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1966-02-16 第51回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年二月十六日(水曜日)    午前十時二十七分開議  出席委員    委員長 小笠 公韶君    理事 木村 俊夫君 理事 倉成  正君    理事 砂田 重民君 理事 舘林三喜男君    理事 山本 勝市君 理事 井岡 大治君    理事 兒玉 末男君 理事 村山 喜一君       竹内 黎一君    床次 徳二君       粟山  秀君    伊藤よし子君       大村 邦夫君    吉村 吉雄君       玉置 一徳君  出席国務大臣         国 務 大 臣 藤山愛一郎君  出席政府委員         総理府事務官         (公正取引委員         会事務局長)  竹中喜満太君         経済企画政務次         官       鴨田 宗一君         総理府事務官         (経済企画庁国         民生活局長)  中西 一郎君     ————————————— 二月十四日  委員坂村吉正君辞任につき、その補欠として床  次徳二君が議長の折名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件(物価対策現況等)      ————◇—————
  2. 小笠公韶

    小笠委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  本日は、まず、政府物価対策現況について、藤山経済企画庁長官から説明を聴取することといたします。藤山経済企画庁長官
  3. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 今回衆議院内に物価問題特別委員会ができまして、そして真剣な御討議をいただくことになりました。私ども物価問題に対して努力をいたしておる者にとりましては、まことに幸いなことでございまして、どうぞよろしく今後皆さま方の御協力をお願いいたします。  消費者物価安定の基本的な考え方につきましては、すでに、先般の経済演説におきまして明らかにいたしたところでございますが、本委員会におきまして重ねて所信の一端を申し述べたいと存じております。  今日、不況下にありましても、消費者物価は依然根強い騰勢を続けております。消費者物価を早期に安定に導きますことは、不況の克服とともに、当面する最も緊要な政策課題でございます。  このような時期にあたりまして、このたび衆議院において、当物価問題等に関する特別委員会が設けられましたことは、まことに時宜を得たものでありまして、政府といたしましても、当委員会の御審議を通じ、消費者物価の安定に、一そうの努力を傾注してまいる覚悟でございます。  近年におきます消費者物価高騰は、経済の急速な成長過程におきまして農業、中小企業サービス業などの部門生産性格差を残しているまま賃金所得上昇し、それを価格料金の引き上げによってまかなわざるを得なかったことに、おもな原因があると考えております。これらの部門におきまして賃金所得上昇し、そこに働きます人々の生活水準が向上してまいりますことは好ましい現象でありますし、それによって消費者物価がある程度上昇することは、やむを得ない面もございますが、しかし、現在のようにその高騰が続いていることは、国民生活にとりまして、また経済発展にとって、大きな問題でございます。したがいまして、消費者物価の安定をはかるためには、特に、低生産性部門生産性を向上し、流通部門合理化をはかり、労働力流動化を進めるなど、経済構造を是正していく基本的な対策を、長期にわたって着実に積み重ねていくことが肝要であると考えておるのでございます。  政府は、昨年末、臨時物価対策閣僚協議会及び物価問題懇談会を設けまして、新たな決意をもって、広く国民的理解協力を得ながら真に実効のあがります物価対策を推し進めることにいたしておるのでございます。  また、昭和四十一年度予算案及び財政投融資計画におきましては、農林漁業中小企業関係予算及び財政投融資を増額して、その近代化高度化を促進し、長期的、総合的見地から消費者物価の安定をはかるための施策を、関係各省庁にわたって積極的に推進することといたしておるのでございます。