○野原覺君 私は、日本社会党を代表いたしまして、佐藤内閣の
政治外交、
財政経済の
基本方針について質問をいたしたいと思うのであります。(
拍手)
まずお伺いしたいことは、佐藤内閣の
政治姿勢についてであります。
佐藤内閣は池田内閣から政権を譲り受けてから早くも一年余になりますが、およそ歴代内閣のうちで佐藤内閣ほど
国民の間に人気のわかない政権はないのであります。(
拍手)これは私のひとりよがりではなく、自民党の中や財界においてもその声は高いのであります。
国民の間にたとえ一時的であったにせよブームといわれるものが起こらなかったのは、おそらく前にもあとにも佐藤内閣のみでありましょう。(
拍手)
一体なぜでありましょうか。それは、第一には、その権力主義的、
国民世論軽視、その超保守主義的反動性にあります。その権力者的本質が最も露骨になされたのが、さきの臨時
国会における日韓条約の
審議をめぐって行なわれた
政府・自民党の暴挙に次ぐ暴挙なのであります。(
拍手)御承知のように、日韓条約の締結は、日本
国民にとっては安保条約のそれにも比すべき重大な選択であります。それは、
わが国の将来にわたる運命と、極東における平和の成り行き全体にかかわる条約であり、さらに、軍事同盟への参加を禁止し、日本の安全を国際間の信義にゆだねた日本国憲法に違反する疑いのある重大な条約であるからであります。しかも、今回の日韓条約は、条約の重要条項において、両国
政府の間に合意を見ていない、法的効力に重大な疑惑のある、前代未聞のしろものであります。かかる重大にして、しかも多くの疑問点をはらむ日韓条約については、特に慎重な
審議が必要とされていたことは言うまでもありません。これこそ議会制民主主義のよって立つ原則であり、
国民もそれを心から期待していたのであります。ところが、
政府・自民党は、日韓会談の全過程及び
国会の
審議において、終始一貫、その核心に触れる事項はことごとくこれを
国民の目から隠し、日韓条約に対する
国民の疑惑が深まりつつあるその最中に、
審議を一方的に打ち切ってしまったのであります。しかも、そのやり方は、
国会法、衆参両院の規則慣例をことごとく弊履のごとく破り捨てた、前代未曾有のものであり、議会を完全に生命のないしかばねと化した暴挙であったのであります。自民党が主張している議決なるものは、実際には存在しておりません。自民党が事後においてかってにでっち上げたものにほかならぬと思うのであります。(
拍手)
このような日韓条約は、たとえその批准が形の上で整えられたとしても、権力と謀略によって成立した条約は、
国民に対して何らの
権威を持つことも、国際的な信用を保つこともとうていできないことは明白であります。このような権力による力づくの決定が合法だというならば、およそ法自体は暴力の飾りにほかならなくなるでごさいましょう。かかる理由によって、われわれは、日韓条約は、その
内容においても
手続においても無効であり、不当であり、その不承認を宣言したのでありますが、佐藤総理は、一体いかなる理由によって日韓条約が有効に成立したと考えるのか、御所見を承りたいのであります。(
拍手)
私たちは、このように何が何でも押し切ろうとした
政府・自民党の態度の中に、はからずも日韓条約の裏にひそむ危険性と不安と疑惑をいまさらながら認識させられたのでありますが、さらに、もう一つ重要なことは、今回の暴挙を通じて佐藤総理の権力主義的体質が最も露骨に示されたことであります。聞くところによると、佐藤総理は、今回の衆参両院を通ずる強行採決にあたって、終始その先頭に立ち、みずから断を下したといわれておりますが、それは事実であるかどうか、総理から御答弁を願いたいのであります。(
拍手)
かりにその事実がないといたしましても、三回にわたる衆参両院における暴挙の責任は、自民党総裁である佐藤総理が負うべきものと考えるが、総理の御所見を承りたいのであります。
次に、佐藤総理は、参
議院において、
わが国議会史上未曾有の暴挙に対するわが党委員の質問に対して、ぜひ民主
政治を実現したいというのは私の悲願であり、
政治姿勢だと答えているのであります。一体、総理の言う民主
政治とは何なのか、その
政治姿勢についてどう考えているのか。あなたは、有言実行とよく言われますが、一体何を実行されたのか、あらためてお伺いしたいのであります。
