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1966-03-23 第51回国会 衆議院 文教委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月二十三日(水曜日)    午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 八田 貞義君    理事 上村千一郎君 理事 小沢佐重喜君    理事 谷川 和穗君 理事 南  好雄君    理事 八木 徹雄君 理事 川崎 寛治君    理事 長谷川正三君       大石 八治君    久野 忠治君       熊谷 義雄君    坂田 道太君       床次 徳二君    中村庸一郎君       橋本龍太郎君    栗林 三郎君       高橋 重信君    松原喜之次君       横路 節雄君    鈴木  一君  出席国務大臣         文 部 大 臣 中村 梅吉君  出席政府委員         警  視  監         (警察庁刑事局         長)      日原 正雄君         検     事         (刑事局長)  津田  實君         文部事務官         (大臣官房長) 安嶋  彌君         文部事務官         (大学学術局         長)      杉江  清君         文部事務官         (管理局長)  天城  勲君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      赤羽  桂君         文部事務官         (大学学術局教         職員養成課長) 安養寺重夫君         自治事務官         (行政局福利課         長)      寺本  力君         参  考  人         (公立学校共済         組合理事長)  田中 義男君         参  考  人         (公立学校共済         組合監事)   赤堀 正雄君         専  門  員 田中  彰君     ————————————— 三月二十三日  委員船田中辞任につき、その補欠として橋本  龍太郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員橋本龍太郎辞任につき、その補欠として  船田中君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 三月十八日  産炭地域における公立の小学校及び中学校の学  級編制及び教職員設置に関する特別措置等に関  する法律案小野明君外六名提出参法第五  号)(予) 同月十九日  なぎなたを中学校以上の女子に正課として採用  に関する請願仮谷忠男紹介)(第一八八一  号)  同(小平久雄紹介)(第一八八二号)  同(濱田幸雄紹介)(第一八八三号)  同(田村良平紹介)(第一九〇六号)  同外六件(松澤雄藏紹介)(第一九〇七号)  同(大西正男紹介)(第一九四八号)  同外六件(奥野誠亮紹介)(第一九四九号)  同外十三件(坂田道太紹介)(第一九五〇  号)  同外二件(福田篤泰紹介)(第一九五一号)  同(井原岸高紹介)(第一九八五号)  同(宇野宗佑紹介)(第一九八六号)  同外二件(加藤常太郎紹介)(第一九八七  号)  同外八件(亀山孝一紹介)(第一九八八号)  同外七件(内藤隆紹介)(第一九八九号)  同外二件(中村高一君紹介)(第一九九〇号)  同外二件(福田繁芳紹介)(第一九九一号)  同外二十七件(藤田義光紹介)(第一九九二  号)  同外一件(藤本孝雄紹介)(第一九九三号)  同外二十件(古川丈吉紹介)(第一九九四  号)  同外十九件(和爾俊二郎紹介)(第一九九五  号)  同外三件(渡海元三郎紹介)(第二〇三五  号)  同外三十一件(大平正芳紹介)(第二〇三六  号)  同外二件(鍛冶良作紹介)(第二〇三七号)  同外四件(長谷川峻紹介)(第二〇三八号)  同外四件(原健三郎紹介)(第二〇三九号)  同外一件(船田中紹介)(第二〇四〇号)  同外二件(山口シヅエ紹介)(第二〇四一  号)  同外九件(和田博雄紹介)(第二〇四二号)  同外十二件(小川半次紹介)(第二〇五四  号)  同外十一件(佐伯宗義紹介)(第二〇五五  号)  同外五件(砂田重民紹介)(第二〇五六号)  同外七件(濱地文平紹介)(第二〇五七号)  同外五件(藤井勝志紹介)(第二〇五八号)  同外二件(佐々木良作紹介)(第二〇七一  号)  同(山下榮二紹介)(第二〇七二号)  学校教育エスペラント採用に関する請願(渡  海元三郎紹介)(第一九〇八号)  義務教育費国庫負担法の一部改正に関する請願  (稲富稜人君紹介)(第一九四六号)  同(華山親義紹介)(第一九七九号)  公立義務教育学校学級編制及び教職員定数  の標準に関する法律の一部改正に関する請願(  稲富稜人君紹介)(第一九四七号)  同(華山親義紹介)(第一九七八号)  学校栄養士設置に関する請願外一件(坊秀男君  紹介)(第一九五二号)  高等学校すし詰め解消教職員定数の増員に  関する請願三木喜夫紹介)(第一九七五  号)  高等学校父母負担軽減等に関する請願外三百  九十六件(華山親義紹介)(第一九七六号)  同(安宅常彦紹介)(第一九九六号)  産炭地教育振興に関する請願華山親義君紹  介)(第一九七七号)  学校図書館法の一部改正に関する請願外二件(  渡海元三郎紹介)(第二〇三四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  国立学校設置法の一部を改正する法律案(内閣  提出第四五号)  文教行政基本施策に関する件(公立学校共済  組合に関する問題)      ————◇—————
  2. 八田貞義

    八田委員長 これより会議を開きます。  文教行政基本施策に関する件について調査を進めます。      ————◇—————
  3. 八田貞義

    八田委員長 この際お諮りいたします。  公立学校共済組合に関する問題について、本日、公立学校共済組合理事長田中義男君、公立学校共済組合監事赤堀正雄君を参考人としてその意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 八田貞義

    八田委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。      ————◇—————
  5. 八田貞義

    八田委員長 この際、法務省刑事局長より発言を求められておりますので、これを許します。津田法務省刑事局長
  6. 津田實

    津田政府委員 去る三月十六日の当委員会におきまして、高橋委員の御質問に対しまして、これは、共済組合公金個人名にする問題がどうかという御質問であります。その際私は、所管事項関係から、当然刑事法上の問題を申し上げたわけでありますが、速記録を拝見いたしますと、法律上差しつかえないという趣旨になっておりますが、私は法律上と申したと思いますが、それは私の所管事項関係から刑事法上の意味であります。しかしながら、前後の関係から、当然そういうふうに御解釈願えると思いますけれども、この際刑事法上であるということをはっきり申し上げておきます。
  7. 八田貞義

    八田委員長 次に、質疑の通告がありますので、これを許します。横路節雄君。
  8. 横路節雄

    横路委員 そうすると、なお問題は残りましたが、最初にお尋ねしておきますが、あなたは、刑事局長高橋君の質問に答えて、この点は高橋君の考え方で聞いたのですが、「法務局の刑事局長さんが来ていらっしゃるんですが、公金をそういう個人名にしている、また、個人名にしたと同時に背任というものが成り立つというふうに聞いておるわけですが、この見解はどうでしょうか。」そこであなたは、背任とか横領とかということは別に聞きますが、あなたは預かる方法として、自分名前預金することは、法律上は差しつかえない、こう言っている。私はおかしいことをおっしゃるものだと思って、その点についてさらにお尋ねをした。そうしたらあなたは、私の質問には、どこのポケットに入れようと、どこのロッカーに入れようと、それは差しつかえないのだ、保管方法一つであることには間違いないのだ、こう言ったのです。あなたはそれからお考えになられて、刑事上の問題はこれから聞きますが、それは別だ。しかし私がこの間言ったいわゆる会計法上とかいろいろ法律があります。そのことを言ったのではない、こういうことですね。会計法上とか予算決算会計令とかいわゆる出納官吏事務規程とか、これから私が聞く地方公務員等共済組合法とかそういういろいろな法律、そういうものには違反しているかもしれない。しかしそれは私は言ったのじゃなかったのだ、こういう意味なんですね。その点はっきりしておいてください。
  9. 津田實

    津田政府委員 私の所管事項は、主として刑事問題でありますので、刑事法上差しつかえないと申し上げますのはその意味でございます。しかしながら、そのとき、この委員会でも申し上げましたとおり、法律上あるいは他の問題が起こることは別問題だ、あるいは規律上の問題が起こることは別問題である、かように申し上げたわけです。ただこの際は、公金ということの性質が、抽象的な問題として私は申し上げたつもりでございます。具体的事件内容はわかっておりませんので、抽象的な公金公金という議論であったわけでありますから、その公金にもいろいろあります。公立学校共済組合公金もあれば国の公金もある。それぞれによって、それぞれのつまり規律する法律で違っておりますから、一がいにどうということは当然申し上げられない。私は所管でありませんので申し上げられませんが、もしも具体問題となれば、これはやはりそれが刑事法上違法と推定される問題かどうかということになりますと、これは私の所管になってまいりますから、具体問題に関連しては他の法律といえども私はお答えいたさなければならぬと思いますけれども、その間は抽象的な議論でございましたので、私は刑事法上の範囲で申し上げるのが相当と思いましたし、その趣旨で申し上げたわけでございます。
  10. 横路節雄

    横路委員 刑事局長ね、あなたは一般的に公金といえば国の金もあるし、あるいは共済組合の金も公金です。一般的に公金です。それをあなたはどのロッカーに入れてもいい、どのポケットに入れてもいい、横領意思さえなければいいんだ、どういう預金のしかたをしてもそれは法律違反ではない、このことはあなたは間違いですよ。どのロッカーに入れてもいいんだ、どのポケットに入れてもいいんだ。だから私があのとき何べんも指摘したように、きちっと印鑑を持ち、その会計の長たる、あるいは出納官吏印鑑をもって入れる口座、そのほかに個人名義口座なんていうものがあり得るはずはないのでしょう。この点だけははっきりお認めになっておいてくださいよ。そうでなければ議論は展開しないですよ。そのことだけはあり得ないですよ。その点はどうなんです。またその点は、どのロッカーに入れようと、どのポケットに入れようと、ということは、もう一ぺん言いますよ。いわゆる会計責任者たる印鑑を届け出をしたその口座、そこにしか入れることができない。それをそこからおろしてきて俸給日にその役所金庫の中に一時入れておくことはできても、別に自分名前で、横路節雄なら横路節雄という認めで預けておくことはできないのです。そのことだけははっきり認めなければ、これからまた前に進められないです。その点だけは刑事局長、あなたは専門家なんだからお認めになるでしょう。その点だけははっきりしておいてもらわなければ、これから論議が進展しないですよ。
  11. 津田實

    津田政府委員 ただいまのお話でございますが、会計法規ということになれば私の所管外でございますから、抽象論としては申し上げるのが適当でございませんから申し上げないわけでございますけれども、たとえば出納官吏事務規程の三条にありますが、「出納官吏がその手許保管する現金は、これを堅固な容器の中に保管しなければならない。但し、特別の事由のあるときは、自己責任をもってこれを郵便局若しくは確実な銀行に預け入れ、又は資産信用のある者にその保管を託し、その他適当な方法によりこれを保管することができる。」こういうことがございます。個々の保管方法を具体的にはきめてございませんので、この意味におきましてはどういうことができるかということは、おのずから常識できまる範囲のことはできるのではないかということは、私の感じでございますが、これは会計法規の問題でございますから、具体的事件になりますれば、私も解釈をいたしますけれども、抽象的な議論としては私の所管外のことであるということをあらかじめ申し上げながらこれを申し上げる次第でございます。
  12. 横路節雄

    横路委員 その出納官吏事務規程の第三条だけを言ったのではだめなんです。まずその根本の法律は、会計法、それから予算決算及び会計令、それから出納官吏事務規程にありまして、そこで第二十七条を受けているわけです。第二十七条を言わなければならないのですよ。第二十七条はどうなっているかというと、「日本銀行所在地に在勤する資金渡官吏は、その保管に属する現金を、その地の日本銀行に預託しなければならない。」のです。「ならない」のです。二十五条はどうなっておるか。「資金渡官吏は、日本銀行資金を預託しようとするときは、照合のため、その印鑑に資格及び官職氏名を記載し、これを預託先日本銀行に送付しなければならない。」銀行に預けておくのですよ。そこで、俸給日になっておろしてきた。おろしてきたものをすぐ自分の机の中へ入れたりポケットの中へ入れたりしてはだめなんだ。それを役所にある金庫の中へ入れておきなさいということなんだ。それが第三条に、「出納官吏がその手許保管する現金は、これを堅固な容器の中に保管しなければならない。」とある。これは、そのことをいっているのですよ。持ってきて入れるのだ。あなたが言っているのは第二十七条で、「但し、常時小口の現金支払を必要とする場合において、大蔵大臣の定める金額の範囲内については、この限りでない。」なんという場合にはこれはどうかというと、毎日日払いをしていかなければならぬことがある。毎日、三万だとか五万だとかそういうのは、やっぱり出納資金渡官吏がその金を持って歩かなければならぬから、それは郵便局に預ける、あるいはそこの銀行に預けて、そこからおろして夕方払ってやるのだ。あなた、そんな第三条だけを引っぱり出して言ったのではだめなんですよ。第二十七条から順々にものごとは成り立っているのです。いいですか、刑事局長。ぼくは、あとでもっと法律的に専門的なことをあなたと議論しますから、いま、このことだけ言っておきます。これはぼくは詳しく調べたんですよ。しかも、この点については、会計検査院の諸君を呼んで調べたんですよ。会計検査院はこんなことができるのか。絶対できません。こんなことができるわけがないのです。  そこで、地方公務員等についてやりますよ。今度は、田中さん、あなたにも関係するし、文部大臣にも関係しますから、よく聞いてください。  地方公務員等共済組合法の第百三十条の第五項に、「主務大臣は、この法律の適正な実施を確保するため必要があると認めるときは、組合に対してその業務に関し、監督上必要な命令をすることができる。」そして、地方公務員等共済組合法施行規程がございまして、その第三十九条——刑事局長、そこまでお調べにならなかったでしょう。お調べになっていたら一緒にごらんになっていてください。第三十九条の第二項、「会計単位の長は、取引金融機関自己名義預金口座又は貯金口座を設けなければならない。」自己名義とはどうなっているか。第四十条で受けて、「取引金融機関に登録する登録印鑑は、会計単位の長の印鑑出納主任印鑑との組合せ式としなければならない。」きちっと二つこういうふうになっている。地方公務員の金については、会計単位の長と出納主任印鑑との組み合わせで届けたものでなければならない。それが、岐阜県の教育長である共済組合支部長自分名義個人名義で預けておる。片一方は、その会計の長の責任口座に入れておく。何でそんなことができますか。刑事局長、今度はおわかりでしょう。こういうふうになっているんですよ。  きょうは説明員だけれども、行政局福利課長、私はあなたにきのう電話で確かめてある。ここでまさか間違ったことを言わないだろうけれども、この点をきちっとしておいていただかないと困る。いま、共済組合から十億やった、一億だけは会計責任者の長の印鑑のある口座に入れて、九億は自分個人名義に入れてもいいような議論がこの中で行なわれて、いかにもそれが妥当かのような印象を受けているから、たいへんなことなんだ。そんなことだったら、あなた、とんでもないことなんだから。あなた、責任者として、地方公務員等共済組合法施行規程の第三十九条、四十条、きちっとその点法文に書いてあるのだから、私の言うことに間違いないだろうね。
  13. 寺本力

