運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1966-03-03 第51回国会 衆議院 本会議 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月三日(木曜日)     —————————————   昭和四十一年三月三日    午後二時 本会議     ————————————— ○本日の会議に付した案件  裁判官訴追委員辞職の件  裁判官訴追委員選挙  物品税法の一部を改正する法律案内閣提出)及   び租税特別措置法の一部を改正する法律案   (内閣提出)の趣旨説明及び質疑  石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法   律案内閣提出)、産炭地域振興事業団法の一   部を改正する法律案内閣提出)及び産炭地域   振興臨時措置法の一部を改正する法律案(内   閣提出)の趣旨説明及び質疑    午後二時六分開議
  2. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————  裁判官訴追委員辞職の件
  3. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) おはかりいたします。  裁判官訴追委員河野密君から、訴追委員を辞職いたしたいとの申し出があります。右申し出を許可するに御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。      ————◇—————  裁判官訴追委員選挙
  5. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) つきましては、この際、裁判官訴追委員選挙を行ないます。
  6. 海部俊樹

    海部俊樹君 裁判官訴追委員選挙は、その手続を省略して、議長において指名されんことを望みます。
  7. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 海部俊樹君の動議に御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 御異議なしと認めます。  議長は、裁判官訴追委員坂本泰良君を指名いたします。      ————◇—————  物品税法の一部を改正する法律案内閣提出)及び租税特別措置法の一部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明
  9. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 議院運営委員会の決定により、内閣提出物品税法の一部を改正する法律案、及び租税特別措置法の一部を改正する法律案趣旨説明を求めます。大蔵大臣福田赳夫君。   〔国務大臣福田赳夫登壇
  10. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 物品税法の一部を改正する法律案、及び租税特別措置法の一部を改正する法律案趣旨を御説明申し上げます。  私は、さきに所得税法の一部を改正する法律案法人税法の一部を改正する法律案、及び相続税法の一部を改正する法律案について趣旨を御説明いたしました際、昭和四十一年度税制改正基本的な考え方を申し述べたのであります。今回ここに提出いたします物品税法の一部を改正する法律案、及び租税特別措置法の一部を改正する法律案は、昭和四十一年度税制改正の一環として健全な消費需要を喚起する等の観点から、物品税負担軽減合理化をはかるとともに、企業体質改善強化輸出振興農業構造改善促進等に資するため、特別の措置を講じようとするものであります。  まず、物品税法の一部を改正する法律案について、その大要を御説明申し上げます。  第一は、課税廃止についてであります。すなわち、現行課税物品のうちには、最近における消費態様企業規模零細性等から見まして、課税することが適当でないと認められるに至ったものがあるのでありまして、煙火、ネオン等等につきまして課税廃止することといたしております。  第二は、税率引き下げであります。耐久消費財等課税物品のうち、その普及が国民生活水準向上と密接な関連を有するもので、かつ、その消費拡大輸出振興に寄与すると考えられるもの等については、税負担軽減を行なうこととし写真機テレビ受像機小型乗用自動車等について税率引き下げることといたしております。  第三は、特別措置期限の延長であります。ステレオ装置等の本年中にその期限の到来する物品につきましては、現下の経済情勢等に顧み、二年間その措置を延長することといたしております。  第四は、課税合理化であります。以上の軽減措置にあわせ、税負担の均衡をはかる見地から、清涼飲料課税方式を改める等、課税合理化をはかることといたしておるのであります。  なお、以上のほか、政令におきまして、課税最低限制度等を設けておりますが、これにつきましても、法律における減免とバランスをとりつつ、課税品目の整理及び課税最低限新設ないしは引き上げを行なうことを予定しております。  次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案について、その大要を御説明申し上げます。  まず第一は、中小企業体質強化に資するための措置であります。今回の税制改正では、中小企業に対する減税を特に重視しておるのでありますが、租税特別措置法においても、中小企業体質強化のために、適切な特別措置を思い切って講ずることとしておるのであります。すなわち、中小法人債権回収状況に顧み、その内部留保の充実に資するため、中小法人に限って、貸し倒れ引当金繰り入れ限度額引き上げるとともに、輸出振興助成策をもかねて、中小商社海外市場開拓準備金繰り入れ率引き上げることといたしております。  また、中小企業近代化、協業化を促進するため、中小企業構造改善準備金制度及び個人が協業のため現物出資をした場合の譲渡所得税について、延納制度を設けるほか、割り増し償却制度適用を受ける業種の指定期限を延長する等の措置を行なうことといたしております。  第二は、企業体質改善を促進するため、新たに一定期間を限って資本構成改善し、あるいは合併をし、または過剰機械設備スクラップ化を行なった企業について、それぞれ一定税額控除を行なうこととしたことであります。これは、企業経営基盤を充実し、産業体制の整備をはかる企業努力を期待した措置であります。  第三は、輸出振興のため、輸出割り増し償却制度割り増し率引き上げ、また、海外取引に対する特別控除制度適用対象を拡大することといたした点であります。  第四は、農業構造改善に主眼を置いて、農地管理事業団農地を譲渡した場合の譲渡所得税について、特別控除を行なうほか、農地贈与について、贈与税及び登録税を減免する等の措置を講ずることとしておるのであります。  なお、以上のほか、企業従業員が住宅の取得について、使用者から特別の利益を受けた場合における所得税非課税特例準備金制度の拡張、割り増し償却対象資産追加等、所要の改正を行なうことといたしております。  以上、二法律案趣旨について御説明申し上げた次第であります。(拍手)      ————◇—————  物品税法の一部を改正する法律案内閣提出)及び租税特別措置法の一部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
  11. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) ただいまの趣旨説明に対して質疑の通告があります。これを許します。山田耻目君。   〔山田耻目君登壇
  12. 山田耻目

    山田耻目君 ただいま趣旨説明のございました昭和四十一年度租税特別措置法並びに物品税法改正につきまして、日本社会党を代表いたしまして、質問を行ないたいと存じます。  政府は、去る一月二十一日の閣議におきまして、昭和四十一年の税制改正基本となる要綱を正式に決定されました。本国会に提出されております内容を見ますと、政府は、減税規模を、国税、地方税合わせて初年度二千三百四十六億、平年度三千六百二十一億の減税額を示し、その限りにおきましては、大蔵大臣の言われてまいりました名目数字においては、戦後最大減税と言えるでありましょう。しかし、政府国債発行下減税に踏み切った今日的意図、減税財源の配分及び効果、国民にひとしく公平の原則を守られなければならない租税制度上から考察をいたしますときに、一部の大企業法人高額所得者個人に対する利益の保障がきわめて多く、原則を欠いた目的意識的なものでございまして、こうした事実は税制上随所に指摘できるのでございます。特に、本年一月から相次いで行なわれました公共料金値上げは、消費者米価八・六%、私鉄運賃二〇%、地下鉄二六・二%、近く国鉄運賃が、旅客におきまして三一・二%、貨物において一二・三%とはね上がってまいり、さらに、水道料金国民健保本人負担分の増、小包料金、郵便、電報などの大幅な値上がりは、国民が巻き上げられていく増し分だけで四千億の多きに達するのでございます。しかるに、一般庶民への減税は、特に所得減税におきまして、本年度千二百八十九億にすぎないのでございます。政府は、すみやかにただいま提案されております租税特別措置廃止されまして、所得税地方税減税に補てんをされ、可処分所得の増大をはかるべきでないかと存じます。(拍手)そのことが、生活水準の低下を防ぎ、同時に貯蓄性向を高める道でもあるのでございます。しかるに、ただいまの趣旨説明によりますと、四十一年度特別措置はますます追加拡大傾向に進んでおるのであります。  租税特別措置あり方につきましては、昭和二十五年創設以来、幾多の反対の論議がわが党の手によって進められてまいりました。また、税制調査会答申も、一貫いたしまして改廃合理化答申を続けてまいったのでございます。与党議員の中にも、正邪を正すべしという意見もまた決して少なくないのでございます。国民の世論も、こうした改廃意見に積極的な支持を送っているのであります。にもかかわらず、なぜ廃止されずに、増設の方向をたどったのでありましょうか。それには、次のような動かしがたい側面を持っているのであります。  