運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1966-04-27 第51回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年四月二十七日(水曜日)    午後一時二十二分開議  出席委員    委員長 小笠 公韶君    理事 木村 俊夫君 理事 砂田 重民君    理事 山本 勝市君 理事 井岡 大治君    理事 兒玉 末男君 理事 村山 喜一君       坂村 吉正君    床次 徳二君       粟山  秀君    伊藤よし子君       平林  剛君    帆足  計君  出席国務大臣         国 務 大 臣 藤山愛一郎君  出席政府委員         総理府事務官         (公正取引委員         会事務局長)  竹中喜満太君         総理府事務官         (経済企画庁国         民生活局長)  中西 一郎君         総理府事務官         (経済企画庁総         合計画局長)  鹿野 義夫君         農林事務官         (畜産局長)  檜垣徳太郎君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計局総務課         長)      船後 正道君         大蔵事務官         (主税局税制第         一課長)    中橋敬次郎君         大蔵事務官         (証券局企業財         務課長)    安井  誠君         大蔵事務官         (銀行局総務課         長)      田代 一正君         農林事務官         (大臣官房参事         官)      来正 秀雄君         農 林 技 官         (農林経済局消         費経済課長)  堀川 春彦君         通商産業事務官         (企業局企業第         二課長)    左近友三郎君         通商産業事務官         (企業局消費経         済課長)    小島 英敏君         通商産業事務官         (企業局企業調         査課長)    林  義郎君     ————————————— 四月十三日  物価値上げ反対に関する請願(林百郎君紹介)  (第二七九五号) 同月二十一日  諸物価上昇防止に関する請願坂田道太君紹  介)(第三二三三号) 同月二十六日  物価値上げ反対等に関する請願(林百郎君紹  介)(第三六〇〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件      ————◇—————
  2. 小笠公韶

    小笠委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。帆足計君。
  3. 帆足計

    帆足委員 前三、四回、私は外務委員会と重複しておりましたので欠席いたしまして、たいへん失礼申し上げました。  参考人意見ども伺い、また速記録を拝見しまして、物価対策についての施策重点も、おいおい見当がつき始めておりますことは御同慶の至りですが、この委員会では、与党、野党、そういう論争は、むしろ予算委員会等で行なわれておりますから、互いに協力し合って重点を注ぐべき点を明らかにし、また政府施策の上において考慮していただかねばならぬ点を強く推進したいと思っております。  最近の生鮮食料品対策は、国民生活安定の上に差し迫った問題ですが、私は、これは強力に推進すれば対策が立ち得るし、また、食料品の絶対数をふやすこともできますし、配給の円滑化を一そう促進する方策もあると思いますから、せっかく一段の御努力を希望したいと思います。  その他の問題につきましては、一つは、戦後インフレーションあと産の始末が現在まだ続いておりますから、この始末を、なるべくもうこの辺のところで打ち切って国民一般物価騰貴影響を及ぼさないような形で始末をする。すなわち、大衆に負担を転嫁しない意味合理的政策をおやり願い、それからアンバランスの調整をしていただく。その場合に、結局ぶつかりますのは、総括的問題としては、やはり金利負担が非常に大きいように思います。先日、金融面について大蔵省当局から御説明をいただきましたときに、残念ながら私は余儀なき他の委員会のことで欠席しておりまして、お尋ねする機会を逸しましてまことに残念でした。そこで、きょうは金融面のほうのことをお尋ねいたしまして、そして、互いに考えをまとめたいと思う次第ですが、戦前に比べまして痛感いたしますのは、借り入れ資金に依存しておりますために、ばく大な金利支払いに追われておること、それから税金が非常に高いこと、それから住宅問題が未解決であること、それから教育費が非常にかさむことです。教育費政府負担も大きくなっておりますけれども、父兄の負担が多くて、重役級になりましても、四月にはほとほと困っておる。ベースアップもさることながら、こういう問題の解決と並行して行なうことが必要だと思います。  そこで、逐次お尋ねいたしますが、戦後廃墟の中から立ち上がりましたから、借り入れ金に依存しておりますことは必然でありますけれども設備をつくりましたものは、またその後の物価騰貴によりまして、おのずから債務の負担が軽くなりましたけれどもインフレーション設備拡張とが互いに原因となり結果となって進んでまいりましたが、何ぶんにも一方では税の負担が重いものですから、自己資本蓄積が十分でありません。そこで、借り入れ金に大きく依存しておりますと、利子負担というものが圧倒的に大きいのでございます。なぜ日本では金利がこうも高いのか。欧米に比べまして、日本金利は非常な格差があるのでございますから、経営者にとっては、すなわち、良品を廉価に販売したいと思う者にとっては、金利負担が大き過ぎると私は思っております。その金利負担の大きいことを、インフレーションでカバーしているような一面があります。一時は、金を早く借りた者が勝ちだというようなことで、そのためにまた金利も高いのではないかと思いますが、物価の安定なくして生活の安定はありませんし、人心の安定はありません。戦前には、通貨価値の安定ということは、財界道義的責任考えられておりました。今日一年間に、多いときは一割近くも物価は騰貴しまして、それで、インフレだからしかたがないというようなことは、戦前には予想もできなかったことであります。御承知のように、イギリス等におきましては、通貨価値が五%をこえて不安定になれば、内閣は責任を追及される。もし通貨が不安定であるならば、それは中央銀行が詐欺を行なっていると結果としては同然でありまして、勤倹貯蓄の、大根一本買うのにも頭をひねって買っておる奥さんたち努力も水泡に帰するわけでございますから、これは政府としても、インフレを甘く見ることは道義的責任の問題だと思います。インフレであって、そして正直者が報いられるということはあり得ないことでありますから、正直者が損をするということは、これはインフレでございます。上は社長から一般の社員に至るまで、すべてまじめに働く者は報いられることわずかで、ブローカーレージで暮らしている者は非常に豊かになるというのが今日の状況でございます。したがいまして、インフレ対策は、むしろ文部大臣の所管であっていいくらい重要な問題でありまして、インフレ政策を行なっておりながら、教育とか道義とか言っても、意味がないと言っていいくらい重要な問題ではないかと思います。  最近、老年の方の自殺統計新聞に出ておりましたが、十万人について女子が六十人、男子が四十人ですか、女子自殺率世界一、男子自殺率世界第三位と書いてありました。私はまだ統計の原本を見ておりませんから、しかりやいなや確かめておりませんけれども、二つの新聞にこの数字が載っておりまして、たいへん大きな数字であることを見て驚きました。十万人についてたぶん六十人だと思いますが、百万人でしたら六百人になりますから、百万の都市では男女合わせると千人も自殺に追い込まれていることになるが、この統計は正確かどうかお調べ願いたいのです。これは厚生白書でも見ればわかることですけれども。結局、だれからも問われることは、前途が不安である、われわれの前途はどうなるであろうかと、異口同音に勤労者または会社員から聞かれるのでございます。  そこで、問題の根幹をついてまいりますために、どうして日本金利が高いのか。もとから金利が高い。その上インフレですから、個人の貸借でも物価の値上がりを見込んで金を貸さなければひどい目にあうということで、金利はおのずから高くなる。それで長官にお尋ねしたいのですが、金利政策に対して産業資本と申しますか、ものの生産を引き受けている側からの意見が、この国では発言権が従来あまり大きくありませんでした。しかし、発言権は大きくなかったけれども日本銀行業者というものは、戦前非常に謹厳の傾向がございまして、裏銭を取ったり歩積みをさせるとか、そういう弊風は戦前にはなかったのです。同時に大金融業者は、その理論的代表である井上準之助氏にしても、それから多少ケインズ学説に傾いていた高橋是清翁にしても、やはり通貨の安定を守るためには死を賭して守りまして、実際軍事予算を背景とする軍部、ファッショ勢力の犠牲になったわけでございます。長官は、日本高金利ということについてどうお考えになっておるか、どういうふうに対処すればいいとお考えになっておるか。これを伺って、そのあとで戦後における銀行支店の増加、それから金利戦前との比較銀行従業員数戦前との比較等について、数字的に事務当局から伺いたいと思います。
  4. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 日本金利は今日でも高いが、過去から見ましても、趨勢的に、戦前でも世界のうちで高金利の国であったわけでありまして、その原因は、やはり明治時代になりまして急激な産業の膨張と申しますか、諸般の統一国家としての体制を整えるというような問題について、非常に大きな資金を必要とした。それにもかかわらず、御承知のとおり封建時代から引き継いできた経済ですから、必ずしも十分な蓄積があったとはいえないと思います。そういうようなことで、いわゆる資金量の不足と申しますか、蓄積が十分でなくて、そして使うほうが大きいというようなところに、万年のいわゆる金利高というものが起こってきておったのではないか。そして戦後は、さらにその傾向に拍車をかけてきたということが一応言えると思います。  御承知のとおり戦後は、持っている財産というものはほとんどみんななくしてしまったわけです。物的財産もあるいは金による財産も、新円切りかえその他でなくしたわけであります要するに、信用でもって金を借りて仕事をするというような状況でございました。ですから蓄積されたものはなくて、そうして金を借りてそれをまかなっていく、こういう状況が引き続いて起こってきたと思います。ですから、そういう意味において金利がずっと高くなってきているのだ、またそういう状況が継続してきているのだ、こういうふうに考えられるのでありまして、やはり長い間にわたって個人貯蓄、あるいは法人資本蓄積というものがもっと十分に行なわれておらなければ、資金コストというものは高からざるを得ない。やはり金利にいたしましても、需要供給との関係でおのずから金利の高低はきまってくるわけでございまして、借り手が多くて貸し手が少なければ金利は高くなる、あるいは貸し手が多くて、貸す金が多くて、そうして借りるほうが少なければ金利は安くなってくる。これは当然の原理じゃないか、私どもそういうふうに考えておるわけでありまして、その意味において難点があると思います。
  5. 帆足計

    帆足委員 そこで、ただいま伺いましたように、明治の初年から大正の成長期を越えて急激な発展をした日本でありますから、民間では資金が足りませんで、高金利を維持する傾向が強かったということはわかりますけれども、しかし同時に、明治の初年から国家資本に依存する度合いが非常に大きかったし、それから財閥というグループがあって、そこに金融が大きく吸い上げられて、そうして金融機関がやや独占的であって、中小企業産業資本に対して寛大に、また平等的にふるまう勢力比較的弱かったという一面もあったように私は思っておるのです。  青年時代に私は経団連の事務局仕事をしておりましたが、そのとき痛感いたしましたことは、財界というものは——日本では工業界と呼ばれずに財界というのです。財界の財とは何ぞやというと、どちらかといえば財界意見というものは銀行及び財閥に傾いておりまして、金融に苦労しない人たち世界財界である。金を借りて、そうして技術を生かして、人の労力を生かして努力する第一線の工業家等発言力が、比較的弱いという傾向があることを痛感しておりました。したがって、当時商工会議所発言やそれから工業家の皆さんの発言のほうに、私は心を引かれておりました。やがて戦時経済になりまして、工業家が立ち上がって増産に邁進せねばならぬということになってまいりますと、どうも工業家意見と金を貸す銀行家意見との間にはどうしてもギャップができる。そこで、当時重要産業協議会というものができまして、戦後はそれが日本産業協議会ということになって、私はそこの常務理事をしていたのですが、どういうものかまた日本経済が復興してまいりますると、それは要らぬではないかということで、日本産業協議会は解散になりました。そして、私もその職を辞したのでございますけれども、いまでもこれは非常に残念なことであったと思う。やはり工業家工業家意見を出して、銀行家意見との調整をはかるべきではなかったかと思っておるのでございます。工業家の任務というものは実にきびしいのでありまして、一面、資本家といえばどなたも、ドルを一ぱいふところに入れたビール腹の男のような漫画を一般に想像しがちでありますけれども資本主義法則自身社会機構の矛盾や欠点はそれは制度の問題でありまして、工業家自身は、一面、ある時代には大きな役割り——現在でも大きな役割りを持っておりますが、みずからゲートルを巻き、建設中の工場現場にも出かけ、労務者と接触し、技術を取り入れる、その責任は彼らの一身にかかっておるわけであります。金融責任も、納税の責任も、賃金支払い責任も、彼らの一身に重荷がかかっているのであります。したがって、金融に苦労しなくていいグループ意見が、財界意見としてそれのみが出るということは、私はどうかと思っております。やはり金融に苦労し、税金に追いまくられ、労賃の支払いに心痛めておる、そういう産業資本家諸君意見が重んぜられるようにならねばならぬことを、前々から痛感いたしておりました。  お尋ねいたしたいことは、戦後資金の融通が、必ずしも民間資本比重というものがさほど大きいわけじゃありません。戦後は復興金融公庫その他国家資金の裏づけのある金融というものが非常に大きくなっておりますから、やろうと思えば、イギリスアメリカに右へならえいたしまして、もう少し低金利政策を、すなわち銀行業務を思い切って合理化して、産業資本家だけに合理化を要求せずに、銀行をもっと合理化して、そして低金利でいくというための努力が十分になされたかどうか、私は疑問に思っておるのでございます。民間資本需要供給関係だけならば、いまの長官の御答弁も重要な経済法則としての要因でありますけれども、しかし、戦後のように国家資本比重が非常に大きいときには、ある程度政府が人為的に影響を及ぼすこともできるわけでありますから、低金利政策をとるという姿勢そのものにどこかに欠点があるのではなかろうかと私は思っておるものでございますので、大臣の御答弁をいただきます前に、統計を先に大蔵省事務当局からいただきたいのですが、銀行金利の額は戦前に比べてどのくらいふえておりますか。また、支店の数がどのくらいふえておりますか。銀行従業員の数が、昭和十年ころに比べてどのくらいふえておりますか。私は、銀行というものは公共機関でありますから、チープガバメント・イズ・ベストガバメントの原則と同じで、銀行は安くて能率のいい銀行こそ最善の銀行なりというスローガンでいかなければならぬ。どこに行ってもここに行っても銀行保険会社ばかりで、立地条件のいいところにはそれが密集している。産業には合理化を要求しますけれども銀行合理化金利の低下を強く叫ぶ者はない。銀行融資が低金利であれば放漫になるおそれがあるとすれば、それを貸し付け条件のほうで締めればいいのであって、金融の操作を金利一本だけでするのでは不十分ではあるまいかと私は思うわけでございます。したがいまして、ただいまの数字を御説明願いたいと思います。
  6. 中橋敬次郎

    中橋説明員 大蔵省でもって法人企業統計年報というのをつくっております。これは金融保険業を除きますところの営利法人全部について調査し、統計をまとめたものでございまするが、それによりますと、たとえば、三十九年度におきますところの企業支払いました利息、割引料は二兆七百四十四億円でございます。これに対応しまして戦前をという御要求でございますが、この法人企業統計年報というのは昭和二十五年以降つくったものでございまするので、これに対応しましての戦前数字はございません。
  7. 田代一正

