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1966-05-10 第51回国会 衆議院 法務委員会 第34号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年五月十日(火曜日)    午前十時五十三分開議  出席委員    委員長 大久保武雄君    理事 大竹 太郎君 理事 小島 徹三君    理事 濱田 幸雄君 理事 井伊 誠一君    理事 坂本 泰良君 理事 細迫 兼光君       鍛冶 良作君    四宮 久吉君       田中伊三次君    高橋 禎一君       千葉 三郎君    中垣 國男君       濱野 清吾君    神近 市子君       横山 利秋君    稲富 稜人君       志賀 義雄君    田中織之進君  出席国務大臣         法 務 大 臣 石井光次郎君  出席政府委員         検     事         (大臣官房司法         法制調査部長) 鹽野 宜慶君         検     事         (民事局長)  新谷 正夫君  委員外出席者         専  門  員 高橋 勝好君     ————————————— 五月十日  委員早川崇君、森下元晴君及び西村榮一君辞任  につき、その補欠として高橋禎一君、鍛冶良作  君及び稲富稜人君が議長指名委員選任さ  れた。 同日  委員鍛冶良作君、高橋禎一君及び稲富稜人君辞  任につき、その補欠として森下元晴君、早川崇  君及び西村榮一君が議長指名委員選任さ  れた。     ————————————— 五月七日  鹿児島地方法務局蒲生出張所存置に関する請願  (村山喜一君紹介)(第四一八五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  借地法等の一部を改正する法律案内閣提出第  一三五号)  執行官法案内閣提出第一四九号)      ————◇—————
  2. 大久保武雄

    ○大久保委員長 これより会議を開きます。  借地法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。横山利秋君。
  3. 横山利秋

    横山委員 大臣も先ほど理事会の協議をお聞きになったと思うのでありますが、この借地法等の一部を改正する法律案について、本委員会におきまして与党、野党諸君の非常に熱心な質問がございまして、特に私どもが心配をいたしました点は、この法案というものの趣旨からいって、いやしくも地代家賃の便乗的な値上がりをもたらさないようにしてもらわなければ困る、こういうことをくどく申し上げたのでありますが、その点について大臣法案立案過程並びにわれわれの質問過程においてどうお考えでございますか、御所見を伺いたいのであります。
  4. 石井光次郎

    石井国務大臣 この法案を提出いたしました趣旨は、借地借家人の権益を守り、また同時に無謀な借地借家人等がありますれば、貸し地貸し家人を守るというたてまえでございます。こういうものが出まして、これに便乗いたしまして不当な行動をとるというようなものを守る趣旨でないことは当然のことでございます。いま横山さんのおっしゃったような点は、十分私ども法によって守っていけるものだと思っております。またそういうふうな行動に出たものがありましたならば、必ずこれは法によって守っていきたいと思っておるわけでございます。
  5. 横山利秋

    横山委員 本法案審議過程におきまして、各商工会議所等から本案に対しまして反対の陳情がございました。反対をいたしますゆえんのものはいろいろありますけれども、要するにこの法案地主並びに大家の利益を阻害するおそれありという趣旨だと私どもは考えられるのであります。つまり裏を返して言えば、この法案地主家主利益を擁護するために出されたものではない、むしろ借地借家人の完全な立場とは言いませんけれども借地借家人のことを考えながら立案をされた、こう推定をできるのでありますが、その点御異存ございませんか。
  6. 石井光次郎

    石井国務大臣 これは提案の趣旨を説明申し上げたとおりでございまして、近来借地借家に関連いたしましていろいろな紛争が非常に多くなりまして、何とかしてその紛争解決し、しかもその紛争を早く解決いたしたいというようなことを考えまして、そのためには借地借家人も、また貸しておるほうの側も両方ともの立場を十分考えながら、これの解決をはかるということが当然のことでございまして、どちらに偏するということはない心持ちで私どもはやっていかなければならぬ。いま申しました紛争解決、それを迅速にやっていって、そして当事者がまずまずここいらならばよく解決の道を講じてくれたと言えるような方向に持っていくのがこの法の趣旨でございます。
  7. 横山利秋

    横山委員 ちょっとその辺まだ大臣はっきりおっしゃらないのでありますが、少なくとも先ほどお話にあったように、いやしくも地代家賃の便乗的な値上がりをもたらさないのである、こうおっしゃり、この賃借権物権化前提とする改正であるとか何とかいう地主家主側反対意見があるということは、客観的にいって本法案借地人借家人立場を十分に尊重をしつつあるというふうに判断ができるのではありますまいか。その点、どちら側でもないと言ってぽかされることによって、あなたの先ほど言明をなさった足して二で割る——地代家賃の便乗的な値上がりにも足して二で割るような感じにとられてならぬのでありますが、その点を明らかにされたい。
  8. 石井光次郎

    石井国務大臣 これはさっき申しましたように、この借地法というものが大体において借地借家という立場にある人をどうやって守るかということで、これはあなたのおっしゃるように、この方面を守るということが土台になっておると思うのであります。しかし、そういうふうな精神であるからといって、貸すほうの側の利益をめちゃくちゃにいいかげんにすることは当然できないことであります。そのほうの側の利益もちゃんと守ってやる、そして話し合いをつけて紛争をなくするということでございまして、あなたのおっしゃるように、借地借家人利益を守るということが非常に大事なことであることは当然に考えておることでございます。
  9. 横山利秋

    横山委員 途中まで聞いたことと最後の話とはちょっと感じが違うのです。だめを押して恐縮なんでございますが、本法案借地借家人立場というものを十分に考えておる、そして商工会議所地主家主等利益を代表する反対についてはこれを押えて本法案を提案したのだ、こう言ってもらえばすぐ次に行くのです。どうもくつの上から足をかくような感じがしてならないのでありますが、最後にもう一言、審議促進のために明快なる答弁を願います。
  10. 石井光次郎

    石井国務大臣 何度も同じことを申し上げるようでございますが、借地借家人立場が不当に侵されないようにするのが根本であることは当然でございます。同時にまた貸すほうの立場にある人の利益が侵害されるということは、決して認めるべき筋でないのでございまして、このほうの利益も守るというのは当然のことでございまして、そういうたてまえになっておるということを申し上げたわけでございます。
  11. 横山利秋

