○秦野政府
委員 二十二日の事案のことを申し上げるために、若干その前の経過も御説明を申し上げて御質問にお答えしたいと思います。
早大
事件は御案内のとおり、昨年の十二月ころから学生会館の管理権をめぐって、学生と大学当局との間に意見が対立をして紛争を続けておったのであります。本年に入りまして、学費の値上げ問題が起こりまして、そのことで結局一月二十一日から全学ストに入ったわけでございます。ところが、ストに突入して
あと、一部の学生は各学部の建物内にふとんを持ち込んで泊まり込みを始め、入り口に机とかいすなどのバリケードを構築して抵抗態勢を固めたというような
状況になっているわけであります。二月の十二日には、大学占拠に反対する体育部の学生との間にトラブルが起きたりなどしたのでありますけれ
ども、さらにその間何とか学園の問題ということで、いろいろ調停をされるような方々も出てきたりして、われわれの側から見て非常に心配をしておったのでありますが、学園の問題でありますので、学園自体の中で解決することを
気持ちの土では期待しておったのでありますけれ
ども、入学試験が二月二十四日から始まる、その準備ということについて、大学当局としてはいろいろ教室その他準備のための施設の問題でやることが出てきて、入学試験を何とか円滑にやらなければならないという問題が出てきたのであります。そこで、この紛争がどうしても解決しないということになると、占拠の学生に対してこれを退去してもらわなくちゃならぬというようなことで、二月の十六、十七日には
学校当局から最後的な退去要求が出たのであります。
ところが、このことが功を奏せずに、結局
警察のほうには二月の十九日に警視総監あてに警備部隊の出動要請がございました。そこで、
警察としましてもかねがねこの状態を検討しておって、犯罪的な事実というものもある程度認められておるので、学園であるということでかなり慎重にしなければならぬ、そういうぎりぎりの立場で研究しておった。そこへ警備隊の出動の要請がありましたので、
警察としては
警察自体の判断で、警備隊の出動はやむを得ないということで、二十一日の朝、この占拠学生の排除、それからまた犯罪
行為を行なっている者の
検挙ということで、約二千五百名の
警察官を動員いたしまして学内に立ち入ったのでございます。このときに大体千三百くらいの学生がこの朝学園の中におり、建物の中には大体三百名くらいおったのですけれ
ども、やはり
警察が入ってくるだろうというようなことで若干ふえたようであります。いずれにしましても、この二十一日の朝警官が出動しまして、ここで三名逮捕した。そのときには逮捕者は少なかったのですけれ
ども、この二十一日の警備隊の出動で排除いたしました
あと、その日に再びまたこの建物に入ってしまった。この二十一日の警備隊の出勤によって排除したその
あと、われわれとしては
学校当局にも、
あとまた再び建物に入ってしまうというようなことがないように、十分ひとつ管理をしてください、――
警察もそこにすっととどまって学園の中で警備するといったようなことは必ずしも欲しない、そういう
気持ちも実はあるわけでございます。そこで
学校当局にいろいろお願いしたところ、
学校も大体三百名くらいのみずからの力をもって管理のほうに力を入れておったようであります。
学校の正門にもさくを設けたりして、そうして入学試験の準備にいろいろ努力されておったようでありますが、
警察自体が引いたその直後に、一時間もたたないうちに、また再びさくをこわし、――ある程度施錠などを施したようでありますけれ
ども、こわして中に入ってしまった。この場合には、かなり乱暴な、窓ガラスをこわして中へ入る、それから中へ入った者が机とかいすでバリケードをつくって、五寸くぎでそれを打ちつけるといったような
状況で、また再び占拠してしまった。これに対しまして大学当局からもさらに要請がございまして、
警察といたしましてもこの状態ではやはりさらに出動しなければならぬということで、これが二十二日の朝の出動になったわけでございます。このときに、建物を占拠している者の排除、それから悪質な者の
検挙ということで臨んだのであります。この日には、建物を占拠している者が、
警察部隊が出ていきますと、大部分出てしまった。大部分出てしまったのですけれ
ども、さらに立ち入り禁止をしておりました文学部のほうの構内に入ってしまった。そこで
学校当局も再三にわたって、入学試験の準備があるので立ちのいてくれということを警告をし、注意を喚起したのですけれ
ども、立ちのかない。
警察も十分事前の警告をしたのですけれ
ども、がんとしてそこを立ちのかないという
状況がありましたので、これはやむを得ないということで、しかもそこには大体八百から千ぐらいの人数がおったようでありますけれ
ども、この者は前夜大学の本館その他に再侵入をした者がほとんどのものでございますので、
警察も断固たる処置に出なければならぬという
方針になって、ここで排除活動に入ったわけであります。結局この日のことで、二百三名の者をこの日に逮捕したということになったわけであります。むろん、
警察は、この逮捕にあたっては、悪質な者を中心に
検挙活動をしたことは当然でございます。その後若干の逮捕者がありますけれ
ども、いずれにしましても、御質問の二十二日の逮捕というものは、確かに人数からいけばかなりの多数にのぼったわけですけれ
ども、以上の経過で、その前日あるいはその前からの経過で、つまり真にやむを得ないということでこれだけの逮捕者を出し、
警察としては逮捕者を身柄と同時に
検察庁に送致したというのがあらましの
状況でございます。