○森沢説明員 お答えいたします。
いま
赤路先生から、いろいろ
統計を引きまして詳しいお話がございましたが、確かにカツオ・マグロ
漁業の現在のキャッチの趨勢を見てみますと、三十七年をピークといたしまして、逐次下降の傾向にあるということが言えると思います。その原因はいろいろございまして、特に変動要因の
一つとして、カツオ
漁業というものもあげられると思いますが、カツオは非常に豊凶の激しい種類でございまして、昨年あたりはカツオは比較的よかったというふうな、カツオ・マグロ
漁業の中の魚種別の問題と、
先生が御指摘になりました
操業形態からくるいろいろな問題、この二点があろうと思います。
そして対策、見通し等をお答えする前に、実は四十年度につきまして、これはまだ速報の
段階でございますけれ
ども、われわれがキャッチをいたしましたところでは、マグロはえなわ
漁業につきましては、三十九年よりも若干下がっております。約四十九万トンくらい。もちろん、これは速報でございますので、
数字の動くことをお許しをいただきたいと思いますが、われわれの現在キャッチをしております
段階では四十九万トン。それからカツオ
漁業につきましては、
昭和四十年は計十八万トン、三十九年が約十六万九千トンでございますから、カツオにつきましては、やや漁況がいいということでございます。そういうふうに魚種別に変動がちょっとございますが、マグロはえなわにつきまして、釣獲率は逐次低下しておることはいなめない事実だと思います。
それから
操業形態については、独航船のお話がございましたが、これは四
船団の
操業形態が
昭和四十年度は一
船団になりました。現在の
母船式の独航型
操業というものが今後も続くかどうか、これは母船
操業をやっております会社の経営
事情もございまして、まだ結論は出ておりませんけれ
ども、おそらく独航母船というのは将来なくなるのじゃなかろうか、こういうふうにわれわれは判断をいたしております。これに引きかえまして、搭載母船は主としてインド洋、大西洋の
操業でございますが、増加の傾向にございます。それから本土基地につきましては、御指摘のとおり、三十八年に比しまして、三十九年にかなり下がりまして、四十年もやはりダウンの傾向にある。ただ、基地
操業につきましては、若干ふえている。大西洋
操業につきましてはかなりふえている。約八万三千トンという
数字が出ておりますが、四十年度においては三十九年に比べてふえておる。こういうふうにいろいろ形態がございます。
今後の見通しでありますけれ
ども、率直に申し上げまして、マグロはえなわにつきましては、現在よりも
漁獲高が非常にアップするということは、いろいろ省力化なり技術の合理化を含めましても、なかなかむずかしいことではないか、こういうふうに
考えております。したがいまして、マグロはえなわにつきましては、現在の
漁獲高を何とか
維持していくということが精一ぱいではなかろうか。それにつきましては、いろいろ労賃の問題、釣獲率の低下の問題あるいは船価の償却の問題等ありますけれ
ども、われわれは業界に対しまして、なるべく省力化を含めまして経営の合理化をはかって、コストダウンをはかるということによって、釣獲率の低下をカバーすることを今後の目標にすべきである、こういうふうに申しておる次第でございます。それからカツオにつきましては、
資源的には一応心配はないものだというようにわれわれは
考えておりますので、御
承知のとおり、マグロのはえなわを持っておる船がカツオの釣り
漁業をやることは、同じ許可の中でできることでございますので、省力化を行ないましたカツオ釣り
漁業というものに、将来マグロはえなわの
一つの転換先を
考えるという
考え方をとってはいかがであるか。もちろん、昔のように非常にたくさん釣り子を使いましてやるようなカツオ釣り
漁業というのは問題がございますので、極力省力技術を取り入れたカツオ
漁業というものが、マグロはえなわの釣準率の停滞を突破するための
一つの道であろう。現に一部の企業体等におきましては、適正船型のカツオ等にマグロはえなわを転換していくという手を打ちつつございます。
輸出の見通しでございますが、これは魚価がかなり変動いたしますけれ
ども、
アメリカにおきますマグロの消費等の傾向を見ましても、そう弱気である必要はないので、コンスタントにいい冷凍マグロがかん詰めの原料として提供される限り、まだまだ海外の消費は
アメリカを中心として伸びる。
アメリカだけではありません。ヨーロッパ等にも新たな市場を拡大する必要があると思いますが、魚種によりましては国内消費を伸ばすことも、
努力を伴いますけれ
ども、方向としてはあるわけです。そういう観点に立てば、カツオ・マグロのトータル・キャッチを大きく上げていくということはなかなかむずかしいと思いますが、先ほどから申し上げておりますように、内部の
操業形態の合理化をはかりまして、現在の伸びてまいりました
日本のカツオ・マグロ
漁業を安定せしめるという方向をとるべきではなかろうか。実はいま
赤路先生おっしゃいましたように、少し立ち直りましたけれ
ども、昨年来非常にピンチがございまして、業界、
水産庁ともにカツオ・マグロの懇談会を約半年開きまして、いろいろ基本的な問題について議論をし、
水産庁にも御意見をいただいております。ちょうど一斉更新の時期になりますので、制度的な面ともからみまして、なるべく経営安定の方向に持っていく。しかし、質的な経営構造の改善がマグロ
漁業についても必要である。特に海外でどんどん後進諸国がマグロ
漁業に進出してまいります現状におきまして、また将来
国際規制等も加わってまいるという予想のもとにおきましては、現在の非常なウイークなカツオ・マグロ
漁業の経済基盤の安定というためにも、業界も
努力し、われわれも制度面、金融面等でいろいろバックアップすべきではないかということをカツオ・マグロの懇談会で議論し合ったわけであります。業界は業界としておのおの
努力を続けておりますが、われわれはそういう制度の面ともからみまして、できるだけ業界が経営構造の強化なり経営の安定なりに持っていけるように、経営面からも、技術面からも、制度面からも、前向きに
考えるというふうに持っていきたいと
考えております。