    横山委員 この前私が調査をお願いしておきました件について御報告を受けたいのですが、五月四日の中日新聞によりますと、海底私有地の問題が名古屋ではたいへんな話題となっておるのであります。これによりますと、名古屋市港区南陽町におきまして「広さ百十七万五千平方メートルの海底名港管理組合私有地があるのを知らずに、さる三十九年五月、西一区埋め立て地として、ここに商港ふ頭を建設すると発表、すでに運輸省の港湾審議会でも認められ、あと埋め立て認可申請をするばかり。計画では七十二・六万平方メートルを埋め立てるというが、私有地はこれをすっぽり包んでいる。この土地は、いつごろ水没したかはっきりしないが、明治三十四年以降、個人名義登記されていた事実が、名古屋法務局蟹江出張所鈴木孝次所長)に残っている。土地台帳をみると、その間十二回も転売され、戦後、愛知県海部郡十四山村、住職Aさんの手に渡り、Aさんは、親族十二人の名義で分割、私有した。しかし、昨年九年末、名古屋市中区内の某不動産会社に二億数千万円で売る契約をし、さる二月二十四日、名古屋法務局蟹江出張所所有権移転登記をした。双方とも、海面下土地であることを承知のうえ、売買した。」本件につきまして「千葉法務局千葉建設事務局の問い合わせにたいし「春分秋分の日の満潮時に、海面下に没する土地には所有権は認められない」と答えた例がある。このため同出張所が、ことしの春分の日の満潮時に現地調査してみると、大部分が水没していることがわかった。」大部分ということは一部海面上にあるということでありましょう。「しかし同所の位置を示す正確な図面がないばかりか、現場の地理も昔とすっかり変わっているため、水没区域を測るのはむずかしいとしている。この四月、愛知県庁の倉庫で明治十七年作成の現地測量図がみつかったが、私有地の地形は現在のものと相当違っており、どちらが正しいかわからないという。Aさんは三十八年度までこの土地固定資産税を払ってきたが、埋め立て計画の発表された三十九年、課税対象から除外された。港区役所南陽支所が、自治省から「海面下土地はこんご課税対象にしない」という通達を受けたため、調査のうえ課税台帳からまっ消したもの。しかしAさんは「三十八年まで納税したのは所有権が認められていた証拠」と主張する。管理組合もうかつではあったが、Aさんも“いまさらあとへはひけない”というわけ。」そこで鈴木名古屋法務局蟹江出張所長談話では「大部分海面下に没しているが、残っている陸地を無視できず、できるだけの調査をする。」と答え、前田名古屋管理組合管理者談話では、「埋め立て計画は全体に手控えており西一区はとくに急ぐ必要もないので結論が出るまで静観する。」とあります。要するに海底土地私有地であって、そして海面は公海であるから国のものであるという争いであり、しかも私有地人たち固定資産税も払っておった。  この新聞以外に調査をしたところによりますと、新聞に載っておりますこの土地不動産会社が二億数千万円で買ったというのでありますが、そのほかにいま現地で農業その他をやっていらっしゃる人たちでこの海底下における私有地をまだ持っておるそうでありまして、その人たちの分は、話によりますと名四国道建設の際に自分の所有地から土砂を上げさせて、道路公団から百数十万円の補償金を受け取った、そしてその百四十七万円はすでにそのまま南陽農協に貯金をしてある、土地図面津島土木出張所にあるということを言うておるわけであります。したがいまして、先般私が五項目ですかにわたって質問をいたしまして御調査をお願いしたのでありますが、理論的にもなかなかむずかしい問題でありまして私としてもいささか判断に苦しんでおるような次第であります。しかしながら、このままでは国並びに管理組合計画をいたしております商港埠頭を建設することが事実上困難でありまして、国並びに地方自治体としては非常な問題になってまいりました。この際、蟹江出張所長調査をすると言っておるのですが、法務局調査権並びにそれに対する認定権等は一体どういうことになるのか、それらを含めて調査の結果の御報告をいただきたいのであります。
  12. 新谷正夫

