○
松浦(定)
委員 いまの大臣のお
考え方は、もう十年も前の御
意見だと思うのですよ。
農政の行き方を知っておりながら、今日なおかつまだその程度で、方針がきまらない。もう少しそういう点はぴちっとした方針があってしかるべきだと思う。何も農業がいま始まったわけではないし、
農家がどのくらいおって、どうして減っていくのかということくらいわかるわけですから、それを何とかしなければならない。ないよりましだというだけの御
提案のこういうものではいけないと思う。出すなら出すで、りっぱなものを出して、たとえば離農と聞いたら、もうすでに何かおびえているようなことではいけないと思う。これは私は反対の立場で質問しているから、そういうふうにおとりになるかもしれぬけれ
ども、私がかりに与党であっても、これはけっこうなものだということではないのです。むしろ、与党であればあるほど責任があるから、私
ども以上にもう少しこの辺を明らかにしなければいかぬ。やめていく人は離農者なんだから、この
法案提出を契機としてこうするのだというて、労働省や大蔵省を説き伏せてでもその点は明らかにすべきであるのだ。私
ども野党ですから、多数がないから、言われるとおりに採決ということになれば、この
法案はそのままいく。しかし、責任は一番与党にあるわけですよ。もし私が与党の立場で言わしてもらうならば、これはそういうなまやさしいものでなしに、もっともっと野党が納得するような
内容にすると私は思うのです。それをなかなかできない、
予算が伴わないということだけで今日
提案されるから、われわれは必要以上にこうして苦言を呈さなければならぬ点が出てくるわけなんです。離農とかなんとかいうことばにこだわるのじゃなくて、実際
農家が困っているのですから、困っているのをどうするかといったら、農林省の方針としては、
政府としてはきまっておると思うのです。そういう点で、いまこれから
検討するとか、あるいはまたいますぐできないし、地理的条件が違うのだ、そんなことは私
どもとしてももうわかっております。地理的条件が違えば違うほどそういう点はすっきりして、なるほど九州ならこうなんだ、これはやむを得ぬ、北海道はこれでしかたがないのだ、瀬戸内海はこうなんだというふうにはっきり
農民が納得しなければいかぬじゃないですか。日本では
法律は一本だ。このような北から南まで長い——もしこれが欧州だったら、何十カ国にまたがっておるでしょう。そこへ持ってきて、
法律は一つの地理的条件ということばだけは認めておるけれ
ども、
内容においては何も認めてない。こういう日本のような情勢の中では、
法律というものは、もう少し最大限の
法律をつくっておいて、あなたのところではここまでまかすのだというならいいけれ
ども、一番下のほうに置いておいて、かえって必要なところを押えておるというのが日本の
法律の
内容だと私は思うのです。そういうふうにならざるを得ないわけですね。そういう点で、日本の
農政というものがこんなに違っておるという点を——具体的に果樹の問題とかあるいはその他の問題では多少あっても、この種の問題については同じなわけなんでしょう。だから、内地の一反や二反売る人が、ちょっと都合が悪いから、もうちょっと値段が上がってきたら、売って兼業をやる、またことしも一反売って何とかする、そういうものを一反や二反ずつ、それを長期低利の金で買っておって、それがどれだけ日本の食糧行政に貢献するか。食糧行政にほんとうに貢献するのは、実際問題としては
農民ではあるけれ
ども、販売をして他の消費者にも食糧を
供給する、そういう限度が大体明確でなければならぬと私は思うのです。買うより安いから、土地を持っておって、自家食糧にやっておる。そして他の産業と兼業をしておるほうが有利だということは、私
どもの立場からいけば、
農民であって
農民でないと言っても差しつかえないと思うのです。そういう人に一反や二反ずつ売らなければならぬ。そして片一方では二十町も三十町もかかえておって、負債があって離農ができないという者にも、なかなか離農ということは言えないのだ、そういう一貫しない政策でこのような管理
事業団をつくって、そしてこれから
説明をして
農業委員会にその仕事をさせ、ごたごたを起こさせるといったようなことでは、私はいかないと思うのです。とにかくこの問題は
相当慎重
審議をしなければならぬと私は思うのです。
大体一時までというお話でありますから、きょうはこの程度でやめたいと思いますが、この問題を取り扱うについて、最後に一言だけお聞きしておきたい。
町村の
農業委員会がこの
事務を受け継ぐわけですね。この
農業委員会の
委員の選任の過程なんかに問題があると思うのです。たとえば内地では一反歩、北海道では三反歩以上が選挙権、被選挙権があるわけです。そうすると、一たん北海道で権利さえ持っておれば、
農業委員会にだれでも出てこられる。
大会社の社長でもどんな人でも出てこられる。そういう人がこの仕事を扱って、俗にいう都市周辺といいますか、地帯によっては工場も来るでしょう。そういう場合には、宅地なり工場敷地になるわけでしょう。
農地管理事業団として、たとえ一反でも二反でも自立
農家を
育成しようと思ってやる、そのこまかい配慮の
内容が、この
委員会にかかったときには、その
委員が
農民でも何でもない、ただ
法律によって一反とか三反とか規定しておるから、
農民になって堂々と人を押しのけて、ほかのほうの力でもってその
委員会に出てくる人がたくさんあるのですよ。
町村なんかは比較的ないですけれ
ども、市の
委員会にはそういう人がたくさんある。そういう人が
会議に集まっていろいろ問題を取り扱いますと、すぐ宅地
委員会みたいになってしまう。そういう点の悪例は、この資格に問題があると私は思うのです。極端に申し上げますならば、少なくともその地帯において農業を営んでおる、そういう自他ともに許すような人が——選挙権はいいですよ。一反でも二反でもいいですけれ
ども、少なくとも被選挙権のある人は、そういう人でないといけない。終戦直後の農地改革のときには、地主、小作といったような階層別のものが出ました。そのときに、地主というのは、やはり実際につくってないだけに、無理解な点がたくさんあったのです。小作が一番
農民に対しては理解があった。それでも、そういう大きな
制度の中だからよかったのですけれ
ども、今日のように、こまかい点までやる、しかもこの問題をやるというなら、この
農業委員会の
委員の選任については、厳重な規制をすべきであると思うのです。ことしは七月に、
全国の
農業委員会の選挙があるわけです。下から積み上がってくるわけです。そういう人が府県段階、さらに先ほど初めに申し上げましたように、やはり中央の
農業会議所の幹部にもなれるわけでしょう。その
人たちはどれだけやっておるかといえば、内地で一反持っておればなれるのです。農業協同組合あるいは
町村で何かかんかやっておる人が、その人でなければものがわからないということで、出してくる事態がある。中にはりっぱな人がおりますよ。全部とは言わないが、りっぱな人もおるが、そういうところで指導できるのだから、そういう選挙に出てくる人は少なくとも内地においても五反あるいは一町くらい持っておる人、北海道においては少なくとも五町以上くらい持っておる人で、生活の
中心がどこから見ても農業だ、こういうふうに自他ともに見られるという人が、適格者として役員になってこなければいけないので、こういう点、いま農林省はこまかい点についてはずいぶん問題を聞いておられると思います。時間がないから申し上げませんが、次の機会に私はこういう点について質問したい。いろいろ
資料を持っております。十分ひとつ配慮をしていただいて、この七月の
農業委員会の選挙にあたっては、少なくともこの
法案はともかくとして、一般の行政の中で
農業委員会、真に
農民の
ためになるような
委員会になっておるかどうかということを
検討する必要があると思う。この点を一応申し上げておきまして、次の機会に質問することにいたしたいと思います。
本日は一応以上をもって終わることにいたします。