    寺本説明員 先生のお話のようなケースであるといたしますれば、第三十九条の規定違反すると解釈いたします。
  14. 横路節雄

    横路委員 それでいいのです。  刑事局長お話のように、この間から三回にわたって議論したことは、地方公務員等共済組合法第百三十条の五項を受けて、地方公務員等共済組合法施行規程の第三十九条、第四十条の違反行為なんです。違反行為についてはどうなっているかということについては、これにはちゃんと罰則規定があるのです。そこで違反であるということだけははっきりした。ちゃんと違反をきのう確かめてあるのだけれども、国会で言ってもらわなければ意味がないから。刑事局長、いいですね。違反である。あなた、別に自分所管外ですからいいですか。お話がなければ、これから私はあなたと業務横領についてちょっと議論をしたい。いいですね。違反であるということだけは明瞭になった。業務違反である。実は、この点、いままで業務違反でないと言ったのだけれども、業務違反であることが明らかになった。刑事局長は、刑事上のことをもっておれは言ったのだ、しかし法律上のことはおれの権限外だから、こう言うから、きょうは直接追及していった結果、ちゃんと法律違反なんです。  そこで、刑事局長、今度はあなたにお尋ねするのですが、刑法の二百五十二条に横領罪について規定してありますね。横領した者は何に処する。刑法の二百五十三条には今度は業務横領罪というものについて規定をしてある。そこで私はあなたに今度は専門的にお尋ねをするのです。田中理事長から岐阜県の支部長である教育長に千五百万円を土地買収費として送った。それを二つに分けた。一つはちゃんと会計の長の印鑑出納主任印鑑との組み合わせである口座に入れた。片一方自己名義に入れた。このことは何に該当するのです。このことは明らかに何なんです。不法領得意思表示にほかならないではありませんか。これは他人財物自己または第三者支配に移す意思です。横領とは、普通判例——私もしろうとですが、きょうここであなたにもいろいろ教えてもらわなければならぬし、また私の言い方に間違いがあっては困るので調べてみた。このことは最終的には岐阜教育長業務上の横領ということになる。横領とは不法領得意思を実現する行為。そこで不法領得とは何か、不法領得意思内容は何かと言えば、その口座に入るべきものを自己名義に入れた、そのことが意思であり、そのことが行為なんです。それはどの判例を見ても全部いわゆる業務横領なんです。口座に入ってくるべきもの、会計出納官吏会計の長の責任者、その口座に入るべきものの一部を自分個人名義に入れる、その意思、その行為、それがいわゆる横領なんです。しかもこの男は岐阜県の共済組合支部長である。教育長である。だから業務上の横領なんだ。これは中村さんは弁護士だからよく聞いておいてもらいたい。これはまず刑法上から言えば業務上の横領なんだ。地方公務員法違反なんだ。これは津田さんそうじゃありませんか。私の至らない知識でございますけれども、私も調べてきた。それは全部そうじゃありませんか。全部いままでの判例どれを見てもそうじゃありませんか。
  15. 津田實

    津田政府委員 ただいまのお尋ねでございますが、すでに申し上げておりますように、本件の事件内容はわかりませんので、これは具体的にはいま捜査中で申し上げかねるわけです。しかしながら、一般横領ということの問題で申し上げますと、一般不法領得意思認められることが必要であります。そこで横領罪における不法領得意思と申しますのは、これは最高裁判例にうたっておるところでありますが、他人の物の占有者が、その委託の任務にそむいて、その物につき権限がないのに、所有者でなければできないような処分をする意思をさすわけであります。占有者自己の利得を得る意思を有することは必ずしも必要ではありませんが、その処分がたとえ他人からまかされている権限を逸脱したしかたで行なわれたといたしましても、もっぱら本人自身のため、つまりその委託をした委託者自身のためになされたものと認められますときは、不法領得意思を欠くものとするのが、最高裁判例でございます。したがってある具体的な行為横領罪に当たるというためには、右に述べました意味での不法領得意思をもって行なわれた行為であることの立証がまず必要とされるわけであります。ところで、公金とかあるいは会社組合等金員保管任ずる者がその公金等自己名義銀行等に預託いたしました場合、そのことだけをもって直ちに横領罪が成立するかどうかという点でありますが、この場合他人金員自己名義預金口座に預け入れるということは、その限りでは所有者でなければできないような処分をしたこととはなりますが、先ほど述べましたとおり、その処分がもっぱら当該官公署あるいは会社組合等のためになされたものと認められる場合には、不法領得意思はなかったものと言わなければならないのであります。さような意味におきまして、不法領得意思の有無で横領罪の成否がきまります。ただそれぞれ行ないました行為本人横領意思を推定する資料になるかどうか、これは当然問題であります。したがいまして違法な行為があれば、横領罪意思が推定される場合ももちろんあります。しかしながらそれはあくまでも推定なり資料の問題であって、実質は本人不法領得意思がなければ横領罪は成立しないということは、刑法の当然の解釈になるわけであります。
  16. 横路節雄

    横路委員 いまあなたからそういうお話がございましたが、不法領得意思とは、その財物自己または第三者支配に移す意思だ。それをあとで返すとか、何に使ったとか、あとで補てんするとかいうことがそういうことを妨げるものではない。  そこで田中さん、あなたは千五百万は土地買収費だと思って送ったのでしょう。それは間違いないでしょうね。
  17. 田中義男

    田中参考人 間違いございません。
  18. 横路節雄

    横路委員 そうすると、この間あなたが言っておるように、土地買収費なのに銀行の金利が百五十万ですか、百七十万ですか、謝礼金が何ぼだとかいって、いま私も明細を持っておるからあとで言いますが、これはあなたも言っておるが異例だ——私にだんだん言われて妥当でない。妥当でないというよりも不当だ。刑事局長、千五百万は土地買収費に送ったのですよ。ところがここでこの千五百万の内訳を見ますと、一体こういうものがその中に出ているわけですね。たとえば会合費なんというのが出ておる。あるいは謝礼金というのが九万円、十六万円、三万円。打ち合わせ会というのが驚くべし五千八百円、四千八百八十円。これはいいのだけれども、十八万三千四十四円。これは一体土地買収費に入っておるのですかね、田中さん、これはあなたのほうで初めてやったときは、千五百万というのは全く土地買収費だけだったわけですね。それがこの国会で問題になった結果、いや謝礼金だの、打ち合わせだの、会合だの何だの、こうなってきたわけでしょう。だからこれは言うなれば不当ですね。あなたはこの前は妥当でないと言ったのだから……。
  19. 田中義男

    田中参考人 土地の買収につきましてはこの席でも申し上げておりますように、地価のほかに、いろいろ事務を進めていきます場合の事務費と申しますか、そういうようなものもある程度認めておるわけであります。
  20. 横路節雄

    横路委員 何%認めているのです。
  21. 田中義男

    田中参考人 私のほうではおおよそ原則として一%です。そういうものを見込んでわれわれのほうから委託金を送っております。
  22. 横路節雄

    横路委員 それでは田中さんに聞くけれども、千五百万の一%というと幾らになります。十五万でしょう。
  23. 田中義男

    田中参考人 そうですね。十五万幾らになりましょうか。
  24. 横路節雄

    横路委員 十五万でしょう。三百五十万というのは一体何なんです。刑事局長よく聞いてください。土地買収費については一%事務費を見ておる。千五百万の土地買収費の一%と言えば十五万、それを三百五十万も見ておるというのは一体何なんです。三百何十万かはっきりした数字は高橋君のほうが詳しいけれども、三百二十万ですか。だから津田さん、刑事局長、これは背任になるでしょう。一つ業務横領はいまあなたと議論したけれども、今度はこれは背任になりますね。こちらから千五百万送った。千五百万使ったものだとばかり思っておった。一%の十五万だけだと思っておったら三百二十万も使っておる。口座を分けたこと自体私は業務横領だと思う。使ったこと自体はこれは背任だ。これは背任ですよ。津田さんどうですか。一%の事務費は見ておる。一%と言えば十五万だ。それを三百二十万も使っておる。不当な支出なんです。分けたこと自体が業務横領、こうやって使うことはもう一つはこれは背任だ。津田さんどうですか。これは全く悪い人ですね。どう思いますか。
  25. 津田實

    津田政府委員 本件の具体的の問題は、先ほど来申し上げましたように、取り調べ中で事実がわかりませんので、やはり抽象論として申し上げますが、背任罪が成立いたしますためには、自己もしくは第三者の利益をはかる目的か、本人に損害を加える目的があることが必要でありまして、これがない限りは背任罪にならないわけです。そこで本件が自己もしくは第三者の利益をはかっておるか、本人に損害を加える目的でやっておるかということできまる問題だと私は思います。
  26. 横路節雄

    横路委員 まずこの問題は業務横領、それから背任、この二つが重なって、そのほかにまだある。福利課長、あなたにお尋ねするが、これは罰則規定があるでしょう。あなた、罰則規定を読んでごらんなさい。罰則規定があるでしょう。地方公務員等共済組合法第百四十八条にあるでしょう。あなた、ひとつ読んでごらんなさい。そうでないと刑事局長罰則規定はよくおわかりにならない。田中さんも初めて見るのだろうし、文部大臣もよく聞いておいてください。罰則規定を読んでごらんなさい。
  27. 寺本力

    寺本説明員 第百四十八条、「次の各号の一に該当する場合には、その違反行為をした組合役職員、連合会役職員その他組合又は連合会の事務を行なう者は、三万円以下の過料に処する。一 この法律(第十一章及び第十二章を除く。以下この条において同じ。)により主務大臣の認可又は承認を受けなければならない場合において、その認可又は承認を受けなかったとき。二 第五条第七項、第十七条第二項、第二十一条第二項又は第二十二条第三項(これらの規定を第三十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定違反して、報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。三 第二十五条第一項前段(第三十八条第一項において準用する場合を含む。)又は第三十六条第四項の規定違反して、組合若しくは連合会の業務上の余裕金又は連合会の積立金を運用したとき。四 第百三十条第五項の規定による主務大臣の命令に違反したとき。五 この法律規定する業務以外の業務を行なったとき。」。以上でございます。
  28. 横路節雄

    横路委員 まずこれで業務横領背任、それからいまのは地方公務員等共済組合法第百四十八条、直接は第百三十条第五項の規定違反した行為。  文部大臣お尋ねします。教育長は、文部大臣が承認を与えるわけですね、教育長というのはそうでしょう。この教育長業務横領背任——私はこの問題は全部調べたのです。いま会計検査院でも調べてある。それから法制局でも調べてある。もう分けた瞬間に業務横領ありと認めることが正しい。それからいま判例について刑事局長はああいう判例を言われたが、私も判例を持ってきておる。これはこういう業務横領罪背任罪、それからいまの地方公務員法違反の過料、そのほかにこの人は地方公務員法違反なんです。第二十九条に、地方公務員の「職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合」とあるが、これは職務上の義務に違反したわけですね。これは懲戒免職なんです。こういう人をあなたは——これはここで問題にならなければこのまま見過ごしたことなんです。あなた自身、文部大臣として。もちろんこれはいま検察当局に警察本部からいって、そういう論議をしておるだろうと思う。それでこれだけはっきりして、もうこれは検察当局に送られておる。これは全く、岐阜県の教育長というのは、まず公務員としてふさわしくない、ましてや一府県の教育を担当する教育長としてはふさわしくない、私はそう思う。この点について特に中村さんは、文部大臣として、また法律専門家としてこの間からお聞きになっていらっしゃる。私もきょうはそんなに長いことこれで時間をかけるつもりはない。ないというのは、法律的な解釈もはっきりしてきたから。ただ私は、あなたが、文部大臣教育長としての承認を与えた。そしてこれだけの職務上の義務を怠って、こんなばかな話はない。ぼくは会計検査院に聞きましたら、これは明らかに業務上の横領です。全部会計検査院はこの者を業務上の横領として摘発している。やっていますよ。国家公務員の場合は公金扱い。本件についてあなたはどう思いますか。
  29. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 これは私から申し上げるまでもなく、都道府県の教育長は教育委員会が人選をしまして、文部大臣の同意を要するわけであります。同意を得た者について教育委員会が任命をするわけです。いまも確かめますと、任命のときにはわれわれの同意が必要なわけでありますが、解職をするとか、その他の処置をするときには教育委員会の権能でありまして、文部省には協議がないのであります。したがって、もしこういうふうに問題の事故があったような人であれば、かりに教育長に人選したいからという同意を求められてきてもあるいは同意をしない場合もあるかもしれません。あるいは同意しないほうが適当であるかもしれませんが、すでにこれはずっと前に教育長として何の事故もなし、別段支障のないころに同意を求められて同意をして岐阜県の教育委員会として任命されておるのでありますから、私どもとしては、目下これに対して人事上の処置をとる権能が実はないわけであります。しかし、こういうような問題が起きまして、目下警察及び検察当局が捜査中で、ことに共済本部が行きましても、証憑書類等は押収をされていて点検もできないというような状況下にありますから、こういう捜査が結了いたしまして、事態が明瞭になった段階で、私どもとしても、権限がある、ないは別として、何か考えなければいかぬのじゃないか、適当な措置を、善処するように努力しなければいかぬのじゃないかというように考えております。いずれにしましても、いまはそういう捜査段階にありますから、私どもどういう具体的なケースに対してどうすればいいかという考えが出てまいりませんが、そういう捜査の進行と相まって今後の方法を考えていきたいと思っておるような次第であります。
  30. 横路節雄

