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1966-04-13 第51回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年四月十三日(水曜日)    午前十時十八分開議  出席委員    委員長 小笠 公韶君    理事 木村 俊夫君 理事 砂田 重民君    理事 舘林三喜男君 理事 山本 勝市君    理事 井岡 大治君 理事 兒玉 末男君    理事 村山 喜一君       海部 俊樹君    坂村 吉正君       床次 徳二君    粟山  秀君       伊藤よし子君    大村 邦夫君       帆足  計君  出席政府委員         総理府事務官         (経済企画庁国         民生活局長)  中西 一郎君  委員外出席者         参  考  人         (全国消費者団         体連合会会長) 中林 貞男君         参  考  人         (主婦連合会副         会長)     春野 鶴子君         参  考  人         (川越生活学         校長)     山根  仲君     ――――――――――――― 四月八日  物価値上げ抑制に関する陳情書  (第二六〇号)  物価安定に関する陳情書  (第三三二号) は本委員会参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申し入れに関する件  物価問題等に関する件(消費者物価に関する問  題)      ――――◇―――――
  2. 小笠公韶

    小笠委員長 これより会議を開きます。  この際、連合審査会開会申し入れの件についておはかりいたします。  目下逓信委員会において審査中の郵便法の一部を改正する法律案について、逓信委員会連合審査会開会申し入れを行ないたいと存じますが、御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小笠公韶

    小笠委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  また、連合審査会開会いたします場合の日時等につきましては、委員長に御一任を願っておきたいと存じますが、御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 小笠公韶

    小笠委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  それでは、連合審査会開会日時等につきましては、逓信委員長協議の上、追って公報をもってお知らせすることといたします。      ————◇—————
  5. 小笠公韶

    小笠委員長 次に、物価問題等に関する件について調査を進めます。  本日は、消費者物価に関する問題について、全国消費者団体連合会会長中林貞男君、主婦連合会会長春野鶴子君、川越生活学校校長山根仲君の各参考人から意見を聴取することといたします。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  参考人各位には、御多忙中にもかかわらず本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございました。  本委員会は、去る一月に設置されて以来、物価の現況、政府物価対策実情等中心に鋭意調査を進めてまいりましたが、本日は、特に深い御識見を有せられる参考人各位から忌憚のない御意見を承り、本委員会調査参考に供したいと存ずる次第であります。どうぞよろしくお願いをいたします。  なお、御意見の開陳は、委員長指名順にお願いすることとし、時間は、おおむね二十分程度におまとめいただくようお願いいたします。  それでは、中林参考人にお願いいたします。
  6. 中林貞男

