法改正いたしまして、従来重度精薄児だけに支給されておりましたものを、受給範囲を広げまして、重症の心身障害児重度の肢体不自由児、こういうお気の毒なお子さん方全体にこの扶養手当を広げた次第でございます。  ただ、ここで私どもは、金額につきましては、今回初めての受給範囲の拡大でございましたので、所得制限の緩和と範囲の拡大ということに重点を置きまして、支給額の引き上げにつきましては漸次これを充実してまいる所存でございます。また、この手当は、いわば精神や身体障害を持っておる子供の介護費の一部を補てんする、こういう性質のものでございますので、これに対するところの所得制限というようなものは、漸次この制限を緩和する方向で努力をしてまいる考えでございます。  次に、こういう施設で働いております職員の方の待遇改善の問題は、きわめて重要な問題でございます。そこで、政府といたしましては、施設の運営費の補助を中心といたしまして、これの改善をはかる考えでございまして、児童一人当たりに換算して昭和四十年度に三十七万一千円でありましたものを、四十一年度には四十七万六千円に増額をはかることにいたしておるのであります。なお、収容施設職員の特別調整額につきましては、ただいま人事院と厚生省でいろいろ検討を進めておるのでありまして、できるだけ早い機会にこれを実施してまいりたいと考えております。  児童扶養手当金額をなぜ母子福祉年金やその他の手当と同じように引き上げないかというお尋ねでございますが、この児童扶養手当制度は、お話もありましたように、生別の母子世帯を対象としたものでございまして、子供さん一人一人についての扶養手当でございます。母子福祉年金の場合におきましては、母と子の生活を保障する、こういう目的でできておりますので、必ずしも金額は一致すべきものとは考えておりませんが、答申の趣旨もございますので、今後十分検討してまいりたいと考えます。  なお、次に、こういう精薄児であるとか、あるいは重症心身障害児のような気の毒な子供さんが生まれないように十分予防対策をすべきではないかという御意見は、全くそのとおりでございまして、政府におきましても、一月一日に公布されました母子保健法を中心といたしまして、母体、妊産婦の健康の管理、あるいは栄養の確保の問題、新生児、乳幼児の心身健全化の施策を強力に進めまして、そして、妊娠中毒等によるこういう精薄児等が生まれませんように、早期に発見をし、治療を進める所存でございます。  また、コロニーの建設につきましては、国立でとりあえず一カ所これを設置することを計画いたしまして、コロニー懇談会を開きまして、各界の御意見を伺いまして、ただいま準備を進めておるのでありまして、この年度内に、三月中にその候補地を決定いたしまして、明年度調査費も計上いたしておりますので、建設の準備を促進いたしたいと存じております。(拍手)   〔国務大臣中村梅吉君登壇
  32. 中村梅吉

    国務大臣(中村梅吉君) 伊藤さんの御質問にお答え申し上げます。  第一点は、心身障害児で学齢該当の子供さんはどのくらいあるか、数及び現状はどうなっておるか、こういう点でございます。この数の問題は、とり方でいろいろになります。たとえば、目が少し弱視である、あるいは耳が遠いという程度の子供さん等ありますが、私ども文部省としましては、各市町村教育委員会の協力といいますか、集計をしてもらいまして、一般小中学校の普通学校で普通の生徒と一緒に学ぶということは無理があるという程度のものを集計しておりますが、この数が大体九十六万人ぐらいに達しております。その中で、特殊学級あるいは特殊学校、養護学校等の専門のそういう機関に学んでおります者が現在約一二%でございます。鋭意この範囲を拡大して、普通教室で勉強するのは無理であるというような子供さんは、できるだけ全部養護学級あるいは特殊学校に収容するようにいたしたいということで、努力を続けておる次第でございます。現状は、特殊学級が現在八千五百学級でございますが、本年度さらに一千学級の増を計画いたしております。  また、肢体不自由児の学校は、県単位に、一校は県の責任で設けてもらうように推進をいたしまして、本年十六校つくる、十六県残っておりますが、この十六校で、全国の各都道府県に少なくとも一校は県立の養護学校ができる、こういうことに相なる次第でございますが、さらに、先ほど申し上げたように、現在は一二%程度でございまして、程度の高い者だけが収容されておるという状態でございますから、一般生徒児童と勉強をともにすることの不便のあるような障害児は、つとめて特殊学級をふやし、あるいは特殊の養護学校をふやしまして、こういうところに収容していくようにいたしたい。また、養護学校の高等部におきましては、こういう肢体不自由児その他故障のある子供さんが学業を終わってから職業につけるようにということを配慮いたしまして、今年度から三十六課程ほどの課程を新設いたしまして、高等部では学業が終わりましたら職業につけるような職業教育を並行してやっていこうという努力を実はいたしておるような次第でございます。その他就学の援助あるいは教員の養成も非常に大事でございますので、本年九課程新しく設けまして、教員をまず増強することにもつとめたい、かように存じておる次第でございます。  なお一点、重症児と、こういうまだ学業ができる子供さんとの間の谷間はないか、こういう御指摘でございましたが、この点につきましては、専門家の判断を受けまして、厚生省とも緊密に連絡をいたしまして、どうしても厚生省で受け持ってもらわなければならない重症児は、重症児として判定をいたしまして、現在のところ谷間はないように努力をしておる次第でございます。なおしかし、手落ちの点もあるかもしれませんから、今後こういう点につきましては十分注意を払ってまいりたいと思います。(拍手
