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1966-03-16 第51回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月十六日(水曜日)    午前十時二十一分開議  出席委員    委員長 小笠 公韶君    理事 木村 俊夫君 理事 倉成  正君    理事 砂田 重民君 理事 山本 勝市君    理事 井岡 大治君 理事 兒玉 末男君    理事 村山 喜一君       岩動 道行君    坂村 吉正君       竹内 黎一君    床次 徳二君       伊藤よし子君    吉村 吉雄君  出席政府委員         総理府事務官         (経済企画庁国         民生活局長)  中西 一郎君         運輸事務官         (大臣官房長) 深草 克巳君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  原山 亮三君         運輸事務官         (自動車局長) 坪井 為次君  委員外出席者         議     員 春日 一幸君         大蔵事務官         (大臣官房財務         調査官)    青山  俊君         大蔵事務官         (理財局次長) 広瀬 駿二君     ————————————— 三月十四日  公共料金値上げ反対等に関する請願(久保三  郎君紹介)(第一七一六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  消費者基本法案春日一幸君外一名提出衆法  第一六号)  物価問題等に関する件(物価対策現況等)      ————◇—————
  2. 小笠公韶

    小笠委員長 これより会議を開きます。  春日一幸君外一名提出消費者基本法案を議題とし、提出者提案理由説明を聴取いたします。春日一幸君。     —————————————     —————————————
  3. 春日一幸

    春日議員 それでは、お許しを得まして、消費者基本法案提案理由説明いたします。  すべての国民は、毎日の衣食住の個人消費を繰り返している意味において、すべて消費者であります。国民経済を拡大し成長せしめている力として最も大きいのは、産業の設備投資在庫投資のような民間企業活動にあるのでもなく、また中央地方を通ずる財政購買力にあるのでもありません。最大の力は国内の最終需要者である国民個人家庭、集団の消費購買力にあります。政府資料によっても、昭知四十一年度の国民総生産規模三十兆八千五百億円のうち、個人消費支出は十六兆六千億円を占め、全体の約五三%に達するものと想定しております。  このように、投資活動財政活動よりも、国民個人消費支出のほうが、国民総生産のうちに占める割合が大きいという事実が明らかであるにもかかわらず、わが国経済政策は一貫して、国民個人消費保護につき、きわめて非力であります。その立証として、昭和三十六年以来わが国消費者物価上昇続きであり、政府は現在に至るも、これを抑制し得ないでいる事実一つをあげれば足りると存じます。  現在、国民消費生活は、長期にわたる物価上昇のうちにあっても、食生活質的向上衣料品高級化家庭電化製品を中心とした耐久消費財普及など、消費高度化を目ざす国民の意欲はきわめて盛んなるものがありますが、勤労者家計支出は、昭和四十年には、ついに前年に比べて実質的に消費水準が低下しております。国民消費エネルギー物価高のもとに、むなしく停滞せしめられておるのであります。また、消費者は王様というような売らんがための宣伝用語に踊らされているのであります。  最近、政府は、ようやく消費者保護政策に着目されるに至りまして、経済企画庁国民生活局、農林省と通産省に消費経済課を設置し、それぞれ消費者保護行政に取り組む体制をつくられたのでありますが、遺憾ながらその行政実施の実態は、管掌する個々行政範囲の中にとどまっているだけで、消費者保護政策についての基本方針の確立、並びに消費者保護政策の体系の整備は、一向に進んでおりません。  本案は、このような現状において、国民消費生活保護充実についての政策基本を明らかにし、今後の経済政策生産流通に偏重することなく、国民個人消費に対して正当にして適正なる施策実施する道を提案するものであります。  本案は、ただいま述べましたような趣旨を明らかにした前文と、法の主文により構成しました。  法の主文は、第一章総則、第二章一般消費者保護第三章行政機関及び消費者団体の三章で構成いたしました。  第一章総則の第一条政策目標として、本案にいう国民消費生活に関する国の政策目標は、国民日常生活の用に供される商品サービスについてである旨を明らかにいたしました。すなわち、本案は、特殊な高級消費、浪費、ぜいたくの購入までも政策対象とするものではありません。あくまでも国民日常消費のみを対象とするものであります。  第二条で、消費保護についての国の施策基本は何であるかを十項目に分けて明らかにいたしました。この内容は、第二章一般消費者保護におきまして、逐条ごとに具体的な施策方針を定めておきました。第三条で地方公共団体も国の施策に準じて施策を講ずること、第四条で国の施策実施するために財政上、金融上、かつまた法制上の必要な措置をとるべきことを定めました。第五条の調査、第六条の国会に対する年次報告は、この種の基本法として当然の規定であります。  第二章一般消費者保護におきましては、まず第七条で適正な価格維持のために、不当な価格についての共同行為を規制すること、並びに流通機構整備することなどの必要な施策物価政策基本とすべきことを規定しました。第八条は計量の適正化、第九条は品質表示適正化、第十条は消費生活における危害の防止、第十一条は商品標準化普及、第十二条は国民普及型商品普及、第十三条は消費者金融適正円滑化、第十四条は消費者クレームの救済、第十五条は消費者教育広報活動、第十六条は消費者の意見を国の施策に反映せしめるための措置、以上の十カ条であります。第七条より第十一条までの五項目商品サービスが本来的に持つ機能を確保せしめるための基本規定であり、第十二条から第十六条までの五項目は、商品サービスを積極的に国民日常消費に役立たしめるための施策基本規定であります。これら十カ条を通じて、第二条第二項として、独禁法に基づいて適切な施策を講ずべき旨も規定いたしました。  特に十項目のうち第十二条国民普及型商品とは、家庭電気器具大型家具類などのような耐久消費財をより多くの国民家庭に安い価格供給する態勢をつくるための施策であります。いまやこれらの商品は大企業が大量生産し、誇大な宣伝のもとに販売しておりますが、毎年のように新型品を販売して、新型なるがゆえに価格引き下げをなかなかやらないという営業方針をとっております。これに対して、本案では、国民普及型商品を指定した耐久消費財商品について法定して、これを安い価格で大量供給する制度を確立するものであります。なお、これらの普及型については、企業側がアフターサービスの義務を負うことに定めます。  第三章は、第十七条消費者保護行政について独自の行政組織を確立すること、第十八条消費者団体を育成し整備する規定であります。  なお、本案におきましては、消費者保護政策について調査し、かつ政府に具申する審議機関は、現行国民生活審議会を活用することにし、新設はしないことといたします。  以上が本案概要でありますが、本案前文冒頭に掲げましたように、国の将来の理想像は、全国民中産階級化福祉国家の実現にあります。これがためには経済活動の究極の目標国民消費生活充実に置くべきであります。憲法で定める健康で文化的な生活を営むことは、国民の権利であり、これを確保することは国の責務であります。この観点に立って、ぜひとも本案成立を実現するよう、何とぞ慎重御審議の上、御賛成あらんことを切望して提案説明を終わります。よろしくお願いいたします。
  4. 小笠公韶

    小笠委員長 以上で、提案理由説明は終わりました。  本案に対する質疑は、後日に譲ることといたします。
  5. 小笠公韶

    小笠委員長 物価問題等に関する件について調査を進めます。  本日は、まず運輸省関係物価対策現況について、政府当局から説明を聴取することといたします。運輸省深草官房長
  6. 深草克巳