    新谷政府委員 問題の名古屋市港区南陽大字藤高新田字千鳥地先と申しますか、この地区の海没しております土地の問題が現在問題になっておるようでございます。前回の委員会におきまして五項目にわたりまして調査するようにということでございましたので、さっそく現地のほうにも連絡いたしまして調べましたところをお答え申し上げたいと思います。  まず最初に、登記制度形式審査主義になっておるが、これがはたしていいのかどうかという点でございます。これは一般論としてやはり頭に入れておかなければならない問題でございますが、現在のわが不動産登記制度と申しますのは、御承知のように民法によりまして不動産物権変動いたしましたときに第三者に対抗するための要件として登記制度というものができておるわけでございます。対抗要件でございますので、実質的に権利変動があるかないかということは、登記制度とは別個に当時者間の契約その他の法律行為自体によってきまる事柄でございます。実質的に権利変動があったということを前提にいたしまして登記をいたしますれば、第三者にその権利変動をもって対抗できる、こういうことになっておるわけでございます。したがいまして、登記所といたしましては、当事者間の契約が有効であるかどうかというふうなことを実質的に審査する権限は与えられていないわけでございまして、ただ実質上の契約その他の法律行為に基づきまして、権利変動がありました場合に、それを前提として原因証書をつけ、申請書をもって登記所登記申請がございますれば、その書面上の審査だけで登記を受け付ける、こういう仕組みになっておるわけでございます。これを実質審査主義をとりますと、契約そのものが有効であるかどうかということまでも登記所審査することになるわけでございます。そういたしますと、権利変動そのものが単に意思表示だけではなくて、登記がその権利変動の一つの要件として加わってまいるわけでございます。登記しなければ所有権も移転しないというふうな仕組みになるわけでございます。これはどちらがいいかということは非常に大きな問題でございますけれども登記制度ができまして以来わが国におきましては、対抗要件としての不動産登記制度を採用いたしておるわけでございます。そういう観点で、これがいいか悪いかということはもっと根本的に検討した上でないと何とも申し上げられませんし、また長年にわたりまして現在の形式審査主義不動産登記制度のもとにおいて不動産登記が行なわれてまいりました経緯にかんがみましても、いま早急にこれがいけないということを打ち出すとともいかがかというふうに考えられるわけでございます。  そこで、登記制度に関連する問題といたしまして、かつて土地台帳制度というものがございました。これは昭和二十五年に税務署から法務局に移管されまして、現在それを法務局で取り扱っております。この土地台帳制度と申しますのは、御承知のとおり地租徴収のための課税台帳でございますので、一応税務官署におきまして一定の土地をだれが持っておるかということを帳簿上明らかにしておいて、これを課税台帳として税金を徴収する、こういうことになっておったわけでございます。これは明治の初年の土地制度の改革のとき以来税制を中心にいたしまして個人所有権の問題が整備されてまいりましたわが国不動産制度経緯にかんがみまして、この土地台帳制度を基礎にしまして、その上に不動産登記制度が乗っかっているという形をとっております。したがいまして、土地所有権がどこにあるかということは、むろん実態的にきまるべき問題でございますけれども、法的に公証される公簿といたしましては、まず土地台帳にこれが登録されまして、それでその物件が特定いたすわけでございます。さらにその特定した物件につきまして所有者変動いたしますれば、今度は登記のほうに移りまして不動産登記によって権利変動対抗要件が備えられる、こういうことになっておるわけでございます。  そこで、土地が一体あるのかないのかということがまず問題になるわけでございます。これは建物についても同様のことが言えるわけでございますけれども土地がはたしてあるのかないのか、またあったとしてもその土地範囲はどの範囲のものであるか、またどの程度これが特定されるものであるかということが、これがまず台帳制度によってきめられるわけでございます。こういう仕組み昭和二十五年に法務局のほうで受け継ぎまして、現在それをやっておるわけでございます。  なお、その間におきまして、この登記制度土地台帳制度というもののつながりを考えまして、国民に二重の手数をかけることを省き、事務簡素化をはかりますために、台帳制度登記制度との一元化ということを考えまして、不動産登記制度の中にその台帳制度趣旨を取り込みましてこれを一本化するということになりまして、現在その作業が約半ば進捗いたしておる実情でございます。  そこで、登記所といたしましては、この土地がはたしてあるのかないのかというのが本件の問題でございます。こういったことについても調査権限土地台帳制度以来引き継いで登記所が持っておるということになるわけでございます。ただ、実際問題といたしまして、全国のすみずみにまで及びます土地につきまして、これは公簿上把握はいたしておりますけれども、具体的にどこの土地がどうなっておるかということは必ずしもすべて登記官の頭の中にあるわけではございません。問題がありますつど調査いたしまして、適正な帳簿上の処理を行なっていくということにならざるを得ないわけでございます。したがいまして、土地として、陸地の一部として存在したものが海中に没してしまったというふうな場合、これをどう処理するかというふうなことにつきましても、いろいろ調査いたしまして登記所でこの処理をいたすわけでございます。  そこで、新聞によりますと千葉法務局照会に対しまして、法務省民事局から回答が出ておるということでございますが、これは新聞の報道がやや正確を欠いておるようでございます。私どもの調べましたところでは、昭和三十一年の十一月十日に民事局長事務代理熊本地方法務局長に対する回答がございます。この内容がただいま新聞で伝えられておりますものと全く同一のもののように考えられるわけでありまして、この照会趣旨は「干満の差のある海面に臨接する土地境界線は、満潮時の線、干潮時の線、またはこの両者の中間線のいずれを取るべきでしょうか。」というのがこの照会趣旨でございます。これに対しまして、回答は「陸地公有水面との境界は、潮の干満の差のある水面にあっては春分秋分における満潮位を、その他の水流水面にあっては高水位標準として定めるべきものと考える。」このように回答いたしております。これが新聞に報道されておりますものであろうと考えられるわけでございます。  そこで、陸地公有水面境界をこういうふうに春分秋分における満潮位をもってきめるということは、一体いつごろからそういうふうになっておるのか、また解釈がそれで正しいのかという御質問であったように思いますが、これはもうつとに大正十一年に内務省から各省次官あて、さらに各地方長官あてに通牒が出ておりまして、これが全く同一趣旨でございます。「陸地公有水面との境界は、潮汐干満の差ある水面に在りては春分秋分に於ける満潮位、其の他の水流水面に在りては高水位標準として之を定むるものとす」、全く同じことになっております。民事局回答もこの先例を踏襲いたしまして回答したものと思うわけでございます。いろいろこの点につきましては昔から問題があったようでございますが、学説上も大体ただいまのような考え方が定説になっておるようにうかがえるわけでございます。そういう趣旨から熊本法務局に対しまして昭和三十一年に回答を発したわけでございます。したがいまして、春分秋分満潮位以下に没します土地は、これはいわゆる土地として扱うものではなくて、海の一部として取り扱うということになろうかと思うのでございます。  それから次の点でございますが、海の上砂を採取して、これを道路建設に充てて、その対価を取得しておるという事実があるようでございます。このことにつきましては、法務局側として調査する方法はございませんでしたが、おそらくこれは海の土砂を採取いたしたものといたしますならば、海岸法規定がございまして、海岸法の第八条に、海岸保全区域におきまして土石、これは砂を含む趣旨でございますが、土石を採取するものは、海岸管理者許可を要すということになっております。海岸管理者は原則として都道府県知事、さらに特別の場合には市町村長管理者になるように海岸法で定められておるようでございます。その管理者許可を受けまして採取すれば差しつかえないわけでございます。これをおそらく道路公団に売ったのではないかと思います。その売ったことに対する対価を有数十万円受け取ったということでございますれば、これはおそらく成規の手続を経てそのような措置をいたしておるのではないかと考えられるわけでございます。ただ、海の土砂を他人に売ったからということのみによって、その海中に没しておる土地所有権の問題が、直ちにそれによって左右されるというものではあるまいというふうに考えるわけでございます。  それから残った陸地調査をするという点でございますが、これは一番大事なところになろうかと思うのでございますが、私どもの調べましたところによりますと、南陽町の大字藤高新田の中に、さらに小字がございまして、これに藤高前というところと、問題になっております本件千鳥地区というのがあるようでございます。この現状がどうなっているかということはちょっと問題と申しますか、明治の初年以来、だいぶ変わっておる点もあるようであります。昭和四十一年の二月二十四日の新聞に報道されましたように、ある不動産会社が十二筆の土地を買いまして、その登記をいたしたわけでございます。この登記をいたしますのは、先ほど申し上げましたように、売買契約書があり、申請帯がそれに一致し、不動産登記簿と符合いたしますならば、この登記は受理せざるを得ないわけでございます。これは形式的審査主義をとっておりますたてまえ上、登記所としては当然やるべき筋合いのものでございます。ただ、土地がもしも海面下に没しておるということになりますと、これがはたして土地として扱えるかどうかということが次の段階で問題になるわけであります。そこで、この調査が必要になってまいるわけでございまして、現在、その点の調査法務局としていたしておるというのが実情でございます。  そこで、現在までやっておりますことを私どものほうで聴取いたしましたところを御報告申し上げますと、旧土地台帳のほうの調査をいたしたようでございますが、これは明治十九年から十年間にわたりまして、継年期という、当時の地租法上の措置だろうと思いますが、そういう登録がなされておるのでございます。したがいまして、明治十九年当時においてこの土地があったということが一応うかがえるわけでございます。それから本年の三月二十一日十七時五十六分、正確には春分の日の満潮時でございますが、この時点におきまして、登記所長と関係の事務官現場へ参りまして調査いたしましたところ、問題の、この千鳥地区というところが海面下に没しておるということを現認いたしておるわけでございます。  さらに、地方税法上の扱いがどうなっているかということを調べたのでございますが、昭和三十九年の六月二日に、課税客体からこの地区が除外されているということが判明いたしました。これは本年の四月八日ごろに登記所のほうで調べた結果、わかったわけでございます。ただ、地方税法の三百八十一条第七項というのがございまして、これによりますと、登記簿に記載した事項が事実に相違するために、課税上支障が生ずるときは、市町村長登記所にその修正その他の措置をとるべきことを申し出ることができるという規定があるわけでございます。ただいまのように、すでに海面下に水没いたしまして土地でなくなっているということになりますと、当然市町村長のほうからその趣旨の通知か、あるいは申し出があるべき筋合いであったろうと思われるのでございますが、そういう措置がとられていなかったということも判明いたしたわけでございます。  それから、地方自治法の二百六十条によりますと、市町村の町または字の区域を新たに画し、廃止し、変更しようとするときは市町村長知事にそのことを届け出ることになっております。知事が告示をいたしまして、それによってその区域の設定、廃止、変更が効力を生ずる、こういうことに地方自治法ではなっておるわけでございますが、そういう措置もとられていないということが判明いたしたわけでございます。  さらに、愛知県庁におきましていろいろ古い文書を調べてみましたところ、千鳥地区の地籍、字、分全図というものが保管されていることがわかったわけでございます。これは明治十七年一月調べというふうにその図面に書いてあるようでございます。尾張の国海東郡藤高前新田と書きまして、問題の土地が分全図に残されておる、こういうことがわかった次第でございます。  さらに、その後、例の伊勢湾台風がありましたときに、問題の土地藤高地区との境界になっていると認められます堤防が設置された。その前にも、一、二回堤防の改修工事が行なわれたようでございます。その際に、この千鳥地区藤高地区との双方の関係がどういうふうに動いているものか、あるいはそのままで堤防の改修のみをやったのか、その辺の経緯が少し判明いたしませんので、これを現在まだ調査いたしているようでございます。なかなか古いことでございますので、必ずしも十分な資料が関係当局に——これは建設省の中部地方建設局のようでございますが、ないようでございますので、まだ少し時間をかけなければならないということでございます。  さらに、今後の方針といたしまして、名古屋市長に対しまして、名古屋市の区域について、この地区を中心としてどうするかということを照会し、さらに、元南陽漁業協同組合に対しまして、千鳥地区におけるノリ漁等の実態がどうなっておったかということも、沿革的に重要な問題でありますので、こういうことも調べたい。さらに、名古屋港の管理組合管理者に対しまして、名古屋港の港湾区域等がどういうふうに変遷しているかということも照会してみようという準備を現在いたしております。また、建設省中部地方建設局の堤防改修の際における状況が、ただいま申し上げましたように必ずしも明白ではありませんので、海岸法に基づく海岸保全区域の指定について調査して、その保全区域台帳あるいは地図の閲覧をしてみよう、こういうことを考えております。さらに、堤防改修のときの図面、あるいはその他のいろいろの資料を収集する。さらに、行政区画の沿革、特に、千鳥地区がもしも沿革上変更されておるということであれば、これも一つの参考になりますので、こういうことも調べる。さらに、愛知県で保管しております先ほどの地籍、字、分全図が作成されて現在まで残されている経緯がどういうことに基づくのか。さらに、堤防内の陸地につきまして、昭和三十一年の四月十一日に換地処分が行なわれております。この換地処分前後の土地の状況も、調べますれば、大体のことが判明するのではないかということで、現在、そういったもろもろの方面から、この現地実情調査にかかっておるわけでございます。その調査の結果を待ちまして、もしもいま問題になっております千鳥地区登記対象になりました地区が、海面下に没しておるということになりますと、これはすでに土地とは言えないことになりますので、台帳上これは消除する手続をとらなければならないわけです。これは境界も判然といたしませんし、調査いたします事柄がたくさんございますので、そういったことを登記所として可能な限り調べました上で、処理いたしたい、こういうふうに考えておるようでございます。
  13. 横山利秋