    中林参考人 私、いま御紹介をいただきました中林でございます。物価問題に対する参考人としてお招きいただいたことを厚くお礼申し上げます。  私たちは日ごろ、特に消費者運動としては、現在物価問題が一番重要な問題であるし、また家庭主婦をはじめ消費者から、物価問題に対する切実な訴えがありますので、もっぱら物価値上げ反対という運動中心にしていろいろとやっております。そういう立場から現在の物価問題、特に、御指定の消費者物価に対する私の考え方を少し述べさせていただきたいと思います。  今日の消費者物価の問題を論ずるとすれば、いろいろの角度から論ぜられますし、根本的には、数年来続けられてきた高度経済成長政策、最近それが安定成長という形で修正されてきていますけれども、そういうことと関連しているところのインフレということが一番大きな根本問題になっている。したがって、そういう基本的な政策について、ぜひ徹底的に御検討をいただきたいというふうに私は考えているわけでございます。そうしてその基本的な政策との関連において、あげれば数限りないいろいろの問題、たとえば設備投資ということがみんな借金政策によっていろいろやられた、そういうことに関連する金利の問題というものも物価の問題に大きく影響をしていると思いますし、また原材料の輸入の問題についても、たとえば中国から安い大豆を入れたらもっと安くできるじゃないかというような問題だとか、したがって貿易の問題も、ほんとうの意味において日本経済という立場から、私たちはもう少し柔軟な態度で考えていただきたいという考え方を持っております。しかし、いろいろ根本的なそういう政策の問題を、私がきょうここで申し上げるということよりも、もっと具体的な当面の問題として、私たちがぜひお願いしたいと思っている問題のほうに重点を置いたほうがいいのではないか。前提として申し上げましたそういう政策というのは、やはり政府において十分お考えいただきたいし、国会の諸先生方にも、そういう問題についてもっと掘り下げて御検討いただきたいと私は思っているわけでございますが、きょうのこの委員会では、私はそういう基本的な政策の問題というよりも、もう少し物価問題を中心にした具体的なところで、私の考えを申し上げたいというぐあいに思っております。  それで物価問題ということを中心にして問題を考えました場合において、やはり大企業の、簡単な一言で言えば、いわゆる独占価格といわれているような大企業の製品に対する価格の問題が、今日の消費者物価の引き上げのリーダーシップをとっている。したがって、そういう点についてやはりもっとはっきりとした考え方をお持ちいただきたいというぐあいに私は考えております。  独占価格一言に言ってもなかなかそれは複雑でございまして、いわゆるカルテルということも、今日非常に複雑に幾つものカルテル独禁法適用除外でつくられておりますし、また中小企業の中においても、そういうカルテルのような形のものがずっと生まれてきておりますし、したがって、それをここで一々短時間に申し上げようとしてもなかなかたいへんでございますが、たとえば、その中で私たちが一番身近に最近触れました石けん問題等について申し上げますと、二十八年ですか、独禁法適用除外が生ましましたときに再販売価格維持契約ということが認められるようになりました。それで再販価格の問題を一つ例にとってみましても、再販価格で指定されているのが化粧品だとか、歯みがきだとか、家庭用石けん、キャラメル、医薬品既製えりつきワイシャツだとか、そういう九品目にわたって再販価格維持契約が認められているわけでございますが、これなどもあのときは大騒ぎで、これこれ、これこれが割り込ましてくれという運動などがあって、当時私も国会陳情に参りまして、そういうことは反対だということを申し上げたことがあるわけでございますが、私は、本来生活協同組合仕事をしておりますので、農協の諸君などと一緒に、生協とか農協はそういう再販価格維持契約を設定するなら、その適用から除外をしてもらいたいということをお願いして、農協とか生協とかそういう特定幾つかの団体については、その適用除外をしていただいたわけでございますが、あのとき適用してもらいたいという業界があったわけですが、その後よく見てみますと、写真機とか雑酒は全然適用除外の申請もないし、ゼロということになっておりますし、そうして、二十八年に再販価格維持契約というものが結ばれたけれども、それは石けんだとか医薬品等について認めただけであって、その後いろいろ調査とか検討とかは何もやられないままになっている。それであの再販価格維持契約というのは、過当競争とか、いろいろな形の中で乱売が行なわれたりいろいろすることは、業界のためにはならないというようなことであったわけですけれども、その自由競争、そういう乱売競争のようなものがなくなって、たとえば石けん業界なりでリーダーシップが確立をして価格の安定しておるところにおいても、まだ再販維持契約を続けておる。そうしますと、リーダーシップの確立したそういう業種において再販維持契約がそのままになって、そうしてリーダーシップを確立したところが再販維持契約に基づいて、その価格をメーカーから卸、小売りまでずっとそのまま適用して、そうして消費者にやっている。そういうリーダーシップの確立したところは、再販維持契約というようなものをはずしてしまっていいじゃないか。そうして、裏面ではリベートだとかいろいろな形で……。特定会社ではリーダーシップを十分確立してしまったにもかかわらず、末端の消費者に売る値段をきちんときめている。したがって、小売り店に私ら行きましても、ここの品物は定価でしか売れません、値引きはできませんという形で、その値段消費者に売るという形になっておる。そうしてその会社では、業界においてもう過当競争がなくなってリーダーシップを確立したのですから、安定をしているわけです。したがってそういう業界では、そういう再販維持契約というようなものはもう適用しなくてもいいんじゃないか。そうしないと、そういうリーダーシップを確立した会社は、小売り屋さんが顔なじみのお客さんなどに値引きをして売ると、これは法律があるから荷どめをしてしまうという形で価格維持をする。そうすると、過大なもうけをどうするかといえば、リベートだとかいろいろな形でそれをやっている。したがって、そういうような業界については、もうそういう再販維持契約をやらなくても十分価格維持できるし、そうして自由にしておいたほうが合理的な値段でそれが売られるということになると思うのですが、それがそのままになっているということは、やはり今日の消費者物価の点からいいますと、大きな問題ではないだろうか。それは一つの例として私は申し上げたわけでございますけれども、そういうことが非常にあるわけです。  再販維持契約適用除外を受けているそういう業界についていろいろ調べてみました場合に、同じようなことで、薬についても適用を受けているわけですが、その薬についても、あの当時の情勢と今日の情勢という中においては、もっといろいろ検討をすべき点があるのじゃないかと私らは思っているんですが、それがみんなそのままになっている。そしてそういうような再販維持契約なり、あるいはその他カルテルというようなもので価格協定が行なわれている企業に対しては、やはり公正取引委員会なりで、そこの会社経理内容十分検討をして、その点がどうなっているか調べるべきではないか。今日、そういう点から考えました場合において、管理価格なりそういう大企業における価格の問題について、不況カルテルなり、あるいは輸出のためのカルテルなり、必要やむを得ないという形でいろいろなカルテル結成を認めたが、認めるときはわっしょわっしょと認めて、しかしその後の、そこの特定企業に対する経理内容を調べるというようなことが全然やられていない。したがって、今日、先ほど石けんで言いましたが、そういうカルテルをつくって、一つの安定した業界、そういう過当競争がもうなくなってきたようなところにおいては、その後の業界の動きなどを見て、経理内容に手を入れるとか、そういう点をぜひ徹底的に政府でおやりになるようにしていただきたい。そういう点では、ことし公正取引委員会機能がある程度強化されたことは非常にいいことだ、ぜひ公正取引委員会機能などをもっと強化して、そういう点がやれるようにぜひしていただきたい。  したがって、まず物価の問題から言いますと、そういう大企業物価に対するリーダーシップについて、政府はぜひもっと大きな力をもってやるように、また国会の諸先生方に御検討をいただきたいと思います点が、当面の問題として私はぜひ申し上げたいと思う点でございます。  それからその次は、私、協同組合運動をいたしておりまして、実はコペンハーゲン国際協同組合同盟役員会がありまして、一週間ほど前に帰ってきました。よく外国に協同組合役員会があって、私出かけるわけでございますが、そういう点から、私は物価問題と協同組合組織という点について、ひとつぜひ先生方にお考えをいただきたいと思いますのは、ヨーロッパイギリスにしても、フランスにしても、ドイツにしても、あるいはスウェーデン、ノルウェー、デンマークというような国々にいたしましても、あるいは共産圏のソ連とか東欧というようなところにいたしましても、資本主義社会主義という国の経済体制が異なっていても、その経済体制の中において、流通機構の面において協同組合組織役割りというものを非常に重要視している。日本においては、私の関係している生活協同組合というのは、まだ日本において十分発達しておらず、そういう点でも先生方に私はいろいろお願いしたいことがあるわけでございますが、せっかく農業協同組合という一つのりっぱな組織があります。それから漁業協同組合生活協同組合という、いわゆる漁民なり、農民なり、消費者のそういう協同組合組織をうまく結合させることによって、物価問題に対する一つの基礎的な措置をすることをぜひ先生方にお考えいただきたい。この点はヨーロッパ各国、北欧なりあるいは共産圏の国へ行きましても、どこでも協同組合組織、自主的な国民の、消費者なり、農民なり、漁民のそういう組織というものをうしろだてにしていろいろの行政がやられている。そういう点、イギリスでもスウェーデンでも生活協同組合が非常に大きいですから、生活協同組合でみな生産工場を持っている。私のこの洋服も、イギリス生活協同組合工場でつくったものを私は買ったわけですが、日用品をみな自己生産している。食料品はもちろんのことです。ストックホルムの町などですと、食料品は実は三〇%くらい生活協同組合の店で扱っているわけです。生活協同組合自己生産をして、そうして生活協同組合の店で扱いますから、その価格消費者が合理的に価格をきめる。だからストックホルムなどでは、三〇%のシェアを生活協同組合が持っておりますから、自己生産をしたものを自分のところで消費者が集まって値段をきめる。そうしますと、その値段というものは、やはり全体の他の私企業でつくられた商品の値段をきめるときにも、その生活協同組合値段参考にしてきめなければならないという仕組みに実はなっているわけです。そうしますと、そういうところから自然に物価の安定、いわゆる消費者物価に対して一つ牽制力を持つという仕組みに実はなっているわけです。私、三年ほど前にオランダに行きましたときに、そこに日本から行っている留学生の人と一晩めしを食ったときに、中林さん、日本でももっと物価問題について——オランダパン値上げの問題が起きたときに、オランダ生活協同組合パン工場の資金はオランダの総同盟が出して、そうして経営は生活協同組合連合会がやっているわけで、そこのパンオランダでビッグスリー、三番目だ、それでパン値上げをやろうということでみなやったけれども、その生活協同組合パン工場が、値上げはしなくても原価計算すれば十分これでやれる、そう言ってがんばるから、いまパン値上げがなかなかできないのだということを、日本から行っている留学生は私に話しました。したがって日本においても、農業協同組合と、漁業協同組合と、生活協同組合とを組織的に結合させるようなことをぜひひとつ考えていただきたい。そういう点が日本において全然取り上げられていない。そこに、私は日本経済構造と申しますか、経済機構一つの大きな欠陥があるのじゃないか。  たとえば、日本でも神戸神戸灘生協があります。神戸灘生協というのは大きな生協ですが、そこでパン工場を持っておりますけれども、昨年兵庫県でパン値上げ問題の起きたときに、最後まで生協パン工場値上げをしなくてもいいということでがんばったために、兵庫県でなかなかパン値上げができなかったという実例もあるわけです。したがって、生鮮食料品の問題にしましても、農協生協との関係、魚の問題にしましてもそういうこと。しかし、これは一挙に全国的に網を張るという形ではなかなかできませんので、特定の、全国で五カ所なりあるいは七カ所なり、幾つかのところで一つのモデルとしてやってみる。そういうことを通じて、生鮮食料品なりいろいろなものに対する一つ物価のコントロールの体制ができていくのじゃないか。私は、今日の物価問題については特効薬というものはなかなかないと思う。やはりじみに長期の展望に立って、物価問題をどうするのだという立場から考えなくちゃいけない。こういう点につきましては、農協中央会全漁連、私たちとときどき連絡会幹部会をやっているのですが、なくなった、農協会長をしていた荷見さんなどは、しょっちゅう私らにそういうことを何かひとつやろうじゃないかとおっしゃり、全漁連の片柳さんなども、みんなそういうことが日本では欠けているのだ、これを何とかやろうじゃないかということですが、非常にじみな仕事なために、このことをなかなか重要視していただけないという情勢でございますので、ぜひ国会先生方にこういう点に目を向けていただいて、そういうことがやれるようなひとつの御指導をやっていただきたいと考えるわけでございます。  それから、私たち協同組合仕事をやっておりますと、税金なりいろいろそういう点でも申し上げたいこと、また留保所得の問題なりいろいろあるわけでございますが、そういう点について、やはり行政国民の自主的なそういう組織を結合させるということについて、ひとつ先生方にお願いしたい。ところが日本では、行政の面でいろいろ考えるということはやられるのですが、自主的なそういう国民組織をどう盛り上げて行政と結合させるか、そしてそういう国民の意欲なり意思をどう反映させるかというところが全然ナッシングだというところに、私は一つの大きな問題があるのじゃないかと思います。  時間がなくなってきたわけですが、私この間コペンハーゲン会議のありました機会に、実はスウェーデンデンマークに行きまして、消費者行政がどういうふうになっているかということを、ここにおいでになる中西さんにお願いして企画庁からも御連絡を願って、デンマークスウェーデン消費者行政物価の問題なりがどういうふうにやられているか、行ってみますと、ストックホルムでもコペンハーゲンでも、どうもこのごろは物価が上がって困る、やはりインフレの問題は国際的ですね、という話をしておったわけです。しかし、日本のようにべらぼうなことはないわけで、そういう点では、私も実は企画庁国民生活審議会委員もしており、一昨年か、その答申をつくるときにも参加したわけでございますが、消費者委員会というようなものでもひとつおつくりをいただく、スウェーデンでもデンマークでも、コンシューマーコンシルというようなものもあるようでございますので、日本でも消費者委員会というようなものをつくって、現在ばらばらに行なわれている消費者行政というものをそこでひとつ統一的に考えるというような——企画庁国民生活局がそういうことの事務局的な役割りで、いろいろお骨折りを願っているわけでございますが、もっと強力な消費者行政、やはり物価問題をすっきりやっていくためには、消費者行政ということがかなり本格的にやられないと、消費者保護ということもなされないし、物価問題の解決ということもなかなかむずかしいと考えられるわけでございます。そういう点で消費者委員会というようなものは、この前の私たち答申のときにも、私はそういうことをちょっとまとめたりもいたしたわけでございますが、日本でも各省消費者行政が行なわれているけれども、それがまとまっていない。それから日本における消費者行政は、生産行政一環としての消費者行政、その主体消費者立場ではなくて、生産というところに主体が置かれて、できたものをどう消費者に売るかという立場に立っての消費者行政という色彩がまだまだ非常に強い。やはり国民の福祉ということを政府政策、国の政策の基本にするなら、やはり消費者主権消費者主体になっていろいろなことが考えられるような政治の体制ということを、ぜひお考えいただきたいというふうに私は考えるわけでございます。  スウェーデンなどでは、消費者行政のために無任所の担当大臣を置いているというような話などをお聞きして、消費者行政を担当している事務局はどうなっていると言ったら、事務局はわずかですが、いろいろのこういう消費者行政に関する機構をそれぞれコントロールしているようです。予算編成権はどこにあるのだと聞いたら、予算編成権はそれぞれ各省が持っていて、消費者行政担当大臣予算編成権を持たないということでしたので、それでは力があるのかどうかと思って私は疑問に思ったのですが、しかし、そういう消費者行政担当大臣もつくっているということです。いずれにしても、何かもっと消費者立場に立って行政が行なわれるように、国会先生方にもひとつぜひお考えをいただきたい。  それから、私は消団連立場できょうはここに立たせていただいておりますが、私たちはそういういろいろなことを考えるわけですが、やはりこういう問題を推し進めるためには、主婦中心とする広範な消費者世論を喚起する、世論の力というものが今日非常に大切だというふうに考えております。したがって、消団連などでも広範な主婦の方、消費者の方を組織して、世論の喚起ということを徹底的にやらないといけないのではないかというふうに私は考えているわけでございます。デンマークに行きましたら、私がうれしかったのは、日本消団連と同じような組織があって、十二かのいろいろな労働組合婦人団体みんなで日本消団連のようなものをつくっているということを伺ったわけですが、そういう組織としては協同組合農協なり生協なり漁協、そういう自主的な組織と、それから、特におくれている日本としては、やはり消費者運動というものをどう盛り上げるのだということについて、国会先生方は選挙だとかいろいろなことで国民に一番触れておいでになるわけですが、やはり物価問題を解決するためにも、広範なそういう消費者運動ということが今日非常に大切だ、そういう運動をもっともっと盛り上げていかないと、日本においてはなかなか物価問題のきめ手にならないのではないかということを思っておるということを申し上げまして、私の意見を述べるのを終えさしていただきたいと思います。(拍手)
  7. 小笠公韶

