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1966-06-17 第51回国会 衆議院 農林水産委員会 第48号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年六月十七日(金曜日)    午後一時五十五分開議  出席委員    委員長 中川 俊思君    理事 大石 武一君 理事 倉成  正君    理事 田口長治郎君 理事 舘林三喜男君    理事 本名  武君 理事 赤路 友藏君    理事 東海林 稔君 理事 芳賀  貢君       伊東 隆治君    池田 清志君       金子 岩三君    小枝 一雄君       坂村 吉正君    笹山茂太郎君       白浜 仁吉君    高見 三郎君       綱島 正興君    丹羽 兵助君       野原 正勝君    野呂 恭一君       長谷川四郎君    藤田 義光君       森田重次郎君    卜部 政巳君       江田 三郎君    兒玉 末男君       千葉 七郎君    西宮  弘君       松浦 定義君    山本 幸一君       湯山  勇君  出席政府委員         農林政務次官  仮谷 忠男君         農林事務官         (農林経済局         長)      森本  修君         農林事務官         (畜産局長)  檜垣徳太郎君  委員外出席者        専  門  員 松任谷健太郎君     ――――――――――――― 六月十五日  昭和四十一年産なたねの基準価格引上げに関す  る請願池田清志紹介)(第五三六三号)  同外一件(上林山榮吉君紹介)(第五四二四  号)  同外九件(床次徳二紹介)(第五五〇六号)  同外六件(二階堂進紹介)(第五五〇七号)  同外十三件(森田重次郎紹介)(第五五〇八  号)  中川式乾燥草粉末飼料製造法採用に関する請願  (前尾繁三郎紹介)(第五四三三号)  低毒性有機燐製剤価格引下げに関する請願  (林百郎君紹介)(第五四五二号)  豚肉の安定基準価格等に関する請願(林百郎君  紹介)(第五四五三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 六月十六日  農地管理事業団法案成立促進に関する陳情書  (第四七七号)  同外一件  (第五〇八号)  土地改良長期計画実施に関する陳情書  (第四八六号)  土地改良事業推進に関する陳情書  (第五四六号)  農業災害対策確立に関する陳情書  (第五四七号)  農林省林業試験場開放に関する陳情書  (第五四  八号)  農地法の一部改正に関する陳情書  (第五四  九号)  拡大造林推進に関する陳情書  (第五五〇号)  公社による造林事業推進に関する陳情書  (第五五一号)  農業信用保証制度拡充に関する陳情書  (第五五二号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  農業災害補償法の一部を改正する法律案(内閣  提出第一四五号)      ――――◇―――――
  2. 中川俊思

    中川委員長 これより会議を開きます。  農業災害補償法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許可いたします。倉成君。
  3. 倉成正

    倉成委員 私は、農業災害補償法の一部を改正する法律案について質疑を行ないたいと思います。  多年の懸案でありました家畜共済に関する農業災害補償法改正について、政府部内の意見調整がまとまり、今国会において改正案が提案の運びに至りましたことは、まことに御同慶にたえない次第であります。法案提出に至るまでの関係当局の御努力に対し、ここに深く敬意を表する次第であります。  今次改正は、昭和三十年、死廃病傷共済一元化実施以来、畜産農家多年の宿願であった共済掛け金中の病傷部分掛け金国庫負担を実現するとともに、その増額をはかり、農民負担の軽減をはかる等、画期的な内容を持ったものであり、これらの畜産農家の要望にこたえたものと思うのでありますが、以下、若干の点について質疑を行ないたいと思います。  まず第一に、今回の改正の前提となった問題点として、どのような問題が農家立場なり事業運営上立場からあったのか、またこれらの問題点に対し、改正案はどのようにこたえようとしているかどうか、制度改正基本的考え方についてお答え願いたいと思います。  御答弁はひとつ簡潔に、要領よくお答えいただきたいと思います。
  4. 森本修

