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1965-12-24 第51回国会 衆議院 本会議 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年十二月二十四日(金曜日)     —————————————   昭和四十年十二月二十四日    午後二時 本会議     ————————————— ○本日の会議に付した案件  川島正次郎君の故議員河上丈太郎君に対する追   悼演説  昭和四十年度一般会計補正予算(第3号)  昭和四十年度特別会計補正予算(特第2号)  昭和四十年度政府関係機関補正予算(機第2  号)  一般職職員給与に関する法律の一部を改正   する法律案内閣提出)  特別職職員給与に関する法律の一部を改正   する法律案内閣提出)  防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内   閣提出)  裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する   法律案内閣提出)  検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する   法律案内閣提出)    午後九時三十四分開議
  2. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 御報告いたすことがあります。  議員河上丈太郎君は、去る三日逝去せられました。まことに哀悼痛惜の至りにたえません。  同君に対する弔詞は、去る十八日贈呈いたしました。これを朗読いたします。   〔総員起立〕 元日本社会党中央執行委員長衆議院議員河上丈太郎君は多年憲政のために尽力し特に院議をもってその功労を表彰されました君は終始政党の発達に力をいたし民主政治進展に貢献されましたその功績はまことに偉大であります衆議院は君の長逝を哀悼しつつしんで弔詞をささげます      ————◇—————  川島正次郎君の故議員河上丈太郎君に対する追悼演説
  4. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) この際、弔意を表するため、川島正次郎君から発言を求められております。これを許します。川島正次郎君。   〔川島正次郎登壇
  5. 川島正次郎

    川島正次郎君 ただいま議長から御報告のありましたとおり、本院議員河上丈太郎君は、去る十二月三日、病のため、静岡県の療養先で逝去されました。まことに痛惜の念にたえません。  私は、諸君の御同意を得て、議員一同を代表し、つつしんで哀悼ことばを申し述べたいと存じます。(拍手)  河上君は、明治二十二年一月、東京都港区新橋の材木商を営む旧家にお生まれになりました。父君は敬虔なクリスチャンで、君もまたその感化を受けて早くからキリスト教を熱心に信仰するようになりました。長じて立教中学から第二品等学校を経て東京帝国大学法学部に進まれました。  君は、高等学校においては、弁論に情熱を注ぎ、新渡部稲造先生から人格主義の強い影響を受け、また、大半においては、高野岩三郎先生のもとにあって、学問のとうとさをしっかりと身につけられたのでありまして、このときすでに君のすぐれた人格の形成が始められていたのであります。  大正四年、東京帝国大学を卒業して立教大学の講師となり、その後明治学院講師も兼ねられました。次いで、大正七年には、迎えられて関西学院の教授に就任し、学生の指導につとめられる一方、自由な学風の中でますます精進を続けられ、識見を高められたのであります。  河上君が無産連動の戦列に加わるようになったのは、大正十年に神戸の川崎、三菱両造船所で起こった大規模なストライキがきっかけでありました。かくて、君は、大阪、神戸に相次いで開設された労働学校において労働者教育に従事し、さらに、大正十三年、東京に発足した政治研究会神戸支部長となって、無産政党樹立を目ざし、懸命な努力をされました。大正十五年には、日本労農党に入党し、わが国無産政党草創期において、目ざましい活躍をされたのであります。(拍手)  昭和三年、わが国初めての普通選挙による第十六回の衆議院議員選挙に際して、兵庫県第一区から勇躍立候補されました。「パンと正義と自由のために」というスローガンを掲げて展開した君の主張は、選挙民の熱烈な支持を得るところとなり、みごと当選の栄を獲得し、西尾末廣君ら七名の諸君とともに、わが国憲政史上初めて社会主義政党の代表として、本院に議席を得られたのであります。(拍手)  私もまた、この選挙において初当選の感激にむせんだ一人であります。(拍手)それ以来、党派こそ異にすれ、河上君とは全く同じ時代を同じ政治家として歩んだのでありまして、君こそ私の最も畏敬する政治家でありました。(拍手)  新人河上君の真剣な活動は、つとに人々の注目するところでありました。昭和四年三月五日、右翼テロによって山本宣治君が横死を遂げるや、君は、翌六日、おりから開会中の第五十六回帝国議会の演壇に立ち、「山本君のしかばねを踏み台として将来の民衆が再び立つときがあると私は信じておる」と絶叫したのであります。(拍手)この演説は、まさに一世を感動させた名演説であり、河上君の真価を発揮したものでありました。(拍手)  昭和五年の第十七回、昭和七年の第十八回総選挙では、立候補いたされましたが、善戦むなしく落選の苦杯を喫しました、この間、わが国は、満州事変の勃発、国際連盟脱退等の問題に直面し、国歩艱難時代にあって、君は、労働争議農民運動にこん身の力を傾けたのであります。  昭和十一年の総選挙無産政党が躍進した際、君も最高点当選して、六年ぶりに政界に返り咲きました。時に、君の意図するところに反して、軍閥の台頭著しく、いわゆる二・二六事件を契機とし、わが国運は不幸な経過をたどるに至ったのであります。  戦後、わが国に平和がよみがえるや、君は、大衆のために何よりも力のある社会主義政党の結成が急務であることを痛感し、同志と相はかり、昭和二十年十一月、いち早く日本社会党の創立をなし遂げたのであります。(拍手)しかるに、君は、不運にも公職追放の指令を受け、自来六年間、在野法曹人として雌伏しつつ、静かに読書に親しむ生活を送られました。昭和二十六年追放が解除され、翌二十七年十月の総選挙において本院に復帰されたのであります。  これよりさき、八月には、君は推されて右派社会党中央執行委員長についておられました。就任にあたって、「私は十字架を背負って進む」と誓い、党の前進のために奮闘する覚悟を披瀝されたのであります。しかし、君のあくまでも願うところは、左右両派社会党統一団結にあったのでありまして、全力をあげてこの至難な事業に取り組み、昭和三十年には、幾多の同士との協力が実を結び、ついに日本社会党統一が達成されたのであります。(拍手)この間に処する君のかたい信念と熱意とは、人々の深く敬服してやまないところでありました。(拍手統一後も、顧問の要職にあって、鈴木委員長淺沼委員長を助け、名実ともに党の重鎮として、かけがえのない存在でありました。  昭和三十五年十月、淺沼委員長が凶刃に倒れるや、翌年三月、君は、党大会で満場一致、日本社会党中央執行委員長に選ばれました。自来、全党員の信望を一身に集め、四年余にわたって激職に当たり、党の団結強化と、大衆生活向上とに全精魂を注がれたのであります。(拍手)  君は、去る十月には、多年憲政のために尽力されたゆえをもって、院議により表彰を受けられました。本院議員当選すること前後十回、在職二十五年三カ月に及び、政党政治確立民主政治進展に貢献された功績は、まことに偉大なものがあります。(拍手)  思うに、河上君は、常に理想のともしびを高く掲げ、強い正義感とまれに見る情熱をもって一筋に邁進していくというかたい信念の人であり、使命感に徹した人でありました。その宗教的信条から、身を律することきびしく、かたい節操、ゆるがぬ道義心、あたたかい人間愛にあふれた高潔な人格の持ち主でありました。(拍手)  君の一生は、そのままわが国社会主義運動歴史であり、生涯を通じて、栄光を求めることなく、ひたすら社会大衆への献身と奉仕に全身全霊を傾けられたのであります。(拍手)その崇高なる精神こそ、政治の良心として、国民が心から尊敬してやまなかったのであり、またもってわれわれの範とすべきところであると信じます。  君は、東奔西走、粉骨砕身、おのれを捨てて働き抜き、ついに、去る一月、病に倒れたのであります。自来約一カ年、治療に手を尽くされましたが、国民各層の祈りもむなしく永眠されましたことは、まことに悲痛のきわみであります。(拍手)四十余年にわたり、国民大衆の先頭に立って、ともに憂え、これを励まし、その生活向上を訴え続け、理想を追求してやまなかった情熱政治家河上丈太郎君は、ここに七十六年の生涯を静かに閉じて逝かれました。  今日の内外の情勢を思うとき、君のような偉大な政治家を失ったことは、国家のため、国民のため、はかり知れない損失でありまして、まことに惜しみても余りあるものがあります。(拍手)しかしながら、かつて君が、「人間の思想と霊魂とは、肉体がくずれて、肉体が倒れても、私はこれをいかなる力をもってしても倒すことのできないあるものがありと信じている」と叫んだように、君の掲げる理想のともしびこそは、これからも永遠にともし続けられることと信じます。(拍手)  ここに、河上君の生前の功績をたたえ、その人となりをしのび、心から御冥福をお祈りして、追悼ことばといたします。(拍手)      ————◇—————  昭和四十年度一般会計補正予算(第3号)  昭和四十年度特別会計補正予算(特第2号)  昭和四十年度政府関係機関補正予算(機第2   号)