租税特別措置なる法律は、特定の大企業法人ないしは特定個人に対し、巨額利益を保障するがために、時限立法という歯どめがきかずに、ずるずると既得権化方向に進んだこと、なおその上に、圧力団体である大資本との結合は、政府独占資本との相互誘引となり、ついに結果的に今日の政府・自民党と大資本との強力な結合基盤を築き上げたものと見るべきが至当だと思っております。(拍手)  数字的に証明をいたしてまいりますと、朝鮮動乱が勃発いたしました昭和二十五年の特別措置による減税額は八億円にすぎなかったのでありますが、朝鮮動乱の終局した昭和三十年には、百倍に近い七百三十二億にはね上がっておるのであります。池田内閣高度成長政策に踏み出した昭和三十五年には千七十一億円であったものが、行き詰まりを来たしました昭和三十九年には二千九十八億と、二倍に近い巨額にのぼり、特例項目も三十七の多きに達しておるのであります。租税特別措置傾向と、日本の大資本基盤強化とは、同じ傾向値を持っておることがここで明らかでございます。(拍手)ただいまの大蔵大臣趣旨説明によりますと、四十一年度は、さらにその上に十項目を追加いたしまして、三百四十二億の額を追加し、減収減税総額合わせまして二千四百五十九億の巨額にいたそうとするものでございます。  中小企業の倒産は、二月に入りましても一向に衰えを見せません。農業は依然として三ちゃんの労働化からのがれることはできません。生産と生活の破壊の度合いは一段と強まってきております。大企業のみに片寄せたこうした特例措置は、まさに企業あって人間なし、全く冷酷むざんな仕打ちではございませんか。(拍手総理が言われておりました人間尊重政治哲学は、いずこに姿を消したのでございましょうか。政治姿勢を正す意味合いから、総理の明快な御答弁をお願いいたします。  大蔵大臣、あなたが確信を持って説明なさいました四十一年度新設特別措置は十項目ございますが、その特徴的なものを拾ってみますと、資本金一億円以上の企業法人自己資本を一%以上向上させた場合には、一〇%を限度向上割合に応じて税額控除を行なうというごほうび式措置から始まりまして、企業合併が行なわれたならば、増加した資本割合に二〇%を乗じたものを法人税にかけて控除する措置を設け、過当競争下資本を集中させることにより、独占化傾向を強める趣旨であります。また、過大な設備スクラップ化することによりまして、その機械設備取得価格の一〇%を控除するということなどのやり方は、まさに大企業にとってはかゆいところに手の届くような措置でございます。このようにして、四十一年度追加措置を含めて特別措置として適用される項目は四十六項目となりまして、減収減税総額は二千四百五十九億の巨額にのぼります。さらに地方税分を合わせますと、四千億をこえると推計されるのであります。  大蔵大臣、あなたの主張によりますと、資本構成に占める自己資本比率を増大させるためには、特別措置による企業減税はやらねばならないと今日まで言われてまいりました。しかし、ここにあなたの主張とは全く逆なデータがございます。昭和四十年の十一月三十日のエコノミストに発表されたものでありますが、それによりますと、昭和三十八年末の法人企業の総資本額は四十八兆五千億であります。昭和二十九年から昭和三十八年までの十年間に、この企業人たちが納めた法人税総額四兆八千億でありまして、総資本の一割でございます。一〇%でございます。法人企業自己資本構成比が二〇%を割ろうとしておる今日、過去十年間法人税総額、納められたもの四兆八千億をそっくりそのまま法人企業体に返してやったといたしましても、自己資本比率は三〇%にしかなりません。この調査結果によっても明らかになっておりますように、企業減税特別措置によって自己資本構成比率を高めるということは、至難のわざといわなければならないのでございます。(拍手自己資本比率が悪化しました主因は、こうした人々に対する税の過重負担にあったといたしましたならば、税を下げることによってある程度改善も期待できるでありましょうけれども、根本的な原因はそんなところに存在しておるのではございません。高度経済成長政策のあおりの中で、それぞれの企業過当競争におちいりまして、銀行からの借り入れによって設備投資をやり過ぎた結果でございまして、それを日銀の貸し出しや財政膨張政策によって政府が助長したところに、根本的な原因があるといわなくてはならないのでございます。(拍手)このメカニズムに徹底的なメスを入れません限り、減税によって自己資本比率を高めるなどということは、全くむだな試みでございまして、ナンセンスといわざるを得ません。(拍手税制あり方基本にもこのことは関係をいたしておりますので、総理大臣所見もあわせて伺いたいと思います。  次に、特別措置内容について大蔵大臣の具体的な見解をただしておきたいと思います。  企業法人には当然課税されるべき所得額に対して、特別措置を重ねて措置していくわけでございます。三十六年の古い資料ではございますけれども、それぞれの各省から提出をいただけませんので、三十六年の資料もとにしてながめてまいりますと、大手百九十二社に課税されるべき所得額平均一〇〇に対し、特別措置適用によりまして課税対象額平均八二%に減額されてきておるのであります。特に特徴的なものは、紙パルプ五社に対しまして顕著でございます。課税所得額一〇〇に対して何と三八・二%にまで減額されてきておるのであります。驚くべき優遇措置といわざるを得ません。三十九年、四十年度における大手企業法人特別措置適用による課税対象額の減額をお示しいただきたいと存じます。  次に、配当所得並びに利子所得特別措置についてでございますが、国民大多数はいま何を言っているでありましょうか。あしたに朝星をいただき、夜に夜星をいただいて働き通して得た賃金は、親子五人で六十三万円から所得税がかかっていくのでございます。ゴルフをやり、庭をいじって遊んで暮らせる配当所得人々に対しては百八十一万九千円まで無税でございます。勤労国民の三倍に近い優遇措置は、貯蓄奨励という目的措置としては解決しきれない、人間の道義にもとるものだと私は考えております。(拍手)しかも、利子配当所得者減税額は、三十九年度特別措置による減収減税総額の三三%、六百三十五億の巨額にのぼっておるのであります。まさに利子配当所得者天国日本といえるでありましょう。このような措置は、勤労国民勤労意欲を著しく阻害いたしますし、税の公平負担原則をゆがめ、租税の大原則である総合累進課税を踏みにじるものでございまして、悪例の最たるものといわなくてはなりません。(拍手)すみやかに廃止されなければなりません。幸いにして、この措置昭和四十二年三月で期限が切れます。この際、廃止される旨の明確な御答弁を本会議を通して国民に約束していただかなければならないと思います。(拍手総理大臣並びに大蔵大臣決意ある御所見を伺いたいと存じます。  次に、永山自治大臣にお伺いいたします。  最近国民税外負担が著しく増加いたしてまいりました。昭和三十六年の自治省の調査では三百六億となっており、その七五%、二百二十九億がPTA負担でございます。最近わが党の調査なり全国PTA協議会調査によりますと、小学生年間三千六百円、中学生年間三千円で、総額は五百億をこえております。これに加えまして、保育園、幼稚園を合わせますと著しい額にのぼっていくのでございます。四十年度におきまして、このほかに土木、消防などの公的な税外負担がどれくらいあるものか、これを合わせますと膨大な額になりますが、自治大臣の御答弁をお願いいたしたいと思います。  次に、地方自治体超過負担でありますが、三十九年度決算では千百四十三億となっております。四十年度は、先般の全国知事会におきまして確認されました額は千二百七十三億、認証差を合わせますと二千億の巨額になっていくのであります。そういたしますと、片や国民生活税外負担で脅かし、片や地方自治体超過負担で破壊するという、これはたいへんな大問題でございます。原因はきわめて簡単であります。国の支出する単価が安過ぎて、実情にそぐわないというところに問題があるのでございます。大企業には至れり尽くせりの特別措置があるのに、国民地方自治体には貧乏と赤字を押しつける、さか立ちをした特別措置だとはあなたはお考えにならないのでございましょうか。(拍手自治大臣として何らの反発も抵抗もお感じになりませんか。ずばりとあなたの御意見を聞かせていただきたいと思います。  租税特別措置に関し、最後に、総理に御決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。  私は、いままで特別措置の持つ税制上の矛盾や幾つかの個々の悪例を指摘し、廃止決意を求めてまいりました。かつて徳川幕府の中期に、武士階級を除き、家に窓のあるものには窓税を、農民には、田畑を耕すくわに対してくわの柄税をかけたという故事を思うにつけましても、税制というものが権力支配の産物になったときには、税の公平の原則を貫くことはおろか、大衆の不満をなくすることは絶対にできません。今日の特別措置を含む税制あり方の中には、政治と大企業のかたい利益の紐帯によってつくられた税制が決してないとはいえないと思います。私は、こうした階級的視点からのみ考察するのではございません。この際、総理は、国家の財政危機感をいよいよ強めております現在、財政姿勢を正すためにも、税制の立て直しの絶好の時期が到来しておるとお考えにはなれないでございましょうか。この際、勇断を持って税制の抜本的な改定をなさる用意と意向を示されてしかるべきではないかと思いますが、いかがでございましょうか、御答弁をいただきたいと思います。  次に、物品税について質問をいたします。  今回の物品税廃止並びに減税は、五十九品目中四十六品目に及んでおります。減税額も、平年度二百三十八億、初年度二百六億となっております。政府は、小売り価格引き下げるところにねらいがあるとしばしば言っておりますが、そうであるといたしますならば、当然減税額の二百六億は、最終消費者である国民に正確に還元されなくてはなりません。具体的な行政措置がとられておるものと思いますけれども、企画庁長官、明確にお答えをいただきたいと思います。  二つ目には、一月二十一日の閣議了解事項を見ますと、一項は業者に対する勧奨の措置であり、二項は店頭表示指導にしかすぎません。この程度通達行政では、物価引き下げが現実に消費者結合するかどうか、まことに疑わしいものと思います。せっかくの措置中間マージンに化けないように、消費者の立場を保護する企画庁長官として、それら全体のあり方について簡明な御意見を述べていただきたいと心からお願いいたします。  三つ目に、業者調整をなさる通産大臣にお伺いいたしますが、最近の業界の動きを見ますと、自動車関係につきましては、昨年暫定措置として一五%から一六%に引き上げたものをまたもとに戻すわけでございますから、確実に値下げが行なわれるものと思います。