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1966-02-08 第51回国会 衆議院 本会議 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年二月八日(火曜日)     —————————————  議事日程 第八号   昭和四十一年二月八日    午後三時開議  一 国務大臣演説全日空機遭難事故につ   いて)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  中村運輸大臣全日空機遭難事故についての   演説及び質疑    午後三時十六分開議
  2. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————  国務大臣演説全日空機遭難事故につい   て)
  3. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 運輸大臣から、全日空機遭難事故について発言を求められております。これを許します。運輸大臣中村寅太君。   〔国務大臣中村寅太登壇
  4. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 二月四日午後七時東京湾上において発生いたしました全日本空輸株式会社所属ボーイング727型機の事故により、多数のとうとい人命を失いましたことは、まことに痛恨のきわみでありまして、ここに、つつしんで、なくなられた方々の御冥福をお祈りするとともに、御遺族方々に対し深く哀悼の意を表するものであります。  いままでに判明いたしました事故の概要、遺体収容、物件の揚収政府のとった措置等について御報告申し上げます。  全日本空輸所属ボーイング727型機は、同社の千歳−東京便として、機長高橋正樹外六名が乗り組み、乗客百二十六名を乗せて、東京国際空港十九時〇五分着の予定で、十七時五十五分千歳飛行場を離陸いたしました。同機は、十八時四十八分茨城県の大子ビーコン、十八時五十六分千葉県佐倉の東京VOR上空を通過し、十八時五十九分、千葉上空付近において、東京国際空港管制塔から進入許可を受けました。十九時三十秒管制塔かの呼びかけに応答しましたが、その三十秒後の九時一分、管制塔着陸灯点灯の指示を行ないましたが、応答はなく、自後再三にわたる管制塔の呼びかけに対し、同機からは何らの応答もございませんでした。  かねてから東京国際空港に常置されてあります航空機救難調整本部は、直ちに下総及び木更津飛行場に対し同機の不時着の有無を照会しましたが、該当機がない旨連絡がありましたので、同機緊急状態を予想し、捜索救難活動を開始することとし、直ちに警察、海上保安庁及び防衛庁救難機関に出動を要請いたしました。各救難機関は直ちに航空機、艦艇及び船舶を出動させ、捜索救難に当たったのでありますが、二十三時五十五分に至り、捜索機は、木更津北方七海里付近海面において「全日空」の標示のある翼の一部を発見し、また機体の内張りの一部及び乗客の衣類を収容しましたので、当該機遭難が確認されました。  次いで、零時五分、捜索船は、羽田灯標東南東六・四海里付近海上最初遺体二体を発見収容いたしました。二月五日一時四十四分、捜索船は、千葉灯標西南西七海里付近海上で「全日空」の標示のある胴体の一部を発見、これを収容しました。二月五日は合計二十九遺体収容されました。二月六日は機体及び遺体発見全力を尽くしました結果、自衛艦「のぎく」の水中処分隊遺体一体機体の一部を発見いたしました。二月七日は、早朝より最高二十メートルをこえる強風が吹き、波浪が高く、作業は難航いたしましたが、午後天候の回復に伴い十三名の遺体収容されました。本日は、早朝より順調に作業が進み、現在までのところ——午後三時現在でございます。三十三名の遺体収容されました。現在までの遺体収容の累計は七十六名であります。  なお残された遺体並びに機体収容につきましては、最善努力をいたす所存であります。  政府といたしましては、事件重大性にかんがみ、事故発生後直ちに関係者を集め、総理府運輸大臣本部長とする全日空機事故応急対策本部を設置し、当面の緊急対策を協議いたすとともに、運輸大臣は、羽田に再度急行し、救難調整本部から情報を聴取し、現地において捜索救難活動指揮をとり、また、五日、日の出と同時に、海上保安庁長官官房長航空局長とともにヘリコプターにより遭難現場におもむき、直接現場指揮をとった次第であります。  なお、全日空機事故応急対策本部におきましては、遭難者遺体収容全力を集中するとともに、遺族援護に万全を期するよう関係機関に指示いたす一方、運輸省民間学識経験者を含めた十三名からなる事故調査団を設置し、事故原因の徹底的な調査実施することといたし、昨日第一回の会合を持ち、明日第二回の会合を持つことになっております。  以上をもって報告を終わります。(拍手)      ————◇—————  国務大臣演説全日空機遭難事故について)に対する質疑
  5. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。順次これを許します。田邉國男君。   〔田邉國男登壇
  6. 田邉國男

    田邉國男君 私は、自由民主党を代表いたしまして、去る四日午後七時過ぎ全日本空輸の旅客機が東京湾羽田沖遭難し、乗客、乗務員合わせて百三十三名が死亡するという、世界民間航空史上最大の悲惨な事件について質問をいたしたいと思います。  まず、質問に入りますに先立ちまして、不幸不慮事故にあわれました百三十三名の痛ましい犠牲者に対して心から御冥福をお祈り申し上げますとともに、一瞬にして肉親を失われたその御遺族方々に対しまして衷心より哀悼の誠をささげ、また、まだ発見されない遺体収容が一刻も早からんことを心からお祈り申し上げる次第であります。(拍手)  ただいま中村運輸大臣より事件についての経過、事後の措置等につきましての御説明を伺ったのでありますが、政府は、その対策に万遺漏なきを期し、あわせてこのような事故の再び発生することのないよう諸般の施策を講じなければならないことは、申すまでもありません。その点に関しましては、政府は、いち早く総理府運輸大臣本部長とする事故応急対策本部を設け、海上保安庁防衛庁、外務省、警察庁などと協力のもとに、目下遺体並びに航空機捜索、さらに事故原因究明に当たっておりますことは、まことに適切な措置と申すべきであり、関係者の御労苦に対し深く敬意を表する次第であります。  私は、この際、こうした悲惨な事故を再び繰り返さぬために、次に若干具体的に政府の御所見と御決意のほどをお伺いいたしたいと思います。  まずその第一は、遺族に対する補償についてであります。  生命は、万金を積んでも取り返すことはできません。しかし、せめても、残された遺家族の生活を保障し、その生活の立ち直りができるように援助の手を差し伸べなければならぬことも当然であります。