    横路委員 田中さん、あなたに、私は最後に決意を伺っておきたいのですが、これで文部委員会における法案の審議はたいへんな渋滞をきわめたわけです。これはあなた自身、文部省当局に対しても責任があるばかりでなしに、当文部委員会にも責任がある。そればかりではなしに、実際に金を納めているのは個々の組合員なんです。しかも先ほどあなたが言ったように、こんな例はないのですね。あなたはもうまるっきり善意をもって千五百万は土地買収費だと思って送った。そのうちの一%の十五万程度はいわゆる事務管理費があるだろうと思ったが、三百二十万も入っている。しかもあなたのほうの承認を得ないで、やれ謝礼金だ、会合費なんというので一回で十八万か十六万。刑事局長どうですか、国家公務員の宿舎かなんか建てるのに土地の買収で五万円かもらったといって逮捕されていますよ。田中さん、これは新聞でごらんになったでしょう。国会公務員の共済組合土地の買収か何かにからんで五万円の金をもらって逮捕されている。あなたのほうは、これを見ると、やれ会合費に十六万だ、十八万だ、やれ謝礼金だといってうんと出している。あなたの承認を得ないでやっている。明らかにこれは業務横領であり、一つ背任である。だから業務横領罪背任罪両方が成り立つ。あなたはずいぶん全国の組合員である教職員に迷惑をかけた。あなたどう思いますか。こういう人は支部長として、やはり彼は教育長だから支部長だなんといって、こうやってやらしておくのですか。あなたはここで高橋君から指摘されて初めてわかったじゃありませんか。これは全国一斉に、これは高橋君のようにそれぞれ都道府県でもしも丹念に調べたら、あるいは問題がないとは言えないかもしれませんよ。あなたどうお思いになるのです。さらになおなおこの問題については最終的にどういうことになるかまではまだ時間的なあれがあるけれども、まずこれだけ大きな問題になったということについてあなたはどう思いますか。五万ですらこの間逮捕されているんですよ。三百二十万もかってに使って逮捕されないほうがおかしいのです。田中さんの前に検察庁の方に聞きますが、五万円の金をもらっただけで逮捕されておるのに三百二十万使っても逮捕されない。この中には謝礼金会合費がある。国家公務員のそういうところの課長補佐あたりは五万円か四万円で逮捕しておいて、片一方では三百二十万、やれ何十万も接待費や会合費謝礼金を出しても何も手をつけないということになると、岐阜県の県知事、そんなことは私は失礼だから言いたくないけれども、どうもそういうところ少しおかしいではないか、こういうふうに私たち言いたくなるのですが、警視監の方どうですか。この三百二十万はいま私が言ったようにどう考えたって業務横領あるいは背任、そういうことが成り立つと思うのですが、あなたはこの点についてよくお調べになってやられたのですか。
  31. 日原正雄

    ○日原政府委員 警察の方としては、一応本件については、虚偽公文書作成不当行使で検察庁に送ったわけでございます。結局横領罪背任罪という問題が成り立つかどうかという問題になりますと、被疑者自身の問題というものが間にはさまってくるわけでございまして、その面から不法領得意思なりあるいは本人が損害を与える目的なり、そういうものをいろいろ外形的見地から判断し、また被疑者の供述等から判断をいたすわけでございますが、その点については、私どもただいまのお話をいろいろ聞いておるわけでございまするけれども、本件について直ちに業務横領罪あるいは背任罪が成立するということについては、いまもって疑義があるというふうに考えます。それでその点につきましては、検察庁でお調べになるのだと思いますが、私どもの一応の判断はそういう判断で、虚偽公文書作成不当行使で送ったわけであります。
  32. 横路節雄

    横路委員 どうも私質問をやめようと思ってあなたに聞いたのですが、疑義があるということはどういう意味なんですか。二つに分けるということはどういうことですか。明らかに不法領得意思があった。これは衆議院の法制局で聞いたって、会計検査院の諸君に聞いたって、何に聞いたって、——そういうことが平気で行なわれたら、あなた、全国の公務員でそんなことをする人はないけれども、業務上の横領罪は成立しないのだ、不法領得ではないのだ、そんなことではないでしょう。ぼくはあなたに遠慮して言っておるわけではないのだけれども、一体どうしてあなたたちそういう解釈をするのでしょうか。あなたのほうは疑義があるから、何ですか、公文書偽造とそれからもう一つ何でしたか……。
  33. 日原正雄

    ○日原政府委員 虚偽公文書作成不当行使です。
  34. 横路節雄

    横路委員 その点に疑義がある、疑いがあるということで断定はできなかったから、その点は検察当局にまかせた、そういう意味ですか。そうならそう言ってください。その点、もう一ぺん言ってください。疑いはあるけれども、私たちは断定できなかった……。
  35. 日原正雄

    ○日原政府委員 そういう趣旨でございます。
  36. 横路節雄

    横路委員 業務横領背任罪についてはいろいろ疑う点もあるので、この点については検察当局が結論を出すべき筋合いなので、そちらにおまかせした、そういうわけですね。その点、はっきりしてください。
  37. 日原正雄

    ○日原政府委員 虚偽公文書作成不当行使ははっきりしたので、それで送りました。横領罪背任罪等につきましては、私どもの一応の判断では断定できないということで送っておるわけです。
  38. 横路節雄

    横路委員 わかりました。ないというのと断定できないというのとではだいぶ違いますからね。断定できないというなら、それでは田中さんにこれだけ聞いて私は終わります。あなたひとつほんとうにこの問題——まだ高橋君はたくさん言いたいことがあると思うので、私はこれでこの質問はやめたいと思いますけれども、田中さんは、これだけの騒ぎの問題になって、みんな迷惑しておるのですから、あなたこれからきちっとこのことについてお答え願いたい。いずれはここにも会館をつくるのでしょう。何年かあとに会館をつくる場合に、何億という金が要るのですから、こんなものに、自分名義にするような者に金が送られますか。支部長として不適当でしょう。あなたの見解をひとつ聞いておきたい。
  39. 田中義男

    田中参考人 このことは支部で起こったこととは申しましても、結局は共済組合のことであるので、少なくとも検察当局等の取り締まりを受ける結果になりましたことは、まことに不名誉なことであり、不信用なことでございまして、非常に遺憾でございます。それで支部長の問題ですけれども、私どもとしては、処分権は身分上ございません。したがって、それに対してどうこうするということは申し上げかねますけれども、私どもとしても支部の事務が今後適正に行なわれるように十分の考えを払っていきたいと思うわけです。なお、全部の事務執行につきましても、この際ちゃんとわれわれも自粛自戒いたしまして、そうして姿勢を正しくして八十万余の組合員の信託にこたえるように進めていきたいと考えております。
  40. 八田貞義

    八田委員長 高橋重信君。
  41. 高橋重信

    高橋(重)委員 私は理事長にお尋ねするのですが、先般監査報告がありまして、そこの中にいろいろな金額があげてあるところがある。たとえば百二十万とか、百六十万とかということが当然出てくるのですが、二月十二日に芥川課長が行かれまして、三百二十万の内訳、いわゆる裏経理の明細というものがここにあるわけですが、これを見てみますと、いかにでたらめであるかということがはっきりするわけであります。これは持ってみえるでしょう。これを見てください。諸経費の使途明細というところに、謝礼金の九万円が受領書なし、いつかという年月日も不明、こういうのが通っていくかどうかということです、領収書もなしに。これは当然あなたのほうで調査されて検討されておると思う。あるいは分筆費用にいたしましても、受領書の一部なし、あるいは水野委員渡しとして、驚くなかれ手数料が十六万ですか、出してあるわけです。そういう謝礼金として、水野委員渡し、これは一体どういう金ですか。あなた方はいままで、私がお尋ねすると、証拠書類は警察へ取られてしまった、だから検討ができぬ……。  私は、この際警察の日原さんにお尋ねするのですが、書類というのは警察はいつまで取っておくのですか。ずっと結論が出るまで取っておくのですか。その点ちょっと最初に……。
  42. 日原正雄

    ○日原政府委員 これは一件書類とともに検察庁に送っておると思います。それで必要な場合には、私ども普通の取り扱いでは写しをとることもできますし、それから写真で複写することもできますし、また私どものほうで必要がなくなれば、途中で返す場合もございます。それは申し出によって、支障のないようにできるだけ便宜ははかっておりますけれども、本件の書類そのものについては一応検察庁に送っておりますので、検察庁のほうでないと何ともできないと思います。
  43. 高橋重信

    高橋(重)委員 そうすると、本部から検察庁へ要望していただけば、検察庁はコピーか何かにとりまして、本部が調査する資料は手に入ると思うのです。これは二月十六日に私が質問してから、かれこれ一月以上になるわけですが、私はこういう点についてもっと早く研究してもらいたいと思う。警察のほうもいろいろ調査願ったわけでありますが、特に共済組合本部として、この謝礼金の九万円というようなもの、年月日不明で受領書がない、あるいは謝礼金の十六万円を水野教育委員に一括して与えておる。相手の領収書はなし、こんなでたらめなことはない。先ほど国家公務員のところで、共済で五万か六万の供応を受けたか何かで逮捕までされておるのですが、こういうようなことについても、私はもっと徹底的に警察に調べてもらいたかったわけであります。  それはそれとして、本部として、もはや一カ月以上になるのですから、あなたのほうで出向いてでもやって——監事が監査しておる段階ではないと思うのです。あなたのほうから行って、これは調査してもらわなければいかぬと思う。そういう点どうですか。水野渡しの十六万というようなものは、一体内容はどうなっておるのですか。
  44. 田中義男

    田中参考人 私どもでは、いままで申し上げている程度の調査でございまして、したがってさらに詳細なる資料についての調査はでき得ません。また、しないでおりました。したがって、お答えするほどのこまかい点についての資料並びに意見も持ちませんのですけれども、もし、先ほど来お話しのように資料等がわれわれの手に入ることでございますれば、さらに進んで調査をいたしたい、かように考えております。
  45. 高橋重信

    高橋(重)委員 資料は入っておるのですよ、二月十三日に。あなたのほうは、たとえば土地購入の打ち合わせ会費として十八万三千四十四円、これは何人して飲んだのですか。地主は七人しかおらぬのに十八万も飲むというのは、何人して飲んでおるのですか。どんちゃん騒ぎをして、芸者をあげてやったって、一人に一万円ずつ使ったって、なかなか使えぬと思うが、どういうやり方をしておるか。打ち合わせ会費が十八万三千四十四円というのは、何人ですか、地主は七人しかおらぬのですよ。どんな飲み方をやっておるのですか。私は、こういうことから綱紀は紊乱してくるのじゃないかと思うのです。世間ではどう言っておりますか。共済組合というものは金があるのだから、零細な先生方の金を集めては、本部はうまいことをやっておる、支部はうまいことをやっておる。本部から監査に来れば一緒に飲んでおるとか、いいうわさはしておらぬのですよ。一回の打ち合わせをするのに十八万も飲んでいる。地主七人を集めて、こっちは何人して飲んだのですか。
  46. 田中義男

    田中参考人 内容については、先ほど申しましたようなことでございまして、一々その使途が適正であったかなかったかまで私どものほうでは、いまお答えするほどの考えを実は持っておりません。ただちょっと、おことばでございましたけれども、共済組合が金を持って、そしてかってなことをやっておるというようなことについては、私非常にそこは警戒をいたしまして……。(「やっておるじゃないか」と呼ぶ者あり)多少の風説も耳にしないでもないことでございましたが、その点については、紙一枚といえども、むだをしないように相当いま戒めてやっておるつもりでございます。
  47. 高橋重信

    高橋(重)委員 それは、田中さんの決意はいいけれども、それが下に威令が行なわれなければいかぬので、あなただけが本部でがんばってみても、それが実際に下部へ浸透していかなければ、絵にかいたぼたもちみたいなものですから、私は、その点をぜひこの事件を契機にして、はっきりしてもらいたいと思うのですよ。私は、これは五回か六回ここでやっておるのですが、本部が支部をかばっておる。支部長はうそぶいておる。全然反省の色がないのです。それでこれら岐山荘より受け入れ一万七千八百十円というのは、これは何の金ですか。これは岐阜県だけのことではないのですよ。八十五万の教職員の問題ですよ。どういうことですか。
  48. 田中義男

    田中参考人 いまの一万余円の問題は、私調べて御返事を申し上げたいと思います。——その金は、登記料に充てているということでございます。
  49. 高橋重信

    高橋(重)委員 登記料は岐山荘の宿泊経理から出すのですか。そんなことは断じて許されぬと思うのです。一万七千八百十円も——一般のお客を泊めて、宿泊経理から登記料を出すというようなことは——わかりましたか。
  50. 田中義男

    田中参考人 資料によりますと、私の申し上げたとおりになっております。
  51. 高橋重信

    高橋(重)委員 登記料にですか。
  52. 田中義男

    田中参考人 登記手数料となっております。
  53. 高橋重信

    高橋(重)委員 登記手数料を宿泊費から出しておるわけですか。岐山荘の会計から出しておるということだね。
  54. 田中義男

    田中参考人 われわれの送金は、宿泊経理のほうへ送っております。その関係から、岐山荘を経由しまして、そして手数料を出しておるようでございます。
  55. 高橋重信

    高橋(重)委員 そういう説明なら、たとえば三百二十万も岐山荘の会計から出ておるということにならないですか。これだけが岐山荘の会計から出ておった、登記手数料の一万七千八百十円だけが岐山荘の会計から出ておるだけでは、理屈が合わぬやないですか。そうですな。
  56. 田中義男

    田中参考人 それは一万七千円だけではございませんで、本部から送りました事務費——先ほど来問題になりました一%でございますね、それについては、岐山荘からの事務費明細として、さようになっておるわけでございます。
  57. 高橋重信

    高橋(重)委員 それなら赤堀常任監事にお尋ねしますが、あなたが一月二十四日から五日間にわたって関西に行かれたときに、岐山荘から一万七千八百十円がこういう裏会計に出ておるということは、あなた監査されましたか。
  58. 赤堀正雄

    赤堀参考人 相当詳細なところまで監査したわけでございますが、その点についてはいま記憶しておりません。積極的にそういう説明があればでございますが、私のほうから進んでそういう経費について指摘した記憶はございません。
  59. 高橋重信

