運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1966-04-27 第51回国会 衆議院 文教委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年四月二十七日(水曜日)    午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 八田 貞義君    理事 上村千一郎君 理事 小澤佐重喜君    理事 谷川 和穗君 理事 南  好雄君    理事 八木 徹雄君 理事 長谷川正三君       大石 八治君    久野 忠治君       熊谷 義雄君    坂田 道太君       床次 徳二君    中村庸一郎君      茜ケ久保重光君    栗林 三郎君       高橋 重信君  出席国務大臣         文 部 大 臣 中村 梅吉君  出席政府委員         文部事務官         (大臣官房長) 赤石 清悦君         文部事務官         (大学学術局         長)      杉江  清君         文部事務官         (管理局長)  天城  勲君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   平井 廸郎君         参  考  人         (私立学校教職         員共済組合理事         長)      佐々木良吉君         参  考  人         (私立学校教職         員共済組合総務         部長)     清水  辛君         専  門  員 田中  彰君     ————————————— 四月二十七日  委員熊谷義雄君及び和田博雄辞任につき、そ  の補欠として福永健司君及び茜ケ久保重光君が  議長の指名委員に選任された。 同日  委員福永健司君及び茜ケ久保重光辞任につき、  その補欠として熊谷義雄君及び和田博雄君が議  長の指名委員に選任された。     ————————————— 四月二十五日  へき地教育振興法の一部を改正する法律案(鈴  木力君外一名提出参法第一七号)(予) 同月二十六日  教育職員免許法等の一部を改正する法律案(内  閣提出第一四〇号) 同日  編物を正課として採用に関する請願赤路友藏  君紹介)(第三四〇五号)  同(赤松勇紹介)(第三四〇六号)  同(秋山徳雄紹介)(第三四〇七号)  同(荒木萬壽夫紹介)(第三四〇八号)  同(今松治郎紹介)(第三四〇九号)  同(内田常雄紹介)(第三四一〇号)  同(川崎寛治紹介)(第三四一一号)  同(木村武雄紹介)(第三四一二号)  同(久保田円次紹介)(第三四一三号)  同(黒田壽男紹介)(第三四一四号)  同(佐々木秀世紹介)(第三四一五号)  同(周東英雄紹介)(第三四一六号)  同(田口長治郎紹介)(第三四一七号)  同(楯兼次郎君紹介)(第三四一八号)  同(西宮弘紹介)(第三四一九号)  同(野見山清造紹介)(第三四二〇号)  同(長谷川四郎紹介)(第三四二一号)  同(三池信紹介)(第三四二二号)  同(渡辺栄一紹介)(第三四二三号)  同(宇野宗佑紹介)(第三四六一号)  同(金子一平紹介)(第三四六二号)  同(佐藤孝行紹介)(第三四六三号)  同(島上善五郎紹介)(第三四六四号)  同(鈴木一紹介)(第三四六五号)  同(田中榮一紹介)(第三四六六号)  同(中垣國男紹介)(第三四六七号)  同(中村時雄紹介)(第三四六八号)  同(野原正勝紹介)(第三四六九号)  同(古川丈吉紹介)(第三四七〇号)  同(松山千惠子紹介)(第三四七一号)  同(山中吾郎紹介)(第三四七二号)  同(米内山義一郎紹介)(第三四七三号)  同(井原岸高紹介)(第三四九九号)  同(木部佳昭紹介)(第三五〇〇号)  同(竹内黎一君紹介)(第三五〇一号)  同(島村一郎紹介)(第三五〇二号)  同(船田中紹介)(第三五〇三号)  同(川崎秀二紹介)(第三五九一号)  同(中野四郎紹介)(第三五九二号)  同(志賀健次郎紹介)(第三五九三号)  同(西村関一紹介)(第三五九四号)  義務教育における習字教育振興に関する請願  (小渕恵三紹介)(第三四二四号)  同(海部俊樹紹介)(第三四七四号)  同(春日一幸紹介)(第三四七五号)  同(正力松太郎紹介)(第三四七六号)  同(古川丈吉紹介)(第三四七七号)  同(上村千一郎紹介)(第三五〇四号)  同(久保田円次紹介)(第三五〇五号)  同(黒金泰美紹介)(第三五〇六号)  同(地崎宇三郎紹介)(第三五〇七号)  同(中村高一君紹介)(第三五〇八号)  同(早稻田柳右エ門紹介)(第三五〇九号)  同(宇都宮徳馬紹介)(第三五八七号)  同(篠田弘作紹介)(第三五八八号)  同外二件(西宮弘紹介)(第三五八九号)  同外一件(廣瀬正雄紹介)(第三五九〇号)  なぎなたを中学校以上の女子正課として採用  に関する請願外一件(田中榮一紹介)(第三四  二五号)  同外二件(羽田武嗣郎紹介)(第三四二六号)  同外二件(山本勝市君外一名紹介)(第三四五六  号)  同外三件(田中榮一紹介)(第三四五七号)  同外五件(松山千惠子紹介)(第三四五八号)  同(島上善五郎紹介)(第三四五九号)  同外十六件(中島茂喜紹介)(第三四六〇号)  同外十二件(木部佳昭紹介)(第三五一〇号)  同(島村一郎紹介)(第三五一一号)  同(進藤一馬紹介)(第三五一三号)  同外二件(田中榮一紹介)(第三五一二号)  同(高見三郎紹介)(第三五一四号)  同外一件(野呂恭一紹介)(第三五九五号)  同(廣瀬正雄紹介)(第三五九六号)  学校栄養士設置に関する請願石橋政嗣君紹  介)(第三四五二号)  同(唐澤俊樹紹介)(第三四五三号)  同外八件(木村俊夫紹介)(第三四五四号)  同外五件(福田一紹介)(第三四五五号)  戦傷病者の子女の育英資金等に関する請願(植  木庚子郎紹介)(第三四七八号)  同(赤澤正道紹介)(第三五二四号)  同(二階堂進紹介)(第三五二五号)  同(中野四郎紹介)(第三五八六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する  法律案内閣提出第一三七号)  教育職員免許法等の一部を改正する法律案(内  閣提出第一四〇号)      ————◇—————
  2. 八田貞義

    八田委員長 これより会議を開きます。  私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際おはかりいたします。  本案審査のため、本日、私立学校教職員共済組合理事長佐々木良吉君及び私立学校教職員共済組合総務部長清水辛君を参考人として、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 八田貞義

    八田委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  それでは、これより御意見をお述べいただくのでありますが、議事の都合上お一人約十五分程度で御意見をお述べいただき、なおその後委員からの質疑にお答えをお願いいたします。  それでは、まず佐々木参考人からお願いいたします。
  4. 佐々木良吉

