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1966-04-15 第51回国会 衆議院 文教委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年四月十五日(金曜日)     午前十一時十七分開議  出席委員    委員長 八田 貞義君    理事 上村千一郎君 理事 小澤佐重喜君    理事 八木 徹雄君 理事 川崎 寛治君    理事 長谷川正三君       大石 八治君    久野 忠治君       熊谷 義雄君    坂田 道太君       床次 徳二君    中村庸一郎君       原田  憲君    松山千惠子君       森下 元晴君   茜ケ久保重光君       落合 寛茂君    高橋 重信君       横路 節雄君    鈴木  一君  出席国務大臣         文 部 大 臣 中村 梅吉君         厚 生 大 臣 鈴木 善幸君  出席政府委員         文部事務官         (大臣官房長) 赤石 清悦君         文部事務官         (大学学術局         長)      杉江  清君         文部事務官         (調査局長)  蒲生 芳郎君         文部事務官         (文化財保護委         員会事務局長) 村山 松雄君         厚 生 技 官         (医務局長)  若松 栄一君  委員外出席者         文部事務官         (大学学術局審         議官)     木田  宏君         専  門  員 田中  彰君     ————————————— 四月十五日  委員重政誠之君及び和田博雄辞任につき、そ  の補欠として森下元晴君及び茜ケ久保重光君が  議長の指名委員に選任された。 同日  委員森下元晴君及び茜ケ久保重光辞任につき、  その補欠として重政誠之君及び和田博雄君が議  長の指名委員に選任された。     ————————————— 四月十三日  なぎなた中学校以上の女子正課として採用  に関する請願外一件(小島徹三紹介)(第二  七八四号)  同外一件(田中榮一紹介)(第二七八五号)  同外十四件(稲富稜人君紹介)(第二八五六  号)  同外六件(砂田重民紹介)(第二八五七号)  同外一件(田中榮一紹介)(第二八五八号)  同外四件(早川崇紹介)(第二九一六号)  同(荒舩清十郎紹介)(第二九五二号)  同(有田喜一紹介)(第二九五三号)  同外二件(四宮久吉紹介)(第二九五四号)  同外一件(田中榮一紹介)(第二九五五号)  同(濱野清吾紹介)(第二九五六号)  同(森義視紹介)(第二九五七号)  同外一件(山花秀雄紹介)(第二九五八号)  義務教育における習字教育振興に関する請願  (菊池義郎紹介)(第二七八六号)  同(四宮久吉紹介)(第二九五九号)  同(長谷川正三紹介)(第二九六〇号)  心臓病子供教育のため学校学級増設に関  する請願河野正紹介)(第二八二〇号)  戦傷病者子女育英資金等に関する請願(大  坪保雄紹介)(第二八八五号)  同(藤本孝雄紹介)(第二九一七号)  同(森下元晴紹介)(第二九一八号)  同(西村直己紹介)(第二九五一号)  学校図書館法の一部改正に関する請願外九件  (纐纈彌三君紹介)(第二九一五号) 同月十四日  義務教育における習字教育振興に関する請願外  一件(華山親義紹介)(第二九九五号)  同(海部俊樹紹介)(第三〇八八号)  同(草野一郎平紹介)(第三〇八九号)  同(鯨岡兵輔紹介)(第三〇九〇号)  同(藏内修治紹介)(第三〇九一号)  同(坂村吉正紹介)(第三〇九二号)  同(田中榮一紹介)(第三〇九三号)  同(灘尾弘吉紹介)(第三〇九四号)  同(藤井勝志紹介)(第三〇九五号)  同(藤田義光紹介)(第三〇九六号)  同(谷川和穗紹介)(第三一六〇号)  同(山中日露史紹介)(第三一六号)  私学振興に関する請願星島二郎紹介)(第  二九九六号)  編物を正課として採用に関する請願綾部健太  郎君紹介)(第二九九七号)  同(井伊誠一紹介)(第二九九八号)  同(小泉純也君紹介)(第二九九九号)  同(笹山茂太郎紹介)(第三〇〇〇号)  同(篠田弘作紹介)(第三〇〇一号)  同(關谷勝利紹介)(第三〇〇二号)  同(辻寛一紹介)(第三〇〇三号)  同(内藤隆紹介)(第三〇〇四号)  同(永井勝次郎紹介)(第三〇〇五号)  同(羽田武嗣郎紹介)(第三〇〇六号)  同(原田憲紹介)(第三〇〇七号)  同(矢尾喜三郎紹介)(第三〇〇八号)  同(稲富稜人君紹介)(第三〇五一号)  同(纐纈彌三君紹介)(第三〇五二号)  同(砂田重民紹介)(第三〇五三号)  同(高橋禎一紹介)(第三〇五四号)  同(高見三郎紹介)(第三〇五五号)  同(綱島正興紹介)(第三〇五六号)  同(西岡武夫紹介)(第三〇五七号)  同(粟山秀紹介)(第三〇五八号)  同(山田彌一紹介)(第三〇五九号)  同(湯山勇紹介)(第三〇六〇号)  同(吉田賢一紹介)(第三〇六一号)  同(小川半次紹介)(第三〇八一号)  同(佐伯宗義紹介)(第三〇八二号)  同(灘尾弘吉紹介)(第三〇八三号)  同(南條徳男紹介)(第三〇八四号)  同(森田重次郎紹介)(第三〇八五号)  同(山花秀雄紹介)(第三〇八六号)  同(横山利秋紹介)(第三〇八七号)  同(荒舩清十郎紹介)(第三一三一号)  同(伊藤卯四郎紹介)(第三一三二号)  同(伊藤よし子紹介)(第三一三三号)  同(植木庚子郎君紹介)(第三一三四号)  同(小川平二紹介)(第三一三五号)  同(大久保武雄紹介)(第三一三六号)  同(大竹太郎紹介)(第三一三七号)  同(春日一幸紹介)(第三一三八号)  同(上林山榮吉君紹介)(第三一三九号)  同(神田博紹介)(第三一四〇号)  同(熊谷義雄紹介)(第三一四一号)  同(坂田道太紹介)(第三一四二号)  同(田中龍夫紹介)(第三一四三号)  同(田中六助紹介)(第三一四四号)  同(竹谷源太郎紹介)(第三一四五号)  同(谷川和穗紹介)(第三一四六号)  同(床次徳二紹介)(第三一四七号)  同(中島茂喜紹介)(第三一四八号)  同(中村高一君紹介)(第三一四九号)  同(西村榮一紹介)(第三一五〇号)  同(野田武夫紹介)(第三一五一号)  同(藤井勝志紹介)(第三一五二号)  同(藤枝泉介紹介)(第三一五三号)  同(藤尾正行紹介)(第三一五四号)  同(藤本孝雄紹介)(第三一五五号)  同(保科善四郎紹介)(第三一五六号)  同(増田甲子七君紹介)(第三一五七号)  同(三原朝雄紹介)(第三一五八号)  同(早稻田柳右エ門紹介)(第三一五九号)  なぎなた中学校以上の女子正課として採用  に関する請願外一件(大柴滋夫紹介)(第三  〇〇九号)  同外一件(田中榮一紹介)(第三〇一〇号)  同外四件(只松祐治紹介)(第三〇一一号)  同外十六件(原田憲紹介)(第三〇一二号)  同(森義視紹介)(第三〇一三号)  同外一件(田中榮一紹介)(第三〇六二号)  同(森義視紹介)(第三〇六三号)  同(有田喜一紹介)(第三〇七六号)  同外七件(岡崎英城紹介)(第三〇七七号)  同外一件(田中榮一紹介)(第三〇七八号)  同(八田貞義紹介)(第三〇七九号)  同(山口丈太郎紹介)(第三〇八〇号)  同外二件(赤城宗徳紹介)(第三一二九号)  同外一件(田中榮一紹介)(第三一三〇号)  戦傷病者子女育英資金等に関する請願(相  川勝六君紹介)(第三〇二八号)  同(加藤常太郎紹介)(第三〇二九号)  同(小金義照紹介)(第三一二八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国立劇場法案内閣提出第五七号)  文教行政基本施策に関する件(宗教及び大学  病院に関する問題)      ————◇—————
  2. 八田貞義

    八田委員長 これより会議を開きます。  文教行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。茜ケ久保重光君。
  3. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 私は、文部大臣に基本的な点についてお尋ねしたい点が若干あるのでございますが、現在参議院の本会議にいらっしゃるそうで、この点は最後にまたお尋ねしたいと思います。  宗教関係のことにつきまして、宗教法人法との関連において少し聞きたいのでありますが、戦後新憲法信教の自由が保障され、政教分離といったような形で今日まで国が宗教に対してあまり関与しないでまいったことは、まあまあそれなりにけっこうだと思います。しかし、それはそれとして、宗教宗教行事を行なったり、いろいろと問題点を内包しているのでございますが、今日、文部省宗教行事に対して基本的な立場としてはどういう立場をおとりになっておるか、この点についてひとつ主務局長である調査局長の御見解最初にお尋ねしたいと思います。
  4. 蒲生芳郎

    蒲生政府委員 宗教につきましては、ただいま先生おっしゃいますように、新憲法下におきましては、政教分離のたてまえから、宗教上の内容につきまして国あるいは地方公共団体が関与できないということは、お説のとおりでございます。しかしながら、その宗教団体が正常な宗教活動を行ないますために、この宗教法人法によりまして法律上の能力が与えられているわけでございますから、宗教法人側におきましてもその点をよく自覚されまして、国民の精神的なささえとなるように努力してもらうというたてまえから、そのように指導してまいりたい、かように考えております。
  5. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 戦後、既政宗教に対して新興宗教といったようなことばで表現される新しい宗教団体かなりたくさんできております。その内容是非は論ずることを控えますけれども、とにかく世間一般的に考えられているこの新興宗教というものが、かなり宗教的な内容とは異なった方向に進んでいる。その結果がかなり国民の精神的な生活に大きな影響を与えていることも世間周知のことであります。さらに最近では、宗教活動主体とすべき宗教団体が、政治的な傾向を非常に強く持っておる。むしろ政治活動主体であるような状態にきておるということも明白な事実であります。そのことの是非先ほど申しますように問いませんけれども、少なくとも宗教が、憲法信仰の自由を保障され、したがって、国が宗教法人に対してあまり関与しないということの裏面に、そういった宗教という、あるいは信仰という名前に隠れて異なった行為なりあるいは行動をなされている。そのために国民生活の根底にいろいろな問題を投げかけている。それが主観的なその人たち立場からいうと非常に熱狂的でありますから、自分自身たちは何かこうこつとしたような気持ちを持っておるけれども、一般的な社会生活道徳的な生活の上から見ると、かなり危険というか、かなり問題をはらんでいるというふうに思われる点があるのであります。現在の国の宗教に対する考え方と申しますか、取り扱いというものがかなり問題になるのでありますが、こういう点に対して文部省当局はどのような見解をお持ちでありますか、この際お尋ねしたいと思います。
  6. 蒲生芳郎