    高橋(重)委員 あなた、監査に行かれたと言って、積極的にはやらなかった、向こうからおっしゃることだけやっていった、こういうことですな。だからわからなかったというのは当然。そのときに岐山荘会計というふうにはっきりしておるなら、あなたもわかるはずだと思うのです。それがわからなかったというのはどこに原因があるかということ、この点、ひとつ田中さんしっかりともう一ぺん調べておいてもらいたいと思います。  それからもう一つ、最初に、塩谷課長より引き継ぎ、四十九万五千九百三十二円、これはどういうことですか。引き継ぎの中身はどういうことですか。わかっておりますか。
  60. 田中義男

    田中参考人 これは、私、明確にいたしておらないのでございますけれども、また調べまして……。
  61. 高橋重信

    高橋(重)委員 あなた方に聞くと、わからぬ、わからぬで、帳簿はとられてしまって、どうやったかとかこうやったとか——これはほんとう言えば、四十一年二月の十三日ですから、私が国会でやったのは二月の十六日ですから、当然、もうそれから徹夜ででも調べなければいかぬではないですか。これは警察が手入れをしたのは二月の十六日ですよ。日原さんそうでしたね。
  62. 日原正雄

    ○日原政府委員 二月十七日に捜索をしております。
  63. 高橋重信

    高橋(重)委員 この書類を手に入れたのが二月の十七日ですから、五日間あるわけですよ。あなた方は、そういう裏経理があるということは大問題だという、そういうことがびんと響かないのですか。響いたなら当然調査されてしかるべきだ。警察へ書類を持っていかれたことをいいこと幸いに、警察にとられました、警察にとられましたと鬼の首でもとったようなことを言ってみえますが、田中さん、あなたは責任者として、先ほどけなげなことをおっしゃいましたが、その点に対して今後どうされますか。あなたと一問一答をやっておっても一向に進まないわけですが、どうするつもりですか。
  64. 田中義男

    田中参考人 先ほど申しましたような決意でこれから対処していきたいと思っております。
  65. 高橋重信

    高橋(重)委員 決意って、もう一ぺん言ってください。
  66. 田中義男

    田中参考人 この際十分反省をいたしまして、再び繰り返すことのないように、そうして一般の寄託にもこたえるように最善を尽くしたいと考えております。
  67. 高橋重信

    高橋(重)委員 田中さん、こんな裏経理でやっておるというようなことはとうてい想像もできぬ、考えられないことでしょう。その点についてはどうですか。
  68. 田中義男

    田中参考人 全くそのとおりに考えております。
  69. 高橋重信

    高橋(重)委員 そういう支部長がおる、そういう教育長があるということはあなたとしては想像もできぬことだ。しかし法的に首にすることができない。懲戒することができない。だが、共済組合本部の理事長としては意見ぐらい表示することができると思うのですよ。勧告ぐらいすることはできると思うのですよ。それも何らやらずにおるということは、先ほど来あなたがおっしゃることに対しても裏づけがないと思うのです。このことに対しては、あなた、伊藤一郎に勧告する必要があると思いますが、どうですか。
  70. 田中義男

    田中参考人 この問題については、ただいま御承知のような経過でございますので、すべて結論が出ました場合に総合的に判断をして処理いたしたいと思います。
  71. 高橋重信

    高橋(重)委員 文部大臣お尋ねします。  共済組合理事長あるいは監事は文部大臣が任命する、したがって、任命された理事長なり監事は、それに対する職務規程というものがあって、義務違反したときには文部大臣から懲戒なり処分を受けることになっておるわけです。自分たちも共済組合にずっといままで関係してきたわけですが、こういう例はないと思うのです。こういう面について、先ほど来のお話を聞いていると、法的に支部長というものは何ともならない、地方の教育委員会支部長である教育長を任命しておるのだから、何ともならないというような印象を私は受けたのですが、それでは共済組合というこの大きな八十五万の組織を持って年間一千億に近い金を動かしている団体を運営していくに対しては、規律というものが保てぬと思う。こういう問題が出まして、文部大臣としてあなたは、岐阜県だけの問題でなくして、この問題についてぜひ勧告等をしてもらう必要があるのではないか。昨年の七月にあなたが文部大臣に就任されると同時に、福岡県の学テについて勧告されましたが、岐阜県だって、いまはこの問題に百七十万県民は関心を持っておるわけですから、こういう問題についてあなたがほんとうに教育を愛されるなら、ほんとうに正しさを好まれるなら、ちゅうちょ逡巡することなく早く結論を出していただきたい。ちゅうちょ逡巡しておると、東京都の都議会の問題のようなもので、私はいろいろな不信感が下部から出てくると思うのです。もう裏帳簿だとかこういうことをやっておることははっきりしておるのですから、犯罪になるか、ならぬかは別として、普通の公務員としては考えられぬことをやっておるのだから、このことに対して文部大臣がはっきりされるということが私は当然だと思うのです。その点どうですか。
  72. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 私どもも事態を十分に明らかにした上で、なるほどわれわれに任命権はありませんが、今後再びこういうことが岐阜県においてはもちろん、他の地区においても起こらないように、制度上許される限りの処置は講じたい、こう思っております。
  73. 高橋重信

    高橋(重)委員 重ねてお尋ねいたしますが、岐阜県の支部長がとった態度は制度違反であり、制度にそむいた措置であった、こういうことははっきり言えるわけですね。
  74. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 いろいろの点に、私は、やり方としてよろしくない、かんばしくない点が多々あったと思います。目下私どもとしましては、一体どの点が突き詰めればよろしくないのかというようなことを研究しておる段階でございまして、確かに御趣旨のような点はあると思います。
  75. 高橋重信

    高橋(重)委員 管理局長お尋ねするが、あなたはこの前、文部大臣だったですか、一ぺん調査をしたい、調査をする必要があるのだ、たとえば土地改良の減歩率についても一ぺん調査しなければいかぬ、あるいはこういう内容についても調査しなければいかぬ、こういうお話しであったのですが、文部省として調査はされたのか、されないのか、どうですか。あるいは調査されようとしておるのか、その点お考えをはっきりしていただきたいと思います。
  76. 天城勲

    ○天城政府委員 前の委員会でさらに事態を調査するようにというお話が確かにございました。これにつきましてはやはり第一次段階として、共済の監査機能としてまだ十分してない点があるということで、共済組合がそれらの点につきまして調査をいたしましたので、私たちはまだ直接その後の調査はいたしておりません。
  77. 高橋重信

    高橋(重)委員 いままではやっておらぬけれども、これから調査するという考えがあるかどうかということを重ねて文部大臣お尋ねします。
  78. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 私ども先般のこの議論もあり、また私どもの考えからしましても、第一次的に共済自体の監査機構で十分に事態を明瞭にする必要がある、こう思いまして、その旨は共済のほうにも要望しておったわけです。さっそく共済としては監査委員の諸君が現地に行きまして、いまの段階でできる範囲の調査はしたようです。しかしやはり人間のやることですから、先ほど来もここで質疑応答を聞いておりますと、なるほどまだどうも調査の粗漏といっては失礼かもしれないが、こういう点も、こういう点ももっと突き詰めてやればよかったのだというような感じがする点もございます。したがって文部省がじかに乗り出すよりは、共済の監査機構に、さらにまだ解明されていない点については、調査をできるだけすみやかにやるように指導をいたしたいと思っております。
  79. 高橋重信

    高橋(重)委員 大体そのめどはいつごろですか。
  80. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 できるだけ早いことが望ましいのでありますから、すみやかにやるようにいたします。
  81. 高橋重信

    高橋(重)委員 田中さんにお願いするのですが、あなたのほうの書類がどうとかいって調査ができぬという話ですが、やはりこれは一日も早くはっきりしてもらいたいと思います。大体のめどとして、二月も三月もひっぱるものでないと思うのです。一日も早く解決すべき問題だと思います。だからどのくらいのめどを、いま文部大臣としては、できるだけ早くと言われたのですが、当面の責任者である田中さんとしては、いつごろをめどとしてこの問題の統一見解を出されるか、そういう考え方について持っているか、めどをいつごろにしているか。
  82. 田中義男

    田中参考人 めどをいつごろということはちょっと申し上げかねますけれども、やはりいろいろ御心配かけておるわけですから、可及的すみやかに、情勢の許す限り早くひとつはっきりさせたい。そうして誤解のあるところは誤解を解き、処理したいと思っております。
  83. 高橋重信

    高橋(重)委員 重ねてお尋ねします。共済組合にはいろいろの機構があるわけですが、たとえば運営審議会とかあるいは理事会とか、そういうものはもうお開きになってこの問題を検討されたのですか。
  84. 田中義男

    田中参考人 この問題については理事会を開きまして、特にいろいろ報告もし、検討もいたしました。なお運審も先般、特に組合関係の人は直接利害を感じて心配をしておりますので、お集まりを願って、そうして半日かけていろいろお話し合いもいたしました。さらにまた近く運審も開きますので、その場合にもいろいろ報告もし、御相談もしたい、かように考えております。
  85. 高橋重信

    高橋(重)委員 その場合におそらく監査報告が出されたと思うのですが、私たちもこの間もらった監査報告、あの監査報告で所信も意見も出ずに理事会を通っていくのですか。ちょっと理事会の内容等を聞かしていただきたいと思います。
  86. 田中義男

    田中参考人 理事会におきましても、監査報告についての意見について、やはり皆さんからいろいろお話しになったような点についての不満はございました。しかし中間的なものですから、さらに次にそれを完備するというようなことでお話し合いのけりをつけたわけです。   〔委員長退席、八木(徹)委員長代理着席〕
  87. 高橋重信

    高橋(重)委員 赤堀監事にお尋ねしますが、先般も監査報告に意見書がなかったわけですが、これも早急につけるように努力するという話ですが、これは見通しはいつ時分ですか。
  88. 赤堀正雄

    赤堀参考人 私の監査報告が従来の場合と比較いたしまして不完全であったことは十分承知しております。そしてその性格は、この前の委員会におきまして大臣みずからおことばがございましたように、中間報告的なものでございますので、できるだけ早い機会におきましてそのときの情勢に応じた意見を出していきたい、そのように考えております。いつごろかということでございますが、いま明確にいつというお答えを申し上げることはできませんが、できるだけ早くこのことははっきりさせたいと思います。
  89. 高橋重信

    高橋(重)委員 ずっと集約してみると、できるだけ早く、できるだけ早くで、いつということがはっきりしないわけですが、これはまあやむを得ぬといたしまして、私は早急に出していただきたい。やる気がなければこれは一月たってもできないし、やる気さえあればある程度拙速でもやむを得ないのではないかと思うのです。そういう点ひとつ努力していただきたい。  それから、特に共済組合田中さんのほうにお願いするわけですが、三百二十万の内訳、これも私は大問題だと思うのですよ。これは、警察もこれを知ってみえるか知ってみえぬか知らないけれども、実際こういう領収書なしで処理されるというようなこと、一ぱい飲むのに一晩に十何万かかるというようなこと、本人が領得の意思がなかったとしても、常識を逸脱しておると思うのです。普通は、夕飯くらい食べるなら、一人当たり二千円か三千円で済むのですから、そういう点からいって、この問題は私はもう少しあなたのほうで調べていただいて、詳細を出していただきたいと思います。これはくさいものにふたをするということではなくして、明快にしていただきたいと思うのです。  それから、日原さんのほうにお願いしますが、警察にはこういうものがいっておるわけですか、三百二十万の内訳は。
  90. 日原正雄

    ○日原政府委員 私どものほうは私どものほうで調べておりますが、その書類は、この前の委員会で私どもはいただきました。
  91. 高橋重信

    高橋(重)委員 この前の委員会で見られたというのですが、そうすると、この謝礼金の九万円の領収書とかあるいは分筆料の一万一千百五十一円の領収書、こういうようなことはあまり警察では問題にならないのですか。
  92. 日原正雄

    ○日原政府委員 その内訳とそれからその証拠書類については、私は詳しくはまだ報告を受けておりません。
  93. 高橋重信

    高橋(重)委員 私が聞いておると、私はほんとうに国会もしろうとだし、法律もしろうとだから、領得の意図さえなければ背任とか、横領は成り立たぬ、こういうような説明で、警察当局としてはにせの公文書作成行使ですか、それだけで送ったというのですが、私はこういう謝礼金に領収書がないのは普通ではあり得ぬと思うのですよ。そういうものが認められていく。あっせんしておる水野杏一という教育委員ですね——共済組合岐阜県支部は教育委員会の総括のもとに運営されているでしょう。その委員長ですよ。その委員長にこういう十六万の謝礼金を出すというようなこと、また取るほうも取るほうだが、そういうことは許されるのですか。警察どうですか。
  94. 日原正雄

    ○日原政府委員 先ほども申しましたとおり、横領罪背任罪、詐欺罪というようなことになりますと、被疑者本人意思という問題があるわけでございます。したがいまして、いろんな証拠書類とそれから被疑者本人の供述を詳しく検討をして、そうして結論を出すことになるわけでございます。そこに判断のむずかしい点があるわけでございますが、その点は先ほども申しましたとおり、検察庁でさらに検討をしていただくことになろうと思いますが、一応私どものほうとしては、先ほど申したような罪名で送ったわけでございます。
  95. 高橋重信

    高橋(重)委員 私はもう一ぺん岐阜県本部へ、日原さんのほうから督励なり鞭撻をしてもらいたいと思うのですがね。私はしろうとで、こうやってみても、官庁で領収書もないものに金が渡されるということは常識で考えられぬと思うのですよ。東京はどうか知らぬけれども、私なんかがいままで関係しておる官庁で——十何万という金を領収書なしに渡されるというようなことですね、私はこういう点はやはり綱紀が紊乱しておると言ってもさしつかえないと思う。岐阜県の警察も、数の少ないところを努力してやってはおるだろうけれども、やはりあなたのほうで、中央のセンスの高いところで指導なり鞭撻していただいて、こういう問題ははっきりしていかぬと、警察の威信がなくなり、あるいは不信感というものが出てくると思う。本人は、何もないんだ、領得する意思を持っておらなかったからいいんだということで、肩で風切って歩いているという。普通の教育者ならば、そういううわさが出るだけでも、デマが出るだけでも、——火のないところに煙は出ない、李下に冠を正さず、そうしてこそ初めて青少年の教育なり道義の高揚というものができていくと思うのです。私はそういう点で、ただ人を幾らでも言いくるめてもやっていけばいいんだというような、そういう気風を警察当局が助長しておるんじゃないかというふうに、私自身思うのですけれども、そんなことないと思いますけれども、やってもらっちゃいかぬと思う。だから、私は何べんも言うように、あれだけの大きな問題を一人も逮捕せずにやってしまって、それで私が十六日にボーンとここで質問したら、十七日に初めて捜査に行った。われわれはもっと良心的に、十日の日に警察本部へ、資料なんか持って行って協力したのです。いまから考えてみると、そういうものが向こうへ筒抜けに抜けてしまった。警察にはへたなことは協力できぬじゃないか、私自身は率直にそういう感じを持っておるのです。私は、早くやってもらえるだろうと思って、全部さらけ出したんですよ。私自身も一まつの失望感を持ったわけですが、その点、日原さんひとつ。
  96. 日原正雄