特に、家計に直接つながります生活必需品につきましては、野菜集団産地の育成と価格安定制度拡充、鮮魚の冷凍形態の普及、食肉の増産、中小卸売り市場整備等施策を推進することにいたしてまいりました。さらに、小売り商業連鎖化、協業化の推進により、卸・小売りを通ずる流通機構整備をはかるほか、環境衛生関係事業に対しましても、国民金融公庫よりの融資を大幅に増額する等、その合理化近代化に配慮することといたしております。その他、公正な価格を形成するため、公正取引委員会機構拡充をはかるなど、各般にわたりまして物価安定対策財政面から強力に推し進めることにいたしております。  以上の諸施策が十分な効果をあらわすには、ある程度の期間を必要といたします。このため、物価上昇による家計への影響につきまして十分配慮する必要があり、所得税の減税や、社会保障充実等につきまして、今後とも積極的に推進してまいりたいと考えておるのでございます。  なお、不況対策物価対策は矛盾するのではないか、という議論が一部にありますが、財政規模が拡大しても、これが低生産性部門社会資本に多く振り向けられますならば、物価上昇構造的原因是正策ともなりまして、単なる不況対策にとどまらず、長期的に見て消費者物価の安定に寄与するものと考えております。  以上のように、政府は、消費者物価の安定をはかるため、今後あらゆる努力を傾注してまいります。当面する昭和四十一年度につきましては、その上昇を五・五%程度にとどめるとともに、さらに、今後三年以内に三%台まで落ちつかせたいと考えております。  なお、このたび政府は、米価、国鉄運賃私鉄運賃郵便料金等につきまして、その値上げを認めることにいたしました。これは、財政企業家計のそれぞれの困難な事情につきまして十分配慮しつつ、やむを得ず最小限度値上げを認めることにいたしたものであります。今後、公共料金の取り扱いにつきましては、経営合理化を強力に進め、その上昇要因をできるだけ吸収する措置をとり、これを極力低位にとどめるように努力してまいる所存でございます。  最後に、繰り返して申し上げますが、政府決意を新たにして強力に物価対策を実行していく覚悟でございます。本委員会におかれましても、十分御審議いただき、一日も早く消費者物価が安定するよう御支援と御協力を賜わるようお願い申し上げる次第でございます。(拍手)
  4. 小笠公韶

    小笠委員長 次に、中西国民生活局長から補足説明を聴取することといたします。経済企画庁中西国民生活局長
  5. 中西一郎

    中西政府委員 補足説明を申し上げます。  お配りしてあります資料は、横に長い、計数を主として掲げております「物価関係指標」というのがございます。もう一つは、いままでの物価安定対策の経緯、その他若干の資料をお配りしております。  大臣の申し上げましたことで大体尽きておるのでございますけれども関係資料等に関連しながら、少し問題点を浮き彫りにしてみたいと存じます。  昭和二十六年の朝鮮動乱、その後の好景気等がありまして、若干の上昇期がありました。しかし、三十年から三十五年までは景気の変動がありましたものの、消費者物価は大体落ちついてきたという経過がございました。ところが、昭和三十五年の後半から消費者物価上昇が始まっております。その後の年率を大体ならしてみますと、この表の一ページにありますが、対前年度比で三十六年が六・二、その次が六・七、六・六、四・八、八・四——八・四といいますのは、四十年の上期だけの計数でございますが、図表にございますように、右上がりにずんずん上がっております。この表で、実線のほうは総合指数です。点線のほうが季節商品、主として野菜、くだもの、魚を除いたものの指数です。野菜、魚その他出鮮食料品だけが物価上しがりの責任を負うべきものでないということは、この表で十分うかがえると思います。別個に相当強い物価上昇の力がある。それは一体どんなことだろうかということに触れたいのですが、その前に、実は卸売り物価のほうは安定しております。最近になりまして食料品あるいは非鉄金属等の強気で若干の上昇を示しておりますけれども、数年間を見ますと、安定しておったと言うことができます。  ところで、消費者物価のほうは、三十七年の引き締め時期あるいは昨年のような不況の時期でも、上昇速度が鈍化するという気配を見せておりません。