○井岡大治君 私は、日本社会党を代表して、ただいま
運輸大臣から
報告のありました、二月四日十九時一分、
東京湾羽田沖で
全日本空輸株式会社所属ボーイング727型機の墜落
事故に関し、
総理はじめ関係
大臣に若干の
質問を行ないたいと存じます。同時に、私は、この
事故を単に
全日空の
事故としないために、私たちは真剣に考えなければならないのではないかと考えるのであります。
私は、
質問に入る前に、今回の
事故で、青雲に富むとうとい
生命を一瞬のうちに失われて、ほんとうに申しわけない、私たち国政に参画しておる者は真剣に考えなければならないのではないかと考えるのであります。同時に、この人方の御
冥福をお祈りいたしたいと思います。(
拍手)また、
両親の帰りを楽しみにして待っておいでになった
横島恵美子さんごきょうだい、ついに御
両親はお帰りになりませんでした。これからの社会をほんとうにさびしくお過ごしになるわけでございますが、私たちは、これらの
方々に対して、ほんとうにもっと血の通ったあたたかい手を差し伸べてあげたいと考えます。同時に、一家の中心を失われた御
遺族に対しては、心から私は
同情の念と同時に、私たちのつとめを果たしていかなければならぬと思います。(
拍手)
事故発生以来、
遭難者救護のために寝食を忘れて、避難者の存命を祈念して、懸命に
努力された
海上保安庁の諸兄はじめ、
救難作業に従事されました
方々、並びに御
遺族の安否をいっときも早くお知らせするために御
努力くださいました報道関係の皆さんに、満腔の敬意と感謝を申し上げる次第であります。
まず、私は
総理にお伺いいたします。いま申し上げましたように、私たち国政をあずかる者は、今回の
事故は、単に
全日空の
事故でない、少なくとも国の
事故である、こういうように考えるべきであると考えるが、
総理はどういうようにお考えになっておるか、お伺いをいたしたいのであります。
同時に、さきの
政府の所得倍増計画の中で、
交通機関は、利用者たる
国民の
立場に立って、将来の
交通体系の
構造的発展を促進するものでない限り、投資をすべきでないという
基本を立てておいでになります。まことにことばとしては適切でありまするけれども、いま
交通事故でたくさんな方方が命を失われております。したがって、私は、いままでの
交通政策というものは、その場、その場で、問題が起こったならば、これを立てていくというやり方にしかすぎないと考えるのでありますが、この際、根本的な
交通体系を立てる意思があるかどうか、勇気があるかどうか、
運輸大臣にお伺いをいたしたいと思います。
総理は、今回の
航空機事故が史上
最大のものである事実を率直に認めて、従来までの営利を中心とした、たとえば当日727型機が
羽田と千歳の間を五回往復しておるのであります。八時四十分から七時までの間に五回ということになりますと、
整備する時間などというものは全くありません。点検をするのにいたしましても、全く事務的な点検にしかすぎないと考えるのであります。でありますから、私は、この際、こういう営利を中心とした
航空政策を一てきいたしまして、真に
国民のための
航空政策を樹立するように指導をしてもらわなければならないと考えるのであります。
政府は、
航空政策に対して抜本的な再
検討をする用意があるかどうか、この点をお伺いいたしたいと思います。(
拍手)
わが国の
航空事業は、ここ数年目ざましい発展を遂げました。しかし、一面、その
基本である
安全対策というものは十分でありません。将来さらに大型化することが予想されるのであります。超高速度化することも、また時間の問題とされております。そのためには、現在の
航空法を改正して、乗員の層、あるいは設備、あるいは研究、再訓練、再教育等の負担にたえ得る条件を持っていないものは免許をすべきでない、こういうように考えるのでありますが、
総理は、その御意思があるか、御
決意があるかどうか。
運輸大臣はそのように指導するかどうか、
お尋ねをいたしたいと思います。
さらに、この際、
航空機が大衆化された今日、有視界方式を改めて計器
飛行に切りかえる、このように
航空法を改正すべきであると考えるが、
運輸大臣の御
所見をお伺いいたしたいのであります。
次に、
お尋ねいたしたいことは、
事故の
原因であります。
政府は、ただいまも
運輸大臣が申されておりましたように、
全日空機事故技術調査団を設置されて、昨日から発足されたようでありますが、英国において、かつてコメット機が地中海に墜落をいたしました。その際、二百五十メートルという水深の中で六〇%の破損
機材を
揚収いたしまして、そうして
原因の
究明をはかったということであります。
羽田沖は水深わずかに二十メートルであります。したがって、一〇〇%の
同機の破損
機材を
揚収することができると考えるのであります。私は、百三十三名の霊にこたえるために、
原因が
究明できるまで、この際、
同機の運航を中止すべきであると考えるのであります。いま申し上げましたように、英国では
事故原因が判明するまでコメット機の運航を中止しました。今回の