    小笠委員長 次に、春野参考人にお願いいたします。
  8. 春野鶴子

    春野参考人 主婦連合会の副会長をいたしております春野でございます。きょうのこういう会議に、貴重なチャンスを与えていただいたことを感謝いたしております。  ことしに入りましてから、物価対策を何とかしなければいけないという気がまえにおなりになったようでございまして、内閣のほうでも閣僚協議会、それから中央官庁各省連絡会、さらに衆参両院にも物価対策特別委員会、それからその流れの一環でございましょうか、経済企画庁物価問題懇談会というものが設けられまして、一月から発足されました。私などもその末席に連なっているのでございますけれども、この上がり続けてきた物価を何とかしなければいけないというので、いままでになく本格的な姿勢が各方面でとられているということは、私ども喜んでおります。けれどもおそきに過ぎた、非常にその点が残念でございます。でも、まあぐちってみてもしかたがございませんから、この時限からでもけっこうでございます。各方面が総立ちになって、全国民が損をする高い物価退治ということを本気になってやっていただきたい。いただきたいだけでなくて、私ども自身はもう数年前から、物価対策は、物価運動は全国民運動でやるべきだ、そうでもしなければ、政府だけ力まれても、あるいはどこかの官庁だけ背伸びをされても、また消費者運動だけがわいわいと声を上げても、全身に広がったガンのような症状を呈しておりますので、どこから手をつけていいのか一向にわからないのと同様に、ある部分だけが一生懸命になってもこの物価対策のきめ手がない、そういうふうに思わざるを得ないのでございます。  ごく最近、藤山経済企画庁長官が、これまでの経済のあり方は、経済に奉仕する生活であった、それを置きかえて、生活に奉仕する経済であらねばならぬと言われましたが、もう一つ、私なりのことばをつけ加えますならば、生活に奉仕する経済であり、政治であらねばならぬ、これは私ども主婦連の創立以来からの願いでございます。いま、ようやくこういうことばを経企庁長官の口からはっきり聞けるようになったということは、十数年の歳月も流れておりますけれども、よくぞそこに気がついていただいたと思って喜んでおります。がしかし、その方針に基づいて、その目標に基づいて、国民も国もあげてそういった姿の経済市場をつくり出すまでには、たいへんな歳月を要するであろうと思います。私どももようやくその糸口へきたわけでございますから、そういう目標に向かっての協力は、消費者運動を通じて惜しまないつもりでおります。  大体三十五年の所得倍増、生産倍増計画が動き始めて以来、六年にわたって毎年毎年消費者物価が平均約六%上がり続けた。そうしていまなおこれがどうにもならずに、困った困ったとながめられているという例は、世界各国にも少なかろうと思うのです。経済の成長計画、生産倍増計画、これには、政策の上できわめて計画的な手厚い施策がなされたわけでございます。であるならば、それと並行して経済成長に伴う消費者物価の上昇というものが、どんなにか国民の暮らしを日にち毎日脅かす、あるいは大きな影響を与えるわけでございますから、そのほうも重視していただいて、経済の成長とともに所得もふえ、並びに物価も絶えず安定しつつ進んでいくというその手がなぜ打たれなかったか、これが現在に至るまで、私ども非常に残念に思っている点でございます。  三十五年の十月に、私ども、なまいきのようでございますが、奥会長を先頭にいたしまして、いま申し上げたような願いを池田総理に直接訴えたのでございます。産業育成といいましょうか、経済の成長のほうのみをいたずらにお急ぎになっていたのでございましょうか、そこから、大きく影響されてあらわれてくる物価対策については、一向に御配慮がなかったわけでございます。経済の成長と物価の安定施策は車の両輪のごとく並行して進めてほしい、こう奥会長が池田さんに再三再四その席で願ったのでございますけれども、しろうとながらこちらの念願のほうが、今日考えてみれば当を得ていた。少なくともそれぐらいのことを並行してそのときから対策を立てていってくださったならば、そんなに目ざましい経済の成長がなくとも、国民生産のほうも成長しつつ国民の所得もじんわりとふえつつ、しかも物価がある程度安定しつつうしろから上昇が追いかけてくる、こういうことでありますならば、国民の暮らしは、今日ほど繁栄の陰に貧乏があるという片びっこな状態は生まなかったであろうし、かつまた、全国民が総立ちになって騒ぎ続けるような消費者物価の値上がりというのは押えられたんではないかと、返す返すも残念でございます。願わくば、体制の整った今日の状態から先、どうぞひとつ生産する人も物を売る人も、そのすべての物が家庭に入ってきて、大きな喜びになり、あるいは大きな悲しみになり、あるいは家庭を苦しめる素因にもなるのでございますから、国民の暮らしの中に時の政治、経済の動きが、あるいは商業界生産界の動きが、あるいは新しく生まれる商品の一つ一つが、あるいは便利だ、科学的だといわれる商品類も、すべて家庭に入ってその真価を発揮して、よかった、悪かった、危険な商品であった、安いわりには非常に性能がよかった、こういう評価を得て初めて商業界生産界の大きな価値を発揮するのだと私は信じます。ですから、生産対策あるいは産業対策、産業育成、それとともにそこから生じてくるものが、集約的には家庭において決算されるのですから、品質、価格、これをどこまでも重視していただく政治の姿勢、あるいは角度を持っていただきたいと、切に願う次第でございます。  それで、物価問題懇談会が一月に開かれましたときにも、期せずして各委員先生方から御意見が出たのですけれども、物価対策の知恵をかせという、わかりやすく言えばそういうことでございますが、それはいいけれども、一方では、ことしに入りまして早々に消費者米価が上がり、私鉄値上げ許可、国鉄もよろしい、それからやがて東京、横浜、大阪、こういうところの市営の電車、バス、これも値上げ、いま家庭が最も苦しんでおりますのが授業料、入学金、そういうものの値上げ、小包はもうすでに上がりましたが、やがて追いかけてはがき、封書の値上げも待っております。それから電信電話が次には控えている。こういうような一連の公共料金の値上げはやむを得ない、許す、こういう態度をおとりになりつつ、一般的には上がり続ける物価を何とかしよう、物価対策をやろうというその矛盾、そのジレンマを、委員を受けた先生方もどう解釈すればいいのかというようなことで、たいへん論議が沸騰しつつ今日に及んでいるようなわけでございます。いまここでその政府の態度を責めましても前進いたしませんので、私どももそういう矛盾を胸に持ちながら、二十数品目とりあえずお取り上げになった個々の物価に対して取り組みつつ、物価問題懇談会に非常な精力を集中して、何とか安定の方向へ進める知恵が出ないものか、方策はできないものかということに苦心しているわけでございます。  ことしの一月に、私どもは二千枚のはがきを佐藤総理に持ち込みました。これは全国のテレビで呼びかけまして、「拝啓 総理大臣殿」ということで呼びかけたのでございますが、意外にもいろいろな組織に属していらっしゃらない普通の庶民の方々が、このときとばかりにお書きになった文面を見ると、それが切々とわかったわけでございます。大体夫婦子供二人という御家庭で三万五千円、四万二千円、四万五千円、この程度の収入の御家庭がいかに多いか、そして、いかに食べるということのために苦しんでいらっしゃるか、それがわずかな文面の中に側々と察することができました。この階層が多いということを、絶えず念頭に置いていただきたいのです。表面はいかにもレジャーを楽しみ、所得も相当ふえ、けっこう平和の中にしあわせを楽しんでいるじゃないかというようにすぐ指摘されるのでございますけれども、それは表面のみでございまして、その陰にある暮らしのつらさに悩む階層の人々がどんなに多いか、いろいろな家計調査をいたしてみましても、食料費の高騰というのは悩みの種でございます。大体四万円から五万円、六万円ぐらいまでの所得階層では、半額に近い二万一千円、二万四、五千円、そこら辺まで食費に使っております。年々食費のふくらみが二割ずつぐらいふくらんできております。その中でも、特に生鮮食料品の値の安定しないこと、高騰するかと思うと暴落することもありますけれども、暴落した場合だって、生産地がうんと安いわりには消費者のほうにそう安い値段としてはあらわれない、こういう奇現象がよく見られるのでございます。高い、安いを平均いたしましても、この生鮮食料品の値上がり、これはずっと続いております。でありますがゆえに、食べることに一ぱい、食費に収入の半分をとられざるを得ない、こういう状態が五、六年続いてきております。これに対しては、もう各方面から流通機構がどうとかこうとかいうことでしきりに論が出尽くしているごとく、どこをどう改善すればいいかということは、ポイントは押えられていると思うのです。その一つの証拠に、さらばしからば東京あたりに総合食品市場を一つつくろう、こういうふうに農林省でしたか、国会のほうでもお動きになったんですけれども、既存の市場が、さあ自分たちをつぶす気かということで総立ちになってたたきつぶしてしまわれる。省のほうでは、これこそが生鮮食料品を一応引き下げ、あるいは適正な基準になる売買の場である、その見本をつくりたいのだ、こう言われたんですけれども、中央卸売市場あるいは従来の市場の方々が、お家の一大事というようなことでつぶしてしまわれる。つくるだけつくらせて、そうして自分たちもうんと企業努力をしようという気がまえはないのでございます。あるいは東京都の食肉市場の公正明朗な取引のしかたをしたい、そでの下取引とかなんとかでなく、生産から消費まで、あるいは市場の中の機構が非常に複雑だ、不明朗だ、それを明朗にしようというそのよきねらいが、十年かかってもまだ解決されていない。これも、従来各方面の業界の方々がいろいろなことを言い立てて、なかなかスムーズにいかないということ。最近では魚等についてコールドチェーン、こういうことでいけばどうだという研究なり調査なりも大いに進もうとしておりますけれども、概して、何か一つの新しい姿あるいは企業努力の姿が出てこようとすると、悪いことには、大企業は大企業の一連の結束があり、それから中小の皆さん方も、それ負けるなという意味合いで、中小企業団体法その他のみが悪いのではございませんけれども結束し、労働組合もあのとおり結束し、大企業は大企業で力をふるって政治を動かしている、さらば自分たちも、という傾向が最近やたらに強くなったように私どもには見えるのです。しかも、その中小の方々と接触するのは、これは消費者でございまして、消費者に最も関連の深い小売り関係あるいは市場、そういうようなところには存外近代化、合理化方策あるいは能率化していく手だてが、政府からも少なかったし、かつ商業者、その業界の皆さん方の企業努力への意欲が非常に少ないように思うのです。ただいたずらに商業協同組合的チームをおつくりになって、そしてそのボスの人は、融資をとればいい、何とか減税に成功すれば鼻が高いという態度です。消費者とともに、消費者のほうを向いて、消費者と肩を組んで、ともどもによい道を発見していこう、薄利多売の道をさがしていこう、消費者に信頼されるよいお店になろう、であるから、その店に仕入れるには、勇気をもって、正しくよきものを、大メーカーから相当な選択をして仕入れてこようということよりも、リベート本位であったり、あちらからもこちらからも、零細でございます。