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1966-06-01 第51回国会 衆議院 文教委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年六月一日(水曜日)    午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 八田 貞義君    理事 上村千一郎君 理事 小澤佐重喜君    理事 谷川 和穗君 理事 八木 徹雄君    理事 川崎 寛治君 理事 二宮 武夫君       安藤  覺君    大石 八治君       久野 忠治君    熊谷 義雄君       坂田 道太君    床次 徳二君       中村庸一郎君    松山千惠子君       落合 寛茂君    高橋 重信君       鈴木  一君  出席国務大臣         文 部 大 臣 中村 梅吉君  出席政府委員         文部政務次官  中野 文門君         文部事務官         (大臣官房長) 赤石 清悦君         文部事務官         (大学学術局         長)      杉江  清君         文部事務官         (文化財保護委         員会事務局長) 村山 松雄君  委員外出席者         文部事務官         (大字学術局教         職員養成課長) 安養寺重夫君         専  門  員 田中  彰君     ————————————— 五月三十一日  委員松山千惠子辞任につき、その補欠として  中垣國男君が議長指名委員に選任された。 同日  委員中垣國男辞任にっき、その補欠として松  山千惠子君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  教育職員免許法等の一部を改正する法律案(内  閣提出第一四〇号)  文教行政基本施策に関する件(文化財保護に  関する問題)      ————◇—————
  2. 八田貞義

    八田委員長 これより会議を開きます。  教育職員免許法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。谷川和穂君。
  3. 谷川和穗

    谷川委員 前会に引き続きまして、留保しておりました二、三の質問を続けさせていただきたいと思います。  いわゆる教員養成は、大学において行なうことをたてまえとしておりますが、国立教員養成関係大学は、どの程度教員を供給しておるのか。またその他の教員については、主として課程認定による他の大学学部卒就職者に依存しておるようでありまするが、資料によりますと、免許状取得者は年々増加をいたしておるようであります。しかしながら一方免許状を取得しておりながら教員にならぬ者の数が、これまた年々ふえておりまして、昨年昭和四十年度では、免許状を取得しておりながら教員にならなかった方々の数は、取得した数の六五%にも達したというような現状であるように了解をいたしております。  文部大臣にお伺いいたしたいのでありますが、教員資質向上人員確保というこの両面からして、今後の教員養成はどのようにお考えになっておられるか、お答えいただければありがたいと思います。
  4. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 御指摘になりました教職員資質向上ということと量的の確保ということとは、双方とも重要な事柄でございます。この点を勘案して今後の教員養成を進めてまいりたいと思いますが、一時経済界が非常に飛躍的な発展をしたころは、どうもそういうはなばなしい方向に向かいたいという人が多くて、資格者でも教職員地位につくことを好まないという傾向があった。最近は特に国立大学関係等はそういう傾向が薄らいでまいりまして、だんだんとその課程を経て免許状を取得した者が多く教職地位につくような傾向になってまいりました。この点は今後も改善されることと思いますが、文部省当局としては、今後一そうこの改善を期することをできるだけ多角的に憂慮をして推進をしてまいりたい、かように考えております。
  5. 谷川和穗

    谷川委員 今回の法改正によって盲ろう教育及び養護学校の特殊の教科の教授を担任する教員免許状制度を改めて、高等部に限らず、各部に共通な免許とする改正がございますが、これはまことに時宜に適した改正だと私は思っております。今回の法改正提案理由説明その他をいろいろ拝聴いたしておりまして、こういった問題についての改正点幾つかございまするが、こうした点は大体おしなべて今日の時代要求をされておるような教員養成制度上の改正だ、かように考えておりまして、あまり大きな問題はないように思うわけであります。したがって私は特に問題点と思われる点を幾つか拾い上げて、お尋ねを申し上げたいと思います。  まず第一に、高等学校教員の問題からお伺いをいたしたいと思います。今回の改正によりますと、高等学校臨時免許については、高等学校卒業資格臨時免許を持っておった臨時教諭は、来年三月で打ち切られるということになるわけでありますが、この高等学校における臨時教員の沿革、並びに今回の改正ではさらにその臨時免許有効期間を六年とする特例も同時に廃止するようでありますが、そのお考えはどういうところに基づくものか、大学局長からお答えをいただきたいと思います。  なおあわせて、打ち切られることになれば、その後の経過措置は一体どういうふうなことをお考えになっておるのか、この点もつけ加えて御説明いただけばありがたいと思います。
  6. 杉江清

    杉江政府委員 高等学校小中と比べますと一そう高度の学力を必要といたします。そういうふうな観点から、たとえ臨時措置といたしましても、高等学校を率業しただけで高等学校教育を担当するということは望ましくない、こういう考え方は前からあったわけであります。ことに高等学校教育時代の進展に即してますますその専門的な内容を高度化する必要もあるわけでありまして、そういうふうな点からいいましても、高等学校だけを出て教壇に立つということは望ましくない、こういう考え方免許法制度も改善されてまいったのであります。先回の改正におきまして高等学校だけを出て臨免をもらうということをなくそうという考え方が出まして、本則においてはそれを削除したのでありますけれども、しかし臨時措置としてそれが残されておる。しかしやはり相当の年月も経ておりますし、だんだ諸般の要求が起こってまいりましたので、やはり本則どおり免許制度も改めて高等学校教員資質を改善することが適当である、こういう判断に立って、今回附則で認められておりました高等学校出身者に対する臨時免許状を付与するという制度をなくしたわけであります。  この臨時免許状は、従来六年の有効期間を持っておったのでありますけれども、これも臨時免許状の性格から三年に短縮する、できるだけそういうものを恒久化しないように、その有効期限を短縮する、こういうことが適当である、こう考えまして、その点も改めたわけであります。これらの措置によりまして、現在免許状を持っておる者につきましては、できるだけその立場を害しないように、経過措置等で適切な措置を規定しておるわけであります。
  7. 谷川和穗

    谷川委員 今回の別表改正を拝見いたしておりますと、高等学校一級免許修士課程を終えた修士称号を得た者に授けられる、中学校以下の一級免許大学学部卒の者に与えられるのであって、何かそこに、表だけを拝見をいたしますと、いかにも横並びに表がつくられておるために、中学校小学校に比べますと高等学校免許というのは一段上にあるような印象を受けるわけでありますが、今回のこの修士課程を終えた修士称号を持った者に高等学校一級免許状を出し、学部を終えた者に対しては中学校以下の一級免許状を出すというのは、高等学校とそれから中小学校横並びにする意図でそういうふうになさったのか、あるいは、全く意図するところは別であって、高等学校という学校種類とそれから中学校並びに小学校義務教育という学校種類と、ただその種類によって免許を、たまたまそれぞれの種類において縦割りに一級、二級とこうつけたのだというふうに了解してよろしいのか、その点についてお尋ねをいたしたいと思います。
  8. 杉江清