    佐々木参考人 昭和二十九年に成立いたしました私立学校教職員共済組合は、成立以来私立学校教職員福利厚生のために、その給付等について国公立の教職員並みにするという当初の目的がありましたので、われわれはそれに準じ、あるいはそれを上回るべく自来たびたびこのことについて権衡を保つために努力してまいりました。  今回のお願いしたことも、その改善をはかる一連の改正でございまして、その骨子は、長期給付に要する国の補助率を、従来の百分の十五から百分の十六に引き上げること、これは組合員にとりましては、負担軽減について非常な有力な一つ利益になっております。  それらの改正とともに、これに関する法律改正等が成立いたしますれば、まず第一に長期給付の算定上、旧法期間新法適用平均標準給与新法並みに、従来五年であったものが三年になること、そうして平均標準給与が、年額五万二千円という頭打ちがありましたが、その頭打ちを撤廃して、そうしていわゆる現在の十一万円という標準給与までになり得るという利益がございます。  また、これは既裁定年金者にも適用になり、それから最低保障額の是正として、昭和二十七年九月三十日以前の旧財団法人私学恩給財団年金者年金額は一律に六万円にする。また組合員期間が二十年以上の長期在職者に対する年金については、退職年金あるいは廃疾年金等、これもいずれも六万円未満の者は六万円にする。また遺族については、従来三万円未満の者を三万円にする。大体これらの内容改正をお願いしたのでございます。  これらは、年金を受けている者が現在二万八千四十二人ございまして、それらのために非常な利益になることである。また一般の組合員も同様な意味におきまして希望を持ち、ぜひこの改正案は成立させていただきたいということを、十五万の会員が一様に望んでおるところでございます。かような意味におきまして、一日も早くこの法案が成立いたしますようお願いいたしたいのでございます。  なお、これに関連してつけ加えることをお許しいただくならば、百分の十六という改正は、実は私どもは百分の二十、いわば厚生年金並み引き上げていただきたいということをお願いいたしましたが、これは諸般の事情で十六になったわけでございます。ただ、この問題は非常にむずかしい問題で、あるいは成立するか成立しないか、あるいはこのものが生まれるか生まれないかというような非常に難儀な問題でありましたにもかかわらず、ここに百分の十六の運びになりましたことは、これは全く文部省はじめ関係官庁の御努力と、また関係国会議員の方々の非常な私学振興に対するところの御熱意と御高配によるものでありまして、私どもはこれが一歩階段を前進した、将来を大いに期待しておるというたてまえから、やむを得ずこれで満足するわけでございます。  ただ、全体から見まして、百分の十六、百分の二十という問題でございますが、当初この組合が成立しますときには非常な難産をいたしまして、まずとにかくつくっておいて次第にこれを固めていこう、こういうような意向もございましたので、年々改善をはかってまいりました。この問題につきましても、私どもは、これから先の問題になりますが、まずスライド制原則具現化、したがって既裁定年金引き上げあるいは高齢者に対するところ在職支給等によって、国庫引き上げを望んでおるわけでございます。  かような将来の希望を持ち、われわれの努力をもって、できるだけ組合員の喜ぶような組合にいたしたいと努力いたしたいのでございます。したがいまして、百分の十六ということになりますと、いま申し上げましたようなスライド制原則具現化とか、あるいは高齢者に対するところ一つ在職年金その他の支給関係におきまして、百分の十六ではとうていまかないかねるのでございます。したがって私どもは、少なくとも厚生年金と同様に百分の二十なければあるいは非常に困難ではないかと存ずる次第でございます。この点につきましても、われわれ十分に検討いたしまして、そうして将来のために準備をいたして、お願いいたしたいと存ずる次第でございます。  なお、前の委員会におきまして、附帯決議がついております。いわゆる未適用校の加入の問題でございますが、これは私学振興を企図いたしますところのわれわれの組合としてはまことに望むべきことで、ぜひそうありたいと念願しておるのでございまするが、去る三十八年から三十九年にわたりまして、いわゆる私学の一本化、こういうことを目ざして努力いたし、文部省あるいは厚生省その他非常な困難であるにかかわらず同調していただいて、ある点まで進みましたけれども健康保険組合とかその他の私学内部事情等のために実現できなかったことは、私どもはまことに残念に思っております。自来私どもはまずそうした加盟しない学校単一健康保険組合、その他の給付関係において劣らないようなそういう組合にすることが先決である、こういうふうに考えまして、内容の充実またそれに劣らないところの方策を講じてまいりまして、ようやくこの改正によりまして、国家公務員並み程度まで追いついたようなかっこうになるわけでございまするが、もしそういうことになりますれば、私どもはそれらをもちましてあらゆる客観的な情勢、私学学校等のそのあり方等を考えまして、私どもは初志を貫徹するいわゆる、一本化ということに邁進したいということを念願いたすものでございます。  その他いろいろ問題はありましょうが、御質問に応じて答えることにいたしまして、ごく簡単でございまするが、私の意見の開陳を終わらせていただきたいと思います。
  5. 八田貞義

