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1966-04-06 第51回国会 衆議院 農林水産委員会 第23号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十一年四月六日(水曜日) 午前十時四十五分
開議
出席委員
委員長
中川
俊思君
理事
大石 武一君
理事
倉成 正君
理事
舘林三喜男
君
理事
本名 武君
理事
赤路
友藏
君
理事
東海林 稔君
理事
芳賀 貢君 伊東 隆治君 池田 清志君 宇野
宗佑
君 金子 岩三君 坂村
吉正
君
笹山茂太郎
君 白浜 仁吉君 田邉 國男君 高見 三郎君 綱島 正興君
中川
一郎君 丹羽 兵助君 野原 正勝君 野呂 恭一君
長谷川四郎
君 藤田 義光君
森田重次郎
君 卜部 政巳君 兒玉 末男君 千葉 七郎君 西宮 弘君 松浦 定義君
湯山
勇君 中村 時雄君
出席政府委員
農林政務次官
仮谷
忠男君
農林事務官
(
農政局長
)
和田
正明君
農林事務官
(
農地局長
)
大和田啓気
君
農林事務官
(
園芸局長
) 小林 誠一君
林野庁長官
田中 重五君
委員外
の
出席者
議 員
湯山
勇君 専 門 員
松任谷健太郎
君 ————————————— 本日の
会議
に付した案件
入会林野等
に係る
権利関係
の
近代化
の
助長
に関 する
法律案
(
内閣提出
第一一一号)
果樹農業振興特別措置法
の一部を
改正
する
法律
案(
内閣提出
第一二八号)
農地管理事業団法案
(
内閣提出
第三六号)
農林漁業団体職員共済組合法等
の一部を
改正
す る
法律案
(
内閣提出
第一三八号)
農林漁業団体職員共済組合法
の一部を
改正
する
法律案
(
湯山勇
君外十三名
提出
、
衆法
第一二 号) ————◇—————
中川俊思
1
○
中川委員長
これより
会議
を開きます。
入会林野等
に係る
権利関係
の
近代化
の
助長
に関する
法律案
、
果樹農業振興特別措置法
の一部を
改正
する
法律案
、
農地管理事業団法案
、
農林漁業団体職員共済組合法等
の一部を
改正
する
法律案
の各案を
一括議題
として、
趣旨
の
説明
を聴取いたします。
中川俊思
2
○
中川委員長
仮谷政務次官
。
仮谷忠男
3
○
仮谷政府委員
入会林野等
に係る
権利関係
の
近代化
の助長に関する
法律案
につきまして、その
提案
の
理由
及びおもな
内容
を御説明申し上げます。
わが国
の農山村におきましては、古くから
入り会い林野等
の
利用
が行なわれてきたのでありますが、今日なおその面積は二百万ヘクタールをこえ、全国の
民有林野面積
の一三%に及んでいるのであります。 これらの
林野
の
利用状況
は、一般に粗放であり、
農林業経営
の発展及び
農山村民
の所得の向上に十分寄与しているとは言いがたい現状でありまして、これによる
国民経済
上の損失も少なくないと思われるのであります。
入り会い林野等
の
利用
が低位にとどまり、その開発がおくれている原因は、いろいろあると思われるのでありますが、その最も基本的なものは、これらの
林野
に
入り会い権等
の
権利
が存在していることであります。 これらの
権利
に基づく
利用
は、今日に至りましても依然として旧来の慣習に制約されておりますため、時代の新たな要請に応じて
利用
の
高度化
をはかろうといたしましても、容易にその転換ができないのであります。 したがって、
入り会い林野等
についてその
利用
を増進し、
農林業経営
の健全な発展に役立たせるため、このような
権利関係
を
近代化
すること、すなわち、
入り会い権等
の旧慣による
権利
を消滅させ、これらを
所有権
、
地上権等
の近代的な
権利
に切りかえることが強く要請されるに至っているのであります。 しかしながら、現状におきましては、このような
権利関係
の
近代化
をはかりますためには、かなり煩瑣な
手続
や、多額の
経費負担
を必要とし、
農山村民
が独力でこれを実行することはきわめて困難でありまして、そのことが、これまでに
権利関係
の
近代化
を進める上の大きな障害となっていたのであります。したがいまして、
入り会い林野等
の
農林業
上の
利用
の増進をはかってまいりますためには、このような障害を排除いたしまして、
農山村民
が自主的かつ円満に
近代化
を実現し得るよう助長する
措置
を講ずることが緊急に必要であると考えるものであります。 以上のような
理由
からいたしまして、この
法律案
におきましては、
入り会い林野等
の
権利関係
の
近代化
を行なうに必要な
手続
を定めますとともに、関連する
登記手続
の
簡素化
、租税の減免、経費の
補助等各種
の
援助措置
を定めたのであります。 以上がこの
法律案
を提出する
理由
でありますが、次に、
法律案
のおもな
内容
について御説明申し上げます。 第一は、
入り会い林野
における
権利関係
の
近代化
、すなわち、
入り会い林野整備
の
実施手続等
に関する
規定
であります。
入り会い林野整備
を行なうにあたりましては、まず
入り会い権者全員
の合意によってその
整備計画
を定め、その
計画
について
土地所有者
その他の
関係権利者
の同意を得る等の
手続
を経た上で、
都道府県知事
の認可を受けることとしております。 次に、
都道府県知事
がこの
計画
について認可をした場合には、その旨を公告することとし、その公告があったときは、
入り会い権
及びその他の
権利
が消滅し、
入り会い権者
が
所有権
、
地上権等
の
権利
を
取得
することとしております。
入り会い権者
が
取得
した
権利
の
登記
につきましては、
都道府県知事
が一括して
登記
を嘱託することといたしております。またこの場合、
入り会い権消滅
後の土地の
効率的利用
をはかるため、協業化の方向を助長する趣旨から、
入り会い権者
が
生産森林組合等
に
権利
の出資を行なう場合の
登記
につきましても、
都道府県知事
がこれを嘱託することといたしております。 第二は、
市町村
及び財産区の所有する
林野
で旧慣の存しておりますもの、すなわち、
旧慣使用林野
の
整備
の
実施手続
に関する
規定
であります。この場合におきましては、
農業
または
林業構造改善事業等
の効率的な実施を促進するために必要な場合に行なうことができるものといたしております。また、この
整備計画
の作成については、
市町村長
が、あらかじめ
旧慣使用権者
の意見を聞き、
市町村
の
議会等
の議決を経ることといたしております。 なお、
旧慣使用林野整備計画
の認可の公告による
権利変動
、及びその後の
登記等
については
入り会い林野整備
の場合に準ずることといたしております。 第三は、
入り会い林野整備等
が円滑に行なわれるように
援助措置
についての
規定
を設けております。 まず、
登記手続
につきましては、政令で
不動産登記法
の特例を定めることができることとしてその
簡素化
をはかるほか、税制上の特例といたしましては、
入り会い林野整備等
により
権利
を
取得
した者の経済的な利益については、課税しないものとするほか、
不動産取得税
及び
登録税
の
減免措置
を講ずることといたしております。 以上がこの
法律案
の
提案
の
理由
及びおもな
内容
であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださるようお願い申し上げます。 次に、
果樹農業振興特別措置法
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、その
提案理由
を御説明申し上げます。 近年の
果実
の
生産
は、
国民生活
の
高度化
による需要の増大と
農業者
の
生産意欲
にささえられて、一応順調な伸びを示してまいっております。 しかしながら、最近のような
果樹
の植栽の動向が今後も続くならば、種類によっては、将来
需給関係
に問題を生ずるものも出てくることが懸念されるに至っております。 しかも
果樹
は、永年
性作物
であり、短
期間
に
果実
の
生産
を調整することは困難であるという問題があり、
長期的観点
に立った適切な
措置
をとることが必要と考えられます。 また、近年
農業労働力
の
流出等
により
果実
の
生産費
は
上昇傾向
にあり、
他方わが国
の
果実
及び
果実製品
は、国内のみならず海外においても外国の
果実
及び
果実製品
との競争に直面しており、
果樹農業
の
近代化
のための対策の強化が要請されるに至っております。 以上のような状況の中で、現行の
