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1966-03-23 第51回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月二十三日(水曜日)    午前十時二十八分開議  出席委員    委員長 小笠 公韶君    理事 木村 俊夫君 理事 倉成  正君    理事 砂田 重民君 理事 舘林三喜男君    理事 山本 勝市君 理事 井岡 大治君    理事 兒玉 末男君 理事 村山 喜一君       小山 省二君    竹内 黎一君       床次 徳二君    藤尾 正行君       粟山  秀君    帆足  計君  出席政府委員         総理府事務官         (公正取引委員         会事務局長)  竹中喜満太君         総理府事務官         (経済企画庁国         民生活局長)  中西 一郎君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     齋藤  正君         厚生事務官         (児童家庭局         長)      竹下 精紀君     ————————————— 三月十九日  物価値上げ反対に関する請願(伊藤よし子君紹  介)(第二〇一八号)  同(板川正吾紹介)(第二〇一九号)  同(加藤清二紹介)(第二〇二〇号)  同(東海林稔紹介)(第二〇二一号)  同(中嶋英夫紹介)(第二〇二二号)  同(肥田次郎紹介)(第二〇二三号)  同(矢尾喜三郎紹介)(第二〇二四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件(物価対策現況等)      ————◇—————
  2. 小笠公韶

    小笠委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  本日は、まず幼児教育費等に関して、文部省及び厚生省当局から説明を聴取することといたします。文部省齋藤初等中等教育局長
  3. 齋藤正

    齋藤政府委員 幼稚園に関します幼児教育費家計に占める地位について概略申し上げます。  公立幼稚園入園させる場合を考えますと、昭和四十年の四月の全国の調査によって見ますと、総額が一万一千九百三十五円という数字が出ております。これは内訳といたしまして、保育料、すなわち授業料でありますが、これが五千六百八十七円、教材費が一千七十八円、給食費またはおやつ代が二千二百九十九円、PTA会費が千三百五十三円、その他毎月徴収するものが九百二十四円、それから新たに入園するための入園料が二百三十八円、それから寄付金が三百五十六円ということで、合計一万一千九百三十五円と相なっております。これを三十歳ないし三十四歳の父親ということを考えますと、これは労働省の調査によりまして、昭和四十年度の勤務年数七・九年の平均収入額というものをかりに五十三万四千百円の収入総額といたしますと、この公立幼稚園に一人入園させる場合の収入額比率は、二・二三%と相なるわけでございます。  それから私立幼稚園入園させる場合が、三万一千三十二円の経費が年額要ることとなっております。三万一千三十二円の内訳は、保育料が一万七千八百四十四円、教材費が千八百三十六円、給食費またはおやつ代が二千九百四円、PTA会費が千二百七十二円、その他の徴収費用が二千七百十二円、入園料が千六百六十一円、入園の際の寄付金等が二千八百三円で、合計三万一千三十二円と相なるわけです。これを先ほどの例にならいまして、収入総額が五十三万四千百円の父親と仮定いたしますと、この占める率は五・八一%ということに相なります。  以上が、幼稚園入園させる場合の経費収入に占める比率でございます。  以上でございます。
  4. 小笠公韶

    小笠委員長 続いて、厚生省竹下児童家庭局長からお願いします。
  5. 竹下精紀

    竹下(精)政府委員 保育所につきましては、児童福祉法規定があるわけでございまして、保護者の労働あるいは病気等によりまして保育ができないといった場合につきまして、市町村長が入所させておるのが保育所ということになっておるわけでございます。なお、こういった保育所につきましては最低基準というのがございまして、子供の、たとえば三歳以上の子供につきましては三十人に一人保母が必要である、あるいは三歳未満子供につきましては、乳児でございますので七人に一人の保母が必要である、こういったことを最低基準できめております。そのほか子供一人当たりの坪数でありますとか、あるいは遊具その他建物の設備につきましても最低基準規定をいたしております。こういった最低基準を維持するに要する費用というのは、市町村長保護者から徴収することができるわけでございまして、そういうことで保育料というものを徴収する規定児童福祉法の中にあるわけでございます。  お手元に資料がございますが、この資料につきましては、現在施設の数が幾つあるかと申しますと、公私立合わせまして、昭和四十年四月現在で一万一千十という施設があるわけでございます。その内訳といたしましては、公立が約六〇%、私立が四〇%、定員は八十五万九千百六十五でございますが、実際入っております子供の数は七十八万四千八百四十ということになっております。その中で、措置児童とございますが、先ほど申し上げましたような親が保育できないという場合に、市町村長保育所に入所させる、そういう措置をとった児童でございまして、入所員数の大部分がそういった児童でありまして、七十六万三百三十で九六・九%となっております。そのほかに、なお定員に余裕があるような場合には、それほど深刻ではないけれども、保育所に入れるというのが私的契約児童保育所と親との契約によりまして預かっておる、こういった子供が二万四千五百十あるわけでございます。昭和四十年度の保育所の総体の予算額としましては、国庫補助金額でございますが、百二十二億九千三百七十五万三千円ということになっております。  先ほど申しましたように、こういった保育所に入りました児童につきましては、保育料を徴収するわけでございますが、その徴収基準というものは、市町村でやっておりますので、できるだけわかりやすいものという観点から考えまして、住民税あるいは所得税等課税標準にして、各市町村長徴収額を決定いたしております。一人当たり保育料徴収月額は、四十年度の補正予算後の分としまして、最高が、三歳以上児が月額三千五百二十円、ということになっております。そこにD3、D4と書いてございますが、これは所得税の税額の負担区分によりましてD3、D4というふうな階層をつくっておるわけであります。その階層の方は、最高額月額三千五百二十円を払うことになるわけですが、これは保育所の置かれた地域甲地域とありますのは大都市でございまして、大都市周辺以外の普通のところは乙地域と言っております。甲地域乙地域では給与の違いがありますので、二つの区分に分かれております。それから定員の規模、それから所長設置の場合、そういったいろんな条件が加味されましてこういう金額になるわけでございます。したがいまして、定員が多くなりますと割安になる、こういうふうなことであります。それから三歳未満児につきましては月額六千円、これはD4階層についてこういう月額をいただくことになっております。最低はどうかと申しますと、最低につきましては、生活保護家庭、あるいは全然所得税地方税も納めていない家庭、こういった家庭につきましては、全然保育料をとらないことになっておりますので、全然いただいておりません。平均いたしますと、三歳以上児につきましては月額千百七十三円、三歳未満児につきましては月額千四百七十九円、こういった平均になっております。  大体私どものほうで現在やっておりますのは、七階層に分けてやっておるわけでございますが、先ほど申しましたような住民税所得税課税状況によって、以上の七階層に分けて、いただく家庭といただかない家庭と、しかも、いただく場合でも最高三千円から五、六百円、こういうような組み分けになっておるわけであります。大体最高をいただく家庭につきましては、D3、D4というのは、国家公務員で申し上げますると、まあ係長の古い方あるいは課長補佐、こういった段階の方々につきましては全額をいただく、こういうような仕組みになっておるわけでございます。  以上、簡単でございますが説明を終わります。
  6. 小笠公韶

