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1966-04-06 第51回国会 衆議院 農林水産委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年四月六日(水曜日)    午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 中川 俊思君    理事 大石 武一君 理事 倉成  正君    理事 舘林三喜男君 理事 本名  武君    理事 赤路 友藏君 理事 東海林 稔君    理事 芳賀  貢君       伊東 隆治君    池田 清志君       宇野 宗佑君    金子 岩三君       坂村 吉正君    笹山茂太郎君       白浜 仁吉君    田邉 國男君       高見 三郎君    綱島 正興君       中川 一郎君    丹羽 兵助君       野原 正勝君    野呂 恭一君       長谷川四郎君    藤田 義光君       森田重次郎君    卜部 政巳君       兒玉 末男君    千葉 七郎君       西宮  弘君    松浦 定義君       湯山  勇君    中村 時雄君  出席政府委員         農林政務次官  仮谷 忠男君         農林事務官         (農政局長)  和田 正明君         農林事務官         (農地局長)  大和田啓気君         農林事務官         (園芸局長)  小林 誠一君         林野庁長官   田中 重五君  委員外出席者         議     員 湯山  勇君        専  門  員 松任谷健太郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  入会林野等に係る権利関係近代化助長に関  する法律案内閣提出第一一一号)  果樹農業振興特別措置法の一部を改正する法律  案(内閣提出第一二八号)  農地管理事業団法案内閣提出第三六号)  農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正す  る法律案内閣提出第一三八号)  農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する  法律案湯山勇君外十三名提出衆法第一二  号)      ————◇—————
  2. 中川俊思

    中川委員長 これより会議を開きます。  入会林野等に係る権利関係近代化助長に関する法律案果樹農業振興特別措置法の一部を改正する法律案農地管理事業団法案農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する法律案の各案を一括議題として、趣旨説明を聴取いたします。
  3. 中川俊思