さらにもう一つ、より重要なことは、今回の暴挙によって
わが国議会政治と民主主義がこうむった傷は、他のいかなる手段をもってしても回復しがたいほど大きいということであります。一
船田議長の辞任をもって問題をすりかえることは絶対に許されません。(
拍手)
議長の辞任は、それはそれとして当然のことではありますが、これをもって能事足れりとすることは、またしても、過去に行なわれた
政治的サル芝居の繰り返しにすぎません。もしも総理が、今後も議会民主
政治の存続を望み、その
権威を保持したいと念願されるならば、一日も早く
国会を解散して、
国民に信を問う以外にないと考えますが、総理の所見を伺いたいのであります。これは
政治の
基本に関する重大な問題でございますから、私は明確な答弁を要求するものであります。(
拍手)
以上のように、ひたすら権力と策略と口先のごまかしだけによって国政を専断しようとしている佐藤総理の
政治姿勢は、ひとり日韓
国会に限ったことではありません。たとえば、中期
経済計画の期間中は
公債は
発行しないと言明しながら、その舌の根もかわかぬうちに前言をひるがえしたこと、歩行者優先の
政治を強調した総理が、平然として軒並みの公共料金値上げを行なおうとしていること、初めはゆゆしい問題だと言った三矢計画を、いつの間にか機密漏洩の問題にすりかえて口をぬぐっていること等、
議会政治家としての資格がどこにあるかといわざるを得ません。(
拍手)
要するに、佐藤内閣は、悪名高いその兄岸内閣の反動性を引き継ぎ、
国民世論に挑戦して、戦後日本の平和と民主主義の大道を示した
わが国憲法に最も嫌悪と抵抗を感じている右翼保守反動勢力のとりことなり、
わが国の
政治を歴史に逆行する方向に引きずっていこうとしているのであります。まことに岸、佐藤御兄弟は
わが国の民主
政治、
議会政治の歴史の上にぬぐうべからざる汚点を残したというべきであります。(
拍手)この点について佐藤総理はどのような反省を持たれているか、御所見を承りたいのであります。
質問の第二点は、佐藤内閣の外交
方針についてであります。
佐藤内閣の外交が現実に行なっていることは、まず第一に、日韓条約の批准強行とアメリカのベトナム作戦に
協力することであります。それから最近では、国連総会においてまたしても中国の代表権阻止に走り回ったことであります。さらにまた、沖縄についても、さきに総理が沖縄を訪問した際、日本人である沖縄住民の陳情に出会うと、これに会うどころか、これを避けてアメリカ軍基地に逃げ込むというありさまで、沖縄住民の
最大の願望である沖縄の祖国復帰については何ら耳をかそうとしなかったのであります。
これらの事実から佐藤内閣について
国民の頭に浮かぶ姿は、要するに、佐藤内閣は、日本
国民はもちろん、アジアの
国民に対しても背を向けて、ひたすらアメリカ
政府に追従するという、非自主的な、しかも危険な外交を続けているということであります。現に、ある新聞はこう言っておるのであります。外務省が、ベトナム戦争に反対する新聞論調は日本
国民の声を代表していないという談話を発表したのに対し、日本の外務省はアメリカ国務省の東京支所と言われてもしかたがないと批評を下しているではございませんか。(
拍手)
そこで総理にお尋ねをしたい。その第一は、日韓条約を批准したとたんに、韓国
政府は早くも竹島に専管水域を設定いたしました。これこそ、わが党が特別委員会で追及し、日韓条約不承認で警告した、まさにそのとおりになったではありませんか。韓国
政府は、紛争処理の交換公文などはどこ吹く風で、竹島を占拠し、専管水域を設定し、ぐんぐんと既成事実を推し進めております。佐藤内閣が日韓条約は和解と友好の条約だと
国民に説明したその説明がすでに早くも事実によって破られております。佐藤総理は、一体韓国
政府に対していかなる抗議をし、日本
国民に対していかなる釈明をするのか、この際はっきりしたけじめをつけていただきたいのであります。(
拍手)
その第二は、佐藤総理は日韓条約批准は今後の外交の第一歩だと言われましたが、今後北朝鮮に対していかなる態度をとられるのか。北朝鮮とは国交断絶にひとしい現状をあくまでも続けられるお考えかどうか。また、アメリカはアジアに核兵器を持ち込み、日本をアメリカの核兵器のかさの下に入れようとしておりますが、佐藤内閣はこれに対していかなる態度で臨もうとしておられるのか。さらにまた、佐藤内閣はソ連との平和条約の締結ができるがごとく宣伝しておられますが、対ソ政策はどのように