    小笠委員長 次に、再販売価格維持契約等の問題について、公正取引委員会から説明を聴取することといたします。公正取引委員会竹中事務局長
  7. 竹中喜満太

    竹中(喜)政府委員 先般当委員会で、公正取引委員会物価対策につきまして御説明申し上げました。その際、公正取引委員会の業務の重点といたしまして、再販売価格維持契約検討、これの規制ということを申し上げたわけでございます。本日は、再販売価格維持契約の内容、その後の施行状況等について簡単に御説明申し上げます。  再販売価格維持契約は、御承知のように私的独占禁止法の二十四条の二に規定されております。これは二十八年の改正の際に新しく取り入れられたものでございます。  再販売価格維持契約というのは、簡単に申しますと、商品メーカー卸売り業者契約を結びまして、卸売り業者がその商品小売り業者販売する場合の価格を指示いたしまして、その価格以下でもし卸売り業者小売り業者にその商品販売した場合には、卸売り業者に対する出荷メーカーが停止することができる、この契約に基づきまして、また卸売り業者小売り業者契約を結びまして、卸売り業者が指示する価格、大体これはメーカーが指示する価格に結局なるのでございますが、その価格一般消費者小売り業者販売しなければならない、その指示した価格以下で一般消費者小売り業者販売した場合には、当該商品出荷卸売り業者は停止することができる、こういう制度でございます。簡単に言ってみますれば、商品メーカー卸価格小売り価格を定めてこれを順守させる、順守させるために出荷停止という方法を用いるというわけでございます。  この販売方法は、原則といたしましては、独占禁止法の立場から申しますと不公正な取引方法に該当いたしまして、独占禁止法違反になるわけでございます。独占禁止法の不公正な取引方法の中に、相手方と、これから物資その他の経済上の利益を受ける者との関係を拘束いたしまして、当該相手方取引すること、これを不公正な取引方法として禁止しておりますが、独占禁止法二十四条の二は、特定の商品につきまして、この不公正な取引方法として独占禁止法違反になるものを適用除外にしておるわけでございます。  それでは、どういう商品について再販売価格維持契約ができるかという問題でもございますが、これは商品品質が一様であることが容易に識別できるもの、それで公正取引委員会指定するものということになっております。それで指定にあたりましては、さらに当該商品一般消費者によりまして日常使用されるもの、しかもその商品について自由な競争があることという条件がついております。この条件に当てはまるものを公正取引委員会指定いたしますと、その商品につきましては再販売価格維持契約を結ぶことができるということになっております。ただし、これに例外がございまして、書籍、レコード等著作物につきましては、公正取引委員会指定を待たずに再販売価格維持契約ができるということになっております。  それで、これらの商品については再販売価格維持契約を結ぶことができるのでございますが、ここにまた例外がございまして、そういう商品につきましても、一般消費者利益を不当に害することになる場合にはこの限りでない。公正取引委員会指定した商品につきまして、再販売価格維持契約を結んでも、それが消費者利益を不当に害するというような状態になりました場合、たとえば、不当に高い価格で再販売価格維持契約を結ぶという場合には適用除外にならないで、そういう取引独占禁止法の不公正な取引方法として問擬されるということになっております。それからもう一つメーカーにあらず卸売り業者小売り業者と再販売価格維持契約を結ぶ場合には、メーカーの承認を得なければならないということになっております。  こういうたてまえで再販売価格維持契約を結ぶわけでございますが、結んだ場合には、契約成立の日から三十日の間に公正取引委員会届け出る、公正取引委員会はその後の状況を監視する、こういうたてまえになっております。  それからもう一つ大きな例外がございまして、消費生活協同組合法あるいは中小企業等協同組合法、それからいわゆる中小企業団体法、これら十一の法律がございますが、これらの法律に基づく団体に対しましては再販売価格維持契約を強制することができないというたてまえをとっております。したがいまして、従来あるメーカー消費生活協同組合商品を供給しておった、これについて再販売価格維持契約を行ないたいということで、その消費生活協同組合契約の締結を申し入れた場合、その消費生活協同組合がこれを拒絶しても、商品出荷をとめるというようなことになりますと、独禁法違反になるというようなことでございます。  それでは、どうしてこういう制度独占禁止法の中に取り入れられたかということでございます。これは昭和二十八年に独占禁止法を改正しまして、この規定を取り入れるときにいろいろ論議がございましたが、結局、商標を付した商品が非常に大量に生産され、大量に販売されるというような状況になってまいりますと、末端消費者に対しまするところの品質価格についての責任はすべてメーカーが負う。小売り業者はその機能を縮小しまして均質化され、その商品の宣伝とか市場調査というようなものはすべてメーカーが行なうというようなことでございますので、末端におきましてこれがおとり販売などの材料になりますと、メーカーの信用を非常に害するというような考え方がございます。しかしその反面、こういうことがありますと、消費者利益がかなり害されるというようなこともございますので、先ほど申しましたように自由な競争が行なわれていなければならないということで、自由な競争が行なわれておればそう高い値段をつけることはないだろうというような考えから、この規定独占禁止法の中に入ったわけでございます。  その後の施行状況はどうかと申しますと、昭和二十八年にこの規定ができましてしばらくの間は、化粧品業界などがこの制度を利用しておりましたが、あまり効果はあがっておりませんでした。ところがここ数年、高度成長政策影響ですか、競争が非常に盛んになってくると値段が乱れるということで、この制度に対する関心というものが非常に高まりまして、この契約をするものの数が非常にふえてまいりました。たとえば、昭和三十八年の十二月末で四十一社がこの契約を結んでおりましたが、三十九年の十二月末では五十社、四十年の十二月末では六十五社、それで本年の三月現在では七十一社がこの契約を結んでおります。  そういうことで、最近ではこの再販売価格維持契約制度が広く行なわれ、またこれが順守されておるということで、物価問題がやかましく論議されるようになりますと、再販売価格維持契約というものは物価値上がりに寄与する制度ではないだろうか、これを再検討する必要があるのじゃなかろうかという議論が、当然出てまいりましたので、公正取引委員会といたしましても、欧米でもこの制度はいろいろ論議があるところでございますので、先般来この制度自身検討はもとより、その運用につきましてもいろいろ検討を加えてまいっております。  それで、先ほど商品指定をすると申しましたが、この規定を定めましてから九つ商品につきまして指定をいたしました。その九つを申し上げますと、化粧品染毛料歯みがき家庭用石けん雑酒キャラメル、医薬品、写真機既製えりつきワイシャツという九つのものを指定いたしました。指定するにあたりましては、私のほうから積極的に指定するということはいたしませんで、従来は、メーカー、卸、小売りの要望が出ました場合に、条件に合致しているかどうかということを検討して指定してまいりましたが、最近、こういう情勢になりましたので、できるだけこの指定も整理したほうがいいのじゃなかろうかということで、このうちあまり行なわれておらない、また行なっておっても実効のほとんど上がっておらない四つのものを先般取り消しました。それは、雑酒と、キャラメルと、写真機と、既製えりつきワイシャツでございます。  それと同時に、公正取引委員会といたしましては、先ほど申しましたように、指定した商品につきましては、自由な競争が行なわれておらなければならないということでございますが、商品指定してすでに相当の時日を経過しておりますので、その後の販売シェアなどを調べまして、取り消す必要のあるものは取り消すということで、特に残りの五品目を調査するわけですが、その中でも合成洗剤、あるいはシャンプー類、あるいは歯みがきというものにつきまして、現在シェアがどういうことになっており、自由な競争が行なわれておるかどうかということを検討いたしております。  そういう状況でございますが、ここで一番問題になりますのは、公正取引委員会指定をしていない商品につきまして、このようなことが行なわれておる傾向が相当見られるということでございます。これにつきましては、私のほうもそういう事実を発見次第、独占禁止法違反として処置しておるわけでございますが、先般も育児用の粉ミルクにつきまして、明治商事株式会社森永商事株式会社及び株式会社和光堂に対しまして、独占禁止法違反の疑いで審判開始決定をいたしました。それから、先ほど申しました生協等十一の法律に基づく団体につきましては、再販契約を強制することができないのでありますが、花王石鹸株式会社がかつてこれを強制して、出荷をとめたというような事実がございましたので、これにつきましては、先般審判開始決定をいたして、審決をいたしております。  こういうような状態で、私のほうも再販につきましては、人手も非常に不足であるというようなところから、事後の監視というものが行き届かなかったのでございますけれども、今回国会に提出されております予算では、この関係で一課を新設することができるようになっておりますので、今後は、この制度運営につきましては万全を期してまいりたいと存じております。  簡単でございますけれども、以上……。
  8. 小笠公韶