事故は
国民に対しまことに申しわけない、この誤りをしたことを考え合わせますならば、私はいまこそ
政府は勇断をふるうべきであると考えます。
総理大臣の御
所見をお伺いいたしたいのであります。(
拍手)
同時に、いま
運輸大臣は、新たな
事態が起こったならば考えるけれども、いまの
事態では考えないなどということは、まことに不謹慎といわなければならないと思うのであります。(
拍手)
大蔵
大臣は、従来、ややもすればこういう
事故の
調査に対しては、初めは非常に大きく考えまするけれども、しまいはどうなったかわからないというのが今日までのこの種の
事故の
調査であります。したがって、私は、この際徹底的に
調査をしていただくために、
運輸省の予備費を充てる、こういうようなことのないように、格段の
予算の
措置を講じていただきたいと思います。
同時に、いままでこういう問題に対しては、言いにくいことは言わない、隠してしまうというのがいままでの
調査の
報告でありまするから、ほんとうに言いにくいことを
国民の前に明らかにするように
総理は指導をしていただきたい。これが私はこの
事故の
犠牲者百三十三名の霊に報いる道であると考えるのであります。
次に、今回の
事故は
過当競争による
乗客の争奪戦によったものであります。したがって、私はこの際、根本的に
航空政策を立て直さない限り、さらに同じような
事故が起こるであろうことを予測するものであります。したがって、ほんとうに
過当競争などということでなくて、各国がとっておるように、しかも、日本のように
航空人口の非常に少ないところでは、国内、国際を問わず一元化をして、
航空界の発展のために
努力するようにしなければならぬと考えるのでありますが、この点を、もう一度明らかにしていただきたいと思います。
同時に、先般出されました
答申案をどのように取り扱おうとしておられるのか、この点を明確にしていただきたいと思います。いま、
運輸大臣は、われわれは、適切な
答申であったから、逐次これをやろうと考えておるのであるが、この
事故にかんがみて、さらに痛切に考えた、こういうように言われておりまするけれども、具体的に当面どれとどれを採用して、どういうようにやるか、この点を明確にお答えをいただきたいと思うのであります。
同時に、今日の
航空会社が、
過当競争から、
パイロットに対して、燃料の節約を要求するために、有視界方式を慫慂いたしております。ここに私は大きな問題があると考えますが、
運輸大臣はどのように指導されておるのか、お伺いをいたしたいと思うのであります。
さらに、
東京上空の
航空管制が非常に困難になっております。同時に、路線がきわめて判別しにくい
状態にあるのも
事故の
原因であります。こうした
航空企業及び
航空路線の再編成について、
運輸大臣の前向きの説明をお聞かせいただきたいと思います。
これに関連して、私たちは、先ほど申し上げましたように、新しく
航空路線を
開発するために
東京周辺に
空港を置くべきでない。
東京周辺は御承知のように非常に混乱をいたしております。したがって、富里に第二
空港を
建設されようといたしておりますが、地元の住民は八五%まで反対をいたしております。昨日も県庁で、住民の
方々が御陳情なさったことは御存じのとおりであります。
千葉県知事は、
政府のこの
処置に対して不満を表明されております。したがって、私は、
東京周辺に第二
空港を設けるべきでない、こういうように考えておりますが、
総理並びに
運輸大臣の御
所見を伺いたいと思うのであります。
同時に、農林
大臣は、食糧が
不足をしておる今日、農地をみだりに転換して、農民に失望を与えるようなことをしてはならないと思います。したがって、農林
大臣は、富里の第二
空港設置に反対をされる用意があるかどうか、反対をすることが、私は農林
大臣としての
責任であると考えるが、お伺いをいたしたいと思います。
最後に、
航空行政が場当たりであることは先ほど申し上げました。三宅島の
飛行場の先に山があって、その
飛行場が使用できない。松本の
飛行場は、米軍の
航空帯であるために、せっかくこしらえた
飛行場が使用できなくて、いまや競輪場になっておるのであります。ここに
運輸行政の全くだらしなさを私たちは見のがしてはならないと思います。もっと計画的にやるべきであると考えるが、
運輸大臣は、今後の
飛行場の
建設、あるいは
航空の新しい路線等について計画があるならば、これを詳細かつ明確に説明をしていただきたいのであります。
同時に、松本
飛行場が、その後競輪場になっておるようなことを認めておること自体許すべきでないと考えるが、この点、
総理にお伺いをいたしたいと思います。
最後に、私は、御
遺族の方がほんとうに立ち直れるように、単に
全日空の方におまかせをするのでなくて、
政府が真剣にこれらの人の更生を考えていただくよう心からお願いすると同時に、百三十三名の
方々の死をむだにしないよう心からお願いをいたしまして、私の
質問を終わりたいと思います。(
拍手)
〔
内閣総理大臣佐藤榮作君
登壇〕