    八田委員長 次に清水参考人にお願いいたします。
  6. 清水辛

    清水参考人 ただいま佐々木理事長から御説明になりました点と若干ダブる点があるかもしれませんけれども、事務的なことについて申し上げてみたいと思います。  私の申し上げたいことは、昨年度私学共済法律改正が行なわれまして、いわゆる標準給与引き上げとか、あるいは長期給付内容改善福祉事業事業内容の拡大というような改善を行なう法律改正がございました際、衆議院並びに参議院で附帯決議をつけていただいておるのであります。この附帯決議に対して、共済組合としてはどういうような努力をしてまいったか、また今後についての考え方というか方針はどうか、またこれに伴う私学共済の現状はどうかというような点について、その概要を申し上げたいと思います。  その際の衆議院附帯決議は、第一は、ただいま理事長のお話にございましたように、「私立学校教職員共済組合法制定趣旨にのっとり、本法が全私立学校適用されるよう考慮すること。」ということでございます。それで、大体大学から幼稚園、各種学校等に至る学校のうち、百十数校、が現在適用除外でございまして、私学共済適用を受けないで、厚生年金もしくは健康保険を選択いたしております。その教職員の数はおよそ二万四千何がしでございます。これらの適用除外を受けている学校の中には、たとえば早稲田とか慶応とか、あるいはキリスト教系大学のように、学校法人を設置経営する学校教職員全部が適用除外を受けている、こういう種類のものがあります。それから大学だけは適用除外を受けているが、同一学校法人の中で高等学校以下は全部私学共済適用を受けている、こういう学校があります。実例で申し上げますと、東京における実践女子大学あるいは明治大学あるいはまた関西における天理大学、立命館大学同志社大学等学校は、大学だけは適用除外されておりますが、高等学校以下は全部私学共済に入っておるわけであります。それから当初は学校法人が全部適用除外を受けましたが、二十九年以後にその学校法人が新しい学校をつくったために、二十九年以後できた学校だけは私学共済に入っているという種類学校がございます。たとえて申しますと、東京東邦医科大学東邦医科大学は入っておりませんけれども、その付属の高等学校はその後にできたものでございますのでこちらに入っておるとか、福知山短期大学は入っておりませんが、その後にできた高等学校並びに中学校はこちらに入っているというような例がございます。こういうようないろいろな種類内容的にはあるのでございますが、そのうちで、同一学校法人でありながら一部は適用除外を受けて、一部は私学共済に入っておる、こういう学校は、その人事その他の編成上非常な困難を来たしておる。たとえば大学教務を担当している職員高等学校教務を担当するようになると、厚年をやめて私学共済に入らなければならない。高等学校先生大学先生になるとまたそちらをやめて厚年に入らなければならぬということで、非常な不自由を来たしておる。そこでぜひ私学共済に加盟してもらいたいという熱心な要望があるわけでございます。それからまた学校法人全部が入っておらない学校、たとえば早稲田とか慶応とかいう学校におきましては、厚生年金プラス学内年金というのをつくっています。この学内年金は無拠出制と申しまして、教職員からは掛け金をとらないで、学校が全部積み立てておる、こういう方法厚生年金の両方に入っておるわけです。こういう学校にとりましては、私学共済に入ると一体その学内年金の取り扱いがどうなるか、あるいはこういう学校健康保険組合を持っておりまして、健康保険組合のすでに所有しておる財産の帰属がどうなるか、こういう点等につきまして、実は私学内部におきましていろいろ現在対策委員会等検討をいたしておりますが、その結論がまだ十分ついておらない、こういうような事情がございます。先ほど佐々木理事長ことばにもありましたように、いま直ちにこれを全部加入させるというわけにはまいらない。そこでまず私学共済内容をできるだけ改善していって、その後に法制定趣旨にのっとって全私学がこの法の中に含まれるような方向に向かって努力してまいりたいということで、いま進めておる実情でございます。  それから附帯決議の第二番目の問題は、「私立学校とその教職員実情にかんがみ、掛金負担軽減を図るため国の補助率引き上げに努めること。」この点につきましても、ただいま理事長からの説明がありましたけれども、実は私学共済はその給付内容方法につきましては政府並びに先生方の御高配をいただきまして、国共済とほぼ均衡するような内容を持っておるのであります。しかしながら財源の措置につきましては、これは国家公務員ではございませんので、どうしても厚生年金もしくは健康保険の方式を採用せざるを得ない、こういうような実情でございます。これを具体的に申しますと、掛け金につきましては、私学共済は総所得掛け金の対象になっております。公務員本俸だけであります。また整理資源と申しますいわゆる将来支払われるであろう不足する財源につきましては、公務員の場合は公費負担ということが法律に書かれておりますが、私学といたしましては大部分自己負担をしなければならない。また掛金負担方法につきましても、国公共済のほうは、たとえば長期について申しますと本人は百分の四十二である。それから使用主と申しますか国は五十八であるというぐあいに掛金負担割合に差がついておりますが、私学のほうは厚年、健保と同じように折半負担であります。また事務費につきましてもおよそ三〇%内外国補助はいただいておりますが、残りの七〇%は掛金の中から負担しなければならない、あるいは施設についても自分でこれをつくっていかなければならないというようなぐあいに財源措置については厚生年金並びに健康保険方法採用いたしております。したがいまして現在長期給付掛金率は千分の七十六、短期給付掛金率は千分の七十というぐあいになっております。国家公務員本人掛金は千分の四十二であり、私学共済は七十六の半分だから本人負担は三十八である、こういう数字だけ見ると公務員掛金のほうが高いように思えますけれども、これは先ほど申しましたように、私学は総額についての掛金を取られ、公務員本俸だけについて取られるわけで、もし公務員本俸だけでなくて総所得に対して私学共済と同じように掛金をかけて金額をならせばどうなるかというと、むしろ三十八より下回った三十六程度掛金率になるというような実情でございます。どういうわけでこのような開きがあるか、同じ給付をしていながらなぜ差がなければならぬかというと、先ほど申し上げましたように、事務費負担掛金の中から負担しなければならないということがございますので、そういう差額が生じてくるわけでございます。また私立学校教職員給与全国平均は総給与で三万五百四十七円であるのに対して公立学校給与本俸だけの全国平均は四万七百四十五円、こういうことでございますので、総所得本俸を比較しても全国の教員の平均では一万円以上の差がありまして、総所得ということになると一万五千円以上の差があるわけでございます。  そこで先ほど理事長ことばにもございましたように、私どもとしましては厚生年金補助率が百分の二十に引き上げられた以上、同じような財源措置を講じておる私学共済に対しても同率の百分の二十をお願いできないだろうか、こういうことで実は政府を通じてお願いをいたした次第でございます。あるいはまた厚生年金給付が非常に悪い、私学共済給付がいいんだから、同率の補助をする必要はないということばもございますけれども、御案内のとおり厚生年金標準給与は七千円が最低最高が六万円でございます。私学共済最低が一万二千円で最高が十一万円でございます。掛金率厚生年金が千分の五十五に対して私学共済は千分の七十六でございます。こういうぐあいに給付自体違い掛金も違うのでございますので、この点につきましては将来さらに御検討をいただいて御高配をいただければたいへんありがたいというのが共済組合の基本的な考え方であります。  次は短期給付について申しますと、健康保険標準給与最低が三千円、最高が十万四千円であります。私学共済の場合は最低が一万二千円で最高が十一万円であります。掛金率につきましては健保はきわめて最近に改正されまして千分の六十五になった。私学は昨年から千分の七十を徴収しております。つまり標準給与が非常に高くて掛金率も高いにもかかわらず、給付のほうはどうかというと、短期給付の大部分を占める医療費は全く同じでありまして、付加給付を行なうことができない。これは先ほど申しましたとおり公務員と比べて給与がきわめて低いためでございます。  かような事情から実は四十一年度の予算にあたりまして、組合といたしましては短期給付不足財源についておよそ二億七千万円、長期給付につきましては百分の二十相当の二億四千万円程度の予算と事務費補助をお願いしたのでございますが、先ほど申しましたとおり事務費は若干の増額をちょうだいいたしました。また長期につきましてはいろいろの事情がありまして百分の十六が予算的には認められたということでございます。しかしながらやはり共済組合並びに私学振興の面から考えれば、将来とも私学共済の健全な運営のために御高配をいただきたいということを熱願いたしておる次第でございます。  附帯決議の第三は、年金スライド制の問題でございます。インフレによる貨幣価値の下落とかあるいは国民生活水準の上昇とかあるいは老後の生活保障とかいうようなことで、この年金スライド制の問題は今日各制度において非常に取り上げられまして、幸いにいたしまして現在大蔵委員会において他の法律によって私学共済スライド制原則法改正も行なわれるということを伺っておるのでございますが、これが法定をされた後に来たるものはその具体的な方法ではなかろうかと思うのであります。これにつきましてはいまいろいろな資料を集めて、どういう方法が一番いいかということについて検討し、あわせて監督官庁等の御指導もいただくと同時に、またこの財源についてどうすればいいかということについてもやはりある程度国庫補助の増額をお願いしなければならないのではないかということで、目下検討中でございます。  それから第四番目は、女子組合員高齢者組合員に対する給付について、実情に合わせて改善をするようにという御決議をちょうだいいたしております。  この点につきましては、恐縮でございますが先ほどお手元へ提出いたしました資料の六ページをちょっとごらんいただきたいと思います。ちょっと統計が古くて申しわけございませんが、そこに三十九年度の組合の現況の報告を掲載いたしております。その総合計だけを申し上げますと、三十九年度の人員は十二万九千三百五十一人、これは現在より相当下回っております。そのうち男子が六万四千五十八人で女子が六万五千二百九十三人ということになっております。つまり私学共済の構成はおよそ五一%が女子で四九%が男子であるというぐあいに、女子が非常に多い構成になっておるわけであります。次にもう一つおそれ入りますが九ページをごらんいただきたいのですが、この男子と女子は全国平均でどのくらいの給与を取っておるかということでございます。そういたしますと、三十九年度について申し上げますと、男子の全国平均は三万五千六十四円であります。女子の全国平均は一万九千四百九十一円でございまして、男子と女子では非常に大きな開きがあるわけでございます。これをもとにいたしまして掛金をいただいて給付を行なっているわけでございますので、わかりやすく申し上げますと、短期給付におきましては女子が非常に多いために俸給の平均額が非常に低いということから、男子の高い掛金が相当女子の医療費に回っていくということが一般論として推定がされるわけでございます。ところ長期給付におきましては、先般の国会で御指摘になったように、女子の人は年金までいないじゃないか、一時金になる人が多いじゃないか、こういうような問題があるわけで、むしろ女子が損をして男子がもうけているんじゃないか、これを考えろという御決議だと思うのであります。しかしながら女子が五一%を占めておるということになりますので、やはりこれらの点についてどういうぐあいにすればいいかということについて十分検討をいたしまして、将来の方向としてはやはりその対策を考えていかなければならない。それにいたしましても女子の平均が三十九年度一万九千四百九十一円であるということは、非常に低額の所得であると言うことができる。この面につきましても、将来短期給付に対して国の補助をお願いをすることによって、国会の決議に沿うような方向に向かっていくべきではないかというようなぐあいに考えておる次第でございます。  また高齢者の問題でございますが、現在共済組合約十四万三千人の組合員のうち、六十五歳以上の教職員が七千四百六十六人ございます。そのうちの大体三百五十人というものが、すでに二十年以上、あるいは三十年以上つとめて、やめれば当然年金をもらえる資格のある方々であります。それから残りの方々は、近いうちにそういう境遇になる方々であります。それから、七十歳以上という教職員が三千七十二人おります。このことは、私学の特色と申しますか、まず公務員には見られないことでございまして、大体公務員でもって七十過ぎの人、あるいは六十五歳過ぎの人というのは、いないとは申しませんけれども、きわめてわずかである。ところが、私学では、六十五歳以上は七千四百六十六人もおる。この点は、厚生年金の年齢の構成と非常に類似しておるわけでございます。したがいまして、先ほど理事長ことばもございましたように、そういったようないわゆる生涯教育につとめる、また、これらの教育者の中には、私財をなげうって、育英事業に全財産を投じて経営しておる人たちもあるのでございますから、やはり在職中の高齢者年金という問題も、これは十分検討しなければならない、かように考えておる次第でございます。  以上、共済組合の現況と、国会の附帯決議につきまして共済組合がどういう配慮をしているかということについて申し上げた次第でございますが、先ほどのことばにもありましたように、今回の法改正によって、少なくとも十四万三千の組合員のうち、昭和三十六年以前から就職しておる人、つまり五年以上就職しておる教職員の数は八万ないし九万名でございますが、これらの方々は、いずれの日かやめますときに、五年が三年になり、五万二千円の頭打ちがはずされるということによって、有利な条件が得られるのであります。また、先ほど理事長のおことばの中で、ちょっと数字が一けた違っておりましたが、実は年金をもらっている人は、先ほど理事長は二万八千と申したと思いますが、これは現在設立日が浅いものでございますから、現在もらっておる人は二千八百四十二人でございます。その二千八百四十二人のうち、七百二十二人の方が旧私学恩給財団の例による昭和二十七年九月以前にやめて年金をもらっている方々でございます。この方々の年金額は、現在最低が四万五千円で、最高が五万六千二百五十円でございますから、一人も六万円まで達しておりません。したがって、この七百二十二人の方が、今回法改正によって全部利益を享受するわけでございます。また残りの二千百何人かの方々は、五年が三年の計算になり、あるいはまた五万二千円の頭打ちがとられるということによって、これもそれぞれの利益を受けるわけであり、現在現職に立って活躍をしておる八万ないし九万の教職員は、将来に対して大きな希望が持てる、こういう改正内容でございますので、実は相当年配の方々は、まだ法律改正にならないか、まだ年金が上がらないのかと、非常に待望をしておるのでございますので、何とかこれが御成立を見ていただくことは、共済組合ばかりでなくて、私学関係者にとって大きな福音ではないかと思う次第でございます。  以上でございます。
  7. 八田貞義