    小笠委員長 以上で、政府当局からの説明は終わりました。     —————————————
  9. 小笠公韶

    小笠委員長 質疑の通告がありますので、順次これを許します。村山君。
  10. 村山喜一

    村山(喜)委員 まず教育問題について、文部省齋藤さんのほうに伺いたいわけですが、この前、文部省資料要求をしてもらいたいと言ったのは、ただ幼児教育の問題だけでなくて、そのほかの各種の義務制段階教育、それに高等学校から大学、そういうようなものもやはりお出しをいただきたいということで、われわれはそういうような希望を持っておるわけですが、きょう出していただいた資料は、幼稚園関係資料だけが出てきておりますので、これにしぼって質問をいたしますが、その前に、委員長のほうで、義務制段階から高等学校大学関係資料も、この次でけっこうでございますから、資料提出方を要求していただきたいと思います。  まあここに入園料としてこうして出されてきておりますのは、このとおりであろうと思うのでございますが、これが家計費の上にどのような影響をもたらしているかというそのウエートのとり方、これは、ただ四十年の四月段階だけが出てきたのでは、どうにもこうにも比較する対象がないわけです。昭和三十五年までは比較的に消費者物価というものは上がらなかった。三十六年から物価指数というものの大幅上昇が、高度経済成長政策と同時に出てきているわけなんです。その中において、たとえば昨年の全都市消費者物価、それに対する寄与率というものを見てみますと、教育費において大体六%くらい、それからその値上がり率は一五%くらいになっているわけです。そういうようなところからわれわれは、食料費教育費値上がりというものが一番大きなウエートを占めて、寄与率というものは一番高いということで、この問題についていろいろ検討をすべきだということになったわけです。そこで、この際お伺いをしておきますが、その入園料というものは三十五年ごろを基点にいたしまして、今年の指数においてどういうような指数を示しているのかということが第一点で、ございます。  それから、こういうようなものに対しまして、文部省は、あるいは都道府県は、どのような規制措置ができるのか、行政当局がこの料金について、どのような指導をすることができるのかということであります。ほとんど無届け、まあ届けはとっておるけれども、それについては規制方法はないのではないか、現在の法律の体系の上において自由になされているのではないかと私は思うのでありますが、公立等の場合がそうであるならば、やはり地方交付税算定基礎の中において入園料収入が、基準財政収入額として幾らである、だからその不足分については、交付団体についてはどれだけの基準財政需要額があるのだという一つ積算基礎というものがあるであろうと思うのであります。そういうようなものがどのように変わっていっているかという資料も提供してもらわなければ、はたして公正妥当なものかどうかという判断も下せない。そしてまたそれが不当に高ければ、引き下げ措置をどういうふうにするのかということも、検討する材料が、これだけでは浮かび上がってこないわけであります。したがいまして、その仕組みがどういうふうになっているのかということについての説明を、まず願っておきたいのであります。  それから幼稚園の場合に、幼稚園の教師といいますか、先生給与というものがどういうふうに上がっていっているか。これもやはり人件費上昇その他による経営の問題が考えられると思うのでありますが、これに対しまして、ことしの文部省予算の中で、幼稚園改築等に対します補助費がたしか出ているはずであります。その予算動きというものがどのようになってきているのかということも説明を願わなければならないし、それから運営費自体については補助制度はないけれども、施設設備については四分の一程度の補助金というものがたしか投入をされていると思うのであります。そういうような動きがどういうふうにこれからなされようとしているのかという説明をいただかなければ、物価対策上の問題提起にならないと思うのであります。とりあえずそれだけ説明をお伺いいたしましてから、さらに質問を申し上げます。
  11. 齋藤正