この表で申しますと、三十七年のところから三十八年にかけてずっと上がっておりますし、四十年のところでは、すでに議論が十分なされておりますので、つけ加えて申し上げることもございません。ともかく、上昇速度が高いということです。  それからもう一つは、農水畜産物、それからサービス料金、そういうものの値上がりが激しいということであります。十五ページでございますが、棒グラフがございます。一番下の線の下に何年に対する何年という表示がしてありますが、総じて農水畜産物中小企業製品加工食品のうちでも特に中小企業製品、その他の工業製品でも中小企業製品、あるいは公共料金、あるいは対個人サービス、さらにその中での教育費というようなものの値上がり寄与率が高い。その他のものはそれほどの寄与率を示していないというようなことでございます。要するに、低生産性部門生産性の低い分野での賃金、あるいはその他のコスト押し上げ要因が響いて、消費者物価上昇の大きな分野を占めておったのではないか、こう思われるわけです。  そこで、総じて言いますと、その押し上げ要因の分析でございますが、労働力需給関係が最近になって非常に変わってきたこと、その過程賃金平準化がいろいろな要素で行なわれたこと、そのほかに、価格を下から押し上げる制度的な仕組みがあった。このことは、いろいろなカルテル行為、合法的なカルテルあるいは非合法的なカルテル等でうかがえると思うのですが、そういう要素があったこと、その辺に一つ原因があるのではないかと思うのであります。  それから他方生産性を上げなければならないということは、もうすでに数年前ある、いはそれ以前から指摘されておるのですけれども、そのことが、技術的な問題だけでなしに、むしろ日本経済社会を構成しております伝統的ないろいろなからみ合い、そういうものがあって、そう簡単には生産性が上がっていかないという意味での悩みが多いわけでございます。その辺が、やはり賃金価格に転嫁せざるを得なかった一つの大きな要因ではないかと思われるわけです。  それから他方需要面でのディマンドプルというような要素も、やはり一部ではあった。その辺がからみ合ってきたわけですが、四十年になりますと、ディマンドプルがないのにコストプッシュ要因が非常に働いて、消費者物価が強いということです。不況下物価高といわれております現象が、特に顕著になっています。そういう意味で、われわれとしては制度的な背景仕組みというものに十分な再検討をしてまいる必要があるというふうに感じておるわけです。  値下がりしておるものも確かにあるわけですし、品質が向上しておるというようなものもあるわけです。しかし、それらはいわば、十四ページにございますけれども繊維製品あるいは耐久消費財が代表的かと思いますが、値下がりあるいは品質の向上があるにしましても、家計でのウエートが小そうございます。十四ページの一番左の数字の欄ですが、一万分の三百二十四というようなことです。ウェートが高い、先ほど来申し上げています生産性の低い分野値上がりが大きゅうございますので、その辺で家計が圧迫されるということに相なっておるわけでございます。  それから、次の問題としまして、よく議論されますのは、そういう小生産者グループのところだけに、はたして問題がしぼられていいのか、もっと大企業分野あるいは重化学工業分野での制度的な問題点、あるいは従来の行政の関与のしかた等について反省をすべき点があるのではないかというような御指摘も出始めておるわけですが、その辺についても、十分調べていく必要があろうかと思います。といいますのは、これは高度経済成長そのものの功罪は別としまして、不況下での物価高を構成しておる大きな要素として、制度仕組みというようなことを議論します場合に、ある分野だけでそれを議論するということは、やはり客観的には公平を欠くことでもあろうと思います。そういう意味で、いろいろな分野についての価格問題の背景にある根本的な仕組み調査していく必要があるのではないだろうか、かように感じておる次第です。  それから流通問題、これは中小企業問題でもあるのですけれども、一応別立てで考えることもできようかと思います。やや広い範囲になりますが、国鉄貨物輸送近代化合理化の問題、料金は安いのにトラックに荷物をとられるというようなことが間々あるのでございますが、貨物輸送合理化し、サービスを向上していく必要がある。