しかし、弱電機、時計、カメラなどは在庫もかなり豊富でありますし、しかも多少乱売の傾向が見えていました時期でありますだけに、免税点引き上げによって逆に販売価格引き上げられていき、結果として高い製品を買わされるおそれがあるのではないかと、最近の傾向は見られております。通産大臣は、こうした事情を十分御承知と思いますので、的確にどのような行政指導をなさっておられるのか、お伺いいたしたいと思います。  最後に、総理にお伺いいたしますが、最近の公共料金をはじめとする一連の物価値上げにつきまして、私は国民とともに、きびしい批判を政府にいたさなくてはなりません。昨日、政府に対しまして、総評、中立労連、新産別という最大消費団体から、物価抑制の強い要請が官房長官になされておるわけでございます。この趨勢では、四十一年度におきまして、年間五・五%の物価上昇ではとうていおさまらないでありましょう。上がった。パーセントだけ、お金の値打ちが下がっていくのでございます。苦しい生活を余儀なくされておる多くの国民大衆にとりましては、物価の安定ということはきわめて重大なことでございます。政府は、昨年十一月二十七日の経済政策会議で、政府与党首脳からなる臨時物価対策閣僚協議会を発足され、また、経済企画庁に民間代表からなる物価問題懇談会を設置することをおきめになりましたが、この程度のもので、はたして有効な物価抑制策が生まれるとは、だれ一人信じておりません。この際、総理がしっかりと腹を据えられて、強力な政治力の発動によって、物価安定のための法的措置などを含めて、具体的に踏み切られていく用意決意があるかどうか、最後にお伺いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作登壇
  13. 佐藤榮作

    内閣総理大臣佐藤榮作君) ただいまのお話にもありましたように、租税国民負担、そういう意味でどこまでも公平でなければなりません。また同時に、租税負担軽減するように、政治はそういう方向で指標を立てておるわけであります。今回の減税措置も、さような意味におきまして国民負担軽減したいというので、三千六百億にのぼる大幅の減税を計画いたしたのであります。また、こういう点について、いわゆる経済発展状況とあわせまして税制をつくるべき、その段階にきておる。すでに公債政策も導入した今日でありますから、その基本的な根本的な改正をすべきではないか、こういう御意見につきまして、さような意味において税制調査会はこの問題に真剣に取り組んで、在来の税制あり方、どこまでも公平の原則を守り、さらに国民負担軽減さす、こういう方向考えていく、かように私考えております。この税制調査会を十分に機能を発揮するように働かしてみるつもりでございます。  そこで、この公平の原則から見て、いわゆる租税特別措置なるものはなかなか理解ができない、こういうお話のように論旨を進められたと思います。確かにこの公平の原則から申せば、特別措置なるものは一体何なのか、こういう疑問を抱かざるを得ない。しかし、その説明にもありますように、特定部門についてこの税制の恩恵を与えることにより、そこの発展強化をはかっていく、同時に、そのことが経済全般の安定成長へいい結果を及ぼす、こういうことであるならば、この特別措置は認められるだろう、かように私は思います。  そこで、ただいまの特別措置を設けます際に、その必要性はどうであるか、また、その妥当性はどうであるか、また、さらに弊害とその効果とこれを比較検討した場合にどういう結果になるか等々を十分検討いたしまして、初めて特別措置が設けられるのであります。このことはわが国だけの問題ではございません、外国におきましても同様の措置をとっておるのであります。したがいまして、本来の原則に返って、これが過度の恩恵にならないように、また同時に、慢性化して、これは当然の既得権利であるような考え方を持たさないことが必要だと思います。その他では御注意もございますが、私どもはこの点から、十分問題の適正であるかどうか、効果があるかどうか、また、弊害はそれよりも小さいか、こういう点を十分考えて、この存置をきめてまいるつもりであります。税制調査会もさような観点に立って、政府に対して答申をよこしておるのであります。私は、そういう意味で、配当課税についての特別措置も、お話になりますように、来年、四十二年三月に期限がまいりますから、こういうものが長い期間ではない、その期限が到来する際に存廃について十分検討してまいる、かように考えております。  次に、物価抑制の問題についてのお話がございました。これは私が申し上げるまでもなく、本年は不況克服と物価安定、これが政治の課題だ、わが内閣に課せられた重大なる使命だと、かように申しておりまして、真剣に今日取り組んでおる問題でございます。御指摘またはお尋ねになるまでもなく、決意を持ってこの問題と取り組んでおる、また、有効なお考えはどういうことでもこれを採用する、そういうことにやぶさかでございません。だから各方面の良識ある御意見を聞きまして、そして実効をあげてまいるつもりでございます。  その他の問題につきましては、それぞれ所管大臣からお答えいたします。(拍手)   〔国務大臣福田赳夫登壇
  14. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ただいま総理からお答えがありましたように、租税制度は何といっても公平でなければなりません。しかし、公平でなければならぬかといって、これが硬直化、マンネリズム化してはならぬと思うのであります。税制は、いつもそのときどきの経済情勢に対応して、有効な働きをなすべきである、そういうふうに考えます。いまこの経済情勢を考えてみますると、この席でもしばしば申し上げておりまするが、当面一番大事な問題は、何といっても景気を回復することである。しかし、景気の回復だけじゃないのです。その過程を通じまして、景気回復を通じまして、経済を安定化、合理化しよう、今後再び過去の失敗というようなものを繰り返さない、かような体制を整えなければならぬわけであります。経済の安定は、その年々経済がそうでこぼこなしに動くというような体制、これももとより重要であります。また、産業間におきまして、あるいは地域間におきまして、あるいは階層間におきまして、なるべく格差を解消していくという問題均衡ある内容を持つという問題、これも重要な内容であります。しかし同時に、さらにわれわれが考えなければならぬことは、企業国民も、みんな蓄積を持って、景気がいかに変動し、経済がどういうふうに動こうとも、びくともしないような体制をつくり上げる、こういうことでなければならぬと思う。  そういう見地からして、今回政府は、借金までしても、とにかく公債を発行する、そういうことをいたしてまでも、一方において史上最大減税をやろうということを決意したわけであります。いろいろいま御批判がありましたが、私がこの特別措置、その内容はどういうものであるかということを申し上げますれば、御納得がいくのじゃないか。つまり、この特別措置はそういう考え方に基づきまして、零細貯蓄者、零細投資家、この人たち税負担軽減し、国民に富を持ってもらおう、こういう考え方の貯蓄免税、これが総額二千二百二十億円の中で千四百七十六億円に及ぶのであります。もう一つ当面の問題は、長引いた不況下において困窮する中小企業、この特別対策が四百六億円と相なるのであります。また、大企業がいま非常に困っておる。しかし、これが立ち直って、そうして蓄積をふやして、日本経済の重要な役割をになわなければならぬ。そのためのものが三百三十八億円、つまり中小企業貯蓄、零細貯蓄、これを保護しようということが最大の使命、目的でありまして、大企業はいろいろいわれますけれども、わずかに三百三十八億円である。しかも皆さんは、このわずかに三百三十八億円のことをいろいろ批判されます。しかし、この大企業をも含めて日本経済を発展させなければならぬ。皆さんは、ずいぶん減税しろ、あれにも減税国民すべてにあまねく減税することを強く叫んでおられますけれども、一体減税は何によってできるかといいますれば、これは国民全体の所得がふえなければだめなんです。その所得の根源をつちかうもとは何かといえば、企業なんです。つまり大企業中小企業を含めての企業なんです。この所得の根源、減税の根源を養うところの大企業中小企業、これに対しまして経済の実情に即した特別の措置をとる。これは当然のことであると、かようにお答えをするのであります。(拍手)  もちろん御質問のように、税制だけで自己資本の充実ができる、そんなふうには考えてはおりません。これはお話のように、設備投資の抑制、適正化、これが中心でなければならぬ。それは私も承知しております。しかし、それを刺激し、誘引する措置、これも今日重大な問題であります。そういう意味において、大企業特別措置も一部取り入れられておるような次第でございます。  配当課税につきましては、総理からお話がありしまたが、これも非常に重大な意味を持っております。しかし、来年その期限がくるその時点におきまして、その時点の経済の実態、今後の経済の動き、こういうものを慎重に検討いたしまして結論を得たい、かように考えておるのであります。  また、いま自治体の超過負担について、大きな声でお話がありましたが、これは四十一年度におきましては相当の是正をいたしております。知事会が八項目について是正を要請しておるのであります。この八項目につきましては、ほとんど全部これを取り上げまして、是正の措置が講じてあるということを御承知願いたいのであります。  また、お話しのように、税制は、これは根本的に改正する、これは常に心がけていかなければならぬ問題だと思います。今回、大幅な減税はいたしまするが、今後におきましても、国民負担軽減、つまり企業にも国民にも蓄積のできるような税制になるようにということを目ざしまして、減税政策を追ってまいりたい。(拍手)特に、個人所得税につきましては、なるべく早い機会に、最低限が八十万円くらいになるように、また、所得税につきましては、配当軽課措置を含めまして、適正な法人税率というものをひとつきめてみたい、かように考えておるのであります。  なお、税制が非常に複雑化しております。この複雑化した税制を簡素化する、そうして国民によくわかりいいようなものにする、国民税制ということを基本といたしまして、今後その検討を進めていきたい、かように考える次第であります。(拍手)   〔国務大臣藤山愛一郎君登壇
  15. 藤山愛一郎

