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1966-05-25 第51回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年五月二十五日(水曜日)    午後二時三分開議  出席委員    委員長 小笠 公韶君    理事 木村 俊夫君 理事 倉成  正君    理事 砂田 重民君 理事 舘林三喜男君    理事 井岡 大治君 理事 村山 喜一君       小渕 恵三君    鯨岡 兵輔君       坂村 吉正君    竹内 黎一君       床次 徳二君    粟山  秀君       帆足  計君  出席国務大臣         国 務 大 臣 藤山愛一郎君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     北島 武雄君         総理府事務官         (公正取引委員         会事務局長)  竹中喜満太君         総理府事務官         (経済企画庁調         整局長)    宮沢 鉄蔵君     ————————————— 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件      ————◇—————
  2. 小笠公韶

    小笠委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。村山喜一君。
  3. 村山喜一

    村山(喜)委員 私は、この際藤山長官に対しまして、新長期経済計画経済審議会諮問をされまして、これに基づいて今後の問題を処理されるわけでありますが、この中で、基本的な政府考え方というものを明らかに願いたいのであります。  といいまするのは、佐藤総理も、この審議会の冒頭におけるあいさつの中で取り上げておりますように、物価安定という問題をきわめて重要な問題として認識をし、その上に立って、均衡ある発展をはかるような経済政策というものを中心に問題をとらえて論議してもらいたいという要望をされておいでになるわけであります。従来、所得倍増政策にいたしましても、あまりにも数字を明らかにし過ぎたところに、一つの刺激的な政策というようなものが加わってきたような印象を私たちも受けるのでありますが、そういうような立場から考えてまいりますと、やはり政策中心にして、そしてそれに向かって計画の数量的な裏打ちができていくという形をとらなければ、今後の長期経済計画を立てた場合に、中期経済計画の破綻に見られまするように、一定の数字を想定していくと、一年たたずのうちにもうそれを修正しなければならないというような様相が出てくると思うのであります。その際において、まあ安定基調の中で経済成長をはかっていくということになりますると、今後の設備投資というものを相当低目に押えていかなければならない。ところが、具体的な問題として後ほど提起を申し上げますが、いまの鉄鋼の場合等においては、なお設備投資に対する要求というものは非常に強いものがある。それは、やはり欧米諸国における企業大型化あるいは合併というような問題にも刺激をされていると思うのでありますが、現実においては過当競争段階にあるので、それにおける生産調整といいますか、粗鋼減産体制というものを、通産省行政指導の名における勧告操短を行ないながら、片一方においてはそういうような企業近代化といいますか、設備投資を行なっていかなければならぬ、こういうような要請がなされて、これをどういうふうに調整をしていくかということは、やはり長期経済計画の中における位置づけとして、経済企画庁あたり中心になって調整をはからなければならない問題ではないかと思うのでありますが、それについてどういうふうにお考えになっておるのか、総括的にお答えをいただきたいのでございます。
  4. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 今回、経済審議会に対しまして、総理から、中期経済計画廃止後の新しい計画について諮問をされました。その諮問趣旨というものは、いま村山委員がお述べになりましたようなことでございまして、私どもも大体村山委員の御趣旨と同じように、従来のように数字的な組み立てをもって非常にがっちりしたものをつくってしまうと、その数字に縛られて身動きもならぬようなことにもなってくる、むしろ政策を優先して、そしてその政策遂行のために数字がそれを助けていく、こういう方向計画が実施されなければならぬと思うのでございます。したがって、諮問趣旨にもそういうことをうたって、そして政府考え方を述べておりますと同時に、物価問題等が過去の構造上の問題からいろいろきておりますので、したがって、今後の見通しにおきましても物価問題を相当重視しまして、そしてそれによって起こっております構造上の問題等につきましては、見通しにおいて十分留意しながら、再びそういう状態の起こらぬように計画を策定してまいらなければならぬ、こういう考え方でおるのでございまして、御指摘村山委員のお考えと大体同じようにわれわれも考えながら進めております。  いま、第二段にお述べになりました設備投資の問題でございますが、鉄鋼等の例も引かれてお話がございました。私どもも、今回均衡ある成長を遂げていくということになりますと、経済が伸びれば伸びるだけいいとだけいえないのでありまして、ある程度均衡のある成長を遂げていくという場合には、必ずしも勢いよく伸びてまいるというわけにもいかぬ点もございます。しかし、均衡ある成長を遂げれば、ある程度全体経済が伸びていくということは望ましいことでございまして、そういう意味において、均衡をとりながら経済成長をさせていこう、こう思います。そこで、設備投資問題等につきましても、設備投資総額の問題よりも、それが行なわれております内容等について、やはり政策が優先して考えていかなければならぬ問題ではないかと思うのでございます。たとえば設備投資等について、今後、過去に起こっておりますいろいろな問題を是正していくという立場に立ちますと、過去の実例から申して、大きな企業設備投資はある程度抑制しても、中小企業設備投資に対して、たとえば、同じ四兆五千五百億の金額を予想しても、その中の割り振りは、できるだけそういう方面に向けていって近代化を促進させるというふうな方向に向かうことが必要だと思います。そういう意味において、本年度四兆五千五百億という数字を予想しておりますが、その中でも、内容については、政策が前に指導的に打ち立てられなければならないのではないか、そういう考え方で今後の長期経済計画に取り組んでまいるわけでございます。  