    蒲生政府委員 宗教法人あるいは宗教団体は、御承知のように宗教法人法の第二条におきまして定義しておりまして、「宗教の教義をひろめ、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主たる目的とする」、こういうふうにございます。したがいまして、この宗教法人法によります宗教団体というものは、いま申しましたような目的を持ってやっておるものでございますので、宗教活動以外の活動宗教法人としてやらないで、もしそういう必要が何かあるとすれば、別な法人なり組織においてやられるべきである、かように私ども考えております。
  7. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 私今度、必要に追われて宗教法人法というものを少し勉強さしていただいたのでありますが、宗教法人法を勉強してみて非常に奇異に感じた点は、現在の政治と申しますか、国と申しますか、政府当局信仰の自由ということばにとらわれ過ぎたと申しましょうか、あるいは宗教に対してあまりにも、端的なことばで言うと、さわらぬ神にたたりなしといったようなことでございましょうか、宗教法人法を見る限りにおいては、いかにも無責任ということばで表現できるような感じがする。と申しますのは、もちろん先ほど申しますように、信教の自由ということ、したがって、政教文離というたてまえから申しますと、あるいはやむを得ぬとおっしゃるかもしれませんけれども、それにしてもあまりにも無責任というか、宗教法人法はただ宗教法人というものをつくるための手続について明記してあるだけであって、その他何も触れていない。したがって、宗教法人法によってそれぞれのいわゆる既成宗教といわれる各宗派の中に宗務規則とかあるいは宗制といったものができておりますが、これをずっと宗教法人法と関連して見てみますと、いかにも無責任といった感じがするのでございます。具体的に後ほど例をあげて申しますけれども、後ほど触れる具体的な事実が出てくるということは、国が宗教に対してなるたけさわらない、むしろ責任を避けるというか、触れることを避けるような立場からくるのではないか、こう思うのであります。調査局長は、宗教法人法の施行の責任を負っていらっしゃるわけでございますが、あなたの立場から、現在の宗教法人法で今後の日本宗教行政と申しますか、宗教行政ということが不当ならば、宗教に対する国の責任というものをはたして負っていけるものかどうか、この点いかがなものか、お尋ねしたいと思います。
  8. 蒲生芳郎

    蒲生政府委員 最初先生もおっしゃいましたように、この宗教法人法のたてまえなり、また現在の憲法下におきます宗教行政のあり方というものが、基本的には信教の自由、政教分離という原則に立っております。したがって、いまおっしゃいますような、国がもっと積極的にその宗教行政を推し進めていく場合に、この宗教法人法でいいのかどうかという御質問だと思いますが、いま申しました大原則に立った場合に、宗教法人法を現在改正するとかいう考えはございません。ただ、先ほども申しましたように、やはり宗教法人なりあるいは宗教家が、自分立場なり使命を自覚されまして、そうして社会教化という面を十分考えて行動されるように、あらゆる機会を通じましてそのように国も指導をはかってまいりたい、かように考えます。
  9. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 私がいまここで具体的な例をあげますのは、かつて三十八年の三月に私の同志である山口鶴男君という代議士が当時文教委員会近藤宗務課長時代に質問したことがあるのでございますが、実は私の居住地である前橋曹洞宗龍海防というお寺がございます。これは曹洞宗でも地方ではかなりの名刹でありまして、特に群馬県内ではこれは一、二を言われるりっぱなお寺であるし、かつては、封建時代には旧藩主の菩提寺としてとにかく前橋市民群馬県民には宗教的な立場についてはかなり崇敬の厚いお寺でございます。このお寺が七年ほど前にその住職がなくなったのでございますが、不幸にしてその住職子供の中に男がいなくて、当時小さいお嬢さんだけでありまして、そこから問題が起こりまして、端的に言うと、あるお坊さんが乗り込んで、住職がなくなるときにいろいろなことをまくら元で誓って、必ずあなたのなくなったあとは残ったお嬢さんを成人させてりっぱなあと継ぎをつくってやるが、それまでは私があとを引き受けてということで、お寺をその某坊さんが引き受けた。それが宗教法人法によって生まれておる曹洞宗宗制によって、何か特命兼務住職という名前でその人があとを引き継いだ。これは現在前橋中心部に約一万坪の境内とりっぱな建物を持った、時価に直すと三、四億くらいの資産だそうでございます。そういうお寺を、いわゆる宗教法人法に従って生まれている宗制によって特命兼務住職ということで乗り込んできて、しかも残った奥さんとお嬢さんのことはほとんど路頭に迷うような状態に追い込んで、五年間お寺を独占と申しましょうか、お寺を占有した。自分はほとんどお寺に来ていないで、だれか代理の者を置いてやっている。これがいま言った宗教法人法によるその宗制を見ますと、これはちゃんとそれにのっとっておる、表から見ますと何も悪いことはないのです。したがって、裁判もずいぶんしましたが、裁判は全部その新しい坊さんが勝っている。ところが、実際は完全にお寺の乗っ取りである。しかも、私は龍海院のところへ行って調べてみますと——ここにそのお坊さん裁判のときに証言をした内容がある。これを見ますと、そういう方法で過去十幾つお寺を乗っ取るというかとって、いろいろな形で金を取って第三者に渡して、自分かなりのお金をふところにしている。これを読んでみますと、これは聞く人はだれでもが憤慨することでありますが、その時間もありませんからここで読みません。いわゆる表から見ると、宗教法人法とその宗則によっては何ら悪くはないけれども、実際の状態を調べると、もういわゆる世間の三百代言といわれるような人もなお避けて通るような、悪らつ非道な許すべからざる実態なんです。こういうことは私は許すべからざることだと思う。曹洞宗といえば、日本で再び出ないといわれるほどの道元禅師の流れをくむ宗教ですが、宗教の人を説くという立場から言うと、これは全く話にならぬ実態なんです。それが法人で通っている。もし必要ならばこの内容を一部読んでお聞かせしてもいい。こういうことは私はあってはならぬと思うのですが、具体的に実際あるのです。しかも宗務庁に私は何回も参りまして、宗務総長にお会いし、あるいは庶務部長という責任者にお会いしていろいろ話をしますと、全くそのとおりだ、けしからぬとおっしゃるが、具体的にはそれが何ら改められない。宗務総長も、これは悪いから何とかいたしましょうと約束されている。庶務部長に至っては具体的な話までして了承しておきながら、最後にはこれはひっくり返ってしまっている。このお坊さん供述書によりますと、恩金とかいう名前で金を取っておられるのです。龍海院の場合は金を取った事実はありませんが——ずっと前から読んでみますと、いわゆる金を取っている事実をみんなおっしゃっている。その中で必要経費として恩金という名前で受け取っておられる。ところが、龍海院の場合には、五年間兼務住職をされまして数百万以上の金を使っている、こうおっしゃっている。そのことは前からずっと十幾つの例を見ますと、使った必要経費はこれを奉金という形でもらっている。こういった事実を見ますと、これはもう明らかにお寺の横領であり、そのお寺を完全にかなりの金銭で後任者に売買をしている。しかも先の住職寺族——宗則では寺族という名前がついておるのですが、寺族はその反面何らの援助もされないで路頭に迷っている。第三者のいろいろな同情で今日まで生きてきておる、こういう実態なんだ。こういうことは許されていいのかどうか。私は、こういうことをさせる宗教法人に欠陥がある、宗教法人の無責任さがあると思うのでありますが、宗教に対して干渉はされぬまでも、宗務課という課があって宗教行政を担当される局長は、こういうことをいかがお考えか、その辺のことを伺いたい。
  10. 蒲生芳郎

    蒲生政府委員 先ほど読み上げましたように、宗教団体の定義でも、信者を教化育成することを目的とすると書いてございます。またこの規定がなくても、宗教家である人が、いわゆる世俗の悪い面をあらわすような、強調するような言動があってはならない。これは社会常識の問題であろうと思いますが、いまお述べになりましたような事情につきましては、私個人としましても、これは宗教家としてでなくて一般人としても、そういう事実があったとすればまことにいけないことと思います。  そこで特に宗教法人なり宗教家立場から考えますならば、宗教法人というものは何であるか、法律にはこれが定義されておりますが、宗教法人はあくまでもそのお寺と檀徒の一体的なものであると思いますので、いま申されましたような事情からしますと、やはりその方に宗教法人意識が欠けておるのではないか、意識が不足しておるのではないか、かように考えます。
  11. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 調査局長はそういうような御答弁をされてお済みになるかもしれませんが、実際宗教というものは、私は宗教内容をここで討論しようとは思いませんけれども、特に今日佐藤総理人間開発といったことをおっしゃって、大いに道徳教育の高揚とかいろいろなことをおっしゃっているわけなんです。そうした面で、私は宗教の負っている責任は非常に大きいと思うのであります。ここに天台宗の大先輩の落合先生もいらっしゃいますけれども、こういうりっぱな方は別として、現在既成宗教が何か葬儀屋の一翼をになっておるというぐあいにいわれておるのであります。私はそうではなかろうと思いますけれども、一般にいわれている。それはいわゆる宗教家と申しましょうか、具体的にはお寺を預かる住職が、いわゆる信仰という崇高な一つの事柄を中心に、社会道徳なりあるいは人間性についてりっぱな指導者としての立場を堅持することを忘れておると申しますか、あるいはそれから離れて、いわゆるただ単なる葬式を執行するという立場に落ちている。そういうことで、いまここに例をあげました龍海院を、かつては前橋市民あるいは群馬県民は心の一つのよりどころとしてまいりました。このりっぱな宗教殿堂龍海院が、いま申しますように、世俗的に考えましてもいわゆる非人道的な、許すべからざる伏魔殿のようになってまいりますと、これは信者はもちろん、前橋市民といえどもそっぽを向く。いままで長い間、たとえば、大事な宗教行事なりあるいはいろいろな市民の重要な行事はすべてその寺で行なわれた。それが、今日ほとんど市民も寄りつかぬし、あるいはそういった行事も全部他へ移っている。こうなりますと、ただ単にお寺の乗っ取り問題から離れて、前橋市民ないし群馬県民に対する心の問題をかなり歪曲してきている重大なことだと私は思うのであります。いわゆる寺族云々を離れても、これは容易ならぬことだと思う。したがって、私がお尋ねしたのも、ただ単にそういう意味じゃなくて、もっとこういうことが起こる根源を国は、政府当局考えて、ただ単に宗教法人法の条文に照してどうということでなくて、なぜそういう問題が起こり、しかもそれを放置されておるか。しかも法的には何ら罰せられない。この坊さんはよく勉強しております。宗教上のことはわかりませんが、少なくとも宗教法人法に立ち、宗則に立ってこういうことは全部検討している。まさにこれは弁護士も顔負けの勉強をしている。したがって、  一般のお坊さんなり寺族はそういうことに非常に暗いのです。それをいいことにしてこの人はあらゆる寺に乗り込んでそういうことをされている。私の言っているのは、宗教法人法がありながら、かえってその宗教法人法があるためにこれが起こっているとしか思えない。先ほど調査局長は、いまは宗教法人法を変える意思はないとおっしゃったけれども、私はむしろ宗教法人法があるためにこれは起こっている問題だと思う。そういうところから検討していきませんとまたこのことは起こります。私がタッチしたのは、龍海院に関連して曹洞宗の一部でありますが、この曹洞宗のほかの地域にも、ほかの宗派にもあるかもわかりません。表に出ないが、一番とうとい存在であり、一番りっぱな存在であるべき宗教団体であるお寺中心に、最も悪らつな最も非人道的なことが存在しておる。こういう面が出ておるわけです。したがって、こういうことは、いま局長一般人間社会でもあってはならぬとおっしゃったけれども、それが現にあるじゃないですか。これは法的に何とかなくさなければいかぬ。なくなすためには何らかの処置が要る。そういう意味で宗教法人法に大きな欠陥があり、無責任さがあるために起こるのではないか。したがって、この辺で宗教法人法を再検討して、こういうことがないように、もっと積極的に宗教活動が、いわゆるその宗−教本来の立場でなされるべきものではないか、こう思うのですが。
  12. 蒲生芳郎