    国務大臣(藤山愛一郎君) お答え申し上げます。  物品税減税につきましては、今回、御指摘のように、相当多くの種目にわたっておりますので、これが小売り段階において、最終消費者にこの減税の全額が免税されてまいりますれば、非常に消費者生活において有効であり、かつ、今日の一般的物価の高騰の際において適当な処置だと思いますので、私どもは大いに歓迎をいたしております。ただ、残念ではございますが、CPIに対する影響というものは、ごくわずかでございまして、計算も困難でございますので、私どもはいたしておりません。  それから、物価対策の特別機関をつくったらどうかという御意見でございますが、私ども企画庁に、消費者を入れました物価問題懇談会をつくっておりまして、ただいま強力に推進しております。幸いにして、両院におかれましても、物価問題に対する特別委員会をおつくりになりましたので、それぞれいろいろな活発な御意見があろうと思いますから、それらの委員会の御意見もわれわれは参考にいたし、あるいは採用いたして、そうして物価対策の万全を期してまいりたいと思っております。(拍手)   〔国務大臣永山忠則君登壇
  16. 永山忠則

    国務大臣(永山忠則君) 地方自治の行財政につきましては、中央、地方一体の理念のもとに運営をいたす必要があると考えるのでございます。今日、企業体質改善して輸出競争力を強化することや、さらに貯蓄の奨励、社会資本の充実、中小企業、農村の育成等のために、租税特別措置をするということは当然であり、経済の不況を克服し、安定成長に至る道であると考えるのでございます。しかし、自治省といたしましては、経済的に非常に苦しい中でございますので、資本金一億円以上の法人の自己資本の充実、あるいは合併の際の助成、あるいはスクラップ化に対する等の特別措置に対しましては、その影響を受けないような処置をいたしておる次第でございます。  なお、税外負担関係につきましては、交付税の基準財政需要額の算定におきまして、教育費を中心として解消措置を講じつつあるのでございまして、三十九年度の決算におきましては、前年度に比較して四十五億の減少を見ておるのでございます。なお、今後一段と努力をいたす次第でございます。  超過負担につきましては、四十一年度の予算編成の際、大蔵大臣が申しましたとおり、国の補助にかかる人件費関係並びに施設関係を中心といたしまして三百三十一億の解消措置を講じておるのでございます。今後もさらに一段と努力をいたしまして、地方財政の健全化に努力をいたしたいと存じます。(拍手)   〔国務大臣三木武夫君登壇
  17. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 今回、物品税免税点引き上げ税負担軽減するという措置をとったことは、健全な消費需要を喚起する上において適当な処置であるとわれわれは考えておるわけでございます。したがって、その物品税負担軽減が当然に価格に反映すべきものでありまして、この点については、われわれとしても強力な行政指導を行なうことにいたしております。必ずそれは価格を引き下げる効果を持たなければならぬと考えておるのでございます。ただ、山田さんの御指摘のような、あるいは弱電機とかカメラ等をおあげになって、このことがかえって価格の引き上げになるのではないかというお話であったが、いずれも御指摘になったような業種は、非常に在庫も多く競争も激しいのでございますから、さようなことをいたせば当然にこれは競争にならないのでありまして、さような心配はないと考えておる次第でございます。(拍手
  18. 山口喜久一郎

  19. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 次に、内閣提出石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案産炭地域振興事業団法の一部を改正する法律案、及び産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律案趣旨説明を求めます。通商産業大臣三木武夫君。   〔国務大臣三木武夫君登壇
  20. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) まず最初に、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案趣旨説明をいたします。  御承知のとおり、わが国石炭鉱業は、エネルギー革命の進行に伴い、きわめて憂慮すべき状態に置かれており、政府といたしましては、従来から第一次及び第二次石炭鉱業調査団の答申に基づき各般にわたる処置を講じてまいりましたが、石炭鉱業の構造的危機は予想以上に急迫の度を強め、このまま放置することは許されない情勢に立ち至っております。このため、昨春以来、石炭鉱業審議会において、石炭鉱業の抜本的安定対策について慎重な検討が進められ、昨年十二月、中間答申提出される運びに至ったのであります。政府といたしましては、中間答申の直後、その答申趣旨を尊重し、石炭対策を強力に推進する旨の閣議決定を行ない、今後の石炭対策の基本的な方向を明らかにいたしました。この方針に沿いました諸措置の一環として今回石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案を提案いたした次第でございます。  この法律案内容の第一点は、石炭鉱業の安定出炭体制の確保に資するよう、炭鉱の機械化を促進するため、新たに炭鉱機械貸し付け制度を創設することとし、石炭鉱業合理化事業団にその業務を行なわせることとしたことであります。政府は従来から近代化資金貸し付け制度等の融資措置を講じて炭鉱の機械化を推進してまいりましたが、との制度は、融資措置では実現が困難でありました新鋭機械等の導入及び普及をはかっていくこととしたものであります。  改正の第二点は、石炭鉱業の合理化と資源の合理的開発に資するよう、石炭鉱業合理化事業団の保有鉱区及び石炭鉱山整理促進交付金制度により放棄された鉱区について、鉱区調整の一環としてその特例的な再活用をはかることとしたことであります。従来これらの鉱区につきましては石炭を採掘することができないようになっておりましたが、隣接鉱区から一体的に開発することが著しく合理的である場合には、例外的にその活用を認めることとしたものであります。  改正の第三点といたしましては、石炭鉱業合理化事業団が行なう石炭運賃の延納にかかる債務の保証業務を、昭和四十二年三月三十一日まで延長することとしたことであります。国鉄運賃値上げに際しては、石炭鉱業の経営悪化を極力防止する見地から、値上げ分について一カ年の延納措置を講ずることにしておりますが、それに伴い、事業団の保証業務を延長することとしたものであります。  なお、以上のほか、石炭鉱業合理化事業団の役員の欠格条項も整理することといたしております。  以上が石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案趣旨でございます。  次に、産炭地域振興事業団法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。  産炭地域振興事業団は、石炭鉱業の不況により特に疲弊の著しい産炭地域において鉱工業等の計画的な発展をはかるため、産炭地域振興の推進機関として昭和三十七年七月に設立されたもので、これまで工業用地の造成、ボタ山の処理、設備資金の貸し付け等の業務を行なってまいりました。  産炭地域の現状は、産炭地域振興事業団のこれらの事業の実施等により、最近ようやく改善のきざしが見え始めてはおりますが、その疲弊は依然として著しいものがあり、産炭地域振興を促進すべき必要性はなお続いております。このため、この法律案におきまして、産業基盤の整備及び企業誘致の一そうの推進の見地から、産炭地域振興事業団に、従来の業務のほか、同事業団が造成した工業用地において使用する工業用水の開発、供給、及び産炭地域振興に必要な鉱工業等を営む者に対する長期運転資金の貸し付けまたは出資の業務を新たに行なわせようとするものであります。  このうち、工業用水の開発、供給事業としては、当面、筑豊鞍手地区のクリークの活用による用水開発事業を二カ年計画で行なうこととし、また、出資事業としては、四十一年度におきましては、ボタ山利用による人工軽量骨材製造事業の企業化を行なう予定であります。  なお、この法律案においては、産炭地域振興事業団の監事の職務権限を強化するとともに、役目の欠格条項について所要の整理を行なっております。  以上が産炭地域振興事業団法の一部を改正する法律案趣旨であります。  次に、産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。  産炭地域振興臨時措置法は、石炭鉱業の合理化に伴い疲弊した産炭地域振興をはかるため、産炭地域における鉱工業等の急速かつ計画的な発展等をはかることを目的として、昭和三十六年十一月十三日から昭和四十一年十一月十二日までの限時法として制定され、以来、この法律に基づく産炭地域振興計画を基礎として、産業基盤の整備及び企業の誘致対策を中心とした種々の産炭地域振興対策が講ぜられてまいったのであります。  しかしながら、石炭鉱業の合理化が本法制定当時予想した以上に急速かつ大規模に行なわれたこと等の事情を反映して、産炭地域の実情は、三十七、八年に比べると改善のきざしが見え始めているとはいえ、その疲弊は依然として著しいものがあり、産炭地域振興のための施策を継続する必要性はなお続いている現状にあります。  この法律案は、このような考えもとに、産炭地域振興臨時措置法の有効期間を五カ年間延長しようとするものであります。なお、この法律案の附則におきまして、通商産業省設置法の一部を改正いたし、通商産業大臣の諮問機関である産炭地域振興審議会の設置期間につきまして、産炭地域振興臨時措置法の有効期間の延長に対応して五年延長することとしております。  以上が産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律案趣旨でございます。(拍手)      ————◇—————  石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提出)、産炭地域振興事業団法の一部を改正する法律案内閣提出)及び産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