    深草政府委員 お手元に、国鉄私鉄及び乗合バス運賃改定申請認可件数というのがございます。先般、こういった資料の御要求がございました。これにつきまして御説明申し上げます  表のつくり方でございますが、三十六年から四十年までの経過を書いてございまして、各輸送機関別申請認可件数を書いてございます。それからカッコの中の数字でございますが、備考で書いてございますように、四十一年二月末現在の当該業種の全事業者の数をカッコで書いてございます。たとえば、地方鉄道軌道公営の欄に十六市と書いてございますが、それが右の欄にございますような申請認可経過をたどっておるわけでございまして、必ずしも公営十六市が一ぺんに認可申請をし、あるいは一ぺんに認可をしたということではないわけでございます。  国鉄につきましては、御承知のように三十六年度の運賃法改正並びに四十年度、今年度、先般の当委員会並びに運輸委員会連合審査会その他もございまして、運賃法改正成立をいたした経過がございます。  地方鉄道軌道につきましては、三十六年に申請をされまして、その認可が三十七年に行なわれております。一年余経過をしたあと認可をいたしております。四十年度につきましては、同年度に認可を完了いたしております。公営につきましては、先ほど申しましたように十六市のうちから個々申請がございまして、個々認可をいたしておりますので、どれがどの程度経過をしたあと認可をされたかということは、この表ではつまびらかにいたしておりません。中小私鉄につきましても、公営と同じようにばらばらな申請、ばらばらな認可を行なっておるわけでございます。  六大都市バスでございますが、これは、地方鉄道軌道の場合には大手私鉄公営と区分をいたしておりますが、乗り合いバスの場合には、六大都市ということとその他のバス路線ということで区別をいたしておりまして、この六大都市の中には、公営バス企業も入っております。その他は、これまたばらばらな認可申請、あるいは認可をいたしておるわけでございます。  それで、現在の未処理件数が最後の右の欄に上がっておりますが、公営につきましては三市入っておりまして、この内訳を申しますと、東京都、横浜市、大阪市、この三つでございます。東京都につきましては、路面電車、無軌条電車、トロリーバスでございます。それと地下鉄、この三つ企業体につきましてそれぞれ値上げ申請が出ておりますが、これは都議会承認をまだ得ておりません。申請だけが出ております。それから横浜市、大阪市につきましては、それぞれ市議会承認を終わりまして申請をいたしてきておりまして、横浜市につきましては路面電車、無軌条電車、この二つでございます。大阪市につきましては、同じく路面電車、無軌条電車、この二つ申請いたしております。この三つ公営企業が未処理ということに相なっております。  それから乗り合いバスの六大都市でございますが、これもおもなものを申しますと、この中に公営三つ入っておりまして、同じく大阪横浜東京都でございます。議会承認済みの問題は地方鉄道軌道の場合と同じで、東京都の場合が未承認で、大阪横浜はもう議会のほうは済んでおります。この三つのほかは九社でございまして、それぞれの都市に分かれておるわけでございます。それから乗り合いバスのその他の三十九社の未処理でございますが、おもなところを申しますと、箱根登山鉄道、伊豆箱根鉄道名古屋鉄道宇野自動車日立電鉄群馬バス群馬中央バス三浦交通その他三十一社でございます。  それからその次のページ資料の二でございますが、運賃改定概要でございます。改定概要につきましては、国鉄につきましては、すでに御案内のことでございますので省略をさせていただきまして、その理由につきましては、三十六年は、御承知のように第二次五カ年計画のための資金確保と、それから今般御承認をいただきました四十一年の三月から実施をいたしました運賃法改正理由でございますが、通勤輸送改善と、主要幹線輸送力増強による過密ダイヤの緩和並びに保安対策の強化という、第三次長期計画資金確保のためでございます。  それから、次のページ地方鉄軌道でございますが、これも改定概要につきましては省略させていただきまして、ただ御参考までに申し上げておきますが、大手の場合と中小の場合に値上げ理由につきまして若干相違があるわけでございまして、大手並びに営団、これらはすべて新しい輸送力増強工事のための資金コストをまかなうということが、一つの大きな柱になっておるわけでございます。それに反しまして中小私鉄につきましては、そういった輸送力増強工事というのはもう必要はないわけでございまして、むしろ保安対策とかあるいは人件費物価高騰による経営悪化を補てんするという意味の、いわゆる赤字解消のための値上げであります。その点が大手中小私鉄値上げ理由の大きな相違でございます。  乗り合いバスにつきましては、これまた六大都市とその他で、輸送力増強といいますか、路線拡張というような若干の相違はございますが、おしなべて乗り合いバスにつきましては、人件費その他の諸経費高騰による経営悪化、あるいは安全輸送のための車両施設改善、こういったものが一つの大きな値上げポイントになっておるわけでございます。  資料につきましては、以上のとおりでございます。  それから、委員長から、運輸省物価対策に対する考え方というような御注文でございましたが、御承知のように、物価対策は国全体として臨時物価対策閣僚協議会というものがつくられておりまして、それの構成員に私のほうの大臣もなっておりまして、その決定に従って行なっておるわけでございますが、基本的に私どもの考え方を申しますと、物価値上がりを防止するということ、これは、短期的には公共料金値上げを抑制するというような問題もありましょうが、長期的に見ました場合には、やはりいまの物価高の、特に消費者物価物価高の原因の一つとして、輸送の不円滑といいますか、大きく申しまして流通の不円滑というようなことが言われております。流通部門の大部分を所掌いたします私のほうの省といたしましては、まず第一番に輸送円滑化輸送力をつけていくというようなことを主眼にいたしておりまして、国鉄では長期計画、あるいは内航海運につきましては船の船質改善、あるいは港湾船込み解消のための港湾の改築とか、そういったもろもろの長期対策長期計画に基づいて行なってきておるわけでございます。そのほか、流通一つ過程としての倉庫近代化とか、あるいは冷蔵倉庫拡充整備、そういった問題、あるいは港湾の荷役の近代化といった問題、それから特に国鉄が力を入れておりますのは、包装近代化でございます。包装簡易化によりまして相当流通経費の節減ができる。極端な品物につきましては、鉄道運賃よりも包装費のほうが高いというような品物もございまして、運賃値上がり以上に効果のあるような包装改善ということを、鉄道輸送と密着をさせながらいろいろな品種につきまして合理化を進めております。  以上は、単なる一例を申し上げたにすぎませんが、基本的には、先ほど申しましたように、輸送力増強して、流通円滑化による将来の物価高の要因をなるべくすみやかに除去するというようなこと、それから各流通過程ポイントにおきます近代化によりまして、そのコスト物価へのはね返りを防止する、こういった基本的考え方で進んでおるわけでございます。
  7. 床次徳二

    床次委員 ちょっとお尋ねしたいのですが、運輸省の問題でこの間別途審議を行なったわけでありますが、遠距離逓減制、この考え方を今回は若干修正しておりまするが、将来どういう傾向にあるかということについて御説明いただきたいと思います。
  8. 深草克巳

    深草政府委員 遠距離逓減制は、旅客貨物二つに分けて考えなければならないと思います。貨物の場合には、途中の運賃コスト輸送コストよりも、両端の、たとえば積み込み、積みおろし、そういった経費が非常にたくさんかかりますので、途中の距離というものが必ずしも比例的に増していかないということで、旅客の場合は、逆に両端コストというものは、切符をつくる金とか、あるいは改札をするとか、あるいは旅客の係の人件費とか、貨物に比べて非常に手間をとらないわけでございます。もっぱらコストの大半は、輸送距離に比例をしてかかっていくということになりますので、旅客運賃につきましては、なるべく将来とも遠距離逓減という考え方解消していきたい。しかしながら、現段階におきましては、非常に遠距離の人、たとえば鹿児島とか北海道とか、そういったところの人の中央へのいろんな旅行需要がございますので、そういった場合の過渡期措置としては、往復の割引とか、そういった措置でそれを補てんしていくということで、基本的には、旅客の場合には遠距離逓減はむしろ解消したい。貨物につきましては、やはり理論的にいいましても、遠距離逓減はある程度残していくべきだという考え方をとっております。
  9. 床次徳二

    床次委員 貨物は、特に生産物、蔬菜その他については、今後だいぶ輸送範囲が伸びてくるんじゃないかというふうに思われるのでありまするが、反面において、かかるものの物価に対する影響というものはなかなか大きいわけです。したがって、むしろ積極的に遠距離逓減を考えなければならぬ状態も、必要な理由もなおあるんじゃないかと思いますが、この点は、従来の傾向からいうと、遠距離逓減の率はどんなふうに変化をしておるのですか。やはり依然として同じような逓減率にしているか、あるいはこれを緩和しているか、お伺いしたいと思います。
  10. 深草克巳

    深草政府委員 貨物については、今度は遠距離逓減制の修正はいたしておりません。現行どおりでございます。  それから生鮮食料品その他の問題でございますが、いわゆる貨物運賃コスト主義ということにだいぶ今度飛躍いたしましたので、それによって、いままで以上の値上がり生鮮食料品にあるわけでございます。それでは困るということで、運賃個々に配分する過程におきまして、そういったものにつきましては特別の考慮を払いまして、その制度改正による値上げを極力防止するという措置をとったわけであります。
  11. 床次徳二

    床次委員 ちょっともう一点。鉄道によるところの貨物運賃とそれからトラックその他によるところの運賃比較趨勢は、どんなふうになっておりますか。だいぶトラック輸送国鉄輸送から転向しているように思われるのでありますが、この点は国鉄運賃が比較的高いというところにも基因する——便利、不便という問題もありまするが、割り高だというところにもあるのではないかと思うのですが、この点はどうですか。
  12. 深草克巳

    深草政府委員 トラックとの関係でございますが、運賃はなるほどご指摘のように遠距離逓減貨物についてはとっておりますので、遠距離についてはトラックは競争できないのですが、近距離につきましては、相当競争できる条件が運賃の面では整ってきております。そのほか特に、若干今回の改正で暖和しましたが、高級貨物につきましては、トラック貨物別に特に大きな差はございませんが、鉄道につきましては従来高級貨物、つまり買う金が高い貨物でございますが、それと安い品物貨物運賃の格差が非常にございました。極端に言えば、二倍以上の差がございました。したがって、高級な品物トラックに転向しておったというのは従来の傾向でございまして、その傾向は、今回は高級貨物につきましては、国鉄の場合はその幅を狭めました関係上、大きな値上がりをしておりませんので、若干トラックのほうにさらに逃げていくという傾向は今後も進むと思いますが、今度の値上げによりまして、また極端にそういう傾向に拍車をかけるというようなことはなかろうかと思うのであります。
  13. 小笠公韶