云々でございますということを看板にしつつ、国会参りあるいは法律参り、融資さえもらえばいい、一にも二にも大企業には手厚い保護がいくけれども、自分たちを見捨てる気か、いや、選挙のときにはというふうに、何か商業本来の目的からはずれたところに狂奔しておられて、企業努力あるいは自由競争でお互い同士が互いに高まっていこうという努力が非常に少ない。  その一つ二つの例でございますけれども、たとえば、おとうふの世界に十円どうふというチャンピオンが出てまいりました。それが非常に消費者に受けて、現在でも一日約三万丁ぐらい売れております。これがずっと広がってくれればいいなと私ども思うのですが、中には二十円のがあり、三十円のとうふがあってもかまいません、消費者は選択して買いますから。ところが、量目はまちまちだし、大体おとうふ組合の大部分の二千数百軒のところは、そのままその中に温存しておって量がたくさん売れませんから、二十円にする、二十五円にする、三十円にするという行き方で、その日暮らしの中にあぐらをかいていらっしゃる。それで、これではいけない、もっと需要を喚起しなければいけないというので、ある青年たちが踊り出ました。これは消費者に受けるものですから、どんどんいま工場も伸びて、自己資本で工場をつくり、かつ製品も売れまして、消費者にも愛されるようになった。今度は、それをたたきつぶせという常識外の圧迫が平然として行なわれている。むしろ私は、こういうときこそ、これはよくお調べになる必要もございましょうけれども、企業努力賞というふうな一つのおほめがあってもけっこうじゃないか、こういうふうに思うのです。これは端的な言い方ですけれども。  いま一つの例は、これはあまりに有名でございますけれども、クリーニングの世界で、北九州のこれもある青年のチーム、この人たちが、これではいけない、もっと安くできるし、もっと効率的なやり方をして、そうして家庭から洗たくものをたくさん出していただく、いわゆる薄利多売、これができるということで、環衛法の甘いワクの中に閉じこもっている世界から飛び出してやりました。ところが、これに対する圧迫もまた一方ならぬものがあります。だがしかし、大ぜいの消費者方がこれを支持します。たとえば、いまオーバーでしたら、普通のお店に頼みますと五百円から六百円いたします。ところが、その青年たちのやり方は、決してダンピングでなくて二百五十円でできるのです。あるいはそれ以下でできるのです。さらに勢いづいて、その人たちは、ごく最近大阪その他に進出をいたしました。機械を買い入れてやればもっと安くできるという、そこに目標を置いて、これは計算から何から、厚生省がやかましいものですからきちっとやっております。そうしましたところが、お客さんのほうは待ってましたというので、とても一つ工場では処理し切れないくらいの品物が出たわけであります。ところが、驚きました大阪のクリーニング組合、いわゆる環境衛生同業組合、この大きな一つの組合が機械会社に話をつけまして、あの工場に機械を入れるのだったら、組合員が君の会社からたくさん月賦で買っている機械の月賦を以後払わないと、こういう陰の圧力を加えているのです。それはきのう、きょうの話であります。ですから、せっかくのそういう企業努力が片っ端からつぶされて、それを乗り越えて組合の不当な圧力に負けないで、しかも消費者とともに前進しようという人々がありますと、それが一にも二にもたいへんな圧力を加えられ、保健所のほうからもやたらなにらみを受けるということなのです。  特に私は、十年来、環境衛生関係のパーマ、理髪、クリーニング、こういうものの値段あるいは営業のあり方というものを直視してまいっているのですが、私どもといえども、大企業の発展ぶりに比べて、理髪、クリーニング、パーマ、そういういわば零細な業者の人たちがいつまでも安くて、お店も薄ぎたなくて、そこに働く人々の収入が低くてもかまいません、それよりも消費者は安くありさえすればよい、そういうばかな考えは決して持ちません。大企業の発展はある程度押えても、低いところこそぐっと上げていってほしい。また国民消費者のほうも、ぐっと所得の低いほうこそいろいろの形で底上げがあってほしい、喜びは公平に受けていきたい、こういうふうに念願するものなんです。だがしかし、その目で見てもこの環衛関係のパーマ、理髪、クリーニング等の値の上がり方は異常でございます。不当でございます。というのは、三十五年に基準価格を取りきめました。基準価格を取りきめるときには、私どももその審議会に参画をしておりました。現在でも御一緒しておりますが、その当時の基準価格は、これはもう政治価格でも何でもない、原価から人件費から何から織り込んではじき出した価格でありますけれども、その当時の理髪料金は全国平均百五十円でございました。パーマが大体五百円見当でございました。計算カルテル方式ではじき上げまして、大体六百円のお値段でスタートいたしました。これは独禁法除外でございます。ところが現在は、パーマは千円をはるかに突破いたしております。値上げはもう自由自在に幾らでもよろしい。しかし値下げしてはいけない。八百円か七百円くらいでお客さまに多く来ていただく、こうしようというお店が出てきますと、組合のほうからいろいろな意味の圧迫があります。小さなお店のパーマネント屋さん、理髪屋さんは、とにかく組合がうるさい、組合がうるさい、こういうことでございます。私ども何かその協定の事実をとらまえようとすると、もう書類も何もあの人たちはおつくりにならないで、じょうずな協定の形で、いつしか行くたびに理髪料金が五十円上がり、また五十円上がる、そういう状態で、大幅な諸物価値上げの中でも最高の値上げ率を見せていらっしゃる。最近、これにさらにまた他業種と同じように金融がほしい。厚生省のほうは、金融を多少してやれば値上げを押えることができるであろうというふうなことで、これをめぐってまた審議会が開かれておりますけれども、これとても審議会の場だけでございまして、私どもうっかりいたしますと値下げはチェックされる。罰則があって、組合の許可を得なければ値下げはできない、値上げは野放しにしておいてさらに金融がほしいと、おんぶにだっこというふうな、そういう甘やかした中で成長するということは、これは何業種に限らずいけないことだと思うのです。その反面、私ども消費者のほうに立って考えますと、たとえば五万円の収入があるとします。所得がふえるというのはきわめて微々たるものでございますのに、年々三%、六%、八%というような値上げがなされたとするなら、その分だけ所得は削られていっているのです。その削られた分は、いつ消費者のためにといって助成がなされましたか。保護がありますか。せめて消費者行政くらいのものなんです。業界のほうは一まとまり一まとまりになっていて、さあ外国から資本がくる、それに対抗して輸入するものも、あれもストップこれもストップで、大豆なんかも、いま中林さんがちょっとお触れになりましたけれども、もしきわめて自然に、平和な中に、豊富にあるところから豊富に輸入できるとするならば、おとうふやみそやパン、そういうものの値下りは目に見えてあり得る。だけれども、そこには国内の農家を保護し、あるいは農業政策とかいうようなこともあろうから、私どもは一がいに、バナナの関税は一気に下げなさいとか、あるいは何が何んでもいいから消費者のほうのお値段さえ下がればいいのだから、外国からどんどん入れなさいとか、そういうむちゃなことをいわないでじっとがまんはしてきているつもりなんです。ところが、そのがまんしている間に、業界の皆さま方がほんとうの意味の自由公正な競争に立たれて、自分たちの力を増して、この喜びを消費者とともに分けていこうというような企業努力がほとんどなされないで、一にも二にも法律参り、国会参り、官庁参りという傾向が非常に強いということを残念に思います。この点、国会先生方は特に冷静、公正なお立場に立たれて、各方面の問題点はすでにとらまえていらっしゃると思うのでございますが、公正な施策を進めようとされればされるほど、そういった意味合いの抵抗、反抗というものが不幸にして多いのではないか。そのわりには、消費者がこうあればと願っていることを中心にお取り上げくださる向きが比較的少ない。率先して保護してくださろうとする消費者行政も、世界各国に比べて日本ではまだ立ちおくれている。いま国民生活局長がここにいらっしゃいますけれども、いろいろな意味で大いに努力していただいていると思いますが、消費者行政というものは、あちこちの省で看板は掲げました。だけれども、真の意味での力強い御活躍というには、まだまだほど遠い片すみにいらっしゃって、予算もなく力も弱い。物価問題を、たとえば中西さんがお持ち出しになると、むしろ通産省なり農林省のほうがいだけだかになって、いま業界は苦しいのだと、物価問題はいかにも業界発展の敵のごとくお考えになっている向きもあるのじゃないか。各省ばらばら、不統一、そういったことでは、全身ガン的に広がったおそるべき筒物価というものの対策は一歩も進まないのじゃないか、こう思います。  最後に、これは二月に私どもがふと願いを込めて呼びかけたことが、一つ実現したのでございます。これは、いままで申し述べたような主婦連で願う国民運動一つだ、こう思って呼びかけたものであります。それは、御承知のような東京で実現しました野菜の日、肉の日、鳥肉の日、卵の日、あるいはとうふの日、パンの日でありまして、これは大体十業種でございます。ついこの間、四月の七日に鳥肉の日が五分引きでスタートをいたしました。これは十品目が並んで実現したとした場合に、家計のほうにどれくらいの喜びがあるか、とりあえず計算してみると、家庭によってちょっと違いますけれども、この十品目をじょうずに買いものをしたとして、二百円そこそこでございます。ですからある方面では、たったこれくらいの喜びしか家計の中にないのか、こうひやかされる向きもあるのです。だが、これが逆転しまして、各品目が五分上がった、一割上がったということになったらどういうことになるか。それがあべこべに各業界が自発的に、消費者とともに、消費者に愛されるお店、それからまた需要を喚起する薄利多売の、利益は少ないだろうけれどもお客さんが喜んで買いにくる、こういう一つの方便として主婦連が願ったわけでございます。幸い東京都の消費経済部が力を入れてくれまして、各業界もそれに踏み切っていただいたようでございます。これは物価安定のための国民運動一つとして、私どもは喜んでいるのです。これで大成功をおさめているとはまだ言えませんけれども、このやり方をともどもに肩を組みながら、消費者業界あるいは大小のものがそれぞれ肩を組みながら、自分たち業界でかく努力すれば安定の方向にいけるのだ、もっと能率が上げられるのだというような、そういう方策を各方面でやっていただきたい。その国民の姿、どんなにか大ぜいの者が、わずかとうふ五円の値下げ、あるいは鳥肉の五分引き、その日を待ち受けて買いものをしようとしているか、その台所の願いというものを、政治の上でも直視してくださいまして、政治の上でできますことを、一刻も早く的確な施策をお進めいただきたい、こういうふうに念願しているものでございます。  時間をオーバーしまして失礼いたしました。(拍手)
  9. 小笠公韶

