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1966-06-22 第51回国会 衆議院 農林水産委員会 第51号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年六月二十二日(水曜日)    午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 中川 俊思君    理事 大石 武一君 理事 倉成  正君    理事 田口長治郎君 理事 舘林三喜男君    理事 本名  武君 理事 赤路 友藏君    理事 東海林 稔君 理事 芳賀  貢君       伊東 隆治君    池田 清志君       宇野 宗佑君    金子 岩三君       坂村 吉正君    笹山茂太郎君       田邉 國男君    高見 三郎君       綱島 正興君    中川 一郎君       丹羽 兵助君    野原 正勝君       野呂 恭一君    長谷川四郎君       藤田 義光君    松田 鐵藏君       森田重次郎君    兒玉 末男君       千葉 七郎君    西宮  弘君       松浦 定義君    森  義視君       湯山  勇君    中村 時雄君       林  百郎君  出席政府委員         大蔵政務次官  藤井 勝志君         農林政務次官  仮谷 忠男君         農林事務官         (園芸局長)  小林 誠一君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   嶋崎  均君         大蔵事務官         (関税局企画課         長)      植松 守雄君         農林事務官         (食糧庁業務第         二部長)    岡田 覚夫君         農林技官         (水産庁漁政部         長)      山中 義一君         農林事務官         (水産庁生産部         長)      亀長 友義君         農林 技官         (水産庁生産部         海洋第二課長) 森沢 基吉君         海上保安官         (水路部長)  松崎 卓一君         海上保安官         (水路部海洋資         料センター所         長)      庄司大太郎君        専  門  員 松任谷健太郎君     ————————————— 六月二十一日  昭和四十一年産なたね基準価格引上げに関す  る請願中馬辰猪紹介)(第五七二六号)  同外三件(三原朝雄紹介)(第五七二七号)  同外五件(森田重次郎紹介)(第五七二八  号)  同外九件(綱島正興紹介)(第五七八〇号)  同外二件(亀岡高夫君紹介)(第五八四八号)  同(黒金泰美紹介)(第五八四九号)  同(松澤雄藏紹介)(第五八五〇号)  農業協同組合農機購買事業是正に関する請願  (小山省二紹介)(第五七五五号)  同(高瀬傳紹介)(第五七五六号)  同(竹内黎一君紹介)(第五七五七号)  同(藤尾正行紹介)(第五七五八号)  同(小金義照紹介)(第五七七七号)  同(田中伊三次君紹介)(第五七七八号)  同(森山欽司紹介)(第五七七九号)  同(荒舩清十郎紹介)(第五八四三号)  同(亀山孝一紹介)(第五八四四号)  同(田中榮一紹介)(第五八四五号)  同(竹下登紹介)(第五八四六号)  同(森下國雄紹介)(第五八四七号)  農林省林業試験場開放に関する請願(本島百合  子君紹介)(第五七五九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件(漁業問題及びな  たね交付金等の問題)      ————◇—————
  2. 中川俊思

    中川委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許可いたします。赤路友藏君。
  3. 赤路友藏

    赤路委員 それでは、これから水産問題について御質問を申し上げますが、本日は農林大臣出席を求めておりません。それから水産庁長官は、捕鯨会議へ行かれる準備——二十日から七月の一日まで捕鯨委員会がある、それの代表として行かれるので、あえて出席は求めませんでした。しかし、生産部長漁政部長がお見えになっておりますので、水産行政の実質的な責任者でもありますので、これから御質問申し上げる面について、ひとつ忌憚のない御見解を承りたいと思うわけであります。  私のほうでもある程度資料はまとめてみましたが、何と申しましても、しろうとでありますから、私の言うことに間違いがあるかもしれない。そうしたときは、遠慮なくその点を指摘願って、まあひとつ勉強さしてもらいたいと、こう思います。  先般漁業白書がちょうど三年目で出されました。これについては、わが党のほうから本会議質問をいたしましたが、その後そのままになっております。私いろいろ統計を調べてみたわけでありますが、そういう中から最近特に感じましたことは、今日の水産行政というもの、あるいは各種漁業操業実態、こういうようなものを見てまいりますと、日本漁業全体としての危機感と申しますか、非常にむずかしい事態に当面しておる、こういうことを感ぜざるを得ないわけなんです。にもかかわらず、行政の面を見てみましても、あるいは業界の操業実態を見てみましても、そういう危機感というものがわりと感じられていないんじゃないか、こういうようなふうに思われるのです。  そこで、まず総体的にひとつお尋ねしてみますが、三十九年度の漁業の総生産量であります。現在私の手元にあるこの統計ではそれしかございませんが、漁業の総生産量が六百三十五万トン、前年比五・二%の減少になっている。生産金額のほうは四千九百七十五億円と、前年比三%の増であります。この数字を見る限りにおきましては、生産量減少という面は、価格高で何とか経営状態等が見合っている、こういうふうに考えていいんじゃないかと思います。しかしながら、その操業の内容を見てみますと、隻数は一年間で約一万一千二百隻、これだけ増加いたしております。トン数では約十一万五千トン増加している。こういうように漁獲努力要素というものが増加しておってそうして生産が減退しておる。この姿を見てみますと、どう考えてみても、資源量というものと、それから実際の操業というものとがバランスがとれていない、こういうふうに考えざるを得ない。ことばをかえて申しますと、過剰投資ではないか、こういうふうな考えを持つのでありますが、この面について水産庁のほうではどういうような見解をお持ちになっておるか、この点をまずお聞きしたいと思います。
  4. 山中義一

    山中説明員 ただいまの赤路先生の御質疑は、漁獲高に対してその漁獲努力量が多過ぎはしないか、過剰投資ではないかという御見解でございます。この点は、確かに漁獲努力量がふえておるにもかかわらず、漁獲量はふえておらない。ただ、先生のおあげになりました統計は三十九年度でございます。一番最近、まだ速報の段階でございますけれども、四十年度がわかりまして、これは六百八十八万トンということになりまして、いままで一番多かった昭和三十七年の六百八十六万トンをわずかでございますけれども、二万トンまだなおかつふえまして、そういうことがございますので、確かに大観的に見て過剰投資の気味はあるということは申し上げて誤りではないかもしれませんが、その過剰の程度はそれほど著しいということはなかなかむずかしいではないか、こういうふうに考えております。  それからなお、総投資額というような点を考えますと、これはやはり高くて、融資その他の総投資、私はいま正確な数は資料を持っておりませんが、四千億をこえていると思います。それに対しまして漁獲が五千億ぐらいの程度でございますから、相当多くの投資をしてそれだけのものをあげているということになって、これはまあごくマクロの見方でございますけれども、そういう点も考えられるんじゃないかと思います。
  5. 赤路友藏

    赤路委員 四十年度の漁獲、最終的な押えかどうかわかりませんが、一応過去の実績からすると、最高の漁獲高になっておる、そういうことがあるので、過剰投資はある程度あるとしても、それほど大きなものではない、こういうような見方だと思います。これはこのままひとつ預かっておいていただきまして、それでは、その次の問題を個個にひとつお尋ねしてみたいと思います。  まず第一、長官が今度おいでになります捕鯨委員会でありますが、水産庁としては、これは非常に重要な一つ漁業でありますので、ですに基本方針をちゃんと出しておられるように思います。それについて御説明願えれば御説明願いたいと思います。
  6. 亀長友義

    亀長説明員 私からお答えをいたします。  今回の捕鯨につきましては、従来の南氷洋だけでなくて、北太平洋捕鯨問題、さらに日本沿岸基地捕鯨を含めます問題も審議をされるというように、捕鯨の問題が、日本関係しておる各部門全般にわたって審議をされるという状態になっております。  そこで、まず、南氷洋のほうから申し上げますと、これは相当数を削減をするという事態にございまして、実は南氷洋資源が非常に減ってきた、そこで、科学的な研究結果に基づいて、昨年から起算をしまして、三年以内に合理的な水準まで引き下げるという決議が行なわれておるわけでございます。その科学的な数字というものが幾らになるかは、まだ目下ロンドン科学委員会で検討中でございますけれども、昨年が四千五百頭、そしてことしは二年目でございますので、理想的な数字との中間程度まで引き下げておるという、これは各国の合意がすでに成立をしておるわけであります。もしそのようなことになりますれば、大体これは昨年の四千五百頭を二、三割方下回るという数字が出てくるということになるわけでございまして、これはやはりそういう科学的な水準に近づけて、長期的に産業の維持をはかるという大筋に乗った対処方針考えております。したがいまして、昨年の数字よりも二、三割の減少はやむを得ないもの、かように考えております。ただ、これに関連をいたしまして、従来南氷洋捕鯨をやっておる国の間に国際間の割り当て協定がございまして、日本はそれに五二%の権利を持っておったわけであります。それが昨年で期間が満了いたしまして、新たにそういうことをきめるかどうかという問題でございます。この際に、ソ連はやはり三分の一を要求する。ソ連は従来二〇%でございました。日本が五二%、それからノルウェーが二八%という状態であります。これは過去の実績あるいはその後において外国から権利を買ったというような事情を考慮して、その率がきまっておるわけであります。その協定が本年からは期間満了で失効してしまったので、この新しい事態にどうするか。ソ連は、現在日本ノルウェーソ連南氷洋でやっておるのであるから、自分のワクを三三にふやせという主張をいたしまして、そうなれば、日本としてはかなりな譲歩をしなければこの話はまとまらないということになるわけであります。数回いままでも会合を重ねましたが、いまだにまとまらないということでございまして、かりにまとまらない場合には、いわゆるオリンピックということで自由競争になります。そこで、目標の頭数に達すれば一斉に打ち切るということになります。こういう事態になりますと、やはりここで装備を優秀にしなければならぬ、新たな投資を繰り返さなければならぬという問題がございますので、日本としては、できるだけそのような事態を回避したい。また、日本の五二%というのも、本来は三八%であったものを、その後ノルウェーからいままで存在しておった協定のもとで譲り受けたというようないきさつもございまして、ある程度譲歩ということも覚悟いたした上で、できるだけ各国間の割り当て協定が締結できるように考えております。  このほか北太平洋捕鯨問題につきましても、実質は日本ソ連母船式をやっておりまして、そのほかに沿岸捕鯨をやっておる国が日本アメリカカナダソ連沿岸捕鯨をやっておりません。そういう事情がございまして、これもヒゲクジラについては現在生産制限をすべき事態にある。総頭数を大体いままでの六、七割の線に押えて、千八百頭くらいにすべきであるという意見がすでに学者のほうから出ておりまして、ただし、ヒゲクジラ以外の問題については、別にいまそれほど緊急の事態ではないというふうな事情にございます。これも本質的には、母船式について日本ソ連とどういう割合でとるかということが一番問題になるわけでございまして、実はこれも昨年来話をしておるのでありますが、まとまらないというふうな事情でございます。さらにソ連は、日本沿岸捕鯨を削減するという条件であるならば、ソ連側としても多少の考慮はする、こう言ってきておるのでありますけれども、われわれとしましては、沿岸捕鯨日本固有権利であって、もちろん、そういう状態であればふやすというつもりはないけれども、これを国際的に約束で制限をするということについては慎重を要するのではないか、かような考えでおります。したがいまして、沿岸捕鯨については、大体従来の生産水準を落とさないというたてまえで、母船式の分については、できるだけそういう科学的な水準なり、あるいはソ連との適当な比率を設けた上で、協調をはかってとる、こういうふうな考え方でおります。  さらに、そのほか、いろいろ付帯的な問題がございまして、南氷洋についても、南氷洋と同じクジラをとっている沿岸の国がございまして、その国の分をまずとれるクジラの量から差し引いて、残りを母船式だけにとらせろとか、いろいろな議論がございますが、われわれは、南氷洋関係で、沿岸のほうでは船の能力も限定もあるし、一諸に論ずべきでない、かような方針でおります。  結論的に申しまして、南氷洋につきましては、実質的に日本捕獲を二、三割くらいは制限をせざるを得ない、その結果、あるいは一船団ぐらいことしも削減する、昨年一船団を削減いたしましたが、ことしはもう一船団くらい削減するという事態については、これは覚悟をいたした上で交渉をいたすつもりでおります。
  7. 赤路友藏

    赤路委員 ちょうどこれから国際会議に臨むわけでありますから、あまりありのままのものをここでやるということはどうかと思う。だから、あなたのほうで都合が悪いようなことは、これから先の私の質問についても避けられても差しつかえありません。  そこで、私がこの問題で一番言いたいことは、たとえばこの国際的な捕鯨決定は、一万五千が一万になり、八千になり、四千五百になった。年々ダウンしてきている。そのダウンをするたびに、日本漁業会社のほうでは外国権利を買って、そして捕鯨頭数をふやしていったというのがいままでの姿なんです。そうした無理が今日出てきておるということを考えなければいかぬ。少なくとも捕鯨漁業について、私はむき出しに言いますが、水産庁はむしろ指導権がないような形にいままでなっておるので、業者が決定したことに追随しているようなことではだめだと思う。今度の場合、科学者グループでは、南氷洋は二千七百頭程度という見解をもうすでに出しておる。そうすると、これまた非常に大きな国内的な、操業の場合どう船団を減じていくかという問題とも関連してくると私は思うわけです。だからといって、一部でいわれるような無協定状態ということは、これは望ましくないと思います。ある程度無理はあっても、やはり協定を守るべきだ。そういう面では、ソ連のほうはかなり強引でありますから、いまちょうどイシコフ氏が来られておるが、これとはまるで関係はございませんが、やはりある程度におわせておく必要があるのではなかろうか。もうおそいかもしれません。ソ連のねらいというものもこの際よく踏んまえて、これはやっていかなければならぬのではないかと思います。私は、率直に言って、水産庁のほうがある程度指導権を確立していく、こういうかまえを出してほしいと思う。ただ、統計から見てみますと、南氷洋母船捕鯨北洋捕鯨、近海の大型捕鯨を見てまいりますと、捕獲頭数はふえているのです。もちろんこれはシロナガス換算ではないので、特に昨年からふえておるのは、イワシクジラが急速にふえておる。ただ、私この数字を見ておって、三十五年から三十九年、四十年度にわたっての統計なんですが、少しずつであるが、捕獲頭数はふえておる。捕獲頭数はふえておるが、生産量のほうを見てみると、生産量は少なくなってきておる。捕獲頭数が多くて、製品生産量が少ないということは、これは鯨体が小さくなっておるという一つの証拠だと思う。このままでいけば、おそらく近い将来に捕鯨は一時停止をする、私はこういうような事態になりかねないと思いますので、そういう面をも踏んまえて、よほどこの面に対しては水産庁は強い指導性を持たなければならぬ、こういうふうに思うわけです。決意がありますか。それはあなたじゃない、次官だ。
  8. 仮谷忠男

    仮谷政府委員 捕鯨の問題は、先ほど亀長生産部長から御答弁申し上げた実情でありますが、赤路先生のおっしゃる問題は、確かにわれわれ大いに考えなければならぬと思います。やはり科学的な数字に立脚しまして、そして今後適切な措置を講じていこうという考え方、それはあくまでも水産庁指導権を持って進むという体制にならなければならぬことは当然だと思います。
  9. 赤路友藏

    赤路委員 それではその問題はおきまして、次に、北洋漁業のうち、特にサケマスについて一応お尋ねいたします。  日ソ交渉も終わりまして、ちょうど現在操業中でありますが、九万六千トン、これがことしの決定でありますが、この日ソ交渉の経過をたどってみますと、これはいまイシコフ漁業相が来られておるので、あまり立ち入っては申しませんが、交渉それ自体、非常に友好ムードといいますか、そういうような中で話し合いが進められた。このことは、私は非常にけっこうなことだったと思うのですが、ただし、事が資源量の問題になりますと、冷酷なほど厳格な態度ソ連側のほうは出てきておる。私は、ソ連側のほうにも国内向けの政治的な配慮といいますか、そうしたものが全然ないとは考えません。しかしながら、常に前面に出てくるのは、資源の枯渇、これをどう保護し、維持し、培養していくかということが、その前面へ出されてきておると私は思うわけなんです。従来からの北洋サケマス実態というものをずっと見てまいりますと、もう今日その場のがれのいいかげんなことでは私はいかないのではないかと思います。ただ従来の実績を積み重ねるというようなだけのものでなくして、もっと根本的に何か資源に対しては取っ組んでいく必要があるのではなかろうか、こういうふうに私は考えざるを得ないわけです。そこで、この問題についてどこまで取っ組んでいくか。もっと率直に申しますと、大体その年その年を何とかほおかぶりしてやればよろしいというのでなしに、少なくとも中期にわたって——長期にわたってとは言いません。中期にわたって、三年なり五年なりを見通した上でのはっきりした日本側のほうの態度といいますか、あり方といいますか、こういうものを決定していくべき段階にきておるのではなかろうかと思いますが、その点どういうふうにお考えになっておりますか。
  10. 亀長友義

    亀長説明員 日ソ条約のお話でございますが、御承知のように、資源論の話が出ましたけれども資源研究する上での双方資源研究方法なり、あるいはサケマス回遊生態というようなものにつきましては、この十年間の研究双方研究が非常に近くなってきております。現実にいろいろトラブルがございますのは、方法論なり生態とかいう研究はさることながら、実際の回遊数字なりを把握する面においてかなり食い違いが出てきておる。そこから生ずる問題でございまして、本質的な資源評価なり資源回遊生態という面において、そう食い違いがあるわけではございません。そこで、私どもとしましては、本質的にはこれはそういう資源のその年々の消長に関係して漁獲量をきめるというのが本来の筋でございまして、そういう点からいきますと、毎年毎年の資源評価の上に立って規制措置というものもきめられるべきものである。筋は筋でございますけれども、一方、企業の安定という立場から申しますと、これはやはり二年なり三年なりという区切りをもってある程度の安定的な日本漁業交渉ができるようにということをかねがね望んでおりまして、それが日本の言う長期と申しますか、中期と申しますか、長期漁獲量決定という主張を従来繰り返しておるわけであります。それに対しまして、ソ連は、御承知のように、資源論というものは毎年毎年評価が変わるのだ、それに即応して毎年きめるのが妥当であるというりで、いまだ一致するまでに至っておりません。私どもの筋としましては、やはり長期漁獲量決定という考え、さらにそれが実際と食い違えば次の漁期に調節をする、こういうふうな考え方に立って、この方式で今後とも進みたいと思っております。
  11. 赤路友藏

    赤路委員 イシコフ氏が来られたときに、いろいろ日本側のほうから赤城試案というようなことで要請されておりますが、その中に、今度十年目に改定される日ソ漁業条約に対する事前協議というわけではないでしょうが、対処のしかたといいますか、これはイシコフ氏は、十年の実績といいますか、経緯といいますか、これを押えてやりたい、こう言っておるわけなんですね。だから、どういうものが出てくるかわかりません。しかしながら、過去十年間の日ソ漁業条約の中でなされてきた実績というものを押えて、将来を見ての上の交渉になるかとも思う。それだけに、私たち日本側のほうでも、単なる勘だとか積み重ねだとかいうことだけでなくして、やはり科学的な資源調査といいますか、そうしたものを私は必要とするのではないかと思うわけなんです。私は、過去において日ソのこういう会合に立ち会ったこともありません。だからつまびらかではありませんが、そういうような科学調査の面では一歩譲っておるような感じがしてしようがない。いままでのような日本漁業あり方は、これから大きく転換してくる時期に来ていると思う。それだけに、私は、単なる勘による操業であるとかそうしたことでなしに、もう少し科学的に押えていくような努力をしてもらいたいと思うわけなんです。そういう点からいきますと、ソ連側でよく言うわけなんですが、これはアメリカ側でもカナダ側でも言っていますね。サケマスの人工採苗による放流ですね。このことを非常に大きく評価しているようです。私はこれを過小には考えません。過小には考えませんが、やはり自然の姿のままで河川に遡上さすということが、私はより重要だと思う。そういう面で、私はソ連に一まつの不安を感ずるのは、ソ連海洋上における資源調査、そうしたものは実によくやっておると、私はあらゆる書物の中からではありますが、考えます。ところが、シベリアの沿海州、ずっとあのカムチャツカの北部のほうにもなりましょうが、ここらの開発がどれだけサケマスの遡上というものを阻止しておるか、こうしたことは全然何をさがしてみてもないのです。資料がありません。日本側にもない。あれだけ開発が進んでおるのですから、私は、サケマス資源維持培養という面では、お互いに生物学者技術屋を交換してやることを話し合っておるわけなんですから、そういう中で、やはりソ連側のほうにも沿岸を視察さしてもらう必要があると思う。そういう交渉をやったことがありますか。
  12. 亀長友義

