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杉江政府委員 戦後、
義務教育の
教員養成を
大学において行なうたてまえに改めたのであります。しかもどの
大学においても必要な
単位を履修すれば
教員の
資格が得られるという
制度に改めたわけであります。その点は
戦前の
教員養成制度と違った大きな点でございます。
戦前の
師範学校における
教員養成においては、その
教員養成が閉鎖的でありましたほかに、
教育内容においてもかなり画一的な
規制があり、また
教員技術の修得に偏しておった、こういうふうな点があったのでありますが、それらの点を反省いたしまして、戦後は
大学において
教員養成を行なうというたてまえに改め、
大学においては一般に広い豊かな
教養を身につけ、しかも
専門的な学問、技芸にも長じた人間をつくるということを
大学教員はねらっておるわけでありますが、そういった
大学において
教員養成を行なう、こういうたてまえに改めたわけであります。しかも
先ほど申し上げましたように、どこの
大学でも必要な
単位を修得すれば
教員になれるという
制度になったわけでありまして、この点は、戦後の
教員養成制度の大きな
変化であり、また非常な
特色であると考えておるのであります。こういった戦後の
教員養成の
基本は、今回の
改正においてもごうも変えておらないのであります。ただ、戦後の
教員養成の実際においては、
開放制のたてまえをとり、どこの
大学でも必要な
単位を履修すれば
教員の
資格が得られるのでありますけれども、その
要求される
単位というものが非常に低くなってきた。そこで一部には、そういった
要求される
必要単位だけを履修して、その
単位については必ずしも
教員としての
資質向上に直接的に役立たないような勉強をするとか、あるいは
免許状を幾つも取ってしまうというような結果にもなって、その
教員の
専門的な
学力に欠陥が見られるというような状況もあったのであります。そういった点を反省して、今回の
改正が行なわれているわけであります。だから
小・中学校において
要求される
教員には、やはりそれぞれ
専門の
分野における
学力をいままで以上に
充実する、そしてその中にはもちろんいわゆる
教職教養という面の
充実をも考えております。しかしその
教職教養の
充実以上に、
専門の
分野における
学力の
向上ということを特にねらって、今回の
改正が行なわれておるわけでございます。しかし戦後の
教員養成の
基本原則とされている
教員にはやはり幅の広い豊かな
教養が必要だ、こういう点については全然変わりないのでありまして、その点においては戦後とられてきました
教員養成制度の
長所を依然として維持しているつもりでございます。