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1966-03-08 第51回国会 衆議院 本会議 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月八日(火曜日)     —————————————   昭和四十一年三月八日    午後二時 本会議     ————————————— ○本日の会議に付した案件  相つぐ飛行機事故に関する緊急質問矢尾喜三   郎君提出)  坂田農林大臣林業基本法に基づく昭和四十年   度年次報告及び昭和四十一年度林業施策につ   いての発言及び質疑    午後二時二十一分開議
  2. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————  相つぐ飛行機事故に関する緊急質問矢尾喜   三郎君提出
  3. 海部俊樹

    海部俊樹君 緊急質問許可に関する動議提出いたします。  すなわち、この際、矢尾喜三郎提出、相つぐ飛行機事故に関する緊急質問を許可されんことを望みます。
  4. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 海部俊樹君の動議に御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 御異議なしと認めます。  相つぐ飛行機事故に関する緊急質問を許可いたします。矢尾喜三郎君。   〔矢尾喜三郎登壇
  6. 矢尾喜三郎

    矢尾喜三郎君 私は、自由民主党、日本社会党民主社会党を代表いたしまして、本月四日発生したカナダ太平洋航空DC8型ジェット機事故、並びに五日午後二時過ぎ起きた英国BOACボーイング707型機の富士山ろくにおける墜落事故等々、最近における航空事故に関連して、総理並びに関係閣僚に幾つかの点について質問をしたいと存じます。(拍手)  質問に入る前に、私は、数重なる事故で一瞬のうちにとうとい生命を失われた多くの方々の御冥福をお祈りしますとともに、御遺族の方々に対しまして心から哀悼の意を表したいと存じます。(拍手)  まず、私は、佐藤総理に、この機会に航空行政についての政府基本姿勢をお伺いしたいのであります。  去る二月四日の全日空ボーイング727型機事故からくしくもちょうど一カ月後の三月四日に発生したDC8型機事故等、たび重なる羽田空港における遭難事故及び五日の富士山ろくにおける墜落事故は、国民の深く悲しむところであり、世界の注目を浴びておるのであります。私は、この際にこそ、与野党互いに胸襟を開いて、わが国航空政策日本航空行政をもっと掘り下げ、ともに考え合うときであると存ずるのであります。  そこで、私は、国際航空に対する政府、国の責任をまずお尋ねしたい。  政府の今日までの諸計画において、特に国際航空路線は、昔の海上航路にも増して重要な国際交通手段であり、これが強化には国をあげて取り組むべきことであるが、私たち国民の目には、政府が今日まで十二分な航空政策政治姿勢を持ってきたとは思われないのであります。なるほど、戦後二十年、日本航空路線開発は著しいものがあり、日本国内国際にわたる航空政策に対する国民の関心も高まりつつありますが、政府政府みずからの責任において一体何を行なってきたのでありましょうか。すでに航空業界の間では、政府航空政策はないのも同然だとか、政府航空政策大臣がかわるたびにネコの目のように変わるので、航空事業というものは数年先を見越して行なわなければならない事業であるにもかかわらず、航空政策がこう目まぐるしく変わるのでは事業計画も満足に立てられないといった批判が、公然と常識のように語られているのであります。(拍手さき全日空事故といい、今回の事故といい、特に航空の安全については、事故が起こってからあと政策は無意味であるばかりでなく、むしろ政治的責任を問われるものであります。そこで、その航空政策のうち、最も基本的な交通安全の問題について総理所見をただしたいのであります。  私は、陸海空を問わず、交通の安全という問題は、その施設、その運営、その管理のすべてが人命尊重立場に貫かれて初めてなし得るものと思うのであります。特に、この交通安全という問題を基本に据えた日本交通政策航空政策を、たび重なる痛ましい事故あとではありますが、いま転換する必要があるとともに、強力な政府指導体制がなければ、民間企業にまかしておいたのでは百年河清を待つ以外の何ものでもないと思うのであります。もちろん、民間企業といえども、人命安全性考えないとは思いませんが、それよりも、私企業である限り、企業性ということが一番大きく考えられ、そのため、各企業とも、スピード競争あるいはスタイル、乗りごこち等に重点を置き、宣伝につとめ、サービス第一主義におちいり、過当な競争が行なわれている現状であります。今回のBOAC機が、その真偽は別といたしまして、乗客サービスのため富士山を見せるため、富士山ろくを回ったと伝えられるごときもその一例であります。かかる世界航空企業競争の中に置き忘れられようとしている安全性については、政府が思い切った指導性を確立しなければ、その目的を達することはできません。たとえば、航空機購入に際しても、安全性あるいは性能等についても、人命尊重立場より、干渉といわれようとも信念を持って強く指導すべきであると思うのであります。これらに対し総理はどのようにお考えになりますか、御所見をお聞かせ願いたいと思います。(拍手)  次は、私は、具体的な問題について総理並びに運輸大臣の誠意ある答弁国民とともに期待したいのであります。  第一の質問は、国際航空路線の問題であります。  さき政府不平等性を残したまま日米航空協定を改定してきたが、この結果、東京は、ニューヨーク、ロンドン空港とともに世界を結ぶ三大空港として大きくクローズアップされ、最近アメリカ民間航空企業東京乗り入れ申請が数多くアメリカ政府に出されている現実、また、日ソ航空協定の締結等々、今後羽田空港の持つ責任国際的にもますます重大であり、十分な安全策を講ずることはもちろんでありますが、この際、国際航空路線の新たなる展開についてどのような政策的見通しを立てておられるか、この点をお伺いいたしたいのでございます。(拍手)  第二に、羽田空港安全性について質問したい。  今回のDC8型機の遭難事故について、運輸大臣は、日本側管制責任があったとは思われないという点を強調しておられるのであります。しかし、私たち羽田空港管理体制を視察してみると、現在の施設、現在の人員配置、現在の指導方針ではぎりぎり一ぱいで、私は、政府国際航空路線における事故について責任がないと言い切るのは早計であると思われるほどであります。このとうとい人命を失った重大な経験からも、私は、政府羽田航空安全、交通安全について行なうべき施策はまだまだあって、この不十分さをみずから反省すべきであり、みずからの政策的欠陥を補うことこそ重要であると感ずるものであります。  