  6. 海部俊樹

    海部俊樹君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。  すなわち、この際、昭和四十年度一般会計補正予算(第3号)、昭和四十年度特別会計補正予算(特第2号)、昭和四十年度政府関係機関補正予算(機第2号)、右三件を一括して議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  7. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 海部俊樹君の動議に御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 御異議なしと認めます。  昭和四十年度一般会計補正予算(第3号)、昭和四十年度特別会計補正予算(特第2号)、昭和四十年度政府関係機関補正予算(機第2号)、右三件を一括して議題といたします。     —————————————  昭和四十年度一般会計補正予算(第3号)昭和四十年度特別会計補正予算(特第2号)昭和四十年度政府関係機関補正予算(機第2号)  〔本号(二)に掲載〕     —————————————
  9. 山口喜久一郎

  10. 青木正

    青木正君 ただいま議題となりました昭和四十年度補正予算二案につきまして、予算委員会における審議経過及び結果を御報告申し上げます。  本補正予算三案は、去る十二月二十日予算委員会に付託され、二十一日政府から提案理由説明があり、即日質疑に入り、本二十四日質疑を終了して、討論採決をいたしたものであります。  まず、一般会計補正予算の概要を申し上げますと、歳入におきましては、租税及び印紙収入減収見込み額二千五百九十億円を減額する一方、その補てんのため新規に公債金二千五百九十億円を計上し、また、追加歳出財源として日本銀行納付金、前年度剰余金受け入れ等総額六百五十一億円を追加するものであり、歳出におきましては、公務員給与改善災害対策費食糧管理特別会計への繰り入れ義務的経費不足額補てん等のために、総額千四百十二億円を計上する一方、出資の融資等への振りかえ、既定経費節約等により総額七百六十一億円を減額し、結局六百五十一億円を追加するものでありまして、その他大蔵省証券または一時借入金の最高額増額国庫債務負担行為増額等措置を講じております。  また、特別会計及び政府関係機関補正予算は、景気対策及び一般会計予算補正等に関連して、交付税及び譲与税配付金等、十五特別会計、及び日本国有鉄道等政府関係機関予算に所要の補正を行なうものであります。  次に、予算委員会審議経過を申し上げます。審議国政各般にわたり熱心に行なわれましたが、その詳細は会議録をごらん願うことといたしまして、ここではおもなるもの一、二について申し上げます。  まず、国債発行に関しましては、「現在のように物価騰貴の著しい時期に赤字国債発行すれば、インフレに拍車をかけることとなりはしないか。国債発行のような重大な政策変更に際しては、むしろ解散して信を国民に問うべきではないか。今後赤字国債発行を繰り返すことはないか。国債消化方針はどうか。市中消化条件が整わなければ、日銀貸し出し、または日銀買いオペにより結局日銀引き受けと同じ結果になるのではないか。国債利回りを幾らに予定しているか。また、来年度の国債発行について、その歯どめをどう考えているか。これを財政法に規定する範囲にとどめるとしても、公共事業費範囲をどう考えているか。」との趣旨質疑に対しまして、「現在は、国債発行しても需要を喚起しなければ、不況を克服し得ない。しかしながら、その規模及び使途を規制して財政健全性を維持する。現在の経済情勢において、衆議院を解散することは、かえって国民に迷惑をかけることとなる。今後赤字国債発行する意思はない。今次の国債の約半額は、資金運用部に引き受けさせ、残りは市中金融機関等のシンジケートに依頼するが、最近の金融緩慢の状況にかんがみ、市中消化は可能であると考える。応募者利回りは六%七九五と予定しており、中小金融機関にとってはコスト割れになるものもあろうが、預金準備として国債を持つことは妥当と思う。また、来年度国債の歯どめについては、財政規模を適正にすること、財政法に規定する範囲にとどめること、日銀引き受けによらないことの三つを考えている。財政法公共事業費範囲としては、特定財源以外の公共事業関係費のほか、住宅対策費環境衛生対策費防衛庁施設費を除く官庁営繕費等国民の財産として残るものを考えているが、これを全部国債に依存する意味ではない。」との趣旨答弁がありました。  次に、物価問題に関しましては、「四十年度の成長率は、当初見通しをはるかに下回っているのに、消費者物価はかえって当初見込みをはるかにこえて七%以上上昇している。その理由は何か。効果ある物価抑制策を講ぜずに、消費者米価をはじめ鉄道運賃等公共料金値上げをはかることは政策の逆行ではないか。管理価格徹底的調査をすべきではないか。将来の物価の動きをどう見通しているか。」との趣旨質疑に対しまして、「賃金の平準化に対し生産性向上が伴わない部門に値上がりを生じたことが消費者物価予想外上昇原因と考える。公共料金も同じことであるが、これについては、国民生活への圧迫を少なからしめるよう配意したい。なお、消費者米価は、家計を脅かさない範囲生産者米価との逆ざやを解消する程度の値上げを考えたものである。物価抑制については、合理化の促進、流通機構整備生鮮食料品価格安定制度確立等措置を講じている。いわゆる管理価格については、二、三のものについて調査した結果は、独禁法違反の事実はなかったが、他のものについてもさらに調査する。来年度の消費者物価上昇率は五%台にとどめ、その後は三%台にとどめるよう努力したい。」との趣旨答弁がありました。  本日、質疑終了後、日本社会党から、本補正予算二案を撤回のうえ編成替えを求めるの動議が提出され、その趣旨説明がありました。  その要旨は、赤字国債発行取りやめ消費者米価引き上げ停止地方財政の拡充、人事院勧告完全実施等をはかり、財源不足は、大企業への課税強化外国為替資金の取りくずし、防衛費削減等により補おうとするものであります。  かくて、討論に入り、自由民主党が政府原案賛成日本社会党動議反対日本社会党政府原案反対日本社会党動議賛成民主社会党政府原案及び日本社会党動議反対討論を行ない、採決の結果、日本社会党動議は否決され、本補正予算三案は多数をもって政府原案のとおり可決された次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  11. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 昭和四十年度一般会計補正予算(第3号)外二件に対しては、辻原弘市君外十五名から、三件につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議が提出されております。     —————————————
  12. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) この際、その趣旨弁明を許します。五島虎雄君。   〔五島虎雄登壇
  13. 五島虎雄