果樹農業振興特別措置法
による
果樹園経営計画
の
認定請求期間
が
昭和
四十一年三月三十一日に切れることになっておりますので、この際、この
制度
の延長のための
措置
のほか、新たに
果実
の需要の
長期的動向
に即応した
果樹
の
植栽及び果実
の
生産
の
計画
的かつ安定的な
拡大
と
果実
の
生産
、流通及び
加工
の
合理化
をはかるための
措置
を積極的に推進することとし、ここにこの
法律案
を提出することとした次第であります。 以下この
法律案
のおもな
内容
について御説明申し上げます。 第一は、
果樹農業振興基本方針
に関する
規定
を設けたことであります。すなわち、
農林大臣
は、主要な種類の
果樹
につき、
果実
の需要の
長期見通し
に即した
植栽及び果実
の
生産
の目標、
果樹園経営
の
近代化
、
果実
の流通及び
加工
の
合理化等
に関する
基本方針
を定めることといたしました。 第二は、
都道府県
の
果樹農業振興計画
に関する
規定
を設けたことであります。すなわち、
都道府県知事
は、国の
基本方針
に即して、
果樹
の
植栽及びその果実
の
生産
の目標、近代的な
果樹園経営
の指標、
生産基盤
の
整備
、
果実
の流通及び
加工
の
合理化等
に関する
計画
を定めることができるものとし、この
計画
においては必要な
果樹
についての広域の
濃密生産団地
の形成に関する方針を明らかにするものとしております。 第三は、現行の
果樹園経営計画
の認定の
請求期間
を
昭和
五十一年三月二十一日まで延長いたしますとともに、その
計画
に基づく
未墾地
等の
取得資金
についての
農林漁業金融公庫
の
貸し付け金
の
据え置き期間
について、現行の三年以内を十年以内に改めることとしております。 第四は、
加工原料用果実
の流通の
合理化
をはかるため、
農協等
と
果実加工業者
のそれぞれが共同して
加工原料用果実
の売買に関する取りきめを締結することができるものとし、その取りきめ及びこれに基づいてする行為には、
独占禁止法
の
規定
は適用しないものとしたことであります。 このほか、
果樹農業振興
のための施策について所要の
規定
の
整備
を行なうこととしております。 以上がこの
法律案
の
提案理由
とおもな
内容
であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。 次に、
農地管理事業団法案
につきまして、その
提案
の
理由
及びおもな
内容
を御説明申し上げます。
農業生産
を維持増大して
国民食糧
の安定的な供給を確保するとともに、
農業
と他産業との間における所得及び
生活水準
の格差の是正をはかることが農政の基本であると考えます。そのためには、零細な
兼業農家
を含め
農家
全体を対象として
農業生産
を振興し、その所得を高めることに努力いたすことはもとよりでありますが、最近における
農業
の動向から見ますと、
農業
に専念し、
農業所得
によって生活することができる
農家
を相当数育成することがきわめて重要であろうと存じます。このような
自立経営農家
及びこれに準ずる
協業経営
が健全に育成されるためには、
農業
に専念する
農家
が漸進的に
経営規模
を
拡大
し、
生産性
の高い
農業経営
の基礎を確立することのできる条件がつくられることが必要であります。 最近における
農家戸数
の推移を見ますと、
昭和
三十五年から四十年までの間に
年平均
約八万戸の減少を示しました。この間都府県で一・五ヘクタール以上の
農家
が多少増加しておりますが、
経営規模
の
拡大
の傾向は必ずしも顕著とはいえない状況にあります。また、
農地
についての
権利移動
を見ますと、
自作地
の
売買等
による
有償移動
の面積は、年々増加し、
昭和
三十九年には約七万五千ヘクタールとなっておりますが、その
内容
においては、
自立経営
を目ざす
農家
の
経営規模
の
拡大
の方向に沿って行なわれているとは必ずしも言いがたいのであります。 そこで、年々移動している七、八万ヘクタールの
農地
に着目し、地域の実情に応じ無理なく
経営規模
の
拡大
に資するよう方向づけることにより、
農業
によって自立しようとする
農家
及びこれに準ずる
協業経営
の
規模拡大
を促進することを目途として
農地管理事業団
を設立し、
農地
及び
未墾地
の
取得
についての
あっせん
及び融資、
農地
の売買その他
農地移動
の
円滑化
に必要な
業務
を行なわせるため、この
法律案
を提出したのであります。 政府は、第四十八回
通常国会
に
農地管理事業団法案
を提出し、衆議院(しゅうぎいん)を通過し、参議院において
審議未了
となっております。今回、その際の
審議経過等
を勘案し、
農地管理事業団
の
業務
の範囲に
未墾地
の
取得
についての
あっせん
及び融資を加えるとともに、
事業団
の
業務
は、今後
事業
の
実施状況
を見、
市町村
の希望により農村らしい農村のすべてにおいて実施することを目途として、初年度四百
市町村
において行なうものとし、また
農家
に直接接触する事務は
市町村
及び
系統農協
に委託して処理することとする等構想を改め、所要の予算を計上するとともに、この
法律案
を提出した次第であります。 以上がこの
法律案
を提出する
理由
でありますが、以下
法律案
のおもな
内容
について御説明申し上げます。 第一に、
農地管理事業団
の目的は、
農地等
にかかる
権利
の
取得
が
農業経営
の規模の
拡大
、
農地
の
集団化
その他
農地保有
の
合理化
に資するよう適正円滑に行なわれることを促進するため、これに必要な
業務
を行なうことにより、
農業構造
の
改善
に寄与することと
規定
しております。 第二に、
農地管理事業団
の
資本金
は一億円とし、政府はその全額を出資し、必要に応じ
追加出資
をすることができることといたしますほか、役員の定数、任免その他
事業団
の組織につき所要の
規定
を設けております。 第三は、
事業団
の
業務
に関する
規定
であります。 まず、
事業団
の
業務
の範囲といたしましては、
農地
、
採草放牧地
、
未墾地
またはこれらの
付帯施設
についての売買または交換の
あっせん
及びその
取得
に必要な資金の
貸し付け
と、
農地
、
採草放牧地
またはこれらにかかる
付帯施設
についての
買い入れ
、交換及び
売り渡し
、借り受け及び
貸し付け
並びに信託の引き受けを行なうこととしております。 次に、
事業団
は、
農林大臣
の指定する
業務実施地域
内にある
農地等
について
業務
を行なうものとしております。との指定は、
都道府県知事
が
関係市町村
と協議し、
都道府県農業会議
の意見を聞いて申し出た場合に、土地の
農業
上の
利用
の
高度化
をはかることが相当と認められる
農業地域
で、
農業構造
の
改善
をはかるため
農地等
の
権利取得
を適正円滑にすることが特に必要な地域について行なうこととしております。 さらに、
事業団
の
業務執行
の方針といたしましては、
自立経営
になることを目標として
農業経営
を
改善
しようとする
農家
及びこれに準ずる
農業生産法人
の
農地等
の
取得
または借り受けを促進するように、その
業務
を行なわなければならないものとしております。 また、
事業団
の
貸し付け金
及び
売り渡し対価
の
償還条件
は、年利三分、
償還期間
三十年以内の
元利均等年賦償還
とするほか、一定の場合における一時償還及び償還の猶予、
売り渡し
た
農地等
の買い戻し、
農地等
の信託に係る
信託法
の特例、
地方公共団体
及び
信用農協連合会等
に対する
業務
の委託について
規定
いたしております。 第四は、
事業団
の財務及び会計につきまして、予算、
事業計画等
についての
農林大臣
の認可、
借り入れ金
、
交付金
の
交付等
の
規定
を設け、また
事業団
は
農林大臣
が監督することとし、
監督命令
その他の
規定
を置いております。 以上のほか、
事業団
は、
業務実施地域
内の
農地
または
採草放牧地
の
所有者
がその
農地等
の
所有権
を移転し、または
賃借権等
を設定しようとするときは、あらかじめ通知を受け、必要と認めるときは
あっせん
、
買い入れ等
の申し出をすることとしております。 また、
農地法
の適用につきまして、
事業団
による
農地等
の
買い入れ
、
売り渡し
及び借り受け、
貸し付け
については許可を要しないこととし、また、
事業団
が
農地等
を借り受け、これを
貸し付け
た場合は、
小作地
の
所有制限
は適用せず、
更新拒否等