  33. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————  関税定率法の一部を改正する法律案内閣提出)、関税暫定措置法の一部を改正する法律案内閣提出)、関税法等の一部を改正する法律案内閣提出)及び関税法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律整備等に関する法律案内閣提出)の趣旨説明
  34. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 次に、内閣提出関税定率法の一部を改正する法律案関税暫定措置法の一部を改正する法律案関税法等の一部を改正する法律案、及び関税法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律整備等に関する法律案趣旨説明を求めます。大蔵大臣福田赳夫君。   〔国務大臣福田赳夫君登壇
  35. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 関税定率法の一部を改正する法律案関税暫定措置法の一部を改正する法律案関税法等の一部を改正する法律案、及び関税法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律整備等に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、関税定率法の一部を改正する法律案につきまして、その大要を申し上げます。  第一は、関税率表における物品の分類のための品目表に関する条約に加入するため、関税率表の全面改正を行なうことであります。わが国はすでに昭和三十六年、この条約の品目表におおむね準拠した関税率表を採用しておりますが、今回のこの条約に正式に加入することとし、このため税表分類の整備を行なうものであります。なお、この分類の整備にあたっては、原則として税率には変更を加えないことといたしているのであります。  第二には、最近における経済情勢の変化に対応して、ノリ等五品目の関税率について所要の改正を行なうほか、砂糖の価格安定のため、輸入砂糖について、その価格が騰貴した特定の場合に、所要の関税の軽減または免除を行なうことができる規定を設けることといたしているのであります。  第三は、輸出振興対策の一環として保税工場の利用の促進をはかるため、保税工場におけるスポット輸出の場合の振替免税制度を創設することであります。すなわち、外国から急な引き合いがあり、輸入原料品により製造していては間に合わない場合、課税済み原料品または国産原料品を使用して製造した製品を輸出し、六カ月以内にそれに見合う原料品を輸入したときは、その関税を免除することとしたのであります。この制度は、関税法の改正において予定している保税制度の全面的な簡素合理化措置と相まって、保税制度の利用促進と輸出の振興に寄与するものと期待されます。  第四は、関税法等の一部を改正する法律案において、新たに申告納税制度を採用することといたしておりますことに伴い、関税の課税価格の規定につき、客観的基準を示して、申告納税に適したものに改めるほか、所要の規定の整備をはかることであります。  次に、関税暫定措置法の一部を改正する法律案につきまして、その大要を申し上げます。  第一は、最近の経済情勢の変化に対応し、関税の暫定税率の新設及び適用期限の延長等の改正を行ないますとともに、関税定率法別表の全面改正に合わせ、別表の全面改正を行なうことであります。  第二は、重要機械類の免税、肥料製造用揮発油等にかかる関税還付等、今年度末に期限の到来する関税の暫定免除及び還付制度について、適用期限をさらに一年延長することであります。  第三は、都市ガス製造用揮発油について、関税還付制度を新設することであります。ガス製造用原油につきましては、すでに免税制度実施しておりますが、最近、中小ガス事業者を中心にガス原料を揮発油に依存するものが増加している実情にかんがみ、このような措置をとることといたした次節であります。  次に、関税法等の一部を改正する法律案につきまして、その大要を申し上げます。  第一は、関税に申告納税方式を導入することであります。最近における貿易量の伸長には著しいものがありますが、これに対処して、輸入貨物の通関の促進等をはかるため、携帯品や郵便物に対する関税等特殊なものを除き、関税について申告納税制度を新たに採用することとするのであります。