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1966-05-18 第51回国会 衆議院 文教委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年五月十八日(水曜日)    午後二時四十六分開議  出席委員    委員長 八田 貞義君    理事 上村千一郎君 理事 小沢佐重喜君    理事 谷川 和穗君 理事 南  好雄君    理事 八木 徹雄君       安藤  覺君    大石 八治君       久野 忠治君    熊谷 義雄君       坂田 道太君    篠田 弘作君       田邉 國男君    床次 徳二君       中村庸一郎君    松田竹千代君       松山千惠子君    渡辺美智雄君       鈴木  一君  出席国務大臣         文 部 大 臣 中村 梅吉君  出席政府委員         文部事務官         (大臣官房長) 赤石 清悦君         文部事務官         (大学学術局         長)      杉江  清君  委員外出席者         専  門  員 田中  彰君     ————————————— 五月十八日  委員重政誠之君、原田憲君及び船田中君辞任に  つき、その補欠として田邉國男君、渡辺美智雄君  及び安藤覺君が議長指名委員に選任された。 同日  委員安藤覺君、田邉國雄君及び渡辺美智雄君辞  任につき、その補欠として船田中君、重政誠之君  及び原田憲君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 五月十六日  公立学校事務職員定数増加に関する請願小沢  佐重喜紹介)(第四四六〇号)  公立学校事務長職制確立及び処遇改善に関す  る請願小沢佐重喜紹介)(第四四六一号)  義務教育における習字教育振興に関する請願  (臼井莊一君紹介)(第四四六二号)  同(久野忠治紹介)(第四四六三号)  同(佐藤觀次郎紹介)(第四四六四号)  同外一件(高橋重信紹介)(第四四六五号)  同(長谷川四郎紹介)(第四四六六号)  同(船田中紹介)(第四五三六号)  同(福田篤泰紹介)(第四六〇三号)  同(岡崎英城紹介)(第四六二九号)  同(伊東正義紹介)(第四六四五号)  同外六件(今松治郎紹介)(第四六四六号)  なぎなたを中学校以上の女子に正課として採用  に関する請願外十四件(三原朝雄紹介)(第四  四六七号)  同(森義視紹介)(第四四六八号)  同外一件(愛知揆一君紹介)(第四五三三号)  同外二件(井出一太郎紹介)(第四五三四号)  同外四件(奥野誠亮紹介)(第四五三五号)  同(壽原正一紹介)(第四六〇一号)  同(堀川恭平紹介)(第四六〇二号)  同(堀川恭平紹介)(第四六二三号)  同外十二件(愛知揆一君紹介)(第四六二七号)  同(壽原正一紹介)(第四六二八号)  同外二件(大石武一紹介)(第四六四七号)  同(壽原正一紹介)(第四六四八号)  公立学校PTA寄付行為規制等に関する請願  (田中伊三次君紹介)(第四四六九号)  各種学校制度確立に関する請願外百十九件  (大倉三郎紹介)(第四四七〇号)  同外一件(西村榮一紹介)(第四四七一号)  同外一件(志賀義雄紹介)(第四五三七号)  同(井岡大治紹介)(第四六〇四号)  同(久保田鶴松紹介)(第四六〇五号)  同外九件(和爾俊二郎紹介)(第四六二四号)  同外五百六件(西尾末廣君紹介)(第四六五〇号)  同外三件(野原覺紹介)(第四六五一号)  同外百十八件(古川丈吉紹介)(第四六五二号)  長野県に青年の家設置に関する請願井出一太  郎君紹介)(第四四九五号)  在日朝鮮人民族教育保障に関する請願外一件  (大出俊紹介)(第四五二三号)  編物を正課として採用に関する請願相川勝六  君紹介)(第四五二四号)  同(大倉三郎紹介)(第四五二五号)  同(岡良一紹介)(第四五二六号)  同(小山長規紹介)(第四五二七号)  同(辻原弘市君紹介)(第四五二八号)  同(堀川恭平紹介)(第四五二九号)  同(本名武紹介)(第四五三〇号)  同(村上勇紹介)(第四五三一号)  同(山崎巖紹介)(第四五三二号)  同(壽原正一紹介)(第四六二二号)  同(亀岡高夫君紹介)(第四六四九号)  学校図書館法の一部改正に関する請願外四件  (秋田大助紹介)(第四六〇〇号)  戦傷病者の子女の育英資金等に関する請願(藤  井勝志紹介)(第四六四四号)  心臓病の子供の教育のため学校学級増設に関  する請願亀岡高夫君紹介)(第四六六三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  教育職員免許法等の一部を改正する法律案(内  閣提出第一四〇号)      ————◇—————
  2. 八田貞義