    ○日原政府委員 失望感を持たれてはまことに困るので、それは今後ともひとつ期待していただきたいのですが、一つは、この事件お話のような事情で捜査も非常に早くやったという関係で、それだけはとにかく証拠を押えておかなければという関係で捜査を早くやりまして、その点で、あとは任意捜査ということにいたしたわけでございますが、それは書類関係もそろっているということでやったわけであります。  それから、いまのにせの公文書作成行使で送りましたのも、やはりこういう事件は、そうのんべんだらりと捜査をしておるのではなくて、早く処理をして、早く結論をつけるということが一方において必要なわけでございます。いろいろ一つ一つの問題をとらえてまいりますと、私も一々詳しく検討しておりませんが、もしお話の点で疑義がありますと、さらに警察として調査をいたさなければならぬような事項がありますれば、私どももすみやかに調査もいたします、捜査もいたします。ただ、この件についてはすでに一件書類はすべて警察庁にいっておると思いますので、その点では一応検察庁が捜査をしておる事項でございますので、それとにらみ合わして考えなければならぬと思います。
  97. 高橋重信

    高橋(重)委員 ぜひひとつ調査してやってもらいたいと思うのです。最初手付金を三十八年の九月二十三日に百二十万借りた。それから一カ月後の十月二十二日に、どんどん売る人ができたもんだから、水野杏一が五百二十坪買うために百六十をふやした。それが総務課長塩谷義雄個人の名前で借りたわけです。日歩一銭五厘。その後伊藤一郎が千三百万借りたわけですが、これは日歩二銭五厘。塩谷義雄が一銭五厘で、共済組合支部長という名前をかたって借りて二銭五厘、いかにも差があるじゃないか、こう言って、きょうは見えませんが、大蔵省の銀行局に聞いた。そうするとこの間も説明されましたように、裏担保が六百万入っておって、担保が入っておったから一銭五厘だと言われた。大蔵省関係調べて、銀行の利息は幾ら安くしてもいいのか、そう言った。そうじゃない、採算が成り立たない、日歩一銭五厘では、年五歩五厘の定期になるのだから、それでは銀行は成り立たないのだから、必ずこれは担保が入っておるに違いない。担保が六百万入っておったのです。この問題は、大蔵省もどこかの圧力がかかって、先般はひっくり返されたのですが、警察のほうで調べてもらいたい。県会で問題にしたときには、本部長が電話をかけて調べたという程度でありますが、共済組合支部長が二銭五厘でしか借りられぬというのに、一銭五厘で借り出しておるということはあり得ぬと思いますが、その点、ひとつぜひ御調査願いたいと思います。  それから津田さんにお願いいたします。この前もお願いいたしましたように、事教育界の問題ですから、教育界は四月は新学期が発足するのですから、やはり新学期には新しい気持ちで、疑惑とか、そういうものを一掃した気持ちでスタートしたいと思います。特に私も岐阜県におるわけでございます。岐阜県の教育界自体がそういう気持ちでおると思いますので、殺人犯だとかいろいろあって忙しいだろうと思うのですが、検察庁で精力的にひとつやっていただいて、これが五月にも六月にもなるということじゃなしに、ぜひやってもらいたいと思うのですが、いまの見通しはどんなものですか。
  98. 津田實

    津田政府委員 今月の七日に送致を受けた事実でございますが、送致事実は、先ほど警察庁のほうからお話しのように、文書関係違反になっておるわけです。しかしながら、関係事項をもちろん課査いたすわけでございます。相当記録も押収されておるようでありますから、かなり調査に時間を要するというふうに思いますが、前回もお話がありましたように、この捜査を促進するようには、検察庁のほうへ申してございます。
  99. 高橋重信

    高橋(重)委員 まだ質問を続行いたしたいと思うわけでありますが、時間がきておるそうで、たびたび委員長から催促がきておりますから、私協力さしていただきまして、ここで一応打ち切らしていただきます。
  100. 八木徹雄

    ○八木(徹)委員長代理 田中赤堀参考人には、お忙しいところを長時間御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして委員長から厚く御礼を申し上げます。      ————◇—————
  101. 八木徹雄

    ○八木(徹)委員長代理 国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。川崎寛治君。
  102. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 提案をされています国立学校設置法改正案によりますと、宇都宮大学ほか六つの国立大学に大学院を設置されることになっておるわけであります。今度の七つの新設の大学院を加えまして、現在全国の国立大学の大学院が設置をされているところと、あと残っているところは幾つになりますか。
  103. 杉江清

    ○杉江政府委員 修士課程の研究科の設置状況を申し上げますと、三十八年から順次この設置を進めてきたわけでございますが、三十八年度、三十九年度、四十年度、四十一年度で五十三の研究科を設置してまいりました。大学別に言いますと、七十三のうち国立においては四十三大学に大学院を置いております。
  104. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 そうするとあと二十残っているわけですね。新しい戦後の学校制度になりましてから、大学院の設置ということについては、最近文部省としても力を入れておるわけでありますけれども、今日の大学の混乱といいますか、大学というものが占める役割りというものは、科学の非常に急速な進歩をいたしております今日の世界の情勢の中でたいへんに大きな問題だと思うのです。そういう世界的な視野から見ますならば、今日の日本における大学院の拡充強化という問題は、文部大臣が二十一世紀への展望というふうな形で所信を表明されています根本方針からしますならば、たいへんにテンポがおそいと思うのです。その点いかがでありますか。これを全部整備し終わるには、何年計画でやられる予定ですか。
  105. 杉江清

    ○杉江政府委員 大学教育の充実、ことに研究者の養成、また高度の職業人育成という見地から、大学院の増設については、この数年来特別に骨を折ってまいりましたし、今後とも努力をいたしたいと考えております。ただ大学院はやはり最高の学問の府でありまして、これが設置については教官組織において最も充実したものが整備されていなければならないわけであります。またそういった高度の研究者、職業人の養成についても、これはやはり需要面を考える必要があるわけでございます。すべての分野において大学院の卒業者を、多く要求している、実際消化されるという実情でもまた必ずしもないのです。ことに文科系においては定員を下回っておるところもかなりあるというような事情もあるわけであります。これが設置については、基本的には拡充の方針を今後ともとってまいりたい、しかしそういった諸般の状況を勘案して、この設置は急ぐべきものでなくして、着実に前進する、こういう基本的態度でいくことが至当であると私は考えております。
  106. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 量的な問題ではなくて質的な問題だ、こういうふうにいま局長は答弁をされておるわけであります。なるほど世界の情勢を見ますと、アメリカなりソ連なりというところにおいては、質的な充実というものに国家の財政的な援助をきめて強力に行なうことによって進められておるわけです。今日の世界の学問の中心というのがアメリカないしソ連を中心にしておるという実態は否定できないと思うのです。そういう中で、高度の職業人の養成という点からいうならば、いま需要が必ずしも満たされない。こういう点で、テンポを早めることよりも、つまり量的なものよりも質的な問題なんだと言われておりますが、しかしじゃ質的にどういう点に重点を置いていくということになるのか。毎年出てまいります国立学校設置法を見ますならば、ただ機械的にそれぞれの当該大学からある要請に対してある程度こたえていく、こういうことで終わっているのじゃないかと思うのです。その点、文科系統については卒業生を十分に吸収し得ない、こういうふうな点も言われたわけでありますが、それならばどこに重点を置いて質的に強化しようとしておられるのですか。
  107. 杉江清

    ○杉江政府委員 やはり修士課程につきましては、法学部、理学部等に重点を置いてその設置を進めるべきだ、かように考えております。なお設置する場合には、私先ほど申し上げましたように、設置に値する内容の学部でなくてはならない、この点を最も重要に考えておるわけであります。やはりあくまでも質の充実を考えるということが大学院設置の基本的態度であると考えておりますので、そういった十分に大学院の府に値する教官組織の整備という点を考えて、この大学院の質の確保という点に最善の努力をしておるわけでございます。
  108. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 日本学術会議が昨年の秋科学研究五カ年計画というものを文部省に出しておられるのですが、これに対して文部省としてはどういうふうにその学術会議の問題提起というものを受け取られ、検討されておりますか。
  109. 杉江清

    ○杉江政府委員 基本的な方向としては私は正しいと思いますし、また一つの努力目標を示しておられるわけです。ただ実際問題として、日本学術会議の意向そのままを直ちに実現さすには多くの困難があるわけでありまして、あのような御意見を十分参考にし、尊重しながら、大学院の学術研究推進に努力したいと思います。
  110. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 現在大学院の入学者は、入学定員のどれくらいですか。
  111. 杉江清

    ○杉江政府委員 やはり大学においても大学院への入学者については十分厳密に選考しておられる、そういうことが反映いたしまして、現実に大学院に入っておる者は定員よりも下回っております。理工系について大体九割程度、法文系についてはおおむね三割程度かと承知いたしております。
  112. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 そうしますと、大体平均をしていけば、理工系のほうは一応九割で、理工系においてもなおかつ一〇〇%満たし得ない、まして法文系においてはわずか三割だ、こういうことでは、最高の頭脳を育成しようといってもなかなか計画どおりいっていないということが、ここでははっきり出てくるわけですよ。なぜこんなに定員を満たし得ないという実態が出てきておるわけですか。
  113. 杉江清

    ○杉江政府委員 ただいま私が申し上げたのは、私学を含めた数字でございます。法文系といえども、国立においては七五%程度の入学者を見ておる現状でございます。  定員よりもなぜこのように下回っているかということについては、私は複雑な原因があると思います。ことに私学においては、大学院は設けられておっても、そこの教育に対するいろいろな意味の信頼感が必ずしも高くないというようなこともその一因をなしているのではないかと私は思うのであります。国立におきましては、最も大きな原因は、やはり大学院においては入学者の選考をきわめて厳密に行なっておられるということ、それから法文系については、そういった態度に加えて、いままで研究者の需要が必ずしも多くなかったということが、大学院に来る志願者を少なくした一因だと私は思います。と申しますのは、たとえば経済等におきましては、必ずしも大学院まで卒業してくる者を学部卒業よりも強く要請するという社会情勢はないわけであります。むしろ経済学部等における大学院は、研究者養成という色彩がどちらかといえば強いのであります。しかしそういった法文系の量的拡充は、国立においてはいままであまりやってこなかったというようなことが、その志願者をも少なくする一因をなしてきたのじゃないか、かように考えます。
  114. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 私はそれは非常に形式的だと思うのです。もっと中身の問題に立ち入って考えるならば、そうした面も一面あるでしょうけれども、大学院に入って、大学院でさらに勉強するという体制が今日の日本の中にはできてない、こういうことが私は一番大きい原因だと思うのです。つまり修士課程、さらに博士課程、こういうぐあいに伸びていくというために十分に安心して勉強できるという、それだけの体制にないわけです。その点、ただ単に試験が厳密であるからとか、あるいは需要が必ずしも多くないからこういう低い次元でとどまっているのでは、ほんとうに最高の頭脳を育てていくということはできないじゃないか、そういう意味からいたしますならば、大学院に入って勉強しようという者が安んじて勉強できる、学問のできる、研究のできる、そういう体制というのが必要ではないか。この点文部省として抜本的に改正をしていく考えがあるのか、あるいはいまのある程度の奨学金制度だけでやっていくつもりなのか、その点いかがですか。
  115. 杉江清

    ○杉江政府委員 確かに大学院に来る者がそれほど多くないという現状の一つの大きな原因は、やはり生活上の問題があろうと思います。二年以上も研究に没頭するということはかなり大きな負担であります。この問題の解決は、高度の研究者、高度の科学技術者の育成という大学院の充実のためには必要なことだと思います。文部省としてもその点を考えて、育英奨学における大学院の対象人員を最近重点を置いてふやしています。まだしかし十分ではございませんけれども、この対象学生の範囲を拡大するということについては今後とも十分努力をいたしたいと思います。
  116. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 日本学術会議の科学研究五カ年計画によりますと、自然科学系の定員は現在の倍にしろ、倍にしてほしいんだ、こういうことを言っております。これは過大ですか。
  117. 杉江清

    ○杉江政府委員 私は、今後も社会の発展、科学技術の進歩、向上という長期的な見通しの上に立てば過大であるとは考えません。
  118. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 現在博士課程の卒業者が約三千名不足しておる、こういうふうに学術会議のほうでは言っている。しかし需要がないと局長のほうは言われた。そういたしますと、学術会議のほうが考えておるこの科学研究五カ年計画というものが現実にそぐわない、こういうお考えですか、それとも日本の学術体制を前進させるためには、学術会議のその検討というものは、文部省としては十分にこれを消化をするとかあるいは具体化するということについて検討をしておられるのかどうか。いかがでありますか。
  119. 杉江清

    ○杉江政府委員 長期的見通しに立てば大学院等は今後ともふやしていくべきだと私は思います。ただ大学院の教育はあくまで質の点を考うべきだと思います。量も要求されますが、それ以上に質を高くするということが必要であり、社会もまたそれを求めていると思います。そういう意味におきまして、この質の充実という点を最重点に考えてやるべきだ。だから端的に言いまして、大学学部とはその点では環境を異にする。そういう意味で、条件の整備ということを考えて増設を考えていきたい。しかし、それにしても今後ともふやしていくべきものだ、かように考えます。
  120. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 条件の整備とは具体的に何ですか。
  121. 杉江清