その方式は、原則として、内国税における申告納税方式に準ずるものとすることといたしておるのでありますが、通関の実情に即するよう所要の調整を加えることといたしておるのであります。また、トン税及び特別トン税につきましても、この際、申告納税制度に改めることといたしております。  第二は、保税制度の全面的な簡素合理化をはかることであります。まず、保税工場制度につきまして、抜本的な制度の簡素化、合理化を行ない、その利用の促進をはかることといたしております。保税工場制度は、輸出品についての関税負担の排除の方策として、広く各業界に利用されているのでありますが、今回の改正は、輸出振興に一そう寄与するものと期待されておるのであります。さらに、保税上屋及び保税倉庫についても、保税工場制度に準じ、制度の簡素合理化をはかることといたしております。  第三には、港湾造成の進展、地域開発の進捗等の状況にかんがみ、苫小牧港、直江津港、田子の浦港、蒲郡港、尾鷲港、福山港、三田尻中開港、高松港及び八代港の九港を新たに開港に追加するとともに、国際航空路線の発展に伴い、名古屋空港及び奄美空港を税関空港に追加指定することとしたのであります。  次に、関税法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律整備等に関する法律案につきまして、その大要を申し上げます。  この法律案は、ただいま御説明申し上げました関税法等の一部改正に伴い、輸入品に対する内国消費税の徴収等に関する法律その他の関係法律について所要の改正を行なうものであります。  すなわち、関税について申告納税制度を採用することに伴い、輸入品に対する内国消費税についても申告納税制度を採用し、輸入品に対する関税及び内国消費税の賦課徴収の手続等をできる限り一元化するとともに、保税工場制度の利用の促進をはかるための規定改正、その他関係法律について、所要の規定の整備をはかることといたしておるのであります。  以上、四法律案趣旨につきまして御説明申し上げた次第であります。(拍手)      ————◇—————  関税定率法の一部を改正する法律案内閣提出)、関税暫定措置法の一部を改正する法律案内閣提出)、関税法等の一部を改正する法律案内閣提出)及び関税法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律整備等に関する法律案内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
  36. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) ただいまの趣旨説明に対して質疑通告があります。これを許します。武藤山治君。   〔武藤山治君登壇
  37. 武藤山治

    ○武藤山治君 私は、日本社会党を代表して、ただいま趣旨説明のありました関税定率法の一部を改正する法律案外三案につき質疑をいたし、さらに、国際貿易、経済外交等について政府の見解をただしたいと存じます。  今回の改正は、国際価格の高騰に対処するため、銅、水銀の関税を無税とすること、砂糖関税を弾力化し、価格の高騰の際、引き下げあるいは免税ができることとするもの、後進国対策として第一次産品の関税を引き下げること、日韓条約締結に基づくノリの輸入を容易にするための関税引き下げ等々を中心にした税率の変更と、保税工場、保税上屋に貨物を出し入れする場合の手続の簡素化をはかり、さらに蔵置期間を一カ年から二カ年に延長して認めようとするものなどが改正の中心点であります。これらの法改正で具体的に輸出入にどのような変化が起こり得るのか、輸出振興のためと大蔵大臣はただいま説明をしたが、どんな内容のものがどの程度輸出振興として日本に利益をもたらすのか、具体的にお示しを願いたいのであります。  第二に、銅の不足と価格の高騰から、これが対策として関税を無税とするのでありますが、なぜいまごろ措置をするのか、私は政府の今日まで措置をとり得なかった怠慢を大いに責めなければならぬ気持ちであります。昨年臨時国会もあり、さらに十二月の通常国会もあったにもかかわらず、今日まで銅のこの緊急な事態を避けるために、なぜもっと早く法改正の手続がとれなかったのか、大蔵君は本案提出するそれだけの手続が、なぜ今日までとれなかったのか、その経緯についても明らかにしてもらいたいのであります。(拍手)  さらに、無税にすることにより、銅の輸入量は一体これからの需要に見合うだけ入ってくるのかどうか、その見通しと従来のものとの価格差、あるいは価格の推移が今後どうたどるであろうかという見通しについても明らかにせられたいのであります。  次に、銅価格は昨年の安値と比較すると二倍半の高騰を記録しております。このことは、国民生活、輸出産業、貨幣鋳造にまで悪影響を及ぼすことになっております。現在、電線メーカーは全国三百八十社、伸銅メーカーは百五十社あるといわれております。