そこで、設備投資を拡大していくことは、外国の大きな産業等との競争考えなければなりませんから、やっていくことも必要でございますけれども、その場合に、いたずらに同業者間においてシェア競争におちいることなく、おのおのの分野を守ってそれを広げていくということが必要でもあるし、この点は、経営者の良識に私どもまたざるを得ないと思いますが、政府としても、方針としてはそういうふうに考えてまいりたい。なお、同時に、いたずらに過当競争して、同じような種類の設備を二重、三重につくってまいりますよりも、あるいはそういう状態であれば、共同的にそういう設備をつくる、あるいはお互いに協力体制のもとに、合併をするなり協力的な行為によりまして設備投資のむだを排除していくということが望ましいことでございまして、外国巨大産業に対抗して日本輸出貿易を盛んにして、日本産業基盤を確立するためにもし大規模化が必要とされるならば、その大規模化というものは、そういう意味において十分な考慮の上に立って行なわれなければならぬけれども、これまた、お話のように政策が立てられて、そういうことを方針として進んでまいらなければならぬのじゃないか、こういうふうに考えておるのでございまして、そういう考え方の上に立って今回の経済計画というものを立てていきたいというのが政府考え方で、それらの考え方を申し述べながら審議会委員各位の御検討を願い、そして審議会において策定していただきたい、こう考えておるのでございます。
  5. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、具体的な問題としてお聞きをいたしておきたいと思いますが、四十一年度の設備投資計画は前年度の実績を下回る、こういうようなことで、現在三業種を除いて計画どおり認められたという報道がなされております。総額一兆五千三百三十三億、これは開銀融資計画なんだろうと思いますが、この中で、いま公取通産省関係で、産業政策かあるいは物価政策かという問題で問題になっておりますいわゆる鉄鋼設備の問題でございます。これについては、御承知のように昨年不況に突入をいたしましたときには、公取も、不況から抜け切るための対策としてこれは目をつぶるという状態であった。その後鉄鋼市況関係回復するにつれまして、通産大臣も、こういうような不況措置というものは緊急避難的な措置であるから、継続的に続けるべきものではないのだという趣旨発言をされておるようであります。ところが、最近のニュースによりますと、大臣承知のように、この減産体制というものは今後やはり継続して、少なくとも結論が出る九月ころまでは減産協調体制というものを続けていくのだということを、大手筋では発表をしているようであります。これに対しまして公取としては、そういうような市況回復をしている段階の中で、いつまでもそれを続けていくことは、自由な競争を抑制するということになるから反対であるという意向だと私たちも受け取るのでございますが、物価対策の上から考えてまいりますと、最近産業界値上げが相次いで実施されておりまして、在庫減機会耐久消費財にまで及ぶ気配が濃厚にあらわれてきているというのは、大臣も御承知のように、日銀の調査によりますと、四月の卸売り物価指数というものが一〇五・三と前年同月比三・四%高ということになっております。そしてそのうち生産財は一〇四・五%と四・五%高になっているという事実としてあらわれているわけであります。これは、もちろん国際的な商品市況動き等もありますけれども、しかし、いま機運としてそういうような値上げが相次いでおるという状態が、今日の物価政策考える上において考えなければならない問題ではないかと思うのであります。したがいまして、鉄鋼供給量価格協定の疑いが持たれる粗鋼減産体制というものは、そういう物価の面から考えてまいりますならば、原材料価格を切り下げるという意味におきましても、公取が主張をしておるように、緊急避難をいつまでも続けさせるという考え方ではなくて、やはりこの際はっきりとした措置をとるべきではないかと私たち考えるのでございますが、それに対する長官見解並びに公取見解をお聞かせを願っておきたい。
  6. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 不況カルテル緊急避難的なものだと私ども考えておるわけでございまして、したがって、その目的を一日も早く達して、それが解除されて公正な、自由な競争がとり行なわれていくということでなければならないと思います。したがいまして、自由主義経済における産業秩序としてその点が守られてまいらなければならぬのでございまして、そういう意味において、過去の設備投資の過重な負担あるいは拡大というようなものが、今日影響していることを見のがし得ないと思います。したがって、一面では、財界各方面がそういう問題について十分経営者として考え直して、今後の処置をとっていただかなければならぬと同時に、政府もまた常時そういう面について指導的な考え方を持って、これを導いていくということもやってまいらなければならぬと思います。  物価問題の観点から見まして、消費者物価の問題と同時に卸売り物価の問題は、日本経済の基本的な問題としてわれわれも十分念頭に入れながら今後の経済運営をやってまいらなければならぬのでございまして、消費者物価も上がり卸売り物価も上がるということになりますれば、日本経済状態は最悪の事態に入らざるを得ないというような状況にもなろうと思います。したがって、私どもとしては今日、過去一年の間消費者物価の問題が非常にやかましいものでございましたし、現在もやかましいのですから、これに主たる視点を置いて取り組んではまいっておりますけれども、同時にあわせて、過去において比較的安定しておりました卸売り物価が、今後高騰の気配があるということに対しては注目してまいらなければならぬのでございまして、物価問題としてそういう面を重視して考えてまいりませんと、これは、消費者物価家庭経済影響すると同時に、卸売り物価そのものは国家の経済影響することでございますから、われわれも十分な関心を持ってまいりたい。原則としては、先ほど来申し上げているとおりな考え方で私ども進んでまいりたい、こういうふうに考えるのでございます。
  7. 竹中喜満太

    竹中(喜)政府委員 粗鋼勧告操短に限らず、勧告操短につきましては、私どもは、それが事業者不況カルテルの隠れみのとして利用されるおそれが多分にある、それと同時に、勧告操短であっても事業者にとっては不況カルテルと同じ効果をする、あるいは物価対策の上からいっても望ましくないということで、勧告操短は好ましくないということを常々申してまいりました。昨年粗鋼の一割減産勧告操短でおやりになるというときも、われわれといたしましては、独占禁止法不況カルテル規定があるので、不況要件を備えていれば不況カルテルでおやり願いたい、それで、不況要件がなければおやめ願いたいというこの考え方は、今日も変わっておりません。
  8. 村山喜一