    ○杉江政府委員 やはり大学院の教育を担当するに必要な教官の整備ができるかどうか、それが最重点であります。それから施設設備の整備、現在大学院の教育についての施設設備の整備は残念ながらまだ十分ではございません。それらを今後整備していかなければなりません。それから、大学院に学ぶ者の生活の問題を考えてやる必要もある。私は以上の三点が最も大きなものじゃないかと考えております。
  122. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 大臣にお尋ねしたいのでありますが、文部省としては一つの展望なり計画なりを持ち、一方大学は学問の研究あるいは大学の自治、こういう大原則があるわけです。そういたしますと、非常に高い、そうした科学者を養成していくということについては、一方では、裏づけとして財政措置が必要になるわけですね。そうしますと、今日のような——後ほどこのほかの部面で文部省の計画と具体的な社会の進歩というものとの食い違いから起きている問題点について触れますけれども、今日のこうした社会経済構造の変化、これは政府与党としても、所得倍増計画なりあるいは中期経済計画なりにしても、その期間が来ないうちに変更せざるを得ないというように、それほど変化が激しいわけです。一方では、それに伴う職業構成というものの変化もきわめて激しいわけです。そういたしますと、大学がそうした学問の研究、また大学の自治という原則に乗りながら、世の中の移り変わりというものを展望しながら、ただいま局長の言われた、そうしたハイタレントを養成していくということについては、大学だけではこれはよくなし得ないわけです。教員養成の問題については後ほどお尋ねしたいと思いますが、この点についてはたいへん御熱心にいろいろと国家統制的な進め方がなされておるわけだけれども、ただいまの大学院の拡充強化という問題については、決して世界的な国際的な趨勢からしますならば、文部省のいまの施策というものは十分ではない、それは量的な問題ではなくして質的な問題においても不十分だ、こう私は思うわけです。そういう経済構造あるいは職業構成の変化というものを見通しながら、なおかつ大学において高度の科学者を養成していくためには、当然大学と文部省との間において十分な検討がなされなければならないと思うわけです。この点について、文部大臣としての基本的な方針をお聞かせ願いたいと思います。
  123. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 確かに量の問題も必要といたしましても、まずそれに先んじて現在ある大学院の施設設備、ことに研究施設等についての充実について、われわれといたしましては大いに努力いたしたい、そうしてできるだけ高度の科学者の生まれるような状況をつくっていく必要があると思うわけであります。反面この量の問題になりますと、現状でも、国立大学で大体大学院の定員に比較しますと七五%程度であるという現状でございますので、問題は、社会全体の社会情勢の改善ということが非常に必要かと思います。もっと日本の国が経済的によくなって、そうして十分に研究にいそしめる体制というものが社会情勢としてできることが量を解決していく基本ではないかと思います。しかし、それをただ待っておるわけにはまいりませんから、先ほど杉江局長からも申し上げましたように、できるだけそういう高度の研究をする能力があり、また希望のある者に対しては育英制度の活用等をいたしまして、そうして研究の助成といいますか、助けをしていく道を一面構じていく必要があると思いますので、そういう方向でわれわれとしては今後とも高度の科学者養成のために努力をしてまいるべきものである、かように考えております。
  124. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 毎年の予算というのは六月ごろに予算の方針がきめられて、そして、いろいろと各大学とも直接に折衝されて固めて、年末あるいは年初めに政府案なりとして固まってくるわけです。そういたしますと、実際にはこの問題は金の裏づけがなければどうにもならぬ、こういう問題です。ところが、そうした財政的な権限というものを政府が握っておる。大学当局にはないわけです。ところが、こうしたハイタレントの養成、あるいは学術研究の体制の確立というものを進めようとすれば、これは長期のものになるわけです。つまり、ここで毎年毎年区切られていって、そうして、与えられたもので消化していく以外にない。こういう実態にあるわけです。ですから、大学が学校教育法で教授会の権限等もきめられておるけれども、そういうものがそういう根本の計画樹立という面においては無力なんですね。中このことが実際には今日の日本の学術振興という上においては私はたいへんな障害になっておる、こう思います。ですから問題は、先ほど申し上げましたような、そういうスピードの速い経済構造なり社会構成なりあるいは職業構成なりの変化というものの展望に立ちながら、なおかつ大学自体が長期的な財政計画というものに参加をし得る、こういうことがなければ、御答弁になるような方向では実際には進んでまいらない、こう思うわけです。その点を、つまり大学に長期的な責任のある財政計画を立て得る、そういうシステムに前進をさしていく、あるいは持っていく、こういうことについての必要性を痛感するわけですが、そういう権限を与えることについて文部大臣いかがでありますか。
  125. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 御指摘のように大学も財政の権能はありませんし、文部省もないわけです。結局、いまの制度では大蔵省が予算編成権を持っておりますから、大蔵省に所要の予算要求をし、その予算の確保をして事を進める以外にはないわけです。  そこで、川崎さんの御指摘は、たぶんそういった学問の水準を高めるための教育施設等を充実していく長期計画を立てたらどうか、その必要があるのじゃないか、こういうお話と思いますが、この点は確かにそういう点も考えられますが、道路をつくるとか河川の改修をするとかという物的なものと違いまして、そういうものならば、長期計画を立てて十年計画でどういう年次計画でやっていくという方法が立ちますが、学問研究の場合でございますと、そうもまいりませんので、文部省の役目としては、できるだけ各大学で研究をしておりまする実態というものを、学術担当の審議官の努力によって、あるいはその部下の動員によりまして実態をできるだけ把握をし、どこの大学ではどういう研究をして、あの研究というものがさしずめ非常に必要である、あるいはその研究を遂げるためにはどういう程度の施設が必要であるというような実態をある程度持っておって、そして、各大学の要望にこたえて、われわれはそれに沿うような予算措置をするのが文部省の役目であると思うのであります。そういうことで努力を続けておるわけでございますが、なかなか熱心に研究をされるそういう大学の研究機関からしてみれば、おそらくどこもここも全部が満足の状態になっていないというのが状況かと思うのです。そこで、そういう不満足状態に置かないで、できるだけ満足に近い状況を築くために、文部省としては大蔵省とも折衝の上で極力努力をいたしたいと思う次第であります。  ただ、国立学校の特別会計の制度ができましたから、この特別会計に総額として一般会計から幾ら繰り込んでもらうかというような総額の努力も一面必要で、その総額がきまってくれば、必要性の度合いというものを文部省で実態把握をしておれば、この特別会計のふところが相当大きいのですから、この範囲内でできるだけ操作をして、時代の要求に沿うようにつとめていかなければならない、こう思っておりますが、特別会計という一つのふところができたということが、これからは非常に期待し得る一つの点でございますが、どうも長期計画というようなものを各大学ごとに立てさして、それをわれわれが取りまとめをして——長期計画となりますと文部省だけで決定できませんで、やはり財政当局がそれにオーケーを与え、あるいは閣議決定について各関係閣僚が了承しなければ長期計画というものはできませんから、そういう意味では長期計画というものは、考え方としては成り立つ問題でございますが、困難かと思うわけであります。
  126. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 道路とか橋は長期的に立つけれども教育のほうは、——これは根本の考えが少し違うのじゃないか。教育のほうがもっと長い先を展望しなければならないし、また人間を対象にしておるわけですから、この点については単年度で検討していくわけにはまいらないわけです。ですからいまの点は、今日の財政状況の中で縛られ、きわめて困難であることはわかりますけれども、しかし、そういうことではいつまでたっても今日の事態を脱却できない、こういうことになってまいるわけです。でありますから、長期的な展望も立ち得る方法というものをぜひ検討してもらいたいと思います。
  127. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 いま申し上げたような次第で、長期計画というようなものは立てにくいのでありますが、長期の展望の上に立って理工科はどうする、何の研究はどうするというような展望は、確かに見当をつけていかなければいかぬと思いますから、この点はそういう方向で努力をいたしたいと思います。
  128. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 これは私先般も高橋委員質問に関連してでしたか申し上げたわけでありますけれども、大学急増の問題等についても、本委員会においては検討中だ、あと予算がきまってから出されまして法律改正となり、承認をしてくれ、こういう形で常に繰り返されてまいるわけです。ですから、今日の教育の問題にしましても常に進められておりますのは、行政の強化のほうが進められておるわけです。なかんずく教員養成関係にそれが強力に出てまいっておるわけです。この点は先ほど大臣がそうした基本的な態度について御答弁になったわけでありますけれども、法律なり予算を中心として監督をしていけばいいのだ、こういう態度であってはならないと思うのです。ですから、その点はただ単なる監督行政の強化ではないのだという点について明確に大臣の所信を御表明願いたいと思います。
  129. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 それはもうお説のとおりで、でき得るだけ一つの基準は文部省としてきめていかなければなりませんが、基準をきめた以上は、その基準の内容の充実については、監督行政どころではない。実際に親身になって努力をしていくのが文部省の役目であると思います。また教員養成につきましては、御指摘もございましたが、義務教育あるいは中等教育というものは、教育の基本的な問題でございますから、これらにつきましては、できるだけ優秀な教員を養成し、また優秀だけでなく、その教育を担当するのに必要な科目の履修をしていただきまして、教育内容が、一番基盤である義務教育、中等教育等の段階で整えられるようにつとめるのも、これまたわれわれの役目であると思いますので、今回の改正案の中にもその趣旨が織り込まれておる次第であります。どうかひとつ御審議をいただきまして、御理解を賜わりたいと思っておる次第でございます。
  130. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 局長にお尋ねいたしますけれども、七十三の国立大学の事務局長というのは、全部文部省から参っておるのですか。
  131. 杉江清

    ○杉江政府委員 文部省にいた者が局長になっているかという御質問趣旨であれば、そうではございません。そういうものもおりますが、そうでないものもございます。   〔八木(徹)委員長代理退席、委員長着席〕
  132. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 それでは具体的に数字をお尋ねします。七十三の大学のうち、つまり従来その国立大学にいた、地元で事務局長になっているのと、こちらの中央から派遣された事務局長の比率をひとつ。
  133. 杉江清

    ○杉江政府委員 いま資料を持ち合わせておりませんので、あと資料をつくりまして……。
  134. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 大体の比率はどれくらいですか。
  135. 杉江清

    ○杉江政府委員 本省におって局長になった者が、数としてはかなり多いと思います。
  136. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 私がなぜこういうことをお尋ねするかと言いますと、予算編成方針をお立てになる過程で、あるいは大学にそれぞれの御注文をなさいますときに、この事務局長を通していろいろな圧力が文部省からかかっているのですね。私はそれを具体的に見ているのです。つまり大学の自治とかそういうことを言いながら、とにかく予算に弱い、それが事務局長を通して実際にはいろいろな関係で締められておる。つまり大学に対して文部省の権限をいかに強く及ぼすかということは、これは文部省の多年の念願だと思うのです。そういう意味で、どういうことがあったかというと、いろいろありますけれども、これを聞かなければこれだけの定員はふやさないというふうな形で圧力のかけ方というものが、事務局長を通してなされておる。ございませんか。
  137. 杉江清

    ○杉江政府委員 予算編成にあたっては、あらかじめ基本的なかまえをお示しして、それに基づいて各大学で予算要求をされるわけですけれども、そのときには、私どもが大蔵省へ提出しようと考えているそれをはるかに上回った大きな要求が出てくるわけであります。それをいろいろな観点から分析して、私どもこの程度は要求してよかろうという線までまとめあげるわけですが、そういう過程においては、いろいろ大学と御相談の上、その案を圧縮していただくわけであります。またその要求自体としては、ごもっともだと思われる点も、やはりそのときの予算編成の一般的な方針があるわけであります。そういった基本的な方針から見てどうかと思われるものについては、これはこの際はひとつ御勘弁いただきたいというようなことも申し上げているわけであります。私ども大学行政を担当いたします者としての基本的なかまえは、大学の自主性を尊重していきたい、こういう基本的なかまえであります。ただ実際の事務を処理いたします際には、大学の御要望をそのまま受け入れることはできない事情がありますので、そういった際にはいろいろお話をお伺いしながら、案を詰めていくということが現実に起こるわけであります。そういうふうな際に、起こっている事態をあるいはいまのようなお感じでおくみ取りになったかもしれませんけれども、私のほうの意図ないし立場というのは、以上のようなことでございます。
  138. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 大臣にお尋ねしますけれども、二月十五日の閣議で、文部大臣から早稲田大学の紛争の経過について報告をなされておるわけですね。これと関連をしまして、大学の管理責任を明確化する必要があるのではないか、こういうことで、佐藤総理も大学当局の管理権の実態や学生運動の動向を考慮して検討すべきである、こういうふうに言われ、文部大臣も、これは私学の問題に関連しているわけですが、私学振興のため適当な助成措置を考える、一方大学全般のあり方については検討を加える必要があろう、こういうふうにして、かつて大学管理法案ということで非常にもめたことがあるわけでありますけれども、そうしたものを予測させるような発言を、この二月十五日の閣議で文部大臣はなされておるわけです。この点真意はいかがでありますか。
  139. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 かつて計画されたことがあるそうですか、大学管理に関する管理法といいますか、そうしたものを予測させるような発言は私いたしておりません。また私自身もそのようなことを現在考えてもおりません。ただ早稲田大学の事件の状況を——状況といいましても、私どもも新聞に出ておること以上には、大学の自治の関係もありますから承知いたしかねるわけでありますが、とにかく毎日新聞をにぎわしておった最中でございますから、実情はこんなふうであるようだという報告を私のほうからいたしました。これに関連しまして、いろいろな閣僚から、まあ雑談的な意見が出まして、その中には国の助成もいいけれども、もっと管理態勢がしっかりしなければいけないんじゃないかとか、あるいは学校法人というものが、幼稚園を経営している程度の小さい学校法人も、非常にマンモス化した大学の経営をする学校法人も、法人法が一本である。小さいものから大きな、非常なマンモスまで、同じ一つ学校法人の制度でいっているのが大体おかしいのじゃないか、やはり大きい規模のものをやるには、大きい規模のものをやるような学校法人の制度が必要じゃないかとか、いろいろな議論がそこで出たわけでございます。決定的な結論は、何も正規の議題ではありませんからあったわけではありません。結論としましては、私の申し上げたことは、いろいろ皆さんからも御意見があるが、私立学校に対する援助はどうあるべきかということについてはいろいろな問題点がたくさんある。国が援助するならばどういう援助のしかたがいいのか、あるいは現金で援助するためには、私立学校は私立学校の使命に従って民間の寄付金を得て、そうして授業料にたよらないようにしてやるのも一つ方法である。それには免税措置が必要になってくるし、いろいろな角度の問題があるので、これらは文部省なり政府として、これがよかろうときめてかかることは適当でないので、そのために制度として去年から私学振興方策調査会も法律でできて、目下専門家の方々、また私立大学の関係者等も委員になって熱心に取り組んで研究しておられるのだから、これらの人たちの研究の成果を待って、われわれは善処するようにするのが妥当であろう。ここでいまどういう方法がいいということはきめかねる筋合いであるというような発言を私はしまして、それで閣議のその話題は終わったわけでございます。よけいなことをつけ加えましたが、結論的に申しますと、大学管理法というような法律を私自身も考えておりませんし、それをにおわせるような趣旨の発言はいたしておりません。
  140. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 その点は確認いたしたいと思います。  そしてさらにもう一つ確認いたしたいと思いますが、学校教育法もそうした広範にわたっておる問題ではいけないのじゃないかという御意見もあった、そういうことでありますが、そのことは、さらに学校教育法の改正をそういう面で分けて改正をするというふうな考えはないということでございますね。
  141. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 そういう意見等も拝聴しましたが、私どもも常識的に考えますと、なるほど今日のように、何万の学生あるいはところによって十万人にも近いような学生のおるところの学校法人も、百人か二百人の生徒を相手にしている学校法人も、同じ制度でいいか悪いかについて、大いに疑問を持っております。しかしまだ文部省としては具体的にそれに対する用意があるわけでもありませんし、別段こういうふうな学校法人の制度を変えたいという具体策を持っておるわけじゃありません。
  142. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 ちょっと前に戻るわけでありますけれども、大学院の問題で、いろいろ教科拡充の方向についての根本的な方針が述べられたわけでありますが、やはり今日の事態の中で、つまり旧制大学の問題が今日の学術研究の体制確立という場合には一つ大きな問題になるわけで、それが大学院ということで整備をされつつあるわけです。しかしきわめて不十分な状態にあるわけですが、大学院を独立をさせて、そして拡充をしていく、こういう考え方はございませんか、大臣には、とれませんか。
  143. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 その御意見は、私の聞いておるところでは、前の天野貞祐さんあたりが大学院大学というものをつくって、そうして全国の各大学を卒業した優秀な人をその大学院大学に統合して集めて、門戸を開放して、国立だろうが私立だろうが、あらゆる大学の出身者を、優秀な者をそこへ集めて、大学院大学という権威あるものをつくったらどうかという御意向があるように私は聞いております。これも確かに一つの考え方であると思います。またいまの新制大学が発足するころに、天野さんあたりはそういう主張をされたこともあるようです。たとえば旧帝大のようなところは大学院大学にして、一般の新制大学は扱わない。新制大学はほかの大学にやらしておいて、旧帝大のようなところは大学院大学になって、各大学から出てきた者を集結して高度の研究なり勉強をさせる、こういうような機関がいいのじゃないかという説が当時あったということを聞いております。私どもも、これは確かに一つの大きな構想として考えられる線ではあると思いますが、なかなか大問題で、具体的にわれわれがこれをいま取り上げようというようなところまではまだ全然考えておりません。これは社会全体として一つの研究課題ではないか。いまの新制大学ができるころにそういう意見も一部にはあったというように聞いておりますから、研究されるべき課題であろう、こういう程度に私も心得ておるわけであります。
  144. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 局長、文部省当局としてこういう点の検討はなされていませんか。
  145. 杉江清