さらに、鉄道の両側といいますか、発着におきます通運事業合理化、これも通運事業構造といいますか、が、いわば二重構造になっておると思われますが、その辺で、国民経済利益に合ったような経営合理化が必要ではないかというようなことが指摘されます。それから道路やトラック輸送施設の問題、生鮮食料品市場関係あるいは集散の施設の問題、そのほか考えてみますと、四十一年度の予算にもちらほら出ておりますけれども、新しい施設機構というようなものを飛躍的にふやしていくべき時期にきたのではないかというふうに考えます。  それから、その次の牛肉とかあるいは豚肉、あるいは野菜に見られるのですけれどもコスト面のことのほかに、需給閥係バランスがとれていないために上がっておるというようなことが見られます。その辺については、出産構造を変えながら供給力をふやしていかなければならない。輸入をしなければならないということも考えられますけれども牛肉に例をとって申しますと、世界じゅうの総生産量の中で占めている貿易量はわずかでございます。その貿易量の中で、日本輸入するのは数千トンあるいは一万トンというようなことで、そう飛躍的なことも期待できないと思いますので、国内の生産体制供給増強を特に力強くやっていかなければならない問題点があろうと思います。  そのようなことで考えてみますと、総じて言って、構造的な問題がそれぞれの根っこにございます。そういう意味で、先ほどもその辺に重点を置いて大臣お話があったものと考える次第です。  不況物価関係等につきましては、すでに大臣の御説明の中にございますので、省略させていただきたいと思います。  四十年度の消費者物価上昇は、いまいろいろな見通しを立ててきておりますが、八%にはならない。七・五%でおさまるか、あるいはそれを少し出るのじゃないかというような感触でおります。いずれにしても、ここ十年来の最高の値上がりということでございます。  来年度以降の新しい施策、現在でも物価問題懇談会、あるいは臨時物価対策閣僚協議会等議論をしていただいておりますが、その辺の中から適切な対策が出てくることを強く期待し、われわれ事務当局としても勉強をしてまいらなければならない、かように考えておる次第でございます。  そのほか、構造問題の裏側といいますか、中山先生あたりがそういう表現をしておられますけれども価格競争機能を通じて適正に形成されるような条件整備すべきではないかということがいわれます。初めにもちょっと触れたことでございますけれども、この辺に関係していろいろ検討もいたしております。カルテルの数が非常に多い、あるいは法律の運用についての腹がまえの問題、諸外国にもいろいろな例がございます。ここで、福祉国家、あるいは国民生活利益を守る、あるいは消費者を保護する、いろいろな観点から、新しい転換の舞台に立たされておると思うのですが、そういう観点で仕事を進めてまいる必要があろうかと思っております。  賃金物価問題等について、それぞれの分野で対立した意見がございますけれども、それはそれとして、国民あるいは消費者利益を守りますために、特に収益の高い分野では製品価格を下げるとか、あるいは料金を下げるとかいうようなことを考える時期にきておるのではないか。総理も、そういうことを期待するということはたびたび、言っておられますけれども、したがって、行政権がそれに介入していくというところまでは、現在のところいっておりません。しかし、問題の今後の発展いかんによっては、そういうことも考えるべき時期がくるのではないかという予感が実はいたしておりますが、なお十分検討いたしたいと思います。  以上、主要な点だけに触れたのでございますが、日本社会構造経済構造、いろいろな問題から出てきた発熱状況、熱の高さが、いまの消費者物価値上がりであろうかと思います。これが卸売り物価に響くというようなことになるとたいへんでございますし、それが輸出に響くというようなことになるとなおたいへんでございます。そういう意味で、先生方の御鞭撻を得まして、われわれも適切な対策を講ずるようにいたしたい、かように考えております。  以上でございます。
  6. 小笠公韶

    小笠委員長 以上で、政府物価対策現況についての説明は終わりました。  次に、公正取引委員会竹中事務局長から、業務状況について説明を聴取することといたします。公正取引委員会竹中事務局長