    齋藤政府委員 順序は不同になりますけれども、お答え申し上げます。  この入園料あるいは保育料、すなわち授業料に相当するものでございますが、これはどういう仕組みで抑制することができるのかという点でありますが、これは先生いま御指摘のとおり、文部省においてこれを抑制するとか認可をするとかいう制度にはなっておりません。ただ公立につきましては、ただいまも御指摘がございましたように、基準財政収入額ということで示されておりますのが一つ標準になると思いますが、これは四十年度、四十一年度とも入園料につきまして四百円、保育料につきまして五百円ということになっております。したがいまして、先ほど御報告いたしました実態はそれと変わらない。これが一つ目安になろうかと思います。私立幼稚園につきましては、そのような、間接にでも目安を示すという仕組みにはなっておらないのであります。  それからもう一つ教育費生計費に及ぼす影響ということで、確かに、私が御説明いたしました直接幼稚園に納入すべき金額をもってして、両親の家庭における教育費全般を推すということは非常に困難でございます。と申しますのは、家庭教育費と申しますか、直接学校幼稚園に納入しない、父兄が子弟のためにいろいろやるという経費が相当あるわけであります。これにつきましては、実は小、中、高の段階につきましては、文部省は、サンプルではございまするけれども、例年かなり緻密な調査をいたしております。これは方法といたしまして、父兄に全部手帳を渡して、年間にわたる支出というものを事項別に分けていたします。そうしますと、要するに学校に要する経費というものと、それから家庭教育学校以外の教育費というものが出てまいります。その総体をつかみますと、子供の、広い意味の教育、教養のためにどの程度の支出が要るかということがわかるわけでございます。その点は、幼児につきましては実はさような調査はいたしておりません。小、中、高の段階はいたしております。その傾向を見ますと、これは非常にめんどうな調査でございますので、三十九年度分がいま集計を終わる段階でございまして、三十八年度までは出ております。それで、二十九年度から三十八年度までの教育費状況を見ますと、二十九年度を一〇〇といたしますと、小学校について申しますと、三十八年度が、国民所得が二・七七の指数の伸びといたしますと、父兄支出の学校教育費は一・九〇でございます。そして、その間における公費の支出は、小学校について見ると二・七二となっております。この傾向を見ますと、二十九年度から三十八年度の間に、公費のほうの伸びというものは、国民所得と大体同じ傾向で伸びておる。それから学校に納める、学校教育に必要な経費というものは、少し低い増加率となっておるということが言えると思います。ただ、ほかの家庭教育費の問題になりますと、むしろふえるのは家庭教育費のほうが大きい。これは、両親の経済的な地位が向上いたしますと、いろいろな意味の家庭教育経費が、図書等もございまするし、あるいは特異な芸能とかなんとかいうものについて私塾に通わせるものもございます。その傾向は顕著でございます。しかし、総体的には学校教育費のほうは低下をし、公費の支出のほうがだんだん率としては増しておる。しかし、先ほど御説明いたしましたように、なお公費負担で努力、改善をすべき点が多々ございますから、それは教材費あるいは施設費というようなものの経費を増加をしてまいりまして、父兄の負担の軽減に役立てたいと思っております。  それから、幼稚園の問題でどういう振興策があるかという御質問でございます。文部省幼稚園につきまして、公立幼稚園をできるだけ増設をするという計画を、三十九年度から四十五年度にかけまして七カ年計画を立てております。そこで公立施設につきましては、公立文教施設の中で、これは相当大幅に逐年補助対象坪数を増加しております。それから設備につきましては、これは公私立にわたりまして、ただいま申しました振興計画に基づきまして、新設の幼稚園に対する設備補助、あるいは既設の幼稚園が学級を増加いたしますための設備補助等を行なっております。それから私立幼稚園は、そのほかに施設につきまして私学振興会の融資をいたしております。これは四十年度は一億五千万のワクでございましたが、これが三億程度、倍額程度の融資ワクということに相なっているかと思います。  以上申し上げましたが、漏れておるところがございましたら、御質問によってなおお答えいたしたいと思います。
  12. 村山喜一

    村山(喜)委員 公立の場合であっても私立の場合であっても、人件費関係はほとんど変わらないと思うのです。というのは、幼稚園定員、一学級に編入をする基準というものがあるわけですが、その基準をオーバーしておるところと、あるいは最近の例を見てみますと、あれはどこでしたか、赤痢が発生をした、そして健康管理の問題点等からいろいろ調べてみると、そこにおる幼稚園保母さんですか、そういうような人たちの人員すらも各府県においてはっきり把握をされていない、こういうようなのもあるし、それから一学級の基準は四十名だそうですが、四十名をさらにオーバーして詰め込んですし詰めでやっておるところがある、こういうようなことで、そこには幅があまりにもあり過ぎて、基準がないにひとしいというような状態がある。それは経営上の問題だと言われておるのでありますが、公立の場合でも入園料をとって、それで人件費等はまかなう。初めに幼稚園をつくる場合の施設費は、公共団体でやるのだろうと思うのですが、その後の運営は同じような形によってなされているものだと思うのであります。そうなってくれば、公立平均五百十七円、私立の千四百八十七円、大体私立は三倍しておるわけです。この値段の開きはなぜこういうような形に出てくるのか、その点についても説明を願っておきたいのであります。  もう一つは、先ほどの公立幼稚園の七カ年整備計画ですが、これによって将来どういうような割合にあなた方はやろうとしておられるのか。その比率が現在は三対五くらいになっているようでありますが、この比率をどのように改正しようとしておられるのか。これは幼児教育保育園のほうとの関連性も出てくるわけですけれども、義務教育年限を一年下げたらどうかというような意見等もある今日の段階ですから、そういうような点から見て、どういうふうな方向を考えておられるのか説明を願っておきたいと思います。
  13. 齋藤正

    齋藤政府委員 公立幼稚園の場合には、交付税における単位費用積算基礎を見ますと、使用料、手数料等の歳入でその運営をまかなうということには必ずしも相なっておらないのでありまして、これが幼児一人当たり経費で見ますと、四十一年度が八十六円六十八銭ということになりまして、これは三十五年当時の十八円八十銭という非常に安い時期に比べますれば、かなり自治省におかれてましても努力をして上げてきておられるわけでございます。標準規模の団体におきまして、千百十七万六千円の歳出総計に対しまして、歳入が四百九万六千円というふうになっておりますから、これは公立の性格上歳入をもってまかなうという仕組みにはなっておりません。そこが、先ほど御指摘になりましたように、企業努力によってまかなっていくというものとの格差を生ずるということになろうと思います。  それから教員の点でございますが、これも残念ながら現状は、公立と比べまして私立給与費が安いのでございます。ですから教員の待遇も公立のほうが、いろいろ義務教育先生方との差が問題になりますけれども、これも逐年増加をいたしまして、国立にあって年額六十一方のところが、公立で四十九万弱、それに対しまして私立平均が十九万足らずというようなことになっておりますから、これは平均いたしますと非常に問題があるわけでございます。特に私立の場合には、非常に安いところと、非常に待遇のいいところと千差万別ということでございます。この私立の問題につきましては、これは大学等でいろいろ問題になっておりますように、私学の学校経営というものを、大学から幼稚園に至るまでどういうふうに考え、どういう助成策を立てるべきかということにつきましては、現在私学振興調査会において審議中でございます。  もう一つ文部省が立てました四十五年度までの振興計画は、どういうふうになっておるかという御質問でございますが、この計画は、とりあえずこの七カ年の間に、人口一万以上の市町村にありましては、四十五年度の五歳児を推計いたしまして、その六三・五%を幼稚園に収容したいということで、三十八年度当時における実態に基づいて算出したものであります。六三・五%と申しますのは、残りは保育にかけるというようなことで、本来保育所に収容さるべき者もございます。それからまた心身の故障のため、普通の幼稚園に就園することが困難な者もございます。また幼児教育につきましては、これは父兄の考え方で、全体の傾向ではございませんけれども、義務教育に行く前に幼稚園やその他の施設にやるべきかやらざるべきかということにつきましては、かなり親の判断というものが加わります。それ自体はやはり考える要素がございますので、そういうものを引きますと、大体この計画は、幼稚園に就園すべき者のすべてを収容し得るに足る幼稚園をつくりたい、そのために施設設備補助をしてまいりたい、こういうことでございます。
  14. 村山喜一

