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1966-05-31 第51回国会 衆議院 農林水産委員会 第42号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年五月三十一日(火曜日)    午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 中川 俊思君    理事 大石 武一君 理事 倉成  正君    理事 田口長治郎君 理事 舘林三喜男君    理事 東海林 稔君       池田 清志君    宇野 宗佑君       金子 岩三君    坂村 吉正君       白浜 仁吉君    高見 三郎君       綱島 正興君    中川 一郎君       丹羽 兵助君    野原 正勝君       藤田 義光君    森田重次郎君       卜部 政巳君    兒玉 末男君       千葉 七郎君    西宮  弘君       森  義視君    湯山  勇君       玉置 一徳君    中村 時雄君       林  百郎君  出席政府委員         農林政務次官  仮谷 忠男君         農林事務官         (農林経済局         長)      森本  修君         農林事務官         (園芸局長)  小林 誠一君         農林事務官         (農林水産技術         会議事務局長) 久宗  高君  委員外出席者        専  門  員 松任谷健太郎君     ————————————— 五月三十一日  委員西宮弘辞任につき、その補欠として日野  吉夫君が議長指名委員に選任された。 同日  委員日野吉夫辞任につき、その補欠として西  宮弘君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  果樹農業振興特別措置法の一部を改正する法律  案(内閣提出第一二八号)  野菜生産出荷安定法案内閣提出第一三一号)      ————◇—————
  2. 中川俊思

    中川委員長 これより会議を開きます。  果樹農業振興特別措置法の一部を改正する法律案野菜生産出荷安定法案の両案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許可いたします。倉成正君。
  3. 倉成正

    倉成委員 私は、果樹農業振興特別措置法の一部を改正する法律案に関連して、若干お尋ねを申し上げたいと思います。  御案内のように、果樹日本農業成長農産物一つとして、近年めざましい発展を遂げてまいりましたことは御存知のとおりであります。果樹栽培面積考えてみますと、昭和十六年ないし十七年で十三万七千ヘクタールのものが、昭和三十年には十七万九千ヘクタール、昭和四十年には三十五万ヘクタールと、大体三十年から四十年までに、十年間で二倍になっているわけであります。わけても、このうち昭和四十年でとって調べてみますと、ミカン未成園面積というのは四〇%をこしている、こういう状況でございます。したがいまして、まずお尋ね申し上げたいのは、今後果樹生産はどんどん伸びていくであろうということが予想されるわけですが、この生産に見合う需要見通しについてはどういうふうにお考えになっているか、これは全部の果樹というわけにはいかないかもしれませんけれども、主要なものについてひとつお伺いをいたしたいと思います。
  4. 小林誠一

    小林(誠)政府委員 果樹植栽及び生産の伸びは、いまお話がございましたように、非常に順調に伸びておるわけでございまして、総体として申しますれば、これは昭和三十七年に需要見通しを立てたわけでございますが、面積におきましては大体見通しどおりになっております。それから生産量におきましては、若干災害等がございまして見通しどおりにはなっておらないのでございますけれども、それでも大体ほぼ見通しの線で進んでおるということでございます。しかし、先ほどお話がございましたように、ミカンでございますが、最近の新植の面積でございますけれども、毎年約二万ヘクタール以上になっております。その約半分以上がミカンの新植によるものでございます。  そういうことから、需要見通し生産との関係でございますが、これにつきまして、実は昭和三十九年に、もう一回この需要生産関係について農林省のほうでいろいろ検討をいたしたわけでございます。それによりますと、当初の昭和三十七年に立てました計画見通しでは、大体ミカン生産量は二百十九万トン程度が四十六年に生産されるんじゃないかというふうに見通したわけでございますが、そのときの需要見込み量が二百九十七万トンというふうになっておりまして、七四%でございまして、三十九年の見通しを立てましたときは、先ほど申しました新植が非常に伸びておりますので、その生産見通しを立てたのでございますが、その結果は、大体需要の九〇%、先ほど七四%と申しましたが、それが九〇%くらいに達するのではないかというふうに考えられたわけでございます。したがいまして、四十六年の時点におきましては、決して過剰ということはないというふうに考えられたわけでございます。しかし、その後、見通しを立てました以降におきましても、先ほど申しましたように、毎年大体一万ヘクタール程度の新植がございました。このままで進みますと、やはりそこに需給の問題も出てくるということが懸念されておりますので、この果樹振興法改正の後において、もう一回見通しを新たな観点で立て直し、それに即しました目標をきめたいというふうに考えておる次第であります。
  5. 倉成正

    倉成委員 ただいまお話がありましたように、需要見通しについては非常にむずかしいいろいろな要素があると思います。  そこで、四十六年でお話がございまして、ミカンを例にとると、四十六年に関しては、需要のほうが強いから心配ないだろうというお話でありましたけれども、問題は、現在一万ヘクタールに及ぶ増植が行なわれておるのが、現実生産を生み出していくというのはやはり十年後です。そうなりますと、昭和五十年あるいはそれ以降の時期になると、相当爆発的に生産が伸びてくるという可能性がある。こういうときに、一体需要供給はどうなるかということが、現在新植産地の一番の関心事である。そこで、それについてどういう見通しを持っておられるか、それから四十六年度の見通しを立てられる場合の所得の弾性値あるいは価格推移、そういうものについて、ひとつお話をいただきたいと思います。
  6. 小林誠一

    小林(誠)政府委員 今度われわれが考えております需要見通しは、十年後の昭和五十一年を予定しておるわけでございまして、まだその試算等はやっておりませんので、わからないわけでございますが、実は三十七年にこの見通しを立てました場合に、ミカン消費支出弾性値でございますが、一・七というふうに立てたわけでございます。その一・七の弾性値が将来いつまで続くかどうかというような点について、もう一回検討してみる必要があるというふうに考えておるわけでございまして、その辺が一点でございます。  それから価格でございますが、実は昭和三十四年の価格基準にいたしまして、三十七年には需要見通しを立てたわけでございますが、その当時の価格は、一キロ当たり五十六円程度でなかったかと思います。そういうことでございまして、先ほども申し上げましたように、需要がわりあいに強いものでございますから、価格は毎年上昇を続けております。昭和三十八年ころから若干その騰勢は鈍ったのでございますが、現在の価格推移を計数で申し上げますと、東京市場におけるキロ当たり卸売り価格でございますが、ミカンが三十五年には六十二円、三十六年八十一円、三十七年九十一円、三十八年は若干下がりまして八十六円になっております。それから三十九年が七十六円、四十年は生産は大体横ばいないし若干ふえたのでございますが、需要が旺盛な関係上、八十円をこすものと考えておるわけでございます。
  7. 倉成正

    倉成委員 先ほど消費支出弾性値を一・七と言われたわけですけれども、これはやはり価格によってこの弾性値が高いか低いかということがきまると思うわけです。今後の方向としては、生産を合理化してできるだけ価格を下げていく。価格が下がると、果実消費もどんどんふえていくということは当然の原則であろうかと思うわけです。  そこで、ちょっと価格の問題について若干お尋ねしたいと思いますけれども、ミカンでけっこうですが、将来東京卸売り市場における卸価格はどういう方向にいくだろうか、どういう価格が望ましいものかということをもしおわかりでしたら御説明いただきたいと思います。
  8. 小林誠一

    小林(誠)政府委員 ミカン卸売り価格でございますが、先ほどお話し申し上げましたように、四十年は台風等関係で被害が相当あったわけでございます。そういうことと、需要が非常に伸びておるということから、強含みとなっておるわけでございますが、将来の方向といたしましては、やはり弱含みに推移するのではないかというふうに考えるわけでございます。
  9. 倉成正

    倉成委員 大体キロ当たり八十円前後、また高いときは九十円をこしている。世界くだもの市場で代表的なものを申し上げますと、ニューヨークロンドンハンブルグ、この三つ、こういった市場について、温州ミカンというのはありませんけれども、オレンジその他そういうものの価格園芸局でお調べになったことはありますか。
  10. 小林誠一

    小林(誠)政府委員 実はミカン日本特産品ともいうべきもので、最近アメリカあるいはスペイン等で出ておりますけれども、そういう意味で、なかなかミカン価格というものはつかみがたいわけでございます。ただ、最近ミカンかん詰めとしまして、台湾あるいはアメリカ中共というようなところからそれぞれ出ておるわけでございます。したがいまして、ミカン小売り価格と申しますか、そういうもので見てみますと、サンフランシスコでは日本の十一オンスのミカンかん詰めが二十九セントになっております。台湾物が同じかんで十九セントになっております。ニューヨークミカンかん詰めスペイン物が出ておりますけれども、これの価格は二十三・五セント、日本物が同じく二十三・五セントというような数字が出ております。それからロンドンにおきましては、かん詰めでございますが、日本物が一シル五ペンス、中共物が同じくやはり一シル五ペンスで出ております。ハンブルグ日本物が一・三マルク、台湾物が一・二五マルクというふうに出ておるわけでございます。なまミカンについてはなかなかつかみにくいのでありますので、若干資料で見てみますと、これは生産者価格でございますが、百キログラム当たり日本で十六ドル九四になりますが、アメリカでは大体七ドル三二というふうに出ております。あとはイタリアで大体十四ドルくらいのところでございます。
  11. 倉成正