    五島虎雄君 私は、日本社会党を代表して、昭和四十年度第三次補正予算に対する組み替え動議の御説明を申し上げたいと存じます。  今回の政府補正予算は、その形式こそ通常の補正と変わるところがないのでありまするけれども、その財政的、政治的な意義は、戦後の歴史を画する重大なる財政政策転換を行なおうとするものであります。(拍手)なぜならば、この補正予算の中には、昭和四十年度の財源措置として二千五百九十億円の赤字公債発行を含んでいるからであります。これは、過ぐる昭和二十四年度予算がいわゆるドッジ超均衡予算として編成されて以来、実に十六年ぶりのことであり、わが国戦後の財政史上に一つの転機を画しております。  このような事態を招いた原因は、昭和四十年度予算編成に際して、政府経済見通し及び税収見通しを大きく誤り、膨大な歳入欠陥を生じたことにあります。しかも、この事態を招いた根源は、その原因が根深いのでありまして、政府の過去数年間にわたるところの経済高度成長と放漫な財政膨張政策の結果、インフレ物価騰貴を伴いつつ、生産過剰となり、深刻なる不況を招来したことにあるのであります。このために、財政支出要因はいよいよ拡大し、一方税収は大幅に収縮して、必然的に深刻な財政破綻が表面化したわけであります。  昭和四十年度予算補正における赤字公債発行は、財政法第四条じゅうりんの突破口を開くものであり、この方針を引き継いで昭和四十一年度以降に発行されようとする公債もまた、名前は建設公債であっても、その実体は赤字公債であるのであります。(拍手)こうして、わが国財政は、この補正予算を機として、再びお先まっ暗公債インフレの方向に突入しようとしているのであります。  わが国財政史を振り返ってみるならば、公債インフレ政策軍事的膨張と切っても切り離せないことが明らかであります。今度の公債政策転換日韓条約強行突破と全くその時期を同じくしているのは、決して偶然ではありません。(拍手日韓条約によって、わが国は、アメリカを中心として、日本韓国、そうして台湾を結ぶ実質上の軍事同盟の網の目の中にすっぽりと組み込まれてまいりました。そうして、昭和四十二年度から始まるところの第三次防衛力整備計画は、総額において二兆数千億円にのぼることを予定しております。政府は、今度の公債建設公債に限るなどと申しておりますけれども、これがやがては軍費調達財源として利用されるであろうことは火を見るよりも明らかなことであります。(拍手)  公債政策がとどめのないインフレを巻き起こし、物価値上がりによって国民を苦しめることは、戦時中及び戦後の体験によって国民は痛切に感じております。この補正予算は、公債発行と並んで、米価値上げを予定しており、そのあと、国鉄運賃をはじめといたしまして、一連の公共料金値上げがきびすを接してくることが予定されております。一たび公債発行に踏み切るならば、もろもろの条件をつけるとしましても、結局は日銀券の増発を招き、物価値上がりをもたらすことは自明の理であります。その公債発行と期を同じくして、一方では日韓条約強行突破、他方では公共料金の一斉引き上げが実施されるのでありまするから、国民のこうむる被害がいかに甚大であるかは容易に想像がつきます。  また、赤字公債のはね返りは、必然的に地方公共団体財源を縮小させまして、公共事業支出を膨張させ、地方公共団体の起債の対象の資金公債によって国へ吸い上げられるために、地方財政は破壊されて、いよいよ中央集権のもとに従属させられ、重い地方税負担国民の肩にかかってくることになるのであります。  わが日本社会党は、公債発行意義及びこれが及ぼすところの影響を考え、また、物価値上げ国民生活に与えているところの深刻な苦悩を考えまして、本補正予算を抜本的に組み替え国民生活に安定をもたらす予算とするよう主張いたすものでございます。(拍手)  このような立場から、わが党の組み替え動議の最大の重点は、次の三つに集約することができます。  その第一の柱は、言うまでもなく、赤字公債発行を中止し、健全財政を堅持することであります。第二は、公共料金値上がりを押え、健全な消費需要を増大させ、国民生活の安定に資することであります。その第三の柱は、地方財政の基盤を確立することであります。この三つの柱に立って、当面の財政経済の危機を克服することに置かれているのでございます。  したがいまして、わが党組み替え案の内容は、第一に、赤字公債発行を行なうことなく、財源の調整を行ない、健全財政を貫くことといたしておるのであります。  まず、無記名預金制度の廃止、大企業高額所得者脱税を目的とした裏預金等申告漏れのものについての厳正課税、大企業有価証券評価益捕捉など、調査、査定を厳正に行ないまして、また、大銀行が不正常な金融情勢に便乗いたしまして、公定歩合の引き下げなど国の施策により多くの収益を上げ、あるいはまた、歩積み、両建てなど中小企業の過酷な負担によって取得した超過利潤に対し、法人税法を公正に執行することによって税収を確保することであります。また、森脇事件に象徴されるような大口脱税捕捉譲渡所得等評価適正化を厳正に行ないます。これらによる税収は一千四百九十億円と見積もっておるのであります。これに加えまして、外国為替資金特別会計資金の一部を取りくずして一千一百億円を一般会計繰り入れ、以上の財源確保により、二千五百九十億円の赤字国債発行取りやめることといたしておるのであります。  なお、この際税制の大改正を行ないまして、大企業、大資産所有者高額所得者課税強化、それに基づきまして昭和四十一年度以降に得られる税収によって、すみやかに外国為替資金特別会計資金繰り入れを行なうことといたしておるのでございます。  これらの健全な財源調達と並行いたしまして、財政逼迫の実情をも勘案いたしまして、不要不急経費など、予算のむだを徹底して節減いたしたいと思うのであります。すなわち、韓国への無償協力費等取りやめ防衛関係費のうち、航空機購入費艦船建造費弾薬費施設整備費教育訓練費等の節減、各種補助事業適正化効率化及び公共事業直営化推進等を実行いたしたいと思うのであります。  なお、以上の措置によりまして、わが党の組み替えによる補正予算規模は、政府原案と同規模になるのであります。  第二は、公共料金値上げを抑制し、国民生活安定化を強力に推し進めるために、歳出面での大幅な組み替えを行なうことといたしておるのであります。  すなわち、人事院勧告は、公務員争議権を不当に剥奪している現状にかんがみまして、当然これを五月から実施するものといたしまして、一般会計から二百億円の歳出増を計上いたします。これに伴いまして、義務教育費国庫負担分として、義務的経費不足額補てん増額し、また、地方公務員給与財源についても、地方交付税の税率を引き上げまして、これを確保することにいたしておるのであります。  災害対策といたしましては、被災者生活保障生活再建を基本とするところの被災者援護法を制定し、被災者への災害給付金等の支給、無利子、無担保、無保証融資を行ないまして、その利子補給損失補償を行なうことにし、激甚災害対処財政援助特例法改正いたしまして、公共施設など復旧事業の国の補助率を引き上げ、及び対象範囲を広げ、また別に被害農林漁業者、中小企業者に長期低利資金貸し付けのワクを拡大するなどの措置を講じまして、これらの援護、補助に要するところの経費として六十億円を増額計上いたしております。  災害対策及び不況による出かせぎ農村地帯の窮迫対策として救農土木事業を実施いたしまして、これに要するもの六十億円、中小企業の年末対策及び倒産対策といたしまして、無担保、無保証貸し付けを大幅に拡大いたしまして、その利子補給損失補償を信用保証協会、信用保険公庫に対して行ない、これに三十億円増額いたすものであります。  物価上昇により、低所得階層の生活が破壊されつつある現状にかんがみまして、本年度の物価上昇に対する調整を行なうために、失対賃金及び生活保護基準の一割引き上げを行ない、このために三十二億円を増額計上いたしております。  公共料金値上げに直接関係するものといたしまして、医療保険については、政府管掌健康保険、組合健康保険、日雇い健康保険、共済組合健康保険、国民健康保険などの各保険に対する国庫負担引き上げによる抜本対策を昭和四十一年度から実施することといたし、それまでの当面の措置といたしまして、政府管掌健康保険及び船員保険の保険料率の引き上げ取りやめ、国庫負担増額し、また、共済短期給付に国庫補助を導入すべきであります。さらに、国保の事務費不足について所要の財政措置を行ない、また、健保など累積赤字は、四十一年度以降その元利を合わせて国の財政支出で年次的に解消していくものといたしまして、このために百八十五億円を増額計上いたしております。  また、消費者米価引き上げはこれを行なわないで、食管会計の赤字は社会保障費といたしまして一般会計から補てんとするものとし、このために百二十億円を増額計上いたすものであります。  これらのほか、地方財政の強化、財源の確保、李ライン捕獲漁船見舞い金の増額、生命保険、損害保険、農協系統資金の活用に伴うところの利子補給等の措置によりまして、合わせて一千二百八十二億円の歳出増額をいたしておるのでございます。  