    杉江政府委員 ただいまお話の後者の考え方をとっているわけでございます。高等学校においては、その専門性という見地から、従来とも修士課程において一定単位を修得した者、また専攻科において一定単位を修得した者に一級の免許状を与える制度がとられておりました。そういう者に一級の免許状を与える関係から、学部卒業者に対しては二級の免許状を与える、こういう制度がとられたのでございます。小中においては、修士課程ないし専攻科において一定単位を卒業した者に、そういう資格において免許状を与える制度がございませんでしたので、学部卒業者に一級の免許状を与える、こういう考え方がとられたわけでございます。すなわち、学校種別に応じて免許状種類がきまっておる、そういうたてまえでございますから、横並びしてどちらが上とか下とか議論すべき性質のものではない、かようにお答えしておきます。
  9. 谷川和穗

    谷川委員 一部には、高等学校学校教育法四十一条にのっとっても中学校教育のさらにその上に立てられた教育であって、専門教育も加えてやるということがございますが、この条文の考え方から、この際思い切って高等学校に関する限り、高等学校先生方全員修士称号を得た者にしたらどうかというような議論も一部にあるかと思います。しかし、実際問題としては、もし高等学校先生方全員修士称号を持たねばならぬということになれば、たいへん時間のかかることだと思います。したがって、高等学校修士の問題はその程度で、次に、同じ修士でありますが、義務教育の中における修士の問題についてちょっとお尋ねをしておきたいと思います。  現在、修士称号を持って小中学校先生になっておられる方々の数は決して多くないと思うのですが、大体どのくらいおられるのでありましょうか。
  10. 安養寺重夫

    安養寺説明員 過去三年の結果を申し上げますと、高等学校年間八千人から一万人の採用者中、修士であります者が教員になりました者が約二百五十名前後という数字でございます。小中学校は、これに比較しますとずっと数字が少のうございまして、年間まず二十名以内というような程度でございます。
  11. 谷川和穗

    谷川委員 本年新たに東京学芸大学大学院が置かれたわけでございます。したがって、二年たちますと、教員養成大学でありますこの東京学芸大学から修士称号を得た方々が巣立っていくわけでありますが、その中の何人かはおそらく、やはり義務教育のほうへ進んで、教員になろうとしている方もおいでになると思います。教員資質向上、あるいは専門性を高めるという意味からいいますと、義務教育においても将来、たとえば現職教育における修士称号を得るという上進の道を開くとか、やはりこの修士の問題は将来は考慮されてよろしいのではないかと思いまするが、この点についてどういうようにお考えになっておられますか。  さらには、義務教育のもう一段下になりますが、幼稚園教育においてすら、やはり専門性ということを論議される場合には、修士称号を持った者を得てもいいのじゃないか。  それからもう一つ、ついでになりますがお伺いしておきたいと思いますが、現在でも年間二十名程度はそういう方々がおられるそうでありますが、その修士称号を持った方々学士方々とは待遇において現在どういうふうに違いがあるのか、この点を伺っておきたいと思います。
  12. 杉江清

    杉江政府委員 まず待遇のことから申し上げますと、修士課程を出ました場合においては、その修業年限教職の経歴として一・五倍に換算されて給与表の適用を見るわけでございます。それだけ有利な計算がされておるわけでございます。それが一般原則になっております。これは、修士課程を出て小中に行く場合も、そういう措置がとられておるわけであります。小中学校教員になるにも、やはり修士を出た者が現在わずかながらあり、今後漸次ふえていくだろう、そういう観点から修士基礎資格とする免許状種類をつくったらどうか、こういうことは、実は教育職員養成審議会の答申にもその基本的な考え方があらわれておるわけでございます。しかしこの審議会におかれても、この新しい免許状を設ける場合には、その事由に関する要件についてなお検討する必要がある、こういうふうなことを言っておられるのでありまして、今後検討課題とすべきことであると私どもは理解しておるのであります。そのことは幼稚園についても同様でございます。今後私どもも十分検討してまいりたいと考えております。
  13. 谷川和穗

    谷川委員 それでは、また別表の問題に返って念を押さしていただきたいのでありますが、先ほど申し上げましたように、高等学校一級免許修士、それから小中学校一級免許学士称号を持っておる者、こういうことでありますが、これは決して格づけ——横並びでどっちが上だとか下だという議論でない、その証拠といってはおかしいけれども小中義務教育においてもあるいはその他の教育においても、今後は教員資質向上のためには修士を大いに受け入れたいと思う、これについて今後の検討問題として考えておる、こういうふうに了解してよろしゅうございますか。
  14. 杉江清

    杉江政府委員 お説のとおりでございます。
  15. 谷川和穗

    谷川委員 戦前では国民学校、つまり小学校でありますが、それと旧制中学校との間では先生方資格が違った。国民学校の教師というのは師範学校卒業生である。それから中学校先生になるためには大学卒業か、あるいは高等師範卒業生でなければならない。ですから、したがって戦前においては初任給からしてこの二つ種類学校においては違っておった。ところが、戦後は教員養成の態様が変わりまして、全部大学養成される。その中から向き向きによって中学校小学校へ行く人、あるいは特別に英語だ、国語だ、社会だというような、少しく専門的なことを突っ込んだ方々高等学校へ行かれる、こういうような形になっておると思うのであります。しかし、現実の姿を見ますると、給与の問題においては昭和二十八年の給与三本立て以来確かに給与は違いがあるわけでありますが、この給与の三本立てと今回文部省提案をなさっておられます免許法改正の問題との関連について、少しくお尋ねをいたしたいと思うのであります。  現在国家公務員給与は、職務内容、たとえば困難性とか複雑性だとか、さらには責任の度合いを勘案してきめられておる。これは人事院規則四条にそういうような趣旨が述べられておりますが、これできめられておる。したがって、普通の一般国家公務員の場合には、級別があって、その級別にそれぞれ定員がある。したがって、上があけば下から上がっていける、こういう形で給与体系が整っておると思います。しかし、教育職の場合には少しく違った考え方に立っておる。すなわち、職務は同じだけれども一つの等級の中で下から上へつながって昇級していく、言いかえれば、もし給与を区別するとすれば、どんな学校を出たか、一体どこで何年くらい教えているか、こうい、うことによって区別されておる。すなわち、基礎学歴勤務年数によって給与というものがきまってくる、こういう形になっておると思うのであります。  この点についてお伺いをいたしたいのは、今回の免許法改正というものは、この小中学校とそれから高等学校とそれからさらに大学その他、最近は高等専門学校ができましたから、大学その他、こういった給与の大きな三本の表、この問題とは関係ないのだ、すなわち、今回の免許法改正にあたっては、給与の三本立て問題とはつながって論議されているものではないのだというふうに了解いたしておりますが、それでよろしゅうございますか。
  16. 杉江清

    杉江政府委員 おっしゃるとおりであります。教育資質向上のために免許基準を引き上げる、こういう考え方をとっておるのでありまして、しかも免許状種類は従来の考え方を基本的に変えておりません。そういう点から、今回の改正給与体系の問題とは全く別個の問題だと私ども考えております。
  17. 谷川和穗