    小笠委員長 次に、山根参考人にお願いいたします。
  10. 山根仲

    山根参考人 ただいま御紹介いただきました山根でございます。お手元にございます参考人名簿に、川越生活学校長という何かいかめしい名前がついておりますが、これは生活学校と申しましても、常時設置してあるわけではございません。文部省でなさっていらっしゃいます婦人学級、あれの形態と同じでございまして、新生活運動協会からの委嘱で、新生活運動の学習の場、実践の場として、消費の面の学習、実践と取り組んでいるわけでございますので、そういう関係で、一応参考人としてここへ列席させていただいたのじゃないかと思います。  それで、いままでお二人の参考人の方がお話しになりましたけれども、お二人の方々は、いわゆる何か専門にこの問題と取り組んでいられる方々、私はあくまで家庭主婦として現場の声、家庭主婦の声を委員の方に聞いていただきたくて、きょう伺ったわけでございます。何だ、そんなことかというふうなこともあるかと思いますけれども、そのおつもりでお聞きいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  二十分という時間きりいただけませんので、ほんとうの要点だけを申し上げたいと思いますけれども、私の申し上げたいことは、まず、先ほどからお二人の方からも出ておりますが、消費者行政の拡大、強化、これが一点でございます。それからもう一点は、流通機構の問題、これは、いろいろ生活学校の学校生が調べましたデータ等もございますが、時間がございませんので発表できないのが残念でございます。第三点といたしまして、私たち消費者自身、消費者教育の重大性ということを常々考えておりますし、中林さんからも世論の喚起の必要性、特効薬はないけれどもというふうなことでお話しになったことと、それから春野先生からも、台所の願いは重視してほしい、こういうふうなことが出たのですが、私たちはやはり消費の問題と取り組みながら、その台所をしているものでございます。その願いを常に持っておりますので、きょうはぜひそれを訴えたくて伺ったわけでございます。  それで、現在の物価戦争というものは、全国民の大きな課題だと思うのです。みんなの知恵を持ち寄ることがまず第一に必要じゃないかということでございますが、生活の現場におけるあらゆる機能が活動しなくては、なかなか物価安定ということは達成できないのではないかということを考えておるわけでございますけれども、生活学校では生産者、メーカーでございますね、それと流通機構の業者の方、それと消費者、私たちでございます。それと行政の方、それから専門メンバーとして専門的な学識のある方をお呼びいたしまして、その五つの層が、ちょうどこういうふうに並びまして、学校生からいろいろ質問なり意見を受けながら、四時間ぐらい、月に二回ぐらいずつ勉強しているのが、私たちの学習の場の姿なのでございます。  消費行政の拡充、強化ということでございますが、いままでの先生方からもございましたけれども、何かいままで生産者、企業家に重点を置いて政策がとられているんじゃないかということを、私たち常々話し合っているわけでございます。それで、中西局長さんいらっしゃるので、ちょっと言いにくいのでございますけれども、何か現在の生活局は、政府のアクセサリーじゃないかというような極端な意見まで私たち耳にしているわけでございます。ほんとうに消費者の全体の声を把握していてくださるか、ほんとうに機能を発揮していてくださるか、私たち末端におりますので、生活局の機能ということもよくわからないのでございますけれども、やはり通産、農林、厚生、それぞれの調整をはかるということでございますけれども、先ほどどなたかからも出ました縦割り行政の解消、これもやはり考えていただいて、もう少し生活局を強化していただけたらよろしいんじゃないかと思うのです。そして、行政国民のパイプですね、これが詰まっているんじゃないかということは、お手元に全部お渡しできればよかったのですが、きのう県婦連に行きまして、私急いで二部だけもらってきたのです。これは埼玉県で六千人の調査をいたしましたが、「くらしをみつめて〔賢い消費者となるために〕」ということで、二十項目ほどの調査票を六千人に配ったわけです。そこで集まりましたデータの中に、「あなたは最近の物価高をどう思いますか。」この中で、1が「あたりまえ」、2が「あきらめている」、それから「政治が悪い」、「消費者がだまっているから」ということですが、3の「政治が悪い」が都市で六四%です。それから農村において四一・六%、一番高率を示しているのです。結局、物価が上がるということは政府が悪いんだ、政治が悪いんだというふうに国民全体が感じているわけでございますけれども、結局、政府の消費行政というものが、まだ国民が全然知らされていないということだと思うのです。そこにやはり原因があるといいますことは、これは県婦連でつくりました商品の表示表でございますが、物品についております表示が、農林省、厚生省、それから型式承認マーク等は通産省でございます。こういうふうに、表示も物によってまちまちということで、これはやはりいろいろの形態からやむを得ないとは思いますけれども、国民がそういうふうな機構というものを知らないんです。ですから、生活局でぜひ一本にやってほしいという願いが各所で聞かれるわけでございますけれども、そういうふうな行政の縦割りということを私たちはぜひ解消して、何か窓口を一本にしていただきたいというふうな、これはほんとうの浅い知識でございますので、当てはまるかどうかわかりませんけれども、それをお願いしたいわけでございます。  たとえば、現在通産省のモニター、正確には消費生活改善監視員というのだそうでございますが、これが全国に三百五十名、埼玉県で現在三名おります。婦人会から一名、生活学校から一名、あとは若い青年の女子ということで、三名いらっしゃいますが、この方たちを利用している方がほとんどいないということ、そういう制度があるということさえ知らないということなんです。ですから、先ほど申し上げましたように、やはり行政国民とのパイプをぜひ貫通させていただきたいのです。その役目を生活局に果たしていただきたいということが、やはり消費行政の拡充、強化という面の一つの解決策ではないかということを、日ごろ感じているわけでございます。  時間がございませんので、新幹線並みになって申しわけございませんけれども、次に流通機構の問題に入らせていただきますが、これは、私たちの台所に一番関係のございます生鮮食料品に限って、私もいろいろ調べておりますが、値上がりの原因といたしまして、やはり経済成長に伴う需要の増加ということが一点、それから生産性の伸びがおくれているということ、この二点がやはり原因ではないかということでございます。  それではどういうふうな、解決までいかなくても、一応の突破口とでも申しましょうか、ということをやはりみんなで話し合っているわけでございますが、生産、流通の段階の大規模化、いわゆる、先ほど春野先生から出ましたコールドチェーンでございますか、こういうふうなことは、県の方々に伺いますと、県段階ではとてもそういうことはできない、国段階でなくては、予算の面もたくさんかかるので、おそらくできないんじゃないかというふうな御回答なんです。こういうこともぜひ国のほうとしてお考えいただきたいのです。  これは四月九日の毎日新聞の投書の欄でございます。春野先生の御意見にも出ておりましたが、「キャベツ一つにこの矛盾」として、「安くて捨てる農民、高くて買えぬ市民」という、ここに切り抜きも持ってきてございますけれども、畑にごろごろころがっているキャベツが八百屋さんの店先にいくと五十円、そこで奥さんが、じゃ農家に行って買ってきましょうというので行ったら、どうせ捨てるんだからただで差し上げますよというふうなことだったんだそうでございます。私たち生産地が近いものですから、それを始終見ているわけです。大根がごろごろ畑にころがっている、キャベツがころがっている、ときには白菜がほうり出してある。そして八百屋さんのお店に行きますと、ビニールの袋に入れた二個くらいの野菜がきれいに飾ってあって、五十円だ、七十円だという高い値段がついているのですけれども、こういうことは一体どこからきているんだろうとみんなでいろいろと頭をひねっているわけでございます。この辺の流通機構の問題を少しお考えいただきたいのでございます。  それで、うちのほうで生活学校を現在四校開いております。全国では現在百五十校、本年度は三百五十校に広げたいというのが本部の意向でございますが、生活学校はあくまでこの消費の問題と取り組んでおりますので、そのある一つの学校の生徒が、それは野菜の生産地の方ですが、私たちがこうして畑でつくっている野菜が、市場で幾らで売れて、小売り店で幾らで売れて、その間のマージンというものは幾らだろうかということで、直接市場へ行って調べてきたわけです。その表もここに持っておりますけれども、時間の関係上お見せできないのですけれども、自分たちがあんなに安く売っているのが、店先ではどうしてあんなに高いんだろうというふうなことを、やはり農家の方々はとても考えているんですね。そして、ことしキャベツが悪いから、じゃ作付を少なくしよう、それから白菜が安いから少なくしよう、そうしますと、野菜が少ないためにその翌年はぐっと値上がりする、それじゃ値上がりしたからうんとつくろう、また翌年は値下がりするというふうな悪循環を続けているような状態でございますけれども、やはりこういうふうな指導も、農林省あたりで何かお考えいただけたらありがたいんじゃないかと思うのです。  それで埼玉県の場合を見ますと、県内の青果市場が五十九あるそうです。ですけれども、公営市場が一つもないということなんです。こんなところにも何かの問題があるんではないかということです。一円でも高い市場へ生産する農家の方々はどんどん持っていくわけですね。そこで、やはり過当競争というふうなものが起こるんではないかということでございますので、この辺の流通機構の問題をお考えいただきたいのです。  それから、お魚を例にとってみますと、冷凍食品が安くて、そしておいしいからということで、私たち講習を再三受けたり、映画を見たりしているのです。ところが、川越市には冷凍魚を売っているお店が一軒もございません。冷凍魚がほしい場合には、私たち西武に行って買ってきたのよと、わざわざ東京まで冷凍魚を買いに行く始末なんです。お魚屋さんがどういうふうに始末しているかといいますと、冷凍のお魚を急に水にざぶっと入れまして、そのまま店先に置くというふうなことで、鮮度がたいへん落ちるんです。ですから、この辺の問題も何とか解決策があるのではないかというふうなことで、いろいろ話し合っているわけですけれども、私たちのような力の弱い者ではどうにもできない問題でございます。これもあわせてお考えいただきたいと思います。  それから、最後の一点の消費者教育の徹底。これは私たち自身の問題として婦人学級で学び、それから生活学校でもこれと徹底的に取り組んでいるわけでございますが、まず、物価が上がるということはたいへんだなというふうな意識を持たせる必要があるということ、これは専門家の方々のお考えになっているほど国民は層が高くはございません。私は、きょうは庶民の代表としてここに伺ったので露骨に申し上げますけれども、婦人会の方々あるいは生活学校に出ていらっしゃる方々は、それほど程度の高いものではないのです。ですから、まずその意識を持たせることが必要ではないかということが、やはりこの県婦連の調査の結果に出ております。物価はどうして上がるのかということも、「あたりまえ」と「あきらめている」という項がありますが、「あたりまえ」が都市で二・八%、農村で六%です。「あきらめている」というのが都市で一二・四%、それから農村で三〇%という高い率を示しているのです。いわゆる物価に対するあきらめムード、何か主婦の間に、しょうがないわ、私たちが何をしたってしょうがないんだというあきらめムード、これは重大なことではないかということを、この調査の結果から考えられるわけでございます。  それからその次に、物価抑制のムードをつくること。解決策にはあまりならなくても、一応ムードの盛り上げということで、行政生産それから、流通機構、これに金融機関、それから私たち生活者、こういうふうなものが一体になって、先ほどこちらの中林先生がおっしゃった、世論を盛り上げていくことが必要ではないかということを感じるわけでございます。  その一つの方法として、春野先生から出ました東京都の安売りデー、これはいろいろ問題をはらんでいるようでございますけれども、やはりこのムードづくりの一つの方策として、全国各県に広げていったらどうかということですが、埼玉県でも、これはもうすでに商工部のほうで考えておられるようですが、まだちょっと手がつけられないいろいろな問題があるので、ということを昨日伺ってきております。そういうふうな状態でございますが、やはりこういうふうなことで一つのムードづくりということが必要ではないかということ。それから、やはり新聞に出ておりましたが、築地にお魚の情報センターができたということは、何か朗報のような気がするのです。きょうのお魚はこういうふうにたくさん入荷しましたよということで、一々その情報を市民に流すということ、それが情報センターとして発足したそうでございますけれども、いままでになかった機構として、きめ手にはならないとしましても、一日安売りと一緒に突破口にはなるのじゃないかということを、その新聞を拝見して感じたわけでございます。  それで、全国百五十校の生活学校で実際に物価安定、それから値上がり対策として実施したことを一つ申し上げたいのでございます。これははたしていいかどうかわからないので、その御批判はおまかせいたしますが、新聞料金の値上げの際に、これは北海道のある生活学校でございますが、その原因が何か人件費、いわゆる新聞少年の給料の値上げが大きな原因だということを聞いたというのですけれども、それで、それではこれは昔に返るかもしれませんけれども、販売所で配達の合理化をしたらどうだろう、地域別に何種類か一緒にして配られるような体制に持っていったら、これは新聞の企業性による抵抗がずいぶん多いのじゃないかとは思いますけれども、そういうふうなことでも考えていただけたら、あるいはいいのじゃないかということで、それの抵抗策といたしまして新聞料金の未払い運動と、夕刊は要りません、朝刊だけとりましょう、こういうふうな運動を現在実施しているそうでございます。これははたしていいかどうかということは、御批判におまかせしたいと思います。  とにかく、こういうことは一人ではできないのだと思います。どうして物価が高くなった、高くなったと私たちぶつぶつ言っているよりも、大ぜいが手をつなぎ合って、組織をあげてこれと取り組まなければならないということを痛切に感ずる次第でございます。私たちも婦人会で、それからまた生活学校で、ぜひそのムードを盛り上げながら、その物価安定と値下げの策をいろいろ考えているわけでございますけれども、やはり大きな国家的の問題として、委員先生方にもぜひお考えいただきたいと思いながら、末端の声をきょうは聞いていただいたわけでございます。  そして、最後に政治に望むことは、消費者行政の重大性並びに一本化、それから生産者には適正価格で販売してほしい、なお、流通機構の業者には不当利潤をなくして、できるだけ消費者に安く、適正価格で売ってほしいということ、それから私たち消費者といたしましては、いま王さまであるとかなんとかおだてられてはおりますけれども、宣伝広告にとても踊らされているのです。すごく生活が華美になって、何か収支のアンバランスということを考えさせられるわけでございますが、商業政策に乗らず、やはり合理的な生活をする必要があるのじゃないかと考えるわけでございます。  時間でございますので、申し上げたいことを十分お話しできなかったのが残念でございますが、私のような末端の者をお呼びいただいたということ、私たいへんありがたく思って、そのお礼を申し上げて終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。(拍手)
  11. 小笠公韶