このほか、財政投融資資金によりまして、災害を受けた農林漁業者、中小企業者に対する無担保、無保証、無利子の融資、中小企業三機関の資金増、地方財源の充実、長期住宅建設計画の一環として、住宅金融公庫、住宅公団、住宅供給公社の資金増など、計二千三百五十億円を充てることにいたしまして、このうち、一千億円は資金運用部の余裕資金の活用、一千三百五十億円は生命保険、損害保険、農協系統資金の活用によることといたしておるのでございます。  第三は、地方財政の危機に際し、緊急の財源措置を行なうことにいたします。  すなわち、地方財政の強化と地方公務員給与改定の五月完全実施の財源を付与するために、地方交付税率を現行の百分の二十九・五から百分の三十四・一に改め、それに見合う分として、交付税及び譲与税配付金特別会計一般会計より一千億円の繰り入れを行なうことにいたしておるのであります。  また、地方税の減収補てん、災害復旧、救農土木事業等の地方財源充実のために、資金運用部の地方債をさらに三百億円増額いたします。  なお、地方公営企業職員給与改定資金につきましても、別途措置するものといたしておるのでございます。  以上、わが党の補正予算組み替え動議の内容を御説明いたしましたけれども、この組み替え案は、赤字公債発行をてことする政府予算がいかに佐藤内閣の財政金融政策の無能を証明するものであるか、さらには、政府予算がいかに国民生活を圧迫し、政治不在の予算であるかを明らかにするものであると存ずるものであります。(拍手)  政府は、この際、いさぎよく予算案を撤回し、直ちにわが党の組み替え動議に基づく編成替えを行なうよう、強く要求するものであります。(拍手)佐藤内閣にしてその能力もはやなしとするならば、われわれは、すぐにも政権を交代いたしまして、これらの諸施策を円滑に実行する用意があることを表明するものであります。(拍手)  このわが党施策によりまして、赤字公債は絶対に必要とせず、公共料金値上げを行なうことなく、さらには、地方財政の基盤を安定させることができることを確信を持って申し上げたいのであります。(拍手)そして、これのみが現在の財政経済危機を克服し、国民生活を安定させる唯一の道であると信ずるものであります。  以上、社会党の決意とその具体的な対策とをここに明らかにいたしまして、私の提案理由説明を終わりたいと思います。(拍手)     —————————————
  14. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) これより、補正予算三件に対する討論と、動議に対する討論とを一括して行ないます。順次これを許します。古川丈吉君。   〔古川丈吉君登壇
  15. 古川丈吉

    ○古川丈吉君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました昭和四十年度補正予算三案に賛成し、日本社会党提出の組み替え案に反対するものであります。(拍手)  本補正予算は、前臨時国会に重要案件として提案せられ、国民が一日も早く成立することを期待していたのにもかかわらず、野党が審議を拒否し、ついに廃案のやむなきに至りました。  本予算案は、国鉄関係を除き、前国会に提出されたものと全くその内容を同じくするものであります。歳入は、租税及び印紙収入が当初予算に比べて二千五百九十億円の減少となりましたので、これを公債発行して補てんし、歳出は、千四百十二億円を追加し、七百六十一億円を減額して、差し引き六百五十一億円を追加するものであります。  追加のおもなる内訳は、人事院勧告により、国家公務員等の給与改善を本年九月から実施するため三百五十三億円、災害対策としては、すでに予備費二百八十億円で応急措置をしていますが、さらに百六十六億円を追加し、農業共済保険特別会計へ十六億円、消費者米価を八・六%引き上げたのでありますが、生産者米価を一石当たり千三百七十四円引き上げましたので、食管会計へ二百九億円、国民健康保険助成費、義務教育費国庫負担金の不足補てんとして四百二十六億円、韓国に拿捕された漁船船員の見舞い金等として六十二億円、中小企業金融円滑化のため、信用保険料率の大幅引き下げ、無担保保険融資限度二百万円の実現、連鎖倒産等防止の保険制度実施のため、中小企業信用保険公庫基金十億円増額、道路特別会計の減収補てん百二十八億円等であります。また、一般会計特別会計及び政府関係機関公共事業に約一千億円の債務負担行為を追加しております。  財政投融資計画については、日本国有鉄道、日本電信電話公社、住宅金融公庫、日本住宅公団、日本道路公団、日本開発銀行及び地方公共団体等に千三百三十五億円を増加いたしております。  地方財政については、地方税の減収四百億円について起債を許可し、国税三税の二九・五%の地方交付税の減収は減額せず、地方公務員等の給与改善のため、資金運用部から三百億円を融資することにいたしております。  以上のとおり、歳入不足を公債補てんし、緊急やむを得ない諸経費を計上し、景気刺激対策も十分考慮せられております。また、地方財政についても、その施策を十分実行し得るよう、減収補てん、起債の増加など、行き届いた対策が講ぜられております。  わが国財政は、戦後二十年間一貫して均衡財政を堅持し、昭和二十年代から三十年代の初めにかけて、インフレの収束と経済の高度成長の基盤をつくり、三十年代の後半は、文字どおり高度成長を遂げ、今後はこの高度発展の基盤に立って、安定成長の政策を進めてまいらなければなりません。こういう時期には、過去のような租税の大幅な増収は期待できません。一方、社会開発など、財政需要は一そう増加いたしますが、当分の間、この需要公債によってまかなうほかありません。  公債発行については、野党の諸君は、公債発行は軍事公債に発展するとか、インフレを招くとして、非常に強く反対いたしております。今回の二千五百九十億円は、租税等の減収の補てんにすぎないので、インフレの心配はありません。また、政府は来年以降も公債発行する方針を明らかにしておりますが、建設的な事業をまかなういわゆる建設公債であって、市中消化の原則が守られる限り、インフレの危険はないものと思われます。常に財政健全性を考慮し、節度を維持する限り、その害はないものと思います。西欧先進諸国はつとに公債政策をとり、いずれも成功をおさめているのであります。軍事公債に発展するというがごときは、笑止千万といわなければなりません。(拍手)  社会党の組み替え案では、公債発行をやめて、無記名預金制度を廃止し、裏預金を取り締まり、大銀行の異常利益に法人税を課して、千九百億円を取り、大口脱税を取り締まって四百億円、外国為替資金一千億円を取りくずして、土千五百九十億円を補てんしようと考えております。全くできない相談といわなければなりません。(拍手)  歳出組み替えを見ますと、人事院勧告を五月から実施し、義務教育費国庫負担金、災害対策費中小企業対策費、各保険に対する国庫負担金、物価対策費、地方団体への交付金、韓国拿捕漁船の見舞い金等、ふえれば国民のだれもが喜ぶような支出には気前よく千二百八十二億円を増額し、その歳出増加に充てるため、防衛費七百億円、各補助事業の補助金三百四十億円、各官庁の経費二百二十億円等を削って、千二百八十二億円をつくり出そうとするのでありますが、昭和四十年度もあとわずか三カ月しかありませんのに、防衛費七百億円はどうして減額することができるのでありましょうか。各補助事業は、補助金の額が少ないのでなかなか進捗しないのが現状でありますのに、補助金を減額してどうして事業の遂行ができるのでありましょうか。全く数字を合わすために紙に書いてあるにすぎない組み替え案といわなければなりません。(拍手)  さらに、財政投融資の組み替えを見ますと、災害対策地方公共団体への融資、住宅対策等に合計二千三百五十億円を増額していますが、増額はまことにけっこうでありますが、その資金源を見ますと、資金運用部資金一千億円、生命保険、損害保険、農協資金で一千三百五十億円を充てようとしています。資金運用部資金にそれほど余裕もなければ、生命保険、損害保険や農協関係からそんなに簡単に多額の資金を得ることはできません。全く実行不可能な組み替え案といわなければなりません。  政府原案の、減収補てんとしての、公債発行はやむを得ざるものであり、また、その弊害もなく、時期的にも適当であると考えます。公務員給与改善等の緊急を要するものについては十分の考慮を払われ、さらに景気の回復に積極的な努力をされている点について深く敬意を払いたいと存じます。  本補正予算は、その規模まことに小さいものでありますが、年末を控えて、国民全体が一刻も早く成立することをこれほど切望しているものはありません。すみやかに原案を可決されんことを望み、政府原案賛成、社会党組み替え案反対の討論といたします。(拍手
