○千葉(七)
委員 畜産物の
価格安定等に関する
法律の一部を改正する
法律案に対しまして、若干の
質問をいたしたいと思います。
この改正案は、その
内容におきましても幾つかの問題点を包蔵しておりますけれ
ども、それにも増しまして、今日このような改正案を
政府当局が提案しなければならなくなったというその経過なり事態なりは、日本の畜産政策、さらには農業政策全般に重大な問題が発生をしておる証左だと私は思います。つきましては、私は、まず、きのう
説明のありました本改正案の提案の理由につきままして、順次お伺いをいたしたいと思います。
そこで、提案理由の
説明によりますと、初めに国民の所得の向上、国民の食生活の高度化に伴って牛肉の需要が着実に伸びておる。しかるに、肉用牛の飼養頭数が、農業機械化の進展による役畜の需要の減退あるいは肉用牛の飼養基盤の脆弱等の
事情から、急速に減少してきた。そのために牛肉の供給不足が漸次顕在化するに至って、最近牛肉の
価格が非常に高騰しておる、こういう
説明であります。この
説明によりますと、肉用牛の飼養頭数が急激に減少した、こういう
説明であります。しかし、私は、急激に減少したというこの
説明は、どうしても納得することができないのであります。なぜかと申しますと、御承知のように、現在の農業政策なりあるいは畜産政策は、もちろん
昭和三十六年に制定されました農業基本法に基づいて、いまの政策が立てられておると承知をいたしておるわけであります。そこで、農業基本法の第二条の第一項の一にはどういうことが書いてあるかと中しますと、これは私が申し上げるまでもなく、次官も
局長も御存じのところと思うのでありますが、こういうふうに規定をされております。すなわち、「需要が増加する農産物の生産の増進」をする、さらに「需要が減少する農産物の生産の転換」をする、こういう基本が定められておるわけであります。したがいまして、この農業基本法の規定から考えますならば、制定当時の
説明によりますれば、将来日本においては穀菽農業はだんだん減退をするんだ、農業生産物の増進は、畜産なり果樹なりの需要が非常な増加をするのであるから、したがって、畜産、果樹の方面をどんどん増進をしなければならぬ、そういう
方向に日本の農業を発展させるという
説明であったわけであります。したがって、農業基本法のこのような
方向に忠実に日本の畜産政策なり農業政策を進めてまいったといたしましたならば、こういう事態は起きないはずであると私は考えるわけであります。しかるに、配付されましたいろいろな
資料によって検討いたしますと、牛肉の需要は、
昭和三十七年ごろまでは大体十二、三万トンから十四万トン
程度のようであります。
昭和三十八年に至りまして十九万トンに急激に増加しておるのであります。さらに、三十九年に至りましては二十三万トン。大体三十七年以降今日まで、一年間に五万トン
程度、四〇%
程度牛肉の需要が増加しておる。さらにまた屠殺の頭数を検討いたしましても、三十四年から三十七年までは大体八十万頭
程度の屠殺数量であったものが、三十八年には一躍百八万頭、三十九年には百二十九万頭、さらに四十年には多少減りましたけれ
ども、百十六万頭
程度の牛が屠殺されておる、こういう状態であります。この数字を検討いたしますと、去年やことしになって急に牛肉の需要がふえたのでもないし、また屠殺の頭数も去年やことしになって急激にふえたのではなくて、三十六、七年からすでにその徴候が顕著にあらわれつつあったということは、これは否定できない事実だと思うのであります。したがいまして、その当時におきまして、それに対する対策を樹立いたしておったならば、今日このような問題は発生しなかったのではないか、かように考えられるわけであります。
政府におきましては、その点についてどういう対策を立てられたか。三十六年、七年ごろからすでに牛肉に対する需要の増加あるいは屠殺頭数の増大ということが当然見通されたわけだと思うのでありますが、その点をどういうふうにお考えになって、どういう対策を立てられたのか、あるいは立てられなかったのか、その点をまず最初にお伺いをいたしておきたいと思うのであります。