についての許可を不要とする等の特例を設けることといたしております。 さらに、税制上の特例といたしましては、
事業団
の
あっせん融資等
によって土地を
取得
した者に対して
不動産取得税
を軽減することとしております。 また、別途
租税特別措置法
の一部
改正
によりまして、
事業団
の
あっせん等
により土地を譲り渡した者について
譲渡所得
に対する
所得税
を軽減し、また
不動産取得税
の場合と同様に土地を
取得
した者について
登録税
を軽減することとしております。 以上がこの
法律案
の
提案
の
理由
及びおもな
内容
であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださるようお願いいたします。 次に、
農林漁業団体職員共済組合法等
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、その
提案理由
及び
内容
の概要を御説明申し上げます。
農林漁業団体職員共済組合法
は、
農林漁業団体
の
役職員
の
経済的保証
を
制度
的に確立するため、
昭和
三十三年四月に制定されたものであります。 その後、
昭和
三十九年には、他の
共済組合制度
の
給付内容
の
引き上げ
に見合う
給付内容
の
改善
を実現し、さらに
昭和
四十年には
退職年金等
の
最低保障額
を大幅に
引き上げ
てまいったことは御承知のとおりであります。 しかしながら、本
制度
による
給付
の
内容
を
国家公務員共済
、
地方公務員共済等他
の
共済組合制度
の
給付内容
と比較いたしますと、なお
昭和
三十九年における
法改正
前の
組合員期間
の
取り扱い等
において多少の格差が認められるのでありまして、これらの点につきましてはかねてから慎重に検討してまいったところでありますが、今般、これらにつき他の
共済組合制度
による
給付内容
に準じて
改善
いたしますとともに、本
共済組合
の
給付
に要する費用についての国の
補助率
を
引き上げ
、あわせてこの
制度
の円滑な運営をはかるため所要の
規定
の
整備
を行なうことにより、本
共済組合制度設立
の目的の実現に遺憾なきを期せんとするものであります。 次に、この
法律案
による
制度改正
の
内容
の概要について御説明申し上げます。
改正
の第一点は、
昭和
三十九年の
本法改正
前の
組合員期間
にかかる
給付額算定
の基礎となる
平均標準給与
につきまして、その算定の
基礎期間
が従来五年でありましたのを三年に改め、これにより
平均標準給与
の額を
引き上げ
ることとするとともに、
旧法組合員期間
の
平均標準給与
の月額についての五万二千円という
最高限度額
を廃止することとすることであります。
改正
の第二点は、すでに
年金受給権者
となっている者、いわゆる
既裁定者
に支給しております
年金
につきましても、
昭和
四十一年十月分以後、
改正
の第一点についてと同様な
算定方法
の
改善
を適用してその額を
引き上げ
ることとするとともに、
厚生年金
の被
保険者
であった
期間
について
年金額
の減額を受けている者についてはその減額を行なわないこととするよう改めることであります。 また、これらいわゆる
既裁定者
のうち
組合員期間
二十年以上の
長期在職者
の
年金額
であって特に低額のものについては
一定額
まで
引き上げ
を行なうこととすることとしております。
改正
の第三点は、
退職年金
の
受給権
を有する者であっても、五十五歳に達するまでは
年金
の支給を停止することとなっておりますが、希望する者には
退職年金
にかえて、新たに
減額退職年金
を支給できることとすることであります。
改正
の第四点は、
標準給与
の月額の改定であります。現行の
標準給与
の等級及び月額を定めた表は、
昭和
三十九年に
改正
したものでありますが、現在の
農林漁業団体
の
役職員
の
給与
の実態を勘案し、その
最低額
を六千円から八千円に
引き上げ
、
標準給与
と現実の
給与
との乖離の是正をはかったものであります。
改正
の第五点は、
農林漁業団体職員共済組合
が
年金
及び一時金を支給するために要する費用に対する
国庫補助
の率を百分の十五から百分の十六に
引き上げ
ることとしたことであります。 以上の諸点のほか、
業務
の一部の委託に関する
規定
、監事の権限の
拡大
に関する
規定等
につきましても所要の
整備
をはかっております。 最後に、この
法律
の
施行期日
は、
準備期間等
を考慮して、
昭和
四十一年十月一日からとしております。 以上がこの
法律案
の
提案理由
とおもな
内容
であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
中川俊思
4
○
中川委員長
この際、
農林漁業団体職員共済組合法等
の一部を
改正
する
法律案
について、
補足説明
を聴取いたします。
和田農政局長
。
和田正明
5
○
和田
(正)
政府委員
農林漁業団体職員共済組合法等
の一部を
改正
する
法律案
の
提案理由
の
補足説明
を申し上げます。 この
法律案
は、
給付
の
内容
を
国家公務員共済組合
、
地方公務員共済組合等
の他の
共済組合制度
に準じて
改善
するとともに、
組合
が
給付
を行なうに要する
費用
についての国の
補助率
を
引き上げ
、あわせてこの
制度
の円滑な
運営
をはかるための
規定
の
整備
を行なうことを
内容
とするものであります。 初めに、
給付内容
の
改善
に関する点につきまして御
説明
申し上げます。 まず第一条中の第三十七条の二におきまして、
減額退職年金
を新設することといたしております。この
年金
は、
退職年金
の
受給権
を満たしていても五十五歳に達するまでは
支給
を停止されることとなっている
現行制度
と関連するものでありまして、五十五歳未満でありましても特に希望する者につきましては、
退職年金
の額を
一定率
で割り引きした
年金
を
支給
することができるようにするものであります。
割引率
は退職した年齢と五十五歳との差一年につき四%でありますが、この率は
国家公務員共済組合制度等他
の
共済制度
ですでに
減額退職年金制度
を設けているものにおける
割引率
と同率としております。 次に、第二条中の
附則
第四条第四号の
改正
におきまして、三十九年九月三十日以前の
組合員期間
、いわゆる
旧法組合員期間
にかかる
平均標準給与
の
年額
の
計算方法
を改めることとしております。
平均標準給与
の
年額
は、三十九年の
法改正
前の
組合員期間
、いわゆる
旧法組合員期間
につきましては、従来、
給付事由発生時点
からさかのぼり五年間の
平均
となっておりましたが、今回、三十九年
改正
後の
本法
における
計算方法
、すなわち
給付事由発生時点
からさかのぼり三年間の
平均
とすることとし、
平均標準給与
の
年額
の
引き上げ
をはかることとしております。 また、
旧法組合員期間
にかかる
平均標準給与
につきましては、当時の
標準給与表
との関連で、
最高額
を五万二千円で押えることとされておりましたが、これを廃止して三十九年
法改正
後と同様の
取り扱い
とすることとしております。
平均標準給与
は、これに
一定
の
給付率
を乗じて
給付額
を
算定
する
基礎
となるものでありますから、これらの
措置
によって
旧法組合員期間
にかかる
給付額
が増額されることとなるわけであります。 次に第二条中の
附則
第五条の二及び
附則
中の第五条におきまして、これは九ページ以下でありますが、すでに
年金受給権者
となっている者の
退職年金
、
障害年金
または
遺族年金
の額を、四十一年十月分以後、
引き上げ
ることとしております。二カ条に分かれておりますのは、前のほうは三十九年
法改正
前の
既裁定年金
にかかるものであり、あとのほうは三十九年
法改正
後の
既裁定年金
にかかるものであります。
引き上げ
の
内容
は、第一に、
旧法組合員期間
にかかる
平均標準給与
の
年額
をただいま第四条第四号について申し上げましたと同様に、五
年平均
から三
年平均
に改めるとともに、五万二千円の
最高制限
を廃止すること、第二に、
厚生年金保険
の被
保険者
であった
期間
にかかる
年金額
の
減額
を受けていた者についてはこれを廃止すること、第三に、
組合員期間
が二十年以上であった者につきましては、以上の
方法
によりその額を改定した後に、なお
退職年金
、
障害年金
にあっては六万円、
遺族年金
にあっては三万円に達しない場合におきましては、それぞれその額を六万円または三万円まで
引き上げ
ることとしております。 以上が