    谷川委員 給与の問題に入りましたので、免許法とはちょっと離れるのでありますが、この際給与の問題について二、三触れてお聞きをいたしておきたいと思います。  先ほど申し上げましたように、今日小学校中学校教員給与表高等学校先生方給与表とさらに大学その他の先生方給与表と表が三つあるわけでございますが、これは私の理解しているところでは、昭和二十八年の第十六国会における一般職職員給与に関する法律の一部改正によってなされたものだと記憶いたしております。ただしそのときの委員会質疑議事録を拝見いたしておりますと、この法律の一部改正案趣旨は、一つ教育職員給与一般職職員とは別個体系に置かれるべきものである、つまり特別俸給表をつくるべきである、この思想一つあった。もう一つが、給与準則体系を整えるのに、職務内容その他を比較をせずに、小中学校小中学校高等学校高等学校大学その他は大学その他、こういうふうに別々に三本の俸給表をつくるのだ、この二つであったように記憶いたしております。  特にくどいようでありますが、今回の免許法改正関連をする点といたしまして、この給与準則体系を整えるのに、職務内容その他の比較を行なわずに、そのまま縦割りに三つ立てたのだと先ほどから局長の御答弁が続いておるわけでありますが、もう一ぺん、昭和二十八年以来この思想はいささかもくずれておるわけではないし、また今回の免許法改正においてもこれをあえてくずすつもりでもないのだ、こういうふうに了解してよろしいかどうか、お尋ねをいたしたいと思います。
  18. 杉江清

    杉江政府委員 そのとおりだと考えております。
  19. 谷川和穗

    谷川委員 さらに突っ込んでお尋ねをいたしたいのでありますが、今度、高等学校小中学校教員の間の給与の問題についてちょっと触れておきたいと思うのであります。  そもそも給与基準というのは、一つには授業時間数、もう一つには教育技術という面、この二つが大体給与考える場合の基準になり得るのじゃないか、私はさように了解いたしております。授業時間数というのは、いうならば労働量であります。この労働量の問題からいいますと、確かに小学校教員だから高等学校先生と比べれば子供を教えるのが簡単であるとは言えない問題等もやはりあるのであります。今度はまた逆に、高等学校先生から見れば、先ほどの学校教育法の四十一条の精神にのっとって、高等学校教育というものは中学校教育のさらにその上に立てられて、しかも専門教育を授けなければならない。そういう面からいいますと、高等学校で、これから  一般社会へ出ていこう、あるいはこれからさらに上の大学へ進もうという年ごろの子供たちを教えるというのは、これは肉体的にも精神的にも相当大きな労働量を必要とするという議論も成り立つだろうと思うのであります。したがって、これまたきわめてくどいお聞きのしかたをするわけでありますが、今回の免許法別表改正にあたっても、あくまでこれは横並べ式に、高等学校小学校、あるいは高等学校中学校、こういうものを横へ並べて、どちらが上か下かというような意図考えられておるものではない。あくまで縦割りで各学校校種別考えられた免許なんだ、こういうふうに了解してよろしゅうございますか。
  20. 杉江清

    杉江政府委員 そのとおりでございます。
  21. 谷川和穗

    谷川委員 それでは給与の問題はこの辺で打ち切りたいと思うのでありますが、ただ一つ免許法改正はいずれにいたしましても教員資格、身分にきわめて大きく影響をする基本的な法律でございますので、この際特に文部当局に御要望を申し上げたいと思うのであります。  まず第一点は、先ほどの、昭和二十八年の国会の議決の際にも論議されたことでありますが、教育職員一般行政職員との間には別個給与体系があってしかるべきだ、この考え方を今後ともひとつ大いに立てていただきたい、こういうように思います。  それで、二、三気がついた点でありますが、昭和三十六年以来、地方公務員に関する限り、わたりと称して管理職へどんどん上がっていく。昨年の統計では、地方公務員のうち六割近くが管理職になっておる。しかもその地方公務員管理職になった方々の過去の学歴を調べてみると、ほとんど旧制中学校卒業程度、こういうことになっている。ところが学校先生方の中で、非常に努力して高等師範を卒業されて、しかももうすでに二十五年、三十年近く勤務を続けておりながら、先ほど申し上げましたように、地方公務員でわたりと称せられるシステムがあって、皆さんそれぞれ管理職につくために、給与体系は非常によくなってきておるにもかかわらず、教育職員の場合には確かに昭和二十七、八年ごろには一般職と比べれば上であったが、最近はだんだんそういう形で差が詰まってきておる、むしろ下がってきておる人々さえ出てきておると思います。こういう点については、ぜひこの際、教員免許改正が済みましたら手がけていただきたいと思います。  さらにもう一つ学校先生方の中で、かつて文検をパスされた方、これはおそらく一般職でいったら高文をパスしたと同じような方だと思うのでありますが、高文をパスした方々一般行政職の中においては一種のエリートでありまして、給与も下から追っかけられても絶対に逆転することはない。ところがかつて文検をパスされたような方、つまり判任官待遇から奏任官待遇自分の努力で上がられた方が何人かおられると思う。ずいぶんだくさんおられるはずだと思うのです。ところが、こういう方々給与を見ると、下から追っかけてきた方々に追いつかれ、追い抜かれている方さえある。やはり教育職にりっぱな先生方を期待する以上、給与の問題もひとつぜひ今後考えていただきたいと思います。  ただいま申し上げましたのは、免許法に直接関係のあることではございませんので、この辺で次の教科教育の研究の問題、免許法の中の内容の問題についてお尋ねをいたしたいと存じます。  今回の改正によって、小学校普通免許の場合には、八教科全部履修する必要がありましたのを六教科に改めて、そのかわり特定の教科について大いに履修を進めたい、こういう思想があらわれておるように了解をいたしております。この八教科全部履修するたてまえであったのを六教科にして、しかもその六教科の中で特に自分の得意とする科目についてはさらに深く研究することを期待する、この考え方はどこから来たのか、その点についての御説明をいただきたいと思います。
  22. 杉江清

    杉江政府委員 小学校先生は全教科担任をたてまえといたします。そのために広い教養を必要とするわけであります。しかし、単に教える内容だけからいいますならば、中学校教育高等学校教育において修得してきたもので十分であるとは言えないにしても、それらの知識を活用することによって小学校教育を行ない得る、こういうことも言えるわけであります。しかし大学においては、中、高の教育基礎にしてより高度の学習をし、教員資質を高めるわけでありますが、その際大学においては薄く、広くやるということが教員資質を必ずしも高めるとは言いがたい。やはり大学におきましてはできるだけ広い教養を与えると同時にまとまった学習をし、できるだけ学問の中身に深く入って勉強することが人間形成の上に大きく役立つ、こういう考え方が一方あるわけであります。できるだけ教養を広めるというような大学教育における人間形成という立場から、必ずしも広くやるばかりが大学教育立場において必要なことではないのではないか、そういう両方の立場をかみ合わせて六教科以上ということにしたわけであります。この六教科以上ということは、六教科を必ずやらせなさい、しかし地域の必要に応じて七教科を必ずやれということも大学判断によってはできますし、また八教科全部についてやれということもできる。それは大学判断にまかせる、こういう制度にしたわけであります。  で、先ほどのような教員資質についての基本的な考え方、それからまた大学教育のあり方からする考え方、この二つを調和さしたものでありますけれども、もう一つ、現在の小学校教育においては、上学年においてはかなりその内容も高度化されております。そういう点から考えて、一つ教科についてかなり高度な学習をするということが、そういった小学校教育の実際の要求からも必要でありますし、またそういった得意の教科を待たせることが本人に自信と励みを与える、こういうような観点から考えまして、一つ教科または二、三の教科について重点を置いて、二十単位を修得させるという新しいやり方を今回とったのであります。今回の小学校における免許基準改定の趣旨は、八教科を六教科にしたということもその大きな特色でございますけれども、以上のような考え方に基づくものでございます。  それからもう一つ、今回の改定、ことに小学校教員養成における大きな改定は、教科教育の研究という科目を新しく設けたことでございます。従来小学校においては教材研究という科目があって、ここで教育方法の研究をしていたわけであります。しかし従来の教材研究がとかく方法論、技術論に片寄る、こういう批判があったわけであります。今回はその点を改善いたしまして、この教育方法、教育技術というものは内容面と離れてはいけない、やはり専門教育内容と方法論とが密着した新しい教科教育の研究、そういう学習分野を設定して、それを学習させることが教員資質の上においてきわめて重要なことだ、こういうふうな考え方がとられて、小、中、高等学校の全体にわたってこの教科教育の研究という学習範囲が設定されたわけであります。そのことが今回の改正一つの特色になっているわけでございます。
  23. 谷川和穗