    倉成委員 私が実はお尋ねしているのは、東京神田市場その他の卸売り価格キロ当たり幾らと、これが八十円あるいは九十円が高いか安いかということを、やはり国際的な観点実感としてひとつ園芸局でつかんでいただきたいという意味で申し上げているわけです。たとえばニューヨークに出されるオレンジというのはフロリダ物が一番多いわけです。それからロンドン市場ではイスラエル物、あるいはハンブルグでは南アフリカないしスペイン物が相当出ておるわけでありますが、そういうものの価格というのを通観してみますと、私の調査によると、ネーブル、オレンジというものがキロ当たり大体六十円台から七十円台しているわけです。ですから、やはり日本のこういう卸売り価格というのが、国際的に見てかなり割り高なものである、そういうことをひとつできるだけ実感として——書類の上でただ数字をいじくるということでなしに、実感としてひとつ持っていただきたい、そういうことからいろいろな価格についての考え方をきめていただきたい、こういう意味で申し上げておるわけですから、今後できればひとつ園芸局からもこういう市場についての調査員を派遣するなり、あるいは勉強するなりして、もう少し世界市場ということについて検討を進めていただきたいと思っておるわけです。この点は特に御要望を申し上げておきたいと思います。  そこで、話は次に進みますが、今度の法案の中で、いろいろな問題があると思いますけれども、特に国がいろいろな果樹農業振興基本方針を立てると同時に、本法律改正案の第二条の三によりますと、都道府県でやはり果樹農業振興計画を定めるということになっているわけですが、この両方の国の方針と県の方針との関連ということが必ずしも明確でないわけです。国はどういう手段によって県の果樹農業振興計画をチェックし、あるいはこれを指導していくかということをお伺いしたいと思います。
  12. 小林誠一

    小林(誠)政府委員 従来の果振法では、果樹需要生産見通しだけでございましたけれども、今度の改正案では、国が果樹農業基本方針というものを立てまして、そこで植栽及び生産目標というものを定めるわけでございます。これは需要動向に即して定めて、全国一本のもので出そうと思っておるわけでありますが、都道府県知事がその県の果樹農業振興計画というものを立てることになっておりますが、その場合には、やはりその県内の果樹植栽及び生産目標を立てるわけでございまして、その意味で県がこの振興計画を立てます場合は、国の基本方針に即して定めなければならぬということにいたしておるわけでございます。そういう意味で、各県におきましては国のそういう目標に即した計画を立てるということを期待しておるわけでございます。しかし、各県におきましてはその目標を樹立します場合には、やはりその県の中のシェアの問題とかいろいろの問題がありまして、多少食い違うことはあると思います。この県知事の果樹振興計画というのは、農林大臣が認可も承認書もとっておりませんが、そのような食い違いがないように、国の基本方針に即して、都道府県知事との間に事前にいろいろお打ち合わせをしまして、協議を重ねますことによりまして、あまりかけ離れないようにいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  13. 倉成正

    倉成委員 この法律に関する限りにおいては、県が計画を立てるときには、国の基本方針に即するということと、それから都道府県知事計画を定めたときには、農林大臣に提出し、概要を公表するということだけになっているわけですね。  そこで、私は、今後の果樹生産動向をつぶさに検討してみますと、かりにミカンを例にとりますと、産地間の優勝劣敗ということがこれは相当強く出てくると思います。そうすると、かりに現在生産需要に対して少し過剰ぎみであると考えましても、相当近代的な経営をやり、合理化生産をやる、生産費を下げてやれる地域なら、どんどんつくっていいじゃないか。県の間のシェア競争ということがかなり強く出てくると思うわけです。そういう意味で、やはり国の方針と県の振興計画ということが、よほど密接な、有機的な連絡をとらないと、これは非常にむずかしい問題が出てくるんじゃなかろうか。国がこれについてチェックする強力な手段を持たないわけですね。そこに私は非常に問題があるような気がするのですけれども、そのチェックするきめ手というのを何かお考えになっているかということが一点と、それからもう一つは、かりに県が振興計画を定める場合、県の振興計画どおり果樹生産者がこれをやるかどうかという問題、これは融資の問題その他でのチェックという問題がありますけれども、必ずしも県の計画どおりいかないという問題があるわけです。いろいろなそういう問題があるものですから、少しむずかしいことになりはしないかと思うのですけれども、園芸局としては、よほどこの辺を慎重に、腰を据えて指導していただかなければならないと思いますが、何か特にお考えがあればお伺いしておきたい。
  14. 小林誠一

    小林(誠)政府委員 先ほどお話しのように、きめ手というのはなかなかないわけでございますが、この果樹園経営計画を立てます場合に、県の計画から照らして、それが適当なものであるという場合に認定するということになっております。したがいまして、従来は、国の見通しあと果樹園経営計画ということだけであったわけでありますが、今度、そういうことで県の計画に照らして、適当かどうかという基準のもとに、融資を好ましい方向に流すという点におきまして、従来の現行法よりはさらに改善されるのではないかというふうに考えておるわけでございます。そういうことでございますけれども、これを強制的にチェックするという手段は、もともと振興法でございますからございません。将来の果樹方向がどうなるのかという点について、いろいろきめこまかく広報をするなりあるいは指導をするということによって、好ましい方向に誘導していきたいというふうにわれわれは考えておるわけでございます。
  15. 倉成正

    倉成委員 局長お答えのとおり、なかなかむずかしいのです。ただ、私はこう思っているのです。現実生産農家果樹生産をやろう、あるいは開園をしようというときに一番参考にするのは、やはり技術者意見なんですね。試験場の技師であるとか、普及員であるとか、あるいはその地方の指導者にいろいろ意見を聞くということです。ですから、園芸局長さんが中心になって、試験場あるいはそういう普及事業全部と連絡をとって、十分その果樹生産の全体の方向なりあるいは果樹園近代化問題等についての方向を全国的に周知徹底させるということが、やはり一番大きなきめ手になると思います。従来、この点必ずしも全体の農林省の意図というか、そういうものが末端まで徹底していないきらいがあるわけです。個々の人が個々のかってな意見農家に伝えるというきらいがございましたので、この点は特に今後ひとつ行政指導の面でお考えおきいただきたい。これが一番中心課題になるということを、私は私自身の経験に照らして申し上げておきたいと思います。それじゃその点は要望にいたしまして、次の問題に入ります。  次は生産費の問題。これは御案内のように、これから先の果樹農業を振興していくためには、どうしても生産近代化し、合理化してコストを下げていく、これがやはり一番の課題であると思います。そういう意味から考えますと、この振興法改正の二条の三の中に「近代的な果樹園経営指標」ということがございますけれども、「近代的な果樹園経営指標」というのは、具体的にどういうものかということをお伺いしたいと思います。
  16. 小林誠一

    小林(誠)政府委員 現実果樹農業者の現状を見ますと、やはり非常に零細な規模でございまして、そういうことからなかなか生産性も上がらないというのが実情でございます。従来から果振法によりまして指導いたしております線は、果樹園集団化を行なうということによりまして、そこに高性能機械でございますとか、労働節約的な技術導入いたしますことによりまして、共同作業前提としました経営考えていきたいというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、この「近代的な果樹園経営指標」は、一体どのくらいの面積があればそういう共同作業として適当か、その最低限、それを前提といたしました反当の収量でございますとか、あるいはそこの労働時間というようなものをきめていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  17. 倉成正

    倉成委員 ただいまお話しありましたように、やはり近代的な経営にするためには、ある程度規模を必要とするということは御指摘のとおりです。それから規模拡大といっても、そう簡単にできないので、どうしてもこれを集団化していくということは必要だ、これも御指摘のとおりだと思います。そこで、これは果樹の種類によって若干違うと思いますけれども、生産コストを下げるきめ手というのは、どういうものが一番大きな要素になっているか、その認識をお伺いしたいと思います。
  18. 小林誠一

    小林(誠)政府委員 果樹園経営でございますが、これは御案内のとおり、非常に手間を食うものでございまして、労働投下量が非常に大きくかかっておるわけでございます。したがいまして、その労働生産性を上げるということが、その中でも一番大きなきめ手考えております。
  19. 倉成正

    倉成委員 もっと端的に、実感としてお答えをいただきたいと思うのです。  私から申し上げましょう。労働生産性を高めるということは、結局機械導入をしていくということ、機械導入をしていくということは、一体具体的に何を対象としてやるかということになると、病害虫防除が一点と、それから現時点においては運搬ということですね。やはり防除、それから運搬、この二点が一番労力を食う。この点に焦点を合わして機械化を進めていく。機械化を進めていくためには、やはり小さな規模のところではなかなかうまくいかないから、スピードスプレヤーを使うにしても、相当集団面積が要るということではないかと思うわけです。そういう端的なほんとう実感園芸局かんでいただいて、それに精力的に焦点を合わしていくということが大事じゃないかということを申し上げておきたいのですけれども、機械化の点で、こういうことをやれば労働時間がこの程度減るというような、何か具体的な事例があれば、ひとつお示しをいただきたい。たとえば病害虫防除スピードスプレヤーの例をおとりになってもいいと思います。
  20. 小林誠一

    小林(誠)政府委員 スピードスプレヤーの例がございますが、これは長野の園芸試験場スピードスプレヤー実用化に関します研究をやりまして、個人防除の場合は十アール当たり六・三時間でございますけれども、スピードスプレヤーの場合は一・八時間というふうに、非常に所要労力が短縮されるというような例がございます。
  21. 倉成正

    倉成委員 ただいまスピードスプレヤーでかなりの労力節約ができるというお話がございましたけれども、ただ残念ながら、スピードスプレヤーを適用できる自然条件というのは非常に限られておるわけですね。また相当な金が要る。だから、これを導入できる地域、それからかりに導入できるとしても、これに対する資金的な裏づけ、こういうものについてはどういうふうにお考えになっているのですか。
  22. 小林誠一

    小林(誠)政府委員 これらの共同利用施設によります施設は、現在のところ、構造改善事業によります構造改善推進資金、それから系統農協によります近代化資金という制度があるわけでございまして、それらの制度を活用いたしまして導入をはかりたいと考えております。
  23. 倉成正

    倉成委員 スピードスプレヤーの場合、たとえばいろいろな傾斜地、非常に大きな傾斜地では、なかなかこれはできないわけですね。そうしますと、やはりこの地域においてはどの程度スピードスプレヤーがやれるのかというような、地域別のきめのこまかい検討が必要になってくる。それから傾斜地については、また特別ないろいろな病害虫防除方法について考えていくとか、やはりそういう近代化計画を進めていく上において、具体的なきめのこまかい対策、同時に、これが機械化に結びつき、労力節約に結びつくということをひとつ十分御研究をいただきたい。何といっても、機械化をやらなければ果樹園近代化はあり得ないわけですから、この点については、後ほど試験場について触れたいと思いますけれども、ほんとうに真剣にこの問題に取り組まなければいけない。その姿勢をひとつ園芸局で立て直していただきたいということを御指摘申し上げておきた  いと思います。  そこで、次の問題に入りますが、果実消費というのは、戦前から比べますと、非常にふえておる。昭和九年から十三年までをとりましても、大体一年間に一人当たり一五・三キロぐらいのものが、昭和三十九年では三二・五キロと、戦前の大体二倍以上になっているわけですね。そこで、これから消費拡大していくということが非常に重要になってくるわけでありますけれども、幸いにして学校給食の一部に果実が取り入れられたことも、非常にうれしいことでありますけれども、これから先消費拡大していくために、どういう点に重点を置き、何を中心として消費拡大の道をはかっていくかということについて、政府の御方針を伺いたいと思います。
  24. 小林誠一