  7. 竹中喜満太

    竹中(喜)政府委員 公正取引委員会物価対策につきまして、簡単に御説明申し上げます。  御承知のように、昭和三十五年度を境にいたしまして、消費者物価はにわかに上昇に転じまして、昭和三十六年度以降、昭和一十九年度は中だるみの状況は示しましたけれども年率にいたしまして平均六・五%程度上昇を示しております。本年度も、先ほどお話がありましたように、これ以上の上昇率を示すのではないかと思います。そこで、政府といたしましても、物価抑制一つの大きな施策といたしまして、このために努力をいたしておるわけでございまして、われわれ公正取引委員会にかけられる期待も大きいように思います。  ところで、この面で公正取引委員会の果たすべき役割りと申しますと、独占禁止法を厳正に、効率的に運用して、競争条件整備するという本来の任務に尽きるわけでございますが、消費者物価問題の重要性にかんがみまして、この際われわれの業務運営重点を、次の主点に置いております。  まず第一は、物価協定等の違法なカルテル取り締まりでございます。第二は、いわゆる管理価格などの硬直的な価格実態を究明してその対策を考えること。第三は、再販売価格維持制度の根本的な検討とその規制でございます。  まず、第一の違法なカルテル取り締まりでございますが、独占禁止法の第三条でカルテルは禁止されておりますので、私ども業務といたしまして、物価対策関係なしにこれは取り上げておるわけでございますが、最近価格協定が非常にふえておるというような状況でございまして、たとえば、昭和三十九年度を例にとりますと、昭和三十九年度の審査事件は百五十八件ございました。この百五十八件のうち、価格協定事件が七十五件、価格影響を及ぼすような数量協定あるいは販路の協定等、これを含めますと、八十八件という数字になりまして、半数以上ということになっております。それから、お手元に差し上げてありますところの昭和四十年度の業務についての報告がございますが、その中に、ごらんになればおわかりになりますが、昭和四十年中に私のほうで審決をいたしました事件は四十一件ございますが、そのうち三十件が価格影響を及ぼすような協定事件でございます。  これに関連してちょっと申し上げたいことは、独占禁止、法の適用を除外しまして、カルテル主務大臣認可で認める法律が現在三十九ほどございます。この三十九の法律がありまして、この法律に基づくカルテルの件数が、昨年末で千五十二という数になっております。ただ、この千五十二の中には、機械工業振興臨時措置法あるいは電子工業振興臨時措置法等に基づきまして、合理化カルテルを結んでいる場合がございますので、千五十二が全部価格影響があるカルテルと申し上げるわけにはまいらぬと思います。  このような適用除外法律がございますが、これらの中で、特に物価問題に関連しまして注意しなければならない法律は、中小企業団体法環境衛生法、それから独占禁止法の中の不況カルテル、それに中小企業等協同組合法に基づく協同組合事業でございます。  それで、ただいま申しました中小企業団体法、これに基づきますところの商工組合調整規程、それから環境衡量法に基づきますところの同業組合事業、これらはそれぞれ価格協定ができることになっておりますが、一定の要件が備わっておる場合、主務大臣がこれを認可するにあたりましては、公正取引委員会同意を求める、あるいは公正取引委員会協議をするということになっておりますので、同意を与える、あるいは協議に応ずる場合におきましては、私どもといたしましては、消費者に与える影響ども十分勘案いたしまして同意をし、あるいは協議に応じているわけでございます。  それから、独占禁止法不況カルテルでございますが、これは現在十七行なわれております。十七行なわれておりますが、価格についてのカルテル一つだけでございます。それで、不況カルテルは、関連事業者あるいは一般消費者に及ぼす影響が非常に大きいものでございますから、認可にあたりましては、これを認可する要件を厳重に審査いたしまして、関連事業者あるいは一般消費者に対する影響が不当にわたらぬように、十分注意をいたしております。  それから、問題は中小企業等協同組合法に基づく協同組合事業でございまして、協同組合価格を決定するわけでございます。