    蒲生政府委員 宗教法人法は、再三申し上げますように、信仰の自由あるいは政教分離という大原則の上に立ったものでございまして、したがって、そういう面で宗教法人法の意味があるわけでございますが、いまの先生のお説では、悪徳ということばがございましたが、宗教家としてのそういう行動が是なりや非なりやということは、あくまでも宗教家としての姿勢あるいは心がまえの問題であろうと思います。またこれを大きく言えば、各宗各派が、それぞれ自分宗派に属します宗教家が、そういう言動、行動があっていいかどうかということを高い立場から批判されまして、そうしてそれぞれの宗教宗派におきましてそうした面の是正をはかり、さらに進んで、たとえば社会教育活動を展開して、そうして教化活動に積極的に取り組んでいく、またそれぞれの僧侶などの教化にも当たるということが問題であろう、かように考えます。
  13. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 文部大臣最初にお聞きしたかったのですが、ちょうどいらっしゃらなかったものですから、調査局長にお尋ねしたのでございますが、実は宗教法人法に関連して、私どもの住まっております前橋市に龍海院という曹洞宗お寺があるわけでございますが、非常にりっぱなお寺でございまして、前橋市民はもちろん群馬県民宗教的な一つの心のよりどころとしておるかなりりっぱなお寺でございます。そこのお寺住職が不幸にも七年前になくなられまして、あとに男の子がいないために、端的に申しますと、曹洞宗の中でもかなり悪らつな行為をもって鳴るお坊さんが乗り込んで、宗教法人法から見ましても、宗制の上から見ましても何ら手続上はあやまちがないまことにりっぱな手続でもって、具体的にいうとそのお寺を乗っ取ったという形。そうして残された寺族路頭に迷うようなことに追い込まれて、今日まで非常に長い間裁判その他でいろいろ争ってきた。ところが、いま言ったように宗教法人上も宗制上も何ら手続上は不備がないから、裁判はことごとくその悪らつ非道なことをしたお坊さんが勝っておるわけです。とうとう特命管理住職の任期の五年が終わりまして、実は宗務庁も五年後には責任を持っていわゆる寺族である前の住職のほうにお寺を返すという約束をしながら、ついには今日全然関係のない住職が新たに任命されているわけなんです。一応表面的には問題は解決した形でございますけれども、依然として問題は残っておる。そこで私が今度宗教法人法なり宗則なりをいろいろ調べてみますと、先ほど局長には申し上げたのですが、宗教法人法政教分離という憲法のたてまえから信教の自由を保障するという点においてはまことにけっこうでございますけれども、宗教法人が具体的ないろいろな問題を起こすような不備なりあるいは欠陥がかなりある。したがって、いま申し上げたのですが、今度の問題などは宗教法人法があるために起こった問題と言っても過言じゃないと思うのでございます。時間もございませんからいろいろと申し上げませんが、現在の宗教法人法にはいま言ったように欠陥と不備と、しかも無責任状態があるために、今日宗教界が混乱をし、内面にはそういうまことに人道上許すべからざる問題がたくさんある。しかも、その反面そういう寺族等は泣くにも泣けずにいる。ここには宗教法人法のそういった問題があるんじゃないかということで、ずっといま質問してきたのでございますが、文部大臣は自民党の中の精神的な私ども尊敬する大臣でございますので、やはり先ほど調査局長も答弁なさったのですが、一般的な点から見ても非常にひどい、それが信仰中心とした宗教という世界にあり、しかも曹洞宗道元禅師の教えを引き継ぐお坊さんが実は世間の三百代言的な人たちですらなお避けて通るような具体的な事実を次々に起こしておる。ここにありますが、その龍海院だけではないのです。そういう手口で十数回お寺を乗っ取り、これを売買して、かなり金もうけをしているということなんです。そういう点で私は大臣にいろいろお聞きをしたかったのですが、そういう観点から、先ほども言ったように、宗教法人法に対してかなり問題点があるのではないか。この辺で宗教法人法を検討して、ひとつ思い切った改正をする時期に来ているのではないか、こういうように思うのでありますが、大臣の御所見を承りたい。
  14. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 御承知のとおり、宗教法人は、できるだけ良識によって運営されるものと期待しておるわけです。したがって、制度上は政教分離で、国または公共団体は宗教法人の運営について干渉しないというたてまえをとっておるわけでございます。  実は御指摘の点は、私も前にそういう経験がございまして、私の知った重要な寺で類似の紛争が起こったことがございます。こういう場合には、やはり宗派か、あるいは土地の人か、だれかのあっせん役がないと、うまくいかないのじゃないかと思うのですが、私の経験した場合には、私が仲裁に入りまして、そしてむすこさんがまだ十分の資格がなかったものですから、その資格にふさわしいほかの寺を与え、また遺族手当等も宗派で出しまして、円満に解決して、後任者の晋山式を行なったわけでありますが、そういうような事態は、人間の世の中ですから、まれには起こり得るわけです。  もう一つ、起こる要素としては、宗派の本山として、あるいは宗務所としては、学識などを非常に重んずる。学識は非常に高いりっぱな学者だけれども、どうも人格的に一般の人になじまないような性格の人なんかもありますから、そういう人を宗派としては、あの人はりっぱな学者だからといって、りっぱな寺の住職に任命したら、やはり人柄的にそぐわないというような場合も起こり得るようだし、まれにはあるのですが、それはやはり宗派なり有力な人なり、だれかがあっせんをして、妥当な解決をしていただくことが望ましいので、私どもいまの宗教法人等について改善の意思はないかという御質問のようでございましたけれども、いまの政教分離のたてまえというものは、これは一つの大きな憲法上の柱でもあると思いますから、やはり運用でまれに起こる問題は解決していく努力が社会的に必要ではないか。したがって、せっかくのお尋ねでございますが、実はここで法改正まで私ども考えておらないわけで、その点せっかくの御質疑の趣旨に沿わないお答えでございますが、現在さように考えておりますので、考えておりますとおり、お答え申し上げます。
  15. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 あとの質問がありますから、終わりますが、最後に、これは曹洞宗の内部のあれでありますけれども、宗教法人法と関連して、現在の既成宗教に対する問題点かなり含んでおりますので、できるならば次の機会に、ひとつ曹洞宗の管長、宗務総長、こういった責任者に参考人としておいで願って、ぜひ御意見を聞きたい、こういう期待をしておるわけであります。  委員長にお願いしたいのでありますが、あとで開かれる理事会等で御相談願って、できるならばひとつ近い将来にこの問題について——これはただ単に龍海院というのじゃなくて、宗教法人法に関連した問題について、いろいろなそういう責任者の御意見を聞くという立場で、管長、宗務総長等の参考人としての御召喚をお願いしたい、こう思っております。  このことをお願いして、質問を終わります。
  16. 落合寛茂

    落合委員 実は私はお寺の和尚で、議員になる前は、私の所属しております天台宗の庶務部長をやり、こういう問題に直接関与してきたものの一人でございます。議員に出ましてからも、各宗からこういう問題につきまして国としてのいろいろな方法を聞いてくれというような意見がたくさんありまして、実はそういう考えを持っておりましたところが、きょう坊さんでない茜ケ久保大僧正からあべこべに話が出まして、宗団に属するものとしましてまことにじくじたるものがあるのでありますが、これは要するによって来たるところがありまして、マッカーサーが占領政策の一つとして御承知の治安維持法、宗教法人法を撤廃をいたしまして、自由ということばにからめまして、宗教は自由でなければいけないという。原理はそうでありますが、かえって今日ではその自由が不自由をもたらしておるような状態なのであります。  私、ここでお伺いをしたいのは、国としてもう少しその点を考慮していただいて、これはただいまの茜ケ久保さんの話にありました住職問題が一番の頂点になるのでありますが、宗制のほうも各宗共通した宗制でありまして、これは住職にする場合に、代表役員一人、責任役員二人ないし三人を檀徒総代及び檀徒、信徒が推選をするという形をとっております。でありますから、これが正規にうまく運用されればいろいろ住職問題は起きないわけでありますが、そこに欠点が一つあるのであります。こういう方面は、私は、文部省のほうの宗務課としてもう少し宗派に容喙をしても決してその自由を束縛する問題というものは起きないと思うのであります。でありますから、住職選任法の各宗のいろいろな方法というものは、宗教当局に提出されておるわけでありますので、そうい、う方法におきましてこの問題はよほど是正されるだろうと私は考えるのでありまして、これは長年私が実際にやってまいりました宗務上から考えまして、その問題が一番根底になり、それがこの問題の解決策の非常に大きなものになると思うのであります。ひとつ当局におきまして、住職の選任法にもう少し留意をされていただきたい、こういうことを私提案いたしたいのであります。  それからもう一つは、自由、自由ということを標榜されまして、私、昨年この委員会でもそれをちょっと申し上げたのでありますが、政教分離ということに名をかりて、国は何かやっかい払いをしたようなふうに考えているように思われてならない節があるのです。たとえば、ただいま全国でたいへんな囚人が監獄に収容されておりまして、私も教戒師でありますが、教戒師として毎週そこへお説教その他で出向くのですが、国からはそういう費用はほとんど出ないのであります。非常に冷酷なのでありまして、政府に三年間運動して、やっと全国千人以上の教戒師に対して百万円ほどの補助金を出さして、それも、出す方法によりましては法律に抵触するというので、講習会費というような名前で出しておるようなことであります。こういう点もやはり私はこの際ひとつお考えくださることをつけ加えて申し上げまして私の関連質問を終わることにいたしますが、文部大臣、こういう問題に対して何かお考えがありましたら伺っておきたいと思うのであります。
  17. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 きょうこの委員会に出ましたようなことにつきましては、確かに宗教法人関係の問題点であると思いますから、文部省の所管としましては宗教法人審議会というのがございますので、この審議会等にもしかるべき機会に、こういう問題もあるようでいかに今後対処すべきかというようなことについてはひとつ御意見を伺い、審議の資料にいたしたい、こう思っております。そういう宗教法人審議会がありますから、この審議会でそれらの問題も資料として御審議を願って、その結果先ほど来のお話のような線が審議会でも多く出るか、あるいは審議会の結論としてはあくまで政教分離の精神は貫くべきで、したがってもしまれに紛争が、人間の社会ですから幾ら宗教家でありましても、起こるとすれば、それをさばくのには宗派内で何かの協議会をつくるとか、あるいは紛争が起きた場合のあっせん委員会のようなものをつくって、自主的に解決しろということになりますか、まあせっかくいろいろ御意見もございましたので、今後宗教審議会を開いた際にそういうことも御報告申し上げて、今後の審議の対象にしていただきたい、こう思っております。
  18. 八田貞義