一昨日の英国の新聞、ラジオの報道を見てみましても、BOACボーイング707型機は六億二千万キロメートルを飛び、無事故できた今日、日本での相次ぐ事故日本での航空管制に疑問があるのではないかと言っておること等につきましても、完全に一矢報ゆることのできる完全なる体制が必要であると思うのでありますが、どうでございます。運輸大臣は、現在のままで完ぺきであるとお考えになっておられますか。  また、運輸大臣羽田空港のレーダー、誘導施設化学消防車等々の安全施設は十分であったのか、要員充実されていたのかどうか。また、四日のような天候条件の悪い場合、その悪条件を克服し得る施設装置を十分に配置するか、さもなければ、一定の確実な安全基準に基づいて航空機の避難を指導すべきであって、こうした事項はあげて政府の負担すべき任務であり、責任であるはずであります。  また、空港の安全には念には念を入れて、視界不良の際は、気象条件を的確に把握し、着陸を断じて許可しない方針を強くとるとともに、出発の際には、確実に把握した気象条件関係者に熟知せしめる手段がとられるべきであります。  また、四日の太平洋航空DC8型機の入港の際、計器着陸装置が使用できなかったが、かかる場合には特別の保安対策を講じておく必要があるのではないかと思うのであります。視界が非常に悪い場合、判断を機長にまかせ、管制を不十分な装置人員とに依存している現状のままでは、大臣、第四、第五の同種の事故を予約するにひとしいのでありまするが、この際、羽田空港保安施設管制装置保安要員の倍加を直ちに公約する必要があるのではありませんか。  空の安全を預かる航空交通管理官定員は四百八十名で、これが満たされても安全管制はむつかしいといわれながら、その実在数は四百四十名で、定員を四十名も欠けておるのであります。機体を点検する検査官も足りない。試験官も、ここ数年航空機数が激増しているのに、これに見合う増加はされていない。飛行機新型新型と進んでいくのに、飛行場設備はこれについていけないほど老朽化している。これで事故が起こらなければうそであるといわれるほどであります。  また、消防要員については、前からすでに指摘されているように、現在羽田では、消防車十台に五十六名の常員を必要とするのに、これが配置は二十八名、常時勤務十名の要員といった現状では、今回のような事故に即応し得るものではありません。  運輸大臣、このような不十分なる体制を、あなたは御存じですか。これらの問題は特に重大であると思いますので、この際総理よりも明確な御答弁をいただきたいと思うのであります。  ことにまた、この事故と関連して、防潮堤誘導灯あり方にも再検討の必要があると思うが、どうか。  最後に、私は今回のたび重なる事故日本航空行政に、また世界国際航空路線に与える影響の大きさを考えて、次の指摘をするとともに、それぞれについて政府所見を伺いたいのであります。  その一つは、国内航空についての徹底した安全施設保安要員充実であります。これは政府航空政策の直接の責任範囲としていま直ちに行なう事項であり、その徹底をはかるためには、政府の強力な一元化政策への展望を明らかにし、国民大多数の納得と支持とを得ることが必要であると考えますが、どうですか。  その二つは、政府は、航空の安全を確保するために、操縦士機関士整備員管制官航空保安要員など、航空実務に従事する人々の代表者会議を定期的に開き、安全性問題について必要措置勧告させ、政府がその勧告をすみやかに実施することにしたらどうか、また、同様の会議国際的規模においても開くよう、日本政府各国政府に提唱してはどうかと思うが、総理はどういう考えを持っておられますか。  第三点として、国際路線の問題についてでありまするが、何よりも不平等性を取り除き、国内航空基盤の着実な建設に基づいて実質的な航空協定政府が全責任を持って締結すべきであります。そのためには現行の日米航空協定不平等性をさらに改定し、また、安保条約に基づいて日本の上空を横断するアメリカ軍用機のための米軍専用航空路線を整理することが、将来の国内航空事故防止の大きな条件であると考えるのでありますが、政府所見はどうですか。(拍手)  以上、私は、今回の悲しむべき航空機事故に直面して、この貴重な体験から、政府のとるべき航空行政交通政策あり方について、若干の問題を総理及び運輸大臣質問をいたしました次第でございます。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作登壇
  7. 佐藤榮作

    内閣総理大臣佐藤榮作君) お答えいたします。  ここ一カ月ばかりの間に不幸な航空機事故を三回も発生し、まことに残念でございます。遭難された方、同時にまた遺家族の方に対しまして、つつしんで弔意を表する次第であります。  ただいまお話がありましたが、今日、航空機は、私が申し上げるまでもなく、最も近代的な、国内におきましても国際的におきましても交通手段として最も大事な役割りを果たし、また同時に、私どもの生活上不可欠の交通手段であります。もともと、航空機といわず、鉄道、自動車、船、これらのものは全部、とうとい人命を頂かるものでございますから、何はともかく、第一に安全性に徹しなければならないことは申すまでもないところであります。今日まで、この航空機につきましても、その安全確保、こういう観点に立ちまして、ただいまお話しになりましたような、航空機購入の際の選定から、また空港整備から、また空港における保安設備保安要員、さらに乗員養成等につきましても、ただいまの保安第一の観点に立って整備をいたしておるところであります。しかし、今日いまなおこの種の事故あとを絶たない。まことに私は残念に思う次第でございます。  ただいまのお話にもありましたように、最近の航空機の発達はまことに目ざましいものがございますので、われわれも、この運営管理等につきまして、時代の要請にこたえ、進歩した航空技術に相応する運営管理体制整備しなければならないと思います。そういう意味におきまして、科学技術の粋を集めて、いわゆる計器飛行その他の科学技術にたよっている面も非常に多いのであります。しかし、やはり、この機械を使う者、それは最後は人であります。したがいまして、この安全度安全確保ということにつきましては、国際的な条約による申し合わせもございますが、何よりも十二分に余裕をとるということが大事なことではないかと思います。私は、国内における空港整備その他につきまして、ただいまのような考え方で、この新しい交通機関が十二分にその使命を達するように努力いたしてまいるつもりでございます。  