しかも、その多くは中小企業のため、原料不足と採算悪化で倒産の事態に直面しているものが多いと報じております。まことに困ったことであります。しかも、その原因がベトナム戦争の長期化にあるとあっては、戦争の罪悪をひしひしと身に感ぜざるを得ません。すなわち、ベトナム戦争用の薬きょうに使用する銅消費が増大し、消費財用に不足している現状であり、一体いっこの銅不足が解消するかわからない。すなわち、ベトナム戦争が続く限り銅の不足は解消しないのではないかと心配されているのであります。(拍手)戦争に無関係の日本の平和産業が戦争による被害を受けている姿は痛ましいといわなければなりません。政府は、四十一年度及びそれ以降の銅の需給をどう見積もられているか、ベトナムに戦争が続く限り不足の状況はやむを得ぬと考えているのか、不足分をどう埋めるつもりなのか、その方策を通産相にお尋ねいたしたいと思います。  さらに、変圧器、ふろがま、ラジエーター、テープレコーダー、電蓄等々銅を使用している商品が一斉に値上げされる傾向にあると伝えられております。銅不足から消費者の家庭にまで影響を与えるような今日の事態で、これらの商品の値上げを抑えることが可能であるかどうか、可能であるとするならば、通産省の行政指導の計画をお聞きしたい。  さらに、銅の国内生産は需要の三〇%程度で、大部分輸入にまたなければならないのが日本の実情であります。そのために、安定的に銅を手に入れる道を講じておかなければならないのは、ずっと昔から承知をしておるはずであります。政府は、そのためにも、現在までに海外経済協力基金からボリビア、チリなどの銅山開発に投資をしてきたはずであります。しかし、これらの海外経済協力基金の投資というものは、一体効果があがったのかどうか、非常に疑わしいのであります。  そこで、私は、企画庁長官にお尋ねいたしますが、現在までに海外の銅山開発に投資した金額はどのくらいに達するか、また、その成果は一体あったのか、あったとすれば、その程度はどうであったか。  さらに、私は、大蔵大臣に銅の問題でお尋ねをいたしますが、業界では、銅含有量九五%の十円銅貨をつぶせば一万二千トンの銅が回収できると、恨めしそうに十円玉をつぶすことを提案している向きも新聞は報じております。私たちは、戦時中、軽い十銭玉を経験したことがあります。ベトナム戦争のために、今日の重い十円玉もかつての軽い十銭玉のように変わらざるを得ないのかどうか、大蔵大臣、政府貨幣の発行責任を持つあなたとして、業界のこういううわさに対してどうお答えになられますか。  さらに、大蔵省の管轄でいま皇居の造営をいたしております。膨大な銅板を屋根に必要とする。ところが、銅がなくて皇居の造営工事は進捗をしないという実情にあるようであります。町では中小企業の戦争に関係のない業者から、上は皇居の造営に至るまで、銅不足で悩まされているというのが今日の姿であります。(拍手)一体、この皇居造営は、計画どおりにこれが完成をするであろうかどうか、大蔵省はこの銅の確保に対しての見通しをどう立てられておるか。  次に、今回ノリの関税引き下げが行なわれ、韓国のノリが多量に輸入されることになります。今回の措置で国産のノリとの間に価格はどうなるのか、消費者大衆に安いノリを供給することができるのか、日本国内の生産者を圧迫する心配のほうが大きいのか、今後の韓国ノリの輸入見通し並びに国内産業や消費者に対する影響、利害について明らかにせられたい。  次に、私は外務大臣にお尋ねをいたしますが、南北問題で国連貿易開発会議が設立され、工業国の援助が約束させられました。アメリカ、イギリス、フランスはほとんど国民所得の一%程度の援助を行なっております。日本も工業国家の一員として国民所得の一%程度の支出をするという約束をいたしておりますが、一体、昭和四十一年度予算で、わが国はこれらの低開発国に対する援助は何%を占めることになるか。ネパール、ケニア、ウガンダ、タンザニアなど、わが国の援助の条件に不満を示し、わが国の援助は非常に不評判でありますが、これが改善のため、外務省は具体的な策をどう立てられておりますか。  第三に、昨年八月に第一次産品問題処理対策会議なるものが政府の手によって発足いたしましたが、低開発国援助に関連して、これらの国との一次産品貿易には問題が多いのであります。したがって、日本農業と競合しないような配慮をして、どういう対策を一体立てられるか、具体的に第一次産品問題処理対策会議で結論づけられた日本政府の方針を、ひとつ承りたいのであります。  さらに、最近業界が非常に心配をしておる問題に、オーストラリアとわが国との貿易関係の問題があります。オーストラリアは、わが国からの自動車輸入に対して、関税率を大幅に引き上げようというのであります。しかしながら、わが国とオーストラリアとの関係を見ますると、昭和三十九年は三億五千万ドルのわが国の輸入超過であります。これが是正をすることは、貿易政策の上からも大きな問題であります。しかるに、今年二月四日、オーストラリアは自動車関税を引き上げる手続をガット理事会において承認を得ました。したがって、当事国間の話し合いを開始し、原則として六十日以内に交渉をまとめるということになっておりますが、現在の交渉の状況はいかがでございましょう。