    小林(誠)政府委員 消費拡大をいたしますためには、いろいろの方法があると思いますが、これは日本農林規格によります、いわゆるJASマークでございますが、それの制度を普及させますことによりまして、その中身について保証するし、それを消費者の皆さん方に十分御納得いただくという制度、この制度をさらに進めていくということを考えておるわけでございます。また、先ほど学校給食の問題もございましたけれども、やはり小さいときから果実の生食になじんでいただくという観点から、それの普及をはかるということで、いろいろ文部省なり大蔵省とも交渉しました結果、ミカンについて免税措置がとられたわけでございますが、将来はリンゴジュースにつきましても、同じ方向に進みたいということで折衝いたしておるわけでございます。また一方、この果汁等につきましては、物品税がかかっておったわけでございますが、日本農林規格の適格品につきましては物品税を免除するということで、物品税がかからないという体制もとられたわけでございまして、そういういろいろのことをやりまして、消費拡大をはかってまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  25. 倉成正

    倉成委員 消費拡大についていろいろ御指摘がございましたけれども、今後消費拡大をやる中心課題は、やはり加工の問題だと思うのです。やはり果実を生食としてだけでなく、加工して消費していくというのが、消費拡大の今後の一番大きな焦点ではないかと考えておるわけです。これは御承知のとおり、欧米その他に比しまして、日本の加工というのは非常にウエートが少ないわけでございます。そこで、果実の加工について、現在の状態、また将来のマスタープランというか、おもなものについて、大体どの程度加工に回してやれるのか、やるべきかというような大体のお見通しがあれば、お伺いしてみたいと思います。また、ヨーロッパあるいはアメリカ等のそういう加工の現状に照らして、この辺まではやれるんじゃないか、そういう、何というか、ただ数字の御答弁じゃなくて、私はその実感がほしいのですよ。その点をひとつ、園芸局長、自信を持ってお答えください。
  26. 小林誠一

    小林(誠)政府委員 現在の加工でございますが、ミカンにつきましては、大体生産量の二割方が加工に回っておるのでございまして、これはいろいろ生食用の価格との関係もございまして、年によって非常に増減があるわけでございます。そういうことから、将来果樹、ことにミカンが伸びてまいりました場合に、一定の数量はミカンかん詰めあるいはジュースというほうに回る。ということは、その半数が劣ったものを回すという以外にも、さらにこれは伸ばしていかなければならぬというふうに考えるわけでございまして、そのほか、リンゴのジュースにしましても、あるいはミカンのジュース、かん詰めというものについても、今後大いに伸ばしていかなければならぬということでございますが、ただ、現在のところは、御案内のとおり、非常に生食用の価格が高いものでございますから、むしろなかなか加工に回りがたいという状況でございまして、四十年度ではミカンかん詰めの輸出の目標を五百万ケースというふうに押えたのでございますけれども、それが四百四十万ケースをちょっと上回るところでどうもとまりそうだということになっておるわけでございます。しかし、将来の方向といたしましては、やはり加工に大いに力を入れてやっていく必要があるというふうに考えておるわけでございます。ただ、現在のこのかん詰め業者の実態でございますけれども、非常に規模が小さいかん詰め業者の方が多いわけでございまして、しかもなお、この果実の加工というのは、その年間の三ヵ月なり四ヵ月ということで、ほかの水産かん詰めだとかその他のかん詰めと、これは一緒にやっておるわけでございます。そういう意味におきまして、なかなか加工の問題、加工業そのものを取り上げるということはむずかしいわけでございますが、われわれといたしましては、その加工につきましては、果実加工専用機械というものの充実ということをはかりますとともに、たとえばミカンのホロ割りの機械でございますとか、その他の新しい機械技術の開発、あるいはその普及ということに努力をいたしまして、やはりその加工の面におきましても、労働生産性を高めていくという方向で、今後努力したいというふうに考えておる次第でございます。
  27. 倉成正

    倉成委員 いまもお話しになりましたように、日本では大体果実の加工に回るのが生産の大体二割。ドイツ、フランスでは大ざっぱに言って、私の調べたところでは大体五割というところですね。ですから、やはりかなり加工をくふうしていけばいけるということは、今後の方向として考えられると思われる。しかし、それにはやはりよほどの政策手段なり、そういう努力が要るということです。そうしますと、現時点で日本のくだものの加工について見ますと、その大宗をなすものはやはりかん詰めとジュースだ。そのかん詰めがいま御指摘のように、果実かん詰めの大宗はミカンかん詰め、特に輸出かん詰めですか、これが年々増加してきて、四十年度に五百万ケースという目標を立てたけれども、四百四十万ケースに終わったということは、加工についての一つの頭打ちというか、そういう面での大きな悪い材料が出てきているわけです。ですから、その加工ミカンかん詰めに例をとりますと、なぜ五百万ケースの目標が達成できなかったのかということについてお伺いしたいのと、大体大ざっばに十年後にミカンかん詰めの輸出というのはどの程度になり得るか、また望ましいかということについて、お考えがあればお伺いしたいと思います。
  28. 小林誠一

    小林(誠)政府委員 ミカンかん詰めの原価計算をいたしてみますと、大体その五〇%——四〇%から、高いときになると六〇%くらいが、いわゆる原料代になっておるわけでございまして、本年は先ほども申し上げましたように、生食用の価格が非常に強かったものでございますから、この原料価格の値段がおそらく五十円程度に、あるいは五十円をこすという程度になっておるのじゃないだろうかと思われるわけでございます。したがいまして、そういう意味で、生食用にひかれて、なかなか加工に回らなかったということでございます。しかし、この問題につきましては、将来は、原料価格というものをいろいろ統制するとかなんとかいうことはむずかしいわけでございますけれども、やはりそこには、かん詰めの業者の方も非常に零細な企業でございまして、そちらのほうの側と、ミカンを出荷する、原料を出荷する側とが、お互いに協定を結んで、そして個々の取引の秩序を保っていくということが一つの大きな振興策ではないかということで、今回の法案改正でも、それにつきましての独禁法の適用除外の規定を設けておるわけでございます。
  29. 倉成正

    倉成委員 ミカンかん詰めを例にとりますと、私の調査によりますと、大体世界で加工果実について、加工原料価格として一キロ三十円以上のものというのはほとんどないわけです。ですから、私も率直に申し上げますが、やはりミカンかん詰めについては三十円というのが、現時点においては一つの目安でないかと思うのです。これでやればかなりの増産もできる。しかし、そのためには、やはりかなり生産の合理化をやらなければいけない。かん詰めミカンがここ数年来相当大幅に順調に伸びておって、このままいくと一千万ケースにすぐなるのじゃなかろうかというような時代があったことは、御承知のとおりです。しかし、すでに原料価格の生食との競合によって、大体頭打ちしてきたということになりますと、農林省として考えなければならないことは、一体どの辺を目安に置いて、そしてこれによってかん詰めをつくっていくかという、きちっとした——そのとおりはいかないでしょう、統制経済ではないですから。しかし、心がまえというか、考え方の中心をしっかり置かないと、いろいろ両者間のあっせんをするとかいろいろ言っても、なかなかできないということを御指摘申し上げておきたいわけです。  そこで、いま四百四十万ケースのかん詰めミカンの輸出にいたしましても、先ほど局長からお話しのように、スペインものとか中共もの、品質は若干悪いかもしれないけれども、価格においては相当安いものがすでに、量は少ないけれども、ヨーロッパ市場に出てきておる。そうなってきますと、やはり敵を知りおのれを知らなければ勝負の世界では勝てないわけですから、スペインなりあるいは中共なり、そういうものが一体どういう形でかん詰めをつくり、あるいは生産をしておるかという調査を、農林省園芸局としてはする必要があると思うのです。私から申し上げておきましょう。スペインなりあるいは中共なりについては、あまり資料をお持ちないと思うのです。だから、ひとつ国会でも終われば、若い人を派遣して、中共なりあるいはスペインなりヨーロッパなり、そういう市場調査を十分される必要がある。そういうことをやらないで、かん詰めの将来はどうだこうだと農林省で幾ら言ったってナンセンスです。だから、少し元気を出して、園芸局という局がせっかく農林省の中にあるのですから、政務次官ここにおいでですが、そういう人たちを海外に派遣してでもそういう勉強をさせる御意図があるかどうか、この点はひとつ政務次官から答えてください。
  30. 仮谷忠男

    ○仮谷政府委員 倉成先生の御意見、ごもっともであります。園芸局の任務というものが非常に重要視されてまいりまして、しかもこれからはさらに大きく拡大し、その活躍が期待されることは御承知のとおりでありまして、そういう意味から、おっしゃるとおりに、先進地区の実態調査も十分していくことは、当然のことでございまして、今後そういった面で十分心がけてまいりたいと存じます。
  31. 倉成正

    倉成委員 政務次官から御答弁がございましたから、ひとつ政務次官の任期中にどうぞ実現をしていただくようにお願いを申し上げたいと思います。  それでは次の問題に移ります。私は、今日果樹、野菜を通じて一番大きな問題の焦点は、やはり輸送、流通の問題じゃないかと思うわけですが、輸送、流通に関してどういう具体的なマスタープランをお持ちであるか、これは経済局長の分野のようですから、ひとつ具体策についてお伺いしたいと思います。
  32. 森本修