    ○杉江政府委員 大学院だけの大学をつくるということは現在のところ考えておりません。また具体的に検討もしておりません。ただ、大学院のあり方として、できるだけその大学の中における位置を明らかにして、できるだけ独立した教官組織を整備し、独立した施設、設備を持つ、こういうふうな点が大学院の整備という観点から必要なことではないかと考えて、そういう方向の検討をしております。これは大学院の設置基準の問題になるわけでありまして、大体そういう方向で検討が進められておるわけであります。  結局その問題は、学部と大学院との関係をどういうふうに見るかという問題になるわけです。いまは大学院は学部の基礎の上に置かれるということで、それが非常に密接な関連を持つものとして考えられでおるわけですが、しかし大学院の整備には、大学院をもう少し独立的存在として認めた上で整備することが必要であろうというような方向で議論が進められております。ただこれを一挙に切り離してしまうということは、教育、研究上のいろいろな問題がありまして、にわかにできにくいことでありますけれども、そういう方向での検討を進めております。
  146. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 それでは次に教員養成の関係で、数学、理科の有資格教員が非常に足りないということになっておるわけです。三十六年に工業教員養成所というものが全国の九つの国立大学に設置をされておるわけです。ところが実際にはこの工業教員養成所というのは、事志と違った事態に立ち至っているのではないか、こう思うわけです。実情いかがですか。
  147. 杉江清

    ○杉江政府委員 確かに現状におきましては卒業者で教員になれる者、またなる者が、かなりその率が低下しております。そういう意味においてその存在意義は薄らいだと考えております。これはもともと発足当時、あの差し迫った必要にこたえるという趣旨で臨時的な性格のものとして発足したわけであります。すでに相当の年月を経まして、その機能を果たして、いまは発足当初に比べればその存在意義は薄らいでおり、これが存続について真剣に関係大学とお打ち合わせをしておるところでございます。
  148. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 四十一年度の卒業生の教職への就職状況というものを大体どのように見ておられますか。
  149. 安養寺重夫

    ○安養寺説明員 お答えいたします。  この三月卒業いたします者で、教員への就職を希望いたしましてすでに決定合格を見ております者は、希望者の約九三%でございます。なお三十名程度の者が教職に就職を希望いたしておりまして、県の採用試験等に合格をいたしておるわけでございますが、まだ採用の正式の決定を見ておりませんので、私のほうで、関係の府県に採用方を協力するように、いろいろと協議中でございます。
  150. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 それは、ことしの卒業生は何人ですか。
  151. 安養寺重夫

    ○安養寺説明員 第三学年次に在学いたしております者は、全員で七百五十六名ございまして、このうち、教員の就職を志望する者が四百九十七名、留年等で外へ出られない者が六十六名、したがって、それ以外の者は、大学または高専に大体内定をしておるとか、公務員になるとか、その他は民間の会社に行くというような希望を出しておるわけでございますが、先ほどの教員就職志望者総数で四百九十七名、決定者が四百六十一名、三月一日現在でこういう形になっておるわけでございます。
  152. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 今年度は、たいへん不景気で、わりに教職のほうには希望者がふえているはずなんです。ところが、それでもなおかつこういう状態に追い込まれている。当時、要望があった、だからつくったのだ、しかし三年せぬうちにこういうふうになった、そこで長期計画はできない、これでは、もう全くその場当たりの御都合主義に終わっていくわけですね。私はこの点を申し上げたいと思います。社会の要請だ、こう言われながらも、そういう臨時的な、その場その場をつじつま合わせるようなやり方をしていると、こういうことを繰り返してしまう。しかも、この卒業生というのは、八年間の計画で進められておるわけでありますから、いずれ閉鎖になれば学校もなくなるし、一生肩身の狭い思いをしていかなければならない。これは、大東亜戦争の末期においても臨時教員養成所というのがあって、数学等の教師は速成されたこともあるわけです。だから、教育全般の問題について、その場その場の態度ではいけない。もっとやっぱり長期的な展望の中で足取りをかたくやらなければ、そのときの要請に応じた子供たちは、一生暗いといいますか、肩身の狭い思いをしながら行く。たいへん遺憾だと思うのです。大臣いかがでございますか。
  153. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 確かにそういう感じがいたします。ただ、この養成所の卒業生が、いままでは相当時代の要請にこたえた役割りを果たしてきたわけであります。これも、今日では教員志願者が減ってきまして、その役割りを果たさないと批判される状況にもありますが、とにかく今日までその役割りを果たして、相当な要望にこたえてきたわけでありますから、今後のあり方につきましては、この養成所を受け持っております大学と十分連絡をさせまして善処いたしたいと思っております。
  154. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 昨年十月に横浜の国立大学の工業教員養成所の諸君はストライキに入ってしまったわけですね。そのときに、やはり政府の文教政策の失敗だといって悲痛な叫びをあげているわけです。この点については、いま大臣も、関係大学と十分に連絡をとって処置をいたしていきたい、こういうことでございますが、十年間に八千七百人の養成計画をしたわけです。そういたしますと年間約八百。ところが、四十一年の卒業生、つまり四十年度の第三学年在学生というのは七百五十六名である。約八百人ずつ養成をしていこう、こういうことでまいったわけでありますけれども、この十年間に八千七百人の養成をしようとした計画は、いまの大臣の御答弁からしますと変更される予定だと受け取ってよろしいか、どのように変更されようとしておられるか、お尋ねしたいと思います。
  155. 安養寺重夫

    ○安養寺説明員 お答えいたします。  三十六年度に九つの国立大学に工業教員養成所を設置いたしまして、総定員が八百八十。この教員養成としまして当時考えておりましたのは、工業高等学校の専門課程の増設並びにそれに伴う教官の増に充当しようということを考えたわけでございます。たまたま当時は大学の工学部を出まして工業教員の免許状をとる人が七百人程度というようなことでございました。かたわら今後の年間の需要が千名をはるかにこすのではなかろうかという明らかな推定があったわけでございます。こういう関係から、三年制度で暫定的に工業教員養成所を設けるという仕組みをしたわけでございます。したがって、最初の入学生は募集の時期等がおくれたという関係から数が少のうございますけれども、三年を経ました後、約八割の者が直接工業の教員になり、第二回の卒業生もほぼ同じような実績を示したわけでございまして、先ほど申し上げたような数字が第三回目の卒業生と相なるわけでございます。かたわら、自今工業科の専門教官の需要はどういう傾向をたどるかという推測でございますけれども、これは当初の計画に達しないというような推定がこの時点ではできるわけでございます。現在工業の専門教官が一万三千名ばかりおります。それの減耗補充と若干の需要増というものを、基本的にわれわれのほうの工業教員養成所の学生が充当さるべき数字というものに見込むわけでございますけれども、そういう関係から申しますと、当初の計画を多少ダウンせざるを得ないというような事態に立ち至ったことは事実でございます。こういうことから、現在工業教員養成所を設置しております九つの関係大学の所長ともいろいろ協議中でございます。すなわち、今後工業教員養成所をどのように考えていくべきかということについてすでは検討を始めておるわけでございます。自体、この養成所は当初七年ないし十年の間においてその存立について次の手段を講ぜざるを得ないであろうという見通しに立っておったような関係もございまして、まずその短いほうの期間で議論せざるを得なくなったというような実態にあるわけでございます。
  156. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 当初そういう計画で入ったわけですし、生徒たちもそういう気持ちで入ったわけですね。ところが、社会情勢の変化の中でこういう事態になってきた。実際には教師への完全就職というのが満たされないという事態になってきた。やっぱりここで考えてもらいたいこと、考えなければならないことは、これを制度的にまた変える。あるいは前進をさしてもらわなければいかぬわけですけれども、と同時にもう一つ考えなければならないことは、やはり完全な就職化というものをはかっていかなければならぬわけであります。そこで当然に問題になってまいりますことは、先般本委員会で可決されました高校定数法とも関連をしてまいるわけでありますけれども、高校定数法の改正によって、学級当たりの生徒数の減あるいは教師の担当時間の減少、こういうふうなことによって十分に満たしながらなおかつ工業高校の教育内容の充実と水準の向上、こういうことがなされてこそ前向きだと思うのです。その点大臣いかがですか。
  157. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 私もそういうように考えております。
  158. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 それであれば、当然に先般の高校定数法を今後抜本的に検討しなければならない、こういう初中局長の答弁もあったわけでありますけれども、それらはそういうものを含めて検討されてしかるべきだ、こういうふうに要望いたしておきたいと思います。  そこで、現実に工業教員養成所の問題については四年制大学への昇格希望、こういうものが養成所側としても強いわけであります。おそらくそういう要望が上がってまいっておると思うのでありますが、その四年制大学への昇格に対してどう措置をされようとしておるのでありますか。
  159. 杉江清

    ○杉江政府委員 御質問はその四年制の学部へ昇格ですか、編入のことをおっしゃっているのですか。
  160. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 養成所自体を昇格させるということです。
  161. 杉江清

    ○杉江政府委員 実は各大学と今後どうするかはもう三回程度にわたってその所長さんと御相談しておるわけでございます。各大学でもいろいろ検討しておられるわけであります。しかしいまの養成所をそのまま昇格してくれという御要望はむしろ少ないのでございます。わずかのものがこれを昇格して教員養成の学部にしてもらいたい、こういうふうな御希望が出ております。むしろ多くは教員養成ということでなく、ほかのものにこれを転化してもらいたい、あるいはほかの研究施設なりほかのものに、人と施設を転用したい、こういうようなお考えのほうがむしろ多いのであります。今後工業教員養成を恒久的にどうするかということについては、そういった個々の大学の養成所をどう措置するかということのほかに、最も基本的な問題だと思います。その点についても十分話し合いを進めてきたのでありますが、基本的な構想としてはやはり四年制の学部において工業教員を養成する、こういうような基本的な態度で具体的なお話し合いを進めておるわけであります。
  162. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 そうしますと、その現行制度のもとにおいても四年制大学への編入というものを認めてほしい、こういう要望が強いわけでありますが、その点いかがですか。
  163. 杉江清

    ○杉江政府委員 これは制度的にもその道を開いておりますので、何とかそういう具体的に編入ができるような方向で考えていきたい、かように思っておるわけであります。
  164. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 それでは次に教員養成関係の問題についてお尋ねしたいと思います。  現在の教員の必要数、四十三年度における教員の必要数というのは、小中高校別になりますとどうなっておりますか。
  165. 杉江清

    ○杉江政府委員 実はその必要数の算定についてはいろいろ定数法の関係もあるし、それから地方の特殊事情がありましてなかなか正確な算定はむずかしいのであります。私どものほうとしてももちろん養成計画を立てる上の一応の見通しは持っておりますけれども、いまここでその辺の需要数の正確な、——そのほうは初中局の問題でありますし、ちょっと私どものほうのなまの数字をここで申し上げることはいかがかと思って、ちゅうちょしておるわけであります。
  166. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 昨年の五月における小中学校の教員の不足数は何ぼですか。
  167. 杉江清

