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1966-02-02 第51回国会 衆議院 本会議 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年二月二日(水曜日)     —————————————  議事日程 第七号   昭和四十一年二月二日    午後二時開議  一 国務大臣演説に対する質疑                 (前会の続)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  国務大臣演説に対する質疑                 (前会の続)    午後三時三十六分開議
  2. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————  国務大臣演説に対する質疑                 (前会の続)
  3. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) これより国務大臣演説に対する質疑を継続いたします。多賀谷真稔君。   〔多賀谷真稔君登壇〕
  4. 多賀谷真稔

    多賀谷真稔君 私は、日本社会党を代表し、現在国民が不安を感じ、心配をしておる諸問題につき、政府の所信をたださんとするものであります。(拍手)  アメリカ北ベトナム爆撃再開は、日本国民はもとより、全世界人々が最もおそれ、警戒していたことが現実となったのであります。北爆再開については、アメリカ政府より日本政府に対し通告があったといわれるが、総理はいかなる見解を伝えたか、その経緯、並びに安保理事会開会に際し、政府は、松井国連大使に対し、いかなる訓令を発したか、その内容を国民の前に明らかにしていただきたいのであります。(拍手)  聞くところによれば、米国の態度に賛成するよう指示したといわれるが、このアジア世界の平和にきわめて重大な段階において、アメリカへの追従外交に終始しては、日本外交の真価を問われるだけでなく、世界の支持と信頼を喪失する結果になるのであります。(拍手日本は、ベトナム戦争解決に、一体いかなる基本方針をもって臨もうとするのか。一九五四年の、ジュネーブ協定の原則に返り、その線で解決方向を見出すべきであって、国連安保理事会に持ち込み、この問題を討議することは、ジュネーブ協定を回避するものであると思わざるを得ない。(拍手北爆再開を決定してから国連に持ち込むとは、われわれがかねて指摘しておりましたとおり、アメリカ和平工作が偽りの工作であり、真の平和を求めていないことを立証するものではないでしょうか。(拍手)現にフランスも主張しているごとく、中国、北ベトナム等当事国が出席しないところで、国連が決議をしても、可能性がないのみならず、一そう解決方向を混乱させる結果になると思うのであります。国民、いな、全世界人々の最も注視しているこの重大な問題に対し、総理の明快な御所見を承りたい。(拍手)  総理は、施政方針演説において、二十一世紀に連なる新しい世代の者として、青少年への期待を述べられましたが、私は、一九七〇年代に向かう日本外交進路と、国際時代における日本経済の路線について、お尋ねいたしたいと思います。  さきのアジア開発銀行本店誘致問題及び国連安保理事の選挙にあらわれたアジアアフリカ諸国からの不信感は、自由陣営の三本柱と自負し、アジア指導国と任じていた日本国政府のみならず、国民にとっても大きな衝撃であったのであります。それは、金もうけだけを考える日本のそろばん外交に対する非難であると同時に、アメリカお先棒をかつぎ、民族解放抑制協力者である日本に対するアジアアフリカ連帯の糾弾であると思わなければなりません。(拍手)  いまや、世界の大勢は激動と再編の流動期に差しかかりつつあります。流動と多元化の中で、東西問題と南北問題が相からみ合って進行しているのであります。一昨年の国連貿易開発会議にあらわれたごとく、新しいエネルギーを持つ南の国は、権利としてその援助を要求しているのであります。南北問題も単なる経済の問題ではなく、外交路線外交姿勢の問題であります。米・ソ・欧・中の四つの大陸的巨人が、政治外交、軍事、経済の諸方面で、人類の二分の一近くを占める南に向かって競争し、南での勢力を伸長しようとしております。フランス西ドイツの、中南米、アフリカへの進出も注目すべきものがあります。  また、米国が二億の人口と豊富な資源を有するアメリカ大陸を、欧州がEECを中心として二億の人口を基盤に、ソ連が東欧を含め二億の人口をおのおのバックに、巨大な経済活動をやろうとしておるときに、日本は、アジア人口、なかんずく中国六億五千万の人民の外に立っていつまで進もうとするのか、中国に対する総理の姿勢も、「前向き」から「慎重に対処」と変化しているようでは、アジアにおける日本の地位を確立することは不可能であります。  ドルと第七艦隊にささえられてきた日本経済も、大きな転換期に遭遇しつつあります。ドルと第七艦隊の権威は日を追うて地に落ちつつあります。この際、総理は、一九七〇年代に向かう日本外交の進路と、国際時代における日本経済方向について、国民の前に明らかにすべきであります。(拍手)  次に、この国際時代に向かう日本経済自体についても、その体質の転換をしなければならない時期が来ておるのであります。わが国高度成長の秘密は、わが国の二重構造にあったと思うのであります。教育程度が比較的高く、勤勉で、しかも安い豊富な労働力が容易に求められたからであります。しかし、くめども尽きぬ供給源もようやく限界に来、その泉も枯渇しつつあります。そこで二重構造の解消、近代化の上に立つ日本経済成長原動力の再開発を行なわなければなりません。それは農村の近代化であり、中小企業近代化であります。この二重構造の底辺の再開発による本格的近代化が必要であります。膨大な資金の投入が要求されますと同時に、労働力の移動のための再訓練、完全補償社会保障の完備が前提とならなければなりません。これなくしては、七〇年代に向かう日本経済の立て直しを期することはできないのであります。  しかるに、最近、韓国の労働力を導入するという話を聞きますが、これこそ、低賃金政策の上に立つ経済政策であって、時代錯誤もはなはだしいものであり、そのことはまた逆に、日本経済体質改善をおくらすものであります。この日本経済体質改善に対する総理の所信を承りたい。(拍手)  政府は、七千三百億にのぼる長期国債発行に対して、それは建設公債であり、市中消化が十分できるから、インフレの心配はないと説明され、先日の成田書記長の質問に対しても、同様のことを繰り返し答弁されましたが、しかし、国民は決して安心しておりません。かえって心配をつのらせているのが実情であります。  私は、成田書記長と別の観点から公債発行について質問いたしたいと思います。  政府は、不況対策として、景気刺激のために公債発行するといわれておりますが、しからば、不況期を脱出すれば公債発行は停止されるかどうか、まずお聞かせ願いたいと思います。(拍手わが国ケインズ学派といわれる経済学者かなりの人が、現在の保守政府政治体質不信感を持ち、日本公債発行インフレにつながるとして、公債発行に反対をしておるのであります。(拍手)好況のときは、自然増収として選挙用のおおばんぶるまいをし、不況に入ってからも千五百億に及ぶ農地報償金を認めた政府に、その決断がはたしてできるかどうか、総理大臣から、その決意のほどを明らかにしていただきたいと思うのであります。(拍手)  私がふしぎに感じますことは、この公債発行という戦後財政の一大転換を行なうに際し、それを裏づける長期経済計画が全くないということであります。自民党内閣は、かつて幾つかの長期経済計画をつくっては破り、つくっては破棄いたしました。最近の中期経済計画も同じ運命に落ちました。長期展望に立った経済計画の全くない状態のまま、公債発行という長期対策がいますべり出そうとしておるのであります。それは、羅針盤も持たず、海図のないまま長い航路に出ようとするようなものであって、全く危険この上もない経済姿勢といわなければなりません。(拍手)  先日の総理及び各大臣演説を聞いていましても、景気上昇、物価安定の見通しについては何ら確たる自信もなく、藤山長官に至っては、神の祈りにも似たきわめてたよりない方針であったのであります。(拍手公債発行は、日銀引き受けにならないという制度的保証並びに公債発行という長期計画に相応した長期経済計画と、今後の国債の発行並びに償還計画を明示していただきたいと思います。さらに公債発行に伴う国債管理政策を中心として、今後の財政金融見通しについても、あわせ答弁を願いたいと思うのであります。  次に物価対策について質問いたしたいのであります。  四十年度は、成長率実質二・五%程度であるのに、消費者物価は八%程度、いな、これ以上をこすかもしれない状態になっておるのであります。四十一年度は、経済成長率実質七・五%とあるのに、消費者物価がどうして五・五%に押えられますか、その理論的根拠をまずお聞かせ願いたいと思うのであります。(拍手消費者物価を五・五%に押えるには、独占企業管理価格を相当下げると同時に、農業、中小企業等生産性のおくれた分野に膨大な投資が必要であります。しかも、その投資効果価格にあらわれるのは相当の期間を要するのであって、四十一年度には間に合わないのであります。かく考えるならば、五・五%の見通しは、全く希望的観測にすぎず、経済成長率についても、現状から見るならば、実質七・五%はおろか、五%にも達しないであろうと考えられるのであります。  私は、この際、総理から明確な答弁をいただきたい。最近イタリアのモロ内閣は、国立幼稚園増設問題で総辞職をいたしました。国民生活に対する内閣の態度は、こうしたきびしさが最も必要であろうと思うのであります。佐藤内閣は、その物価対策見通しが誤り、五・五%の線を守り得なかったとするならば、いかなる政治的責任をとろうとするのか、本議場を通じて国民の前に明言していただきたいと思うのであります。(拍手)  古い資本主義が利潤に応じて投資したのに対し、現代の企業投資に応じてその利潤をきめようと試みておるのであります。その結果、大企業生産性が向上しても、カルテルによる管理価格を設け、価格維持に狂奔し、政府もまた、そのお先棒をかつぎ、結局生産性の上昇しないサービスその他の分野の価格が上がって、全体としてはインフレ不可避の事態を生じておるのであります。そこには、生産が上がり、物が余れば、価格が下がるという自由主義経済の原理は動いていないのであります。このインフレーションを経済学者は「恐慌の代用物である」とも言い、「流産した恐慌の副産物である」とも名づけておるのであります。すなわち、物価騰貴の元凶は、独占企業及び政府の態度にあると思うのであります。(拍手)  ことに、高度成長政策のもと、借金政策によって膨大な設備投資を行なったわが国の大企業は、このクリーピングインフレーション、忍び寄るインフレを歓迎しているのであって、佐藤内閣は初めから物価安定をやろうとしていないのであります。このたびの施政方針演説中に、管理価格については一言も触れられていない。これこそ物価抑制の意思のないことを雄弁に物語るものであります。(拍手)反論があるならば、総理みずから御答弁を願いたい。(拍手)  減税については、所得減税を望んだ国民の期待を裏切って、企業減税に重点を入れ、四十年度の二倍近い額の減税がなされ、法人税率は二年続きの軽減で、外国の法人税率に比べかなり低くなっております。しかも、所得税減税の重点は、二百万ないし三百万の中高所得者に置かれておるのであります。すなわち、政府のねらいは、国民貯蓄性向を見て、貯蓄が向上する層に向けて減税の目標を置き、大蔵大臣の言う家庭と企業を通ずる蓄積の強化として貯金をさせ、それをさらに吸い上げて、大企業中心投資拡大に利用しようとする、まことに巧妙きわまりない戦術が立てられておるのであります。(拍手)  政府は、景気刺激のための減税というが、直接効果のあるのは最終購買力の増大となる所得税課税最低限の底上げであって、企業減税は、設備過剰、収益低下投資力鎮静の今日では、借り入れ金の返済、自己資本の充実に向けられ、投資喚起にはあまり役立たないのであります。(拍手)結局、今日の減税も、景気刺激の名をかる大企業の利潤の留保にすぎません。これらの点に対する政府の所信を承りたいのであります。(拍手)  物価高、インフレの最大の被害者は、底辺にあえぐ低所得者人々、わずかの貯金と年金をもって細々と生活設計を立てている高齢者人々であります。  生活保護の基準については、昭和三十七年、社会保障制度審議会は、四十五年度までに基準を実質三倍に上げるべきであると勧告いたしました。しかし、毎年若干の名目基準が引き上げられても、消費者物価の上昇で、実質はほとんど上がらず、食料費の上昇は、エンゲル係数の高い低所得者の家計を著しく圧迫する結果になっているのであります。最近の厚生省の統計は、高年齢者世帯の生活の窮迫が年々激しくなっていることを報告しております。  現在の国民年金、五十歳で加入し、十年間保険料を納め、六十五歳になって支給されるのは、月わずかに八百円であります。今回の政府改正案でも、夫婦一万円と言っておりますが、実際は二十五年後の話であります。政府は現在の老人に対してどのような措置をとろうとしておるのか。現在の老人は、家族制度が崩壊し、戦中、戦後を通じ、インフレによって蓄積を失った人々であって、現在働いておる者が現在の年寄りを連帯して養うという制度の確立が必要であります。  第二次世界大戦後の西欧の社会保障は、インフレの苦い経験に基づき、積み立て方式でなく、賦課方式をとっていることは御存じのとおりであります。インフレ基調にあるわが国においては、当然賦課方式を採用すべきではないか。愛情ある政治を説く政府方針をお聞かせ願いたいと思うのであります。(拍手)  また、大学入学金授業料値上げが問題になっております。昨年は慶応義塾大学、本年は早稲田大学に、学年試験卒業試験入学試験を前に、値上げ反対学生ストが行なわれ、学生理事者も教授も、ともに苦悩に満ちた紛争になっておるのであります。いまや大学入学は、単に試験地獄のみでなく、一般家庭にとっては、財政面からいよいよ狭き門となりつつあるのであります。(拍手)今回のストが、親孝行ストといわれるゆえんがここにあるのであります。(拍手)  ことしも、国立、公立の定員増に対し、私立はその四倍の定員増を負担させられております。しかも十万人の浪人が出るという。大学入学も、高校入学も、子供が誕生したときに十数年後の状態が把握できるのに、歴代文部大臣は、勤評あるいは学力テスト等日教組対策ばかりに血道を上げて、親も子も最も心配しているこれらの対策を放置したことは、全く怠慢といわざるを得ないのであります。(拍手)  国立大学学生一人の国の出費が約七十一万円程度に比べて、私立振興の国の補助は、理科特別助成研究設備助成としてわずかに三十億であり、全学生一人当たり四千四百円にしかならないのであります。このままで推移すれば、私立大学はその教育の場としての公共性を失い、高等教育普遍化を目ざす理念と、国民の基本的な教育権は破壊されることは明白であります。政府私学振興に対しいかなる対策を持っているか、総理より御答弁を願いたいと思います。(拍手)  次にお伺いいたしたいのは、同和対策審議会答申に関してであります。  六千部落、三百万と称せられる数多くの同胞が、いわゆる未解放部落の人として、いわれなき差別と極端な貧困に悩み苦しんでいることは、まことに重大な問題であり、この完全解決、すなわち完全解放の達成なくしては、わが国民主国家と称する資格がないと思うのであります。戦前はもちろん、戦後も悲惨な状態に変わることなく、いわゆる農地解放も、小作権すら確立していなかった部落農民にはほとんど均てんせず、その所有反別平均約三反歩であり、さらに、政府零細農切り捨て政策により、その生計をまさに失わんとしておるのであります。  就職の差別も依然として残っております。就職も、臨時工社外工、失対労働者という道しかなく、被保護世帯の率は全国の三倍という水準にあります。また、その居住地域の環境の劣悪さは、全く筆舌に尽くし得ないところが多々あるのであります。差別にあって貧困が生じ、貧困がなくならないことによってまた差別が再生産されており、結婚問題を頂点として、あらゆる点で人権が侵害されております。  昨年八月同和問題の根本的解決方策に関する答申内閣総理大臣あてに出されました。その答申は、同和問題は人類普遍の原理である人間の自由と平等に関する問題であり、日本国憲法によって保障された基本的人権にかかる問題であるとし、その早急な解決こそ国の責務であり、同時に国民的課題であると、問題の重要性を強調し、環境改善計画、産業、職業対策教育対策等に関する基本的方向具体的施策を提案しておるのでありまして、画期的意義を持つものといわなければなりません。しかるに、同答申の結語に示された同和対策特別措置法がいまだに提案の運びになっていないことは、はなはだ遺憾であり、早急に作業を促進し、少なくとも二月末までに国会に提出すべきであると思うが、総理の決意はどうでしょうか。(拍手)  また、同法案の内容には、同じく答申中に示されている本問題推進のための新たなる行政組織地方行財政方策等をすべて明記すべきであると思うが、どうか。  以上、基本的な問題について、内閣総理大臣より、憲法を順守し、民主主義を確立する立場から、責任ある答弁をお願いいたしたいと思うのであります。(拍手)  さらに、依然として危機に瀕し、社会問題をかかえておる石炭政策について質問いたしたいと思います。  石炭政策について解決しなければならない命題は六つあります。  第一の命題は、石炭エネルギー全体の中でいかに位置づけ、他のエネルギー源との調整をいかにするかということが問題であります。イギリス一億九千万トン、西ドイツ一億四千万トン出して使うという、国としての決定があります。日本にはそれが確立しておりません。  第二の命題は、いかに近代化を進めるかということであります。第一次世界大戦後の合理化は、西ドイツに見られたように、機械化による合理化であります。第二次世界大戦後の合理化は、イギリスフランスに見られた適正規模炭鉱への再編成であり、それは鉱区統合合理化であったのであります。ここに鉱区の国有化が行なわれたゆえんがあるわけであります。  第三の命題は、スクラップ・アンド・ビルドといわれておりますが、実際はスクラップ・アンド・スクラップであり、そのビルドをいかに推進するかという問題であります。年産百万トン産出の新鉱を開発するのに百五十億かかります。工事は七年も八年もかかります。売り上げ金が年四十億、半期二十億では、金を借りて新鉱を開発するということは絶対に成り立たない計算になるのであります。  第四の命題は、若い労働者技術者をいかに集めるかという問題であります。地下、高温多湿、激しい労働であるにもかかわらず、賃金はきわめて低い。しかも災害が多い。昨年一年間で、死者六百四十名、重傷者一万九千名、軽傷者二万四千名を数えております。炭鉱労働者十一万人のうち四万五千名が一年間で死傷しておるのであります。さらに、若い労働者にとってその一生を約束する鉱命を持つ炭鉱がきわめて少ないということであります。終身雇用制日本において、生涯雇用の約束のできない職場にだれが就職をしますか。  第五の命題は、いかにして流通機構を整備するかということであります。依然として二千もの銘柄があり、輸送費のかかる石炭が、北海道から関西へ、九州から東京へと輸送されておるのであります。  第六の命題は、過去のばく大な負債と膨大な鉱害をどう処理するかという問題であります。大手十七社の銀行借り入れ残高は昨年三月千八百億、鉱害は通産省の推計によりますと六百六十億にのぼっております。  以上、六つの命題を総合的に解決する方法は、私は国有以外にはないと思います。英国の国営、フランスの公社営も、結局経済合理性から出発しておるのであります。最近、西ドイツのかつてのルール石炭鉱業のスポークスマンであり、現在ライン鉄鋼株式会社取締役会長のゼーンゲン氏は、ドイツにおいて一億四千万トンを確保する道は全炭鉱を一社にする以外にはないと、爆弾的提案を行ない、現在波紋を投じておるのであります。石炭は、世界的に企業の変革を要求されている時期にきておるのであります。自民党は、国営は能率が悪いと言いますが、しからば、専売公社電電公社、国鉄はみな能率が悪いのでしょうか。経済合理性から、炭鉱はすべからく国有にすべきである。自民党並びに政府は、少しくイデオロギーにこだわり過ぎているのではないか、イデオロギー過剰ではないかと思うのであります。(拍手炭鉱国有化に対する総理の御所見を承りたい。  当面、労働者産炭地住民は、次のことを要求しております。  第一に、保安第一主義。  第二に、労働条件の向上、特別年金制度の確立と退職金完全支給であります。労働条件はきわめて劣悪であります。大手の再建炭鉱は、ベースアップ三%、期末手当二万五千円であります。しかも、未払い賃金退職金社内預金が確実に支払われるという保証はないのであります。総理大臣通産大臣時代に再建を約束されました大手の大正炭鉱もついに閉山いたしました。労働者は、未払い賃金退職金のわずか一四%程度しか支給されないのであります。しかも、いまだに、まだもらっておりません。ゆえに、炭鉱労働者特別年令制度の確立と退職金完全支給が要望されておるのであります。  第三は、一酸化炭素中毒法の制定の問題であります。三池の大災害の傷痕はあまりにも深いものがあります。災害以来二年を経過いたしました今日、入院療養中の者が二百八十六名、病院通いをしている者が三百八十六名であります。意識が全然わからない者、親や妻の顔が判別できない者、記憶喪失の者、軍隊時代の敬礼しか覚えていない者、英語やドイツ語は読めるのに掛け算ができない職員、全く悲惨そのものであります。本年十一月には解雇制限が切れるのであって、一酸化炭素中毒法の制定が痛切に要求されておるのであります。  第四は、産炭地の荒廃は、児童生徒非行化に及び、子供までスクラップ化されようとしております。鉱害復旧の促進、産炭地域の積極的な振興並びに補導教員の新設は、住民の切なる要望であります。  以上、これらの政策に対し、総理をはじめ各大臣の御答弁をお願いいたしたい。  最後に、沖縄問題について質問いたします。  総理施政方針演説並びに各大臣演説中、沖縄に関しましては、百字にも足らないわずかの言及があったにすぎません。総理は、八月沖縄を訪問されて、一体何を見てこられたのか。あなたを迎えたものは、あらかじめ動員された官製の空虚な歓迎もあったかもしれません。しかし、八月十九日から二十日にかけてのデモは、二十年間も見放されていた沖縄県民の願望、不満、憤りのうっせきの表現ではなかったでしょうか。(拍手)われわれは、北緯三十八度線、北緯十七度線の分割もさることながら、北緯二十七度の線に九十万の同胞が分断されておるということを、寸時も忘れてはならないのであります。(拍手)  去る十二月八日、国連信託統治委員会は、米国のグアム島をはじめとする群小諸島に関する決議を行ない、これらの地域において国民がみずからの憲法上の地位をきめる権利を有することの再確認及び基地撤去の要望の決議が七十六対八で可決されました。ところが、日本政府は、米国、カナダ、トルコなどとともに、反対投票の八票の中に入っておるのであります。(拍手政府は一体何を考えておるのか。沖縄は、今日、信託統治ではありませんけれども、信託統治の約束があるから、その精神は当然及ぶべきものであります。日本政府は、沖縄返還、軍事基地撤去アメリカと共謀して反対しているといわざるを得ないのであります。(拍手)  国連憲章七十八条は、信託統治制度は加盟国になった地域には適用しないとうたっております。わが国国連に加盟した以上、当然平和条約三条は失効したと主張できるのに、政府は何ゆえ国連に提訴して根本的解決をはかろうとしないのか、総理沖縄返還、軍事基地撤去に関する真意をお聞かせ願いたい。(拍手)  総理は、自由人権についてアメリカと折衝すると沖縄で約束されました。経済以外の問題も日米協議委員会の対象に拡大されたのに、その後協議委員会に何ら提案をされていないのであります。人権じゅうりんは枚挙にいとまなく、立法院の選挙開票日に被選挙権停止という処置が公然ととられておる。さらに、渡航の拒否が依然として続いておる。これらに対していかに折衝されたか、お聞かせ願いたいと思います。  また、昨日沖縄立法院は開会され、主席公選をめぐって激しい論議がなされております。何ゆえ、県民の要望である面接公選の問題を、高等弁務官の権限であるとして折衝しようとしないのか。本土との一体性を強調した総理沖縄県民に対する背信行為ではないか。(拍手)  沖縄を訪れた人は、だれでも、沖縄県民の体格、ことに女性の身長からして、本土に比べて栄養の状態の差、生活水準の低さを感ずるでありましょう。社会保障制度はきわめて貧弱であり、ことに、医療保険、退職年金制度は全然ありません。長い病気をすれば、一家は再び立ち上がることはできないのであります。本年度からようやく、不完全ながら医療保険、退職年金制度が実施されますが、それも、農民、中小企業、その従業員は法の外にあって、何ら恩恵を受けないのであります。これはとうてい五十八億程度の援助費では糊塗できるものではありません。あなたの約束された本土並みの水準はどうなったのか、総理の御答弁を承りたいと思います。(拍手)  佐藤内閣は、その成立以来、内容不明の社会開発ということばを看板に掲げ、いままた、すき間のない政治を唱えておりますが、こうしたスローガン政治は、反面、何ら内容がないことを立証するものであります。有言不実行内閣の標本であります。(拍手)単にことばだけでなく、私は、国民が強く望んでいる総理の誠意ある、しかも確信ある具体的な答弁を要求いたしまして、質問を終わる次第であります。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
  5. 佐藤榮作