    小笠委員長 参考人の御意見の開陳は終わりました。     —————————————
  12. 小笠公韶

    小笠委員長 質疑の通告がありますので、順次これを許します。村山喜一君。
  13. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 三人の参考人の方々、ほんとうに御苦労さまでございました。いままで私たち物価対策に取り組んでいるわけでございますが、いま述べられた意見中心に、若干の質問を申し上げてみたいと思うのでございます。  第一点は、中林参考人にお尋ねをいたしたいと思いますが、中林さんがおっしゃいました問題は、再販契約の問題を中心にお話をいただいたわけでございます。今日、再販売価格維持契約制度というものが生活協同組合等十一団体には適用されており、そしてそれに所属していないところの一般の消費者が、小売り店を通じて不当に高いと思われる品物を買わされているわけです。これは、初め制定をされましたときには、消費者を保護するという立場からつくられた制度であったわけです。しかし、今日においては、消費者を保護するということではなくて、そういうようなメーカーを保護するという立場に変わっておる。おっしゃる中の、もうすでにリーダーシップを握ったような業界においては、これを廃止すべきではないかということは、まさにそのとおりであろうと思う。ところが、この再販価格の問題については、もう今日恒久制度として置くのは問題であるというふうに考え、なお不平等な取り扱いが国民の中においてなされているという点、さらに類似行為を誘発するというような問題が当然出てまいるわけですが、これに対しまして業界から、再販価格国会でいじろうという動きが見えると、これに対しては業界のほうから猛烈な抵抗運動があるということですね。それに対して、片一方消費者団体のほうからは、この再販価格の問題について、これは悪なりとして廃止をすべきであるという要求運動は、あまり大きくなっていないと私たちは思う。そこで、なぜそういうふうになっておるのだろうと思って考えてみると、生活協同組合等十一団体適用除外なんです。そうすると、そいうふうに組織された団体はあまり弊害を受けていない。そうして組織されない団体の末端の人たちが不当なものをつかまされておるという形になっておるのではないか。だからこういうような運動を、一つの大きな根本的な立場としての世論運動として盛り上げていくためには、どういうような方途を全国消費者団連合会あたりにおいてお考えになっておるのか、また主婦連合会あたりでは、どういうふうにしてこれを世論化していく方向で運動を進めようとお考えになっておるのか、お聞かせ願いたいのでございます。  それから、春野参考人がおっしゃいました例の中小企業団体等のカルテル行為、環境衛生適正化法等に基くものを含めてでございますが、そういうようなカルテル行為は悪なり、悪いのだということを消費者の中にたたき込んでいくことが、私は今日消費者物価の上から考えたら必要だと思うのです。ところが、それがなかなか日本の政治経済の体質といいますか、日本的な政治体質というものがありまして、そういうような生産者の団体というものは政治的に大きな力を持っておる。ところが、消費者団体は各個ばらばらに分かれておりますから政治的な力がない。こういうようなことで、なかなかそういうような消費者の声が通らない政治体質が存在をし、それが根強く残っておるわけです。これをやはりこわしていかなければならないわけですけれども、そういうような場合においては、そのカルテルというものは悪いのだという思想を国民の中に植えつけなければならないと思う。それに対しまして、運動面としてあなた方が今後どういうような方向を目ざしてやっておられるかということを、お聞かせを願いたいのでございます。  それから山根参考人にお尋ねいたしますが、われわれも物価戦争という新聞の連続もの、あるいはその他の新聞の記事等を見まして、あるいはまた私たちも現場に出かけてその実情もよく見ておるのでございますが、いわゆる生鮮食料品生産者であります農家の人々の手取り価格というものが、小売り価格に比較しまして不当に低いわけです。その不当に低い理由は、現在の流通構造の中にその原因が一つはあろうと思う。  もう一つは、野菜の問題一つをとらえてみますと、農協が出荷調整をするような、安定的な立場において農産物を供給していくという体制が整っていない。そうして、いまも埼玉県の例をお話しになりましたが、今日中央卸売市場というものは、人口十五万以上のところと法律に基づいて規制され、あるいはそれぞれ保護されておるわけでありますが、地方公営市場というものは、これは野放し状態に置かれておる。しかも、その市場の機構というものを調べてみると、会社営が大部分であります。地方公共団体が開設はしていても、それに対してチェックできないというような仕組みになっておる。さらにまた、私、先般長崎の諌早、大村に参りましたが、そこに行って実情を調べてみますと、大村の場合には、株式会社の仲買い人が中心になりました市場が一つある。もう一つは、農協中心になりました市場が一つある。蔬菜市場ですが、その仲買い人のほうは、おもに小売り店と結びつきまして、そうして一つの集荷体制を整えておりますが、農協の蔬菜市場のほうが、このごろは非常に繁盛しているわけです。行って調べてみますと、やはり農協がそれだけの集荷体制を整え、しかも安定した供給体制を整えているところに、生産者と消費者がともに喜ぶことができるような体制が整っている。ところが、一方の会社経営のほうの市場は非常に値上がりがし、あるいは極端に値下がりがするという形の中で小売り商の人たちがそれに依存をしているわけですが、それによってある程度のマージンもかけますので非常に高くつく、こういうようなことから、消費者の方にはそっぽを向かれ出して、最近においては農協経営の市場が非常に大きくなってきた。そして蔬菜市場のシェアというものも、農協がだんだんに確保していくような形がとられているわけであります。そういうようなのを見ながら、いわゆる生産者と消費者行政を、生活がともによくなるような方向で考えていくのには、いま私たちは、そういうような方向というものも一つのあり方として当然考えなければならないと考えておるのでございますが、先ほどの説明では、地方公営の市場は一つもないというのに対しまして、生活学校の新生活運動と取り組んでいらっしゃる皆さん方としては、県に対して、あるいは市町村に対して、いままでどういうような要求運動をなさっておいでになるか、この点について、そういうような運動をされたなにがございましたら説明を願っておきたい。
  14. 中林貞男

    中林参考人 いま村山先生の御質問でございますが、二十八年に独禁法の大きな改正が行なわれて、再販売価格維持契約ということが認められるときに、私らみんなで反対運動をいたしました。それですから、生活協同組合適用除外になっているからわれわれはいいという考えは、毛頭持っておりません。また私たちは、消費者立場を守るという形で、独禁法でいろいろのカルテル行為が適用除外で認められるときに、そのつど国会へ参りまして、社会党の先生方にお願いをしたり、また自民党の担当の先生方のところへも行ってお願いをしたりして、カルテル行為というものに対して、私たち消費者立場から反対しました。それで、十一団体認められたのも、私たちがみんなで猛烈に反対運動をやりましたので、その十一団体が妥協の産物として適用除外になったという経過でございまして、私たち消費者立場からは、生協であろうと農協であろうと、こういう制度そのものにはみんな反対だという考え方を持っているということを申し上げ、その点今後も消費者立場から、そういう形でやってまいりたいというふうに考えているわけでございます。  それから、先ほどちょっと時間がなくて、私は詳しく申し上げなかったのですが、いま先生が最後にお触れになりました農協の問題などは、先生のおっしゃるとおりで、地方では農協生協とタイアップして、野菜祭りという形で野菜や何かについての値段を安くしたり、非常にいい仕事を自主的な仕事としてやっているところが幾つもありますので、それを流通機構の中で、私はぜひそういう構想を考えていただきたいと思うのです。ヨーロッパでは、そういう市場機構の中においても、協同組合のそういう組織というものが、会社のそういう組織と別個に、一つの別なルートとしてつくられているというところまで協同組合組織がいっておりますので、先ほど基本的な考え方として申し上げましたのは、そういう具体例がヨーロッパで制度として取り上げられているし、日本でも自主的な運動として行なわれていますので、そういう自主的な組織ということを申し上げましたのは、いま先生のおっしゃったようなことを私は頭に置いて申し上げたのです。それも時間があれば、具体的に野菜祭りの話などを申し上げようと思ったのですが、申し上げなかったということをちょっと付加さしていただきます。
  15. 春野鶴子