  16. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) ただいまの古川丈吉君の発言中、もし不穏当の言辞があれば、速記録を取り調べの上、適当の処置をとることといたします。  加藤清二君。   〔加藤清二君登壇
  17. 加藤清二

    ○加藤清二君 私は、日本社会党を代表し、ただいま議題となっておりまする補正予算政府原案三案に反対し、社会党提出組み替え動議に賛成の討論をいたします。(拍手)  その前に、私はかつてベルリンを訪れまして、東西の壁の厚さとその高さにりつ然としたことがございます。しかし、きょうはクリスマスイブでございます。ちょうどいまごろはその厚い壁も開放されまして、古き友、親しきはらからは、ともに喜びと楽しみを分かち合っていることでございましょう。クリスマスイブだからでございます。自由を望む人間の力と懸命なゲルマン民族の努力は、やがてこの厚い壁をも打ち破ることでございましょう。ベトナムにおきましても、今夜は敵も味方もどろや汗を洗い落としまして、恩讐のかなたにしばしの平和を喜び合っていることでございましょう。(拍手)私は、このこよいのつかの間の平和がベトナムの永遠の平和のきっかけとなるよう祈ってやみません。(拍手)平和、それは何ものよりもとうといサンタクロースの贈りものでございましょう。今夜は世界じゅうが平和、世界の家庭が団らん、世界じゅうの子供がサンタクロースの鈴の音を待っていることでございましょう。  しかるに今夜、待てども待てども父帰らざる家庭がございます。それは戦地に父をなくしたアメリカの遺族の子供と、父を衆議院に送った日本の子供でございます。(拍手)ともに不幸のきわみでございましょう。前者は帝国主義の野望の犠牲であり、後者は佐藤内閣の犠牲でございます。(拍手、「ふざけるな」と呼び、その他発言する者あり)何をふざけるか、だれがふざけるか、出てこい、何がふざけるか、だめだ。  人間尊重を揚言する佐藤内閣、はたしてこれで人間尊重でございましょうか。(発言する者あり)やじったら時間がかかるだけですよ。——それじゃやりません。議長、やりません。   〔発言する者あり〕
  18. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 御静粛に願います。
  19. 加藤清二

    ○加藤清二君(続) さあれ、私の最も尊敬してやまない河上先生、しかもクリスト教徒であらせられた先生が、クリスト降誕祭のその前夜、本院においてその功績をたたえられました。そのことに感激いたしまして、国家、国民のしあわせのために討論を進めます。(拍手)  まず第一に、わが国財政経済を今日の破綻に導いた自民党政府の責任でございます。自民党池田内閣が高度経済成長政策を開始して以来、政府は毎年度の予算規模を、経済成長率をはるかに上回る大きな比率で膨張させてきたのでございます。まさに無軌道、放漫な膨張といわなければなりません。しかも、その無軌道、放漫な予算の支出が、ほとんど独占大企業のための公共投資でございます。独占大企業は、このほかに銀行が軒並みにオーバーローンになるほど過剰設備をいたしました。一方、インフレと信用膨張が進み、物価は急速に騰貴いたしました。その結果、財政支出要因は果てしもなく拡大膨張することは当然でございましょう。過剰生産が表面化し、それに基づく経済不況が起こってまいりました。経済不況、これは明年もまた一向に景気回復の徴候がございません。不況のはね返りとして国の租税収入が大きく縮小する結果を招来したのでございます。支出が膨張し、他方で税収が縮小すれば、財政が破綻するのは当然でございます。現在の財政破綻は、その意味におきまして、ここ数年間の自民党政府経済高度成長政策と、放漫膨張財政政策の必然的な結果でございまして、その責任は重かつ大、あげて自民党政府にあるといわなけれぱなりません。(拍手)  しかるに政府は、恥知らずにも、責任をほおかぶりし、赤字公債発行公共料金引き上げによって、財政破綻を糊塗しようといたしておるのでございます。そのあらわれが、このたびの補正予算でございます。  第二に、赤字公債発行は、財政の憲法ともいうべき財政法第四条の公債発行の大原則を破るものでございます。かつてわが国の軍閥と財閥は、赤字公債発行による財源を軍事費に投じて、アジアへの侵略戦争を行ない、日本を亡国の危機におとしいれたのでございます。この苦い教訓に対する反省の上に立って、戦後、われわれは二度と再軍備せず戦争しないという憲法第九条と、二度と赤字公債発行をしないという財政法第四条を制定したのでございます。  ところが、自民党政府は、御承知のように憲法第九条をじゅうりんして、自衛隊の再軍備を進めてきました。そして今回また二千五百九十億円の赤字公債発行によって財政法第四条をも破壊しようとしておるのでございます。この二つは表裏一体、ワンセットでございます。佐藤内閣は憲法第九条のじゅうりんを進めているのみならず、機会を見て第九条そのものを改悪しようと虎視たんたんであるといわれております。日韓条約の批准を強行したのは、東北アジア軍事同盟の仕上げにつながったものであり、明年度からは第三次防衛計画を開始し、自衛隊の装備を核武装の水準にまで高めようとしております。こうした背景の中で、政府財政法第四条をじゅうりんして赤字公債発行することは、まさにかつての満州事変を契機として公債発行が急増し始めたあの戦争への道の繰り返しとなるのではないか。賢明な国民はひとしくこれを憂えているのでございます。(拍手)  第三に、赤字公債は必然的に物価値上がりを促進しております。インフレのおそれはないと政府は再三申しますけれども、現在の金融情勢のもとでは、一たん民間金融機関の引き受けた公債が日ならずして日銀へ集中されることは必然でございましょう、大蔵大臣。これは従来の政府保証債や金融債が結局日銀へ集中いたしまして、日銀の通貨を増発させてきた経過によっても明らかなところでございます。現在でさえ消費者物価値上がりが年に八%もこえようとしている。これにさらに赤字公債発行が加わるならば、一体国民生活はどうなるでございましょうか。国民の最も心配するところでございます。この心配を解くかぎは、遺憾ながら、予算委員会における政府答弁からは得られませんでした。赤字公債発行は大資本の階級的利益に奉仕するものでございます。本年度は歳入不足を補う公債を出し、明年度以降は建設公債の名前で公債発行しようとしておりまするが、その公債財源によって何が行なわれるかといえば、一つは、大企業の産業基盤に奉仕する公共投資の拡大であります。またの一つは、財界の望んでやまないところの企業減税でございます。そして、その公債の元利をだれの負担で償還するかといえば、将来の国民の税金でまかなうことは必然でございましょう。本年度二千五言九十億円、明年度七千億円、明後年は一兆円もというように公債発行していけば、発行累積額が十兆円に達するのは数年のうちでございましょう。その元利を国民の税金でまかなおうとするならば、まさに国民にとっては所得倍増ではなくして、税金倍増だといわなければなりません。(拍手インフレ物価騰貴のしわを寄せられ、また税金倍増の負担を負わされる。まさに踏んだりけったりではございませんか。池田総理の所得倍増は、大企業にのみ与えられたものでございました。これと同様、佐藤総理の人間尊重は、これまた大企業政府の要人にのみ与えられる親切でございましょうか。(拍手)  第四に、公債に関連して見忘れてならないことは、赤字公債発行地方財政を一そう窮迫させることでございます。公債財源によって政府企業減税を行ないますと、地方自治体の税収入は縮小されてまいります。また、公債財源による公共事業拡大が行なわれますれば、地方自治体の財政支出はやがて膨張いたします。自治省によれば、国家が七千億円の公債発行をすれば、地方の財政は約三千六百億円の赤字を免れないであろうと試算していることは、きわめて重大でございます。それに加えて、地方起債市場の資金公債によって国へ吸い上げられるのも、地方財政にとっては大問題でございます。まさに公債発行地方財政を破産させると言って過言ではございません。その結果、地方自治はいよいよ中央集権のもとにひもつきにされ、他方では、地方住民に対する地方税の負担がいよいよ重加されることは免れ得ないことでございましょう。  以上、いかなる見地から見ましても、公債発行は断じて国民の承認できないところでございます。