    八田委員長 横路節雄君。
  19. 横路節雄

    ○横路委員 私は文部大臣と厚生大臣にお尋ねをいたしますが、それは今回起きました千葉医大の付属病院の問題です。初め文部大臣にずっとお尋ねをしてから厚生大臣にと思いましたが、厚生大臣は午後一時から他の委員会にお出になるそうですから、最初文部大臣にお尋ねをして、それから厚生大臣の分だけ先にしたいと思います。  文部大臣にお尋ねしたいのは、今回千葉医大の付属病院でああいう事件が起きたわけですが、そのよって来たるところの原因はどこにあるとお考えになるか、私は、ただ鈴木某という医師のいわゆる個人の一つの性癖だとか、そういうものではない、これは医学界全体の問題だと思う。私は大臣からその見解を聞いて、そこで一つずつそれについて私の意見を申し上げたいと思っております。  この問題はやはり国会において十分論議をしなければならぬと思っておりますので、まず最初に、文部大臣はそのよって来たる原因がどこにあるとお考えになるか、お伺いします。
  20. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 千葉医大に関係のある鈴木局員の今度の事件は、われわれまことに遺憾しごくに存じておるところでございます。  そこで、よって来たる要素は何か、どう思うかという御質疑でございましたが、私ども文部省としましては、大学付属病院等は大体医師という相当学識のある人たちによって運営されておるわけでございますから、従来そのあり方等について若干問題点もございましたが、信頼をしておったわけでございます。しかしこれからいろいろ御議論が出ると思いますが、無給医局員の問題とか、病院のあり方とか、こういうことについては検討すべき点があると思います。同時に、ああした研究のための人体実験のようなことはあり得べからざることで、医師の良識としては考えられないことでございますが、さような事態が起こりましたわけで、私どもいろいろな点から非常に遺憾に思っております。  もう一つは、こういうような事態があったのに対してなぜもっと早期発見ができなかったか、こういう点については、われわれも大学教育という点を通して文部省としては所管をいたしておりますので、十分に今後のあり方等について検討をいたしたい、こう思っております。  なお、これからひとつ御質疑に応じて私どもの考え方等も申し述べることにいたしたいと思います。
  21. 横路節雄

    ○横路委員 文部大臣のいまのお考えについては、私のほうからあと一つずつお尋ねをし、私の意見を述べたいと思いますが、厚生大臣のほうがお急ぎのようですから、これはやはり全般のいわゆる医療行政といいますか、そういう点からいって厚生省としても責任があるわけでございまして、そういう意味で、厚生大臣としては今回の千葉医大の付属病院の事件のよって起きてきたその原因をどういうふうにお考えになっておるか、その点についてひとつお考えをお述べいただきたい。
  22. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 国民の健康と生命を守る重要な職責にあります医師が、あのようなわれわれが想像もつかないような事件を起こしまして、医師に対する一般国民の信頼感を大きく失わした、動揺さしたという今回の事件は、私どもも非常にこのことを重大視し、またこの事件の中からいろいろの反省すべき問題点を実は検討いたしておるのでございます。  まず第一の問題といたしまして、無給医局員という存在、その制度と申しますか、このことにつきまして根本的な検討を加える必要があるのではないか。現在全国に八千人ほど無給医局員がおり、そのうち四千人は常時教授等の指導のもとに一切の診療行為にも従事をし、かたわら研究をしておる。他の半数の者は随時研究の必要等から外部から通って、そして教室の主任教授等の指導を受けながら研究をしておる、こういう実態のようでございます。したがいまして、この無給医局員に対するところの大学あるいは教授の指導監督またその掌握という面において十分ではない。つまり人事の管理体制が確立をしていないという点が一つあると思います。  また、これらの無給医局員は、無給ということでございますので、生活なり研究のためにアルバイトとして各病院に出向して、そして、そこから何がしかの収入を得ながら研究をしておる、こういうような形にあるわけでありまして、したがって、これらの医局員につきまして、受け入れ側の病院等におきましても、十分な指導監督、あるいは人事面の管理把握ということが不徹底である、十分いかない。また、その人間的な面についても十分研究がいっていない、よく知っていない、こういう問題もあろうか、こう私は思うわけでございます。  またその次の問題は、学位等を得るために、そこに非常に無理な研究、研修というものがあるのではないか。功をあせるといいますか、そういう面も一つの問題ではなかろうか。また医師としてのモラルの点におきましても、やはり国民の生命を守る重要な職責にあるのでありますから、今後これらの医局員あるいはインターン生等の養成にあたりましては、大学だけでなしに、医学界全体の先輩が、りっぱな後輩の医師を育成をするという立場で、人間的にもこれを養成していく必要があるのではないか。こういう人間関係におきましても、現在の無給医局員というようなあり方は非常な欠陥がそこにあるのではないか。また、その他いろいろ病院等におきます伝染病の菌だとか、そういうものの取り扱い、そういう管理体制というようなものもルーズであり、あるいは綱紀の面においても欠くるところがあったのではなかろうか。  さらにまた、われわれの問題といたしましては、医師の国家試験、免許にあたって検討を要する点があるのではないか。こういう諸般の問題につきまして、私は今回の事件を通じまして大いに反省をし、検討を要する点があるように思うのでございます。私といたしましても、この事件の最終的な決定を見ながら、いまの問題に対する厚生省としての対策を十分検討をいたしたいと考えておるのであります。
  23. 横路節雄

    ○横路委員 それでは、最初に厚生大臣にお尋ねします。  私は、今回の事件のよってきた原因は、一つは医学教育そのものの欠陥だと思う。これは医学教育ばかりでなしに、しいていえば、あと文部大臣にお尋ねしなければならぬけれども、今日のいわゆる大学教育の欠陥ともいうべきものかもしれません。特に医学教育の欠陥である。  第二番目には、いま厚生大臣が言われたように、特に医学界においては学位の偏重というものから一この点はあと文部大臣といろいろ議論をしてみたいと思う。学位をとらなければとにかく生活ができないというわけではないのだろうけれども、そのために、医学界くらい封建性の強いものはない。医学界くらい徒弟制度のものはないのです。これはもうどの学界よりもはっきりしています。これは何に結びついているかといえば、全部学位論文に結びついている。そうして国立大学の付属病院から各病院は全部全国で系列化されている。東大ならばどこ、千葉医大ならばどこ、京都大学ならばどこ、阪大ならばどこ、全部全国の病院は系列化している。この問題があるわけです。これは、初めに非常に期待をして若い青年学徒が医学の勉強をしようと思って入って、何年かたつうちにこの封建的な医学界の徒弟制度にいや気がさす。だから入ったときは秀才だ、出るときは鈍才だ、こうなってしまう。  第三番目は、いま厚生大臣から言われたようにインターン制度の問題それから無給医局員の制度の問題があると私は思います。もっとたくさんあると思いますが、厚生大臣がお急ぎのようですから、私は先に厚生大臣にお尋ねしていきたいと思いますが、それは、ほんとうは両大臣御一諸で私はお尋ねをしたほうがいいのですけれども、順序が厚生大臣になりましたから、私は厚生大臣にお尋ねしたい。  いまあなたは医師の免許のことを言われた。私は医師の免許で全くおかしいと思う点があります。それは、医学部は教養学部二年やるか、医進の教養コースを二年やって学部を四年やる。ですから通算六年やる。そこでやはり教授の個人的な指導を受けているわけです。やはりその人の人格にも触れているわけです。ところが、そこで国家試験をやって医師の免許状を与えればいいものを、卒業し、そこでいわゆるインターン制度というものがある。インターン制度で文部省が指定している指定病院が全国で二百六十あるわけです。それからそういろ国立大学の付属病院もある。そこで、きのうお聞きしたのですが、まずことしは四百五十名ほどその指定病院へ行っているそうです。ところが、この諸君は医師の免許状を持っていないのですね。御承知のようにお金は一円も渡っていないのだから、何をやっているかというと、医師の免許状を持っていないのに医師をやっている。診断をやり治療をやっている。これは明らかに医師法違反なんだ。医師法違反のことを厚生省は平気で許可をしている。黙認をしている。こんなばかげたことがありますか。いまあなたはまず医師のモラルという問題をおっしゃったけれども、まずそこの出発に問題がある。いまどんなことだって、たとえば酒の小売り店で許可がないのに売っていたら処罰する。学校先生が免許状がないのに授業していたら、何だと言って取り締まる。ところが、インターンは白衣を着ているもんですから、一般の人はあれを先生だと思っている。医者だと思っているから、そうしてみんなつらいからそういうのが夜当直する、当直は何割増しか、こうなる。これはインターン制度が始まってからいまの医師は全部やっている。明らかに医師法違反なんです。そこでアルバイトをして一生懸命かせいでいる。だからせっかく六年間、教養で二年、医進コースに二年、学部で四年やって、教授の指導のもとにやってきたのが、このインターンの一年で、各病院のどこでそういう学校と同じように教授がぴちっと本来の姿で教育指導ができますか。ここに私は問題があると思うのです。  きょうは鈴木さん、私はあなたに最初無給医局の問題——鈴木という医師は無給医局員です。これは全国的な問題だから、ほんとうはこれから聞こうと思ったが、あなたが先に帰るというから逆になってしまったが、インターンの問題を聞きます。もともと医師になる出発のときに、アルバイトをやり、何をし、そして働きながら、せっかく六年間の学校で積み上げてきたそういう医学教育というものが、そこで何をやっているか。技術なんです。職人になることなんです。鈴木さん、インターン制度というものを根本的に直さなければならない。だから大学を出たとたんに国家試験をやる。きっちりそういうたてまえをとってやはり大学責任を持たす。そうして一人の教授が指導すべき個人指導の学生の人数は限られている。そこで徹底的に個人の指導をやる。医師の免許状を与える。きのう私は厚生省の人に聞いたが、医師の免許状を与えてもまだ不安だと言うのです。それならば、私は開業したいという者に、君はおれのもとでもう少し修業しなさい、おまえは開業してもいい、こういうように、やはり四年間一緒に触れ合った大学の医学部の教授が、四年間はだとはだで触れ合って、学生本人の力、本人の性質、人柄、そういう上に立って判断する。それは大学の自主性にまかせてやるべきなんだ。ここに問題がある。まず無給医局員になる出発点のここから問題が一つある。鈴木さん、きょうはあなたは何時までいていただけるのかわかりませんが、ひとつこの点ははっきりしてもらいたい。私はある程度の数字を持ってきていますからね。厚生省ではいやな数字だけれども数字を持ってきている。これは鈴木さん基本になる問題だ。インターン制度はそこが出発点です。そういうものは総合病院にまかせればいいというものではないですよ。病院に行って並んで待っているけれども、とにかくわずか五分か十分で消化しなければできないようないまの総合病院なんだから、何で指導ができるか。やはり学校にまかせて、卒業をしたときに国家試験をやる。だめなやつには与えないで、翌年またやるというように、きびしくするならきびしくするという態度で、教育本来の姿に返すべきだと思う。その点どうですか。
  24. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 インターン制の問題につきましては、横路さんが御指摘になりましたような欠陥、弊害等も私ども承知をいたしておるわけであります。本来は医学的、学術的な勉強をいたしまして、それにさらに教授なり適切な指導者のもとに臨床上の実地の修練をする指導を受ける、こういうたてまえでございますから、単独で診療行為等をやるということは、医師法に照らして御指摘のとおりこれは私は問題があると思うわけでございます。本来はその教授なり先生なりの実際の診療あるいは治療というものを手をとって指導を受けながら実地修練をする、こういうたてまえであるのでありますが、横路さんの先ほど指摘をせられましたように、そこにいろいろな考えさせられる問題が起こっております。弊害がある。私は率直にそれを認めるのでございます。  そこで、ただいま厚生省といたしましてはインターン制に対する根本的な検討を進めておりまして、できるだけ早い機会に成案を得て、できればこの国会に提案をし、御審議をお願いいたしたいと考えておるのでありますが、それはやはり六年の大学の医学教育を受けて、卒業いたしますと同時に国家試験をやりまして、医師の免許を適格者には与える。しかる後に実地研修がやはり必要でございますから、これを義務制として、資格を得た上で一年間は義務的に実地修練をやる、こういうたてまえにいたしたい。  そこで、そういう医師の免許を得ましたところの者は、義務的にせよ診療行為、実地の仕事にも触れるわけでございますから、このインターン生に対しまして所要の処遇を考えなければならない、このように考えておるのでありまして、昭和四十二年度の予算編成にあたりましては、そういう点につきましても十分考えまして予算措置をとりたい、このように考えておるのであります。  また各国におきまして実地修練のインターン制というのは、欧米先進国におきましてもこれを採用をいたしております。その期間を入れまして七ヵ年、これは国によりまして一年、二年の差はございますけれども、おおむね六カ年の学術的な勉学と一年の実地修練をやりますれば、これは国際的な水準に近い医師の養成ができるのではないか、こう考えております。  インターン制に対しましては、ただいま申し上げたような方向で鋭意検討を急いでおり、できればこの国会に所要の法律案を提案をいたしたいと考えております。
  25. 横路節雄