わが国の自動車産業、さらにこれに関連する人々が非常な不安を抱いております。  私は、日本の外務省の経済外交というものは、やや怠慢に過ぎるのではないかという印象を受けるのであります。貿易は、もとより両国が均衡拡大をしていくという原則に基づいて、互恵平等、その趣旨に従った貿易が行なわれなければなりません。しかるに、先輩各位の御承知のとおり、南アメリカと日本の貿易関係を見ても、輸入超過が長年続いております。オーストラリアにおいてもしかりであります。しかるに、日本製品に対しては輸入制限を相手国はしておる。非常にきつい規制をいたしております。メキシコもオーストラリアも、今回の措置を見ても明らかであります。これは日本の経済外交が、私は、少々力の入れ方が足りぬのではないか、腰抜け外交とまでは断じないけれども、やや今日の日本の外交姿勢というものは、私は怠慢のそしりを免れないのではないかと感ずるのであります。  そこで、これらのオーストラリアとの関税交渉にあたって、外務省はいかなる基本的姿勢に立ち、これが解決に努力するか、外務大臣の明快なる御回答を求めたいのであります。(拍手)  次に、総理大臣にお尋ねいたしますが、最近の世界情勢は分極化とか多極化と呼ばれているように、変化も激しく、複雑で、こんとんたる様相を呈しております。ことに、昨年夏以来、EECに発生した深刻な危機は、ヨーロッパ経済体制に新しい流動化の可能性を生じていることをあらわすものであります。そればかりでなく、アメリカとフランスの対立を中心として、世界経済の編成や動向に対しても重大な変化をもたらそうとしておるのであります。戦後自由陣営の経済発展をささえてきた主柱は、金融面のIMFと貿易面のガットという二つの国際経済機構であったと思います。ところが、最近両機構とも重大な困難に直面して、激しく動揺し、深刻な危機におちいった感が深いのであります。ガットは五回にわたる一般関税交渉で関税障壁の引き下げを精力的に推進してきましたが、最近、従来の国別、品目別交渉方式による関税引き下げの限界に直面し、他方、南北問題として台頭してきた後進国のガット不信という壁に当面しております。しかも、ケネディ大統領の偉大なる構想といわれる、五年間に五〇%関税一括引き下げをしようといういわゆるケネディラウンドは、二カ年間の討議にもかかわらず、実質的には何もきまらず、完全な行き詰まり状態にあるではありませんか。昨年七月以降EECの凍結状態、半身不随のEECなどと評されてまいりましたが、EEC内部の不統一と利害の微妙な対立は、単にEECに影響を与えるだけのものではありません。すなわち、国際的影響のほうがずっと大きいのであります。ケネディラウンドが進まないのも、このEECの態度にかかっておるということができるのであります。ケネディラウンドの成否はわが国の利害にも深い関係を持つものであり、政府は、閣議決定で、一昨年ケネディラウンド全面支持を決定いたしております。われわれはEECとアメリカの交渉状況に対して、無関心ではいられないのであります。日本政府は、現状から見てケネディラウンドは実現するものと見るか、政府の願望ではなく、科学的、客観的見通しをお聞かせ願いたいのであります。  第二に総理にお尋ねする点は、アメリカは通商拡大法に基づき、関税一括引き下げの権限を大統領に移譲しました。しかし、時限立法である通商拡大法は、明年六月末で失効するのであります。二カ年間空費した交渉を振り返ってみますると、これから一年の間にEECとの調整が本年じゅうにつくとは思われない。アメリカは拡大法の期限を延長してまでケネディラウンドの実現に進むだろうか。それともケネディラウンドは失敗して、ケネディ政権に比べると国際的ビジョンの後退が強く感じられるジョンソン政権のもとでは保護貿易主義がさらに勢いを加えると見るか。日本の将来にとって重大な関心事といわなければなりません。総理の洞察力をもって、これらの問題をどのように認識されるか、見解のほどを承りたいのであります。  第三に総理にお尋ねするのは、昭和三十五年から四十年までの五カ年間の統計を見ますると、入超を続けるわが国の対米貿易ということになります。日本は毎年四億ドル以上の輸入超過でアメリカとの貿易関係を続けてまいりました。アメリカにとってはカナダに次ぐ取引先であり、好得意先であるのが日本であります。日本にとっては、入超に片寄った貿易をいかに是正するかという大きな問題があります。アメリカは、日本の輸入自由化の遂行、関税一括引き下げ、直接投資の自由化を日本政府に強く要請し続けてまいりました。しかるに、他方においては、綿製品取りきめの締結、毛製品協定の推進、ダンピング法適用強化などを行なっておるではありませんか。アメリカの態度は、まことにてまえがってで、非合理といわなければなりません。(拍手)口で貿易自由化を唱え、他国に強く要請しながら、輸入制限が完備している国がアメリカだといっても過言ではないでしょう。わが国の自由化率は九三%であります。アメリカが日本に対する自由化率は、一体、実質幾らになるか、七一%にすぎないのであります。