  4. 仮谷忠男

    仮谷政府委員 入会林野等に係る権利関係近代化の助長に関する法律案につきまして、その提案理由及びおもな内容を御説明申し上げます。  わが国の農山村におきましては、古くから入り会い林野等利用が行なわれてきたのでありますが、今日なおその面積は二百万ヘクタールをこえ、全国の民有林野面積の一三%に及んでいるのであります。  これらの林野利用状況は、一般に粗放であり、農林業経営の発展及び農山村民の所得の向上に十分寄与しているとは言いがたい現状でありまして、これによる国民経済上の損失も少なくないと思われるのであります。  入り会い林野等利用が低位にとどまり、その開発がおくれている原因は、いろいろあると思われるのでありますが、その最も基本的なものは、これらの林野入り会い権等権利が存在していることであります。  これらの権利に基づく利用は、今日に至りましても依然として旧来の慣習に制約されておりますため、時代の新たな要請に応じて利用高度化をはかろうといたしましても、容易にその転換ができないのであります。  したがって、入り会い林野等についてその利用を増進し、農林業経営の健全な発展に役立たせるため、このような権利関係近代化すること、すなわち、入り会い権等の旧慣による権利を消滅させ、これらを所有権地上権等の近代的な権利に切りかえることが強く要請されるに至っているのであります。  しかしながら、現状におきましては、このような権利関係近代化をはかりますためには、かなり煩瑣な手続や、多額の経費負担を必要とし、農山村民が独力でこれを実行することはきわめて困難でありまして、そのことが、これまでに権利関係近代化を進める上の大きな障害となっていたのであります。したがいまして、入り会い林野等農林業上の利用の増進をはかってまいりますためには、このような障害を排除いたしまして、農山村民が自主的かつ円満に近代化を実現し得るよう助長する措置を講ずることが緊急に必要であると考えるものであります。  以上のような理由からいたしまして、この法律案におきましては、入り会い林野等権利関係近代化を行なうに必要な手続を定めますとともに、関連する登記手続簡素化、租税の減免、経費の補助等各種援助措置を定めたのであります。  以上がこの法律案を提出する理由でありますが、次に、法律案のおもな内容について御説明申し上げます。  第一は、入り会い林野における権利関係近代化、すなわち、入り会い林野整備実施手続等に関する規定であります。  入り会い林野整備を行なうにあたりましては、まず入り会い権者全員の合意によってその整備計画を定め、その計画について土地所有者その他の関係権利者の同意を得る等の手続を経た上で、都道府県知事の認可を受けることとしております。  次に、都道府県知事がこの計画について認可をした場合には、その旨を公告することとし、その公告があったときは、入り会い権及びその他の権利が消滅し、入り会い権者所有権地上権等権利取得することとしております。入り会い権者取得した権利登記につきましては、都道府県知事が一括して登記を嘱託することといたしております。またこの場合、入り会い権消滅後の土地の効率的利用をはかるため、協業化の方向を助長する趣旨から、入り会い権者生産森林組合等権利の出資を行なう場合の登記につきましても、都道府県知事がこれを嘱託することといたしております。  第二は、市町村及び財産区の所有する林野で旧慣の存しておりますもの、すなわち、旧慣使用林野整備実施手続に関する規定であります。この場合におきましては、農業または林業構造改善事業等の効率的な実施を促進するために必要な場合に行なうことができるものといたしております。また、この整備計画の作成については、市町村長が、あらかじめ旧慣使用権者の意見を聞き、市町村議会等の議決を経ることといたしております。  なお、旧慣使用林野整備計画の認可の公告による権利変動、及びその後の登記等については入り会い林野整備の場合に準ずることといたしております。  第三は、入り会い林野整備等が円滑に行なわれるように援助措置についての規定を設けております。  まず、登記手続につきましては、政令で不動産登記法の特例を定めることができることとしてその簡素化をはかるほか、税制上の特例といたしましては、入り会い林野整備等により権利取得した者の経済的な利益については、課税しないものとするほか、不動産取得税及び登録税減免措置を講ずることといたしております。  以上がこの法律案提案理由及びおもな内容であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださるようお願い申し上げます。  次に、果樹農業振興特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  近年の果実生産は、国民生活高度化による需要の増大と農業者生産意欲にささえられて、一応順調な伸びを示してまいっております。  しかしながら、最近のような果樹の植栽の動向が今後も続くならば、種類によっては、将来需給関係に問題を生ずるものも出てくることが懸念されるに至っております。  しかも果樹は、永年性作物であり、短期間果実生産を調整することは困難であるという問題があり、長期的観点に立った適切な措置をとることが必要と考えられます。  また、近年農業労働力流出等により果実生産費上昇傾向にあり、他方わが国果実及び果実製品は、国内のみならず海外においても外国の果実及び果実製品との競争に直面しており、果樹農業近代化のための対策の強化が要請されるに至っております。  以上のような状況の中で、現行の果樹農業振興特別措置法による果樹園経営計画認定請求期間昭和四十一年三月三十一日に切れることになっておりますので、この際、この制度の延長のための措置のほか、新たに果実の需要の長期的動向に即応した果樹植栽及び果実生産計画的かつ安定的な拡大果実生産、流通及び加工合理化をはかるための措置を積極的に推進することとし、ここにこの法律案を提出することとした次第であります。  以下この法律案のおもな内容について御説明申し上げます。  第一は、果樹農業振興基本方針に関する規定を設けたことであります。すなわち、農林大臣は、主要な種類の果樹につき、果実の需要の長期見通しに即した植栽及び果実生産の目標、果樹園経営近代化果実の流通及び加工合理化等に関する基本方針を定めることといたしました。  第二は、都道府県果樹農業振興計画に関する規定を設けたことであります。すなわち、都道府県知事は、国の基本方針に即して、果樹植栽及びその果実生産の目標、近代的な果樹園経営の指標、生産基盤整備果実の流通及び加工合理化等に関する計画を定めることができるものとし、この計画においては必要な果樹についての広域の濃密生産団地の形成に関する方針を明らかにするものとしております。  第三は、現行の果樹園経営計画の認定の請求期間昭和五十一年三月二十一日まで延長いたしますとともに、その計画に基づく未墾地等の取得資金についての農林漁業金融公庫貸し付け金据え置き期間について、現行の三年以内を十年以内に改めることとしております。  第四は、加工原料用果実の流通の合理化をはかるため、農協等果実加工業者のそれぞれが共同して加工原料用果実の売買に関する取りきめを締結することができるものとし、その取りきめ及びこれに基づいてする行為には、独占禁止法規定は適用しないものとしたことであります。  このほか、果樹農業振興のための施策について所要の規定整備を行なうこととしております。  以上がこの法律案提案理由とおもな内容であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。  次に、農地管理事業団法案につきまして、その提案理由及びおもな内容を御説明申し上げます。  農業生産を維持増大して国民食糧の安定的な供給を確保するとともに、農業と他産業との間における所得及び生活水準の格差の是正をはかることが農政の基本であると考えます。そのためには、零細な兼業農家を含め農家全体を対象として農業生産を振興し、その所得を高めることに努力いたすことはもとよりでありますが、最近における農業の動向から見ますと、農業に専念し、農業所得によって生活することができる農家を相当数育成することがきわめて重要であろうと存じます。このような自立経営農家及びこれに準ずる協業経営が健全に育成されるためには、農業に専念する農家が漸進的に経営規模拡大し、生産性の高い農業経営の基礎を確立することのできる条件がつくられることが必要であります。  最近における農家戸数の推移を見ますと、昭和三十五年から四十年までの間に年平均約八万戸の減少を示しました。この間都府県で一・五ヘクタール以上の農家が多少増加しておりますが、経営規模拡大の傾向は必ずしも顕著とはいえない状況にあります。また、農地についての権利移動を見ますと、自作地売買等による有償移動の面積は、年々増加し、昭和三十九年には約七万五千ヘクタールとなっておりますが、その内容においては、自立経営を目ざす農家経営規模拡大の方向に沿って行なわれているとは必ずしも言いがたいのであります。  そこで、年々移動している七、八万ヘクタールの農地に着目し、地域の実情に応じ無理なく経営規模拡大に資するよう方向づけることにより、農業によって自立しようとする農家及びこれに準ずる協業経営規模拡大を促進することを目途として農地管理事業団を設立し、農地及び未墾地取得についてのあっせん及び融資、農地の売買その他農地移動円滑化に必要な業務を行なわせるため、この法律案を提出したのであります。  政府は、第四十八回通常国会農地管理事業団法案を提出し、衆議院(しゅうぎいん)を通過し、参議院において審議未了となっております。今回、その際の審議経過等を勘案し、農地管理事業団業務の範囲に未墾地取得についてのあっせん及び融資を加えるとともに、事業団業務は、今後事業実施状況を見、市町村の希望により農村らしい農村のすべてにおいて実施することを目途として、初年度四百市町村において行なうものとし、また農家に直接接触する事務は市町村及び系統農協に委託して処理することとする等構想を改め、所要の予算を計上するとともに、この法律案を提出した次第であります。  以上がこの法律案を提出する理由でありますが、以下法律案のおもな内容について御説明申し上げます。  第一に、農地管理事業団の目的は、農地等にかかる権利取得農業経営の規模の拡大農地集団化その他農地保有合理化に資するよう適正円滑に行なわれることを促進するため、これに必要な業務を行なうことにより、農業構造改善に寄与することと規定しております。  第二に、農地管理事業団資本金は一億円とし、政府はその全額を出資し、必要に応じ追加出資をすることができることといたしますほか、役員の定数、任免その他事業団の組織につき所要の規定を設けております。  第三は、事業団業務に関する規定であります。  まず、事業団業務の範囲といたしましては、農地採草放牧地未墾地またはこれらの付帯施設についての売買または交換のあっせん及びその取得に必要な資金の貸し付けと、農地採草放牧地またはこれらにかかる付帯施設についての買い入れ、交換及び売り渡し、借り受け及び貸し付け並びに信託の引き受けを行なうこととしております。  次に、事業団は、農林大臣の指定する業務実施地域内にある農地等について業務を行なうものとしております。との指定は、都道府県知事関係市町村と協議し、都道府県農業会議の意見を聞いて申し出た場合に、土地の農業上の利用高度化をはかることが相当と認められる農業地域で、農業構造改善をはかるため農地等権利取得を適正円滑にすることが特に必要な地域について行なうこととしております。  さらに、事業団業務執行の方針といたしましては、自立経営になることを目標として農業経営改善しようとする農家及びこれに準ずる農業生産法人農地等取得または借り受けを促進するように、その業務を行なわなければならないものとしております。  また、事業団貸し付け金及び売り渡し対価償還条件は、年利三分、償還期間三十年以内の元利均等年賦償還とするほか、一定の場合における一時償還及び償還の猶予、売り渡し農地等の買い戻し、農地等の信託に係る信託法の特例、地方公共団体及び信用農協連合会等に対する業務の委託について規定いたしております。  第四は、事業団の財務及び会計につきまして、予算、事業計画等についての農林大臣の認可、借り入れ金交付金交付等規定を設け、また事業団農林大臣が監督することとし、監督命令その他の規定を置いております。  以上のほか、事業団は、業務実施地域内の農地または採草放牧地所有者がその農地等所有権を移転し、または賃借権等を設定しようとするときは、あらかじめ通知を受け、必要と認めるときはあっせん買い入れ等の申し出をすることとしております。  また、農地法の適用につきまして、事業団による農地等買い入れ売り渡し及び借り受け、貸し付けについては許可を要しないこととし、また、事業団農地等を借り受け、これを貸し付けた場合は、小作地所有制限は適用せず、更新拒否等についての許可を不要とする等の特例を設けることといたしております。  さらに、税制上の特例といたしましては、事業団あっせん融資等によって土地を取得した者に対して不動産取得税を軽減することとしております。  また、別途租税特別措置法の一部改正によりまして、事業団あっせん等により土地を譲り渡した者について譲渡所得に対する所得税を軽減し、また不動産取得税の場合と同様に土地を取得した者について登録税を軽減することとしております。  以上がこの法律案提案理由及びおもな内容であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださるようお願いいたします。  次に、農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  農林漁業団体職員共済組合法は、農林漁業団体役職員経済的保証制度的に確立するため、昭和三十三年四月に制定されたものであります。  その後、昭和三十九年には、他の共済組合制度給付内容引き上げに見合う給付内容改善を実現し、さらに昭和四十年には退職年金等最低保障額を大幅に引き上げてまいったことは御承知のとおりであります。  しかしながら、本制度による給付内容国家公務員共済地方公務員共済等他共済組合制度給付内容と比較いたしますと、なお昭和三十九年における法改正前の組合員期間取り扱い等において多少の格差が認められるのでありまして、これらの点につきましてはかねてから慎重に検討してまいったところでありますが、今般、これらにつき他の共済組合制度による給付内容に準じて改善いたしますとともに、本共済組合給付に要する費用についての国の補助率引き上げ、あわせてこの制度の円滑な運営をはかるため所要の規定整備を行なうことにより、本共済組合制度設立の目的の実現に遺憾なきを期せんとするものであります。  次に、この法律案による制度改正内容の概要について御説明申し上げます。  改正の第一点は、昭和三十九年の本法改正前の組合員期間にかかる給付額算定の基礎となる平均標準給与につきまして、その算定の基礎期間が従来五年でありましたのを三年に改め、これにより平均標準給与の額を引き上げることとするとともに、旧法組合員期間平均標準給与の月額についての五万二千円という最高限度額を廃止することとすることであります。  改正の第二点は、すでに年金受給権者となっている者、いわゆる既裁定者に支給しております年金につきましても、昭和四十一年十月分以後、改正の第一点についてと同様な算定方法改善を適用してその額を引き上げることとするとともに、厚生年金の被保険者であった期間について年金額の減額を受けている者についてはその減額を行なわないこととするよう改めることであります。  また、これらいわゆる既裁定者のうち組合員期間二十年以上の長期在職者年金額であって特に低額のものについては 一定額まで引き上げを行なうこととすることとしております。  改正の第三点は、退職年金受給権を有する者であっても、五十五歳に達するまでは年金の支給を停止することとなっておりますが、希望する者には退職年金にかえて、新たに減額退職年金を支給できることとすることであります。  改正の第四点は、標準給与の月額の改定であります。現行の標準給与の等級及び月額を定めた表は、昭和三十九年に改正したものでありますが、現在の農林漁業団体役職員給与の実態を勘案し、その最低額を六千円から八千円に引き上げ標準給与と現実の給与との乖離の是正をはかったものであります。  改正の第五点は、農林漁業団体職員共済組合年金及び一時金を支給するために要する費用に対する国庫補助の率を百分の十五から百分の十六に引き上げることとしたことであります。  以上の諸点のほか、業務の一部の委託に関する規定、監事の権限の拡大に関する規定等につきましても所要の整備をはかっております。  最後に、この法律施行期日は、準備期間等を考慮して、昭和四十一年十月一日からとしております。  以上がこの法律案提案理由とおもな内容であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  5. 中川俊思