    小笠委員長 それでは次に、大蔵省から物価問題に関連する金融状況等について説明を聴取いたします。大蔵省青山財務調査官
  14. 青山俊

    青山説明員 ただいま委員長からお話がございました金融問題につきまして、若干御説明いたします。お手元に御提出いたしました資料がございますので、それをもとにいたしまして、最近の金融関係問題点について若干補足して御説明いたしたいと思います。  御承知のように、現在の企業というのは、自己資本というよりも外部資本が非常に多いわけでございまして、そのおもな資金供給を担当いたしておりますのが金融機関でございます。金融機関につきましては、御承知のとおり長期資金短期資金、それ以外に分類をまた別にいたしますと、民間金融機関政府関係金融機関ということに分かれるわけでございます。民間金融機関につきましては、長期資金は、いわゆる長期信用銀行法に基づきますところの興銀、長銀、不動産銀行というものが主体になりまして設備資金供給を行なっておるわけでありますが、これ以外に、信託銀行あるいは生保、さらに普通の銀行相互銀行信用金庫等におきましても設備資金貸し出しというものが行なわれているわけでございます。  都市銀行は、現在、そこにございますとおり十三行ございまして、その中には、いわゆる為替専門銀行である東京銀行一行を含んでおります。したがいまして、それ以外の十二行がいわゆる都市銀行といわれるわけでございます。それから地方銀行は、現在全国で六十三でございます。それから相互銀行全国で七十二行、信用金庫は、そこに出ておるのは四十年九月末で五百二十六でございますが、その後合併がございまして、現在は五百二十四金庫になっております。  短期資金は、この都市銀行以下が主体となって貸し出しを行なっておるわけでございまして、さらに中小企業に向けましては相互銀行信用金庫というものが主体になり、さらに地方銀行地方中小企業金融都市銀行におきましても中小企業向け金融というものは、やはり担当いたしているわけでございます。  支店の数は、そこにございますとおり、昨年の九月末で、都市銀行で二千三十五、地方銀行で四千百三十五、相互銀行で二千六百八十九、信用金庫で二千七百七十でございます。この二、三年来、店舗につきましては相当弾力的に認可をする方針をとっておりまして、この二、三年来各金融機関店舗相当ふえております。これは、やはり店舗というものは預金者利便、それを利用する方々の利便というものを十分に考えて配置をしなければならないわけでございまして、そういう点で、現在のところ相当その面では行き渡ってきておるのではないかというふうに考えております  それから、次に貸し出しに関します金利の問題でございます。これが借り入れ先である企業にとっては非常に大きな問題であるわけでございますが、御承知のとおりこの一年間、昨年日本銀行公定歩合が三回、合計三厘下がったわけでございます。これに従いまして、一般貸し出し金利も引き下げるという方向に進んできておりまして、特にこの日本銀行公定歩合に一番連動性の強い都市銀行というものは、約この一年間に一厘四毛三糸下がっておりまして、大体従来の実績を見ますと、公定歩合が一厘下がりますと、大体半年目くらいで五毛程度都市銀行貸し出し金利が下がるわけでございまして、なお引き続いて二月以降も下がっているようでございます。地方銀行等は、日本銀行との取引関係都市銀行ほど強いわけではなく、また、いろいろ貸し出し先都市銀行とも異なりまして、いわゆる臨金法の適用外貸し出し先相当ございますので、日本銀行公定歩合との関係は、都市銀行ほど強くあらわれないわけでございますが、これらにつきましてもずっと低下傾向にあるわけでございます。相銀、信金につきましても同じ傾向でございまして、われわれといたしましては金融機関に対しましては、機会あることに経営合理化、効率化をはかりまして、資金コストの低下をはかって貸し出し金利の引き下げに努力するようにという指導をいたしておるわけでございます。  次に、政府金融機関につきましては理財局のほうから御説明があると思いますが、特に中小金融機関におきましては、御承知のとおり中小公庫、国民公庫、商工中金というものがございまして、これは全体といたしまして中小企業金融の約八%程度のウエートを占めておると思いますが、これらにつきましても年々資金量を増加し、同時に、貸し出し金利につきましても引き下げるように努力いたしておりまして、四十一年度につきましても、四月以降、現在の八分七厘を八分四厘に引き下げるという方針に相なっております。また、別に設備資金につきましては開発銀行がありまして、これが、いわゆる重要産業の資金供給に当たっておるわけでございます。これにつきましても、この一月から貸し出し金利を八分七厘から八分四厘に引き下げております。なお、これに関連いたしまして民間長期信用銀行におきましても、及び信託銀行等におきましても、この一月以降新規の設備貸し出しにつきましては、この開銀の年利三厘のダウンに相応するような措置を現在とっておるような実情でございます。  われわれといたしましては、先ほど申しましたように、金融機関合理化を推進いたしまして、そして貸し出し金利の引き下げという方向に、今後も指導を続けてまいりたいというふうに考えております。
  15. 小笠公韶

    小笠委員長 以上で、運輸省及び大蔵省当局からの説明は終わりました。     —————————————
  16. 小笠公韶

    小笠委員長 質疑の通告がありますので、順次これを許します。山本君。
  17. 山本勝市

    ○山本(勝)委員 物価大蔵省関係で、基本的な点をちょっと伺ってみたいのです。  この前にもちょっとこの委員会で申したと思いますが、結局物価が上がっていくというのは、需要が供給よりも上回るということに一言で言えば尽きるだろうと思います。その需要というのが、結局貨幣経済でございますから、貨幣の裏づけがなければ、需要として物価に影響することはできないのですから、単なる欲望では、これは物価に影響しないのですから、結局、品物供給量よりも貨幣数量のほうが早くふえていくというのが基本にあるのではないか、全体として上がっていくというのは。その一方で、供給力のほうが需要のほうよりも多いのだ、こういうことを言われて、よくデフレギャップというようなことを言われておりますが、この供給のほうが需要のほうよりも多いのなら、これは物価が下がっていくわけです。上がっていくわけはないと思います。やはり上がっていくということは、総需要が総供給よりも強い、そういうふうに私は判断するのです。しかし、設備は確かに余っておる。全部が余っておるというわけではないでしょうけれども、かなり設備が余っておって、未稼働というか、稼働していないものがたくさんあることは事実だと思います。そういうふうな関係から、結局、実際にマーケットに提供される供給量というものは需要量よりも低いのではないかというふうに私は判断するのですが、その場合に、どうしてそれだけの生産力があるにかかわらず品物となって供給されないのかというところに、見のがされておる一つの大きな問題があると思います。それは企業間信用、べらぼうな企業間信用というものが重なっていきますが、その企業間信用が重なっていったのには、結局、だんだんと手形のサイトが長くなっていく、それで銀行が商業手形の割引というものを簡単にやる、これがサイトが長くなり、企業間信用がだんだんたまっていって、今日ほんとうにまじめな商売人が、四カ月も五カ月も先に期限がくるような手形でなければ売れない。しかし、そういう手形ははたして商売しても金になるのかどうかということの安心ができない。それは銀行へ持っていけば割り引いてくれます。割り引いたから、何か売ったものが金になったような錯覚を持っておる人が多いですけれども、実は銀行で手形を割り引いたというのは、それは何も売ったものが金になったのではなくて、売ったものは期限がきたときに初めて金になるのであって、割り引いたのは、手形の振り出し人と連帯して借金をしたというだけのことです。それがために、もうまじめな商人は、こんな金になるかならぬかわからぬような商売をするよりも、むしろかたく——できれば現金だけれども、そうばかりもいかぬが、しかし、そんな長い手形で売らないで、商売を縮めようという萎縮した態度がほとんど満ち満ちておると思うのです。何といっても商売人は、品物を動かす一つ流通の先兵ですから、この商人の気持ちが萎縮してしまったら、いかに生産設備がたくさんありましても、その品物が動かぬのですから、これはなかなか景気もよくならぬし、したがって生産がふえてこないものですから物価がどうも下がらぬ、こういうことになるから、この商人が、もう安心して力一ぱい商売をするというためには、売れば必ず金になる、こういう安心があれば一生懸命にやります。しかし、いまはもう売っても金になるかならぬかわからない。その根本は、私は、銀行が商業手形の割引というものを簡単にやったところにある、こう見るのです。昔なら、三カ月も四カ月も先で払うような手形を出すような会社は、これはもうどこぞに欠点があるのですから、そんな支払い能力のないものを銀行は相手にしなかった。ところが今日は、そういう三カ月であろうが四カ月であろうが、相当名のある日本特殊鋼とか山陽特殊製鋼——いまはつぶれましたが、とにかく名のある会社の手形ならば、その直接割り引く人間に支払い能力があろうがなかろうが、信用があろうがなかろうが、銀行があらかじめ認めたワクの範囲内ならもうどんどん割り引く。それなら、さしあたって割り引いた人間の信用で、あるいは担保力を見ないなら、手形を振り出したその会社の信用を見るのかといいますと、いま言ったように、ほんとうに見るのなら、三カ月も四カ月も先の手形を出すような会社は、これは安心して割り引けないはずなんですけれども、簡単に割り引く。しかも銀行は、借りに行きますと、何か手形はありませんかと言う。手形の割引は、たとえば期限が長かろうが利子はちゃんととりますし、それから債務者は連帯で、一人でなしに二人になります。ですから、非常に簡単なものですから、直接貸しをするよりも手形の割引を好むというこの銀行のビヘービア、これは戦前にもなかったことだし、外国にもない。戦前の商業手形の割引というものは、大体品物をマル通に渡しますとマル通が受け取りを出す。そうして、もし途中で向こうへ着かなかったら、マル通は責任を負う。マル通の受け取りをつけて銀行に持っていってその手形を割り引く。ですから、荷物を出してからお客に着くまでに相当の時間がかかります。外国ならば一カ月も二カ月もかかるのでしょう。国内でも相当期間がかかるものですから、その期間ぐらいは前もって割り引いてということは、これはけっこうですけれども、しかし、三カ月も、四カ月も、五カ月もというのは……。これは借金証文であって、ほんとうは商業手形ではない。そういう銀行のビヘービアを変えさせることは非常にいまむずかしいのですけれども、これを変えさせなければならぬ。そうして、商売をして売れば必ず金になるということでなければならぬ。だから、現金でやるか、小切手でやるかということです。そうして、借りる人間の要するに支払い能力、これをよく見ないというと、貸した以上は利子をつけてとるというたてまえですからね。それなのに、利子をつけて払えるか払えぬかということを見ないでどんどん貸していったということは一それは見ましたと言うかもしれぬけれども、見ておれば、そういう大きな会社が破産することもないし、また、その波動で中小企業が月に五百も破産するわけがない。全く手形というものが支払い能力というものと遊離して、その会社の名前だけでどんどんどんどん貸し出していった、その貸し出しが通貨の膨張になってやはり物価を上げるし、それがとうとう行くところまでいっちゃって、今度は設備をつくったって売れない、商人が売ってくれない、こういうふうになっておるんじゃないかと思うのですね。だから、世界の常識に引き戻すというか、戦前の常識に引き戻すということが必要である。  私は、よく自分の意見を言い過ぎますけれども、何年か前に、三カ月以上の期限の手形を出してはいかぬという法律をつくるというような話があったそうですけれども、手形を何カ月以上のものを出すなというようなことを言ってみても、これは取り締まりがむずかしい。それより、銀行が三カ月以上の手形を割り引いてはならない、こういうふうにすれば、大蔵省銀行への取り締まり、指導は至って簡単だ。少なくともそういうふうに持っていくように努力をしていかないといけない。一時企業間信用というものをだいぶやかましく言われましたけれども、最近になりますと、ただ公債を出して減税をやれば、それで景気も直るし、物価も安定するようなことを言っておりますけれども、しかし、企業間信用という大きな問題にもう一ぺん取っ組んで、商人が売れば必ず金になる、せいぜい一カ月か二カ月後にはおそくとも金になるという体制に引き戻す努力をしておられるのか。しておられなければ、もう一ぺんそこをやらなければいかぬ。やる意思があるのかどうか。それをやらなければ、いまのままでいきますと、個々企業が健全にならないものですから、一時的には何とかこまかしがつきましても、ほんとうの健康体にはならないから、そういう意味で私は非常に心配しておるわけですがね。企業間信用問題というものを、大蔵省はいまどこかの部局で、あるいは大蔵省じゃなくても、政府のどこかの部局で、なお真剣に取り組んでおるところがあるのかどうか。
  18. 青山俊