  21. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) ただいまの趣旨説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。藏内修治君。   〔藏内修治君登壇
  22. 藏内修治

    ○藏内修治君 私は、ただいま趣旨説明のありました石炭関係三法案、並びに、これに関連して、今後行なわるべき政府の抜本的石炭安定対策について、自由民主党を代表して若干の質疑をいたしたいと存ずるものであります。  各位もすでに御承知のとおり、過去十年間を通ずるわが国石炭鉱業の課題は、豊富かつ低廉な重油の急激な進出に対して、みずからの将来をいかに打開するかという、いわば生存のための条件を確立することであり、このために実施された炭価千二百円引き、及び大規模合理化整備は、他産業においては全く例のないきびしいものであり、総トン数において二千百七十万トン、炭坑数において六百二十五という、計画以上の合理化効果と、行き過ぎた斜陽ムードをもたらしたものであります。加うるに、わが国における重油の価格の推移は、これまた、はるかに予想を下回る価格となり、急激な合理化過程に生じた電荷にあえぐ石炭鉱業にさらに追い打ちをかけるとともに、石炭鉱業をして、放置すれば逐次崩壊していく絶対絶命の窮地に追い込んでしまっているものであります。  このような窮状にある石炭鉱業に対し、政府は、抜本的安定対策を講ずるため石炭鉱業審議会の答申を求めるとともに、総合エネルギー調査会に対しても、エネルギー政策における石炭の位置づけに関し答申を求めているのでありますが、問題は、答申を求めるにあたっての政府基本的態度であります。  そこで、私はまずお尋ねを申したい。一体、政府は、エネルギーの安全保障の見地から、石炭産業を将来にわたって維持すべきものと考えているのか、それとも、経済合理主義の立場から、つぶしても差しつかえないと考えているのか、いずれの立場に立っているかということであります。この基本線の定まらざるところに、今日までの石炭政策の停滞と石炭企業の窮迫の根本的な原因があります。それのみではありません。政府は、三木通産大臣が去る二月二日の本院本会議で言明せられましたように、この三月中にも石炭についての位置づけについて調査会の中間答申を得て、これに基づいて石炭鉱業審議会の抜本的安定対策に関する最終答申をこの六月には求めようとしておるのであります。すなわち、エネルギー調査会が純経済ベースで答申する事態がかりにあり得るとするならば、鉱業審議会の長年月にわたる作業は全く無慮味であり、同時に、政府のこの両機関に対する諮問をしておる態度はまさに矛盾するといわざるを得ません。石炭を残すのか残さないのか、かつて通産大臣であられた佐藤総理並びに三木通産大臣の明確なる御所信を承りたいと存ずるのであります。  私は、エネルギーの安全保障の見地から、国産エネルギーの大宗である石炭産業は保護すべきものとの立場に立つものでありますが、政府も、ここに関係法律案を国会に提出している以上、暗黙のうちにこの立場を認めているものとは存じます。しかりとすれば、優柔不断にして今日まで根本的安定対策の樹立を遷延してきたことをまことに遺憾とするものであります。  さて、次は、総合エネルギー政策における石炭の位置づけについてであります。スケジュールとしては、石炭鉱業審議会はエネルギー調査会の三月中間答中に基づき六月に最終答申を出す予定であることは、前に述べたとおりでありますが、安定対策の基礎的条件となる出炭規模をほぼどの辺に想定しておられるか、お伺いをいたします。  すなわち、昨年十二月石炭鉱業審議会が破局的石炭企業の再建のためにまず石炭の位置づけを強調した契機となったものは、資金不足、労働力の不安定、災害等諸種の原因からする予想外の出炭不振であります。五千五百万トンは目標としても、せめて五千二百万トンくらいは確保したい、しかしそれが五千万トンの大台もあぶない、こういう状態であったわけであります。ところが、昨年末を境といたしまして、情勢は全く変化しております。出炭は現在では相当に快調であり、四十年度末においてはほぼ五千百万トンは見込めるという、当初の線に近づいてきておるのが現状であります。その理由はしばらくおくといたしまして、石炭はこのように流動的であります。出炭量を位置づけによって長期的に堅持する自信がおありかどうか、通産大臣のお答えをお願い申したいのであります。  さらに、出炭のこの趨勢は四十一年度にも持続せられると私は考えております。大手、中小合わせて四十一年度末五千四百万トンにのぼると見るのが、ただいまの一般の見方であります。幸いにして抜本的安定対策が軌道に乗るといたしまするならば、さらに出炭は上昇するでありましょう。したがって、位置づけによって出炭ベースが確立せられるや、ここにたちまちにして過剰炭の処理をいかにするかという問題が生じてくるのであります。  過剰炭処理の第一の方法は、積極的に新規需要を拡大することであります。現在、電力に一千九百万トン、鉄鋼に八百五十万トンを、非常な努力の結果買い取らせているのでありますが、別途の新規需要面が油の進出によりまして年々縮小せられている今日では、四十一年度に、磁力にさらに約二百万トン、鉄鋼に約八十万ないし百万トン、これほどの新たな政策需要をつくらなければなりません。その具体策並びに可能性について通産大臣は自信がおありであるかどうか、承りたいと思います。  過剰炭処理の第二の問題は、消極的にスクラップを続行し、出炭を抑えていくことであります。四十一年度予算では、保安閉山を加えて三百四十三万トンのスクラップを見込んでおられますが、四十二年度以降も相当量の合理化整備が必要となるものと考えられるのであります。ここに、四十二年度に終わる予定の石炭鉱業合理化業務を重ねて延長せられるお考えがあるかどうか、通産大臣にお尋ねいたします。  第三は、貯炭対策であります。四十一年度には、先ほど申し上げましたような出炭の趨勢からいたしまして、ピーク時において約五百万トンの貯炭が見込まれるのであります。現在は、制度金融にいたしましても、市中金融からも、貯炭に対する融資は全く望むことができません。しかりといたしまするならば、貯炭機構を新たにつくる意向が政府にあるかどうか、もし貯炭機構をつくらないとするならば、この貯炭融資についていかなる方途をおとりになるお考えであるか、通産、大蔵両大臣のお考えを承りたいと思うのであります。  次は、抜本的な安定対策の具体的内答について、政府の構想を承りたいと思います。  その第一は、石炭企業が背負い込んでおる過去の重荷、すなわち、いわゆる異常債務をどう処理するかという問題であります。中間答申は、私企業として存続せしめるならば長期無利子財政資金をもって肩がわりすることを提起いたしておりますが、これに対する通産、大蔵両大臣の御所信を承りたいのであります。  また、この方途をもっていたしましても、中小炭鉱に対する対策というものは、これには全く当てはまらないのであります。この点、中小炭鉱に対しては、いかなるきめこまかい、そして愛情のある対策が講じられるか、この点について政府の御構想を承りたいと思うのであります。  第二は、一たび過去の重荷を整理した後は、絶対に赤字要因の再発を防止することが必要であります。そのためには、ほとんど融資制度一本に依存してまいりました石炭対策を、大幅に補助政策に移行せしめることが必要であろうと思います。坑道掘進、保安施設等に農業基盤整備と同様な国の助成制度を確立することが必要ではないか、通産大臣の御方針を承りたいと思うのであります。  赤字要因再発を防止する第二の方法は、炭価の中に大きな部分を占めております運賃、鉱害復旧費に対して、安定補給金をもって措置することであろうと思います。  運賃補助にあたっては、一律のトン当たり補助は必ずしも妥当な方法ではないと私は思うのであります。わが国石炭の生産構造は、従来は九州を中心とする西が主で、北海道を中心とする東が従でありましたが、長期的展望からいたしますれば、逐次、東が主、西が従となりつつあります。したがって、消費構造はこれと逆行して西が主で東が従となる趨勢に応じて、地域メリットを考慮した、より合理的な運賃政策をきめこまかに行なうべきであると考えますが、大臣の御意見を承りたいと思います。  鉱害は、政府の毎年の努力にもかかわらず、いまなお通産省調査によりましても六百億円もの残存鉱害量を持っておりますが、これは大勢として漸減するでありましょう。しかし、復旧費は、米をはじめとする農産物の毎年の価格騰貴、労賃の値上がり等によって、逆に増大していくと思うのであります。したがって、特に無資力鉱害復旧には大幅の予算措置が必要であり、また、産炭地振興のすべての前提でもあろうと思うのでありますが、整理交付金は本年からでも大幅に引き上げる必要があります。合理化整備が交付金でまかない切れないところに、現在の異常債務が発生し、深刻な産炭地域の社会問題発生の真因があることを思えば、交付金の基準引き上げに十分な検討を加うべきであります。通産大臣の御所見を承りたい。  以上、赤字要因予防の措置は、安定補給金によることは中間答申にも示唆されておるところでありますが、財政資金によるも、安定補給金によるも、大きな国費の支出を要することであり、その財源対策をどうするかは、きわめて重要な課題であります。  石炭対策の財源を重油消費税に求め、ここに石炭と石油の価格のバランスをとることは、欧米諸国の通例であり、わが国においても将来不可避の命題とは思いますが、年間七千万キロリットルにも及ぶ膨大な重油消費に新たに消費税をかけることは、各方面に及ぼす影響がすこぶる大きいことを考慮し、十分慎重なる配慮を加えてまいる必要がありましょう。ただ、現行の原油関税は、一二%の関税率のうち二%が国内産原油の対策に充当せられ、一〇%は石炭対策に振り当てることになっていながら、現実は、広義の石炭対策、すなわち、主として産炭地の道路、港湾等公共事業に振り向けられ、石炭局調査によれば、総額約六百億円のうち約百二十億円、約二〇%が石炭プロパーに使われているにすぎません。七千三百億円にのぼる建設公債の発行せられている今日、公共事業分はそれに吸収して、原油関税はフルに石炭対策に充当されるならば、他の財源にしわ寄せすることなく、また一般物価にもはね返ることなく、石炭安定対策のほとんどすべてを行なうことができると思うのでありますが、大蔵、通産両大臣はこの措置をとる御決意があるかどうか、承りたいと思うのであります。  