    内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。  ベトナム問題が、アジアの平和、また、わが国にとりましても、たいへん重大な意義を持っておりますことは、御指摘のとおりであります。このベトナムの問題が、昨年クリスマス以来北爆が停止されておりましたが、このたび再開されたことにつきまして、私もたいへん遺憾に思う次第であります。もちろん、私どもは平和への解決を望んでいた。これが再開という方向に向かったことは、やむを得ない仕儀にしろ、まことに遺憾に思います。この期間中、いわゆる爆撃は停止しておりましたが、北からの浸透は依然として続いていた、かような状態でありますので、一方的にだけこれを非難することは当たらない、かように思います。(拍手)  今日安保理事会におきまして、この問題が取り上げられておる。わが国は、御承知のように、議長国になっておりまするので、その意味におきまして、安保理事会におきましても、平和のために十分協力をしたい、かように思っておるのであります。この意味におきまして、松井大使とは十分連携を緊密にいたしております。わが国独自の考え方をいたしております。しかしながら、この機会に、それらの点につきましてお話をすることは差し控えさしていただきたい、事は外交に関する問題であります。  私がこの機会に申し上げたいのは、北爆は開始されましたが、平和への話し合いの道が閉ざされておるわけではないので、したがって、この北爆は北爆として、ただいま平和への道が残されておる、それについて最善の努力をする、そうして協力をする、世界世論をその方向に持っていく、これがわが議長国の役目だ、かように思います。   (拍手)  次に、わが国外交の問題につきまして、あるいは安保理事会の理事になったことや、あるいはアジア開発銀行の設置等の問題について、日本は信用されていないのじゃないのか、かような御指摘であります。外交の問題でひとりよがりは慎まなければならない、私もさように思います。また、わが国もまことに困難な状況に置かれておりますので、この上とも理解を求める点について、さらに努力すべきだ、かように私は思います。  また、中共問題につきましてのお尋ねでございますが、中共問題については、たびたび申し上げておりますように、わが国態度は、はっきりいたしております。私は、平和に徹する考え方で、いずれの国とも仲よくしていく。しかし、それには相手方が独立を尊重し、わが国の内政にも干渉しない、こちらも干渉しない、お互いに内政干渉はしない、こういうことで、その基礎の上に立って仲よくしていくということであります。(拍手)すでに今日におきましても、貿易額は四億ドルをこしております。私は、日中間の貿易が四億ドルをこしておるということは、おそらく中共から見れば第三位の貿易国ではないか、かように思うのでありまして、これらの点は、いわゆる仲よくしておる、吉田書簡があろうが、また日米安保条約があろうが、仲よくするというものを別に妨げるものではございません。  また、わが国経済状態について、さらにくふうをし、その体質を改善すべきではないかという、この御指摘につきましては、私も同様に感じております。もちろん、今日は貿易の時代でありますし、自由貿易がたてまえであります。一括関税引き下げなど行なって、自由貿易へ移行しようとする、こういう際でございますから、体質の改善をし、強固な経済力を持って、そうして十分競争力を持つようにしたい。その意味では、必要な保護政策等も現在は行なっておりますが、こういうものが早期にやめ得るような産業にいたしたいものだと思います。  韓国から安い労働力を輸入するような計画があるというお話でございますが、私は、さような計画をしたことはございません。まさか社会党にもそんな話はないでしょう。かようなことはないということをはっきり申し上げておきます。  公債発行につきまして一番心配なのは、これがインフレになるということでありますが、このインフレになるというのは、公債がもしもみだりに発行されるとか、あるいは財政規模が放漫化する、こういうことがインフレへの危険でございます。この点は、私が施政演説ではっきりいたしましたように、みだりに流れるようなことはしないし、財政の規模を放漫化さすようなことは絶対にしない、かように申しておりますから、十分信じていただきたいのであります。(拍手)詳しくは大蔵大臣から説明させます。  物価問題につきましてお話がございまして、この五・五にすることはたいへん困難ではないかということを御指摘でございますが、私の施政演説で申しましたように、ことし政府に課せられた課題は、不況の克服と物価問題と真剣に取り組むことだ、そうして問題を鎮静化さすことだ、こういうことを申したとおりでございます。したがいまして、具体的にも十分計画を持っておりますし、また御指摘になりました管理価格等につきましても、公正取引委員会等の活動を促しております。私は、政府自身が熱意を持ってこの問題と取り組んでおるのでありますので、国民各界、各層におきましても、ぜひ御協力を願いたいと思うのであります。ことに社会党の方も、物価の高くなることを御非難になるのでございますから、社会党の方にもぜひとも御協力を願いまして、物価の鎮静するように、この上とも御協力を願います。(拍手)  次に、私学振興につきまして、お尋ねがありました。助成措置はもちろん必要でございますが、私学振興の貸し付け資金等の増額もうんとはかってまいります。また、臨時私立学校振興方策調査会というものができておりますが、この調査会におきましても、ただいま私学振興をいかにすべきかと十分検討いたしておりますので、答申を得ました上に、私学振興につきましても力をかすつもりでございます。  次は、同和対策についてのお話であります。今日、同和対策の問題は、御指摘のように、審議会から答申が出ております。この答申を熱意を持って実施することが政府の責任だ、かように思います。特別措置法につきましては、ただいま関係各省の間において協議中でございますから、いずれ二月末まで、かように私は約束はいたしませんが、必ず結論が出てくるものだ、かように思います。  次に、石炭対策についてであります。石炭対策は、ただいま一番困っておる産業だ、かように思いますし、私自身も、石炭産業についてはいろいろ過去において苦い経験を持っております。ただいまのお話のうちにもあったようであります。また、石炭産業については、こういう苦しい時代には、必ずといってもいいように国有論が出てまいります。多賀谷君もそういう意味で国有論を出されておられると思いますが、御承知のように、国管問題では、わが国におきましては、もうすでに実は経験済みであります。審議会におきましては、この石炭産業を私企業としていかに強化すべきか、かような答申を得ております。これは中間報告でありますが、私は、その線におきまして、さらにくふうをすべきではないかと思います。いずれにいたしましても、ことに多賀谷君など、たいへん石炭産業については理解のある方でありますから、この石炭産業対策につきましては、十分力もかしていただきたいとお願いをいたしておきます。  最後に、沖縄問題についてお答えをいたします。  沖縄問題につきましては、申すまでもなく、沖縄同胞の諸君は祖国復帰の一日も早くそれが実現することを念願しておるのであります。私もまた、一億同胞を代表し、沖縄百万同胞とともに、祖国復帰、一体化が実現することを一日も早いよう心から念願いたしております。しかし、社会党と私どもの考え方の相違は、アメリカを非難する、アメリカ軍事基地、これの撤去を要求する、こういうような意味で、ただいまの沖縄復帰は実現するものではございません。私は、日米友好関係のもとに、また、相互の協力によって、初めて祖国復帰が実現するものだとかたく信じております。さような意味におきまして、わが国は十分アメリカと協議を遂げ、それぞれのただいま問題になっておる事柄を進めておるわけであります。たとえば自由人権問題にいたしましても、すでに布告、布令等は相当廃止されたものもあります。渡航の制限などもよほど緩和されております。その他日米間におきまして、協議委員会で話をつけて、そうして円満なうちに、それぞれの目的を達するようにいたしたいものだと思います。  また、主席公選の問題も、ただいま直接ではございませんが、これが立法院の選挙による、かような方法になりましたことも、自治権の拡大のその一歩だ、かように私は思っております。(拍手)  ただ、非常に残念なことは、沖縄住民、島民が、私どもの同胞であるといいながら、たいへん不幸な状況にあります。御指摘になりましたような、各種年金などの整備などもまだできておりません。こういうことがありますから、今日政府が、ことし御審議をいただいておりますように、ぜひとも画期的に助成を拡大して、そうして本土との格差をないようにしよう、これも祖国復帰への日に備える私どもの態度であります。  また、先ほどお話しになりました、グァム島その他の軍事基地撤去決議に対して、日本反対したことは遺憾だ、かように言われますが、どういうわけで軍事基地ができていたか、そのこともよく考えていただきたい。必要であるからこういうような軍事基地ができておる。それによって初めて世界的な勢力の均衡ができておる。したがって、これは戦略的、政治的に意義のあるものであります。一方的な理由だけでその撤去を要求されたからといって、日本は賛成するものではありません。(拍手)  なお、その他の問題につきましては、所管大臣から答弁いたさせます。(拍手)   〔国務大臣椎名悦三郎君登壇〕
  6. 椎名悦三郎