    青山説明員 ただいま山本先生から御指摘のことは、私も非常に大事な問題だと思いまして、実は昨年来その問題につきましては種々検討いたしておるわけでございます。もちろん、御指摘のように金融機関の融資の態度というところにも問題があるわけでございます。同時に、企業側の売り込み競争というものが相当あるわけでございます。買い手のほうが強くて売り手がたくさんございますと、なるたけ支払い条件が自分に有利なようなところへ契約するというので、つい売り方はキャッシュベースより手形の割合が多くなる。その手形のサイトがだんだん長くなるというのがだんだん累積しまして、御指摘のようなことになってきたわけであります。やはりこれは両面から解決していく必要があるというわけで、実は昨年の夏以降、通産省あるいは日本銀行、われわれのほうと、関係の者が集まりまして、何回かこの問題についていろいろ現状分析し、検討を加えてまいりました。やはり各業種によっていろいろ事情が違うわけでございます。通産省のほうで、現在それぞれの業種に応じての手形の一つの標準と申しますか、そういうものを業界のほうに、よく打ち合わせて指導を行なうということでいまやっているわけであります。私のほうも日本銀行と打ち合わせまして、そういうことによってそれを解きほぐすために必要な資金は、金融的にも見ていかなければならないという考え方で、現在通産省でせっかくその面の検討を続けておるというのが実情でございます。  同時に、御指摘のございました金融機関側の態度でございますが、総体的に見ますと、やはり金融機関側の競争が激しいわけでございます。それは預金競争という面もございますし、いい貸し付け先をとりたいという競争と同時に、だんだん金融が緩和してまいりますと、いかにして資金を運用するかという問題も出てくるわけでございます。そういう点でいろいろ手形につきましても、先生御指摘の当時とはだいぶ事情が変わっておるのでございますから、こういうときこそ逆に金融機関の審査というものを厳重にいたしまして、そして貸し出しの健全化ということをはかる必要があるわけでございます。私自身も、実は山陽特殊鋼が破綻いたしましたときに大阪の財務局におりまして、実際あの問題にぶつかったわけでございまして、現場に行っていろいろ話を聞いてびっくりしたわけでございますが、三百日というふうな手形が出ておるわけでございます。そうしますと、最初のうちは長いようですが、一回転いたしますと毎月入ってくるわけであります。毎月手形が、三百日前の分が落ちるわけです。そうすると、売ったほうは毎月現金で売ったような感じになりまして、したがって、根になった分を感じないわけでございます。根雪みたいになりまして、新しく振るやつは毎月毎月落ちる、そういうふうな感じがいたすわけでございます。もちろん、金融機関側の態度につきましては、十分われわれも今後注意してまいらなければなりませんが、同時に業界そのものも、やはり先生御指摘のような態度でお互いに進んでいきませんと、金融と申しますのは、何かブレーキをかけるときには非常にきくのですが、今度は逆に、動かそうとするときにはなかなか動かないという面もございまして、この点は通産省にもいろいろ御検討をいただいておりますので、ようやっと最近少し企業間信用が解きほぐれのような状態も出てきております。こういった機会をとらえまして、この問題をさらに推し進めてまいりたいというふうに考えております。
  19. 山本勝市

    ○山本(勝)委員 通産省にまかせておると言いますけれども、それは実際問題からいって、通産省ではむずかしいと思うのですよ。金融関係というのは、うっかり手をつけたらいかぬと言いますけれども、しかし、金融という仕事はほかの生産事業と違うのですから、ほかの仕事は幾ら自由にやらしたらいいと言う自由論者でも、銀行を手放しに自由にしていいと言う自由論者はいないわけです。というのは、銀行は金をつくります。日本銀行はもちろん金をつくりますが、普通銀行銀行通貨をつくるものですから、金をつくる商売をするものは取り締まらなければいけない。しかも銀行が金を貸すときに、払えるか払えぬかを確かめないで、いまの百日であろうが、百八十日であろうが、二百日であろうが、手形を割り引くというような形でどんどん金をつくっていくというようなことは、ぼくは政府は取り締まらなければいかぬと思う。一体手形の割引なんというものは、信用組合や信用金庫などのかけ出しの者でやれる仕事ではない。つまり、手形を振り出した人のほんとうの信用というものを見抜く能力がなければいかぬから、一流銀行でも優秀な者でなければやれないものなんです。それを、いつの間にかだらしなくなってしまって、どこの銀行も信用組合もやるというようなところまでなってしまった。  この間、私は実は大蔵省銀行局長にも話しましたが、あるところにある信用組合がある。これは業者がつくったやつです。それで、インドのヤギの皮のなめしてきたものを梱包したまま市場に出して、そして五十万なら五十万で手形で売る。手形を受け取った者はそこのところで割り引く。そうすると、梱包を解いたら今度は値段がなくなるから、解かないままでその次に——月に三回ぐらいやっておるのです。その次にそこの市場へまた出して、今度はCがそれを手形で買う。手形を受け取った者はそこでまた割り引く。同じ一つ品物で五回も六回も手形の割引をやっておるという話を私が関係者から聞きましてしましたら、調べてみるという話でしたけれども、それはみなが驚いておる。だから、土佐の何とかいうところで実際にインドヤギを使うところがあって、そこで何か破産したら、全部そのなにした手形がわっと土佐に寄ってきた。これは融通手形じゃない。ちゃんと商品が中に入っていますから、形式だけは整っていますけれども、はっきりとそういう品物を中にはさんで、そうしてどんどん借金がふえていく。これは一例ですけれども、それに類することが全国的に行なわれておる。だから、やはり銀行を取り締まらないといけない。産業人にかれこれ言っても、これはもう本人が締めただけで、物をつくったり売ったりしておるのですから。銀行はそうじゃなしに金をつくる商売だから、これは数も少ないし、だれも文句は言わない。倒産がどんどん続いていくというようなことは一体だれの責任だというと、結局銀行貸し出し態度である、貸し出すときの態度がいかぬからこういうことになる、こういうように私は思うのですがね。通産省にまかしておいたらだめだと思うが、そう思いませんか。
  20. 青山俊

    青山説明員 別に通産省に全部まかしておると申し上げたわけではございませんで、もちろん私のほうも金融機関の面については、いまお話しのように、金融機関の融資態度をきちんとしてもらうという指導を当然いたすわけでございます。同時に、やはり企業間の非常な競争がございますので、その辺の秩序をきちんとしていただく必要があるのじゃないか、こういう意味におきまして通産省ともともにこれを解決していこう、こういうわけでございます。何しろいま相当膨大な企業間信用が、なかなか的確な数字が把握できませんけれども、相当大きなものがあるわけでございまして、これをいかにして解決していくか、急激に、いま先生のおっしゃったように、たとえば三カ月のものをこれから一切割り引かないと言いますと、また非常に企業に対するショックも大きいわけでございますし、やはり基本的には、いまお話しのように、金融機関貸し出しについて、いわゆる適正な態度でもって臨むということが大事なことでございます。この点はわれわれとしても行政指導の面で十分にやってまいりたい、こういうように考えております。
  21. 山本勝市

    ○山本(勝)委員 もう一つ。やはり銀行が割り引かなければ、それは出したって受け取りませんよ。だから、銀行で割り引くということをやめさせない限りは、それをほっておいて、幾ら企業者自身が自覚して大いに基本的な態度でと言いましても、割り引けるということがなければ出したって受け取らない。それはそこから直していかなければいかぬ。それから、非常にむずかしいということを考えますけれども、むずかしくてもやらなければいかぬことはもっと真剣に取り組むべきだ、少なくとも銀行が商業手形の割引をするのはあたりまえだ、こういうのが今日の常識じゃないかと思う。そうして三カ月、四カ月ぐらいの手形を割り引いても、そんなことは何も悪いことをしておるというふうな自覚は実際はないと思います。だから、本来手形の割引というものはそういうものでないのが、いつの間にかずるけてしまっておるのだ。借金証文のかわりになってしまっておるということです。それから大蔵省も、手形の割引というような一つの通貨をつくるような重大な働きについて、もう信用組合でもあるいは農協でもやっておるかもしれませんが、どこでもやらせる、どこでも金をつくってよろしいというような、払えない金なんかつくったら、これはにせ金をつくったのと一緒です。これはほんとうに重大な問題なのだが、軽視されておる。銀行の貨幣をつくる仕事についてだけはもっと厳重な態度をきめてもらいたいと思います。
  22. 青山俊

    青山説明員 ただいま御指摘をいただきましたことについて、われわれも、銀行というものがやはり信用の中枢でございますので、これの基本的態度というものは、あくまでもきちんとしたものでなければならないと思うわけでございます。現在の経済の流通機構等いろいろ問題があるわけでございまして、お説の点につきましても、十分われわれとしてはそういう点を重視いたしまして、決して大蔵省がルーズに銀行経営を監督しておるわけではございません。やはり大事な貯金者のお金を預かっておる金融機関でございまして、そういう点につきましては、十分今後も経営につきまして厳正な態度で臨むように、われわれも心がけてまいりたいと思います。
  23. 山本勝市