    春野参考人 カルテル行為は悪であるということ、それから、特に三十二年以来取り組んでまいっております環衛法など、これは目の前のおとうさんの散髪、おかあさんのパーマ、それからクリーニング、そういうことで関係が深いものでございますから、会員の関心もわりあい高いのです。一般の会員の関心とともに、つまり東京のほうでキャッチいたしましたものを、一つ消費者教育資料でございますか、そういうものに取りまとめて、なるべく正確な解説をつけまして、主婦連合会に参加をいたしておられる全国団体にはそのつど、毎月には「主婦連たより」、それから二カ月に一回ずつくらいは「消費者ニュース」というのを、小冊子でございますが、それに法律のむずかしい条文をそのまま書くことはありませんけれども、わりあいわかりやすく解説いたしまして、資料として流しております。だけれども、何ぶんにも無力でございます。会員数は全国六十万といいましょうか、七十万と言えるかもしれません。だがしかし、基礎的に日本のおかあさんたちは、またいま三十代の若いおかあさんも続々生まれているわけですけれども、商品知識あるいは価格についての考察、それから政治と暮らしは直結していると言われながら、具体的に一つ一つ生まれてきます法律が、業界にはこうである、消費者にはこうであるということはわからない。そこで、東京で早く気がつき、そしてまたいち早く反対電報を打ったり、あるいはおしゃもじを掲げたり、それから他の団体と連合いたしまして集中的に国会活動をやることもあります。だがしかしその数の多さよ、そしてそれを全国にばらまくについてもその費用のかかること。不幸にして私どもは何百万あるいは何千万という会の経費を持っていないのでございます。一団体からわずか月に二百円程度の会費しかいただいておりません。そんなわけで、この資料をもっと会員に、あるいは会員以外にも提供したい、わかっていただきたい、こう切ない思いをさせられつつ今日に及んでおりますが、それはただ自分たちの非力、無力を嘆くと同時に、あわせて私どもも、もっとより多くの人に、より多くの消費者に肝心なことは知らせていきたいという気持ちは重々持っております。なお努力しなければならないと思います。  一方、ひるがえって考えますと、むしろ担当省といいましょうか、幸い国民生活局等もできました。あるいはまた通産省にも消費経済課ですか、そういうのができた。農林省にも消費経済課というのができた。そういうところを通じて、しょせんは末端の国民に、あるいは関係のある業界はもちろんですが、この一つ法律からこういうことが生まれいずるという関係の深さをPRしていく態度が、国としても非常に怠慢である、私はこういうふうに思うのです。文部省がようやく最近腰を上げまして、全国婦人団体が集まれば物価問題は、あるいは商品知識を得たい、あるいは流通機構のことを知りたいというように最近なってきましたので、文部省系統の社会教育関係の集まりがございます。そういうところに多少の補助金等が出るようですが、そういうところで、消費者としてどうあるべきか、あるいは商品知識を学びましょうというふうな項目を、最近ようやく取り入れたくらいです。私どもは数年前から、学校教育の中に価格を考察する、あるいは商品を見詰めていく、あるいは経済市場のあり方をわかりやすく頭に入れていくというふうな、その必要性が早くにきているのじゃないかというので、そういうこともおりに触れ呼びかけてまいったつもりでございます。なお社会党、自民党あるいはその他の党におかれましても、なるべく片寄ることなく淡々と、法律のこの部分で家庭に直結する、この部分で業界にこうである、品質についてはこうであるというふうな、そういう平生の国民教育といいましょうか、国民に知らせる、国民に直結する政党活動、こういう面も、これを機会にお考えいただきたいと思います。  国会が開かれますと、以前には私ども、ちょいちょいしゃもじを立てたりして伺ったこともあれば、あるいは各省に押しかけて大臣にお会いしたり、局長さんを責め立てたりいたしました。だけれども、今日のようになってきますと、物価問題一つと取り組むにしましても、しゃもじを千本用意してもとても足りないくらい忙しいのでございます。あちらからもこちらからも、十数年の運動をいたしてきました目で見てみますと、あのことも一言言わねば、あれには反対しなければ、ということはやまやまあるのでございますけれども、無報酬でもって役員二、三十名が動き回っているのでございます。労働組合のように日当——日当をもらえば動くというのじゃございませんけれども、とても専門にはできないのでございます。そこで、最近幸い考えつきましたことは、何はともあれ国民生活局等が一応の取りまとめの地位にいらっしゃるとすれば、電報一本でもいい、電話一本でもいいから、ここに消費者としては疑問を持ちますという——その例は、野菜価格安定法案というのが国会で動き始めました、あるいはプロパンガスについての何か法律ができそうだ、それについて私ども安心しておっていいのか、いたずらな統制になるのじゃないかというふうな疑問点を提供しまして、急いで調べてください、そして教えてください、そういうような近道をとりつつございます。  なお、物価問題懇談会等いつまで続くのかわかりませんけれども、せっかくのああいう機会ですからかねがねそういうことを提示いたしまして、そして当面することに取り組んでいただくのとともに、なお、消費者教育あるいは消費者行政の強化その他を、そういうような発言の場を利用いたしまして展開させてまいりたい、そういうふうに思っております。労を惜しむわけではございませんけれども、そういう効率的なつぼつぼを押すことによってできるだけこれを敷衍する、なおまた、ある種の結果が出たり、あるいはまたいまの野菜の日その他ということが生まれましたら、私ども手分けして、月に半分くらいは地方回りをいたしますので、そういったところにじゃんじゃん実情を報告して、地元からの声があがるように、それから消費者組織、チームが弱い弱いといつまでもかこっておらずに、団結を強うして盛り上げてまいりたい、そういうふうに思っているわけです。
  16. 山根仲

    山根参考人 ただいまの御質問でございますが、私が先ほど申し上げましたように、私たちの所属は地域婦人団体なんです。そして社会教育法による社会教育関係団体のために、いままで何か消極的な活動きりできなかったわけでございます。春野先生の組織のように、おしゃもじをかついで歩くこともできませんし、それから県庁のほうへも、いろいろ個人的には意見は申し上げておりますが、はっきり申し上げて、まだ組織としては県のほうへの運動はやっておりません。明日でございますが、川越市で考え消費者のつどい、これは千五百人ほど県内、県外、生活学校とそれから婦人会の方々が集まりまして、この生活者大会をするわけでございますが、その際、県の青果物市場連合会と、それから県の経済農業協同組合連合会行政として県の農林部、こういうふうな方々に回答者のメンバーとして御登壇いただくわけでございます。そして、そこでこういうふうな問題を生活学校の生徒からいろいろ質問を出しまして、また要望ということでこの大会を盛り上げて、その成果はわかりませんけれども、できるだけこの運動と取り組んでいきたいと思いますので、明日はぜひそれをやりたいということを考えております。なお役所の方々も、ちょっと当たりさわりがあるかもしれませんが、伺ったときよりも、こうして私たちの大ぜいの前に出てきてくださったときのほうが、何か私たちも言いいいし、役所の方々もたいへん色よいお返事をいただけるのです。成果はわかりませんけれども。悪口を申し上げまして、ごめんなさい。そういうことで、生活者大会ということで明日大々的にその問題と取り組むわけでございますので、まだ実践段階という御質問にはお答えできない状態でございます。  それから、前のお二人の再販契約とかカルテルとか、これは一般の主婦は、はっきり申し上げてそのことばさえ知っておりません。そういうふうなことを、ことばそのものさえ知らない主婦に知らせるにはどうしたらいいかということも、今後の課題ではないかということでございます。前の方のお株をとって申しわけございませんけれども、以上でございます。
  17. 春野鶴子

    春野参考人 恐縮でございますがもう一言。いまお話が出ましたが、北海道の代表が最近私どものところへ参りまして、公正取引委員会が最近たいへん活発に活動してくれまして、メリケン粉問題をこうやって押えました、こういうようなお話を地元でしたわけです。主婦連に参加している団体のキャップの方は、年に何回か消費者ゼミナールその他を開きますから、できるだけ資料をお持たせして帰すわけでございます。その人たちはそういう説明ができるわけです。だから、婦人団体消費者運動ということが大事なんだというふうに地方でも展開しているようなわけなんです。ところが、「公取」って何の鳥でしょうかという質問があるくらい、コウノトリか何かとあれと間違えたらしいですね。一言で申し上げればそういう程度なんです。  それから再販価格といいましても、それは洗剤を一つ見せて、たとえばこれが花王石けん、ライオン石けんで、これがこうなってこうなって、それから再販価格というものはこういう仕組みになっているわけで、私たちはそれが発揮されないときには、百円のものを七十六、七円で買えました、それを本社のほうでぴしゃっとやったばかりに、それをまたちまたの小売り店がはい承知しました、九十円以下では売りませんということで、それだけ小売り店もマージンが多くなりますし、小売り店から向こうのほうは御都合がよろしい、そこで黙ってほうっておけば、消費者も最近うんと大量消費しているわけですから、むしろ本社のほうからダウンしてきてもいいくらいなんですが、それがあべこべの結果になりますよ、こう持ちかけると、もう二千人の聴衆が一度にわかってしまうですね。ところがからだ一つで、たとえば十人の者が地方に出てそういう説明を申し上げても、一体何人の人々にわからせられるだろうか。あるときは資料で、あるときは講演でということで、自分たちとしては極力やっているつもりでも、力及ばずの嘆きを持っているということを御承知いただきとうございます。  それから野菜の問題でございますが、三十八年の十月でございましたか、いいえ、もっと暑いときでした。埼玉県の越谷農協の方が主婦連に飛んでおいでになりまして、指定を受けてキャベツの計画生産をして、天候もよく相当豊作であったので、冷蔵庫に入れて待機しました。ところが、いまでは市場に出せども出せども一円の値もつかない、あとタマネギさんが追いかけてきたので、早くキャベツのほうを片づけなければならぬ、腐ってしまう、お願いですから食べてください、ただでよろしい、こういうことです。それはお気の毒だということで、トラック四台引き受けまして、東京じゅう約八十カ所に細分化して回りました。二日間で各役員はへとへとになってしまったのです。ただではとてもお気の毒だからというので、一個について五円会員からカンパいたしまして、十数万円でございましたか差し上げたわけです。農協の方は泣いてお喜びくださいまして、その翌年ネギが高くて東京で困りましたときに、三分の一くらいのお値段で向こうから運んできてくださいました。これは農協との仲よし運動でございますが、一方では、この間毎日新聞にも、キャベツが一円にも売れずごろごろしている云々ということが出ておりましたけれども、ことしの二月のこと、また主婦連にかけ込んだ方があるのです。それはどういうことかといいますと、この人は農業じゃないのです。東京からキャベツの生産地帯に毎日のように小型トラックを動かして、ある機械を運ぶお仕事なんです。それに青年が四、五人乗っかっている。行って、機械をおろして帰ってこようと思って畑を見ると、ホウレンソウやらニンジンやら大根、キャベツ類がごろごろ畑に捨ててあるんです。もったいない、東京ではみんな不自由していますよ、高いですよと地元の人にお話ししたら、もうただでよいからみんな載っけて持っていきなさい、こう言われて山ほど積んできましたが、どこへ持っていきようもないから主婦連へ持ってきまして、適当な値段でどうぞ、ちょっとでも喜んでください、こういうことだった。それからずっと探って聞いてみますと、やはり先生がおっしゃったような出荷調整なんですね。ホウレンソウも見ばが悪いんですが、しかし非常に新鮮で、けっこういただけるんです。私ども何も一々全部洗い上げて——ゴボウなんか近ごろ皮までむいちゃって、あれはサメの皮でむくんだそうです。そしてさらして白いゴボウになって、高い値段になって出てくる。そこで取り扱う方々は、あまり大量に出荷すると値が下がるので出荷調整される。それから、扱う市場から八百屋さんまである程度、二十円か三十円の値がついていないと、それからマージンをとるのにたいへん都合が悪い。それで、せっかくとれた天然のそういう宝がいたずらに寝ている。ですから、これは私のふとした考えでございますけれども、中央卸売市場その他の市場はあってよろしいが、ときに、そういうふうな過剰な農作物ができたときには、何も市場を通さずとも、直接農家の方々が団結されて、いまトラックくらいお持ちでございますから、生産地の小売り店なり、あるいは青空市場なり、何かルートを見つけて自由にやらせる。これはもう量としては、そんなに八百屋さん、中央市場を脅かすほどの量ではないと思う。非常にもったいないことなんですから、土のついたままでもよろしいから、そういうふうなルートをつくって、びくびくしながら運ぶのでなくて、そういう場合には自由に持っていらっしゃいというふうなことがあってもよかろう。むしろそのために、中央市場や地方市場のほうはもっと真剣な研究をされるであろうと思うのです。
  18. 小笠公韶