今回の事故全日空という純然たる民間会社の問題でありますから、政府補償については直接の責任があるわけではありませんが、事が重大でありますだけに、万遺漏なきよう、また公平に行なわれるよう行政指導をすべきではないかと思うのであります。特に、一瞬にして両親を失った横島恵美子ちゃん姉弟らのごとき、多くのいたいけな遺児たちに対しては、まことに痛ましく、同情にたえないことでありますが、こうした遺児たちには、単に物質的な補償だけにとどまることなく、その将来につきましても、血の通うた、あたたかいいたわりと激励の手を差し伸べていただきたいと存ずる次第であります。(拍手)この点につきまして、総理大臣並びに運輸大臣の御所見を伺いたいと思います。  次に、第二点として、事故原因究明についてであります。  今回の事故につきましては、ボーイング727型という航空機自体構造上の欠陥か、あるいは操縦整備上のミスか、種々の論議がされており、国民にも大きな不安を与えておりますが、私は、この不安を一掃し、将来の航空対策を樹立するためにも、すみやかにその原因が徹底的に究明されんことを切望する次第であります。  ただ、原因究明にあたって、私は次の諸点に特に留意していただきたいのであります。  まず、このボーイング727型機が、最近六カ月の間に、米国において三回、今回の全日空機を合わせて四回の事故を起こしており、それがくしくも夕暮れどきの着陸時に起きているという点であります。今回の事故の起こりました四日夕刻七時ごろの天候状況は、東京航空地方気象台発表によれば、東京湾上空千メートルから千六百メートルでは、約十メートルの弱い西風が吹いており、快晴で、見通しは良好であったといわれているが、また一面、局部的に東京湾上空には雨雲を伴う乱気流の発生があったともいわれております。したがって、全日空機事故の場合、特殊な気象条件下にあったわけではなく、米国における事故例同一時点検討し得るものと思われるのであります。  五日付の日刊新聞各紙に掲載された記事によりますと ボーイング727型のようにリアエンジン機の場合、燃料系統に改造すべき欠陥があるとか、着陸時に失速しやすい欠陥があるなどと、ボーイング機構造上の欠点を指摘しておるようにうかがえるのでありますが、運輸省では、米国における三回にわたるボーイング機事故について、以上述べた欠陥がはたしてありやいなや、十分な検討がなされているか、明確にされておりません。  さらに、運輸大臣は、去る五日の記者会見において、ボーイング機の使用は中止しないと表明しているが、これは事故究明がなされない以前に欠陥がないと断定するかのごとき印象を与えるものであり、私はその点疑問を感ぜざるを得ないのであります。  次に、操縦上のミスがあったのではないかという点であります。遭難機高橋正樹機長は、飛行時間一万時間、連続五千時間無事故の記録を持つベテランであると聞いております。したがって、同機長の操縦上の過失ということは、普通であれば考えられないことであります。しかし、運輸白書によりますと、昭和三十九年における航空機に関する事故原因は、航空機自体機材の故障によるものはわずか二二%でありまして、操縦者ミスによる事故は実に六五%にのぼるという発表をしておるのであります。いかにベテランといえども、神ならぬ身であってみれば、あやまちが全くなかったとは申せないのであります。この点につきましては、墜落現場羽田空港との距離並びに千葉上空に到達した地点、すなわち有視界飛行に移行した際のボーイング機の高度が徹底的に検討をされれば、操縦者にはたしてミスがあったかどうか判断ができるのではないかと思うのであります。あるいはここにこの事故原因究明一つの大きなかぎがひそんでいるかもしれないと思考されるのであります。  また、人為的なミスという点では、整備上の欠陥についても当然指摘されねばならぬ問題でありまして、これまた徹底的に究明していただきたいと思うのであります。  幸い、機体引き揚げ作業に当たっております関係者報告によりますれば、海底に没しておれます機体状況は、焼け焦げた様子はほとんどなく、従来の海中墜落事故とは全く違って、機体のかなりの部分が回収可能であり、機体をほとんど復元できる見通しであるということであります。これは事故原因究明にあたってきわめて好条件というべきであります。  過去数回における事故原因究明が不徹底のまま終わっておりますことはまことに遺憾であります。この際、航空業界運輸省当局も謙虚に自己反省して、権威ある専門家究明により根本的な原因が探索され、いかなる困難があろうとも今回は必ず真相を明確にすべきであり、再びかかる不幸な事態を招来することのないよう抜本的な対策がなされてこそ、いまはなき百三十三名の犠牲者に対する最大のはなむけとなるのではないかと存ずるのであります。(拍手)この点につきましての運輸大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。  次に、第三点は、航空政策基本的な問題に言及してみたいと思います。  その一つは、航空事業に対する国家助成を大幅に拡充する必要性についてであります。私は、今回のような大きな犠牲を払った航空事故発生にあたって、この機会にわが国航空政策基本について十分な反省を加え、抜本的な基本政策を明確に樹立する必要があると思うのであります。すなわち、わが国民間航空事業には戦後約十年間のブランクがあるのであります。また、世界のいずれの国におきましても民間航空基盤として空軍が大きな役割りを果たしていることは書をまつまでもありません。しかし、わが国戦後の航空界は、この基盤を全く持たず、文字どおりゼロから出発いたしておるのであります。したがって、パイロット整備員養成、あるいは新しい機種開発等におきましても、一民間会社の力のみではとうてい不可能であります。ひいては国際航空の激烈な競争には太刀打ちできないことも明白であります。これは、日本航空よりもはるかにおくれて発足したドイツのルフトハンザ航空会社あるいはイタリアのアリタリア航空会社政府の思い切った助成策により日本航空をはるかに追い抜いた事実を見ても明白であります。現在、航空関係者から、優秀なパイロット養成整備士の質量の充実技術革新の早い航空事業においてそれに即応できる体制の整備などが強く要望されておるのにかかわらず、四十一年度の予算に計上されております額はきわめて不十分であり、本年日ソ共同運航及び世界一周路線へ飛躍せんとする際、こうした分野に対する強力な国家助成の必要をさらに痛感するのであります。  その第二として、航空行政明確化であります。わが国民間航空は、戦後ゼロから出発しておるのでありますが、その後、国際航空はもとより、国内航空におきましても画期的な発達を遂げております。これに対しわが国航空政策が十分対応できなかったことは、事実として認めざるを得ないと思うのであります。