    八田委員長 これより会議を開きます。  教育職員免許法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の通告がありますのでこれを許します。谷川和穗君。
  3. 谷川和穗

    谷川委員 去る二月の十七日、教育職員養成審議会は、免許法改正についての建議を行なったわけでございます。文部省はそれを受けて、その建議の一部について免許法改正案を今国会提案されましたが、もとより教師としての職業が、専門的な職業として確立され、社会的に高い評価を受けるためには、高い教養専門的学力を必要とするものであると思います。また子弟を学校へ通わせておる父母の側からいいますると、常にりっぱなよい教師を期待いたしておるわけでありまするが、その点現在の教員資質向上、確保について、文部大臣はどのようにお考えになっておられるか、まずお伺いをいたしたいと思います。
  4. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 教育内容充実向上いたしますためには、教師資質向上ということは常に努力をすべき非常に重要な要諦であると思います。かつてこの免許法は、昭和二十九年でしたか改正が行なわれましたが、その後昭和三十三年に中教審からも免許法改正に関する答申があり、これを受けまして、御承知のように教育職員養成審議会におきまして具体的にその方策を検討された結果、本年の二月具体的な建議がございました。われわれはこれを受けまして、教育職員資質向上のために今回の改正案を立案し、御審議を願う段階に相なりましたような次第でございます。十分に御審議をいただきまして、ぜひこれを実現して、教育職員資質向上を一そうはかりたい、かように考えておる次第でございます。
  5. 谷川和穗

    谷川委員 最近の学校教育充実、発展は、まことに目ざましいものがあると思うのであります。このため、小学校中学校、あるいは高等学校等学校別教員として必要な専門的な資質の一そうの向上が望まれてきておると思うのでありまするが、そのために戦後何回か、先ほど大臣の御答弁の中にもございましたが、免許法改正が手がけられてきたのだと思っておりますが、どのような経過を経て改善充実され、今日に至っておるのか、こうしたことについてお答えをいただきたいと思います。
  6. 杉江清

    杉江政府委員 この前の改正で最も大きいものが、昭和二十八年と昭和二十九年の改正によるものでございます。昭和二十八年の改正では、その前の免許法で定められました単位大学で修得すれば、教員資格が取得できましたものを、大学の申請によりまして、あらかじめ文部大臣が適当と認めた大学課程において修得した者でなければならないということにしたということ、それからまた養護教員につきましても、改正後は大学における直接養成もできるものといたしました。さらに、中学校または高等学校教諭のある教科免許状を有する者が、現職教育によりまして他の教科免許状を取得できる制度を設けたわけであります。次いで昭和二十九年の改正では、校長教育長指導主事免許状及び教諭仮免許状制度を廃止いたしまして、大学における直接養成の場合に修得しなければならない免許基準を改めまして、その際高等学校助教諭臨時免許状授与にかかわる基礎資格短大卒業以上に引き上げたのであります。また、高等学校教諭一級普通免許状授与許容資格について、大学院または専攻科における直接養成制度を設けたわけであります。この二度の改正が最も大きなものであり、現行の免許制度基本をなすものであります。
  7. 谷川和穗

    谷川委員 教員養成制度改善は、ただいまの局長の御説明で、従来ともいろいろ措置されて今日に至ったことはわかりましたが、今回提案されました免許法改正によって高い資質を持った専門職としての教員養成のために、さらに十分な改善が行なわれるものと期待いたしたいと思いますが、その点についてはどうでございましょうか。
  8. 杉江清