    森本政府委員 家畜共済制度は、昭和三十年に死廃病傷一元化をいたしまして、その後大なる改正もなく今日に至っております。その間、畜産事情にかなりな変化がきておりまして、そういった事情変化と本制度との若干のギャップをこの際埋めていきたい、そういうことでございます。  問題点としましては、一つ掛け金負担の問題、それから加入率が必ずしも伸びないというふうな問題、あるいは家畜共済事業収支が不足を来たしておる、診療所経営が必ずしも順調ではないといったような点に、数点問題がございます。そういう問題に対しまして、それぞれ掛け金国庫負担拡充あるいは共済事故選択制包括加入方式採用、それから診療給付についての制度改正損防事業に対する国の交付金増強といったようなことについて改正をいたしまして、本制度をますます円滑なものにしたい、こういう趣旨でございます。
  5. 倉成正

    倉成委員 第二にお尋ねいたします。  最近における畜産事情変化に即応して、現行の一頭ごと引き受け方式を、原則として家畜種類ごと農家単位包括加入方式としているが、従来の個別加入方式と比較して、どのような点が改善されているか、お尋ねいたしたいと思います。
  6. 森本修

    森本政府委員 従来は、御案内のように、一頭飼養が支配的な時代に対応いたしまして一頭ずつの引き受け方式、そういうことになっております。したがいまして、今日のように多頭化してまいりますと、たとえば一軒の農家頭数がふえるというときに、一々共済にかける手続をしなければならぬといったようなこと、あるいは病傷給付につきましても一頭ごと給付であるというようなことで、農家で飼っております家畜プールして診療給付ができないというような各種難点がございます。今回は、そういうふうな難点を排除するために、農家単位包括加入方式というのを採用することにいたしまして、これによりまして加入についての手続も従来よりも簡素化いたしました。病傷給付についての農家単位プール制というようなものも採用いたしておりまして、各種加入について手続簡素化内容改善をいたしたわけであります。
  7. 倉成正

    倉成委員 次に、第三にお尋ね申し上げたいと思います。  共済事故選択制採用したようでございますが、その考え方及び具体的な実施方法について伺いたいと思います。
  8. 森本修

    森本政府委員 畜産事情変化してまいりましたし、また経営についてもそれぞれ分化いたしております。従来は、先ほど申し上げましたように、死廃病傷一元化ということで、画一的な給付内容とした保険制度ということになっております。今回は、先ほど申し上げましたように、経営が分化をいたしまして、保険需要に対してもそれぞれ個別の需要といったような関係が出てきております。そういう関係から、特定の農家に対しましては、病傷なりあるいは死廃用の一定のものについて事故除外できるような形にしたほうが農家のために実態に合うのじゃないか、そういう考え方選択制採用することにいたしたわけであります。  選択制内容としましては、三つばかりの事故除外のタイプをつくりまして、それについて農家選択できる、そういうふうに考えております。なお、選択のできる農家基準につきましては、政令をもって詳細に規定することになっております。
  9. 倉成正

    倉成委員 ただいまのお答えによりますと、死廃病傷共済一元化原則を修正するかどうか、この関連をもう少し明確にしていただきたい。
  10. 森本修

    森本政府委員 死廃病傷共済一元化原則は、必ずしも現在においては原則としては修正する必要がない、こういうふうに思っております。ただ、先ほど申し上げましたように、地帯により、経営により、多少保険需要について変化がきておりますから、特別の場合に、先ほど申し上げましたような、そういう除外の道を講じていったらどうか、そういう考え方に立っております。
  11. 倉成正

    倉成委員 第四点として、現行事故ごと給付限度方式を廃止し、これにかえて包括加入については、家畜種類及び農家ごと年間給付限度を定めることとしておりますが、農家立場から見てどのような利点があるか、お伺いしたいと思います。
  12. 森本修

    森本政府委員 現在の病傷給付方式でありますと、一つは、農家間に不公平が生ずるということがいわれております。それからまた、多数の家畜を持っておりましても、他の家畜病傷給付限度が使えないというふうな、農家間にプールができないといったような難点がございます。そういう点を今回改正をいたしまして、たとえかなり重い病気に一頭がかかりましても十分診療ができる、また同一経営内の家畜診療プールができる、こういうふうなことに今回改正をいたしました。
  13. 倉成正