    ○杉江政府委員 昨年五月の教員の不足数というものについてもわれわれ正確な数字を持ち合わせておりません。
  168. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 少しあれだと思うんですよ。いれもののほうの法案をやってくれればいいのだ、こういうことでは問題なんですからね。まあ小学生が現在千三万あるいは中学生が六百四十七万、こういわれておるんですね、昨年の基本統計によれば。そうしますと、その中から四十三年度までに小中合わして約四百万減るだろう、こういうふうになっておる。ところが一方では定数法の年々の改正もあるわけでありますし、そうすると昨年の五月でどれだけ教員が不足しておるか、そうするならば、今後教員養成制度というものの拡充整備をやるのだ、そのための法案としてこの法案がかかっておるわけですね。ところでそっちのほうはほったらかしておいて、ただいれもののほうだけ何とかしてくれ、これでは魂が入らぬと思うのです。昨年の五月で小中学校の教員の不足は二千六百、こういうふうにいわれておるのでありますが、これはあとでひとつ正確にお調べいただいて御連絡を願いたいと思います。  そうしますと、四十一年の、つまりことし養成関係の大学なりあるいは一般大学なりに入った入学生が教職員としてつくのは四十四年になるわけですね。その場合の見通しはどうなんですか。
  169. 安養寺重夫

    ○安養寺説明員 御説明申し上げます。  昨年の四十年の六月一日現在の調査によりますと、大学、短大、大学院等新規に学校を出ました者で、小学校の教師に採用されました者が五千八百六十名、中学校採用されたものが五千八百十名、高等学校採用されましたものが一万五百三十名、かように、私どものほうの課の集計いたしました事務的な資料にあるわけでございます。これが本年度の新規の採用者であったわけでございますが、この時点におきまして、多少教員の不足ということがわれわれのほうに訴えられましたものは、大都市における小学校の先生の不足、こういうような問題が部分的にございました。その数字につきましては、先ほど来申し上げておりますように、明確なる数字ということでは承知いたしておりませんので、まことに申しわけないわけでございますが、まず小学校の先生の不足ということが一番われわれのほうとしては問題であるというように認識をしておるわけでございます。  なお、今後四十三年度までに至る間の教員の需給の傾向でございますが、一応いま申し上げましたような小学校の教師の充足というものについて、これは相当くふうを要するのじゃないかと思う。高等学校中学校につきましては、進学率等は別といたしまして、教師の需要の絶対数というものはダウンをする傾向にあるというぐあいに、一応数字的には推計されるわけでございますので、新規卒業生によって、いまほどの、そう大幅な供給はしなくてもいいのじゃないかというふうに考えられるわけでございます。国立の教員養成の学部は各府県に一つずつ、いろいろ名称、形態は異にいたしますがございます。そこの学部には小学校の教師になることを志望する者を入れるコース、中学校の各科の教師を志望する者を収容いたしますコース、あるいは高等学校の特別の教科、たとえて申しますと、音楽、美術、体育、こういったものでございますが、そういったものを志望します者をあらかじめ入れるコース、特殊教育の先生になる者を入れるコース等々がいろいろございます。教員養成の学部でございますので、一応当該地域のこれらの各学校の種別の教師の必要数を推計いたしまして入学定員を設定する、卒業させる、そして就職を考えるというのが筋になっておるというぐあいに心得ておるわけでございますが、四十三年度までの間におきまして、国立の教員養成の学部から小学校の教師の必要数の大半は供給すべきではないかというような考え方で、入学定員を用意しておるわけでございます。と申しますのも、現在、教員の免許はどこでもとれるという制度ではございますけれども、小学校の教師の資格取得というのは、まことにそのための用意がたいへんでございまして、一般の大学でこういうことをおやりいただけないという事態がございます。また国立の教員養成が、いままでの歴史的な経過からいたしましても、また大学という機構の内部そのものからいたしましても、こういう面にもっともその機能を発揮すべき目的と使命を持っておるわけでございますので、小学校の教員の必要数につきましては、国立の教員養成の学部の卒業者によってまかなう必要があろう、またそうならざるを得ないというような関連があるわけでございます。  中学校の教員の関係になりますと、これは一般の大学から相当数の志望がございます。そういう関係から、全国的にならしまして、約六割から七割の間の供給を国立の教員養成の学部で確保しよう、したがって、その他の部分につきましては、一般の大学から教師を志望する人たちによって大いに充当していただこう、こういうような考え方をとっているわけでございます。そのような関連で、関係大学の入学定員をセットしているわけでございます。高等学校につきましても、特殊教育の教員につきましても、考え方はほぼ中学校の場合に準じておる次第でございますが、一応そういう関係で、まず四十三年度までのそれぞれの地域における需給の計画のめどを立てようという考え方でおるわけでございます。  ただ、小学校の教師につきましては、先ほど当初に御説明いたしましたような事態が今後大都市周辺にも起こるのではないかというようなことが推定されるわけでございます。したがって、四十一年度概算要求には、東京周辺、名古屋、大阪、この六つの関係大学の小学校課程の入学定員を増募いたすという予算を政府としては用意をいまいたしているわけでございます。その他につきましては、国立の大学の卒業者でほぼ相当部分を確保する、その他につきましては、一般大学から教師になる人を大いに勧誘するというような手だてを講じまして、教師の必要数が十分確保できるように努力してまいりたい、かような考え方でおるわけでございます。
  170. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 だいぶ先回りしたような答弁をされましたので、それじゃ具体的にお尋ねしたいと思いますが、それならば、四十年六月一日の小学校の五千八百六十という教員。国立の養成系の卒業生、それから公立の養成、それから私立、一般大学別に、四十年六月一日の小・中学校別にひとつお願いしたいと思うのです。  さらに、それの三十年度における実態はどうなっておったのか。三十年度の小学校の新規教員の分の中身はどうなっておるのか、伺いたい。
  171. 安養寺重夫

    ○安養寺説明員 四十年の六月一日の大学等の新規卒業者で、小学校中学校の教師になりました者の内訳でございますが、国立の教員養成大学学部の卒業者で、小学校に参りました者が四千四百五十名、したがって、その他は国立、公立、私立の一般大学、あるいは短期大学卒業者、若干の専攻科卒業生というかっこうになっておるわけであります。中学校で、同じタイプで申し上げますと、国立の教員養成大学学部の卒業者で就職しました者が二千八百名、したがって、その他の約三千名は一般大学学部あるいは短期大学、もしくは専攻科の卒業生、かようなかっこうになっておるわけでございます。  なお、いまお話の、三十年度の資料は、ちょっと持ち合わせがございませんので、詳細は別途調べて御提出いたします。
  172. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 安養寺課長の説明では、四十三年にはほとんど大半を国立の教員養成系の大学で育てよう、こういうふうに御答弁になっているのです。つまりこれは、三十年度ないしは三十五年度という場合のほうがずっと出てきますと、この変遷がきわめて明確につかまれてまいるわけで、教員を大学で養成する、こういうことでまいりましたが、これまで進めてきた文部省の方針というものにのっとって次第に国立の教員養成系の大学というものに集中されてきておる。つまり、一般大学その他はだんだんしぼられて締め出されておる。こういう実態が、この十年間くらいにわたる経過を見てもおそらくは出てまいると思うのです。そして、さらにそれが、いま安養寺課長の答弁によれば、今後の四十三年度を見通してみても、小学校については大半の国立の教員養成系の大学で養成するのだ、こういうことが明確に出てまいるわけでありまして、ここに非常に大きな問題も出てこよう、こういうふうに思うわけです。そこで、今回の法案として、学芸大学の教育大学への名称変更、あるいは学芸学部の教育学部への名称変更、こういうことが制度的に行なわれようといたしております。この問題につきましては、先般来高橋委員もいろいろと詳しく質問をされておるわけでありますけれども、その高橋委員に対する答弁として大学局長は、本年度の予算で着手をしたのは、教育課程の基準をもとにして、教官の整備、学科目の整備をいままでと比べればかなり大幅に実現することになった、こういうことになっておるわけであります。じゃ、具体的に予算措置で教官の整備、学科目の整備というものが、昨年からいたしますとどのように整備されたか、その内容を御説明願いたいと思います。
  173. 杉江清

    ○杉江政府委員 四十一年度予算におきましては、新たなる学生定員の増を伴わない学科目新設、学科目整備の教官定員の増が五十九名でありまして、その他いろいろな既設課程の増募、たとえば理科教員養成課程とか看護教員養成課程等の増募に伴うものが六十四名でございます。全部を合せまして百二十三名の教官増をいたしております。  これに対して、じゃいままでどの程度ふえてきたかということでありますが、これは三十九年度においてはわずか十六名でございます。四十年度において、これはかなり、いわゆる既設課程と、それから付属施設の増等を相当やってまいりました。それでもなおかつその教官定員の増は四十五名にとどまっておるわけであります。それに比較いたしまして、いま申し上げましたように、ことしは百二十三名の教官増をしておるのでありまして、これは約三倍を上回っているわけであります。しかも本年度のこのような教官増、いわゆる学生定員の増を伴わない教官増が約六十名に及んでいるところに最も大きな意味があるわけであります。これは新しい教育課程の基準をもとにいたしまして、各教員養成学部の教官の不足をこの数年間にわたって漸次整備する、こういう計画の第一年次でありまして、今後本年度以上の教官増を数年間続ける、こういう計画のもとに行なわれたものであります。そのことはこの長い間においてかつて行なわれていないことであります。以上のようなことであります。
  174. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 増のほうを言われましたが、それでは大学局からもらいましたこの概算要求重点事項の中の資料お尋ねしたいと思いますけれども、四ページ、学科目の整備で助教授四十二名、講師三十七名の減が行なわれているわけであります。これを各大学別に、それから教科別にお答え願いたいと思います。
  175. 安養寺重夫

    ○安養寺説明員 お答えいたします。  各関係学部とも学科目を新設いたしますとか、あるいは学科目のすでにありますものの不完全を整備するというような、学科目の整備ということをいたしまして、学部の充実をはかって、教官の組織の合理化をはかっていくわけであります。いまお話しの教官の減のあった部分でありますが、これは現在ある学科目に教授でなくて助教授が二人おるというような際に、教授のポストを一つふやす、そのかわり助教授のポストを一つ減をするというような形で整備をするというような部分のものが大半でございます。したがって、教授八十五の定数増、助教授四十二の定数減、講師三十七の定数減、差し引き教授の定数を六増をするというような内容になっておるわけであります。
  176. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 私がお尋ねしているのはそのトータルではないのでありまして、トータルは足したり引いたりすれば出てくる。そういうことはお尋ねしておりません。問題は具体的に、この助教授四十二人、講師三十七人の減というのは、各大学別に何科の助教授が、あるいは講師が減になったのか。
  177. 安養寺重夫

    ○安養寺説明員 たいへんボリュームが多うございますので逐一申し上げるのもいかがかと思いますから、簡単に例示して申し上げますと、北海道学芸大学から始まるわけでありますが、歴史学の助教授を教授に振りかえる、体育実技の講師を教授に振りかえる、弘前大学の地学の講師を教授に振りかえる、こういうぐあいに昇格をいたしまして、定数をよくして教官の組織の充実をはかろう、これに伴いまして、教官のいわゆる研究費、教官当たりの校費の積算の増をはかっていこう、こういうような意図に出ておるわけでございます。
  178. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 そうしますと、これはいま安養寺課長の御答弁はたいへんいいところを言っておられる。それを具体的にどこどこの何科の、たとえばドイツ語ならドイツ語のどこを減らせ、こういうようなことで実質各大学を名ざして減らしておると思うのです。それはありませんか。
  179. 杉江清

    ○杉江政府委員 この教官の整備、学科目の充実については、教育課程の基準をもとにしまして、これを各大学でどういうふうに今後整備するかというところを御相談申し上げたわけです。これは基準はあくまで基準でございまして、各大学にはそれぞれの特殊事情がある。それはいろいろお話し合いをして、それじゃここの教官はどうしてもバランスの上からいって多い、しかし現実に人がおる以上、首切るわけにいかぬ、そうしたら、退職する年月もわかっておりますから、そのときにこういうふうに振りかえよう、その経過的措置としてはこういうふうに措置する、そういうふうにしていろいろ具体的に御相談しながら詰めたわけなんです。私どものほうで一方的にここをこうせいというようなことは言っておりません。これはあくまでもお話し合いで進めていく。これは決して逃げ口上ではございません。本年度の基本的な方針として、あくまでも各大学で話を詰めるという方針で作業を進めておるわけなんです。この一年前におきましては、その点私どもやや性急な扱いをいたしました。こういう基準に対してここはあなたのほうは誤っておるから減らしたらどうですかというようなことを一年前はいたしましたけれども、それはやはりいろいろな障害が起こり、そのやり方についても私ども反省すべき点がある、こういうふうに考えまして、実はこの教官整備は一年前にやりたかったわけですけれども、そういうふうないろいろ実施上の困難もあったので、一年待ちまして、その上ではっきり基準もでき上がり、そうしてその基本方針に基づいて学部長さんにしばしばお集まりいただきまして御協議申し上げ、その基本方針について御了承をいただき、今度はその基本方針をもとにして、個々の大学について学長、学部長、局長などにお集まりいただいて御相談申し上げた結果、予算上措置しておりますような実施案をつくったわけでございます。
  180. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 私が申し上げたいのは、そういうことで去年はたいへん性急なことをやった、こう言って告白をされておるわけです。このことは、教官組織の整備ということの中でそうした大学の自治なりあるいは人事権への介入なりというものが学科目の整備であるとかあるいは教官組織の整備であるとか、そういう大目的を掲げながら、実質そういうことへの介入というものが予算を通して出てきているわけなんです。だからその点についてそうした不当な人事権への介入、そういうものは絶対にやってない、あるいは今後ともそのことはやらないという方針を明確にお述べいただきたいと思います。
  181. 杉江清

    ○杉江政府委員 先ほど申し上げましたような各大学とのお話し合いによって進めていく、まとまったところで予算化していく、こういう基本方針で今後とも進めたいと考えております。
  182. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 きょうはこのくらいで……。
  183. 八田貞義

    八田委員長 次会は、来たる三月二十五日金曜日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十五分散会