    ○森本政府委員 完全に私のほうの所管であるかどうかわかりませんけれども、御指摘のように、野菜にいたしましても果樹にいたしましても、生産なり出荷調整と並んで、流通の問題が今日きわめて大きいということは、申し上げるまでもないと思います。それで、輸送、流通ということでございますが、端的に言いますと、流通問題の目標としましては、なるべく太く短い流通の経路なりあるいは輸送のパイプということが、一番大きな目標であろうかと思います。そういう点からいきまして、従来農林省としましても、あるいは中央卸売り市場の整備の問題でありますとか、あるいは小売り段階についての合理化の問題でありますとか、そういった点を中心にして種々検討をいたしております。中央卸売り市場の整備の問題につきましては、昭和三十八年閣議決定をいたしまして、市場の八ヵ年計画ということで施設整備を進めてきておるわけであります。また、取引所の問題にいたしましても、それぞれ数項目の取引所の改善の目標をきめまして、今日までそれに向かって努力を傾けておるわけであります。  また、輸送問題につきましては、特に生鮮食料品でございますから、できるだけ鮮度を落とさないで、早く消費地に運ぶということが一番の要点でございます。果樹等について産地に冷蔵庫をつくるとか、また輸送手段にいたしましても、それにふさわしいような輸送手段を整備していく、さらに鉄道の関係では、配車の調整あるいは専用列車を走らせるというふうなことで、種々努力をいたしてきております。しかし、今後の問題といたしましては、なお整備を要する点が多々あろうかというふうに思っております。そういう点についても、できるだけ最近の流通問題の重要性にかんがみまして努力をいたしていきたい、こういうふうに考えております。
  33. 倉成正

    倉成委員 抽象的なお答えとしてはもう満点なんですけれども、具体的な面で少しお伺いをしてみたいと思います。ということは、実は経済局長もよく御承知のように、国鉄の運賃の値上げの場合に、輸送を近代化するということが前提で、値上げということについてわれわれは一応納得したわけです。その点で、鉄道の輸送についてどういう合理化をやっていくのかということです。それから、鉄道に限らず、その他輸送について革命が行なわれつつある。もう今後十年くらいの間には、われわれが現在考えているのと全然違った形の輸送体系が確立するだろうと私は想像しているわけです。そういうものは具体的にどういうものかということが一点。  それからもう一つは、神田市場を例にあげましょう。青果あるいはくだものの市場として、神田市場は非常に伝統も持っておりますし、取り扱い量も非常に多いわけです。私は大体一週間に一度くらい神田市場に行って、せりを見たり、いろいろあの状況を視察しておるわけですけれども、行くたびに感ずることは、これは非常に狭隘で乱雑で、そして市場としての機能を果たしてないということです。ところが、あの中に住んでおる人たちはもうその空気になれてしまいまして、あの乱雑な、ああいう狭隘なことをそう不思議に思っていないというのが実態じゃないか。よほどこれは思い切ったメスを入れなければこの市場近代化はできないのじゃないだろうかという感じを抱いておるわけですが、神田市場を例にとって、これをどういうふうに改革したらいいか、これは正式の御見解じゃなくてもけっこうですから、ひとつお話をいただきたい。もしその際に、外国市場、たとえばニューヨークなりあるいはヨーロッパなりのそういう市場について、これを見てきて、ああいうふうにやりたいという具体的な例があれば、それもお示しいただけば幸いだと思います。
  34. 森本修

    ○森本政府委員 神田市場の問題でございますが、御指摘のように、都心部市場は、神田にいたしましてもあるいは築地にいたしましても、市場の中も狭隘でございますし、またその付近もきわめて混雑をしているということで、東京都なら東京都の市場の立地なりあるいは配置をどういうふうにするかという問題は、最近の過密都市の問題ともからみ、きわめて重要であり、また喫緊の問題である、そういうふうに思うわけでございます。東京都がまず第一次的な施設者でございますから、計画の立案もするわけでございますが、従来これは都心部市場についても、できるだけその狭隘さを、もちろん限度はございますけれども、拡張するということでやってまいりました。たとえば神田市場を立体化するとか、あるいは築地の市場につきましては、隣接地を取得して拡張するというようなことでやってまいりましたけれども、やはり限界があると思いますので、そこで、市場整備八ヵ年計画におきましても、できるだけ周辺部に市場を新設する、具体的な立地は必ずしも明確ではございませんけれども、三ヵ所ばかり周辺部に新しい市場を相当な規模でつくるということになっております。そういうことをやりますと、都心部市場にかかってまいります負担が緩和されてくることになろうかと思います。とりあえず計画として現在持っておりますものはそういうことでございますが、ただ、長期的な問題につきましては、都心部市場をどこか適当な立地を求めて移転をするというふうなことについても、先ほど来申し上げましたような問題の重要性にかんがみまして、今後真剣に取り組んでいかなければならぬということで、私どもとしてもすでに検討を開始しておるという段階でございます。
  35. 小林誠一

    小林(誠)政府委員 輸送の問題でございますが、お話のように、いろいろ新しい方法が出てきておるわけでございまして、実は農林省におきましても、リンゴでございますが、CA法と申しまして、倉庫の中の酸素、炭酸ガスの組成を一定のものに保ちまして、呼吸作用を抑制することによってこれを長期貯蔵するわけでございますけれども、それを冷蔵車、トラックで運ぶという仕事を考えておるわけでございまして、すでに青森、岩手、長野、山形四県に対しまして助成をしたわけでございます。その結果、東京に持ってきたときの価格も高くなりまして、大体普通の冷蔵のものよりも一箱当たり二、三百円くらい高く売れたということでございます。そういうことで、将来の方向といたしましては、低温の貯蔵あるいは輸送問題がさらにまた大きな問題となって出てまいると考えるわけでございまして、私たちといたしましては、科学技術庁で本年度から実施いたそうとしておりますコールドチェーンの試験実施につきましても協力をいたしまして、今後の問題としてこれを検討していきたいというふうに考えておるわけでございます。
  36. 倉成正

    倉成委員 両局長の御答弁でけっこうです。ただし、私が非常に痛感しますのは、たとえば神田市場を例にとりますと、大体、私の郷里の長崎からミカンを貨車で送りまして、せりに出されるのは四日目なんです。そうすると、ビワのようなものになりますと非常にいたみやすいわけですね。これが汐留に行きまして、秋葉原では荷おろししないわけです。そして汐留から輸送をしていって、あそこの倉庫に入れて、そして今度はまた分散していく、こういうかっこうになっているわけですね。ですから、実際具体的に実感として、これじゃいかないということになってくると、やはり相当大型のトラックで長距離輸送していく、それも低温で輸送していくという時代がやってくる。アメリカのように三十トン・トラックというわけにいかないかもしれないけれども、少なくとも十七、八トンから二十トンぐらいのトラックがどんどん市場の中へ入っていけるようなセンターというのが、将来考えていけるのじゃないか。しかし、神田市場のような伝統のあるところを急にどうこうするというわけにはいかないとすれば、くだものと野菜とを分離して、そしてある程度いろいろな方向考えるとか、やはりそういう具体的な実感として、また実施できるようなプランをひとつ農林省でお立ていただいて、これを強力に推進していくことが、この問題の解決の中心じゃなかろうかということを指摘申し上げておきたいと思います。  それでは時間もないようですから、試験研究機関の問題について、技術会議の事務局長にお尋ねを申し上げます。  果樹振興について、いままで試験研究機関はいろいろな役割りを果たしてこられたと思いますが、現在試験研究として一番重点を注がれておる点は何か、どういう方針園芸試験場指導技術会議の事務局長としてなさっておるか、伺いたいと思います。
  37. 久宗高

    ○久宗政府委員 試験研究全般については、御承知のとおり、三十六年でございますか、この前二年ほどかけまして、大体その以後の情勢に対処いたしました研究目標というものを定めたわけでございます。それが私どもの憲法になっておるわけでございます。その中でも、果樹につきましては、一応の目標の設定があるわけでございます。その後の経過を見てまいりました場合に、いわば長期的な目標に基づきました一応の課題はございますが、それが段階的にどういうふうに結びついていくのかという点が、当時の検討としては、これは無理なことだったと思うのでありますが、必ずしも十分できておりません。したがいまして、果樹のみならず、一般の農作物につきましても、現在一番力を入れておりますのは、そのような目標に向かいましてどういう段階を経てやっていくか。たとえば順序といったような問題が案外非常に大事ではないか。また実際見ますと、その辺が一番必要なところでございまして、個々研究は進んでおりますが、これが必ずしもある必要な段階で組み立てられないといったような問題もございますので、その点を特に——最近果樹の急速に伸びてまいりましたことでもございますので、果樹関係につきましては、特にそういう点が重点になろうかというふうに一応考えておるわけであります。
  38. 倉成正

    倉成委員 久宗さん、ちょっとお話がはっきりしなかったのですけれども、具体的に、果樹生産がかなり伸びておる、そしていろいろな問題をかかえておるという現時点において、事務局長として、園芸試験場なりその他についてどういう方針で、何を重点に試験研究をやれという御指示をなさっているか、端的に項目をひとつお示しいただきたい。
  39. 久宗高

    ○久宗政府委員 試験の課題と進め方につきましては、主として四つの観点から課題も設定されておりますし、また実施もされております。一つは、やはり需要見通しとの関連を十分検討しなければならぬわけでありますが、さような意味におきまして、適地の判定、また園地の造成技術の確立という問題が一つの大きな項目になろうかと思います。もちろん、この中には品種の育成も当然含むわけでございます。それから先ほどお話が出ておりました、もともと非常に労働を多投するものでございますので、生産費を低減させるという意味におきましても、当然、省力化と申しますか、機械化栽培法の経営的な確立というようなことが課題の中でも相当大きな部面を占めるわけでございます。それから当然のことでございますが、生産の安定に伴います問題で、先ほども御指摘のございましたような病害虫防除、あるいは気象災害に対する対応というような問題が項目の一つの重点になります。さらに最後にお話しになりました供給の安定という意味におきまして、生産されましてから消費者の口に入りますまでに数多くの段階があるわけでございますが、そのようなものを、従来の単に流通過程といっておりましたものの中を相当細分化いたしまして、個別な素材の検討も必要でございますし、さらにいまの段階では、これを組み立てようというところまで来かかっておるわけでございます。  大体この四つが項目としては重点になっておるわけであります。
  40. 倉成正