    ○山本(勝)委員 預金者預金者ということを言いますけれども、要するに預かった金を貸しておるだけなら、それは適当の準備をしておけばだいじょうぶですよ。預かった金だけ貸しておるのじゃない。新しくどんどん金をつくっているんですよ。しかも、それをいま言うふうなルーズな方法でつくっておるものですから、いまちょっと上げも下げもならぬようなところに来てしまった。これはほっとるわけじゃないだろうが、銀行の手形割引で何カ月以上の手形は、銀行自身が割引すべきじゃないというようなことは、議題に乗ったこともないんじゃないかと私は思うのですよ。戦前とか外国に比べて、そういう変態なことになってしまった。その辺ひとつ検討してください。
  24. 小笠公韶

    小笠委員長 坂村君。
  25. 坂村吉正

    ○坂村委員 私は、簡単に一、二運輸省のほうにお伺いしたいと思いますが、経済企画庁国民生活局長にも一緒にひとつ。  一つは、運賃問題が一応片づきました。運賃の問題は一応片づいたから、今後の問題としてひとつお聞きしておきたいのですが、あるいはいままで委員会で質疑があったかどうかわかりませんが、国鉄運賃を考える場合にいつも議論になるのは、公共性と独立採算制、これはいままでしょっちゅう議論があったわけでございますが、いままで何回か運賃改定をやってきて、その過程でいろいろ検討してみましても、国鉄が公共性というような——抽象的に公共的な性格を持っているということはいいのです。いいのですけれども、事業の面、経理の面、そういう面で完全に独立採算制を貫くとか、あるいは実際的に事業の面で、公共的な負担というも気がほんとうにどれだけあるのか、そういう点がいつの運賃改定の場合でもはっきりした姿が出てないのじゃないかと私は思うのです。ですから、たとえば一例を言いますと、まず通学割引あるいは通勤割引、こういうものをやっておるから公共性だ、公共負担をやっておるのだというようなことを非常に言われますが、場合によっては、商売だって毎日毎日きまって乗っけるものは、営業割引で相当割り引いて乗せるというようなことがあるわけです。そうすると、通学割引あるいは通勤割引だって、必ずしも全部が全部公共負担とは言えないじゃないかというようなことが言えるわけです。それから、野菜とか魚というようなものを運ぶ場合にも、あるいは営業面でいろいろあるかもしれませんが、たとえば国鉄貨物自動車と競争する、そういう立場から言えば、貨物にどんどん荷物をとられちゃうようなことになっては困るから、商売の上からいっても割引をしなければいけない、こういう議論も考えようによってはあるわけです。そうしますと、生鮮食料品の特別割引をやっておっても、これは全部公共負担だとは言えない面もあるじゃないか。こういう点に非常に問題があるのじゃないかと思うのです。  そこで私は、いままで国鉄がいろいろ国から出資をしてもらい、それから国のいろいろの財政投融資を受ける、そういう国の世話になっている面が、国鉄の内部の上でどのくらいのウエートになっているか、そういう問題をもっと根本的に詰めておく必要があるのじゃないか、そういうような感じがするわけです。そして一面、ああいうぐあいに国鉄を独立採算制の企業体に持っていった以上は、ほんとうに完全にコスト主義でやっていかなければならない面については、コストが上がればそれは大いばりで運賃を上げたっていいのじゃないか。それでも国民は文句は言わないのじゃないか。そこに公共負担というものがどうもはっきりしない姿でおおいかぶさっておるものだから、そこのところで、国鉄値上げするのはどうもけしからぬ、こういうことがすぐ出てくる。そこらも、ことばは悪いかもしらぬけれども、そういう面が大福帳的にどんぶり勘定になっておるのではないか、一般の受ける印象、私らはそういう印象を受けるわけです。だから、そういう点を何か国鉄の内部ではきちんとした数字で検討をしておるのかしていないのか、それからしたことがあるのか、そういう点についてどんな状況になっておるのか、伺いたいと思います。
  26. 深草克巳

    深草政府委員 ただいまの先生の御質問でございますが、今国会の運賃法改正でも非常に議論になった点でございます。国鉄が、公共負担の累積が幾らだというような数字を出しましたが、あれ自体につきましても、私どももまだ検討の要があると思います。たとえば、御指摘のありました通勤、通学輸送の問題でございますが、国鉄の計算の根拠になっておりますのは、普通運賃で日曜も入れまして毎日一往復するというあれを出しまして、それから割引率を出しておるわけでございます。その場合に、割引率の問題でございますが、先生御指摘のように、しょっちゅう乗ってくれる人には割引をするという考え方もございますし、それからコストから申しましても、普通運賃の場合には切符を毎日売らなければいかぬ、定期の場合には三カ月に一回ちょっと書いて紙きれを渡せばいいというような、コストの問題もございます。それから定期の場合、運賃の先取りをやっておるわけでございます。そういったいろいろな要素から、必ずしも普通運賃の一カ月、六十倍ということが妥当かどうかという問題が根本にあるわけでございます。それともう一つは、これは運賃法で割引率五〇%を下ってはいかぬということでございまして、法律では、四〇%の割引じゃいかぬのだということをきめられておる。したがって、逆に言いますと、六〇%、七〇%の割引は大いにけっこうだ一けっこうと言うのもちょっと語弊がございますが、別に法律違反ではないわけでございます。それがどの程度限度をこしたらいかぬかということでございますが、国鉄の数字は、その運賃法の一応の割引の法律上の保障でございます五〇%という保障を基礎としまして、それより上がった分、つまり、七〇%なら二〇%が公共負担だというようなことで資料を出しておるわけであります。  御承知のように、国鉄の経理全体としては、昭和三十九年度は赤字になりましたけれども、その前運賃を上げまして三年間くらいは、全体の収支としては黒字になっておるわけでございます。その全体のますの中で、国の政策をどういうふうにはめ込んでいくかという問題でなかろうかと思います。御承知のようにいなかのほうの線は、営業係数からいいますと、収入の十倍以上の経費の要る線もございます。逆に東海道線みたいに、よりも倍とはいきませんが、相当黒字の線もございます。そういったものが総合されて全体の収支が償うということが、一つの収支償う範囲内で公共的な、原価を割った運賃をとらざるを得ないというのが一つの公共性のあれではなかろうかと思っております。  いろいろと私どもも、今回は別といたしまして、今後、御指摘のようにどの程度が国有鉄道としてしんぼうできる問題であるか、大局的に申しますと、全体が償えばいいじゃないかという、これは極論でございますが、これも議論的にあり得ると思います。ただ、そういった極端な割引といいますか、それがありますと、同じ利用者の中の不均衡という問題が出てくるわけでございます。結局、割引をされる人はそれでいいのですが、そのために、全体の収支を償うために一般の普通運賃の人はコストより高い運賃を払わなければならぬというので、利用者の公平の原則からいいますと、おのずから限度があろうかと思っております。  それで、ほんとうの公共負担が何であるか、額がどういうふうになるか、いろいろつかみにくいあれもございます。私どもがはっきり申し上げられるのは、たとえば運賃コスト全体の収支からきめられて、そのあとで、たとえば農林物資を割引してくれぬか一もうちゃんとコストにはめ込んでしまったあとに農林運賃の割引をするとか、そういったことは、つまり、値上げ率よりあとから出てきてそれが加わるという意味におきましては、その部分につきましては、はっきり公共負担だと言えるのじゃないかと思いますが、この額はたいした額じゃございません。  それからもう一つの問題、国の世話になっている部分がどの程度あるかという問題、これは数学的に計算してみるのは非常にむずかしかろうと思いますが、比較論といたしまして、私企業の場合、これは開発銀行からも借りておりますけれども、普通は一般の市中銀行から借りる。それを国鉄の場合には、資金運用部資金とかあるいは政府保証債、いろいろ金利の安い金でめんどうを見ておりますから、一般企業と比較した場合には、資金コストの差というものは、はっきり国の世話になっているということは申し上げられると思います。そのほか形式的に申しますと、出資金が再評価されまして、実際の出資額というのは相当な額にのぼっておる、そういった意味におきましても申し上げられると思います。  それではどの程度国のほうでという問題でございますが、諸外国の例をいろいろ調べてみましたのですが、諸外国が国有鉄道に対して助成策を行ない始めた動機と申しますか、これは一般的に申しまして、鉄道がほんとうに斜陽化してしまって、ほかの輸送機関に対抗できない、つまり運賃を上げれば上げるほどトラックその他と競争が不可能になる、上げたらお客や貨物が減るというような事態になったときに、国の援助を開始いたしておるようであります。イギリスの場合も、それをいつまでもほうっておきまして、いよいよ借金でしょい切れなくなった、そういうときに借金のたな上げを相当額やっておる。したがって、そういう事態がわが国としてはいつくるかという問題ともからむ面もあろうと思います。  それから、金利の問題が現実に相当大きな負担となっております。政府関係機関への財政投融資の金利を軽減してもらうとか、そういったこまかい助成策というものは、今後当面の問題として早目に解決していかなければならぬというふうに考えております。
  27. 坂村吉正

    ○坂村委員 非常にむずかしい問題だと思うのですけれども、やはり国鉄運賃というものは、一般物価に影響がないといっても、それはどうしても便乗値上げもありますし、現実問題としてなかなか影響があるものですから、そういう意味から言えば、今度のことは今度のことで一応おくとして、今後いろいろやはりすっきりした姿で国鉄運賃というものを考えておく必要があるのではないかと思うのです。ですから、そこで国鉄が独立採算に追い込まれておって、しかも公共負担をやっておるのなら、私は、どれだけのものがほんとうの意味の公共負担をやっておるかということを、ひとつはっきりといまからその準備をしてかかっておく必要があるのではないか、そうして、公共負担をきちんとやっておるものについては、その分はやはりきちんと国からめんどうを見させる、そのくらいの強い資料がなければ、そういうことはできないのではないかと思うのです。いま独立採算部分については、きちっとこれはコスト主義でやるならやってもいいけれども、その上に公共負担というやつがおっかぶさってくるなら、それは国からきちんとめんどうを見させる、こういう体制を、運輸省経済企画庁もそういう見地から、今後の国鉄の中身をほんとうに検討していく必要があるのじゃなかろうか、こういう感じがするのです。これは非常にむずかしい問題です。しかし、いまいろいろ産業連関表だのああいうものさえ幾らでも使えるようなそういうことになっておるのですから、やる気になれば国鉄の内部でも幾らでもやる方法はあるのじゃあるまいか、私はこういう感じがするのです。そういう意味で、経済企画庁でももう少し積極的に取り組んでもらったらどうかと思うのですが、どうでしょうか。
  28. 中西一郎

