○村山(喜)委員 これは季節的なものもあるだろうし、また公共料金の値上げ政策が実施されたというような
影響の度合いも入ってくると思うのですが、私は、やはり
物価の全体をながめてまいるためには、もちろん財政、
金融、税制、そういうようなものにも触れていかなければならないと思いますけれ
ども、ことしの一月から消費者米価の値上げが実質九・五%上昇になり、そうして引き続いて私鉄運賃が三百億の国民
負担の増となってあらわれ、さらに国鉄運賃の値上がり率によって千六百五十億、そうしてまた国民健康保険税の引き上げがある、さらに四月からは授業料、入学金、学校給食費、そういうものの引き上げ、それからまた、この前衆議院で可決されました郵便料金の値上がり、そういうようなものを
合計をしていくならば、大体約三千億円ぐらいの引き上げ額になろうと思うのであります。二千八百八十億と言われる人もおりますが、この
教育費の値上がり率等は計算をしておりませんので、大まかにいって三千億円ばかり、片一方においては
企業減税あるいは所得減税を中心に約三千億円の減税政策がとられているわけです。そういうようなのを差し引きますと、大体プラス・マイナス・ゼロということになる。こういうようなことから、片一方においては
経済の不況が続いておりますが、これがようやく先行きが明るいという段階を迎えている。
政府の財政
金融政策によって、とにかく不況
対策は曲りなりにも一応の見通しが立ってきたように私たちも思うのであります。しかし、それは背景に
インフレに転化するおそれのあるものを含みながら、しかも国際収支においては、
アメリカの過熱景気の
影響を受けて、見通しとしては、将来そう大きく好転をするとは思われない、大きな壁が控えている、こういうような段階でありますが、いま
日本の
経済がかろうじてさい先がいいという
一つの指標としてあらわれるのは、貿易
関係だけであろうと思う。そういうような中において、とにかく輸出がものすごく伸びた、
アメリカへの輸出が非常に大きく伸びたということは、鉄鋼需要等にもあらわれておりますように、鉄鋼ストライキの問題もありましたけれ
ども、
アメリカのベトナム作戦の
関係がやはりこの背景にはあると思う。そういうような状態でありますけれ
どもしかしながら
アメリカの場合には、鉄鋼業の近代化
設備を着々この際整えて、生産力の増強というものを目ざしていることは事実である。とするならば、
日本の場合には、いま鉄鋼は国内的にも過剰生産であり、ここでは協調体制ということで、鉄鋼の公販価格の地下カルテル行為もなされている。こういうような中におきまして、住金問題に見られますように、近代的な
設備能力を持ったところのもののシェア獲得を押えるように先発メーカーが動いているわけです。また、協調体制を確立しなければならないということで、それを通産省が押えにかかっている、こういうようなものを私たちは実態として受け取らなければならないと思うのであります。そこで、そのような措置をとりますから、鉄鋼の
建て値というものはくずれない。くずれないのみならず、最近においては需要が伸びたにもかかわらず、生産抑制をやる方向もありますので、かえって原材料価格というものが上がる、こういうような
傾向も見られるようであります。それらの原材料を受けている機械工業
関係、
中小企業の下請
関係のそういうような生産会社等においては、原料高と、それから製品は買いたたかれますから、製品は上がらない、しかし賃金は上昇をする、こういうような状態の中で、
企業の倒産件数というものも、案外最近においてもまだ多いわけです。五百二、三十件というふうにもいわれているわけでありますが、こういうような問題が、国内的に
経済の問題としてはなお残っている。
この中において、依然として毎月、いままで二ケ月間だけの
統計しかありませんけれ
ども、一月に一・一%ぐらいずつ上昇していくとするならば、これはやはり五・五%にとどめようという目標が、くずれてくることは間違いなかろうと思うのであります。これが、そういうふうに押えがきかないままに今後推移していくとするならば、
経済企画庁が打ち立てました
経済成長の見積もり等もまた狂ってくるのではないか、こういうようなこと等も十分に
予想をされるわけでありますが、藤山
長官にお伺いをいたしたいのは、そのような
状況の中にあって、各省庁がいろいろな政策をとっております。それを
長官のところでは、国民
経済全般の立場から、また
物価対策の立場から、これについては
調整をし、そして国民の消費生活部門を守るという立場において取り組んでいただかなければ、いままで私たちがこの
委員会でもずっと
説明を聞いておりましたが、それぞれの官庁は、いずれも生産者側の立場を強く力説をする、生産者側に立つ行政が主であって、消費者行政部門についてはほとんど飾りものみたいな、そういうような実態にあることが明らかになっているわけであります。そのようなところから、
経済企画庁の国民生活局の部門をもう少し強化したらどうだろうかというような声も出ておるわけでございますが、これに対して、今日の段階において、どういうふうに
政府がそういうものは
調整をしていく
——最終的な
調整機関としては、閣議が最高のものであろうと思いますので、今日の段階において何をしようとしておられるのか、最も有効な措置は一体何だというふうにお
考えになって手を打とうとしておられるのか、明らかにしてもらいたいと思います。