    倉成委員 第五点、乳牛については、酪農政策経営育成目標及び農家負担力等を勘案して、包括加入の場合、頭数規模に応じて掛け金国庫負担を逓増せしめることにしておりますが、その理由及び頭数規模区分考え方いかん。特に乳牛飼育頭数に関連いたしまして、国庫負担割合というのは適正であるかどうか、お伺いしたいと思います。
  14. 森本修

    森本政府委員 今回、乳牛につきましては、頭数規模が累増いたしますに応じて掛け金国庫負担率を増加する、こういうことにいたしております。これは加入状況実績考えまして、頭数規模がふえるとともにどうも農家掛け金負担が重いのではないか、そういう観点が一つ。それから酪農政策経営育成目標に即応するといったような考え方、そういう考え方に基づきまして、今回の国庫負担制度考えたわけでございます。
  15. 倉成正

    倉成委員 第六点、肉用牛については、乳牛と比較して多頭化がおくれている現状にかんがみ、当分の間、一律に掛け金国庫負担を十分の四としておりますが、その考え方根拠いかん、お伺いしたいと思います。
  16. 森本修

    森本政府委員 肉用牛につきましても、原則としては、できれば乳牛と同様な掛け金国庫負担方式がいいかというふうにも思いまして、原則としてはそううたっておりますが、当分の間は、先ほど御指摘のございました一律十分の四ということで国庫負担をすることにしております。これは肉用牛については、乳牛ほど多頭化が進行していない、また現在の状況から見ますと、肉用牛の資源の確保ということが喫緊の要務である、そういう政策的な要請等も考慮いたしまして、当分の間一律方式をとったわけでございます。
  17. 倉成正

    倉成委員 質問の第七点、現在、家畜損害防止事業は、農業共済団体等がその診療所を中心に自主的に行なっているため、家畜診療所経営が従来から苦しいといわれておりますが、今回の家畜損害防止事業強化改正は、家畜診療所経営にどのような改善をもたらすとお考えになっているか、お伺いしたいと思います。
  18. 森本修

    森本政府委員 家畜診療所経営が苦しいというのは、要因としては数点ございますが、一つ要因といたしましては、たとえば、損害防止事業をいたしましても特別の収入がないという点が非常に大きな要素でございます。そういう点から、今回、損害防止事業に対しまして国から相当な交付金を出すというふうな改正をいたすわけでございますから、こういう部面についての確実な収入が得られるというふうな関係からいたしまして、診療所収支に対して相当な効果があるのではないか、こういうふうに思います。
  19. 倉成正

    倉成委員 最後にお尋ねしたいと思いますが、家畜共済金支払いがおそいという声を聞いておりますが、今回の制度改正と関連して、共済金支払い迅速化についてどういう対策を講じておられるか、お伺いしたいと思います。
  20. 森本修

    森本政府委員 支払いがおそいという声、あるいは実態としてそういうふうな点があるということは、私ども承知いたしております。その要因としましては、獣医師からの診断書提出がややもすればおくれがちになる、あるいは損害評価会等事前審査に相当の日数を要するというような要素がございます。そういう点がございましたために、これからはできるだけ診断書提出を早くしていただくように協力を要請する、あるいは家畜につきましては損害評価会事前審査をすみやかにする、そういうふうなことによりまして、できるだけ支払い迅速化につとめていきたいと考えております。
  21. 倉成正

    倉成委員 それではもう少し質疑を続けさせていただきます。  果樹肉豚等農業経営の中に占める比重が増大し、経営形態が大規模かつ企業的のものに進展しつつあるわけでありますが、これらの区分について、その共済必要性についてどう考えておられるか、今後の方針について少し詳しくお答えをいただきたいと思います。
  22. 森本修

