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高田委員 関連。ただいま新たに発足いたしました事業団のこれからの仕事始めにあたりまして、きめられた価格につきまして、いろいろ適切な
質問がございました。私もその
趣旨に全面的に同意見でございます。問題は、せっかく発足しました事業団が、できたはいいけれ
ども、仕事がない、肝心かなめの価格操作機能を果たすべきあれが全然ない、いままでの蚕繭事業団式に開店休業で終わるようなことがあったのでは、またこれは世間の大きな非難の的になる、批判の対象になると思うのですよ。せっかくつくりましたからには——まあつくるまでには、大事をとって、いろいろああだこうだと厳密な御議論もあった。これはよくわかると思うのです。要するに、私は、この機会に、養蚕と製糸という異なった業界が、大局的見地に立って、同じ立場に推進してこういう機関をつくり、これによって蚕糸業全体の安定発展をはかろうということになったというところに、非常に大きな意味があると思います。この芽をつんじゃいかぬ、これを育てろ、この力をもとにして、いままで
政府ががんばったけれ
ども、やれなかった価格安定を、業界の力で自主的にやれるならやらしてみようじゃないかというところに、発足の意味があると思うのです。それにしては、あまりにみみっちい発足なんで、だから、われわれがもっともっと将来力をつけなければいかぬぞということを
附帯決議に申し上げておるわけであります。そういう点から見まして、今度の価格の決定ははなはだ憶病だと思うのです。いまは過渡期ですから、価格安定法と今度のこの
制度と二つが併存しておりますけれ
ども、これはもう理論的には、この前もいろいろ御議論があったとおり、批判にたえ得るものじゃないと思うのです。この二つの
制度を置く必要はない、ほんとうはどっちか
一つでいいと思うのです。せっかくつくったものですから、漸次、できればなるべく短
期間の間にこの事業団の価格操作のほうへ重点を移していく、それで、もう有名無実になって試験済みの安定
制度はやめちゃってもいいところまでくらいの腹づもりで、積極的な気がまえで、この発足した事業団に前向きの態度で
政府は臨んでもらいたいわけなんです。それにしては、この価格のきめ方は非常に憶病過ぎると思う。やはりいまもるる
質問がありましたように、きめた価格より上に実勢価格がいっちゃっている。これでは何にもならない。そこで、どうしても事業団がなるべく早い機会に手持ちを持たなければならぬと思うのです。できたのですから、持たせるような方法を考えてやって、相当量のものを手持ちしまして、そうして突拍子もない上値が飛び上がるのを押えてしまう、こういう力を持たなければ、やはり存在の意義がないし、これは
政府の安定法による買った売ったと違いまして、業界がそういうものを反映してやるのですから、買ったり売ったり幾らやったって心配ないので、まかしておけばいい。何べん売ったって買ったってかまわないはずですから、なるべく値幅が狭いところで売ったり買ったりさせて、そうしてどれだけ安定機能を果たせるか、やらしてみたらいいと思うのですよ。そういう点では一・一二五ですか、何とか倍というようなのがあまりひっかかることはないと思うのでありまして、実勢はこんなに上にあるのですから、むしろいまの実勢価格
程度のものを最高価格と考えて、やや低いぐらいのところで置いておいて、下がったらすぐ買いに出るぞ、この姿勢で買って出て、売って出ていくのだというような、極端に言えば、そのくらいの気持ちでなければ、これはつくった意味はないと思うのです。りっぱな人があそこに入って、そうして業界の長い経験を生かしてこれから価格の安定をはかろうというのに、まるで
法律でがんじがらめに縛ってしまって、いままでの安定法を少し幅を狭めて、いままで
政府がやってやれなかったことと同じことをやらせるのでは、ほんとうのことを言って意味がないのです。だから、私は、今回は発足早々ですからあまり強いことも言えませんが、
考え方としては憶病過ぎるのです。これなら安定法の幅を狭めたのと同じなんです。幾らか幅を狭めて、
法律で買ったり売ったりするのと同じです。もっと自由自在に狭い範囲で買ったり売ったりさせてみようというのが、この事業団のできた意味なんでありまして、そういう点で、この価格のきめ方は少し憶病過ぎた、こう思います。ですから、そのことをひとつよくお考えいただきまして、今後その点を思い切って
改善する具体策を引き続き御
検討願いたい。そうしてやはりできた事業団が開店休業で、全然仕事がなかったということにならぬように、この際、ひとつ抜本的な考え直しをしてもらわないと、いつまでも安定法とこの
制度と二つ並べておくという考えは間違いです。いつかどっちかにしなければならぬ。やはり新たにつくったほうに置きかえるくらいの気持ちで考えていただきたいと思うのです。そういう点で、特にいまは実勢相場はかなり高いところで動いておりますが、これは内需が旺盛なので、言うまでもないですが、いまの糸では輸出がなくたって足りないです。それには相当思い切った大増産をやらなければならない。繭の大増産意欲を起こさせなければならないときですから、その意味でも、新たに発足した事業団に対する期待は、養蚕、製糸を通じて非常に大きいと思うのです。しかし、期待は大きかったけれ
ども、中身は何もないということになる心配がいまはあると思うのです。そういうことがないように、期待にこたえるように、今後の運営においては相当大胆に——大胆といっても、これは
政府がかってにやることでなくて、業界の総意でやらせる、業界が相当の責任を持ってやる体制なんですから、どうぞひとつそういう意味で、いままでの
栗原さんの
質問の要旨を今後の運用の面に十分に生かされますように御要望申し上げます。
きょうは時間もありませんし、
質問は大体尽きておりますから、一言申し上げまして、関連
質問を終わります。