また、お話にありました、今後国際会議等において、十二分に会議を通じて乗員その他の注意すべき事項等について話し合う用意があるかというお尋ねでございますが、これは、過日も参議院の予算委員会におきまして、社会党の方から、将来の航空国際会議において、国内においても過当競争が行なわれておるが、国際的にも過当競争が行なわれておる、こういう過当競争事故を発生するその要因でもあるように思うから、国際会議を通じて過当競争をしないような申し合わせをしてはどうか、こういう具体的な御提案がございました。私は、まことに要を得た御提案だ、かように思いまして、賛意を表し、かような国際会議が開催される際に、いかなる方法でただいまの過当競争を防ぐような提案ができるか、十分それを検討いたしましょう、こういうお約束をいたしたのであります。ただいまの乗員等養成につきましても、同様なことが言えると思います。  次に、東京羽田国際空港についてのお尋ねでございますが、いずれ運輸大臣から詳しく御説明すると思いますが、ただいまエプロン等拡張工事をいたしておりますが、国際的な安全要求のその条件には合致しておると思います。しかしながら、御承知のように、なお狭隘ではないか、これは条件は満たしておりますが、こういうものは広いにこしたことはないように思いますので、今後ともその安全確保には一そう努力してまいるつもりであります。  また、お話のありました国際航空路線の問題、これは各国相互が不平等な扱いではいけない、相互主義に基づく平等主義で、お互いに公平な立場条件整備されることが望ましい、こういうお話、これはもうお話のとおりであります。日米間におきましても、戦後締結されたものでありますので、しばしばその不平等性が指摘されております。今回の日米航空協定の改定にあたりまして、これらの点が幾ぶん是正された、かように私は思いますが、基本的態度として相互主義にのっとるべきものである、そうして平等な立場でこの航空路線が確保されなければならない、これはお説のとおりであります。そういう意味で一そう努力してまいるつもりであります。  また、米軍用機専用航空路があるのではないかというお尋ねでございますが、厳格な意味における専用航空路というようなものはございません。だから、これらの点は誤解のないようにお願いしておきます。  その他の点につきましては運輸大臣からお答えいたします。(拍手)   〔国務大臣中村寅太登壇
  8. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 今回の引き続いての事故に際しまして多数の犠牲者が出ましたことは、まことに遺憾なことでございまして、心から御冥福をお祈りいたしたいと考えております。  矢尾議員の御質問になりました第一点は、国際空港としての羽田施設に対してと、あるいは視界等の不良の場合の処置等についての御質問が第一であったと思いますが、現在、東京国際空港滑走路及び保安施設等、いわゆる羽田空港施設は、原則といたしましては、国際民間航空条約に基づく技術基準に適合したA級施設でございまして、安全運航に必要な施設は一応整っておるという状態でございます。それから、視界不良の場合の着陸誘導施設につきましても、これは諸外国の国際空港における施設とほぼ同等の施設を保有いたしておる次第でございます。  さらに、要員につきましては、消防要員保安要員あるいは管制要員等、全体的に見て一応は整えておるのでございますが、今回のような大きな事故に当面いたしまして率直に感じましたのは、やはり消火等施設が弱体であったということでございます。今後は、こういう点は十分強化いたしまして、飛行場に持っておる施設だけでなく、さらに外の消火施設等との関連も密接に今後関係をつけまして、連絡をつけまして、そうして非常の場合に万全の処置をとるように進めてまいりたい、かように考えておるのでございます。  しかし、羽田飛行場は、矢尾議員も仰せられましたように、非常に離着陸が激しくなってまいっておりますので、それに対応する飛行場としてはやはり十分さを欠いてまいるような傾向も生まれてまいりますので、新しい空港を早急に整備をいたしまして、そうして、激増していきます飛行機離着陸に対応するかまえをつくってまいりたい、かように考えておる次第でございます。  それから、今回の国際空港における事故の際の消火等に際しましては、先ほど申しましたように、大体一応整っております設備によって——空港内には現在O11型の化学消防車が三台でございます。それから給水車三台、救急車破壊車各一台等を有しておるのでございますが、これで国際民間航空機構勧告内容を大体は整えておるのでございます。しかし、先ほども申しましたように、今回の事故に当面いたしましては、これは私は、ほんとうに完全な消火等が必ずしもできたとは申し上げられないような点もあったかと思います。しかし、大体は通報後五分後には消防車現場に着いておりまして、そうしていま言いました諸施設消火に当たったのでございますが、あのときの現場事情等にかんがみまして、直ちに一一九番に連絡をいたしまして、そうして東京消防庁からの応援を受けたわけでございまして、消防車救急車等七十四台の応援を得て、実は万全を尽くしてやったわけでございます。  それから、東京国際空港定員がぎりぎりで、不足しているのではないかという質問でございますが、これは大体一ぱい一ぱいでやっておりますけれども、しかし、矢尾議員も仰せられますように、今後増員等をはかりまして、労働過重にならないように、いわゆる安全な作業ができますように、今後十分気をつけてまいりたい、かように考えておる次第でございます。  防潮堤進入灯の問題でございますが、事故の発生しました東京国際空港C滑走路の南側の防潮堤は、大体滑走路の末端から約九十メートル離れた位置にございまして、かつ滑走路面よりも低くなっておるのでございます。それから進入灯も大体規定制限勾配よりもさらに余裕を持って設置されておりますので、正常な運転形態によって入ってまいります場合には安全が確保せられておるのでございます。そういう状況でございまして、防潮堤とかあるいは進入灯につきましては、私はいまの設備で十分だと考えておるのであります。  それから、航空事故に関連して各企業の強力な体制を速急に整える必要があるという御意見でございますが、全くそのとおりでございまして、政府といたしましても、昨年の暮れに航空審議会に諮問をいたしまして、その答申を受けておるような状態でございます。この答申案を尊重いたしまして、各航空企業が正常なサービス競争を通じて、そして使命を果たしながら企業経営健全性を確保していくというような方向に、政府といたしましては指導してまいりたい、かように考えておるのでございます。  それから、総理から大体お答えになりましたので、重複しないようにしたいと思いますが、しかし、いま申し上げましたように、一応の基準は整えておりますけれども、さらに、今後の問題といたしまして、飛行場整備強化、あるいは航空保安管制設備強化拡充、さらに乗員訓練等十分気をつけまして、さらに企業基盤充実等をはかりまして、そうして全体的に航空企業安全性を確保して、航空企業使命といたしております迅速にして安全な交通を実現するように努力をいたしたいと考えておる次第でございます。(拍手)      ————◇—————  坂田農林大臣林業基本法に基づく昭和四十年度年次報告及び昭和四十一年度林業施策についての発言
