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田中(織)
委員 その点は特に慎重にしていただかなければ、特に労働事件の
関係については、他の民事事件とは別なやはり取り扱いをすべきものだという
意見が
——これは法曹
関係の中にも
意見が分かれていると思うのでありますけれ
ども、私、いま見ますと二十八年の当時の清原事務次官からの
照会に対する日弁連
事務総長の回答文の中では、労働事件、家事事件については特殊な性質を帯びていることには異論がないけれ
ども、現在の件数から見て、別個の
機関を設ける必要はないというような
意見が出ていますけれ
ども、最近やはり労働争議等に関連して出てくる仮処分等で、問題が相当起こっておるわけです。そういう
意味で、いま申されたように、これはやはり個性に基づいて
執行官がきまるということをあまり広げないようにしていただかないというと、弊害が起こるんではないかと思って、御答弁をわずらわしたわけなんです。
そこで関連して、これも
強制執行制度全体のことで問題になるし、
一つは従来の執達吏役場の
関係で問題が出ているのですけれ
ども、俗に立ち会い屋と言っている、こういう
関係の問題は、もちろん現在の民事訴訟法によりますと、具体的にあるいは証人なり立ち会い人、差し押えに行って、成年の人がいない場合の、警察官であるとか、あるいは成年以上の人間の立ち会いを求めるという規定がありますけれ
ども、仮処分の場合には、えてして
執行吏に伴いまして相当な
人員が繰り出されるわけなんです。
具体的には本年の一月の二十七日の夜中から二十八日の未明にかけて、京都で文化厚生会館の管理権の問題で、私
どもの
関係しておる部落解放同盟の京都府連の
関係と、部落問題研究所との間で仮処分問題が起こった。しかもそれが異例の夜間
執行ということになったのであります。所轄の、川端署でありましたが、機動隊が約百名出動しているほかに、
執行吏のほうでいわゆる立ち会いの名義だと思うのでありますけれ
ども、約五十人の人夫を伴って来ているのであります。そのために、かつて本
委員会の
委員でありました坪野君が弁護士として私
どもの
関係の訴訟代理人として、その仮処分に反対の立場で結局現地で徹夜したという
関係もある。
あとで調べてまいりますと、その五十人の、暴力団と言うと語弊があるかもしれませんが、釜ケ崎の立ちん坊を連れてきているのですね。日当が二千円というのです。これは現在の場合においては、いわゆる
執行吏の要請に基づいて、
債権者のほうでその
執行を確保するために、もちろん
執行吏との間の話し合いで、そういう者を動員してきたのだと思うのであります。夜間
執行の
関係でありますから一人二千円ずつで、その人夫の費用だけでも十万円だ。これは仮処分申請者のほうでは、かつて裁判官であった青木英五郎氏ほか三名の弁護士が立ち会いました。私のほうの
関係では坪野君ほか一名の弁護士が立ち会ったのでありますが、そういうような
関係が、先ほど申し上げました三井三池の場合におきましても、
執行吏に伴うそういう
人員、あすこは炭鉱地帯でありますから町の暴力団であるとかいうような
関係から、四山鉱では組合員が刺し殺されるというような問題が、これは
強制執行に関連してでありますが起こっております。今度はこの
法律によって
執行吏は
執行官ということで、より
国家公務員である、ことに
裁判所の
職員であるという性格が明確になっての場合だし、
法律によりますれば、そういう場合に威力を用いて抵抗があるというような場合には、警察官の立ち会いということが法で認められておるわけでありますけれ
ども、現実にはそういう形で暴力団なり、あるいは釜ケ崎の立ちん坊というような、そういう日当目当てで、したがって何をやるかもわからぬ、そういう者を従来の
執行吏は従えてやはり職務の
執行をやっている、こういう
実情があるわけなんです。したがって、この法
改正にあたっては、当然そういうことはないように
——これは従来はいわゆる
債権者となる
人たちから、
債務者の立場からやる場合もあると思いますけれ
ども、
執行を
申し立てた人間が費用を分担することになってきているから、勢い便宜的な、そういうことが起こるのでありますが、最近なまなましい問題としてそういうことが起こっておるわけなんです。今度はまさか
裁判所でそういうものまで費用の予納だというような形のことは、法の上からは出てこないと私は思うのでありますが、現実には従来はそういうことをやっておるわけであります。また執達吏役場というものは今度は
廃止になるからいいようなものでありますけれ
ども、そこには競売屋であるとかいろいろな連中がおるところに、
一つは
執行吏制度改正の問題が出てきたので、今後はそういうような悪の温床にもなるという役場がなくなって、
裁判所にじかで執務するということになっておるのですから、そういう弊害はなくなると思うのでありますが、そういうようなことについてまで当局はお
考えになっておられるのかどうか、あわせて伺っておきたいと思う。