    谷川委員 大臣に二点お尋ねをいたしたいと思います。  まず一点は、ただいま局長の御答弁の中にも、八教科全部やるということは、教員養成する側、すなわち大学から見てもなかなかたいへんなことなんだというような意味の御発言がございました。私もなかなかたいへんなことだと思います。それからもう一つ教員になる側から見ますと、その八教科の中には音楽とか図工とか、こういつた技能教育まですべて含まれるわけでありますけれども、この辺は将来にかけての課題だと思いますが、どんなものなんでありましょうか。  さらに進んで、先ほどの局長の御答弁の中にも、小学校の上級へ行くとかなり高度化した教育も行なわれるのだというようなお話がございました。したがって、技能教育に関しては、少なくとも専科教員を置くということは将来お考えになることはございませんか。その点をまず第一にお伺いしたいと思います。
  24. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 いま谷川さんの御指摘になりました点は、確かに現在及び将来の傾向として検討すべき課題であると思います。現に学校によりましては相当に専門化されて、そうした本質的な専科教育の音楽とか技能等については、特別な教師がおられる学校が多くなってきておりますから、全体の進度と合わせてそういうことは今後研究すべきものだ、かように考えております。
  25. 谷川和穗

    谷川委員 それでは、大臣に続いてもう一点お尋ねをしておきたいと思います。  ただいま教科教育の研究の問題がございましたが、ここがやはり議論の分かれるところだと思います。教科教育に重点を置くということは、教える技術ばかりに重点を置くことになりはしないか。かつての師範教育への逆戻りになるじゃないか、こういう議論があると思うのでございます。師範教育のよしあしというのは、考えてみますと、そもそも師範学校というのは昭和十八年にやっと専門学校になったのでありまして、始まりのころは、私は、この師範教育というものは、日本の教育制度の中で非常にすぐれた働きもなしたと思うのでありますが、また逆から言いますると、学校の中における自由、特に非常に厳密な意味でいっても、また広い意味でいっても、いわゆる教育を学問の対象とした場合に、その学問の自由あるいは教育内容、あるいは教える仕組みまで文部省が一々おきめになっておられる。それで教師となる者は、そういう意味では教えることについて情熱は持つのだけれども、いかに教えるべきかということについては、自分らの独創性というのはある意味では封じられておった。師範教育の悪い点をあえて指摘すれば、まあそういうところにあったと思うのであります。したがって今回の教科教育の研究に重点を置いていこうということは、こういった師範制度へ復活させるのだ、こういう考え方ではないのだと私は了解はいたしておりますが、その点についての御答弁をいただきたいと思います。
  26. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 かつての師範教育は、その教師養成教育内容が非常に画一的であったということと、それからもう一つは、教育技術の修得というところに非常に重点が置かれ過ぎておったと思います。しかし現在の教員養成は、御承知のとおりいかなる学校でも、一つ教科の中で教育を受ければ、教員養成大学でないところでも資格は得られるわけであります。なお大学教育でありますから、かつての師範学校のようなものとは違いまして、非常に広範な、豊かな教養を整えるという点に重点が置かれておるわけであります。しかしながら一面において、生徒指導とかあるいは教え方の研究などは、どうもいままでややもすれば放置されておった傾向がありますが、この点にも意を用いていきたいという考え方でございまして、確かに教師が児童生徒に教育を授ける場合には、本人の独創性というものは非常に重要であります。しかし、独創性を生み出すためには、やはり大学で研究中にそれに関心の深い研究、学問もある程度は必要でございますから、そういう素養の上に立って本人の独創的なくふうが必要であるというように考えますので、重点と申しましても、これだけに師範学校教育時代のように重点を置こうというのじゃなくて、いままで忘れられ過ぎておったが、こういう点も大事であるという並列的な意味で考えておるわけでございますから、その点ひとつ誤解のないように御了承いただきたいと思います。
  27. 杉江清

    杉江政府委員 私からも大臣の御説明をふえんさしていただきたいと思います。  今回免許基準の引き上げ、修得単位数の引き上げが全般に行なわれているわけでございますけれども、そのおもなる引き上げは専門教科について行なわれているわけであります。教科教育の面においてもその引き上げが行なわれておりますけれども、しかしこの教科教育に相当するものは、従来とも教材研究とか、教科教育法とかいう分野で、これは専門の内容と離れて教育方法論をやったわけでございますけれども、それには先ほど申し上げましたようないろいろな欠陥があった、だから、この従来の教材研究、教科研究を、単なる技術ではなく、その専門教育内容と密接してそれをどうこなしていくかの研究をやる分野として、教科教育が設けられたわけであります。その意味において、従来以上にその教科教育の研究の分野では専門教育内容が入ってきているわけです。それぞれの教科の専門的なものが従来より以上に入ってきている、そういう意味において、単なる技術論の方向に進んでいるということは言えない、かように考えております。
  28. 谷川和穗