安定対策の第三は、将来への方策でありますが、新鉱開発に対し現行五〇%の近代化資金の融資比率を八〇%まで引き上げるならば、特に新たに開発機関や国策会社を新設することなく、各企業において自主的な新鉱開発が可能であると思うのでありますが、通産大臣はいかがにお考えになりますか、承りたいと思います。  鉱区の調整については、もちろん望ましいことではありますけれども、それには、関係会社の内容、販売の機構、労組等、調整すべき幾多の条件があり、必ずしも簡単なことではありません。私は、英国の国営ですら一つのルールをつくるのに十年もの長い時間とばく大な経費を要した事実にかんがみ、また、政府がかつて常磐炭鉱の一本会社化を慫慂していまだ実現していない事実等から、無理な合併、一本化は得策ではないと思うのでありますが、通産大臣の御所見を承りたい。  最後に、国営の問題について一言触れておきたいと思うのであります。  佐藤総理は、去る二月十六日の衆議院予算委員会における社会党の多賀谷真稔委員の国営移管論に対し、私企業のよさを今後も生かしていきたいと述べておられるのでありますが、私企業としての限界まできた石炭産業の今日では、必ずしも説得力がないのではないかと私は思うのであります。私は、石炭企業のような労働集約的産業は、集中化の効果よりも分散化の効果のほうが大きいと思います。三井鉱山が、田川、山野等の鉱業所を第二会社に移したことによって出炭も著しく増大した事実によっても、これは明らかであろうと思うのであります。自分の山が悪くても他の山でこれを補うというのでは、真の勤労意欲も、また真の企業意欲も生ずるはずがありません。私が社会党の国営論に反対する積極的理由はここにあります。(拍手)私は、石炭はあくまでも国の厳重な監督下において私企業として存続させることこそが、国民経済的見地からも至当と考えるのでありますが、総理並びに通産大臣の御所見をお願い申し上げまして、私の質疑を終わります。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作登壇
  23. 佐藤榮作

    内閣総理大臣佐藤榮作君) お答えいたします。  ただいまエネルギー革命が進行している、その際に、石炭の地位をどう位置づけるか、こういうことがまず第一のお尋ねであります。申すまでもなく、国内産の石炭は、その供給に安定性がありますし、また外貨を使わなくて済むということ、また地域経済とも非常な密接な関係がある、こういうことで、その重要性は十分認識しなければならない。したがいまして、エネルギー革命が進行いたしておりまして、石油あるいは原子力と石炭、この三つの比較考量はいたしますが、ただいまあげました三点から、この石炭鉱業というものはやはり存続するように考えていかなければならないものでございます。そういう意味で、数回にわたり調査団を派遣し、また、これが総合エネルギー対策としてもいかにあるべきかということを検討いたしておるのでありまして、ただいまお話にもありましたように、この六月になれば、さらに基本的な答申も得られるのではないか、かように考えておりますので、ただいま申し上げるような存置の方向、存続の考え方でこの問題を解決したい、かように私は思っております。  その際に、どのくらいのトン数かという、いわゆる五千五百万トンは生産目標か、さらにまたそれ以下か、こういうような問題も、ただいまの審議会におきまして十分検討していただく、かように私考えております。  次に、最後の問題といたしまして、もう私企業として限界にきたのじゃないか、こういうお話でございますが、これについては、ただいま藏内君の御説明になったような考え方で、私は私企業としてこれを存続していくという方向でありたい、かように思っております。また、審議会の中間答申も、私企業としての基礎を強固にする、こういう中間答申を得ております。しかし、石炭業界の実情は、私が申し上げるまでもなく、他の産業に比較いたしまして国の積極的助成を必要とする産業である、かように私考えますので、この国の助成措置、これが今後各方面の意見も徴しまして、いわゆる適正な、また納得のいく範囲でこの助成をいたしたい、かように考えております。(拍手)   〔国務大臣福田赳夫登壇
  24. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 石炭対策の財政措置をどうするかということのようでありますが、石炭対策につきましては、昨年末石炭鉱業審議会の中間答申が出ておるのであります。この中間答申では、国庫での肩がわり措置等を示唆しておりますが、その正式の答申はこの夏に出ることが予想されておるのであります。その答申の結果を待ちまして、積極的に石炭対策の財政措置を講じたい、かように存じておる次第でございます。(拍手)   〔国務大臣三木武夫君登壇
  25. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) たいへん広範な御質問でございました。石炭鉱業の位置づけ、総理お話しになったように、これは国際収支の面からいっても、エネルギー資源の供給の安定性からいっても、地域経済の開発の点からいっても、石炭は、これは単に採算の点から石炭鉱業というものを考えるべきではない。全体の総合的判断において石炭鉱業は考えるべきで、したがって、ある一定の数量は出炭を確保していくべきエネルギーの中における地位を持っておる、将来にわたっても持っていると考えておるわけでございます。そういう見地から石炭対策を考えてまいりたいということでございます。  第二の、将来過剰の石炭ができるのではないか、この処置を一体どうするのかという点であります。御承知のように、重油が非常に値段も下がってまいりますし、そういう点では競争力は弱いわけでありますが、どうしてもいろいろな総合的観点から石炭を確保しようとするならば、電力業界などに対しては、これは長期にわたって相当な数量を確保してもらうように、今後われわれとしても要請せざるを得ない。また、鉄鋼にしても、そういう大口需要者に対しての今後の長期安定的な需要の確保に努力をしてまいりたいと思っております。  それから第三点は、まだスクラップなどをしたければならぬ山も相当残っておるので、合理化事業団の整理業務というものは延長する必要があるのではないか。大体峠を越したとは思っておりますが、まだやはり閉山をしなければならぬ山もございますから、これは延長の方向において考えたいと思っております。  次に、抜本策はどういうことを考えておるのかということでありますが、御承知のように、先般の十二月の中間答申などにおいても、急速な合理化の過程に生じた異常債務は無利子財政資金によって肩がわりすべきであるというのが答申の中心であったわけでございます。これはそういう形において抜本策を考えざるを得ないわけでございますが、六月に最終答申が出されて、その答申の結果も尊重しながら抜本策を講じていきたいと考えております。また、その抜本策を実施する場合に、中小企業を絶対に区別はいたしません。大手中小企業も一律にこの抜本策の実施には考えてまいりたいと考えております。  さらに、重油に対して関税をかけて、そして石炭対策に使うということはどう考えておるかということでありますが、これは相当に重大な問題でありますので、抜本策を考える場合に、原重油の関税制度あるいは重油の消費税の問題等もあわせて検討いたしたいと考えております。  それから次に、鉱害については、これは復旧事業がまだまだ残ってもおりますし、地方自治団体あるいはまた業者、鉱山の企業にも非常な負担になっておりますので、今後とも補助率の引き上げとか、あるいはまた鉱害の基金の資金の拡大とか、今後対策を強化していかなければならぬ点だと考えております。  さらに、新規の炭鉱の開発については、言われるとおりこれはなかなか——今度は補助率を上げましたけれども、補助率を上げただけでは問題を達成できないのではないか。国の助成をもっと強化しなければならぬと考えますので、そういう線に沿うて検討を加えたいと思っております。  最後に、石炭の国有かあるいは民営かという問題でありますが、総理がお答えになったように、われわれは私企業として石炭を育てていきたい。そのかわりに監督とか規制とか、こういうものは強化せざるを得ないが、基盤としては私企業基盤において石炭問題を解決したいというのが、政府基本的な立場でございます。(拍手)     —————————————
  26. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 中村重光君。   〔中村重光君登壇
  27. 中村重光

    ○中村重光君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま通産大臣から趣旨説明がなされました石炭関係三法案に対して若干の質問を試みますとともに、この際、石炭政策のあり方について政府の所信をただしたいと思います。(拍手)  去る昭和三十六年、本院において石炭産業の危機打開に関する決議が行なわれまして以来、石炭対策については多額の国家資金が投入され、各般の施策が講ぜられてまいりました。しかし、石炭産業の深刻な事態は依然として解消されず、むしろ深化の一途をたどってきたのであります。  言うまでもなく、その原因は、政府の石炭対策が長期的展望を欠いたきわめて場当たり的なものであったということにあるのでありまして、このことは今日明らかな事実であります。政府は、昭和三十六年当時、直接第一線に働く炭鉱労働者の政策転換の主張に耳をかさず、また、再度に及ぶ石炭鉱業調査答申は、私どもにはきわめて不満の多い、現象面にとらわれ過ぎたものでありましたけれども、政府はこれさえ忠実な実施を怠り、さらに、最も重大なことは、国会の意思を無視したことであります。昭和三十六年の決議においても、また昭和三十九年の総合エネルギー政策に関する決議においても、近くは昨年の石炭鉱業の安定策樹立に関する決議においても、本院は繰り返し総合エネルギー政策の早急な確立を強調し、これなくしては根本的な石炭対策の成立し得ないことを指摘してまいったのであります。それにもかかわらず、政府はいまだに総合エネルギー政策を確立せず、その結果、石炭はもとより、電力、石油等個別エネルギー対策は、相互に有機的関連性を欠除しているのであります。すなわち、現在わが国においては、真の意味の個別エネルギー対策は存在していないのであります。石炭問題を今日の事態に立ち至らしめた歴代自民党政府の責任はきわめて重大であるといわなければなりません。