    亀長説明員 ソ連が、一般的に申しまして、国家的規模各種資源調査を行なっておることは御承知のとおりでございます。ただ、サケマス調査につきましては、これは日本側としても各種商業漁船を使い、あるいは試験船を使って、相当な回遊調査をいたしております。ただ、いま赤路先生から御指摘のシベリア地方開発に伴うサケマス資源に及ぼす影響という問題につきましては、残念ながら日本では調べる方法がない。一方、ソ連もそういう問題については十分資料を提供しないというのが実情でございます。  それから、ソ連沿岸視察の交渉をしたことがあるかというお話でございますが、これは現在の日ソ条約で、毎年学識経験者を交換できるということになっておりまして、その一環としまして、われわれは、カムチャッカ並びに東西カムチャッカの沿岸、それから樺太地方の視察を毎年要求をいたしておりまして、従来実施をされましたのは、樺太地方、西カムチャッカに限られておりまして、東カムチャッカに関しては、いかなる理由によるものか、現在に至るも東カムチャッカは見せないという事情でございます。今年度も東カムチャッカの視察を許容するよう強く要求をいたしておりますけれども、先方といたしましては、例年と同じような理由があるというようなことで、いまだにその態度を明確にしないという実情でございます。
  13. 赤路友藏

    赤路委員 要求すべきものは要求する、こちらのほうは尽くすべきものは尽くす、こういうふうにありたいと思います。  この漁業白書の年次報告の九八ページを見てみますと、サケマス人工ふ化放流なんですが、「一部河川において稚魚を給餌飼育後、放流し、」云々というのがあるのですね。これはすでにもう何年かやっていると思うわけです。ところが、ことしの予算を見てみたわけですが、そうすると、四十年度のサケマス人工ふ化放流については三億六百八十万七千円、四十一年度が三億九百九十五万九千円ということになって、三百十五万円ほど昨年よりもふえておるわけです。一体、これで給餌飼育後における放流というようなものができるのかどうか。これは詳しいことは書いてありませんが、それでは給餌放流——ある程度大きくして放流する、これは歩どまりがいいわけで、アメリカカナダでやっているものは歩どまりがいいわけです。いままでの日本のようにそのまま小さいものをどんどん出すと、他の魚のえさになってしまう。非常に歩どまりが悪い。これは相当な経費が要るわけなんですね。これは私たちも、資源維持するため、増大するために、非常に必要なことだろうと思うのです。これがいわれておるだけであって、予算もろくすっぽついていないということになると、本気になってやっているのかどうかということが疑われるわけです。これは言えますか。どこの河川で何ぼ、それで現在まで試験をやっておるでしょうから、どの程度こうすることによって成績が上がっておるかということですね。
  14. 山中義一

    山中説明員 ただいまの、サケマスの人工ふ化放流のうちで、給餌をやっておる箇所、それからその尾数等々についての御質疑でございますが、先ほど、四十年が三億六百万、それから四十一年がわずかに三百十五万ふえた程度だ、こういうことでございましたが、この予算の大きな部分を占めておりますのが施設の建設、改修の費用でございます。御案内のとおり、サケマスのふ化場は国営で、北海道に五十四カ所ですか、ございまして、それがもうかなり年数が古くなっておりますので、その施設の建てかえというようなことをずっと引き続き計画を立ててやっております。これらの分が非常に多い額になりまして、いまの給餌その他は、予算面へ出てまいります数字といたしましては、それほど大きくはございません。しかしながら、これは先生御指摘のとおり、確かに、われわれの努力の不足と申しますか、予算のふえ方がなかなかむずかしくて、なかなか所期の数量をふやすという点には至っておりませんが、ただ、サケマスの稚魚の放流の数につきましては、四十年度は、幸いにしていままでで最も多い八億尾程度放流することができまして、いままでで一番多い数ということになっております。えさをやることにつきましては、えさ代その他で問題がございますが、同時に、相当の池を特別につくらなければならない。御案内のとおり、サケマスは、いままでは、生まれてわずかえさをやりませんから、腹についておりまする袋、これをさい嚢と申しておりますが、そこから黄身を吸収して、しばらくその蓄養池で泳いだあげく、四月から五月の初めにかけまして川へ出ていくわけでございますけれども、えさをやりますと、そのための池もかなりつくらなければならないというような点で、こういう点でも、先ほどの改修費と同時に、稚魚の養成池というようなものもだんだんつくってまいっておるというようなことでございます。いまちょうどその予算の詳しい点につきましての資料を持っておりませんので、十分詳しいことは申し上げかねるのでございますが、もし資料が必要とあれば、また先生のほうへお届けいたしますので、ひとつこの辺で御了承をいただきたいと思うわけであります。
  15. 赤路友藏

    赤路委員 もう一点、その点でお聞きしておきますが、そうすると、最近サケマスの遡上する川というものはほとんど限られてきておる。北海道でも日本海岸のほう、特に石狩あたりはかなり奥のほうが開発されて、上がってこない。そういうような実態があると思う。奥深い川のほうがほとんどだと思いますが、その川の流域で、たとえばサケマスの親魚の遡上を助けるというのですか、川を荒らさないために、保安林設定といいますか、保安林とは言わぬまでも、川を荒らさないように、何かそういうようなものを設定をしたところがありますか。
  16. 山中義一

    山中説明員 保安林につきましては、サケマス資源の保護のためということではございません。ただ、保護水面というものを設定いたしまして、先ほど先生も御指摘のように、最もコンディションがよい、天然に上がって卵を生むであろうというようなところを——特にマスなどにつきましては、マスは、サケのように人工ふ化放流をやる親が十分につかまえにくい。これは早い時期に遡上いたしますので、つかまえにくいのでございますが、こういうものにつきましては、特に産卵場を保護するために、保護水面というものを設定いたしまして、そこでは、砂利を取ったり、そのほか地形の変更その他水をよごすような施設、そのようなものを一切認めないという区域を設けております。それからなお、先ほど御指摘のとおり、上がります川が、次第に北海道の東部あるいは北部、東北部、オホーツク海、あるいは根室、太平洋でも東側のほうに片寄りまして、四十年度は十勝川がいままでの史上最高、非常にたくさん上がりました。戦後まれに見るというか、一番多数に上った尾数三十万尾でしたか、その数字はあるいはちょっと間違っておるかもしれませんが、常々は十万程度でございます。それが二倍半か三倍くらい上っております。
  17. 赤路友藏

    赤路委員 もうこの問題はこれでいいと思いますが、いま部長が言われました、十勝が昨年戦後最高、それから本土のほうでも津軽石川は従来より上がっている。全体的に従来より上がった。その主たる原因は、やはり水量がいつもより非常に多かったということが原因であるようです。水量が多い、したがって、海の中へ放流されたときにかなり長い距離沖まで行くということが、非常にサケが乗りやすくなった原因のようであります。そうなってまいりますと、川の流水量をある程度やはり確保するということが、荒らさないと同時に、非常に大きな重要な要素になると思うのです。この点が、私は資源保護という面ではやや欠けておるように思いますので、ひとつ十分その点を今後御考慮を願いたいと思います。  そこで、けさ私ニュースで見たわけなのですが、見たといいますか、聞いたといいますか、六月十九日から二十一日までの間に、根室と釧路沖でサケマスの小型漁船が六隻遭難しておる。いまだにきょうもさがしておるわけなのですが、これはわずか三日間に六隻も集中してやられているわけなのです。しかもこれは台風というわけでもない。きょうのNHKのほうの放送を聞いてみますと、風も大体十二メートルから十三メートル程度のものであった、こういうことを言っておるわけなのですが、何かどこかに無理があるように思うわけなのです。なぜこういう事態が三日間に六隻もばたばたあるのかということがどうにもふに落ちないわけなのですが、やはりNHKの取材の中で、漁民の人が言っておることばを聞くと、船の行動範囲といいますか、これを越えてしまっているのですね。無理を十分承知の上で、本人はそう言っている。無理であることは承知しておる、ところが、行かなければとれないのだ、こういうことを言っておるわけなのですが、そうなってまいりますと、何か零細漁業が追い詰められたような感じ、これは何か考えなければならぬというふうに、けさほっと考えついたのです。しかもその話の中で受け取ってみますと、何か北海道庁の指導ですか、あるいは水産庁の指導であるかもしれません、集団操業ということを言って、集団操業を指導している。ところが、そのとおりにいっていないのですね。集団操業しないで、ばらばらになっちゃっているのです。だから、やられたときにどうにもならない。船は小さい。だから、救難のほうの手もなかなかすぐ伸びない、そういうようなことのようなのですが、まだ十分情報は入っていないと思いますが、何かこれについてありましたら……。
  18. 亀長友義

    亀長説明員 実はこの点につきまして、私どもまだ詳報は持っておらないのでございます。まことに申しわけないことでございますけれどもサケマスの小型船につきましては、御承知のように、従来北海道の沿岸操業をする沖合いは、大体百六十度程度以上には行かないということで、北海道の沿岸の人のことを考慮しまして、約千五百隻くらいございますが、これにつきましては、先ほど御指摘のように、北海道庁でも無理な操業をしないようにということさらに昨年五トンから七トンまでのものについては、特に航海用の計器等を備えつけさせるような指導をいたしております。遺憾ながら今回のような事件があったようでございまして、われわれとしましては、さらに北海道庁に、この小型船の操業については十分な指導をしてもらいたいということを要望するつもりでございます。ただ、サケマス回遊は年によって非常に変動がございまして、そういう無理をしなくてもとれるという年もございますが、ときに先ほど御指摘のような無理をする船が出てくるということでございまして、われわれとしては、当事者なりあるいは道庁の指導をもっと強化してまいりたい、かように考えております。
  19. 赤路友藏

    赤路委員 いま部長のおっしゃるように、ことしは接岸が悪いそうなのですね。従来なら百五十キロ、せいぜい二百キロくらいのところでいいのに、どうにも接岸の状況が悪いものだから、沖へ行って、そうしてやられるというような結果らしいので、これはいまおっしゃるように、無理しなくとも接岸してとれる場合もあり得るのですが、何さま、これに年間所得の八〇%をかけておるような零細なはえなわ漁業でありますので、この点ひとつ十分、今後どうあらしめるかということを検討して、その指導をしていただきたい。ちょうどけさニュースであったものですから、サケマスにつれてお願いをするわけであります。  それから、この際、同時に聞いておきたいと思いますが、ソ連関係の拿捕船ですね。これは特に根室を中心にしたやはり沿岸の漁民だと思いますが、三十九年が拿捕船が三十五、そのときの抑留者はゼロになっています。四十年は拿捕船が四十、乗り組み員が四百五十で、抑留者が十四、四十一年の六月十四日現在で拿捕船が十八、抑留者が四十四人になっておるのですね。非常にふえてきておるわけです。これは非常にやっかいなのですが、抑留者なりあるいはこういう拿捕がふえていくというようなこと、これはなくなるのが一番望ましいわけであって、なぜそういうようなことになるのか、これは非常にやっかいな問題ですけれども、こういう点については十分ひとつ調査をして、間違いのないような指導といいますか、押え方をやってほしいと思うわけです。これは答弁は求めません。ただ、そういう数字があったので、これはこのまま放置しておくということはどうかと思われるので、特にイシコフ漁業相が来て、安全操業問題等について話し合いなされるときでありますから、私はこう思うのです。約束したことは守らなければいかぬ、そのかわりに、こちらのほうはその零細な漁民のために取りつけ得る最大のものを取りつけていく、そのかわりに約束したことは守る、こういう指導をひとつ厳格にやっていただきたいと思います。それだけです。その点は答弁は求めません。  それから次に、タラバガニのことをお尋ねいたします。  カムチャッカ西のほうの本年度のカニ漁業は、昨年同様二十四万箱でおさまったというので、業界のほうでも何か胸をなでおろしたというのですか、そういうようなふうでありましたが、私は、どうもことし二十四万箱、昨年同様であったのだといって安心するのは甘過ぎると思います。ということは、御承知のとおり、米ソカニ協定ができておる。しかもその協定の中で、両国ともタラバガニは大陸だな資源であるということをはっきり認め合っておるというのですね。これが何らかのときに表面化してくるということをやはり私は考えの中に入れていなければいけないと思う。われわれはこれを大陸だな資源だとは思っておりません。少なくとも私はそうは考えていない。日本生物学者の一部にそういう説を支持する人がありますが、私は、現実の刺し網漁業実態から見て、そういうことではない、これは大陸だな資源ではない、こういうことを考えておるわけなんです。大陸だな資源でないとするなれば、また大陸だな資源でないということを主張する限りにおいては、大陸だな資源でないその実態をやはり日本側のほうは握らなければいけないのじゃないか、そういう努力をされておりますか。
  20. 亀長友義

    亀長説明員 タラバガニにつきましては、いま御指摘のとおり、日本は大陸だな資源ではないという見解を持っております。また同時に、かりに大陸だな資源であるとしても、日本は大陸だな条約に署名なりあるいは批准をしておりませんので、当然これは日本のような国には適用がないという考えであります。その前提となる大陸だな資源でないということの証明に関しましては、われわれとしましても、かつて水中カメラ等を使って調査をしたこともございます。ただ、御承知のように、カニが泳ぐか泳がないかという論争でございまして、きめ手になる材料がなかなかつかみにくい。ただ、カニの標識放流等の観点からいたしまして、その遊泳距離は必ずしも固定的なものでなく、相当広範囲にわたっておるということは、われわれとしても従来の標識放流の結果等から材料は持っております。そういう点を材料として、今後問題が生じたときには交渉いたしてまいりたいと考えております。
  21. 赤路友藏

    赤路委員 いま生産部長はそういう答弁をされたのですが、私は、国際海洋関係、これはもうそれぞれ全部批准がされて、一応全部発効を見ている。日本側のほうは批准はしておりません。そこで、やはりこの点が基本的なこれから一つの問題点になろうかと思うわけなんです。今度二十日、ついにアメリカの上院を専管水域十二海里が通ってしまって可決した、こういう事態が出てきておる。これはこれから十分論じなければならぬ点ではありますが、少なくとも日本が国連に加盟し、国連とまあ何といいますか、やっていこう、こういう中で、ただ自分の国の立場からだけで、そんなものだめだなんて言っておると、おかしくなってしまう。私は率直に言うが、そのいまの考え方、かまえ方が、韓国とは十二海里を認め合いながら、ニュージーランドは三海里だとか、あそこの国は何ぼだとか、出たとこ勝負でやるということは、国際海洋操業に対する一貫したものを持っていない、ここに問題があると私は思う。これはなかなか簡単な問題ではないから、これから十分論議を尽くしていかなければいかぬと思います。もちろん、日本漁業の立場というものは守らなければいけない、それは十分わかる。守らなければいけないが、だからといって、よその国はどうなったっていいというんじゃ、これはやっていけません。だから、ここらの点は今後十分ひとつ話し合いをいたしましょう。  そこで、海上保安庁に来ていただいておるので、一間だけなんですが、伺いたい。わざわざ来ていただいてすみません。  あなたのほうから出された「海上保安の現況」という資料を読ませていただきましたが、その中で九十一ページに、「海洋資料センターを設置し、」云々というのがあって、いろいろお書きになっておるわけですが、予算はどの程度ついておりますか。
  22. 松崎卓一

    ○松崎説明員 昨年度におきましては二百六十万、今年度は千百五十六万ついております。
  23. 赤路友藏

    赤路委員 私何ぼ調べてみてもないのですが、その款項目は何というのですか。
  24. 松崎卓一

    ○松崎説明員 海上保安庁の中に入っております。
  25. 赤路友藏

    赤路委員 予算書を持ってきておればよかったのですが、そうすると、とにかく四十一年度千百五十六万、これだけあるわけなんですね。これは水産庁は御存じですか。
  26. 山中義一

    山中説明員 一応ごくそのあらましと申しますか、テーマだけは承知しております。
  27. 赤路友藏

    赤路委員 これは一九六五年四月一日、海洋資料センターは発足しておるわけです。だいぶ前に発足しておるのに知らぬというのではちょっとおかしいと思うのです。海上保安庁のほうにお願いしたいのですが、この「海洋資料センターの果す役割」という資料の中の「資料の検査および評価」「収集された資料について検査し、処理の種別を決定し、また、資料の精度を評価して級別に分類する。」ということが書かれている。その他これをずっと読ませていただきましたが、非常にけっこうだと思います。このことを十分やっていただくことによって、水産関係でも非常に大きな基礎資料といいますが、そういうものができ、そうして将来にわたっての一つの見通しというようなものも持ててくると思うわけです。いま私が読んだところは非常に重要なところであって、そのためには、相当なこの道のべテランといわれる人たちが、その精度を評価してやるのですから、いいかげんなやつはこれはだめだといって落とす、そうしてそれを積み上げていって、当初の目的のためにやろうとするのですから、非常にけっこうなんですが、少し予算が少な過ぎる。私予算書をさがしたのですけれども、ないものだから、そうすると、海上保安庁ラッパを吹いただけで、何もせぬつもりだなというような感を持ったので——まことに失礼しました。けっこうです。これをひとつ今度は関係の——自分のところだけでおやりになるのでなしに、いま私はむき出しに率直に言いますが、水産庁でもまだ十分これに対して部長さんもお知りにならなかったようですから、連絡をとっていただいて、そしてこのことが、非常に大きな日本漁業に対する一つの貢献すべき線が私は出てくると思いますので、御協力方をお願いいたします。もうけっこうでございます。  次に、私は、北洋の底びきについてちょっと質問をします。これも統計から出てきたわけでありますが、ベーリング海域における日本の底びきは、戦前は一船団、そうして漁獲量が最高で四万トンなんですね。戦後の最高は三十六年で、船団数が三十三、付属独航船が三百八十隻、漁獲量が約六十三万トン、こういうふうに出ておる。それから三十六年をピークにしてダウンしてきているわけです。三十九年は十四船団で四十一万トン、それでも戦前からいきますと大体十倍、こういうことになる。それから西カムのほうは三船団で、あまりこれは漁獲量に大きな動きはありません。ところが、これの漁場の分布といいますか、これを見てみると、魚はカレイ、オヒョウ、スケソー、メヌケ、こういうようなものですが、ほとんどアリューシャン群島のあの周辺、それからもう一つは、ベーリング海のアラスカとシベリア寄りの大陸だな、こういうところにほとんどが分布されている。それで、日本の底びきの漁場がそういうところへきておるわけなんですね。そうすると、いまの話がこれに関連してくるわけです。アメリカの十二海里の専管水域の設定ということは、これに大きな打撃を与える、これは絶対的なものです。そこで、何かいままでの新聞報道、それからきょうのNHK放送であったわけです。岩崎特派員という者のアメリカ側のこれの受けとめ方、そういうものを聞いてみたわけなんです。そうすると、日本側のほうでは、十二海里の専管水域が決定されても、その中で実績を認めさすという交渉をこれからやる、またもういままでもそういう話をやっているかもしれません。アメリカ側のほうはそれをある程度は認めるんじゃなかろうか、こういう見方、これが一つですね。それから、その特派員の話の中あるいはきのうの新聞によりましても、必ずしもそうではないのですね。これは非常にいつも強いことを言う人だが、マグナソン上院議員の言っているのには、一部米漁民は二百海里の専管水域を主張している、こういうことを言っているわけです。見なさい、十二海里なんてだめだ。この中で言っているのは、ソ連日本は自分たちの沿岸の魚を乱獲してしまった結果、米国の沿岸に押しかけてきておるというのです。そうすると、いろいろと交渉をされるのでしょうが、その実績を認めさすということ、これは従来のアメリカのいろいろな対漁業交渉の経緯から見てみれば、ある程度私は認めるのではないかと思うのですよ。ただし、それは永久のものではない、これはもう覚悟せなければいかぬ。認めても、それは期限つきですね、私の勘でいえば、いままでの経緯からいけば。そうすると、われわれがこれに対して立てる対策というものは、いま認めるということは、ここ二年か三年の問題なんです。そうでなくして、先を見通して、北洋漁業の底びきというものはどうあるべきかということは、やはり真剣に考えないと、場当たりのものになってしまうと思うのです。それはそれでやる、うまくいった場合はそれはプラスアルファだ、このくらいの考え方で基本的な面を出さなければいけないと思う。  それからもう一つは、いまの十二海里なら十二海里に対してアメリカに反対意見があるというのです。その反対意見は、中南米でアメリカの漁船がいまエビなどをとっていますね、それに影響があるからというので、反対論が出ておるというけれども、これも甘い。これは昭和二十何年ですか、トルーマン大統領が大陸だな宣言をやったときに、すでに問題になった。中南米からペルー沖は、あのときは大陸だな宣言だった。だから、ところによれば、百五十海里から二百海里もあるわけですから、これはこたえるのですね。だから、あの当時のようなことを考えたら、私は甘過ぎると思うのです。今度のやつは十二海里なんです。大陸だな宣言じゃないのです。だから、上院を二十日に通った。これは下院を通ることはおそらく必至だと思うのです。しかもこれは上院の商業委員会を通っているのが七日、それで二十日に本会議でこれを通しておるわけです。それからその前に、アメリカ側のほうでは公聴会を開いているのですね。しかも政府代表が、その公聴会に出て、はっきりと国際法上これは正しいのだということを言っておるわけです。そうすると、ジョンソン大統領がこれを大統領権限で拒否するなんというようなことはあり得ないのです。だから、アメリカのほうの専管水域十二海里というものは、もう決定的なものだと見ていいと思う。そうすると、それを前提にして、それがいかに全体的なものに波及してくるか、そうしたものを踏んだ立場から、行政の方向というものをいま取り組んで出していかなければならぬ。もう作業されておるとは思うのですが、何もその内容にわたって言ってくれというのではなくて、少なくともそれだけのことは進めておられるだろう、こう思いますが、いかがですか。
  28. 亀長友義