    ○横路委員 いまの厚生大臣の御答弁でだいぶはっきりしてきたわけですが、そうするとインターン制度は廃止するわけですね。その点をまずきちっとしておいてもらいたい。いままでは大学六年を出て、インターンを一年やって、国家試験をやって医師の免許を与えた。今度はそうではなくて、とにかく大学を出た年に国家試験をやって医師の免許を与えるのだから、そうするとインターン制度は廃止ですね。その点をひとつ基本的にしっかりしてください。
  26. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 先ほど申し上げましたように、国家試験をやりまして医師の免許を与えます。与えますが、与えましたあとにおきまして、一カ年間は実地研修をさせる必要がある。これは各国の例を見ましても、やはり権威のある教授なり先生なりのもとに実地の研修をやって、そして自信を持って実際の診療行為に当たってもらうことが適当である、こう考えておりますので、医師の免許を受ける条件としてのインターン制でなしに、医師の資格を得た後におきまして、義務的に一カ年間実地研修をするようにしたい、こういう考えでございます。
  27. 横路節雄

    ○横路委員 ですから私の聞いているのは、いままでのインターン制度というのは廃止ですね。その点ちゃんと言ってもらわないと、いままではインターンを一年やって初めて国家試験で医師の免許状を与えたのを、今度は卒業と同時に医師の免許状を与えるんだから、従来のインターン制度というものはなくなるんですね。その点をはっきりしてもらいたい。
  28. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 横路さんのおっしゃる意味における従来のインターン制というものはなくなります。
  29. 横路節雄

    ○横路委員 そこで厚生大臣、公害特別委員会のほうの時間までもうちょっとありますから、たいへん恐縮ですが、お尋ねをしたいのですが、そうすると、義務制にするというのは各大学の自主性にまかせるんですね。一番よく知っているのは各大学の教授なんですよ、四年間やっているわけですから。おまえはここですよ、おまえは大学の付属病院ですよ、おまえはどこへ行きなさいよ、こういうのか、それとも義務制というのは、また厚生省で指定して、おまえはここだ、おまえはあそこだ、この点がだいぶ違うんですよ。いま大臣から、いわゆる所要の待遇をするというんですから、大学を出て国家試験を通ったんですから、国家公務員である医師になったわけだから、その一年間というものは、いい、悪いは別にして、所要の待遇をするというんですから、当然同じ俸給が出る。これはあと聞きます。ところで厚生省が指定する病院に行くのか、それは大学の自主性にまかすというのか、ここがなかなか問題なんです。それはどうなっておるんですか。
  30. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 それは大学の自主性、また本人の希望、こういうものを尊重するたてまえでございまして、この実地研修を受けるところ、そのつきます先生、それまで厚生省のほうで指定して、特定のところを命じてやらせる、そういうような考えは持っておりません。大学の自主性、本人の希望、こういうものを尊重してやってまいる、ただし一カ年間は実地研修はぜひおやりなさい、これだけは義務づける方針でいきたいと思います。
  31. 横路節雄

    ○横路委員 大臣、これはよもや仮免許ではないんでしょうね。この点が非常に、何か自動車の仮免許のように——よく町を歩いていると、仮免許で教師の人がそばへ乗ってやっておる。これは仮免許ということになるとどうなるかというと、それは指導助言その他はいいんですよ。しかし仮免許となると非常に制限されるわけですね。だから、それは国家試験を通ったんだから、あくまでも指導してもらう、助言をしてもらう、こういう立場ですね。この点はどうなんですか。
  32. 若松栄一

    ○若松政府委員 大臣の答弁にありましたように、大学を卒業すると同時に医師の国家試験を行ないまして、医師の免許を与える。ただし一年間の修練を義務づける。しかし、その義務づけられた修練というものは大学病院及び厚生大臣の指定した病院に限定する。それ以外の病院あるいは診療所で医療行為を行なうことを禁止するというたてまえでございまして、その意味では、仮免許ということばかどうかはわかりませんが、少なくとも医療行為を行なう場所の制限だけは加えるという趣旨でございます。
  33. 横路節雄

    ○横路委員 場所の制限をするというところが問題なんです。いま私が聞いたのは、大学の自主性にまかせるのですかということですが、大学の自主性にまかせますということと、それから、いやそうではない、初めからこれは大学の付属病院と厚生省が指定する病院、これはだれがきめたかというと厚生省がきめたことで、大学が自主的にきめるということとは違うのです。厚生省の役人の方はそこがやはり多くの人々から反発を受けるわけです。厚生省は、そういうように厚生省の指定する病院でなしに、あくまでもそれは大学の自主性にまかしたらいい。鈴木さん、そう言ったんじゃなかったの。何だか局長がうしろで妙なことを言うから……。
  34. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 その点は決して矛盾いたしてはおりません。そういう実地研修を義務的にやってもらうのでございますから、これを指導する先生にいたしましても、病院としての実地研修を十分できるような設備その他の完備したところということは当然でございますから、これは文部省大学等とも十分相談をし、実地研修生を預かって指導するにふさわしい大学付属病院なり国立の病院なり、そういうものを、文部省や権威のある方々の御意見を十分聞いて、あらかじめ選定をする。その中でどこを希望するかという問題につきましては、これは大学や本人の希望等を尊重してやってまいるということでありまして、本人の意思や大学考え方に反して、ここへ行け、あそこへ行けというような、そういうことは考えておりません。そういう趣旨でございます。
  35. 横路節雄

    ○横路委員 その点は、いま大臣の言うのと局長の言うのとではちょっと違うのです。いわゆる住所を制限するというのは、もしもこの法律が国会にかかってきたときは、やはりこれが国会の大きな論議の点になる。医師として免許をもらう。それは仮免許じゃない、国家試験を通った医師の免許状をもらう。ですから、それに対して、私が一番最初言ったように、全くこれは大学の自主性にまかすんだ、おまえはこういうところでやりなさい、おまえはこういうところでやりなさい、こういう指導は四年間見ていた大学が自主的にやるべきものです。それをいま局長は、いやそうではない、厚生省が指定する病院となると、それ以外にだめなんだ、こうなると、やはり一つは住所の制限ということになる。そういうことが一体憲法上のたてまえとしてできるかどうかということが一つ問題になる。医師の免許状をもらったんだ、それに制限を付すということになると、やはり仮免許ということになってくる。これは、いま厚生大臣がお話しされている点と局長がお話しされている点とは、だいぶそこら辺で感じが違う。この点は、いつお出しになるのかわかりませんが、国会で大きな議論になる。  そこで厚生大臣にお尋ねしますが、これは局長でいいですが、いま、大学を出て一年インターンやって、国家試験を通って医師の免許状をもらったその者が、たとえば厚生省につとめると初任給は幾らもらうの。
  36. 若松栄一