    田代説明員 お答えいたします。金融機関店舗の数でございますが、これは、戦前と戦後では御案内のとおりに金融体系がいろいろ変わっておりますので、比較対象がむずかしいわけでございますが、かりに全国銀行というものをとりますと、昭和十一年では店舗数で六千百三十五店舗昭和四十年九月現在で全国銀行店舗は六千四百四十八店舗でございます。ただ、ここで注釈いたしますと、戦前と戦後で金融体系が違っております。たとえば、戦後にできましたのが相互銀行とか信用金庫とか、これは戦後の所産でございます。かりにその場合相互銀行戦前無尽会社の承継であるという前提のもとで考えますと、戦前には無尽会社店舗が四百六十店舗、戦後相互銀行は、四十年九月で二千七百九十八店舗に相なります。それから戦後の信用金庫という体系、これを戦前のかりに市街地信用組合であったという比較でとりますと、昭和十一年の市街地信用組合は二百六十九店舗、四十年九月の信用金庫店舗数で三千三百六十六店舗ということに相なるわけであります。  それから、次に銀行従業員数比較というお話でございますが、残念ながら銀行局内全部さがしてみたのですが、戦前統計はございません。それで最近の数字を申し上げますならば、都市銀行でとりますと、これが四十年の九月合計で十二万九千人ということに相なります。それから同じ時期に地方銀行をとりますと、これが十万四千人、それから相互銀行をとりますならば、七万四千人、信用金庫でとりますならば七万九千人ということに相なっております。合計いたしますと、この四機関合計でたしか三十八万くらいになると思います。この三十八万のうち、この十年間でふえました人員が約八万でございます。十年間に三十万から三十八万になったというぐあいでございます。
  8. 帆足計

    帆足委員 この数字を拝見いたしまして、大銀行店舗数が思ったより増加していないのを見て私は驚きました、もちろん規模は大きくなっておりますけれども。それで、中小企業相手相互銀行及び信用金庫が非常にばく大な数ふえておりますこともよくわかりました。だとすれば、問題はなかなか困難な問題があるということもわかります。日本利子率中央銀行割引歩合市中銀行の典型的な割引歩合の国際上の比較を、英、米、仏、伊くらいでけっこうですが、ございましたら伺っておきたい。
  9. 田代一正

    田代説明員 各国中央銀行公定歩合で申し上げますと、日本は御案内のとおり、昨年一月、四月、六月と三度にわたりまして公定歩合を引き下げまして、現在商手割引で申しますと、パーセンテージで申しまして五・四八%でございます。アメリカは、御案内のとおり昨年の暮れに五厘上がりまして四・五%になっております。イギリスは六%でございます。それから西ドイツ、これは昨年の年央に引き上げをしまして、現在四%になっております。大体主要各国はそういう状態であります。
  10. 帆足計

    帆足委員 民間割引歩合はどうですか。
  11. 田代一正

    田代説明員 ちょっと先生追加して、ある資料の中で申し上げます。  アメリカ金利はちょっと流動的でわかりませんが、イギリスの場合で、たとえば日本短期貸し出し金利に見合うのは、通例といたしまして当座貸し越しでやっております。当座貸し越しの計数を申しますと、一流法人について六・五%に現在なっております。それから同じく西ドイツで当座貸し越し八・五%、それからイタリアでは当座貸し越しが七%になっておるということでございます。ちなみに、先生御案内のとおり、昨年公定歩合の引き下げに連動いたしまして、さらに政府その他当局の要請もございまして、市中短期金利はきわめて大幅に下がってきております。現在たしか約定平均で、都市銀行をとりますと一銭九厘を若干上回るという感じだと思います。これをパーセントに直しますと、大体七%くらいになっておると思いますが、そういう比較で見ますと、西ドイツより低く、イギリスより若干高く、イタリアと大体同じという感じだと思います。
  12. 帆足計

    帆足委員 私どもは、従来主としてアメリカを基準に考えておりまして、また英国の最近の割引歩合の高いのに私も驚きました。これはどういう理由かよくこちらでも調べてみますが、実際に私どもが接触しております一般中小企業の例からいいますと、昔の地方銀行がつぶれましたあと信用金庫及び相互銀行に依存しているというのが現状でありまして、そしてみな高金利に悩んでおります。据え置き期間が短いことにも悩んでおります。どうしても借りる方法がないというのが現状です。また、不動産銀行不動産を担保にしても金を借りにくい。そこで、行くべき場所がないから歩積み・両建てのようなことをやって、やみ金利として手数料をたくさん払うとかいうようなところに追い込まれておる。その問題になると、いま長官の言われましたように、需要供給の問題にもなってくるわけですから、対策はたいへんむずかしいと思いますが、私、当初質問に立ちましたときの予想に比べまして、案外諸外国の金利の安くないことを知って驚きましたが、それでも西独で公定歩合四%、アメリカで四・五%、それに対して日本の五・四八%というのはやはり多少割り高であることはよくわかりますけれどもイギリス金利が六%というのはどういう理由でしょうか、ちょっとお気づきでしたら。
  13. 田代一正

    田代説明員 イギリス公定歩合の六%が非常に高いと仰せられましたが、実はこれはその直・前、昭和三十九年の十一月には五%の金利を七%に引き上げております。それで、さらに景気調整その他の関係もございまして、昨年の六月に七を六に引き下げておるという状況でございます。
  14. 帆足計

    帆足委員 そうしますと、私どもが非常に金利重圧感じますのは、一つは、一般中小企業金融において歩積み・両建てなどがありますのが非常に強くこたえるのでしょう。もう一つは、返済期間が大銀行に比べてこまかく刻まれておりますから、それで非常に苦しい。もう一つは、すべての企業借り入れ資本に依存している率が非常に大きいから、金利率そのものは多少割り高程度であっても、企業全体として非常な重圧を感ずるのじゃないかと思いますが、企業における自己資本他人資本比率について、もう少し御説明をいただきたいと思います。
  15. 中橋敬次郎

    中橋説明員 同じく先ほど引用いたしました法人企業統計年報によりまして自己資本比率を申し上げますと、三十九年度にこの比率が一九・七%に、二〇%を割りまして落ちました。少しさかのぼりますと、三十八年度が二〇・五%、三十七年度が二二・〇%、こういう状況でございます。
  16. 帆足計

    帆足委員 山本委員からもちょっと御注意いただいたのですが、これにはいわゆる商品取引などの手形割引なども含んでおりますでしょうか、それとも固定資産あたりの面だけのことでしょうか。
  17. 中橋敬次郎

    中橋説明員 全部入っております。
  18. 帆足計

    帆足委員 これの戦前比較があればさらによくわかるのですが、確かにこれは予想どおり自己資本が極度に少ないということが、すなわち金利が非常な重荷になっておるということであろうと思います。したがいまして、金利の利率からいえば、ごくわずか下がりましても企業負担は非常に楽になりますし、企業の能率化ということに益するところがいかに大きいかということは、この数字によっても示されるように思いますが、山本委員からちょっと。
  19. 山本勝市

    山本(勝)委員 ちょっといまのに関連して、日本の場合に、大体売るのは手形でなければ売れない。手形で売ったものをその手形を割り引く。しかし、買うほうもまた手形で買うておる。だから手形は、受け取り手形と支払い手形と両方持っておるわけですよ。つまり商売しておる人が、四千万の支払い手形と四千万の受け取り手形を持っておるという場合に、いまのお話では、手形を割り引いた借金、それはいまの自己資本率に入っておるということでしたけれども、しかし、それだと受け取り手形——企業間では一方で権利、一方で債務になっておるわけですが、それは入っておるのですか。それを入れると、一方権利になっていますからね。売るのも買うのも両方やっている。それで、中小企業金利負担で一番困るのは銀行金利負担ですが、それは売れば売るほど銀行の借金がふえる。なぜふえるかというと、売るのは手形で売っていますから、その手形を銀行へ行って割り引いておるものですから、よけい売れば売るほど銀行の借金がふえて金利がふえていく、こういうことになっておるのです。それをもう一ぺん、品物を売って手形を割り引いたときの金利というようなものを、いまのは含んでおるのか含んでいないのかということを確かめておきたいのです。
  20. 中橋敬次郎

    中橋説明員 ただいまの御指摘の点は、いわゆる企業間信用の問題に関するものと思いますが、いま申し上げました一九・七と申しますのは、分母は総資本でございます。分子は、いわゆる自己資本でございます。総資本といいますのは、その中に流動負債、その中にまた買い掛け金として支払い手形も入ったものを分母といたしております。
  21. 山本勝市

    山本(勝)委員 企業間信用ではあるのですけれども銀行の借金になっておるわけですよ。支払い期日がくるまでの間は銀行の借金でしょう。
  22. 帆足計

    帆足委員 それではただいまのことは貸し借り複雑になっておりますから、あとでお調べ願うことにしまして、とにかく自己資本が少ないということは、河合良成氏が「企業貧乏論」で書いたとおりで、あれは警鐘を乱打したものであると私は思っておりますが、自己資本が少ない、金利は国際的に割り高であるということでありますから、大蔵省当局も、産業に対して合理化を要求するだけでなくて、銀行そのもののあり方について、金利負担がいかに大きいか、そしてそれがまた国民生活にとってはインフレーションがいかに大きな不安を与えているかということについて、絶えず自己反省が必要であろうと思います。  それから、第二に税金のことですが、戦後の特色は金利が高いことと、税金が高いことです。月給取りでもそうですが、何か仕事をしましても、ただ金利支払い税金支払いに追われておる。結局、人生とは何ぞや、人生とは銀行金利を払い、税務署に税金を払うことで、あとに残るものは何もない。多少残れば今度は相続税で、それも大財閥に相続税がかかるなら、これは私は社会福祉上いいと思うのです。われわれはそれを主張しておるわけです。しかしわずか百坪くらい、カキの木二本のところにぼく大な相続税がかかってくる。未亡人の手元現金は全部かっさらわれてしまう。その過酷なること雄略天皇よりひどい。それをわれ人ともにあまり悪いことではないと思っていることがふしぎだと思って、それで私は統計の提出を願っておるわけでありますが、抽象的に、国民所得に対する租税負担の割合は、やはり一二%から二〇%にふえております。しかし、税率はもっとふえておるように伺っておりましたが、法人税と個人所得税の税率は、戦前比較してどのくらいでしょうか。実は私ども大学を出てすぐ会社に入ったのですけれども、当時税金のことなんか考えたことさえなかったのです。脱税なんというのは、あれは非常に悪い、チフス菌注射をした医師みたいな者がやることであって、君子のやることではないと思っておりましたが、いまは、会社を守り自分の仕事を守るためにはあらゆる戦略戦術を講じて、脱税のエキスパートにならなければ社長の資格はないということになっております。また、大蔵省も、現在の税率が無理であるということは知っておられると思いますので、交際費に対して、かくも寛大であるのもそのあらわれでないかと思っておりますが、ゴルフから二号さんのお家賃まで交際費から出ておるということは、世間周知のことでございます。私どもは倫理の先生でありません。特に物価問題は、倫理よりもやはり経済法則から進まねばならぬ問題ですから、倫理を説こうとするのではありませんが、あまり無理な税金のかけ方をすれば、人は正当防衛の手段に出るというのは当然のことでありまして、戦前との個人所得税及び法人所得税の税率の比較、及び個人所得税における税金を払っておる人の数の比較はどうですか。
  23. 中橋敬次郎

    中橋説明員 まず、戦前をいつにとるかという問題がございますけれども、かりに昭和十年という年を戦前ということにとりまして、所得税及び法人税の税率等について比較いたします。  まず個人の所得税でございますが、昭和十年の税率は〇・八%から三六%までの累進税率をとっておりました。その場合の課税最低限でございますが、千八百七十五円ということになっております。これを、かりに物価等を考慮しまして現在価値に直すことをやりますと、倍率は四六六・一%というのを使いまして、八十七万三千九百三十八円ということになります。これに対応しまして、現在の制度改正後の税率でございますが、所得税の税率は八・五%から七五%までの累進税率になっております。これに対しまして昭和四十一年、初年度の課税最低限は、六十一万三千四百二十一円ということになっております。
  24. 帆足計

    帆足委員 この所得税には地方税も入っておりますか。
  25. 中橋敬次郎

    中橋説明員 申し上げましたのは所得税だけでございます。したがいまして、住民税は入っておりません。  それでは住民税を、戦前の、やはり昭和十年というのをとりまして申し上げますと、実は住民税につきましては、戦前は各地方団体で相当自由に課税しておりましたので、はっきりした数字はございませんけれども、まず、府県の段階におきましては、所得税の付加税といたしまして二四%以内のものを取っておったようでございます。市町村は戸数割りといいまして、資産の状況、所得の状況等を見立て課税によりまして税額を決定いたしておりました。これに対しまして現在は、府県民税におきましては均等割り百円、所得割りは二ないし四%でございます。それから市町村民税におきましては、均等割り二百円ないし六百円、所得割りは二%から一四%になっております。  次に法人税について申しますと、戦前昭和十年におきましては、法人税という別個の税目ではございませんでしたけれども、いまの法人税に当たるものについて申しますと、普通所得としまして五%の税率を取っておりました。それから超過所得といたしまして、資本金の一〇%をこえる金額については四%、資本金の二〇%をこえる金額につきましては一〇%、資本金の三〇%をこえる金額につきましては二〇%ということになっておりました。これに対しまして現在の法人税でございますが、今度の改正でもって、資本金一億円以下の法人と一億円超の法人に分けましたので、まず資本金一億円以下の法人について申しますと、その中でも、年三百万円以下の所得につきましては、留保分二八%、配当分二二%、年三百万円超の所得につきましては留保分三五%、配当分二六%でございます。資本金一億円超の法人につきましては留保分三五%、配当分二六%と、先ほどの資本金一億円以下の法人につきましての年所得三百万円超のものに対応する税率を、全部について適用いたしております。  なお、納税人員でございますが、所得税について申しますと、昭和十年におきましては六十七万九千人でございましたものが、昭和四十一年につきましては、予算ベースでございますけれども、二千六十五万人となる予定でございます。
  26. 帆足計

    帆足委員 私は、戦前との相違は、金利の高いこと及び重税であるということを申しましたが、個人所得税では、人口の増加を考慮に入れましても、戦前の倍になっております。倍の人が税金を払っておる、これを、物価対策としてはさらに検討する必要があると思います。  それから、まだ他の方の御質問もありますから簡単にいたしますが、それとうらはらになっておる行政費が、戦時中の統制経済のときの官庁定員の増加、また非能率などが、今日十分に整理されていないのではあるまいかと常識的に思われるのでございますが、昭和十年に比べまして、現業官庁は要りません。現業は生産をしておるわけですから、これは生産の問題として取り扱うこととして、経済学上いわゆる空費をなす行政費、それの、できれば中央地方における人数の比較を伺えたらしあわせです。
  27. 船後正道

    ○船後説明員 戦前、戦後の官庁定員なり給与費の比較の問題でございますが、官庁定員につきましては、戦前と戦後の公務員制度が著しく違っておりますので、ちょっと比較のしようがないのでございますが、これを給与額について申し上げますと、昭和十年度でございますが、これは十年度におきます職員の給与額の当時の一般会計歳出予算総額に対する割合でございますけれども、これが、陸海軍を除きまして七・二五%、四十一年のこれが六・〇八%でございます。なお、戦前の陸海軍を含めますと一〇・六六%、戦後につきましては防衛庁を含めますと、これが八・六四%、こういう状態でございまして、大体予算額として見ますと、給与費は戦前、戦後たいして差はないという状況に相なっております。
  28. 帆足計