    杉江政府委員 先ほど申し上げましたように、これまで教員養成制度充実をはかるために法の改正が行なわれ、またその他いろいろな措置がなされてきております。今回の免許基準の体系は、去る二月の教育職員養成審議会建議に基づきまして、中学校小学校等、各学校ごとにその教育専門的な能力の向上をはかることといたしまして、教員免許資格取得のための基準をかなり大きく引き上げたわけであります。教員養成制度改善につきましてはいろいろな施策が同時に行なわれる必要があるわけでありますが、特に国立の教員養成大学につきましては、人的、物的な施設整備を今後とも行なってまいりたい、また現職教育についても特に今後重視してまいりたい、かように考えておるわけであります。  そこで、教員養成制度整備充実には各般の施策が必要でありますけれども、何といいましても、免許法による免許基準がその資質向上のための根本的な制度であります。そういう観点から、多年の懸案となっておりましたこの免許基準引き上げを今回行なうことにいたしたのでありまして、これによって教員資質向上のための基礎はおおむね固まるものと考えております。今後多少の手直しはあろうかと思いますけれども、相当長期にわたってこの免許資格基礎をここに固めることになる意味を持っておると考えております。
  9. 谷川和穗

    谷川委員 というようなことになりますと、今回の改正は非常に大きな改正であって、しかも今後は少々の手直しは事宜に応じて必要になってくるかもしれないが、大体今回の改正をもって戦後の教員養成制度というか、あるいは少なくとも免許に関する問題の大きな問題点は、ほぼこれででき上がるというふうに見てよろしいわけでありますか。
  10. 杉江清

    杉江政府委員 そういうことが言えると思います。その他免許状の種類とかいろいろ重要な問題もありますけれども、私はやはりこの資質向上のためには、今回考えておりますこの免許基準引き上げが最も重要なものであって、今後長い間の免許制度基本を据える結果になると思います。
  11. 谷川和穗

    谷川委員 免許法改正は、教員あるいは教員たらんとする者の個人の資格に直接関係のあるまことに大きな問題であると思うのでありますが、それだけにその改正にあたっては十分に慎重な手続あるいは配慮が必要だと思います。現在教育課程審議会昭和四十二年までには結論を出したいといっておるようでありますし、また中央教育審議会後期中等教育に関する審議会では、社会要求に適合するような後期中等教育については意欲的な審議を続けられておられまして、これまた近々結論を得られるようなことを伺っておるわけであります。文部省としては、このたび提出された改正案の成案を得るまでには、十分な検討としかるべき慎重な配慮で臨まれたと思いますが、その点いかがでございましょうか。
  12. 杉江清

    杉江政府委員 教員資質向上のためにこの免許法基準引き上げが必要であるということは、前から各方面から指摘されておりますし、また文部省に設けております中央教育審議会においては、昭和三十三年にその基本的な考え方を打ち出しております。その後教育職員養成審議会においてその基本的な考え方を受けまして、教員養成大学教育課程基準をこれも相当の年月をかけて審議いたしまして、その建議をいただいたのであります。そしてその建議に基づきまして、やはり教育職員養成審議会において免許法改正の骨子についての御答申をいただいたわけであります。その御答申に基づいて今回の改正をいたしておるのでありまして、多年の懸案を数年間にわたる慎重な手続を経て今回の改正提案しているわけでございます。しかしながら、いま御指摘のように、小、中、高等学校教育課程改正については、ただいま審議会を設けてその改定に着手いたしております。また、後期中等教育整備という点からも、中教審の御答申もあって、その線に沿って具体的な施策が進められることになっておるわけでございます。この二つの今後の審議の結果によっては、免許法の一部手直しをする必要もあるいは出てくるかと思いますけれども、私ども、現在の見通しにおいては、今回提案しておりますこの免許基準引き上げ免許基準改定の根本には、それほど大きな影響はないものと考えております。非常に基本的なものを取り上げ、基本的な角度からその基準引き上げを考えておりますので、小・中学校教育課程改定ないしは高等学校教育多様化の問題と関連して、一部手直しは起こるかもしれませんけれども、基本的な構想に変化はないものと考えております。
  13. 谷川和穗

    谷川委員 内容についても十分慎重な配慮手続を踏まれて今回の免許法提案審議と、こういうことになったんだというふうにただいま理解をいたしましたが、一部には、いかにも今日の国会の運営の上から、何か文部省国会会期末あるいは会期延長になってからこの免許法審議するような、というような印象を与えておるようでありまするが、ここで重ねてお伺いをしておきたいのでありまするが、先ほど局長の御答弁にございましたように、この免許法改正にあたっては十分慎重な配慮手続が踏まれておった。しかもことしの二月に行なわれました審議会建議を得たので、その後の手続で、時間の上からいうと、現在この五月に入ってからの審議という形になっておるけれども、いままでの踏んできた手続はその点においては十分慎重な配慮で今日に至ったんだ、こう了解いたしてよろしゅうございますか。
  14. 杉江清