    村山(喜)委員 六三・五%を収容するというのはいいのですが、それの公立私立の振り分けはどうなるのですか。  ついでに聞きますが、人件費が国立は六十一万、公立が四十九万、私立の場合は十九万だとした場合に、国立は幼稚園教諭の免許を持っておる人ばかりだろうと思うのですが、私立の場合にはほとんど無免許の人たちが中心になっているのじゃなかろうかと思うのですが、免許法との関係はどういうふうになっておりますか。
  15. 齋藤正

    齋藤政府委員 第一点の最終年度における公私立比率というものにつきましては明確にいたしておりません。都道府県の段階で相互競合しないように、私学を担当しております部局と公立幼稚園を担当しております教育委員会と連絡会議を持って、できるだけ空白を埋めていくように調整をとるという方針を示している程度でありまして、いま御質問の最終年度に比率がどういうふうになるかということまでの、実は判断をいたしておりません。  それから、私立幼稚園における教員構成につきましては、概数でございますが、三割程度が助教諭、すなわち高等学校卒業程度の助教諭の資格であろうということでございます。ただ、いま手元に詳細な資料がございませんので、大体の傾向だけ申し上げます。
  16. 村山喜一

    村山(喜)委員 私ばかりが発言して申しわけありませんが、問題は、最近都市の中心、まあ既成市街地においては、夜間人口が減って昼間人口だけは増大をするという傾向の中で、その地区においては、園児を集めるのにスクールバスではありませんが、幼稚園行きのバスを提供して園児をかり集めなければならないという状態が大都会の中にある。ところがその周辺地区においては、これはもう人口が急増をしてまいります。そこにいち早く進出をした幼稚園等は、きわめてデラックスな建物の中に収容するということで、最近においては入園料というものがきわめて高くなってきておる。最高は二万円とここに書いてありますけれども、ことしの入園料は、それの約倍近くも取っているところがあります。現にこの間、私の知り合いの人が、入園料三万円を納めなければならないということを言っておりました。そういうのはどこの幼稚園かというのは、調べればすぐわかるわけでありますが、そういうように非常に高くなってきた。そうして保育料というものも、これは相当高いものを取っているようであります。ところが、親がやはり生活上の必要上から共かせぎをしなければならないというような関係もありまして、幼稚園教育を受けさせたいということで幼稚園にやるというような必要性が出てまいりますので、幾ら高くても、激烈な競争の試験を受けて、そして合格をして入園をさせるということで、サラリーマンの幼児をかかえる家庭というのは、わりあいにまだ収入の少ない人たちが多いのでありますが、その人たちの家計の上に及ぼす影響というものはきわめて大きいものがある。そこで、やはりそういうような東京都一つをとって考えましても、既成市街地とそれから新興市街地といいますか、周辺地区という問題を考えてみましても、そこには何らかの対策を、文部省がやはりこれについて指導する立場にあるのですから、あなた方のほうで指導をされる。そして、これは物価対策の上からも考えなければならないと私は思うのですが、いまでは手をこまねいて見ているという調子じゃないかと私は思うのです。その点について、どのような措置物価対策上あなた方がやられたのかということを説明願いたい。  それから、農村地区に参りますと、これまた児童数が年々減少をしてまいります。そこで問題になっておりまするのが、いわゆる保育園と幼稚園の奪い合いになっておることであります。保育園は、これは主として公立が多いわけでありますが、幼稚園私立が多いというような形になっている。そういうようなところから、結局その幼稚園なりあるいは保育園のあるその付近の子供——小学校子供は、通学距離が四キロ以内というふうに一応基準として示されておりますが、幼児の場合には、もっとそれよりも行動半径というものが小さいわけでありますから、少ない地域になる。したがって、農村の町村の中心部にある保育園なりあるいは幼稚園子供たちを入れる。ところが、その人数がだんだんと減ってまいりますから、両方で奪い合いをしなければならないというのが、現実の姿として出ているわけであります。それからさらに、その町の中心部から離れた僻地に参りますと、これは季節的な託児所などがあるといえばあるのですが、ほとんどそういうような幼稚園教育あるいは保育というものには恵まれない地域として残されたままであります。そういうようなところは、親も考えて、あるいは子供も行きたいと思っても現実には行けない、こういうような存在の中で放置されているわけであります。  そういうような問題を考えてまいりますると、一体幼稚園教育と、児童福祉法によるところの保育とは、学校教育法による教育体系の中で幼稚園教育というものが行なわれ、保育園のほうは、これは児童福祉法に基づく保育が行なわれるたてまえになっているのですが、勢いそういうふうな競争が激しくなってまいりますと、その区別がなかなかはっきりしないで、混在をした形の中で行なわれているというのが一般の風潮であります。比較的ゆとりのある者は幼稚園のほうにやり、比較的ゆとりのない者が保育所のほうにかけ込むというかっこうになりますから、保育所に集まる子供たちの親というものの収入は、非常に低い人たちが中心になっている。したがって、保育単価というものについても、自己負担分というものが非常に少ないというかっこうの中で行なわれざるを得ないのであります。そういうような形の中でいま幼児の問題が処理されているわけです。したがって、これをどのように今後において調整をし措置していくかということは、ただ公立私立幼稚園の問題ばかりではございません。幼稚園保育園との問題が一つの問題点になろうかと思うのであります。そういう立場から、最近におきましてはこの保育料徴収基準等も、いわゆる所得税住民税課税状況を基準として各市町村長徴収額を決定することになるのですが、しかしながら、またことし税法上の改正で、御承知のように、麦の反当たりの収穫量がどれだけの収益があるかということを計算した単価が、反当たり六千円ぐらいの純益があるものとして計算をしていたものが、これを八千五百円なら八千五百円に認定を変えるということになるのであります。そのような措置がずっととられておりますから、実際上の収入はさほどふえていないのに、農家の収入基準見積もり額というものがふえてくるという形になります。そうなってまいりますと、それに伴っていわゆる住民の負担割合もふえ、保育料というものも上がらざるを得ないのであります。この点は、国民健康保険税の料金改定に伴って、措置がそのようなふうにされる。所得税は納めていないけれども、いわゆる所得割りの住民税というものを納めなければならないというようなかっこうに追い込まれてくるわけです。これは収入見積もりをどういうふうに押えるかということで決定をされることになりますから、それとの関連で保育料徴収基準というものも上がっていくのではないか。こういうようなことから考えてまいりますと、家計の中に占める割合というものがだんだんにこれから多くなる可能性というものはありこそすれ、減る可能性はほとんどないと私たちは見ているのであります。したがって、これを今後どういうふうにあなた方はやっていかれるのか。いわゆる幼稚園行政あるいは保育園行政というものをどういうふうに措置されるのか。特に、ここは物価対策の特別委員会ですから、物価政策の上からこれについては、基準収入の見積もり等は変更をいたしません、あるいは据え置きにいたします。こういうような形の中でどのように措置するんだという答弁をお聞かせを願いたいのであります。これは文部省厚生省、続いてお願いします。
  17. 齋藤正