    帆足委員 私が伺いたいのは、役所の内部における割合でなくて、役人の絶対数が、戦前の自由経済のころに比べてふえてはいないか。すなわち、戦時中統制経済でふくれ上がった空費をなす行政人員が十分に縮小しないまま、非能率のまま今日に置かれておりはしないかという疑問についてでありますから、役人の絶対数がどういうふうな変化があるかを伺いたい。
  29. 船後正道

    ○船後説明員 先ほど申しましたとおり、一般会計で比較するのが一番妥当ではないかと思うのでございますが、これは戦前一般会計と戦後の一般会計との構造の違いがございます。それから、地方自治に対する問題が違うわけでございまして、その点実は手元の資料には、そういった戦前、戦後の制度の違いを整理しました資料がないのでございますが、戦後で申し上げますと、昭和二十四年度の一般会計の定員が四十二万四千、これは防衛庁を除いております。これが四十一年度は三十万八千、かように相なっておりまして、最近の傾向といたしましては、一般会計の人員は、ほぼここ四、五年程度は大体横ばい程度、ことに四十一年度につきましては、一般行政事務に従事する職の増員は極力押えておるのでございます。ただ、この問題は、実は一般会計と特別会計との間にやりくりがございます。その両方を純計してみなければ、これまたなかなか比較がむずかしい。手元の資料ではそういう純計がございませんから、そういったことが必要でございますれば、そういった資料を作成いたします。
  30. 帆足計

    帆足委員 以上の問題につきましては、民間でもいろいろ論説や資料が出ておることでございますので、私も調べますが、とにもかくにも企業においては利子負担が重いし、企業並びに個人においては税の負担がとてもやり切れない。この問題は、われわれがインフレーションを終息せしめ、国民経済を健康な状況にするのには、どうしても検討せなければならぬ課題だと思ってお尋ねしたわけでございます。短時間で十分な予告もなしに御説明を求めるのも、他の委員諸君にも御迷惑ですし、また無理なことでございますから、こちらでも調べまして、そうして、また足らない点を伺いたいと思いますが、あとは、私は住宅難と教育費の問題であると思います。したがいまして、インフレーション施策の総合施策をもってしなければ、ベースアップ一本では、孫悟空が青竜刀を持ってお釈迦さまの手のひらの上をあばれているような風景になるのではあるまいかと思ってお尋ねしたのです。
  31. 小笠公韶

    小笠委員長 村山喜一君。
  32. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 藤山長官がおいでになっておりますので、大まかに政府物価対策の問題について質問をいたします。  この前の朝日新聞の世論調査の中にもあらわれておりましたように、佐藤内閣の姿勢については、物価高というところから、きわめて国民的な不満の声が強いわけであります。国民の生活実態感というものの上からも、消費者物価の上昇、なかんずく生鮮食料品の上昇というものによる国民の生活における窮乏感というか、生活はよくなってはおるけれども、不満感というものが強い。その中において、いわゆる所得階層ごとの分布をとって、五分位階層に属する人たちの問題を拾い上げてまいりますと、低所得になればなるほど物価上昇による影響が非常に深刻な形で強まってきているという実態が生まれているわけであります。そこで、政府はことしの予算で百五十七億円の物価対策の予算を決定いたしました。物価問題懇談会等を中心にして、行政の上に国民の声が反映できるような形で、この物価対策の問題に取り組んでこられたわけであります。  ところが、最近における物価上昇の傾向は、消費者物価だけではなくて卸売り物価も漸次高騰に転じておる。この消費者物価の上昇が卸売り物価にはね返るときが、非常に大きなインフレの拍車をかけるような方向になるので危険だという指摘もされておる。そこで今日まで、物価対策特別委員会が発足いたしましてから、各種の論議を各部門ごとに論じ合ってまいったわけでありますし、ただいまも金融政策の問題をめぐりまして、あるいは税制その他から論議がなされてまいったわけでございますが、この際、政府が過去において打ってまいりました物価政策の問題を振り返りながら、今後政府として物価対策としてはこういうようなものをやるのだという決意、計画、方向というものが、この段階において立てられているとするならば、これに対するところの方向を国民の前に明らかにして、国民の不満感、不安感というものを解消する機会になっておるのではないかと思いますので、担当の藤山長官から総括的に御説明をお願いしたいと思うのでございます。
  33. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 物価問題は、いま村山委員のおっしゃるとおり、非常に切実な、重要な問題でございまして、われわれとしては何としてもこれを安定さしていかなければならぬ。そこで、消費者の物価問題を考えてみますと、過去の趨勢から申しまして、やはり一番食料品関係が値上がりをしており、その次に住宅、中小企業の製品、教育費、こういうように大体大きく四つの項目に集中されていると思うのでございます。そこで、これらの四つの項目を一つ一つ解決していくことが必要でございますが、しかし一般の生活の上では、特に食料品が安くなるあるいは安定するということが一番望ましいことなのであります。  そこで、食料品をどうして安定させるかといえば、これはやはり農村の政策とあわせて考えてまいりませんと、ともすれば、私ども物価問題を扱っておりますときに、中小企業いじめなりあるいは農村いじめになっては相ならぬのでありまして、したがって、農業従事者の方々も安んじて安定した価格で生産が続けられるという状態にならなければならぬと思います。ですから、本年の予算等におきましても、農産物の価格の安定、そしてそれらによって平均的に生産を続けていかれるということ、それは非常に安くもならないが、また高くもならないというところをねらっていくことになろうかと思います。ですから、たとえば白菜が非常にできた、それを捨ててしまわなければならぬというのでは、農村経済は成り立ちません。したがって、物価対策としては安いのがいいかもしれませんが、そういう状態では農村の経済政策にはならないのでありますから、そこで、やはり安定的なことになりますと、野菜の指定栽培地というような制度を考えまして、そしてあわせて平均的な出荷をするように持っていって、そして価格も、安いときにはある程度補助をする、高いときにはそれを安くするというような方法を考えてまいらなければならぬのではないかと思います。むろん食料品の中で、たとえば牛肉のようなものは、牛の絶対頭数が減っておりますから、これを国内産に依存する場合には、若干長期にわたりましてそれらの頭数をふやしていくという施策を進めてまいらなければなりませんが緊急の場合には緊急輸入等でやっていく。どうも私たち考えてみましても、たとえばアメリカなりヨーロッパなりを見ておりますと、一番の生活必需品である牛乳であるとか卵であるとかいうような種類の、どうしても入り用なものが比較的安くて上等なものは高い。そういうような意味で、毎日使っております主食でありますとか大衆魚とかいうものの安定をはかっていくということが、当面の一番の施策でなければならぬと思っております。そういう方面についての努力を今日いたしておるわけでございます。  以上四つの理由を申し上げましたけれども、それらに対していろいろ問題があると思います。住宅が非常に不足しておる、したがって労働力の移動も困難である、しかも、今日住宅が不足しておりますために、公営住宅以外の家賃が高騰していくというような問題もございます。また、中小企業が十分な合理化をしておりませんから、中小企業みずからが生産性の向上をはかって、そして賃金の上昇を吸収していくという体制に持っていかなければならぬのでありまして、その面もひとつ考えていかなければならぬと思います。そういう意味において、施策を当面それらの問題に集中してやってまいりますと同時に、物価を形成しております。ただいま帆足議員の言われましたような金利の問題とか、そういうような他の要素というものもわれわれはあわせ考えながら、経済政策の大綱の中においてそういう問題を考えていくということによって、物価を安定させていきたいという考え方でおるわけでございまして、当面はできるだけ食料品等の安定をまず先決問題として考えていかなければならぬ、こういうことで施策を進めておるわけでございます。
  34. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 長官の模範回答をいただいたんですが、そのようにいくならば物価も安定し、上昇は見られないわけなんだけれども、どうもそういうふうにいかないわけですね。  そこで私、これは事務当局のほうにお伺いしますが、最近における消費者物価の動き、それから卸売り物価の動きについて説明願いたい。
  35. 中西一郎

    ○中西政府委員 消費者物価は、本年に入りましてからはさほど大きな動きは示しておりません。かねて七・七%程度、年度で、前年度に対して上昇があるんじゃないかと申し上げておりましたが、あと数日で締めくくりの計算ができますが、現段階では七・四に近いんじゃないかと思っております。特に、現在問題になっておりますのは野菜の関係ですけれども、これもものによって去年より高く、ものによって去年より安い、さまざまな形を示しております。いずれにしましても端境期でございますし、やや強気なのはやむを得ないかというふうにも思われます。  卸売り物価のほうは、昨年の暮れころからだんだんと上がってきております。この三月と昨年の三月を比べますと、総合では三%上がっております。しかし、この中には食糧、さらに国際的な需給関係から非鉄の値上がり等の分も含まれております。そこで、食糧あるいは非鉄を除いて、ことしの三月と去年の三月を見ますと、〇・九ということになります。残りの二%強というのは、食糧あるいは非鉄の寄与しておる分であります。ごく最近では、四月の上旬の数字がはっきりしておりますが、総平均で、三十五年を一〇〇としまして一〇五・二であります。この上旬の対前旬比は〇・三ということになっております。  概略以上のとおりでございます。
  36. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 ただいま御説明をいただきました数字は、大体そういうことであろうと思いますが、四十一年暦年度に入ってからの物価の上昇の率というものと消費者物価、これをちょっと御説明願いたい。
  37. 中西一郎