    中川委員長 この際、農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する法律案について、補足説明を聴取いたします。和田農政局長
  6. 和田正明

    和田(正)政府委員 農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する法律案提案理由補足説明を申し上げます。  この法律案は、給付内容国家公務員共済組合地方公務員共済組合等の他の共済組合制度に準じて改善するとともに、組合給付を行なうに要する費用についての国の補助率引き上げ、あわせてこの制度の円滑な運営をはかるための規定整備を行なうことを内容とするものであります。  初めに、給付内容改善に関する点につきまして御説明申し上げます。  まず第一条中の第三十七条の二におきまして、減額退職年金を新設することといたしております。この年金は、退職年金受給権を満たしていても五十五歳に達するまでは支給を停止されることとなっている現行制度と関連するものでありまして、五十五歳未満でありましても特に希望する者につきましては、退職年金の額を一定率で割り引きした年金支給することができるようにするものであります。割引率は退職した年齢と五十五歳との差一年につき四%でありますが、この率は国家公務員共済組合制度等他共済制度ですでに減額退職年金制度を設けているものにおける割引率と同率としております。  次に、第二条中の附則第四条第四号の改正におきまして、三十九年九月三十日以前の組合員期間、いわゆる旧法組合員期間にかかる平均標準給与年額計算方法を改めることとしております。平均標準給与年額は、三十九年の法改正前の組合員期間、いわゆる旧法組合員期間につきましては、従来、給付事由発生時点からさかのぼり五年間の平均となっておりましたが、今回、三十九年改正後の本法における計算方法、すなわち給付事由発生時点からさかのぼり三年間の平均とすることとし、平均標準給与年額引き上げをはかることとしております。  また、旧法組合員期間にかかる平均標準給与につきましては、当時の標準給与表との関連で、最高額を五万二千円で押えることとされておりましたが、これを廃止して三十九年法改正後と同様の取り扱いとすることとしております。  平均標準給与は、これに一定給付率を乗じて給付額算定する基礎となるものでありますから、これらの措置によって旧法組合員期間にかかる給付額が増額されることとなるわけであります。  次に第二条中の附則第五条の二及び附則中の第五条におきまして、これは九ページ以下でありますが、すでに年金受給権者となっている者の退職年金障害年金または遺族年金の額を、四十一年十月分以後、引き上げることとしております。二カ条に分かれておりますのは、前のほうは三十九年法改正前の既裁定年金にかかるものであり、あとのほうは三十九年法改正後の既裁定年金にかかるものであります。  引き上げ内容は、第一に、旧法組合員期間にかかる平均標準給与年額をただいま第四条第四号について申し上げましたと同様に、五年平均から三年平均に改めるとともに、五万二千円の最高制限を廃止すること、第二に、厚生年金保険の被保険者であった期間にかかる年金額減額を受けていた者についてはこれを廃止すること、第三に、組合員期間が二十年以上であった者につきましては、以上の方法によりその額を改定した後に、なお退職年金障害年金にあっては六万円、遺族年金にあっては三万円に達しない場合におきましては、それぞれその額を六万円または三万円まで引き上げることとしております。  以上が給付内容改善に関する改正点のおもな内容であります。  次に、国庫補助率引き上げに関する改正について申し上げます。  第一条中の第六十二条でございますが、従来、組合が毎年度給付を行なうのに要する費用のうち一五%を国が補助することといたしておりましたが、本改正法によりましてこれを一%引き上げて一六%を補助することとするものであります。これによりまして、今回の給付内容改善に伴って必要となる財源増が相殺され、農林漁業団体及び組合員の掛け金負担を増加することは回避できることとなります。  次に、その他の改正点につきまして御説明申し上げます。  その一は、第一条中の第十条の改正でございます。これは組合の監事が、監査の結果に基づいて、理事長または農林大臣意見提出することができる旨の規定を新設するものでありまして、他の各特殊法人と軌を一にする規定を設けるものであります。  その二は、第一条中の第二十条の標準給与表改正であります。これにより標準給与月額の最低を従来の六千円から八千円に引き上げることとするものであります。  その三は、第一条中第五十三条の二の新設及び第七十条以下の改正でありますが、これは組合業務のうち福祉事業及び余裕金運用としての農林漁業団体への貸し付けにかかる事業を、農業協同組合連合会その他の一定の者に委託することができることとするとともに、受託する法人がそれぞれの根拠法律において他からの業務の受託能力につき制限を加えられている場合において、それらの根拠法律規定にかかわらず組合業務を受託し得ることとすること、及びこれに関連する監督、罰則の規定整備であります。これにより、農林漁業団体職員共済組合が、より円滑に福祉事業等の業務を行ない得るようにするものであります。  最後に、この法律の施行日は、準備期間等を考慮いたしまして、昭和四十一年十月一日といたしております。  以上がこの法律案の主要な内容であります。
  7. 中川俊思

    中川委員長 午後一時再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午前十一時十五分休憩      ————◇—————    午後一時四十三分開議
  8. 中川俊思

    中川委員長 休憩前に引き続いて会議を開きます。  湯山勇君外十三名提出農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律案及び内閣提出農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する法律案の両案を一括議題として、質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許可いたします。坂村吉正君。
  9. 坂村吉正