    国務大臣(椎名悦三郎君) 外交の質問に関しましては、大体総理からの答弁がありまして、十分と考えます。しかし、多少補足して私から申し添えておきたいと思います。  今回のアメリカの安保理事会開催の提案は、一九五四年及び六二年のベトナム問題に関する協定の線に違背するものである、よけいなものである、こういうような御質問であったかと思うのでありますが、この今回の安保理事会開催の大統領の要請の理由の中にも、一九五四年、六二年の協定の線に沿うて、かつ永続した平和を持ち来たすためというふうに解説を唱えておりまして、今回の大統領の措置は、決してジュネーブ協定の趣旨に背反するものでないということを申し上げたいと思います。  それから、日本の国際的信用が非常に悪い、むしろ国際的不信を買っておるのではないか、その理由として、安保理事会における非常任理事国として、任期二年の問題を他の国と争ったのでありますが、かろうじて一点勝っただけじゃないか、こう言われるのでございますが、日本が、大戦の後に、ようやく返り新参として国際的なお仲間入りをした経路から考えますと、私は、これで相当りっぱなものであると思います。(拍手)  それから、アジア開銀の本店の問題に関して、フィリピンに、マニラにとられたというような御例証もございましたが、これは不信というものではなくて——しかし、一面において十分な信用があったとも言えません、言えませんけれども、国際的不信を買っておるならば、マニラに今度開設されるアジア開銀の総裁候補として、日本が断然優勢であるという空気が生まれてこないはずである、この点を申し添えまして補足説明といたします。(拍手)   〔国務大臣藤山愛一郎君登壇〕
  7. 藤山愛一郎

    国務大臣(藤山愛一郎君) 御答弁申し上げます。  長期展望に立った見通しを、中期経済計画を廃棄した以上当然つくるべきじゃないか、つくらないのかという御質問だと思います。私どもは、中期経済計画を廃棄することによって、将来五、六年の期間の経済運営、財政運営その他を見通して、一つの運営指針としての計画をつくってまいりたいということで、ただいま準備をいたしております。ただ、今回つくります計画は、企画庁がかねて統計を改善する作業の中で新推計を集めてまいったので、今回は、その新推計によってこれをつくってまいりたい、こう考えております。そうして、できました上は、過去のような計画よりも、むしろ今後の運営の指針として、その線に沿って毎年この数字を調節していきながら、政策が誤った方向に進んでいかないような指針といたしたい、こう考えておるのでございます。いずれ皆さま方に御発表申し上げる機会がありますから、その際はひとつ御批評を願いたいと思います。  なお次に、四十一年度に五・五%の物価上昇率でおさめられるかという御質問でございます。たびたび承る御質問なのでございますが、本年度の物価上昇率は、私ども大体七・五%程度でおさまると考えております。そういたしますと、五・五%に比べますと、二%の差でございます。二%の差のうち、過日も御説明申し上げましたように、三十九年度平均と四十年度初頭との差は三・四%でございましたけれども、今回、四十年度の平均と四十一年度の初頭における差というものは二・五%になりますから、約一%は理論的にそこから低下してまいるのです。あとの一%は、少なくもわれわれが物価問題を重大問題として取り上げる以上、それくらいな努力ができないではとうてい相ならぬと思っております。したがって、私どもはそれだけの力をもって五・五%におさめるよう努力してまいり、結果をあらわしてまいりたい、こう考えておるのでございます。(拍手)  最後に、今回の物価値上がりというものは、大企業における管理価格がおもなものではないかという御質問であったように思いますし、また御議論であったようでございます。私どもは、大企業のカルテル行為につきましては、十分注意してまいらなければなりませんけれども、しかし、今回の消費者物価の値上がりというものは、むしろ中小企業あるいは農業、これらの近代化、あるいは生産性の向上が他の大企業その他から立ちおくれてきたというところにあるのでございまして、労働賃金の平準化は、その意味において、中小企業、農業等において、生産性の向上がなかったために、吸収されなかったというところに大きな原因があると思います。同時に、流通過程の近代化という問題がそこにございます。したがって、これらの問題に取り組んでまいりますことによって、私は、将来安定した物価基調をつくり得ると確信いたしておるのでございまして、それらの点について、今回の予算等においても十分な措置がなされつつございますし、また、われわれもそれらの実行にあたりまして、民間業者の方々に対して、そういう意味で各省がこまかく指導をしていくという方向をとりますれば、私はやがて安定する機会があると思います。(拍手)   〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
  8. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 公債政策がとられますが、これがインフレとつながるものではないということは、総理からいま申し上げたとおりであります。つまり、国は国民経済の中で最大の消費者であります。しかも、その消費行為が権力的に行なわれる。その最大の消費者である政府が、物をよけいに使い過ぎる、あるいは資金を使い過ぎる、あるいは労働力を使い過ぎる、そういう際にはこれはインフレの危険があります。そういうことを考えますと、公債を財源としますけれども、よって運営する財政の規模を一体どういうふうにするかということが問題なのであります。財政の規模は適正にこれをしなければならぬ。ことに民間活動との調和においてこれが適正に維持されなければならない、かように考えます。経済不況のときには財政の規模は相当拡大していい、また、好況時にはこれを縮小すべきだ、こういうふうに考えますが、要するに民間の経済活動政府経済活動、つまり財政との総和、日本全体の経済の規模が年々でこぼこなしに成長発展するというところに思いをいたして誤りがない限りにおきまして、インフレになるというがごときは絶対にあり得ないのであります。そういう考え方によりまして、今後公債政策を主軸として財政を運営します。したがいまして、この考え方は応急的なものじゃございません。これは恒久的の考え方であります。しかし、当面この数年間のことを見てみますると、日本経済はいわゆる低圧型である。設備過剰の状態がここ当分続くと思う。その限りにおきましては、この公債政策が大規模に取り入れられる時期である、かように御承知願いたいのであります。  さようなことでありますので、景気の回復したあとでは公債政策をやめるか、こういうお話でありますが、景気が回復いたしますれば、この公債政策取り入れの規模は縮小されます。あるいは租税収入が非常に増加して、これが公債政策を使わぬでもいいような時期があるかもしれませんけれども、また、景気循環等のぐあいによりまして、民間経済活動が縮小されるという際におきましては、公債政策を再び用いるということも考えられるのであります。この財政の考え方と表裏いたしまして、ただいま企画庁長官が申されました長期経済計画が策定されるわけであります。  この公債の償還につきましては、最大の保証、これは、この公債政策が必ず経済繁栄の基礎固めになる、そういうことにあるわけであります。これによりまして租税収入が増加いたします。この自然に増加するところの国民の富からの収益、つまり租税収入をもってこれを償還する。しかしながら、技術的にはそれを計画的に進めていかなければならない。ただいま国債整理基金がありまするが、それに毎年繰り入れるということも考えておりまするし、さらにもう一年間検討いたしまして、減債基金制度確立するかどうか、こういうことも検討していきたい、かように考えておるのであります。  公債発行下における金融政策は一体どうなるのかというお話でございまするが、一部に、公債発行されますと、民間の資金が窮屈になり、圧迫されるのではないかという説があります。しかし、公債政策を運営する以上は、終始金融緩和基調を堅持していく、これが金融政策のかなめである、かように考えておるのであります。租税をとるにいたしましても、あるいは公債をもって民間資金を吸収するにいたしましても、そのお金をかん詰めにしておくわけではない。それは結局使うのです。ただ、資金が吸収され、あるいは租税として徴収されましてから、使われるまでの間にズレが出てくる。その間のズレをどういうふうにふさいでいくかということが問題なんです。日本銀行とも協力し、あるいはオペレーションにより、あるいは貸し出し政策により、日本銀行を中心にする金融操作が進められることになっております。また、政府におきましても、いままで二千億円でありました大蔵省証券の発行限度を、今回特に五千億円に引き上げまして、そうして金融の情勢によりましては、まず公債のかわりに大蔵省証券を発行する、大蔵省証券を使いまして政府が取得しました金が歳出として使われるわけであります。その金が民間に出回る状況を見まして、これを公債に置きかえていくということも考えておりますので、租税収入の場合も同様でございまするが、今回の財政を運営するにあたりまして、民間金融が圧迫されるということは絶対にありません。また、かりに民間資金が圧迫を受けるというようなことがありといたしますならば、それはこの公債財政効果があらわれてまいりまして、民間活動が活発になってきた時期であります。そのときには、民間資金の新たなる需要が起こるのでありまして、これに対しましては、日本銀行が成長通貨としてそれに相当する通貨を供給する、一向差しつかえないことであります。  それから、減税につきましていろいろのお話がありましたが、今回は所得税六、企業減税四という比率をとったわけであります。所得税減税をなぜもっと大幅にしなかったかというお話でございまするが、現在の経済の状況に顧みるときには、やはり所得の根源である企業をここで回復する、これもまた大事である、そういう考え方でございます。卵を生む鳥をこの際大いに肥育していきたい、かような考えに基づくものであります。(拍手)  なお、所得税は減税が足りない足りないとおっしゃいますが、今回の税制改正によりますると、所得税の納税者は、いままでの二千二百万人から一割減りまして、二千万人になるのであります。また、国民全体の租税負担率も、従来の二二%から二〇%に低減するものでありまして、これこそほんとうの減税である、史上最大の減税の実を備えておるゆえんであることを申し上げます。(拍手)   〔国務大臣三木武夫君登壇〕
  9. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 石炭対策については、多賀谷議員もよく御承知のとおり、現在総合エネルギー調査会において、石炭の位置づけというものをいま急いでおります。それから石炭鉱業審議会において、どのように再建するかという具体的な再建計画を立てておるわけであります。この答申が大体三月ごろまでに出ることを期待しておるわけであります。  石炭鉱業の立て直しは、企業としてきわめて困難な問題でありますから、官庁だけではいけない。民間の衆知も集めて、そうして再建策を立てて、石炭企業が長期に安定してやっていけるような基礎をつくりたい。そうすることが、炭鉱に働いておる労働者に対しても雇用の安定の道である。そうでなければ、保安対策などもなかなか万全を期すことが困難になってくる面ができてくる。そういうことで、この機会に、石炭企業の根本的対策を立てたいと鋭意努力いたしておる次第でございます。(拍手)   〔国務大臣鈴木善幸君登壇〕
  10. 鈴木善幸

    国務大臣(鈴木善幸君) 質問の第一点は、低所得者層に対する社会保障の問題でございますが、物価の値上がりの影響を最も強く受け、また減税の利益に浴さない生活保護世帯あるいは老人世帯、母子世帯、こういうお気の毒な世帯に対しましては、特に政府といたしましても社会福祉の施策を重点的に行なってまいりたいと考えておるわけであります。  その第一は、生活保護基準の改善の問題でございます。今回、昭和四十一年度の予算で生活扶助の基準を一三・五%アップすることにいたしたのでございますが、これによりまして、先ほど多賀谷さんから御指摘がございましたように、社会保障制度審議会が、昭和三十六年度を基準として昭和四十五年度までに実質三倍にこれを引き上げろという答申がございましたが、今回の一三・五%の改善によりまして、名目約二倍、実質一・五二倍と、大体答申の線に沿いましてこの生活保護基準の改善が進められておるわけでございまして、今後もその方向で努力してまいりたいと考えております。  第二は、福祉年金の問題及び国民年金の問題につきましてお触れになったのでありますが、この国民年金につきましては、さきの国会で厚生年金のいわゆる一万円年金が実現いたしましたので、それとの均衡を保持し、また、最近における生活水準の向上等と見合いまして、夫婦一万円年金の実現をはかるべく、今回の国会に御審議を願うことにいたしておるわけであります。多賀谷さんは、二十五年後の給付ではないか、こういうことをおっしゃるわけでございますが、これは、国民の所得保障の制度を、いま私ども政府国民が一体になって育てていく段階であるわけでございますので、私どもは、今後もこの充実を期してまいりたいと考えております。その間におきますところの老人世帯等の保護につきましては、福祉年金制度の充実や、あるいは老人保護世帯に対するところのいろいろな福祉施策、老人ホーム等の拡充整備等をはかりまして、それに備えてまいりたいと考えております。  さらに、国民年金につきまして、現在の積み立て方式をやめて、欧米先進国並みに賦課方式をとったらどうかという御提案がございましたが、わが国におきましては、欧米先進国と違いまして、急速に老齢人口がふえてきております。したがいまして、いま直ちにこの制度をとりますことは、将来の一般国民の負担の過重を来たすのではないかという心配もあるわけでございますが、しかし、今後これを検討してまいるつもりでございます。(拍手)   〔国務大臣中村梅吉君登壇〕
  11. 中村梅吉

    国務大臣(中村梅吉君) お答えいたします。  先ほど私学振興について御指摘がございましたが、この点については総理から原則的な御答弁がありました。所管大臣として一応補足をいたしておきますが、私学振興重要性は、もちろん私どもも十分承知いたしておるところでございます。したがいまして政府は、逐年この私学の振興対策を強化してまいっておりまして、昭和四十一年度の計画といたしましても、昨年に比較しますとかなり大幅に私学振興会に対する助成を行なって、私学振興会を通して私学の振興、助成をいたしておる次第でございますので、四十一年度は、政府出資が十二億、そのほかに財政投融資も昨年の約倍に近い百九十億円を計上いたしまして、その中には、私学が銀行等から高い金利の金を借りて苦しんでおる面もありますから、こういう高利債の借りかえも進めていきたいということで、目下この計上されました範囲内で大蔵省と相談しておる次第でございます。  なお、これはいずれにしましても応急措置でございまして、根本的な私学振興につきましては、私学には私学としてのそれぞれ発達の伝統がありますから、政府だけの考えでこういう援助をするということもいかがかと思います。それぞれ援助のしかたなり協力のしかたなりについては、もっと検討すべき点がありますので、昨年設けられました臨時私学振興方策調査会に諮問をして、目下審議中でございます。この答申がまだ出ないわけでありますが、こういう審議会の調査研究等とも相まちまして、私どもとしましては、私学の振興方策を今後進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。(拍手)   〔国務大臣小平久雄君登壇〕
  12. 小平久雄