    亀長説明員 アメリカの専管水域十二海里の法案につきましては、いま先生の御指摘のような事情もございまして、われわれ、この問題に関しましては、従来非公式に先方の話し合いも若干ありましたし、それから大使館を通じて各種調査を行なっております。結論的に申しますと、アメリカの業者でも、北部の業者と南部の業者で、法案成立の見通しについては自分に有利な希望的観測がございまして、南部のほうは必ずしもあまり賛成でないという事情がございまして、見方が違うようでありますが、最近の趨勢によりますと、これはおそらく下院でも通過をするであろう。われわれとしましても、それが通過をした場合の対策については、種々検討をいたしております。  先ほども、十二海里の問題についてあまり反省がないじゃないかという御指摘がございましたが、私どもとしましては、一応私どもなりに一貫した考えを持って対処しておるつもりでございます。と申しますのは、十二海里問題は、一方的に宣言をしても有効なものではない、当事国間で協定をして初めて有効になるのだというわれわれの考え方であります。また、その際には、必然的に相手国の十二海里というものを認める以上何らかの反対給付があってしかるべきものである。たとえば韓国の場合でありますと、一方に李ラインの撤回という問題がございますし、ニュージーランドの場合にも、頭から十二海里を認めないということでわれわれ臨んでおるのではございませんで、十二海里は認めてもよいが、その中の日本実績を認めろという立場で、現在これを国際裁判所の事項に持っていくということにいたしておるわけであります。アメリカの場合につきましても、先ほどから御指摘のとおり、日本の過去の実績というものがございまして、これを認めさせるという方針アメリカ交渉をしたいと考えております。  それで、この内容につきましては、率直に申しまして、国際慣行はそれほどまだ現在のところ確定したものではございません。たとえば英国とノルウェーの場合ですと、十年間で失効する、ただし、その十年間はノルウェーの管轄には属さない、イギリスの管轄でやるのだ、こういうことでございます。それから現在イギリスを中心にできております欧州各国の専管水域に関する漁業条約の例によりますと、過去十年間やっておったものは今後二十年間有効である、二十年後は不確定期限だということで、やや無期限のような内容になっております。ただし、この場合においては、初めから管轄権は沿岸の国が持って、全部沿岸の国で許可をするというように非常なニュアンスがございまして、今回のベーリング海の底びきとの関連におきましては、日本実績はそれほど短いものではない、相当な期間の歴史的操業なり開発の貢献というものは、当然尊重されてしかるべきものだ、そういう線でアメリカ交渉するつもりでおります。まだ別に交渉段階に入ったわけでもございませんし、一応のわれわれの考え方といたしましては、そういうことで臨みたいというふうに考えております。  基本的にベーリング海の操業の問題に関しましては、先ほどお話がありましたように、開発の初期から逐次魚の市場価値もふえてまいりまして、そのうちに非常に船がふえて、魚価が低落したということもございますが、最近はやや安定的な状態にございます。一方このベーリング海の母船団と申しますけれども、実際の底びきをやりますキャッチャーのほうは、いわば沿岸の船でございまして、従来の浅海の漁場では、ソ連の進出もございまして、漁獲が逐次むずかしくなってきた。そういたしますと、やはりベーリング海においても深海底びきということを考えていかなければ、おそらく従来の生産レベルの維持は困難であろうかと思います。御承知のように、明年八月に一斉更新というようなこともございますので、われわれとしましては、このベーリング海の資源利用の船の形態なりあるいは深海底びきというようなことも考え合わせまして、さらにアメリカの専管水域法の施行、そこで日本実績がどれだけ認められるかというようなことも含めまして、このベーリング海の底びきのあり方につきましては、早急に検討すべき問題だと考えております。
  29. 赤路友藏

    赤路委員 いまあなたの言った、たとえば国際海洋法上の幾つかある条約、それは批准をして双方協定を結ぶ、そして初めて発効するという考え方、それはそうでしょう。ところが、それではそれだけで何をやってもいいかといえば、そうじゃない。これは非常にむずかしい問題になるし、法的な見解になると何とも言えないのだが、いわば領海というものは国際的に決定してないのですね。ただ日本が三海里と言っているだけ、ソ連は十二海里と言っているだけだ。だから理屈で言えば、おれは三海里だと思っているんだから、どこへでも行くぞと言ったって、そうはいかないわけなんです。私はそこがやはり国際的な協調の場だと思います。あなたの言っていることは間違いない。間違いないが、それ一本で押し通せないというのがいまの国際漁業あり方だと私は思う。それで、いままで日本アメリカにも三海里三海里といってじゃんじゃんやっていったから、間違われてしまって海賊扱いにされる。こういうような場面もあったことをわれわれはやはり反省していかなきゃいけない。最近ではモーリタニアで大洋漁業の船が領海侵犯でやられていますね。はたして領海侵犯しておったかどうか。われわれは三海里と言う。向こうは何海里と思うておるか知らぬが、このモーリタニアは最近の新興国ですね。だから、相手は相手の考えでやる、こっちはこっちの考えでがちゃんとやっていったんでは、これからの日本国際漁業の進出には問題がある。だから、これはここでいま議論するだけでなく、今後大いに検討の材料にしてやっていきたい、こう思います。  そこで、少し方向を変えて、ちょっと聞いておきたいと思うのですが、日韓条約は、いまはもう蒸し返しませんけれども、これには幾多不明確なものを残しておる、こう私は考えておるわけです。しかし、まず当面日韓の間で問題になるべき点はやはりある程度押えておくというか、そうしてやはり対策を考えていかなきゃいけないのじゃないか、こう思うわけです。  そのまず第一は、日本の経済援助によって漁船の建造等が進んでいくわけなんですが、韓国の漁船の建造、それからくる操業状態、こういうものについてどんな見通しを持っておられるのか、これが一つ。それからもう一つ、私が知りたいのは、日緯条約前とその後における水産物の韓国から輸入しておるものの推移、これをひとつ知りたい。いま言った二点、これはかなり大きく変化を見せてくるわけなんですが、それに対処する日本側のかまえといいますか、これは何か検討されておるか。もっと率直に言うと、もうむき出しでそのまま言えば、韓国側のほうはどんどん漁船を建造してくるだろう。同時に、韓国側の漁業操業状態というものは変わってくる。またしたがって、魚獲物は鮮魚でくるか、あるいは加工品でくるかは別にして、これは従来より以上日本に対して輸入というものがふえるだろう、そういうことを想定して、日本側の現在の漁業実態、そうしたものからどういうふうにこれに対して対処し、かまえていくか、そういうものを検討されておるか、この点をちょっと聞きたい。
  30. 山中義一

    山中説明員 先生の第一の、向こうの韓国側の漁船の建造が進んでおって、その操業の見通し、それと、これに対処するわがほうのかまえという点でございますが、この点につきましては、向こうの漁船の建造は、経済協力その他でわがほうと打ち合わせいたしましたが、比較的遠洋の船、マグロでありますとか、あるいは以西底引き網、このようなものが比較的多く、ほかの沿岸、沖合いの底引き網に当たるものなどは、まだ古いものを代船建造するというような点が主でございます。わがほうのこれに対処いたしまする考え方といたしましては、わがほうはやはり漁業の面においても数歩前進でございますから、漁場を同じくする以西の漁場あるいは沖合い底引きの漁場等におきましても、わがほうの漁船の性能向上、今後さらに省力化その他も進み、生産性は高くなっていくということで対処してまいりたい、こういうふうに基本的には考えております。  それから第二点の、日韓条約が成立する以前と以後との輸入の推移でございますが、いま詳細な数字は持ち合わせておりませんが、推移は、日韓前に比べまして、日韓後はかなりふえております。しかしながら、これは特にもともと自由化されておった高級魚あるいはIQ品目のうちでもスルメ等がふえてまいりましたので、これに対しての対処する考え方といたしましては、先ごろ来沿岸漁業振興審議会の中に輸入の対策部会というようなものを設けまして、ここで種々検討いたしておりましたが、この間その審議会から建議がございまして、生産者等を中心とした一種の調整機関を設けて、韓国からの——まあ韓国からとはっきりうたっておりません、輸入全部でございますが、日本の近くの後進国からの輸入品の輸入に関して種々の調整をはかり、政府にも意見を建議するというようなことでまいりたい。政府といたしましては、これの意見を聞き、またこの機関を設けて、沿岸漁業そのほか日本の一般の沖合い、遠洋漁業等の漁業にできるだけ悪影響がないようにこれで措置してまいりたい、こういうふうに考えております。
  31. 赤路友藏

    赤路委員 もう十二時も回ったから、一応ここらであれさせてもらいますが、いまのお話は少し私は見方が甘いように思います。これは先のことですから、いまがいまの問題ではないので……。ただ最近、ここちょうど一年内ですが、輸入のふえておるのは魚類で、とにかく一応四千百六十五トン、これだけ輸入が増加しておる。それからノリのほうがご承知のとおりかなり、ノリは私はおそらく五億へくるのは何でもないと思う。かなり早い機会にそういう事態になるだろう、こういうことを考えざるを得ないわけです。これは大手は別にして、沿岸の中小の漁民にとってはかなり大きな問題になりそうだ、そういうふうに思いますから、この点十分ひとつ今後どう対処するかということを考えておいていただきませんと、その場にきてあわを食ってばたばたどろなわ式でやるというのでは間に合わないように思います。  大体午前中の質問はこれで終わります。
  32. 中川俊思

    中川委員長 午後一時三十分再開することとして、この際、暫時休憩いたします。    午後零時十七分休憩      ————◇—————    午後一時四十四分開議
  33. 田口長治郎

    ○田口(長)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について質疑を続行いたします。森田重次郎君。
  34. 森田重次郎

    ○森田委員 私は、大豆なたね交付金暫定措置法の運用、この問題につきまして、特にこの基準価格を定むることを中心といたしまして、当局に質問いたしたいと思うのであります。  そこで、最初に、この立論の基礎といたしまして、事実上の関係を簡単にお伺いいたしておきたいと思います。  まず、なたねの耕作面積に関してでありますが、これは法律制定以前の昭和三十一年から昭和四十年までの間にどういう変遷があったかということを実は詳しく知りたいのですけれども、時間の関係もありますので、結論だけお答え願いたいと思います。  昭和三十一年の耕作面積は幾らであったか、それから昨年の四十年の耕作面積は幾らであったか、そしてそれはパーセントにしてどれだけの減りを見たか、この事実を最初にお伺いしたいと思います。
  35. 小林誠一

    ○小林(誠)政府委員 昭和三十一年の作付面積は二十五万二千ヘクタールでございます。それで、四十年の作付面積は八万五千四百ヘクタールでございまして、比率といたしましては三四%でございます。
  36. 森田重次郎

    ○森田委員 次に、ただいまの面積を田と畑に分けて、これもいまの三十一年と四十年の耕作面積とその減りのパーセントを明らかにしていただきたい。
  37. 小林誠一

    ○小林(誠)政府委員 水田作につきましては、昭和三十一年は十三万三千九百六十六ヘクタールでございますが、四十年は三万四千六百ヘクタールとなっておりまして、三十一年に対しまして二六%となっております。畑作につきましては、昭和三十一年が十一万八千七十二ヘクタールであったのに対しまして、四十年が五万八百ヘクタールとなっておりまして、比率におきましては四三%ということで、水田作の作付の減少が、畑作に比べまして著しいものがございます。
  38. 森田重次郎

    ○森田委員 田のほうが四分の一に減っているという事実、これはどういうところからか、理由がわかりましたら明らかにしていただきたい。
  39. 小林誠一

    ○小林(誠)政府委員 水田作は、畑作に比べまして生産費が高い、また単位当たりの収量が少ないというような、生産性が低いという点があります。また、なたね作に依存しますよりも、むしろ農外収入に依存しましたほうが、より多く収入を得る機会が増大するという、特にこれは東海地方が中心でございますが、そういうことで、水田作につきましては、むしろ非常な減少を示しておるわけでございまして、まあ水田作は比較的都市の近郊という地帯において多くつくられているので、この傾向が一そう顕著なものがあるというふうに考えている次第であります。
  40. 森田重次郎

    ○森田委員 畑作の減っている理由ですが、これはどういうような理由に基づくのですか。これも明らかにしていただきたい。
  41. 小林誠一

    ○小林(誠)政府委員 まあ畑作の場合も、多かれ少なかれ水田作と同じような問題があるわけでございますが、そのほかに、なたねにつきましては、気象災害を受ける機会が非常に多いということ、ことにまた菌核病その他の病虫害の発生によります被害を受けやすいというようなことがございまして、他の作物に比べまして、収益性が低いという理由となっておりまして、そのためになたね作が減少しているということが考えられるわけでございます。
  42. 森田重次郎

    ○森田委員 これに関連して、次に、大豆についてお伺いしたいのですが、大豆の耕作面積について、これも三十一年、四十年と減っているパーセント、これを明瞭にしていただきたい。
  43. 小林誠一

    ○小林(誠)政府委員 大豆の昭和三十一年の作付面積は三十八万三千三百七十一ヘクタールでございます。その後、年平均大体二万ヘクタール内外の減少を続けまして、四十年には十八万四千百ヘクタールとなっておりまして、比率にいたしまして四八%というふうになっております。
  44. 森田重次郎

    ○森田委員 大体半分になっているということなんですね。そこで、大豆で自由化されたのは三十六年でございましたね。この自由化された大豆の輸入量、これは昭和三十六年一月一日から十二月までの輸入数量、それから四十年における輸入の数量、これを明らかにしていただきたい。
  45. 岡田覚夫

    ○岡田説明員 ただいまの御質問でございますが、自由化されたのが三十六年でございます。三十六年の輸入数量は百十五万八千二百六十五トンということになっておりますが、その後逐年増加いたしまして、四十年の輸入数量は百八十四万七千四百六十九トンで、三十六年に比べまして、大体六割がた増となっております。
  46. 森田重次郎

    ○森田委員 それと同じことで、なたねの輸入量を三十六年一月から十二月までと、四十年度の分も明らかにしてもらいたい。
  47. 岡田覚夫

    ○岡田説明員 なたねの輸入でございますが、昭和三十六年には一万九千九百四十六トンということになっておりますが、四十年には十万一千二百九十八トンということで、三十六年に比べますと、約五倍の増となっております。
  48. 森田重次郎

    ○森田委員 その次の事実問題でございますが、内地の大豆となたね生産量、これも先ほどと同じように、三十一年のそれと四十年のなたね、大豆双方を比較して、どれだけ生産量が減っているかを明らかにしてもらいたい。
  49. 小林誠一

    ○小林(誠)政府委員 大豆の昭和三十一年の生産量でございますが、これは四十五万五千四百六十トンというふうになっております。四十年には二十二万九千七百トン、面積の減少に伴いまして減少しておりまして、比率では昭和三十一年に対しまして四十年は五〇%というふうになっております。また、なたねは三十一年が三十二万二百二十トンでございます。それに対しまして四十年が十二万五千四百トンとなっておりまして、比率におきまして三九%というふうになっております。
  50. 森田重次郎

    ○森田委員 そこで、なたねにしろ大豆にしろ、耕作面積が減ってきている。しかもそれは非常なパーセントの多い減りになっている。また生産量も同様のことになっている。ところが、これと逆に、輸入量のほうが非常に多くなっている。そうすると、これは非常に大きい政治問題になると思うのです。これは何としたって、大豆あるいはなたねをもっと多く生産させるような方向へ持っていかなければならないのに、せっかく保護する規定をつくりながら、このとおりの減収になり、減反になっている。こういうことになるのですが、一体、農林当局はこれに対してどういうような方法でこれを救うていこうとしておるのか、その点について、その施策の内容を明らかにしてもらいたい。
  51. 小林誠一

    ○小林(誠)政府委員 生産農家の保護の問題ですが、この問題につきましては、大豆なたね交付金暫定措置法が設けられております。それによります生産農家の保護ということとあわせまして、やはり大豆、なたねにつきましては、適地におきまして、またその大豆、なたねに対します依存度が非常に高い地域におきまして、生産改善推進事業でございますとか、あるいは原採種圃事業等につきまして、予算措置を講じておるわけでございます。そういう予算措置並びに指導によりまして、適地におきます生産性の向上並びに農家所得の確保ということをはかっていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  52. 森田重次郎

    ○森田委員 交付金についての予算措置というのが最も大事な眼目になると思うのですが、自由化された昭和三十六年から四十一年までの間に、この交付金制度を活用するための予算というものは、一体幾らずつ計上されてあったのですか、それを承りたい。
  53. 岡田覚夫

    ○岡田説明員 交付金の予算について申し上げますと、昭和三十六年度が三十億円でございます。三十七年度が二十五億円、三十八年度が十五億円、三十九年度が七億円、四十年度が八億円、四十一年度が四億円ということになっております。
  54. 森田重次郎