    ○坂村委員 ただいま議題となっております農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する法律案につきまして、私は、自民党を代表いたしまして質疑を行ないたいと思います。社会党提案法律案もございますし、政府提案法律案もあるわけでございますが、一緒にいたしまして、主として政府当局に対しまして、私は質疑を行ないたいと思います。  実はこの法案は、いままで非常に時間がかかりまして、非常に難産をしたのじゃないかというふうな感じがいたしておるのでございます。しかし、ようやく政府もここまで踏み切って法律案提案した、こういうことは、待望いたしております農林漁業団体職員にとりましては、非常にありがたく思っているのじゃないかということを感ずるのでございます。  ただ、この改正案の内容につきましては、いろいろ問題があろうと思います。この前の昭和三十九年の国会におけるこの法律改正に際しまして、あの当時の改正といたしましては、非常に不十分だった。不十分であるけれども、その当時の情勢としてやむを得ないので、国会におきましても、また農林漁業団体の職員の諸君も、まあまあこういう情勢ではということで、がまんをしておったのだというような感じが私はするのでございます。その当時の審議の過程を見ましても、最後の採決のときには、御承知のように、衆参両院とも数項目にわたるところの附帯決議を実はつけておる。そういう実態を見ましても、私は、いかにこの前の改正では満足する状態にはなかったかということが言えるのじゃないかと思うのでございます。その後、いろいろ情勢も進みまして、農林漁業団体といたしましても、具体的な要望をひっさげて、政府に対しましてもあるいは国会に対しましても、非常に熱心な強い要望をいたしておりました。それらの問題が今度の法律改正案においてどういうぐあいに解決されたか、こういう問題を明らかにしておくことが非常に大事なことじゃないかと思うのでございまして、あまり時間もないようでございますから、いままで団体の間でもそれから農林関係者の間でも、国会におきましても問題として残されておった問題、そういう問題を中心にいたしまして、今度の改正案でどう解決されるか、こういう点を明らかにするような方向で、ひとつ質疑を進めたいというふうに考えておる次第でございます。  策一番目に、農業団体の要望といたしましては、第一に、年金のスライド制をひとつはっきりしてほしい、こういう問題がございました。それから第二の問題といたしましては、いわゆる新旧通算ということでいわれておりますが、新法の給付旧法組合員期間にも適用してもらいたい、こういう問題でございます。第三番目といたしましては、既裁定年金引き上げてもらいたい、こういう問題でございます。第四といたしましては、減額退職年金制度をやってくれという問題であろうと思います。それから第五が、給付に要する費用国庫補助率を、現在一五%なんだけれども、これを二〇%に引き上げてもらいたい、こういう要望でございます。それから第六には、対象団体の範囲拡大してもらいたい、こういう大体六つの要望を中心にして強い運動を進めておったと思うのでございます。それから、この前の三十九年の改正のときの国会におきます附帯決議も、大体いま申し上げましたような要望とほとんど同じような問題点が掲げられておるのでございます。そういう状況でございますので、いま申し上げました点を大体中心にいたしまして、お伺いをしていきたいと思います。  その前に、一応基本的な考え方として、農林年金制度を今度改正しよう、こういうことを考えたその内容は、いろいろ年金制度もございます。たとえば国家公務員の年金であるとか、あるいは地方公務員の年金であるとか、公共企業体の年金であるとか、あるいは私学共済、厚生年金、いろいろの年金制度があるわけでございますが、大体どういうところを目標にしていまの年金制度改正しよう、こういうぐあいに考えたのか、その点、ひとつ基本的な考え方をお伺いいたしたいと思っておる次第でございます。
  10. 和田正明

    和田(正)政府委員 ただいまお尋ねの第一点として、今回の政府改正案を作成するにあたって、他の同種の制度のどの辺とのバランスを主として考えたかというお尋ねでございますが、御承知のように、農林年金厚生年金から離れましたのが、たしか昭和三十三年であったと思いますが、その後に何度かの改正がありまして、最終的には昭和三十九年の改正で今日に至っておるのでございます。厚生年金から離れましたいきさつその他から考えましても、これを厚生年金と比較をするということは適当ではないと考えておりまして、提案理由なり補足説明などでも申し上げましたように、主として国家公務員共済組合等のいわゆる共済組合制度に準じて改正をするということで検討をいたしてまいりまして、その中心になりますものは、何と申しましても、国家公務員の共済組合制度でございますので、主としてそれとのバランスを確保するということを中心にして検討して、御提案申し上げた次第でございます。
  11. 坂村吉正

    ○坂村委員 主として国家公務員共済組合法とのバランスを考えながら改正案をつくった、こういう御答弁でございまして、これはこの年金制度の性格から、私も当然なことじゃないかというふうに考えておるわけでございます。特に農林漁業団体におきましては、国家公務員、地方公務員等に比べまして、全体の給与が非常に低いし、それから雇い主であるところの農業団体も、地方公共団体やあるいは国家に比べれば、どちらかといえば、非常に弱体だというふうに言っていいんじゃないかと思うのでございます。しかも農業団体の職員というのは、農政推進の中核でございますので、それが将来老後の心配もなく安心して働ける、こういう環境に置いてあげることが、農政の推進上も非常に大事なことじゃないかというふうに考えておるわけでございます。そういうことでありますから、一応の目標として国家公務員の共済にバランスをとる、こういう考え方でお考えをいただいておりますことは、私は了解を申し上げるのでございます。  そういう基本的な考え方のもとに、それでは具体的な問題にひとつ入ってまいりたいと思いますが、第一番目に、スライド制をやってもらいたい、こういう要望でございます。この問題は、だんだんと非常に物価も変わってまいりますし、経済情勢もどんどん変わってまいるわけでございますから、その際、毎年毎年もう物価が上がったからということで法律改正をしなければならぬ、こういうような状態では、これは非常にやっかいなことでございます。そういう点をなくする意味で、もう制度として、そういう経済情勢に応じた年金給付の額なり何なりがスライドする、そういう考え方を基本的にとっておったほうがいいんじゃないかと私は思うのでございますが、この法律案の中にはその条項がございませんが、この点についてはどういうぐあいに処置をされておるか、お伺いいたします。
  12. 和田正明

    和田(正)政府委員 スライド制の原則につきましては、先生御承知のように、すでに厚生年金法とか、あるいは今回私どもが法案を作成いたしますについて、主としてバランスを考慮いたしました国家公務員共済組合法あるいは地方公務員共済組合法、国民年金法等にも、若干のニュアンスは違うのでございますが、経済事情の変動に対応して年金額を改定しなければならないという趣旨規定が入っておるわけでございます。そこで、農林年金につきましても、同趣旨規定が当然必要であるというふうに政府としては考えまして、去る二月十八日にすでに国会に提案をされ、衆議院(しゅうぎいん)の大蔵委員会に付託をされて、現在御審議をいただいております法律案——少し法律案の名前は長いのでございますが、昭和四十年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等の規定による年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案という法案が提案になっておりまして、本法内容は、旧軍人につきましての戦地勤務の期間加算に関することを内容とするものが主でございます。ただいま読み上げました法律案附則で、農林年金法の一条の二というのを入れまして、厚生年金法にございますのと同様に、「この法律による年金たる給付の額は、国民の生活水準その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情に応ずるため、すみやかに改定の措置が講ぜられなければならない。」という規定を、年金法の一条の二として新規に挿入をいたすことにして、政府としては、すでに提案をし、国会の御審議を仰いでいるわけでございます。そういう事情がございましたので、今回の、いま御審議をいただいております法案には、あらためてその規定を追加することをいたさなかったわけでございます。
  13. 坂村吉正

    ○坂村委員 わかりました。  そこで、これは法律技術の問題かもしれませんが、私ちょっと疑問に思いますのは、せっかく農林年金法を改正するのに、その条項だけほかの法律附則で直すというようなことは、法律技術上からいっても、あまりていさいのいい方法じゃないのじゃないか、こういう感じもいたします。しかし、法律論として、どこかで直ればいいのだからいいじゃないか、こういう考え方もあるかもしれませんが、そこら辺は、どういうぐあいに技術的には考えればいいのか、一応ちょっと私ふしぎに思うものですから、考え方を答弁をいただきたいと思います。
  14. 和田正明

    和田(正)政府委員 実は先ほども申しましたように、旧令共済組合に関する法律案がすでに二月十八日に提案になりましたために、こちらの年金法案の作成が、御承知のようないろいろな事情で少しくおくれました関係で、向こうの法律が早く出ましたという時期的な差だけの問題でございまして、単純な、坂村委員のおっしゃるような法律技術的な問題以外には、何ら他意はございません。
  15. 坂村吉正

    ○坂村委員 それではひとつ全力を尽くして、こちらの改正法案も本国会で何とか仕上げなければならない、こういうことを考えなければいけませんと同時に、そっちの法律がまた仕上がりませんと、そこのところが穴があくことになりますから、その点は政府においてもひとつ全力を尽くして、その法案の完成に努力をしてもらいたいと思います。  と同時に、湯山先生にお願いを申し上げますが、社会党といたしましても、この農林年金法の改正を仕上げよう、こういうお気持ちで非常に御熱心に取っ組んでおられるのでございますので、さっきの長たらしい法律のほうも同時にこの国会で仕上げるように全力を尽くしてもらいたいと思いますが、政府湯山先生の両方からその心がまえをお伺いしておきたいと思います。
  16. 和田正明

    和田(正)政府委員 御意見、まことにごもっともだと思いますので、私どもも、もちろんこの法案についても十分御審議をお尽くしいただきまして、早急に御採決をいただきたいと思いますが、関係が非常に深いわけでございますから、大蔵委員会のほうにかかっております法律案につきましても、政府として全力を尽くして成立を促進をいたしたいと思います。
  17. 湯山勇