    村山(喜)委員 北島公取委員長もお見えになったので、この際なお確認いたしておきたいと思いますが、いまも質問を申し上げておったのですが、大手十社の常務会が、七月から九月の粗鋼減産については現行どおり続ける、こういうことを決定しておるようであります。新聞によりますと、十二日の記者会見北島公取委員長は、鉄鋼生産調整不況カルテル変形だから、不況要件が欠けても継続をするならば、その中止を厳重に申し入れる、こういうような態度を表明されておるようでありますが、その決意というものは、やはりはっきりしたものとして国民の前に明示していただきたいと思うのですが、いまも申し上げましたように、東京都の四月の小売り物価指数上昇率は三・一%高、卸売り物価の引き上げの問題についても、これも三・四%高、その中における生産財は四・五%高、こういうことになりまして、卸売り物価消費者物価もともに三%を上回るという上昇の形態にきている。しかも、産業界値上げに動いておりまして、在庫減機会耐久消費財にまで及ぶような傾向が見られつつある。こういうようなときには、やはりその根幹になるそういう価格調整あるいは生産調整という問題に、公取が、国民の生活を守るといいますか、そういうような立場は別といたしましても、公取独占禁止法立場から、その番人としての立場から、やはり厳重に通産省等に対しまして、あるいは業界に対して、そういうような申し入れをするということが、私は物価対策の上からも必要ではなかろうかと思うのでありまして、その決意のほどを承っておきたい。
  9. 北島武雄

    北島政府委員 ちょっとおくれてまいりまして申しわけございません。  粗鋼勧告操短に対する考え方は、ただいま事務局長からお答え申したとおりでございまして、私も全くそのとおりに考えております。昨年、そもそも七月に勧告操短が始まりましたときにも、公正取引委員会としては、不況カルテル要件があるように思うから、それでやったらどうかというようなことを申し入れたようであります。と申しますのは、私、当時おりませんでしたが、そういうようなことが書面に残っております。申し入れたのでございますけれども通産省といたしましては、不況カルテルでは八十数社もあってなかなかまとまらない、しかも、粗鋼基幹産業であって、粗鋼景気回復をてことして全産業景気回復をはかろう、こういうような考えで早急にひとつ勧告操短を実施したいということで、通産省の権限と責任指導ということでただいままでまいっておるわけでございますが、どうやら粗鋼市況も次第に回復してまいっているようであります。もっとも、最近は多少停滞ぎみでありますが、これがメーカーにどの程度の影響が及んでおるかという点は、単に市況に出たものだけではわかりませんが、とにかく今後の政府の施策と相まって、粗鋼について、これは上向いていくであろうことは当然私どもも信用いたしております。したがいまして、これは不況カルテル変形でありますので、その緊急避難要件がなくなったならば、これはぜひともやめていただかなければならぬと考えております。こういう問題につきましては、衆議院の他の商工委員会等におきましても、通産大臣もはっきりおっしゃっていることでございます。私もたまたま同席いたしておりましたが、このような措置例外中の例外であるからできるだけ早くやめるべきものだ、こういうふうなお考えでいらっしゃいます。私もそのように考えておるわけでございます。  ただ、今後の問題につきまして、ただいま常務会で云々ということが新聞に出ていたというお話がありましたが、その点は、もう少し通産省からのアプローチを待ちまして、通産省としてどういうふうな態度でこれからいくか、そういう点もよく伺って、その上で通産省とよく話し合ってみたい、こう考えておるわけでございます。
  10. 村山喜一

    村山(喜)委員 まあ日本鉄鋼といえば、日本産業を左右するくらいの大きな力を持っている。もちろん、政治的にも大きな発言権を持っている。やはりこの問題は、私は佐藤内閣物価対策経済政策の上からこれとどういうふうに取り組んでいくかという政治の姿勢に関する問題じゃないかと思う。通産省のほうでそれの対応策が九月ごろには出るだろう、それまではしかたがないだろうという形で、七月から九月までを見過ごしていくのか。今日、卸売り物価がこういうふうに上がりつつある、そうして消費者物価も上がってきて、今後産業界の各製品等について値上げが続いて、ますますインフレの傾向が強まりつつある、こういうような認識をしたときには、やはり政府がそれに対して決意を持って当たらなければならないと思うのです。そういうような立場においては、三木通産大臣原則論を明らかにされたという点は、私は非常に偉いと思うのですが、しかし担当の通産大臣でありますから、そういう業界の圧力とかなんとかというようなものもありましょうし、なかなか主管大臣としては言いにくい立場もあろうと私は思う。そういうような場合には、藤山経済企画庁長官あたりが、物価行政というものを所管事項としておられるわけですし、さらに、日本経済政策全体を見通す立場に立たれなければならないわけでありますから、藤山長官閣議あたりで、やはりそういうようなことを強力に主張していただきたいと思うのです。そうでなければ、公取にこれをまかせ切って、公取業界が四つになって相撲をとって、それを政府としては他から見ているのだというような態度国民に示すことは、これは非常にマイナスだと思いますが、藤山長官決意をお伺いいたしておきたいと思います。
  11. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 日本経済全般の上から考えましても、あるいは物価問題から考えましても、御指摘のような問題については、鉄鋼に限らず重要な問題でございまして、したがって、経済企画庁としても、単に消費者物価を扱っておるというだけではございませんから、先ほど申し上げましたように、私といたしましても、卸売り物価上昇というような問題については絶えず留意をいたしております。ただ、今日までのところまだ外国影響によります——銅が一時非常に高くなった。最近では若干また下がりましたけれども、そういうような点はございますが、まだ著しい問題としてはあらわれてきておりません。ただ、そういうような傾向が今後続いてまいりますれば、当然日本経済全般の動向から見て、私どもとしてはそれらの問題に注意をしてまいらなければならぬ立場におりますので、お話のように、そういう機会がございますれば、あるいはそういう機会が到来することが予想されるようなときには、むろんわれわれとしては十分な注意を各閣僚にいたしてまいらなければならぬ、こう思っております。
  12. 村山喜一