発展するのか、この際明らかにしてもらいたいのであります。
その第三は、佐藤内閣は中華人民共和国の国連加盟を阻止する目的で、再び重要事項
指定方式の提案者となりましたが、その結果に示されたように、もはやこうした妨害行為は完全に行き詰まってきたのであります。そして来年四十一年には、国連から台湾を退け、中華人民共和国がその正当な地位に復活すべきであるとの主張が
過半数を制し、重要事項方式に賛成する者も少数者に転落することは明らかでございますが、佐藤内閣は、中華人民共和国の国連復帰の問題について今後いかなる態度をとられるのか、お伺いする次第であります。
その第四番目は、沖縄の問題であります。沖縄はすでに核基地となり、アメリカのベトナム攻撃が沖縄から直接実行されています。このことは、沖縄住民の生命、財産の重大な危険を
意味するものであって、アメリカが沖縄をベトナム攻撃の基地として使用すること、核兵器を持ち込むことに対し、
政府は直ちに抗議し、これをやめさすべきであります。そして、沖縄の祖国復帰を一日も早く実現することこそ、日本
政府の
最大にしてかつ緊急な責任であると思いますが、佐藤総理はどういうお考えでございますか。アメリカの代理者でなく、日本の総理として御答弁を願いたいのであります。(
拍手)
その第五は、佐藤内閣のアジア外交のあり方であります。佐藤総理は、口を開けばアジア外交ということばをお使いになられますが、その実行していることは、まさにアメリカの番犬であります。そして、アジア・アフリカの新興諸国を見下しておるのであります。その黄色いアメリカ人の役翻りがアジア・アフリカ諸国から非常な反発を招いていることは、先般アジア開発銀行の東京誘致が破れたことでも明瞭であります。(
拍手)これについて、総理並びに
政府を代表して
会議に出席されました藤山
経済企画庁長官はどのような反省を持たれているか、御答弁を願いたいのであります。黄色いアメリカ人の汚名をそそいで、アジアの一員としての外交姿勢をお持ちかどうか、責任ある所信をこの際佐藤総理から承りたいと思うのであります。
質問の第三点は、
経済財政の
基本方針についてであります。
佐藤内閣が発足したころ、すでに
わが国の
経済はいわゆる高度
成長の時期を過ぎまして、
景気後退の局面に入っておりました。そして、佐藤内閣の過去一年の歴史は、
わが国の
不況が深まる一方の一年であったのであります。
不況が深まるにつれて
企業の倒産が相次ぎ、そのしわが労働者に寄せられてきたのであります。現在では、大
企業といえども、一時帰休の
段階から首切りの
段階に移ろうとしておるのであります。しかも、このように労働者が、賃下げから、さらに進んで失業のあらしの中に投げ込まれている一方、物価はどんどんと上がってまいります。
昭和四十
年度の消費者物価の値上がりは、当初四・五%にとどめるという
政府の
方針であったのが、すでに八%から九%を突破することは確実であります。かつて、池田内閣の時代には、物価が上がっても、賃金がそれ以上に上がればよいなどと、無責任なことが言われましたが、現在では、いかに自民党
政府といえども、そのようなことさえ言えない状態になってしまったのであります。(
拍手)かつて、池田総理は、物価が上がるのは人間の値打ちが上がることを
意味するという珍妙な説を吐かれました。その池田内閣の政策を、佐藤総理は、人間への愛情がないと、りっぱなことばを使って批判をいたしました。しかし、その佐藤内閣のやっていることといえば、池田内閣以上の物価の値上げではございませんか。
国民を愚弄するにもほどがあると思うのであります。(
拍手)
佐藤総理は、内閣を組織してからこのかた、物価安定はその
最大の使命の一つであると、事あるたびごとに力説されております。ところが、佐藤内閣のやっている政策は、一体何でございますか。第一は、明年一月一日から消費者米価を引き上げることをきめました。第二に、同じく明年一月一日から健康保険料を引き上げることをきめております。第三に、明年二月十五日から国鉄運賃を引き上げることをきめました。第四に、明年一月十五日から私鉄大手十四社と東京の地下鉄の運賃を引き上げることをきめました。第五に、明年七月一日から郵便料金を引き上げることをきめたのであります。しかも、これらの公共料金の引き上げは、米価