    ○森田委員 ところが、この予算はそれだけ計上されたが、実際はその予算というものがフルに活用されないで、そして交付された額というものが相当少ないようであります。そこで、これも三十六年から四十年までの間に一体どれだけ交付されたのか、その内容を明らかにしていただきたい。
  55. 岡田覚夫

    ○岡田説明員 交付金の交付につきまして御説明申し上げますと、昭和三十六年が十四億七千五百万円でございます。それから三十七年が九千二百万円、三十八年が二千五百万円、三十九年が二億五千五百万円、四十年が一億八千二百万円ということになっております。会計年度別にこれを見てみますと、三十六年度が四億九千百万円、三十七年度が三億三千万円、三十八年度が七億四千六百万円、三十九年度が二億八千万円、四十年度が一億八千二百万円、こういうことになっております。
  56. 森田重次郎

    ○森田委員 いまのは大豆、なたね双方に関連してのあれでありましょうが、なたねに対しては全然交付しない年もあったように聞いているのですが、それを明らかにしてもらいたい。
  57. 岡田覚夫

    ○岡田説明員 三十六年になたねにつきまして三億三千万円交付いたしたわけでございますが、三十七年、三十八年は大豆のみで、なたねについては特にございませんでした。三十九年に二億五千五百万円交付いたしまして、四十年になたねに対しまして一億八千二百万円の交付をいたしております。
  58. 森田重次郎

    ○森田委員 そこで、いま問題になるのは、予算には相当額計上されたのだが、実際それが予定よりも非常に少ない額の交付で終わって、そしてそれが国のほうの国庫の収入に返ったということになるわけなんですが、この予算が多かったにかかわらず、交付金が非常に少ないということは、私の考えるに、これは基準価格を低く定めたので、こういう結果になったものなんです。基準価格を相当高くやっていさえすれば、この予算の額というようなものは全部使用ができたはずだ、こんなふうに考えるのですが、その点はどういうふうにお考えなんですか。
  59. 岡田覚夫

    ○岡田説明員 予算をとっておきながら、予算どおり交付しなかったのはなぜか、こういう御質問だと思いますが、その点につきましては、次のような原因が考えられるのではないかというふうに思います。まず第一は、市場価格が非常に高くなっております。したがいまして、基準価格を上回っておるために、交付金の交付の必要がなくなったというふうなことがまず第一に考えられます。第二は、生産者団体の販売価格が高水準に推移しておるということもありまして、非常に有利に販売できたということの結果、交付金の単価よりも少額で済んだということもございます。第三点といたしましては、調整販売団体に集まります数量が非常に少ない、したがいまして、交付対象も非常に少ないというようなこと、大体三つの理由があったように考えます。
  60. 森田重次郎

    ○森田委員 なるほどその三つの理由を並べて聞きますと、もっとものように聞こえるのです。聞こえるけれども、実際問題は、これは高く売れたとあなたおっしゃるけれども、実際農家の収入が少ない。少ないから、先ほど局長さんが答弁されたように、だんだん減反していったのです。この減反は、何としたって、農家の手取り金が少ないからそういうふうになっておる。高く売れたから交付金のほうは利用されなかったのだということも理屈にはなりましょうが、しかし、これとても基準価格さえ高くしていただけば、そういうことなしに、やはり一ぱいに予算が使われ、かつ農家の手取りが多くなる筋だ、私はこう考えるのですが、これはどうなんですか。
  61. 岡田覚夫

    ○岡田説明員 なたね生産につきまして価格が影響を与えるということは、これはもう否定できない事実でございますけれども、最近の減反の傾向につきまして、農家につきまして調査いたしました結果から判断いたしますと、第一に減反をしている理由として圧倒的な部分を占めておりますのは、作柄が非常に不安定であるということが減反の原因になっておりますのが、圧倒的な部分を占めておるように思われます。第二には、収穫の量が少ないというようなこと、それから労働力が不足をするというふうなことが主たる理由になっておるように考えられるわけでございます。
  62. 森田重次郎

    ○森田委員 いまの御説明は、私らとうてい納得することはできない。なたねは、やはりなたねでなければやっていけない場所が日本には相当あるわけであります。それから生産性が不安定だなどとおっしゃるけれども、われわれの地方などではこれは一番安定しているのだ。それからあまり労働力をこまめにかけなくともある程度の収穫があるのだということで、われわれの郡あるいは東北地方あたり一帯では、ある程度これは作物としては安定性がある。ただ、価格の手取りが少ないから、ばかばかしくてこんなものを続けていられるかということ、特に最近の労働賃金が高くて、ほかのほうへ回ったほうが非常に収入が多くなるから、こういうものをやらぬほうがいいというので、これが少なくなったと見るのがわれわれの見方なんで、いまの部長さんの御見解は、単なる弁解のための弁解であって、われわれはとうていそれを納得することができない。これはぜひ収入を多くするという方向へ持っていっていただかなければならない。したがって、その焦点は何かというと、やはり基準価格を高くするという点が非常に大事な点だと私は考えるのですが、これはどうなんでしょう。これから基準価格を相当私らは上げてもらわなければならないのだというふうに考えているのですが、この点はいまどんなふうにお考えになっておいでになりますか、ちょっと聞いておきたい。
  63. 岡田覚夫

    ○岡田説明員 先生承知のように、交付金法によりまして、価格の算定方式がきまっておるわけでございますが、一応パリティ価格と、それから生産事情その他経済事情を参酌しまして、再生産の確保を旨としてきめるということになっております。したがいまして、現在、本年度の価格につきましては、六月三十日にきめるということになっておりますので、鋭意いま作業をいたしておるわけでございます。
  64. 森田重次郎

    ○森田委員 これはあとでまた議論いたしますが、その前に、予算をとることで、ことしもずいぶん私らも骨を折ったのですが、なかなか大蔵省の壁がかたくて、思うようにとれなかったというところに難点があって、ことしは四億にとどまるというかっこうになっている。それさえ十分使えるかどうかわからない。それで、使わないものだから、大蔵省のほうでは、使わない予算をとってもしようがないじゃないかというところに、どうも大蔵省の考え方があるのではないかと疑われる節があるのです。  そこで、私、その前にお伺いしておきたいのは、大豆、なたねについての輸入の関税の問題でありますが、この関税がどれくらい入っているかということは、財源論としてはきわめて重要な観点だと私は思うのであります。やはり大豆、なたねの保護をしていくという点では、基準価格を上げなければならぬということは、これはどなたが見ても議論の余地のないところであります。ただ問題は、その財源が一体どこにあるのかということでだいぶ議論があるようであります。その意味で、一体どれくらいの関税が大豆、なたねの輸入について入っているのか、これをひとつお伺いいたしたい。これは少しこまかいようでありますが、大豆については、三十六年、三十七年、三十八年、三十九年あるいは四十年も明瞭でございましたら、これもお伺いしておきたい。  それからなたねについても同様でありまして、そうしてこれの総計どれくらい一体関税が入っているか、概算でけっこうでございますから、これも明らかにしておいていただきたい。
  65. 植松守雄

    ○植松説明員 いまの御質問でございますが、大豆から申し上げますと、三十六年度が四十四億、三十七年度が四十八億、三十八年度が六十億、三十九年度が五十六億、四十年度が六十九億でございます。  それからなたねでございますが、同じく三十六年度が七千百万円、三十七年度が二億三千四百万円、それから三十八年度が五億四百万円、三十九年度が三億七千四百万円、四十年度が六億八千七百万円でございます。
  66. 森田重次郎

    ○森田委員 そうすると、いまここで合計すると幾らになりますか、四十年度で。
  67. 植松守雄

    ○植松説明員 四十年度は七十六億でございます。
  68. 森田重次郎

    ○森田委員 そこで、三十六年から四十年までの間に入った関税から交付金を全部引いて、残った総額はどれだけ国庫のほうに入ったということになりますか。
  69. 岡田覚夫

    ○岡田説明員 大豆、なたねの関税収入から交付金を差し引きますのを年度別に申し上げますと、三十六年が四十億六千七百万円でございます。三十七年度が四十七億六千七百万円、三十八年度が五十八億一千百万円、三十九年度が五十七億四千百万円、四十年度が七十四億二千五百万円ということになろうかと思います。
  70. 森田重次郎

    ○森田委員 そこで、今度は大豆なたね交付金の目的論なんです。これは私がここでちょうちょう申すまでもなく、きわめて明瞭でありまして、第一条の目的には、生産者に交付金を交付することによって、生産の確保と農家の所得安定とに資することがその目的である、こういっている。ところが、耕作面積においては先ほどのお話のように半分以下、三分の一に減ってしまって、生産量においてもまた非常に減っている。そして逆に輸入している大豆、なたねのほうが多くなっているというようなことなんですが、これで一体大豆なたね交付金暫定措置法が目的を達していると言い得るだろうか。農林省というものは、私は、もっと農民の立場というものを保護するためにある官名だと考えているのですが、そうしてこういう目的を持った法律をきめていながら、いま申し上げたように、耕作面積が三分の一に減るなどという政治をやっておって、どうも農林省が目的を達したと私は言えないように思う。これはひとつ政務次官から御答弁をお願いしておきたいと思うのです。
  71. 仮谷忠男

    仮谷政府委員 大豆、なたねの問題につきましては、確かに、現状を見ますと、先生のおっしゃるとおりの状態に相なっておるのでありまして、農林省におきましても決して手をこまねいて見ておるわけのものではないわけでありますが、ただ、先ほどからだんだんと御答弁を申し上げておりますように、やはりなたねの収益性と申しますか、そういうふうな面は、単なる価格だけで問題が解決しない一つの趨勢というものがあるわけであります。これは同じようなことがやはり麦作にも言えるのではないかと思うのであります。麦作も米審のたびにいろいろと御意見が出、それに対する対策を立てよと厳重な警告をいただいておりますが、なかなかその警告どおりにいくどころか、逆にますます反収、反別は減っておるという状態で、やはり農民が非常に収益性を追っていくという観点から、麦とかなたねあるいは大豆といったものがだんだんと減反になる状態に相なっておるわけであります。ただ、先生の御郷里のような青森県等の畑作においては、なたねはそういうような面がないと思いますが、特に水田の裏作ですか、西日本においては全く反収というものは微々たるものでありまして、それによって農家生活を安定するといったようなことはとうてい及びもつかない。したがって、だんだんと他に転換されていくという一つの傾向を持っておるわけでありまして、これについては、率直に申し上げまして、これというきめ手を実は持っていないわけであります。大豆なたね交付金暫定措置法が生まれましたのは、輸入する場合において生産者に対して大きな打撃を与えない適切な処置をとっていくという目的でできたわけでありますが、これも先ほど御答弁を申し上げましたように、やはり市価と基準価格との関連がございまして、そういう意味で、比較的高水準生産者が販売されておる場合に、この法律の趣旨からいって、交付金が減少していく、予算どおり使えないという事情があるわけであります。そういう点から考えてみますと、市価が高いというのは、むしろ基準価格が安いのではないかという議論に相なるわけでありまして、そういう点については私ども十分に検討しなければならぬと思っておりますが、やはり一定の基準に基づいて算定をいたされている以上、確かに先生のおっしゃるような事態が生じておりますことは、私ども率直に認めなければならぬし、これに対してはまたいろいろと対策を考究しなければならない、かように存じておるわけであります。
  72. 森田重次郎

    ○森田委員 いまの政務次官の御答弁、もっともな節もありまして、私も同感の点もある。特にこれは耕作の合理化の面等もありましょうし、あるいは品種改良の問題等もありますから、生産量を上げるように、もっと農業者自身で考慮しなければならない点があると思います。しかし、政治というものは、何か一つだけをとって、それ一つやれば全面的な目的を達するなどということはあり得ないことは、これはお互いよくわかっていることだと思います。ただ、いまの時点に立って考えてみると、とにかく基準価格が安過ぎるということなんです。私はここらにもう少し政治的な手を打つべきものだと思う。たとえば、昨年の基準価格は六十キロで三千六百二十円です。ところが、大体その辺のことでやられているのでありますが、これで反当収量三俵半、四俵とれるところが非常に少ないというのが大体の実情なんです。それで考えていくと、反当収量一万円ちょっとこえた程度の収入しかない。それを一日千円の労働賃金などを農村でいま払わなければならないという実情にあり、したがって、出かせぎなどもその方向へ吸収されるというようなかっこうになっておりますから、いまの基準価格でやったって、これはとても保護されるものではないわけなんです。したがって、私は、農林省が何かいまのままでいくと、大豆、なたね日本からあとを断つ時代がくると、こう考えさせられる。農林省はそれでいいという考え方なら、これはまたわれわれも別な考え方でいかなければならないということなんです。だから、その点で、農林省はもう少し大局を見て、大蔵省で与えている予算ぐらいはフルに使うぐらいの基準価格をきめたって、別に大蔵省のほうから文句が出るわけでも何でもないのに、少しこまかく考え過ぎているのではあるまいか。そうして、妙な理論にとらわれているような感が私はするのです。これは減反の割合などが一〇%とかなんとかいうことならまだわかるけれども、三分の一に減ってしまうなどというような大きい減りになっているものを、観念的な理論にとらわれた計算をするというようなことでは、ほんとうに四、五年間に日本から大豆、なたねはあとを断ってしまうということをわれわれは憂える。ところが、大豆、なたねでなければやっていけない農業地だってあるのですから、そういう点を考えれば、もう少し農民の立場を考えてもらえないかというのが私のきょうの質問の要旨なんです。  そこで、私、農業というものは、どうも仮谷政務次官にこういうことをお話しすると、釈迦に説法みたいなことになりますけれども、とにかく工業生産などと違いまして、自然から制約される面が非常に多いのでありますから、その点から考えて、何としたって生産量というようなものが思うとおりに出てこない。でありますから、世界全体の農業政策を見ても、やはり農業というものが保護されるというのが私はたてまえだと思う。その点で、私は、実は「レファレンス」で——一体EECにおいて、あの六カ国の間に統合的な連邦ができるのじゃないかと思うのが、どうしてもできない。なぜできないかといったら、結局フランスの農産物を西独へ持っていくと、西独の農業が全滅をするというので、反抗が起こった、それであの統合ができなくなった。今度は農業問題で統一していこうとしたら、これはまたドゴールが非常な怒りを発して、理事会をボイコットしたという事実がある。これはみんな自分の国の農業をどう保護していくかということが観点になって、ああいう問題になっている。伝うるところによりますと、ドゴール大統領の選挙にこれが非常に大きい響きであって、フランス農民もこの点に対してはドゴールを支持しなかったとまでいわれているほど大きい政治問題になっておる。そういう国際上の点から考えてみても、やはりどこの国でも、農業というものはある程度保護しなければ成り立たないものなのです。米だってそうでしょうし、麦だってそうでしょうし、大豆、なたねだってやはり同じだとわれわれは考える。そういう点から考えれば、これをどうやって保護していくか。そうすると、合理化のための、あるいは基盤整備のための、機械化のための、それぞれ設備なり何なりに対する助成方法もあるでしょう。あるでしょうから、とにかくそれをその方面でやっていただいていいのですが、きょう私がいまここに立って議論する焦点というものは、この基準価格が安過ぎるという一点にかかってくるわけなのです。そこで、この点をいまのように放置しておくということは、われわれ農民を代表する者から見ますと、非常に大きい問題だと実は考えるわけなのであります。  そういう点から考えまして、私はここで結論をいたしますが、きょうは大蔵政務次官もお見えになっておりますし、ひとつこの予算のとり方について、あまりこんなこまかいものをいじめないようにしてもらいたいということなのです。私は、この法律ができたときの周東農林大臣の説明を速記録でちょっと読んでみますと、こんなふうに出ております。「大豆輸入の自由化に伴い、国産大豆及び菜種を保護するための措置として、集荷団体に調整を行なわせ、調整により生ずる売買差損等を交付金としてこれら団体に交付することとしたのでありますが、これに要する経費三十億円を計上いたしております。」こういうように言っておる。つまり、大豆、なたねの自由化というものに対して、当時相当強い反対があった。だから、交付金のほうへ三十億も予算を回すのだから、これで保護するのだからだい、じょうぶだぞというのが、この法律を制定したときの当局の態度であったのです。ところが、この三十億の予算を毎年出してくださって、これの基準価格を上げていただいて、そして保護するなら、三分の一に減るなどというような現象は絶対に起こるはずがない、私はこう考える。それが先ほど御答弁になりましたように、だんだん減っていった。驚くべき減り方で減っていった。繰り返して言うようでありますけれども、三十六年が三十億、三十七年に二十五億、三十八年には十五億、三十九年には七億、四十年には八億、四十一年には四億に減ってしまった。これで一体どうしてなたね、大豆の保護ということが言えるか。だからこれを考えれば、私は、農林省のいまとっている態度に対して非常な不満を表明せざるを得ない。この点に対してひとつ政務次官、責任を持って善処することを御答弁願いたいと思います。
  73. 仮谷忠男

    仮谷政府委員 最初の三十六年の当初の予算がだんだんと四億に減ってまいったということ、確かに数字ではお話のとおりでありますが、これは先ほど申し上げましたように、耕作面積の非常な減少ということから、やはりそれに見合った予算の見通しというものも、そういうふうに激減をいたしてまいったことは御理解をいただいているとおりでありますが、先ほども申し上げましたように、確かに先生のおっしゃることはごもっともであり、私どももそういった面では真剣に考えなくてはならぬと実は思います。率直に申し上げまして、収益性がないからこれ以上のほかのものに転向するという地域のもの、それはいたし方ないと思います。それのためにあるいは基準価格を二倍にし、三倍にしたところで、つなぎとめることはできない現状ではないかと思いますが、ただ、地区によりましては、それ以外に耕作するものがないのだ、それ一本にたよっているのだという地区がある。その地区ではほんとうに所得が十分確保できるように育てていかなければならぬということは、当然のことだと私どもは思っておるわけであります。そういう意味で、たとえば四十年度の大豆、なたね生産費対策にいたしましても、二千五、六百万程度の予算を計上いたしまして支出をいたしております。なたねだけでも一千三、四百万くらいのものを出しておるわけです。そういう地区に市点的にいろいろな生産施設の充実をして、できるだけ生産を確保してもらうということでやっております。  ただ、価格の面につきましては、確かにおっしゃるとおりでありますけれども、そうかといって、それを世代の希望どおりに無制限にということもできない実情は御理解がいただけると思うのです。これはなたねに限った問題ではなしに、米価にいたしましても麦価にいたしましても、御承知のような現在の実情で、農民の要望と現実の価格というものは非常な開きがあり、不満を持ちながら、そういう決定がなされておるのが実情であります。ただ、そうかといって、現状で決して私どもはいいと思っておりませんし、かりに基準価格の問題にいたしましても、算定の基礎等も十分に考慮して、できるだけの努力はしなければならぬ、こういう考え方を持っておりますが、きょうは、どの程度にしてどこまで上げるといったようなこと々私この場で申し上げる限りじゃございませんので、その点はひとつ御了承いただきたいと思います。
  74. 森田重次郎

    ○森田委員 政務次官の誠意ある御答弁で、一応満足いたします。しかし、この問題は、何といたしましても差し迫っている問題でもありまするし、ぜひひとつ思い切った上げ方をしてもらいたいと思う。  そこで、大蔵政務次官一つお尋ねいたしたいのですが、これはこの基準価格を上げるということでいろいろ大蔵省のほうに農林のほうから交渉があると思いますが、これがまた一つの壁になるというようなことで、なかなか思うようにいかないのではないかという点も心配の種なんです。いま申し上げましたように、とにかく大豆、なたねの関税で相当のものが入っておる。私は、これは全部そっちのほうの保護へ回せというようなやぼなことを申し上げるつもりはありませんけれども、この予算のうちの三分の一くらいは少なくも——直接因果関係がないとしても、相当因果関係はあるわけですから、その方面の保護に回すだけの雅量を持っていいじゃないか。したがいまして、これはこれからの予算の折衝と、あるいは将来のこの交付金に対する予算等につきましても、ひとつ御理解ある御態度を持ってこれに臨んでほしいというのが、私の陳情申し上げる趣旨なのでございますけれども、これに対しての御答弁を聞いておきたい。
  75. 藤井勝志