私はここに二、三の例をあげるにとどめますが、たとえば日米航空協定を例にあげてみても、大幅な是正がなされながら、なおかつ不平等はいまだに残存しておること、国家助成が前述のごとく不十分であること、空港建設及び整備不足、すなわち、羽田空港を見ても、離着陸の頻度においてここ数年この状態を続けるならば、さらに今回以上の惨事が起こることも予測される憂慮すべき問題であります。したがいまして、事故防止立場からも、すみやかに新東京国際空港建設場所を決定し、整備推進がはからるべきでありましょう。また、従来、新規航空事業許可についても、とかく単なるバス事業と同一視するようなきらいがあり、資本、施設機種、人員が整備されれば事足れりの行政が今日の国内航空事業の乱立を許し、それがさらに過当競争に追い込み、安全運航人命尊重が単なるお題目に流れる危険を十分はらんでいるのが、偽らざる現状といわねばなりません。この集約統合は当然というべきでありましょう。  最後に、昨年十二月二十七日に出されました航空審議会の「わが国定期航空運送事業あり方について」の答申に触れてみたいと思うのであります。  この答申を決定するにあたり、審議会は従来に例のない難航を続けたと聞いておりますが、その結論として、内容は単なる総花的航空政策の羅列であり、真の航空政策の方向が明示されているとは思われないのであります。私は、今回の大惨事にかんがみ、この際、総合的航空政策を樹立するため、内閣に権威ある審議会を設ける必要があると思うが、総理並びに運輸大臣の御意見を伺いたいと思います。  航空事業乗客に対する最大サービス安全運航が第一であることは論をまたぬことでありますが、現実にはとかくそれがおざなりになりがちであることを、この際、政府業界も深く肝に銘ずべきであります。たとえば、東京−札幌間、東京−九州間を五分間短縮することがサービスであるかのように宣伝するに至っては、まさにナンセンスといわざるを得ないことであり、安全輸送こそ国民のひとしく望むところであります。(拍手現行国内航空三社が自己の採算を無視して国内幹線新鋭ジェット機を投入しているのも過当競争が招来した事態でありますが、わが国のように狭い国土にあっては、現在特にジェット機を使用せねばならぬ必要は認められないのでありまして、機種選択については、わが国の実情に即応した安全第一主義の選択がなさるべきであると思うのであります。そうした意味において、国産航空機開発もまた重要な意義を持つものと思考されるのであります。  いまや航空機はまさに国民の足ともいうべき時代であります。従来、航空機事故発生するたびに、政府は、徹底的に原因究明し再び惨事を繰り返さないよう努力すると称しながら、その原因究明は、その場を糊塗し、世間の耳目を一時的におおうのみであり、その施策もまた、適正を欠き、永続性なく、責任もまた明確を欠く感があります。政府は、今回の惨事を契機として、航空機をはじめ、すべての交通機関を包含する抜本的な事故防止策を確立し、そのために画期的な予算を投入し、日常不断努力を傾注し、事故絶滅に万遺憾なきを期することこそ、今回の犠牲者に対する責務であると考えるのであります。  これらの点について、総理大臣並びに大蔵、運輸、通産各大臣の御決意のほどを伺いたいと思います。  以上をもちまして私の質問を終わります。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作登壇
  7. 佐藤榮作

    内閣総理大臣佐藤榮作君) お答えに入ります前に、まず、今回の航空機事故でとうとい生命を失われた百三十三名の方々の御冥福をお祈りし、同時に、御遺族方々に対しつつしんで哀悼の意を表したいと思います。  さて、ただいま、この事故から発生いたしまして、わが国航空機あり方について種々お尋ねがございました。  申すまでもなく、近代交通機関として航空機の果たす役割りはたいへん大きいのであります。また、そういう意味合いにおきまして、この問題と真剣に取り組んでいかなければならないと思います。  最近の科学技術の発展から申しまして、わずかな操縦のそごが重大なる結果を招来するとか、あるいは整備上のわずかな不足が不測な事故発生する等々、重大なる影響を持つものでありますから、最近の進んだ航空機等を取り扱う場合におきましては、もちろん最善注意が払われなければなりません。そういう場合におきまして、まず第一に、航空機の安全第一と申しますか、この保安第一、こういう観点に立ちまして、十分に考慮する必要があると思います。この安全第一は、もちろん、新しい機種を選定いたします際に、その飛行機自身の持つ性能、これも安全第一の立場から考えるべきでありますし、また、空港その他地上施設整備におきましても、この点が考えられなければなりませんし、また、乗員の訓練、養成等におきましても、また航空機整備等におきましても、安全第一で考えられなければならないのでございます。  かような意味から、経営そのもの十分資力のある経営形態が望ましいのであります。最近は過当競争ではないか、こういう御指摘でございますが、私は、現状においては、これは過当競争だと、かようには思いませんけれども、今後の問題として、さらに集約化が行なわれる、資力充実をはからなければならない、かような意味で、集約化が計画される、これを強く要望するものであります。  また、航空行政あり方として、権威のある航空審議会がこの際に設立されることを心から希望するものであります。  また、私に具体的にお尋ねになりました、今回の事故補償は一体どうなるのか、こういうことでありますが、この補償の問題は、もちろん会社のすることでありますが、しかし、この補償が適正であり、公正に行なわれるように、私ども行政的に十分監督、指導してまいるつもりであります。  また、遺族援護につきましては、御指摘のありましたように、一瞬にして両親を失った気の毒な孤児、あるいは父親を失った母子家庭、それぞれができるのでございますから、こういう方々に対しまして、ただ単に金銭的な問題だけでなく、さらに、親戚その他の十分相談される方もあるだろうと思いますが、政府自身十分相談相手にたる、これだけの援護措置を今後とも尽くして、そうして万全の措置をとりたい、かように思います。(拍手)   〔国務大臣福田赳夫登壇
  8. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 犠牲者に対しましては、深く御冥福を祈り、また、御遺族の方には深甚な御同情の意を表したいと存じます。  私は、田邊君がただいまお話をされたように、今回の事件真相原因究明し、そして再びこういうことを繰り返すことのないようにする、これが、私は、遭難者の霊にこたえるゆえんである、かように考えます。そのためには、政府予算におきましても、本年度百二十二億円を計上いたしておる。さらに今後とも運輸大臣相談をいたしまして、できる限り人命尊重、また、日本の航空世界に伸び行くというために尽くしてまいりたい、かように存じます。(拍手)   〔国務大臣中村寅太登壇