    齋藤政府委員 第一の幼稚園の普及のアンバランスという点で、ございます。これは全国的に見ました場合に、府県間においても相当の開きがございます。昭和四十年度について見ますならば、全国平均では、小学校第一学年入学者について幼稚園の修了者の占める比率が四一・二五%ということに相なっております。しかし、府県間のバランスというものは、あるところでは七〇%あるいは八〇%をこすというような地域があるかと思いますと、一〇%台になお残っておるような県がございます。たとえて申しますと、香川ではすでに八二%をこしており、青森におきましては一六・五%というように非常な開きがございます。また同じ府県の中におきましても、ただいま御指摘になりましたように、社会増の地域と、都市の中心で会社、商業地区になっているような中心地区との間で、大ざっぱに言いますと、需給の関係が狂ってくるということがございます。それで私どもは、この振興計画に基づきまして施設設備補助をいたします場合に、この六三・五%を目標にいたしまして、それ以下のところで、計画的になお就園率を伸ばすべき部分につきまして重点的に配分をし、また社会増で特に困っているようなところについては、補助金の運用においてそのような措置を講じてまいりたいと思うのであります。  それから物価対策の面での、特に私立の問題等につきましては、現在やっておりますことは、若干でもこれを経営いたします法人等の負担を軽減いたしますために、設備につきましては私立にも及ぼすようにし、また急増の状況施設を拡張しなければならないところ、あるいは新設をしなければならないところについては、長期低利の融資をいたすということにいたしております。私立につきましても、実は施設につきましては、融資よりは補助金のほうがいいんじゃないかということで、これは私のほうの直接所管ではございませんけれども、私、前にやっておりましたときから、これを補助金に切りかえたいということで例年要求はいたしておりますけれども、これは実現をしないで、本年度も振興会の融資という形になったわけでございますが、結局私立学校につきましては、その経営の困難をできるだけ少なくするということによりまして、父兄負担を軽減するという方式になろうかと思いますから、私学振興の方策というものを、今後もなお進めていかなければならないと思っております。  それから保育所幼稚園との関係につきましては、昭和三十八年度に、当時の文部省の初中局長厚生省児童局長の連名で、府県に通達を出しております。その要点は、同一年齢の幼児教育ないしは保育という観点から、この幼稚園保育所の設置運営について十分連絡の上計画的に進めること、それから幼児教育については、幼稚園においては、今後五歳児及び四歳児に重点を置いて一そう普及充実をはかること、それから保育所は、本来その保育に欠けるという幼児を収容すべきものでございますから、その点に着目をして整備充実をはかってもらいたい、それから保育所につきましても、その保育の内容の中には教育に関するものがあるわけでございますから、その教育に関しましては、幼稚園教育要領等に準じて内容を充実してもらいたいということ等を通達をいたしております。しかし、現実には御指摘のように、従来の経緯もありまして、各県の幼稚園の就園率というものを見ますとアンバランスがあります。やはりそれを補完する意味で、保育所の出身者の率を加えますと、両方のバランスがもう少しとれるような形にはなっておりますが、将来の考え方としては、保育所保育所の本来の任務、それから幼稚園幼稚園の任務ということで整備をしてまいりたい、かように思うわけであります。やはり幼稚園と申しますのは、親が、非常に長い時間を幼稚園教育をゆだねるという考え方ではございません。幼児教育の非常な重要な点は、これはやはり両親の庇護のもとに、たとえそれが計画的な教育でなくても、意図的教育でなくても、その親のもとにあって日常座臥受けます教育的感化というものが、やはり幼児教育には非常に重要でございます。そのある部分を、ある時間に限って幼稚園で受け持って、就学に備えまして集団生活、あるいは規則的な行動様式というものを学んでいくという考え方でございます。保育所のほうは、本来から言えばもっと長期の、教育というものを含みまして長時間の保育ないしは教育に当たるというものだろうと思います。そこは、本来学校教育法で考えます教育施設保育所の、基本的に相分かれる面だというふうに私どもは考えております。
  18. 竹下精紀

    竹下(精)政府委員 幼稚園保育所関係につきましては、ただいま初中局長のほうからお話がございましたが、若干補足させていただきますと、先生、先ほど御指摘のように、保育所とそれから季節保育所というものがございますが、そのほかに僻地保育所というものがあるわけでございます。これは僻地を対象といたしまして、施設につきましては別に補助金を出さないで、従来ございます公民館とかあるいはお寺の境内とかそういったものを利用して、職員の費用だけを補助している保育所がございます。そういったところによりまして子供保育につきまして、特に保育にかける児童を収容していく、こういう方策をとっておるわけでございます。最近におきまして、適正配置ということがいわれております。また文部省厚生省の間で、先ほど申し上げましたようなことで連絡はとっておりますが、すでにできております保育所あるいは幼稚園の間で、先生いま御指摘のような子供の数が少なくなったためにいろいろ問題が生じておる。これは、従来保育所と申しますのは、原則として六十名以上の規模を持つということを指導でやっておったわけでございますが、こういった児童が少なくなってきており、また六十名を単位といたしますと、いま先生指摘のような問題もあるようでございますし、最近保育所の数を統廃をするというような問題も起きておるような事情でございますので、今後の問題といたしまして、そういった六十名でなくても、三十名の保育所とかあるいはその前後の保育所、いわば簡易な保育所というようなことを研究項目として地方にも勉強してもらい、できるだけ早く結論を出したい、かように考えております。  それから徴収基準につきましては、現在のところ税額を基準にしてやらざるを得ないというような状況でございますが、実際の保育料の決定にあたりましては、できるだけ低所得階層につきましては影響の少ないようにしたいということで、考慮いたしておる次第であります。
  19. 村山喜一