すなわち、アメリカは輸入制限のための諸制度が完備している国でありますから、エスケープクローズで、板ガラス、金属洋食器、安全ピン、腕時計、体温計など七品目に及ぶ制限をいたしておる。加えて、日本の業者に自主的輸出規制を強要して、合板、トランジスターラジオ、こうもり、野球グローブ、綿製品、毛織物など二十四品目の輸入差別的制限を行なっております。最近の動きでは、自転車、鉄鋼その他の商品にまで、これらの自主規制の強化が新聞で報ぜられておるのであります。これでは、日米貿易は互恵平等ではないではありませんか。日本とアメリカはイコールパートナーなどとおだてられて喜んでおるわけにはいかないではありませんか。しかも、現在、アメリカ議会においては、ハートケ・ハーロング案が提出されており、アンチ・ダンピング規制を強化せよとの動きが強くなっております。まさにケネディラウンドに反する、国際通商拡大の理念に反する動きだと考えます。日本政府は、アメリカのこれらの輸入規制、他国強要の輸出規制に対し、真剣にこれが撤廃、縮小のために交渉を続けてきたか。アメリカに対するこれらの日本の外交姿勢について、私は外務大臣から明確なる態度をお尋ねいたしたいのであります。  さらに、今後ますますアメリカは保護貿易の形が強くなると思われるが、厳重に交渉する必要があると思うが、外務大臣の見解を承りたい。  次に、アメリカとの貿易が限度にきたと思われる現在、中国、ソ連、北朝鮮との貿易拡大は、国家利益の追求の上からも、経済の安定的発展の見地からも、重要緊急事であります。吉田書簡をめぐり、停滞ぎみに推移した昨年でも、日中貿易は六〇%の伸びで、輸出入合わせて五億ドルに近づいてまいりました。政府が隣国との交易を拡大しようと心がけるならば、中国、北朝鮮との貿易量は飛躍的に増大することは、何人も疑う余地のない事実となるでありましょう。  通産省は、輸銀融資再開について検討中だと報ぜられております。台湾に対しては、アメリカのミラー委員会の結論などを指摘して了解工作をするとのことでありますが、その結果が確定するのはいつごろでありましょうか。台湾の了解を得る必要は毛頭ないと思うのでありますが、すみやかに商業ベースの五年の延べ払い金融の道を開いてしかるべきだと思います。商社、メーカーから申請があれば輸銀融資を認めるかどうか、総理大臣並びに通産大臣の御所見を承り、以下、詳細については大蔵委員会の質問に譲ることにして、以上をもって質問を終わりたいと思います。(拍手
  38. 佐藤榮作

    内閣総理大臣佐藤榮作君) 私から二点ばかりお答えいたしまして、その他は、外務大臣、通産大臣等からお答えいたしたいと思います。  第一の問題は、いわゆるケネディラウンドは来年の六月までに終わるかどうかという見通しについてのお話であります。御承知のように、EEC内におきまして、農業基金問題に端を発し、フランスがEECから脱退する、こういうような動きが昨年あり、たいへん暗い状況であったと思います。しかしながら、ことしになりまして、フランスのEECへの復帰、これがこの一月にルクセンブルグの会議で決定を見ましたし、さらにまた、四月には理事会等を開きまして、農業のオファーもどういうようにするかというようなことを協議するという段取りになっております。したがいまして、本来、貿易を自由な無差別また互恵平等の立場で拡大していこうという、各国ともさように考えておりますので、この原則を守るという各国の努力は、ぜひとも来年の六月までにはこの問題の解決を見たい、そういうような意気込みであること、これを皆さま方に御報告をしておきます。  第二の問題は、通商拡大法の問題であります。アメリカの問題でございますが、これもただいまのような、ケネディラウンドの方式についての各国の熱心な努力が続けられておる際でございます。また、通商拡大法の延期というようなことになると、保護主義が出てくるのじゃないかというような懸念もされますが、アメリカの関係者の話では、さような心配はない、ただいま申し上げるように、ケネディラウンドのほうの解決に全力を注いでおるので、通商拡大法の延期などは考えなくてもいいのじゃないか、かような状況のもとに今日ございます。  対米貿易についての不平等性についていろいろお話がございました。私も、ケネディラウンドの互恵平等、こういうような立場で、無差別、自由な貿易拡大ということを主張しておる日本、アメリカにいたしましても、両国間の貿易を是正して、そうしてバランスのとれた貿易拡大をはかるべきこと、これは当然のことだと思いますので、過去におきましても、日米合同委員会等を通じ、さらにまた、ガットの会議等を通じて、わがほうの主張を十分相手方に納得のいくように説明しておるような次第であります。今後ともこの努力を続けてまいりたいと思います。(拍手)   〔国務大臣椎名悦三郎君登壇
  39. 椎名悦三郎