(拍手)  一体、政府は、現在の時点における最も重要問題である新鉱開発、石炭生産規模五千五百万トンの確保、石油との価格調整等についてどう考えているのか、総理並びに通産大臣所見を伺いたいのであります。  次に、石炭問題の根底をなす企業経営について伺いたい。  これまで、スクラップ・アンド・ビルド政策は、ビルド面をなおざりにして、スクラップを急激に、しかも企業に過重の負担をさせる形で進行し、一方、現実離れした単価の千二百円下げを最後まで固執する等、政府の石炭対策の主柱はことごとく失敗に帰したのであります。この結果、第二次答申による炭価値上げ利子補給をもってしても、石炭産業の経営の改善には何ら役立たなかったのであります。こうして、石炭産業は膨大な負債と異常な累積赤字をかかえ、企業として存亡の岐路に立っているのであります。すでに、大手炭鉱の一部には、再建炭鉱として事実上国の管理下に置かれ、資本企業としての実体を喪失しているものも出ているのであります。こうした状態にあって、石炭企業は、利潤追求のため生産第一主義に走り、保安をなおざりにし、その結果、労働者の犠牲によって、表面的には生産能率は上昇しました。しかし、これと引きかえに得たものは何であったか。三井三池をはじめ北炭夕張、日鉄伊王島、山野と、続く大規模災害を頻発させ、七百八十七名のとうとい生命を奪い去ったのであります。  今日、大手十七社の年間売り上げ高はおよそ千五百億円でありますが、昨年末現在の借り入れ総額は約二千億円であり、累積赤字はおよそ九百億円に達し、トン当たり純損益は約四百円の赤字となっているのであります。しかも、借り入れ総額の七〇%が財政資金であります。将来の成長性に期待し得ない石炭産業にとって、このような状態はもはや私企業としての存立の基礎を失っていると思うのでありますが、この点に対する総理並びに通産大臣所見を伺いたいのであります。  石炭企業のこうした状態に対し、昨年末の石炭鉱業審議会の中間答申は、財政資金による肩がおり、安定補給金制度を提唱しておりますけれども、いかに巨額財政資金肩がわりを行なっても、石炭産業にはとうてい償還能力はないと思うのであります。本院において、再三にわたり石炭産業の保護助成について決議したゆえんのものは、石炭が貴重な国内資源であり、エネルギーの安全保障、国際収支、雇用安定、地域経済等の観点から重要な地位を占めているからであります。特に、わが国の一次エネルギー供給において、外国から輸入しなければならない石油の比重が年々増大し、すでにおよそ六〇%を占め、年間の所要外貨も五千億円になんなんとする現実を考え、また、国内資源として生産一千万トンをこえる鉱産物は石灰石のほか石炭しかなく、しかも、その経済的価値の高さを思えば、石炭保護政策の必要はだれの目にも明らかであります。しかし、混同してはならないことは、石炭保護政策と石炭企業の保護助成とはいつも必ず同一ではないということであります。この期に及んでもなお私企業形態にこだわり、いたずらに石炭企業保護政策を続けていくことは、資源経済論的な本来の石炭保護政策に逆行するものであります。私は、かりに国民の批判を押し切り、財政資金肩がわり等従来の延長的な石炭対策を実施したとしましても、炭価の問題、需要、労務と見合う生産規模、鉱害復旧、新鉱開発等の諸問題を考えれば、現在の私企業形態でいく限り、再び行き詰まることは必至であると思うのであります。  したがって、この際、私は、西欧資本主義諸国が形式的にもあるいは実体においても国有化に踏み切っているように、当然わが国においても国有国営化の方向に勇断をもって進むべきであると信ずるのであります。そして、その過程において、国が鉱業権を取得し、エネルギー調整基金による炭価の調節、鉱区の調整、流通販売の整理、需要の確保、保安の充実、労働条件の安定等をはかるべきであります。  以上、私の提言は、現実の推移にかんがみて、国有国営化の方向以外に日本経済における石炭資源活用の道はないと思うからであります。総理の率直な所信を伺いたいのであります。  今回提案されておるところの合理化法の改正は、鉱区調整、機械貸与及び運賃延納の三点でありますけれども、これらはすべて相も変わらないミクロ的な対策にすぎないものばかりであり、今日の事態に対する認識の度合いがいかに浅薄であるかを露呈したものといわなければなりません。特に、隣接鉱区のため、国の政策によってスクラップした鉱区を再び利用しようとすることは、永久封鎖という合理化法制定の趣旨に反するものであり、一たんスクラップした鉱区を利用することには、保安上の危険を感ぜざるを得ないのであります。また、このような制度を開くことによって、本来の鉱区調整を糊塗する結果になり、さらには、今後スクラップを促進する機能を果たすおそれもなしとしないのであります。通産、労働両大臣の所見を伺いたいのであります。  第二に、鉱害、産炭地域の問題について伺いたい。  この問題は、石炭の企業形態のいかんにかかもらず、不可避的に犠牲をしいられている人々の問題でありまして、万全の対策が講じられなければならないことはあらためて申すまでもありません。  今日、炭鉱の鉱害復旧については、臨鉱法による鉱害復旧事業団がありますが、現在、累積鉱空量はおよそ七百億円に達すると称せられているのでありますけれども、年々の鉱害復旧量は、拡充したという来年度さえ、わずか五十六億円を予定しているにすぎないのであります。私は、無資力鉱害の急増してきた今日、鉱害復旧事業団を根本的に改組し、国の責任において、無資力、有資力を問わず、鉱害の迅速かつ効率的な復旧をなし得る体制を制度的に確立すべきであると思うので承りますが、これに対する通産大臣所見を伺いたいのであります。  次に、産炭地域振興については、石炭調査団の答申にもかかわらず、政府関係の工場、事業場は依然としてほとんど進出せず、大規模事業場の進出もいまだ一件もない実情であります。最近の国勢調査に徴しましても、過密都市対策と地域開発の重要なことは明らかであります。特に、人口が急減し、窮乏化している産炭地域においては、家庭の崩壊、非行少年、長期欠席児童等、炭鉱のみならず人間まで、しかも生徒、児童のスクラップ化が急速に進行するという深刻な実情であります。これらの点に対し、関係大臣の所見を伺いたいのであります。  今回、事業団法の改正により、事業団の業務を若干拡充しようとしておりますけれども、問題は、個々の業務について独立採算制を重視する事業団運営の方針にあるのであります。現に、せっかく造成した工場団地は、価格が高過ぎて希望者がないという事態を生じているのであります。私は、こうした実情にかんがみ、まず事業団の自主性を認める、たとえば、造成土地についても、画一的な原価主義にこだわることなく、ケース・バイ・ケースで現実に即した弾力的な事業団の業務運営をはかるべきであると思うのであります。以上の諸点について、通産、大蔵両大臣の所見を伺いたいのであります。  最後に、炭鉱労働者の問題について伺いたい。  御承知のとおり、石炭産業は、危険を伴う地下作業であり、機械化には一定の限界がある労働集約的産業の代表的なものであります。したがって、企業形態にかかわりなく、優秀な労働者の有無は石炭産業の存立を左右するのであります。その意味において、労働者の離山がますます増加する傾向にありますことは、実はたいへんな問題となっておるのであります。優秀な労働者の確保は、炭鉱労働に相応する労働条件の確立以外にないことは明らかであります。しかるに、政府は、閉山炭鉱の退職金未払いについて何ら制度的解決をはかることなく、最後まで企業と運命を共にして石炭を採掘した労働者が最も大きな犠牲をこうむるという事態を放置しているのであります。また、石炭鉱業調査答申にもある特別年金制度についても、ようやく調査費をつけた段階にすぎません。いつになったら実施されるのか、見通しすら立たないという始末であります。さらに、山野炭鉱災害の例を見てもわかりますように、いわゆる組夫といわれる労働者が規制を無視して使用され、多数の死傷者を出しているのであります。かような違法な状態は即刻改め、合法的な組夫使用をも含めて当然常用化すべきであります。これらの点について、通産、労働、厚生、各大臣の所見を伺いたいのであります。  以上、要するに、今日の石炭政策は、従来の経緯にこだわらず、虚心たんかいに、人命尊重の立場から、また真に資源経済の立場から新たに展開する以外にないと思うのであります。従来いたずらにイデオロギーに拘泥し、石炭産業をして今日の救うべからざる深刻な事態におとしいれて多くのとうとい労働者の生命を奪い去った責任を政府は厳粛に反角し、勇断をもって石炭政策の大転換を行なう、そのことを強く要求いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作登壇
  28. 佐藤榮作

    内閣総理大臣佐藤榮作君) お答えいたします。  先ほど藏内君にお答えいたしましたように、ただいま石炭産業はたいへんな苦境に立っておると思います。しかも、この石炭産業はエネルギー源として、国内の石炭産業は維持、存続させなければならない、こういう状況にあることは、これも先ほどお答えしたとおりであります。なおまた、石炭産業における特異な点は、いわゆる大企業中小企業が並存しておるということ、しかも、その中小企業の果たしておる役割りはなかなか大きいのであります。また、労働者の関係におきましても、組織労働者が一面いるが、同時にまた、組夫等の新しい制度もここに取り入れられておる。そういうところで労働関係もまた複雑であります。こういう状況もとにおいて、石炭産業を維持、存続さすその方法はどうしたらいいか。国会におきましても決議があり、また、委員会におきましてもそれぞれ慎重な審議が、意見交換がなされました。また、政府におきましても、三十七年と三十九年、すでに二回調査団を派遣いたしたわけであります。さらにまた、今回は、総合エネルギー対策とあわせて石炭鉱業の調査団を派遣して、基本的な、抜本的な対策をひとつ答申していただこうと、かようにただいま取り組んでおる最中でございます。  私は、先ほども藏内君にお答えいたしましたが、いわゆる私企業にあいそをつかして、もう国管、国営でなければならないと、ここまで踏み切るのは、中村君の御意見だが、やや早いのではないか。私どもは、どこまでも私企業としてこれを育成強化していく、その基盤強化する、そのほうが国営、国管よりもより能率的だと、かように実は考えておるのでございますが、いずれ、その基本的な問題については、答申を待ちまして、そして結論を出すことにいたしたい、かように思います。私どもは、いままで考えました先入主に、先入観念にとらわれることなしに、この重大な転機にある石炭産業の今後のあり方を真剣に考えたいと思います。  また、ただいまお尋ねがありましたように、新鉱をどうしても開発していかなければならない。この石炭産業を維持、存続さすといたしますならば、どうしても新しい鉱区を開発しなければならない。これがただいまの振興事業団だけでそれがやれるかどうか。先ほども藏内君から、八〇%の融資があるならばこれは可能だと、かようなお話も出ておりますが、四〇%を五〇%に上げた程度でなしに、この助成方法がどの程度なら効果をあげるか、これなども調査団の報告を待ちたい、かように思います。  いずれにいたしましても、国管、国営に踏み切らなくとも、他の産業に比べて、石炭産業に対しては、政府がより手厚い助成をすべきものであるということは私どもも承知しておるのでございますから、ただいまの答申を待ちまして、そうして適切なる処置をとることにいたしたいと思います  その他、いろいろこまかな点についてのお尋ねがございましたが、それぞれの所管大臣からお答えさすことにいたします。(拍手)   〔国務大臣三木武夫君登壇