    横山委員 非常に詳細な調査を感謝し、一、二お伺いしたいのですが、先ほどの中で、海の土砂道路建設に当てた事実がある。それは道路公団へ売って、対価をもらったならば、正規のものだろうが、しかしそれが海面下のものであるならば、私有地とは考えられないというお話であります。  私の調査したところによりますと、南陽土地改良区と下之一色十一人の地主は、約四十八町六反の土地を折半にて所有。南陽町は代表鈴木春吉氏が分割登記をしてある。下之一色は伊藤由太郎氏は二口、西川佐太郎氏外九名は一口ずつ所有しておる。これらは名四国道開通時一町七反七畝七分を割譲、なお名四道路より以南の土砂を名四道路完成のためにポンプ船二隻にて吹き上げ、完成に協力し、代金百四十七万円はそのまま南陽農協に貯金してある。土地図面は沖島土木出張所にある。千葉の事件とは違い、海面より出ていたことは立証できる。ですから、いまあなたの御説明は、仮定の立場で結論されたのですが、海の下の土砂を吹き上げたのであるならば、これはいけないとおっしゃったのですが、この調査したところによりますと、一つには、自分たちの登記された、きちんとした土地であったこと。それから千葉の事件とは違い、海面より出ていたことが立証できるということ。だとすれば、この不動産会社に売った土地とは違いまして、この事案につきましては、私有地土砂をポンプ船二隻で吹き上げて、名四国道に協力をし、代金をもらった。このために沈んでしまったかどうかは、ちょっと私もわかりませんが、そういう事実があるとするならば、これはどうですか。先ほどの仮定の結論ではありますが、少し結論が違ってくるようになりませんか。
  14. 新谷正夫

    新谷政府委員 さいぜん申し上げましたのは、海岸法に基づく土石の採取権に基づいて採取した土砂であるという前提で申し上げたのでございます。  海岸保全区域と申しますのは、海津法の三条にございまして、陸地につきまして、さらに水面につきまして、双方にわたってこの保全区域というものが指定されるわけでございます。陸地につきましては、春分の日における満潮時の水ぎわ線が一つの境になります。それから水面のほうにつきましては、春分の日における干潮時の水ぎわ線が一つの線になります。そのそれぞれの線から五十メートルをこえない範囲内で、海津保全区域というものが指定されることになっておるようでございます。  したがいましてかなりの幅があるわけでございまして、陸地部分にも、また水面下の部分にも、海岸保全区域というものがあるわけでございます。そのいずれの部分でもいいのだと思いますけれども、その部分から土砂を採取いたします権利がもし与えられますれば、これは当然採取してよろしいわけでございまして、その採取した土砂を売買すれば、むろん対価を取得できるわけでございます。  ただ、ただいまの御質問の御趣旨は、かつて私有地であったところから、現在海面下に没しておりましょうとも、そこから当然に採取できるという考えで、その本人が土砂を採取したものだとすればどうか、こういうことではないかと思います。  これも先ほど申し上げましたように、春分のときの満潮時の水ぎわ線が海と陸との境になるということでございますと、年間を通じて考えますと、その水ぎわ線よりさらに陸地に入ったところに海水が押し寄せてくる場合もあり得るわけでございます。したがいまして、常時これが海底下に没しているということにはならないわけでございますので、あるいは土地と認められるところからその土砂を採取したことも考えられますし、また春分のときの満潮時の境界線から海に向かったところ、つまりおおむね海面下に没している部分から土砂を採取いたしたといたしますと、これはすでに私権の対象にならない、私有地でなくなった海でございますので、そこから採取することは当然にはできないことになろうかと思うのでございます。具体的な事案がよくわかりませんけれども、ごく一般論として申し上げますならば、そういうことになろうかと思うのでございます。
  15. 横山利秋

    横山委員 次の質問は、いま局長のおっしゃるように、三十九年でしたかに地方自治体が課税対象からはずした。それまでは課税の通知が来、また課税をしておった。この事実をどういうふうに考えるべきかということが一つであります。  二つ目には、本来地方自治体は、地方税法三百八十一条並びに地方自治法二百六十条によって登記所申し出ないしは知事に届け出なければならない義務がある。それをしなかった。さらにかってに課税対象からはずしておった。その正規の手続を地方自治体がせずに、納税者に対して手紙を発送するのをやめたということについては、地方自治体としては少し手落ちがあると思うのであるが、この手落ちは法律上どう理解すべきであるか。これはあなたの所管ではないかもしれませんが、参考のために伺っておきたい。
  16. 新谷正夫