    国務大臣(小平久雄君) 最初に、韓国人の労働者の導入の問題でありますが、これにつきましては、総理から御答弁があったとおりでございまして、わが国としては、まだ西欧先進国のように本格的な労働力不足という段階にはもちろん至っておりませんから、韓国から労働者を導入しようというような考えは持っておりません。  それから、第二番目に、一酸化炭素中毒に関する特別立法をしてはどうか、こういうことでございますが、多賀谷君もよく御承知のとおり、他にも類似の問題がありまして、この一酸化炭素中毒についてだけ特別立法をするということは必ずしも適当ではなく、いずれにいたしましても、慎重に検討を要する問題であると思っています。私としましては、現在の労災法を十分活用いたしまして、お気の毒な罹災者の方々にできるだけ予防なり、療養なり、あるいはその他の点につきまして十分処置をいたしてまいりたいと、かように考えております。  それから、第三に、炭鉱労務者に対する特別年金制の創設の問題がお話に出ましたが、この点につきましては、調査団の答申等にも御承知のとおりございますので、労働省、通産省あるいは厚生省、この三者の間において目下検討中でございます。  それから、第四に、退職金中心としました炭鉱労務者の賃金不払いの問題でございますが、実は炭鉱労務者についての不払い賃金が非常に多いということは事実でございます。三十九年の末におきましては約二十億あったのでございますが、しかし、その後逐次減少してまいりまして、昨年の九月におきましては大体四億四千万程度に相なりました。それでも、全産業の不払い賃金が十七億ほどでありますから、約二五%を占めておるということで、まだまだこのようにあることははなはだ残念でございます。労働省としましては、もちろんこれにつきまして十分監督なり指導なりいたしてまいったところでございますが、実は、昨年の末におきましても、石炭合理化事業団等からの交付金のうちおくれておるものも若干あったようでございますので、通産省とも連絡をとりまして、これが交付を急いでいただき、一億数千万の支払いをしていただいた、こういうことでありますので、漸次減少いたしております。引き続いてこれが減少につとめてまいるつもりでございます。  それから、次に、炭鉱労働力の確保の問題でございますが、これはいずれの事業でも同じでございますが、特に炭鉱等につきましては、経営自体の安定化ということが一番大きな問題であろうと思いますし、同時に、それに伴っての労働条件なり、労働環境なりの改善ということをぜひやっていかなければならぬと考えるものであります。労働省といたしましては、すでに離職いたしました炭鉱従業員等もまだ相当滞留いたしておりますので、これらの再就職をはかる、あるいはまた、新規に閉山なりあるいは合理化された山から出るこの離職者を高能率炭鉱に優先的にあっせんするというようなこと、あるいは職業安定機関を活用しまして広域職業のあっせんをする、あるいは事業内の職業訓練等にも援助をいたす、こういういろいろな方法を用いて、炭鉱労働者の確保ということに今後とも引き続いてつとめてまいりたい、かように考えておるわけでございます。(拍手)   〔政府委員北島武雄君登壇〕
  13. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 管理価格の問題についてお答え申し上げます。  商品の中には、生産性の向上が著しいにもかかわらず、価格が硬直いたしまして、下がらないものがあるわけでございます。これがいわゆる管理価格の問題でございます。その原因が那辺にあるかという問題でございます。これにはいろいろな原因もあることと思われますが、もしそれが地下カルテルとか、あるいはまた不公正な取引方法によるものである場合には、独占禁止法上の排除措置の対象となるわけでございます。  公正取引委員会といたしましては、昭和三十八年度以降、まず日本銀行の卸売り物価指数を構成しております商品の内容をしさいに検討いたしまして、そのうち特に硬直性のはなはだしい十二品目につきまして予備的調査を行ない、さらにそのうちの一品目につきまして精密な調査を行なってまいったのであります。昭和四十年度におきましては、陣容が手薄でありますことと、さしあたり当面の処理しなければならない多くの問題を控えておりますので、若干停滞ぎみでありますのが現状でございますが、昭和四十一年度におきましては、幸いに公正取引委員会の機能の強化、定員の充実がはかられますので、この管理価格の調査につきましても力強く推進いたしてまいりまして、もしそれが独占禁止法上の問題になる場合は、これを断固として取り上げる、こういう覚悟でございます。(拍手)     —————————————
  14. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 横山利秋君。   〔横山利秋君登壇〕
  15. 横山利秋

    ○横山利秋君 私は、日本社会党を代表いたしまして、中小企業、農業、労働並びに地方財政の四部門にわたって、総理以下関係各相の所信をただしたいのであります。(拍手)  これらの層には、保守党政治の失敗の結果が今日集中的に露呈されていると思われます。総理は先日、演説で、経済見通しについて、近い将来必ずや栄光に満ちた繁栄の道が約束されるであろうと言われましたが、今日苦しみあえいでいる人々にとって、これほど空虚なことばはないと考えられるのであります。(拍手政府は、いたずらにバラ色の夢を振り回すことによって、その根本的対策を講ずることを逃げているのではあるまいか。いな、むしろ、自由主義経済の原則に立って、強いものが弱いものを圧倒し、大企業中心の産業再編成が行なわれ、中央集権によって地方自治体の弱体化をねらっていることを期待しているのではありますまいか。もしそうでないというなら、以下申し上げる私どもの建設的な提案に勇敢に応じて、率直な御答弁を賜わりたいのであります。  まず中小企業について伺いたい。三十八年の倒産は千七百三十八件、三十九年に至って四千二百十二件、四十年は六千件を突破すること確実であり、一年ごとに倍になっています。しかも御存じのとおり、これは負債額一千万円以上の統計ですから、実際は数倍になるでありましょう。十月にあった印刷会社の社長一家のガス心中事件をはじめ、川口鋼業の社長親子の三人服毒事件、機械部品工場の社長の鉄道自殺事件など、年間を通ずる倒産とその悲劇は、社会問題というより、いまや人権問題に発展をいたしておるのであります。(拍手)  池田元通産大臣は、中小企業の五人や十人と言っただけで首を切られた。あなた方はそうは言いはしない。しかし、事実はそれ以上にばたばたとつぶれているではありませんか。総理はもちろん、通産大臣中小企業庁長官はえりを正して、みずからの責任を考えてもらわなければなりますまい。惰性と慢性化した感覚は、正さるべき責任が追及されず、落差のある政策が実行されず、事態はますます深刻になるばかりであります。  大臣経済演説の中にありましたが、経営者の無能とか放漫とかを云々したり、あるいはその努力のみを要求することは、政府みずからの政治責任を免れるひきょうなことであり、断じて許さるべきではないと考えるのであります。(拍手)  昨年の中小企業白書は、これらの原因を構造的要因から来たのだと断じました。その言やよし。それならば政府は、その構造的要因がなくなるように政策を立て、それを実行しているかどうか。  要因を分析いたしますと、第一に、技術革新についていけない、第二に、労働者が足りない、第三に、開放体制にさらされた、第四に、大企業中小企業分野に進出した第五に、需要の変化が起こった、第六に、下請系列の再編成で倒産した、第七に、流通の仕組みが変わった、第八に、過当競争でつぶれた等、いろいろの原因があげられますが、これらを具体的に問題を掘り下げてみますと、いずれも大企業の独占集中と合理化政策が大なり小なりの影響を与えていることを見のがすわけにはまいりません。  日産とプリンス、住友セメントと野沢、川崎重工と横山工業、丸紅と東通、三井物産と木下、東洋紡と呉羽紡など、大企業の合併、吸収は政府の援助を受けてさらに広がるでありましょうが、必ずそこに、下請や関連企業へのしわ寄せが行なわれ、その実行によって効果を生じさせるのであります。かりに倒産をしても、会社更生法で、関係中小企業の犠牲の上に立ち直ること、また各位御存じのとおりであります。  総理に伺いたいのですが、今国会に政府提案した中小企業向け金融といい、税制といい、構造的要因を解消するための施策は何もないではありませんか。あなたは、これで二重構造の解消や倒産がなくなると幻想にふけっているのではありますまいか。政府中小企業政策は、大企業を援助し、発展させれば、下請や関連産業も潤うであろうという考えらしい。あたかも富士山のてっぺんに大量の砂を投げ込めば、御殿場の辺まで砂がずり落ちるだろうという考えだ。ところがそうはまいりません。富士山のてっぺんには大きな穴がある。大企業が全部のみ込んで、御殿場の中小企業まではおこぼれはないというのが現状であります。(拍手)  私どもはこの際提案をしたい。第一に、今日の中小企業庁は弱体で権限がなく、中小企業要望にこたえていません。中小企業基本法に筋を通し、あなたや大蔵大臣の言う経済各部門の均衡のとれた発展を期する軸となるために、中小企業省を設置すべきである。第二番目に、政府が仕事をふやして不況を克服するという。しかし、政府の仕事がふえて、それをもらうのはほとんど大企業ではないか。この際、国、県、市町村、公団、公庫の予算の一定量を中小企業向け需要に確保する立法をすべきである。第三に、大企業中小企業分野にめちゃくちゃ進出することを防止する産業分野の確保に関する法律を制定すべきである。第四に、政府金融機関の資金を増加しても、市中銀行が中小企業向け貸し出しを減らすという弊害を除去するために、銀行法の改正をすべきである。  三木通産大臣に言いたいのでありますが、あなたはどうも幹のような大企業のことばかり考えて、枝や根っこのこと、すなわち中小企業に太陽を当てないし、水や肥料を十分に当てない。不況の烈風が強くなると、三木自身も倒れることをひとつ腹に入れていただきたいと思うのであります。(拍手)  公取委員長に伺いたいが、先ほどのあなたの御答弁を聞きました。あなた自身も認められたとおり、公取の活動は不十分きわまるという批判が強い。不当な大企業の違反や物価値上げや不公正取引は白昼公然と横行しているではないか。あなた方公取に寄せられている期待は実に大きいのに、大企業は敬遠して中小企業の問題をばかり追い回しているという批判がある。予算と人員不足を理由になさるが、それで仕事ができないということでは理由になりません。現行法のもとにおいても実に多くの問題が山積している。大企業の手形のサイトが驚くべき長期の現状をあなたは知らないはずはない。百貨店への出向社員制度中小企業泣かせとなっていること、長年にわたっているではないか。新聞代が突如として一斉に上がったではないか。通産省はじめ各省が石油、繊維その他かってに一斉操短を指導しているではないか。役所のやることなら差しつかえないとあなたは言うのであるか。今回わずか三十人ぐらいの増員や、出先が一つふえたくらいで安んじておられたのでは、法の所期し、国民期待する公取の責任はつとまらないと私は考える。  きのう、セメントの大手に手入れをされたようであります。この際、勇気を持って、一罰百戒の精神をもって、次々と違反事実を公表し、大企業の横暴を是正させるべきであると思うが、どうでありますか。深刻な経済情勢の中で公正取引が行なわれるためにどうあるべきか、公取の機能はいかに発揮さるべきか、この際、あなたは、周囲に顧慮することなく、所信を披瀝してもらいたいのであります。  次に、私は、具体的事例を二、三あげて、政府中小企業政策の誤りをただし、転換を求めたいのであります。  その第一は、今日の政府中小企業政策が、経済ベースにある大企業に近い優等生の中企業のみに焦点が置かれ、圧倒的な多数の零細企業が、何ら政策の恩恵を受けないという点であります。  第二は、鳴りもの入りの協業化も、団地政策も、行き詰まりを来たし、近代化の指定業種方式も、作業はほとんど進んでおりません。近代化計画で計画が一応できた二十九の指定業種は、総計画額三千百五十七億、政府資金はわずか二三・八%で、あとは自己資金や借り入れでやれというのでありますから、全く実現不可能、絵にかいたぼたもちということができます。  第三は、声をからして組織化しろと言い、協同組合化を奨励する政府が、他方、行政面では、協同組合は責任が乏しいからといって、仕事を出すこと、物を買うことを敬遠しているということは、全く言うこととやることと違うではないか。また、中小企業団体に仕事をまかせようとせず、官僚がなわ張り根性でさいふを握り締め、あげくの果ては、組織の内部介入までするようなことで、中小企業の組織発展とはおこがましいではないか。どんどん仕事をまかせるべきである。  第四に、人手不足で、家族をあげて家業に全員で働いておる個人企業で、専従者控除としては、今回の改正をもってしても、月二万円以上は月給として損金に認めないという。三十歳、四十歳の長男、次男が、営業の実際を担当しておっても、月に二万円以下とは何ごとであるか。零細な個人企業の安定をはかるために、完全給与制を認めるべきではないか。  これらの数々の矛盾は、要するに政府対策中小企業の実態に触れず、根本政策がなく、また真にかゆいところに手が届いていない証拠であります。この際、これらの点について大蔵大臣や通産大臣の反省の弁を率直に述べてもらいたいのであります。(拍手)  次に、農業問題についてお尋ねをしたい。  今日、全国の農家の人々は、農業の将来に大きな不安を抱いています。  その第一の原因は、政府が食糧の自給度向上を農政の目標に掲げず、輸入食糧をふやし、選択的拡大と称して、需要の伸びない作物の生産は減らすというような、農家の希望と目標を見失わせるような農政をとっている点にあります。この結果はどうでありましょうか。最近、わが国の農業生産は明らかな停滞を示しました。昭和三十七年、農林省が公表した農産物の需要と生産の長期見通しは大きく狂い、国民の主食である米の需要は見通し以上に伸びておるのに、生産は減退し、昨年の端境期には深刻な米不足の現象すら引き起こして、国民を驚かせ、政府は八十万トンをこす輸入を行ないました。昭和四十一年度には、輸入食糧百万トンが必要だといわれています。麦類は、いずれも作付面積が見通しよりも二〇%から五〇%も大幅に減少、なたね、レンゲ、トウモロコシ、大豆等の肥料作物も、需要はふえておるのに作付面積の伸びは見通しを下回り、耕種部門の生産はいずれも減退をしたのであります。畜産は伸びているとはいえ、乳牛はすでに頭打ちの傾向が強まり、肉牛は明らかに減産しております。このため農産物の輸入は、ここ三年の間に八億ドルから何と十八億五千万ドルに激増し、本年は二十億ドルをこすでありましょう。輸入総額のうち、農産物輸入が四分の一以上も占めるということは、国民経済全体から見ても看過すべからざることといわなければならない。(拍手わが国の国際収支は、貿易収支は黒字になったとはいうものの、貿易外収支は赤字、さらに広がる傾向にあります。しかも経済成長で鈍り、低金利政策がかりに続けば、短期資本が逃げ出すおそれもあり、国際収支の大問題となるでありましょう。国際収支の面からも農業生産の停滞はきわめて重大な問題であります。また、国民の主食である米が、昭和四十一年度には百万トンもの輸入が必要であるといわれるのに、東南アジア諸国では食糧生産が停滞する一方、人口の増加はなはだしく、食糧の輸出余力が低下するなど、将来、わが国が米を輸入に依存していくことには限度が見られ、国民生活安定の面からも、この問題はゆるがせにできますまい。  政府は、このような国民生活、国際収支、ひいては国民経済全体の立場からも、重大な問題となっている農業出産停滞の責任を真剣に反省しなければなりません。農林大臣は何をしておられるのか。あなたは一体食糧を増産しているのか、減産しているのか。時、おりしも行政管理庁から、農林省のむだ使いを指摘されましたが、この際、胸に手を当てて自分の仕事を問うべきではありませんか。まず、農家の人々の不安を一掃し、農業生産の発展をはかるため、農政の姿勢を根本的に改め、食糧自給度の向上を農政の中心に据えるべきだと考えるが、農林大臣はどうしようというのか、はっきり答弁をお聞きしたいのであります。(拍手)  農家の人々の第二の不安は、政府が選択的拡大の中心に置いている作物にさえも、十分な生産対策をとらないという点であります。その代表的なものは畜産であります。たとえば牛肉の消費は増加しているのに、肉牛の生産は減退している。原因は何でありましょうか。政府が牛、豚、鶏を飼えと奨励しながら、えさの対策が皆無にひとしいという点にあります。国内産の濃厚飼料の供給量はほとんどふえず、輸入飼料が激増しているばかりか、粗飼料の生産もかけ声だけで、その増産は遅々として進まない。昭和三十九年の飼料作付面積は四十八万五千ヘクタールで、百万ヘクタールの目標の半分です。草地造成改良事業による草地面積も、目標の五十万ヘクタールの半ばにも達しておりません。政府は、最近、消費者物価の値上がりを攻撃されると、農産物の値上がりが大きいためだとか、農家の生産合理化されないためだとか、責任を農家に転嫁するような説明をしばしば行ないますが、その責任は全く農家にはなく、このような飼料対策を忘れた政府の畜産政策をはじめ、農業生産対策の怠慢にあると考えるのであります。(拍手)これは肉牛だけではない。養鶏農家もえさの値上がりが最大の悩み、乳牛、養豚の場合も同様であります。  世界各国の場合を見ても、肉類は自分の国の国民の食生活に適した、つまり口に合った肉の生産に努力しており、わが国が肉類を輸入に依存するということは、可能性がわりあい薄いのであります。それならば、真に消費者物価の安定をはかるという立場から考えても、また、農家の所得をふやし、生活を安定させるという立場からも、政府は、国の責任で、大規模な草地造成事業、肥料作物の増産政策を推進し、畜産の基礎づくりを行なうべきだと考えるのでありますが、これを実行する決意があるかいなか、農林大臣にお伺いしたいのであります。(拍手)  農家の第三の不安は、政府が、農村人口は大幅に減らしていくという態度で農業政策を軽視し、他方離農する人々に安定した生活を保障せず、何ら責任ある施策がとられていないという点であります。このため、農業生産は停滞、農業人口は農村から流出、しかし中高年齢層の人々の行き先の多くの職場は、季節出かせぎというきわめて不安定な流出が激増いたしました。そして最近では出かせぎさえ職場がなくなるとか、中小企業の倒産で農村に帰るという人がふえる傾向が出始めました。五年前の農業基本法国会において、われわれが、農民に安定した就業の保障を確立せずに大幅な農村人口の削減を強行することは農民首切りであると指摘したことが、具体的事実となってあらわれてきたのであります。(拍手)  政府は、すみやかに農民首切り政策を撤回すべきであります。そのためには、第一に草地造成をはじめ大規模な農用地造成、あるいは裏作の飼料作化などを国の力で推進し、農業の場で働く分野を広げることであります。第三に、他産業への就職を希望する農民には、安定した就業を保障し、職業訓練や訓練期間中の生活保障まで責任をとるような施策を明らかにして、無責任な離農促進をやめることであります。特に、兼業の機会さえ少ない山村や漁村では、昨年の冷害や災害の打撃まで加わって、生活水準の格差は一そう大きくなりました。このような山村には、国がまず率先して国有労働者雇用安定の模範を示し、国有林野事業で地元の人々の働く場所を広げ、山林全体の有効な活用をはかること、また漁村では、これまでのとる漁業から育てる漁業に改造し、漁場を拡大して漁民の働く場所を広げることなど、農業、林業、漁業の生産の拡大、農民、漁民の働く場所の拡大を国の力で積極的に推し進めるべきだと考えるのでありますが、特に農山漁村の中高年齢層の人々の安定した就業の保障について、大臣所信を承りたいのであります。(拍手)  次に、労働問題について、まず春闘に対する総理の見解を伺いたい。  総理は、一月二十五日の記者会見で、物価と賃金の間に密接な関係があることは見のがせない、春闘さえたいした変化がなければ、物価対策は計画どおりやっていけると述べられた。あたかも、今後の物価動向については、労働者賃金闘争に責任を負わせるかの感があり、きわめて無責任なことばといわなければなりません。(拍手)現在、付加価値に占める人件費率は、労働分配率で見ても、欧米の五〇ないし六〇%に比較して、三二%程度であり、しかも年々この比率が低下していく。このような状態で、賃上げがコストインフレを招来するという議論は成立しないではありませんか。大企業中心とする放漫な設備投資が今日の不況を招いたことは、天下周知の事実ではありませんか。(拍手)いわんや消費者物価は、三十五年から四十年までに三七・六%上昇し、昨年は八%、本年に入ってからは公共料金が先頭を切ってどんどん上がる。一体だれが物価を上げたのか、政府ではありませんか。(拍手)だれが困るのか、労働者ではありませんか。その結果、労働者実質賃金は昨年九月で三・七%も低下している。あなたの時代になって賃金は下がったのです。日本の基幹産業や経済成長率世界水準を抜いておるのに、賃金は欧米よりはるかに低いではありませんか。総理は、景気を上げるために生活を犠牲にしようとしておる。あなたの目には産業や株価は映るけれども、生活と給料袋は目に映らないのではあるまいか。あなたは春闘の真の原因を反省することなく、日経連の主張にのみ耳をかそうとしている。全日本労働者が、総評、全労の区別なく、春闘に立ち上がりつつある。したがって、この春闘は好むと好まざるとにかかわらず、政治的性格を持たざるを得ない。なぜなら政府経済政策が物価を上げ、企業には労働者にしわ寄せをさせる政策を行なっているからであります。  総理は、この政治的責任を深く考えてもらいたい。経済発展の原動力となる働く人々とその家庭についてどう考えていられるのか。物価の値上がりに苦しみ、生活の安定を目ざす春闘への見解をあらためて披瀝されたいのであります。  第二は、当面する雇用問題であります。現在、経営者は高度成長政策が招いた不況を利用して、首切り、下請臨時工社外工などの切り捨て、新規採用の中止、一時帰休など、労務費を減らすためにきゅうきゅうとし、これがため労使の紛争は日を経るに従い大きくなるばかりであります。本年卒業の大学生をはじめ、就職難は非常にきびしくなっています。日経連は日本的レイオフ制を近く決定し、そのために失業保険法の改正を政府に要求するといわれています。申すまでもなく、これは中馬年齢労働者の合理的な首切り制度であり、諸外国の類似のものとは全く異質で、しかも非人間的なものであります。昨年末、雇用審議会は雇用政策に関する答申を出しました。そして、現在の日本労働市場が、中高年齢労働者が余り、若い労働者が足りないといっています。これは大企業中心に、安い賃金で使える学卒者や若い労働者に集中的に人集めをした結果であります。それにもかかわらず、答申も、また労働省の予定している雇用対策法も、この中高年齢の労働者雇用対策についてきわめて不十分であります。そして、人間をあたかも物と同様に移動させればいい、あちらからこちらに移せばいいというようにやられようとしていることは、戦争中の国家総動員法と大差ないことでありまして、きわめて遺憾千万といわなければなりません。(拍手)  これらの不安定就労者を安定せしめるためには、第一に、実効性のある全国一律の最低賃金制を確立することであり、第二に、社会保障制度の抜本的拡充、第三には、住宅施設の拡大が行なわれることが喫緊の前提でなければなりません。労働大臣に、このレイオフ制や雇用問題について明確な答弁を要求いたしたいのであります。  第三は、いま申しました最低賃金制についてでありますが、昭和三十四年に法律が制定されて以来、昨年までには四十万人の労働者が適用されました。しかし、その方法が業者間協定を中心とするものであるために、各産業の初任給水準と大きな格差があり、中小企業では支払い能力が優先しているため、法の目ざす最低生活を保障する役割りを果たしておりません。われわれが当初以来指摘し続けた欠陥は、明白な事実として証明されたのであります。  これは、現行制度そのものに原因するものでありまして、いまや政府自身もそれを認めているところであります。この根本的是正のために、中央最低賃金審議会は、三十八、三十九年と二回にわたる答申をしましたし、大橋、石田両労働大臣も、四十一年中には、全国一律制を含む最低賃金制度確立のために法律案を提案したいと答弁してまいりましたが、労働市場の構造的変化が進展しておる今日、労働大臣は、この約束を実行される気か、またその内容はどういうものであるか、責任をもって答弁されたいのであります。(拍手)  またあわせて、昨年末提出されました臨時家内労働調査会の報告書によって最低工賃規制の見解が出ましたが、これをどうするか、お伺いをいたします。  最後は地方財政について伺います。  民主政治の基盤である地方自治体は危機にあります。普通会計では、三十九年度実質単年度赤字で六十四億、赤字団体の赤字会計は、前年比三七%に当たる百億の増で三百七十二億の赤字、地方公営企業の累積赤字は六百六十億、国民健康保険の赤字団体は三十九年度二千二百二十九団体となり、二百五億の赤字が見込まれています。まさに地方財政は重大な事態に立ち至っておりますが、総理はじめ各閣僚の演説は空虚で根本対策が何ら講じられていないことは、まことに遺憾なことといわなければなりません。(拍手)  地方財政の危機は、戦後二度目のピークを迎えました。前回は昭和二十九年から三十年にかけてでありますが、今回の危機の原因とは無関係ではありません。当時、終戦以来急激に膨張した自治体の事務に対し、根本的な税財源措置を怠り、その場その場の思いつきの財源措置で終始し、特に、後年度に問題を残す地方債の大幅な増額でごまかしてきたのであります。今回もまた、政府不況になると、回復策として公共事業を拡大するのでありますが、その結果増大する地方の負担額に対しても、根本的な考慮を払おうとしません。政府・与党につながる自治体の長や各級の議員もまた陳情政治に身をやつし、かくて地方は中央の下請、出張所と化し、超過負担はしいられ、地方債の償還費は増加し、本来の住民福祉につながる仕事は放棄されざるを得なくなっているのでありまして、かくて財政は中央集権化し、大企業の節度や計画性のない設備投資に自治体が奉仕し、いまや抜き差しならぬ事態が全国津々浦々の地方自治体を襲っているのであります。(拍手)  自治大臣に伺います。あなたはこの地方財政の危機を御存じのはずだ。それにもかかわらず、四十一年度予算編成に際し、何ら過去を反省することなく、また将来を展望することなく、またぞろ過去のわだちを踏んだのはどうしたことでありますか。四十一年度の地方財政不足額を、当初三千三百六十億円以上と見込んでおきながら、ふしぎなことに、大蔵省の圧力に屈しられたのか、わずか二千二百八十億に妥協して圧縮した理由は何であるか、理屈も何もない、地方自治体を無視した身がってな計算がどこから出たのであるか。このようなことを繰り返すから、事態の解決はぼかされる。また、この措置として一般財源の投入一千億の上に千二百八十億の赤字地方債、再建債を押しつけられている。全くの一時解決だ。これでは四十二年度以降再び大幅な財源不足でにっちもさっちもいかなくなること、明白ではないか。一体いつまでこの妥協に妥協を重ねたような状態を繰り返すつもりであるか、この際財政構造の根本に欠陥があることを肝に銘じてもらわなければなりません。言うまでもなく、まず国、地方を通ずる行政事務を再配分し、それに見合う税財源を再配分することが必要であります。今回の予算編成に不信を買った自治大臣は、この地方財政の危機に対処する長期の方針を明らかにする責任がある。国会を通じて、地方自治体に明白に示してもらいたいのであります。(拍手)  なお、国債発行に伴い公共事業の拡大が行なわれるが、必然的に地方負担額が増加する。現在の歳出構造のもとでは、国で公共事業の増額があると、その五割の地方経費が必要であり、社会保障費なら三割、給与改定の場合には国の所要経費に対して、逆に十五割の比率で地方経費が必要となる関係にあるといわれておる。大蔵大臣は、この際、国の負担割合を増額し、あわせて超過負担額の解消をはかる決意があるか、具体案を示してもらいたい。さらに、赤字地方債千二百八十億、地方公営企業再建債二百億の元利償還を今後国庫負担とする考えがなければ、将来への解決にならずと考えるが、所信を承りたいのであります。(拍手)  次に、財源に因って今度固定資産税と都市計画税で百億の増税が提案されている。これは奇怪なことといわなければなりません。三十九年の国会審議の際、院外の各階層のほうはいたる抗議を受けて、自治大臣は次のように言明をされた。すなわち、固定資産税の評価並びに増税については、暫定期間三年の経過後に行なわれる恒久措置においても、暫定措置において講じたとほぼ同様の税額調整を行なうと、明白に言明したではありませんか。それにもかかわらず、いま三年の予定を一年かってに繰り上げて、四十一年から固定資産税を最高三割増税し、七十八億の税収を得ようとしています。国会を軽視するつもりであるか。国民にうそを言ってまかり通ろうというのではありますまいか。自治大臣は、交代したとはいえ、当然過去の経過と約束に責任を持たなければなりません。いかがでありますか。自治大臣には、この間の経緯を明らかにし、約束を履行し、増税を取りやめる説明を承知したいのであります。(拍手)  以上、政府経済政策の失敗が及ぼした四つの層の問題点を摘出いたしました。総理以下、関係閣僚の誠実な答弁を要求いたしまして、私の質問を終わることにいたします。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
  16. 佐藤榮作