給付内容
の
改善
に関する
改正点
のおもな
内容
であります。 次に、
国庫補助率
の
引き上げ
に関する
改正
について申し上げます。 第一条中の第六十二条でございますが、従来、
組合
が毎
年度給付
を行なうのに要する
費用
のうち一五%を国が補助することといたしておりましたが、本
改正
法によりましてこれを一%
引き上げ
て一六%を補助することとするものであります。これによりまして、今回の
給付内容
の
改善
に伴って必要となる財源増が相殺され、
農林漁業団体
及び
組合
員の掛け金負担を増加することは回避できることとなります。 次に、その他の
改正点
につきまして御
説明
申し上げます。 その一は、第一条中の第十条の
改正
でございます。これは
組合
の監事が、監査の結果に基づいて、
理事
長または
農林大臣
に
意見
を
提出
することができる旨の
規定
を新設するものでありまして、他の各特殊法人と軌を一にする
規定
を設けるものであります。 その二は、第一条中の第二十条の
標準給与表
の
改正
であります。これにより
標準給与
の
月額
の最低を従来の六千円から八千円に
引き上げ
ることとするものであります。 その三は、第一条中第五十三条の二の新設及び第七十条以下の
改正
でありますが、これは
組合
の
業務
のうち福祉
事業
及び余裕金運用としての
農林漁業団体
への
貸し付け
にかかる
事業
を、
農業
協同
組合
連合会その他の
一定
の者に
委託
することができることとするとともに、受託する法人がそれぞれの根拠
法律
において他からの
業務
の受託能力につき制限を加えられている場合において、それらの根拠
法律
の
規定
にかかわらず
組合
の
業務
を受託し得ることとすること、及びこれに関連する監督、罰則の
規定
の
整備
であります。これにより、
農林漁業団体職員共済組合
が、より円滑に福祉
事業
等の
業務
を行ない得るようにするものであります。 最後に、この
法律
の施行日は、
準備期間等
を考慮いたしまして、
昭和
四十一年十月一日といたしております。 以上がこの
法律案
の主要な
内容
であります。
中川俊思
6
○
中川委員長
午後一時再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午前十一時十五分休憩 ————◇————— 午後一時四十三分
開議
中川俊思
7
○
中川委員長
休憩前に引き続いて
会議
を開きます。
湯山勇
君外十三名
提出
、
農林漁業団体職員共済組合法
の一部を
改正
する
法律案
及び
内閣提出
、
農林漁業団体職員共済組合法等
の一部を
改正
する
法律案
の両案を
一括議題
として、質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを
許可
いたします。坂村
吉正
君。
坂村吉正
8
○坂村委員 ただいま議題となっております
農林漁業団体職員共済組合法等
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、私は、自民党を代表いたしまして質疑を行ないたいと思います。社会党
提案
の
法律案
もございますし、
政府
提案
の
法律案
もあるわけでございますが、一緒にいたしまして、主として
政府
当局に対しまして、私は質疑を行ないたいと思います。 実はこの法案は、いままで非常に時間がかかりまして、非常に難産をしたのじゃないかというふうな感じがいたしておるのでございます。しかし、ようやく
政府
もここまで踏み切って
法律案
を
提案
した、こういうことは、待望いたしております
農林漁業団体
職員にとりましては、非常にありがたく思っているのじゃないかということを感ずるのでございます。 ただ、この
改正
案の
内容
につきましては、いろいろ問題があろうと思います。この前の
昭和
三十九年の国会におけるこの
法律
の
改正
に際しまして、あの当時の
改正
といたしましては、非常に不十分だった。不十分であるけれども、その当時の情勢としてやむを得ないので、国会におきましても、また
農林漁業団体
の職員の諸君も、まあまあこういう情勢ではということで、がまんをしておったのだというような感じが私はするのでございます。その当時の
審議
の過程を見ましても、最後の採決のときには、御承知のように、衆参両院とも数項目にわたるところの附帯決議を実はつけておる。そういう実態を見ましても、私は、いかにこの前の
改正
では満足する状態にはなかったかということが言えるのじゃないかと思うのでございます。その後、いろいろ情勢も進みまして、
農林漁業団体
といたしましても、具体的な要望をひっさげて、
政府
に対しましてもあるいは国会に対しましても、非常に熱心な強い要望をいたしておりました。それらの問題が今度の
法律
改正
案においてどういうぐあいに解決されたか、こういう問題を明らかにしておくことが非常に大事なことじゃないかと思うのでございまして、あまり時間もないようでございますから、いままで団体の間でもそれから農林関係者の間でも、国会におきましても問題として残されておった問題、そういう問題を中心にいたしまして、今度の
改正
案でどう解決されるか、こういう点を明らかにするような
方向
で、ひとつ質疑を進めたいというふうに考えておる次第でございます。 策一番目に、
農業
団体の要望といたしましては、第一に、
年金
のスライド制をひとつはっきりしてほしい、こういう問題がございました。それから第二の問題といたしましては、いわゆる新旧通算ということでいわれておりますが、新法の
給付
を
旧法組合員期間
にも適用してもらいたい、こういう問題でございます。第三番目といたしましては、
既裁定年金
を
引き上げ
てもらいたい、こういう問題でございます。第四といたしましては、
減額退職年金制度
をやってくれという問題であろうと思います。それから第五が、
給付
に要する
費用
の
国庫補助率
を、現在一五%なんだけれども、これを二〇%に
引き上げ
てもらいたい、こういう要望でございます。それから第六には、対象団体の
範囲
を
拡大
してもらいたい、こういう大体六つの要望を中心にして強い運動を進めておったと思うのでございます。それから、この前の三十九年の
改正
のときの国会におきます附帯決議も、大体いま申し上げましたような要望とほとんど同じような問題点が掲げられておるのでございます。そういう
状況
でございますので、いま申し上げました点を大体中心にいたしまして、お伺いをしていきたいと思います。 その前に、一応
基本
的な考え方として、農林
年金
制度
を今度
改正
しよう、こういうことを考えたその
内容
は、いろいろ
年金
制度
もございます。たとえば国家公務員の
年金
であるとか、あるいは地方公務員の
年金
であるとか、公共企業体の
年金
であるとか、あるいは私学共済、
厚生年金
、いろいろの
年金
制度
があるわけでございますが、大体どういうところを
目標
にしていまの
年金
制度
を
改正
しよう、こういうぐあいに考えたのか、その点、ひとつ
基本
的な考え方をお伺いいたしたいと思っておる次第でございます。
和田正明
9
○
和田
(正)
政府委員
ただいまお尋ねの第一点として、今回の
政府
改正
案を作成するにあたって、他の同種の
制度
のどの辺とのバランスを主として考えたかというお尋ねでございますが、御承知のように、農林
年金
が
厚生年金
から離れましたのが、たしか
昭和
三十三年であったと思いますが、その後に何度かの
改正
がありまして、最終的には
昭和
三十九年の
改正
で今日に至っておるのでございます。
厚生年金
から離れましたいきさつその他から考えましても、これを
厚生年金
と比較をするということは適当ではないと考えておりまして、
提案理由
なり
補足説明
などでも申し上げましたように、主として
国家公務員共済組合
等のいわゆる
共済組合制度
に準じて
改正
をするということで検討をいたしてまいりまして、その中心になりますものは、何と申しましても、国家公務員の
共済組合
の
制度
でございますので、主としてそれとのバランスを確保するということを中心にして検討して、御
提案
申し上げた次第でございます。
坂村吉正
10
○坂村委員 主として
国家公務員共済組合
法とのバランスを考えながら
改正
案をつくった、こういう御答弁でございまして、これはこの
年金
制度
の性格から、私も当然なことじゃないかというふうに考えておるわけでございます。特に
農林漁業団体
におきましては、国家公務員、地方公務員等に比べまして、全体の
給与
が非常に低いし、それから雇い主であるところの
農業
団体も、
地方公共団体