    ○中西政府委員 全都市では、四十一年一月の指数が一三八・五であります。対前月比一・一の上昇、前年の同月比で五・六%ということであります。二月の同じ全都市の指数ですが、一四〇・〇、対前月比で一・一%アップ、前年同月比で七%アップであります。三月についてはここ数日中に出るはずでございますが、現段階ではわかりません。三月については、東京は調査が早く出ますので申し上げますと、東京は対前月比で〇・六%アップ、前年の三月に対しまして五%アップということになります。
  38. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 これは季節的なものもあるだろうし、また公共料金の値上げ政策が実施されたというような影響の度合いも入ってくると思うのですが、私は、やはり物価の全体をながめてまいるためには、もちろん財政、金融、税制、そういうようなものにも触れていかなければならないと思いますけれども、ことしの一月から消費者米価の値上げが実質九・五%上昇になり、そうして引き続いて私鉄運賃が三百億の国民負担の増となってあらわれ、さらに国鉄運賃の値上がり率によって千六百五十億、そうしてまた国民健康保険税の引き上げがある、さらに四月からは授業料、入学金、学校給食費、そういうものの引き上げ、それからまた、この前衆議院で可決されました郵便料金の値上がり、そういうようなものを合計をしていくならば、大体約三千億円ぐらいの引き上げ額になろうと思うのであります。二千八百八十億と言われる人もおりますが、この教育費の値上がり率等は計算をしておりませんので、大まかにいって三千億円ばかり、片一方においては企業減税あるいは所得減税を中心に約三千億円の減税政策がとられているわけです。そういうようなのを差し引きますと、大体プラス・マイナス・ゼロということになる。こういうようなことから、片一方においては経済の不況が続いておりますが、これがようやく先行きが明るいという段階を迎えている。政府の財政金融政策によって、とにかく不況対策は曲りなりにも一応の見通しが立ってきたように私たちも思うのであります。しかし、それは背景にインフレに転化するおそれのあるものを含みながら、しかも国際収支においては、アメリカの過熱景気の影響を受けて、見通しとしては、将来そう大きく好転をするとは思われない、大きな壁が控えている、こういうような段階でありますが、いま日本経済がかろうじてさい先がいいという一つの指標としてあらわれるのは、貿易関係だけであろうと思う。そういうような中において、とにかく輸出がものすごく伸びた、アメリカへの輸出が非常に大きく伸びたということは、鉄鋼需要等にもあらわれておりますように、鉄鋼ストライキの問題もありましたけれどもアメリカのベトナム作戦の関係がやはりこの背景にはあると思う。そういうような状態でありますけれどもしかしながらアメリカの場合には、鉄鋼業の近代化設備を着々この際整えて、生産力の増強というものを目ざしていることは事実である。とするならば、日本の場合には、いま鉄鋼は国内的にも過剰生産であり、ここでは協調体制ということで、鉄鋼の公販価格の地下カルテル行為もなされている。こういうような中におきまして、住金問題に見られますように、近代的な設備能力を持ったところのもののシェア獲得を押えるように先発メーカーが動いているわけです。また、協調体制を確立しなければならないということで、それを通産省が押えにかかっている、こういうようなものを私たちは実態として受け取らなければならないと思うのであります。そこで、そのような措置をとりますから、鉄鋼の建て値というものはくずれない。くずれないのみならず、最近においては需要が伸びたにもかかわらず、生産抑制をやる方向もありますので、かえって原材料価格というものが上がる、こういうような傾向も見られるようであります。それらの原材料を受けている機械工業関係中小企業の下請関係のそういうような生産会社等においては、原料高と、それから製品は買いたたかれますから、製品は上がらない、しかし賃金は上昇をする、こういうような状態の中で、企業の倒産件数というものも、案外最近においてもまだ多いわけです。五百二、三十件というふうにもいわれているわけでありますが、こういうような問題が、国内的に経済の問題としてはなお残っている。  この中において、依然として毎月、いままで二ケ月間だけの統計しかありませんけれども、一月に一・一%ぐらいずつ上昇していくとするならば、これはやはり五・五%にとどめようという目標が、くずれてくることは間違いなかろうと思うのであります。これが、そういうふうに押えがきかないままに今後推移していくとするならば、経済企画庁が打ち立てました経済成長の見積もり等もまた狂ってくるのではないか、こういうようなこと等も十分に予想をされるわけでありますが、藤山長官にお伺いをいたしたいのは、そのような状況の中にあって、各省庁がいろいろな政策をとっております。それを長官のところでは、国民経済全般の立場から、また物価対策の立場から、これについては調整をし、そして国民の消費生活部門を守るという立場において取り組んでいただかなければ、いままで私たちがこの委員会でもずっと説明を聞いておりましたが、それぞれの官庁は、いずれも生産者側の立場を強く力説をする、生産者側に立つ行政が主であって、消費者行政部門についてはほとんど飾りものみたいな、そういうような実態にあることが明らかになっているわけであります。そのようなところから、経済企画庁の国民生活局の部門をもう少し強化したらどうだろうかというような声も出ておるわけでございますが、これに対して、今日の段階において、どういうふうに政府がそういうものは調整をしていく——最終的な調整機関としては、閣議が最高のものであろうと思いますので、今日の段階において何をしようとしておられるのか、最も有効な措置は一体何だというふうにお考えになって手を打とうとしておられるのか、明らかにしてもらいたいと思います。
  39. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 日本の行政機構の中で、従来消費者行政が欠けておりましたことは御指摘のとおりでありまして、われわれも遺憾に思っておるわけでありますが、国民生活局が細々ながら昨年六月発足いたしまして、われわれもこれを種と申しますか、基礎といたしまして、そうして消費者行政をひとつ大いに伸ばしていかなければならぬという決意をもってやっているわけでございます。  そこで、各省がそれぞれ生産行政に従事されることは当然でございますが、しかし、その生産行政の中で、やはり合理化対策を生産助長行政の中でも立てていただくことは、私は非常に必要だと思うのであります。たとえば、中小企業の製品の問題にいたしましても、通産省が中小企業を所管しておられるのでございますし、農産物関係の製品というようなものは、農林省が所管して、おられるわけであります。これも、その中において、できるだけ消費者行政の立場で問題の進展をはかってやっていただくことが、生産行政を助長しながら可能な部面がある。つまり、合理化あるいは近代化、生産性の向上というようなものを中小企業にもっと留意をして、生産行政で助長する中に生かしていただけば、これは相当な効果が出てくると思います。したがって、そういう部面について、われわれの考えておりますことをそれぞれ各省にお話を申し上げてそうして、日常予算の範囲内において使われる場合に、そういう考え方を持って動かしていただくことが必要だと思います。  同時に、大きな政策の問題については、御指摘のように閣議、あるいは最近特設いたしております臨時物価対策閣僚協議会等が主体となって、そうして各省の物価問題に対する考え方をまとめていくということに今日いたしてまいっておるのでございます。したがって、それぞれの各省の施策について、物価の観点から必要があれば、それらのものに対して考慮をしてもらう、あるいは一時延期をしてもらうというようなことは、機動的に私どもやってまいらなければなりませんし、また、値上げ等の問題についても、それらの幅とか、そういうものを実情に適したように、われわれの観点から各省の施策運営の上に加えていくということを、閣議もしくは物価対策閣僚協議会においてやっておるわけでございまして、今後ともそういう意味においては、企画庁の持っております調整機能とあわせて、物価の観点に立ちます各省行政の問題について、われわれとしては十分な施策を各省がとっていただきますように、できるだけの努力をしてまいる考え方でおります。
  40. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 おっしゃることは非常にごもっともなことをおっしゃるのですが、そういうような政策を、当たりさわりのない説明でお話をいただくのもけっこうなんですが、では具体的な問題として一つ二つを指摘をして、長官のこれに対する見解をお尋ねしておきます。  公正取引委員会が、御承知のように、セメント業界の価格協定について、これの実態を調査してみたら、完全に独禁法違反だというのが、業界のほうでも言いわけができないようなかっこうに完全に押えられている。そうして、公取委員会の勧告を受諾をしなければならない。ところが、今後の対策は不況対策経済政策から見たらなかなか頭が痛いのが実態です。しかし、こういうような価格協定というものは正しくないので、当然な措置として考えられた措置であり、それを否定はされないだろうと思います。ところが、最近におきまして鉄鋼関係のほうから、御承知のように永野構想というものが発表された。これに対しては公取としては反対である、こういうような態度を鮮明いたしているわけでございます。またLPガスの問題についても、そういうような法律をつくって、法律で規制するということはおかしいという態度です。こういうようなものについては、藤山長官はどういう立場をおとりになっているか、この点を明らかにしていただいたら、大体の方向というものが、長官考えておられるものが明らかになると思いますので、具体的な事例として、鉄鋼業法制定に対してはどういうような考え方をお持ちなのか。あるいはLPG法案についてはどういうような考え方をお持ちなのか。あなたのところはそういうような調整を、国民経済的な立場あるいは消費者生活を守るという立場からやらなければならない官庁だと思いますから、お尋ねをしているわけであります。
  41. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 私の考え方からすれば、われわれは自由主義経済という立場に立って仕事をしておるわけでありまして、したがって、公正な競争ということが産業の中に行なわれることが一番望ましいわけでございます。不公正な競争があっては相ならぬと思いますけれども、あくまでも公正な競争が行なわれるということがたてまえです。したがって、何らかの形で政府が権力を持ち、あるいは一部の業者が力を持って統制的な行為をするということは、私どもは原則として望ましいこととは思っておりません。そういうような事態に立ち至らない前に、まずそれぞれの企業者が問題を考えていかなければならぬので、そういう点について、私は現在の産業界が、いわゆる過当競争の弊におちいると申しますか、公正な競争を越えて過当競争の弊におちいって、最後の締めくくりを、政府に何か統制をしてくれ、あるいはそういう制限をしてくれというような持ち込み方をすることについては、必ずしも望ましい形であるとは思いません。ですから、そういう意味におきまして、経営者各位も日本経済のにない手としての自覚を持って十分善処していただきませんければ、ただいたずらに自分のシェアを拡大するということに狂奔して、そして不公正な競争に至るような状況にないようにしていかなければならぬ、私は根本的にはそういう考え方でございます。  そこで、もし結果において、今日ではそういうことが必ずしもいっていないというような状態ができてきたという際においても、私どもは、そういう不当な、政府が何らかの形で統制するというような形はとるべきでないので、業者それぞれがみずからの立場を考えながらお互いに善処していく、それは、いわゆるカルテル行為とは違って、反省の上に立ってそういう問題を扱っていかなければならぬのじゃないかと思います。ですから、非常に困れば、すぐに不況カルテルをつくる、あるいは過当な競争のためにある程度の政府権力も介入した一つの話し合いの機関をつくるというような点については、私は、基本的に賛成をいたす立場にはおりません。そういうような基本的な考え方で起こってまいります問題については、私自身善処していくつもりでございまして、そういうような考え方で進んでおりますことを御了解いただきたいと思います。
  42. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 わかりました。そういうような藤山長官考え方からするならば、現在問題になっております再販売価格維持契約制度の問題については、公取が商標、商品を登録し、契約内容を公開させる、こういうような考え方のもとに、西ドイツ方式の改善策を考えているようでございます。その再販契約を適用されているものについても、非常に問題が多いわけでありますが、それと同時に、類似行為として再販契約が事実上自動車等についてはとられているわけであります。全国一律に地域ごとに定価販売をきめて、特に北海道の場合には特別料金をきめて、そして販売が行なわれている。ところが、ダットサンクラスの車の輸出額を一車当たりの何で調べてみますと、大体一千ドル程度で輸出をされている。ところが、同じ排気量の車が国内で市販される場合には六十一万円もしている。大体倍近い値段で売られているわけです。これは、自動車を持っている階級というのは、消費生活の上においてはさほど問題はないとおっしゃればそれまででありますが、一事が万事という方式で、そういうような価格の問題が管理をされているわけであります。そうして、その中において利潤というものがあげられている。この問題を考えてまいりますると、外国に対しては一つのダンピングであり、国内においてはその穴を埋めるための価格政策であるのではないかという問題が出てくるわけであります。こういうような問題に対しましては、経済企画庁として——特定の業種を私は例としてあげたわけでありますが、どういう立場をおとりになって今後物価対策の面からやろうという意欲をお持ちなのか、御説明を願いたいのでございます。
  43. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 再販売価格の問題については、再販売価格類似の行為をしているものについては、これは公正取引委員が厳重に取り締まっていただくことが私は適当だと思います。  それから再販価格制度そのものについては、これは私の考え方でございまして、各方面の御意見も伺わなければなりませんけれども、再販価格そのものが必ずしも悪いとは私は考えません。というのは、消費者が甲の店に行ったら九十円だった、乙の店に行ったら百円だ、丙の店に行ったら百五円だ、そういうことでさがし歩いていくことは、いたずらに消費者に混迷を与えるというような場合もありますから、定価売りそのことは必ずしも不当で、消費者のために害だとは私は思いません。ただ、再販価格を維持しておりますと、どうしてもいわゆる公正な競争というものが欠けがちでございますし、あるいはその維持行為によりまして、販売数量が非常に増大していってコストダウンができるような場合に、適当に定価を下げていくという行為が行なわれれば、再販価格そのもの自身は害をなさないのじゃないかと考えられます。ですから、再販価格の問題は、再販価格をすぐに廃止するがいいかどうかということについては、私は疑問を持ちますけれども、再販価格を許可されております業者が、自分たちの経理について、それを明らかにするような方法が何らかの形でとられれば、消費者には、再販価格そのものが悪いということは言えないのじゃないかというふうに考えております。  今日再販価格の問題の一つとしては、非常に大きな広告料を払う、あるいは非常なリベートを払う、そういうものを、もう少し消費者に還元できないかという問題もあるわけでございまして、私は、定価売りそのものが消費者に悪いのじゃないという考え方でおるわけでありまして、ただいま物価問題懇談会その他各方面の御意見も、それらの問題については伺っておるわけでございます。
  44. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 再販価格制度の問題については、過去において乱売が行なわれたというようなところから、この制度の適用申請がなされて、法に基づいた措置としていまはやられている。しかし、大臣も御承知のように、消費協同組合等をはじめ、あるいは農協というようなところに入っているものには適用されないわけです。そういうような十一団体に入らない、いわゆる組織を持たない国民にはそれがきびしく適用されるという形になっている。これはやはり憲法上国民の生活というものに対しては平等でなければならないという立場から見て、私はおかしいじゃないかと思うのです。そうして、末端の小売り価格をメーカーが指定をいたしまして、それを守らないものについては取引の停止をする、こういうようなことによって強制が加えられ、あるいは一種の罰金みたいなものまで考えられている。そういうふうにしておる実態を見た場合には、これは制度そのものからいっても私はおかしいと思うのです。大臣はおかしくないとおっしゃるのですが、そのおかしくないという理由はどこにあるのですか。
  45. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 たとえば化粧品の例をとる、あるいはその他の例をとると、それらの企業は必ずしも大企業ではございません。中規模の企業だと思います。そういうものが非常な競争をして、品質の改善をしないばかりでなく、乱売競争の結果として十分な基礎を持たないというようなことは、長い目で見て日本産業の上に適当ではない。それから、いまも申し上げましたように、たとえば同じ商品を、甲の店、乙の店で値段が違うんだというようなことは、消費者が、たまたま安いところで買った方はいいかもしれませんが、高いところで買う場合もある。それほど割引されないで買う場合もある。そうすると、消費者としてはそういうお店がどこにあるのだろうといって一々聞いて歩いて、二軒か三軒歩いて、そのうちの一番安いところで買うというように、そういう意味でも消費者にとって非常な労力のむだがあるのじゃないかと思います。ですから、どこの店へ行っても同じ価格で買えるということを、ある種の商品について置くということは——全部の商品とは言いません、ある種の商品について置くということは、私は消費者の利便ということを考えまして、必ずしも不適当だとは考えません。ただ、申し上げましたように、再販価格を維持することによって信用が増して売れ行きが増大するということになれば、経済の原理によって、倍以上生産すれば生産費がある程度下がっていく、コストが下がってくれば利潤は拡大してくるわけです。それを、小売り店にリベートで返すとか、あるいはばく大な広告費に回すとかいうことでなしに、同じ価格を維持していても質的改善が十分行なわれていいものができる、あるいはそういうようにコストが下がってくるにつれて、その定価を一律に下げていくというようなことが行なわれれば、私は再販価格そのものが、村山委員と若干違うかもしれませんが、必ずしも消費者のために不適当だというような感じはいたさないのでございます。  そこで、そういうような再販価格の維持をしておるところのコストがどういうふうになっているかというようなことを、公正取引委員会で十分調査するようなことができるならば、明るみに出て、はっきりしたものになってくれば、消費者も納得するのではないか、こういうような考え方でおるのでございますが、しかしこれは私の考え方で、いま各方面の御意見を承りながら、この問題は非常に重要な問題でございますから、そのようにやっておりますので、村山委員のような御意見も承って参考にはいたすつもりでございます。
  46. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 最も自由主義的な、最も近代的な感覚の持ち主であるといわれている藤山長官が、消費者の選択の自由権というものを否定されるような発言をされることは、私は心外に思うのです。というのは、どんな店に行っても、薬を例にとれば、栄養剤として売られているアンプル一つ百円なりということで、消費者はAの店を選ぼうが、Bの店を選ぼうが、その価格は変わらないということになると、消費者の自由性、選択性というものは否定をされるわけですね。そういう立場から考えてまいりますと、私はやはり大きな弊害があると思う。一面において品質の保持という面は、長官のおっしゃるとおりの効果はありますが、しかしながら、この価格を小売り店において固定させるためのいろいろな不公正な——とわれわれは見ているのですが、そういう取引慣習が行なわれているわけです。小売り店のマージンを少なくして、リベートを売り上げ高に応じてふやしていくという方式がとられている。そうして、いろいろ実情を調べてみますと、それも八%から一五、六%まであるようであります。売り上げの多いところほどリベートもたくさんになってくるという仕組みになっておると思います。そのようなことにおいて、卸と製造メーカーが小売り店を操作していく中において、自分たちのシェアを守ると同時に、企業を守るという立場をとっている。それで、これを一ぺんに排除するということになりますと大きな問題が出るかもしれません。中にはつぶれる企業もありましょう。それを漸進的に改善をするためには、やはり小売り店における価格を、卸、メーカーが示しました価格から一〇%くらいまで低く売ってもいいような措置をさせるとかいう方法であるとか、あるいはまたリベートの額とそれからマージンの額と足し合わせたものの半分まではまけることができる、そんなサービスを消費者にすることができるような、そういうシステムというものもつくってもらう方法が必要ではないのか。そこになりますと、消費者に選択の自由権を与えるということになるわけですから、それによってサービス競争が行なわれてくる。いまのままでは、Aの店から買おうが、Bの店から買おうが、同じ価格で売られるとするならば、サービス競争というものは全然なくてもいいというかっこうになるわけです。それじゃ自由な価格の形成ということには、先ほどの大臣説明じゃありませんが、ならないと私は思うのです。あまりにこれを厳重にやると、委託販売制に逃げ込んでいくおそれがありますから、まあそういうようなことを考えながら、そこら辺におけるところの措置というか、漸進的なそういう方法、これをあまりにも固定化してものを考えないでやる方法くらいあるのではないか。私たちは再販価格制度というものは、これはやめるべきであるという主張を持っておりますが、その主張は極端に過ぎるとするならば、いま申し上げましたような措置もあり得るのではないかと思うのでありますが、そういうようなこともお考えにはなりませんか、どうですか。
  47. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 消費者の選択の自由ということは、いま例をかぜ薬にお引きになりましたが、Aの会社のつくっているかぜ薬と、Bの会社のつくっているかぜ薬とは同じかぜ薬だから、同じ値段で売るということが再販価格の目的でもない。Aの会社のものは百円でBの会社のものは九十円だ、そうすると、九十円のものを選択するか百円のものを選択するか、九十円にしてもきくんだ、あるいは百円は包装がいいだけであって大したことはないんだ、それはおのずから消費者の選択にあると私は思います。ただ、同じAの会社のかぜ薬がAの店に行ってもBの店に行っても、同一値段であるほうが消費者のために適当じゃないか、Aの店に行けばAのかぜ薬が九十円で買えて、Bの店に行くとAのかぜ薬が百円になるというようなことは、消費者の利便ではないのじゃないかという感じを持ちますけれども、いまの村山委員のお話しのようなことを、私は消費者の代表からも物価問題懇談会で聞いたことがあるのです。消費者としてはそうやって選択して、安いものを見つけたときは非常に喜びを感じるのだ、だから、必ずしもあなたの言っているように労力があれじゃないのだというような御意見もございました。したがって、御意見のように、同じAの会社のかぜ薬を、Aの店とBの店に行って買った場合に、いまの一割以内の範囲でまけることができるのだ、一割以上はいけない、これも一つのお考え方だと思います。いままで私は、Aのかぜ薬はどこへ行っても百円だ、Bのかぜ薬はどこへ行っても九十円だ、それを選択して適当に見分けるのが消費者の立場であり、また、消費者が向上すれば当然それは見分けて、必ずしも百円のほうがきく、九十円のほうがきかないというのじゃなくて、むしろ九十円のほうがきくのだというような大きな選択権がそこにあるのじゃないかというふうに考えておったわけです。ただ、傾向としては、いまお話しのように、たとえばAの会社の製品とBの会社の製品とで同じような価格になりやすい傾向がございます。ですからその点は、やはりそれぞれの製品をつくっているところの経理内容、あるいは原料、品質等の問題を考えてみないといけないのじゃないかというふうに考えられるわけでございます。それらの点については、村山委員のような御意見もございますから、私どもなお十分参考にして、最終的結論はまだ出しておるわけでございませんから、十分各方面の御意見を聞きながらこの問題を取り扱ってまいりたい、こう思います。
  48. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 時間の関係もありますので、この問題ばかり触れておるわけにはまいりませんが、いまの問題は、やはりこういうような問題があるから類似行為がうまみがあるのですから、再販売価格維持契約制度をとることによってシェアは確保できる、売り上げ率は一定のものが確保できる、そして自社製品がその中において中軸になって回転をしていくような組織になれば、それだけ商品市場を支配できるわけです。ですから、そういうようなところから、大臣も御承知のように、薬屋さんの場合等が一番いい例でありますが、薬屋さんが、大口消費者であるお医者さんを北海道に招待する、あるいはそれだけではなくて、香港あたりまで招待をする、そういうような利益というものはどこから出てきているかといえば、そこから出てきているわけです。それだけ高い薬を買わされているのが国民だ、こういうことになるわけなんです。だから大阪の場合には、市場組織の小売り店舗がずっと並べられて、消費者はどの店から買おうかという選択権があるけれども、東京の場合にはそういうような共同市場というものがごくまれな状態で、競争条件が備わっていない。そこに、やはり東京は生活をしにくいというようなことがいわれる点があるわけです。こういうような問題を考えてまいりますと、自由な価格形成というものの中で、消費者が自由に店を選び、自由に買える、しかもそれは品質が下がらない、そういうような最低保障のもとにおいて競争をさせなければ、物価というものは硬直をしていくと私は思うのです。そういうような問題がございますから、この点については再検討を願いまして、今後、やはり物価政策の中で位置づけを明確にしていただきたいと思うのでございます。  そのほか申し上げる点もございますが、時間の関係もございますから、一応これで終わりたいと思いますけれども、最後に一点だけお尋ねをしておきたいと思います。  それは、経済企画庁の調査によりますと、ことしは民間設備投資が二兆二千七百億円になるであろうというのが記事として出ております。これは二十五日、四十一年度の法人企業投資予測統計調査の結果を発表した、それの中にある内容でございます。これを私見ながら、民間設備投資というものが、そのほかにも通産省から出されておりますが、大体伸び率は、ほとんど変わらない形の中でこの三年間——四十年も入れてですが、横ばいの形で推移していくであろうといわれておるわけなんです。その場合に、ことしの国債をはじめ政府保証債、あるいは非公募の地方債、あるいは利子つきの金融債、こういうような政府ベースのものを、地方債まで入れて全部計算をしてみると、大体二兆五千億くらいになるかと思うのですが、その場合、預金の伸び率というものが一五%くらいだといたしますと、都市銀行の場合で大体二兆二、三千億円ということになろうかと思います。どれだけの預金の伸び率があるかわかりませんが、それによります見積もりをいたしてみまして、かりに二兆二千億だとする。都市銀行のシェアを調べてみますと、大体半分だと計算をした場合に、片一方において二兆五千億のそういうような起債措置をとらなければならないものがあり、片一方において二兆二千七百億くらいの民間設備投資の資金需要があるということになってまいりますと、この両方足し合わせるともうほんとうにすれすれのところで、あるいは資金需要から見て、民間の預金の伸びが悪い場合には、勢い日銀券の増発とかその他の金融政策をとらなければカバーができないのではないかと思うのであります。この点はやはり財政金融政策に関係がありますけれども、どういう見通しを持っておるか。特に、預金の伸び率等については、最近の物価上昇の中においてどういうふうに見ていくかということが、きわめて重要な問題であろうと思うのです。説明をされましたように、四十年度の物価上昇の見通しが若干下がって七・四%くらいに落ちつくということになりそうでありますが、これはいかなる金融機関に預けても、それ以上の金利をくれるところはないわけですから、預金をするばかということになるわけでありますが、最近の株価の異常な上昇は、インフレを期待している株価の上昇だと私たちは見ているのです。その場合において、預金の伸びの見通しというものをよほどしっかり押えておかないと、しのび寄るインフレーションがますます顕在化してくるのではないかというふうに思われるのですが、これは基本的な問題でございますので、説明を願っておきまして、私の質問に関連して山本委員から御発言があるそうでございますから、きょうはこれで終わることにいたします。
  49. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 大体、民間金融機関全体の預金増加額は、四兆八千五百億くらいになるのじゃないかという予想をしておりますが、実は、最近の状況で申しますと、わりあいに預金がよく伸びておるようでございます。したがって、それらのものについてもう少しわれわれも検討してみたいと思っておりますが、公債等を消化して、なおかつ民間設備投資をやって一ぱい一ぱいじゃないか。私ども非常に余裕があるとは思いませんけれども、少なくも消化可能な範囲であることは、これは申すまでもないと思います。なおこまかい数字等が必要ならば、事務当局から御説明いたさせます。
  50. 山本勝市