    国務大臣(椎名悦三郎君) 四十一年度における海外経済協力の見通しいかんという御質問に対しまして、お答えいたします。大体約五億ドル程度になるかと推定されますが、これは国民総所得の、これも推定でありますが、約〇・七%に達するのではないかと考えております。  それから、ケニア、ウガンダ等に対する貿易対策いかん。これに対しましては、これらの国の対日輸入制限につきましては、目下、現地のわがほうの大使館を中心にいたしまして、これらに対する対策を協議中でございます。近く先方と話し合いに入ることとなっている次第であります。  豪州の自動車関税でございますが、これは、ガットの場でその代償を求めるべく、交渉の準備中であります。近く交渉に入る予定でございます。  あとは総理大臣からお答えがありましたので、私は以上にとどめます。(拍手)   〔国務大臣三木武夫君登壇
  40. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 武藤君の私に対する質問は三点あったと思います。  一つは、銅の問題についてでございますが、建て値は、ロンドン相場四十二万円、これが市中相場では六十四、五万円になっておる。一時は八十万円にもなっておった。多少は落ちついてきておる。四十一年度の銅の需給関係については、ザンビアの不確定な要素もありますが、いろいろな場合を見込んで、相当手配もしておりますから、最小必要限度の銅は四十一年度には確保できると考えております。しかしながら、この銅の問題は、なかなか需要も増加していきましょうし、将来これは開発せなければいかぬ。いま現に、御承知のようにペルーのチャピー鉱山、これは海外鉱物資源開発会社が銅山を開発しておる。ソ連も最近に、バイカルの北東部に銅山があって、開発をしないかという話があって、これもやはり政府は乗っていきたい。インドネシアにもそういう話がある。海外の開発も促進しなければならぬし、また一方においては、国内において、銅にかわる金属の代替品というものの研究奨励もあるでしょうし、いまいろいろの原因が重なって銅の需給が逼迫しておるわけで、これに対してはアメリカにも協力を要請しておるわけであります。こういうことで、銅の問題は、将来の開発も含んで取り組まなければならぬ問題だと考えております。これに対しては、やはり海外協力基金を積極的に今後活用していく必要がある。いままで十億円ぐらいのものしか出していないのです。将来は積極的にこれを活用していく必要があると思います。  それから、朝鮮のノリについては、武藤君御指摘のように、朝鮮のノリが大量に入ってくるのは日本のノリ業者に対して非常な経済的圧迫を加えますから、これは自由化されておりませんから、国内の、日本のノリ業者のことも考えながらこれを調整いたしていくつもりでございます。非常な徹底的な打撃を与えるような輸入はしないという考えでございます。  それから第三点は、共産圏貿易に触れられまして、中共に対する輸銀、これはいつ輸銀を使ってプラント類の輸出をするのかという御質問でございましたが、共産圏に対しては日本の貿易は拡大をしておる。輸出入合計で十億ドルをこえるという状態であります。日本は貿易立国といってもいいと思うのですが、共産圏に対しても、いずれの国とも貿易を拡大していきたいというのが基本方針であります。輸銀を使うか使わぬかという問題については、やはり個々のケースごとに諸般の事情を勘案して政府が自主的にきめたい。いつかという、前もって、いつというのでなくして、個々の問題が起こってきたときに諸般の事情を勘案して政府が自主的にきめる、これ以上のことは申し上げられないのであります。(拍手)   〔国務大臣福田赳夫君登壇
  41. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 第一点は、今回の措置によりまして、わが国の輸出入にどういう寄与をするであろうか、こういうことかと思うのです。今回の措置はいろいろありまするが、全般が輸出入に関係があるのです。特にスポット貿易、保税工場例度の改正、これは輸出の増進に大いに役立つだろう、こう考えております。また、関税率の引き下げは、これは全般といたしまして、輸入を促進し、特に後進国からの輸入の促進をねらっておる。もう一つのねらいは、わが国において現に供給の不足しておる除虫菊でありますとか、工業川ナフサとか、そういうものの輸入の促進、こういうことを考えておるわけであります。ただ、金額でどういうふうに影響になるかということでありますが、これは申し上げることができないのであります。  第二点は、銅の関税引き下げ措置をなぜ昨年の臨時国会でやらなかったか、こういうお話でありまするが、銅の関税率の引き下げにつきましては、国際価格を考えなければいかぬ。また、国内価格、つまり消費者の立場も考えなければならぬ。また、産銅業者の立場も考えなければならぬ。そういう角度から考えてみまするときに、銅の値段はロンドンの建て値が基本になるわけでありまして、昨年の推移を見ますと、ロンドン建て値はかなり上がっているのです。ただ、わが国が主として輸入いたしますザンビアの銅価格、これは去年の秋ごろまではそう動きがない。そういうようなことで、状況の推移を見なければならぬということから、昨年の臨時国会ではお願いをいたさなかったわけでございまするが、その後、非常に激しい勢いで銅価格が高騰をいたしておるのであります。