    村山(喜)委員 次に、これは独占禁止法関係をする問題でありますが、二条の七項で、不公正な取引方法として、昭和二十八年に公取告示第十一号で、一般指定の十二項目が定められておるわけであります。私、この際この問題についてお尋ねをしておきたいのは、ダンピングの問題であります。と言いますのは、これは五月二十一日の新聞記事でございますが、十九型のカラーテレビ輸出オークラ会が、これは日立製作所社長をはじめとする家庭電器大手七社の社長で構成をする会だそうでありますが、最低の輸出価格は百八十ドルということを七社で申し合わせをいたしております。百八十ドルですから六万四千八百円ということであります。ところが、国内販売価格は、御承知のように各社とも大体現金正価十九万八千円、二十万円を切って一インチ大体一万円というところで、新聞あたりでも大きに宣伝をいたしております。国内価格に比べまして輸出価格は三分の一弱、こういう状態であります。しかも、量産体制に移るならば、これでも採算割れになる価格ではない、こういうことのようであります。ことしの輸出最高会議における決定の内容を見てみましても、こういうような電気関係の軽機械関係につきましては、大体二〇%増を見込んでおいでになるようであります。そういうような内容から考えてまいりまして、国内価格国際輸出価格との間には非常に差があり過ぎるのではないか、このことを私たち考えるのであります。  それから、先般韓国にたしか輸出をしたダットサンのブルーバードの価格でありますが、これは千ドルで契約をして、輸出をしているというふうに聞くのであります。国内においては六十二万円ぐらいするものが、それの約半分近い価格外国には売り出される。こういうようなものは、はたしてこの独占禁止法の第二条七項に定めます不公正な競争という立場から見ていった場合に、一般指定の十二項目の四号なり五号なり二号に定めます条項に違反をするのではないかと思うのであります。というのは、特に第四号はこういうふうに規定をしております。「正当な理由がないのに、地域または相手方により差別的な対価をもって、物資資金その他の経済上の利益供給し、または供給を受けること。」、五号は、「不当に低い対価をもって、物資資金その他の経済上の利益供給し、または不当に高い対価をもって、物資資金その他の経済上の利益供給を受けること。」、こういうような条項から見てまいりますと、これは明らかに二重価格制をとっているといわなければなりません。外国輸出するものは安く、国内価格についてはこれを高く、そうしてその二重価格制度のもとにおいてその企業が成り立っているとするならば、そこには二つの力というものがなければならないわけであります。低価格輸出をしたものが国内に還流をしないような、そういう措置をとるということが一つ、もう一つは、国内の高い価格を保持する力というものがそこになければ、この問題は成り立たないわけであります。そういうような点から考えてまいりますと、外国あたりにおいても指摘をされておりますが、最近は、日本輸出能力というものが、不況下における一つの圧力的な輸出も加わってきたのでありましょうけれども商社関係売り上げ高利益率を見てみましても、大手商社の場合なんかわずかに〇・四%しか利益をあげていない。したがって、これは押し込み輸出だと私たちは言っておるのでありますが、そのような状況の中にあって、なおこのような二重価格制というものがとられていることは、やはり独禁法の、あなた方が告示をされました一般指定の四号なり五号なり二号なりという点から見ました場合に、明らかにこれは不当な価格形成ではないか、不当な取引方法ではないか、私たちはそういうふうに判断を下さざるを得ないのでありますが、それについてあなた方は、この二重価格における輸出状況というものが正当であるという理由があるとするならば、それを説明を願いたいのであります。もし二重価格が認められないとするならば、あなた方としてはどういう措置をとろうとしておられるか、これはやはり国民利益に関する問題でございますので、この際明らかにしておきたいのでございます。
  13. 竹中喜満太

    竹中(喜)政府委員 いま村山委員がおっしゃいましたように、国外へは安く売ってそれを国内価格でカバーする、これは非常に好ましいことではございません。ただ、これが独占禁止法の違反になるかどうかという問題になりますと、独占禁止法はあくまでもわが国経済に直接影響を及ぼすような行為を対象とする、こういうたてまえになっておりまして、不公正取引方法一般指定の四号の差別対価、これも、国内競争者のいるところは安く売って、競争者のいないところは高く売る、こういう差別をすることがいかぬ、それから五号のダンピングの問題も、競争者のいるところへは安く売って、競争者のいなところは高く売る、こういうことは好ましくない、こういう考えでございまして、いま村山委員が言われるような輸出に関するだけの問題でありますと、独占禁止法から申しまして好ましいこととは申せませんけれども、直ちにこれを違反として処理することは非常にむずかしいのではないか、こう考えます。
  14. 村山喜一

    村山(喜)委員 私はそれはおかしいと思うのですよ。国内だけに適用する法律ではないと思う。あなた方は二重価格制をとっている事実を認めるのですか、認めないのですか。調査をしたことはありますか、ありませんか。
  15. 竹中喜満太