    山本(勝)委員 関連して、ちょっと中西君に調べてもらいたい。私の質問は、来週は休むかもしれぬので、再来週のこの日に、藤山長官に私の書いたものを読んでいただいて、まとめて質問いたすことにして、きょうは、いまの質問に関連してですけれども、先ほど、卸売り物価が一年間で三%上がったということを言いましたね。これは私はたいへんな問題だと思う。これは消費者物価の問題よりも、卸売り物価が三%も上がった場合に、おそらく日本銀行の卸売り物価指数だと思いますが、御承知のとおり、メーカーから一番近い第一次の問屋の販売価格をとっておるのだと思います。それで三%上がった。その第一次問屋というのは、メーカー自身が実際にやっておる状態が多いと思います。しかし、御承知のとおり、問屋には幾つもの段階がありますから、その一番初めの第一次のところで三%上がったということは、第二次、第三次、第四次、第五次、第六次と、おそらく小売り段階に比べると八倍くらいあるのじゃないかと思います。そうしますと、小売り価格指数あるいは消費者物価指数というものの値上がりは、もし卸売り物価指数でいささかでも下がっておれば、その何倍かの値上がりがあっても、私は通貨価値としては安定しておるといえると思うのです。それは、投資の需要効果と生産力効果とにタイムのラグがありますから、設備に投資したものが、まず労賃として前払いされる。働きに対しては、品物ができ上がっていよいよ出てきた利潤の中から労賃を分配するのではなくて、労賃は一年も二年も前に先払いしていますから、もらったものがすぐに消費者需要になって向いていく。その投資したものが、実際の生産効果を発揮するのははるかに後ですから、そういう段階のときに、その消費者物価が上がるということは当然のことです。ただそのときに、投資をした第一次のところで、そこの物価が上がってくるのでは、これは幾つかの段階を経れば経るほど上がってきて、消費者物価になったときには、これはたいへんな値上がりを生じてくるおそれがある。これは私は、運賃の値上げとか何とかいうもの以上に、卸売り物価指数が三%ももし上がったというなら、たいへんだと思う。だからそれを一ぺん調べてもらって、メーカーからの第一次のところで三%上がっておるのか、第二次の問屋、第三次の問屋、第四次の問屋とこうずっといって、それでどのくらいの値上がりになってくるのかということを、一ぺん調べておいてもらいたい。  それで、先ほど来帆足君も、村山君も言われましたけれども、不況対策はもちろん大切ですけれどもインフレはへたすれば必至だ。ですから藤山長官、大蔵大臣がほんとうに命をかけるくらいの、井上氏のあとを追うくらいの決心をしなければならぬ。あちこちから抵抗があるからということで、それを妥協でやっておったら、これは結局たいへんなことになるというふうに、私自身は与党ですけれども、心配しておるのです。消費者物価だけをあまりやかましく言うのは、これは言い過ぎの点があると思いますが、しかし、いまの不況対策のためにどんどん出す金が、それは民間で消化させるのだと言っておりますけれども、結局日本銀行通貨の膨張、それから銀行の信用通貨の膨張ということになってきますと、これをとめるということはむずかしい。一たび走り出したものは、もうほんとうに命がけでやらぬといかぬと思います。いま卸売り物価が三%上がったということを聞いて、それだけでも私はひとつ大きく重視してもらいたいと思う。何か御感想があれば伺いたい。
  51. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 私も、消費者物価の上がることは、家庭生活にとって非常に重要な問題でありますけれども、卸売り物価は、日本経済の非常に大きな問題と思うので、重視しておるわけです。したがって、それができるだけ上がらないように、また横ばいに持っていくということを考えていかなければならぬ。一応景気を刺激していった場合に、すぐに卸売り物価が上がるかというと、私は、上げないでいき得る範囲があるのじゃないか。と申すのは、現在どこの仕事を見ましても、稼働率が非常に悪うございます。そして、いわゆる寝ておる設備がたくさんあるわけで、それが金利その他を負担してまいるわけでございますから、相当なコストの上昇を見ておる。たとえば、これがもし稼働率が非常によくなっていけば、それだけ生産コストは下がらなければならぬと思います。ですから、景気を刺激すること自体が、直ちに卸売り物価影響はしないでやり得るものじゃないかと思いますけれども、しかし、もし卸売り物価にいろいろ転嫁されていくような状況があれば、これはほんとうにお話しのように、われわれ卸売り物価が上がらないように守ってまいることに全力をあげなければならぬと思います。昨年の暮れからこの数カ月、卸売り物価が上がりました主たる原因は、先ほど申し上げましたように非鉄金属、ことに銅の海外値段が上がったことが主たる原因、それから米でございます。したがって、いまお話しのように、銅の価格の高騰が卸売り物価にすぐ響いておりますけれども、銅の製品に対する使用量と申しますか、それは非常に微弱なものだと思うのです。銅で屋根をふくというようなことになれば別でございますけれども、機械その他に対して銅の使用される量は少ないのでございますが、そのことだけで、原鉱銅の価格が上がったからすぐに個々の製品の値上げ要因になるほどの影響は、私はないんじゃないかと思います。しかし一つのものが上がるということは、他のものの値上がりを誘発する危険性がございますから、そういう意味において、これは警戒してまいらなければなりませんけれども、主たる原因はそこにありますので、やはり注意をしながら見ていかなければなりませんけれども、いま三%上がったというそのこと自体の内容から見れば、そういう状況でございますから、これを安易に見のがしてはおりませんけれども、いまのところすぐにそれが消費者物価に、あるいは製品に全般的に影響してくるということはないんじゃないかと思います。
  52. 山本勝市

    山本(勝)委員 これまで菅野君が企画庁長官をやっておったときでも、一%や二%上がった場合に、それを横ばいだと言うのです。一%や二%ぐらいは横ばいだ、そのような考え方をやめないと、それは一年に二%ずつでも、十年たてばどれだけになるか。ですから、少しぐらいずつ上がっていくのはいいのだとか、あるいはよくないまでも、まずそれぐらいは横ばいだ、消費者物価は上がっているけれども卸は安定しているのだ、ごくわずかしか動いていないから、これは安定だ、横ばいだ、そういうふうなルーズな考え方でやっておったのでは、インフレは防げない。これはもっと厳格に考えないとね。中西君、何か言うことがありますか。
  53. 中西一郎

    ○中西政府委員 誤解をされておるとは思いませんけれども、私の説明がやや不十分だったのでつけ加えさせていただきたいと思いますが、三月の卸売り物価がきまりましたので、去年の三月と比べて単純な算術で三%ということですが、これはやはり二点間比較でございますから、去年の三月の特殊性、ことしの三月の特殊性というものがございます。したがって、期間をとって比べますと、いま申し上げたような三%という数字にならないかもわかりません。  そういう点と、それから大臣もるる申し上げておられましたが、非鉄あるいは食糧の関係というような特殊な事情がございますこと、さらに、分類別にいろいろ見てみますと、おもな生産財あるいは投資財で下がっているものが多いということも御承知のとおりであります。何といいますか、やはり撹乱要因が非常に多い時期で、先生のおっしゃるように安心ばかりしておられませんけれども、中身をよくにらみながら将来を警戒してまいる、そういう時期じゃないかと思っております。
  54. 中橋敬次郎

    中橋説明員 先ほど法人企業統計自己資本比率に関しまして、山本委員から御質問がございましたことに対する答弁を訂正させていただきたいと思います。  先ほどの御質問は、自己資本を算定いたします際に、企業が受け取りました手形を割り引きましたその残高は、計算上どうなっておるのかという御質問でございましたけれども、それに対しまして、自己資本比率を算定します分母は総資本でございます。したがいまして、自己資本と債務の合計額でございますので、その中に受け取り手形の割引残高が入っておるというふうに申し上げましたけれども、会計処理の手続が改正、統一せられておりまして、受け取り手形の割引残高はその中には入っていないということでございます。したがいまして、御指摘のとおり、自己資本比率の中には受け取り手形の割引残高は計算には入っていないということに訂正させていただきます。
  55. 小笠公韶

    小笠委員長 井岡大治君。
  56. 井岡大治

    ○井岡委員 先ほどから物価の問題でいろいろお話になっておりましたが、長官もお話になったように、いまやかましくいわれているのは、主として食生活の問題だと思うのです。それから、物価の問題が火がついたように非常にやかましくいわれておる。したがって、私は食生活の流通過程における問題で若干お尋ねをいたしたい。同時に、私も考え方を持っておりますが、それらについて政府のほうで御採用になるかどうか、ひとつお伺いをしたいと思います。  まず、この前も砂田さんがお尋ねになっておりました現在の中央卸売市場の単数か複数かという問題ですが、農林省は在来から単数制で指導されておりますが、現実にその単数のために大きな弊害が出てきている、こういう問題があるわけです。したがって、こういう問題を依然としてやはり単数でおやりになるのかどうか。  具体的に申し上げますると、大阪の東部分場です。中央の卸売市場は単数じゃありませんけれども、東部分場は、あなた方は単数でなければいけないということで強引におやりになったわけです。ところが、単数でやったために競争がない、公正な競争がないために、東部分場に行っておったお客さんがまた中央に帰ってきている。こういうことで、中央市場の場長は困っておるわけなんです。こういう具体的な問題が出ておるにかかわらず、あなた方のほうは依然として単数でなければいかぬ、こうおっしゃるかどうか、この点をお伺いしたい。
  57. 来正秀雄

    ○来正説明員 単数、複数の問題につきましては、これは卸売市場が設置されました大正十二年からずっと議論をされておるところでございますが、昭和三十五年に、臨時生鮮食料品卸売市場の調査会ができまして、これは特別な法律によって設置されたのでございますが、この調査会が一年有余の調査を経まして、一応単数のほうがよろしいという結論が出ておるというふうないきさつもございまして、農林省といたしましては、その答申を尊重しながら問題を整理していくというふうな態度で推移しておるわけでございます。ただ、おっしゃいました東部の問題につきましては、確かに、発足以来日が浅いという関係で、多少ぎくしゃくした点があるかと思います。これにつきましては、われわれといたしましてはできるだけ努力をいたしまして、問題のないように善処していきたいというふうな方向で現在は考えておる次第でございます。
  58. 井岡大治