  9. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 農林大臣から、林業基本法に基づく昭和四十年度年次報告及び昭和四十一年度林業施策について発言を求められております。これを許します。農林大臣坂田英一君。   〔国務大臣坂田英一登壇
  10. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) 先般政府は、林業基本法第九条の規定に基づきまして、昭和四十年度林業動向に関する年次報告及び昭和四十一年度において講じようとする林業施策を国会に提出いたしましたが、以下、その概要を御説明いたします。  第一に、最近における林産物の需給、林業経営態様等林業動向について、特に三十九年以降を中心といたしまして申し上げます。  まず、林産物需要動向について見ますと、近年わが国経済成長に伴って、需要増大需要構造の変化を来たしております。すなわち、建築の増加パルプ生産進展等に伴う木材需要増大薪炭需要の激減であります。木材に対する需要は、経済成長に伴い引き続き増加し、三十九年には、前年の四%増に当たる約七千百万立方メートルに達しております。これに対しまして、国内における木材生産動向を見ますと、三十九年は、前年の一%増に当たる約五千二百万立方メートルとなっており、伸び悩み傾向を示しております。このような木材需要増大国産材供給伸び悩みを反映いたしまして、三十九年におきましても、米材、ソ連材等外材の輸入が増加し、その結果、外材の供給量は一千九百万立方メートルをこえ、木材供給量の二七%となり、前年の二五%をさらに上回ったのであります。御承知のとおり、わが国森林は、国土の六八%に当たる二千五百十万ヘクタールという広大な面積を占めているのであります。しかし、その開発は必ずしも十分でなく、生産性の高い人工林は、全森林面積に対し五〇%程度は造成可能と認められるにかかわらず、二九%にすぎない現状であります。しかも、最近における造林状況を見ますと、停滞の傾向を示しております。したがって、林業生産増大をはかるためには、林道の開設による森林開発及び造林による資源の造成を一段と推進する必要があるのであります。  次に、林業経営動向について申し上げます。  わが国林業生産を担当している経営体は、きわめて多様であります。すなわち、国をはじめとして、都道府県、市町村、林家、会社などがあります。これらにつきましては、それぞれ経営上の諸問題が存しているのでありますが、わが国林業生産の大半をになっております私有林経営状況について申し上げます。  私有林経営は、主として約二百七十万戸の林家によって行なわれています。その経営規模はきわめて零細でありまして、五ヘクタール以下の経営規模を持つ林家が全林家の九一%を占め、全林家平均規模は二・四ヘクタールとなっております。このように、経営基盤は脆弱であります。さきに申しましたとおり、林業生産伸び悩み傾向を示しているのでありますが、これは、最近における一般経済の停滞、木材価格の横ばい、林業労賃の上昇等、経済的な諸要因によるところも多いと思われますが、基本的には、生産基盤の未整備、規模の零細性、資本装備の低さなど、林業構造上の問題に基因するものと思われます。したがって、林業亜産の増大をはかり、あわせて林業経営の安定をはかるためには、林業構造の改善が必要となるのであります。  次に、林業生産のにない手である林業従事者について申し上げます。  林家のうち九四%が農家であり、また、林業労働者の約八〇%は農民、特に山村の農民であります。この山村の農民の流出が近年著しくなっておりまして、その結果、林業労働力は不足するとともに、その労賃も上昇を見ております。したがって、今後林業の発展をはかり、あわせて林業従事者の地位向上をはかるためには、労働環境の改善、労働条件の不利の是正が必要であります。  以上申し上げましたのが、最近における林業の主要な動向であります。  第二に、「林業に関して講じた施策」について申し上げます。  これは最近、特に三十九年度以降において、政府林業振興上実施した主要な施策を述べたものであります。  第三に、「昭和四十一年度において講じようとする林業施策」について、その概要を申し上げます。  政府といたしましては、ただいま御説明しました林業動向を考慮し、林業基本法に定められた基本的方向に従って、諸施策の推進をはかることといたしております。  四十一年度において講じようとする林業施策の主要なものといたしましては、  まず第一は、林産物需要動向に応ずるよう林業生産増大及びその生産性の向上をはかることであります。このため、林業に関する基本計画の定めるところに従って、まずその生産基盤整備拡充をはかることとし、従来から実施している林道のほか、新たに農林漁業用揮発油税財源の身がわり事業としての峰越し連絡林道の開設など、林道の整備拡充につとめるとともに、造林補助内容の充実等造林に関する諸施策を推進し、また、素材生産の合理化のための機械導入に対する助成措置等を講ずることといたしております。  第二は、林業構造の改善を積極的に推進することであります。このため、三十九年度から開始いたしました林業構造改善事業促進対策を昨年度に引き続き計画的かつ強力に実施するとともに、林業機械の導入、国有林野の積極的な活用、分収造林の促進、入り会い林野の近代化等の諸施策を講ずることといたしております。これに関連いたしまして、本国会に、入会林野等に係る権利関係の近代化の助長に関する法律案を提出する予定であります。  第三は、林産物の需給の安定、流通の合理化等をはかるための施策充実することであります。このため、林産物の需給及び価格の動向を把握する体制整備し、流通の合理化及び外材輸入の適正、円滑化等の施策を推進することといたしております。  第四は、林業従事者の養成確保をはかることであります。このため、教育訓練の実施、充実につとめ、林業従事者の養成確保をはかるとともに、林業労働力対策の実施、社会保障の拡充等、林業労働に従事する者の福祉の向上につとめることといたしております。  第五は、林業金融の拡充及び林業税制の改善をはかることであります。このため、農林漁業金融公庫資金の各事業に対する融資ワクの拡大等、林業金融の充実をはかるとともに、林業構造改善事業において林地の交換分合をした場合の課税の特例等、林業に関する税制の改善を行なうことといたしております。  以上のほか、最近における山村の動向にかんがみ、山村振興対策を推進するとともに、森林の持つ公益的機能を増進するため、保安林の整備、治山事業の拡充をはかることといたしております。  なお、この文書におきまましては、農林省所管の事項にとどまらず、各省所管事項をも含め、林業に関する施策全般について記述いたしております。  以上、昭和四十年度林業動向等に関する年次報告及び昭和四十一年度において講じようとする林業施策について、その概要を御説明いたした次第であります。(拍手)      ————◇—————  林業基本法に基づく昭和四十年度年次報告及び昭和四十一年度林業施策についての発言に対する質疑