    八田委員長 以上で参考人の御意見の開陳は終わりました。
  8. 八田貞義

    八田委員長 次に、質疑を行ないます。  通告がありますので、これを許します。高橋重信君。
  9. 高橋重信

    ○高橋(重)委員 ただいま参考人の御両者から、私学共済の苦心の経過あるいは御努力の姿等を承りまして、感謝をいたしておるわけでありますが、私は、この機会に、まず、私学共済は、なるほど私学共済でありますが、これは国家的な立場から考えて、この問題を論議していかなければならないと思います。と申しますのは、国公共済は、やはり国なり地方公共団体が公的な立場においていろいろ努力されるわけでありますが、そういう面につきまして、私学共済は自分みずからの力で努力しなければならないというハンディキャップがついておると思うわけであります。こういう面については、一日も早く国の教育の一端を背負っていらっしゃるわけでありますから、文部省等が積極的にこの国家的な面を取り上げて、むしろ私学共済の当事者におまかせすることではなくして、文部省のほう、国のほうがこの問題を特に積極的に取り上げていただきたいということを私は強くお願いするわけであります。  いま大学あるいは私学の問題というものは社会問題化してまいりまして、世人の関心の的になっておるわけでありますので、ぜひこの機会にこの問題を積極的に取り上げていただきたい、そういう立場から、二、三御質問を申し上げたいと思うわけであります。  まず最初に、理事長のほうからお話がありましたが、未加入校の問題であります。なるほど私学共済が一生懸命にいま努力していらっしゃるわけでありますが、いまなお私学共済に入っておらない学校が百十幾つあり、あるいは組合員数で申しますと、二万四千人というような膨大な数を示しておる。この問題については、いろいろ御努力されたわけですが、現時点においては、なおこういう百十数校の学校が未加入である。その理由も一端はわかりましたが、これを現実の問題としてどう解決していくか、また、いつをめどにして全部が私学共済に入れるようなめどがあるか、こういう点につきまして、文部当局の考え方を私はお伺いいたしたいと思います。大臣にお願いいたします。
  10. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 先ほど理事長及び総務部長から御説明がありましたように、私学共済に加盟していない学校では、独自の学校共済をやっておるとか、あるいは健康保険との関係とか、また、切りかえをどうするかとかいうような複雑な問題があるようでございます。ですから、これについては理屈だけではいかないので、できるだけ私学共済とこういう未加盟校との合同会議のようなものをつくって、一方的な考え方でなしに、双方の立場の説明、あるいはそろばんの詰め、こういうことをやっていただいて、数字的に理解がいきませんと、加盟を力でさせるということはできませんから、そういうような努力を進めてもらいたいと、私どもはさように考えておるわけであります。  半面、私学共済内容も充実する必要がある、こういうお話がありましたが、私も当然であると思うのです。この問題につきましても、御承知のとおり、厚生年金とは、若干というか、相当に給付内容とかやり方の違いがありますから、こういう点も、厚生年金との関係を詰めませんと、本年度、四十一年度の予算編成の際に大蔵省と折衝した段階でも、そういうことになったのですが、この中身を十分詰めないというと、ただパーセンテージだけが二十、二十ならいいというものではなく、パーセンテージは下がっていても内容が同一になれば——どうすれば同一なのかというような問題がありますから、こういう点を詰めないと、財政当局も納得をしないと思いますから、さような作業も、今国会が終わりましたら、引き続き努力いたしまして、確かにこっちの私学共済のほうの実態が充実してきませんと、未加盟の学校を加盟させる力も乏しいわけでありますから、それらをにらみ合わせまして、努力を続けたい、かように考えております。
  11. 高橋重信

    ○高橋(重)委員 いま大臣から御答弁ありましたが、私はそのとおりだと思うのです。やはり入れ入れと言いましても、私学共済に入ることによって不利益をこうむったり、あるいはそれがあまり魅力がない、こういうことになれば、いかに強制的にすすめましても、入ってこないと思うのです。そうすると、私学共済を魅力のあるものにしなければならぬ、あるいは入ることによって有利にならなければならない。私はここに問題点があると思う。その問題点を文部当局としてはどういうふうに把握していらっしゃるか。先ほど理事長から簡単に御説明がありましたのですが、いま文部大臣に承りますと、合同会議というようなものをつくって、そして両者の意思の疎通をはかって、力を合わせて解決したい、こういうようなお話でありますが、そもそもこういう問題につきましては、昭和三十六年五月三十一日の国会におきましても、それははっきりと決議されておるわけであります。先ほどお話がありましたように、「私学教育の重要性と社会保障改善の緊要性とにかんがみ、現在私立学校教職員共済組合法の適用外にある私立学校教職員並びに私学振興を目的とする関係団体職員に対し、政府はすみやかに同法適用の道を開くよう、所要の措置を講ずべきものと認める。」こういうふうに国会で決議されております。昭和三十六年でありますから、いまから四年ほど前であります。私はいま文部大臣からそういうお話を聞きましたが、少なくとも実際これを担当していらっしゃる管理局長等が、昭和三十六年に決議されておるのに、これからひとつ合同会議を持って研究しようじゃないか——前向きの姿勢は多としますが、少しおそきに失すると思うのですが、いままでどういうような折衝をされたり、具体的にどんな運動をされたか、そういう点につきまして、実際の担当者であります管理局長にお尋ねいたします。
  12. 天城勲

    ○天城政府委員 私学共済に入ってない学校の加入の問題でございますけれども、御指摘のようにたびたび国会の附帯決議がございまして、いままで、理事長が申し上げましたような事情で、共済組合側も努力してまいりましたけれども、すでに過去三十六年、それから三十八年の附帯決議等を契機にいたしまして、いま申し上げましたような実態がございますので、先生も御了解いただいておるように、この私学共済給付内容が、俗なことばで言えば、非常に魅力があるような、有利な条件ということがやはり加入の誘因になるということになるわけでございますので、そういう努力を続けながら、この共済組合趣旨から関係学校といろいろ交渉はしたわけでございます。あるいは関係団体を通じて交渉をしたわけでございますが、一言で申し上げますと、各学校の持っております条件が非常に違っております。たとえば、長期、短期ともに共済組合に加入しないで、健康保険厚生年金でやっておりますものもありますれば、長期だけは共済組合に加入しておるが、短期は健康保険に加入しているもの、あるいは逆に、短期は加入しているが長期は加入していないというような、いろいろな特徴が各学校にございます。また付加給付のやり方が各学校によって違っております。そういうようなことで、それぞれの期待権と申しますか、既得権の事情が違いますので、いろいろ努力を重ねてきましたが、いままで申し上げたような事情でいまだ実現していないという状況であります。  一方政府側におきましては、厚生省の関係もございますし、また社会保険制度のあり方についての考え方もございますので、そういう面との交渉も続けてきておるのではございますけれども、結果的にはまだ残念ながら実現していないという状況でございます。
  13. 高橋重信

    ○高橋(重)委員 先般の委員会でもお尋ねしたのですが、具体的な資料があのときには配付されておらなかったので、後ほど報告するという話でありましたが、まだ報告を受けておらないわけです。私はこの機会に、現在私学共済に、短期、長期にわたって入っておらない——一部分入っているところもあるというお話でありましたが、全然入っていない学校数はどれだけであり、教職員数はどれだけであるかということを、まず最初に明らかにしていただきたいと思います。
  14. 天城勲

    ○天城政府委員 前の委員会のときに資料が手元にございませんで、たいへん失礼いたしました。その後、委員部を通じて資料提出申し上げてございますので、この資料について御説明申し上げます。  そこで、指定統計の学校数、それから組合の持っております資料、それから当初からの適用除外校を比較して並べてございますが、この適用除外校というのは、一番右の合計欄にございますように百十七校、教職員数にいたしまして二万四千八百五十七人、これがいわゆる適用除外校でございます。なお学校種別に従いまして、一番下欄にございますように、指定統計の数と組合の持っております数との違いがここに出ております。学校数、教職員数についてそれぞれ違った数字になっておりますが、それについてはいろいろ事情がございますので、簡単に注の欄で説明してございます。まず学校数の差異は、同一法人が設置しております学校が一括加入しているために生じたもの、たとえば大学が高校を経営している法人の場合に、法人によりましては一つの形で組合に入っておりまして、指定統計のように学校数が正確に出てこないというような事情から出ております。学校数の違いはおもにそういうことでございます。ただ各種学校において非常に大きな違いがあります。これは指定統計の各種学校は全部押えてございますが、組合におきましては学校法人立及び準学校法人立のみについて加入を認めておりますので、こういう差が出ております。それから教職員の差でございますが、これは注の2にもございますように、指定統計の本務教職員私学共済における教職員の範囲が違うわけであります。指定統計上の本務教職員というものの定義と、組合の場合の組合員というのがちょっと違っておりますので、こういう差が出ているわけであります。各種学校につきましては下の4に書いてあるような事情でございます。なお、全体といたしまして指定統計が四十年五月一日現在、組合のほうが十月末ということで、統計の数字等の調査時点の若干のずれがございますが、現状を数字的に御報告申し上げた次第であります。
  15. 高橋重信

    ○高橋(重)委員 数字はただいま御説明になりましたように、はっきりしてまいったわけでありますが、私はこの機会に、先ほど文部大臣が前向きの姿勢で合同会議を持つ、こういう御答弁でありますが、この未加入の学校を解消するには、文部当局としてはどういうスケジュールなり計画なり、何年計画でこれを解消するという、そういう具体的なものがなければならないと思うのですが、その点についてひとつ御説明を願いたいと思います。
  16. 天城勲