    新谷政府委員 法務省の所管でございませんので、明確なことをお答えできませんけれども課税すべきものでないというふうに市町村長が認定いたしますれば、課税対象から除外するのは当然のことでございます。したがいまして昭和三十九年にこの土地について課税対象から除いたという事実があるということは、とりもなおさず市町村側として見ますれば、海面下に没した土地であるから、これは個人所有権対象土地でないという認定をいたしたのではないかと思うわけでございます。それは単に課税上の問題でございますので、これはその所管庁において課税対象から除こうと思えば除けるわけでございます。法務局に対する地方自治法二百六十条の通知なりあるいは地方税法三百八十一条第七項の申し出がないということは事実のようでございますけれども、これは手落ちといえば手落ちなのかもしれませんけれども、そこまで気がつかなかったために、市の当局でそういう手続をしなかったかということも考えられるわけでございます。この辺はまだどういう事情でそれがなされていなかったかということがわかりませんので、先ほど申し上げましたように、そういう経緯も十分法務局のほうで調査して処理しようということにいたしている次第でございます。
  17. 横山利秋

    横山委員 法律によれば、また常識によれば、もしも本来課税すべきものではないのに課税しておったとするならば、課税対象からはずすと同時に、従来課税しておったものについて返還措置を同時にすべきであるのが当然であると考える。それからそれとあわせて地方税法三百八十一条並びに地方自治法二百六十条に伴う措置を同時にすべきであるのが当然であると思われる。この当然であることをしないで、おまえのほうからいままで税金をもらっておったけれどももうやめたということだけで一切他の措置をとらなかったということは、地方自治体それ自身に非常な手落ちがあると思われる。この手落ちは、かりに海面下に没しておったかどうかという点を除外をしても、なおかつ地方自治体の責任は免れがたいと思われる。その点はどうお考えですか。
  18. 新谷正夫

    新谷政府委員 法務省からお答え申し上げるのはちょっといかがかと思いますので、地方自治体の責任という問題につきましてはお答えを差し控えさしていただきたいと存じます。ただ、これが課税すべきものでないということがわかりました時点において課税客体から除くということは、これは徴税官署としては当然のことであろうと思います。ただ土地でなくなった時点がいつであったかということは、これは登記所も現在はっきりいたしませんし、また市のほうといたしましても、それがいつからそのようになったかということの確認がおそらくできなかったのじゃないかと思われます。それさえできますならば、あるいは不当に徴収した税金も返す措置がとれるわけでございますけれども、それが確認できないまま、現状において課税対象とすべきでないということがはっきりいたしました時点において課税客体から一応除いたというふうに見るのが相当であろうと私考えるわけであります。はたしていつからそうすべきであったかということは調査いたしてみませんとわかりませんので、その辺の清算あるいは責任問題というふうな問題は、そういったことが判明いたしました上に考えらるべきことであろうというふうに考えるわけでございます。
  19. 横山利秋

    横山委員 結論として、先ほど約八項目ばかり法務局として今後なすべき調査事項をあげられました。そうしますと今後はこういうことになるのでありますか、地方税法三百八十一条、地方自治法二百六十条の措置がなくとも、法務局は職権をもってこれら数項目調査を行ない、そして私有地であるか、それとも公海であるかという調査をみずから行なう、こういうわけでございますか。
  20. 新谷正夫

    新谷政府委員 そのとおりでございます。
  21. 横山利秋

    横山委員 それは何法によって行なわれるわけですか。
  22. 新谷正夫

    新谷政府委員 不動産登記法によるわけでございます。これはかつての土地台帳法の規定不動産登記法に取り込みまして、先ほど申し上げましたように、台帳制度不動産登記制度の一元化をやっております法律の改正がございまして、不動産登記法によりまして職権で調査して不動産の表示に関する登記を適正に現状に合わせる措置がとれるようになっております。その規定に基づいてやるわけでございます。
  23. 横山利秋

    横山委員 いまあげられました数項目調査が完了するということはなかなかむずかしいことのように思われる。その間、もちろん名港西部の埋め立て計画がきょう、あすを争うということではないにしても、法務省の調査が完了してその結論が出ますには相当期間がかかると思われるのでありますが、その間宙ぶらりんということになるわけですが、法務省としてはこの調査がいつごろまでに進むと思われるか、おおよそのことでけっこうでございますから、ひとつ見通しを伺いたい。
  24. 新谷正夫

    新谷政府委員 明治の中期以前からの沿革でございますので、急にこれが判明するということもなかなか困難な問題でございます。また市にいたしましても、県にいたしましても、あるいは中部建設局にいたしましても、その間の資料が全部そろっておるかどうかということがまだはっきりいたさないわけでございます。そういう関係で、これはできるだけ早く処理しませんといろいろ不都合が生じますので、法務局側としましてはなるべく早く現状を確認いたしまして、法律上許される措置を講ずべきであるということを考えて、現在一生懸命にやっておるわけでございます。何ぶん関係方面がたくさんございますし、事柄が非常に重大でございますだけに簡単にはできないと思いますけれども、できるだけすみやかにやるように措置いたしたいと考えております。
  25. 横山利秋

    横山委員 この調査の過程において名港の埋め立て計画がとんざすることは、名古屋港の状況からいっていささか問題があるような気がいたします。そこで、かりに名港管理組合があなたのほうの調査があまりにもおくれることをおそれ、事実はどういう結果であるかは別といたしましても、円満に話を進めるためにその土地の買収なり何なりのことが行なわれるということがあったとしたら、国はどういう態度をとりますか。つまり名港管理組合が、不動産会社並びに今日の地主、二つの問題があるわけですね、その両者に会って交渉して、法務局調査は非常におくれる、これでは計画が成り立たぬ、だから金額は別としても、すみやかに協力をしてもらいたいという話し合いが成立をするということが皆無ではないと思うのです。その場合に法務省として、調査を待て、地方自治体が事の真偽を明白にしないで措置するというのは芳しくないという態度をおとりになるか、あるいはそれはそれとして円満に帰趨が決するならばそれでもよしという態度をおとりになるか、どうでございますか。
  26. 新谷正夫

    新谷政府委員 事実は事実としてこれは調査する責任がございますので、法務局としてはできるだけの調査をいたす考えでございますけれども、ただいま仰せのように関係者の間で円満に話がつきまして、そして埋め立てが可能であるというふうなことになりますれば、これはそれに越したことはないわけでございます。したがいまして、そういう場合にはむろん法務局側からもその時点におけるいろいろ調査いたしました資料も提供いたしまして、そういう話し合いが進むといたしますれば、それに対しても法務局側からも十分に協力させたいと思っております。
  27. 横山利秋

    横山委員 法務大臣、そばで聞いていらっしゃったと思うのでありますが、これはきわめて、名古屋港の開発、発展のために思いがけない支障ができたわけでありますが、いま民事局長から御説明があった点は、大臣としてもそのまま御趣旨変わりなく受け取ってよろしゅうございますか。
  28. 石井光次郎