  9. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) まず最初に、遺族援護についてお答え申します。今回の事故による被害者に対する損害賠償につきましては、全日空において、できる限り手厚い処置をするよう行政指導を行なっております。具体的な賠償は、全日空において処理すべきものでありますが、その実施にあたっては、必要に応じ、政府としても、できる限りの支援措置を講じたいと存じております。また、遺族の中には、両親を一時に失い、孤児となられた方等もありますので、全日空機事故応急対策本部を通じまして、厚生省に、直ちに県あるいは地方公共団体等連絡をしながら、援護の必要があれば直ちに適当な処置をとるように万般の準備をいたしておる次第でございますが、現在のところ、被害を受けられました家族は大体中以上の家庭が多いようでございまして、政府で直ちに援護せなければならないというような状態ではないように存じております。しかしながら、できるだけ注意をいたしまして、あたたかい手を差し伸べてまいりたいと考えておる次第でございます。  事故原因徹底的究明安全対策についてでございますが、交通の安全を確保することは交通行政における最も基本的な使命であることは論をまたないところであります。航空局におきましては、航空事故発生のつど、運輸大臣の権限に基づいて原因究明を行なっていますが、今回の全日空事故重大性にかんがみまして、学識経験者協力による原因徹底的究明必要性を痛感し、二月五日、木村秀政教授を団長とし、学識経験者及び政府関係機関の職員十二名を団員とする全日空機事故技術調査団を臨時に設置し、事故原因徹底的究明を行なうことといたしました。事故原因判明次第、同種事故防止のため、あらゆる施策実施し、安全対策を確立する所存であります。  今回の事故にかんがみて、航空事業あり方について検討を加える必要があるという質問でございますが、航空事業あり方につきましては、最近における内外の航空情勢にかんがみ、早急に施策を確立すべきものと考えまして、昨年十月初めに航空審議会に諮問いたしましたのでございますが、審議会といたしましては、三カ月間にわたり慎重審議の結果、十二月末、公正にして適切と考えられる答申を得た次第であります。運輸省としましては、本答申趣旨を尊重し、その実施について逐次着手する手はずを進めていたところでありますが、今回の事故発生という事態に直面し、いよいよその早急な実現の必要について痛感している次第であります。強力にこれを推進してまいる所存でございます。  ボーイング727型機の導入についての問題でございますが、新機種導入については、ここ数年来の急激な航空需要の増大に対応し、航空企業において航空機材の増強を行なうにあたっては、関係企業が同一機種を採用することが適切と考えられましたので、三十七年に、この趣旨行政指導を行なったのであります。これに基づきまして、日航及び全日空は、二カ年にわたり安全性及び経済性について慎重な検討を行なった結果、三十九年に至り、ボーイング727型を選定、採用することに決したものであります。  私は、今回の事故原因は、ただいま申し上げましたような調査団によって徹底的に究明することにいたしておりますが、現時点におきましては、これは田邉議員も仰せられましたが、過去アメリカでも事故が三回起こっておりますが、アメリカでもあらゆる調査検討の結果、この機種を使わないということにはなっておらぬのであります。今日、世界航空企業の中では、十七会社が、約二百機にわたるこの種飛行機を使っておるのでありまして、その安全性という点においては、各企業とも信用を持っておるような事情でございます。今回の調査団事故原因究明の結果、新たな事態が起これば別でございますが、現在の段階では、この種の飛行機を使うことを中止するということは考えておらない次第でございます。(拍手)   〔国務大臣三木武夫君登壇
  10. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 今回の全日空遭難事故ほど国民の胸を痛めた痛ましい事件はないわけであります。それにつけても田邉君が、外国の輸送機を輸入するばかりでなく、日本の条件に適した国産機の推進をもっと積極的にやったらどうかという御意見でございます。われわれもさように考えておるわけであります。昭和三十三年でありましたか、航空機工業振興法が制定されて、三十四年、日本航空機製造株式会社が設立され、ようやく三十七年から量産体制に入って、いままでに十五機国産機を出したわけであります。現に日本の国内、外国にもこれを売り渡すことがございましたが、しかし、まだまだ十五機でありますから、もっとこれは、四十一年度においては十六機の計画を立てて、長い間空白状態におりましたから、非常な困難があるけれども、何とかしてこの困難を乗り越えて、ぜひとも優秀な国産機を今後つくり得るように、われわれは育成したいという考えでございます。(拍手)     —————————————
  11. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 井岡大治君。   〔井岡大治君登壇
  12. 井岡大治

    ○井岡大治君 私は、日本社会党を代表して、ただいま運輸大臣から報告のありました、二月四日十九時一分、東京湾羽田沖全日本空輸株式会社所属ボーイング727型機の墜落事故に関し、総理はじめ関係大臣に若干の質問を行ないたいと存じます。同時に、私は、この事故を単に全日空事故としないために、私たちは真剣に考えなければならないのではないかと考えるのであります。  私は、質問に入る前に、今回の事故で、青雲に富むとうとい生命を一瞬のうちに失われて、ほんとうに申しわけない、私たち国政に参画しておる者は真剣に考えなければならないのではないかと考えるのであります。同時に、この人方の御冥福をお祈りいたしたいと思います。(拍手)また、両親の帰りを楽しみにして待っておいでになった横島恵美子さんごきょうだい、ついに御両親はお帰りになりませんでした。これからの社会をほんとうにさびしくお過ごしになるわけでございますが、私たちは、これらの方々に対して、ほんとうにもっと血の通ったあたたかい手を差し伸べてあげたいと考えます。同時に、一家の中心を失われた御遺族に対しては、心から私は同情の念と同時に、私たちのつとめを果たしていかなければならぬと思います。(拍手)  事故発生以来、遭難者救護のために寝食を忘れて、避難者の存命を祈念して、懸命に努力された海上保安庁の諸兄はじめ、救難作業に従事されました方々、並びに御遺族の安否をいっときも早くお知らせするために御努力くださいました報道関係の皆さんに、満腔の敬意と感謝を申し上げる次第であります。  まず、私は総理にお伺いいたします。