  11. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。これを許します。芳賀貢君。   〔芳賀貢君登壇
  12. 芳賀貢

    ○芳賀貢君 私は、日本社会党を代表して、ただいま坂田農林大臣より説明のありました昭和四十年度の林業年次報告及び四十一年度の林業施策に関して、総理大臣はじめ関係大臣質問を行なわんとするものであります。(拍手)  今回の年次報告は、基本法が制定されて第二回目の報告であり、林業動向等についてはかなり克明に述べられてあるが、白書にとって最も重要なわが国林業が直面している問題点を浮き彫りにして、これに立ち向かう林政の基本目標と具体的施策を明らかにせず、問題を回避されたことは、はなはだ遺憾にたえません。(拍手)  先般本院で行なわれた総理大臣の施政方針演説においても、林業問題については一言半句も言及されていないが、この際、林政の基本について総理の所信を明らかにしていただきたいのであります。  質問の第一は、森林資源の基本計画林産物の需給計画についてであります。  林業基本法第九条によれば、政府は、森林資源に関する基本計画並びに林産物の長期需給見通しを立てて公表しなければならないことになっておるが、いまだに基本計画が公表されないことは政府の怠慢というべきであります。(拍手森林資源の実態については、民有林の造林面積の減少、国有林の増伐等によって、蓄積量が減退の傾向にあり、需給関係については、木材価格の低調、労働力の不足、大規模所有者の切り惜しみ等により木材供給力は大幅に減退し、国内自給率は七〇%に低下し、不足分の三〇%を外材に依存するに至ったことは、国民経済的に見ても重大な問題であり、これに対する政府の見解を承りたいのであります。(拍手)  特に、国土開発を担当する経済企画庁長官からは、森林の資源調査及び土地利用区分等に対する基本調査の概要を説明せられたいのであります。  質問の第二は、外材の輸入と管理の方法についてであります。  前段で指摘したとおり、外材の輸入は逐年増加し、三十五年の七百五十万立方メートルが、四十年には二千万立方メートルと、わずかに五年間に二倍半となり、国内需要の三〇%を占めるに至り、こうした輸入外材の増加傾向が、国内林業に対して、生産、流通、価格及び所得等の部面に直接間接に重圧となっていることは、年次報告の指摘のとおりであります。しかしながら、木材需要動向から、当分の間外材の輸入は継続される見通しであり、この際、抜本的に輸入方式を改善し、たとえば食糧管理特別会計による外米、外麦の管理貿易と同様に、政府が直接外材を輸入し、国内の需給調整、価格安定、森林資源の増進等、国民経済の伸展に寄与する方途を講ずべきと思いますが、総理及び所管大臣の所信を承りたいのであります。  質問の第三は、林業基本法に関連する立法措置についてであります。  基本法審議の際に、関係法の立法措置につき、政府の言明もあり、また、農林水産委員会は附帯決議によってその重要性を指摘したところであるが、その後政府は、関係法案の国会提出を怠っているが、明らかに基本法を軽視した態度であります。特に造林法及び林道法の制定、国有林野特別会計法及び森林法の改正等は緊急を要するものであるが、政府としては誠意をもって取り組んでおられるか、事態を明らかにされたいのであります。  白書においても明らかなとおり、わが国森林資源は、世界の主要国に比較すると、はなはだしく劣勢であり、森林の蓄積は、世界の平均水準が一ヘクタール当たり百十立方メートルであり、これに対し、西ドイツは百二十六立方メートル、スウェーデンは九十七立方メートル、フランスは八十二立方メートル、日本は六十三立方メートルで、世界最下位の資源状態であります。基本法においては、林業生産に関する施策として、森林資源基本計画に基づき、林道の開設、造林の推進を国の責任で行なう旨を規定し、未開発の奥地林については、林道網を開設して開発を進め、利用度の低い民有林については国の事業造林及び林相改良を実施する等、資源の増進と林業生産の拡大をはかるために、林道、造林に関する立法措置について、総理及び主管大臣の見解を明らかにされたいのであります。  質問の第四は、国有林野事業の公社化と国有林開放の動きについてであります。  政府は、昭和三十八年六月、重政農林大臣の時代に、中央森林審議会に対して国有林野事業役割り経営あり方に関する諮問を発し、四十年三月末に答申が行なわれた結果、農林省林野庁内部で国有林公社化案が穏密裏に検討されていると聞くが、農林大臣から事実について承りたいのであります。公社化構想の根拠は、おそらく審議会の答申の中で、「国有林野事業運営すべき組織形態として、独立の人格をもった公企業形態が妥当であると考える。」と述べた点と思われるが、いかがでしょうか。すなわち、国土の保全、森林資源の確保、林業の発展を目的とする国有林野事業国民経済役割りから、公共的使命を除外して独立採算の企業体に切りかえようとする公社化構想は、やがて国有林を裸にして、緑の国土を荒廃に導くことは、火を見るよりも明らかであります。(拍手)  次にお尋ねしたいのは、最近表面化してまいりました国有林開放運動に対する政府の見解であります。基本法に示されている森林の高度利用については、わが党としても土地利用区分に基づき、国有林、民有林を対象として農地、草地の造成等、林野の農業的利用を推進する立場をとっておりますが、いやしくも国家百年の計を誤るがごとき国有林の開放については、絶対賛意を表することはできないのであります。  この際、国有林公社化及び国有林開放の動きに対し、一国の首相として、同時に自由民主党の総裁として佐藤総理の所信を承りたいのであります。(拍手)  質問の第五は、国有林野特別会計の整備運営についてであります。  最近、国有林野事業経営は弾力性を失い、収支の面でも余剰を生み出すことは困難と考えられます。従来は特別会計の中から事業外の支出として、林政協力事業の名目で一般会計がまかなう性格のものまで負担してきた事実があり、たとえば昭和四十一年度の国有林野特別会計予算を見ると、歳入は一千五十九億円で歳出は一千七十四億円であり、歳出超過分の十五億円は持ち越し現金で充当し、しかも、林政協力費として四十四億円を一般会計に繰り入れる仕組みになっているが、林野事業の収支が不安定なとき、事業外の負担を特別会計に課することは極力避けるべきと判断するものであります。  