    森本政府委員 御指摘のように、果樹なり肉豚なり、いわゆる成長部門に属する分野でございまして、それらの経営をいたします農家に対して、災害に対する一つの措置をするということはきわめて重要なことであると考えます。また、現実に農家からもそういう要請が出ておるということも承知をいたしております。  果樹につきましては、御案内のように、昭和三十七年から試験実施試験調査ということで、数県また数種類について実際の調査を行なっております。また他面、学識経験者等にお集まりをいただきまして、実際の共済やり方について、理論的あるいは設計面について調査検討をいたしたわけであります。それが大体昭和四十一年度に出そろってまいりますので、これを総合的に検討いたしまして、成案をなるべくすみやかに得たいということで、目下作業を鋭意進めておる状況でございます。  肉豚につきましても、実は私どもで研究をいたしておりまして、できるだけ早く共済制度実施できないかということでやっておりますが、なお、加入頭数規模をどうするか、あるいは共済事故についていかに限定をするかというか、対象を考えるかというような、数点実施検討を要する点がございます。昭和四十一年度にそういう点につきましても実地に調査をいたしまして、これまた調査結果を早急に検討いたしまして、できるだけ早く成案を得たい、こういうふうに考えております。
  23. 倉成正

    倉成委員 松代地震と関連して、長野県あたりから地震保険の適用ということについて陳情があったと思いますが、これについてどう考えておられますか、お伺いいたします。
  24. 森本修

    森本政府委員 現在、地震の問題は、おそらく農家の家屋に対するいわゆる任意共済における建物共済の問題であると思います。現在は地震共済事故等には入ってございません。しかし、大蔵省のほうの特別会計ができてまいりまして、そこで相当な損害があった場合には政府でもって再保険をするというふうなことができるようになってきたわけでございます。そういう関係から、やや保険のリスクについて負担をする政府機関ができたわけでございますから、できれば任意共済の中で地震事故に取り入れることについて、前向きの姿勢でひとつ検討していきたい、こういうふうに考えております。
  25. 倉成正

    倉成委員 質問が前後して恐縮ですが、新制度によりまして、加入頭数とかあるいは加入率あるいは付保割合というものはどういうふうに推移する見込みを立てられておるのか、お伺いしたいと思います。
  26. 森本修

    森本政府委員 具体的に計数をもって加入頭数が幾らになるだろうか、あるいは加入率がどういうふうに変化するかということは、必ずしも推測することは容易ではないのでございますが、ただ、先ほど来申し上げましたように、今回の制度改正によりまして、あるいは国庫負担増強といったようなこと、あるいは需要に見合ったような給付やり方考えるといったようなこと、あるいはまた加入方式につきましても、従来の一頭立てからいわゆる包括加入方式といったようなものを採用するなど、各種加入奨励に役立つところの制度改正をいたしておりますので、相当加入頭数なり加入率が増加するもの、こういうふうに考えております。たとえば現在の加入状況を見てまいりますと、戸数加入率といいますか、家畜飼養しております農家共済加入しておる戸数加入については、乳牛につきましては約八〇%というふうになっております。しかし、頭数加入率は約五割というふうな関係であります。そういうことから考えますと、多頭飼養農家で必ずしも全頭加入しないということがわかったわけでございます。少なくとも今後は、従来半数ないしはそれに近い加入をしました農家は漸次全頭加入の方向に近づいていくというふうに考えますので、相当な加入率増強が見込まれるのではないか、そういうふうに考えております。
  27. 倉成正

    倉成委員 先ほどのお答えでもちょっと触れられましたけれども、乳牛国庫負担区分につきまして、三頭以上二分の一ということが現行酪農政策その他から妥当であるという意見がありましたけれども、との点について、この国庫負担につきましては政令で定めることになっておりますが、将来この推移を見て改善するお考えがあるか、お伺いしたいと思います。
  28. 森本修

    森本政府委員 御指摘のように、本改正案によりますと、三頭以上は十分の四ということにいたしたいつもりでございます。これは先ほど申し上げましたように、加入状況なりあるいは掛け金負担の絶対額というふうなことを考えまして、六頭以上とはやや差をつけてもしかるべきではないかということでやっておるわけであります。将来の国庫負担等につきましては、もちろん、改正制度実施の過程あるいは実績等検討して改善につとめたい。さしあたりは、本改正制度においては一応四割ということで進みたい、そういうふうに考えております。
  29. 中川俊思

    中川委員長 暫時休憩いたします。    午後二時十六分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