    村山(喜)委員 再販売価格維持契約制度の問題で一言だけお尋ねしておきますが、薬の問題です。家庭で使うかぜ薬とか、あるいはそのほか胃腸薬とか、こういうものについて、新聞で見たのですが、神戸地区だったと思いますけれども、薬の小売り店が一致協力して卸売り、メーカーに対しまして、そのような販売価格の問題について今日まで協力してきたが、どうもわれわれは、物価値下げという立場から今後においては協力できないということを申し出た。それに対して製薬メーカーのほうがあわてて、これを慰留をするために飛んでいった。しかし、なかなかその話し合いがつかないというようなことが神戸地区において出ているというのが、この前新聞に出ておりました。こういうような問題をめぐりまして、これは届け出をしていないものだと思うのでありますが、公取としてはどのような措置をされるのか。実際届け出をして指定をされたものについても問題が残っておりますが、先ほどの指定外の明治、森永の育児用の粉ミルクにいたしましても、公取のやり方は憲法違反である、あるいは公取の行き方は商慣習というものを無視することだというような指摘をしながら、なかなかうんと言わない。しかしながら、そういうようなものについて不当な価格形成がなされることは、消費者にとってはたいへんな迷惑でありますが、そういうような面から処理してまいります場合において、そのような無届けの、適当に協定がなされているものを数多く散見をしているわけですが、そういうようなものに対するあなた方の今後の措置のしかたというものについて、方向をお示し願いたいのであります。
  20. 竹中喜満太

    竹中(喜)政府委員 公正取引委員会指定をいたしました商品につきましては、先ほど申し上げましたように、契約の結果一般消費者利益を不当に害するということになりますれば、これは適用除外にならないというたてまえになっておりますので、私のほうといたしましては、これから、特に医薬品につきましては、各メーカーより原価計算をとりまして、はたしてその価格が不当な価格かどうかということも検討をいたして、あまり消費者利益にならぬ、消費者利益を不当に害するというように思われるものにつきましては、独占禁止法違反として処理したいと思います。  それから無届けのものにつきましては、これは申すまでもないことでございますが、再販維持契約はできないことになっておりますので、私のほうで見つけ次第、これは独占禁止法違反として厳重に処理したいと存じております。
  21. 小笠公韶

    小笠委員長 砂田君。
  22. 砂田重民

    ○砂田委員 再販売価格維持契約のことでちょっと伺っておきたいのと、資料をお願いしたいと思います。  それは、先ほどの御説明で、この再販売価格維持契約の法の趣旨その他、大体アウトラインは私たちもつかめたと思うのですが、もう少しこまかく勉強してみたいと思うものですから、これはあるいは私見かもしれませんが、やはりゲランの香水、クリスチャンディオールの石けんというものが日本にあってもいいと思う。そういうものまでこの再販売価格維持契約の取り扱いをどうするかということで殺してしまったのでは、新しいメーカーというか、あまりいい品質のものをようつくらずにいる。これはメーカー品質向上の目標を失ってしまうようなことにもなりかねない。そういったものは当然残していっていいと私は思うのです。同時に、一つ商品をつくっているいろいろなメーカーが、この制度契約に従って取引をしていて、そのメーカーシェアを全部足してみると、市場を流通しているその商品のほとんどのシェアを独占してしまっている。しかも価格の点について、原価計算その他検討してみるとおかしい、事実上消費者にたいへんな迷惑をかけるというものがあるとするならば、これはやはり真剣に再検討してみなければいけない。両方の問題を相まって検討してみなければいけないと思うものですから、先ほどの御説明はアウトラインだけだったので、四つはずされて五つ残っているそうですが、この五つの商品について、それぞれの商品でどういう会社がこの制度取引をしているか、それぞれの会社の市場占拠率はどういうことになっているのか、そういった資料をつくっていただきたいと思いますので、委員長、ひとつこれをお取り計らいいただきたいと思います。  それが一つと、それから英国で再販売価格維持契約というものの考え方を変えた。ヒースが非常な勇断をもってこれをやったのだと言って、ヒースをほめたたえる声と、やろうとしたけれども、実際上うまくいっていない、例外規定例外のようなものがたくさんできてしまって、数百品種に及んで、いま同じような状態が続いている、こういう二つの全く相反する違う話を聞かされるのでありますが、公取でそういった英国の場合の実情を調べて、御存じでありましたならば、いまここでお答えいただいてもけっこうですし、長くなるようでしたら、またこれを資料にして出していただきたいと思います。二つをお願いいたします。
  23. 小笠公韶

    小笠委員長 竹中君、ぼくからもお願いしたいのは、英国に限らず、外国における再販売価格維持契約の実情、それもあわせて資料に入れてほしいと思います。
  24. 竹中喜満太

    竹中(喜)政府委員 ただいまお話の資料は、なるべく早い機会に出したいと思います。  市場占拠率でございますが、たとえば、私どもが家庭用石けん指定いたしましたときに、高級アルコール糸洗剤あるいは鉱油系洗剤という分類をいたしておりますので、家庭用と申しますか、家具用、台所用という分類はむずかしくてなかなかできないので非常に困っております。薬につきましても、私どものほうの分類は非常に古いものですから、薬事法の改正にのっとりましてこれは直さなければならない。私どものほうも、できるだけ各社のシェアを出したいと存じております。化粧品などについては、おそらくできると思いますが、できるものにつきましては、至急提出するようにいたしたいと思います。  それからイギリスのお話でございますが、私もあまりよく存じませんけれども、イギリスでは十九世紀の終わりごろから、縦と横の関係再販制度を行なっておりましたが、独占禁止法に当たる法律ができましたときに、縦だけの再販契約を認めることにいたしました。ところが、一昨年これも禁止するということになりましたけれども、これには適用除外がございまして、裁判所がこれを認めれば再販契約ができるということになっておりますと同時に、法律のできましたときの経過規定といたしまして、三カ月以内に届け出をしたものにつきましては、裁判所が拒否するまでは続けることができるということになっておりまして、この届け出をしたものが現在五百件くらいある。これを裁判所が調べてイエス、ノーを言うまでには、二、三十年はかかるだろうというようなことが言われております。ですから、イギリスに限らず欧州、アメリカも原則としては禁止の方針をとっておりますので、これらの資料もできるだけ早い機会にお手元に差し上げたいと思います。
  25. 小笠公韶