次に、特別会計が行なう国有林の立木及び製品の販売についてでありますが、先日、本院において大蔵大臣から決算に関する報告が行なわれた際、国の財産等の処分については一般競争入札をたてまえとする旨の言明がありましたことは御承知のとおりであります。ところが、従来林野庁の販売方法は、配材基準によって紙パルプ資本を最優先に置き、販売契約についても随意契約、指名入札、競争入札の順序と聞くが、実態はいかがでしょうか。大企業には特売をもって優遇し、中小企業には競争入札をもって冷遇するがごとき運用上の差別が行なわれているとするならば、大蔵大臣の本院における言明から見てもまことに不可解なことであります。(拍手)以上、特別会計の適正な運営につき、大蔵大臣農林大臣から見解を承りたいのであります。  質問の第六は、林業関係の中小企業対策についてであります。  今日、中小企業経営不振は慢性化し、特に木材関係は一そう深刻であります。一体、政府として、木材産業の保護、育成を通産行政の中で進めていくのか、あるいは農林行政の中でかかえていくのか、まことに不明朗であるが、この際、責任の分野を明らかに示されたいのであります。最近は、現地においても企業整備統合、経営の共同化等の動きが進行中であるが、政府の抜本的な対策につき説明を願いたい。また、設備資金、経営資金等の融通措置についてはいかなる配慮を行なったか、通産大臣農林大臣から責任ある答弁をいただきたいのであります。  質問の第七は、林業労働に関する施策についてであります。  基本法において、国は林業労働に従嘉する者の就業の促進、雇用の安定、労働条件の改善、社会保障の拡充、職業訓練の充実等について必要な施策を講ずることを約束してあるが、これに関して政府が実施した事項について明らかにされたいのであります。特に、国有林野事業に従事する労働者の雇用と事業の実施については、直営、直用を原則として就業の拡大をはかり、通年雇用制を全面的に実施すべきであります。これに関し、わが党といたしましては、国有林労働者の雇用の安定に関する法律案を提出いたし、委員会付託となりましたが、あわせて政府の見解を承りたいのであります。  一方、民間の林業労働者の就労動向は、依然として劣悪な条件下にあり、それがまた労働力流出の原因ともなっており、すみやかな対策が望まれておるが、雇用の安定、労働条件の改善につき、いかような対策を講じたかを説明されたいのであります。  また、社会保障の面についても、労災保険、失業保険、健康保険、厚生年金等の被用者保険制度の適用範囲の拡大等については、どのように対処されたのであるかを承りたいのであります。  さらにまた、造材作業の機械化により白ろう病が発生し、対策に迫られているが、職業病としての労働災害を、労働省及び農林省においていかように処理されているか、明らかにされたい。以上の諸点について、労働大臣、厚生大臣及び農林大臣から具体的な説明を願いたいのであります。  最後に、総理お尋ねしたいのは、わが国の農林漁業が直面する共通の問題として、国内自給度の低下、所得格差の増大、労働力の流出、兼業の激化、従事者の老齢化と婦女子化、及び後継者の不足等、いずれも農林漁業の発展をはばむ灰色の壁であります。これらの現象は、政府・自民党の高度成長政策の所産であり、政治の貧困の帰結であります。この際、政府自身が築いた灰色の壁を前に、人間尊重、ひずみ是正を政治の信条とする佐藤総理の偽らざる心境を承りたいのであります。  これをもって私の質問を終わるものであります。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作登壇
  13. 佐藤榮作

    内閣総理大臣佐藤榮作君) お答えいたします。  まず第一、最初にお尋ねであり、また最後にもお尋ねでございますが、わが国林業、林政のあり方をどうするのだと、こういうお尋ねでございます。  申すまでもなく、林業基本法はできております。そうしてこの育成強化については最善を尽くしておるわけであります。ことに、経済の発展に伴いまして、最も生産性の低い部門である林業が取り残されておる。これは他の生産性の低い、あるいは中小企業あるいは農業全般と同様に、この生産性を高めて、そうしてこれを育成強化していく。ことにお話にありましたように、木材国内自給度は七〇%、しかも最近の木材に対する需要はどんどんふえておる状況でございます。したがいまして、ただいまの育成強化をいたしますにいたしましても、安定供給ができるように、さらに造林等について力を積極的にいたさなければならない、かように私は思っております。  具体的なお話として、ただいまの三〇%の外材に依存しておる輸入、これが国内林業にどういう影響を与えるか。そこで私どもが考えなければならないことは、秩序ある外材の輸入ということでありますし、国内林業に対して悪影響を及ぼさないようにいたさなければならない。それにつきまして具体的に、あるいは特別会計にしたらどうか、その他の御提案がございましたが、私は、ただいまその御提案どおりにする、この約束はいたしませんけれども、いずれにいたしましても、外材の輸入は秩序をこわさない、このことは最も大事だと思いますので、行政指導におきまして特に注意していくつもりであります。  林業の今後の育成強化について、あるいは造林法を制定してはどうか、林道法をつくってはどうか、こういうふうな御提案がございます。造林あるいは林道をつくることの必要なことは、林業と切り離すわけにはまいりません。これは法律がいいのか悪いのか、そういう点はなお研究を要することだと思いますが、政府自身が、林道の開設を奨励する、あるいは造林を奨励するという意味で助成をすることは、在来同様に今後も力をいたしてまいるつもりでございます。  次に、国有林野の開放についてのお話がございました。私がしばしば申し上げることでございますが、国有財産は、これは国民全体のものでございます。したがいまして、これの管理、運用等におきましては、国民の利益になるように考えなければならない、これは当然の政府の責務だ、私はかように考えております。芳賀君も、ただいま国有林野、これが高度利用され、国民の利益に合致するようにと、かような御提案をしておられます。私もそのとおりだと思います。一般的には、開放、これは簡単に結論を出してはならないものだと思います。しかしながら、特定の地域、特殊の地域等におきましては、国有林野が占むる割合は非常に大きい。たとえば東北地方におきましては、国有林野が占めておる割合が非常に大きいのであります。こういうところでは、国有林野が存在するために民間の事業を圧迫しておる、こういうようなこともあるのではないかと思いますから、この高度利用するという立場に立ちまして、いわゆる開放運動に全面的に賛成するというわけではございませんが、地方の実情に即した扱い方をすべきものだ、かように私は考えておるのでございます。  最後お尋ねがございましたが、冒頭にお答えしたような状態でございます。  その他の点については、所管大臣からお聞き取りいただきたいと思います。(拍手)   〔国務大臣坂田英一登壇