やあるいは国家に比べれば、どちらかといえば、非常に弱体だというふうに言っていいんじゃないかと思うのでございます。しかも
農業
団体の職員というのは、
農政
推進の中核でございますので、それが将来老後の心配もなく安心して働ける、こういう環境に置いてあげることが、
農政
の推進上も非常に大事なことじゃないかというふうに考えておるわけでございます。そういうことでありますから、一応の
目標
として国家公務員の共済にバランスをとる、こういう考え方でお考えをいただいておりますことは、私は了解を申し上げるのでございます。 そういう
基本
的な考え方のもとに、それでは具体的な問題にひとつ入ってまいりたいと思いますが、第一番目に、スライド制をやってもらいたい、こういう要望でございます。この問題は、だんだんと非常に物価も変わってまいりますし、経済情勢もどんどん変わってまいるわけでございますから、その際、毎年毎年もう物価が上がったからということで
法律
改正
をしなければならぬ、こういうような状態では、これは非常にやっかいなことでございます。そういう点をなくする意味で、もう
制度
として、そういう経済情勢に応じた
年金
の
給付
の額なり何なりがスライドする、そういう考え方を
基本
的にとっておったほうがいいんじゃないかと私は思うのでございますが、この
法律案
の中にはその条項がございませんが、この点についてはどういうぐあいに処置をされておるか、お伺いいたします。
和田正明
11
○
和田
(正)
政府委員
スライド制の原則につきましては、先生御承知のように、すでに
厚生年金
法とか、あるいは今回私どもが法案を作成いたしますについて、主としてバランスを考慮いたしました
国家公務員共済組合
法あるいは地方公務員
共済組合
法、国民
年金
法等にも、若干のニュアンスは違うのでございますが、経済事情の変動に対応して
年金額
を改定しなければならないという
趣旨
の
規定
が入っておるわけでございます。そこで、農林
年金
につきましても、同
趣旨
の
規定
が当然必要であるというふうに
政府
としては考えまして、去る二月十八日にすでに国会に
提案
をされ、衆議院(しゅうぎいん)の大蔵委員会に付託をされて、現在御
審議
をいただいております
法律案
——少し
法律案
の名前は長いのでございますが、
昭和
四十年度における旧令による
共済組合
等からの
年金
受給者のための特別
措置
法等の
規定
による
年金
の額の改定に関する
法律
等の一部を
改正
する
法律案
という法案が
提案
になっておりまして、
本法
の
内容
は、旧軍人につきましての戦地勤務の
期間
加算に関することを
内容
とするものが主でございます。ただいま読み上げました
法律案
の
附則
で、農林
年金
法の一条の二というのを入れまして、
厚生年金
法にございますのと同様に、「この
法律
による
年金
たる
給付
の額は、国民の
生活水準
その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情に応ずるため、すみやかに改定の
措置
が講ぜられなければならない。」という
規定
を、
年金
法の一条の二として新規に挿入をいたすことにして、
政府
としては、すでに
提案
をし、国会の御
審議
を仰いでいるわけでございます。そういう事情がございましたので、今回の、いま御
審議
をいただいております法案には、あらためてその
規定
を追加することをいたさなかったわけでございます。
坂村吉正
12
○坂村委員 わかりました。 そこで、これは
法律
技術の問題かもしれませんが、私ちょっと疑問に思いますのは、せっかく農林
年金
法を
改正
するのに、その条項だけほかの
法律
の
附則
で直すというようなことは、
法律
技術上からいっても、あまりていさいのいい
方法
じゃないのじゃないか、こういう感じもいたします。しかし、
法律
論として、どこかで直ればいいのだからいいじゃないか、こういう考え方もあるかもしれませんが、そこら辺は、どういうぐあいに技術的には考えればいいのか、一応ちょっと私ふしぎに思うものですから、考え方を答弁をいただきたいと思います。
和田正明
13
○
和田
(正)
政府委員
実は先ほども申しましたように、旧令
共済組合
に関する
法律案
がすでに二月十八日に
提案
になりましたために、こちらの
年金
法案の作成が、御承知のようないろいろな事情で少しくおくれました関係で、向こうの
法律
が早く出ましたという時期的な差だけの問題でございまして、単純な、坂村委員のおっしゃるような
法律
技術的な問題以外には、何ら他意はございません。
坂村吉正
14
○坂村委員 それではひとつ全力を尽くして、こちらの
改正
法案も本国会で何とか仕上げなければならない、こういうことを考えなければいけませんと同時に、そっちの
法律
がまた仕上がりませんと、そこのところが穴があくことになりますから、その点は
政府
においてもひとつ全力を尽くして、その法案の完成に努力をしてもらいたいと思います。 と同時に、
湯山
先生にお願いを申し上げますが、社会党といたしましても、この農林
年金
法の
改正
を仕上げよう、こういうお気持ちで非常に御熱心に取っ組んでおられるのでございますので、さっきの長たらしい
法律
のほうも同時にこの国会で仕上げるように全力を尽くしてもらいたいと思いますが、
政府
と
湯山
先生の両方からその心がまえをお伺いしておきたいと思います。
和田正明
15
○
和田
(正)
政府委員
御
意見
、まことにごもっともだと思いますので、私どもも、もちろんこの法案についても十分御
審議
をお尽くしいただきまして、早急に御採決をいただきたいと思いますが、関係が非常に深いわけでございますから、大蔵委員会のほうにかかっております
法律案
につきましても、
政府
として全力を尽くして成立を促進をいたしたいと思います。
湯山勇
16
○
湯山
議員 ただいま坂村委員御指摘のとおりのことを私も心配いたしておりました。そこで、技術的にこちらのほうへ持ってくる
方法
があれば、そうするほうがほんとうだと思います。前回の
最低保障額
の大幅
引き上げ
も、実は農林
年金
の場ではなくて、
厚生年金
に便乗して
引き上げ
になったという経緯もありますので、そうすることが間違いだとは思いませんけれども、御
趣旨
のとおり私も考えておりますので、一生懸命に努力をいたしたいと思います。
坂村吉正
17
○坂村委員 それじゃその点はひとつ安心をいたしまして、次の問題に進みたいと思います。 第二番目に、いままで問題になっておりましたのは、いわゆる新法の
給付
を
旧法組合員期間
にも適用することという問題でございます。新旧通算の問題でございますが、この中身は一つじゃないと思うのです。その
内容
を分析してみますと、第一には、新法
期間
は三年でやる、やめたときからさかのぼって三年の間の
標準給与
で計算する、それから旧法
期間
については五年でやるという問題が実はあったわけでございます。この点がほかの
制度
に比べても非常に農林
年金
は不利じゃないか、劣っておるじゃないか、こういう点がいままでの大きな問題だったわけでございます。この点、今度はどういうぐあいに
改正
されたのか、
法律
の
内容
にあるわけでございますが、その
改正
の考え方と
内容
をお示しいただきたいと思います。
和田正明
18
○
和田
(正)
政府委員
坂村委員からお話のございましたように、三十九年の
法改正
のときにも残りまして、
現行
法では
年金
の計算をいたすもとになります
標準給与
は、やめます日の前三年間の
平均
ということになったわけでございますが、三十九年以前の旧法
期間
につきましては、その点がやめます前五
年平均
ということになっておりましたので、今回はそこのところを新法と同様に三
年平均
ということに改めることにいたしたわけでございます。そのことは、条文の関係で申し上げますと、第二条、けさお配りをいたしました資料のページ数で申し上げますと、八ページ以下に第二条というものがございますが、そこの八ページから九ページにかけましての
附則
第四条第四号の
改正
にかかわるもの、それからもう一つは、
附則
第五条の二というところにその部分の
規定
がございます。
坂村吉正
19
○坂村委員 その問題は、ほかの
制度
とのバランスがどういうぐあいになりますか。大体全部バランスをとれた、こういうぐあいに考えてよろしゅうございますか。
和田正明
20
○
和田
(正)
政府委員
先ほど申しましたように、主としてバランスをとるということで考えましたのが、国家公務員の共済をはじめ各種の共済の
制度
でございます。その点におきましては、大体のものが、いま申しますようにみな三