それで、これをいかに取り締まるかということは、独占禁止法上も非常にむずかしい問題でございまして、本来、独占禁止法は、協同組合事業適用除外にいたしておりますが、この適用除外にいたしております理由は、協同組合共同経済事業を行なうというたてまえから、適用除外をいたしておるのであります。しかるに、最近の協同組合は、共同経済事業を行なわずに、単に価格協定をやるためにのみ協同組合がつくられておるという例が非常に多いのでございますが、独占禁止法適用除外をした場合、こういう協同組分を頭に置いておりませんものでしたので、こういう組合を取り締まることは、法律上なかなかむずかしい点があるということでございます。  それから、第二のいわゆる管理価格など硬直的価格実態の究明とその対策でございますが、数年前から私どものほうで、価格が硬直しておると思われるような商品につきまして、たとえば板ガラスとか、あるいはブリキとか、あるいは乳製品等について調査をいたしております。それで、その調査の結果、そこに価格協定があるというようなことでございますれば、これは独占禁止法違反として処理するわけでございますが、そこに価格協定がなくて、企業市場に対する支配力、あるいは価格に対する支配力が強いために、需給バランスによらず、その企業の意思で価格が決定されておるというような場合には、独占禁止法で処置する問題ではございませんので、それぞれの官庁に連絡いたしまして、輸入の促進とかあるいは関税の引き下げということによりまして、競争体制整備しようということでございます。  それから、第三の再販売価格維持制度根本的検討でございますが、再販売価格維持制度と申しますのは、製造業君が卸売り業者契約を結びまして、卸売り業者小売り業者に販売する価格を定めまして、その価格以下で卸売り業者小売り業者に売った場合には、製造業者は、この契約に基づきましてその出荷をとめる。また、卸売り業者小売り業者契約を結びまして、小売り業者消費者に売る価格を定め、小売り業者消費者にそれ以下の価格で売った場合には、卸売り業者は出荷をとめるというような制度でございます。これは、独占禁止法昭和二十八年の改正で新しく入った制度でございまして、すでにもう十年を経過しております。それで、再販売価格維持契約のできる商品というものは、いわゆる商標品といいますか、容易に品質が一様であるということを識別できる商品で、しかも日用品、それに、ほかに競争品がありまして自由競争が行なわれておるというものについて、公正取引委員会がこれを指定することになっております。先般まで九つの品目を指定しておりましたけれども、最近、物価問題がいろいろ論議されるにあたりまして、この再販売価格維持契約というものが問題になりますので、この九品目を検討いたしまして、先般、そのうちから四つほどのものを取り消しいたしました。  そのほか、現在指定してあるものの中にも、指定後すでに十年ほど経過しておるものもございますので、その後シェアその他が変わっておりますので、これらにつきましてもあらためて検討して、取り消すべき筋合いのものは取り消すという方向で進んでおります。  大体、公正取引委員会がいま重点的に行なっておる問題はこの三点でございますが、ただいま国会に提出されております四十一年度の予算で、私のほうに新しく広島地方事務所と二課の新設、それから三十名の定員増加が認められましたので、これらが成立しました暁には、さらに一そうこれらの仕事のために努力したいと存じます。
  8. 小笠公韶

    小笠委員長 以上で、公正取引委員会業務状況についての説明は終わりました。  質疑は後日に譲ることといたします。
  9. 山本勝市

    ○山本(勝)委員 資料をひとつお願いしたいと思います。消費者物価指数をつくるときの食料とか、光熱とかいうもののウエート、それを……。いまの場合は、三十五年のウエートをそのまま使っておるのだと思いますが、その後の三十六年のときの家計調査、七年、八年、九年、十年の各年における家計調査におけるウエート、それがもし全部わからなければ、少なくとも四十年における全国の家計調査における各項目のウェートはどうなっておるか、その資料を、つくれたら出してほしい。
  10. 中西一郎