    内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。  昨年は中小企業の倒産が非常な件数にのぼったということ、これは御指摘のとおり私もたいへん遺憾に思っておる次第でございます。だから、一日も早く不況を克服して、また、産業の安定成長、それを目ざして進んでいきたい、かように考えておりますが、この点について、構造的な改革について政府の施策が何ら効果がない、かように言われますが、しばらく時間をかしていただけば、必ず政府政策効果があがることがおわかりだと思います。  そうして、ただいま提案として四つばかり提案なさいましたが、社会党にしては珍しく役所がお好きなようで、中小企業省をつくれ、かような提案であります。しかし、申すまでもないことでありますが、中小企業対策は産業行政と一体不可分であります。今日の通産省でこれを所掌することが最も適当だ、かように考えておりますし、また、一省を設けることは、私は考えません。  第二に、官公需の一定割合を必ず中小企業へ出せ、これは確かに効果のあることでありますし、私どももいままで各官庁をしてかような指導をしてまいりました。今後も一そう、この指導が徹底するように、契約手続等も十分周知さすようにいたしたいものだと思います。  次に、産業分野確立、大企業中小企業との間の産業分野確立しろということ、これまたお説のとおりだと思います。私どもも、今日のあり方、今日の法制のもとでもこれはやれることだと思いますので、法律はつくりませんけれども、さような指導をいたすつもりであります。  また、銀行法の改正なども御提案になりましたが、これなども、現在の法制のもとにおきまして、融資の円滑化を一そうはかってまいるつもりであります。  次に、賃金と物価の問題について、私の発言を引用されて批判をせられたのであります。しかし、物価と賃金と関係のあることは、これは横山君も御承知のことだと思います。(「あたりまえのことだ」と呼ぶ者あり)ただいま、あたりまえのことだと言われますが、御承知のように、この賃金が、最近の形の上におきまして、いわゆる賃金の平準化、これが非常に強く叫ばれてまいりました。同時に、このことは所得の平準化とも同じ思想であります。そのために、もうからない事業におきましても、この平準化というところで労働の硬直性を実は生じておる。中小企業や農業等の生産性の低い部門におきましても、賃金だけは高いという、そういうところはやはりこの物価を非常に高めておる原因であります。私どもは、その点で、いわゆる賃金を据え置け、かような暴論は私もいたしません。利益のあがっておる事業で賃金を上げることは、これは適当だと思います。しかし、賃金を上げることのできないような赤字産業、そこにおいて賃金を上げること、いわゆる賃金の平準化という理論だけで賃金を上げることについては反対であります。(拍手)この点を十分考えていただきたい。ただ、この種の問題を、政府自身がそれならばこれに干渉しよう、あるいは関与しよう、こういう考え方ではございません。もちろん、この賃金の問題は、民間にまかしておいてしかるべきものだ、かように現在の状況においては思いますが、しかし、ただいま申し上げますように、もともと物価と賃金と緊密な関係のあることに目を向けるならば、この賃金自身も、いわゆる自由に、また、その力だけで解決すべきものではないと思います。御承知のように、労働者も、また資本家も経営者も、またれわわれも、同じように最終的には消費者であります。その消費者に最終的な生産の利益を分かつということが産業のあり方ではないかと思います。(拍手)したがいまして、この物価そのものの扱い方におきましても、もうかっておる産業においても、賃金利潤だけに分配することなく、最終需要者である一般消費者にその権益を分かつように分配すべきものだ、物価の点を十分気をつけるべきだ、かように思います。(拍手)   〔国務大臣坂田英一君登壇〕
  17. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) お答えいたします。  農産物に対する需要の増大に対して、たいへん減ってきた、食糧の需給と生産の長期見通しに反しておるというような御質問でありますが、政府といたしましては、これらに対して別に政策を変えておるわけでないので、一貫しておるのでございまして、生産性を向上しつつ、その生産の増大につとめておることは、変わってはいないのでございます。特に、最近の畜産及び園芸農産物は、需要の増加に伴い著しい生産の伸びを示しておりますし、米のごときも、戦後十数年間に三割以上、二千万石の年増産を示しておるのであって、この億に近い人口をこの狭い国土で養っておるということは、世界にその比類を見ないのであります。(拍手)ただし、最近の情勢からいきますと、米は、この二、三年の傾向を見ますと、若干反収が微減いたしております。確かに、おっしゃるとおり。それからまた、畜産の伸びも、若干伸びが減っておる。これはおっしゃるとおりでございます。それからまた、肉牛の屠殺が非常にふえて、頭数が減っておる。これもお説のとおりでございます。さような関係でございまするので、われわれとしても、従来の方針をさらに強化いたしまして、いわゆる生産性の向上をはかると同時に、増産にうんと力を入れていきたいということを申し上げることができると思います。(拍手)  それから、二番目には、選択的増大の中心作目である畜産において、飼料作物面積が非常に少ない、しかもそれに対する力の入れ方が非常に悪い、こうおっしゃっておられるのでございます。これは非常に大切な問題で、今度の十カ年長期土地改良計画におきましても、これに非常に力を入れまして、十年間に四十万ヘクタールの改良草地を造成する、こういうことをこの計画の中へ入れて、ただ単に一年でなしに、計画的に大いにこれらの増強をはかろうと、こういうことにかかっておるわけでございまして、しばらくその効果を見ておいていただきたいと思うのでございます。(拍手)  それから、三番目の問題でございますが、景気の後退により、流出した農山漁村の人口が還流しておる、こういう点について、いままでいわゆる小農首切り的なことをやったことが非常に悪いんじゃないかというような御説でございます。これに対しましては、開拓地については過剰農家に対して離農対策を確かに講じてまいりました。これは、戦後たくさんの失業者を、方法はないのであって、どうしても開拓地へ入れざるを得ないという実態があったことは御存じのとおり。そのために、あまりよくないところへたくさん移住させたようなところは、ほんとうに困っておったのは事実であります。これらに対して、私どもは離農対策を徹底的に講じたことは、御存じのとおりでございます。しかし、既存の農村に対しましては、これは抽象的にさようなことをやるべきではないのであって、ある村はもちろんその必要のある村もありましょう。ある村は人口が足らなくて困るというところもありましょう。それは地帯地帯によって非常に違うのでありますから、一がいにそれは言うことができないのでございまして、これらに対しては、そういう離農対策をまだやっていないのです。実は調査をしておるのでございます。(拍手)その点をよく御了承を願いたいと思うのでございます。  それから、現在私どもとしては、いわゆる基盤整備というものは絶対必要であるからどんどんやらなければならぬと思って、十年計画でやっておりまするし、構造改善も必要であります。ただし、構造改善のやり方が間違うとこれはだめなんで、私は、八月以来、やり方がどこに間違いがあるかということを調査させたのであります。近いうちにこれができ上がってまいるのでありますが、いいのは非常によろしゅうございます。でありますから、そういうので、構造改善、それからして農地造成、国有林の活用、それから圃場条件の整備、農林漁業の生産基盤の整備等の事業をどんどん起こしていくことになっておりますることは御了承のとおりでございまして、これによって居村で農村の人々労働に従事するという方向にこれは持っていくべきであると思う。しこうして、それは結局においては生産の増強、そしていわゆる農業の近代化というものを招来するのであり、その工事の施行中においては非常ないわゆる労働の吸収ということに相なるわけでございまして、さような方向に進めていく考えでございます。(拍手)  なお、私どもは、自立経営をできるだけ創設していきたいと思うのでございまするが、兼業農家もなかなかふえるのでございまするので、兼業農家に対しても所得をふやす機会を与えるということはきわめて重要である、こう考えておりまするので、その点についても怠らず進めてまいりたいと考えておるようなわけでございます。(拍手)  なお、農村から離れる人々の職業云々の問題でございますが、これは労働省とも連携をとりまして、十分その中高年齢の農村離農者に対して便宜を与える方向でいっております。特に、四十一年度においては、労働省においては特別の手当を考えることにも相なっておりますし、農林省といたしましても、この連絡をとるために農業委員会等を活用して、連絡をとらすようにつとめておるのでございます。(拍手)   〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
  18. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 中小企業に対する金融につきまして、金融機関の中に貸し出しのワクを法定せよとの議論でございます。もとより中小企業に対しましては金融上格別の配意をしなければならぬし、また、昭和四十一年度予算並びにその財政投融資におきましても十分な配意をしておるのでありまするが、金融機関の貸し出しワクの中に法律をもって何%を中小企業に充てなければならぬというようなことをいたしますると、かえって金融の弾力性に支障がある、さように考えております。しかし、なるべく中小企業にはよけいに回らなければなりません。そういうふうに考えておりますので、行政上そのように努力をいたしたいと存じます。  また、税制上、中小企業者の専従者の制度を廃止いたしまして、完全給与制をとるべしという議論でございまするが、これはかえって税務署と納税者との間に摩擦を生ずるおそれもありまするし、また、扶養同居者でありまする家族に対する性格上の問題もありますので、さような改正はいたしがたい、かように考えております。  また、地方財政の問題につきましては、従来地方財政がやや中央と遊離して考えられておったという傾向なしとしないと私も考えます。私は、中央、地方はこれは一体でなければならぬ、こういうふうに考えまして、今度、昭和四十一年度の予算の編成にあたりましても、まず地方財政先議という方針をとりまして、大体の見当をつけた上、各省の予算の決定に入るという手続をとったくらいでございます。ただ、お話しの今回の起債分やあるいは地方公営企業債、こういうものの元利を国で補給すべしという議論でございまするが、中央と地方との関係はもっと広い角度で総合的に考えていかなければならぬ、かように考えております。総合的な見地に立ちまして、今回は二千二百億の財政並びに金融上の、手当てをいたしておるのでありまするが、それにつきまして、地方自治団体では財源の不足が三千三百億と言ったのが、それでは不足じゃないかというようなお話でございまするが、これは、予算の要求にあたりましては、交渉上のかけ引きのあることは、横山さんもよく御承知かと思うのであります。大体、二千二百億円で、地方団体の財政手当てといたしましては、私は、近来になく、まずまずのところにいっておると、かように考えておる次第でございます。(拍手)   〔国務大臣永山忠則君登壇〕
  19. 永山忠則