    ○天城政府委員 いま何月何日までにどうするという具体的な、そういう意味でのスケジュールは持っておりませんけれども、先ほど来の質疑で御了解がいただけたと思いますが、一つには私学共済内容給付条件あるいはその他の条件の充実ということをどうしてもはかっていかなければならぬ。これには機会としては、毎年度の予算で国会にそれをお願いしておったわけでございますので、そういう面に一方では努力していく。一面、各学校の持っております共済組合のあり方につきましても、いろいろな条件が違っておりますので、これが先ほど申したように、有利になるか不利になるかという条件を十分理解していただくということ、それからなお、これは社会保険全般の問題でございますけれども、共済制度を含めての問題でございますが、政府部内におきましても国庫補助率の違いがあったり、ないしは給付条件の違いがあったりすることについてどうするかという問題も出ておりますので、それらの点を考慮しながらこの趣旨実現のためにできるだけ早く努力いたしたいということでございまして、何月何日というところまでまだ具体的にできておりません。
  17. 高橋重信

    ○高橋(重)委員 何月何日というそんな厳格なことを申し上げておるのじゃないのですが、少なくとも昭和三十六年五月三十一日にこういう決議が出ておるわけです。だから、五年もたつのですから、計画を持って進まなければならないということを私は強く感ずるわけです。先ほど文部大臣が合同会議を持つ一このことにつきましては、私はぜひ実現していただきたいと思うのです。具体的にどういう会議を持たれるのか、またこういう面につきまして私学共済の当事者としてそういう面についても私は積極的に参加していただきたいと思うのですが、その点につきましてのお考えをひとつ承りたいと思うのです。
  18. 天城勲

    ○天城政府委員 ただいま申し上げましたような考えで組合側とも絶えず密接に連絡いたしておるわけでございますので、先ほど申し上げましたような方向で今後も組合を通じて各学校との関係を話し合いを進めてまいりたい、こう考えております。
  19. 高橋重信

    ○高橋(重)委員 この合同会議というのは、文部省私学共済と連絡会議を持つということでしょう。いままで絶えず連絡はしてこられたと思うのですが、そういう点は十分御努力願っておったのですが、一歩前進してここに常置的な会議を設置するという意味に私は受け取ったのですが、その点明確にしていただきたいと思うのです。
  20. 天城勲

    ○天城政府委員 大臣が申し上げた連絡会議という意味でございますが、これは特に制度上そういう会議を新しくつくるとかという意味ではないと私は了解しておるのでございます。要するに、組合側と文部省学校とよく連絡してという意味で言われたと思うのでございますが、特に新しい制度を設けようという考えはいまのところ持っておりません。
  21. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 私がとっさに申し上げたことなんですが、私の気持ちとしては、いま局長が申し上げたように、そういう何か制度をつくるというのじゃなくて、実態を申しますと、私学共済がいろいろな給付掛け金やこまかい点について常時苦労をしておるわけです。ですから、そういう苦労の体験があり、こまかい詰めのできる私学共済の関係者と、そして未加盟の全部とはできないですから、だれか代表者と合同して詰めをしませんと、これは納得がいかなければ入れといったって入るものではないので、やはり数字的な詰めで、なるほどそれならば損はない。現状では損があるが、これに対する国庫補助がこういうふうに増額されてここの段階までいけばそれはそろばんを詰めてみても損はないから入ろう、こういう動きになるわけですから、私が申し上げたのは、そういう実態的な意味を申し上げたわけで、こういう詰めをどうしても共同でやりませんと、これは結論が出てこないと思うのです。  それと、先ほど来高橋さんから、もう一ぺんめどをつけてやるべきではないかということですが、議論としてはごもっともなんですが、何といいましても、相手がそろばんでちゃんと数字の詰めをして納得がいく、乗りかえをしても、利益にはなっても不利益にはならない、あるいはいろいろな取り扱い上の支障が起こらないという理解が成立しないと、めどをきめてもめどのとおりにはなりませんし、三十六年に附帯決議がありまして以来、そういう努力文部省私学共済もしておるわけでありますが、まだ諸般の状況で未加盟校側の理解を得る段階に至っていないというのが現状で、決して怠けておるわけではなく、努力しておるようであります。したがって、今後もそういう詰めを充実し、補助率のアップ問題もこの詰めと並行していかなければならぬと思うのです。この詰めができて、そうして厚生年金との関係はどうなるか、そうしてこの未加盟校が加盟しても損はないか、あるいはどういう不便があるかという詰めと補助率のアップとは相まっていかなければ、大蔵省を理解させて補助率のアップをどこまでアップするかという決定打は出てまいりませんし、そういうことも並行しなければなりませんから、大いに共同作業をやるべきだ、今後も続けてさらに活発な共同作業をやるべきである、こういう意味で私は申し上げたわけでございまして、その方向に私ども大いに督励をして努力を続けてまいりたいと思います。
  22. 高橋重信

    ○高橋(重)委員 私もそのお気持ちはよくわかるわけです。なるほどいままで御努力は願っておるわけですが、私はこの機会に、ただ私学共済の当事者が未加入の責任者に働きかけて一も限度があると思う。いままでできなかったのは、そういう何かの力の足らぬ点、あるいは私学共済に対する魅力というものが十分にわかっておらないという点もあるかと思いますが、この機会に、文部省等が中心になっていただいて、私学共済にだけまかせておくのではなくて、私学共済の当事者あるいは未加入の学校法人の責任者等を集めていただいて、そうして文部省が音頭をとって進めていただきたいと思う。なるほどいまでも文部省管理局には私学共済担当係がみえて連絡は十分とってもらっておると思うのですが、それではなかなか解決はできない、こういう面があるわけであります。やはり組織的に強力な体制をつくるという点もこの機会に心要ではないか。毎年毎年私学共済の一部改正案が出てくるというようなことでありますが、この機会に三者なり四者なりが一体になっていただいて、こういう音頭をぜひ文部省でとっていただけるように私はお願いいたしたいわけであります。そういう点につきまして、私学共済の責任者の方もいままで御努力は願っておるけれども、何ともかんともならないというのが現状ではないかと私は思うのですが、そういう点について率直に御所見を承りたいと思います。
  23. 佐々木良吉

    佐々木参考人 この問題は、結局一番重要なのは経済的な利害関係であります。そのほかのこともありますけれども、それが基調なんでありまして、そのほうが解決されればおのずから入りたいということになるだろうと思います。現状においても、関西方面の学校のごときはそれを考慮してぜひ入れてくれというのも出ております。しかし、私学は、自己経営をしておる関係上むずかしい問題がある。あるいは個人負担学校負担の関係を見ますと、学校負担が非常に多い。個人負担私学共済同様に負担するということは、従来の組合に対しても不利益を与える、あるいは利益を与える関係上それはできない。そのように考慮すると、経済的な地ならしをする、それには、私どもは、従来学校の総長なり、あるいは理事長なり、あるいは私学関係者といろいろその方面で話し合って、大体この前はまとまって、当時の灘尾文部大臣、小林厚生大臣までに一本化してやるということまでなった。それがどうして結局終わったかというと、結局は経済的な問題で、もう少し私学共済がよくならなければ、こういうような声が強かったので、私ども文部省と絶えず連絡をとって、まず第一に、給付内容をよくする、これがよくならなければ幾らこれを筋を立ててもなかなか大臣のおっしゃるように理屈じゃいかないような問題である。そういう意味で毎年、毎年国会にお願いするのは、それも一つございます。これが大体国公共済組合と同等の水準までなった暁は、これは私のほうでもあと利害関係をもっと検討いたしまして、機の熟するを見て実際に具体的な努力をいたしたい、こう考えて、現在もなお絶えず健康保険組合その他の年金等のある学校の実態を調べて、そうして共済組合とも比較して、どうしたならばこれがよくなるかというようなことを早くめどをつけて、実は今年中にもそのめどを立て、私学団体関係にも働きかけようと思っておったようなわけであります。そういうような機が熟すれば、客観的になるほどというような機会を得れば、私どもはぜひ実現に邁進したい、こういうふうに考えております。
  24. 高橋重信

    ○高橋(重)委員 ぜひそういう前向きの姿勢で、文部省も当事者の方も連絡を緊密にして、一日も早く国会の意思を実現できるように御努力願いたいと思います。  次には、国公済につきましては、国が中心になりまして、いろいろな面において御努力願ってみえるわけですが、この費用の問題でありますが、国公済の組合員、特に公立学校組合員八十数万おるわけでありますが、これは事務職員一人に組合員数が何人であるか。それから私立学校共済組合につきましては、組合員に対する事務職員は何人に匹敵するか、この点わかりましたらひとつ御説明願いたいと思います。
  25. 清水辛

    清水参考人 私学共済は現在約十四万三千人の組合員がおるわけです。これに対しまして、事務職員が百五十五名でございますから、目の子で申しますと、若干千人を下回りますが、大体千人に対して一人、その程度でございます。
  26. 天城勲