    ○井岡委員 私は東部の問題を一つの例にとっただけなんですよ。あなたのほうがおとりになっておる単数制というものから、こういう一つの弊害が出てきている。したがって、この点について、私は、そういう調査会の答申があったから、われわれはそれを尊重しているんだというのではなくて、新しくもう一度再検討するだけの用意があるのかないのかということを聞いているわけなんです。それを、依然としてあなたのほうは、答申があったからこれをやるのだということで、弊害を何ら直そうとしない、こういうようにとられても——私はそうとるのですが、これはやむを得ないじゃないかと思うのです。この点を明らかにしてもらいたい、こういうことです。
  59. 堀川春彦

    ○堀川説明員 単数、複数の問題につきましては、農林省といたしましては、いま来正参事官がおっしゃったような調査会の答申を尊重していくという立場を、現在の段階では変更しているわけではございませんが、具体的な問題の処理にあたりまして、個々の実情というものもございますので、十分その点を勘案しながら先ほどの答申を尊重する、こういった立場をできる限り持続するようにしてまいりたい、かような考えでございます。
  60. 井岡大治

    ○井岡委員 私は、なぜこれをお尋ねするかというと、これはおそらく東京だって現在の中央市場だけではいけないと思うのです。やはりどこかにもっと大きいのをこしらえなければ、実際問題として東京都民の消化が十分できない、都民に生鮮なものを供給することができない、こういう状況なんです。しかも、転送が非常に行なわれておる、こういう点から考えて、東京もこしらえなければいけないでしょう。あるいは大阪もこしらえなければいけないでしょう。そういう場合に、依然として、参事官が言われたとおりの方針でやりますが、実情に応じてなにします。こういうことであれば、結局、実情に応じなくたって、原則としては現在のままやるということなんです。しかし、現実にそのことによって起こっているじゃないか、こう言っているのです。起こっているにもかかわらず、それを、実情に応じて善処しますと言ってみたって、善処してひとつも進歩してないじゃないですか。そんな話はやめておいたほうがいい。それなら、やる意思はありませんとはっきり言ったほうがいい。そうでしょう。どうなんですか。
  61. 堀川春彦

    ○堀川説明員 単複の問題はいろいろ論議がございまして、それぞれの長所あるいは欠点というものも十分承知をしておるつもりでございますが、しかし、現実に起きてまいる問題は、どこの市場でどういった形の数がよいかというような問題になってくる面も相当強いわけでございますから、したがいまして、東部分場の単数の問題については、その当時の考えがあったわけでございますが、まだ設立後日も浅く、必ずしもしっくりいっていないという点もあることは、御指摘のとおりでございます。こういう点は、単数制でありますものを、できるだけ欠点をため、長所を伸ばす、かような形に持ってまいるということにいたしたいと思うわけでございまして、それらの具体的な問題に関連をいたしまして、直ちにいまここで基本的な態度と申しますか、考え方を変更するというようなことは、簡単なことでないというふうに理解をしておるのでございます。
  62. 木村俊夫

    ○木村(俊)委員 関連して。いまのお話ですが、ちょっと現実の問題で、最近国会に提出を予定されておる流通業務機構の整備に関する法律案、これが出ますと、もうすぐ現実の問題になってきますが、それは政府内部で、何か単複問題で調整が行なわれておるのですか。
  63. 堀川春彦

    ○堀川説明員 いまお話しの点は、たぶん、各省で目下検討中の流通業務市街地の整備に関する法律案のことかと存じますが、まだこういった法案のねらっております中身というものは、具体的に全部確定しているというようなわけでも必ずしもないと存じます。そこに収容される業者の種類、あるいはそれを幾つ、どういう形で収容するかというような問題は今後の問題であろう、こう考えております。農林省にも関連がございますので、それらの点については目下検討中でございます。
  64. 井岡大治

    ○井岡委員 この問題をいつまでやっておっても、あなたのほうは、私が一応検討してみる意思にならないかと言っても、ならないと言うのですから、この問題は論議が進みません。  そこで長官にお尋ねしますが、実はこれは私の経験からくる問題です。しかも、それはねらいとしては非常によかったわけでありますが、いわゆる出荷組合のほうからの圧力によってかなり困難になっておる。それはどういうのかと申しますと、非常に青果物が値上がりをするので何としても安く売ってあげよう、こういう業者が約六十軒ばかり集まって、青果集荷協同組合というものをこしらえたわけです。これは農林省にも、こういうものをこしらえますがどうでしょうかと言って相談にまいりました。これは私がこしらえたものではなくて、業者が先生こんなものをこしらえたいということでしたから、それはよいことだと言ってこしらえてあげた。そうしたら、出荷組合が非常に圧力をかけてきたわけです。この内容はどういうものかといいますと、生産地からその協同組合が一ケ所に集めるわけです。そうしてそれを中央卸売市場を通さなくて大阪府下千九百軒の小売り市場に直接やっていく。したがって、そこのマージンは一銭もとっておらない。わずか集荷をするための事務員が十人ばかりおるわけですが、その事務員の給料だけしかとらない。そのために、最初出発したときには、これは三割方安くなって非常に喜ばれたわけです。ところが、いよいよそれが始まってまいりますと、今度は中央卸売市場のほうの圧力、いわゆる仲買い人のほうから圧力がきて、出荷組合がそこに荷物をやらないようにした。したがって、こういうものを政府は奨励する必要があるのではないか。そうすることによって、かなり公正な競争と申しますか、消費者に対して安く手に入る、こういうようなことになるわけですが、これについて何らの保護措置がないわけです。これは単に大阪だけでなくて、私は神戸に行ってこの話をしましたが、神戸の連中も非常に賛成をしておりましたし、同時に、福岡に行ってこれを話したところ、福岡の団地を中心としたお店の方々が協同組合をこしらえておやりになって、この点については非常に団地の人たちから喜んだ手紙が来ておりましたが、いずれにしても、そういうことで何か保護をするものがないためにだんだんまた細っていく、こういうことになりかねないと思いますが、これらについて長官のお考えをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  65. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 流通機構の問題はなかなかむずかしい問題で、過去のいろいろの歴史等もありますので、一がいにいろいろな改革をするということも不可能かと思いますが、いまのお話しのような考え方は、いわゆる一般的な共同仕入れという意味だと思います。これは通産行政の中で、今度卸の総合センターというようなものをつくったり、あるいはボランタリーチェーンというようなものをつくるのと、おそらく同じような考え方にあるのじゃないかと思います。やはり流通機構というものが、旧態のままでなしに、新たな改善を加えていくということは、私は、消費者行政の上で非常に望ましいことだと思います。ただ、それと旧来の市場関係者との間を過渡期においてどう調節していくか、また市場の方々が、そういうところに進んでみずから出ていかれるということも一つの方法じゃないかと思います。実際の問題としての扱い方の問題だと思うのでありまして、いたずらに中間の人を排除してしまって、その人の職業を奪うという形は、現在の日本の事情からいって、急激にはとりにくいと思いますけれども、しかし、何らかの形で流通機構を改善していくという問題については、私はやはり前向きの姿勢で検討していかなければならぬ問題だ、こう考えております。
  66. 井岡大治

    ○井岡委員 そこでもう一つ、これは農林省のほうにお尋ねをするわけですが、御承知のとおり、大阪には小売りの公設市場があります。これは東京にはございませんが、大阪にはありますね。私は、ああいう卸売り市場でない小売りの公設市場を、進んでつくるよう政府が援助してやることが必要ではないかと思うのです。ただ、その場合に気をつけなければいけないのは、その地域におる現在の小売り商人をどうするかという問題だと思うのです。それについて私は、ちょうど私の家を新しい住宅地のところに建てたものでありますからよかったわけでありますが、市のほうに交渉をして、その周辺におられた小売り屋さんのお店を全部その中に入っていただくようにしたわけです。そうすることによって、決してその人たちを圧迫したりなにするわけじゃないわけですから、そういう方法をとりました。その結果、これまた非常に値下がりをしてきたわけです。しかし、現実にいまの地方団体の財政というものは苦しいものですから、やれやれと言ってもなかなかやりませんから、これらについて、やはり農林省のほうで若干の補助をしてやる、こういうようなことをすることが今日の場合非常に必要じゃないか、私はこういうように思うのですか、農林省はどういうふうにお考えですか。
  67. 堀川春彦

    ○堀川説明員 大阪には公設の小売り市場が四十以上ございまして、標準的な価格等を表示しながら売るということをやっておることは、先生も御承知のとおりでございます。なお、大阪方面においては、これをふやしたらどうかというようなお話も、市当局において検討中という話も聞いておるわけでございます。農林省といたしましては、これは大阪に限りませんけれども、小売り営業の近代化のために、特に生鮮食料品についてどういう形がよろしいかというようなことを、本年度予算をいただきまして協議をすることに相なっております。これは業界の方々、消費者団体の代表、あるいは学識経験者、こういう方々に集まっていただいて、早急に協議、検討するということにいたしておりますが、お話しの公設市場も、運営のしかたによりまして、これは小売り業の近代化とも関係のあるお話でもございますし、また、物価対策の観点からも重要な一つ施策になり得るかとも思われますので、これらの問題を含めて総合的にこの近代化等についても検討をし、結論の出たものは、とにかくできるだけ早期に実行をしていく、こういうことに持ってまいりたいと思います。その際に、既存の業界との調整というような問題も出てまいります。これらの問題は、業界の方々にも参加をしていただいて、具体的にどういうやり方がいいかというようなことをともども研究していくということで進めれば、その問題は解決するのではなかろうか、かように考えておる次第でございます。
  68. 井岡大治

    ○井岡委員 これは一つの大阪の例からくる——私は東京の場合特にそういうことが必要ではないかという気がするわけであります。したがって、既存の業者を圧迫するというのでなくて、その地域を指定して、その地域におられる人たちをできるだけ入れてあげる、こういうようにすることによって、喜んでその人たちは参加をするだろうと思います。同時に、そのことによって中央市場で卸売りの値段がきまっているわけですから、きょうのサバならサバというものは、——大阪の場合は御存じのとおりですが、小売り市場では、サバは本日は何ぼですということでその値段を出すわけですから、それ以上高く売れない、こういうことになるわけですね。そういうようにすることによって、私は家庭の経済の計画が行なわれるのじゃないか、こう思います。検討しておるということですから、ぜひひとつ早急に結論を出してやっていただくようにお願いをしたい、こう思うのです。  それからその次に、これは長官も言っておりましたが、野菜の保存ということは非常にむずかしいようですね。私はわかりませんけれども。業者なりあるいは市場関係の諸君に聞いてみても、魚の貯蔵というものは案外できるけれども、野菜の貯蔵というものはなかなか困るようです。しかし、それをやらない限り価格安定というものはできないのじゃないか。百姓さんも、たくさんできた、一ぺんに値下がりをした、もうだめだ、こういうことでつくらなくなってしまう、そのために価格は非常に上がってくる、こういうかっこうになる。そこで野菜の貯蔵のなにをこしらえる。これは冷蔵庫じゃないのでしょうけれども、零度ですか一度ですか、それにずっと置いておかなければいかぬ、何かこういうことらしいのですが、そういうのに対しては、いわゆる生産地の県なりあるいは市なりが、生産地で保存をするような方法を考えてやり、そうして価格の安定をはかるようにしたらどうか。言われたように指定品目、キャベツならキャベツをつくりなさい、こう言ってつくらしてできたが、値段が下がった、こういうことでなくて、若干の補助を保証をしてやるということで、私は生産する意欲が出てくるのではないかと思うのです。ですから、指定品目に対する価格の安定と、貯蔵するための機関、倉庫というのですか何ですかわかりませんけれども、そういうものをする意思があるかどうか。
  69. 来正秀雄

    ○来正説明員 いまちょっと先生のほうから御指摘がありましたように、野菜の貯蔵につきましては、ああいうボリュームの大きいものでありますから、貯蔵経費というような問題もあるかと思いますが、おっしゃるように、価格安定の上から、過剰のときには貯蔵するという問題も当然研究すべきことであろうと思います。それがはたしてうまくいくかということにつきましては、まだ現在結論も何も出ておりませんが、これは私どもの直接の予算にはなっておりませんが、科学技術庁のほうにコールドチェーンの問題がありまして、二億ほど予算が計上されております。これによりまして、仰せのような問題につきましても実験いたしまして、もしそれが将来非常に効果のあるものであれば、利用するというような研究もしてまいろうということを、いま科学技術庁と相談をしておる最中でございます。非常に経済価値の高いものでございますと、保管料はあまり問題にはならないことになりましょうが、野菜につきましてはかさばりますので、問題があるかと思いますが、そういう点の研究をする段階になっておることを御了承願いたいと思います。
  70. 井岡大治

    ○井岡委員 もう一つ長官も肉のお話をなさっておりましたが、この間三田の牧場に行ったのですが、そうすると、牛を飼うのがいやになった、こういう話でした。なぜいやになったんだと言ったら、昔は、御承知のとおり牛というのは農耕に使って、年老いて役に立たなければ屠殺場に持っていって食肉にする、こうやっておった。ところが、いまは農耕機でやってそういうことをしませんから、あげて牧場だけでやる以外に方法がない。ところが、牛を買うのに非常に金がかかる。買うときには農林省かどこかから金を借りるけれども、すぐ返さなければいけない。そのためにとてもやり切れない、こう言うのです。牛を一応食肉として売るまでには、大体二年から三年かかりますけれども、それを、借りた金は一年以内に返さなければいかぬ、あるいは一年半で返さなければいかぬ、そうすると売るときまで待てない、こういうことで早く売らなければいかぬ、そうすると、肉はついておらぬということで何らもうからない、せめて牛を一頭売ったら一頭分返していく、二頭売ったら二頭分を返していく、こういうことができるならば、かなりわれわれとしても考え方があるということを言っておりました。そういうような点について農林省のほうで考えておられるかどうか、お伺いをしたい。
  71. 檜垣徳太郎

    ○檜垣政府委員 牛に関します制度金融といたしましては、農協の系統資金に国と県が助成をしまして、金利を下げる方式の近代化資金制度というものと、近代化資金系統の融資量では十分でないという大規模の、いわゆる多頭飼養を実現するために必要な融資を、農林漁業金融公庫から貸すという制度、これを私どもは畜産経営拡大資金と言っておりますが、その二つが現在あるわけでございます。近代化資金の融資条件は、家畜につきましては据え置き二年、償還期限五年ということになっておりまして、施設については三年据え置き、十二年償還ということになっております。それから畜産経営拡大資金のほうは、三年据え置き、十五年償還ということになっておりまして、これは家畜と施設とのセット融資になっておるわけでございます。私どもは、この範囲で畜産の金融としては実情にほぼ沿えるはずだということで条件をきめておるわけでございますが、実は、実際の貸し付けをいたします際に、この条件が限度ということになっておりますから、償還期限を短くしたり、あるいは据え置き期間を短くしたりしておるというのが実情のようでございます。私ども、お話しのように、これからの肉牛の生産対策というのは非常に困難な問題が多いわけでございますけれども、どうしても国内の生産を伸ばさなければいけないということでございますので、当面、限度一ぱいの条件で貸すように指導をしていきたい、なおそれでも畜産経営の実情に沿わないということであれば、据え置き期間あるいは償還期限等についても、再検討をしたいというふうに思っております。
  72. 井岡大治