    ○藤井政府委員 農林政務次官から御答弁がありました点、私も全く同感でございまして、なたねに例をとり、あるいは大豆に例をとった場合、こういう作物しかできない地帯の農民の保護という点については、私は、政治の姿勢として熱意を持って配慮すべきであると思います。ただ問題は、先ほど先生御指摘のごとく、昭和三十六年に大豆、なたねの自由化、それでよその農産物がどっと入ってくる、その輸入によって国内の関係耕作農民が大きな打撃を受けないようにやっていこうという、いわゆる大豆なたね交付金暫定措置法という法律は、そのような激変を防ぐための不足払いをとりあえずやっていく。でき得べくんば、暫定という気持ちは、そういうことはなくても済むような方向にできるだけ狭めていきたい。それと、どうしてもこれしかつくれないという地帯に対しては、一応日本の農政のあり方として総合的に配慮すべきである、このような点ではなかろうかと思うのでありまして、先ほどからいろいろ御指摘がございましたような数字の推移を見ますと、最初この暫定法の提案理由の農林大臣の説明のおことばから受け取る感じと、現実の四十年あるいは四十一年度の予算措置といものはきわめて隔たりがある、こういう御感触ごもっともだと思うのですけれども、現実がそのような暫定措置であるという面からいって、われわれとしては、ひとつできるだけの配慮を農林省とよく検討いたしまして、もう時期も迫っておりますが、御趣旨の点を勘案いたしまして検討させていただきたい、このように考えております。
  76. 森田重次郎

    ○森田委員 どうぞそういう方向へひとつ向けていただきたいと思います。  これは大蔵政務次官に御参考までに申し上げますが、いま一体日本でなたねをやっている県がどれくらいかということです。これをいま私読んでみますと、東北では青森が最も多い県でございまして、あとは山形、福島が若干、それから関東では茨城県一県でございます。それから北陸では新潟県一県でございます。近畿では三重県、滋賀県がございます。それから山陰では鳥取県、それからその果ての山陽との間の山口県、四国では一県もございません。それから九州はこれは全県ございます。大体こんなかっこうに変わってきている。でありますから、よほど特殊な事情でもない限りは、なたねはもうやらないのだということが、これでよく読み取れるのです。そういう点から考えても、ここらでひとつ大きい考え方に変えてもらわなければいけないのだという考え方でございます。どうか以上の点を十分御理解を賜わりまして、この基準価格を定める際には思い切った政治上の手を打っていただきたいと思います。  そこで、もう一つ農林省のほうにお願いしたいのですが、それは大豆、なたねの交付金の申し込みなんです。委託期間というのがあるようでございます。これは一体何できまっているものなんですか。地区的にいつならいつまでに申し込まなければならないという規定があるらしいのですが、これは施行規則か何かできまっておるものなんですか。
  77. 岡田覚夫

    ○岡田説明員 施行規則できまっております。
  78. 森田重次郎

    ○森田委員 そうしますと、あなたのほうでこれは妥当でないと思えば、あなたのほうきりで訂正ができるわけでございますね。
  79. 岡田覚夫

    ○岡田説明員 不適当であれば改正することもできます。
  80. 森田重次郎

    ○森田委員 北海道が九月三十日になっておる。それから内地のほうが七月三十一日ということにきまっておるようであります。ところが、われわれ青森県からの陳情なのですが、ちょうどその七月あたりはいろいろの面から農村は非常に忙しい。そこで、七月三十一日までに申し込まなければ特別待遇を受けることができないということになりますから、これはわれわれの地方にとってはきわめて重要な問題なんです。そうなりますと、ほかのものをやめてまでこちらへ労力を集中しなければならないというような困難にぶつかる。そういう点、北海道が九月三十日でありますから、それでもけっこうやっていけるということになると思いますので、われわれの地方では八月三十一日ごろにぜひひとつきめてほしいという希望なのですが、この希望は私はもっともだ、こう思いますので、きょう特にこれを取り上げたのですが、これに対しての御意見を伺いたい。
  81. 岡田覚夫

    ○岡田説明員 さような要望を聞いておりましたので、そういう線に沿って実施をいたすことにいたしております。
  82. 森田重次郎

    ○森田委員 そういうふうにすぐできますか。
  83. 岡田覚夫

    ○岡田説明員 八月の末ということにいたしております。
  84. 森田重次郎

    ○森田委員 たいへん長い時間をとりまして質問をいたしましたが、私のねらっている点につきまして、御理解ある御答弁をいただいたことを感謝いたします。どうか今月末までに基準価格がきまるそうでありますから、きょうの御趣旨にのっとって思い切った上げ方をしていただきたいという希望を申し上げまして、私の質問を終わります。
  85. 田口長治郎

    ○田口(長)委員長代理 赤路友藏君。
  86. 赤路友藏

    赤路委員 次に、以西底びきについてお尋ねいたします。  日中民間漁業協定が締結され、中間で長崎の中国国旗問題を契機にしてこれが一応御破算になって、また再度条約が結ばれた。非常に困難な過程を経て今日に至っております。一応問題が表に出てまいりませんので、安定しておるような姿には見えるわけでありますが、先般、政府のほうでもこの以西底びきの遠トロへの転換措置をとった。一部でありますが、そういうような転換措置をとったということは、必ずしも以西底びきは安定しておるというふうには言えない、何か先々に不安定なものが現在の条件の中でもあるのではないか、こういうふうに思われるわけなんです。  で、この統計から見てまいりますと、三十五年の漁労件数は三百八十、漁獲量は三十四万八千五百トンになっておる。これが三十九年に漁労件数は三百九十三、そうして漁獲量が二十八万九千三百トン。この五カ年間の数字を見てまいりますと、漁労体数は増加をしておる。そうして漁獲量が約六万トン減じておる。それからトロールのほうも漁推量は減少いたしております。それだけに、表面上に不安定要素というようなものは出てきておりませんが、いろいろの数字を押えて見てまいりますと、このまま手放しでは何かいけないのじゃないかというような感じがするわけなんです。以西底びきに対してどういうような見通しを持ち、対策をお持ちになっているか、それをお聞きしたい。
  87. 亀長友義

    亀長説明員 以西底びきにつきましては、御指摘のように、漁労体は若干の変動はございますけれども、あまり減少するという傾向にはございません。それから漁獲量につきましては、御指摘のように、ああいう池のようなところで、数年、かなり圧力を加えられてきておるというような事情から、かなり減少いたしております。この経営の将来につきましては、いろいろ韓国あるいは中共の進出等の関係もありまして、簡単に申しますと、予断を許さないというような事情にございます。しかしながら、韓国、中共にいたしましても、私どもの判断では、急激な増加ということはあるまい、現在すでに中共は相当の漁獲を上げ、韓国も漁獲を上げておりますけれども、非常な増加ということはあるまいとわれわれは判断をしております。また、漁船の性能から申しますと、日本の漁船の性能がはるかにすぐれておるというふうなことでございます。しかしながら、いずれにしても、この以西漁業が、そういう面で、他国との関係あるいは資源の問題ということで、非常に不安定な要素をはらんでおるということは事実でございます。私どもとしましては、やはり漁船なり技術の優秀性というものを日本維持していくということが一つだろうと思います。これはある意味においては、ほかの国は現在までの水準にはやがて追いついてくる、日本はさらに現在の水準を飛び越えたような技術に進んでいくよりほかにないというふうに考えております。したがいまして、漁船の性能という点につきましても、現在もある程度大型化しているが、もう少し能率のあがる、しかも大きな網を使って大きな魚体の魚がとれるというようなことも研究いたさしております。また同時に、日韓条約によりまして、小さな網目から大きな網目を使わなければならぬということになりましたが、これも資源保護という面から申しますと、非常に小型の魚をとるということがなくなった。また非常に小型の魚は市場価値も薄いのでありまして、そういう面で、特に魚の大きさといいますか、そういう面での企業合理化ということも促進をしてまいりたいと思います。  さらに、企業体の数について先ほど御指摘がありましたように、中小企業によって行なわれるということでありまして、中には一隻だけでやっておられる方も相当ありまして、そういう方に対しては、やはりこれは企業合同なり合併なりということで競争力の強化をはかる、かような方策を考えております。従来、こういうふうな将来の不安定ということもありまして、機会あるごとに、以西からは外部へ転換するということを考えておりますけれども、今後はそういう方途も非常に限られてまいりまして、できるだけ以西トロール漁業の内部で、操業の面なりあるいは漁業経営の面なりで合理化をはかる、こういう政策を進めてまいりたいと思います。
  88. 赤路友藏

    赤路委員 いまの生産部長の説明からいきますと、率直に言って、いまの資源状態、それからいまの操業あり方、こういうようなものからいくなれば、そう大きな急激な変化はないであろう、したがって、今後これに対しては、できれば内部的にひとつ調整をはかって、安定操業の線を堅持していきたい、こういうことだと思う。そこで、そのいま生産部長がおっしゃったようなことを業者に徹底しなければいかぬ、こういうように思うわけなんです。これはいま私のほうへ入った情報でありますが、先ほど部長が言われるように、漁船の大型化、それから省力機械化、これがここで進んでいるのですね。しかもそれは試験操業という形、テストだという形で大型化が行なわれている。それはいま言うように労働力が不足してくる、そういう中で操業をやる、当然省力化をはかり、機械化していくということはあり得るでしょう。しかし、それがあまりにも無理な行き方をしますと、当然資源にも関係を及ぼしてくる。網目のことをおっしゃっておりましたが、いま網目は五十五ですかね、これも問題になっておるのですね。魚種によって変えなければならぬのじゃないかというようなことが問題になっておるようですが、なかなかむずかしい問題です。  もう一つ、私が聞くのでは、洋上転載による集団操業が行なわれておる。これは実際私が見たわけでも何でもないんだが、そういう情報が入っておるわけです。三船なり四船なり集団で行って、どんどんとって満船したものから帰らす、そうして昼夜兼行でこの漁業をやっていく、そうした操業あり方というものは、これは労働過重ということにもなりましょうし、同時に、それをあまりやりますと、これは資源にも影響がないと言えない。そういう点何か情報が入ってますか。
  89. 亀長友義

    亀長説明員 私、実はまだそういうことがあるということは聞いておりません。洋上転載につきましては、御指摘のように、労働問題もあり、またあまり漁獲努力を強化するということもありまして、私どもとしましては、これについては消極的な立場をとっております。
  90. 赤路友藏

    赤路委員 消極的な立場ですか。
  91. 亀長友義

    亀長説明員 もう少し具体的に申しますと、認めないという立場だということでございます。
  92. 赤路友藏

    赤路委員 以西底びきは、いまの日本国際漁業の中では、シナ海は三大漁場の一つでもあるし、先ほど言いましたように、まずまず安定しておる漁場であり、安定させ得る漁場なんですから、十分ひとつ、今後対中国との関係もあり、あるいは対韓国との関係もありますから、注意をしながらその指導をしてもらいたいと思います。  次に、遠トロについてお尋ねしておきたいと思います。これは先の国会におきましても、私は問題にしたわけなんですが、この二十二隻の新規許可は、現在でも私は軽率である、こういうふうに実は考えております。その当時、なぜ私が二十二の新規の許可に対して反対をしたかということは、数字をあげて丹羽長官質問の形式をとりながら申し上げたわけであります。で、ここでもう一つ、その当時の水産庁長官の答弁等を押えてお聞きしてみたいのです。  答弁の中で特に強調されたのは、新漁場の開発なんです。要するに、遠洋トロールの新漁場の開発ということは、実際どういうふうに、どこを新漁場として調査をして進めていかれるのか、この点がもう一つ明確でない。ただ長官が言われるようなアラフラ海というのは、これは私はもう意味がないと思うのです。これは新漁場としてやったのじゃ、むしろ問題を起こすと思うのです。そうすると、私の率直な考えでいくならば、新漁場という限りにおいては、いままでの経過から見て、これはもう南氷洋の周辺とでもいいますか、アフリカ大陸のケープタウンのみさきからずっと南へおりるところでないと、少なくともアフリカの大西洋岸はほとんどもういままでに操業をやっておるのです。そうして転々と変わっておるわけなんです。そういう実態から見ると、新漁場の調査と、非常に力を入れてやられるのだが、一体それはどこにあるのか、どこをおやりになろうとしておるのか、これが一つ。  それからもう一つは、時期的にいつまでにこれをやられようとするのか。それで、その漁場を——時期を言うのは、一カ所をやったって、これはとてもじゃないが、いまの操業状態から見れば、私は問題にならぬと思うのです。だから、そういう点もう少し、もしやっておられれば、あるいは計画があれば、それを知らしていただきたいのです。
  93. 亀長友義

    亀長説明員 一昨年の二十二隻の新規許可のときに、新漁場の開発ということを申し上げたと思いますが、それは操業船によるものと政府の試験船によるものと二種類ございまして、政府の試験船によるものは、大体豪州近辺あるいは豪州とニュージーランドの境等を調査をいたしております。それからアフリカ・トロールの船について、もちろん、実際に地図の上で見ますと、これは同じようなアフリカ沖でございますけれども、たとえば従来は開発されていなかったところの、もっと深いところの深海の漁場に移行して、そこの底びきの可能性を調査をするというふうに、水域なり水深の地点としては、かなり従来よりも広範囲にわたっております。さらに最近、南米沖、これはいろいろ向こうの政治情勢等がありまして、私どもとしてやりたくてもなかなかやれないような事情もございますが、この辺におきましても若干の操業船による試験が行なわれております。  時期的にいつかと言われますと、これは政府の予算があることでございますので、いろいろでございますが、現在のところ、豪州沖での調査は一応終了いたして、報告書が出ております。そのほか、操業船が新たに従来の漁場より移行した地域につきましては、これはいろいろ操業上の理由もありまして、必ずしも公開をされておらないのでございますが、特別に許可のある者が操業したのはそういうことでございますけれども、許可のない者に特別の開発試験を許したようなものにつきましては、やはり政府のほうに公開の報告をしておるという実情でございます。主としてこの水域は豪州の北部水域、いま御指摘のアラフラ海、あるいはその近くのポートモレスビー付近の大陸だなの漁場ということでございます。
  94. 赤路友藏

    赤路委員 率直に私言いますが、予算を見てみてもあんまりついてないのです。だから、あなたの話を聞いておると、それは相当希望も持てるのだけれども、実際上の問題としては、これは予算の伴う話ですから、私はなかなかピッチが合わないんじゃないかと思うのです。要するに、現在の五十六隻に二十二隻ですから、全体で七十七か七十八になっていますね。まだ全部出ていません。しかしながら、それだけになるわけなんですから、これが操業するということになれば、相当なものだと考えなければならぬ。それをなおかつ経営が維持し得るだけの新しい漁場というものを見出していかなければいけない。どんどんとってきて見出していかなければいけない。そうすると、私のいまの考え方からいけば、いまのような予算のつけ方、いまのような水産庁での新漁場の調査のしかた、これをもってしてはズレが出てくる。そうなると、もう遠トロのほうのこれをまたどこかへ転換しなければならぬということが出てくる危険性があるわけです。私はもう必然的にそれがくるような感じがしてならぬわけです。だからそれだけに、この資源調査というものは相当ピッチを上げなければ、私は問題を遠トロへ転換させながら、遠トロをまたどこかへ転換しなければならぬというような場面に倒達するように思うわけです。それに何か手を考えておられるか。たとえばどこかに委託してやらすとか、そういうようなことを何かお考えになっておりますか。
  95. 亀長友義

    亀長説明員 遠トロの将来につきましては、いろいろ問題がございますし、それからアフリカ、いわゆる西南大西洋につきましては、あの区域で資源調査なり、あるいは条約を設けるべきだという声も、最近イギリス、セネガル等の国から出てきております。したがいまして、遠トロというものについても、無限の可能性があるのだというふうにはわれわれちっとも考えておりませんので、もちろん、先ほど申し上げましたような新漁場を調査するということが必要と同時に、われわれとしては、技術的に深海底びきというものをもう少し開発していくべきだろうと思っております。現在のところ、漁場的にはアフリカだけやるのだとか、あるいは豪州沖だけやるのだというような、こまかな制限はしておらないで、むしろ南半球は大きく、いわば自分たちでとれるところをさがしてこいというふうな言い方をしておりまして、どうも政府の足りないところを民間の手にゆだねるようではございますけれども、われわれとしてもできるだけ予算を取って調査を進める、民間のほうでもやはりこれは自発的に調査開発をやってもらいたい、こういうことでわれわれいま進めておるわけでございます。
  96. 赤路友藏

    赤路委員 もうこの問題は、大体あれがわかりましたからこれ以上申しませんが、確かに従来と違いまして、深海操業が進んできておる。五百メートルから八百メートルというのが普通であって、一千メートルまでいくなんということを聞いているわけです。だから、深海操業ができてきたということは、従来の漁場がもう一ぺん生かされるということになる。それは一応私もそういうふうに考えます。ただ、ここで、いまほんとうにありのまま部長はおっしゃったが、いまの豪州とアフリカ関係を、いままで別々であったのを今度一つにしちゃった。別々のときの年間の上がりを見てみると、豪州関係はだんだん減ってきてしまっている。それで一緒にしたら、それだけまた向こうへいってしまうという形になるのですが、いずれにしても、豪州関係が非常にダウンしてきておったということは事実なんで、したがって、新漁場は、いわば、今度の許可のあり方から見てみると、投げやりでなしに、おまえたちもさがせ、こういう形、これは私いいと思うのです。一つの新しい漁場をかりに民間のものがやるということになりますと、へたすると、何百億かの金を捨てる場合があり得るわけですね。そのまま当たっていけば問題はありません。しかし捨てる場合がある。ずっと水産庁の過去のあれを見ていると、たとえば北洋ミールなんか一番いい例だと思うのですが、せっかく新しい漁場を民間で行って開発して、よかったと思ったら、翌年からだっと申請が出てきちゃって、一ぺんに三船団も四船団も行って、もう二、三年の間にパーにしてしまう、こういうことをやっているのですね。こんなことを繰り返してはいかぬと思うのです。少なくとも相当な犠牲を払ってやらしたやつには、やはりある程度の——私は特権とは言いません。ある程度のものは与えてやらなければいかぬ。そうして余力が出たときに、またほかへ行かす、そしてそこへは今度中小企業を入れる、やはりこういうような指導をやっていくべきだと思う。遠トロに対しては、特にそういう資源の面で心配がありますので、ひとつその点十分注意してやっていただきたいと思います。あとはけっこうです。カツオ・マグロですから、第二課長に聞きますから……。  ではカツオ・マグロについてお尋ねいたします。  統計調査部の三十九年度のマグロはえなわの漁業統計を見てみますと、三十五年の漁獲量生産額を一〇〇といたしますと、三十九年は漁獲量が二六、それから生産額が一六九、こういうふうになっておる。三十七年、三十八年よりは落ちてはいますが、何か価格高によって一応バランスがとれてきておる、こういうふうに数字の上からは見えるわけなんです。ところが、操業形態でかなりの変化があるわけです。たとえば独航型の母船式操業は、三十五年を一〇〇としますと、三十九年は六一と六七になっているのですね。非常に大きなダウンをしておるわけです。それから搭載母船式操業ですが、これは三十六年からやっておる。三十六年を一〇〇とすると、三十九年は漁獲量は一四四八、生産額が一四八八、これは三十六年を一〇〇として十何倍になるんだが、こういうことがあるのだろうか、数字の間違いでないかと思ってかなり調べてみたのですが、これはうそじゃない。このように伸びておるのですね。三十六年は四カ統であったものが三十九年四十五カ統になっておる。やはり十倍以上になっていますから、こういう数字が出てきたと思う。いずれにしても、マグロではこの面がばかに大きく伸びておる。それから五十トン以上の本土基地の操業、これは生産額が落ちております。それから十トン未満のものも落ちておる。それから十トンから五十トン、この間のものが三十五年を一〇〇にすると、漁獲量で一五〇、生産額で一九二、こういうふうに十トン以上五十トン未満の本土基地の操業がややいいという姿だ。それから大西洋操業、これを見てみると、これもダウンしておる。外国基地操業が二一二の三五六、これが伸びておる。こう見てまいりますと、従来の母船マグロ、これは全然だめ。それから搭載型がぐっと伸びておる。それから本土では十トン−五十トンのものが伸びて、あとはだめ。外国基地がややいい、こういう状態だと思う。そうすると、この操業形態内部における漁船の変化といいますか、トン数の変化、これは経営者の考え方でやれるわけです。たとえば近海カツオ・マグロのように地域が指定されておれば別ですけれども、普通の指定漁業の場合は、経営者の考え方によって、許可がありさえすれば、三百トンのものを使っておるところを五百トンにしたりしていけるわけです。それは内部でできる。ところが、操業形態の変化というものは許可制があるから、経営者の独断ではいけない。だから、これ全体を見ていきますと、マグロ操業というものは、かなり複雑な変化があるように思うわけなんです。最近どうにか落ちついてきたようではありますが、しかしながら、それにいたしましても、まだ三十六万トン余り許可船があると思うのですが、カツオ・マグロについての現在の押え方といいますか、これからの見通し、これに対する対策、そうしたものを大まかでけっこうですから、簡単にひとつ御説明願いたいと思います。
  97. 森沢基吉