    ○天城政府委員 これもいま大ざっぱに計算しておりますが、公立の場合には二百二十人に一人くらいの割合になっております。
  27. 高橋重信

    ○高橋(重)委員 これを見ましても、私学共済のほうは千人に一人、公立学校は二百人に一人……。
  28. 天城勲

    ○天城政府委員 二百二十人でございます。
  29. 高橋重信

    ○高橋(重)委員 もう少し、組合員数が何人で職員が何人かということをちょっと……。
  30. 天城勲

    ○天城政府委員 組合員数は、四十年の十月現在で公立共済が八十四万四千三百三十四人でございます。職員数は三千七百七十三人でございます。
  31. 高橋重信

    ○高橋(重)委員 公立学校共済組合を見ますと、各府県に支部がありまして、県庁等を借りて事務所はそこに併置してある、あるいは地方の福利課長なりあるいは福利厚生課長というようなものを県庁職員が従事しておるわけです。この三千七百七十三名という人数は、共済組合から俸給を出してこれに従事しておる人数か、その点もう少し明確にしていただきたいと思います。
  32. 天城勲

    ○天城政府委員 ただいま申し上げました数字は、いわゆる県費支弁職員を含めての数字でございます。
  33. 高橋重信

    ○高橋(重)委員 これを見ましても、私学共済は千人、公立学校は二百二十人、非常に差があるわけでありますが、これは原因はいろいろあると思うのです。しかし、私はあまりにも差が多過ぎると思うのですが、どこにこういう原因があるか。費用を国から支弁しなければならないというような面もあるわけですが、そういう点に発展してくるかと思いますが、これは私学のほうでどういうふうに把握してみえますか、この点少し御説明願いたいと思います。
  34. 清水辛

    清水参考人 私立学校長期と短期と福祉の三つの事業をしてまいっておるわけです。そのほかに、たとえば企画調査課というような、現場事務ではない、総括事務みたいなことをどうしてもやらないといけない部分があるわけです。そういった点で私どもとしては千人の組合員に対して一人ということは、被扶養者を入れますとさらに人数がふえまして相当の仕事の量がございますので、相当忙しくやっているわけでございます。公立学校の実態はよく存じませんけれども、その点がある程度分類をされて事務分担が行なわれて、ただいま先生のおことばのようにある部分については支部なり現地開設なりそういうような方法がとられているために、一人当たりの人数でいくと差があるのではないかと思います。
  35. 高橋重信

    ○高橋(重)委員 これを見ましても、私学共済と公立共済との差は明らかにあるわけです。組合員の立場から言えば、やはり職員の多いほうが何かにつけて利便があると思うのです。一つの問題を相談するにも的確に早く解決できるわけですが、私はあまりにも差が多過ぎると思う。したがって私学共済を公立共済に近づけていく、均衡を保つようにする、こういう面から言いましても、いかにも差があり過ぎますが、たとえば費用の面においても、私は組合員一人ずつをとってみれば私学共済のほうが非常に負担が多いと思うのですが、その点文部当局はこの問題をどういうふうに把握してみえるか。先ほど来、私学共済に魅力がなければ入らない、魅力を持たせなければいかぬというような話がありますが、この一例をもってみましても私は問題があるのではないか、隘路があるのではないかと思うのですが、管理局長にお尋ねいたします。
  36. 天城勲

    ○天城政府委員 職員数と組合員数の比較だけですべてを見るわけにまいりません事情がございます。国公共済は、御指摘のようにいろんな便宜がございますけれども私学側にはないという点は確かに違っております。しかし、私学の置かれている事情というのは、各府県に公立学校のように平均して置かれているわけではございませんし、主として存在する地域が限られておったりいたしますし、それから事務機構を増大いたしますことは、反面経費負担の問題にすぐなってまいりますので、それらの点は、仕事を合理的にやり得るという前提でもって、職員数や事務の問題も考えていかなければならないのじゃないか、こう考えております。そういう点で、組合員の便宜ということをあくまでも中心に考えていかなければなりませんので、たとえば私学共済には支部はございませんけれども、最近非常に組合員数の多くなった地域におきましては、年度当初の事務繁忙のときには臨時の事務所をそういう地帯に開設するとかいう点で考慮しながら、あくまでも組合員の便宜ということを中心にいま考えているわけでございます。
  37. 高橋重信

    ○高橋(重)委員 次に話を進めていきたいと思うのですが、私は、「私学共済」という、こういうものをもらいまして、この中に組合員の声として、ぜひそういう便宜を計らっていただきたいというようなことが書いてあるわけです。組合事務の改善促進を要望いたしますという名目で書いてあるわけでございますが、そういう面におきまして、公立共済は各県に支部がありまして、何かとそれは便利だと思うのです。いまのお話のように、必要なときに出ていって出張してやる、年度初めにやるというだけではなくて、いつ何どきどういう問題が起きるともわからぬわけでありますから、少なくともそういう面におきまして、文部省としてはもっと積極的にこの面を取り上げていただいて、やはり組合員に入ったほうがよかったのだ、こういう機運を盛り上げていかなければならないと思うのですが、その点、文部省なり、あるいは私学共済の当事者の方々も一そう研究していただきたいと私は思うわけであります。  次ですが、話が前後いたしますが、公立学校組合と均衡を保つということですから、組合員を一人一人とってみますと、同じような待遇を受けていくということが必要だと私は思うのです。最も身近な問題として、いろいろなことがあるわけですが、この運用面において実績をあげていくということが特に必要でありまして、そこの中に福祉施設という問題についてぜひ考慮を払っていただきたいと思うのです。公立学校には貸し出し規定等もありまして、貸し出しにはいろいろ規約はありますけれども、たとえば住宅資金にいたしますと、公立学校には最高百万円貸し出せる、私学には、自分の家を建てるについて五十万円しか貸し出せない。ここにも明らかに私は差があると思う。同じ組合員で、同じ教育という場に従事しておりまして、家を建てるについて、公立学校は百万円の住宅資金が借り出される、私学は五十万円しか借り出されない、明らかにこういう差がある、不利益がある。こういう点については、実際これを担当していらっしゃる理事者あるいは文部省としては、均衡を保つように努力するんだとか、公立学校に近づけるんだ、なるほど御説明はりっぱではありますが、中身一つをとってみましても、それほど差があるわけであります。このことについてのお考えを承りたいと思います。
  38. 清水辛

    清水参考人 ただいま御指摘のございました貸し付け金のうちの特に住宅の問題でございますが、私学共済といたしましては創設まだ日が浅いものですから、若干国公立学校共済組合に比べて住宅貸し付けの制度はおくれたのでございますが、しかしながら昭和三十九年度以来これを実施いたしております。その内容は、ただいま高橋先生御指摘のとおり、最高限度が五十万円、最低限度が三万円となっておりまして、これを国公立学校の住宅貸し付けに比べますと、最高限度において国公立学校は百万円まで貸し出せるということになっておりますので、差があるわけでございます。ただどういうわけでこの差があるかと申しますと、住宅貸し付けの限度は、一つには退職されたときに、その退職金をもって返済できる限度はどのくらいかという問題があると思うのです。もう一つは、返済をする償還能力がどのくらいかということについて限度があるわけでございます。この点につきましては、公立共済のほうでは最高限度は月収入の二割五分以上にはならない、つまり二割五分以上も毎月、毎月借金を払っていったのでは、他の面で生活が困窮するから、それ以上の金額にしてはならないという条件が一つある。私学共済の場合は発足まだ日が残いものですから、現在のところ最高給をもらっておって、しかも一番長くつとめた人の退職一時金の金額がまだ七十万円程度でございまして、この制度を始めた三十九年度にはもう五十万円が退職一時金の最高限度額であった。このことが一つございます。もう一つは、公立共済におきましては、五十万円までは無担保で、保証人だけで貸し付けておるが、五十万円以上百万円までは抵当権の設定をしなければならない、こういうことになっておるわけでございます。私学共済の場合は、住宅金融公庫という公の貸し付け金を私学教職員の方が借りて建てたものはそこの抵当になる、そしてなおかつ足りない面を私学共済のほうから融資を仰ぐということで、抵当権、担保ということは全然考えておらない、こういうことがございます。しかしながら、今回の法改正並びに時日が経過いたしてまいりましたので、将来に向かいましては、先生御指摘のとおり、なるべく国公立学校教職員同率、同額の線まで近づけていきたい、こういう考慮は払っておるわけでございますが、現状は以上のような事情でございます。
  39. 高橋重信

    ○高橋(重)委員 その理論にいたしましても、たとえば退職金の最高が七十万円になったというお話であれば、清水さん、ひとつそのつどそのつどに変えていっていただきたいと思う。いまのお話ですと、三十九年にきめられただけで、四十一年なら四十一年の時点でやはり前向きの姿勢でやってもらわなければいかぬ。と同時に、文部省のほうも実際そういう具体的な問題を取り上げていくということが私は必要だと思うのですよ。文部省のほうは、自分らの身内であるものですから、そういう点は最高百万までは貸し出せる、あるいは住宅修繕については五十万とか、あるいは子供が大学に行くにはどれだけ、災害を受けたときにはどれだけというようにいろいろ内輪できめてみえるわけですが、そういうことは私学共済では非常に少ないわけですよ。私は、こういう面もちょっと見たらすぐわかることでありますから、そういう面から解決ができることですから、ぜひやっていっていただきたいと思うのですが、その点ひとついまからでもおそくないです。この法案が審議されておる、こういういい機会でありますから、私学共済でことしから改革していただくということはどうでしょうか。
  40. 清水辛