    谷川委員 本年二月に審議会の建議が行なわれましたときに、私の記憶に間違いなければ、各新聞は一斉に論説を掲げ、むしろ今回の免許法改正の骨子について賛成の議論が大半であったように考えております。その幾つかを私は目を通してみましたが、議論の骨子としては、戦後の教員養成は、各大学で非常に幅の広い全人格的教育を授けて、その全人格的な教育を受けた人々の中から教員が生れてくる、こういう意味では非常にすぐれた点があるのだけれども、しかしまたその反面、教職の専門制ということからいうと、いま少しく検討を加えなければならぬところがあった。特に時代のこう進歩発展の激しいときには、時代要求に必ずしもいまのこの大学における教員養成がそのままでよろしいかというと、考えなければならぬ時期になっておった。その時期にたまたまこの建議が出たことは、まことに時宜を得たものだという論旨が大半であったように考えております。したがって今回の改正の中にありますこの教科教育の研究というのは、そういう意味でみずからを教職に捧げようと願う学徒にとっては、むしろこういう制度こそこの教員養成課程の中においてはぜひ行なわるべきことだというふうに了解をいたしております。  それでは続いて、今回の改正の中にあります在職十五年以上の現職進級廃止の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  お配りをいただきまして、いま私の手元にあります大学学術局長の法律案提案理由補足説明の中に「別表第三の改正は、現職教育機関を拡大し、一級普通免許状の授与を受ける場合、在職年数が十五年をこえる者については、単位の修得を必要としない特例を廃止するものであります。」こうございます。私は、この趣旨はわかるのでありますけれども、しかし一挙にここで十五年の在職者が、いわば一つの既得権あるいは期待権といいますか、そういう気持ちでおったのを、ここでばさっとぶった切ったようなことになるのは、あまりにも強いような感じがいたしております。もちろんそのあとには経過規定がございまして、「現に二級普通免許状を有する者であって、昭和四十七年三月三十一日までに在職年数が十五年をこえることとなるものは、一級普通免許状の授与を受けることができるよう、この法律の附則第三項で経過措置を設けております。」こういうふうに説明されております。しかしたとえば税務官吏の中で税務行政に携わって二十年、そして所長を済ましてやめるというようなときには、税理士の資格を授けよう、こういうような思想も一部にあるわけでありまして、教員と税理士とはまるで性質は違いますけれども、まして教職にあるような方々が、十五年在職をされて、十五年をこえれば、いままでは単位の修得を必要としないで二級免許状を持っていた方が一級になられたわけでありますが、今回これを思い切って改正しようとなさっておられる意図はどういうところにおありになるのか、お伺いをいたしたいと思います。
  29. 杉江清

    杉江政府委員 一言にして言いますれば、教員資質向上のためにはやはりこのような措置が必要だ、こう考えたわけでございますが、現在の制度におきましても、経験年数というのは上級の資格取得の上において十分尊重されているわけであります。五年という在職年数、そういう要件がまず必要でありますけれども、それを越えた一年について五単位ずつ単位の修得を逓減しておるのであります。そういう制度は、現にとられておる。だから、これは十一年たちますと十五単位だけ取ればよろしいということになるわけであります。その後、現在の制度は十五年たつとその十五単位も取らなくてよろしい、こういうふうになっておるわけでありますけれども、今回の改正は、その経験年数を尊重して、それに応じて修得単位数を減らす。その制度は残すけれども、最終的には全く経験年数だけで上級の免許状を得るということは、やはり教員資質向上という見地から適当でない、こういうふうに判断をしたわけであります。もちろんその期待権というものは尊重いたしまして、現に法律施行時において大体十年の経歴ある者は、従来どおり十五年たてば単位を修得しなくてもよろしい、それだけで上級の免許状を得られる、こういう救済措置をしておりますが、大体この程度で現在おる者にとってはそれほど支障はない。また、教員資質向上のためにはある程度やはりがまんして勉強してもらいたい、こういう考え方で今回の措置をとったわけでございます。
  30. 谷川和穗

    谷川委員 教員免許の場合には、その基準となるのは、大学における修得単位でございます。今回、たとえば小学校普通免許の場合には四十八単位を一挙に六十八単位に引き上げるわけでありますが、この単位の計算方法については別に規定がないようでありますけれども、これはどういうふうに考えればよろしいのかということが一問。  それから第二問としては、設置基準にいう単位の計算方法が、もしかりに変更された場合はどうなるのだろうかということが第二問。  それから第三といたしましては、一般教育の問題は、これは免許基準に含めないのかどうか。この三問をまとめてお伺いをいたしておきたいと思います。
  31. 杉江清

    杉江政府委員 教員養成学部も、これは大学学部でありまして、学部一般を通ずる基準には適合する必要があるわけであります。そういう意味から、一般教養も設置基準に規定されておるとおりに実施していただく。こういうたてまえで、今回法律の規定からはずしておるわけでございます。また、単位の計算も、これはすべての大学要求されるそういった単位の計算、それは設置基準に規定されるわけでありますけれども、その設置基準によっていただくという意味で、免許法によって規定することをはずしたわけであります。そういうたてまえをとりますから、この設置基準における単位の計算、また一般教育のあり方等が変われば当然その影響を受けまして、教員養成学部においてもそういった設置基準によって教育を行なう、こういうことになるわけでございます。
  32. 谷川和穗

    谷川委員 時間が参りましたのであと二つばかりお伺いをいたしておきたいと思います。そのうちの一つは、検定制度を今後広く活用する意思がおありかどうか。さらに、今回の審議会の建議にも出ておったように記憶いたしておりますが、試補制度についてどう考えておられるか。この点についてお尋ねをいたしたいと思います。
  33. 杉江清

    杉江政府委員 教育職員養成審議会から、検定制度を今後拡張することを示されておりますが、今後そういう方向で検討し、徐々にこの範囲を広げてまいりたいと考えております。  それから試補制度につきまして、この点については理念としてはわかるのでありますけれども、実施にあたっては非常に多くの問題がありますので、この御建議においても、なお今後十分検討する、こういうたてまえになっておりますけれども、私どももひとつ十分今後とも検討してまいりたいと思います。
  34. 谷川和穗

    谷川委員 それでは最後に政務次官にお伺いをいたしておきたいと存じます。これはあるいは今回の免許法改正には直接に関係のあることでもございませんし、それから現在どうということでないのでございますが、お考えをお聞きしたいと思っておるのでございます。というのは、先刻来の議論でも出てまいったわけでありますが、戦後.の教員養成は広く大学学部でなされる。その大・学は大学設置基準、短期大学の場合には短期大学設置基準というものがあって、そこでそれぞれの大学基準はきめられておる。ところが各県それぞれにおきまして、各大学の授与する現行免許に対する一種の不信感といいますか、というものもあって、教育委員会独自の責任において校種別の任用試験が行なわれておるところもあるというように私は聞いています。今後教員資質向上のためにも、またそれぞれの教員がお持ちの教員免許というものの権威の面からいっても、その免許を授ける最も中心になるような幾つかの事柄については、各大学統一して同じ種類の試験を受ける、あるいは任用試験の場合には、もちろん各県が自主的に決定するというたてまえは尊重すべきでありますが、同時に全国一つの水準というか標準というか、そういうものを考えたらどうかというような議論も一部にあるように聞いておるのでありますが、この点について現在すでに文教当局において何らかの御議論がなされておったならば、それをお伺いいたしたいと思いますし、それから現在まだそういう考え方がないようであれば将来こういうことを研究される意思がおありになるかどうか。あるいは現在の教育制度からいえば、現在いろいろの問題点はあっても、現行の姿が望ましいというようにお考えになっておられるのか。この辺について御説明をいただきたいと存じます。
  35. 中野文門

    ○中野政府委員 私は中途からこの席に参りまして、先生の御質問を全部了承いたしておりませんのでございますが、ただいまお話しのございました各都道府県の教育委員会において、都道府県ごとに必要な教員の任用についての試験が行なわれておる現状の問題が是か非か、あるいは全国画一的な何か任用試験というものが行なわれてはどうか、あるいはそういう問題について検討しておるかというお尋ねのようでございます。  私しろうとながら考えますのに、現状が必ずしも満点の制度ではないように私自身は考えておりますが、何といいましても、各都道府県が独自の教育委員会を持ち、その教育委員会の権限のもとに必要な教職員の任用についての試験をするという制度も、そのままの状態でそれは重大な意味があって、尊重しなければならぬと思いますけれども先生のお話にもありましたように、現状そのままでよいか悪いかという問題は、たいへん大きな問題であろうと存じます。私ども役所の者といたしましても十分検討いたしたい、かように存じます。      ————◇—————
  36. 八田貞義