(拍手政府は、公債発行によって政府が借金するかわりに、企業国民の家計も豊かにするのだと称しておりまするが、とんでもない話でございまして、公債発行によって豊かになるものは確かにございます。しかし、それは独占大企業だけで、国の財政地方財政中小企業も、また国民の家計も、すべて破局の運命をたどらなければならぬことが目に見えているのでございます。もし見えないとすれば、それは経済に暗い人の目といわなければなりません。  第五の問題点は、公共料金引き上げでございます。今次補正予算は、消費者米価、健康保険料、国鉄運賃などの公共料金引き上げを前提として編成されております。佐藤内閣は、その公約としては物価安定を最大課題とすると約束しております。ところが、現実はどうでございましょう。今年度の消費者物価は四・五%の上昇にとどめるという公約でございました。しかし、現実にはすでに八%をこえていることは明らかでございます。これはすでに重大な公約違反でございます。それに加えて、各種公共料金が続々と値上げをされていくということに相なりまするならば、これもたいへんな問題になりまして、これこそ一体国民生活はどうなるであろうかと心配せざるを得ないのでございます。内閣の冷血無情と申しましょうか、本質がここに暴露されていると言うても過言でございません。(拍手)  第六に指摘しなければならぬことは、韓国への無償供与の十八億円を計上していることでございます。日韓の批准書交換のとたんに、韓国政府が竹島に漁業専管水域を設定したことは何を物語るでございましょうか。まさに、わが党がさきの国会で指摘したとおり、日本の国会と国民に対する佐藤内閣のもろもろの説明は、国民を欺く口から出まかせにすぎなかったと言うても、これは差しつかえないではございませんか。(拍手韓国は、すでに南ベトナムへ一個師団を派兵しております。加えて、さらに三個師団を派兵しようといたしております。この韓国に対して供与する十八億円の金は、韓国の南ベトナム派兵の費用をあと押しするものではないかと国民は心配をいたしているのでございます。(拍手)  すなわち、今次補正予算の性格を要約すれば、赤字公債インフレ予算であり、公共料金引き上げ予算であり、日韓軍事同盟強化の予算であり、わが党は、平和と生活安定を求める日本国民の名において、断じてこれに反対するものでございます。(拍手)  これに対し、社会党提出の組み替え動議は、まことに現在の日本経済と財政の危機を打開するにふさわしい、しかも正しい問題点を提起しておるのでございます。  まず第一には、財政法第四条を断固守ります。赤字公債発行いたしません。当面の財政破綻を打開しようといたしておりまするが、そのため、歳出においては、不要不急経費を徹底的に削減し、歳入においては、納めるべき税金を納めずにいる大企業高額所得者から、租税負担公平の原則によって、しっかりと税金を取り、それによって、本年度予算財源不足を打開しようといたしておるのでございます。この点は、佐藤総理も賛成でございます。大企業の社用族が使いますところの交際費がまさに五千億、それは株主に分けまする配当金ととんとんでございます。こんな大きな、株主の配当金ととんとんになるような大きな交際費を使っているそういう企業家が、世界広しといえども、どこの国にあるでございましょうか。(拍手)まさに日本企業家は、温室に入れられて甘やかされておるといわざるを得ないのでございます。  第二には、公共料金引き上げをストップする立場に立っておることでございます。これは、もちろん、不況国民の収入が停滞しているときに、公共料金引き上げられることが、勤労大衆、特に低所得階層の生活をはなはだしく窮乏化させることを考慮しているからでございます。そして、食管会計、健康保険財政、あるいは国鉄の新しい建設計画は、その経理を徹底的に洗い直した上に立って、所要の資金は国の財政によって措置することを主張しておるのでございます。  第三は、公務員給与の改定については、人事院勧告のとおり、五月から完全実施するというたてまえでございます。公務員労働者が労働基本権を奪われている、そのかわりに人事院の勧告が行なわれるのでございますから、これを完全実施することは、政府として最低限の責任でございましょう。また、この組み替え案は、物価値上がりで特に困窮している低所得層対策として、失対賃金と生活保護基準の引き上げを主張いたしております。こうした措置国民大衆消費需要を拡大させて、もって、現在の経済不況を打開する有力なる措置であるということは、賢明な大臣ならずとも、自民党の皆さんよくおわかりのことと存ずるのでございます。  第四に、災害対策を飛躍的に拡充するということでございます。しかも、量的な拡充にとどまらず、特に被災者援護法を制定いたしまして、被災者生活保障生活再建の抜本策、救農土木事業の実施等々を考慮いたし、従来の保守党のこう薬ばり的な災害対策から見れば、これはまさに画期的な提案でございまして、政府は、すみやかにこの提案を受け入れて、実行に移すべきでございましょう。  第五に、現在の経済不況を払拭する重大な需要拡大政策をとるということでございます。現在の経済不況の特徴は、地方財政中小企業という日本経済をささえる二つの柱が、いまにも折れそうになっているというところに、その特徴があるのでございます。いかに政府が公共投資で景気を刺激するといいましても、公共事業を施行する末端の地方自治体が財政破綻に瀕し、超過負担に耐え切れず、公共事業を返上するというような現状では、まず、地方財政にてこ入れするということがなければ、景気回復の機運が地方から盛り上がってくるはずがございません。(拍手中小企業も同様でございます。毎日平均倒産が二十件、零細はその八倍にも及んでおります。現在のままでは、いかに景気の刺激をはかっても、それはとうてい日本経済の底辺へしみ通っていくはずがございません。この点は、予算委員会における総理の答弁をよしとするものでございます。しかし、言だけやよし、必ずあれを実行に移していただきたいことを要望するわけでございます。したがって、まず、中小企業対策に大胆な財政措置を盛ってこそ、有効需要も、経済の活気が底辺からわき上がってくるのでございます。社会党組み替え動議は、こうした見地から、地方財政対策と中小企業対策に大胆な予算措置をとることを提案しております。  また、その他生命保険、損害保険、農協系統余裕金などを、利子補給によって活用して、住宅の大量建設を断行することも主張いたしておるのでございます。これらはいずれも底辺からの景気回復の措置であり、これを断行すれば、いまの不況を一気に払うことができると確信いたして提案いたしておるのでございます。  最後に、韓国への無償供与予算を削除いたしまして、日本の平和と、中立の立場を確立することを主張いたしております。また、日韓条約と切り離した立場に立って、李ラインによる被災漁業者に対し、十分なる代位補償の措置をとることを主張いたしております。  以上のような内容を盛った社会党提出組み替え動議は、日本の経済と財政の危機を打開し、インフレをなくし、しかも景気上昇健全財政の堅持ができる日本経済を築こうとするところの熱意にあふれた提案でございまして、国民は心からこれを待望いたしておるのでございましょう。この期待にこたえることこそが、国会と政府の責任といわなければなりません。  最後に、総理に申し上げておきます。  あなたが、なお人間尊重を揚言するならば、来年は失敗を繰り返さぬためにも、国民の幸福、国家の平和を基調としたこの社会党の予算をよき手本として、来年度予算を編成されるよう、しかと申し入れ、補正予算政府案に反対、社会党組み替え動議に賛成の意思を表明いたしまして、私の討論を終わるものでございます。(拍手
  20. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 永末英一君。   〔永末英一君登壇
  21. 永末英一