  29. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 中村君の御質問、非常に広範にわたっておりましたが、総理がお答えになりましたように、新鉱開発に対しては長期で無利子の資金があり、今度はその融資比率を引き上げたわけでありますが、なかなかこれでは十分だと申すこともできますまい。今後の検討しなければならぬ問題点だと考えております。  それから、国有、国営あるいは国家管理という企業形態の問題にお触れになりましたが、これは総理がお答えになったとおりに、昨年末の中間答申においても、私企業として経営の基盤強化していけということがその趣旨でもあったと思います。政府もまた、こういう趣旨において今後の抜本策を考えていきたい、かように考えております。  それから、スクラップされた鉱山を再利用するという点にお触れになって、いろいろお話しになりましたが、これは乱用すべきものではない。きわめて限定的なものであって、しかも非常に合理性がある、経済性がある——隣にあるわけですから、それを一体として経営すれば非常に合理的でもあり、経済的でもあるという限定された場合にこれは認めるべきであって、これが保安上にいろいろ問題があるというならば、当然にこういうものは許すべきではない。さように厳格にこのスクラップ鉱山の再利用については考えておる次第でございます。  それから、産炭地域振興については、これはわれわれも非常に心を痛めておるわけであります。石炭を中心として発展した地方が、石炭産業というものが不振で、非常に惨たんたる状態になっている。このため、産炭地域振興臨時措置法なども、十一月に期限が切れますけれども、これは五年延長したい。延長して、そして産炭地の振興をはかりたい。そのためには産炭地域振興事業団がやはり中核にならざるを得ない。この事業団が中心になって、長期の運転資金の貸し付けであるとか、あるいはまた非常に低利な設備資金の貸し付けであるとか、今度は工業用水などに対しても、開発して供給する事業もやれることにしたわけであります。あるいはボタ山の利用であるとか、こういうことで、できる限り企業を誘致しやすいような努力を今後払いまして、何とかしてこの疲弊しておる産炭地の振興をはかるために、われわれもできるだけの努力をしたいと考えております。  次に、労務者の問題にお触れになったわけでありますが、こういうふうな石炭産業が前途不安でありますから、新規の若年技術労務者などの確保というものは大問題であります。しかし、どうしても石炭産業を、エネルギーのあるにない手として、ある程度の石炭を将来にわたって維持していこうとするならば労務者の確保というものは中心の課題であります。そのためには、生産とか、あるいは作業とか、住居とか、こういう作業と住まいとの環境の改善ということが大事で、その上にもってきて、やはりいま御指摘になったような年金制度なども、これは真剣に考えてみて、早期に実現できるようにという見地においてこれは検討すべきものである。そういうふうにして、できる限り炭鉱に働く人たちが安心して働けるような条件をつくることが必要であるという中村さんのお説には、私も同感でございます。  以上、お答えといたす次第であります。(拍手)   〔国務大臣小平久雄君登壇
  30. 小平久雄

    国務大臣(小平久雄君) まず第一に、再活用炭鉱に労務者を就労させることは保安上どうか、こういう御趣旨のお尋ねでございますが、この点につきましては、ただいま通産大臣から、災害等の危険のあるような、そういう問題の山の再開発はもちろんしない、こういう明確な御答弁がございましたので、あらためて申し上げる必要もないと思いますが、私どもも全く同感でございまして、その点、労働省といたしましても、通産省と十分連絡をとりながら、注意いたしてまいりたい、かように考えております。  第二は、未払い退職金等の問題でございますが、石炭鉱業の賃金不払い額は、三十九年十二月末に約二十億ございましたが、その後、関係方面の御協力を得まして、逐次減少いたしまして、去年の九月には四億四千万程度になりました。しかし、なおかつ全産業で約十七億円でございますから、この中では一番多額を占めておる。こういうことで、はなはだ遺憾な事態でございます。労働省といたしまして、昨年末等も、通産省に御連絡を申し上げまして、合理化事業団の交付金の交付を急いでいただいた、こういうことによって、相当さらに減額いたしたわけでございますが、今後におきましても、関係方面の御協力を得まして、極力不払い問題の解決を促進してまいりたい、かように考えておるのでございます。  第三には、特別年金制度についてのお尋ねでございます。この点も、ただいま通産大臣から御答弁がございましたが、私どももこの特別年金制度につきましても、石炭山における労務の確保あるいはその安定、こういう観点から、ぜひ有効な年金制度ができることが望ましい、こういう立場において、通産、厚生両省と熱心にただいま検討をいたしておるところでございます。  さらに、組夫の問題についてでありますが、この組夫も、実は数の上におきましては、昭和三十六年度の二万九千百八十一人というのが最高でありまして、その後漸減いたしてまいりまして、昨年度におきましては一万八千余人、こういうことに相なっております。また、全就業者に対する率の面から見ますと、三十六年の一一・一%から三十八年の一三・八%、これが最高でございます。昨年は一二・二%、昨年の傾向では、数の点においても、あるいは率の点においても、若干減少いたしてまいっておるのでございますが、この組夫は、御承知のとおり、石炭鉱業合理化臨時措置法によりまして、その合理化の観点からやむを得ない、妥当である、こういう際に限ってだけ臨時的に認める、こういう立場でございますから、  その限りにおいては、新鉱開発だとか、あるいは立て坑開発等につきましては、これは私どももやむを得ないと思いますが、一般の採炭等には極力常川の直轄工をもって充ててほしい。そういう考えに基づいて、私どもも、指導あるいは職業紹介等もいたしておるわけでございます。(拍手)   〔国務大臣中村梅吉君登壇
  31. 中村梅吉

    国務大臣(中村梅吉君) 御指摘のございましたように、産炭地の青少年非行化防止ということは、ほかの問題とあわせて、教育上きわめて重要な事柄でございます。したがいまして、私どもといたしましては、御承知のとおり、就学の援助あるいは育英制度の拡大適用等、いろいろこの産炭地の諸問題につきましては、鋭意努力をいたしておるところでございます。  また、生徒指導等につきましても、充て指導主事の増加をはかる等いたしまして、できるだけこの石炭産業の現況から見て、いろいろ問題の起こってまいります生活水準の低下等に伴う児童、生徒の関係につきましては、今後とも鋭意諸問題の解決に努力いたしまして、最善を期したいと思っております。(拍手)   〔国務大臣福田赳夫登壇
  32. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 産炭地の振興につきましては、ただいま通産大臣からお答えがありましたように、やはりその経済面は産炭地振興事業団を中心とするほかないと思います。この事業団に対しましては、政府としては、従来相当手厚い資金対策はとってきてあるわけであります。内容の厚い対策だと思うのです。しかし、産炭地の現状にかんがみまして、今後も、さらに積極的に通産省の施策に協力をしていきたい、かように考えております。  また、特別の年金制度をどう思うか、こういうお話であります。今日、厚生年金で相当手厚い特別な年金になっておるわけであります。ただいま、これをさらに一歩進めるかどうか、特別のものにするかどうか、関係各省で相談をいたしております。前向きで取り組んでいきたいとお答え申し上げまして、御返答といたします。(拍手)   〔国務大臣鈴木善幸君登壇
  33. 鈴木善幸

    国務大臣(鈴木善幸君) 石炭産業の労務者に対する特別な年金制度の創設の問題につきましては、一昨年末の石炭鉱業調査団、また、昨年の石炭鉱業審議会からの答申にありますとおり、石炭産業の保護のためにきわめて重要な問題であり、また、労務者の確保と生活の安定のために重要な問題であると考えております。ただいま、関係各省間で鋭意検討を進めておりまして、できるだけ早く結論を得るように努力いたしたいと存じます。(拍手
  34. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  35. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 本日は、これにて散会いたします。    午後四時四分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君         文 部 大 臣 中村 梅吉君         厚 生 大 臣 鈴木 善幸君         通商産業大臣  三木 武夫君         労 働 大 臣 小平 久雄君         自 治 大 臣 永山 忠則君         国 務 大 臣 藤山愛一郎君  出席政府委員         内閣法制局長官 高辻 正巳君         自治省税務局長 細郷 道一君      ————◇—————