いま申し上げましたように、私たち国政をあずかる者は、今回の事故は、単に全日空事故でない、少なくとも国の事故である、こういうように考えるべきであると考えるが、総理はどういうようにお考えになっておるか、お伺いをいたしたいのであります。  同時に、さきの政府の所得倍増計画の中で、交通機関は、利用者たる国民立場に立って、将来の交通体系の構造的発展を促進するものでない限り、投資をすべきでないという基本を立てておいでになります。まことにことばとしては適切でありまするけれども、いま交通事故でたくさんな方方が命を失われております。したがって、私は、いままでの交通政策というものは、その場、その場で、問題が起こったならば、これを立てていくというやり方にしかすぎないと考えるのでありますが、この際、根本的な交通体系を立てる意思があるかどうか、勇気があるかどうか、運輸大臣にお伺いをいたしたいと思います。  総理は、今回の航空機事故が史上最大のものである事実を率直に認めて、従来までの営利を中心とした、たとえば当日727型機が羽田と千歳の間を五回往復しておるのであります。八時四十分から七時までの間に五回ということになりますと、整備する時間などというものは全くありません。点検をするのにいたしましても、全く事務的な点検にしかすぎないと考えるのであります。でありますから、私は、この際、こういう営利を中心とした航空政策を一てきいたしまして、真に国民のための航空政策を樹立するように指導をしてもらわなければならないと考えるのであります。政府は、航空政策に対して抜本的な再検討をする用意があるかどうか、この点をお伺いいたしたいと思います。(拍手)  わが国航空事業は、ここ数年目ざましい発展を遂げました。しかし、一面、その基本である安全対策というものは十分でありません。将来さらに大型化することが予想されるのであります。超高速度化することも、また時間の問題とされております。そのためには、現在の航空法を改正して、乗員の層、あるいは設備、あるいは研究、再訓練、再教育等の負担にたえ得る条件を持っていないものは免許をすべきでない、こういうように考えるのでありますが、総理は、その御意思があるか、御決意があるかどうか。運輸大臣はそのように指導するかどうか、お尋ねをいたしたいと思います。  さらに、この際、航空機が大衆化された今日、有視界方式を改めて計器飛行に切りかえる、このように航空法を改正すべきであると考えるが、運輸大臣の御所見をお伺いいたしたいのであります。  次に、お尋ねいたしたいことは、事故原因であります。政府は、ただいまも運輸大臣が申されておりましたように、全日空機事故技術調査団を設置されて、昨日から発足されたようでありますが、英国において、かつてコメット機が地中海に墜落をいたしました。その際、二百五十メートルという水深の中で六〇%の破損機材揚収いたしまして、そうして原因究明をはかったということであります。羽田沖は水深わずかに二十メートルであります。したがって、一〇〇%の同機の破損機材揚収することができると考えるのであります。私は、百三十三名の霊にこたえるために、原因究明できるまで、この際、同機の運航を中止すべきであると考えるのであります。いま申し上げましたように、英国では事故原因が判明するまでコメット機の運航を中止しました。今回の事故国民に対しまことに申しわけない、この誤りをしたことを考え合わせますならば、私はいまこそ政府は勇断をふるうべきであると考えます。総理大臣の御所見をお伺いいたしたいのであります。(拍手)  同時に、いま運輸大臣は、新たな事態が起こったならば考えるけれども、いまの事態では考えないなどということは、まことに不謹慎といわなければならないと思うのであります。(拍手)  大蔵大臣は、従来、ややもすればこういう事故調査に対しては、初めは非常に大きく考えまするけれども、しまいはどうなったかわからないというのが今日までのこの種の事故調査であります。したがって、私は、この際徹底的に調査をしていただくために、運輸省の予備費を充てる、こういうようなことのないように、格段の予算措置を講じていただきたいと思います。  同時に、いままでこういう問題に対しては、言いにくいことは言わない、隠してしまうというのがいままでの調査報告でありまするから、ほんとうに言いにくいことを国民の前に明らかにするように総理は指導をしていただきたい。これが私はこの事故犠牲者百三十三名の霊に報いる道であると考えるのであります。  次に、今回の事故過当競争による乗客の争奪戦によったものであります。したがって、私はこの際、根本的に航空政策を立て直さない限り、さらに同じような事故が起こるであろうことを予測するものであります。したがって、ほんとうに過当競争などということでなくて、各国がとっておるように、しかも、日本のように航空人口の非常に少ないところでは、国内、国際を問わず一元化をして、航空界の発展のために努力するようにしなければならぬと考えるのでありますが、この点を、もう一度明らかにしていただきたいと思います。  同時に、先般出されました答申案をどのように取り扱おうとしておられるのか、この点を明確にしていただきたいと思います。いま、運輸大臣は、われわれは、適切な答申であったから、逐次これをやろうと考えておるのであるが、この事故にかんがみて、さらに痛切に考えた、こういうように言われておりまするけれども、具体的に当面どれとどれを採用して、どういうようにやるか、この点を明確にお答えをいただきたいと思うのであります。  同時に、今日の航空会社が、過当競争から、パイロットに対して、燃料の節約を要求するために、有視界方式を慫慂いたしております。ここに私は大きな問題があると考えますが、運輸大臣はどのように指導されておるのか、お伺いをいたしたいと思うのであります。  さらに、東京上空の航空管制が非常に困難になっております。同時に、路線がきわめて判別しにくい状態にあるのも事故原因であります。こうした航空企業及び航空路線の再編成について、運輸大臣の前向きの説明をお聞かせいただきたいと思います。  これに関連して、私たちは、先ほど申し上げましたように、新しく航空路線を開発するために東京周辺に空港を置くべきでない。東京周辺は御承知のように非常に混乱をいたしております。したがって、富里に第二空港建設されようといたしておりますが、地元の住民は八五%まで反対をいたしております。昨日も県庁で、住民の方々が御陳情なさったことは御存じのとおりであります。千葉県知事は、政府のこの処置に対して不満を表明されております。したがって、私は、東京周辺に第二空港を設けるべきでない、こういうように考えておりますが、総理並びに運輸大臣の御所見を伺いたいと思うのであります。  同時に、農林大臣は、食糧が不足をしておる今日、農地をみだりに転換して、農民に失望を与えるようなことをしてはならないと思います。