年平均
ということになっておるのでございますが、ただ、国家公務員の関係につきましては、農林
年金
での旧法
期間
に見合いますものはいわゆる恩給法でございます。国家公務員でも新法
期間
は三年の
平均
でございますが、旧法
期間
である恩給法につきましては、最終俸給ということになっております。その点は、農林
年金
は三
年平均
と今回改めましても、なおバランスがとれないわけでございますが、御承知のように、国家公務員につきましては、
給与
体系が全国一本で定められており、昇給の基準等も非常に明白な基準が法定をされておるわけでございます。民間団体でございます農林漁業関係団体には、それぞれの団体ごとの
給与
表がばらばらでございまして、昇給基準等もございませんので、国家公務員の旧法
期間
とそこのところを合わせることが理論的にできなかったわけでございます。したがいまして、その部分だけは技術上合わせることが不可能でございますので、なおバランスがとれていないと申しますか、全く同じにはなっていない、そういうことになっております。
坂村吉正
21
○坂村委員 もちろん、国家公務員と
農林漁業団体
の職員との
給与
の体系といいますか、そのやり方は違うわけでございますから、そういう点はなかなかぴったりはいかぬと思うのでございますが、現在の問題としては、そういうことでかってにどういう上げ方でもできるし、どういう
給与
でもやれるのだというような
状況
でございますから、ぴちっとはなかなか合いにくいと思います。将来の問題としては、この問題はどういうぐあいに考えていったらいいのか。たとえば将来の問題としては、
農林漁業団体
においても何かもう少しきちんとした
給与
体系あるいは昇給基準、そういうようなものができれば、国家公務員と同じような
制度
に持っていけるというのか、あるいはそういうきちんとした
給与
体系なり昇給基準なりをつくってしまいますと、
農業
団体としては
制度
が硬直してしまって、運用としては、団体自体が自分の
給与
自体についてやりにくいという問題があるのかどうか。そこら辺は非常にむずかしい問題かもしれませんが、将来の問題としてどう考えていったらいいのか、お考えがあったら御答弁いただきたいと思います。
和田正明
22
○
和田
(正)
政府委員
御承知のように、関係団体が、先ほどお配りしました資料にもございますように、約一万九千ございますので、おそらくそれぞれの団体ごとの経理
内容
というものがいろいろ特色もあろうかと思います。それらを全部通した
給与
体系というのは、将来にわたっても事実不可能であろうかと思います。またこの問題は、特に既裁定の
年金
の人などはすべてやめてしまった人がおるわけでございます。そういう人たちについて最終俸給というようなものを考えましても、そういうことは事実不可能ということになります。そういう意味において、将来にわたって国家公務員の共済の旧法
期間
とそこのところを全く同一にするということは、技術問題としても不可能ではないかと考えられますので、その点におきましては、
給付
の
内容
に金額的にも若干アンバランスを生ずる点もございますので、そこのところを考慮いたしまして、国家公務員にしろ、地方公務員にしろ、御承知のように
補助率
の一五%となっておりますものを、二八%というふうにこの
制度
では一%アップをいたしまして、一応そこのバランスをとることに努力いたしたわけでございます。
坂村吉正
23
○坂村委員 わかりました。実態としてはそういうことになるのじゃないかというふうに私も了解をいたしたいと思います。 その次の問題は、新旧通算の問題で、旧法
期間
について五万二千円の頭打ちで押えられておるという問題があるわけでございます。この点は、新法
期間
については十一万円まであるわけでございまして、頭打ちを撤廃しろ、こういうことが非常に強い要望だったわけでございますが、この点はどういうぐあいに
改正
をいたしましたか。
和田正明
24
○
和田
(正)
政府委員
これは坂村委員御指摘のとおり、ほかの
制度
とのバランスを考えまして、今回頭打ちはやめまして、新法と同様に十一万円までを
標準給与
としてみなし得るようにいたしまして、その部分の
規定
は第二条の中に含まれております。
坂村吉正
25
○坂村委員 非常に明快でございまして、この点は感謝をいたします。 新旧通算で、もう一つの問題は、いわゆる新法の
給付率
と旧法の
給付率
が違うわけですね。その点を新旧通算して一本の
給付率
でひとつやってもらいたい、こういう考え方があるわけでございます。これはほかの
制度
がどうなっておるのか、ほかの
制度
との比較において、今度の
改正
案ではどういうぐあいに考えておるか。
改正
案にはこの
内容
は出ていないように私は見ておりますけれども、どういうぐあいな考えでこの点は抜けておるのか、その点をひとつお答えをいただきたいと思います。
和田正明
26
○
和田
(正)
政府委員
結論から先にお答えを申し上げますと、御指摘のとおり、ここの部分は
改正
をいたしておりませんで、新法
期間
は四〇%の
給付率
でございますが、旧法
期間
は三三・三%の
給付率
という
現状
のままでございます。ところで、このことは、国家公務員の旧法
期間
である恩給時代につきましても、やはり三三・三%ということになっておりまして、
給付率
としてのバランスは、私どもが主として
制度
の
内容
改善
のために比較をいたしました各種の
共済制度
については、すべて共通でございますので、
政府
としては、これでバランスがとれておる、
改正
の必要はないというふうに考えておるわけでございます。 なお、
厚生年金
は、御承知のように、旧法
期間
も新法
期間
も
給付率
は四〇%になっておるのでございますが、その場合の
給付額
を決定をいたします
標準給与
は、今度直しまして、やめる前の三年間の
平均
になりますが、
厚生年金
は最初から最後までの全体の
平均
ということになっておりまして、それが四〇%でございますが、こちらは国家公務員その他とのバランスも考慮して、
現行
の三三・三のままで
改正
しないことのほうが、ほかの
制度
とのバランス上望ましいというふうに
政府
としては考えておる次第でございます。
坂村吉正
27
○坂村委員 ほかの
制度
との関係上、新法の
給付率
を旧法
期間
にも適用するという問題は不可能だ、非常に困難だというようなことで、考えていないというわけですが、バランス論でいいますと、私もその考え方はわかるのでございます。ただ、全体としては、ほかの
制度
ももちろん一緒に考えていかなければならぬ問題でございますから、農林
年金
だけが急に上に飛び出してしまうというようなことがはたしていいかどうか、これは問題でございますけれども、もしそういうことであれば、ほかの
制度
とも一緒に、この問題は今後の研究問題として十分御検討いただく必要があるんじゃあるまいか、こういう感じがするのでございます。国家公務員あるいは地方公務員その他のものをこういうところにまで全部持っていく、こういうことになれば、膨大な金が要るというようなことになるのでございますから、なかなかたいへんなことじゃないかと思います。したがいまして、いますぐこの問題が実現できるとは私個人としては考えておりません。おりませんが、将来の問題として、
政府
においても、十分この問題は御研究をいただいて進めていっていただく、前向きで検討してもらう、こういうことが非常に大事じゃないかと思うので、一言申し上げておきます。 そういたしますと、新旧通算の問題は、ほかの
制度
、いわゆる
国家公務員共済
というようなものとのバランスを考えながら、今度の
制度
を考えてみますと、大体バランスもとれて、一応
農林漁業団体
の職員としてもまあまあというようなところまでいったんじゃあるまいかというふうに私は了解をいたしていいと思っておる次第でございます。 その次の問題でございますが、
既裁定年金
を
引き上げ
る、こういう問題でございます。もちろん、この中には、御承知のように、新旧通算の問題が入っておるわけでございまして、新旧通算のほうの関係で、三年、五年の問題、それから頭打ち解消の問題、こういう問題は、先ほどの問題で一応解決されたというふうに考えてよろしいのですか、あるいは違いますか。
和田正明
28
○
和田
(正)
政府委員
五年を三年に改めますこと、頭打ちは解消になりますことは、先ほど申し上げましたようなものが法案の中に盛り込まれておるわけでございます。
坂村吉正
29
○坂村委員 もう一つ、
既裁定年金
の問題につきましては、
厚生年金
期間
の二割引きをやっておるというのが
現行
の
制度
でございます。これはどうもいかにも気の毒な扱いでございまして、もちろん、この