    ○中西政府委員 お話を聞いておりまして、同感の点も非常に多いのです。ただ、これから物価問題懇談会というところでも御検討願うような段取りになっておりますので、いまここで私から個人的な意見を申し上げてもなんですけれども、企業性あるいは公共性、いろいろ考える基準が立ち得るのじゃないかと思っております。いまある公共負担あるいは暫定割引等だけでなしに、償却のしかたとか、あるいはフェアリターンを見るか見ないかというふうな問題、さらに財投でどの程度のものを——貸し付け期間をどうするとか、いろいろな形で公共性の点もみるべきではないか。一般の営利会社とは違うわけですから、そういうものと見比べての基準の引き方もあり得るのじゃないかと思っています。いずれにしても非常に大きな問題です。あわせて申しますと、旅客貨物とのコストの負担のしかた等についても問題があろうと思います。あわせてよく検討いたしたいと思います。
  29. 坂村吉正

    ○坂村委員 それは根本問題でございますけれども、ひとつ十分御検討いただきたいと思います  そのほかにもう一つ運賃で、トラックとそれから貨車と比較する場合に、いつもトラック運賃そのものだけで比べることにやはり非常に問題があるのじゃないか。たとえば野菜をとってみれば、トラックでいけば圃場から大体店先までというような姿で運ばれる。先ほどお話があったように、荷づくり、包装というのは、貨車に積む場合に非常にやっかいです。トラックの場合には荷づくり、包装が非常に簡便で済む。その費用はだいぶ違うのです。それから貨車おろし、おろし賃かなんか知りませんが、手数料とかそういうものがいろいろあるでしょう。そういうものをいろいろ合わせてみた場合に、遠距離のほうは別にいたしまして、一番の中心の東京なら東京に対する供給地、たとえば名古屋あたりであるとか関東近県とかいうところをとった場合に、値段に対する影響というものはほんとうはどういうことになるかということで、トラックの場合と比べて考えていく、こういうことが今後の鉄道輸送の、特に生鮮食料品なんかを運ぶ場合の輸送の問題として非常に大きな問題じゃないか。えらい当てにして、割り引いたのだからそのうち乗っかるだろうと思っても、実際は乗っかってこないというようなこともあろうかと思います。そういう点は何か資料として、きちんと調べてみた資料がございますか。
  30. 深草克巳

    深草政府委員 お尋ねの点そのとおりでございまして、ただ私どもも運賃だけで比較をいたしておるわけではございませんので、両端の荷役とかあるいは生産地から消費地までの輸送時間、輸送時間と申しますと、結局生鮮度にも関連をいたしますが、輸送時間の問題、こういったあらゆることを要素に入れた試算をいたしたことがございます。いま手元にございませんが、そういった点は、出荷をされる人が私ども以上に非常に詳しいのでございます。したがって、ただ表面上の運賃というようなことだけでなくて、そういったいろいろな要素を商売人の方自身が計算をいたしまして、輸送機関の選択をいたしているのが現状でございまして、私ども表面上考えますと、まだ鉄道のほうが有利じゃないかというような考え方のところさえ、トラックがどんどん進出いたしていますのは、先生がおっしゃいましたような諸要素がからみ合って、そういうものを選択いたしておるというふうに考えております。大体トラックのそういった要素も加味して、トラックが働き得る距離といいますか、だんだん広まってきておりまして、いまたしか二百キロくらいの圏内にまで及んでいるのではないかというふうに想像いたしております。
  31. 坂村吉正

    ○坂村委員 鉄道運賃物価にどういう影響を与えるかということを議論する場合に、いつも非常に単純な資料が出ておる。計算上三%しか影響はありませんとか、〇・何%しか値段に影響はありません、こういうことをいっている資料が大部分です。現実問題として、いまのような問題をいろいろ考えてまいりますと、全部はね返りがあるわけです。そういうものを総合的に考えていくと、物価にどういう影響を与えているかというところまで見ていかないと、鉄道運賃だけでこうです。こういうことをいって資料を出してきましても、そこら辺では納得しない、こういう点があるのではないかと思うのでございまして、今後、いわゆる物価問題が生鮮食料品を中心にして非常に大事な問題になってきますので、そういう点も考えて資料を出していただければ非常にけっこうだと思います。  終わります。
  32. 山本勝市

    ○山本(勝)委員 関連して。資料というか、ついでに、ぼくは日本の場合に個人が非常に車を、外国と比べて持ちたがると思うのです。どうしてそんなに個人が自分で荷物車を持ちたがるのか、それをひとつこの次にでも、検討したものがあったら知らしてもらいたい。これは、交通はんらんの問題からトラック運賃が安過ぎるから、トラック業というものが成り立たぬで、個人がああいうふうに持つのか、高くてそうなっておるのか。しかし、トラックの運転手が非常に労働が激しいところを見ると安過ぎる。何か運輸行政の上にどこかに穴があって、そのために専門家に荷物をまかせないで、みな自分のうちで車を持って、ちょっとした荷物でも自分で運ぶのか、この点ひとつこの次にでも知らしてもらいたいと思います。
  33. 深草克巳

    深草政府委員 自動車局長が見えておりますから……。
  34. 坪井為次

    ○坪井政府委員 自家用車の伸びというものは、トラックについても非常に激しいのでございます。この原因は、やはり自分の手元で直接持っておるということの便利さが一番大きな要件ではないかと思います。コスト計算からいきましたら、やはり事業者に頼んだほうが有利な資料が出るのではないかと思いますけれども、それにもましてすぐに手をつけられるという点に、まず第一の原因があるのではないかと思います。
  35. 小笠公韶

    小笠委員長 村山君。
  36. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 時間もあまりありませんし、きょうおいでいただいたのは政府委員並びに説明員でございますから、事務的な問題でちょっと簡単に質問をいたします。  公共料金政策として、いろいろ電力、ガス、鉄道バス、そういうような公益事業というものがあるわけですが、そのいわゆる経理内容の公開の問題については、前に私新聞で見たのですが、中西生活局長が、法律上そういうようなものを、定期的に経理公開の原則というようなもので義務づけるような方向にしたらいいじゃないか、大衆に経営内容を知らせずに簡単に値上げに走る傾向がある、そして国民が納得をしない形の中で料金値上げというものが決定をされていく形の中から無用な混乱が生ずるのだ、こういうような構想が示されたことを私聞いているのでございますが、その問題は事務的にどういうふうに推進しようとしているのか、これは中西局長から、一つの新しいアイデアだと私は思うので、そういうような立場からひとつ説明を願っておきたいと思うのです。  それから、今度の国鉄運賃値上げの問題は、資金繰りと損益収支の問題が混在しておったと私は思うのですが、この輸送力増強という問題からとらえてまいりました場合には、やはり資金的な問題だというふうに私たちは考えるわけです。その資金繰り上の問題がこの運賃値上げの問題に派生をしたとするならば、やはり社会党が出しました国鉄の緊急整備法にいたしましても、あるいは大蔵省のほうから言わしむれば、固定資産その他国有の施設というものを大幅に国鉄のほうに持たしているのだから、出資金は少ないけれども、全体の資本構成から見るならば、これは他の公社等に比べて、そう資本構成比率が悪いものではないのだというような説明も成り立つかと思うのですが、しかしながら、この問題を物価対策という問題からながめていけば、当然そういうような問題が派生をするのではないかと思うのです。そういうような立場から、いわゆる鉄道の利用債というものを政府保証債にしたならば値上げをしなくても済んだのじゃないか、こういうような意見等も出ておるわけでございますが、これに対しまして、大蔵省のほうが答弁ができましたら——答弁の立場にないということであれば答弁をしてもらわなくても、また他日において問題を提起いたしたいと思いますので、お答えを願いたいと思います。  それから、きょうおいでになったのは運輸省の官房長ですが、やはりあなたのところが、一つの交通ビジョンというものをお持ちにならなければならないのじゃないか。今度の国鉄運賃値上げの前に、国会が関与できない形の中で、運輸大臣の権限として私鉄運賃が決定をして、それを受けて国鉄運賃というものが上がってくる。話をいろいろ聞いてみますと、大都市の交通というものを一元化するためには、私鉄運賃に見合って国鉄運賃を比較してみると、どうも国鉄運賃のほうが低過ぎる、だから国鉄運賃を上げて一元化の構想というものを推進しなければならないのだという説もあるようであります。そういうようなことを考えながら、今日の予算上の措置あるいは財政上の措置から見てまいりますると、確かに国鉄私鉄運輸省というものがばらばらの行政をやって、むだな投資というものが行なわれているように私たちも見るのであります。そうなってまいりますると、いわゆる交通ビジョンというものがないのだということを言われてもこれはしようがないのであって、都市交通の一元化政策というものを事務当局は今後どういうふうに推進していこうと考えておいでになるか、その点について説明を願っておきたいのであります。  それから、私は大蔵省の、いわゆる金融機関説明については、先ほどちょっと出かけておりましたので、聞いていないのに質問をするのもいかがかと思うのでありますが、ここで私お尋ねをいたしておきたいのは、都市銀行にいたしましても、地方銀行相互銀行信用金庫にいたしましても、本店の数はむしろ減少の方向に向かっておるわけです。しかしながら支店の数は、出張所を含めまして漸増の方向に向かっておる。それで予算委員会において福田蔵相が言われましたように、新規の店舗の増設については抑制をするのだという指導方針というものをお持ちであろうと思うのでありますが、今日の低金利政策を推進していく中において、まあ町の四つかどあたりにはほとんど新しい支店と称する金融機関店舗が立ち並んでおるわけです。固定資産の比率が非常に増大をするという問題があると同時に、はたしてそういうような町かど町かどごとに金融機関が増設をされなければならない社会的な需要と供給との原因があるのだろうか。近いほど便利は便利でありますけれども、そこら辺にある店で食料品を買うように、金融機関に行く人たちは足で行けばいいし、遠いところは自家用車で行けばいいわけですから、さほど軒並みに新しい鉄筋の建物をつくって支店を開設する必要はないのじゃないかと私は思う。今日の産業の状態を考えてまいりますると、むしろそれよりも一番大きな影響を受けているのは、何といっても資金コストが高いということなんですから、その資金コストを引き下げるという立場から考えてまいりましても、そのような店舗の増設というものは、今後においてはこれを縮小していく方向で、特に信用力のない町の金融機関等については、これをチェックしていくという方向で統合を一やはり金融機関の場合には、預貸率その他いろいろ検討しなければならないと思いますが、いまのコスト高というものを低くするためには、どうしても統合を推進するのがほんとうだろうと思うので、そういうような立場から、いわゆる金融機関の統合の問題の方向はどういうふうにお考えになっておるのかという点について説明を願っておきたいのであります。  それともう一つは、公定歩合の引き下げに伴いまして、貸し出し金利も幾らかずつは下がっておりますが、公定歩合の引き下げに伴う分だけそのまま率直に、貸し出し金利の上にそのような数字が反映をされないということは、特に、都市銀行あたりは別にいたしましても、相互銀行なり信用金庫経営内容が、それに対応できない内容を持っているから、わりあいに高金利政策を続けていかなければならないのじゃないか。歩積み・両建ての問題も、やはりそういうような意味においてそこに残っているのだと私は思う。そういうような立場から考えてまいりますると、この相互銀行なり信用金庫なりの金利引き下げという問題は、いままではいわゆるコールに回して、それで利ざやをかせいで、そうして経営の安定をはかっておったような不健全な状態があったわけですが、そういうようなこともできないわけですから、それをどういうふうにしてやるのかという方向を政策的にお持ちであるならば、ひとつ説明を願っておきたいのであります。
  37. 中西一郎