    ○森沢説明員 お答えいたします。  いま赤路先生から、いろいろ統計を引きまして詳しいお話がございましたが、確かにカツオ・マグロ漁業の現在のキャッチの趨勢を見てみますと、三十七年をピークといたしまして、逐次下降の傾向にあるということが言えると思います。その原因はいろいろございまして、特に変動要因の一つとして、カツオ漁業というものもあげられると思いますが、カツオは非常に豊凶の激しい種類でございまして、昨年あたりはカツオは比較的よかったというふうな、カツオ・マグロ漁業の中の魚種別の問題と、先生が御指摘になりました操業形態からくるいろいろな問題、この二点があろうと思います。  そして対策、見通し等をお答えする前に、実は四十年度につきまして、これはまだ速報の段階でございますけれども、われわれがキャッチをいたしましたところでは、マグロはえなわ漁業につきましては、三十九年よりも若干下がっております。約四十九万トンくらい。もちろん、これは速報でございますので、数字の動くことをお許しをいただきたいと思いますが、われわれの現在キャッチをしております段階では四十九万トン。それからカツオ漁業につきましては、昭和四十年は計十八万トン、三十九年が約十六万九千トンでございますから、カツオにつきましては、やや漁況がいいということでございます。そういうふうに魚種別に変動がちょっとございますが、マグロはえなわにつきまして、釣獲率は逐次低下しておることはいなめない事実だと思います。  それから操業形態については、独航船のお話がございましたが、これは四船団操業形態が昭和四十年度は一船団になりました。現在の母船式の独航型操業というものが今後も続くかどうか、これは母船操業をやっております会社の経営事情もございまして、まだ結論は出ておりませんけれども、おそらく独航母船というのは将来なくなるのじゃなかろうか、こういうふうにわれわれは判断をいたしております。これに引きかえまして、搭載母船は主としてインド洋、大西洋の操業でございますが、増加の傾向にございます。それから本土基地につきましては、御指摘のとおり、三十八年に比しまして、三十九年にかなり下がりまして、四十年もやはりダウンの傾向にある。ただ、基地操業につきましては、若干ふえている。大西洋操業につきましてはかなりふえている。約八万三千トンという数字が出ておりますが、四十年度においては三十九年に比べてふえておる。こういうふうにいろいろ形態がございます。  今後の見通しでありますけれども、率直に申し上げまして、マグロはえなわにつきましては、現在よりも漁獲高が非常にアップするということは、いろいろ省力化なり技術の合理化を含めましても、なかなかむずかしいことではないか、こういうふうに考えております。したがいまして、マグロはえなわにつきましては、現在の漁獲高を何とか維持していくということが精一ぱいではなかろうか。それにつきましては、いろいろ労賃の問題、釣獲率の低下の問題あるいは船価の償却の問題等ありますけれども、われわれは業界に対しまして、なるべく省力化を含めまして経営の合理化をはかって、コストダウンをはかるということによって、釣獲率の低下をカバーすることを今後の目標にすべきである、こういうふうに申しておる次第でございます。それからカツオにつきましては、資源的には一応心配はないものだというようにわれわれは考えておりますので、御承知のとおり、マグロのはえなわを持っておる船がカツオの釣り漁業をやることは、同じ許可の中でできることでございますので、省力化を行ないましたカツオ釣り漁業というものに、将来マグロはえなわの一つの転換先を考えるという考え方をとってはいかがであるか。もちろん、昔のように非常にたくさん釣り子を使いましてやるようなカツオ釣り漁業というのは問題がございますので、極力省力技術を取り入れたカツオ漁業というものが、マグロはえなわの釣準率の停滞を突破するための一つの道であろう。現に一部の企業体等におきましては、適正船型のカツオ等にマグロはえなわを転換していくという手を打ちつつございます。  輸出の見通しでございますが、これは魚価がかなり変動いたしますけれどもアメリカにおきますマグロの消費等の傾向を見ましても、そう弱気である必要はないので、コンスタントにいい冷凍マグロがかん詰めの原料として提供される限り、まだまだ海外の消費はアメリカを中心として伸びる。アメリカだけではありません。ヨーロッパ等にも新たな市場を拡大する必要があると思いますが、魚種によりましては国内消費を伸ばすことも、努力を伴いますけれども、方向としてはあるわけです。そういう観点に立てば、カツオ・マグロのトータル・キャッチを大きく上げていくということはなかなかむずかしいと思いますが、先ほどから申し上げておりますように、内部の操業形態の合理化をはかりまして、現在の伸びてまいりました日本のカツオ・マグロ漁業を安定せしめるという方向をとるべきではなかろうか。実はいま赤路先生おっしゃいましたように、少し立ち直りましたけれども、昨年来非常にピンチがございまして、業界、水産庁ともにカツオ・マグロの懇談会を約半年開きまして、いろいろ基本的な問題について議論をし、水産庁にも御意見をいただいております。ちょうど一斉更新の時期になりますので、制度的な面ともからみまして、なるべく経営安定の方向に持っていく。しかし、質的な経営構造の改善がマグロ漁業についても必要である。特に海外でどんどん後進諸国がマグロ漁業に進出してまいります現状におきまして、また将来国際規制等も加わってまいるという予想のもとにおきましては、現在の非常なウイークなカツオ・マグロ漁業の経済基盤の安定というためにも、業界も努力し、われわれも制度面、金融面等でいろいろバックアップすべきではないかということをカツオ・マグロの懇談会で議論し合ったわけであります。業界は業界としておのおの努力を続けておりますが、われわれはそういう制度の面ともからみまして、できるだけ業界が経営構造の強化なり経営の安定なりに持っていけるように、経営面からも、技術面からも、制度面からも、前向きに考えるというふうに持っていきたいと考えております。
  98. 赤路友藏

    赤路委員 いま課長から大体の考え方をお聞きしたわけですが、この中に、これは一つの例として出たわけなんですが、マグロはえなわのカツオへの転換、この場合考えなければならないことは、カツオに対する諸外国の需要の度合いといいますか、これは非常に問題になると思います。従来、カツオは、昔のままで依然としてふしをつくるというようなことでやってきておることが一点。それから現在では大体十六、七万トンから八万トンのところでずっとやってきておりますから、資源そのものには心配はないようであります。しかし、最近、たとえば大手によるところの、試験的ではありますが、まき網によるカツオ操業、それから一本釣りでかなりアフリカのほうでは成績をあげておりますが、これは内地のほうへは全然持って入っておりません。向こうのほうで消化されてくる。カツオについて、少なくとも欧州あるいはその他の外国に新しいマーケットが開かれていく。また、そうならなければいけないと私は思いますが、そういったものと相呼応して、そういう措置がとられてくるということであればいいのだが、消費の状態が先が詰まっておって、あまり急速な転換等をやりますと、かえって問題が混乱してくるのではないか、こういうことを考えるわけなんです。ただ、それは一つの例として課長はおっしゃったのだから、それはあり得ることですから、けっこうだと思いますが、課長のことばの中にありましたので、調べてみましたが、カツオ・マグロ漁業の対策懇談会、ここで一応の締めくくりができておるわけですね。これを見てまいりますと、現状の認識と対策の方向、こういうふうに二つに分けられておる。これを私はずっと読ましていただきましたが、一応ということは失礼ではありますが、かなり要を得たと思っております。まず、現在の実情というものをわりとはっきり押えて、方向づけ等も考えておられるようです。しかしながら、これを読んでみて特に考えられますことは、それぞれ魚種別にあれは資源状態を分折されておるわけなんです。全体としては資源が減退してきつつあるということをこの懇談会の中では強調されておる。そうして資源調査、それから新漁場の開発、それから操業あり方、これらをずっと読んでまいりますと、何といいますか、率直に言いまして、現状維持なんですね。いま課長のことばの中にもありましたように、とにかく現状を維持して、これよりダウンさせないといいますか、そうして何とかこれを安定操業の形に持ち込んでいこう、こういうことだと思うのです。だから懇談会の締めくくりも、一応そういうような現状維持という形が打ち出されておって、積極的な具体策というものがその中から私はくみ取れなかったわけです。非常にいい懇談会でのあれでもありますから、けっこうだと思ったわけなんですが、少し積極性がない。これは懇談会ですから、やむを得ないといえばそれまでです。  それからもう一つは、経営者等もあれしておるから、経営者の立場としましては、現在の自分たちの経営の立場というものを守ることは当然のことですから、だから積極性がないように私は受けとめたわけです。これを具体化していくといいますか、何かそういう作業を水産庁のほうでおやりになりましたか、その点をちょっとお聞かせ願いたい。
  99. 森沢基吉

    ○森沢説明員 先生からカツオ・マグロ懇談会についていろいろ御意見がございましたが、確かに、資源の問題は、半年ほど懇談会をやりました中で、最も議論が沸騰したところでございます。水産庁研究陣の見方、業界で実際海洋に出てマグロ漁業をやっておられる方々の体験から見た目、立場が違いますので、いろいろ相違がございましたが、議論の結果、資源の解析というのは今後もあらゆる方法論を通じてやらなければならぬけれども、とりあえず、現在以上に漁獲量をふやす、つまり、許可隻数をふやして漁獲量を上げていくという実態ではないということは、懇談会の結論として一致した意見であったわけでございます。というのは、現在世界のマグロ漁業の七割程度日本の漁船がとっておりますけれども、いろいろほかの国からも、海洋漁業に対する進出の意欲は御承知のように非常に強いので、同じ資源をみんなが要求するという見方に立てば、そういう国々の漁獲量がふえてくるということになれば、少なくとも日本としては漁獲量の増大をいま以上に望み得ないとすれば、漁獲量を現状でストップして、片や経営の合理化をはかるべきではないかという点になったわけです。  それで、懇談会の内容は、御指摘のとおり、資源、経営、労働、流通、海外協力、いろいろな部面にわたりまして御意見をいただき、また議論をしたわけでございますが、これを受けまして、現在水産庁としてはどういう作業をやっておるか、こういうお尋ねであろうかと思いますが、資源研究面につきましては、研究部を中心に——法律が通りますれば、将来遠洋水研というようなものもでき上がるわけで、そこを中心にして、なるべく迅速にマグロ資源の状況をつかむという体制を整える準備をいまいたしておるところでございます。  それから経営の問題等につきましては、一応漁獲量を現状でストップいたしまして、労働、の問題を含めて合理化する方向をどこに求めるかということで、私たちはちょうど来年の八月、許可の一斉切りかえという時点を迎えておりますので、基本的にカツオ・マグロの制度なり、経営の内容をどうやっていくのか、また将来、数字的に見通しを立てればどういう数字が出るかということをその一斉更新にからみ、特にカツオ・マグロについては懇談会の御意見を受けて、現在内部で作業をしております。まだ結論が出ておりませんので、私がここで申し上げる段階ではございませんけれども、いろいろ研究いたしておりますことは御報告申し上げられると思います。
  100. 赤路友藏

    赤路委員 いま課長がおっしゃるように、こうしたことも当然検討の対象になって検討されておると思いますが、マグロに対しては、ソ連なり韓国なり台湾なりがかなり急速な進出を見せてきておる。これはやはりこれからの日本のマグロ漁業にとっては一つの大きな課題だと思います。これにどう対処していくのか、それはただ、やってくるんだから、こっちもやって競争するんだというような単純なことでは解決がつかない、こういうように私は思うわけなんです。これは何もカツオ・マグロだけの問題ではないのであって、少なくとも国際漁業全般に通じて言えることは、とにかく新興国がどんどんあらわれてくると申しますか、そうして海に大きな関心を持ってきておるということは、これはもう事実です。そうしたときに、日本のほうが従来のような形でいっていいということにはならないような気がする。むしろ新興国が漁業面で新しくぐんと伸びてくる。それまでの間に、できれば国際的に日本側のほうは手を打っていく。もうへたなことをしますと、追い込まれてしまって、にっちもさっちもいかぬところへいってから転換をはかろうとしても、これはなかなか無理なことだと思います。この点が非常にむずかしい問題だと思う。これはマグロだけではございません。十分この点は今後検討していただかなければならぬところだと思います。  一つの例を申し上げますと、マグロなんですが、これはまだ水産庁のほうへは出しておらないかと思いますが、最近私の県のほうで中間発表でございますというので、私のほうへ持ってきたものなんですが——持ってきたというよりも、私のほうがとったというほうがいいのでしょうが、百二十七隻のマグロ船の経営調査をやっておるわけなんです。それで、それぞれの船が月別にどこで一体マグロを——これはマクロはえなわですが——とっているかというので、これはあとでお渡しいたしますが、そういうものをとっております。その中間報告——中間報告と出ておるわけですが、これで近海カツオ・マグロをふんまえてみますと、水揚げの平均金額が一隻千八百六十四万三千円、それに対して総経費が千九百五十三万二千円なんですね。だから、差し引き年間八十八万九千円の欠損になるわけです。それから遠洋マグロのほうは水揚げが二千六百二十七万一千円、総経費が二千八百七十九万一千円で、差し引き二百五十二万円の欠損になっておる。この欠損の原因をそれぞれ書いておる中から摘出しますと、まず第一は、やはり航海日数の長期化に伴って経費が増大しておる。こういうことは、資源がかなり薄くなってきておるということが言えると思います。それから第二は、資材費が高くなっておる。それから第三は、乗り組み員が不足しておるために、労務対策費が非常に大きくなっておる。それから第四は、借り入れ金が非常に過大である。だから、金利負担が非常に大きなものになってきておる。こういうのが大体年間を通じて平均欠損をしておるという一つの原因としてあげられておるわけです。  それで、先ほどちょっと課長の話にもありましたが、借り入れ金のほうを見てみますと、小経営、一船あるいは工船程度持っておる小経営のほうは、短期借り入れが多い。中には、荷受け機関から非常にたくさん借り入れをしておるというのがあるわけです。長期の借り入れは、かなり上層のほうが長期借り入れになっておる。こういう実態がここへあらわされておるわけなんです。ことばをもっと変な言い方をしますと、何か懸命に荒海で働いて、銀行金利と償還に追われてしまっておるということですね。この一つの大きな欠陥は、何と申しましても、資本蓄積がないということ、これが大きな欠陥だと思います。だから、銀行から金を借りる。そして船をつくって出してやる。もう償還し、金利を払って、償還がある程度済んだ時分は、また次の借り入れをやってどうにかしなければならぬというので、そういう面に追われてしまって、ほんとうの経営の合理化というものは、もうこの鹿児島県の百二十七隻の調査の中から出てこない、こういう状態にあるわけです。これをこれからカツオ・マグロ全体として操業の安定をはかってやっていくということになりますと、何かの形におけるこれに対する指導というものが必要になる、こういうように私は思うわけです。やりっぱなしにしておいたのではいけない、こう思います。これは一つの参考として申し上げたのであって、これに対する答弁は求めないわけでありますが、先ほど来課長のお話の中にもありますように、これはカツオ・マグロだけではありません。四十二年度の一斉更新ということ、これが現時点における、あるいはこれからの日本漁業といいますか、これの一つの大きな転換期にある、こう私は思います。それだけに、安易な形ではいけない、こう思うわけなんです。この点、また後ほどそれについては質問をさせていただきますが、カツオ・マグロについてはかなりむずかしい事態に現実は当面しておる。このことを十分お含み願って、そしてこれに対する指導をおやり願いたい、こういうふうに思います。  ここで一つだけ、海外のことをもう一点聞いておきますが、何と申しますか、先ほど申しましたように、カツオ・マグロにおきましても、海外基地漁業はわりといい成績をおさめておる。そのことを一つ前提に置いて考えるわけでありますが、この海外基地漁業考える場合、何か内地の漁業と全然無関係であってはならぬように私は思うわけなんです。やはりこれに対しては適切な指導体系といいますか、そういう上に操業をやらすというふうな必要があるのじゃないかと思います。いま海外基地漁業をずっと見てみますと、外国とそれぞれの日本の会社なり商社なりが合弁でやっておるわけなんです。合弁でやっておる。向こうの旗のもとでやる。だから、自由にやっていいのだということでは私はないと思いますので、やはり今後の日本漁業の一環として、海外基地漁業というものは考えていかなければならぬ、こういうふうに思います。これはかなりの数にものぼるものでもありますし、この海外基地漁業を今後どういう方向へ持っていこうとするのか、ちょっとばく然とした質問になりますが、何かお考えがあればお聞かせ願っておきたいと思います。
  101. 森沢基吉

