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寺田最高裁判所長官代理者 先般、私
どもの家庭局で少年問題についての
資料を発表いたしましたことに関連して、いろいろジャーナリズムで取り上げられ、二、三
裁判所の
職員の投書等もあったように存ずるわけでございますが、いま
大竹委員の御
指摘の投書は、その中の一つであろうと存ずるわけでございます。私も当時それを読んだ記憶を持っておるわけでございます。
まず、家裁の
調査官の
待遇の問題でございますが、これは先般、
予算委員会等でもいろいろ
お尋ねも受けたわけでございますけれ
ども、現在の家庭
裁判所調査官の
待遇は、
一般の
公務員としては、これは相当高い
待遇というふうに申し上げていいのではないかというふうに考えておるわけでございます。
調査官補は別といたしまして、
調査官になりますれば、もうすでに、すべて五
等級ということになるわけでございます。なおその後主任
調査官ということになりますと、四
等級から三
等級、二
等級というところまで行けるということになっておるわけでございます。この点を、試みに同じ
補助職員であります書記官と比較いたしましても、書記官の場合は、たとえば六
等級というような者もあるわけでございますが、
調査官はすべて五
等級以上ということでございますし、また主任の
関係におきましても、主任書記官は、三
等級から五
等級ぐらいまであるわけでございますが、
調査官では、むしろ二
等級から四
等級というようなことで、少し高い。一番高い首席
調査官なんかについて見ますと、これは
一等級ということで、本省の局長クラスという
待遇になるわけでございます。首席書記官にはそういうものはないわけでございますので、そういうような比較におきましても、部内でも家庭
裁判所調査官を冷遇しているというようなことは、この
待遇問題自体から、決してないわけでございます。
ただ、しかし、おそらく
調査官の諸君が
待遇について不満を持たれるとしますれば、これはそういう自己の収入の問題よりも——それもございましょうけれ
ども、それよりも、何と申しましても家庭
裁判所というものは、
裁判所の中における新しい店でございます。
地方裁判所はしにせでございます。そういたしますと、これは私
どもとしていろいろ努力もし、やっておりますけれ
ども、実際問題として、やはりしにせのほうが何となく高いような印象を受けるという面がどうしてもないわけではありません。これは私
どもだけではございませんで、端的なことを申し上げて恐縮でございますけれ
ども、どうも
地方裁判所長のほうが家庭
裁判所長よりも上だというようなことを世間でいう、こういうようなことが全体に何となく家庭
裁判所というものが冷遇されておるような印象を与えるわけでございます。しかしながら、実際の中における職務から見ますると、これは決して書記官が低いとか、
調査官が高いとかいうことを申し上げるわけではございませんけれ
ども、書記官は何と申しましても
裁判官の法廷における活動について、
補助事務といいますか、調書作成というところが主でございますけれ
ども、同じ
補助事務と申しましても、家庭
裁判所調査官の活動する分野というものは相当広いわけでございますから、そういう点ではむしろ大いにプライドを持って
仕事をしていただけるような職場であろうと私
どもは考えておりますし、また多くの
調査官諸君は、そう考えてやってくれておるのではないかというふうに考えるわけでございます。ただ、何ぶんにも、御
承知のとおり
裁判所の建物は全国的に見ますと非常に古いものもたくさんございますので、そういう場合に、家庭
裁判所の
調査官の諸君に十分な
仕事をするカンファタブルな部屋を与えるという面では、おそらく不十分な面が多々あろうと思いますが、これも最近では、たとえば
東京家庭
裁判所が落成をすることに近々なっておりますので、そうなりますれば、
調査官の諸君も相当いい部屋に入って
仕事ができる、そういうふうに逐次改善してまいりたいと考えておりますし、なお、
先ほどちょっと
お話の出ました中に、判事補の諸君が少年
事件をやっておるという面につきましても、これは私
どももかねてからその点を痛感しておりまして、現在の
法律では、少年
事件は、修習生から判事補になりますと、すぐにでも処理できる、
法律の上ではそうなっておりますけれ
ども、こういうことは妥当ではございませんので、一定期間は実際上家庭
裁判所に配置しないという方針をとりまして、その方針で、まだ若干、従来からもうすでにおいでになっておる方の中に、若い諸君もおられますが、逐次転任等の際には、ほんとうに若い諸君は、家庭
裁判所のほうには配置しないという方針で進んでおりますので、そういう点でも逐次改善してまいるというふうに考えておるわけでございます。
いろいろ御
指摘の点ごもっともな点、も多々ございますが、そういうことを参考にさせていただいて、将来施策してまいりたい、かように考えるわけでございます。