    ○中西政府委員 お話しの経理公開の問題ですが、実は、東京外国語大学の伊東光晴さんから提言がありまして、考え方として賛意を表した経過がございます。問題はいろいろ多岐にわたるのですけれども、いわゆる公共料金といわれている分野、政府がきめているもの、あるいは認可制度のもとにあるもの、そのほか不況カルテルが結ばれているもの、再販売価格維持契約の制度のもとにあるもの、いろいろありますが、それらの中で特に必要のあるものについて、詳しい経理の中身の公開という意味でなしに、そこの生産性が上がっているかどうかとか、あるいは配当はどうなっているかとか、あるいは労賃の水準はどのくらいかというようなメルクマールについて、やはり世間に知ってもらう必要があるではないかという趣旨です。詳しいものを見ようとすれば、会社については有価証券の報告書がございますけれども、そういうような大部のものでない、要点だけを出すということが仕組まれ得ないかということでございます。物価問題懇談会でせんだって来分科会ができまして、いろいろ個別の品目に入っておられますが、いずれかの時期に、共通の問題についての横断的な検討もしていただけるものであると思っております。その際に、より具体的な地固めをすることができれば幸いである、こう考えます。
  38. 深草克巳

    深草政府委員 私どもの関係の御質問に対してお答えをいたします。  最初は、国鉄運賃値上げが、資金繰りのためか、赤字解消のためか明確でなかったということでございますが、御指摘のとおりでございます。ただ、資金繰りということと収支の均衡ということは両方とも相いれぬ問題でございまして、資金繰りには必ず金利というものが伴いますので、それの金利の負担増というのが、今後の七カ年計画の中で非常に大きな負担になる。一方、償却その他のやり方については問題がございましょうが、そういった原因がございまして、損益計算上も赤字になる。両々相まって値上げをしなければいかぬということでございまして、説明できる数字ではございますが、その点が明確でなかったということは、御指摘のとおりではないかと思っております。  それから、利用債を政府保証にしたら上げなくても済むのではなかろうかということでございますが、利用債は毎年二百億とちょっとでございまして、これは、場合によりましては一般の債券よりも安い金利で発行いたしておるものもございますし、文字どおり利用者あるいは縁故者に対して募集をいたしておりますので、この点について、私どもとして政府保証をお願いする気持ちは持っておりません。むしろ問題は、去年から発行されました特別債券につきまして、これは相当な金額でございますので、昨年から日銀の担保適格債にしていただきたいというようなことを希望いたしておるわけでございますが、取り扱いがどうなろうと、特にそれによって金利負担が減るというわけではございませんので、ただ発行が、政府保証とかあるいは日銀の担保適格になっておると、消化が非常に容易になるという点で、われわれとしては非常に望ましいというふうに考えておるのでございます。  それから交通ビジョンの問題でありますが、御案内のように、交通政策のあり方につきましては、過去数回となく内閣あるいは運輸省その他のいろいろな審議会でも御指摘を受けておりまして、私ども、その作業を私どもなりにやっておるわけでございますが、いろいろむずかしいと申してはなんですが、基本的な考え方をどういうふうに持っていくかという点で、数字的な検討の段階でございます。と申しますのは、たとえば先ほどもお話がございましたが、ただ表向きの運賃だけで比較してはいけないという問題もあるわけでございます。そういった場合には、ある物資をどこからどこまで輸送をするのに何が安いか、これは利用者の立場からいって何が安いかという問題があるわけでございます。それといま一つの大きな問題は、これから設備投資をする場合に、どの輸送機関が国民経済的に最も有利かという問題があります。これの比較は、実は各輸送機関によりまして、たとえば自動車輸送を例にとりますと、自動車が走っております道路につきましては、もちろんガソリン税は納めておりますけれども、表向きは国の費用で道路が敷かれておる。鉄道の場合は、線路その他土地を含めましてすべて企業者が負担をしておるというふうな問題がございます。それから飛行機の場合には、空港は国が負担をいたしております。それから鉄道の信号機に当たります管制のいろいろな問題も国がやっております。それから内航海運に例をとりますと、末端の港湾の設備の大部分、これはもちろんいろいろな税金をとってそれを財源といたしてやっておりますけれども、そういう問題があります。したがって、まあ空や海は通路はただでございますけれども、おのおののそういった問題、つまり道路を敷くがいいか、鉄道を敷くがいいか、あるいは内航海運でいくがいいかどうかという問題は、それによって利用者が負担をしようと国が負担をしようと、最終的には、やはり国民経済的に考えますと同じことでございますので、どれが国民の負担が一番少なくて済むかというコスト的な考え方からまた優劣をきめなければいかぬいろいろな要素がございまして、そういった組み合わせの計算が非常にややこしいというような問題がございまして、いろいろな角度から試算をいたしております。  それから、一番簡単なと申してはなんですが、将来どういうふうな輸送傾向になるか、これは過去のあれから申しまして、自動車が非常に発達をしてきたというような問題、あるいは航空機が非常にふえておるというような問題は、時系列的には出し得る問題でございますので、ある程度将来の諸外国の輸送構造の変化も勘案しながら、それを修正しながら伸ばしていくというような作業はやっておりまして、これは間もなく私のほうででき上がることになっております。そういったことで努力はいたしておりますが、遺憾ながら道路につきましての所管官庁も違いますし、御指摘のような点もなきにしもあらずでございまして、今後とも関係各省と十分連絡をとりながら、そういった点を体系づけてまいりたいと思うのであります。  それから、私鉄運賃が先に上がって、都市交通の一元化のために国鉄私鉄に追随して上げているではないかというようなお話でございます。これは全く逆といいますか、むしろ国鉄のほうが先に上げるべきだということはさまっておりまして、ただ一年間ストップして上げなかったということで、上げるという態勢につきましては、国鉄のほうがむしろ先にきまっておったわけでございます。私鉄のほうも国鉄と大なり小なり同じ問題がございまして、ただ時期的に、国鉄の場合には国会にかかりますし、私鉄の場合は運輸大臣あるいは経済閣僚懇談会、こういったものを経まして上げたということでございまして、そういった意味の関連はございませんので、御了承願いたいと思います。  それから、都市交通の一元化の問題でございますが、これは御承知のように、省内に都市交通審議会というのがございまして、これは関係各省の次官の方も委員になっておりますが、昭和三十一年の答申で、首都における陸上交通機関を適当な経営主体のもとに合同せしめることが望ましいというふうに、基本的にはそういう方向の答申が出ておるわけでございます。ただ、諸外国の都市と比べてわが国の首都のあれは若干事情が複雑でございまして、私どももその答申を受けまして、それではどういう段階で、どういう方法で、いつやるかというような問題につきまして再諮問をいたしたわけでございます。三十七年六月にそういう諮問をいたしましたが、その結論ははっきり出ませんでしたが、その後の審議過程におきましては、現段階においては一元化は時期尚早であるという意見がむしろ有力になってまいりまして、まだ結論に至っておらないわけでございますので、私どもといたしましては、一元化の問題の審議を一時保留をいたしておりまして、現在は、一元化を行なう前に、一元化をやった場合と同様なメリットがあるような問題があるわけでございます。たとえば、共通乗車券の発行の問題とか、各輸送機関の運賃の平準化、それによって輸送力を適当にうまいぐあいに片一方に片寄らないようにするというような問題もございますので、運賃調整の問題などについていま審議をお願いいたしておる段階で、一元化の問題は、理想としては私どもも掲げつつも、いろいろな障害もございますので、現在それに至るまでの、同じメリットを確保するための審議を行なっておりまして、共通乗車券などにつきましては、一部同じ路線を走る都バス私鉄経営しているバスにつきまして、共通乗車券の実施をいたしておるような段階でございます。
  39. 広瀬駿二