    倉成委員 大体項目としては御指摘のとおりだと思うのです。もちろん、病害虫の問題であるとか、適地の判定であるとか、新品種の育成であるとか、非常に重要な項目であることは間違いがありません。しかし、現在一番問題の中心になりつつあるのは、御承知のとおり、省力機械化という問題が、やはりこれから先大きな課題になる。それから加工の問題を含めまして、包装であるとか、貯蔵であるとか、そういう方面については、やはりウエートの置き方が、現在の試験研究機関、特に園芸について非常に足らないのじゃなかろうかという感じを持っておるわけです。  そこで、少し具体的な試験場をあげて恐縮ですが、平塚の園芸試験場を例にあげてみたいのですが、私は、河野一郎先生が農林大臣のときに、河野先生にお供をして、二人で平塚に参りまして、その帰りに、こういう平塚の試験場のように工場敷地のそばにある試験場は、ひとつなくしてしまって、あれは何か売り払って——相当の金になるので、それにある程度の金を継ぎ足して、理想的な園芸試験場をつくったらどうかという提案をいたしました。まあ不幸にして賛成を得られませんでしたけれども、今日でもその持論を持っておる。その理由は、御案内のように、日本果樹の大宗はミカンとリンゴです。ブドウもあります。そういうことですけれども、平塚ではミカンもリンゴもできません。ファイトトロンの施設をつくったり、いろいろなことをしておりますけれども、日本の園芸のメッカといわれる平塚の園芸試験場ということになると、やはりもう少し形を変えたらいいのじゃなかろうかと思うのです。それから興津に例をとりますと、数年前でありますが、私興津に参りまして、明治以来の非常に古ぼけた建物が建っておりましたので、これはひとつ何とかしなきゃいかぬというので、われわれも大蔵当局とも交渉して、小さいものでありますが、新しく建て直しました。そういう意味から、この園芸試験場というのが、有機的な関連、それからいろいろな点で、根本的にやり直す必要があるのじゃなかろうか。私自身、日本技術会議の所管である試験場も全部やり直して、一時閉鎖して、再出発したほうがいいという持論を持っておるわけですが、きょうは果樹園芸試験場の問題に限りましてお話をいたしましても、まだやりようがあるのじゃなかろうか。非常に技術者の方は優秀でありますけれども、従来予算や制度の面で制約を受けておるものですから、なかなかそういう思い切った知恵は浮かばない。その指導をするのが技術会議の事務局長の仕事であり、あるいは農林大臣の仕事であると考えるのですけれども、何か具体的に園芸試験場の再編成あるいは思い切った改革、そういう問題についてのお考えがあればお聞かせをいただきたいと思います。
  41. 久宗高

    ○久宗政府委員 実感を申し上げますと、御指摘のようなことでございます。急に伸びてまいりました産業でもございますのと、またそれまでに伝統的ないろいろな体制があるわけでございます。業界にもございますし、個々の営農する農家の方にもございますので、果樹の試験にどういうふうに取り組んだらいいかという問題につきましては、今日までの制度につきましても二転三転いたしておるように思います。平塚が具体的にお話に出ましたが、場の立地という点につきましては、園芸関係のみならず、県の試験場まで含めまして、情勢も非常に変化してまいりまして、そこの事態では試験が非常にできにくいという問題が全国的にあるわけでございます。御承知のように、さような問題を契機といたしまして、試験研究ができるならば一ヵ所に集まって、相互の横の関係をとろうではないかという企画が進行しているわけでございます。したがいまして、平塚の具体的なあれにつきましては、やはり私どももあそこでは本格的な研究ができにくいであろう、また御指摘のように、個々の作物についても若干不適の点がございますし、また基礎の研究ということになりました場合に、むしろ他部門との接触でございますとか、あるいはより高度な、あるいは別の学問体系との関連でございますとか、そういうことをむしろねらったほうがよろしいのではないかということで、全体の移転計画の中に含めまして検討をしておるわけでございます。ただ、現在私どもが、先ほど申しましたような施設の問題も含めまして、ある課題を段階的に組み立てます場合に感じております点は、やはり物別に取り組みました点が非常な一つの特色になっておりまして、ある時期にはそういうことが非常に研究を進める行き方でないかもしれないのでございます。品目が非常に多数ございますので、重点が非常に置きにくい。また行政的な要請も非常に強いわけでございまして、それに対しまして技術者の準備と申しますか、体制が必ずしも十分でないというふうに感じておるわけでございます。  それからもう一つの点は、やはり少し突っ込んでまいりまして、むずかしい問題になってまいりますと、やはり物別のアプローチと並行いたしまして、たとえば土壌なら土壌という問題につきましての横の連絡をとることが、研究一つの突破口になってくるというような問題がございます。ただ、この点は運用では非常に気をつけてよく御相談もしておるつもりでございますけれども、現在の段階では必ずしもそれがうまくいっていないように思うわけでございます。さような意味におきまして、果樹関係をもし伸ばすということで考えました場合に、物別に追う努力ももちろん必要でございますが、なお幾つかの基本的な共通事項がございまして、その点が少しこの段階ではおろそかになっているのじゃないか、それを何とかしたいというのが現在の気持ちでございます。
  42. 倉成正

    倉成委員 時間がございませんから、最後の締めくくりをいたしたいと思いますが、地方の果樹生産者が一番影響力を受けるのは試験場の方々なんです。たとえば農林省何々園芸試験場長ということで現地へ行って講演をいたしますと、その方が、生産過剰である、あるいはまだ大丈夫だと言えば、地方の農民は信ずる、これが実情です。これが小さくなってくると、試験場の技師になり、あるいは普及員になるという形になっているわけです。ですから、純粋の試験研究という問題と同時に、やはり啓蒙的な役割りを果たしているということを忘れてはならない。そうなってくると、今日のように大きな果樹農業についての変革期にあたって、果樹園芸試験場のあり方、またその相互の有機的な関連ということについては、やはり従来の惰性でずっときているわけですから、もう思い切って蛮勇をふるって——久宗さんのような明敏な事務局長がおられるのですから、ひとつ思い切ってやってみたらどうですか。それをやらなければ、私は、なかなか果樹農業ほんとうの発展はないという実感を実は私自身持っておるわけです。そういう意味で申し上げたわけでありますけれども、この果樹振興法の一部改正がいよいよこの委員会で討議されて、私ども最初に果振法をつくり、あるいは園芸局をつくるのに参画した一員でございまして、今日の段階において非常に感慨の深いものがあります。農林省もいま一度、ひとつ園芸局をせっかくつくったその精神に立ち戻って、この園芸局果樹振興のために力を尽くしていただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。
  43. 中川俊思

    中川委員長 兒玉末男君。
  44. 兒玉末男

    ○兒玉委員 それでは園芸局長にお伺いしたいのでありますが、まず最初に、先ほど倉成委員からも質問がありましたが、日本の主要果樹の栽培面積というこの資料によりますと、大体平均してここ十年間に一九四%という非常な率で面積が伸びております。この内容を見てみますと、たとえばミカン、ナツミカン、ブドウ、桃、クリ、こういうものが二〇〇%以上の伸びを示しておりますが、一体、こういう傾向というものが今後どういうふうな状態を保っていくように判断されているのか。私は、今後の果樹類の需要と供給の関係、さらにまた価格のいわゆる安定という点から、きわめて大事な問題でなかろうかと思いますので、その点についてまず局長の御所見を承りたいと思います。
  45. 小林誠一

    小林(誠)政府委員 お話のように、非常に栽培面積がふえておるわけでございまして、生産量も上がっておるわけでございます。先ほども申し上げましたように、大体見通しの線に果樹全体としては沿っておるわけでございます。ところが、その中をしさいに見てみますと、ミカンの新植というものが毎年一万ヘクタール以上になっておるわけでございまして、そういう意味で物別に見ました場合は、やはりそこに将来の需給という面から問題が生ずることが懸念される樹種もあるわけでございます。そういう意味で、私たちといたしましては、この際、単なる見通しという意味ではなくて、植栽なりあるいは生産目標を立てるということで、その目標に従っていろいろの政策を進めていくというふうに考えておる次第でございます。
  46. 兒玉末男

    ○兒玉委員 主要果樹生産費及び収益性というこの表によりますと、比較的収益性の高いものがやはり栽培面積も伸びておるわけですけれども、特にミカンに次いで栽培面積の広いリンゴが、価格の面においてミカン等に比較して非常に低落しているというふうに考えるわけです。いわゆる一日当たり労働報酬においても非常に低位である。この点は一体どういうところに原因があるのか。  さらにまたもう一つは、今後の果樹園芸というものは、非常に農村の労働力が都会に流出をしていく。今回この果振法の改正によって、いままでの単なる安定拡大という点から、「計画的かつ安定的な拡大を図る」というふうな改正がなされましたが、今日このような労働市場の非常に激しい状況、そしてまた価格の安定というものが、果実類の自由化とも相まちまして、相当の客観的に困難な諸情勢というものが包含されておるわけですが、このような点をどういうふうに改革していこうとお考えになっているのか、第二点としてお伺いしたいと思います。
  47. 小林誠一