    ○永末英一君 私は、民主社会党を代表いたしまして、ただいま議題となっております政府提出の昭和四十年度補正予算案三案に対しまして、反対の意思を表明いたします。  今回の補正予算案の特徴は、当初予算歳入見積もり額の八%に及ぶ収入減を生じたということであります。これは戦後初めて政府予算にあらわれた現象でありまして、きわめて重大な意義を持っているとわれわれは考えます。  すなわち、敗戦による日本経済の荒廃を復興させるために、資本源を国民大衆に求めました歴代政府は、広範囲にわたる大衆課税によってこれをまかなってまいりました。昭和三十年代に入って、ようやく産業構造を近代化、高度化する段階に入りましたが、これを可能ならしめた資本力は、依然として、大衆のふところから出される租税と、財政投融資に包まれている大衆資金に求められたのであります。さらに、一般会計で支弁してまいりました多くの事業は、一般会計から切り離され、財政投融資のワクの中に組み込まれました。  これらの資本力を背景に、政府財政政策は、若干の起伏はありましたが、一貫して景気刺激政策を基調としてまいりました。しかし、この政策は、企業に対しましては他人資本への依存度をますます高めさせ、市中銀行には日銀に対するオーバーボローイングにたよらせる結果を生みました。そして、物価は、あるときはゆるやかに、またあるときは急激に上昇し続け、国民生活は前途の見通しきわめて不安定な状況におとしいれられるという結果になりました。池田前内閣によってとられた高度成長政策はこの傾向に拍車をかけ、財政の膨張率は国民所得の成長率をしのぐありさまでありました。この間、各種の圧力団体による要求は多く予算に組み入れられ、一そうこの傾向を促進いたしました。これらのことを可能ならしめたのは国民大衆の勤労の成果でありましたが、このような顧みることのない盲進がやがて行き詰まることを、わが党は政府に対して警告をいたしてまいりました。はたせるかな、昨年池田前首相の不慮の事故によって誕生いたしました佐藤内閣が、安定成長を経済政策の旗じるしとして押し出しましたのは、右のような長年にわたる経済財政政策転換が必須であることを十分に承知しておったからだと判断しなければなりません。(拍手)  今回の補正予算案において、法人税はもとより、関税、物品税、酒税に至るまで減収が見込まれるに至りましたことは、単なる経済不況を意味するにとどまらず、日本経済の質的転換の必然性を示唆しているものといわなくてはなりますまい。佐藤内閣がこの事態を正確に見抜くならば、今回の補正予算案において、その信ずるところを率直に国民に訴えるべきでありました。  われわれもまた、日本経済のこれからの進路は、何よりもまず安定成長を基調として始めなければならないと考えております。しかし、わが党のいう安定成長は、何よりも、国民生活の安定の上にのみ築かれるものだということであります。国民生活の安定には、貨幣価値の安定、すなわち物価の安定が必須条件であります。そのためには、公共料金引き上げによる物価騰貴の誘発を押しとどめ、国民大衆の可処分所得を飛躍的に増大し、それによってつちかわれた国民の経済地力の上に日本経済を乗せよということであります。政府財政政策はこれを出発点として組み替えられるべきであります。大衆の福祉を向上せしめ得ないような経済繁栄は砂上の楼閣にすぎません。(拍手)われわれが福祉成長経済を主張してまいったのはまさにこの点であります。  政府財政政策は、第一に、大衆福祉の向上を基調にし、第二に、自由経済の名のもとに過当競争のどろ沼にはまり込んでいる私経済に方向づけを行なうことであります。このような方向をとる決意を、今回の補正予算案を契機として、佐藤内閣、福田財政国民に示すべきでありました。しかし、高度成長から安定成長へのことば転換は行なわれましたが、実体における転換は、きわめてあいまいなままに補正予算案が提示されました。しかも、戦後初めてあらわれた歳入減を赤字公債で埋めようとする安易な方針政府の対策であります。  われわれは、今回の補正予算案にあらわれた追加財政需要、すなわち、公務員給与の改善や地方財源不足額の補てん、さらに災害対策費等は、当然年内に処置しなければならぬものだと考えます。もっとも、公務員給与について人事院勧告を値切ったり、消費者米価引き上げ等を内容としている点は賛成するわけにはまいりません。しかし、一番問題なのは、何といっても、歳入の減収を赤字公債で埋めようとする点であります。  政府は、今回の赤字公債財政法第四条に抵触するものであるからというので、特例法案を出しました。同時に、政府は、来年度から大幅に財政法第四条による建設公債を出すという方針を明らかにしております。建設公債とは申しましても、その本質は赤字公債であります。しかしながら、わが党は、公債政策を一がいに排斥するものではありません。国家の収入が強権力による租税だけに依存するだけではなく、経済地力のある国民協力を得た公債にたよることは、目的と準備と歯どめとが十分であるならば、やってよいことだと考えるのであります。すなわち、国の経費のうち生産的意味を持つ投資的経費については、むしろ積極的に長期計画のもとに借り入れ金や公債を用いるべきだと考えます。しかし、これを実行するには、財政法改正し、これまでの単年度主義を是正しなければなりません。また、減債基金制度を改正し、さらに、公社債市場を確立して、市中公募を貫き得るよう準備すべきであります。もちろん、この場合、民間資金や地方債の圧迫にならないように措置すべきは言うまでもありません。しかし、一番重要なことは、政府財政政策であります。これまでのような、財政は景気刺激のためにあるという態度を一てきして、経済安定を目的とすべきであります。そのためには、予算規模のいたずらな拡大に狂奔することなく、国民経済の成長率以内にとどまるよう、節度を守るべきであります。不況克服のためにのみ財政を用いようとしてはなりません。佐藤内閣の現在的使命はまさしくこの点にあるとわが党は考えます。このような税財政、金融政策転換が初めて公債政策を遂行し得る基盤と歯どめとを与えるものであるとわが党は信ずるのであります。(拍手)  今回の赤字公債発行は、このような準備をせずに、これまでの予算編成をウのみにしたまま安易に打ち出された方針であります。われわれは、このようなあいまいな赤字公債を承認するわけにはまいりません。(拍手)今回の歳入欠陥は、外為会計のインベントリーを取りくずし、資金運用部保有の金融債の使用、さらに行政費の節約等によって十分まかない得るものであり、また、そうすべきものだとわれわれは考えます。  以上が、政府提出の補正予算案三案に対する反対の趣旨であります。  また、日本社会党提案の組み替え動議につきましては、予算執行に対して混乱を惹起するだけであるという理由に基づいて、反対いたします。  以上をもって私の討論を終わります。(拍手
  22. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。  まず、辻原弘市君外十五名提出、昭和四十年度一般会計補正予算(第3号)外二件につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。  辻原弘市君外十五名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  23. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 起立少数。よって、辻原弘市君外十五名提出の動議は否決されました。  次に、昭和四十年度一般会計補正予算(第3号)外二件を一括して採決いたします。  三件の委員長報告はいずれも可決であります。三件を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  24. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 起立多数。よって、三作とも委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)      ————◇—————  一般職職員給与に関する法律の一部を改    正する法律案内閣提出)  特別職職員給与に関する法律の一部を改   正する法律案内閣提出)  防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案   (内閣提出
  25. 海部俊樹

    海部俊樹君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。  すなわち、この際、内閣提出一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  26. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 海部俊樹君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 御異議なしと認めます。  一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。     —————————————  一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案  特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案  防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案   〔本号(二)に掲載〕     —————————————