    杉江政府委員 そのとおりでございます。先ほども申し上げましたように、今回の改定基本的な考え方は、すでに三十三年の中教審答申にも打ち出されており、その御答申考え方に基づいて教育職員養成審議会において作業をずっと続けてきて、この二月にその御答申をいただいたわけであります。  確かに、この国会冒頭に御提案できなかったことについては、いろいろ慎重な審議が行なわれた結果によるものではありますけれども、私どもも残念に思っております。しかしそういった慎重な手続を経て打ち出された考え方でありますし、そしてまた、教員資質をやはり根本的に向上させる必要がある、こういうことは各方面から指摘されており、ことに教育の現場から、そのためにはやはり免許基準引き上げる必要がある、ぜひそういうことをやってくれという御要望も各方面から出てまいったのであります。教育長協議会あるいは小・中学校校長会議等からそういう意見がずっと出ておったのでありまして、教員資質向上のためには、現在考えておりますこれだけのことはぜひ早急にやる必要があると考えて、去る四月八日に本改正案国会提案したようなわけでございます。
  15. 谷川和穗

    谷川委員 さらに一部には、先ほど伺いをいたしましたような議論、すなわち教育課程審議会あるいは中央教育審議会がもうあと一年そこそこでおそらく結論が出るんだろうから、その結論待ちをしてから免許法改正を手がけたらどうかというような議論があるようにも感ずるわけでございます。しかし、また一面、教員養成ということから考えれば、免許状を取得する者、すなわち、主として大学学部でありましょうが、大学学部における将来教育職とならんとしておる方々を養成する、すなわち教員養成という面から見ますと、やはり大学学部の場合には、ただいまから始めても四年間かかるという、こういうような時期的な問題もあると思うのでございますが、この時期に免許法改正を手がけることになったことは、それだけ社会的要求が強く、この強い社会的要求に合致させるという目的で、文部省はそういう手続を踏まれたんだと思うのでありますが、その点についてはいかがでありましょう。
  16. 杉江清

    杉江政府委員 お説のとおりでございます。小・中学校教育課程改定は、これは常に研究され計画されるものでございます。一方、御指摘のように、教員養成大学で行ないます場合には四年間の期間がかかる、こういうことを考えますと、やはりできるだけ早くそういった教員養成制度整備充実のための必要な措置は行なって、そして一方教育課程改定等のことがあれば、その必要に応じて改正を行なうということも、そのときどきの必要に応じて措置せざるを得ない、そういう性格を本来私は持っておると考えておるのであります。
  17. 谷川和穗

    谷川委員 今回の免許法改正の要点は、主として教員養成課程の認定、この問題に関する問題点一つと、もう一つ免許基準引き上げ改定、この二点にあるのではないかと思います。教育の成果を高めるためには、もちろん教育施設、設備の整備をはかることは大事でありますし、教職員の適正な配置を考えること、これもまた大切だと思います。あるいは教職員待遇改善を行なって、りっぱな教職員を一人でも多く確保すること、こういうことも必要なことだと思っておりますが、同時に教育課程の刷新、充実をはかり、教職員資質向上につとめること、これがきわめて重大だ。また先ほど局長の御答弁にもありましたが、だんだんと戦後の日本の教育も安定もし、質的にも向上社会的に要求されてきておるときに、この問題は非常に重大な問題だ、これが社会的要求になりつつある、こういうことであろうかと思います。  戦後の教員養成特色は、一つには開放性、これにあったと思うのであります。すなわち免許取得にあたっては広く門戸が開放されておるという点、特に教師資格最高学府である大学学部卒が大半を占めるに至った、こういった教員免許を取得するときの開放性、いろいろなところから教員が出てくる、これが一つ特色であったと思うのであります。さらにもう一つは、教える分野においてまず全人格的教養を身につけた教師が要請されるに至った、この二点が戦後の教員養成制度の中の特色である。私はかように理解をいたしております。  しかしながら一方、教育職員養成審議会昭和三十七年一月十二日に出しました教員養成制度改善についての建議の中にも明らかなように、教師としての職業専門的な職業として確立され、社会的に高い評価を受けるためには、それにふさわしい高い教養専門的学力を必要とする、こういうこともあるわけでありまして、この専門的な教育、これがやはり欠くことのできない点であろうかと思います。戦前師範学校制度は、教育技術の面では徹底した教師養成をいたしまして、教育技術の面からだけ見ますと、ほかにぬきんでてすぐれた面も多々あったと思うのであります。しかしながら一方教員養成という面から見たり、あるいは教育地方社会との結びつき、地方社会向上に役立つようにしたいという願望からいたしますと、免許取得開放制という戦後新たに導入されております考え方も、なかなか捨てがたい長所を持っておると思うのであります。今回の免許法改正によって師範制度の復活とかあるいは教員養成制度が閉鎖的になるのではなかろうかというような議論も耳にいたすわけでありますが、その点については文部省としてどう考えておられるか、お答えをいただきたいと思います。
  18. 杉江清