    石井国務大臣 ただいま民事局長からお答え申したとおりでよろしいと思っております。
  29. 横山利秋

    横山委員 終わります。
  30. 大久保武雄

    ○大久保委員長 この際、おはかりいたします。  本案に対する質疑はこれにて終了いたしたいと存じますが、これに御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 大久保武雄

    ○大久保委員長 御異議なしと認めます。よって、本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  32. 大久保武雄

    ○大久保委員長 これより討論に入る順序でありますが、討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  採決いたします。  借地法等の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  33. 大久保武雄

    ○大久保委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  34. 大久保武雄

    ○大久保委員長 この際、本案に対し、大竹太郎君より、自由民主党、日本社会党及び民主社会党の共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  この際、本動議について提出者からその趣旨の説明を求めます。大竹太郎君。
  35. 大竹太郎

    ○大竹委員 私は、自由民主党、日本社会党、民主社会党、三党共同提案にかかります附帯決議案について、提案の趣旨を御説明申し上げたいと思います。  まず、附帯決議案を朗読いたします。    借地法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議案  借地借家関係の規制に関する法律は、国民の日常生活ないし民生の安定に密接不可分な関係にある重要なものであるから、政府並びに最高裁判所は、その運用に当っては、今回の改正の趣旨にかんがみ、借地借家に関する紛争の未然の防止、関係当事者の正当な利益の保全、鑑定委員の人選等について慎重な考慮を払い、いやしくも便乗的な地代家賃の値上りをもたらすことのないよう遺憾なきを期すべきである。  右決議する。  提案の趣旨につきましては、審議の経過において明らかなところでございますが、本法案の完全な運用は裁判官の自由な裁量にまかせられている点が多々あるということ、また、鑑定委員の人選はその当を得ることが必要だと考えられるわけでありまして、本決議案を提案いたした次第でございます。
  36. 大久保武雄

    ○大久保委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  本動議について採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  37. 大久保武雄

    ○大久保委員長 起立総員。よって、本動議は可決されました。  この際、本附帯決議に対し、政府の所信を求めます。石井法務大臣
  38. 石井光次郎

    石井国務大臣 附帯決議の御指摘のとおりの借地法等の改正の趣旨が十分に達成されますように、最高裁判所とも協議いたしまして、その運用に遺憾のないように努力いたす所存でございます。ありがとうございました。     —————————————
  39. 大久保武雄

    ○大久保委員長 次に、おはかりいたします。  ただいま可決されました法律案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 大久保武雄

    ○大久保委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  41. 大久保武雄

    ○大久保委員長 次に、執行官法案を議題といたします。
  42. 大久保武雄

    ○大久保委員長 まず、政府より、本案の提案理由の説明を求めます。石井法務大臣
  43. 石井光次郎

    石井国務大臣 執行官法案について、その趣旨を説明いたします。  わが国の執行吏の制度は、明治二十三年に旧裁判所構成法と同時に施行されました執達吏規則及び執達吏手数料規則によってその基礎が定められて以来、ほとんど実質的な改善が行なわれることなく、今日に至っているのであります。もとより政府におきましても、執行吏制度の全面的な改善につきまして長年にわたりまして検討を続けてまいっているのでありますが、現在の執行吏を完全な俸給制の国家公務員に置きかえることを目途とするような抜本的な改正につきましては、なお解決を必要とする種々の問題点がありますので、この際、今日の社会情勢にはなはだしく適合しなくなっている諸点等に改善を加え、この制度の適正円滑な運営を確保することを目的といたしましてこの法律案を提出することとした次第でございます。   〔委員長退席、大竹委員長代理着席〕  この法律案は、従前の執行吏にかえて、執行官を置くことといたしまして、執達吏規則及び執達吏手数料規則を廃止いたしまして、執行官に関する基本的事項について必要な措置を講じようとするものでありまして、その主眼とするところは、新たに置かれることとなる執行官について、その職務内容、事務処理の体制、手数料その他をできる限り明確かつ近代的なものとし、その公務員としての性格の強化をはかろうとする点にあります。すなわち、この法律案による執行官の制度におきましては、これが当事者等から受ける手数料をその収入とする点は従来の執行吏の場合と同様といたしておりますものの、まず、執行吏各自が執務の本拠としてみずから役場を設置しこれを維持するという従来のあり方を改めまして、執行官は通常の裁判所の職員と同様に裁判所に勤務するという体制とし、次に、当事者がその選択する各個の執行吏に直接事務の取り扱いを委任するという従来の制度を廃しまして、当事者は国の機関としての執行官に対して申し立てを行なうこととするとともに、執行官の事務の分配は、原則としてその所属の裁判所が定めることとし、また、職務を担当する執行吏が手数料等の予納金その他職務上取り扱う金銭を各自の責任において保管するという従来のあり方を改めまして、執行官の取り扱うこれらの金銭は原則として裁判所が保管することとする等、現行の執行吏の制度に比しまして、その職務体制その他を合理化し、執行官の行なう民事裁判の執行その他の事務の運営を適正円滑化するための基盤を強化しようとするものでございます。  以上が執行官法案趣旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いする次第でございます。
  44. 大竹太郎