審議会や運輸
審議会にかける以前にすでに
政府は決定するという横暴な態度で、まさに日韓条約案件を問答無用の一瞬間の万歳によって決定したあの暴挙と全く同じやり方であります。(
拍手)
公共料金の相次ぐ引き上げが、一般勤労大衆、特に低所得階層の
生活をいかに窮迫させるか、また、それが一般の諸物価をいかに引き上げる結果をもたらすか、これは私がここであらためて申し上げるまでもございません。こうした無謀な引き上げは、責任ある
政府としてできないはずだと思うのでございますが、
政府の
国民生活防衛のための具体策をお示し願いたいのであります。(
拍手)もしこうした
国民の
生活を守る具体策がないとしたならば、
国民生活を守る責任を有する
政府が、みずから先頭に立って
国民生活を破壊するものであって、これはまさに前代未聞の奇怪な事態といわなければなりません。
私は、佐藤総理に対して率直に申し上げたいのであります。これだけ物価を上げる佐藤内閣がこのまま政権の座に居すわれるなどと、もしあなたが考えておられるとしたら、それは責任
政治を忘れた、とんでもない思い上がりであって、政権を私視するものと言われても過言でないと思うのであります。(
拍手)この深刻な
不況のもとで平然として次々と公共料金を上げる内閣は、もはや、その一事をもってしても、政権の座にある資格は断じてなしといわねばならぬのであります。(
拍手)
そこで、総理にお尋ねいたしたい。第一に、総理は、
国民に対して、口では人間尊重と言いながら、これほど物価を引き上げたことについて、申しわけないとわびるおつもりがございますかどうか、お尋ねをしたいのであります。第二に、それとも総理は、物価が上がるのは、佐藤内閣の責任ではなく、池田前内閣の責任であって、自民党も佐藤内閣も何ら関知するところではないと考えているのかどうか。第三に、明年一月から予定されている一連の公共料金の値上げを、この際断固としてお取りやめになられるつもりはございませんかどうか、総理の確固たる御答弁を要求いたすものであります。(
拍手)
次に、もう一つの
財政経済に関する
基本問題として、
公債発行についてお尋ねをいたします。
池田内閣以来のここ数年間、自民党
政府は、
経済高度
成長の名のもとに、大資本のための公共投資優先の放漫な
財政膨張を続けてまいりました。その結果、一方では、先ほど申し述べましたような
インフレと物価騰貴が引き起こされ、
他方では、深刻な過剰
生産と
経済不況がもたらされたのであります。そのため
財政の
支出要因はいよいよ際限なく
拡大し、しかも税収のほうは大幅に収縮し、ここに必然的に深刻な
財政破綻が表面化してまいったのであります。これは、池田内閣から佐藤内閣に至る、自民党
政府の重大なる責任であります。しかるに、いまや佐藤内閣は、この責任に目をおおうて、安易な赤字
公債の
発行によって
財政破綻を糊塗しようとしておるのであります。
わが国の
財政の憲法ともいうべき
財政法の第四条は、
公債不
発行主義を定めております。この
財政法第四条は、かつての日本の歴史において、赤字
公債の
発行を裏づけとしてアジアへの侵略戦争が遂行された歴史的事実に対するきびしい反省から制定されたものであります。(
拍手)したがって、
財政法第四条は、憲法第九条の精神を受けたもので、それ自体が、日本
国民の平和への誓いを表現しているものであります。この
財政法第四条をじゅうりんして赤字
公債を
発行する佐藤内閣の
財政政策は、まさに憲法第九条を破壊せんとする佐藤内閣の野望と軌を一にしているといわなければならぬのであります。
現在、佐藤内閣は、アメリカのベトナム侵略戦争に
協力し、日韓台の東北アジア軍事同盟体制を総仕上げし、第三次防衛
予算を飛躍的に膨張させようといたしております。このときに
発行される
公債は、本質的に赤字
公債であると同時に、的には軍事
公債に
発展する性格を持つことになるでございましょう。(
拍手)
しかも、現在の
わが国の管理通貨制度と非正常な
金融情勢のもとにおいては、いかに
政府が
公債の