    杉江政府委員 戦後、義務教育教員養成大学において行なうたてまえに改めたのであります。しかもどの大学においても必要な単位を履修すれば教員資格が得られるという制度に改めたわけであります。その点は戦前教員養成制度と違った大きな点でございます。戦前師範学校における教員養成においては、その教員養成が閉鎖的でありましたほかに、教育内容においてもかなり画一的な規制があり、また教員技術の修得に偏しておった、こういうふうな点があったのでありますが、それらの点を反省いたしまして、戦後は大学において教員養成を行なうというたてまえに改め、大学においては一般に広い豊かな教養を身につけ、しかも専門的な学問、技芸にも長じた人間をつくるということを大学教員はねらっておるわけでありますが、そういった大学において教員養成を行なう、こういうたてまえに改めたわけであります。しかも先ほど申し上げましたように、どこの大学でも必要な単位を修得すれば教員になれるという制度になったわけでありまして、この点は、戦後の教員養成制度の大きな変化であり、また非常な特色であると考えておるのであります。こういった戦後の教員養成基本は、今回の改正においてもごうも変えておらないのであります。ただ、戦後の教員養成の実際においては、開放制のたてまえをとり、どこの大学でも必要な単位を履修すれば教員資格が得られるのでありますけれども、その要求される単位というものが非常に低くなってきた。そこで一部には、そういった要求される必要単位だけを履修して、その単位については必ずしも教員としての資質向上に直接的に役立たないような勉強をするとか、あるいは免許状を幾つも取ってしまうというような結果にもなって、その教員専門的な学力に欠陥が見られるというような状況もあったのであります。そういった点を反省して、今回の改正が行なわれているわけであります。だから小・中学校において要求される教員には、やはりそれぞれ専門分野における学力をいままで以上に充実する、そしてその中にはもちろんいわゆる教職教養という面の充実をも考えております。しかしその教職教養充実以上に、専門分野における学力向上ということを特にねらって、今回の改正が行なわれておるわけでございます。しかし戦後の教員養成基本原則とされている教員にはやはり幅の広い豊かな教養が必要だ、こういう点については全然変わりないのでありまして、その点においては戦後とられてきました教員養成制度長所を依然として維持しているつもりでございます。
  19. 谷川和穗

    谷川委員 教師としての職業専門的な職業として確立され、社会的に高い評価を受けるためには、教師そのものが高い教養専門的学力を必要とする、これは私は今日社会的な要求になっておるのだ、こういうふうに判断をいたしたいと思います。したがって、今回文部省提案をされておられまするこの免許法改正によって、こうした社会的要求に合致した新しい型の教師が生まれてくることを期待いたしますが、私はこの免許法改正というものは非常に重大な内容を含んでおるというふうな感じもいたしますので、この今回提案されました免許法改正内容については、さらに論を進めて、次会にゆっくり文部当局にお尋ねをいたしたい、かように考えて、質問を保留して、本日の私の質問をこれで打ち切らしていただきたいと思います。
  20. 八田貞義

    八田委員長 次会は明後五月二十日金曜日、午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時十七分散会