    ○若松政府委員 給与のことは正確には存じておりませんが、厚生省の病院につとめますと初任給が大体二万八千円程度でございます。
  37. 横路節雄

    ○横路委員 それから普通大学でも、大学の医学部を出て今度は無給医局員ということになるわけだから、残って助手になった場合には幾らですか。
  38. 杉江清

    ○杉江政府委員 正確なところをいま調べておりますが、おおよそ二万数千円だと思います。いまちょっと調べます。
  39. 横路節雄

    ○横路委員 それでは厚生大臣、いまあなたのほうで、いままでの制度でインターンをやって国家試験を通って厚生省に入れば二万八千円もらえるのだから、そうすると当然この国会にお出しになるときは、所要の待遇というのは二万八千円を下ることはありませんね。これは大事なことですよ。
  40. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 この点は新しい制度を確立する問題でもありますし、また実際問題として財政当局その他との折衝の問題もございます。ここでまだ法案も提出していない段階でもございますし、また予算の具体的な折衝等もいたしておりませんので、申し上げる段階にはございませんが、横路さんにもう一つ申し上げておきたいのは、インターンの実地に研修を受ける人々に対する手当のほかに、今度は実地研修をさせる受け入れ病院あるいは受け入れ機関等に対して、その実地研修のための指導費とかあるいは器具、器材とか医療機械とかいろいろな問題もあるわけであります。そういう面に対しましても今年は総額で一億円予算を計上いたしておりまして、実地研修にあたって必要ないろいろな医療機械、器材あるいはその他の諸経費というものに充当することにいたしておりますが、そういう面もあるわけでございます。でありますから、医師の国家試験はパスをして、医師ではございますけれども一面一年間は義務的に実地修練をする、研修をする、教えられる立場にもあるわけでありますから、そういう点等も十分考えながら、そこに適正な手当、給与がなされるように大蔵当局等と折衝をいたしたい、かように考えております。
  41. 横路節雄

    ○横路委員 厚生大臣、ことしの三月に全国の医学部を卒業したのは三千八十四人いるわけです。きのう厚生省の方にお尋ねをしましたら、厚生省の指定病院にインターン生として届けた者は四百五十人ですね。あとの二千六百三十何人というのは、これは大学の付属病院から一人もインターン生としてやっていますという届け出がないでしょう、局長どうですか、ないでしょう、これは。大学からどれだけあるの。
  42. 若松栄一

    ○若松政府委員 まだごくわずかしか大学からは出ておりません。
  43. 横路節雄

    ○横路委員 厚生大臣、まだ出ていないのではないのです。絶対に出てこないのです。あなたのほうは、ことし三千八十四人のうち指定病院に四百五十人行った。だから大学には二千六百三十四人残っているはずだが、そこから一人も上がってこない。だからその医学部を卒業した学生は、インターン廃止、絶対にインターン生にはならぬ、だから付属病院長から一人も届け出がない、これが実態なんですよ。まだないのじゃないのです。そうすると、来年の国家試験は、この四百五十人だけが受ける資格がありますね。あとの二千六百三十四人についてはございませんね。
  44. 若松栄一

    ○若松政府委員 届け出をするということはインターンを履修するための一つの事務の段階でございます。当然正規の届け出をしてインターンをやってくれることを私どもは希望しておりますけれども、現実にはインターン生が自主的インターンと称しまして届け出をしないままで、しかも自主的にやりますということで、自主的にインターンをやっております。そして、昨年度もそうでございましたが、本年度の国家試験を受けるにあたりましては、病院長のインターン履修の証明書をつけて国家試験の申請をいたしております。したがっておそらく来年も、まことに遺憾でございますが、インターンの届け出はしないけれども、自主的にインターンを行なって、大学付属その他の病院の証明書を添付して受験することになるのであろうと存じております。
  45. 横路節雄

    ○横路委員 厚生大臣、まことにふしぎな話ですね。インターン制度というのは、これくらい全国の医学部卒業の学生から総反発を食っているわけです。三千八十四人のうち四百五十人しか出してない。そして二千六百人余りは各大学の付属病院にいる。しかし大学の付属病院長から一人もまだ届け出がない。この諸君は来年は試験を受けないと言っているのですからね。もうこんなもの受けない、大学の教授会とその他われわれのつくった団体と一緒になって、ひとつわれわれは各大学の傘下の病院で診療をやる、こう言っているわけです。だからイーターン制度というものは、これはここ何年来か非常に混乱を来たしておる。ですから、いまのお話で、医務局長もう一ぺん聞いておくけれども、たいへん遺憾なことだけれども、来年試験を受けるときに、この学生はどの病院にいましたという付属病院の証明書があればそれで受けられると、こういうわけですね。それはインターンをやってないかもしれませんね。どういう意味でしたか、いまのをもう一ぺんちょっと言ってください。これは非常に大事なところです。
  46. 若松栄一

    ○若松政府委員 私は、現在インターンの届け出をしなかった学生も、インターンを実施していないとは存じておりません。すべて現在、自主的と称しておりましょうが、正規の届け出をしておりましょうが、いずれにしろインターンをまじめに実施していると存じております。先般来、私どものほうの国家試験の審議会のインターン部会の先生方をわずらわしまして、全国の相当数の大学を実地に視察をしていただきまして、どの程度インターンを実際にやっているかということも見ていただきました。その結果は予想外にまじめにインターンをやっているという報告をいただいております。おそらく今後もそのように、まあ厚生省に抵抗はいたしておりますけれども、まじめにインターンをやっておるものと存じております。したがって、インターン指定病院あるいは大学の付属病院の院長の証明を添付してくれば、試験を受けさせるという方針でおります。
  47. 横路節雄

    ○横路委員 私は、厚生大臣の時間がないからいまの問題をもうちょっとお尋ねします。  厚生大臣、きょうのある新聞にこの細菌事件の被害者二百七十人の補償はどうなるのかというのが取り上げられておりますけれども、これは鈴木が訴えられれば、第一義的には民法上の責任者として払わなきゃならぬ。しかし、鈴木には払う能力があるかどうか。しかし、今度は千葉大の付属病院ということになれば、これは文部省の管轄になる。それから三島の病院というのは厚生省の所管でしょう。これは非常に大きな問題なんで、きょうの新聞には、三島病院でこのチフスに感染して死んだ、そこで三島病院では患者の遺族に遺児の入学祝いの名目で三十万贈ると約束したが、鈴木の容疑がはっきりしたことから、この支払いを渋っておるという問題もある。そこで、私はあと文部大臣に無給医局員と学位のことをお尋ねしたいのだが、厚生省所管の病院で起きたこれらの事件については一体あなたのほうで責任を持つのか。
  48. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 まだ捜査が進行中であり、その事件の最終的な決定がはっきりなされておりませんので、この補償の問題につきましては、今後私ども十分関係者の意見を聞きながら検討を進めてまいりたい、こう考えております。  三島の社会保険病院は、保険者の福祉、医療のためにつくった病院でございますが、この運営は民間の団体に施設を貸与いたしまして運営させておるという実態になっております。そういう問題もございますので、十分検討してみたいと思います。
  49. 横路節雄

    ○横路委員 文部大臣あと二点。  文部大臣、今度の鈴木事件の根本は学位の問題です。鈴木事件というのは学位を取るために起きた一つのあらわれなんです。お聞きのように、やり方のよしあしは国会で論議をしますが、医学部を終え、国家試験を終えたらその者は学士であるわけです。いま医学界で一番こういう問題が起きている、封建制だ徒弟制度だといわれていることは博士という学位にある。博士論文を出さなければならぬ。そのために多くの者がそれをやる。私は率直に言ってやめたらどうかと思う。ある人は、博士をやめたらどうかと言ったら、学問の研究の道が閉ざされるだろうと言うが、そんなことはない。そういう学位があろうがなかろうがやはり学問の道を探究する者はするんだ。多くの弊害は学位論文、博士論文というところにある。私は端的にここにあらわれていると思う。実は八田委員長も学位を持っている。しかし八田委員長は鼻のところに医学博士とは書いてない。別に委員長は医学博士でなくてもいいわけです。医学士でいいわけです。どうですか。私は無給医局員の問題をこれから聞きますが、その前に、大臣に医学博士という学位については検討しなければならぬなどとおっしゃっていただいたら、私は相当いまの医学界に新しい空気を注入することができると思う。これはほんとうですよ。公の席ですからここでは言いませんが、そのためにどれだけのことが行なわれておるかわからぬ。あなたのほうからいただいたこれを見てもわかるでしょう。無給医局員で七年から十年までの人が千三百八十人、五年から七年までの人が全部で約五千人いるじゃありませんか。みな学位をもらいたいばかりにいるのですよ。これはやめたらどうでしょう。これは文部大臣の決断でひとつ……。
  50. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 なかなかむずかしい決断を求められておりますが、実際無給医局員のあり方は、学位取得のためにいろいろな勉強を大学病院でいたしたいというのと、さらにもっと臨床経験を重ねたい、こういうことで医局員を志願する者と、大きく分ければ二つあると思うのです。さらに細分しますと、大学院に残っておって勉強しておる者も、授業料を払いながらこれらの人たちと一緒に医療の実地修練をする、こういうようなことで非常に複雑だと思います。ただそこで問題は、学位制度があるからこういう問題が起こるんだというお話でございますが、はたしてそうであるかどうか。学位という一つの資格だけをほしいためか、あるいは臨床修練をもっとしたいということが主であるか、この点は私ども明確には判断いたしかねるわけでございますが、そういう点は私どもだけでなしに、むしろ学界等で十分な御検討を願うべき筋ではないか、こう思っております。  実は今度の問題にも関連をしまして、文部省としましては、大学病院における教育的な研修制度というものはどうあるべきかということについて、専門家でない文部省だけでこういうことについて掘り下げた研究をすることは困難でございますから、名称をどうするかは別でありますが、大学関係の専門家の方々に御参加を願いまして、大学病院における教育研修制度懇談会のようなものを組織して、そうして、そういう点で無給医局員の問題、あるいは先ほど来問題になっておる系列化、組織化、こういうことなどについて十分に掘り下げた検討をいたしまして善処をいたしたい、こう思っておるわけでございます。
  51. 横路節雄