    清水参考人 お手元に提出いたしました「組合の概要」という資料の二〇ページにその内容が載っていますが、私学共済といたしましては、公立共済あるいは国家公務員になくて、私学共済にのみある独特の貸し付けの方法一つ採用いたしております。これは昭和四十年度から実施いたしまして、今年二年目でございますが、二〇ページに書いてあります「特殊住宅貸付」というのであります。これはそこに書いてありますとおり、その学校法人につとめておる教職員の利用に供するために住宅を建てる。この場合には、木造の場合には坪七万円まで、ブロック建築の場合には坪十万円、鉄筋コンクリートの場合は坪十二万円まで。また土地の購入につきましては一応三万七千円以内の限度において貸し付ける、こういう方法をとっております。そしてこれは相当長期にわたる返済でございます。たとえば木造の場合には二十年間に学校法人は返す。ブロックの場合には三十年、鉄筋の場合には三十五年間に返せばよい。そして、これは三カ月ごとに元利の均等償還、こういうようなことをいたしまして、個人に対する貸し付けは確かに公立学校よりか劣っておりますけれども、こういう面については学校とタイアップいたしまして積極的に教員の住宅問題について協力をしてまいりたい、こういう方法をとっております。  なお、御指摘の点につきましてはよく上司の御意向、監督官庁の御意向等も伺いまして検討してまいりたいと思います。
  41. 高橋重信

    ○高橋(重)委員 私はまだ質問はたくさんたまっておるわけですが、次の質問者も来てみえますし、参考人の方も来てみえる。私は十二時半までと思っていたら十一時半までということで、はや二十分超過しておるそうで、まだ質問は残っておりますが、後ほどまた質問さしていただくことにいたしまして、最後に参考人の方にお尋ねしたいわけですが、私は、この機会に公立共済まではいかぬにしても、たとえば常置的な支部を関西なら大阪に一つくらい設けていただいて、そして常時西日本のほうの相談も受ける、こういうふうにぜひ発展していただきたいと思います。その点どうですか。
  42. 佐々木良吉

    佐々木参考人 実は年々共済組合の事務が複雑になってくるのですが、人数等も最少限度において行なう。これは財源の関係で自分でまかなうという点がよその団体とは異なる特殊性でございます。われわれも常に努力してまいりましたが、非常な事務の繁忙、したがってそれによるところのいろいろな支障というものも起こることなきにしもあらず。それを考慮して支部設置については、支部の設置の関係の研究をしてもらう委員会を設けて検討いたしました。私は初めから支部を大阪なら大阪に一つくらい置いてためしてみたらよいではないかというような考えをもっておった。ところが置くとなると、各所において望む傾向が非常に強いので、全般的に理想的に近い程度の支部というものを置く場合にはどうなるかということを委員会に諮問いたしましたところが、中間答申で非常にばく大な財源を要する。これでは現在の私学共済としてはその財源をいかにして獲得するかという問題については非常に困難な問題であります。私のほうはいかなる場合といえども最終的でなければ会計を増額したくないという信念的なものを持っております。会計の増額というものができないということになると、いわゆる国庫補助とかいろいろな関係にお願いしなければならない。しかし、この問題もなかなか容易でない問題がある。それで、とにかく支部というものは要望するけれども、いかに実際に活躍するかという実態の経験を経た上で支部というものを設けたらよろしいじゃないかというので、いままで巡回指導説明会等をいたしましたけれども、それで足らないので四十一年度から約五十日間にわたって全国の北海道から九州までの要所要所に臨時出張所を置いて、ことに四月は繁忙期に当たりますのでその間に行なってみる。行なってみて、費用がどれくらい、人数はどのくらい、あるいはどのくらいの程度のものが必要かということが、その体験によってわかることであるから、それらを検討して、あるいはそれによって支部に踏み切るというような考えを持っておりますが、いまのところ駐在所を置いて現在活動しつつありますので、非常に喜ばれておるようでございます。これらの実際の状態を調べまして、もしもできるものならば早急に、あるいは来年度あたりからでも実施したいという考えを持っておりますが、これも客観的ないろいろな情勢を考慮しないとできにくいので、文部省関係官庁と緊密なる連絡をとってその方向に向かって努力いたしたいと存じます。
  43. 高橋重信

    ○高橋(重)委員 最後に大蔵省から来てみえますのでお尋ねいたしますが、百分の十五を十六に一%上げた。それは昭和四十一年度において予算補助をいたしたい、こういう考えでスタートされておるのですが、三月四日の議事録を見るとそう大蔵大臣が答弁しておるのですが、文部省としては百分の二十を要求したわけです。これを百分の十六に押さえられた。しかしいまも説明を聞いておると、私学共済にしましてもやらなければならぬことばかりたくさんあるわけです。公立学校の共済に近づけるためには費用が足らない。掛け金を上げることなくして公立学校共済に近づけたい、こういう考え方である。どうしても百分の二十だけは補助をしていただかなければならないわけですが、それをあえて百分の十六に削られた。この点につきまして大蔵省の考え方、将来、来年度百分の二十を要求した場合においてはどういうお考えであるか、簡明に御答弁願いたいと思います。  以上をもちまして私の質問を終わりたいと思います。
  44. 平井廸郎

    ○平井説明員 ただいま御質問の国庫負担率百分の十六を一応予算補助するという考え方の基礎を申し上げますと、御要求の趣旨は、制度の発足が厚生年金から分かれたものであり、かつまた給付改善その他に要する財源等を考えて百分の二十にされたいという御要望でございました。私どものほうにおきまして検討いたしました結果は、給付考え方自体基本的には国公共済あるいは地方公務員共済とそう大きな差はないが、ただ、旧法期間と申しますか、過去期間の取り扱いについて確かに私学共済なりあるいは農林業団体職員共済組合について若干劣っているところがある。これは三十七年の改正当時において、いわば全体のレベルをそろえるときにそろえ残した部分があるわけでありまして、そういったものを大体財源率に換算いたしますと、おおむね百分の一程度になるであろう、こういう考え方をしておるわけでありまして、いわばそういった過去期間の取り扱いの改善の原資に当てるために当分の間予算補助として百分の一を追加いたしたい、こういう趣旨であったわけでございます。ただ、予算委員会の質疑その他がございまして、そういった予算補助でなしに、そういう趣旨のものであるならば、むしろはっきりと法定すべきであるという御意見が出まして、その結果として百分の十六ということをはっきり法律に書きますとともに、一方におきましてただいま御審議をいただいておるような旧法期間の取り扱いを中心とした法律改正をいたす、そういうふうに考えたわけでございます。  ただ、それでは今後の問題としてどうなるかということでございますが、先般の社会保障審議会の法案の改正に対する御意見にもありましたように、なかなかこの問題はデリケートでございまして、この私学共済厚生年金保険制度から分かれたものであるということから見れば、百分の二十という点についても考慮を払うべきである。けれども一方給付内容の点において厚生年金保険とは異なるものがあるので慎重な取り扱いが必要である。きわめてデリケートな表現で言っておられるわけでありまして、いわば制度的に厚生年金と同じようなレベルであるならば、なるほど百分の二十というのは一つ考え方であろうと思いますが、制度的に少なくとも厚生年金とはかなり違い、一般的に申しますならば、かなり有利な条件にある、そういったものを前提として考える場合には、そう軽々に百分の十六をさらに上げていくということを、現在の段階で申し上げることは困難である。もちろん社会保障制度全般の問題でありますから、全般的にさらに国庫負担について再検討するというような時点がまいりますならば、その段階において私どもはあらためて検討いたしたいと考えておる次第でございます。
  45. 八田貞義

    八田委員長 佐々木、清水参考人には、お忙しいところ長時間御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして、委員長から厚く御礼申し上げます。      ————◇—————
  46. 八田貞義