したがって、農林大臣は、富里の第二空港設置に反対をされる用意があるかどうか、反対をすることが、私は農林大臣としての責任であると考えるが、お伺いをいたしたいと思います。  最後に、航空行政が場当たりであることは先ほど申し上げました。三宅島の飛行場の先に山があって、その飛行場が使用できない。松本の飛行場は、米軍の航空帯であるために、せっかくこしらえた飛行場が使用できなくて、いまや競輪場になっておるのであります。ここに運輸行政の全くだらしなさを私たちは見のがしてはならないと思います。もっと計画的にやるべきであると考えるが、運輸大臣は、今後の飛行場建設、あるいは航空の新しい路線等について計画があるならば、これを詳細かつ明確に説明をしていただきたいのであります。  同時に、松本飛行場が、その後競輪場になっておるようなことを認めておること自体許すべきでないと考えるが、この点、総理にお伺いをいたしたいと思います。  最後に、私は、御遺族の方がほんとうに立ち直れるように、単に全日空の方におまかせをするのでなくて、政府が真剣にこれらの人の更生を考えていただくよう心からお願いすると同時に、百三十三名の方々の死をむだにしないよう心からお願いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作登壇
  13. 佐藤榮作

    内閣総理大臣佐藤榮作君) お答えいたします。  まず第一は、今回の全日空事故を国の事故と考えろ、こういうお話でございますが、これは私の聞き間違いかと思いますが、どこまでも全日空事故でございます。ただ、この問題の扱い方として、原因究明をし、今後再びかような事故が繰り返されないようにしろとか、あるいはまた、補償並びに遺族援護等につきまして、一会社にまかすことなく、国においても十分これらの行政指導をしろ、こういうようなお話だと、かように開き取ったのでございます。私は、御趣旨のように今回の事故については取り組んでまいるつもりでございます。  次に、航空機が発達してまいりまして、どうも航空界の実情を見ると、国内、国際といわず、たいへん意に満たないものがある。ことに、どうも経営が営利第一になっておるのじゃないか、こういうような御指摘でありますが、私があえて申し上げるまでもないのでありますが、現状におきましては、いわゆる過当競争状況ではないと思います。また、交通行政は、まず第一に、いかなる場合におきましても安全第一、保安第一、こういうことで指導いたしておりますので、経営者におきましても、いわゆる営利第一というような、普通の私企業のような考え方でこの経営に当たっておるとは私は思いません。しかしながら、一そう安全第一、この主義のもとに業界を指導してまいりたい、かように思います。  また、こういう立場から考えまして、最近の航空機の大型化等から見まして、資力、信用の十分ある会社の経営でなければならない。国内におきまして多数の会社が乱立しておるようなことがありましては、たいへん御迷惑を及ぼす、かように心配いたしますが、今後は、これらの経営の集約化、そういう方向にどんどん進んでいくだろう、かように思いますので、十分御協力を得たいと思います。  今回の事故原因につきましては、私が申し上げるまでもなく、徹底的な調査をいたしまして、そうして、再びかような事故が起こらないようにいたすつもりでございます。  また、今回のボーイング727型ジェット機を、この調査が終了するまで運航を停止しろ、こういう御要望でございますが、これは、私は、先ほど運輸大臣がお答えいたしましたように、ただいま直ちに中止する考え方はございません。  また、第二空港整備についてのお話がございました。私は、将来の航空機の発達等に備えまして、すでに狭隘を感じております羽田のかわりに、東京の近くに第二空港を設置することは、ただいまの事情から申しまして、最も必要な緊急を要する事柄だと思います。さような意味におきまして、まだ閣議決定はいたしておりませんけれども、第二空港東京の近くに設置する、かような方針で進んでおります。  また、松本飛行場がただいま競輪場になっておる、こういう事態をいかに見るかというお話でございますが、実は、私はかような状態をよく知りませんので、運輸大臣から答えさせたいと思います。(拍手)   〔国務大臣福田赳夫登壇
  14. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 今回の事故原因究明する調査がきわめて重要な問題であることは、お話のとおりであります。この調査のために必要な経費につきましては、十分善処いたすつもりでございます。(拍手)   〔国務大臣中村寅太登壇
  15. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 航空行政の抜本的対策についての質疑にお答え申し上げます。  航空は、最も近代的な交通手段であり、国民経済上必要不可欠のものであります。しかも、航空機の発達は目ざましく、航空事業の急激な増加と相まって、内外の航空情勢に目まぐるしい変化をもたらしつつあります。航空行政は、このような事態に対応し、安全性の確保はもとより、航空事業の適正な運営を確保するために、これを強力に推進しなければならないのでありまして、今回の事故一つの契機としまして、保安、航空施設、乗員養成等の各面において一そうの拡充強化をはかるとともに、適切にして強力な事業監督を推進する所存であります。  民間航空に対する行政指導及び監督についての質問にお答え申し上げますが、民間航空の使命は、安全かつ快適な航空サービス国民に提供することにあると存じます。特に、航空事業におきましては、安全性の確保が何よりも大切でありますから、企業の運営態度もこれを中心にすべきものであり、この点について行政指導及び監督をさらに強化する必要があると存じます。また、航空安全性の確保はもとより、事業の適正な運営を確保するためには、航空企業の経営基盤充実強化が必要でありますから、さしあたり過当競争の防止をはかるとともに、根本的には、航空企業集約化を強力に推進する所存であります。  国内航空は、日本の航空人口から考え、また地勢狭隘等の地理的条件から考えまして、過当競争におちいっておるのではないかという質問でございますが、現状では必ずしも過当競争におちいっているとは考えられません。しかし、このところ航空事業の伸びがやや鈍化を示しておりますので、将来の需給については慎重な検討が必要であると存じております。さらに、根本的には、航空企業集約化を強力に推進する必要があると存じております。  今回の事故についての補償は、できる限り十分補償をいたすように、全日空行政指導をいたしておりますし、さらに、政府としても、できるだけの支援措置をとりたいと考えておるのでございます。  事故機の当日の運航及び整備状態でございますが、二月四日の当該機の運航は東京−千歳三往復で、東京着陸直前に事故を起こしていますが、当日の飛行はダイヤどおりであり、飛行前の点検も、飛行飛行との間の点検も正常に行なわれ、有資格整備士の確認を受けております。また、飛行中のふぐあい事項は特にございませんでした。  今回の航空事故にかんがみて、新しい空港の位置の選定等についての質問でございましたが、新空港の位置を選定するにあたりましては、本来空港の設置について必要とされますもろもろの立地条件について多角的な調査検討を行なったが、なかんずく、航空機安全運航に重大な影響のある空域の問題について最重点的に考慮いたしたのでございます。今回新空港の位置として内定いたしました千葉県の富里は、かかる観点から、十分な適格性を備えた候補地であると存じております。  なお、有視界飛行方式を切りかえてはどうかという質問でございますが、現在全部についてその有視界飛行を切りかえるという考えは持っておりませんが、特殊な地域については検討してまいりたいと考えております。(拍手)   〔国務大臣坂田英一君登壇