    小笠委員長 山本勝市君。
  19. 山本勝市

    ○山本(勝)委員 もう時間もだいぶおそいですから、ちょっと参考人の方に御了解を得ておきたいと思いますが、春野さんにはたびたびお目にかかって、私がカルテル中小企業団体法ができるときにも、これをつくったらこういう結果になるというので、一人で反対をしたことも御存じだと思います。ただ、先ほど来の話を承っておりまして、国民の七割近くが、これは政治が悪いからこういうふうに消費者物価が上がっているのだ、こういうふうに見ておられるということであります。まあ皆さんも大体そういうふうな気持ちじゃないかと思うのですがね。そこで、どうしてもここでちょっと一言了解を得ておかなければいかぬ。  それは、実は私個人だけではありません。われわれの党でも、政府でも、真剣に取り組んでおることは事実なんですよ。いいかげんにほうっといておるのではないということ、これは第一点として御了解願いたい。  それから第二点として、ぜひ御了解を得ておきたいと思うのは、賃金の支払いというものは前払いをしておるのだということです。つまり、経済で道路をつくるとか、あるいは工場をつくるとかいう場合に、その道路をつくり工場をつくり上げてから、でき上がった品物の中からその働いた方々に対して分配をしておるのではないのです。これは、まだ三年先、四年先にならなければ実際に品物ができない前、三年前、四年前に賃金というものをお金の形で前払いしておるわけです。ここをひとつ御了解願いたいと思う。前払いしますと、それを受け取った方は、ことに経済成長期ですから、所得はふえています。しかし、工場をつくりましてもまだ何一つつくっていないけれども、賃金は渡っております。それが実は手に入った以上は、これはもう自分の当然の権利ですから、市場へ行ってイチゴを買う、バナナを買う、大根を買う、そのほかいろいろな品物を買うわけです。ところが、経済の成長期には、大体道路であるとか、建物であるとか、設備であるとか、そういうところに主として力こぶが入れられておるわけで、所得もそこから出てきておる。ですから野菜だの、消費者が直接いま使うようなものの方面も幾らか伸びましても、その方面は、どちらかというと成長期にはそんなに伸びていない。しかし需要のほうは、こっちでもらったなにがこっちへ買いにきますから、それで生産のほうがあまり伸びないのに、前渡しされた所得が需要になっていくから、そこで上がってくる。この関係をひとつ御了承願いたい。  それで、中林さんが外国へ行かれて、どこの国もどうも物価が上がる、こういう話であったということです。きょうも公取のある責任者に聞きましたら、外国へ行って聞いたら、どうも日本物価政策をうまくやっておるらしい、ひとつ日本へ勉強に行こうというような話を聞いたと言うのです。向こうではそんなことを言っているということですよ。それで日本の経済の成長が、とにかく主としていまの道路であるとか、建物であるとか、機械設備とかいうようなものですけれども、よそよりも急激に伸びた、つまり、前渡しの金がよそよりも多かったわけです。そこに、よその消費者物価よりも上昇率は高かったということが一つあらわれてきておるので、どこの国でも経済の上昇率が高いときには、そういう関係で、生産設備のために働いて前渡しされた賃金が消費財の需要になってくるものですから、消費者物価指数が上がる率が高くなるのですよ。これはアメリカでもどこでもそういう現象が起こっておる。こういう点をひとつ御了承願いたいのが第二点です。いつまでも高度成長が続くわけでありませんし、したがって、またそれに伴う消費者物価の上昇は続くわけではない、われわれはそう信じておるのです。  第三点は、私がぜひ御了承願っておきたいのは、物価物価とおっしゃいますけれども、物価とそれから一つ一つの品物の価格ですね、これとをきっぱり分けてひとつ問題を扱ってもらいたい。だから全体の価格の平均数字である物価水準というもの、これは政府の責任で上がらぬようにしなければならぬ。つまり、お金で買う品物のすべての価格の平均が上がっていくということは、金の値打ちが下がっていくことですから、これは政府が責任をとらなければいかぬと思いますが、一つ一つの品物について、実は消費者としては上がっては困るから、コンニャクが上がる、とうふが上がると一つ一つ問題にします。生産者のほうはどうかというと、実は上がってほしい。そこでつくっておる人は、値下がりが困るから安定してくれ、こう言うのです。言いますけれども、第一、生産が自由であり、消費が自由であるというたてまえを、われわれがどうしても必要だという考えから、自由経済といいますか、市場経済をとっておるわけです。これは共産国家のように、消費の自由というものをあまり問題にしないで、政府でつくったものを割り当てて、それを使えというたてまえではなしに、消費は自由である。だから所得を貯蓄に回すか消費に回すか、その消費も、いかなる品物をどれだけ消費するかということは、消費者の自由でなければならぬ、この原則はくずしちゃいかぬというたてまえに一つは立っておるわけです。もう一つは、生産も、これは国民の自由という大原則を立てておるわけです。そうしますと、生産が自由であり、消費が自由であるという大原則を認めますと、生産と消費の関係できまってくる。価格だけを上がらぬように、下がらぬようにということはできないというのは、生産が自由でありますから、生産量も、もうかると思えばつくる人もたくさんつくる。あるいは消費者が何を消費するか自由ですから、消費も動きますね。生産と消費の関係できまってくるのに、そのきまるもとになる二つが動くのに、その関係できまる価格だけを安定さすということは、これは実はできない。できないし、またそれをやりますと、すべての品物がかりに安定といいますか、上がりもしない、下がりもしないというような経済になりましたら、これはもう死んだ経済になってしまう。だから全体の価格の平均は、これはお金の値打ちですから、政府が責任を持って安定させなければならぬけれども、一つ一つの品物は、いま言ったような事情ですから、政府に安定させろと言いましても、これをやはり出しますとたいへんなことになりまして、むしろ上がるから押えるといって政府が押えますと、一時は下りましょう。ところが、押えたために生産のほうは減ってくる、消費のほうは押えたからふえてくる、かえってその次の段階においては、生産が減って消費がふえてくるということになれば、今度は値段を引き上げる原因をつくってくる。逆に、つり上げて値下がりを防ごうとしますと、今度は生産のほうがふえてきて消費のほうは減ってきて、かえって値下がりをする。逆効果を持ってくる。こういうことがあるものですから、生産の自由、消費の自由、したがって個々の価格は需要供給に従って自然に動くということを、全部ほうっておけと言うんじゃありません。それは社会問題になるような場合には、緊急措置というものも必要ですけれども、それは緊急措置であって、原則として個々の価格を安定さすのは政府の責任だ、こう考えられると、それは政府の責任だということになりますけれども、私はそれはおかしいと考えているのですよ。だから生産の自由は要らぬ、消費の自由も要らぬということなら、これは比較的価格というものは安定させられますが、それでもなお共産国家、社会主義国家を見ましても、一時は安定しましても、そのうち価格が不適正になって大幅の値上げをやらねばならぬ、あるいは値下げをやらねばならぬということは起こってきておるわけですよ。一般の国民の方が七割まで政府が悪いのだからというのは、これはいたしかたない、われわれの怠慢の結果でしょうが、皆さんだけは専門家だから、ひとつその辺はよく御了承願いたい。なお、私個人として書いたものもありますから、ひとつ春野さんにも読んでいただきますが、皆さんよろしくひとつ御了承願いたい。
  20. 春野鶴子

    春野参考人 一言だけ。先生のおっしゃいますのは、自由主義経済の原則ですね。それは私ども大賛成です。それで申し上げている物価対策も、一つ一つに、とうふにも値段をきめ、量目をきめというふうな統制的なことまで言うのではないのです。ただ、私どもが非常に不当だということを鳴らすのは、すべて政府とも申し上げていない。ある部分は政府であり、ある部分は国民運動として考えるべきだ、こう申し上げているゆえんなんです。その中で、極端に申し上げると、自由主義が大原則であるべきなのに、いつ知らずあるワクをきめる、どこからどう出てくるか知りませんが、そこのところを指摘するわけです。
  21. 中林貞男

    中林参考人 私は、山本先生のお書きになったものを読んだこともありますから、御意見はわかるのです。賃金の点についてもおっしゃるとおりですが、また、たとえば労働者の立場からいえば、先に働いてあとでもらうということになるわけで、そのあたりもひとつお考えいただきたい。  議論はまた別の問題として、そういう点と、三番目の点は、私もそういう先生のような自由主義経済ということをもっと考える必要があると思っていますが、ただその際に、消費者の自由な活動というものをむしろこのごろ規制している。だから、消費者の自由な活動をぜひひとつお考えをいただきたいということを申し上げておきたいと思います。
  22. 山根仲

    山根参考人 私が例を申し上げたのは、これはあくまで埼玉県の婦人だけのことで、これが全国に当てはまるかどうかということは疑問でございますので、その点もお考えいただきたい。そのパーセンテージは、あくまで埼玉県婦連の調査であるということをお考えいただきたいと思います。
  23. 小笠公韶

    小笠委員長 この際、参考人各位一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、本問題調査のためたいへん参考になりました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後零時二十六分散会