    ○井岡委員 いま言われたように、実際はそれはなかなかそういっておらない。というのは、農協からこれをやっているからそういうかっこうになるんじゃないかという気がするんです。農協は利回りを考えますからね。そうでなくて、農林中金のほうからこれを出す。しかし、それは非常にめんどうなものだから、みんないやがるんですね。ですから、もっと簡易に借れるような方法で、そして喜んで牛を飼うというような方向を考慮してやることが必要ではないだろうか、こういうように思うのです。十分検討するということですから、せひひとつそういうようにしてやっていただきたいと思うのです。  それから最後に、これはあなたのほうの関係じゃございませんけれども、最近、農産物の自動車輸送が非常に多くなったのです。そこで言われたことですが、国鉄と同じように、いわゆる高速道路の値引きをしてもらえないだろうか、こういう意見が出ております。輸送賃が高くなるということで。それらの問題について、農林省のほうでお考えになったことがあるかどうか。それは、荷を買ってきて、それを早く送るために高速道路を使う、こういうのです。
  73. 来正秀雄

    ○来正説明員 御指摘の点は、確かにわれわれも十分考えなければならぬ問題と思いますので、十分検討させていただきたいと思います。
  74. 小笠公韶

    小笠委員長 兒玉末男君。
  75. 兒玉末男

    ○兒玉委員 時間もだいぶ経過しておるようでありますから、簡潔にいたします。  まず、長官にお伺いしたいのでありますが、いままで村山議員も言われましたが、昨年の一月、経済閣僚会議が中心となりまして、今後の「物価安定のための総合対策」というのが発表されました。その内容は、大体農業だとかあるいは中小企業の、生産性の低い分野のいわゆる生産性の向上なり、流通機構の合理化、さらにまた野菜、肉など国民生活に関係のある品不足の解消、さらにまた独占禁止法の運用を厳格にすることなど、あるいは地価対策、公共料金等の改定は最小限にこれをとどめるべきだ、こういうふうな六本の柱で対策が立てられて、すでに一年有半を経過しましたけれども、なかなか物価抑制の歯どめの効果というものが現実にあらわれていないわけでありますけれども、すでにこのような対策が発表されまして一年半を経ているわけですが、特に物価担当の長官として、これからさらに物価政策というのはきわめて政府の重要な施策でありますが、今日、総合的なこういう対策ができているにもかかわらず、なかなか物価抑制の効果があがらないのはなぜか、この点に対して長官の御見解を承りたい。
  76. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 昨年の一月二十二日の閣議でもって、物価の総合対策として経済の安定成長、それから低生産部門の生産性向上等々閣議決定をいたしたことは、ただいま御指摘のとおりでございます。それがそのまま行なわれているかということでございますが、一月に閣議決定いたしまして、実際問題として予算を伴います問題もございますし、あるいは経済の安定成長という予算を通じての問題もございますので、実際を見ますと、昨年の秋からこういう方向に向かって歩み出したということだと思います。したがいまして、いまお話しのような点について、いままで必ずしも十分にこれが促進されていなかったのでございますが、しかし、昨年の秋以来、また予算編成を通じて、われわれはこの趣旨の実現をはかって、そうして物価の安定をはかっていきたいということに、ただいま全力をあげているところでございまして、そういうような事情でございますので、一月のものが若干おくれたということはいなめないと思いますけれども、おくれたりといえども、今後はこの線に沿って十分な対策をやっていきたい、こう思います。
  77. 兒玉末男

    ○兒玉委員 いま、私が特に長官からお聞きしたがったことは、こういうふうな物価の担当所管庁である現在の経済企画庁に、せっかく国民生活局ができたわけですが、やはり各省との関連におきまして、どうしても現在の機構だけでは、せっかくりっぱな対策ができましても、これを運用しあるいは対策を強力に進めるところの機関として十分の力を発揮できない現状から、こういうふうな段階になるのではないか、この点私は、当初の予算委員会でも申したつもりですが、やはり各省間にまたがる問題だけに、相当強力な機構というものを整備していかないと、その実効は期待できないと思うのですが、機構上の問題について、いま少し前向きの姿勢で長官の御見解を承りたいと思います。
  78. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 この問題に取り組んでまいりますことは、私は、機構上の問題もさることながら、その基本におきまして、物価問題が非常に大切だという考え方がまずなければいかぬと思います。と申しますのは、過去の事例から申しまして、経済が成長していくと収入はふえていくのだ、物価ぐらい少し上がっても大したことはないのだ、という観念が払拭されて、そうして、俸給その他が上がっていっても、なおかつ物価を低きに安定させなければならぬのだ、そうして、上がったものは新しい生活状態の改善なりあるいは文化的なものに使われるのだ、という形の考え方にまずならぬと、根本的には私はいかないと思います。そういう姿勢で取り組んで、さて物価問題を扱っていくために何か機構が要るのではないかという、こういうことでございますけれども、機構そのものは各省にわたっておりますことから、それを一元的にかりに何かまとめてみましても、物価問題というのは経済政策の結果であって、原因にはならぬところが多いと思います。個々の物資については、それが上がってくれば原因になりますけれども。したがって、生産行政と密接に関連しておりますから、物価の問題だけを切り離して、各省から離してしまうということでも、これは必ずしも十分じゃございません。したがって、生産行政をやりながらこの問題を念頭に置いてやっていく。生産者にもいいが、しかし消費者にもいいのだという立場に立ってやっていかなければならぬと思うのでありまして、何か販売と価格の面だけを別個に生産行政の中からはずしてしまうというような機構をつくっても、私はうまくいかないのではないかと思います。要するに、内閣がこれに対する姿勢を正して、そしてやってまいることが必要でございまして、その上に立って、各省の事務的な連絡会議も企画庁を中心にしてやっておりますし、あるいは臨時物価対策閣僚協議会等によりまして総合的にこれをまとめておりますし、それ以上特定の何か機関をつくる必要は、私は機構上としてはないのではないか、こうただいまは思っています。
  79. 兒玉末男

    ○兒玉委員 私も確かに、機構をつくったからすぐそれが物価の安定に寄与する、こういうふうには考えないわけでありますけれども、今回の一連の各省にまたがる公共料金の値上げ、あるいは私鉄関係の値上げ、こういう問題等につきましても、とにかく昨年一月に決定されましたこの六項目の中にも明らかに書いてありますとおりに、合理化の推進と同時に値上げ等についてはこれを最小限にとどめる、こういうことがあったにもかかわらず、決して私は最小限の引き上げでなかった、こういうように考えるわけであります。  同時に、先ほどこれは村山委員のほうからも質問があったようですが、特にこのカルテル行為の問題につきましても、現在、中小企業協同組合法に関連するものを除いても、大体千五十件余りあるということが報道されておりますし、こういう点から考えましても、むしろ消費者保護ということよりも企業保護、企業優先ということが常にこの中に一貫して流れておるように私は考えるわけでございますが、このようなカルテル行為についても、長期のものは七、八年から十年も、そういう保護的な政策が独禁法の除外例として行なわれている。こういう点をもう少し、少なくとも昨年一月の総合対策の点から見ましても、もうこのあたりで相当やはり縮小していって、もう少し消費者保護という点に重点を置きかえていく段階に来ているのではなかろうか。この点について長官の御所見を承りたいと思います。
  80. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 お話しのように、合理化のための組合のカルテル行為が認められておるわけで、その中には十年も続いたというものもございます。これが、私は生産者のためにはならぬのだと思います。むしろ二、三年のうちに十分な資金を出して、そして業者の合理化をさして、そして裸でもってやらせることのほうが業者の保護になるので、いつまでも価格の協定をさして、その中に安易な状況に置いておくこと自体が、業者のためにならぬと私は思う。ですから、こういうものについては、私はやはり十分な合理化資金を出す、できれば低利で出して、そして合理化をさして、それぞれが一本立ちでやっていくことこそ初めて生産者保護の行政になるので、同時に、それはあわせて消費者保護の行政にもなっていく、こう思うのでございまして、そこらのことを、やはり生産行政を扱っておられる方々に考えていただかぬと、安易にただカルテルで値段を一定に置いておいて、そしてそのまま十年もほっておく、ほっておいて合理化が進んでないから、いままだほどけないのだという状態は、私は、消費者保護でなく生産者保護の立場に立っても、そういうことはおかしなことではないかというふうに思いますので、通産大臣等にもそういう意見を申して、そして今回の予算等においてもできるだけそういう面では十分な配慮をして、一日も早くこの合理化カルテルといったようなものが解消していくように望んでおる次第でございます。
  81. 兒玉末男

    ○兒玉委員 それから、私が非常に懸念しますことは、消費者米価をはじめ国鉄なり私鉄、あるいは今回の郵便料金と、公共料金というものが軒並みに値上げされまして、一昨年の禁止のワクが解除された。このことが一つの転機となりまして、他の国民生活に関連の深い、いわゆる各種の料金が次々に値上げをされて、やはり同じようなことが繰り返されていく危険性というものが十分に私は予測をされるわけです。同時に、この点は、長官も先般の予算委員会で私の質問に答弁されましたが、消費者物価等の値上がりについては、とにかく物価の上昇率はできるだけ五・五%程度にとどめたい、こういう積極的な意思表明がなされたわけですけれども、現在の情勢は、すでにこれがおそらく一〇%を突破するのじゃなかろうか、こういうことが、一般の学者等の意見にも、あらゆる新聞、雑誌等にも表明されておるわけです。こういうような、特に公共料金の値上げを契機としました各種料金の悪循環的な値上がりというものが、次々に繰り返される危険性というものを、私は十分に予測するわけですけれども、これらの点について、やはり長期の展望に立った対策というものを、特にこのような料金制度については、強く国民が要望していると思うのですが、この点についての長官の御見解を承りたいと思います。
  82. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 公共料金等につきましては、その影響力が大きく、それが便乗値上げを呼ぶということも十分考えられるわけでございます。したがって、公共料金値上げを一年ストップしたというようなことの結果が、便乗値上げ等を押えたということも考えられるわけでございます。ただ、今日の状態から申しますと、公共料金中、最小限に値上げをせざるを得ない事情のものもございますので、あえてその範囲内において値上げをいたしたわけでございますが、値上げをいたしました以上、少なくも四年ぐらいは、さらに再び値上げをするというような状態でないように、合理化を進めて、そうして、できれば四年が五年にでもなるように私は努力してもらいたいと思います。  そこで、そうした問題に関連して便乗値上げというような点がございますれば、これは、われわれとしてもそれを押えてまいらなければならぬと思います。やむを得ず民間のもので値上げをしなければならぬものについても、できるだけ時期等については重複しないように配慮してまいりますと同時に、便乗値上げのようなものは極力押えてまいって、そうして、公共料金を上げたことの影響が、便乗値上げを呼んでいくというようなことがないようにいたしてまいりたいと思います。ほんとうに営業が成り立たないような苦しい状態なら別でございますけれども、かりに便乗値上げというふうに感じられるものにつきましては、私どもも相当な決意をもってこれを押えていくつもりでございます。
  83. 兒玉末男

    ○兒玉委員 これは経企庁の所管ではないわけでありますけれども、前の特別委員会でもちょっと触れたわけですが、特に公共性、独占性の強い電気料金の問題で、一昨年でしたか、中国電力が料金の値下げを申請したけれども、これがその後そのままの状態になっておる。ところが、一方北陸電力ですか、これはとにかく経営が非常に苦しい、こういうことで値上げをする動き、料金改定の動きがある。ところが、私は先般この委員会を通じて、九電力のいわゆる貸借対照表あるいは収支総括表等を提出願って検討させてもらいましたが、どこの社もやはり一割の配当を行なうし、しかも、その収支が赤字というところはどこも見受けられない。経営の方式が、あるいは技術面においても、非常に合理化、近代化されまして、むしろ諸経費はコストダウンされている傾向にあるということは、通産省が発行しました電力事業の四十年度の白書を見ましても、そういうことが詳細に述べられておるわけですが、そういう点から考えますと、少なくとも値下げの申請に対してこれがそのまま放置され、しかも、北陸電力ですか、この値上げの問題が認可をされると、これも、先ほど来申し上げました各種公共料金の値上げにつれまして、さらに拍車をかける結果になるのではないか、私はこういうような懸念をいたすものでありますが、長官として、これは所管の事項じゃないと存じますけれども、特に物価に与える影響、また国民全体の感情から申し上げましても、これは決して好ましい方向じゃないのじゃないかと思うのでありますが、この点について御所見を承りたいと思います。
  84. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 中国電力の値下げを通産省が押えたということは、私ども聞いておりません。北陸電力の問題については、値上げの申請があったということは聞いておりますが、まだ通産省から、それらの問題について企画庁に協議が来ておりません。通産省としての御検討をいまやっていらっしゃる段階じゃないかと思いますから、いずれあるいは私どもに御相談があるかと思います。私ども、かりに値下げの申請をするという場合、これを押えようという気持ちは毛頭持っていません。値上げする必要がある場合には、十分な審査をいたしまして、そしてやむを得ず値上げする場合にも、最小限の値上げということで、従来も企画庁としてはやってまいったわけでございまして、その方針に変わりはございません。
  85. 兒玉末男

    ○兒玉委員 長官に対する質問はこれで終わりたいと思います。  次に、これは国民全体の消費者に関連の深い問題でございますが、特に、消費者の利便を目的としましたところの家庭用品品質表示法に関連する繊維製品なり、あるいは合成樹脂加工品、あるいは電気機械器具等、現在各小売り店なりあるいはデパート等において、非常な消費構造面の改善に伴いまして、各種の品目が出ておるわけでございますが、やはり国民生活というものが向上するにつれまして、他面においては現在の物価高という点から、いわゆる安かろう悪かろうというような、表示と中身とが非常に違うものもあるのではないか。こういうものについて、やはり品質表示等についてもう少し範囲の拡大なり、あるいは内容というものが一般の消費者大衆にもよく理解できるように改善をしていく必要があるのじゃないかということが、世論として非常に高まってきておると私は思うのですが、特に、担当者としてこれに対してどういうようなお考えを持っておるのか、お伺いしたいと思います。
  86. 小島英敏