    ○森沢説明員 海外基地漁業についてのお尋ねでございますが、赤路先生のいま御質問になりましたのは、おもに合弁事業中心の海外基地漁業というふうに理解をいたしました。実はカツオ・マグロには、それ以外に、例の海外の基地でアメリカのかん詰め会社等に売っている基地漁業もございますが、これは御質問の外というふうに理解をいたしてよろしゅうございますか。——それでは、合弁事業につきまして簡単に申し上げますと、現在の状況では、海外と合弁をやっておりますケースが約三十ケースございます。これはマグロだけではございません。いろいろな冷蔵庫事業まで含めまして、水産関係で約三十件、最も対象として多いのはカツオ・マグロと底びきでございます。ほかに鯨でありますとか、冷蔵庫でありますとか、カニでありますとか、いろいろございますが、カツオ・マグロとトロールが一番多い。地域的に見ますと、やはり中南米と東南アジアが一番比重としては高うございます。  うまくいっているのかどうかということを率直に申し上げますと、海外漁業というものはやはりいろいろむずかしゅうございまして、必ずしも全部がうまくいっていない。おそらく何とか利益が上がっているというのはその半分程度ではないかと考えます。これにはいろいろ相手国の経済事情の問題、相手国の合弁する法人の経営基盤の問題、それから向こうの資源なり漁業実態というもので、いろいろ千差万別でございますが、ほかの水産以外の海外投資事業がそうであるように、なかなか非常にむずかしい事業であるというふうに申し上げていいと思います。  それで、私たちは、漁業の海外基地漁業、つまり合弁事業については、次のように考えております。  海外合弁事業をやる場合には、赤路先生が言われましたように、向こうの法人に現物なり投資を行ないまして、向こうの旗のもとに、向こうの法人が経営する、それにいろいろ投資をする、あるいは役務を提供するということで、リーダーシップは向こう側にあるわけでありますが、従来海外合弁事業を認めます場合には、水産庁限りでなく、いろいろ海外投資の問題で、大蔵省であるとか通産省であるとか、関係官庁と協議をしながら進めますが、まず第一にわれわれ考えることは、その合弁事業が日本漁業についてどういう影響をもたらすかということが第一点、それから第二点は、その合弁事業によりまして投資をするだけの利益が日本にあるのかどうかということが第二点、それから第三点としては、当然のことでございますが、調査が十分行なわれて、計画どおりの事業ができるのかどうか、商売としてうまくいくのかどうかというふうな諸点を、実はいろいろ御申請のある向きから調査をし、検討をして、よければ認めていくという考え方でございます。特に第一点の、日本漁業に対するはね返りの問題、これは非常に重要でございまして、たとえばカツオ・マグロ漁業のごときは、先ほどから先生の御説明にありますような事態でございますので、あまり気前よく何でもかんでもカツオ・マグロ漁業の合弁事業に応ずるということは、日本のカツオ・マグロ事業の屋台骨が少しゆるみかけているという実態を認識すれば、そう簡単に何でもオーケーというわけにまいりませんので、できるだけ相手国の政府から御要請の強いものは正式に取り上げる。それ以外のものにつきましては、かなり背伸びした計画等もございますので、いろいろ向こうの実態等も伺いまして、なるべく確実なステップでいくように計画など再検討を願って、最後に認めるべきものは認める、こういう慎重な態度を特にカツオ・マグロについてはとってまいります。こういう方針は今後も変わらない方針だと思いますが、片や、いろいろ漁業水域の問題とか、その他にからみまして、後進諸国から日本の公海漁業についての圧力等もかかってきております。世界の情勢を見れば、カツオ・マグロは別としましても、日本として技術的に、資本的に協力をするということによって、相手国の水産業が伸びて、その相手国の国民経済の向上に寄与するというふうに思われるものにつきましては、かなり積極的に御協力を申し上げる。そういうことによって与えるべきものは与えて、またこちらの主張すべきものもするというふうな姿勢も必要ではなかろうか、こういうように考えております。したがって、大はトロール漁業から小は沿岸漁業まで、技術協力を含めまして、海外からそういう御要請のありますものにつきましては、日本漁業にきついはね返りがない限りにおきまして、差しつかえないものはなるべく後進諸国の水産開発に対して御協力を申し上げるという意味において、積極的に今後もやるべきではなかろうか。ただ、繰り返して申しますように、マグロのようなこちら自体に問題のあるものは、十分その事情も相手方に話をして、あまり膨大な、勇み足の計画等は、なるべく堅実な計画に変えていくように話し合いをしていきたいという前提がございますが、全般の姿勢としてはそういうことでございます。
  102. 赤路友藏

    赤路委員 次官に一点だけお尋ねいたします。  先般アジア経済閣僚会議が開かれ、ここでも問題になったのですけれども、その席上で農業開発会議が提唱された。これに対して日本側のほうも賛意を表したわけです。私は日を覚えていませんが、きのうでしたか、おとといでしたか、三木通産大臣もやはりこの問題を取り上げておったようです。そしてこの農業開発会議、東南アジアに対する援助等を積極的にやっていきたい、こういうことでした。そこで、農業技術を向こうへ指導するといいますか、経済協力をする、こういうことが問題の焦点になってくるわけなんですが、その際お聞きになっておれば、それだけおっしゃっていただけばいいのですが、農業開発でなくして、水産開発は話としてあったかなかったか、お伺いします。
  103. 仮谷忠男

    仮谷政府委員 いまタイ国から水産開発について要望があったということは聞いております。
  104. 赤路友藏

    赤路委員 これをお聞きしたのは、いずれにしても、東南アジアの開発に対して日本が協力をするという事態になりますれば、当然水産というものが表に出てくるので、たとえばセイロンにいたしましても、日本のほうからも行っておりますが、一応あそこでは何か失敗したような形のものも出ております。いずれにしても、東南アジアの水産開発というものは、いつかはやはり表面に出てこようかと思います。私は率直に申しますと、この東南アジアの水産開発日本が大いに協力して、そうして相手の立場も、いまの課長の答弁の中にあったように、十分に理解しながら、相手に与えるべきものは与えていくというような立場でこれを盛り上げていく。その場合に、へたなことをしてとるだけとってということになるのでは、これはまた日本の略奪漁業が始まったくらいのことにされてしまって、それで終わりになる懸念があります。こういう面につきましては、率直に言って、窓口を一本にする、しかもそれは公共的な立場をとる。少なくとも公団であるとか事業団であるとか、これは何も業者をなくするわけではない。業者も入れてもよいと思います。とにかく窓口を一本にして、そうして相手を十分納得させながら日本漁業を伸ばしていく、このことをやはりお考え願いたいと思います。それで実はそういうお尋ねをしたわけで、十分ひとつ御検討おきを願いたいと思います。  これで大体国際漁業の面は終わるわけですが、私がいままで申し上げた点を、もう一度ごく短いことばで集約して言わせていただきますと、漁獲の強化によって生産を高めるという、そういう何でもとればよいという時代はもう過ぎ去っておる。これからは資源を保護培養しながら、生産性の維持向上をはかっていく。しかも相手と十分相マッチしながらやっていくのだ、こういうのがこれからのあり方じゃないかと思うのです。そのために、私は、先ほど来いろいろむずかしい話がありましたが、国連の国際海洋法に対するわが国の態度を明確にするということをまず第一にいたしたい。第二には、資源調査と新漁場の開発にひとつ思い切った力を入れてほしい。第三に、資源に見合った操業あり方というものを守っていく。第四は、そういうような国際漁業全般にわたって、これを各面から議論し合い、そうしてその方向づけをする、そういう審議会のようなものを、水産庁の中か農林省の中か知りませんが、どこかに持って、この際、真剣に、国際漁業全般にわたって、日本のこれからの漁業あり方はどうかということを審議していただく必要がある。このことを締めくくりとして申し上げますが、御所見がありましたら、ひとつ次官のほうから一言でけっこうですから……。
  105. 仮谷忠男

    仮谷政府委員 午前中から赤路先生のいろいろ漁業に対する御意見を承りまして、たいへん私ども参考になったわけでありまして、私も、実は赤路先生の御意見と全く考え方一つにいたします。国際漁業にいたしましても、要するに、あるからとってくればいいという従来の考え方が、だんだんと締め出しを食っていくような状態になってきておるわけですから、そういった面では、やはり漁業操業秩序というものも考えなければならぬし、それから資源というものも十分に実態を把握して、見合った操業考えていかなければならぬし、やはり今後の日本国際漁業あり方操業の秩序といいますか、そういった面も、この際確立する必要があると思います。そういう意味でただいまおっしゃいましたような意味の機関を設けて、ひとつこの問題と徹底的に取り組んでいくということは、今後の日本漁業のためにきわめて重大な問題だという考え方を持っておりまして、全くお説と同感であります。
  106. 赤路友藏

    赤路委員 それでは国際漁業面はこれで終わりまして、これから沿岸と近海の漁業の面で、もう少し質問をさしていただきますが、中型機船底びきですか、沖合い底びきといわれる面ですが、これを統計で見てみますと、三十五年が漁労体数が千三百六十八、そして漁獲量が六十三万一千七百トンになっております。三十九年は約二百体数減って千百六十六、そして七十四万五千九百トン、こういうようになっておるわけです。これは航海日数も減っております。航海日数も減り、漁労体数も減って、生産量が増大している。こういう数字がこの統計からは出てきておるわけです。それから、小型機船底びきも大体同様であります。これは漁労体数は二万七千二百六十三、たいした差はございません。大体横ばいのようでありますが、三万トンそこそこの増量のようであります。これは統計が三十九年ですから、何か意外なような気がするわけなのです。何と申しますか、もっと率直に申しますと、網漁業は何とかしなければならぬ事態に、全体の資源量から見て、きておるのではないか、こう思ったのですが、数字から見てみますと、これが何か逆なような状態でありまして、安定しておるというふうにも見えるわけです。先日、三月九日でしたが、この農水の委員会で足鹿君から質問がありまして、その質問のときは、島根、鳥取、兵庫の底びき業者、これが非常に不漁で困って問題があるんだ、こういうようなことを足鹿君が言っておったわけなんですが、これは少し私は意外に感じるのです。何かこの面で、そういうふうなわりあいと安定してきておる実態は、まず資源の面においても、それから漁獲努力の面においても、これがバランスがとれておる、まずこれで大きな変化がない限りいいんだ、こういうふうに理解していいかどうか、この点どうですか。
  107. 山中義一

    山中説明員 ただいまの先生の御質問のうち、沖合い底びき網漁業漁獲努力数と、それから、資源の間の関連でございますが、これは全国的と申しますか、日本の周辺海域の大陸だなの底魚資源に対ける漁獲努力というような点で、近年の統計あるしはそれぞれ一隻当たりの漁獲量等から見ましても、それらを全部なべにいたしますと、ほぼ安定しておる。経営的にも安定しておるもののほうがはるかに多い。大部分でしょう。ただ、海域的には、先ほどおあげになりました島根、鳥取、兵庫等の日本海の方面におきましては、若干海況の変化があるかもしれませんが、漁獲が減ってきておる、経営困難だ、そういう事態が出ておる事実が幾らかあらわれておるようなところもございます。  それからなお、小型底びきにつきましては、非常に数が多いし、また漁獲もかなりあげておりますが、これは漁獲努力をいまより一隻の規模を大きくしないでおけば、大体対象魚種は非常にバラエティーに富んでおりますので、比較的成長率が高いエビ類等をねらってやります関係から、安定しておる。瀬戸内海のごとき、御案内のとおり、非常に狭い海域にたくさんの小型底びき船がひしめいておりますけれども、やかましく言われましても、あれですでに十年もたっておっても、そう顕著な減少はないというかっこうでやっております。
  108. 赤路友藏

    赤路委員 それでは、底びき関係は、まずいまの状態でよほどの変化がない限りにおいてはやっていける、こういうふうに理解いたします。  それからまき網なんですが、これは確かに、急速にといいますか、かなり大きな漁獲量の増になっておるわけですね。三十五年から見ますと、三十九年は約十万トンほど大きくなっておる。特に遠洋まき網でアジ、サバがとれたということもあるかと思います。ただ私、まき網の場合こういうことをよく聞くわけなんですが、最近試験操業という名のもとに、遠洋まき網に非常に大型なものがあらわれてきておる、そういうことを聞くのですが、そういう事実があるのかどうか。それからもう一つは、近海のまき網なんですが、中積み船がばかに大きなものが出てきて、そして非常に無理な操業をやっておる。中積み船に対しては制限がないのですね。そういう無理なことをすることがいろいろな問題をかもしておるように聞くわけなんですが、それらの点、ちょっと御説明を願いたいと思います。
  109. 山中義一

    山中説明員 まき網漁業につきましては、三十九年から四十年にかけまして非常に漁獲がふえました。これは先生もただいま御指摘になりましたように、非常にふえたわけでございます。二六%くらい。三十九年が百万トンでありましたが、四十年が百二十七万六千トンというふうに非常にふえました。これは主として東海、黄海方面の遠洋まき網と、それから北海道の釧路の沖のサバあるいはアジというようなもの、それから北部太平洋関係のまき網がややよかった、こういうような点で非常によかったわけでございます。ただいま御指摘の相当大きなまき網が試験操業ということで出ておる。これは実は二百トン以上の船で、マグロのまき網あるいは海外のほうへ出ていくまき網というようなものが、まだ数はごくわずかでございますけれども、あらわれております。なお、いま御指摘の中積み船の大型化、この問題は、まき網は御案内のとおり、かなり一時に多量の漁獲をあげ、それをまた一定の水揚げ地に一挙にあげます関係上、魚価の維持というものを非常に注意しなければならない状態であります。それぞれの地域別にまき網が生産調整組合というものをつくっております。それで、もしもいわゆる大漁貧乏的な現象が起こりますと、その生産調整組合が内部の生産調整規程によりまして、これはもちろん大臣の承認を得ておる規程でございますが、これで臨時の休漁日を設けるとか、その他のことで魚価維持にできるだけつとめるようにいたしております。しかしながら、かなり自覚があり、かつ、統制力のある遠洋まき網のようなものは、運搬船等の規模も自主的に大きさをきめたり、あるいは隻数もふやさないというような申し合わせをして、これを守るようにつとめておりますが、それほどまだ十分組織として確立しておりませんほかの地域のまき網ですと、中には、ただいま先生が御指摘のような運搬船の拡大競争というような動きがあるやにうかがわれまして、この辺も十分調査し、また研究いたしまして、いたずらに一時に漁獲をあげて魚価を維持できない、あるいはこれが消費者へ十分に供給することができないで、肥料あるいはえさになってしまうというような、十分漁獲物が利用されないという面がないように指導してまいりたいと考えております。
  110. 赤路友藏

    赤路委員 いまのまき網については、何か湯山議員からちょっと関連して質問をさせていただきますが、いま生産調整組合の話が出たので、この際聞いておきますが、サンマの解禁は従来八月の十二日、これが八月一日に変更した。その変更の理由は一体何ですか。
  111. 山中義一

    山中説明員 この間、中央審議会で実はこの問題を審議していただきまして、そのときに、水産庁としても種々考え方を述べさしていただく機会を持ったわけでございますが、早くいたしましたおもなる理由は、これは数年前から漁期を非常に早めるべきだという意見と、それから漁期を早めることによって魚価が下がるのではないかというような意見とが、いろいろ相伯仲しておりましたが、ことしのサンマ業者の意見は、大体漁期を早めてもよいのではないかということと、もう一つは、水産庁といたしましても、国際的なソ連の進出——ソ連は非常に早く七月中にももう北千島から北海道の北部、東北部のほうへ出没しているような関係もございまして、ひとつ漁期を——ただし、いまの御指摘の漁期が八月一日になっておりますのは、二十トン未満の小さい船でございます。これについてはひとつ早めてみようということで、全般的になお大きい船につきましても、いままでそれぞれ段階的に解禁日がきまっておりましたのを、八日間ずつ繰り上げる。理由は、早めてくれというような要望、これはやはりなるべく早くとりたいという問題、それから国際的な配慮というような点がおもなものであります。
  112. 赤路友藏

    赤路委員 いま漁政部長の言われるような、ソ連がかなり時期的にも早く進出してくる、こういうような国際的な立場、そういうことだと思うのです。それからもう一つ、漁家の諸君が漁期を早目にというこの裏には、やはり前年のあれがあると思うのですね。あまりとれなかったというのですか、そういうものもあって、まあ八日間くらい早めることがいいだろう。ただ、ここで私は、生産調整組合の話が出たから、これに関連するわけなんですが、かつてとれ過ぎちゃって、魚価が大きく下落して、そのときに、いまの調整組合法をつくり、それから安定基金制度をとって、まあ自主調整をする、こういう形をとったわけなんです。これだけ早めますと、大体これは三万六千トンくらいまず漁獲量が高まるだろう、上がるだろう。これは全体の約一割。そうしますと、全体として、いままでの経緯からいきまして、サンマの魚価が落ちないでどうにか安定線を保っておるというのが、大体三十七、八万トン。四十万トンをこえますともういけないというのが、従来からのサンマの実態であったと思うわけです。そうしますと、かりに三万六千トン、四万トン程度ふえますと、これは四十万トンを普通にいくとオーバーする懸念が出てくるわけですね。これはいま言われたように、トン数別の解禁ですね。ところが、これは早めるのは二十トン以下ですけれども、そのかわり、トン数別に次のやつもこれだけずつは日数は早まっていくわけですね。そこで、変なお聞きのしかたなんですが、この生産調整組合というのではできておるが、これはあまり使いたくないのすね。しかし、使わなければならないような事態もくるかとも思います。ただ、そうした場合、何か生産調整組合で自主的にやらす、それだけではいけないような感じがするのです。非常にむずかしい問題ですけれども、そうすると、一月十五日ですか、この切り上げを早める必要が出てくるが、その程度のことはお考えになりますか。
  113. 山中義一

    山中説明員 漁獲の推移を見まして、もしも先生御指摘のように三十八万トンをこえ、四十万トンをこえるというようなことになれば、ある意味では幸いなのでございますけれども、そういう事態になれば、これは行政指導を強力にいたしまして善処いたしたい、こういうように考えております。  なお、ことしの予想はなかなかつきかねるわけでございますが、一応資源研究者その他の意見で、おととしが二十万トン、去年が二十二万トン——三万トンにちょっと欠ける程度でございましたが、ことしはそれよりはよくはなるだろうが、三十万トンを少しでもこしたらという程度の想定しかいたしておりません。御参考までに……。
  114. 赤路友藏

    赤路委員 もう一つこの点でお尋ねしたい。三十万トン程度になればそれでけっこうです。しかし、ずっと将来ともそうだということは言えないので、これはやはり周期的にやっていますから、この際、考えていただくことは、これを原料にしてどう加工するか。要するに、何ぼとれてもこれが完全に消化されれば、ダウンすることはないわけですから、だから、加工として消化することを相当ひとつ御検討を願いたい。それは業者みずからもやることでしょうけれども、当局のほうではこの点よほどこの際考えていただきたい。かなり進んでおるようには聞いておりますけれども、それだけは御希望申し上げておきます。
  115. 湯山勇

    ○湯山委員 先ほど中型底びきと小型底びきの御質問がありまして、それについて、いずれも大体順調にいっているという御答弁がございましたが、それに関連して、中型、小型両方についてお尋ねいたしたいと思います。  その一つは、中型底びきの中に、通年操業が認められているものと、認められていないもの、何カ月間かは操業できないというのと、二通りあります。その通年操業を認められていないものは非常に労力を得ることにも困難をしている。そうかといって、その期間失業保険の対象にもなりにくいいろいろな事情があって、底びき漁業だけじゃなくて、ほかの事業へ手を伸ばしている。そういう事例を幾つか知っておるわけですが、この安定しておるといわれておる中型底びきの中で、そういう状態にあるもの、つまり、通年操業が認められていないものについてどうしていくのか。何らかの対策を立てなければならぬ。従来から問題になっていた点でもございますので、このままほうっておくこともどうかと思います。これについてどういう対策をお考えになっておるかが一点と、第二点は、小型底びき、これについては、瀬戸内海等エビのようなものの漁が相当あるから安定している、それは確かにそうだと思います。ただ、その中で違反操業であげられる者の中に、開口板の使用が非常に多いということです。これはおそらく幾ら禁止しても禁止しきれないんじゃないか。このことは十分御承知だと思います。そこで、いまのような状態のままで放置するのか、あるいはこれについていまのような状態になったときに、開口板の使用について何か考え直す必要があるのではないか。県にまかしておいてもできることでもありませんし、また部分的にはその使用が認められているところもあるわけで、この問題が非常にいまの小型底びきでは大きい問題だと思いますので、どういう方針をお持ちになっておるか、この二点について関連してお尋ねいたしたいと思います。
  116. 山中義一