厚生年金
期間
の二割引きという問題は、今度の
改正
案では完全に解消したんじゃないかと思いますが……。
和田正明
30
○
和田
(正)
政府委員
おっしゃるように、二割を
減額
いたす
規定
がございますが、この
改正
案ではその
減額
をいたさないことにいたしました。
坂村吉正
31
○坂村委員 最低保障の要求というのが非常に強い要求でございます。新法
期間
につきましては、この前の
厚生年金
法の
改正
のときに、
厚生年金
法の
附則
か何かで、この問題は、八万円でございますか、直されたはずでございますが、
既裁定者
について、この問題が非常な不当な
取り扱い
を受けておるわけでございますが、この問題は今度の
改正
案ではどういうぐあいにお考えをいただいておるか。
和田正明
32
○
和田
(正)
政府委員
いまの最低保障の問題は、御指摘のように、新法につきましては、
退職年金
で申し上げますれば、八万四千円というふうに直っておるわけでございますが、すでに裁定を受けて
年金
をもらっておる人につきまして、その最低保障が及ばないという
制度
に現在はなっておるわけでございます。そこのところを調整いたしますためにいろいろ検討いたしたのでございますが、先ほどもスライド制の原則を入れます
法律
のことをちょっと申し上げましたが、あの
法律
の中で、国家公務員の
既裁定年金
者につきましても、最低保障を生かす
規定
を
本法
の中に含んで
提案
になっておるわけであります。そことのバランスが
政府
としてはやはり必要でございますので、
退職年金
と
障害年金
とにつきましては六万円、それから
遺族年金
につきましては三万円以下のものは、それぞれ六万円または三万円まで
引き上げ
る、ただし、その場合に、
組合員期間
が二十年以上の者に限ってそういう保障をいたすということで、先ほど長い名前のついております法案を申し上げましたが、あの
法律
の中で、国家公務員もそのように処理をいたしておりますので、この農林
年金
につきましても、同じ
条件
、同じ金額になりますように
提案
をいたして、バランスをそろえておる次第でございます。
坂村吉正
33
○坂村委員 ただいまの、
既裁定者
について
退職年金
六万円、
障害年金
六万円、
遺族年金
三万円、こういう最低保障を設けたということでございますが、これは金額からいっても、現在新法でこれからやっていく人に対する最低保障と
既裁定者
とは、どうもバランスがとれないような感じがいたします。八万円と六万円を比べても、それだけの差があるということでございますし、それからもう一つ、
退職年金
と
障害年金
については六万円だけれども、
遺族年金
については三万円だ、こういう根拠はどういうぐあいにお考えでございますか。
和田正明
34
○
和田
(正)
政府委員
退職年金
につきましては、
組合員期間
が二十年以上でなければなりませんので、二十年の制限は当然かと思います。
遺族年金
は、普通の場合は本人の半額というのが普通でございます。あとは先ほども申しましたように、国家公務員のほうが財源その他諸般の
状況
等を考慮して六万、三万というふうにいたしておりますので、
政府
としてはバランスを合わせた、そういう
趣旨
でございます。
坂村吉正
35
○坂村委員 一応六万、三万は国家公務員その他とのバランスで考えておるのだ、こういうことに了解いたします。 そこで、一つの問題は、二十年以上勤続者、こういうことでいきますと、やはり問題としては残るんじゃないだろうか、こういう感じがいたします。たとえば、
退職年金
はもちろんいいと思いますが、
障害年金
、それから
遺族年金
、こういうものは、考え方として何も長年の勤続者に限ることはないんじゃないか。
障害年金
を受ける者が二十年つとめた者でなければ最低保障が得られない、こういう
制度
は、
制度
のあり方として少し疑問に思われる点が多いのでございまして、この点は、ほかの
制度
とのバランス上二十年以上、こういうことでやっているのであろうと思いますけれども、その点について
和田農政局長
の率直な感じ方は、どういう感じを持っておられますか。
和田正明
36
○
和田
(正)
政府委員
坂村委員がおっしゃいますように、
退職年金
は当然二十年の期限が要るわけでございますが、その他については二十年というのは問題ではないかという御
意見
でございます。私どももこの問題を検討いたします過程では、各種
制度
を比較勘案していろいろ研究をしてみたのでございますが、たとえば
障害年金
につきましても、公務上の
障害
を受けた者と公務外の
障害
を受けた者との
取り扱い
を異にしておる
制度
もございます。
遺族年金
についても、公務上の
障害
によって死亡した者の遺族に
給付
をいたします場合と、そうでない場合とでは、いろいろ
条件
を異にして
給付
するような
制度
にいたしておるものもございますので、そういう
方法
をここへ持ち込むことについてもいろいろくふう検討いたしてみたのでございます。御承知のように、いずれも既裁定の
年金
者でございますので、すでにその
障害
の事由が公務外であったか、公務上であったかということの記録がございませんので、そういうことによる区分をすることが残念ながら不可能でございまして、そこで、それらのくふうをいろいろいたしてみましたが、なかなか名案も浮かびませず、また一方、先ほど来申し上げておりますように、
政府
ですでに
提案
をいたしました国家公務員のほうで六万、三万、二十年ということになっておりまして、それと著しく違うことを考えますことは、やはり
政府
の立場としてなかなかできかねますので、そこのバランスを前提としてこういうふうにいたしたわけでございます。今後とも時間の余裕をいただきまして、いま申しましたようなほかのくふう等につきましては、将来の問題として研究さしていただきたいというように思います。
坂村吉正
37
○坂村委員 お答えのように、ほかの
制度
とのバランスもございますし、これは非常にむずかしい問題じゃないかと思いますけれども、この点についてはどうも気分的にしっくりしないような点もありますので、一応この問題はこれ以上触れることは避けたいと思います。しかし、私どももこの問題を十分研究しなければならぬと考えておる次第でございます。このことを一言申し上げておきたいと思います。 次に、
減額退職年金
の問題でございます。ほかの
制度
では、大体
減額
年金
をやっておるのが多いのでございまして、実は私も公務員の
退職年金
をもらっております。これも若年停止で五十五までもらえないのでございますが、いまおそらく半分くらいもらっておるのじゃないかと思います。そういうぐあいに、国家公務員のほうでも
減額
年金
を
支給
しておるというような
状況
でもございますので、この点はぜひともこの
制度
で農林
年金
においても実現したいと思っておったのでございます。この
内容
はどういうぐあいに
改正
をするつもりですか。
和田正明
38
○
和田
(正)
政府委員
それは他の
制度
とのバランスも当然ございますので、今回の法案の中にこの
規定
を盛り込みましたのでございます。
内容
としては、全体の
給付率
を新法だけの
期間
の人だというふうにもしかりに設定をいたしますれば、
給付率
が四〇%になりますが、五十五になります前は、一年につき四%ずつ引いたものを
退職年金
にかえて
減額退職年金
として
支給
をする、そういうことにいたしてあるわけでございます。
坂村吉正
39
○坂村委員 たいへんけっこうでございます。そうしますと、四%ずつ割り引いて
年金
をもらう人と、全額をもらう人とは、どこで差別をつけるか、本人の希望によってやるのか、初めからそういうことはきまるわけじゃございませんし、もらうときに、割り引いてもくれという人と、それからしばらく待っても全額もらいたい、こういう人とあると思うのでございます。その場合の掛け金の問題なんかは、もちろん全体を総合すれば、先に割り引いてもらっておっても、あとから全額もらっても、同じでいいわけでございます。そこら辺はどういうぐあいにお考えをいただいておりますか。
和田正明
40
○
和田
(正)
政府委員
その点は、おっしゃいますように、本人が退職をいたしましたときの希望によって、
減額
年金
をもらうか、数年待ちまして五十五になってから
支給
を受けるか、それは本人の意思によるわけでございます。いずれにいたしましても、掛け金と
給付
とは見合うような
制度
のたてまえでございますので、いずれの場合にも掛け金には変化はございません。
坂村吉正
41
○坂村委員 変化ないというふうに考えていいわけですね。 その次の問題は、
給付
に要する
国庫補助率