    小林(誠)政府委員 実はリンゴにつきましては、三十七年に見通しを立てます場合にも、生産がむしろ需要を上回るという見通しが立ったわけであります。それが結局価格の面に反映いたしまして、価格も三十五、六年ごろからだんだん弱含み、場合によっては若干下がる——ことしは去年よりもだいぶ上がっておりますけれども、そういうふうに価格が若干弱含みになる、あるいは下落するという方向が見通されたわけでございます。その中でも、ことに国光だとかあるいは紅玉のようなものにつきましては、むしろ需要が少なくて、デリシャスとかあるいはゴールデンデリシャス、スターキングというような高級の品種の需要が伸びるだろうというふうに考えられていたわけでございます。また、それらの高級のリンゴの価格というものはわりあいに堅調なのでございます。したがいまして、現在のところ、面積としましては、見通しの線よりも若干下回った新植が行なわれております。また一方廃園がございますので、面積としましてはほとんどふえていない状況でございます。むしろそういういい品種に更新をしていくというような状況でございます。したがいまして、私たちとしましても、そういうようないい品種に更新しますためには、農家の負担も相当大きいものでございますので、品種更新事業ということで、三年間くらい共同育苗場で苗を育成して、それを植えるという方向が好ましい方向ではなかろうかと思いまして、それらの措置につきまして助成をやっておる次第でございます。  労働力の流出に対処して果樹農業がどうあるべきかということでございます。この問題につきましては、御案内のとおり、果樹につきましては非常に労働投下量も多いのでございます。したがいまして、その労働節約しまして、しかも所得は確保していくという方向が基本的な方向であると思うわけでございまして、その意味におきましても、園地を集団化することによって、高性能の機械あるいは高性能の選果施設導入いたすことによりまして、その収穫、選別あるいは荷づくりの労働力を節約するということ、また果樹園経営計画におきまして、あるいは濃密生産団地におきまして、たとえばわせの温州となかての普通の温州を組み合わせるというようなことによりまして、労働のピーク、ことに収穫期のピークでございますが、そのピークをならしていくことによりまして、農家労働を最も有効に使っていくということについて、今後指導をいたしたいと、かように考えておる次第でございます。
  48. 兒玉末男

    ○兒玉委員 それからこの第一条が今回、現在までの「その生産の安定と拡大を図るため、」という目的が、「その生産計画的かつ安定的な拡大を図る」というふうに改正をされておるわけですが、前の条文の目的と今回改正された「計画的かつ安定的」という目的と、内容においてどういうふうな違いがあるのか、この点明らかにしていただきたいと思います。
  49. 小林誠一

    小林(誠)政府委員 三、四年前におきましては、果樹はいわゆる選択的拡大の産業といたしまして、むしろ非常に需要が旺盛である、したがいまして、特殊のものを除きましては、これは振興をすればいい、むしろ振興をしてつくっても需要に追いつかぬのではないかというような考え方があったかと思うわけでございます。しかし、先ほども申し上げましたように、最近の果樹の植栽なりあるいは生産動向というものをつぶさに見ました場合には、やはり個々計画的あるいは安定的に、需要に即して果樹の栽植なりあるいは生産というものを行なう必要があるというふうに考えておるわけでございまして、そのような線に沿いまして今後の果樹振興法の運用を行なっていきたいと考えておるわけでございます。
  50. 兒玉末男

    ○兒玉委員 現在までの果樹農業の経過あるいは歴史というものを見てまいりますと、財政的な面においてもほとんど政府の援助なくして、いうところの自前農業として今日まで発展してきておるわけであります。私ども宮崎県でも、いま局長が言われたように、いわゆる選択的拡大、こういうことで、非常にミカンの奨励がなされておるわけですが、先ほど局長のこの改正の趣旨から聞き取りますと、生産方向あるいは果樹経営というものが、何らかの規制といいますか、拘束を受けるような結果に私は判断するわけですが、この点きわめて重大な問題でございますし、もしそういうことになりますと、現在まで行なってきたところの果樹農家というものは、一体どういう範囲においての今後の展望が確立されるのかどうか、この点現在までの果樹農家自体の自主性というものがある程度拘束を受けるような結果になるのかどうか、そうされた場合における計画的な生産となりますと、かりにその対象とされる地域なりまた栽培面積等、あらゆる面において、私は相当具体的な展望というものが明らかにされなければいけないと思うのですが、その辺の関係について、局長の御所見を承りたいと存じます。
  51. 小林誠一

    小林(誠)政府委員 この果振法の運用は、需要の長期見通しに即して植栽あるいは生産が行なわれるようにいたしたいというふうに考えておるわけでございます。それによりまして、果樹農業者果実生産者というものを法的に拘束するということは毛頭考えていないわけでございます。ただ、そのような方向に即しまして、県でやはりその県内の果樹農業振興計画を立ててやる、そしてその方向に即して助成なりあるいは指導融資等の措置を進めることによりまして、そのような方向に誘導していきたいと考えておるわけでございまして、そういう意味におきまして、作付を制限するとか、あるいはそれについていろいろ不利な措置をとるということは考えていないわけであります。
  52. 兒玉末男

    ○兒玉委員 これに関連しまして、果樹農業基本方針の策定に関連して、農産物の需要生産の長期見通し、これによりますと、大体昭和四十六年の果実需要量は七百五十八万トンから九百二十万トン程度と見込まれて、生産のほうは大体七百二十万トン前後に増加する。いままでのこの農林省からいただきました表によりますと、この増加傾向を継続してまいりましても、いわゆる需要と供給のバランスがくずれるような危険性というものはない、こういうふうに判断いたすわけでございますけれども、今回のこの計画的な、いま局長の申されました生産ということになりますと、やはり需要と供給のバランスというものがくずれてくる危険性というものがあるのかどうか、また当初の予想されているところの需要量というもの、この点が、いわゆる生産が非常にオーバーしまして、生産過剰となるような見通しなのかどうか、これは特に果樹園農家にとりましては、これから政府なり県等の指導下において、非常に重大な関心を持たざるを得ない。特に生産農民というものは、常に果樹だけじゃなくて、他の野菜農作物においても、いつも豊作貧乏という鎖によっていじめられておるわけですが、その辺の関係が特に基本方針の策定について重大な問題でございますので、需要と供給の関係、いわゆる果樹類の消費動向というものをどういうふうに把握されているのか、この点明らかにしていただきたいのであります。
  53. 小林誠一

    小林(誠)政府委員 四十六年における見通しにつきましては、果樹全体としては決して過剰になるというふうには考えておらぬわけでございまして、おそらくそのあとの五年、五十年ごろにおきましても、全体としては過剰にはならないであろうというふうに考えておるわけでございます。ただ、ものによりましていろいろございまして、その点で、たとえばミカンでございますとか、それからクリ等のものにつきましては、若干将来の需給のアンバランスということが心配される点もございます。しかし、果樹につきましては、永年作物でございまして、いま一、二年の植栽が将来に及ぼす影響というのは、十数年先のことでございます。しかもまた、ことし計画よりも多く植えたからといって、あとで調整すればまた間に合うことでございますので、そういう点におきまして、四、五年くらいの期間を区切りまして、そこで調節すれば、将来の問題も十分対応できるというふうに考えておりますので、そういう意味におきまして、いまからすぐその植栽を半分にしなければならぬとかなんとかいうようなことにはならない、果樹の特性からしまして、そういうものであろうかと思います。しかしながら、永年作物でございます関係上、そのときになってから対策を講じたのでは間に合わないということでございますので、やはり十年先あるいは十五年先の状況を頭に置いて、その対策を講じなければならないというふうに考えておる次第でございます。
  54. 兒玉末男

    ○兒玉委員 実は大分とか宮崎というのは、大分は非常に古い歴史がありますけれども、私の県等においてはここ四、五年非常にかんきつ類が県の指導のもとに増反されておりますが、去年なんかは非常に豊作ということで、目に見えて価格の暴落というのがあったわけです。これに対して非常に農民は不安を抱いておるわけですが、この点先ほど倉成さんからも流通問題の質問がありましたので、この点またあとでいろいろ御質問したいと思いますが、そういうふうな実際危惧というものが常につきまとっておりますので、今後農林省としては、そういうふうないわゆる今後の植栽面積拡大等にあたっても、長期の展望に立って、しかも価格は絶対に安定するのだ、こういうふうな明確な青写真というものを示していただかないと、いまの局長の答弁の内容だけでは、とても私は安心できないのではないか、こういうふうに考えるわけであります。  次に、基本方針ということで、いろいろと大臣が政令によって定めまして、果樹農業振興をはかるということで五項目ほどあげてありますが、第一に、主要な種類の果樹として政令で定めようとしているものは、一体どういう種類が入っておるのか、この点まずお聞きしたいと思うのであります。
  55. 小林誠一

    小林(誠)政府委員 この基本方針で取り上げます主要な果樹でございますが、これを選びますのは、その栽培面積あるいは生産量、それからまた将来の需要動向でございますとか、あるいは果樹園経営計画集団化、協業化をいたしましたときに効果があるかどうかというような点を頭に置きまして、これを選びたいと思っておるわけでございます。   〔委員長退席、田口(長)委員長代理着席〕 現在の果振法では、かんきつ類、それからリンゴ、ブドウ、桃、ナシ、カキ、クリ、オウトウ、ビワの九種類を取り上げておるわけでございますが、最近梅の面積が非常に伸びておりますし、生産量も上がっておりますので、そういう意味で、この梅については、やはりそれをつけ加えるかどうかということについて検討いたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  56. 兒玉末男

    ○兒玉委員 いま言われましたが、九種目ですか、大体この資料によりましても、やはり問題は、生産費と収益性ということに非常に問題があるのではなかろうか。それと、私は、需要と供給の関係のかみ合わせというものが相当慎重に配慮されないと、やはり生産農民というのは、全体的に労働収入というのが少ないために、一年間の労働を通じてどの種類が最も収益が高いかということにウエートをかけがちになろうと思うのですが、その辺の配慮というものを、この政令で定める場合に相当私は慎重な配慮が必要だと思うのですが、その辺の関係は、この種類の決定にあたって、単に面積が広いということやそういうような農林省一つ方針と実際に生産に従事をする農民の意向というものとがマッチしなければ、その効果は期待できがたいと思うのですが、その辺の関係はどういうふうにお考えになっておりますか。
  57. 小林誠一

    小林(誠)政府委員 やはりこの問題につきましては、それぞれ植栽をされますのは農家の皆さん方でございまして、収益性の問題は当然植栽される農家の方が判断をされた上で、それを植えられるわけでございます。したがいまして、いま申しました九種類ないし十種類の種類につきましては、この収益性も現在相当高いものでございます。しかし、最近非常に労働力が逼迫してきておりますので、そういう意味で、この生産費調査からの結果を見ましても、一日当たり労働報酬というのはだんだん減ってきておるのが現状でございます。そういう現状でございますので、そこの労働生産性を上げるということによりまして、所得はあまり減らさないで生産を続けていけるということを考えなければならぬのじゃないかと考えておる次第でございます。
  58. 兒玉末男