  14. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) たいへん多いのでございますが、森林資源に関する基本計画並びに重要な林産物の需給に関する長期見通しの件でございますが、これは現在まで慎重に検討いたしておるのでございまして、でき得る限り早く林政審議会の意見を聞いて、成果を得て公表いたしたい、こう考えておりますから、御了承を願いたいと思います。  それから外材との関係でございまするが、増大する需要に対して国産材供給が対応できない。三十六年に木材価格の高騰を見たのでございますが、これを契機にして相当多量に輸入されることになり、御指摘のとおり、大体二七%の外材輸入を見ておるわけでございます。しかしながら、これらは補完的なものとして考えておるのでございまして、あくまでも木材国内供給をできるだけ増大することが必要であって、したがって、林道の開設、造林の推進等、国内生産体制強化のための施策を拡充することを基本としておる次第でございます。それから補完的に考えておりますので、それらの輸入についての、いろいろの特別会計等についてはどうかという点については、総理からお答えいたしましたとおりでございますので、省略さしていただきたいと存じます。  それから林業基本法関連法が進展していないがどうかという御質問でございまするが、林業基本法の関連法としては、昨年大規模な森林地域の開発を目的とする林道事業推進をはかるための、いわゆるスーパー林道建設のための森林開発公団法の一部改正を行ない、また今国会には、入会林野等に関する権利関係の近代化の助成に関する法律案を提出することといたしておるのでございます。今後なお林業基本法規定する諸施策の推進にあたり、必要なものを逐次検討していきたいと存じます。御了承を願いたいと存じます。  それからなお、林業総生産の増大をはかるための施策として林道法とか、あるいは造林法の制定等の問題も主張されておるのでございまするが、この林道の開設及び林道の推進のために、現在助成措置については、一般会計の公共事業予算において、今後ともその拡充につとめてまいりたいと存じます。特別の法律はいまのところ考えておりません。  それから国有林の公社化の動きについてはどうかという問題でございます。これは総理から一応お答えがありましたわけでございますが、国有林野事業については、その組織形態を国有林野事業使命を最も効果的かつ能率的に果たすことができるものとする方向で、中央森林審議会の答申にいう、独立の人格を持った公企業形態を含めて目下検討を進めておるのでございまして、こっそり研究をしておるのではございません。国有林野の公共性の重大性にかんがみ、かつまた機構改革はきわめて重要な問題でありますので、あらゆる方面の理解、納得と協力を得る必要もありまするので、慎重に検討の上結論を出したいと考えておる次第でございます。  それから国有林野事業特別会計の収支問題について、特に赤字を出しておるのに林政協力事業を行なうのは不適当ではないかという意味の御質問でございますが、国有林による林政協力事業は、国の要請でもありまするから、その支出を不適当とは考えておりません。しかしながら一方、国有林野事業の収支の改善については今後十分対策を練り、その健全化をはかりたいと考えておる次第でございます。  それから国有林の立木、製品の払い下げについては、やり方を一般競争入札等によっていくべきではないか、その辺の関係をもう少しはっきりさせたらどうかという御指摘でございますが、国有林野の販売は、地元経済の発展、産業の保護奨励等のための販売については、法令の許す範囲で指名競争入札、随意契約を併用しておるのであります。しかしながら、今後の販売については、一般競争による売り払いの増加を含め、合理的な販売を主眼として実施してまいりたいという考えでございます。  それから中小企業の問題でございますが、通産省と農林省はどういうことになっておるかという御質問であったと思うのでございます。これらにつきましては、中小企業全般の問題については通産省がこれを扱っておるのでございますが、所管業種につきましては、農林省がその範囲内において取り扱っておるのでございまして、通産省、農林省ともに十分に協議いたしまして、これらの問題を取り扱っておるわけでございます。  それから労働対策についての問題でありますが、農林省におきましては、本年度から林業労働者の福祉の向上と林業労働力の確保をはかるため、林業労働力の需給動向の把握及び林業労働問題の啓蒙を内容とした林業労働力対策を実施しており、四十一年度においては新たに通年雇用促進指導費を計上する等、これが対策を拡充することとしております。また、林業構造改善事業促進対策、素材生産合理化促進対策等においても、機械施設の導入を促進することによって、労働環境の整備、労働強化の軽減等、就業条件の改善につとめておるのでございます。なお、これらの問題については、労働省とも関連をいたしまして協議して進めておるわけでございます。  それから次に、白ろう病はどうなっておるかということでございますが、御承知のとおり、林野庁職員の公務災害については、国家公務員災害補償法及び人事院規則により認定しているところである。いわゆる白ろう病と呼ばれるレイノー現象者の公務災害の認定については、前例もなかったことであるし、昨年来引き続き人事院と協議中であったが、最近において、とりあえず八名を公務上の災害として認定いたしております。他の者につきましては、引き続き人事院と協議の上処理してまいりたい、かように考えておるわけでございます。以上。(拍手)   〔国務大臣福田赳夫君登壇
  15. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 私に対する質問は、林野特別会計の運営について、また、立木などの売り払いを厳正にすべきだが、どうか、こういう二点でありますが、いずれも農林大臣がお答えしたとおりであります。重複を避けさせていただきます。(拍手)   〔国務大臣小平久雄君登壇
  16. 小平久雄