    ○大竹委員長代理 次に、補足説明を求めます。鹽野司法法制調査部長
  45. 鹽野宜慶

    ○鹽野政府委員 執行官法案につきまして、補足説明を申し上げます。  まず、この法案を提出するに至りますまでの経過について若干御説明いたしたいと存じます。  御承知のとおり、執行吏制度については、明治二十三年に現行の執達吏規則及び執達吏手数料規則が施行されて以来、ほとんど見るべき改革が行なわれることなく今日に至っているのでございます。そのため、この制度については、つとにその根本的な改革が必要であるとの意見が強く、戦前におきましても、司法省におきまして長らくその改革のための検討が続けられましたが、戦争激化のため中断のやむなきに至りました。さらに戦後におきましては、各分野の法制が一新された中にあって、古くから本格的に手の加えられることのなかったこの制度につきましては、社会の実情に適合しない点が多いとして、この制度の改革を望む声が強く唱えられるに至ったのでございます。このような事情にかんがみ、法務省におきましては、まず昭和二十八年に法曹各方面、学界及び執行吏に対し、執行吏制度の改善に関する意見を照会したところ、この制度についての根本的改革を必要とする旨の回答が大多数を占めていたのでございます。  そこで、このような諸事情を背景といたしまして、昭和二十九年に、法務大臣から法制審議会に対し、「執行吏制度を改善する必要があるとすれば、その要綱を示されたい。」との諮問が、強制執行及び競売に関する制度の改善についての諮問とともに発せられるに至ったのでございます。   〔大竹委員長代理退席、委員長着席〕  法制審議会におきましては、右の二つの諮問についてあらかじめ調査審議するため強制執行制度部会を設けましたが、同部会は、裁判官、弁護士等の実務家、学者等によって構成され、同年七月からその審議に入ったのであります。  さて、この強制執行制度部会では、その小委員会においてではありますが、まず執行吏制度改善の基本的方向について一般的に検討した結果、昭和三十一年に至りまして、「現行の執行吏制度、すなわち、当事者の委任によって事務を取り扱い、当事者から手数料を受けてこれを自己の収入とする制度を廃止し、これを固定俸給制の裁判所職員たる執行官の制度に改める」という一つの目途を今後の検討の方向として打ち出したのであります。  その後、同小委員会等では、この方向に沿って法制面における執行官制度の構想の具体化について検討するとともに、これを前提として、執行官が準拠すべき民事訴訟法等の改正につき逐条的な検討を進めたのでありますが、組織面及び手続面についての問題点が複雑にからみ合っているものでありますため、その作業に思わざる長年月を費やす結果となったのでございます。ところで、その間、このように法制的な面から検討が加えられる一方、この俸給制執行官の制度の円滑な運営が現実に可能であるかどうか、その実現の見通しはどうであるかという問題についても、さまざまな見地から検討が加えられたのでございます。  この点に関しましては、現在執行吏の取り扱っている事務が他の一般の司法事務または行政事務とは著しく異なる特殊性、困難性を有すること、俸給制のもとでは現行の手数料制下におけるよりもかなり多数の職員が必要となることを覚悟しなければならないこと、したがって、強制執行等の事務を行なう職員としてふさわしい素養と能力を有し、しかも、この決して愉快とはいえない職務に挺身する意欲を有する者を十分な数だけ獲得し、引き続き常時必要数を補給するとともに、その勤労意欲と事務能率の向上ないしはその持続を確保することがきわめて困難であること等を考慮いたしますと、俸給制執行官の制度の創設、維持及び運営については、通常の公務員制度の維持、運営の場合には考慮する必要性の少ない特殊な困難性を内包していることが認められるのでございまして、これらの点を無視して強引に制度を発足させることは避けなければならないと考えられました結果、結局、現段階においては、遺憾ながら俸給制執行官制度への踏み切りは困難であるという見通しを立てざるを得なかったのでございます。  しかしながら、現行執行吏制度の実情を見ますに、執行吏希望者の漸減、執行吏数の減少、その老齢化、いわゆる執行吏代理の制度による弊害の顕著化等が指摘されるほか、執行吏等による金銭上その他の事故がたびたび報ぜられるに至り、各方面において、制度の根本的改革もさることながら、早急に改善措置を講ずべきであるとの要望が強くなってまいりました。  そこで、法制審議会では、この際、俸給制執行官の制度についての検討はしばらくおき、とりあえず、さしあたって実施すべき改善の方策を策定することが急務であると判断し、現行の手数料制は維持することとしつつ、その他の点において、できる限り執行吏の職務体制の合理化をはかるとともに、裁判所の監督を有効ならしめる基礎をつくるための方策を取りまとめ、本年三月法制審議会から法務大臣に対して、執行吏制度改正要綱として答申されたのでございます。  今回の法律案は、右の答申にかかる要綱を基礎として作成したものでありまして、形式としては、裁判所法の一部を改正して、執行吏にかえて執行官を置き、執行官についての基本的事項を定める執行官法を制定して、従前の執達吏規則及び執達吏手数料規則を廃止することとしております。  次に、この法律案の主要な内容について若干御説明申し上げます。  最初は執行官の新設についてであります。  執行吏は、裁判所法第六十二条の規定によりまして、各地方裁判所に置かれているのでありますが、法律案附則第三条におきまして、これを改正し、執行吏にかえて新たに執行官を置くことといたしております。  もっとも、この執行官は、すでに述べましたように、「執行官」という官名は与えますものの、俸給制の職員ではなく、法律案第七条に規定されておりますように、当事者等から手数料を受けてこれを自己の収入とすることとなっておりますので、この点、現行の執行吏制度に比して変わりばえがしないとの批判を免れないとも思われますが、この手数料制の点を除きましては、できる限り執行官の職務体制を近代化し、その公務員としての色彩の強化をはかるための措置をとり、手数料制に伴うといわれる弊害を最小限度にとどめることにつとめております。「執行吏」という名称にかえて、あえて「執行官」という官名を採用いたしましたのも、執行に従事する職員自身について公務員としての自覚を強からしめるとともに、他方一般世人の認識をも一新させるため、この際、心気を新たにすることを目的とするものにほかならないのであります。  なお、法律案附則第六条によりまして、この法律施行の際現に執行吏に任命されている者は、別に辞令が発せられないときは、執行官に任命され、かつ、現にその者の属する裁判所に勤務することを命ぜられたものとみなすことといたしております。  次は、執行官の執務の本拠についてであります。  現在の執行吏は、裁判所の職員でありながら、執達吏規則第五条により、所属地方裁判所の管轄区域内に役場を設けることとされておりますので、執行吏は、自己の責任と計算において役場を設置し、これを運営しているのでありますが、この法律案におきましては、執行官の公務員としての性格をより強化するために、この役場の制度をとらないことといたしました。したがって、執行官も、通常の裁判所職員と同様に、裁判所に勤務するという体制になるわけであります。  次は、執行官の職務についてであります。  執行吏の職務内容に関する現行の執達吏規則の規定は、今日では、執行吏の職務内容を的確に言いあらわしているとはいえず、この規定の中には、他の法令の規定と重複しているものや、現在は適用の余地がなくなっているものがありますとともに、反面、社会情勢の推移に伴い、当初この規定が予想しなかったと思われるような事務についても、執行吏がその職務として取り扱っている場合が次第に多くなっているのであります。  そこで、この法律案におきましては、現在の執行吏の職務内容の実態を尊重いたしまして、現に執行吏の取り扱っている種類の事務はこれを執行官の職務内容に含ませることとするとともに、右の死文となったもの等を削り、その職務内容についての表現を整理することとしております。これが法律案第一条でございます。  次は、執行官の事務処理及び事務の分配についてであります。  右に述べました執行官の職務とされる事務を、現実に執行官がどのような経路で取り扱うに至るかという、執行官の事務処理の体制は、執行吏制度の改善について重要な問題でありまして、この点は、法律案の第二条に規定されております。  執達吏規則によりますと、執行吏は、裁判所等の命令により、または当事者の委任によって事務を取り扱うことになっておりますが、この法律案では、執行官の公務員としての性格を強化する一環として、当事者は国の機関である執行官に対して「申し立て」を行なうものであることを明らかにし、「委任」という用語を用いないことといたしました。  