    ○横路委員 私の持っておるこれは文部省大学学術局大学病院課というところで発行しておるものですが、この中を見ますと、大臣こうなっておるのです。教授、助教授、講師、助手、研究生、大学院学生、実習修練生というもので病院はどう成り立っているが、教授は一日に診療する時間が一時間三十九分、助教授が二時間四十八分、講師が三時間四十分、助手が四時間四十四分、ざっとこう数えてみますと、文部省で金を払っている人は病院で一日十一時間ほど診療に当たっておる。金を払わない大学院の研究生は四時間六分、大学院の学生に至っては四時間三十六分、実地修練生は四時間三十六分。だから文部省で金を払わない諸君のほうは、一日の労働時間は十三時間にわたっておるわけです。そうすると、何が原因かというと、いまの国立大学の付属病院というものは、この無給医局員と大学院の学生の諸君が実際診療の六割をささえている。金を払っている教授、助教授、講師、助手は四割をささえておる。  私は文部大臣にお尋ねしたいのだが、この無給医局員というのが八千二百三十八人。この間から千人、千人というのをよく新聞で見るのですが、千人足らずで、何で無給医局員が解消されるのか。何が一体千人なのか、千三百なのか、四千なのか五千なのか、ひとつきょうここで明らかにしてもらいたい。ここにそういうようにデータが実際に出ている。時間もだんだんなくなっているからお聞きしたいのだが、これを二つにわけて、無給医局員を有給にする。そうすると、なお無給の医局員が残る。それはもう全く大学から出ていきなさいというのか、それともなお有給を置き、無給を置く。それともあなたたちのほうで八千二百三十八というのは、これは将来ともこの目標に到達すべくやるのか。実際いま私がここに持っている資料によれば、ざっと見て、金を払っているほうが四割診療して、金を払ってないほうが六割診療をしている。これで国立大学の附属病院というのはささえられているという実態なんです。それを無給医局員を一体どれだけ、何年間にどうするというのですか。それを新聞だけで見ているものですから、千人だとか千三百人だとか、何か間違いでないかと思っているから、それをひとつ文部大臣は、ここで八千二百三十八という無局医局員の数が出ているのですけれども、これはどういうふうにしておやりになるのか、有給にするのか。
  52. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 私のほうで従来研究してまいったところによりますと、正規の有給の病院業務に携わるものは、教授、助教授、講師、助手、こういうことになりますが、そこでこの有給医局員の医療状態を充実するためには、現状のほかに、どうしても千人ぐらいは有給医局員をほしい、こういう状態になっておるわけでございます。  それと別の角度から調べてまいりますと、八千人余りおります無給医局員のうちで三日以上、まあ三日だって、一日じゅうおるわけじゃないのですが、病院に出てきておる人がどのくらいあるかという調査をしましたら、約その半分の四千人が三日以上。そこで常勤に近い状況で出てきておる者はどのくらいかというと、これがまたちょうどこちらで必要数から計算した千人に近い、その内外の者である。あとは出てくるには出てくるが、そう常勤的には出てこない。また比較的自由であって、自分のからだのあいた時間に出てくる。こういうような状況で、要するに正規の診療状況にはなっていないというような両方の資料や調査、研究の結果、われわれとしましては、千人程度は助手もしくは講師、助教授等にそれぞれ能力に応じて格づけをして、有給にいたしたいという希望を持っておるわけでございます。そういう希望に基づいて、四十一年度予算編成で、いろいろ財政当局とも折衝いたした結果、百五十四人が有給化して、定員増になったわけであります。さらに私どもは努力を続けて、先ほど申し上げた千人程度は、助手もしくはその他の地位で有給化をいたしたい、こう思っておるのが現状でございます。  同時に、病院の管理体制というものから見ましても、教授を頂点として助教授、講師、助手という系列があり、その下に無給医局員というものの系列が、きちんとしている病院もあるでしょうが、きちんとしていないところもあるのではないか。そこで全国的に無給医局員でございましても、助手をしりとしまして、助手に連なる一つの系列をはっきりさして、だれはどういう業務をやっているか、何をしているかということが一目りょう然にわかるような体制を築く必要がある。こういうことを現在痛感をしておるわけでございます。  無給医局員の中には、先ほど話が出ましたように、学位を得るために医学の勉強をしたいというのと、それからもっと実地修練を重ねたいというのとあるわけでございますから、これらの人たちは無給はけしからぬと一口に言えばそういうことになりますが、また反面から見ますると、学位を得るために教授や助教授や先輩の方々に指導を受ける、教えを受ける、あるいは医学の実地修練をもっと積みたいということのために、先輩や権威のある者の指導を受ける、教えを受けるために、その対価としてお手伝いをする、こういう意味もございますから、あながち一がいに無給医局員はけしからぬと言い切れないと思うのでありますが、できるだけ正規に勤務しているような無給医局員は、私どものそれとは別の角度から病院の所要人員というものを割り出して、偶然やや数字が一致するようですから、その程度は有給の助手、講師等のそれぞれの地位につけるように努力を続けていきたい、こう思っておるわけでございます。しかし、これらの問題をさらに掘り下げて具体的に完ぺきを期するためには、文部当局だけの知識では困難でございますから、厚生省とも十分に現在協議を続けております。  また片方、先ほど申し上げたように、大学病院における教育研修についての制度全体について専門家の集まりを願いまして、その名称を懇談会とするかどうするか、まだ確定しておりませんが、仮称で申し上げれば、先ほど申し上げたような名称の懇談会を組織しまして、それらの検討を願って、ただ考えるだけでなしに、具体的に実施方法を掘り下げて研究して、実行に移していきたい、こう思っておるわけでございます。
  53. 横路節雄

    ○横路委員 一つだけお尋ねをして、私から委員長に希望を申し述べて終わりたいと思います。  いま大臣から、病院の所要人員が大体千人。その所要人員というものは、何を対象にして言っているわけですか。患者とか入院患者とか、そういうことですか。
  54. 杉江清

    ○杉江政府委員 患者数の実態を見まして、それに必要な診療要員が計算されるわけですが、その計算のほかに、大学においては教育研究に相当の時間がさかれる。そういう要素をも加味いたして積算いたしました数字が、おおむね千三百人でございます。これだけは大学の病院運営の上からいきまして、当然定員としてそれらの職員を擁することが必要だと考えられる数字になると思います。そのほかの無給医局員をどうするかということはなお今後検討すべき課題でありますが、とりあえずいまのような数はやはり定員化する必要がある、こういう結論に達したわけでございます。
  55. 横路節雄

    ○横路委員 それでは私のほうで要求しまして終わりますが、まず第一番目に、いまの千三百というのは、私のほうでここにいただいておる資料があるわけですが、「国立大学付属病院における診療関係要員調」、北海道から鹿児島まで、各教授、無給医局員も同様、それからその二枚目に研究生等の実態というのがございまして、そこで千三百というのはどういうように割り振ってあるのか、この次の委員会までに出していただきたい。あなたはただ千三百出した、出したというが、それを出してもらいたい。  もう一つは、昭和三十九年の年に無給医局員の問題、インターン制度の問題がいろいろ起きて、文部省では大学病院の運営改善に関する調査研究会というのを設けて、そしてそれが四十一年の三月末までに結論を出すことになっておるが、どんな結論が出たのか、それも次の委員会までに文書で出してもらいたい。まずそれをあなたのほうに要求しておきます。
  56. 杉江清

    ○杉江政府委員 先ほどの千三百という数字につきましては、一応全国的な状況において大数的な観察の上、このようなことで定員化をはかることが適当だということで、実は四十一年度の概算要求のときに要求したものでございますが、各大学に現実にどういうふうに割り振るかということは、各大学の具体的事情を見、各大学の御要望にも即してあらためて実施の段階において考えるということで、具体的な数字は出してございません。  それから大学病院の運営改善に関する調査研究会の審議結果でございますが、これはなかなか問題がむずかしくて結論の出ていない部分が相当ございますが、出ている部分もございますので、それらの審議結果は一応まとめてお出しいたします。
  57. 横路節雄

    ○横路委員 どうやってはじいたのか全然わからないで千三百という数字が出てくるのはおかしいじゃないですか、あなたのほうで千三百という数字を出した以上は、各大学の教授、助教授、講師、助手計何ぼ、三カ月以上何ぼ、何々何ぼとなっているのだから、それに合わせて千三百というのが出てこなければ、何で千三百というのが出てきたのか、それでは根拠がないじゃないですか、どうですか。
  58. 杉江清

    ○杉江政府委員 先ほど申し上げましたように、患者数に応じて必要とされる指数の計算は医療法施行規則にあるわけでございます。それをひとつ参考にしながら、もう一つ大学においては研究、教育に相当の時間をさかれる、その要素を加味して、しかもそれを大学病院の組織の中にどう当てはめるかということを考えたわけでございます。それには一つの典型的なタイプとしまして、いまの患者数から見た必要数、教育、研究の必要数、それを一つの積算の基礎として診療科要員というものの基礎を引き上げる、こういうことで千三百という数字を出したのでありますけれども、これは実施にあたっては、各大学にいろいろな特殊事情がありますので、それは実際にそういった定員を獲得した上、具体的な事情に即して配分することが適当である、こういうふうなことで、具体的な各大学の割り振りの数字は出しておらなかったわけでございます。
  59. 横路節雄

    ○横路委員 それでは私のほうであらためて、現在どうなっておるのか、四月一日現在で、各国立大学の付属病院で教授、助教授、講師、助手、研究生、実習生が診療、教育、研究その他に使われておる時間は一体どうか、いま一応ここにあるけれども、現実にどうなっているか。千三百人をそこから除いてくれば、これが改善されるというのでしょう。あなたのお話はそういうことなんでしょう。千三百人が無給から有給にくれば、研究の時間が増し、なにが増してくるのだから、それは診療の時間は減ってくるのかどうか知らぬけれども、千三百人増してくれば、一体教授、助教授、講師、助手、研究生その他の人たちの診療、研究その他がどうなってくるのか、何もきょうでなくてもいいが、この次までに出してもらいたい。そのことをひとつ約束してください。
  60. 木田宏

    ○木田説明員 いまの御指摘の四月一日現在の実態についてという御要望でございますが、現実に調べるとなりますと、先ほど横路委員の御指摘になりました計数で平均一人当たり何時間やっておるかというのを調べますのに、相当の時間を要しております。ですから、いまの御要望で調査をいたしますとまたかなりの期間がかかるという問題でございます。  もう一つは、実はそれとは別に私どもはじいてまいりましたのは、先ほど横路委員の御指摘になりましたように、従来講師、助手が平均どのくらい診療業務に従事し、どのくらい研究に時間を使っておるかということを考えてまいりまして、大体助手のクラスでは三分の二程度に診療時間が当たっておる、それから講師については大体診療上と研究と半々になっておる、教授、助教授では大体三分の一を診療の時間に充てておるというようなことから大数計算をいたしまして、大体病院の病床あるいは患者数と見合って、研究と診療との見合いから、一応現在の要員に千三百ほどのプラスということで、実態調査から得ました診療と研究の概要で大数計算をしたというのが、先ほど局長がお答え申し上げました数でございます。ですから、その千三百によりまして現実にどうこうという問題は、次に個々に具体的にやっていかなければなりませんので、先ほど大臣からもお答え申し上げましたように、この際あらためて懇談会等関係者のお集まりを願いまして、その実態と、三十九年のときの調査でもございましたから、この際もう一度腰を入れて対策を立てますために、いま御指摘のようなことを本格的にひとつ取り進めてみたい、このように考えておるところでございます。
  61. 横路節雄

    ○横路委員 まあ四月一日ができなければ——これは三十九年のときの資料ですね。しかし千三百ふやしたならば、教授、助教授の研究、指導の時間がふえて、そして先ほど大臣から言われ、厚生大臣も言われたように、学生との人間的な接触というものが深まり、直接指導がふえるという点なんだから、千三百ふえたらどうなるかということぐらいは私は計算してお出しいただけると思う。四月一日現在ができなければ、三十九年の資料に基づけばこうでした、千三百ふえればこうです、そうするといまの医学部のいわゆる無給医局員のそれらの問題、それから学生との接触の問題が、こういうようにして研究その他によって時間がとれて個別指導ができる、こうならなければ、千三百、千三百といったってさっぱり意味がわからぬ。それはできるでしょう。
  62. 木田宏

