○竹谷
委員 この問題については、
あとで
自治大臣に質問をし、またこういう問題の今後根絶をはかるための方策等について
政府の所見を承りたいのでありますが、時間の関係で、次に、本日の問題となっておる
塚田事件を不
起訴にした、その問題について
お尋ねをいたしたい。
四月十二日の
新聞によれば、十一日の日に、
伊尾検事正が証拠不十分でこれを不
起訴にしたということを言っております。すなわち謀議をした事実、あるいは
知事が県議に金を渡すとき、
選挙ではよろしくとはっきり
選挙を意識して渡した事実の証拠があげられない。よって、
公訴の
維持が困難であるから不
起訴にするというので、一応これは証拠不十分で不
起訴ということにしておりますが、どうもずっと当時の
新聞記事等を見ましても、黒だということはほとんど常識的になっておった。そこで不
起訴という発表があったので
新聞記者は非常に驚いた。いろんな
新聞にそれがあからさまに出ておるのでございますが、これはむろん
起訴するを疑うに足る事実がありましても、刑事政策上、便宜主義によって不
起訴もしくは
起訴猶予にする場合もある。それなら犯人の身分なり、状況なりあるいは金額なり、その他によって不
起訴にしたという便宜主義をはっきり言えばいいのに、証拠不十分に持っていったということについて私は非常に納得がいかない。これは非常に問題になって、それを注視しておった
新潟県民からいうと非常に
疑惑になっておるだろうと思うのです。かつて造船汚職疑獄
事件のときに検事一体の原則によって検事総長はこれを
起訴に固めた。しかしこれに対して
政府は不
起訴の指揮権発動をやりました。検事はむろん
検察行政であって司法とは違いますけれ
ども、一般
行政とは半独立した形でありまして、これがどうしても
起訴するという場合に、
政治的に
政府が不
起訴にしようと思うならば、それはこの指揮権発動によってやればよろしい。そこで検事はその
責任を負わなくなる。このように明瞭な黒の
事件を証拠不十分だというような法律上の
理由にかこつけて不
起訴にしたということになりますと、これは検事には非常な不満があるのではないか。便宜主義いわゆる刑事政策上やった、法務大臣、
総理大臣が相談を受けて裏の
指導によってそうやったということであれば、またこれは指揮権発動ほどでなくとも
責任は
政府が負わなければならないので、検事という公正な
立場の者を
国民に疑わせないで済む。私は日本の裁判所は非常にりっぱだと思う。これに準じて日本の
検察陣もなかなか公正でりっぱだと
信頼をしております。このりっぱな検事に対して、いささかなりとも
国民に
不信の念を抱かせるということは非常に残念である。むしろ指揮権発動なりあるいは刑事政策上、便宜主義によって不
起訴にしたということであれば、これは検事としては大いに慰めるところあるであろうと思う。日本の大きな
検察行政という経緯からいって非常に残念に思う。
総理大臣は、検事警察が一生懸命不眠不休でやっておる。大いに
信頼をし、またその
努力を賞揚しておられますが、裁判所並びに検事が正しい司法並びに
検察行政を行なうということは、何といっても日本の正義を守る最後のとりでである。そういう観点から見てこれは事、非常に重大であって、この問題について
総理はいかに
考えられるか、あなたは造船汚職疑獄
事件のときの経験があるので、身にしみてこの点についてはお
考えを持っておられるだろうと思うので、その御所見をお伺いしたいと思います。