    山中説明員 御質問の第一点の沖合い底びき網の禁漁期でございますか、これにつきましては、御質問の中に、通年操業を認められておるというようなことがございましたけれども、これは沖合い底びきは認めておるのはないと思います。大体一月以上三月くらい、夏場の間休漁なのが通例でございます。もうほとんどそうでございます。ほとんどというより全部といっても間違いじゃないと思います。これは個々の企業体につきましては、経営上かなり困難な向きもあるかもしれませんが、私、先ほどから全般的に安定とかそういう点を申し上げておるのは、日本の周辺の各県全部をきわめて大まかに概観的に見た場合ということで申し上げております点、ひとつ御了承願いたいと思いますが、地域的に、あるいはまた経営的には、必ずしも全部がうまくいっているというわけではなくて、これがやはり根本で、他種漁業とも組み合わせて、その間ほかの漁業をやるとか、あるいは純然たる休みにしてしまうとか、いろいろあろうかと存じますが、いまのところ、この休漁期を積極的にやめてしまうというような点は考えておりません。  それからなお、小型底びきの網口開口板の問題、これは小型底びきがやっております漁場の資源との関係あるいはほかの漁業との関係、ほかの漁業に与えるいろいろの迷惑の程度、度合い、こういったものを総合的に勘案いたしまして、現在海域につきましては、若干一、二の海域では海区漁業調整委員会、瀬戸内海では連合海区漁業調整委員会でありますが、それと関係都道府県の漁業関係者の意見によって、個々のある海域については解除してもいいのではないかという点で意見が一致いたしますと、まだそういう個所は比較的わずかでございますけれども、解除している場合もございます。国といたしましては、特にどういう方向だという方向ということではございませんが、やはり資源あるいはその他の漁業との関係を見た上で、開口板を認めていく場合もあるというふうにお考えいただきたい。方向としていつでも解除するということではございません。その点御了解いただきたいと思います。
  117. 湯山勇

    ○湯山委員 中型底びきについてはおっしゃったとおりです。ただ、私が通年と申し上げましたのは、一カ月という意味で、これは当然その程度の時期は必要だと思います、漁具の整理その他のために。しかし、三カ月と一カ月ではたいへんな違いがある。そこで、申し上げたい点は、大体困っているのはいまの三カ月——従来四カ月であったのがやっと三カ月になったわけですが、この連中は非常に困っている。同じ基地にいて、こちらは三カ月休業、一方は一カ月でいい、そういう非常にでこぼこがある。そのために、三カ月ではとても仕事しないで船員労働力をかかえきれないというような実態があるわけで、それについてどうするか、具体的にいえば、その休業期間の長いものについて当然対策をとらなければならないじゃないかということのお尋ねです。  それから第二の点については、そういう方針で、別段積極的な御方針はないようですけれども、実際に私、資料を提示してもいいと思うのですけれども、とにかく開口板による違反操業というものが非常に多い、これはお認めになると思うのです。事実そういう状態にあるものを——そしてまたそうしなければならないような今日の状態だと思います。そこで、安定しているというその内容の中には、そういう違反漁業をやって安定しているという要素を見のがすわけにいかない。これについてはもう少しはっきりした態度をおとりにならないと、安定していると言いながら、決して小型底びきは安定しておりません。ずいぶんしばしば係留されたり、何か罰金をとられたりやっているのです。そこで、はっきりした指導方針がおありにならないことが実は問題ではないか。認めていいか悪いかをその地域まかせにやったのでは、それは何といっても一本釣りのほうが数が多いのですから、だめだということになるのはわかりきっているのです。これを地方での話し合いにまかせるといっても、それはできない相談なんで、そこに何らかの指導が要るのではないか。みすみすこれだけ開口板が使われておるものを黙認するのか。成り行きにまかせるのか。それでは私は水産行政というものには足りないのではないかということでお尋ねしておるのですから、もう一度そういうことで御答弁いただきたいと思います。
  118. 山中義一

    山中説明員 休漁期の長期的になっておるものを短縮する点の考えはないかという御意味であろうと思いますが、この点につきましては、来年の一斉切りかえを控えまして、いろいろ経営の実態調査等をいたしております。その段階でございますので、まだはっきりした方針その他を打ち出すというような時期ではございません。研究中であると申し上げるよりほかにないと思います。  それから小型底びき網の開口板の問題は、むしろこれは原則ではなくて、もう認めないというのが方針であって、特に資源的に問題がなく、また他の漁業との関係も調整がつくというところは解除する、こういうふうに申し上げたほうがよりはっきりしているのではないかと思います。そのように御了解いただきたいと思います。
  119. 赤路友藏

    赤路委員 それでは、もうあと一、二点で私も終わりますが、次に沿岸漁業構造改善事業でありますが、これが実施されている。ところが、すでに第一期の五府県分は終わって、あと何か補充事業ですか、補足事業か何かを希望しておるということを聞いておるわけなんですが、この実施した結果が一体どういうふうになっておるのか、それが全然わからないわけなんです。実は農業構造改善事業のほうでは、実情調査の結果概要というものが出ておるわけです。実に簡単なものですが、何も係官が現地に行ったわけではないらしいのです。これはそれぞれの地区の町村長にアンケートを出して、答えをとったらしい。ところが、これだけのものではありますが、これを読んでみますと、農業構造改善をやるときの状態、やったあとの状態、わずかなものですけれども、こういうことが出てきておるのですね。たとえば農業構造改善をやるときに非常に積極的に賛成したのは上、中層の農家である、こういうことが、これはもう数字の上にあらわれてきておるわけです。それから反対をしたのは下層の農家と第二種の兼業農家。その反対の理由は、負担が過大であるということであった。構造改善事業が済んだあと、やはり満足をしておるのは上、中の層の農家だ。それから不満を漏らしておるのは、下層、第二種兼業、こういうふうにアンケートではありますが、数字的に出てきておる。こういう数字が出ますと、これを押えて農業構造改善事業をやったあと、これら不満を持っておる第二種兼業であるとか、下層の農家を今度はどうあらしめるか、こういうことがこの数字の中から出てくると私は思うのです。わりとこまかくアンケートをとっておるものですから、実態を行って調査したあれではないのだが、一応その結果が把握できる。  ところが、漁業構造改善事業の場合はこれがないのです。だから、これはこの際注文をつけておきたいのですが、少なくとも構造改善事業の当初計画の済んだところ、それぐらいには、やはり結果がよかったのか悪かったのか、まあまあなのか、それ以外にないのですから、その程度のことはとって、やはり自後ずうっと継続されてやっているわけですから、その場合にむだな投資のないように、そしてやはり漁民が真剣に協力するようなものをつくり上げていかなければいけない。このことは答弁は要りませんが、注文をつけておきます。  それからもう一つ、この際、お聞きしたいのですが、それは真珠の養殖です。これは私が言うまでもありません。養殖真珠は日本の独特のものであって、その生産のほとんどが輸出されている。私も外国へ行って見ましたが、どこへ行きましても、真珠のいろいろなものがショウウインドーに置かれておる。それほど日本の真珠の声価というものは一応外国維持されておると私は思う。したがって、非常に外貨獲得といいますか、そういう面でも大きな役目を果たしておりますが、年次報告を見てみますと、真珠のところでは、生産は前年より五%増なんですね。ところが、生産金額は前年比一・九%の伸びなんです。私は水産関係全部ずっと統計を見てみましたが、生産がこれだけ増加して、そうして生産金額の伸びていないのは、おそらく真珠だけだと思うのです。その第一の理由としてあげられておるのは、小玉の浜揚げが多かった、このことが指摘されておるわけです。私はどうしてもそれだけじゃないように思うのです。上昇率から見てみましても、単に小玉の浜揚げが多かったということだけではない、何かまだ他にあるんじゃないか、こういう気がするわけです。それは全体的に見て、やはり生産過剰、こういうようなことがあるんじゃなかろうか。もちろん、小玉の生産が多かったということもありましょうが、同時に、何か生産過剰というような面があるんじゃないかという気がするわけです。特に従来のこれの漁場といいますか、これは三重県の賢島を中心とするあの地域であったわけですが、相当荒廃しておりますので、新漁場を拡大する。これはけっこうなんですが、どうも拡大し過ぎちゃって行き過ぎておるような感じがしますが、これに対するお考えをお聞きしたいわけです。
  120. 山中義一

    山中説明員 真珠のいまの生産の伸びに対しまして、その金額の伸びが少なかったという点、これは先生御指摘の過剰生産であるというふうに私どもは実は考えておりません。というのは、小玉が多かったということ、これは一つの理由でございますが、もう一つには漁場が過剰というとおかしいのですが、いわば漁場が過密であったという点、これは言えると思うのです。多量生産し過ぎたということではないのですが、一定の面積に入れるいかだの数なり貝の数が多くなり過ぎた、そういう意味の過剰ではあると思います。したがいまして、品質が悪くなった。早くあげなければならないということで、経営がある意味では若干悪化という点もあるのではないかと思いますが、早くあげてしまう。二年あるいは一年半置かなければならないのをまるまる一年ぐらいであげてしまう。いわゆる薄巻きの真珠が多くなった。薄巻きの真珠というのは値が安いという点で、全般に値下がりを来たしたのではないかというふうに考えております。この点についての指導は、この問題はだいぶ真珠業界でも問題になりまして、私どもとしても、できるだけまず当面の問題として、経営が悪化して、金を得るがために早くあげてしまうというようなことがないように、金融面で公庫の金融のワクを新しくとりまして、それからまたちょっとこまかい話になりますが、いままで担保になっておりませんでした玉を入れた真珠貝、玄貝と専門的に言っておりますが、これらもいかだ一式含めて担保になるということに認めてもらうように大蔵省、公庫等と交渉いたしました。これでいまの金融逼迫のために、みすみす値が安いのをわかりながらあげるということをできるだけ防いで対処してまいりたい。  それからなお、漁場の拡張につきましては、これはむしろ新漁場ができていくという点については、別段チェックいたしておりません。この構造改善等でも若干まだ漁場の造成というような面でも考えていないわけではないのでございますが、問題は、過密にならないように、あるいは免許の条件制限等でも、一台のいかだにつきまして、貝の数をできるだけ適正な数に押えるとかなんとかいうような点で、良質の真珠ができるような、そういうかなりこまかい点に注意をしてまいらなければならないというふうに考えております。  なお、構造改善でいろいろ有益な御注意を賜わって感謝いたしております。ただ、構造改善は四十年にやっと終わったのが初めてで、この四十一年に先生のいまの御指摘のような点も大いに取り入れさしていただきまして、この一年間が補足整備のための調査期間でございます。ことしそれを取り入れて今後の補完事業への参考にいたしたい、こういうように考えております。
  121. 赤路友藏

    赤路委員 いまの真珠の密殖の件ですね。これは密殖をするから、浜揚げが早くなるということがありましょうが、まず密殖を下げさせなければいけないと思うわけなんです。新しい漁場として三重県からずっと瀬戸内海へ入って、特に愛媛等は新しいほうの養殖県としては相当なものだったと思うわけなんですが、かなり密殖しておるのですね。だから、愛媛のほうは悪くなってきている。長崎が大きく伸びておるが、密殖の度合いというものをよく調べてみますと、これはやはり県の指導がよかったということに尽きるように思います。かなりいろいろ業者なり団体からは突き上げられはしたが、県ががんばって許さなかったということが、結果的には真珠養殖の好結果をもたらした、そういう現象がありますから、こういう点やはり十分考えてやっていただきたい。このことが一点。  それからもう一つは、従来この真珠養殖に対する金融は、これは農林中金は一番初期においてはあまりやらなかったのですね。初期においてはほとんど商工中金がこれを受け持っておった。そうして全信連ができて以降、農林中金もこの金融のほうにかなり大きな力を入れてきた、こういうことになろうかと思うわけなんです。おっしゃるように、金融面で十分なバックアップと申しますか、そういうことをひとつ心がけてもらうが、しかし、やはりびしっと締めるところは締めていく、こういう態勢でないと、金融はしたわ、密殖はやったわというのじゃ、これは話になりませんからね。そういう両面をよほど考慮して、これからの真珠養殖に対してはひとつ指導をしていただきたい、こういうふうに思います。  それからもう一つ、御研究願っておきたいことは、現在ある真珠事業法は、調べてみると、これは議員立法なんですね。政府提案ではないのです。そのままこれは今日に至っておる。一応これは議員立法だから政府のほうは手がつけられないのだというようなことではなしに、この真珠事業法を検討してみる必要が、今日の段階に至ってはあるのじゃないか。はたして今日のような情勢にいまの法律はマッチしているかどうか、この点ひとつ御検討願いたい。  もう一つは、先ほど言いましたように、これはほとんどが外国へ輸出するものですから、水産物輸出振興法がありますね。この水産物輸出振興法の中で、真珠輸出に対する一つの方向、こういうものがうまく見出せるかどうか、この点も研究していただきたい、このことをお願いをいたしておきます。  それから次に内水面であります。これはどうにも私は納得いかぬので、ひとつ教えていただくのです。三十九年度を見てみますと、八万九千トンの漁獲、前年比四千トンの増加になっておるわけですね。それで、養殖のほうは三万トン、前年比六千五百トンの増加、これは養殖のほうはわりあいわかるわけなんですが、この内水面漁業のほうが漁獲がふえてきておるということは、これだけ河川の水がかなり減退し、それから産業が伸びて、かなり水が汚染される、それから湖沼のほうでも、それぞれ奥地開発等があって、案外悪条件が重なっておるわけですね。そういうような悪条件が重なっている中で、生産量が上がっていっておるわけです。一面、内水面の漁業協同組合では稚魚放流の義務づけをされている。これはもうやったって意味ないのだというので、内水面の漁業協同組合を解散しているところがかなり出てきておるのですね。そういうように全体的に見てみて、悪条件が重なってきておるにもかかわらず、こういうように生産が上がっているわけなんです。たとえばその報告を見てみると、それは昨年はシジミが三千トン多かったのだ、こう言っている。たとえシジミにしましても、それが漁獲が上がったということ、これはどうも私は納得ができぬ。これは農薬による被害、工場廃液、汚物の廃棄、こういうようなものを考え合わせてまいりますと、そういう条件のもとでこの内水面がそれだけ伸びていくというなら、何か手がありそうなんです。何かそれをうまく押えて指導すれば、現在の条件のもとでも内水面は心配には至らぬ。この前、私は、極端な話でありますが、いまさら言うまでもありませんが、アユは日本独特の淡水魚ですね。これをアメリカへ輸出した。アメリカでは成功しているのですね。これからものの十年か十五年もたてば、アメリカからアユを逆輸入せねばならぬというようなことになりはせぬかといって、非常に皮肉なことを言ったことがあるわけです。ところが、この数字を見てみまして、私は安心をする反面、どうにも納得がいかぬ。何かこう、ありそうな、その何かを水産庁のほうでおつかみになっておる。もしそれをつかんでおられるとするなれば、私は、これからの内水面というものは、現在の条件のもとにおいてでもこれは回し得る要素がそこに含まれておる、こういうふうに思うわけです。何かその点教えてもらえばけっこう、なかったらこれからまた研究します。
  122. 山中義一

    山中説明員 先生の御指摘の内水面の漁獲がふえておるという点につきましては、これは農林統計の中での解釈でございますか。——これは、シジミとアユが若干ふえたということなんでございます。ただ、それが表面的にこういうものがふえたということで、ほんとうの意味がどういうことかということにつきましては、私も、不覚ながら、どういうわけでそれがうまくいっているのかどうか、正直に申し上げまして、わかりません。ただ、シジミのような、こういう貝類は、非常に条件がよい場合は、シジミに限らず、海の貝もそうでございますが、たとえばトリ貝だとか、バカ貝だとか、ホタテ貝だとかいうものは、何年かに一ぺん爆発的にふえるようなことがございます。シジミも、あるいは霞ケ浦のまわりの川で非常にふえたというのが、この漁獲増の直接原因のようでございます。  どうも、今後その手があるのかという点、これは、シジミのようなものでしたら、これは種貝を適当な条件の場所を考えまして移殖してみるとかなんとかというようなことも考えられないわけではないというように考えられます。
  123. 赤路友藏

    赤路委員 この点私も握り切れない。いまの部長のお話でも、どうも数字はそう出ておっても、ちょっと握り切れない、こういうお話なんです。これは、淡水魚を一応目標にしますと、かなり重要な問題を含むと思いますので、ひとつぜひ研究をしていただきたい。私たちのほうでもできるだけ研究はさせていただきます。  最後に、もう一点だけお聞きして、これで終わらしていただきますが、最後は、先ほど来問題になっておりますところの四十二年度の許可の切りかえです。これは非常に重要な問題でありますから、もうたぶん水産庁のほうでは各業種別にわたって検討をしておられると思います。ここで私が申し上げたいことは、この許可の切りかえにあたりましては、直接には漁業法第五十七条、これは法令を守る、労働法規を守る、あるいはいろいろなのがあります。要するに、法令を守るという適格性が、切りかえの場合の問題になる第一点。それからその次は、五十二条に基づくところの資源の繁殖保護、これを調整する、このことが必要になるのですね。だから、切りかえにあたっては、五十七条と五十二条、これを十分踏んまえてやっていただく必要があると私は思う。  非常にいやなことを言うようですが、業者の中には、この程度の違反ならたいしたことないから見のがしてくれるだろう、こういうような甘い考え方漁業にはあるのですね。今日なおそういうのがあると思う。確かにささいなことであるかもしれない。しかし、ささいなことであるというので、そういう安易な考え方でやられますと、それが積み重なってきて多きなものになるわけです。しかも、これがもし国際的な場面でそういうようなことになりますと、これは一違反漁船の問題ではない、日本漁業全体の不信感につながる大きな問題になるわけです。そうしたことを考えてまいりますと、これはなかなか単純ではない。単に経営上からのみ論じられない、非常に複雑なものを含んでおる、こういうふうに御理解願わなければならぬと私は思うわけです。  もういまさら言うまでもないのですが、先日全国漁船労働組合協議会のほうから、水産庁長官のほうに、これらの件についての申し入れがいっておる。私はそれを控えを見せてもらいましたが、その大半は乗り組み員の立場から申し入れをしておるようです。まず第一は海難防止、第二は乗り組み員の健康管理、第三は賃金制の近代化、こういうようなものを出しておるようです。それで、その中にこういうのがあるのですね。実績者であっても、許可を売却した者、許可の名義貸しを行なった者に対しては許可をしないこと、これはかなりきついことをいっております。それは五十七条にいう法令を守らなかった者、国際漁業協定等を含んで、こういうことをいっておるわけなんですね。一応私は、これはやはり聞くに値する意見だと思っております。  先ほど来、かなり長い時間にわたって御意見をお聞きしたわけでありますが、重ねてくどいようでありますが、今度の四十二年度のこの許可の一斉更新というのは、日本漁業の一転機をもたらす、こういうふうに考えていいのじゃないか、こういうふうに思います。この点に対するお考え、これはひとつ次官にお願いしましょう。
  124. 仮谷忠男

    仮谷政府委員 ちょっと打ち合わせをしたものですから、先のほうを少し聞き漏らして、恐縮でございました。  先ほども少し申し上げましたように、けさからいろいろ、国際漁業問題から最後の河川漁業に至るまで、いろいろ御意見を承りまして、私ども非常に参考になったと思います。特に四十二年度の一斉更新は、おっしゃるとおり、日本漁業の一時限を画する問題だと思いますから、これはわれわれ十分各方面の意見も聞く、そうして将来の見通しも十分つけて、この際、遺憾なきを期さなければならぬという覚悟を持って臨まなければならぬと思っておるのであります。どうぞひとつ御協力をお願いいたします。
  125. 赤路友藏

    赤路委員 もう一言だけ。これは答弁を求めません。希望です。  ただし、箱のすみをせせるようなこまかいことではいけません。といって、何かこうすべてを大目に見るというような考え方でやりますと、これまた所期の目的を達成できないと思いますので、そこらを柔軟な態度で、十分この漁業法の趣旨の線を押えておやり願いたい、このことを希望して、私の質問を終わります。
  126. 田口長治郎

    ○田口(長)委員長代理 次会は明二十三日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十分散会。