    ○兒玉委員 次に、第二号の「植栽に適する自然的条件に関する基準」こういうことがうたってありますが、この自然的条件に関する基準というのは、どのように定められるのか、この点明らかにしていただきたい。
  59. 小林誠一

    小林(誠)政府委員 この自然的条件でございますが、これは気象条件あるいは地勢条件、いろいろなものが考えられるわけでございます。従来、果樹園経営計画一つの資料としましては、気温でございますとか、あるいは降雨量というものを中心に規定したわけでございますが、先ほどからのお話もございますように、やはり今後は機械化、省力化によって一定水準以上の生産性を高めるということも重要な課題になってまいりますので、気象条件のほか、地勢条件というようなものにつきましても、今後果樹農業振興審議会等にも十分御意見を承りまして、基本方針として示すことを検討したいというふうに考えておるものでございます。
  60. 兒玉末男

    ○兒玉委員 先ほどお尋ねしましたが、現在農林省昭和四十六年を一応の目標とした七百二十万トン近くの果樹類の生産が可能な自然的条件に適応するような園芸地といいますか、こういう場所がはたして確保されるところの見通しというものがあるのかどうか、この点お聞かせをいただきたいと思います。
  61. 小林誠一

    小林(誠)政府委員 将来の果樹面積の問題でございますが、これは現在三十五万ヘクタールの植栽が行なわれておるわけでございまして、耕地面積からいえば大体六、七%ということになろうかと思います。そういう意味におきまして、将来畑地を果樹園にかえるということもございます。また未墾地等を開発いたしまして、そこを果樹園にするということでございまして、そういう意味で、今後果樹園にします場所は、相当あるものと考えておるわけでございます。
  62. 兒玉末男

    ○兒玉委員 次に、「近代的な果樹園経営の基本的指標」ということを定めることになっておりますが、この点は今後の果樹園経営にあたりまして非常に重要な問題ではなかろうかと思うのですが、この指標の設定にあたりましては、一体どういうふうな地域なり、またどの程度経営規模を対象としてこの指標の中に定められるのか、これはきわめて今後の果樹園経営に対して重要な問題であろうかと存じますし、また、現在果樹園経営の経験の少ない人あるいは反別等のきわめて些少な人、こういう点等との関連からも、非常に大事な点であろうかと存じますので、この指標の設定にあたってどういうふうな内容がこの中に定められるのか、この点お聞かせいただきたいと存じます。
  63. 小林誠一

    小林(誠)政府委員 国が立てます近代的な果樹園経営指標でございますが、これは全国一本で定めたいというふうに考えておるわけでございまして、さらに県の果樹農業振興計画におきましては、その県の自然的なあるいは経済的な条件に応じた、それぞれ県の実情に合った果樹園経営指標を立てていただくというふうに考えておるわけでございます。この指標は、樹園地の集団化あるいは共同作業というものを前提としました経営に着目しまして、その経営の中における単位面積当たり指標ということで、いま考えておりますのは、その単位当たり生産量あるいは労働時間というものを考えておるわけでございまして、したがいまして、この指標というのは、個々経営というものとは関係なく、現状の果樹園経営は四十アール以下の人がほとんど大部分でございます。したがいまして、そういう方々がその果樹園集団化することによりまして、その経営規模のいかんを問わず、いま申しました作業の共同化によって補完されることによりまして、その経営の改善をはかるということの指針として利用されるものということを期待しておるわけでございます。
  64. 兒玉末男

    ○兒玉委員 次に、「果実の流通及び加工の合理化に関する基本的な事項」ということがうたってあります。特にこの点は、先ほどもちょっと触れましたとおり、果樹類の価格の安定の重大なポイントになるものと考えております。そういう点から、野菜と同様に、輸送機関、これの保存あるいは品質の低下と、きわめてこの扱いはやっかいなものでありまして、いわれておるところのコールドチェーン等の構想にいたしましても、先進国のアメリカ等においても、やはりこれがほんとう生産から消費者の手に渡る間においては、その改善に約三十年近くの長期間を要しております。でありますので、今回の果振法の改正、さらにまた、先ほどもお聞きしましたが、価格の安定保障ということは、その最大の基本が流通機構の改革であるのじゃなかろうかと考えております。そういう点から、今回出されておるところの野菜関係の場合にも十分お尋ねしたいと思うのですが、果実の場合においても特にこの点重大な問題であります。同時にまた、今後の動向として、やはり生食と同時に、かん詰めとしての確保といううことが、非常に大事になってこようかと私は思っておりますが、特にこの流通の面について、果実関係についてどういうふうなお考えを持っておるのか、この点、特に経済局長もお見えになっておるようでございますので、お答えをいただきたいと思います。  それから加工面でございますけれども、いただいている資料の中で、ミカン、リンゴ、ブドウ、桃、この四つの品種の中において、年々加工の数量は増加の傾向にありますが、リンゴだけが昭和三十三年に四万二千トン、それから三十六年が七万九千トンでございますか、そうして三十九年には五万八千トンと、このように低下しておるわけですが、ほかの分は大体順調に伸びている。これは一体どういうところに基因をしているのか、この二点についてお尋ねしたいと思います。
  65. 小林誠一

    小林(誠)政府委員 リンゴの加工向けの需要が減っているのじゃないかということでございますが、年々ジュース類につきましては相当伸びているのでございますが、その中で減っておりますのはジャム等でございます。ジャムとかん詰めば非常に不安定である。ことにジャムの減っておる点から、加工向けのリンゴの需要というものが少なくなっておるわけでございます。  流通問題なりあるいは加工問題でございますが、青果物の中で、野菜に比較しますれば、果実というものは、相当流通組織も整備されておるわけでございまして、集荷、出荷団体あるいは農協の活動というものが相当活発なことは御案内のとおりでございますが、やはり将来の方向といたしましても、果樹農業者による果実の共同販売組織を整備し、出荷を計画化すること、その中心になりますものは、やはり集出荷施設、ことに青果の大規模な選果施設あるいは貯蔵施設というものが中心になろうかと思いますので、それを整備充実いたしますとともに、その出荷、包装というものについても十分これを合理化していかなければならないというふうに考えておるわけでございます。加工につきましては、果実の加工専用機械、特に労働節約的な施設の整備あるいは開発ということに重点を注いでいかなければならぬというふうに考えておる次第でございます。
  66. 森本修

    ○森本政府委員 果実なり野菜なりの流通の合理化のお話でございますが、御案内のように、一番流通上問題になりますのは、流通段階という中間だけの問題ではございませんで、生産がきわめて零細である。また出荷についても調整なり組織化がおくれておるというふうな問題、あるいは消費の段階におきましても、御案内のようにきわめて多様な、しかも零細な消費といったような関係が、結局流通の組織なり段階に影響を及ぼしておるというのが日本の現状だと思います。そういう関係から、中央卸売り市場といったような一つ消費地の市場を通じて現在の取引がなされておるということであります。長期的に見ますならば、そういった生産なり出荷が大口化する、あるいは組織化するというふうなこと、あるいは消費の段階におきましても、多種多様な零細な消費といったようなことが、小売りの零細多様ということに反映しておりますので、そういった点が将来もう少し組織化してくるということが、基本的に非常に流通改善に大きな影響を持ってくるというふうに思うわけでございます。現在の段階におきましては、やはり中央卸売り市場を通ずる機構あるいは流通の流れというのが、当分かなり大きなウェートを占めてくるだろうというふうに思います。そういうことから、先ほどお答えをいたしましたように、中央卸売り市場施設の整備でありますとか、あるいはそこの内部におきますところの取引の合理化ということについて努力をいたしておるわけでございます。ただ、長期的に果実なり野菜の流通問題を解決いたしますためには、先ほど言いましたように、生産、出荷の流通施設といったようなものを将来大口化していくというようなことも必要でありましょうし、あるいはまた規格化を進めていく、内容についてもあるいは包装についても規格化を進めていくといったようなことが、流通段階を合理化していくために非常に重要な施策であるというふうに思います。園芸局長お答えになりました貯蔵の問題ということも、流通問題を解決する基本的な問題でございまして、そういったあらゆる流通を合理化するための条件整備について、政府としても今後大いに力を尽くすということで、長期的な流通問題の解決をはかっていきたい、そういうふうに考えておるわけであります。
  67. 兒玉末男

    ○兒玉委員 この点園芸局長にも特に要望して、野菜法案の審議の際いま少し突込んで質問をしたいと存じますが、とにかく県等が、もうかる農業ということで、盛んに生産面の指導には非常に熱を入れるけれども、生産されたものがどういうふうな形で販売され、安定した収入が農家のふところに入るかというふうな、いわゆる流通、販売という面に対する指導が非常におくれていると私は思うのです。ですから、常に農民が一生懸命研究をし、努力をして、たくさんつくり出すけれども、先ほど局長も答弁になったような流通面の不備ということが、このような結果をもたらし、同時にまた、やはり現地における生産者というものが、もう少し組織的に、しかも市場の状況等が十分把握できるような形で、この振興というものがなされないと、せっかくの意図というものが、結果的には農民泣かせの結果に終わる。この点十分ひとつ両局長とも念頭に置かれて、しかも実際の指導にあたって十分な御配慮を私は要望したいと思うわけであります。  次に、果樹農業振興計画の策定についてでありますが、都道府県知事は、果樹農業振興基本方針にのっとって果樹農業振興基本方針に即した計画を立てることになっております。今後の果樹園経営計画の認定にあたって重要な指針等になるものでありますが、この場合、国全体の果実の長期の見通し、このいわゆる全体的な調整、またこれが各府県間あるいは経営計画の認定を受けないものとの調整、いわゆる全体の需要と供給のバランスをとる上からいっても、この計画策定というものが非常に重大な意義を持つものと考えますが、このような果実の長期見通し、それからそれぞれ園芸を経営する関係者の調整というものが、どういうふうに行なわれようとするのか、この点をまず第一点としてお伺いしたいと存じます。
  68. 小林誠一