    ○小島説明員 ただいま先生おっしゃいました点は、私たちも全く同感でございまして、やはり消費者はなるべく正しい、豊富なインフォーメーションを買うときに与えられる、その上で価格とにらみ合わせて合理的な買いものをするということが、やはり消費者保護の一番基本的な点だろうと思います。そういうことで家庭用品品質表示法という法律が昭和三十七年に、それ以前にございました繊維製品品質表示法を拡大して新しくできたわけであります。この対象品目が、現在四グループに分かれておりまして、一つは繊維製品、一つはプラスチック製品、もう一つは家庭用電気機械器具、それから最後に雑貨工業品、この四グループにつきまして品目を指定して、三条に基づきまして表示の標準を定めるということで、これは実は強制力がないわけでございますけれども、業者が極力そういうことで守っていくということになっておりまして、現在、毎年大体七、八品目くらいずつふやしております。それで、大ざっぱに申しますと、現在五十五、六品目が指定されておりまして、今後も、まず品目をふやすということが私たちの重点一つになっております。  ただ、繊維品は、現在のところほとんど全品目といっていいくらい指定されてまいりまして、プラスチック製品も、実はこの間の家庭用品品質表示審議会で非常に大幅な範囲の拡大が行なわれましたので、これも、こまかい食器まで含めまして、大体全部に及んでおります。それから電気製品も、大体おも立った電気製品はすべて指定されておりまして、今後も新しい製品が出ましたら、当然追加をしてまいりたいと思います。現在のところ雑貨工業品が、やはり品目も非常に多いものでございますから、まだまだ追加をする必要があるものが残っていると思います。雑貨工業品の中でも、特に価格の高い家具類につきまして、それまではほとんど指定されておりませんでしたのを、特に家具部会という部会をつくりまして、家具を重点的に追加をしていくということで審議をしていただいておりまして、近いうちに机、いす類とかたんす類というものが、新しく指定されることになっております。そういうことで、品目の増大ということは今後とも、特に、雑貨工業品を一つのねらいとしてまいりたいと思っております。  それから、もう一つのわれわれの政策のポイントは、表示の内容を一そう充実するということでございます。これは、最近指定されております雑貨工業品その他につきましてはかなりこまかく、特に家具なんかにつきましては、各種の寸法とか、材質とか、それから表面加工のやり方とか、いすなんかですと、クッション材とかいうようなことまで含めまして、それから使用上の注意ということで、買うときのインフォーメーションだけでございませんで、買ったあとで、使っていく上にどういうことを注意したらいいかということまで含めて、極力親切な表示をするということに心がけております。  ただ、問題が残っておりますのは繊維品でございまして、繊維品の場合は、現在混用率と申しまして、よくお見かけすると思いますけれども、綿何%、レーヨン何%というような、組成がどういうものでできているかということをパーセントで示すということだけにとどまっておりますが、これは消費者のほうからの要望もございまして、縮みぐあいがどうだろうか、あるいは染色堅牢度と申しまして、色のさめぐあいがどうだとかいうようなことまで表示してもらいたいというような希望が非常に強いわけでございまして、これも全く同感でございます。  それから、いままで消費科学面の研究が必ずしも十分でございませんので、いますぐにとはまいりませんけれども、現在、繊維局で新しく予算をとりましてそういう研究をしております。両三年のうちには、繊維品につきましてはそういう表示内容の拡充ということで、かなり改善される見込みでございます。  それから、第三のポイントは、先生もおっしゃいました、表示してあるものと実際の品質とが食い違っていないかどうか、正しい表示であるかどうかということでございまして、こういう消費者を惑わすようなことにつきましては、むしろないほうがいいということになりますので、やはり非常に重要なポイントだと思います。それで、一昨年の末でございましたか、東京内の十二の百貨店を中心に一斉の立ち入り検査をいたしました。それから昨年、今度は通産局全部にわたりまして、主要都市の百貨店八十数店の立ち入り検査をいたしました。これは主として繊維品につきまして、大体疑わしいと思うものを買い取って検査をしたわけでございますが、その結果では、東京都内の場合ではたしか二十数%、全国でやりました場合には三十数%というようなものが、法律で認められております許容誤差を越えた、いわゆる虚偽表示でございまして、これは非常に遺憾であるということで、百貨店及び百貨店を通じましてメーカーその他に、厳重な注意をいたしました。それで、百貨店はその後非常に品質表示についての関心が高くなりまして、納入先等に対しまして、表示していないものあるいは虚偽の表示と思われるものを納入した場合は、その後の取引を停止するというようなことを、文書でいっておる百貨店もございまして、最近ではかなりよくなっておると思います。ただ、良心的な小売り店はもちろんそういう面の関心が高くなっていると思いますけれども、やはり全国的に見ますと、非常に数多くの百貨店以外の小売り店におきましては、まだまだそういう面の関心も十分でないところもございまして、これは、法律上は立ち入り検査は都道府県知事に委任されておりますので、われわれ都道府県にお願いして、そういう面の監督を一そうやっていただくようにお願いしておるところであります。  それから、この間、実は百貨店以外の小売り店の状況ということで、婦人用のセーター等につきまして、これは一、二の府県と共同して、やはり買い上げテストをしました。この結果では、やはり二〇%弱の虚偽表示的なものもございました。繊維品の場合には、虚偽表示いたしますと、一応罰則がかかることになっておりますけれども、罰則よりももっと効果のありますのは、ほんとうに悪質なものは、名前を公表するということがもっと効果があるのではなかろうかということで、最近では、まず四条で勧告いたしまして、勧告の対象になりました業者につきましては、しばらく時間をおきまして、少なくとも半年くらいは必要だと思いますけれども、もう一回そこの製品をねらい打ちして買い取り検査をして、なお直っていない場合には、新聞紙等に公表するということを考えております。  大体、そんなところでございます。
  87. 兒玉末男

    ○兒玉委員 いまの御説明によりますと、大体四つに大別されて五十数品目ということですが、現在非常に消費面が拡大されている時点において、そういうふうな責任ある表示をされる商品というものが五十数品目では、非常に少ないのではないか。しかも、いま課長の言われましたような内容の充実のための検査とか、そういうこと等は相当広範囲であり、しかも、現在の通産省内の機構においてはなかなか充実した表示法の実施が困難な面が多いのじゃなかろうかと思うのです。せいぜい一年間に七品目くらいしかふやすことができないという御答弁ですが、一体どういうところに問題点があるのか、その点お尋ねしたいと思います。
  88. 小島英敏

    ○小島説明員 五十数品目と申しますと、一見少ないような感じをお受けになるかもしれませんけれども、たとえば、糸あるいは布帛——織物でございますが、そういうのはそれで一品目でございますから、これは、一品目でも非常に膨大なものもございます。そういうことで、先ほど申しましたように四つの分類の中で三つの分類につきましては、われわれの日常の用に供します家庭用品は、すべてカバーされていると言っても過言ではないと思いますが、雑貨工業品が、現在まだ十品目でございますので、これは、確かに今後重点的に拡充してまいる必要があると思います。この場合、家具あたりがやはり大もので、その表示もようやく最近緒につき始めた感じでございますので、今後重点的に考えてまいりたいと思いますけれども、五十何品目という印象と実際の指定品目の普及率というものは、一見受ける印象よりは、実はかなり高いものであるということは申せるかと思います。
  89. 兒玉末男

    ○兒玉委員 私もよく法律を研究しておりませんけれども、この品質表示とあわせまして、先般物品税法の改正がありまして、何品目でしたか数は忘れましたけれども、四十数品目でしたか、いわゆる物品税率の引き下げがなされたわけです。私は先般ヨーロッパに参りましたが、向こうでは税の金額というものが明確に計算書の中に表示されておるわけです。これは所管が違うと思いますけれども、現在日本の各商店等の商品を見ますと、せっかく政府物価値下げの施策の一環としてなされましたこの物品税の引き下げに対して、では一体どの程度安くなったかということが、実感としてなかなかわかないわけですが、この点は、どういうふうな指導がなされ、また、現実にどういうふうに実行されているのか、この点お聞かせをいただきたいと思います。
  90. 左近友三郎

    ○左近説明員 物品税の改正に関しましては、改正自体は大蔵省の所管でございますが、そのときに、やはり今回の物品税の改正につきましては、物価対策というのも織り込まれておりますので、この物品税の引き下げが十分消費者価格に及ぶということを、各省が指導すべきであるという閣議決定もなされましたので、この閣議決定に従いまして、通産省といたしましても所管物資の問題について十分検討いたしたわけでございます。そうして、やりました指導の方法といたしましては、実は、現在の物品税はほとんど大部分が製造者課税でございます。つまり、メーカーの段階で税がかかります。ただし、税の理論といたしましては、それが価格に織り込まれて、最終的な担税者は消費者ということになっておるわけでございますので、物品税が安くなれば、当然担税者である消費者の支払うべき金額も安くなるということでございますので、メーカーに対しましては、その物品税引き下げ分は、当然販売価格から引くべきであるという指導を実はいたしてきたわけでございます。それで、電気製品その他いろいろございましたが、これは各所管の局、課から、各工業会に話をいたしまして、引き下げをはっきり明示させまして、メーカーの手元には一銭も残らないという形で指導いたしたわけでございます。  なお、ではこれをどういうふうに表示をするかという問題でございますが、これにつきましては、百貨店につきましては、百貨店協会を通じましてそれぞれ表示をお願いする、それ以外の商店につきましては、商工会議所なりの中小企業の連合会その他を利用したわけでございますが、この物品税がメーカーにかかっております関係上、メーカーが正価を表示しております物品、たとえば電気製品なんかは、現金正価幾らという札がついておりますが、そういうものについては、それぞれ訂正をいたしたいというふうにメーカーのほうから報告がきておりますが、そういう正価のついて、おらないものにつきましては、御指摘のとおり、あるいは末端のほうへいきますと、ついていない場合がないわけではないというふうにわれわれは考えております。それにつきましては、実は、現在実情調査をいたしております。さしあたりまして各通産局の消費経済関係の担当の職員が、各通産局所在地管轄内のデパートについて調査をする、それから、いまお願いしておりますのは、各地に消費生活改善モニターとして、主婦の方を中心に三百名ばかりにお願いいたしておりますので、その方たちに消費生活問題の調査の一端として調べていただくということで実態を把握いたしまして、確実に引き下げがなされておるかどうかということを調査をいたしております。その結果、確実に実行されておれば問題はないわけでありますが、それについて問題点があるとすれば、さっそく各工業会や何なりに勧告といいますか、注意をして、引き下げをしていただくようにしていきたいと思っております。また、大蔵省は税制当局の立場から、将来また物品税引き下げ問題もあるわけでありますから、そういう際に、こういう実施状況ども参考にしたいと言っておりますし、われわれとしても、十分に参考にしていただいてけっこうではないかと考えておるわけであります。
  91. 兒玉末男

    ○兒玉委員 中西局長にお伺いしたいと思いますが、少なくともこのように現実に法律改正を行なわれた以上、せっかくの政府の親心というものが、消費者にはほとんどわからない、こういうことでは、何のために物品税を下げたのか、その意図が十分に理解されず、国民が感謝するという気持ちが出てこないのじゃないかと私は思うのです。いまの説明によりますと、現実には、一般の末端における小売り価格等について、一体どの程度物品税低き下げ分が安くなったのかということは、新聞やテレビ、ラジオを朝から晩まで見る人はそうたくさんないから、わからないと思います。そういう点について、法律改正と同時に、どういう品物はどれだけ単価において税金の分が安くなるんだ、こういう一覧表なりつくって、もう少し一般国民大衆が理解できるような形でPRして、消費者行政というものが徹底されてこそ、初めて物品税の減額された意図というものが十分に生かされるのではないかと思うのですが、この点に対する考え方について、特に局長の見解を承りたい。
  92. 中西一郎

    ○中西政府委員 お話しのとおり、平年度で三百五十億近い減税ということでございますから、末端でその関係を明らかにするということは、ぜひあったほうがいいことであると思います。ただ、ただいま通産省でモニターなどを使って精力的に調べていただいておるという現状からいいますと、物品税の値下げをして末端にこれを響かせるという意欲なり行動のほうが先に行きまして、実はフィールドのほうが間に合っていないという結果と考えられるわけです。しかし、これは結果がそうなのであって、ともかく、これから末端への周知徹底方なりあるいは順守方なりについて体制を整えまして、政府の約束が約束どおり行なわれるように配慮してまいりたい、かように考えます。
  93. 兒玉末男

    ○兒玉委員 これは、中西さんのほうでも通産省のほうでもどちらでもいいですが、できましたらこの委員会に、今回の物品税の改正が小売り価格にどういうふうな影響を及ぼしているか、そういう表を、ぜひ作成して御提出をいただきたいと私は思っております。  それから最後に、先ほど通産省のほうから言われましたが、食料品関係というのがどういう関係になっているのか。特に、最近は生鮮食品関係のくだものだとか、肉だとかあるいは水産物関係のかん詰め類等が非常に広範に出回っておるし、価格についてもかなり単位としては高い価格のかん詰め類、びん詰め類が出回っておりますが、これに対する表示規格というものはどういうふうになっているのか、この点お聞かせいただきたいと思います。
  94. 堀川春彦

    ○堀川説明員 食料品についてでございますが、生鮮食料品は先生も御存じのように、非常に規格がまちまちでございまして、規格化の必要があるということを私ども考えておりますが、直接消費者の方が御利用になれるような形での規格化をいたしまして品質表示をするということがなかなか困難でございます。ただし、加工食品の部面におきましては、これはある程度製造段階で規格化がはかれるわけでございますから、したがいまして、農林省といたしましては、農林物資規格法という法律に基づきまして日本農林規格、いわゆるJASというものを制定いたしております。現在JASの規格を設定しております品目の大きな分類でいきますと、五十二種類あるわけでありまして、その中身はこまかく分かれておりまして、全部で二百七十一種類ぐらいあるわけであります。それで昨今は、消費者の方も加工食品を非常にお召し上がりになるという情勢でもございますので、私どもできるだけ努力をいたしまして、加工食品関係重点を置いてJAS規格を設定しておるというような状況でございます。この規格におきましては、品質の表示等は、ものによりまして程度を分けまして表示をしているものもございますが、大体、JASの規格といたしましては一定の基準を設けまして、それに合格するかどうかということを一つの目安にしております。合格しましたものはJASのマークをつけて売ることができるということになっております。なお、製造年月日でございますとか、それからものによりまして原材料あるいは含有する成分、こういったものも表示をいたすということにいたしまして、できるだけ消費者の方の御利益になるように、保護になるようにということも心がけております。ただ、JASという規格は消費面での保護政策という観点だけでなくて、生産者といたしましていいものをつくるということの一つの目安、こういう観点が一つございます。それからなお流通業者にも、この規格は安心していいものが取引されるという意味での流通規格として利用をしていただく、こういう面がございまして、生産、流通、消費三面に役立つということを目的として設定をしておるわけでございます。まだいろいろと設定されておらない品目が残っておりますが、鋭意努力をいたしまして、規格設定を進めてまいる所存でございます。
  95. 兒玉末男

    ○兒玉委員 ちょっと私、さっきの準拠する法律の名称がよくわからなかったのですが、何という名称ですか。  それから、家庭用品品質表示法との関係というものは、全然考えられないものかどうか、この関連について最後にお伺いしたいと思います。
  96. 堀川春彦

    ○堀川説明員 法律の名前は、農林物資規格法です。  それから、私どものほうでは、JASの規格を設定いたします品目は政令で指定をすることになっておりまして、他の法律との混淆を来たさないようにしておるわけであります。ダブらないというふうに考えていただけばわかりやすいのじゃないかと思います。
  97. 兒玉末男

    ○兒玉委員 終わります。
  98. 小笠公韶

    小笠委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもってお知らせすることとし、散会いたします。    午後四時四十八分散会