    ○木田説明員 無給医局員の実態につきましては、端的に申しますと、非常に評判の高い高名な先生の医局には非常にたくさんの研究生が集まるというようなこともございます。したがいまして大数計算で一応のことを出しましても、一律にどのような措置をとるかということはまた別個の問題でございますし、いまの横路委員御指摘の調査をいたしますと、今度は大学全体で一括何名ということでは意味をなさなくなってまいりまして、個々の診療科ごとにどれだけどうというような問題が起こってまいります。制度上それをどのように位置づけていくかということは、これは内科、外科、耳鼻科、咽喉科、またそれぞれ個々にどういう教官がいらっしゃるかということによって、その無給医局員の勤務の実態がみんな異なってまいりますので、私どもといたしましては、個別の積み上げというより、そうしたものの実態を大局的に見て、これが大数計算をいたしてきたわけでございまして、今後それをどうするかということは、御指摘のように個別に考えていかなければならぬ点もございますけれども、しかし医局の個別の実態がまことに千差万別でございまして、有名な先生のところほどたくさんの教官をかかえ、たくさんの人手が要るというような実態もございまして、どのような診療体制をとっていくかということと、医局の人員がどれだけ増減になるかということとは一応別に処理をしていかなければならぬ、このように思っているわけでございます。
  63. 横路節雄

    ○横路委員 前の数字は出ているのだから、それに基いて千三百ふやしたらどう改善されるかということがなければ意味がないですよ。千三百ふやしたらどう改善されるかという点について、ひとつ早急にあなたのほうで資料をつくって出してもらいたい。  最後委員長、大体始まる時間が十二時から始まったものですから、私これでやめますが、あと理事会でぜひお願いをしたい。それは、私がきょうインターン問題、無給医局員問題を取り上げたのは、これらの問題はいままでほとんど社労でやっていたわけですね、しかしこれは本来からいえばいわゆる教育制度全般にわたる問題で、ただ医師の免許状が厚生省の関係だからといって、向こうにいっているというのは、私は前からおかしいと思っておった。そこで中村文部大臣も非常な熱意を示されているのですから、この際無給医局員の問題、国立大学の病院のあり方、無給医局員の諸君のほんとうの今日の悩み、それから先ほどお話がございましたように、二千六百名の諸君は自主的にインターンをやっていると言うけれども、やってないですよ、来年は試験を受けないと言っているのだから。  そこで委員長にお願いしたいのは、できれば国立千葉大付属病院長を来週参考人として呼んでもらって、ここで今日のふくれ上がった大学付属病院というものが一体どういう状態なのか聞きたい。それからその次に、無給医局員でつくっている青年医師連絡会議というのができておりまして、そこの委員長は大井武正君というのですが、これをぜひひとつ参考人に呼んでもらいたい。もう一つ先ほど厚生省の医務局長から言われたが、実際にはことし大学を出たがインターン生としての届け出をしてないのが二千六百人いる。それの代表者として、御承知のように青年医師連合会をつくっている今尾貞男君というのをぜひ呼んで、こういうときにこそこの文教委員会でそのあり方について率直にそれらの諸君の悩みも聞き、またわれわれもその実態についてお尋ねをしたい。これはあと理事会ではかって、ひとつぜひ来週中の適当な委員会で参考人として呼んでくださるよう、私から委員長にお願いをいたしまして、きょうの私の質問を終わります。      ————◇—————
  64. 八田貞義

    八田委員長 次に、国立劇場法案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。川崎寛治君。
  65. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 先般の委員会でこの国立劇場の設立の経過についていろいろと質疑を行ないました。現代芸能関係の諸君が、三十六年、今日この国立劇場法案として上程されてまいりますための基本方針が確立をされた時点におけるその受けとめ方というのは、確かに政府側と関係団体側とには食い違いがあったと思うのです。そして、その食い違いに対して、事務局長も手落ちがあったと思いますと、こういうふうに言っておられます。ただ大臣のほうは、そこで計画が修正をされ可決をされて方針がきまったのだから、そしてあと何にも騒ぎがなかったのだから、だから十分に了解されてきたと思っておった、こういうふうに見ておられるわけであります。ちょっとそこには食い違いがあると思います。このことは、ただ単に昔のことを根掘り葉掘りやってどうこう荒立てようということではなくて、今後この国立劇場を運営いたしてまいりますについても大事な点ではないかと思うわけです。そこで、その計画が変更になった、しかし協議会としてはそこで新しい方針が初めてきまったのだ、こういう理解なのですね。これは私はお役所としては当然だと思うのです。ところが、国立劇場なるものをつくろうではないかといって動員をされ、動き、陳情に走り回った藤原義江さんやその他のたくさんの方々は、依然進行しておるものとして理解をしておるわけです。ですから、これはもっと親切といいますか、ほんとうに国民のものにするのだという立場から言うならば、その場合に、ただ単に一片の通知を流して、文書はやりました、関係団体を集めて説明しました、了解しましただけでは済まなかったのじゃないか、つまり、そこに今日になって、いよいよこういう法案の審議という段階になって、初めて関係団体の皆さん方がこれはわれわれの理解とは違っておった、こういうことがあるわけであります。ひとつその点、単に手落ちであったという程度の認識なのか、ほんとうに国民的なものにするために、政府がそういう文化——あるいは演劇その他の振興について一体になって進めていこうという立場に立ちます場合、その他の点についての反省として、先般の文部大臣の御答弁だと、私だいぶん違ったニュアンスに受け取られますので、その点もう一度、たいへんしつこいようようでありますけれども、反省を含めて今後の運営の問題についての基本的な態度について所信を御表明願いたいと思います。
  66. 村山松雄

    ○村山政府委員 経過につきまして一言だけ釈明させていただきたいと思います。  私は、現在国立劇場の計画が三十六年の時点においてきまって、現代芸能関係者の方々にも御了承願ったと事務的には考えておりまして、実はたいへん恐縮でありますが、手落ちがあったとは考えておらないわけであります。しかし現実の問題といたしまして御了解いただけなかったとすれば、それは申しわけないとおわびを申し上げたつもりでございます。経過的にも、現代芸能関係者が今回は現代芸能の劇場はできないという認識のもとに、それ以後におきましてもいろいろお話もございましたし、それに対してこちらからも折衝申し上げておりました。そういう関係で押し返すようでたいへん恐縮でありますが、手落ちがあったとは考えておらなかったわけでありますが、現実の問題として十分御理解いただけなかった点につきましておわびを申し上げた次第でございます。
  67. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 今回のこの国立劇場で、伝統芸能については十分に保護をし、振興をはかり、さらには新しい観客層を組織していくとか、その他運営等についても十分に検討しなければならぬ問題等もあろうと思いますが、私この問題が煮詰まっている段階だと思いますから、最後に一点だけお尋ねをして終わりたいと思います。  伝統芸能以外の現代芸能の振興について新しい劇場の建設であるとかその他の方策について早急に御検討いただき、前進をさしていく方針であるかどうか、大臣にお尋ねしたいと思います。
  68. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 芸能関係につきましては、伝統芸能の保存あるいは伝承者の育成ということも大事でございますが、同時に現代芸能についても助長、奨励をしたい気持ちはもちろんでございます。ただこの国立劇場設置の経過が、先般もるる申し上げましたような次第で、敷地の関係等もあり、いろいろな関係で、結局はさしあたり伝統芸能を取り上げようということに結論がなりまして、そのことについては現代芸能の方々にもやむを得ないこととして御理解を願っておったと思うのでありますが、まあ御理解のいかなかった筋も確かにあるかもしれません。そこで私どもとしましては、このたびの国立劇場は大体そういう経過をたどってまいりましたしいたしますから、国立劇場を、法律でつくっていただきました劇場としての自主公演はやはり伝統芸能に限ってまいりますが、なお、現代芸能にもその施設をときによって、都合のつく限り利用をしていただくということは考えておりますが、なお前段で申しましたように、現代芸能についてもこれはできるだけそういう文化的な活動が盛んになることが望ましいのでございますから、いま御指摘がございましたように、新たな施設等の問題も含めて今後前向きに検討をしてまいりたいと思います。その点については先般申し上げた中にもございましたように、現代芸能については古典の伝統芸能のようにまだしぼられておりませんから、いろいろな団体等もありますので、これらの方々とも十分に協議を詰めて、方法等も検討しまして、前向きに検討してまいりたい、こう思っております。
  69. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 終わります。
  70. 八田貞義

    八田委員長 本案についての質疑はこれにて終了いたしました。     —————————————
  71. 八田貞義

    八田委員長 ただいま委員長の手元に上村千一郎君外五名より三派共同提案にかかる本案に対する修正案が提出されております。
  72. 八田貞義

    八田委員長 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。川崎寛治君。
  73. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 三党共同提案によります修正案を御説明申し上げたいと思います。  今回上程になりました国立劇場法案の一部を次のように修正いたしたいと思います。  第一条中「国立劇場は、」の下に「主として」を加える。  第二には、第十九条第二項中「第一条の目的の達成に支障のない限り、」を削る。  この二項でございます。その理由につきましては、質疑の中に十分に尽くされておると思いますので、省かしていただきたいと思います。
  74. 八田貞義

    八田委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。     —————————————
  75. 八田貞義

    八田委員長 これより本案及び修正案について討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  まず、上村千一郎君外五名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  76. 八田貞義

    八田委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除いて原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  77. 八田貞義

    八田委員長 起立総員。よって、修正部分を除いては原案のとおり可決し、国立劇場法案は修正議決すべきものと決しました。     —————————————
  78. 八田貞義

    八田委員長 この際、委員長の手元に上村千一郎君外五名より三派共同提案にかかる本案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者から趣旨の説明を聴取いたします。上村千一郎君。
  79. 上村千一郎

    ○上村委員 私は、自由民主党、日本社会党並びに民主社会党の三党を代表いたしまして、ただいまの法律案に対し、附帯決議を付するの動議を提出いたします。  まず案文を朗読いたします。    国立劇場法案に対する附帯決議(案) 一 政府は、伝統芸能以外の芸能の振興を図るため、施設その他につき、必要な措置を講ずべきである。 二 国立劇場において行なう芸能について、入場税は、すべて課さないよう速やかに検討すべきである。  以上でございます。  その趣旨については本案審査に際し十分御承知のことと存じますので、案文朗読をもって趣旨説明にかえさしていただきます。  何とぞ御賛同あらんことをお願い申し上げます。
  80. 八田貞義

    八田委員長 以上で説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  81. 八田貞義

    八田委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、文部大臣から発言を求められております。これを許します。中村文部大臣
  82. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、私ども前向きの態度をもって慎重に検討いたしたいと思っております。     —————————————
  83. 八田貞義

    八田委員長 ただいま議決いたしました法律案に関する委員報告書の作成に関しましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  84. 八田貞義

    八田委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。   〔報告書は附録に掲載〕
  85. 八田貞義

    八田委員長 次会は四月二十日水曜日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十九分散会