    ○広瀬説明員 ただいまの利用債を政府保証債に切りかえることによって、国鉄値上げをある程度押えられないかというお尋ねでございましたが、ただいま深草官房長からお答えいたしましたように、利用債にはかなり低利のものもございまして、むしろ政府保証債よりも低いような状況でございますので、それはあまり関係してこないと思います。ただ、深草官房長が言われましたように、あるいはお尋ねの趣旨がむしろ特別債のほうではなかろうかということでございまして、特別債でございますと、七分五厘ないし七分八厘くらいの発行者利回りでございますので、政府保証債の七分一厘に比べましてかなり上回っておりまして、これをできるだけ政府保証債のほうに持っていくということは、確かに効果のあることでございますが、しかし、特別債は四十一年度予算では六百五十億で、前年度の当初予算では六百八十八億、補正で千百七十億となりましたのを、大幅に落としております。先生のおっしゃるような御趣旨を入れて、できるだけ特別債は少なくするということで考えました。ただ、特別債というものも、国鉄資金需要が非常に大きゅうございまして、約三千六百の工事勘定の資金の充足をいたしますためには、二五%の値上げによる大幅の資金の充足のほかに、政府資金の導入、あるいは政府保証債発行と一緒に、やはり特別債ということも、これは消化層が違いますので、ある程度は必要かということで、運輸省国鉄当局と相談いたしまして、いまのような数字になったわけでございます。政府保証債は全体で四千億今度発行しておるわけですが、そのうち一千三百億を国鉄に回しておりまして、最も大きなシェアとなっておることを御了承願いたいと思います。なお、特別債につきましては、これは国鉄側でも十分消化の自信があるというところまでの発行にとどめておることを、御了承願いたいと思います。
  40. 青山俊

    青山説明員 御質問三点ございますが、一つずつお答え申し上げます。  第一の店舗の問題でございますが、御指摘のように、非常に支店の数がふえてまいりまして、特に二、三年来店舗の新設を非常に弾力的にいたしましたので、その結果非常に各支店の数がふえ、御指摘のようにあちらこちらに金融機関が非常に目立つという状態があるわけでございまして、私どもも現在の預金者利便ということから考えまして、一応店舗の配置は大体できているのではないか、こういうふうに考えております。と同時に、御指摘のように、非常に不動産がふえますと固定資産がふえまして、資金が固定化いたしますので、そういう点で、店舗については抑制の方針で臨むということにいたしております。  それから、第二点の統合の問題でございますが、特に非常に数の多い信用金庫の場合には、最近合併という動きが非常に出てまいりまして、ここに九月末で五百二十六という数字になっておりますが、現在では、これがさらに二つ減りまして五百二十四ということになっております。信用金庫の本店数が五百二十四金庫になっております。なお、最近いろいろ当事者間で合併の話し合い、そういう機運に向かっているのが相当ございまして、合併というものは、一緒になってからやはり円満にその金融機関が運営されなければなりませんので、やはり当事者間の話し合いということを中心にいたしまして、われわれのほうといたしましても、こういう場合には全幅的にこれに対して協力して推進していく、こういう考え方に立っております。したがいまして、信用金庫については、今後なおそういう傾向が出てまいると思います。第三点の相銀、信金の今後の問題等とも関連いたしますが、特に信用金庫の場合には、いままで非常にコールが高かったわけでございまして、コールに資金を運用して相当高い収益をあげていた。ところが、ここ一年来コールがずっと下がりまして、それによる収益が急に減りましたわけでございます。と同時に、従来コールのほうが楽だというので、貸し出し先の開拓ということについて、十分な配慮の足らないところもあったわけでございまして、そういう点で、信用金庫自体の経営者もいまや非常に自覚いたしておりまして、優良な中小企業貸し出し先の確保ということに非常に努力いたしておりますが、なお金庫によりましては、資金が非常に吸収しやすいけれども、なかなか貸し出しの先が少ないという地域もございます。こういうところにつきましては、十分その金庫の実態を見ながら、営業区域の拡張というふうな問題、あるいはいま先生の御指摘のありました統合の問題というふうなことを、やはり今後考えていかなければならない、こういうことでございます。  なお、相銀、信金につきましては資金コストが高いわけでございますが、それぞれ三カ年計画等を立てまして、中の経営合理化ということにいま真剣に取っ組んでおるわけでございます。純粋な預金の獲得と同時に、やはり営業方式の合理化ということによりまして資金コストを下げ、同時に貸し出し金利も下げる。ただいま御指摘のように両建て・歩積みの整理がことしの五月をいま期限にいたしておるわけでございます。そういう点で、やはりきちんとした経営態度というものを確立する必要がございますので、われわれのほうといたしましても、金利の引き下げを中心にいたしまして、経営の健全化、合理化ということについては一そうの配意をいたしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  41. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 もう時間の関係がありますからこの辺でやめますが、新聞で見ますと、運輸省のほうにいま申請が出たというふうに伝えられておるのですが、タクシー代の値上げの問題であります。三五%ほどの申請が出ている。理由は、いろいろ正当な理由を掲げているようであります。しかし、われわれが東京のタクシーに乗ってみまして気がつくことでありますが、もうガソリン車などというタクシーはほとんどいまはない。ハイヤーは一部残っておるようでありますが、プロパンガスを使って、それに完全に切りかえている。燃料のコストは、プロパンガスに切りかえることによって約三分の一に節約ができる、こういうことを運転手の諸君も言っているのであります。そういうような立場から考えていきました場合に、なるほど今回プロパンガス税につきましては、三カ年計画で若干の税を課するということにはなりましたが、その税の中に占める割合というものは、まだきわめて小さいわけです。そういうような立場から考えてまいりますると、いままでガソリンを使っておったものをプロパンガスに切りかえることによって、経費の節約というものができたはずなんです。そういうようなことを私たちは考えるわけであります。その立場から、この三五%という大幅な値上げについては、常識的に見て非常に疑問があるのじゃないかという見方をしておるのでありますが、それに対して運輸省はどういうところまで現在検討を進めているのか、このことについての見通しを説明願っておきたいと思うのであります。  それから大蔵省店舗の問題で、私具体的な問題を一つ提示いたしたいと思うのでございますが、私の選挙区に離島がございます。そこには二つの町がございまして、人口は約三万名おる島がございます。長島というところですが、そこは、金融機関というのは農協と郵便局しかございません。地方銀行の支店が本土のほうにございますが、営業区域は離島までということになっているのであります。しかしながら、政府資金を借りる場合においても、あるいはその他金融機関のべーズによる資金を借りる場合におきましても、やはり本土まで出かけていって、そこで借り入れをしなければならないということになっておりまするので、金融物価機関等における預金実績というもりが、なかなかそういうようなことでうまくいかない。だから、自分の自己資金をもって中小企業の場合は運営をやらざるを得ないというような羽目に追い込まれているわけです。そこで、商工会のほうとしては、預金量その他から考えたらきわめて困難な問題があるけれども、離島という一つの特殊的な事情というものを検討して、ぜひ支店なり出張所というものを開設してもらいたい、こういう切なる要望があるわけです。ところが、地方銀行にいたしましてもあるいは相互銀行信用金庫にいたしましても、そこにそういうような店舗をかまえるという意思はないのです。というのは、それは営業性の上から計算をしてみましても成り立たない。だからわれわれはそこに店舗をかまえないのだということなんです。両方それぞれの理由はあると思うのですが、私は、そういうような離島の商工業者が金融の道がつけられないという、そして農協とか郵便局だけにたよって営業しなければならないという形態は、これはまさに前近代的な形であろうと思うのであります。したがって、ここはやはり行政指導といいますか、そういうような離島の特殊性というものについては、検討をしていただかなければならないかと思うのでありますが、それがどのように措置されているのであるのか、その点についての説明を願っておきたいと思うのでございます。
  42. 坪井為次

    ○坪井政府委員 ただいまタクシーの運賃のお話が出ましたが、これは東京運賃であろうと思うのであります。まだ東京のタクシーについては、申請は役所のほうに出ておりません。新聞で業界にそういう意向があるということが伝えられている程度で、われわれとしては、申請の内容についてはまだ承知しておりません。ただ、東京のタクシーにつきましては、前回三十八年の十二月に改定をいたしましたが、このときの申請内容は、たしか三〇何%かの値上げを、非常にきびしい査定をいたしまして、一五%で認可をいたしておりますので、相当ぎりぎりの認可というふうにわれわれは感じておりました。その後プロパンが普及しまして、相当やりくりはやっておるようでありますが、オリンピックで相当増車をしましたこと、経済不況が相当運賃収入に響いておりますこと、そういうようなことから、非常に経営が苦しくなっているという話は聞いておりますけれども、その三五%といわれる内容その他については、まだわれわれとしてはよく承知いたしておりません。もし出ました場合には、十分社会に対する影響、物価抑制、そういった見地から、われわれとしては内容について慎重に検討をしていきたいと思っております。
  43. 青山俊

    青山説明員 ただいまお話しのありました点、先ほど申し上げましたのは一般的な原則論についてお話を申し上げたわけでございまして、実はいま村山先生からお話のようなケースは前にもあったわけでございます。これも離島でございまして、お話のように、金融機関といたしましてはそろばん勘定がございますので、いろいろ彼此かれこれ検討いたすわけでございますが、やはり金融機関としても、利用者の立場ということを考えて店舗を設けるという必要があるわけでございます。また店舗というものも、そういう点を十分加味して考えていかなければならぬ問題でございまして、ただいまの問題につきましては、個別の問題といたしましてわれわれのほうも検討させていただきたいと思います。
  44. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 終わります。
  45. 小笠公韶

    小笠委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもってお知らせすることとし、これにて散会いたします。    午後零時二十四分散会