    国務大臣(永山忠則君) ただいま大蔵大臣が申しましたとおり、中央、地方の経済の一体という理念のもとに、国税及び地方税の減税並びに国債に対処して、地方財政に赤字なくして景気回復に資することができますように、交付税率の引き上げ並びに臨時地方特例交付金あるいは地方債の拡充強化、あるいは行政の能率化、超過負担の解消、公営企業債の質的な改善と量的の拡充、公営企業財政再建並びに国保の財政確立等によりまして、赤字なくして十分地方行政が行なわれるようにいたした次第でございます。  しかし、お説のように、根本的に地方自治の確立をはかる必要があることは申すまでもございません。したがいまして、今後、事務の再配分、税源の再配分、行政能率の効率化、地方公営企業の健全化、国保財政確立等によりまして、地方財政確立と自治の本質に対して健全化をはかるように、最善の努力をいたしたいと存ずる次第でございます。(拍手)  さらに、固定資産税の、農地関係を除いて、新評価価額による課税の調整を行ないましたことは、これは、地方開発、ことに都市開発が非常に緊要である状態になりまして、さらに三十九年度の暫定処置では新市街地との税負担がいかにも均衡を失しておるのでございます。このときに、国税及び地方税の減税をやるときにあたりまして、税負担の均衡をはかるというような観点から、この激変緩和措置を講じながら、新評価の税制の調整を行なった次第でございます。(拍手)   〔国務大臣三木武夫君登壇〕
  20. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 横山君の私に対しての御質問は中小企業対策であります。  中小企業対策は、結局は、中小企業の設備、技術、経営、これを近代化して、立ちおくれておる生産性を高める以外に中小企業対策はない。したがって、それは構造改善ということである。横山君は、何一つやっていないではないかと言うけれども、これは事実を曲げるものであります。中小企業対策は焦点をここに合わしておる。今年度の予算などにおいても、予算の伸びが一八%の中に、中小企業対策は三七%の伸び、相当に金額は伸びておりまして、むろんこれで十分だと言うのではありませんが、明年度の予算もこういう構造改善というところに焦点が合わせてあることは間違いがないのであります。たとえば、設備の近代化、高度化、これには資金のワクをふやすばかりでなしに、貸し出しの期限の延長であるとか、貸し付けの単価の引き上げであるとか、非常な改善を加えてあるし、また、零細企業のためには、機械類の貸与制度、あるいはまた共同工場の貸与制度、工場を建てて、こちらから貸与する、こういうふうな新しい制度も創設をいたしたのでございます。(拍手)あるいはまた、小売り商のために、ボランタリー・チェーンのようなのも、これは新しいアイデアでございます。さらに、税制の上においては、構造改善のための準備金制度というものを今年度から新しく税制の中に創設をした。また、中小企業金融機関の資金のワクを拡大するばかりでなく、去年の九月に三厘下げた金利を、またもう一ぺん三厘下げて、六厘の金利の引き下げを断行しようということも、こういう金利の負担を軽減して、中小企業構造改善をやって、そして中小企業の経営の基盤を安定してもらいたいという政府の意図が、こういう中小企業対策にあらわれておるのでございます。  したがって、われわれは今後できるだけ構造改善ということに焦点を合わして中小企業対策をいたしますが、統制経済でないのでありますから、あれこれとわれわれがどうこうせよと言うわけにはいかない。中小企業自身も、やはり構造改善をして、近代化して、そして中小企業というものが生産性を高めることが中小企業が立ち直っていく基本である、こういう考え方に徹して、こういう考え方で中小企業者自身もこの意欲の上に立ってくれるならば、政府はこの意欲に十分にこたえていく覚悟があるということを申し上げたいのでございます。(拍手)   〔国務大臣小平久雄君登壇〕
  21. 小平久雄

    国務大臣(小平久雄君) 第一に、不況下の中高年齢者の雇用問題でございますが、労働省としましては、御承知のように現在幾多の雇用促進措置がございますので、当面の策といたしましては、これらの施策を機動的に運用いたしまして対処をいたしていきたい。さらにまた、来年度におきましては、その予算におきまして、職業訓練機関の拡充であるとか、あるいは職業転換のための給付金等、だいぶ拡充あるいは新設等が認められておりますので、これらを十分活用いたしまして対処いたしてまいりたい、かように考えておるのでございます。  なお、長期的な雇用問題につきましては、長期的には、わが国も、御承知のとおり労働力不足、こういう基調にまいろうかと思いますので、それらに対処することもあわせて考えまして、この国会で雇用対策法というものをぜひ提案いたして御審議をいただきたい、こういうことで、目下検討いたしておるのでございます。  なお、レイオフ制についてお話がございましたが、日経連におきましてこれを検討いたしておるということは承知いたしておりますが、まだ結論にも至っておらぬようでございまして、今日の段階におきまして、これに対する私の所見を申し述べますことは、ひとつ差し控えさしていただきたい、かように思うわけでございます。  それから、最低賃金でございますが、全国一律の最低賃金制はどうか、こういう御質問でございますが、最低賃金制につきましては、御承知のとおり、これも全国一律にやるべきだという御説もございますし、あるいは産業別、職業別にやるべきだという御説もございますしいたしますので、そういう点も含めまして、基本的に、例の中央最低賃金審議会において御審議をいただこう、こういうことで、私は、就任早々でございましたが、昨年八月に、審議会のほうに目下御検討をお願いいたしておるわけでございます。当面のこととしましては、やはり審議会の答申の線に沿いまして、この四十一年度末までは現行制度のもとに、特に重要な業種について、大体五百万人を目標として、また審議会の答申にある目安の額を目標とするこの適用をぜひいたしたい、こういうことで、目下これが推進に当たっておるのでございます。なお、前任者から、四十一年度から新しい方法をというお話があったということでございますが、前任者におかれて、そういう方向で努力いたしたい、こういう御説明は申し上げたようでございますが、ただいま申しますとおりの事情でございますので、私としましては、当面は現行制度のもとにこれが普及をはかり、なお、中央最低賃金審議会から答申が得られますならば、できるだけすみやかにこれをおはかりいたしたい、かように考えておるのでございます。  それから、臨時家内労働調査会から、今後の家内労働対策の進め方に関する見解というものを、御承知のとおり昨年末ちょうだいいたしました。この中で、最低工賃を決定すべきであるということ、あるいは標準工賃制度を推進すべきである、こういった趣旨の見解もお示しをいただいておりますので、私といたしましては、この見解を尊重して、また、この線に沿うて積極的に今後努力いたしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。(拍手)   〔政府委員北島武雄君登壇〕
  22. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) ただいま公正取引委員会の活動は不十分きわまるではないか、独占禁止法違反事件の追及についても、大企業を避けて、中小企業ばかり追いかけているではないか、あるいはまた、不当な大企業の圧迫に対して、中小企業を不公正な取引から守るためにはどうしたらいいか、公正取引委員会の機能発揮のためにどうしたらいいか、所信を明らかにせよ、こういう御質問でございまして、全体といたしまして、私に対する非常に御好意ある御鞭撻と拝承いたした次第であります。  最近の経済情勢を反映いたしまして、あるいは物価対策、あるいは中小企業対策、あるいはまた、消費者保護対策の見地から、公正取引委員会に対する御期待が各分野において高まってまいっておるようでございまして、私どもその責任の重大であることを痛感いたしておるものでございます。従来、公取は、与えられた機構、人員のもとにおきまして、及ばずながらできる範囲の努力をいたしてまいったのでありますが、ただいま御指摘のように、独禁法違反についても、中小企業ばかり追い回しているということは絶対にございません。横山委員も先ほどお話しございましたように、昨日はさる大企業についての審査を、また、本日はさらに他の業種目についての審査をいたしております。中小企業に対しましては、公正取引委員会といたしましては、下請代金支払遅延等防止法の運用を今後一そう強化いたしまして、その他、大企業中小企業者に対して有しまする経済的優越的地位の乱用による不公正な取引方法につきまして、厳にこれが排除の措置をとりたいと考えておるものであります。  公正取引委員会は、そのなすべき仕事の量あるいは質からまいりまして、従来、機構、経費がこれに伴わないきらいがあったのでございますが、昭和四十一年度予算におきましては、物価対策中小企業対策における公正取引委員会の役割りが高く認められまして、十分とは決して申せませんけれども、従来かつてその例を見ないほどの強化がはかられることになっております。公正取引委員会といたしましては、この定員、経費を最も効率的に使用いたしますとともに、あるいはまた、職場環境の改善につとめまして、職員の士気の高揚をはかり、及ばずながら公正取引委員会に課せられましたところの使命を十分に遂行いたしたいと考えておるものでございます。何ぶんよろしく御指導をお願いいたします。(拍手)     —————————————
  23. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 西村榮一君。   〔西村榮一君登壇〕
  24. 西村榮一