    国務大臣(小平久雄君) 第一に、林業基本法で労働対策についての規定があるが、どう実施しているかという点でございますが、林業基本法の第三条及び第十九条で御指摘のような規定がございます。  そこで、まず第一に、就業の促進と雇用の安定の問題でございますが、就業の促進につきましては、労働省といたしましては、農林省と協力し、かつ、所在の市町村等とも連絡をとりまして、公共職業安定所の機能を十分発揮してこれが確保につとめてまいったところでございます。さらにまた、雇用の安定の点につきましては、林業がとかく季節労働になりがちでございますので、こういう点につきましては、できるだけ漸次これを通年雇用に持っていくことが望ましいことである、そういうたてまえからいたしまして、農林省ともよく連絡をとって、今後進んでまいりたいと考えております。  第二に、労働条件の改善の問題でございますが、林業の特殊性にかんがみまして、労働災害が他の産業に比べまして今日なお多い、あるいはまた、労働関係もとかく近代化がおくれがちである、こういう面があることは、争われない事実だと存じます。そこで、特に労働災害の防止につきましては、最も重点的な事業の一つとして今日まで指導いたしてまいった結果、三十五年をピークとしまして、幸い逐次減少の傾向にはありますが、しかし、その災害の発生率は、まだ全産業の平均に比べまして今日数倍に及んでおる、こういう事情でございます。そこで、労働省としましては、林業関係の労働災害防止協会等とも十分連携をとり、これを育成しながら、自主的に労働災害防止の効果があがるように今後十分指導してまいりたい、かように考えております。なお、労働関係の近代化等につきましても、労働基準法をはじめ、労働諸法の順奉、これをはかりまして、今後逐次改善につとめてまいりたいと考えております。  第三に、社会保障の関係でございますが、労働省の所管のものとしましては、御承知のとおり、労働災害保険、それから失業保険と、両者がございますが、労災保険につきましては、先般の法の改正によりまして、諸給付の内容が格段と充実されてまいったわけでございまして、これが適用を公正に、かつ迅速にいたしてまいりたいと考えております。失業保険につきましても、実情に即しまして、公正な運用を期しておるところでございます。  第四に、職業訓練につきましては、製材工、それから製材機械工につきまして、全国で十三の公共職業訓練所におきまして訓練をいたしております。これが定員も四百二十五名に及んでおりますので、これを今後一そう充実いたしまして、技能労働者の確保につとめてまいりたいと考えております。  第五に、国有林労働者の通年雇用化の問題でございますが、この問題につきましては、先ほど農林大臣からもお話がございましたが、私どもといたしましても、逐次通年雇用に持っていくということが、やはり雇用の安定という面から考えましても望ましい、かように存じますので、今後農林省と十分連絡をとって、その方向で努力を重ねてまいりたいと存じております。  なお、社会党提案の雇用安定法につきましては、他との関連もございますので、今後なお検討させていただきたいと存じております。  次に、労災保険あるいは失業保険の適用の問題でございますが、これにつきましては、大体ただいま申し上げたとおりでございます。  最後に、白ろう病の関係でございますが、これにつきましても農林大臣から御説明がございましたが、労働省といたしましては、その実態をまず究明するという意味からいたしまして、労働科学研究所に研究を依頼いたしておりまするし、また、労働衛生研究所に命じまして、具体的にどうしたならばチェーンソーの振動が人体に及ばないようにできるかという、その方策を研究させてまいっております。その一部はすでに実用化もいたしております。また、いわゆる職業病としての取り扱いもいたしておるわけでございまして、国有林野以外につきましては、今日まで全国で十一件報告を受けております。なお今後全国的にさらに調査をし、これが適用を適正にいたしてまいりたい、かように考えておるところでございます。(拍手)   〔国務大臣三木武夫君登壇
  17. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 芳賀君の私に対する質問は、外材の輸入を、外米とか外麦のように、管理貿易方式にする考えはないかという点が一点、第二点は、製材業の近代化を促進する必要があるという点でございます。  第一点は管理貿易方式を採用する考えはありません。しかしながら、木材の輸入組合、これの協力を得て、秩序のある輸入ができるような行政指導をやりたい。  第二点については、われわれもその必要を感じまして、今年度から製材業を近代化促進の指定業種にいたしました。そうして、高度化資金、近代化資金、中小企業三金融機関の資金を積極的に活用して、製材業の近代化をはかる所存でございます。(拍手)   〔国務大臣藤山愛一郎君登壇
  18. 藤山愛一郎

    国務大臣(藤山愛一郎君) お答え申し上げます。  国土総合開発計画の中で、森林資源の問題は重要でございますし、ことに土地利用の区分ということが計画に盛られなければなりません。したがって、森林につきましては、林野庁で二十六年から森林資源の調査をやっておられますけれども、経企庁におきましても、国土調査法に基づきまして、土地の分類調査を三十六年から始めました。まだ始めたばかりでございますから、八百平方キロから千平方キロと、毎年やっておりますので、今後これを続けてやってまいりたいと思います。(拍手)   〔国務大臣鈴木善幸君登壇
  19. 鈴木善幸

    国務大臣(鈴木善幸君) 林業労働者に対しまして被用者保険を適用する問題についてでありますが、現在、林業は、厚生年金や健康保険のもとにおきましては強制適用対象事業になっておりません関係から、国有林野に働いております常用労働者が国家公務員共済組合の適用を受けておりますものを除きましては、国民健康保険及び国民年金の適用を受けておりまして、被用者保険の適用は、現在のところ受けておらないわけでございます。しかし、政府といたしましては、厚生年金及び健康保険の中にありますところの任意包括適用制度、これを活用いたしまして、積極的に被用者保険に加入するように指導いたしておるところであります。今後、この強制適用対象にする問題につきましては十分検討してまいりたいと存じます。(拍手
  20. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  21. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 本日は、これにて散会いたします。    午後三時四十九分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君         厚 生 大 臣 鈴木 善幸君         農 林 大 臣 坂田 英一君         通商産業大臣  三木 武夫君         運 輸 大 臣 中村 寅太君         労 働 大 臣 小平 久雄君         国 務 大 臣 藤山愛一郎君  出席政府委員         運輸省航空局長 佐藤 光夫君      ————◇—————