○横路
委員 それでは、
最初に厚生大臣にお尋ねします。
私は、今回の事件のよってきた原因は、
一つは医学
教育そのものの欠陥だと思う。これは医学
教育ばかりでなしに、しいていえば、
あとで
文部大臣にお尋ねしなければならぬけれども、今日のいわゆる
大学教育の欠陥ともいうべきものかもしれません。特に医学
教育の欠陥である。
第二番目には、いま厚生大臣が言われたように、特に医学界においては学位の偏重というものから一この点は
あとで
文部大臣といろいろ議論をしてみたいと思う。学位をとらなければとにかく
生活ができないというわけではないのだろうけれども、そのために、医学界くらい封建性の強いものはない。医学界くらい徒弟制度のものはないのです。これはもうどの学界よりもはっきりしています。これは何に結びついているかといえば、全部学位論文に結びついている。そうして国立
大学の付属病院から各病院は全部全国で系列化されている。東大ならばどこ、千葉医大ならばどこ、京都
大学ならばどこ、阪大ならばどこ、全部全国の病院は系列化している。この問題があるわけです。これは、初めに非常に期待をして若い青年学徒が医学の勉強をしようと思って入って、何年かたつうちにこの封建的な医学界の徒弟制度にいや気がさす。だから入ったときは秀才だ、出るときは鈍才だ、こうなってしまう。
第三番目は、いま厚生大臣から言われたようにインターン制度の問題それから無給医局員の制度の問題があると私は思います。もっとたくさんあると思いますが、厚生大臣がお急ぎのようですから、私は先に厚生大臣にお尋ねしていきたいと思いますが、それは、ほんとうは両大臣御一諸で私はお尋ねをしたほうがいいのですけれども、順序が厚生大臣になりましたから、私は厚生大臣にお尋ねしたい。
いまあなたは医師の免許のことを言われた。私は医師の免許で全くおかしいと思う点があります。それは、医学部は教養学部二年やるか、医進の教養コースを二年やって学部を四年やる。ですから通算六年やる。そこでやはり教授の個人的な
指導を受けているわけです。やはりその人の人格にも触れているわけです。ところが、そこで国家試験をやって医師の免許状を与えればいいものを、卒業し、そこでいわゆるインターン制度というものがある。インターン制度で
文部省が指定している指定病院が全国で二百六十あるわけです。それからそういろ国立
大学の付属病院もある。そこで、きのうお聞きしたのですが、まずことしは四百五十名ほどその指定病院へ行っているそうです。ところが、この諸君は医師の免許状を持っていないのですね。御承知のようにお金は一円も渡っていないのだから、何をやっているかというと、医師の免許状を持っていないのに医師をやっている。診断をやり治療をやっている。これは明らかに医師法違反なんだ。医師法違反のことを厚生省は平気で許可をしている。黙認をしている。こんなばかげたことがありますか。いまあなたはまず医師のモラルという問題をおっしゃったけれども、まずそこの出発に問題がある。いまどんなことだって、たとえば酒の小売り店で許可がないのに売っていたら処罰する。
学校の
先生が免許状がないのに授業していたら、何だと言って取り締まる。ところが、インターンは白衣を着ているもんですから、
一般の人はあれを
先生だと思っている。医者だと思っているから、そうしてみんなつらいからそういうのが夜当直する、当直は何割増しか、こうなる。これはインターン制度が始まってからいまの医師は全部やっている。明らかに医師法違反なんです。そこでアルバイトをして一生懸命かせいでいる。だからせっかく六年間、教養で二年、医進コースに二年、学部で四年やって、教授の
指導のもとにやってきたのが、このインターンの一年で、各病院のどこでそういう
学校と同じように教授がぴちっと本来の姿で
教育、
指導ができますか。ここに私は問題があると思うのです。
きょうは
鈴木さん、私はあなたに
最初無給医局の問題
——鈴木という医師は無給医局員です。これは全国的な問題だから、ほんとうはこれから聞こうと思ったが、あなたが先に帰るというから逆になってしまったが、インターンの問題を聞きます。もともと医師になる出発のときに、アルバイトをやり、何をし、そして働きながら、せっかく六年間の
学校で積み上げてきたそういう医学
教育というものが、そこで何をやっているか。技術なんです。職人になることなんです。
鈴木さん、インターン制度というものを根本的に直さなければならない。だから
大学を出たとたんに国家試験をやる。きっちりそういうたてまえをとってやはり
大学に
責任を持たす。そうして一人の教授が
指導すべき個人
指導の学生の人数は限られている。そこで徹底的に個人の
指導をやる。医師の免許状を与える。きのう私は厚生省の人に聞いたが、医師の免許状を与えてもまだ不安だと言うのです。それならば、私は開業したいという者に、君はおれのもとでもう少し修業しなさい、おまえは開業してもいい、こういうように、やはり四年間一緒に触れ合った
大学の医学部の教授が、四年間はだとはだで触れ合って、学生本人の力、本人の性質、人柄、そういう上に立って判断する。それは
大学の自主性にまかせてやるべきなんだ。ここに問題がある。まず無給医局員になる出発点のここから問題が
一つある。
鈴木さん、きょうはあなたは何時までいていただけるのかわかりませんが、ひとつこの点ははっきりしてもらいたい。私はある程度の数字を持ってきていますからね。厚生省ではいやな数字だけれども数字を持ってきている。これは
鈴木さん基本になる問題だ。インターン制度はそこが出発点です。そういうものは総合病院にまかせればいいというものではないですよ。病院に行って並んで待っているけれども、とにかくわずか五分か十分で消化しなければできないようないまの総合病院なんだから、何で
指導ができるか。やはり
学校にまかせて、卒業をしたときに国家試験をやる。だめなやつには与えないで、翌年またやるというように、きびしくするならきびしくするという態度で、
教育本来の姿に返すべきだと思う。その点どうですか。