    八田委員長 内閣提出教育職員免許法等の一部を改正する法律案を議題といたします。     —————————————
  47. 八田貞義

    八田委員長 提案理由の説明を聴取することにいたします。中村文部大臣。
  48. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 このたび政府から提案いたしました教育職員免許法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げたいと思います。  教員の免許制度につきましては、昭和二十四年に教育職員免許法を制定し、その後昭和二十八年と昭和二十九年に同法の改正を行ない、今日の免許法の態様がほぼ整いまして、さらに今日まで部分的に数次の改正を行ない、その改善充実につとめてまいったわけであります。  免許法制定当初は、教員の資格を取得することを希望する者はいずれの大学においても必要な単位修得することによってその希望をかなえられたのでありますが、大学の教育課程の適否が教員の質に関係するところが大でありますので、昭和二十八年の改正によりまして、文部大臣が教育職員養成審議会に諮問して適当と認めた課程において教員養成を行なうこととし、かつ、各学校種類別にいわゆる免許基準の改善がはかられてきたのであります。  もとより、教師としての職業は、高い教養を必要とする専門職業でありますが、最近の学校教育の充実発展はまことに目ざましいものがあり、このため、小学校中学校高等学校等の学校別に教員として必要な専門的な資質の一そうの向上が望まれてまいりました。文部省におきましては、昭和三十三年教員養成制度の改善方策について中央教育審議会の答申を受け、その改善方策を検討してまいったところでありますが、免許制度についても、かねてから関係各方面からの要望もあり、また、本年二月には教育職員養成審議会から教育職員免許法の改正について建議がありましたので、今回、教員免許資格取得のために必要な基準を高める等の措置を講ずることといたした次第であります。  次に、この法律案の概要について申し上げます。  まず、高い資質を持った教員の育成のために、小学校中学校高等学校及び幼稚園の教員の普通免許状の授与を受けるために大学において修得することを必要とする単位数の増加等をはかることとしたのであります。  現在、国立の教員養成を目的とする大学・学部においては、義務教育に従事する教員の養成が行なわれており、その他の国・公・私立の大学・学部においても各種の教員の資格を取得することができるようにされていて、免許状を取得する者の数は少なくありません。今回の改正は、こうした制度の中で小学校中学校高等学校及び幼稚園の教員として必要な専門的資質の向上をはかり、学校教育の充実に資そうとするものであります。  このこととの関連において、二級免許状を一級免許状に上進させることについて、十五年をこえる在職年数をもって足りる制度がありますが、これは廃止することといたしました。所定の年数を良好な成績で勤務し、かつ、必要な単位を修得することにより免許状を上進させることができる制度は現行どおり存置いたしますので、資格の上進は今後この方法によることといたしたいと思います。  次に、教員の臨時免許状の制度につきましても、整備をはかることといたしました。すなわち、最近、高等学校において教育内容改善充実されてきた実態等も考慮し、高等学校助教諭の臨時免許状を高等学校を卒業した者に対しても授与することができる特例を廃止し、短期大学または、高等専門学校を卒業した者に授与することといたしました。なお、この際、これらと同等以上の資格があると文部大臣が認めた者にも授与することができることといたしました。  また、最近、高等学校に衛生看護に関する学科が設けられ、今後も増設される趨勢にありますので、高等学校の教員の免許状に看護及び看護実習の教科を加え、専門の教員の養成確保をはかることといたしました。  この法律は、公布の日から施行することといたしておりますが、改正による新しい免許基準につきましては、昭和四十二年四月一日から施行することといたしました。今回の改正に伴ない、現に大学等に在学し、またはすでにこれらを卒業した者の免許状の取得の要件、現に免許状を有する者の上級の免許状の取得の要件等について経過措置を講ずるほか、所要の規定の整備を行なったわけであります。  以上が、この法律案の提案の理由及び内容の概要であります。  何とぞ、十分御審議の上、すみやかに御賛成くださるようお願いいたします。
  49. 八田貞義

    八田委員長 次に補足説明を聴取いたします。杉江大学局長。
  50. 杉江清

    ○杉江政府委員 ただいまの文部大臣の説明を補足して、法律案の概要について順を追って説明いたします。  第三条第三項及び第十七条第一項の改正は、盲学校、ろう学校及び養護学校において特殊の教科の教授を担任する教員の免許状の制度を改めるものであります。すなわち、盲学校、ろう学校及び養護学校において逐次その教育内容が整備されてまいりましたが、これに伴い、これらの学校において教育上必要な特殊の教科の教授を担任する教員の免許状は、高等部に限らず、各部に共通に有効な免許状とするため、第十七条第一項を改正するとともに、第三条第三項について法文の整備を行なったものであります。  第四条第五項の改正は、高等学校の教員の免許状に看護及び看護実習の教科を加えることとしたものであります。これは、高等学校の衛生看護に関する学科において、専門教育科目の指導に当たるべき教員の養成確保をはかるためであります。  この看護または看護実習の教科についての教員の普通免許状の授与の所要資格については、別表第一または別表第五によることといたしております。  なお、看護実習の教科についての教員の免許状の授与については、他の職業に関する実習の教科についての教員の免許状の授与の場合と同様の措置を講ずることとし、附則第十一項並びに教育職員免許法の一部を改正する法律附則第二十一項及び第二十三項の規定について所要の改正を加えて、一定の実地の経験を有し、技術優秀と認められる者に対しても授与することができるようにいたしました。  第五条第三項の改正は、高等学校助教諭の臨時免許状の授与の所要資格について整備いたしたものであります。すなわち、高等学校助教諭の臨時免許状は、短期大学または高等専門学校の卒業者のほか、これと同等以上の資格を有すると文部大臣が認めた者に対しても授与することができるようにいたしました。この措置とあわせて、教育職員免許法の一部を改正する法律附則第七項を改正して、高等学校の卒業者に対しても、当分の間は高等学校助教諭の臨時免許状を授与することができる特例は、昭和四十二年三月三十一日限り廃止することといたしましたが、この法律の施行の際、現に当該臨時免許状の授与を受けている者の免許状は、その有効期間が満了するまではなお効力を有するよう、この法律の附則第八項で経過措置を設けてあります。   〔委員長退席、八木(徹)委員長代理着席〕  また、この際、臨時免許状の有効期間を六年とすることができる特例も廃止し、この法律の附則第七項で、さきの経過措置と同様趣旨措置を講じております。  附則第八項の改正は、高等学校において水産の教科の教授を担任する教員の需給関係の事情等にかんがみ、当分の間は、水産大学校の卒業者に対して水産の教科についての高等学校の教員の普通免許状を授与することができる特例措置を設けたものであります。  附則第九項の改正は、旧令による保健婦免許を受けた者に対し、旧令による看護婦免許を受けた者の場合と同様に、養護助教諭の臨時免許状を授与することができることとしたものであります。  別表第一の改正は、教員の普通免許状の授与を受けるために、大学において修得することを必要とする最低単位数等の基準を改めたものであります。  現在、いわゆる教員養成は、大学において行なうことをたてまえとしておりますが、今回の改正は、この教員養成のために必要な最低の要件としての大学における修得単位数等について改善充実をはかり、教員の職務の専門性を高めるとともに、関係大学・学部の持つ特色を生かし、教員養成の効果を高めようとするものであります。すなわち、専門教育科目については、その修得単位数をたとえば小学校の教員の一級普通免許状の場合にあっては四十八単位を六十八単位に、中学校の教員の一級普通免許状の場合にあっては四十六単位または五十四単位を六十一単位に引き上げるとともに、従来の教材研究及び教科教育法を教科教育の研究に改め、学校種類別に教師として望ましい資質の向上に資するようにいたしました。  また、大学教育の改善充実に関する措置に関連して、一般教育科目については大学設置基準等の定めるところによることといたしました。別表第二の改正も同様の趣旨によるものであります。  教員の普通免許状の授与を受けるために必要な単位は、あらかじめ免許状の種類ごとに文部大臣の認定を受けた大学の課程において修得しなければならないこととされておりますが、この認定を大学における教育の実態に即して大学の学科または課程ごとに行なうよう改めております。  これらの改正に伴い、この法律の施行の際、現に大学等に在学し、またはすでにこれを卒業した者については、昭和四十六年三月三十一日までに従来の規定による資格を取得した場合にも免許状の授与を受けることができるよう、この法律の附則第二項で経過措置を設け改正法の円滑な適用をはかっております。  別表第三の改正は、現職教育機関を拡大し、一級普通免許状の授与を受ける場合、在職年数が十五年をこえる者については、単位の修得を必要としない特例を廃止するものであります。これは、大学における直接養成による場合の基準を高めたこと、及び教員の需給関係の事情も安定を見つつあること等の理由によるものでありますが、在職年数に応じて修得単位数を逓減できる方法は、なお存置いたしております。  なお、この法律の施行の際、現に二級普通免許状を有する者であって、昭和四十七年三月三十一日までに在職年数が十五年をこえることとなるものは、一級普通免許状の授与を受けることができるよう、この法律の附則第三項で経過措置を設けております。  別表第四の改正は、別表第一の改正に関連して、中学校または高等学校の教員の普通免許状を有する者が、他の教科についての免許状の授与を受ける場合に修得することを必要とする最低単位数を改めたものであります。  なお、現に教員の普通免許状を有する者については、従来の規定を適用するものとすれば昭和四十七年三月三十一日までに他の教科についての教員の普通免許状の授与を受ける所要資格を得ることとなるときは、その者は、当該免許状の授与を受けることができるよう、この法律の附則第四項で経過措置を設けております。  この法律の施行期日を定めたのが、この法律の附則第一項であります。すなわち、この法律は、公布の日から施行するものであります。ただし、第五条第三項および別表第一から別表第四までの改正規定等は、昭和四十二年四月一日から施行することといたしております。  以上、この法律案について補足説明をいたした次第であります。
  51. 八木徹雄

    ○八木(徹)委員長代理 以上で補足説明は終わりました。  本日は、これにて散会いたします。    午後零時十九分散会