    湯山議員 ただいま坂村委員御指摘のとおりのことを私も心配いたしておりました。そこで、技術的にこちらのほうへ持ってくる方法があれば、そうするほうがほんとうだと思います。前回の最低保障額の大幅引き上げも、実は農林年金の場ではなくて、厚生年金に便乗して引き上げになったという経緯もありますので、そうすることが間違いだとは思いませんけれども、御趣旨のとおり私も考えておりますので、一生懸命に努力をいたしたいと思います。
  18. 坂村吉正

    ○坂村委員 それじゃその点はひとつ安心をいたしまして、次の問題に進みたいと思います。  第二番目に、いままで問題になっておりましたのは、いわゆる新法の給付旧法組合員期間にも適用することという問題でございます。新旧通算の問題でございますが、この中身は一つじゃないと思うのです。その内容を分析してみますと、第一には、新法期間は三年でやる、やめたときからさかのぼって三年の間の標準給与で計算する、それから旧法期間については五年でやるという問題が実はあったわけでございます。この点がほかの制度に比べても非常に農林年金は不利じゃないか、劣っておるじゃないか、こういう点がいままでの大きな問題だったわけでございます。この点、今度はどういうぐあいに改正されたのか、法律内容にあるわけでございますが、その改正の考え方と内容をお示しいただきたいと思います。
  19. 和田正明

    和田(正)政府委員 坂村委員からお話のございましたように、三十九年の法改正のときにも残りまして、現行法では年金の計算をいたすもとになります標準給与は、やめます日の前三年間の平均ということになったわけでございますが、三十九年以前の旧法期間につきましては、その点がやめます前五年平均ということになっておりましたので、今回はそこのところを新法と同様に三年平均ということに改めることにいたしたわけでございます。そのことは、条文の関係で申し上げますと、第二条、けさお配りをいたしました資料のページ数で申し上げますと、八ページ以下に第二条というものがございますが、そこの八ページから九ページにかけましての附則第四条第四号の改正にかかわるもの、それからもう一つは、附則第五条の二というところにその部分の規定がございます。
  20. 坂村吉正

    ○坂村委員 その問題は、ほかの制度とのバランスがどういうぐあいになりますか。大体全部バランスをとれた、こういうぐあいに考えてよろしゅうございますか。
  21. 和田正明

    和田(正)政府委員 先ほど申しましたように、主としてバランスをとるということで考えましたのが、国家公務員の共済をはじめ各種の共済の制度でございます。その点におきましては、大体のものが、いま申しますようにみな三年平均ということになっておるのでございますが、ただ、国家公務員の関係につきましては、農林年金での旧法期間に見合いますものはいわゆる恩給法でございます。国家公務員でも新法期間は三年の平均でございますが、旧法期間である恩給法につきましては、最終俸給ということになっております。その点は、農林年金は三年平均と今回改めましても、なおバランスがとれないわけでございますが、御承知のように、国家公務員につきましては、給与体系が全国一本で定められており、昇給の基準等も非常に明白な基準が法定をされておるわけでございます。民間団体でございます農林漁業関係団体には、それぞれの団体ごとの給与表がばらばらでございまして、昇給基準等もございませんので、国家公務員の旧法期間とそこのところを合わせることが理論的にできなかったわけでございます。したがいまして、その部分だけは技術上合わせることが不可能でございますので、なおバランスがとれていないと申しますか、全く同じにはなっていない、そういうことになっております。
  22. 坂村吉正

    ○坂村委員 もちろん、国家公務員と農林漁業団体の職員との給与の体系といいますか、そのやり方は違うわけでございますから、そういう点はなかなかぴったりはいかぬと思うのでございますが、現在の問題としては、そういうことでかってにどういう上げ方でもできるし、どういう給与でもやれるのだというような状況でございますから、ぴちっとはなかなか合いにくいと思います。将来の問題としては、この問題はどういうぐあいに考えていったらいいのか。たとえば将来の問題としては、農林漁業団体においても何かもう少しきちんとした給与体系あるいは昇給基準、そういうようなものができれば、国家公務員と同じような制度に持っていけるというのか、あるいはそういうきちんとした給与体系なり昇給基準なりをつくってしまいますと、農業団体としては制度が硬直してしまって、運用としては、団体自体が自分の給与自体についてやりにくいという問題があるのかどうか。そこら辺は非常にむずかしい問題かもしれませんが、将来の問題としてどう考えていったらいいのか、お考えがあったら御答弁いただきたいと思います。
  23. 和田正明

    和田(正)政府委員 御承知のように、関係団体が、先ほどお配りしました資料にもございますように、約一万九千ございますので、おそらくそれぞれの団体ごとの経理内容というものがいろいろ特色もあろうかと思います。それらを全部通した給与体系というのは、将来にわたっても事実不可能であろうかと思います。またこの問題は、特に既裁定の年金の人などはすべてやめてしまった人がおるわけでございます。そういう人たちについて最終俸給というようなものを考えましても、そういうことは事実不可能ということになります。そういう意味において、将来にわたって国家公務員の共済の旧法期間とそこのところを全く同一にするということは、技術問題としても不可能ではないかと考えられますので、その点におきましては、給付内容に金額的にも若干アンバランスを生ずる点もございますので、そこのところを考慮いたしまして、国家公務員にしろ、地方公務員にしろ、御承知のように補助率の一五%となっておりますものを、二八%というふうにこの制度では一%アップをいたしまして、一応そこのバランスをとることに努力いたしたわけでございます。
  24. 坂村吉正

    ○坂村委員 わかりました。実態としてはそういうことになるのじゃないかというふうに私も了解をいたしたいと思います。  その次の問題は、新旧通算の問題で、旧法期間について五万二千円の頭打ちで押えられておるという問題があるわけでございます。この点は、新法期間については十一万円まであるわけでございまして、頭打ちを撤廃しろ、こういうことが非常に強い要望だったわけでございますが、この点はどういうぐあいに改正をいたしましたか。
  25. 和田正明

    和田(正)政府委員 これは坂村委員御指摘のとおり、ほかの制度とのバランスを考えまして、今回頭打ちはやめまして、新法と同様に十一万円までを標準給与としてみなし得るようにいたしまして、その部分の規定は第二条の中に含まれております。
  26. 坂村吉正

    ○坂村委員 非常に明快でございまして、この点は感謝をいたします。  新旧通算で、もう一つの問題は、いわゆる新法の給付率と旧法の給付率が違うわけですね。その点を新旧通算して一本の給付率でひとつやってもらいたい、こういう考え方があるわけでございます。これはほかの制度がどうなっておるのか、ほかの制度との比較において、今度の改正案ではどういうぐあいに考えておるか。改正案にはこの内容は出ていないように私は見ておりますけれども、どういうぐあいな考えでこの点は抜けておるのか、その点をひとつお答えをいただきたいと思います。
  27. 和田正明

    和田(正)政府委員 結論から先にお答えを申し上げますと、御指摘のとおり、ここの部分は改正をいたしておりませんで、新法期間は四〇%の給付率でございますが、旧法期間は三三・三%の給付率という現状のままでございます。ところで、このことは、国家公務員の旧法期間である恩給時代につきましても、やはり三三・三%ということになっておりまして、給付率としてのバランスは、私どもが主として制度内容改善のために比較をいたしました各種の共済制度については、すべて共通でございますので、政府としては、これでバランスがとれておる、改正の必要はないというふうに考えておるわけでございます。  なお、厚生年金は、御承知のように、旧法期間も新法期間給付率は四〇%になっておるのでございますが、その場合の給付額を決定をいたします標準給与は、今度直しまして、やめる前の三年間の平均になりますが、厚生年金は最初から最後までの全体の平均ということになっておりまして、それが四〇%でございますが、こちらは国家公務員その他とのバランスも考慮して、現行の三三・三のままで改正しないことのほうが、ほかの制度とのバランス上望ましいというふうに政府としては考えておる次第でございます。
  28. 坂村吉正