    八田委員長 文教行政基本施策に関する件について調査を進めます。  文化財保護に関する問題について質疑の通告がありますので、これを許します。落合寛茂君。
  37. 落合寛茂

    ○落合委員 けさほどの毎日新聞に「ときの人」という囲みで阪井敬子さんという娘さんの写真が出ておりますが、なかなか美人です。敬子さんという娘さんが文化財愛護運動のシンボルマークに入選したという記事が出ております。  私のお尋ねしようと思うのは、文化財に対する保護問題についての質問なのでありますが、これはただ上つらの問題でなしに、国としての文化財に対する理解とかそういう筋の通った基本問題について大臣にお聞きしょうと思ったのですけれども、不幸にして大臣がどこかへずらかってしまわれましておいでにならないのです。でありますので、きょうは局長さんに一通りお聞きをしまして、その基本に対する問題は後日に質問を保留しておくことを最初にお許しを願っておきたいのであります。  御承知のように、先ごろから新聞等でひんぱんに取りざたされておる文化財に対する問題があります。それは御承知の、京都の東山に青蓮院という由緒のある寺がありまして、そこの重要文化財が散逸した問題でありまして、これはもちろん世論の非常なきびしい批判にあっております。本件についてその直接監督の立場におありになる文化財保護委員会の責任のあるその経緯についての御説明を最初にお聞きしたいと思います。
  38. 村山松雄

    ○村山政府委員 いわゆる青蓮院の国宝、重文の問題というのはいろいろな刑事事件、文化財保護法上の問題、それから宗教行政ないし宗務行政上の問題がからみ合った一連の問題でございます。これが世間ににわかに取りざたされた動機は、青蓮院に国宝が一件、それから重要文化財が十九件あるわけでありますが、そのうちの重要文化財の大手鑑と申すものが詐欺横領事件の証拠品として、容疑者が上野署に逮捕され、それから品物が上野署にとめ置かれたということから世間に伝えられるに至ったものでございます。  まずそれにつきまして御説明申し上げますと、この四月ごろ、現在はこの大手鑑は大阪の個人の方の所有になっておるようでありますが、それを売りたいということで京都の美術商が預かりまして、東京に買い手があるということで出てまいりました。それをまた売ってやるからということで二人の者が品物を預かってそのまま所在をくらました。大阪の所有者から預かった京都の美術商が上野署に訴え出て、上野署で捜査の結果持ち逃げをした者二人が上野署につかまり、品物が上野署にとめ置かれた、こういうことになったわけであります。上野署のほうからの照会で、文化財保護委員会に品物の確認を求められましたので、書蹟の担当官が実物を見ましたところ、重要文化財に指定された大手鑑に間違いがないということになりました。この事件はそういうことで刑事事件でございますので、以後引き続き上野署において捜査中でございます。  これに関連して青蓮院の国宝、重文がかなり世間に散逸しておるのではないかということになったわけでありますが、この点につきましては実は文化財保護委員会におきましても、数年前からそういううわさも耳にいたしておりましたし、また実は買い取った方から買い取ったという届け出には接したわけであります。ところが文化財保護法では、国宝、重要文化財の売買それ自体は悪でもなければ不当事項でもございませんが、必要な手続をしなければならないことになっております。資り渡し側がまず有償で譲渡する場合には国に買い取りの申し出をし、国が買い取らないという返事をした後において有償譲渡をするということが定められておりますし、買い取り側においては買い取った後二十日以内に届け出ることになっております。買い取り側の届け出がなされたわけでありますが、売り渡し側の手続がなされておらないということになりまして、手続が不備でございますので、買い取り側にもその旨を伝え、それから文化財保護委員会並びにこれを地方で担当しております京都府の教育委員会を通じまして、所有者である青蓮院にも成規の手続をとるように連絡をいたしましたが、その当時は、青蓮院の責任者はそういう件については関知しない、自分が知らないうちに出たのではないかということを申しまして、手続がとられないままで今日に至っております。  この種の品物は現在十件程度ございまして、文化財保護委員会、京都府教育委員会並びに最近は刑事事件が起こりましたので警察においても捜査中であります。  それから三番目に刑事事件が実はもう一つあるわけでありまして、これは昭和三十七年七月のできごとでございますが、青蓮院にこれも重要文化財の指定を受けております浜松図というふすま絵がございます。これが未指定のふすま絵二件とともにそのうちの一枚が観光客によって切り取られ盗まれたという事件がございます。これは寺側の届け出によりまして所轄の松原署におきまして捜査をいたしましたが、犯人もつかまらず、確たる手がかりも得られないままに、今日に至っております。そういう経緯がございますので、松原署においては、今回の事件を契機といたしまして、その四年前の事件の再捜査をやっております。  それから問題の第四点は、これは青蓮院は申すまでもなく宗教法人でございますし、天台宗の一寺でございますので、寺の財産を処分するには、それぞれ所定の宗務行政上の手続が要るわけであります。寺としても、そのようなことは責任役員の間で所定の手続が要りますし、また天台宗を総括しております天台宗務庁における所定の手続も必要でありますが、私どもが聞いた範囲では、そういう手続もとられておりません。天台宗務庁においても何とかしなければならぬということを検討中でございます。  以上が事件の概要でございまして、現段階におきましては、その四つの問題がからみ合いましてそれぞれの立場で真相の究明、それからその続く問題としては、善後策をどうするかということをやらなければならぬ段階でありますが、文化財保護委員会といたしましては、現段階では所在の確認につとめておりまして、善後策までにまだ立ち至らない状態であるというのが現状でございます。
  39. 落合寛茂

    ○落合委員 ただいまの御説明、いわゆる売買、散逸、流出したその道筋とか、刑事問題になっている問題とか、そういうもののお話でありますが、私としてお聞きしたいのは、法律まで制定されて、一国の文化の遺産、重要文化財、国宝というものを尊重して、そうして保存して、そのために保護法までできているものであります。そういう立場から、保護委員会というものが感じ取らなければならない一つの監督義務があると思うのでありまして、そういうものに対する監督上の責任と申しますか、そういうふうなことに対してどういうお考えを持っておいでになりますか。実はここで私、そういうことを申し上げるのはどうかと思いますが、この問題に対するなには、久しい以前から——私、比叡山の職についておりました当時から、これは問題になっていた問題でありまして、私ども宗務庁におりましたその当時から、青蓮院の問題については何とかして早く調査をし、そしてまた、はっきりした所在をきわめなければならないということを、青蓮院にはもちろん慫慂いたしておりましたし、また京都府の保護委員会のほうへも、そういうことを申し入れたことがあるように記憶をいたしておるものでありまして、この問題は、少なくとも一年や二年の問題でなしに、もっと、十年近く問題になっておりました一つの問題なんであります。でありますから、当然国として、保護の立場からいいましても、責任を持ってこういう問題が起きないように考えてくれなければならないはずだったと思うのでありますが、そういうことに対するお考えをひとつ局長さんから伺っておきたいと思います。
  40. 村山松雄