    小林(誠)政府委員 国が果樹農業振興基本方針を立てまして、それに即して県が果樹農業振興計画を立てるわけでございます。さらに個々果樹園経営計画は、その県の計画に照らして適当であると都道府県知事が認めた場合に、その認定をし、公庫からの融資が行なわれるわけでございまして、従来ございませんでした国の基本方針なりあるいは果樹農業振興計画という規定を設けておるわけでございますが、これは先ほども申上げましたように、法律的に個々の農業者を縛るというていのものではございません。融資措置を通じまして好ましい方向に誘導していくというのが目的でございます。  なお、果樹園経営計画を立てない人々につきましても、県がその県の計画をいろいろPRなりあるいは指導することによりまして、県の計画から見まして好ましい方向に農業者の活動を向けていきたいというふうに考えておるわけでございます。  県間の問題につきましては、いろいろそこで目標全部をトータルいたしますと、国の目標数量に合わないという問題もございましょうが、その点につきましては、今明年をかけましてじっくり県とお話を申し上げ、それによりまして、その間に大きなそごのないようにいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  69. 兒玉末男

    ○兒玉委員 これは一つの例としてでありますけれども、ある大きな食品会社が地域の園芸組合等と提携しまして、県等の策定する計画とは全く無関係に、競合するようなイチゴなりあるいはミカンなり——こういうふうな実際の例もあるわけですが、この辺が非常に問題になる点ではないかと私は思うでのす。こういう大企業の、全く県の計画等に無関係的に進出をするということも十分私は考えられるわけでございますが、その辺の関連というものを実はお聞きしたかったわけですが、この辺どのようにお考えになっておるのか、お伺いしたいと思います。
  70. 小林誠一

    小林(誠)政府委員 具体的な事例につきましては承知いたしておりませんけれども、国なりあるいは県の計画というものにつきましては、たとえば自然的条件というようなものについても、一つ指標を出すわけでございます。そういう意味におきまして、果樹が不適地に植栽されるというような面はないものだと考えておるわけでございます。  それからもう一つは、非常に大規模な植栽ということになりますと、この果樹園経営計画というものは、数人が共同して立てるということになっておるわけでございまして、したがって、一人で大規模果樹園経営をやるという場合は、この法律によります融資の道は開かれないわけでございます。そういう意味におきまして、この法律の面からはいろいろの奨励措置とかなんとかいう恩典は出てこないものと思います。ただ、全体の事業量の中におきましては、その経営主体がだれでありましょうとも、その生産の量という中には入ってくるということにおきまして、その意味では関係が出てくると思いますが、具体的な事例について承知いたしておりませんので、この点についての意見は差し控えさせていただきたいと存じます。
  71. 兒玉末男

    ○兒玉委員 これは今後派生する問題でありますので、ひとつ当局としても十分慎重な態度で臨んでいただきたい。  次に、振興計画書を関係の知事が大臣に提出することになっておりますが、その振興計画を提出するだけでは、私は十分な目的の達成はできないと思うのですが、その辺はどういうふうな指導をやっていくのか。同時にまた、一つの県単位の問題でなくして、やはり広域なブロックというものを対象とした審議会等を設けて、全体的な計画を十分達成するための調整をはかる必要があるのではなかろうかと考えておりますが、知事の振興計画書と同時に、このような広域ブロックの調整のための審議会等について、どういうふうな配慮がなされておるのか、その点明らかにしていただきたいと思います。
  72. 小林誠一

    小林(誠)政府委員 県の果樹農業振興計画につきましては、農林大臣の認定という制度はとっておりません。この問題につきましては、やはり果樹農業振興計画は知事が自主的に立てていただくということが適当ではなかろうか。認可あるいは承認制度をとらないで、県が独自の立場から、その県内の実情に照らして立てていただくということが必要だと思います。法律の規定では、県の振興計画は国の基本方針に即して立てなければならぬということでございます。したがいまして、県がこの国の計画と全く反対の方向に向かって計画を立てられるということはないものだというふうに考えておりますし、またその食い違いというようなことがないように、一両年かけましていろいろ県ともお打ち合わせいたしまして、その点について大きな瑕疵がないようにいたしたいというふうに考えております。  また、広域ブロックの問題でございますが、これは地方農政局が出先機関としてございまして、この問題あるいは野菜の問題というものを取り扱う上におきまして、構造改善部に振興三課というものを独立させまして、人員をふやしたわけでございます。その振興三課が中心になりまして、その地方農政局管内の各県のいろいろな調整につきましては、これを行ないますとともに、農林省といたしましても、その調整が円滑に行なわれますようにいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  73. 兒玉末男

    ○兒玉委員 いまの局長の答弁で、認定といいますか、そういう表現は使ってないわけでありますけれども、少なくとも農林省としては、やはりこれを指導する責任があると思うわけです。ですから、私はその点もう少し積極的な姿勢で臨んでいただきたい。ということは、やはり県が設定する計画というものは、常に農林省としても全国的な視野に立つところの立場からその指導をしていかなければ、県という小さな単位の中において判断したこの計画というのが、はたして妥当であるかどうかというふうな判断の度合いというものが、私は相当ウェートの違いがあるのじゃないかと思うのですが、その点について、いま少し詳しく御説明をいただきたいと思います。
  74. 小林誠一

    小林(誠)政府委員 県間の調整なり、あるいは各県の果樹農業振興計画につきましては、園芸局といたしましても、各県の担当部と十分連絡をとりまして、これを指導していきたいというふうに考えておるわけでございます。そのような意味におきまして、認定制度はとりませんでしたけれども、当然農林省といたしましても、各県の立てます果樹農業振興計画につきましは、関心を持ちまして、十分の指導を行なっていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  75. 兒玉末男

    ○兒玉委員 まだ相当たくさんございますが、あと一問だけやって、あと大臣にお尋ねすることにいたしますが、この計画の策定の中におきまして、二条の三の三項に「都道府県知事は、前項の主要な種類の果樹のうちに、その果実につき、生産の安定的な拡大を図り及び流通の合理化を推進することが特に必要であり、かつ、そのためには広域の濃密生産団地を計画的に形成する」、こういうふうな表現が出ておりますが、この濃密生産団地というのは、どういうふうな形態をこういうふうにいうのか、この点お尋ねしたいと思います。
  76. 小林誠一

    小林(誠)政府委員 この濃密生産団地の広さでございますが、これは果樹の種類あるいはその組み合わせでございますとか、果樹園の分布によりまして、また対象とします市場規模というようなものによりまして、一がいにはどれくらいと言えませんけれども、大体二ないし三ヵ町村から、広いのでは一郡くらいになるものと考えておるわけでございます。やはりそこの中心になりますものは、集荷、貯蔵というようなものの施設中心になってくるだろうと考えておるわけでございまして、その濃密生産団地を単位といたしまして、近代的な集出荷施設でございますとか、あるいは貯蔵庫等の流通施設というものが有機的な関連のもとに計画されまして、それらの近代的な流通施設を中核といたしまして、流通の近代化、合理化というものが推進されると期待しておるわけでございます。それで、その団地の大きさあるいはその中における方針というものは、県によりましていろいろ実情が違いますので、都道府県の自主的な判断にゆだねたいというふうに考えております。
  77. 兒玉末男

    ○兒玉委員 いまの広域という考え方は、局長が言われたとおり、たとえば県境等の二県にまたがるような場合もあるのかどうか、あるいはその面積というのは、大体どの程度規模に達した場合に、このような濃密生産団地の形成ということを考えておられるのか、この点再度お尋ねしたいと思います。
  78. 小林誠一

    小林(誠)政府委員 その面積が何ヘクタールなければならぬというような基準はございませんけれども、やはり取引の単位といたしましては、恒常的に主要な市場に出荷ができるという、出荷の面で一つ考えられるわけでございます。それからやはりその出荷の面を考慮いたします場合に、その出荷施設は相当大規模でなければならぬと思います。その場合には、やはり相当長い期間にわたって出荷ができるということが、その施設の効率の面からいきましても必要でございます。そうなりますと、わせのものでございますとかあるいは普通のものというものをいろいろ組み合わせる必要がございます。この点は、生産者のほうから見ましても、労働の均衡という意味におきまして必要な面でございます。出荷の面からいきましても、そういうふうに長い期間にわたって安定的にこれを出すという点から、一つ規模というものがきまってくると思います。また大きな道路をつくって、その出荷を円滑にするという意味におきまして、土地基盤整備という面からも一つの範囲がきまってくると思いますが、そういうものを勘案しまして、一つの団地として生産から出荷に至るまで計画的にやっていくということを考えまして、都道府県知事がその範囲をきめられることを期待しておるわけでございます。
  79. 兒玉末男

    ○兒玉委員 次に、第四条で、果樹園経営計画の認定について、従来は「農林省令で定める基準」こういうことになっておったのが、今回は「農林大臣の定める基準」このようにその計画の認定についての対象が変わっております。大体面積は十町歩以上、集団する度合い、立地条件について平均気温、降水量等を規定する、こういうことでありますけれども、これを「省令」から「農林大臣の定める基準」というふうに改めたのは、現在までのこの基準の内容というものに変更があったのかどうか、この点お尋ねをしたいと存じます。
  80. 小林誠一

    小林(誠)政府委員 基準の内容でございますが、これは基本的には改正前のものとおおむね同じようにしたいと思います。ただ、最近の労働事情というものに対処いたしまして、高性能の機械を活用する、生産性の向上をはかるという要請が強まってきておることからいいまして、傾斜度等、地勢についての基準というものを基本方針でも取り上げることを検討いたしたいと思っておりますので、それに対応しまして認定の基準も整備いたしたいというふうに考えております。ただ、「省令」から「農林大臣の定める基準」といたしましたのは、果樹農業振興基本方針農林大臣が定めるということになっておりますので、それと平仄を合わしまして、これは省令という規定にしなかったのでございます。
  81. 田口長治郎

    ○田口(長)委員長代理 次会は明六月一日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十七分散会