    小笠委員長 山本君。
  26. 山本勝市

    ○山本(勝)委員 簡単にお伺いしますが、先般も申し上げましたように、昭和二十八年にこの制度ができたときに、私は安定委員会におって委員として参加したものですが、それから十何年たっておりますけれども、今日第一に聞きたいのは、なぜこの制度検討を始めたのかということ。先ほど、物価問題がやかましくなったから始めたということでございましたけれども、公取はわずかの人数しかいないのに、物価問題などからこういうものを検討するというようなことは、よほど注意しなければならぬのではないかと思う。物価といいましても、あまり時間がないから詳しく申しませんけれども、一般の、つまり貨幣価値が下がってきてインフレになる、これを防ぐというような意味であったら、これは政府の大問題であって、とても公取が扱うものではなく、むしろ大蔵省とか日本銀行とか、そういうところがまず責任を負うべきものであると思います。しかし、一つ一つの物の値段、これは先ほど、原価を調べて高いか安いかをきめて、これをどうするこうするというような話がありましたけれども、しかし、公取が何千万あるかわからぬ品物——この制度にひっかかっている品物はそうないかもしれないが、しかし一般的に申しますと、商品一つ一つが高過ぎるか安過ぎるかというようなことを、原価を調べてかれこれ言うというような、そういう一つの姿勢が、私は公取としては行き過ぎではないか、こう思うのです。この法律ができた目的は、その価格を、有名品についてそのままほうっておくと、おとり販売材料に使われるとか、あるいは衛生に関係あるものが多いから、やたらに乱売競争をやるというと、品質が悪くなって衛生上非常な弊害を及ぼすとかいうようなことで認められたわけです。しかし、元来契約自由の原則は大原則なんです。だから、これだけに売らしてもらいたい、これだけで売ってくれ、これで承知なら売りましょうということは、原則から言えば自由なはずです。自由なはずだけれども、ただ契約自由の原則にまかしておくと、いろいろ悪いものを安くつくって競争して衛生上弊害をもたらす、あるいはおとりの材料に使われてしまって、有名品が実はもう維持できないというふうなことで、例外としてこういう制度を認めたわけでありますが、契約自由の大原則はくずれたわけじゃないのです。一般の消費者は、野菜が高いとかあるいは魚が高いとかいうことは、非常に文句を言っています。しかし、薬が高くて困るとか化粧品が高くて困るというような声は、あまり私の耳には入ってこないのですが、どうしてそういうことを急に言い出したのか。あるいはいま砂田さんが言われたように、イギリスが一つの手本であったわけであります。ところが、イギリスの労働党内閣がこれを大いに方針を変えるということを打ち出してきたために、もともとの先生検討するというからこっちもやろうということになったのか。あるいは、私のちょっと聞いたところで、ある化粧品屋がある労働組合に売っておったところを引き揚げた、それで問題になって火がついたというようなことも言われる。しかし、検討されるのはいい。制度そのものを検討されることもいいし、制度そのものは何も悪くはないのだけれども、制度のもとに、はたして法の目的を達成しておるかどうかというようなことを、実情を調査されることは非常にけっこうだと思います。そういう意味で資料を提供してほしいと思うのですけれども、しかし、そうではなくて、ほかの目的でそれ以上に進んでやられるということでありますと非常な——制度そのものをつくったわれわれとしては、一体弊害があったから取り消したのか、あるいはそうじゃない、有名無実で、指定はしたけれども実行されておらぬ、こんなものはあってもなくても同じだというので取り消したのか、弊害があったから取り消したのだとすれば、どういう弊害があったのか、ということを聞きたい。そうじゃなくて、せっかく指定したけれども有名無実になって、法の目的を達成していない。法の目的というのは、競争を確保しながら、しかも価格を安定させるという目的を達成していないというなら、そういう実例といいますか、それも私どもは具体的に知りたいと思うのです。どうしてそういう有名無実になったかということについて、先般も申しましたけれども、私はこの法をつくるときから、これは大部分有名無実になる、なぜなるかというと、例外の十四団体ですか幾つですか、その当時はそんなでなかったですけれども、いろいろなところから運動がありまして、そうして労働組合や消費組合、そういうところへ売るときにはこれは適用しないのだ、官庁の販売部に売るときにはこれは適用しないのだと、たしか十幾つかの抜け穴をつくった。こういうことをやれば、近所で安く売られたら絶対に価格が維持できない。だから私は、これはくずれるということを、当時本会議での最後の討論のときにもはっきり記録に残しておるのですけれども、あるいは有名無実になったのはそういう事情から出てきたのじゃないか。こういうようなことを考えて、ただ価格を安くするということを目標にして、原価を計算してまでやるというようなことだと、ちょっともう少し慎重にかまえなければいかぬのじゃないか、こういうように思うのです。  かいつまんで申しますと、なぜこれを検討を始めたのか、それから弊害があったとすればどういう弊害があったか、それから有名無実になったならばなぜ有名無実になったか、こういう点を聞きたいのです。
  27. 竹中喜満太

    竹中(喜)政府委員 私どもが再販の問題を取り上げましたのは、何も物価の問題が起こりましたので急にこれを取り上げたというのではございませんで、山本委員も御承知だと思いますけれども、この制度昭和二十八年に独占禁止法の中に入れるときに、賛否両論、非常に議論されたわけでございます。それで先ほど山本委員が申されました十一団体も、適用除外適用除外としてこれに入りましたのは、私の記憶に誤りがないとすれば、議員修正で入ったものと私記憶しております。それで、常に私どもは独占禁止法の体系の中で、こういう制度があっていいのかどうかということを検討しておりましたが、欧州諸国でもこの問題が非常にやかましく論議され、検討されるようになりました。そこへまた物価問題がございまして、山本委員は、薬などについてはあまり高いというような話は聞かぬとおっしゃいますけれども、私どもは国会の中でもいろいろ質問を受けまして、きかぬ薬が非常に高いじゃないかということを常に言われておるわけでございます。そういう点もございまして、特に医薬品につきましては、一般消費者利益を不当に害してはならないというようなただし書きもございますので、そういううわさのあるものについては、これを原価計算もとりまして検討しまして、何らかの措置をとらなければならぬのじゃなかろうか、こう考えておるわけでございます。  それから、取り消しの四品目でございますが、先ほど申しますように、私どもがこれを指定いたします場合には、大体メーカー、卸、小売り団体から指定してほしい、再販契約をやりたいんだということで指定しておるわけでございますが、すでに指定いたしましてから十年、長いものは十年以上たちましても、全然その再販契約がないというようなことがございますので、こういうものは取り消したほうがいいのじゃないかということで取り消したわけでございます。
  28. 山本勝市

    ○山本(勝)委員 取り消した理由に、例外団体を認めておったことが実は法の目的を達成できない大きな理由になっておるという点はあるかないか。
  29. 竹中喜満太

    竹中(喜)政府委員 例外団体を認めておるということが大きな理由ではなしに、むしろ業者同士の間で、自分が先を切ってこういうことをやると、やらぬ業者に足をさらわれるというような心配もあって、なかなか自分一人でその契約には踏み切れないというところに大きな理由があるのだと思います。
  30. 小笠公韶

    小笠委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもってお知らせすることとし、散会いたします。    午前十一時五十八分散会