    ○村山政府委員 文化財保護法のたてまえによりますと、文化財、特に指定された文化財に対しましては、国、都道府県、それから所有者、さらに国民一般にまでこれを尊重するように義務づけておるわけであります。ただ考え方といたしましては、財産権の尊重ということを同時にうたっておりまして、所有者による管理が第一義でありまして、国、都道府県、その他一般国民というものは、それぞれの立場で所有者の管理が円滑にいくように協力する。   〔委員長退席、上村委員長代理着席〕 それから国の場合には、必要な立場で指導、援助をするというたてまえになっております。そういうことでございますので、この問題につきましても、先ほども説明申しましたように、実は数年前からわかっておりましたので、何回かにわたりまして、管理が適正に行なわれるように助言、援助を試みたわけでございますが、当事者の側におきまして、こちら側の協力申し出に応ぜられる態度が、少なくとも最近までなかったために、その間に所定の手続を経ないで、相当の重要文化財が散逸したことにつきましては、まことに遺憾であると申し上げざるを得ない次第であります。
  41. 落合寛茂

    ○落合委員 そういたしますと、監督の分担は、京都府の保護委員会で取り扱うことになっておったのですか、あるいは国のほうで直接に取り扱うことになっておったわけですか。
  42. 村山松雄

    ○村山政府委員 文化財保護法によりますと、国と都道府県は、それぞれの立場で、文化財保護に任ずることになっておりますが、都道府県の教育委員会は、国が何かする場合の経由機関、意見具申機関になっております。本件に関しましては、すべて京都の教育委員会と連絡をとりながら必要な指導、援助をやっておりまして、中には国の係員が直接参ったこともあるようでありますけれども、その場合でも必要な事項の連絡をとりつつ、所在の追及、それから事態の解明につとめておった次第でございます。
  43. 落合寛茂

    ○落合委員 そこが私は問題だと思うのでありまして、おそらく今日八千百四十六点ですか、国宝及び重要文化財というものがいま国内に認定されているのですが、国として国宝あるいは重要文化財に認定した以上は、国として私は当然責任を持たなければならないと思う。ただ認定しつばなしで、認定したからいい、しかもそれは所有者の責任であるというふうなことでなしに、国としてもっと責任を持つ必要があるのじゃないか、私はこう思うのであります。また仄聞するところによりますと、すでに数年前から青蓮院が何らかそういうふうな方法で、重要文化財が散逸しておるということは、もう文部省に当然耳に入っているわけなんであります。それを手をこまねいて、今日まで放任しておいて、本山としても、宗務庁としてもかつて慫慂をいたしておりますのに、それをそのまま捨ておかれて、そして今日問題が起きてから、いろいろ、言ってみると責任のがれのようなことをおっしゃっていられる向きが見えるのでありまして、今回の問題の起きたときに、荒尾京都府教育委員文化財保護課長が、新聞記者に語った話が出ておりましたが、まあこれは新聞のことでありますから、はっきりしたことはわかりませんが、どういうことを言っているかというと、今度の事件は、寺の財政困難から起こった問題で、いつかはこういう問題が起こるだろうと実は自分も心配をしていた、こういうことを新聞記者会見で言っているのであります。でありますからして、こういうふうに見ると、国で認定した重要文化財に対する保護がほとんど考えられていないようにどうも私はとらざるを得ないのでありまして、子供ががけっぱたへ行ってころがり落ちそうになっているのを遠くで見ていて、ああいまにあいつはおっこちるだろう、おっこちるだろうと言っているうちにおっこってしまったというふうなことにも考えられるのであります。おそらく今日文化財はおそろしい数のものが私は散逸しておると思います。八千何百点というのでありますからして、それならそれを責任を持って、年に一回ずつ、地方に調査員を置くとか、いまの教育委員会に責任を持たせて調べさせるとかいうふうな親切ななにがあれば、今度のような問題は私は起きなかったと思います。  青蓮院は御承知のように由緒のある寺でありまして、あの寺にいま住職されておる門跡は皇后さまの実際の弟なんです。そういう問題については、雲上人というか、何かあまり関心を持たれないような人なんです。ですから、その人のまわりについておる者たちがどういうことをしたかそれはわかりませんけれども、とにかくそういう性格の寺なのである。  門跡寺というのは、どうして門跡というかというと、これは皆さん御承知ないでしょうけれども、昔から皇族が住職した寺を門跡というのでありまして、その門のあとで、政治家が財産がなくなって門のあとがあるというのと違うのです。そういう立場の寺なんでありますから、もう少し国のほうで責任を持って監督していただいたならば、こんなこともない、私、こうつくづく残念に思うのであります。  ただいま申し上げましたような多数の、八千点以上の重要文化財に対しては、国として調査したか、あるいはそれをいろいろな科学的ななにによっていつも統計でもとっておいでになるか。その国としての保護方法をひとつお話し願いたいと思います。
  44. 村山松雄

    ○村山政府委員 わが国の重要文化財の特殊性としまして、御承知のように社寺で持っておるものが非常に多うございます。もう一つは、個人で持っておられるものがまたかなりありまして、たいへん遺憾でありますが、博物館、美術館に納められているものは諸外国に比べますとむしろ少数であります。そこで管理上のいろいろな問題が起こってくるわけであります。  まず社寺のものについて申し上げますと、これは重要文化財である以前に社寺の寺室ないし信仰の対象というものが文化財になっておるわけでありまして、社寺の運営それ自体は文化財保護行政の対象外でございます。社寺がいかに窮乏しょうとも、それは直接的には文化財保護行政とは無関係でございます。  そこで文化財保護法で社寺の持っておる重要文化財に対処する態度としては、やはり求めに応じて必要な技術的、財政的援助を与える。それも社寺の行政に触れることなく、文化財そのものを直接対象として行なうという態勢でやらざるを得ないわけであります。そういう意味におきまして、文化財保護行政の主たる内容は、保存、修理ないしは防災施設に対する補助、援助ということになるわけでありまして、これにつきましては十分とは申せませんけれども、最近の予算におきましては総額十億をこえる修理、防災費が計上されておりまして、建造物、それから宝物の修理、防災をやっております。  問題の青蓮院につきましては、実は何らそういう援助の申し出もなく今日に至ったわけであります。こちらからの申し出に対しても、それに対応せられる態度でなかったのはたいへん遺憾であった次第でございます。  それから監督の問題でありますが、文化財保護法では、指定物件につきましては、かなりの所有権の制限規定がございます。いろいろな許可、届け出が義務づけられましたし、それから公開をしなければならぬとか、あるいは所在の移動について制限があるとか、そういう制限規定がありまして、これによって所在を明確にして、長く保存活用されることを期待しておるわけでありまして、適法な手続によって移動しておれば、これがにわかに散逸ということばで遺憾な事態ということには相ならぬわけでありますが、所定な手続もされず、それから保存、活用する気持ちの薄い人の手に渡って、最後にはこれが棄損亡失するという事態が一番憂えられるわけであります。そこでそのような事態が起こらないように必要な規制を加える反面、必要な技術的、財政的援助を与えて、現在約一万件に近い重要文化財につきましては、若干今回の事件のような遺憾な事例がありますが、大部分につきましては適当な保存、活用がはかられておるのが実情でございます。
  45. 落合寛茂