    竹中(喜)政府委員 輸出入取引法で通産省から私のほうに往々協議がございますので、二重価格制をとっておるということは承知いたしております。
  16. 村山喜一

    村山(喜)委員 その二重価格制をとっても差しつかえないというのは、何法に基づくのですか。
  17. 竹中喜満太

    竹中(喜)政府委員 これは輸出入取引法で、輸出価格について最大限を定めるというようなことができますので、その場合には、国内価格と違う価格がそこに当然出てくると思います。
  18. 村山喜一

    村山(喜)委員 輸出入取引法には、不公正な取引方法をしてはならないというのがあるでしょう。
  19. 竹中喜満太

    竹中(喜)政府委員 あくまでも独占禁止法は、国内経済影響を及ぼす行為を処理することであります。したがいまして、海外で共同行為が行なわれまして、それが日本経済影響を及ぼすということになりますれば、原則として独占禁止法の適用はあると思います。しかし、いまのお話のような場合は、従来の考え方では、独占禁止法で処理できないのではないか、こう考えております。
  20. 村山喜一

    村山(喜)委員 私は、その公取見解というのはおかしいと思うのですよ。というのは、やはり二重価格制が認められる限界というものがあろうと思う。それには、実質的に二重価格とは認められない、たとえば品質の差であるとか、あるいは運送費の問題であるとか、包装とか、そういうような販売経費の問題等があるとするならば、これはその価格の差があっても事実上の問題ではございませんから、実質的には同じだということになりますから、それは別問題だと思います。しかしながら、行政指導でそのことの違法性が阻却される、こういうふうにお考えになれば、これは一般指定のこの項目から見て、二重価格制をもって輸出を伸ばしていくというのは、政策的なものとしてはあるかもしれません。しかし、その政策がはたして正しいかどうかということについては、これは政策論としてやらなければなりませんが、それと同時に、一体国内において生産をしたものを、外国に出す場合には不当に価格を引き下げて、国内に売る場合には不当に価格を引き上げて、そしてそのバランスをとって採算を得て会社が成り立つ、こういうようなことは、明らかに「不当に低い対価をもって、物資資金その他の経済上の利益供給」することになるじゃありませんか。だからこれは明らかに独禁法の、あなた方が定めた一般指定の十二項目の違反事項ですよ。そういうようなことがもしかりに認められるとするならば、やはり国内には非常に高いものを押しつけて、そして外国には出血サービスをするその結果は、日本製品が外国から追い出される。現にヨーロッパあたりにおいては、これが低賃金のせいだということで、日本商品の締め出し運動が始まっているじゃありませんか。そういうような問題は政策上の問題だというならば、それじゃ二重価格が認められるその理由を、法律の上で明らかに示してもらいたい。
  21. 竹中喜満太

    竹中(喜)政府委員 先ほども申し上げましたように、私どもといたしましても輸出商品の価格が低くて、それを国内価格でカバーする、これは決して好ましいこととは思っておりません。しかし、独占禁止法はあくまでも波打ちぎわから中の問題を処理することになっておりまして、安く売ってその効果が及ぶ、たとえば四号、五号でいっておるようなことが出た場合、これは波打ちぎわから先の問題でございまして、独占禁止法を適用することは非常にむずかしい、こういうことでございます。ただ、輸出入取引法などで二重価格を設定する場合に、いわゆる調整金勘定というような制度がございます。これは、安く出したその損と申しますか、差額を国内でカバーする、こういう場合、協議を受けた場合には、私どもはできるだけそれをやらぬように、あるいはやってもその差額を縮めて、国内価格でカバーする面を少なくするように、常に通産省に申し上げております。
  22. 村山喜一

    村山(喜)委員 日本も、為替の管理制度によるリンク制等の報奨金制度でやっておった時代ならばいざ知らず、今日ではOECDにも加盟をし、貿易の自由化ということで大いに国際的に競争をしようという時代です。ところが、日本の商品は非常に安いからどんどん貿易の上において伸びていくわけですが、あまりにも伸び方がひど過ぎる。それで、採算割れ価格日本輸出しているのではないかというような見方が成り立ち得るし、また、現実にこういうような価格で売られたんじゃ、外国競争業者の場合には太刀打ちができないという事態が生まれる。これは、やはり単に国内的にこの問題を規制するだけでなくて、その事業者というのは日本国内にある法人なんですから、その法人が日本国内において——水ぎわまでの問題だけ処理ができるんだ、それしか権限がないんだということではなしに、貿易政策の上においても、このような独占禁止法一般指定事項に違反をするような不当な価格で売られて、なぜそういうような企業が成り立ち得るかということになれば、いまも申し上げましたように、そのつり合いをとって採算をとっているわけですから、これは明らかに不当な事項だと私は思う。その二重価格制という問題は、いまの輸出入取引法の上から見ましても、これは正常な取引方法としては認められていないわけなんですから、そういうようなところに逃げ道を求めるのではなくて、やはり公取は、一般指定事項の不公正な競争事項なんだという立場から、あまりにもひどい——カラーテレビの場合なんか国内価格は三倍ですよ。そういうようなものにメスを入れなければ、あなた方の仕事というものは不公正ではないかと思うのです。妥当でないじゃないですか。その点は北島委員長、どういうふうにお考えになりますか。
  23. 北島武雄