  16. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) 今回の犠牲者に対しまして、心からお祈り申し上げると同時に、また、御遺族に対しましては、ほんとうにお悔やみ申し上げる次第でございます。  私に対する御質問は富里地区の問題でございますが、富里地区は、蔬菜、落花生等の畑作を主として、経営規模も大きく、安定した裕福な農村地帯でございます。今回の新国際空港設置の内定により農家に反対の動きがあることも承知しております。かような次第で、惜しい農村であるだけに、私としては、他に適当な場所を調査するよう強く要望したのでありまするが、調査の結果、適当なところがないとのことであり、かつ新国際空港建設を急ぐ事態にありまするので、千葉県当局をはじめ地元農民の協力を得て解決に努力すべきであると存じております。ただし、この問題のために地区農家、住民を犠牲にしないよう慎重に配慮すべきであると存じます。  なお、農村の食糧その他の問題については、私どものほうとして極力努力を進めていきたいと存じます。(拍手)     —————————————
  17. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 内海清君。   〔議長退席、副議長着席〕   〔内海清君登壇
  18. 内海清

    ○内海清君 私は、民主社会党を代表いたしまして、今回の全日空ボーイング727型機遭難事故につきまして、政府に対し若干の質問をいたしたいと存じます。  その前に、このたびの事故によって不慮の災難にあわれました方々に対し、つつしんでその御冥福をお祈りいたしますとともに、御遺族の人々に対し、心から哀悼の意を表する次第でございます。  羽田空港を目前にいたしまして、四日夕刻、新鋭を誇っておりまするボーイング727型機が遭難、墜落いたしましたことは、われわれのまことに大きいショックでございました。この墜落の原因は、やがてわが国航空界の権威者よりなりまするところの全日空機事故技術調査団によって究明されることと確信いたしますが、悔やんでも悔やみ切れないのは、世界民間航空遭難史上最大といわれる、百三十三名にのぼる、とうとい人命が一瞬にして失われたことであります。  私は、もとより、かかる航空機遭難事故のすべての責任政府、所轄官庁にあると論ずるものではありません。しかし、今回の事故世界航空機遭難史上においても例を見ない惨事であり、その道義的、社会的見地から見ても、政府犠牲者並びにその遺家族の方々に対しできる限りの措置をとるべきことは当然の責務であると考えるものであります。この見地から、私は、政府がこの際、事故によってとうとい生命を失われた方々に対し、十分にしてかつ適切な補償が行なわれるよう指導監督を行なうとともに、遺族の人々に対する援護措置に万遺憾なきを期すべきであると考えるのでありますが、この点につきましては、先ほどもお答えがありましたが、重ねて率直かつ明快な総理の所信を承りたいと存ずるのであります。  次に、運輸大臣に逐次お伺いいたしたいと存じます。  思うに、今回のボーイング727型機墜落事故は、人知の及ばざる全くの不慮の災難であったかと申しますと、決してさにあらず、明らかに、この種の飛行機がかかる状態、条件下で事故を起こす可能性を秘めていたという事実があると存ずるのであります。米国における三回に及ぶこの機種の墜落事故がこのことを如実に物語っておると考えるのであります。私は、わが国航空界のこのボーイング727型機の採用にあたって、運輸省当局が十分米国における墜落の原因究明され、その安全性に絶対の確信を持って認可されたのかどうか、はなはだ怪しむものであります。政府は、この機種国内航空会社への採用に関して、いかなる手段、方法を講じてその安全性を確認されたか、また、米国における三回の事故原因を具体的にどのように検討し、その安全運航について必要な指導と監督を実施してきたか、それらの諸点について、政府がとった態度を具体的に明らかにされたいと存じます。  同時に、ボーイング727型機のわが国での今後の運航については、その安全性に万全を期するため、緊急に何らかの指導がとらるべきであります。私は、かつて英国のコメット機の二度の墜落事故に際して、英国が人命尊重第一主義の立場に徹してコメット機全機の運航停止措置をとったことに深い敬意を表するものであります。私は、米国で三回、わが国事故を合わせて計四回の墜落事故を起こした現在、この機種の運航については、先ほど来お尋ねもございましたが、その墜落原因が徹底的に究明され、安全性が確認されるまで、これが運航を停止し、また、新たに購入を予定されておる同機種については、その購入を留保させる措置が緊急にとらるべきだと思うが、政府は、人命尊重立場に立って、そうした断固たる措置をとる用意があるかどうか。この点について、政府は、昨日の参議院の本会議並びにただいまの答弁で、そのような意思がないことを明らかにされておりますが、事故原因がいまだ不明確な今日、その安全性を強調し、運航を当然事とすることは、無責任もはなはだしいといわざるを得ません。(拍手政府の御所見決意のほどを重ねてお伺いいたしたいと存じます。(拍手)  さきに、私は、今回のごとき航空機遭難事故責任があげて政府に帰するものではないと申し上げました。確かに、遭難という事実そのものと政府責任とは、幾分の距離があることは事実であります。しかしながら、これまで政府がとってきた航空行政を見るとき、今回の事故もまた起こるべくして起こった遠因があることを見のがすことはできないのであります。(拍手)卑近な例をあげますれば、新国際空港建設地の内定に至る二転三転劇、あるいは完成した滑走路に離着陸できない飛行場建設、さらに、飛行場建設されたが使用されていないところなど、政府航空行政はあまりにも無定見、無方針であり、わが国にはたして航空行政があるのかと疑わざるを得ない現状であります。