    ○落合委員 そこのところなんです。いまのお考えは当然そうなくてはならないことなんですが、そこがどうもお役人さんの頭のいい御説明なんです。私ども、一たんおまえの持っているのは重要文化財だ、大切にしなければいけないというわけで、しかもそこで国家としての認定がされて、認定書まで下すっているのですから、一年に一回とか、三年に一回は、あの大事な文化財を一体あのまま保存しているだろうかとかなんとか心配になるのがあたりまえでありますから、国として何かそういう調査をするとか、届け出をさせるとかいうような親切があっていいのじゃないかと民間人は考えるわけなんです。そういうお考えはお持ちになりませんか、どうでしょう。
  46. 村山松雄

    ○村山政府委員 先ほど多少説明が不足でございましたので補足いたしますが、まず調査の問題でございます。文化財の調査につきましては、実はいろいろな角度、方法によりましてやっております。  一つは、指定された物件が良好な状態で保存されておるかどうかという角度からの調査でございます。これにつきましては、何ぶん件数も多いし、所在も全国にわたっておりまして、それに対して人手は、国においても都道府県においても十分ではございませんので、書面調査を主体といたしまして、書面調査をやって不審の念があるようなものについては、実際に人が見にいくというようなことをやっております。それからまた申し出があれはできるだけ都合をつけて見にいく。文化財の修理、防災につきましては、こちらで見にいって気がつくものよりも、実は所有者、管理者のほうであぶないから見てくれといわれて調査をして、その結果やったほうがいいといって、取り上げるケースのほうがむしろ多いような次第でありますが、そういうぐあいに調査はいろいろやっております。  蛇足でありますが、未指定物件で指定する価値のあるものがありはしないかという角度からの調査も、地域を定めあるいは物の種類を定めていろいろな角度からやっております。  そういうことで、現在まで国宝につきましては、まずほぼ所在不明とかそういう遺憾な事態はないと考えております。国宝を除いた重要文化財については、実は残念ながらそういう事故が絶無とは言いがたい、しかしもう非常に多数なものが所在不明という事態でもないと考えておりますけれども、一部にせよ所在不明なものがあることはきわめて遺憾でありますので、こういう事件を契機といたしまして、さらに一そう従来の調査を徹底させ、調査によって出てきた保存、活用に対する指針をつかみまして、一そう保存活用の適正につとめたい、かように考えております。
  47. 落合寛茂

    ○落合委員 たいへんありがたいなにですが、そのしり馬に乗って要求するわけじゃありませんが、至急ひとつ資料といたしまして、この八千何百点のうち重文とそれから国宝でもけっこうですが、それに対する調査をしていただいて、はたして現存しているのか、あるいは破損していて修理をしなければいけないのか。私の知っている寺なんかでは、ぼろぼろになって、国宝が虫に食われまして、ひどいことになっていても、住職が一文にもならないから、だれも見に来ておさい銭もくれないからというので、戸だなのすみのほうに入れておくようなのがたくさんあるのです。だから私は心配になるのですが、ひとつこれを契機にして、ぜひ文化財の調査の表をこしらえていただいて、この際調査をしていただけるようなお考えはどうでしょう。
  48. 村山松雄

    ○村山政府委員 調査はやっておりますし、できる限りの資料は整えて御説明申し上げたいと思います。ただ、弁解がましくなりますが、国宝約七百件の調査につきましても、実は御返辞もないところもあるわけであります。まして重文八千件となりますと、調査それ自体、書面調査も相当の手数、それから調査の歩どまりということが考えられます。それから実地調査ということになりますと、人手その他の問題もありますし、それから先ほど日本の文化財の特性で申し上げましたように、社寺有のもの、個人有のものが多くて、それらはたいへん申しかねますけれども、必ずしも全部が調査に協力的ではございません。それからまたかりに協力的でございましても、調査はきわめて手のかかる問題でありまして、一例を申し上げますと、ついせんだって下総中山の法華経寺の宝物調査をいたしましたが、このお寺はかぎを三者で持っております。お寺とそれから本庁それから信徒総代、その三者で持っているかぎが一緒にならないとあかない。その一緒になっていただく話をするのにずいぶん時間を要しますし、それからあけても今度は少しでも天候が悪ければその日は調査を中絶するというようなことで、社寺の調査というのはきわめてむずかしい問題を含んでおるということをお含みの上で、簡単なそういう粗漏な調査の結果でございましたら御説明できますが、こういうことではげさんで満足がいかないというおしかりをおそらく受けると思いますので、あらかじめお断わり申し上げた上で資料を提出させていただきたいと思います。
  49. 落合寛茂

    ○落合委員 それは無理もないですよ。なぜかというと、いままでやったことがないのですから。だからひどいのですよ。われわれよくそういう実例を知っておりますけれども、国宝なら国宝という認定をしたのだけれども、一体保管料を幾らお出しになっておりますか。これは国宝なら国宝の、あるいは重文の……。
  50. 村山松雄

    ○村山政府委員 所有者管理に対しましては別に管理に対する費用は援助しておりません。ただ、博物館に勧告出品あるいは任意の寄託を受けますと、それに対しましては出品の謝金を払っております。
  51. 落合寛茂

    ○落合委員 国宝のあるような寺は由緒ある寺院でありまして、非常に古い寺が多いのです。ですからもう建物もこわれそうになっておりますし、財産はありませんし、非常に貧乏で貧窮している寺が多いのです。でありますからして、どうしてもそういうものの取り扱いを粗漏にするようになるのでありますから、この際ひとつ国としては予算を盛られて、そうしてそういうことのないように、先ほどの青蓮院の問題も、問題は貧窮から起きたのが根本だと思うのです。それで貧乏して困っておりますから、どうしても悪いことを考える。玉を抱いて罪ありというやつですね。ですから国としても何とか保護政策を考えていただいて、そうしてもう少し大事にしていただきたいのであります。先ほどこの文化財保護委員会のなにを見ますと、職員の皆さんはたいへんめいめいをかわいがっておられまして、保護法の総則の第七条の六号に「職員の厚生及び保健のため」云々というような、文部省の外局の保護委員会であっても、これだけ職員さんたちの厚生とか保健とかのために一項をさかれておくような状態なんですから、やはり重要文化財に対しても、ひとつあたたかい、ほんとうに身についた保護政策をとっていただきたい、こう思っております。御承知のように、先ほど私読みました、けさほど新聞に出でおりました文化財愛護運動のシンボルマークを何万円か出して懸賞募集して、この娘さんが当選したのですが、これはくしくもけさ出たのですが、これほどまでにして文化財を愛護する運動を文化財保護委員会の手で全国津々浦々の神社仏閣にこれを張りつけて、そしてこれを大切にするシンボル、ここまで考えておいでになるのですから、私はもう少し突っ込んで保護政策をお考えくだすったほうが、一国文化のためにもたいへんけっこうだと思うのでありますが、時間がありませんからもう私やめますが、どうぞひとつそういうおつもりでこの問題を取り扱っていただきたいと思います。
  52. 上村千一郎

    ○上村委員長代理 本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十八分散会