    北島政府委員 全くこれは重要な問題を提起していらっしゃると思いますけれども、法律的な解釈といたしましては、先ほど来事務局長が申したとおりと私も考えております。「地域または相手方により差別的な対価をもって、」云々というのは、これは日本国内の問題であると思うのであります。ただし、国際的にそういう差別対価であることがいいかどうかについては、これは別途ガット等の協定がございまして、もしそれがダンピングということになりますれば、国際的な問題として指弾をされるし、また、報復的措置もとられるわけでありまして、独占禁止法の問題といたしましては、これはどうも不公正な取引方法とはいえない問題ではないか、こういうように考えます。ただし、ただいまのお話のように、輸出入取引法に基づきまして輸出取引について協定が認められておりますが、その場合に、不当に輸出品の価格を低くして、調整金勘定によってこれをうんと大きくカバーをして、そうして国内価格にかぶせる、こういう問題につきましては、公正取引委員会も厳重にこれを注視しておりまして、このような調整金勘定を設けているのはたしか七つか八つございますが、これにつきましても、いたずらに国内価格にしわ寄せをしないように、常に通産省に要請しておるところでございます。
  24. 村山喜一

    村山(喜)委員 私は図書館で、この独禁法の解説の本を見てみたのです。そうしたら、そういうような単なる国内的な措置だけでなくて、事業者日本国内の法人であり、そうして日本国内でそういうような生産をやり、それを外国に売り出す場合において、行政指導としてそういうようなものをやるということも、これは違法性を免れ得ないという解説をした本がちゃんとあるんですよ。あなた方のほうは、そういった水ぎわまでの問題だというふうに考えて処理をされておるわけでありますが、その法律の解釈等については、そういうようなものもあるのだということを十分考えておいていただきたいと思う。  それから、通産省の方見えておりますか。
  25. 小笠公韶

    小笠委員長 来ていないそうです。
  26. 村山喜一

    村山(喜)委員 それでは藤山長官にお答えをいただきたいのですが、国内価格輸出価格の三倍だ、こういうようなカラーテレビの場合など、一つは、国内のいわゆる耐久消費財も一循環しまして、そろそろ買いかえをしなければならないときに家庭も入っているようであります。ところが、買いかえをするには、いままでの色のつかないものよりもカラーテレビに切りかえたらいいだろう、こういうようなことで、カラーテレビが安ければ、その品物を取りかえる段階に入っておりますから、手に入るということになるのでありますが、二十万というような価格になりますと、ちょっとやそっとじゃ消費者は手が届かない。これも月賦で買うという手もありましょうけれども、いまテレビなどをつくっております弱電関係の操業率というのは、一時は五〇%まで、たしか協定によって操業度を下げたはずであります。そういうようなところから、ようやく社長会の話し合いによって減産協調体制が生まれて、そうして投げ売り等はしないというような申し合わせがなされた。その結果、市況がようやく回復をしてまいった。そこに持ってきて、アメリカに大量のそういうようなカラーテレビの廉売が行なわれて、これによって息を吹き始めると同時に、国内にもその余力をフルに回転して品物を回す、こういうようなことによって、若干最近は弱電関係も息を吹き返しておるようであります。しかし、こういうような問題は、外国にその三分の一の価格輸出ができるのであれば、国内においても、まあそれと同じようにせよというところまではいかないにしても、あまりにも差がひどすぎる。そういうような状態によって企業が採算をとるというような方式が生まれてまいりますならば、これは、日本国民の犠牲において会社が成り立っているといわれてもしようがないと思う。購買力というものは、やはりもう買いかえなければならない時期にきているのですから、国内においてもある。とするならば、会社の操業度を引き上げる意味においても、量産体制に移っていくならば価格は下がるわけです。いまでさえも、こういうように三分の一の値段で出しても、量産体制に移れば決して採算割れにはならないということを発表しておるわけですから、こういうような方向に私はメスを入れて、値下げを指導するというかまえがなければならないと思うのでありますが、大臣の御見解をお聞かせ願いたい。
  27. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 日本輸出商品が、過当競争によりまして非常に価格が安く取引されるということは、日本の国の非常な損失でございまして、したがって、単に外国からダンピングといわれるばかりでなしに、そういうことによって将来の輸出影響を及ぼすばかりでなく、日本経済の発展の上においてマイナスになってくることは当然でございます。したがって、過去におきましても、過当な競争をなるべくやめて、そして日本の商品はいいのだから、高い値段で売るということでやってまいらなければいかぬというのでやってきたのでありまして、そういう面については通産行政の上から、輸出商品に対して十分な、それらの過当競争による値段の引き下げ競争というものが排除されていかなければならぬと私は思います。私も、まだ実情について十分存じておりませんけれども、最近、アメリカにおけるカラーテレビの熱というものが非常な勢いで、アメリカの景気上昇とともに起こっておりまして、そういう状況でございますから、日本カラーテレビの質も非常によくなってきて、輸出として非常に各方面から要望がきておると思います。したがって、日本カラーテレビメーカーがお互いに競争し合って、そうして値下げして成約をしたいというような動きがあるから、ただいまお話のような協定、申し合わせができたのじゃないかと私は思います。しかし、そういうことによって下値競争が支えられてある程度安定したら、やはりそういう下値の価格は漸次上げてまいりまして、百八十ドルを二百ドル、二百五十ドルにしていくということによって、実質的な日本利益を獲得してまいらなければならぬのでありまして、その協定自身は、やはりいま申し上げたような業界がお互いに過当に競争して値段を下げていく、そのことによって国内価格の上に影響を及ぼし、あるいは国内利益によってそれをカバーするということが最小限になっていく、あるいはそれをやめていくために、基準として一応の価格の協定をされたのではないかと思います。そうして、さらに適当にそれを上げていかれれば、私は、いまの過当競争というような問題は解決されると思います。ただ、今回の場合の実例につきましては、私も十分内容あるいはその考え方等について承知しておりませんが、そういう意味で、なお通産当局とも話し合いながら、今後国内価格の犠牲において輸出が成約されるというようなことのないように、極力つとめてまいるようにはいたしたいと思います。ただ、国内消費の問題について、カラーテレビ国内でも、今日の技術的改善によりまして、われわれもカラーテレビを見たいと思いますが、輸出が非常にある場合には、ある時期消費者もやむを得ず待って、そうして輸出のほうに向けていくということも必要だと思うのでございまして、そういうような面は大局から考えていかなければならない問題ではないか、こういうふうに考えております。
  28. 村山喜一