市中消化を唱えても、それは必ず直接間接に日銀の引受けとなり、日銀の信用と通貨を無制限に膨張させる結果とならざるを得ません。このことは、いよいよ悪性の
インフレーションを引き起こし、そのしわ寄せは、あげて勤労大衆に転嫁されることとなります。また、一たん
公債の
発行に踏み切れば、もはや何らの歯どめもなくなることと思うのであります。自民党や財界の中に、明
年度は一兆円の
公債を出そうとする有力な意見が台頭している、この一つの事実によっても、歯どめのないことは明らかでございましょう。こうした
情勢の中で
公債の歯どめが可能だというならば、納得できる具体的かつ有効な政策と根拠をお示し願いたいのであります。
さらにまた、
政府は、
公債発行によって大
企業のための
企業減税と産業基盤の整備をやろうといたしております。そういたしますと、
企業減税は法人地方税の
減収をもたらし、産業基盤整備の
公共事業は地方団体の
支出要因を大いに膨張させることになります。また、
地方債の起債市場の
資金が、
公債によって国へ吸い上げられることとなります。現在までに、
地方財政は、
不況による
交付税や地方税の
減収に悩み、また、
公共事業の超過負担に耐え切れずに、
公共事業を返上する地方団体もあらわれているのに、さらに
公債発行が行なわれれば、
地方財政は、まさに救うべからざる窮迫に追い込まれるでございましょう。その結果、地方自治は、いよいよ中央集権のもとに従属させられ、また、地方住民へは、地方税負担がいよいよ加重されることとなるでございましょう。これに対して、自治大臣はどのような御所見を持っておるのか、承りたいのであります。
しかも、
公債の元利は、将来の勤労大衆の
租税負担によって償還されるものでありますが、今
年度二千六百億円、明
年度七千億円、その次は一兆円と、
公債を
発行していけば、その元利を償還するための
国民の
租税の負担は、数年にして倍増されることは必至であります。先ほどの
福田大蔵大臣の提案理由の説明を聞きますと、
公債発行によって税金が下がるなどと言っておりますが、とんでもないごまかしであるといわざるを得ないのであります。(
拍手)そして
公債発行による
インフレの高進は、必ずや近い将来において、
国際収支の重大なる悪化をもたらし、かつてのドッジ政策のように、きわめてドラスティックなデフレ政策をとらざるを得ない時代が、必ずくると思うのであります。そしてそのときこそ、さらに重大な大衆の窮乏と
経済の破綻がくるでございましょう。したがって、
公債発行は、大
企業の階級的利益に奉仕し、勤労大衆を物価高と重税で苦しめ、
地方財政破綻を招き、しかも、日本
経済の将来に重大な危機をもたらす最悪の政策と断ぜざるを得ません。(
拍手)
そこで総理にお尋ねをしたいのであります。
第一は、言うまでもなく、今日の
財政破綻をもたらした重大責任は、まさに
政府にあります。総理にもしも一片の良心がございますならば、この
意味においてもいさぎよく佐藤内閣は総辞職をすべきではないかと思うが、いかがでございますか。(
拍手)
第二に、そしてこの際日本社会党が提示しておりまするように、断固として
財政法第四条を守り、赤字
公債の
発行を取りやめ、本
年度の
財政赤字は、不急不要の
支出の大胆な削減と、歳入において取るべくして取っていない税金を大
企業や高額所得者から厳正に取り立て、必要な税収を確保することによって、長年自民党内閣の誤れる政策によって破綻した日本の
国家財政の危機を
克服すべきであると思いますが、総理はいかがお考えでございますか。(
拍手)
第三に、したがってまた、
政府のこの第三次
補正予算案も直ちに撤回されて、
国民の要求に基づいて抜本的に
編成し直して、出直すべきものであると思いますが、この点いかがでございますか。(
拍手)
以上の三点について、総理並びに
大蔵大臣、
経済企画庁長官の答弁を要求いたすものであります。
最後に、もし
政府にしてあくまでも
公債発行をやるというのであれば、これは戦後二十年の
財政政策の重大な転換でございますがゆえに、これこそ
国会を解散して、
国民に信を問うべきであります。(
拍手)その
決意が総理にあるかないか、総理の所信をお尋ねいたしまして、私の質問を終わる次第であります。(
拍手)
〔内閣総理大臣佐藤榮作君
登壇〕