    ○西村榮一君 私は、民主社会党を代表いたしまして、現下重要と思われまする次の三点についてお尋ねいたします。  その第一は、物価と不況克服の問題であります。第二は、ベトナム戦争和平工作アジア全体の平和確立の問題であります。第三は、日米関係は、戦後すでに二十年を経過いたしまして、新しき段階を迎えました。これにいかに対処するのか。さらに迫りくる日米安全保障条約改定について、政府はいかなる方針をお持ちになっておられるか。以上三点について、佐藤内閣総理大臣にお尋ねいたしたいと存じます。(拍手)   〔議長退席、副議長着席〕  まず、私がお尋ねしたい財政経済の問題でございますが、その第一は物価問題についてでございます。  私は、ことばじりをとらえるわけではございませんが、去る二十五日の記者会見で、佐藤総理は、物価問題の質問に答えられて、自動車、テレビ等の電気器具は値下がりしておると言われたのであります。私は、物価に関する材料の選び方が、およそ、われわれ庶民の感覚と違うことをその際発見いたしました。今日の物価を論ずるにあたりまして、第一に影響いたしますものは台所であります。第二は公共料金であります。第三は教育費であります。総理府統計によりましても、過去一年間に最も値上がりが激しかったものは、肉と野菜と魚と穀物でございます。いずれも生活必需品でございます。その上昇率は、少ないもので一三%、多いもので二五%余に達しておるのでありまして、これは内閣統計局の発表でございます。これが国民の大多数を占める月収三方、四万から七万円、八万円前後の家庭に響く今日の物価高の影響でございます。しかも、この物価上昇はなおとどまるところを知らずして、四十一年度におきましても、加速度的に値上がりして、庶民生活に一そう深刻な打撃を与えんといたしておるのであります。したがって、物価問題はいまや単なる経済政策上の課題でなくして、社会問題であります。したがって、重大な政治問題でありまして、しかも不況下の現状において、大多数の企業は、物価高に即応するだけの賃金引き上げを実施する能力があるかどうか。そこで、今日の問題は、物価高、家計の膨張、賃金引き上げ、企業利潤の悪化という矛盾をどう調整するか、換言すれば、物価高と不況の同時解決をいかにして達成するかが、現下最大の政治の課題であると存じます。(拍手)  この見地から、明年度予算案を検討いたしますときに、物価対策は全く軽視されておるのであります。その一例をあげますれば、直接対策費は、わずかに生鮮食料対策費六億三千万円、その他間接費一切を加えましても、統計でたった百五十七億円でございます。昨年、政府は、旧地主の報償のために千四百五十六億円をぽんと気前よく投げ出したこと等、対照にして考えますときに、物価対策にいかに誠意がないかということが、この数字が立証いたしておるのであります。(拍手)  私は、この際、物価問題を単に経済発展のひずみに対するアフターケアとしてではなくして、政府に課せられた重要な政治課題だという自覚に立って、これの抑制のために全力を傾注すべきであると考えます。この見地から、私は、政府にお尋ねするのは、この際、英断を持って公共料金の値上げを抑制すること、生鮮食料品関係における冷凍倉庫等保管施設の完備など、流通機構の一大刷新を予算的裏づけをもって大胆に実行し、もって国民経済的、精神的苦悩を一掃すべきだと存じます。(拍手)  私どもは、かかる問題を法律的に義務づけるために、去る昭和三十九年一月、第四十六通常国会に、消費者基本法という法律を提案いたしました。どういう事情か、詳しいことを申し述べることは遠慮いたしますが、この消費者を保護する法律は、満二カ年間審議がたな上げになっておるのであります。しかるところ、社会党も、最近消費者保護のための何らかの法的措置の必要なことについては、佐々木委員長が京都談話で賛成の方向を打ち出されました。私は、この際、自民党も本法案の審議に入ることに御賛成を願い、三党共同して消費者保護のために立法措置を講ずべきであると考えるのでございます。近世の政治にとって、消費者保護がきわめて重要な比重を占めつつある現実をよく認識され、佐藤総理も、これが実現のために御協力を願いたいと存じますが、総理大臣の御見解はいかがでございますか。(拍手)  第二の問題は、今回政府財政政策の一大特色である公債政策についてであります。  私は、結論的に申しまして、公債政策の効用を頭から否定するものではありません。しかしながら、公債対策を採用するにあたって、その前提となる条件は二つございます。第一は、その借金政策が、長期経済計画の裏づけをもって有効かつ建設的に実行されることであります。第二は、一般行政費のむだ使いを極力排除することの二点であります。しかるに、このたびの政府公債政策は、以上二つの条件を完全に欠いております。  いまや、政府財政政策の計画性を立証すべき長期経済計画は、さきの中期経済計画の御破算によってその根拠を失っております。このことにつきましては、すでに先ほど多賀谷真稔君から質問がありましたから、私は省略いたします。  第二の行政費節約につきましては、臨時行政調査会の答申を全く無視し、逆に行政機構の膨張を来たすに至りましたことは、はなはだ遺憾だと申し上げざるを得ません。(拍手)この点につきまして、私は昨年の二月四日、予算委員会において次のごとく佐藤総理に質問し、かつ提案いたしたのであります。「三十九年度当初予算三兆二千五百五十四億円のうちで、人件費を除いて残余のもの二兆八千四百八十億円、これを行政整理を断行して二割節約すれば、それによって五千六百九十六億円が浮いてまいります。幸いにして臨時行政調査会が答申しておるのでありますから、この機会にこれを断行してはいかがです。」という私の質問に対し、総理大臣は次のごとくお答えになっております。「政府自身はこれと真剣に取り組む態度をとっており、しばらく時間をかしていただきたい。今日までおくれていたことはまことに申しわけありません。政府は、つつしんで反省してまいります。なお、部局の統合廃止等につきましては、政府は責任を持って処理いたします。」と、かように答弁されたのであります。  しかるに、総理大臣のこの発言は、今日完全にほごにされております。しかも、深刻なる不況から租税収入の一大減少を来たした今日、昭和四十年度の予算案よりも、四十一年度の予算案のほうが、行政機構の改革を断行して、冗費を節約することが切実に要求されておるのにかかわらず、しかも佐藤総理みずからその必要性を認めていながら、何がゆえにこれを本年断行されなかったのでありますか。(拍手)それは誠意がないのか、勇気が足らないのか、いずれかの一つであると私は存じます。私は、政府みずからが冗費節約に真剣な努力を示さず、いたずらに財源不足、膨張予算のしわ寄せとして建設公債に名をかりる七千三百億円という膨大な穴埋め公債発行することは、無責任もはなはだしいと申さねばなりません。(拍手)  私は、以上の見地から、佐藤総理に対し、すみやかにかくのごとき放漫にして無責任なる公債発行を改め、公債発行の前提条件である行政費の大幅削減、経済の二重構造是正と安定成長のための長期経済計画確立、並びに公債発行の歯どめ策としての金融秩序の正常化にまず当面の努力を傾注するよう提案いたしたいのでありますが、総理大臣の御所見はいかがでございますか。(拍手)  次に、私は外交問題についてお尋ねいたします。  その第一は、今日のアジアの混迷に対処する日本外交の基本路線についてであります。  現在、米、中、ソ、仏等、世界政治の多頭化と、それら大国によるアジアでの指導権争いの激化がそれであります。かかる現実に直面し、日本はいかなる方策をもってベトナム戦争の和平解決と、アジアの平和を確保せんとするか、その方策について総理大臣に承りたいと存ずるのであります。  従来この問題について傍観者的態度をとっておられた佐藤外交が、平和解決のために積極的に歩み出されたことは、まことに喜びにたえません。しかしながら、その平和外交の第一歩がソ連に対する働きかけでありました。しかし、結果としては明らかに失敗であったのであります。ソ連は、日本提案に対して、にべもなく一蹴いたしました。  私は、その失敗の原因を三つあげることができます。第一は、ソ連と北ベトナムとの関係を無視して、アメリカの伝言、すなわち、メッセンジャーボーイにすぎなかったということであります。第二は、ソ連の東南アジアに対する将来への政治的方策を読み取ることができなかった。すなわち、米中両国と対決して、東南アジアに対する政治的並びに経済的影響を拡大せんとするソ連のこの腹を十分読んでいなかったということが第二の理由であります。第三には、日本が平和解決への自主的判断に基づく具体策を持っていなかったということが最大な原因であります。(拍手)  そこで私は、この際、ベトナム和平工作に対して、日本は独自の解決策を持って具体的行動を展開すべきであると考えております。それはベトナム問題の解決策としては、すでにアメリカは十四項目を提案いたしました。また、北ベトナムは四項目を提案いたしました。そこで問題解決の要点は、この十四項目と四項目との食い違いを調整するための会談に、アメリカ側と北ベトナム側をいかなる方法で出席せしむるかということが解決の要点であります。私は、このあっせん役は国連をしてなさしめるべきだと思うのであります。国連をしてその行動に出でしむる推進役はだれかと申しまするならば、それはアジア・アラブの新興独立国家にして、平和共存政策をとる諸国であります。私は、これらの諸国から信頼され、かつ指導的立場にあるところの政治家と提携し、これら諸国の努力によって国連の行動化を促すべしと言うのであります。  その主張の根拠は、第一に、これらの諸国は民族主義者であります。第二には、核兵器保有の大国の権力主義から世界の平和を守らんとする熱意と意思と情熱とを持っておるのであります。現に、ウ・タント国連事務局長は、去る一月二十日、ベトナム戦争は民族運動であるのであって、その意味において、ベトコンの存在を認めよと主張いたしておるのであります。アジア・アラブの新興独立国の代表と、ウ・タント国連事務総長との結びつきにより、国連活動を促すべきであります。  国連活動の第一着手は、ジュネーブ会議の開催であります。ジュネーブ会議は、申すまでもなく、ソ連、イギリスを共同議長団として、監視委貧国にインド、カナダ、ポーランド、それに新たに日本フランス、並びに新興独立国の代表が加わる。これだけの順序を踏まなければ、ベトコンも北ベトナムも、その民族解放闘争という政治スローガンのたてまえからいっても、メンツからいっても、会議に出席することは困難であります。  しかるに何ぞや、時勢は大国の権力外交から各国の多頭化時代、すなわち、国際世論の外交に移りつつある世の変化を認識せず、いきなりソ連へ飛んでいって、ベトナムの和平工作に対して努力を要請したが、けんもほろろに拒絶されたということは、日本外交の不見識もはなはだしきものといわざるを得ません。(拍手)  さらに昨日、松井国連大使に、日本国政府は、国連安全保障理事会において、アメリカ提案する決議案に対し、賛成し支持するよう訓令を発したといわれるのであります。先ほどの多賀谷君の質問に対して、総理はこれを肯定されました。私は、これを承って、日本国政府の常識と外交センスを疑うのであります。アメリカ提案する決議案の内容が十分わからない。かつ、その提案する決議案が理事会において採択されるやいなやもわからないのに、何がゆえに、これに無条件に賛成しなければならないというのでありますか。  さらに第二の問題は、ソ連の動向もさることながら、和平工作の将来を考えてみる場合には、非同盟諸国並びに国際世論の支持を得るの内容をその決議案が持っておらねばなりません。  第三に重要なことは、議長たるものは、その会議をまとめて最大公約数の結論を出すことであります。そのまとめ役たる議長の職を忘れ、初めからアメリカ決議案に無条件に賛成するという態度は、アメリカの代弁者としての任務であって、議長としての職責を初めから放棄したものといわねばなりません。(拍手)  かくのごとき態度で、一体国連加盟諸国の信頼性を日本は得られるのであるか。日本外交の無思慮、かつ卑屈、国民の一員としてふんまんにたえざるものがあります。かくのごとき低劣なる政治感覚をもって、激動していく国際情勢に日本外交がいかに対処し、国家の運命をささえんとするのでありましょうか。外交とは、とぼけることや、漫談をして外国を歩いてくることではありません。眼光紙背に徹する観察力をもって、千変万化を生ずる情勢を的確に把握し、もってみずからの政治目的を達することであります。佐藤内閣外交政策の中に、これだけの洞察力と先見性と柔軟性が存在するやいなや、私は佐藤総理の深き反省を促さざるを得ません。  私は、この新興独立国のいかなる国と、そしていかなる政治家と交渉すべきであるかということは、公開の席上、今日その特定国家の名をあげることを差し控えます。しかし、外交機能をこの点に集約し、触覚を鋭くこれらの諸国に眼を注げば、おのずとその適任者は存在いたしておるのであります。その指導者は、アジアの工業先進国としての日本の働きかけを待っておるはずであります。私は、国際外交の性質上、これ以上申し上げることは差し控えます。  ベトナム問題の解決について、私はほんの一例を申し上げたにすぎません。したがって、それは成功する場合もあるし、志に反する場合もありますし、解決が長引く場合もあります。しかし、私がここに佐藤総理に切に提案することは、可能不可能にかかわらず、日本アジアの一員として、ベトナムの和平にこん身の努力を傾注してもらいたいということであります。(拍手)  古来、大きな戦いは誤解と誤算から生ずる危険性がきわめて多いのであります。今日、なるほどベトナム問題を中心として、米中両国の正面衝突による第三次世界大戦の危険率は少ないでありましょう。しかしながら、誤解と誤算から多くの悲惨事を発生したという歴史の教訓をこの際想起いたしまするならば、その危険を防止するためにも、絶えず和平工作は続けておらねばなりません。この意味において、佐藤総理自身、可能な限り関係諸国を歴訪し、ベトナム紛争の平和的解決に対し、わが国の誠意と情熱を行動をもって示し、国際世論の支持を得るよう御努力を願いたい。一昨日、不幸にして北爆は再開されましたけれども、なお一そうの誠意と情熱を込めて、アメリカに対し北爆の停止と、北ベトナム並びにベトコンに対してゲリラ活動の停止を要請するとともに、世界平和と核兵器禁止、軍縮の達成に健闘すべきであると考えるのでありますが、総理大臣の御所見はいかがでありますか。(拍手)  次に、ベトナムの平和工作のみならず、今日アジアの平和と繁栄にとって至大な関係のあるものは、中国に次いでインドネシアでございます。インドネシアが将来共産主義の立場をとるか、国家主義の立場をとるか、それはインドネシア国民自身が決定されることであります。しかしながら、アジアの平和と安全のためには、インドネシアをして平和共存路線をとってもらいたいということは、日本朝野をあげての念願でございます。したがって、同国がかような外交方針をとるならば、当然平和共存経済というものが存在するはずであります。この意味において、平和共存路線すなわち平和共存経済というたてまえにおいて、同国のインフレーションの解決経済自立体制の確立、さらに国民生活の安定と向上に対して、日本は一そう協力すべきと考えるのであります。(拍手)  これは単にインドネシアだけの問題ではありません。アジア・アラブの諸国は、政治的独立とともに経済自立体制の確立のために、今日必死の努力と苦闘を続けておるのであります。これに対して、日本は、技術、経済の両面にわたって協力することは当然の責任であり、これこそアジアに対する平和外交、共存外交の実践にほかなりません。これら諸国に対する経済援助費は、国連の決定により、国民所得の一%といたしまするならば、昭和四十一年度国民所得見込み額から推定いたしますれば、約二千五百億円でありますが、現実には、その三分の一にも足らないのであります。しかも、その三分の二が民間による投資なのであります。  私は、この国民所得の一%に当たる二千五百億円の経済援助は、決して日本国民の税金のむだ使いにはならないと確信いたします。これによって、日本の信頼性をかちえ、国際的地位を高めるのみならず、お互いに協力し、助け合い、平和と共存共栄のために、アジア経済共同体結成への足がかりとなり、アジア日本としての使命を果たすゆえんなりと確信いたしておるのでありますが、内閣総理大臣の御見解を承りたい。(拍手)  最後に、私は、日米関係についてお尋ねいたします。  戦後二十年、平和条約発効十数年にして、わが国もようやく独立国としての自信と体制を確立いたしました。この際、日米関係を再検討するの段階に達したと私は考えますし、また、米国の良識、同様でありましょう。そこで、日米間には、経済外交、その他幾多の再検討しなければならないことがありますが、私は、時間の制約上、日米安全保障条約改定の問題に論点を集約いたします。  結論から申しますと、私は、日米安保条約は改定すべきだと思います。その改定の理由の第一は、新しき国際情勢の変化に即応すべきであるということ。第二には、それがためには常時駐留の現体制を廃止し、有事駐留とするの二点に尽きます。  私が日米安全保障条約を改定すべきであると主張いたしまする根本義は、第一に、この条約が締結されたのが一九五二年でありまして、今日の世界情勢は一変しております。すなわち、当時は核兵器は米ソ両国しか所有いたしておりません。その軍事力を背景として世界制覇に向かっての冷戦は、深刻かつ激烈をきわめておりました。それが今日、平和共存路線によって、米ソ戦争を避けるべく、両国は必死の努力を傾注しておるのであります。  第二は、この十数年にして兵器は異常な進歩と変革を来たしました。空軍機動力におきましても、潜水機動力におきましても、ロケット兵器におきましても、一大変革を来たしたのであります。この兵器の進歩発達による変革は、当然アメリカの極東戦略の一大変革となってあらわれてきたのであります。  したがって、国際情勢とアメリカの極東戦略の変革は、必然的に日米安全保障条約の政治的、軍事的目的がその根底において変革されたと断言して差しつかえございません。  かくのごとく、安保条約の基礎的条件が変革された上からは、アメリカ国防省の一部に、あるいはその他に、日本に基地を確保し、兵員の常駐を主張する面があるといたしましても、日米両国の親善友好とアジアの平和と、さらに重要なことは、独立国日本の権威と尊厳の立場に立って改定すべきであると私は考えます。(拍手)  戦後、日米間に三つの段階がありました。第一は占領時代、第二は経済的段階、第三は政治的段階、すなわち現段階であります。この現段階において、アメリカの友好国としての日本のとるべき態度は、アジアの平和と安全、そしてその経済的安定について、日本はあらゆる努力を傾注し、もってアジア世界の平和に貢献することであります。さらに独立国日本において、治外法権的な敗戦の遺物である外国軍隊の駐とんを禁止する。これ、独立国のプライドであり、見識であると存ずるのであります。(拍手)  さらに私は、このことに関し、現内閣の明確なる方針を求めますことは、単にこのことは日米間の問題にあらずして、これは日本の思想的、政治的問題であるからであります。したがって、一九七〇年に予想される安保改定の政治的混乱と動揺を避け、国論を統一し、海外からの思想侵略を断固として排除し、日本国民の意思と政治方針を統一し、もって日本民族の決意と責任感を国家内外に示すべきであると存ずるのであります。(拍手)この意味においても、安保条約を改定し、みずからの国家の安全保障に対する一定の方針国民に提示する必要ありと私は確信いたします。  総理大臣の率直なる御答弁を求めまして、私の質問を終わります。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
  25. 佐藤榮作