(拍手航空機事故原因も実はかかるお粗末かつ無責任航空行政にその遠因があると存ずるのであります。政府は、それらの点をいかに反省しておられるか、今後の安全運航を確保する基礎条件として、内外航空機の離着陸でいまや使用の限界に達したと思われる主要空港施設の拡充並びに航空機整備、点検、搭乗員の養成、訓練等、航空行政上の諸問題を今後どのような基本方針に基づいて解決していくつもりなのか、政府の具体策をこの際お示し願いたいと存じます。  政府航空行政不在がもたらしているものは、ただにそれらの諸点にとどまるものではありません。これまで政府は、わが国航空事業の根幹に触れる問題については、これをことごとく素通りしてきたというのが偽らざる実情であります。そのことは、今日わが国航空事業においておそるべき過当競争が生じ、この過当競争が新鋭機の採用をしいて、安全性より採算性の落とし穴に航空事業を落とし込ませているという事実に端的にあらわれているのであります。政府がこれまで、かかる状態に至るまで航空業界を放置した責任は、あまりに重大であるといわねばなりません。  航空審議会は、昨年十二月、運輸大臣の諮問に答えて、わが国定期航空運送事業の再編成を指摘するとともに、内線について、特に、公共性が高いにもかかわらず不採算ないしは低位にあるローカル路線の維持発達をはかるためには、企業における経営基盤充実強化が必要であることを述べ、国内線は二社をもってそれぞれの路線を運航せしめることが適当であると指摘しております。政府は、この答申趣旨を十分尊重し、すみやかにわが国航空業界の経営基盤強化と再編成をはかるべきであると考えますが、政府航空審議会答申に対する考え並びにその実現方をこの機会に明らかにされるよう切望いたします。  最後に、ボーイング727型機の遭難事故にあわれ、いまなお海底二十数メートルにある犠牲者収容が一刻も早く行なわれることを熱望いたしますとともに、百三十三名の人命犠牲にした今回の墜落事故原因をすみやかに究明し、今後方が一にもこのような惨事の起こることのないよう、航空機安全運航に万全を期せられますよう強く要望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作登壇
  19. 佐藤榮作

    内閣総理大臣佐藤榮作君) お答えいたします。いろいろお尋ねがございましたが、運輸大臣から詳細をお答えすることにいたしまして、私に特に名前をあげてお尋ねになりました補償並びに援護の問題についてお答えいたします。  お説のとおり、補償の問題は、適正にして、また誠意のある処置が望ましいのでありまして、十分なことができればたいへんけっこうでありますが、その十分までいかなくとも、誠意のある処置、これを行政指導いたしまして、十分わかるように適正な、公正な処置をはかりたいと思います。  また、援護につきましては、先ほどもお答えいたしましたように、援護についての万全を期する。これは厚生省等におきましても、できるだけの相談に応ずるようにいたしたい、かように思います。(拍手)   〔国務大臣中村寅太登壇
  20. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 遭難者補償に対する行政指導の問題に対する質問にお答えいたします。  今回の事故に関する補償につきましては、全日空に対しまして、できる限り手厚い処置を行なうよう行政指導をしております。具体的な補償全日空において処理すべきものでありますが、その実施にあたっては、必要に応じ、政府としましても、できる限りの支援措置を講じたいと存じております。  なお、孤児等になられました方々に対しましては、できる限りあたたかい手を差し伸べてまいる所存でございます。  機種の採用に対する運輸行政あり方についての質疑でございますが、航空需要の増大に対応しまして、航空輸送力を増強する必要がある場合に、いかなる機種を採用するかは、最終的には各航空企業が決すべきものでありますが、航空行政上も最も重大なことでありますので、行政指導及び監督に万全を期すべきものであると考えております。機種選定の要件は、安全性が第一であり、さらに経済性につきましても、十分に各航空企業間において、技術的に提携の強化、その他国民経済的見地からも、採用機種の統一化が必要と存ずるのでございます。  運輸行政としましては、この趣旨から、関係航空企業間における十分な協力態勢のもとに、統一機種の選定について慎重な検討を行なうよう行政指導を行ない、その結果に基づいて機種が選定され、事業計画に組み入れられる際には、さらに航空法に基づき慎重な審査を行なうべきものと存じております。ボーイング727型の選定にあたっても、このような方針のもとに行政指導及び監督を行なったものでありますが、今後このような必至が生じた場合には、一そう慎重な態度で臨む所存でございます。  航空企業業界の再編成問題等についての質疑でございますが、最近における内外の航空情勢にかんがみまして、わが国航空事業あり方について早急に施策を確立する必要がありますので、昨年十月初めに航空審議会にこの旨の諮問を行なったのでございますが、同審議会は、慎重審議の結果、去る十二月中に答申を行なったのであります。  本答申は、国際線及び国内線を通じまして、わが国航空事業あり方について触れておりますが、このうち国内線の運営については、いわゆる航空業界の再編成について要望を行なっております。すなわち、国内線においては、航空安全性の確保はもとより、事業の適正な運営を確保するためには、企業の経営基盤充実強化が必要であり、将来できる限りすみやかに企業の集約化を実現すべき旨を指摘するとともに、さしあたり過当競争の防止について処置するよう要望しております。  政府といたしましては、本答申趣旨を尊重いたしまして、その実施については逐次着手する手はずを進めていましたところでありますが、今回の事故発生という事態に直面し、いよいよその早急な実現の必要について痛感いたしておる次第であります。これを強力に推進する所存でございます。(拍手
  21. 園田直

    ○副議長(園田直君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  22. 園田直

    ○副議長(園田直君) 本日は、これにて散会いたします。    午後四時四十四分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君         厚 生 大 臣 鈴木 善幸君         農 林 大 臣 坂田 英一君         通商産業大臣  三木 武夫君         運 輸 大 臣 中村 寅太君  出席政府委員         内閣法制局長官 高辻 正巳君         運輸省航空局長 佐藤 光夫君         海上保安庁長官 栃内 一彦君      ————◇—————