また、現在、執行吏が直接当事者から委任を受けた事務については、裁判所も、委任を受けた執行吏も、特段の事由がある場合を除き、これを他の執行吏に移転することはできないことになっておりますため、結局、ある事務をどの執行吏が担当するかは、委任を行なう当事者の選択にゆだねられる結果となり、いわゆる「自由選択制」の職務体制となっているわけであります。しかしながら、このいわゆる自由選択制は、一部で伝えられる執行吏と委任者その他の関係人との間の不明朗な関係を醸成し、ひいては、執行吏の職務執行の権威、中立性を低下させ、あるいはそのような印象を世人に与えている点につき、その大きな原因の一つとなっているものと考えられますので、この法律案では、すべての執行官の事務について、裁判で特定の執行官が取り扱うべきものとされる場合を除きまして、所属地方裁判所が事務の分配を行なう権限を有することにいたしたいのでございます。  次は、執行官が取り扱う金銭の保管についてであります。  現在、裁判機関の行なう裁判事務に関する予納金等の保管につきましては、歳入歳出外現金出納官吏がこれを取り扱う等の措置がとられており、執行裁判所の取り扱う強制執行事務の場合もその例外をなすものではございませんが、執行吏の場合には、手数料等の予納金はもちろんのこと、職務の執行として差し押え、または交付を受けた金銭も、訴訟法の規定に基づいて供託することとなる等の場合を除き、もっぱら執行吏自身の責任においてする保管にゆだねられているのであります。この点が、執行吏についての金銭上の事故やトラブルの大きな原因の一つとなっていると考えられますので、かような事故を防止するとともに、裁判所の行なう他の面での監督を一そう有効にする基礎をつくるため、この法律案におきましては、まず、執行官が差し押え、又は交付を受けた金銭は、その第六条におきまして、原則として、執行官の所属の地方裁判所が保管することといたしております。次に、手数料等の予納金につきましては、これを執行官に対してではなく、直接その所属の地方裁判所に対して予納させることとし、執行官は、予納を受けた裁判所から支払いまたは償還を受けることとしております。これは法律案の第十五条第二項でございます。  ただ、現金の保管をすべて裁判所が行なうものとする措置を、執行官制度発足の当初から画一的に完全に実施することは、種々の事情によりまして困難であると考えられますので、法律案附則第十条におきまして、暫定的に、当分の間は必ずしも右の措置によることなく、最高裁判所が別段の定めをすることができるようにいたしております。  次は、執行官が受ける手数料等についてでございます。  すでに述べましたように、今回の執行官制度におきましては、手数料制を存続させることといたしておりますが、執行官が受ける手数料、支払い、または償還を受けるべき費用、支払い義務者等につきましては、法律案第七条から第十六条までに規定いたしております。  第七条は、職務を執行した執行官が、それについての手数料を受け、及びその執行に必要な費用の支払いまたは償還を受けることを定めたものであります。  第八条及び第九条は、手数料を受けるべき各個の職務行為及び手数料の額についての規定でございます。  現在、執行吏が手数料を受けるべき場合及びその額につきましては、執達吏手数料規則及び訴訟費用等臨時措置法に規定されているのでございますが、個々のこまかい職務行為について一々法律で手数料額を定めますことはあまりにも繁雑に過ぎるものと思われますし、具体的な額については、執行官制度及び強制執行制度等の運営の責任を有しております裁判所が一切の事情を考慮して定めることとしても弊害は考えられないばかりでなく、かえって、実情に即応した適切な額を定めることができるかと考えられますので、法律案におきましては、第八条におきまして手数料を受けるべき各個の事務を列挙して法定し、その事務についての手数料の額は、原則として最高裁判所の規則で定めることといたしたのでございます。  執行官が支払いまたは償還を受けるべき費用につきましても、手数料と同様、第十条においてその極数を定め、第十一条において、その額は、最高裁判所の規則で定めるもののほかは、実費の額によることといたしております。  第十二条は、手数料及び費用の支払い義務者を明確にしたものでございます。  第十三条は、執行官は各個の事務を完了したとき等にその事務に関する手数料及び費用の弁済を受けることができることとした規定でございます。執達吏手数料規則の規定によりますと、執行吏は、委任による事務については、その委任が終了した後でなければ、つまり、通常の場合には事件全体が終了した後でなければ手数料等の弁済を受けることができないこととなっておりますので、その点を改めたものでございます。  第十四条は、執行官が手数料等を受ける権利の時効による消滅について、第十五条はすでに述べましたように手数料等の予納について、第十六条は訴訟上の救助を受けた者の申し立てによる場合の手数料等に関する特例について定めたものでございます。  次は、他の執行官の援助についてでございます。  現行法におきましては、執行吏は、常に単独で職務を行なうこととなるのでありますが、大規模な不動産の明け渡しの執行、大規模な保全処分の執行等の場合の要請に対処するため、この法律案第十九条におきまして、新たに執行官が所属の地方裁判所の許可を受けて他の執行官の援助を求めることができることといたしております。  次は、執行官の退職後の給付等についての検討等についてでございます。  現在執行吏は、官吏恩給法に照らして、一般の恩給と異なる独自の恩給を受けているのでありますが、遺族扶助料等に相当するものは支給されず、また、国家公務員共済組合法、国家公務員等退職手当法等による給付も受けないこととなっております。そこで、執行官の退職後の処遇等について、この際制度の整備をはかる必要があると考えられますが、手数料制をとっている等の特殊性に基づく複雑な問題が伏在しております関係上、今までのところその成案を得るに至っておりません。法律案附則第十二条におきましては、執行官の退職後の給付等について、今後引き続いて検討を行ない、その結果に基づいて必要な措置を講ずることといたしております。したがいまして、その検討の結果、退職後の年金に関する措置が講ぜられるまでの間は、執行官は、現在の執行吏と同様の恩給、すなわち恩給法の例によって普通恩給または増加恩給に相当する恩給を受けることとしておりまして、この恩給の年額は、現在と同様、執行官の国庫補助基準額を俸給年額とみなして算出することといたしております。これらの点は、法律案附則第十三条でございます。  次は、いわゆる執行吏代理についての暫定措置についてでございます。  現行のいわゆる執行吏代理の制度につきましては、その弊害が各方面から指摘されていること及び今回の法律案趣旨が執行官の公務員としての性格を強化することにあることにかんがみまして、このような制度を執行官については設けないことといたしました。ただ、現在相当数の、いわゆる執行吏代理が、執行吏のもとにあって臨時にその職務の委任を受けて稼働している現状にかんがみまして、いま直ちにこの事態を完全に消滅させることは困難と考えられますので、法律案附則第十一条におきまして、当分の間に限り、一定の資格のある者には、執行官において、所属地方裁判所の許可を受けて、臨時にその職務を代行させることができることといたしました。  以上が、今回の法律案の内容の主要点でありますが、なお、この法律案におきましては、執行官の処分に対する不服の申し立て方法を整備し、裁判所書記官に執行官の職務を代行させることができる場合の要件を緩和して、事務の運営の円滑を確保することとしたほか、執行官の除斥、職務執行区域、執行記録の保管等、謄本等の作成及び国庫補助金につきまして、現在の執行吏について行なわれているものとおおむね同趣旨措置を講ずることといたしております。  また、附則におきましては、すでに御説明いたしました事項のほか、この法律の施行期日、この法律の施行に伴う経過措置及び暫定措置、必要な関係法律の整備等を定めております。  以上御説明出し上げましたところが、執行官法案の内容の概略でございますが、執行吏制度及びこれに関係する強制執行の制度等についてのさしあたっての改善措置としては、これのみで足りるものとは必ずしも考えているわけではございません。  さらに、この法律案によって発足することとなる執行官制度の実施の状況を参酌し、また、今後における強制執行及び競売の手続の面における検討の成果を取り入れた上、理想的、根本的な改善策の樹立に向かって検討を続けたいと考えております。  以上をもちまして、執行官法案の説明を終わります。
  46. 大久保武雄

    ○大久保委員長 これにて本案に対する提案理由及び補足説明は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ります。  次会は明後十二日に委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十一分散会