    村山(喜)委員 藤山長官、お忙しければけっこうでございます。  公取委にお尋ねいたしますが、国内価格の問題でございます。前にたしか酒の例が出ておりまして、東京都内が一升当たり十円高で、その理由は、生産地に遠いということで価格が協定された。これは解消されたように私たちは聞いておるのですが、まだ地域ごとに価格協定といいますか、自動車の販売価格などは、生産地を中心にいたしまして、それぞれ価格が違っておるわけであります。小売り店から購買をいたします場合における価格は、北海道とか九州とかいうようなところにおいては差がついております。そこで、その値段を協定いたしました価格が、これが合理的なものであるのかということについては、私たちも非常に疑問視せざるを得ないのであります。というのは、自動車の価格の場合等につきましては、具体的な例は申し上げませんが、東京に参りまして、旅費を使ってそれを転送をして鹿児島へ持って帰るその経費というものと比較をした場合には、それでもまだ価格が相当高いのであります。九州の地域においてもそうですし、北海道においても同じようなことがいえる。そういうようなその地域ごとに異なる協定がなされておった場合に、はたしてそれが正当な理由ということであなた方はこれを見過ごしておられるのかどうか。この問題は国内に関する問題でありますから、国内法だけしか適用できないのだという先ほどの解釈からしましても、地域ごとの価格協定というものははたして正しいかどうか。この点については、正当な理由があればそれは必要でありましょうが、正当な理由を越えるというような判定をだれが下すかということになれば、やはり公取委が下さざるを得ないのではないか。この問題については、単に自動車だけではありませんで、そのほかの日用品にまでこういうようなことがなされておるということがありますが、これについては、どういうふうに対処しておられるのか承っておきたいのであります。
  29. 竹中喜満太

    竹中(喜)政府委員 いま、村山委員は協定とおっしゃいましたが、それが自動車メーカーなら自動車メーカーの間の協定でそういうことになっておりますと、これは当然独禁法上問題になります。それから、それがメーカーの再販売価格維持の目的でそういうことをやりますと、指定商品以外でなければ、これも問題になります。それから、先ほど申しました差別対価のように、競争者の品物がよく出るところでは安く売る、そうでないところは高く売るということになりますと、当然独禁法上の問題としてこれまた問題になります。
  30. 村山喜一

    村山(喜)委員 現実にそういうようなのがあるじゃありませんか。私どもが自動車を鹿児島で買いますと、鹿児島の価格というものは、東京で買うよりも六万円から八万円くらい高い。なぜ高いのかといったら、これはそういうような協定を結ばれておる。価格の表示がありますから、それを見せてもらうと、なるほどそういうふうになっておる。それは、メーカーがそういうようなことをやっておるということは、あなた方御承知ないのですか。
  31. 竹中喜満太

    竹中(喜)政府委員 再販の問題に関連いたしまして、自動車について再販が行なわれておるのではなかろうかということで、現在私どものほうの取引部で調査いたしております。
  32. 村山喜一

    村山(喜)委員 その問題はひとつ調査を願いたい。ただ自動車だけではありません。ほかの物資についても、北海道の場合と九州の場合には価格が違う。この問題を調査を願いまして、独禁法に違反をする事項については訂正をされるようにお願いをしておきます。  それから、もう一つ公取の問題で、特殊指定によります不公正取引方法の是正の問題でありますが、いま特殊指定の業種が十三業種あるようでございます。その中には、もちろんみそ、しょうゆ、マーガリンからマッチに至るまで、あるいは新聞紙、あるいは教科書、こういうようなものが特殊指定をされているわけです。これについては公正競争契約というんですか、その業界内部の規約、あるいは公正取引協議会というのが業界にはあるそうでございます。教科書の場合も公正取引協議会というものがありまして、これは行政指導によってあなた方がつくらせておいでになるんだろうと思うのですが、その公正取引協議会の場が、最近はカルテルの場になっているのではないかといううわさをわれわれも耳にするのであります。景品つき販売を全面的に禁止するんだということで、それじゃそれを全面的に禁止するように規約に明確にうたってあるのかということになると、業界は全面的禁止というのは反対であるというようなことで、そのことも規約にはないようでありますし、そして価格協定違反の場合だけ自主規制ということで取り上げております。ところが、品質の競争をやって、品物はいいのに値段がほかのものと同じであるとか、あるいは同質であっても価格が低いとかというような場合には、これは品質の向上の上における公正な競争として許されなければならないにもかかわらず、最近は、価格協定違反だけがこの公正取引協議会の主たる議題となって、ほとんど当初予期しておりましたように、品質の向上に役に立ったとか、あるいは卸売り価格がある時点においては一割下がったとか、あるいは原材料の値上がりに伴う問題にしても、製品価格の値上がりの幅がきわめて小さいもので済んだとかという過去における功績というものはありますけれども、今日は、これがあまりにも固定化してきているところに、そういうような不公正競争というような心理が業界に働いているのじゃなかろうかということがうわさになっておりますが、これらの実情については、特殊指定をされました業種、特に国民生活と関係のありますみそ、しょうゆからマッチ、マーガリンというようなもの等については、業界の実態はどういうふうになっているのか、説明を願いたいのであります。
  33. 竹中喜満太