  28. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 委員長報告を求めます。内閣委員長河水敏夫君。     —————————————   〔報告書本号(二)に掲載〕     —————————————   〔河本敏夫君登壇
  29. 河本敏夫

    ○河本敏夫君 ただいま議題となりました三法案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。詳細は会議録によって御承知願うこととし、以下、簡単に要点を申し上げます。  まず、一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案は、本年八月十三日付の人事院勧告どおりに、俸給表、期末手当、通勤手当の改定等を行ない、本年九月一日から実施するとともに、あわせて、扶養手当、期末、勤勉手当の支給方法について制度の合理化をはかり、明年一月一日から実施しようとするものであります。  次に、特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案は、一般職職員との均衡を考慮して、秘書官の給与の額を改定しようとするものであります。  次に、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案は、一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案の例に準じて、防衛庁職員の俸給月額等の改定を行なうほか、自衛官の退職手当の算定について特例の措置を講じようとするものであります。  以上三法案は、去る十二月二十一日本委員会に付託、二十二日政府より提案理由説明を聴取し、慎重審議を行ない、本日、質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して大出委員より、また、民主社会党を代表して受田委員より、今回の給与改定が人事院勧告どおり五月一日より実施されていないとの理由により、それぞれ反対の意見が述べられ、採決の結果、多数をもっていずれも原案のとおり可決いたしました。  なお、一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案に対しては、自由民主党、日本社会党民主社会党の三党共同提案により、全会一致をもって人事院勧告の完全実施を要望する旨の附帯決議が付されました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  30. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 三案を一括して採決いたします。  三案の委員長報告はいずれも可決であります。三案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  31. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 起立多数。よって、三案とも委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正す   る法律案内閣提出)  検察官の俸給等に関する法律の一部を改正す   る法律案内閣提出
  32. 海部俊樹

    海部俊樹君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。  すなわち、この際、内閣提出、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案、検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  33. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 海部俊樹君の動議に御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 御異議なしと認めます。  裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案、検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。     —————————————  裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案  検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案   〔本号(二)に掲載〕     —————————————
  35. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 委員長報告を求めます。法務委員長濱田幸雄君。     —————————————   〔報告書本号(二)に掲載〕     —————————————   〔濱田幸雄君登壇
  36. 濱田幸雄

    ○濱田幸雄君 ただいま議題となりました両法律案について、法務委員会における審議経過並びに結果を御報告申し上げます。  政府は、今回、人事院勧告趣旨にかんがみ、一般の政府職員給与の改定を行なおうとしておりますが、裁判官及び検察官につきましても一般の政府職員の例に準じてその給与を改善する措置を講ずるため、裁判官の報酬及び検察官の俸給に関する法律について必要な改正を行なおうとするものであります。  すなわち、裁判官の報酬等に関する法律の別表に定める三号以下の判事の報酬並びに判事補及び簡易裁判所判事の報酬、並びに検察官の俸給等に関する法律の別表に定める三号以下の検事及び副検事の俸給の各月額を増加することとし、この給与改定を昭和四十年九月一日から適用することとしたのであります。  同案は、去る二十一日当委員会に付託され、二十二日提案理由説明を聴取し、両案を一括審議に付し、自来、慎重審議を重ねましたが、その詳細は会議録に譲ります。  かくて、本日、質疑を終了し、討論に付しましたところ、日本社会党井伊誠一君より反対、自由民主党大竹太郎君より賛成の意見が述べられ、次いで、採決いたしました結果、多数をもって政府原案どおり可決すべきものと決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  37. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 両案を一括して採決いたします。  両案の委員長報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  38. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。
  39. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 本日は、これにて散会いたします。   午後十一時十六分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         法 務 大 臣 石井光次郎君         外 務 大 臣 椎名悦三郎君         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君         文 部 大 臣 中村 梅吉君         厚 生 大 臣 鈴木 善幸君         農 林 大 臣 坂田 英一君         通商産業大臣  三木 武夫君         運 輸 大 臣 中村 寅太君         郵 政 大 臣 郡  祐一君         労 働 大 臣 小平 久雄君         建 設 大 臣 瀬戸山三男君         自 治 大 臣 永山 忠則君         国 務 大 臣 上原 正吉君         国 務 大 臣 福田 篤泰君         国 務 大 臣 藤山愛一郎君         国 務 大 臣 松野 頼三君         国 務 大 臣 安井  謙君  出席政府委員         内閣官房長官 橋本登美三郎君      ————◇—————