    ○坂村委員 ほかの制度との関係上、新法の給付率を旧法期間にも適用するという問題は不可能だ、非常に困難だというようなことで、考えていないというわけですが、バランス論でいいますと、私もその考え方はわかるのでございます。ただ、全体としては、ほかの制度ももちろん一緒に考えていかなければならぬ問題でございますから、農林年金だけが急に上に飛び出してしまうというようなことがはたしていいかどうか、これは問題でございますけれども、もしそういうことであれば、ほかの制度とも一緒に、この問題は今後の研究問題として十分御検討いただく必要があるんじゃあるまいか、こういう感じがするのでございます。国家公務員あるいは地方公務員その他のものをこういうところにまで全部持っていく、こういうことになれば、膨大な金が要るというようなことになるのでございますから、なかなかたいへんなことじゃないかと思います。したがいまして、いますぐこの問題が実現できるとは私個人としては考えておりません。おりませんが、将来の問題として、政府においても、十分この問題は御研究をいただいて進めていっていただく、前向きで検討してもらう、こういうことが非常に大事じゃないかと思うので、一言申し上げておきます。  そういたしますと、新旧通算の問題は、ほかの制度、いわゆる国家公務員共済というようなものとのバランスを考えながら、今度の制度を考えてみますと、大体バランスもとれて、一応農林漁業団体の職員としてもまあまあというようなところまでいったんじゃあるまいかというふうに私は了解をいたしていいと思っておる次第でございます。  その次の問題でございますが、既裁定年金引き上げる、こういう問題でございます。もちろん、この中には、御承知のように、新旧通算の問題が入っておるわけでございまして、新旧通算のほうの関係で、三年、五年の問題、それから頭打ち解消の問題、こういう問題は、先ほどの問題で一応解決されたというふうに考えてよろしいのですか、あるいは違いますか。
  29. 和田正明

    和田(正)政府委員 五年を三年に改めますこと、頭打ちは解消になりますことは、先ほど申し上げましたようなものが法案の中に盛り込まれておるわけでございます。
  30. 坂村吉正

    ○坂村委員 もう一つ、既裁定年金の問題につきましては、厚生年金期間の二割引きをやっておるというのが現行制度でございます。これはどうもいかにも気の毒な扱いでございまして、もちろん、この厚生年金期間の二割引きという問題は、今度の改正案では完全に解消したんじゃないかと思いますが……。
  31. 和田正明

    和田(正)政府委員 おっしゃるように、二割を減額いたす規定がございますが、この改正案ではその減額をいたさないことにいたしました。
  32. 坂村吉正

    ○坂村委員 最低保障の要求というのが非常に強い要求でございます。新法期間につきましては、この前の厚生年金法の改正のときに、厚生年金法の附則か何かで、この問題は、八万円でございますか、直されたはずでございますが、既裁定者について、この問題が非常な不当な取り扱いを受けておるわけでございますが、この問題は今度の改正案ではどういうぐあいにお考えをいただいておるか。
  33. 和田正明

    和田(正)政府委員 いまの最低保障の問題は、御指摘のように、新法につきましては、退職年金で申し上げますれば、八万四千円というふうに直っておるわけでございますが、すでに裁定を受けて年金をもらっておる人につきまして、その最低保障が及ばないという制度に現在はなっておるわけでございます。そこのところを調整いたしますためにいろいろ検討いたしたのでございますが、先ほどもスライド制の原則を入れます法律のことをちょっと申し上げましたが、あの法律の中で、国家公務員の既裁定年金者につきましても、最低保障を生かす規定本法の中に含んで提案になっておるわけであります。そことのバランスが政府としてはやはり必要でございますので、退職年金障害年金とにつきましては六万円、それから遺族年金につきましては三万円以下のものは、それぞれ六万円または三万円まで引き上げる、ただし、その場合に、組合員期間が二十年以上の者に限ってそういう保障をいたすということで、先ほど長い名前のついております法案を申し上げましたが、あの法律の中で、国家公務員もそのように処理をいたしておりますので、この農林年金につきましても、同じ条件、同じ金額になりますように提案をいたして、バランスをそろえておる次第でございます。
  34. 坂村吉正

    ○坂村委員 ただいまの、既裁定者について退職年金六万円、障害年金六万円、遺族年金三万円、こういう最低保障を設けたということでございますが、これは金額からいっても、現在新法でこれからやっていく人に対する最低保障と既裁定者とは、どうもバランスがとれないような感じがいたします。八万円と六万円を比べても、それだけの差があるということでございますし、それからもう一つ、退職年金障害年金については六万円だけれども、遺族年金については三万円だ、こういう根拠はどういうぐあいにお考えでございますか。
  35. 和田正明

    和田(正)政府委員 退職年金につきましては、組合員期間が二十年以上でなければなりませんので、二十年の制限は当然かと思います。遺族年金は、普通の場合は本人の半額というのが普通でございます。あとは先ほども申しましたように、国家公務員のほうが財源その他諸般の状況等を考慮して六万、三万というふうにいたしておりますので、政府としてはバランスを合わせた、そういう趣旨でございます。
  36. 坂村吉正

    ○坂村委員 一応六万、三万は国家公務員その他とのバランスで考えておるのだ、こういうことに了解いたします。  そこで、一つの問題は、二十年以上勤続者、こういうことでいきますと、やはり問題としては残るんじゃないだろうか、こういう感じがいたします。たとえば、退職年金はもちろんいいと思いますが、障害年金、それから遺族年金、こういうものは、考え方として何も長年の勤続者に限ることはないんじゃないか。障害年金を受ける者が二十年つとめた者でなければ最低保障が得られない、こういう制度は、制度のあり方として少し疑問に思われる点が多いのでございまして、この点は、ほかの制度とのバランス上二十年以上、こういうことでやっているのであろうと思いますけれども、その点について和田農政局長の率直な感じ方は、どういう感じを持っておられますか。
  37. 和田正明

    和田(正)政府委員 坂村委員がおっしゃいますように、退職年金は当然二十年の期限が要るわけでございますが、その他については二十年というのは問題ではないかという御意見でございます。私どももこの問題を検討いたします過程では、各種制度を比較勘案していろいろ研究をしてみたのでございますが、たとえば障害年金につきましても、公務上の障害を受けた者と公務外の障害を受けた者との取り扱いを異にしておる制度もございます。遺族年金についても、公務上の障害によって死亡した者の遺族に給付をいたします場合と、そうでない場合とでは、いろいろ条件を異にして給付するような制度にいたしておるものもございますので、そういう方法をここへ持ち込むことについてもいろいろくふう検討いたしてみたのでございます。御承知のように、いずれも既裁定の年金者でございますので、すでにその障害の事由が公務外であったか、公務上であったかということの記録がございませんので、そういうことによる区分をすることが残念ながら不可能でございまして、そこで、それらのくふうをいろいろいたしてみましたが、なかなか名案も浮かびませず、また一方、先ほど来申し上げておりますように、政府ですでに提案をいたしました国家公務員のほうで六万、三万、二十年ということになっておりまして、それと著しく違うことを考えますことは、やはり政府の立場としてなかなかできかねますので、そこのバランスを前提としてこういうふうにいたしたわけでございます。今後とも時間の余裕をいただきまして、いま申しましたようなほかのくふう等につきましては、将来の問題として研究さしていただきたいというように思います。
  38. 坂村吉正

    ○坂村委員 お答えのように、ほかの制度とのバランスもございますし、これは非常にむずかしい問題じゃないかと思いますけれども、この点についてはどうも気分的にしっくりしないような点もありますので、一応この問題はこれ以上触れることは避けたいと思います。しかし、私どももこの問題を十分研究しなければならぬと考えておる次第でございます。このことを一言申し上げておきたいと思います。  次に、減額退職年金の問題でございます。ほかの制度では、大体減額年金をやっておるのが多いのでございまして、実は私も公務員の退職年金をもらっております。これも若年停止で五十五までもらえないのでございますが、いまおそらく半分くらいもらっておるのじゃないかと思います。そういうぐあいに、国家公務員のほうでも減額年金支給しておるというような状況でもございますので、この点はぜひともこの制度で農林年金においても実現したいと思っておったのでございます。この内容はどういうぐあいに改正をするつもりですか。
  39. 和田正明