    竹中(喜)政府委員 ちょっと突然なお話なものですから、業界の実態がどうなっているか、詳しいことは私は存じておりませんけれどもお話の公正取引協議会というのは、特殊指定をいたしました業種につきまして大体あるようでございます。それで、これはあくまでも不公正な取引方法をやめましょう、お互いに監視し合って、公正取引委員会が禁止しておるような不公正な取引方法をやめましょうというような趣旨でつくられた団体でございます。それで、村山委員がいま言われましたように、価格についてこの協議会が云々するということは権限外でございまして、もし価格についてそういうことをしておるということになりますれば、独占禁止法違反になります。  それからみそ、しょうゆなどでございますが、私、詳しいことは存じませんけれども、しょうゆなどにつきましては、大メーカーと中小メーカーの格差が非常に開いておりますので、特殊指定をいたしましたその運用については、大メーカー、中小メーカーのやり方などについて相当関心を払って、画一的に禁止をしないというような形で進んでおるわけでございます。
  34. 村山喜一

    村山(喜)委員 いまもお話がありましたように、大きなメーカーと小さなメーカーがあるのですが、最近、価格協定の場に公正取引協議会がなっておるといううわさを聞くのであります。あなたのところの取引課あたりにおいてもずいぶん検討されていらっしゃるようでありますが、これらの問題については、過去における業績は業績として評価をしなければなりませんけれども、あまりにも正当な競争がその中で避けられておるというような状態になりますと、これは価格硬直という状態の中に業界を安住させるということになりますし、国民の生活にもマイナスになるという点から、私は、その実態をもう一回公取としても十分に調査を願って、善処方をお願いしておきたいと思うわけであります。  そこで北島委員長、先ほどテレビと自動車の輸出価格国内販売価格の問題を申し上げましたが、これについては、やはりあまりにもひど過ぎる実態で、これでは正当な競争の原理、公正な価格の形成という部面においては、全く国民を愚弄するもはなはだしいと私たちは見るのです。これは、先ほどの事務局長お話では、権限事項から見て国内だけの問題だから、どうも貿易の問題にまではチェックできないのだというような話がございましたが、しかし私は、こういうような事態は、正当な理由があれば別といたしましても、正当な理由がないと思うのです。あまりにもひどい、三倍もするようなそういう国内販売価格というものは、公正取引という立場から見ましても、私たちは常識的にこの問題についてはどうもおかしいと考えざるを得ない。そういうような問題をあなた方が、やはり立場立場としても深い関心をお持ちになって、その権限の中においてタッチ願いたいと私は要望申し上げたいのですが、それについてはどういうふうにお考えになりますか、お答えを願います。
  35. 北島武雄

    北島政府委員 ただいまお話がございましたカラーテレビ輸出価格の問題については、私も事実存じませんので、ただいまどうこう申し上げるわけにはいきませんけれども、おそらくカラーテレビは、現在が、国内的にも国際的にも伸ばす絶好のチャンスというように業界考えておるのではなかろうか。そうして、たとえばソニーのトランジスタのように、あるいは本田技研のオートバイのように、強力にこれを国際的に伸ばすことによって、国内価格も自然に下がることにもなるわけでございます。はたしていまの価格でいいかどうかわかりませんが、業界としては必死になって輸出競争、しかも過当でない、業界としてたえられる適正な値段でもって輸出しよう、しかも外国の市場を確保しようということになっておるのではないかというふうに存ずるのでありますが、ただ、この輸出価格国内価格とがあまりにも開き過ぎますと、国内価格に多分にかぶせられる場合が多いわけでございます。この点は、先ほども申しました調整金勘定につきまして、私ども非常に深甚な考慮を払っておりますが、それと同じように、この問題につきましても、今後ひとつ十分に私どもとしても怠らずに検討してまいりたいと考えております。ただ、一がいに外国に出す値段が低いということだけでは、私どもも独禁法の範囲としては扱いかねる場合がありまして、国内価格に不当にかぶせられるという場合に問題になるわけでございます。こういうことについて不当に国内価格にかぶせられることのないよう、私どもは今後十分注視してまいりたいと思います。
  36. 村山喜一

    村山(喜)委員 私もこれで終わりますが、韓国へテレビの部分品を千台分輸出をするということを韓国政府が承認をしておるようですが、日立製作所に許可を与えたその内容を見てみますると、十九インチの部品だけでありますが、一台分について、CIF価格で四十三ドルという価格であります。というのは、いかに原材料価格が安いかということが、これでも証明ができるのではないかと私は思う。一万五、六千円足らずの値段で材料を輸出する、そういうような価格になっておりながら、なお国内に対しましては、朝めし会と称する会で話し合いがなされている。この前あなた方はセメントの場合については勧告をされました。これは私もここに資料をいただいておりますが、内容的に、もうのがれることができないようなところまであなた方が調査をされて勧告をされたので、オーケーだということで従わざるを得なかったのがセメント業界内容のようでございます。しかしながら、いま申し上げましたように、弱電関係の場合等においては、社長会という朝めし会でそれらの話がなされて、そうして処置がされている、こういうようなこともわれわれは聞くのであります。そういうようなことが事実であるとするならば、これは明らかに独禁法違反の措置ではないかと思う。価格協定、生産協定、そういうようなものを、やみでカルテルを結んで、価格上昇をはかっているというようなこと等を見ると、やはりこういうようなところにも公取としてはメスを入れてもらわなければならない点があるんじゃないかということを考えます。これは私が申し上げるだけではなくて、国民の中にもそういうような疑惑を持っておる人たちがおるということを十分認識を願いまして、今後の調査並びに公正な取引が行なわれるように、活動をお願いを申し上げておきたいと思います。
  37. 小笠公韶

    小笠委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもってお知らせすることとし、散会いたします。    午後三時十三分散会