さようなことを考えまするときに、国内の消費者、つまり銅価の安定ということに寄与するという必要も考えられますので、今回税率の引き下げを行なう、かようにいたした次第であります。  なお、この需給が非常に逼迫するじゃないか、そういうための一助として銅貨を回収したらいいじゃないか、こういうお話でございまするが、今日十円銅貨が三百八十億円流通いたしておるわけです。これを全部回収いたしまして鋳つぶしますと、一万六千トンに相当いたします。ところが、わが国の銅の需要は七十万トンから八十万トンある。この需要に対しまして一万六千トンを回収する。しかも、その回収にはずいぶん手間がかかる。かりに半分が回収されるといたしまして、わずかに一%ということです。一方におきまして、通貨に対する国民感情というようなことを考えますと、いま銅の需給を理由にして通貨の回収をいたす、これは適切ではない、かように考えておる次第でございます。  それから、皇居の新営におきまして銅が不足しておるというお話でございますが、私はまだそういう話を聞いたことがございません。(拍手)   〔国務大臣藤山愛一郎君登壇
  42. 藤山愛一郎

    国務大臣(藤山愛一郎君) 私に対する御質問は、海外協力基金がどういうふうに海外鉱山に対して投資したかという御質問でございました。  投資しましたものは、いま通産大臣が言われましたペルーのチャピー銅鉱山へ十億一千五百万円の融資契約をいたしまして、現在二億二千九百万円の貸し付けをすでにいたしております。そのほかに探鉱調在費の融資という項目がございまして、これでもっていままでいたしたものは、ボリビアのカランガス、ギリシャのスクリーエス、チリのコプーチャ、チリのサンサムエル銅鉱山、こういうものがございまして、これはいずれも採鉱をしてみましたところが、起業をいたしますのに適当でない、あるいは採鉱の途中で銅量の不足その他で中止をいたしたものでございまして、この四つの既貸し付け総額が五億二千二百万円でございます。ただいま、それを二億三千百八十万円だけ回収しておりますが、回収は順調に進んでおります。  以上であります。(拍手
  43. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 外務大臣から、答弁の追加をいたしたいとのことであります。これを許します。外務大臣椎名悦三郎君。   〔国務大臣椎名悦三郎君登壇
  44. 椎名悦三郎

    国務大臣(椎名悦三郎君) 一次産品の買い上げを低開発国に対してもっと拡大すべきであるという御質問に対しまして、お答えいたします。  これは、買いたくとも、一次産品の需要はあるのでありますけれども、商品としてはどうも一流ではない、そういう関係がございます。そこで、これらの問題を改善するために、あるいは輸送、保管、あるいは調整、そういう点が非常に設備が劣っておるのでありますから、そういう設備改善経済援助によって実行いたしまして、そうしてこれらの国からの一次産品の買い上げを促進してまいりたいと考えております。  なお、対米輸出に関して、日本は非常に不利ではないかというようなお話でございました。これは、ようやく日本の入超という情勢が四十年度において大幅に改善されまして、近年において初めて日本が輸出超過と相なったのであります。今後、この傾向を持続するようにあらゆる施策をこらしてまいりたいと思います。  しかし、貿易上の利益は、貿易の黒字があったから利益であって、赤字であったから不利益であるというような、そういう問題ではない。かりに入超でありましても、アメリカならアメリカの原綿が他に比較して優良であってなお価格が安いという場合には、これを国内に消費し、あるいは、さらに加工して再輸出をする、こういうことによって日本は十分に利益を得ておるのでありますから、ただ赤字だ黒字だということで貿易がどうのこうのと言うことは、これは狭い見方であると、こう考えます。(拍手
  45. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  46. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 本日は、これにて散会いたします。    午後三時五十五分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         外 務 大 臣 椎名悦三郎君         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君         文 部 大 臣 中村 梅吉君         厚 生 大 臣 鈴木 善幸君         通商産業大臣  三木 武夫君         建 設 大 臣 瀬戸山三男君         国 務 大 臣 藤山愛一郎君  出席政府委員         内閣法制局長官 高辻 正巳君         総理府総務副長         官       細田 吉藏君      ————◇—————