    和田(正)政府委員 それは他の制度とのバランスも当然ございますので、今回の法案の中にこの規定を盛り込みましたのでございます。内容としては、全体の給付率を新法だけの期間の人だというふうにもしかりに設定をいたしますれば、給付率が四〇%になりますが、五十五になります前は、一年につき四%ずつ引いたものを退職年金にかえて減額退職年金として支給をする、そういうことにいたしてあるわけでございます。
  40. 坂村吉正

    ○坂村委員 たいへんけっこうでございます。そうしますと、四%ずつ割り引いて年金をもらう人と、全額をもらう人とは、どこで差別をつけるか、本人の希望によってやるのか、初めからそういうことはきまるわけじゃございませんし、もらうときに、割り引いてもくれという人と、それからしばらく待っても全額もらいたい、こういう人とあると思うのでございます。その場合の掛け金の問題なんかは、もちろん全体を総合すれば、先に割り引いてもらっておっても、あとから全額もらっても、同じでいいわけでございます。そこら辺はどういうぐあいにお考えをいただいておりますか。
  41. 和田正明

    和田(正)政府委員 その点は、おっしゃいますように、本人が退職をいたしましたときの希望によって、減額年金をもらうか、数年待ちまして五十五になってから支給を受けるか、それは本人の意思によるわけでございます。いずれにいたしましても、掛け金と給付とは見合うような制度のたてまえでございますので、いずれの場合にも掛け金には変化はございません。
  42. 坂村吉正

    ○坂村委員 変化ないというふうに考えていいわけですね。  その次の問題は、給付に要する国庫補助率をいまの一五%から二〇%にしてくれ、こういう要望でございます。この問題は、先ほど別の質問の中で、いろいろのことを考えて、一五を一六にいたしました、こういう答弁がございました。実際問題として、ことしの予算で一五%を一六%に上げた、こういう実情は一応わかるのでございます。しかし、農林年金制度とそのほかの制度とをいろいろ考えてみますと、どうも給付内容を一生懸命ほかの年金制度にバランスさせて改善をしてまいりますと、掛け金にどうしてもはね返ってくる。それから現状の掛け金率を見ましても、非常に農林年金が高いわけです。たとえば農林年金では、個人負担というのは千分の四十八でございますが、私学共済では千分の三十八、国家公務員共済では千分の四十四、公共企業体共済では千分の四十・五、地方公務員共済では千分の四十二、こういうぐあいに非常に個人負担に差があります。これがいわゆる農業の後進性といいますか、そういう点を非常にはっきり物語っているのではあるまいかという気がするのでございまして、先ほど申し上げましたように、農林漁業団体は財政的にもそえ豊かなものじゃないし、農民に対する奉仕という姿で動いておるのでございますから、なかなか十分ほかの制度に追いつけないような姿になっているのではあるまいかという感じがするのでございます。やはりいやしくも個人負担に、ほかの制度に比べてこんなにも大きな差があるということは、いままでも非常な問題でございますし、将来の問題としても、私は非常に大きな問題じゃないかと思います。この点については、なぜ国家公務員や地方公務員あるいは私学共済等が、こういう農林漁業団体共済に比べて低い個人負担でやっていけるのか、そこら辺の実情をひとつ明らかにしておく必要があるのじゃないかと思うのです。
  43. 和田正明

    和田(正)政府委員 現在、この農林年金の掛け金が、他の同種の制度に比較しまして、組合員の負担分が高いことは、御指摘のとおりでございます。そのことの理由は、やはり先ほどもちょっと触れましたように、数度にわたりまして給付内容改善をいたしたのでございますが、その改善以前におきます設計が、改正前の給付内容を前提として設計をされております結果、改正後の財源の増加に見合いました掛け金が過去に積まれておりませんでしたので、その分をいま負担をして支払いを必要とするというような事情にございます。ただ、たとえば国家公務員共済等についての例をあげますと、これは国の補助という立場でないというふうに説明をされておるわけでございますが、雇い主としての国が、そういう給付内容改善に伴います過去の掛け金の不足分を負担するというようなことをいたしておるわけであります。そういう関係もございまして、掛け金率が下がっておりますが、この農林年金につきましては、過去の整理資源と申しますか、そういう財源分についての配慮は今日まで行なわれておりませんことが、掛け金率を高めておる原因であろうかと思います。したがいまして、この法案を今回国会に御提案申し上げます際に、社会保障制度審議会に諮問をいたしたのでございますが、その答申の中でも、今後整理資源については、国も含めて、雇い主である団体も含めて、十分検討すべき必要があるのではないかという御趣旨のことがつけられて答申されておるわけでございます。私どもも、今後将来の問題として、そういう整理資源も十分検討いたし、組合員の負担額が減るような方向について努力をいたす必要があろうかと考えておる次第でございます。
  44. 坂村吉正

    ○坂村委員 国家公務員あるいは地方公務員等につきましては、いま答弁がありましたように、大体国が整理資源のめんどうを見ているのだというような実態でございまして、そのことが、農林年金制度が非常におくれている——おくれているといいますか、個人負担が高い、こういう状況であろうと思うのでございます。先ほどお話しのように、国がめんどうを見ているというのは、雇い主としてめんどうを見ているのだ、こういうお話でございますが、いずれにしても、雇い主としての立場であろうが、あるいは国家としての立場であろうが、めんどうを見ている。それを雇い主の立場で農業団体がこれをめんどうを見たらどうか、こういう議論もあるのではないかと思うのでございますが、いまの農業団体の実情で、そう国家公務員なり地方公務員なりに対応するほどまでに、農業団体がこの整理資源のめんどうを見るという状態にはなかなか持っていけないだろう、こういう感じを私は持っているのでございます。そういう意味では、今後の問題としても、一五%、一六%の問題を離れても、その給付に対する補助率を離れても、この整理資源を国がめんどうを見て、そうして少なくとも農民のために日夜非常な労苦をされている農業団体の職員の個人負担が軽減される、そういう方向にぜひとも考えていかなければならぬ問題ではないかと思うのでございますが、その前に、いまの一五%を一六%に給付補助率を上げて、いまのような制度改正をやって——現在においては、この制度改正では、農業団体の職員の個人の掛け金率の変更はないわけですか。
  45. 和田正明

    和田(正)政府委員 今回の改正によりましては、組合員に対する掛け金率は、上げなくて間に合うように仕組んでございます。
  46. 坂村吉正

    ○坂村委員 そのことは非常にけっこうなことでございますが、現状の掛け金率が、先ほども申し上げましたように、ほかの制度に比べて非常に高い、こういう実態でございますので、これは職員としては一番待望している問題じゃないかと思いますから、この問題を今後の問題として十分検討し、少なくとも国が予算を出して、この整理資源の穴埋めを援助してやって、そうして掛け金率を少なくともほかの制度にバランスがとれるようなところまで、どうせいろいろな制度とバランスをとるのであれば、個人負担についてもバランスをとっていくということは、非常に大事な問題でございまして、その点を今後の問題として研究をしなければならないということを考えておるのでございますが、それは今後どういうぐあいに研究を進めてまいりますか、その点も、あるいは時間がありましたら、別の機会にまた御質問を申し上げたらどうかというふうに考えておりますので、その点は留保をいたしまして、次の問題に移りたいと思います。  もう一つの問題は、対象団体の問題でございます。この対象団体は大体法律で指定しておりますが、現在この制度に加入させてくれという団体が非常に多いのではないかと思いますが、大体いままでどのくらいの団体が加入させてくれ、こういうような状態になっておりますか。おもな団体でよろしゅうございますから、ひとついままでどれくらいの団体が入りたいという希望を持っているか。
  47. 和田正明