    内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。  最初、物価並びに不況の克服についてお話がございました。いまや、これが経済問題にあらずして、社会問題であり、政治問題である、かような表現をされております。しかし、何といっても経済問題であることには間違いはございません。その意味におきまして、経済的観点に立っての私どもが施策をいろいろやり、政治問題として、また社会問題としてこれが解決を見たい、かように思って真剣に取り組んでおる次第でございます。  具体的に提案なさいました、公共料金を一時ストップするとか、あるいは流通機構に格段の——冷蔵庫等をつくれ、こういうようなお話でありますが、今日まで、公共料金等の処置につきましては、公共企業のあり方につきまして、財政投融資等でめんどうを見てまいりましたが、しかし、これにもおのずから限度があります。今日は、やはり企業の立場に立ちまして、合理的経営が必要だ、かような意味から、やむを得ず料金の改定をいたすのでありまして、せっかくの御提案でありますが、公共料金の改定はぜひともいたしたい、かように考えております。  また、今回はその処置をとりましたが、しかし、公共料金の国民生活に与える影響を十分考えなければならないのでありますので、合理化を一そう進め、その他の施策によりまして、その値幅もできるだけこれを小幅にとどめるようにいたしたいし、また、消費者物価につきましては、流通機構の改善などについても格段の留意をはかっていくつもりでございます。  次に、公債発行問題についてお答えいたします。公債発行のためには準備が必要だ、その準備が不足の状態ではないか、かような御指摘がございました。私どもも、その基礎条件を整備することは必要だろう、かように思いまして、行政費の節減については、特に今回の予算編成で留意をいたしたつもりでございます。公社、公団を一切つくらないということをきめましたり、あるいは局を新設する場合には、どこかの局をつぶして、そうして新しいものをつくれとか、新規増員を極力抑えましたのも、この趣旨に沿うものであります。  二重構造解消の方策といたしまして、農業や中小企業にいろいろの施策をとっておりますことは御承知のとおりだと思います。しばらく、これらの政策効果をあげるように御協力を願いたいと思います。また、この点についていろいろ示唆に富んだ御提案をいただきました。私は、これらについて心から御礼を申し上げます。  しかし、ただいま申し上げるように、長期財政計画を立てろ、こういうようなお話も臨時行政調査会の答申にはあります。この臨調の答申の長期財政計画、財政制度と申しますものは、今日の予算そのものが単年度の予算だ、こういう意味で、これを翌年にもまたがるようなものを考えるべきではないかというようなことでありますので、行政制度の簡素化と同時に、あわせてこれらの点にもくふうをいたしていきたい、かように思います。  次に、外交の問題について、いろいろベトナム問題でおしかりやら、あるいはまた鞭撻やらを受けました。厚く御礼を申し上げます。  さきにモスクワに参りましたことについて、準備不足で出かけたので、失敗するのがあたりまえだと、かようにおしかりを受けましたが、同時にまた、成功するか成功しないか、それはまた別だ、可能か不可能かは別だが、一そう平和に対しての努力をしろ、かようにも私を鞭撻されたのであります。私は、ソ連に出かけたことは十分効果を達しなかった、かように言われますが、しかし、ソ連側の理解、ベトナム問題に対してわが国が持っておる関心度、それらについても十分に理解してくれたと思いますし、こういう事柄が、将来の平和解決へ全体の協力を得るゆえんでもある、必ずしも失敗だと、かように言ってこれを非難しないで、やはり、これをねらってやりましたその効果というものは、直ちに効果は出てこなくても、そういう意味で、わが国に対する理解が深まった、かように私は思うのであります。(拍手)  今日の基本態度についてでございますが、これはしばしば私が申し述べましたとおり、わが国の平和外交、またアジア対策、この基本的な方針については重ねて申し上げませんが、十分御理解をいただけることだと思います。平和に徹するわが国態度は、十分御理解がいただけることだと思います。  また、ベトナムの問題は、ただいま安保理事会で取り上げられていろいろ協議されておりますし、わが国は理事国でもありますので、これが円満なる解決といいますか、結論を得ることを心から望んで、そういう意味で、あらゆる議長としての職責を全うしていくつもりでございます。  先ほど、米一辺倒だというような御非難がございましたが、必ずしもそうではない。これから先にいろいろ交渉を持ちますから、安保理事会の進行の模様で、私どもの指示したこともよくわかってくるのではないかと思います。その中に、西村君がお話しになりましたごとく、外交は先見性と同時に、議長国としては、柔軟性のある態度をもってこの交渉に当たらなければならないという、この点は私どもも十分気をつけてまいるつもりでございます。さような意味において、この御指示は、たいへん参考になる次第であります。  また、私は、あらゆる場合に誤解や誤算を防いでまいりまして、今後とも、北爆は始まりましたが、和平工作がこれによって閉ざされたものではないのでありますから、あらゆる可能な努力、和平工作への努力をいたすつもりでございます。  御提案になりましたゲリラ行動の停止、またアメリカに対しては北爆の停止を提案なさいましたが、これなどは、この安保理事会の経過によりまして、どういうような問題に発展しますか、十分留意していただきたいと思います。  また、核兵器の不使用や軍縮提案等につきましても、今後わが国の当然つとめるべき方向だと思いますので、そういう意味において、あらゆる意味においての努力を続けていくつもりであります。  インドネシアの問題に触れられまして、いわゆる経済危機を救うように、こういうことでありますが、この点については、施政演説でも触れたのでございますから、御了承がいただけるかと思います。  以上の諸点につきましてお答え申し上げます。(「安保はどうした」と呼ぶ者あり)  安保体制については、これはすでにお答えをいたしましたように、ただいまこれを改正する考えはございませんけれども、まだ今後の国際情勢の変化なども十分勘案するだけの時間的余裕がありますので、慎重に取り組んでまいりたい、かように思います。(拍手)     —————————————
  26. 園田直

    ○副議長(園田直君) 林百郎君。   〔林百郎君登壇〕
  27. 林百郎

    ○林百郎君 私は、日本共産党を代表して、主として佐藤総理に質問をいたします。  総理は、施政方針演説で、ジョンソン米大統領の特使ハンフリー、ハリマン両氏と会い、アメリカがベトナムの平和を真剣に求めていることを確かめることができたと言明しました。ところが、総理がこのような言明をしてからわずか三日後の一昨日、アメリカ政府は、ベトナム民主共和国に対する大規模な爆撃を再開しました。この北爆再開がベトナム侵略戦争の一そう大規模な拡大に道を開くものであることは明らかであります。総理は、これがアメリカが真剣に平和を求めていた証拠だと思いますか。現に、アメリカ政府は、昨年末から平和提案なるものを鳴りもの入りで宣伝しながら、一方では朝鮮戦争を上回る百二十七億ドルのベトナム戦費の追加予算を組みました。そして第二次大戦後最大の地上軍の増強を計画し、ダナン、カムラン湾などには永久的な軍事基地を建設しました。さらに、タイには今日第七艦隊用の一大軍港を建設しつつあります。これは、インドシナ全域へ侵略の火の手を広げ、一そう戦争を拡大しようとしている証拠であります。しかも、これはアジア大陸での全面戦争につながることは、アメリカ上院のマンスフィールド報告さえ認めているところであります。これが彼らの平和提案なるものの内容であります。それが戦争拡大の大陰謀であり、大ぺてんであったことは、いまや明々白々ではありませんか。総理は、この明白な事実を前にして、なおかつアメリカは平和を真剣に求めていると言い続けるつもりでありますかどうか。同時に、日本政府はこのアメリカの北爆に対して今日いかなる態度をとるつもりでありますか。これは総理の百万言の平和のおしゃべりよりも最も端的にあなたの本心を明らかにするものであります。あいまいなことは許されません。この壇上から国民の前にはっきりとした答弁をされることを要求します。  なお、この点については、本日総理は参議院本会議で北爆が遺憾であると答弁をした。しかし、政府は、去る三十一日の記者会見では、アメリカの不法な平和提案を受け入れないベトナム民主共和国とベトナム人民の態度こそ遺憾であると言明しておる。ここで聞いておきますが、政府の言う遺憾とは、アメリカの北爆が遺憾だというのか、ベトナム人民の態度が遺憾だというのか、この点をはっきり答弁しておいてもらいたい。  ここでついでに質問しておきたい。さきに来日したハンフリー副大統領がアメリカに帰国してどういう報告をしていますか。あなたはそれを十分承知のはずであります。ハンフリー氏は、ベトナムに対する日本軍事援助については同意を得られる見通しを得た、その結果、確認の覚え書きが取りかわされることになると言明しています。しかるに、政府は、もっぱらベトナムの平和についてだけ話し合ったと言明しております。政府の言明が事実なのか、ハンフリーの報告がほんとなのか、これは重大でありますから、ここではっきりと答弁してもらいたい。  第二に、アメリカは、今日、再び北爆を強行しながら、国連安保理事会の開催を要求し、無条件討議と称して、さきの朝鮮戦争のときと同じように、ベトナムでのアメリカの侵略行為を合法化し、国際化しようとしております。しかも、佐藤内閣は、この国連を利用するアメリカの新たな陰謀に対し、進んでアメリカ提案を全面的に支持する訓令を行ない、議長国として、侵略者に加担する態度を明らかにしました。私は、この壇上から、これについて佐藤内閣に厳重に抗議をいたします。  さらに、私は、ここで次の点について総理答弁を求めます。  第一に、ベトナムの平和解決については、一九五四年の、ジュネーブ協定により、国連の外で決定されたことであります。これを完全に履行することこそ、ただ一つの解決の方法であって、国連は何ら介入する権限はありません。  第二に、アメリカジュネーブ協定を完全にじゅうりんし、過去十一年余りにわたり、ベトナムの侵略を続けております。これがベトナム問題の唯一の原因であります。しかるに、アメリカは、これを全くたなに上げ、前提条件なしの討議を国連に持ち込んでいます。一体、この侵略の前提をたなに上げて、いかなる解決があると思いますか。これはきわめて重大な問題であります。総理の明確な答弁を求めます。  第三に、あなた方は、アメリカの平和提案をたてにして、口にベトナムの平和を宣伝しておりますが、実際にはどんなことをしておりますか。まず、日本全土をアメリカベトナム戦争の前進基地として、ますます強化しております。アメリカの原子力潜水艦のみならず、近く原子力艦隊の寄港まで認めようとしております。また、国内においては、ベトナム戦争に対する大量の軍事物資の出産と輸送を引き受け、現に川崎においてはベトナム向け輸送船の爆発のため多数の日本人が死傷しております。それどころではありません。アメリカの野戦病院を国内に持ち込み、ベトナム戦場へは医療団を派遣し、アメリカの戦闘機、爆撃機の修理を引き受け、あまつさえ、日本人民の血液まで提供しております。こうしておいて、現にあなた方は、ベトナム戦争拡大に伴う膨大な特需さえ期待しておるではありませんか。これらの事実に対し、総理はこれを否定することができますか。  世界周知のごとく、ベトナム民主共和国と南ベトナム解放民族戦線は、一九五四年のジュネーブ協定に基づく平和の原則を守り、北ベトナムは四項目、解放民族戦線は五項目を提示しています。これこそがベトナムに平和をもたらす唯一のものであります。これをアメリカは拒否しておる。総理は一体この四項目と五項目を支持されるのかどうか、これこそ政府が真に平和を求めているかどうかのけじめでありますから、明確な答弁を求めます。  以上指摘したごとく、政府アメリカの侵略戦争にますます協力しております。これらすべてが安保条約に基づくものであることは、政府自身繰り返し言明してきているところであります。しかるに、今回総理は、この安保条約を礼賛し、これによって日本の安全が守られ、平和的発展が保障され、その上、政治体制を異にする国々との平和的共存ができるとまで公言しました。  私はここではっきりと申し上げる。この条約こそ、日本の主権を奪い、安全を脅かし、軍国主義を復活させ、中国、朝鮮その他の社会主義国はもちろん、独立と平和を目ざして戦っておる全アジアの諸国と諸民族に対する侵略をたくらむ軍事同盟である。こんな条約を賛美しながら、日本の安全とか、さらに、おこがましくも平和共存など口にする資格などありますか。絶対にありません。  さらに、政府の宣伝する対ソ接近なるものも、その実は、米ソ協調の一翼をになってアメリカ中国封じ込め政策を強化するものであり、真の平和共存でないことを指摘しなければなりません。このことは、総理施政方針演説中国を非難する一方、日米安保体制強化の方針と対ソ接近政策を一つに結びつけて説明しているのを見ても明らかであります。  以上、私は、主としてアメリカのベトナム侵略に協力する佐藤内閣の対外政策について質問しました。  佐藤内閣は、国内政策についても同様な道を進めています。そこで、私は、戦後初めて公然と赤字公債発行の道に踏み出した佐藤内閣の責任について質問いたします。  第一に、本格的な公債発行政策は、総理がどのように弁解しようとも、財政規模のとめどもなき膨張と軍事費の無制限拡大の突破口を切り開くものであります。すでに政府は、第三次防衛力整備計画を本年度に繰り上げ、また、韓国、台湾、東南アジアなどへのいわゆる経済協力費を四〇%も増加さしております。そもそも、赤字公債発行が戦争と侵略の道に通ずることは、日本の過去の歴史と今日のアメリカの現実によって明白であります。また、この公債発行による膨張予算は、景気回復を口実として、アメリカ日本の独占資本に一そうばく大な利潤を与えるものであります。すなわち、公債発行はばく大な利子を独占資本にもうけさしております。その上、公共事業費や財政投融資など、直接独占資本のために実に本年度二兆円を上回る支出を行なうのであります。さらに、海運などに対しては多額の利子まで補給しております。また、企業減税と称して、今日でも年間一兆円をこえる不当な特別減免税を、さらに大幅にふやすのであります。このようにして、わずか百社の大企業は、今日日本の全企業の実に半ば以上を支配しておるではありませんか。これをますます強化するのが佐藤内閣政策であります。そのため、人民の生活が極度に破壊されることは火を見るよりも明らかであります。総理所見を求めます。  日本共産党は、以上のごとき佐藤内閣政策に絶対に反対し、次のことを要求します。  佐藤内閣の悪政の最大の根源である日米安保条約の破棄、ベトナムはもちろん、日本を含む全アジアからのアメリカ軍の即時撤退、ベトナムのことはベトナム人民にまかせる、日韓条約の不法、無効を確認し、朝鮮のことは朝鮮人民にまかせる、原子力潜水艦及び原子力艦隊の寄港の拒否、さらに、沖縄、小笠原の返還、中国との国交回復、最後に、米日独占資本のための政策反対し、人民生活の擁護を要求し、佐藤内閣の即時退陣、国会解散を要求して、私の質問を終わります。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
  28. 佐藤榮作

    内閣総理大臣(佐藤榮作君) 共産党の林君にお答えいたしますが、ベトナム紛争の実態は、あなたが言われるような状態ではございません。御承知のように、北爆は昨年のクリスマス以来停止されました。今日まで一カ月余、その間一体何が行なわれたか。北爆は行なわれなかった、しかしながら、北からの浸透は依然として続いておった、かような状態であります。したがって、私は、こういう事態を十分認識されて、北爆だけを非難することはおやめになったほうがいい、これをはっきり申し上げておきたいと思います。  日米安保条約は、私が申すまでもなく、これは防衛的なものであり、これは侵略的なものや攻撃的なものでは絶対にございません。また、わが国も日米安保条約のもとで今日の繁栄を来たしておるものでありますし、また、これがあるからといって、ベトナム戦争に巻き込まれないということは、私がしばしば申し上げておるとおりであります。この安保条約の実態も、これまたぜひ認識を改めていただきたい。  私が、北爆はまことに遺憾であったと、かようなことを申しましたが、北爆をせざるを得ないような事態になったことが遺憾なのであります。(拍手)正確に申せば、さような事態でございます。  ジュネーブ会議でこの問題が取り上げられた、したがって、国連が介入する権限なしという、これは御意見としては伺っておきますが、さようなものではない。国連は唯一の国際平和機構であります。そういう意味において、みずからの立場においてかような事態について介入するのは当然だ、私はかように思います。  今回の財政計画は、これは軍事的なものではございません。いわゆる戦争につながるとか、あるいは軍事的につながる、かような牽強付会な説は、私は賛成できません。(拍手
  29. 園田直

    ○副議長(園田直君) これにて国務大臣演説に対する質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  30. 園田直

    ○副議長(園田直君) 本日は、これにて散会いたします。    午後七時十三分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         法 務 大 臣 石井光次郎君         外 務 大 臣 椎名悦三郎君         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君         文 部 大 臣 中村 梅吉君         厚 生 大 臣 鈴木 善幸君         農 林 大 臣 坂田 英一君         通商産業大臣  三木 武夫君         運 輸 大 臣 中村 寅太君         郵 政 大 臣 郡  祐一君         労 働 大 臣 小平 久雄君         建 設 大 臣 瀬戸山三男君         自 治 大 臣 永山 忠則君         国 務 大 臣 上原 正吉君         国 務 大 臣 福田 篤泰君         国 務 大 臣 藤山愛一郎君         国 務 大 臣 松野 頼三君         国 務 大 臣 安井  謙君  出席政府委員         内閣官房長官 橋本登美三郎君         内閣法制局長官 高辻 正巳君      公正取引委員会委員長 北島 武雄君         自治省税務局長 細郷 道一君      ————◇—————