    中西政府委員 これは、実は経企庁の所管でございませんで、総理府の統計局でやっておられる仕事なんです。そのウエートを計算すれば出るとは思うのですけれども家計調査の中から出していくことはできると思いますが、統計審議会で、学識経験者がお集まりになりまして、基準年次はどこにしたらいいのかというふうな根本的な議論がございまして、一応三十五年が基準年次になっておるという経過です。五年たてばそれを再検討すべきであるというような既定の方針がございまして、将来に向かいましては、四十年の実態でウェートをつくり直すかどうかということが、これからの作業に相なるようです。その作業が済みますと、CPIのウエートの仕かえが行なわれます。そういう経過に実は相なっておるのですが、先生御要望の各年の指数のウエートについては、私、一存ではお答えしかねますので、統計局とよく相談します。
  11. 山本勝市

    ○山本(勝)委員 ウエートをつくり変える、つくり変えぬはいいんです。五年間そのまま続けるということであっていいんですけれども、ただ、家計調査というものを毎年やっておるのかどうか、やっておれば、家計調査におけるウエートというものを出そうと思えば出るのではないか。申すまでもないことですけれども、食料に対する所得の中のウェートというものは、所得が上がるほど低くなるというととは、御承知のエンゲルの法則できまっておるのです。ですからして、この五年間に所得が非常に上がったというために、四十年度における食料のウエートというものは、三十五年度における一〇、〇〇〇に対する四、五二二というよりはるかに下がっておって、四、〇〇〇になっておるか、あるいは三、九〇〇になっておるか、下がっておると思うのです。現に、三十五年度においても、東京都の消費者物価における食料費のウエートと、東京以外の全都市における食料費のウエートは、東京のほうがずっと低くなっておるのは、東京のほうが所得が高いからです。ですから、同じ時期においても、所得の高いところが低くなっておることを見ますと、五年間には、東京も地方も食料に対するウエートは非常に減っておると思います。そのかわり教育とか娯楽、スキーとかゴルフとかいろいろなものが変わってきておりますから、そういう方面のウエートは非常に高くなってきておる。ですから、消費者物価をこまかく、一%とか%以下の〇・何%というような数をもし問題にするならば、少なくとも指数そのものの中におけるウエートの違いによって結果がたいへん違ってきます。ことに食料関係なんかが非常に上がった、したがってこういうふうになったというならば、もし食料に対するウエートがどれくらい下がっておるかということを見ないと、正確な検討はできないと思います。だから、家計調査ができておるのならば、その家計調査におけるウエート、これは消費者物価指数に組み込んではいないのですけれども、それをひとつ示してほしい。できたら出してもらいたい、こういうことです。
  12. 中西一郎

    中西政府委員 お話はよくわかります。そのとおりだと思います。総理府の統計局のほうによく話しまして、できればそういう資料を、私どももほしいと思いますから、話してみます。
  13. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 いまの家計調査のウエートのとり方の問題ですが、これは、総理府の家計調査費の中における住宅の問題一つ取り上げてみましても、いわゆる持ち家の対象者が、全調査戸数の中の七割を占めておる。東京都内がそういうような状態に一体あるのかどうか。その持ち家のウェートを、そういうふうに住宅関係の中においては非常に低くしている。これが通常の姿で——借家住いが最近非常にふえてきている。自分の持ち家というものは総体的に低下しているわけです。そういう点から見てまいりますと、消費者物価指数というものは、政府は七・五%上昇したというけれども、実はそれより以上上がっておる。そこに大衆の、いわゆる生活上の窮乏感というものがあるわけなんです。ですから、そういうような問題を含めて、いま山本委員からお話がありましたように、この次の委員会のときに、総理府の家計調査のとり方の実態と、それから問題点ということについて説明をしてもらったほうが、審議のためにいいのではないかと思いますので、次の機会に関係者をここに呼んでいただくように、委員長に要望申し上げておきます。
  14. 小笠公韶

    小笠委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午前十一時八分散会