    和田(正)政府委員 御承知のように、現在この法律では、適用対象団体を特別法に基づいて実施後に設立された法人ということで列挙しているわけでございますが、お話しのように、いろいろな団体の加入の申し込みがございまして、私の手元にきておりますだけでも、約二百四、五十の団体の加入申し込みがございます。ことばはあるいは穏当ではないかもしれませんが、ピンからキリまでいろいろな団体がございますが、その中で特におもなものを申し上げてみますと、農協の信連の協会、それから産業共済の協会、それから中央畜産会といったようなものがおもなものであろうかと思います。
  48. 坂村吉正

    ○坂村委員 そういう団体を加入させるかさせないかという基準はどういうぐあいに考えたらいいのか。この問題は、この前の国会のときの附帯決議にもあるわけでございますので、いままで検討された経過をひとつ簡単でいいですから御報告をいただきたいと思います。
  49. 和田正明

    和田(正)政府委員 これは実は数年前からの問題でございまして、何か明確な基準を設定いたしませんと、ピンからキリまでの団体を選別いたすことがたいへん困難でございますと同時に、厚生年金制度あるいは国民年金制度からはずれてくるという問題もございますので、それらとの調整というような問題もありまして、非常に困難な問題であるわけでございますが、過去におきましても、何らかの基準をこしらえて選別をすることにつきまして、いろいろな案を考えてみたのでございますが、いずれの案も一長一短がございまして、必ずしも明白な基準たり得ないものでございますから、現在もなおいろいろとくふうをして検討いたしておるという実情でございます。
  50. 坂村吉正

    ○坂村委員 実は私も、この問題は、自民党の中で小委員会をつくりまして、長いこと研究を続けてまいったのでございます。去年でございますが、研究したのでございますが、どういうものをどういうぐあいの基準で入れたらいいかというところは、どうもなかなか結論まで出ていないのが実情でございます。しかし、現状のままでほうっておく、こういうわけにもまいらぬじゃないか。入れられるものはなるべく入れてやったらいいじゃないか、こういう感じがするのでありますが、この問題は、当委員会等においても十分ひとつ今後も審議の対象にしていただいて、そうして何とか救えるものは救って加入の道を開いてやる、こういう親心をもって、この問題については今後審議を進めてまいりたい、こういう感じがするのでございますから、この点一応私の考え方を申し上げまして、この問題は留保をいたしておきたいと思うのでございます。政府側におきましても、十分ひとつ至急に御研究いただきたいというふうに考えておる次第でございます。  全体として一応一あたり、いままでの団体側の御要望、それからいままでの問題というような点について、ごく荒っぽく触れたのでございますが、まだまだ改正内容については、もっと突っ込んだ審議をしなければならぬ問題が一ぱいあるわけでございます。したがいまして、時間もあまりありませんから本日はこの程度でとどめておきますが、今後突っ込んだ審議を進めてまいりまする過程で、またあらためて突っ込んだ御質問をひとついたしたいというふうに考えておりますので、質問を留保いたしまして、本日の質疑はこれでもって終わりたいと思います。
  51. 中川俊思

  52. 湯山勇

    湯山委員 ただいま坂村委員から、政府の今回出された農林年金法の要点についてお尋ねがございましたが、私もまたいろいろお尋ねしたいこともあるのですけれども、趣旨から申しますと、この改正は、決して今回突如として出たものではなくて、昨年の五月一日からの改正、三十九年の改正、三十三年の成立、ずっと継続しておる問題だと思います。特にそういう長い経験が今回集約してここに持ち出されたものであって、政府が当初お考えになったことも、私どもが法案として出しているものも、それから今度政府で出されたものも、団体が要望しておるものも、よく検討してみますと、それぞれ相通ずるものがございます。したがって、そういう観点から一応整理する必要があると思います。ここでこの問題に一応ピリオドを打つという使命をいまも負わされたわけでありますから、そういう点からいえば、整理をする必要があるかと思います。  そこで、政府のお出しになった案と、それから私どものほうで出している案との相違、あるいは一致している点、これを時間が短くて恐縮でございますけれども、よくわかるように、ひとつ十分くらいで御説明をいただきたいと思います。
  53. 和田正明

    和田(正)政府委員 社会党で御提案になりましたものと政府提案をいたしましたものとの違う点を申し上げれば、あとの点は、表現その他は違うにしても、同じであると思いますので、違う点を簡単に申し上げますが、大体八つぐらいあると思います。  順序がかってで恐縮でございますが、一つは、国庫補助率でございます。政府の原案は御承知のように、この法律を施行いたします日を十月一日と予定いたしまして、その日から国庫補助率を一六%に上げることにいたしておりますが、社会党の御提案では、国庫補助率が二〇%ということになっております。  それから第二に、完全通算の関係でございますが、政府提案は、先ほども申しましたように、給付率は旧法期間について三三・三と現状のままでございますが、社会党の御提案では、その給付率は、新法並みに旧法期間も四〇%にするようになっております。  それから第三は、既裁定年金に関する部分でございますが、これも社会党の御提案では、新法並みに計算をいたすことになっております関係で、先ほどもちょっと触れました給付率が四〇%になるわけでございますが、政府の原案では、給付率は三三・三のままでございます。  それから既裁定者最低保障額につきましては、社会党の御提案では、新法をそのまま既裁定の年金者にも最低保障をいたしますほかに、現在の最低保障額をそれぞれ、退職年金は八万四千円でございますのを九万六千円に、遺族年金は六万七千二百円でございますのを七万六千八百円に、障害年金は一級、二級、三級で数字が違いますので、数字を申し上げることは省略いたしますが、いずれも現行制度よりもさらに引き上げることを御提案になっておられますが、政府案では、新法期間については手を触れませんほかに、既裁定者につきましては、先ほども坂村委員の御質問にお答えをいたしましたように、退職年金障害年金については六万円、遺族年金については三万円という、二十年の組合員期間を持ちます者についてのみ既裁定年金額の最低保障をいたしておる点が違う点でございます。  それからその次の違いは、社会党の御提案には、退職年金の在職支給制度がございまして、農業法人等におきましては、六十五歳でございましたかの年齢になりますと、在職のままで退職年金支給できるような仕組みになっておりますが、その分は政府の原案には提案をいたしておらないわけでございます。  それから掛け金の負担区分を、雇用主である団体と雇われております組合員との間で、現在、制度上は五十対五十ということで、半々の負担にいたしておるのでございますが、社会党の御提案では、ここのところを雇い主である団体側が五十五、職員である組合員が四十五ということで、負担の比率を差をつけるようにしておられるわけでございますが、政府の原案におきましては、五十対五十という現在の制度そのままの負担区分にいたしておるのでございます。  それから社会党の御提案では、現在法律で制限列挙になっております団体のほかに、民法上の法人につきまして、一定条件のもとに政令で指定をいたしました団体は、その共済組合に加入ができるような仕組みになるような規定が織り込まれておるのでございますが、政府の原案では、先ほども坂村委員の御質問の際にお答えを申し上げましたように、どのような基準でその民法法人の加入をはかるべきかについて、なお最終の結論を私どもとしては得ておりませんので、その分は政府の原案にはないのでございます。  最後にスライド制の原則につきましては、政府原案は、先ほどもお話があり、両方分かれた法案になっておるから、政府としては両法案が同時に通過するように努力をするようにという御趣旨のお話があったのでございますが、社会党の御提案では、スライド制の原則がこの農林年金法の改正案の中に含まれておるほかに、スライドの基準を数字的に一応明確にしておられるという点が、政府案と違うところであろうと思います。  その他の部分は、大体先ほど坂村委員からお尋ねがございまして、盛り込んである旨を私からお答えを申し上げました部分は、社会党の御提案にもそのまま入っておるので、大体いま申し上げました点を除けば、ほぼ政府案と同様のものではないかというふうに承知をいたしておる次第でございます。
  54. 湯山勇

    湯山委員 それではこれで終わります。
  55. 中川俊思

    中川委員長 次会は明七日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時五十二分散会