をいまの一五%から二〇%にしてくれ、こういう要望でございます。この問題は、先ほど別の質問の中で、いろいろのことを考えて、一五を一六にいたしました、こういう答弁がございました。実際問題として、ことしの
予算
で一五%を一六%に上げた、こういう実情は一応わかるのでございます。しかし、農林
年金
制度
とそのほかの
制度
とをいろいろ考えてみますと、どうも
給付内容
を一生懸命ほかの
年金
制度
にバランスさせて
改善
をしてまいりますと、掛け金にどうしてもはね返ってくる。それから
現状
の掛け金率を見ましても、非常に農林
年金
が高いわけです。たとえば農林
年金
では、個人負担というのは千分の四十八でございますが、私学共済では千分の三十八、
国家公務員共済
では千分の四十四、公共企業体共済では千分の四十・五、地方公務員共済では千分の四十二、こういうぐあいに非常に個人負担に差があります。これがいわゆる
農業
の後進性といいますか、そういう点を非常にはっきり物語っているのではあるまいかという気がするのでございまして、先ほど申し上げましたように、
農林漁業団体
は財政的にもそえ豊かなものじゃないし、農民に対する奉仕という姿で動いておるのでございますから、なかなか十分ほかの
制度
に追いつけないような姿になっているのではあるまいかという感じがするのでございます。やはりいやしくも個人負担に、ほかの
制度
に比べてこんなにも大きな差があるということは、いままでも非常な問題でございますし、将来の問題としても、私は非常に大きな問題じゃないかと思います。この点については、なぜ国家公務員や地方公務員あるいは私学共済等が、こういう
農林漁業団体
共済に比べて低い個人負担でやっていけるのか、そこら辺の実情をひとつ明らかにしておく必要があるのじゃないかと思うのです。
和田正明
42
○
和田
(正)
政府委員
現在、この農林
年金
の掛け金が、他の同種の
制度
に比較しまして、
組合
員の負担分が高いことは、御指摘のとおりでございます。そのことの
理由
は、やはり先ほどもちょっと触れましたように、数度にわたりまして
給付内容
の
改善
をいたしたのでございますが、その
改善
以前におきます設計が、
改正
前の
給付内容
を前提として設計をされております結果、
改正
後の財源の増加に見合いました掛け金が過去に積まれておりませんでしたので、その分をいま負担をして支払いを必要とするというような事情にございます。ただ、たとえば
国家公務員共済
等についての例をあげますと、これは国の補助という立場でないというふうに
説明
をされておるわけでございますが、雇い主としての国が、そういう
給付内容
改善
に伴います過去の掛け金の不足分を負担するというようなことをいたしておるわけであります。そういう関係もございまして、掛け金率が下がっておりますが、この農林
年金
につきましては、過去の整理資源と申しますか、そういう財源分についての配慮は今日まで行なわれておりませんことが、掛け金率を高めておる原因であろうかと思います。したがいまして、この法案を今回国会に御
提案
申し上げます際に、社会保障
制度
審議
会に諮問をいたしたのでございますが、その答申の中でも、今後整理資源については、国も含めて、雇い主である団体も含めて、十分検討すべき必要があるのではないかという御
趣旨
のことがつけられて答申されておるわけでございます。私どもも、今後将来の問題として、そういう整理資源も十分検討いたし、
組合
員の負担額が減るような
方向
について努力をいたす必要があろうかと考えておる次第でございます。
坂村吉正
43
○坂村委員 国家公務員あるいは地方公務員等につきましては、いま答弁がありましたように、大体国が整理資源のめんどうを見ているのだというような実態でございまして、そのことが、農林
年金
制度
が非常におくれている——おくれているといいますか、個人負担が高い、こういう
状況
であろうと思うのでございます。先ほどお話しのように、国がめんどうを見ているというのは、雇い主としてめんどうを見ているのだ、こういうお話でございますが、いずれにしても、雇い主としての立場であろうが、あるいは国家としての立場であろうが、めんどうを見ている。それを雇い主の立場で
農業
団体がこれをめんどうを見たらどうか、こういう議論もあるのではないかと思うのでございますが、いまの
農業
団体の実情で、そう国家公務員なり地方公務員なりに対応するほどまでに、
農業
団体がこの整理資源のめんどうを見るという状態にはなかなか持っていけないだろう、こういう感じを私は持っているのでございます。そういう意味では、今後の問題としても、一五%、一六%の問題を離れても、その
給付
に対する
補助率
を離れても、この整理資源を国がめんどうを見て、そうして少なくとも農民のために日夜非常な労苦をされている
農業
団体の職員の個人負担が軽減される、そういう
方向
にぜひとも考えていかなければならぬ問題ではないかと思うのでございますが、その前に、いまの一五%を一六%に
給付
の
補助率
を上げて、いまのような
制度改正
をやって——現在においては、この
制度改正
では、
農業
団体の職員の個人の掛け金率の変更はないわけですか。
和田正明
44
○
和田
(正)
政府委員
今回の
改正
によりましては、
組合
員に対する掛け金率は、上げなくて間に合うように仕組んでございます。
坂村吉正
45
○坂村委員 そのことは非常にけっこうなことでございますが、
現状
の掛け金率が、先ほども申し上げましたように、ほかの
制度
に比べて非常に高い、こういう実態でございますので、これは職員としては一番待望している問題じゃないかと思いますから、この問題を今後の問題として十分検討し、少なくとも国が
予算
を出して、この整理資源の穴埋めを援助してやって、そうして掛け金率を少なくともほかの
制度
にバランスがとれるようなところまで、どうせいろいろな
制度
とバランスをとるのであれば、個人負担についてもバランスをとっていくということは、非常に大事な問題でございまして、その点を今後の問題として研究をしなければならないということを考えておるのでございますが、それは今後どういうぐあいに研究を進めてまいりますか、その点も、あるいは時間がありましたら、別の機会にまた御質問を申し上げたらどうかというふうに考えておりますので、その点は留保をいたしまして、次の問題に移りたいと思います。 もう一つの問題は、対象団体の問題でございます。この対象団体は大体
法律
で指定しておりますが、現在この
制度
に加入させてくれという団体が非常に多いのではないかと思いますが、大体いままでどのくらいの団体が加入させてくれ、こういうような状態になっておりますか。おもな団体でよろしゅうございますから、ひとついままでどれくらいの団体が入りたいという希望を持っているか。
和田正明
46
○
和田
(正)
政府委員
御承知のように、現在この
法律
では、適用対象団体を特別法に基づいて
実施
後に設立された法人ということで列挙しているわけでございますが、お話しのように、いろいろな団体の加入の申し込みがございまして、私の手元にきておりますだけでも、約二百四、五十の団体の加入申し込みがございます。ことばはあるいは穏当ではないかもしれませんが、ピンからキリまでいろいろな団体がございますが、その中で特におもなものを申し上げてみますと、農協の信連の協会、それから産業共済の協会、それから中央畜産会といったようなものがおもなものであろうかと思います。
坂村吉正
47
○坂村委員 そういう団体を加入させるかさせないかという基準はどういうぐあいに考えたらいいのか。この問題は、この前の国会のときの附帯決議にもあるわけでございますので、いままで検討された経過をひとつ簡単でいいですから御報告をいただきたいと思います。
和田正明
48
○
和田
(正)
政府委員
これは実は数年前からの問題でございまして、何か明確な基準を設定いたしませんと、ピンからキリまでの団体を選別いたすことがたいへん困難でございますと同時に、
厚生年金
の
制度
あるいは国民
年金
の
制度
からはずれてくるという問題もございますので、それらとの調整というような問題もありまして、非常に困難な問題であるわけでございますが、過去におきましても、何らかの基準をこしらえて選別をすることにつきまして、いろいろな案を考えてみたのでございますが、いずれの案も一長一短がございまして、必ずしも明白な基準たり得ないものでございますから、現在もなおいろいろとくふうをして検討いたしておるという実情でございます。
坂村吉正
49
○坂村委員 実は私も、この問題は、自民党の中で小委員会をつくりまして、長いこと研究を続けてまいったのでございます。去年でございますが、研究したのでございますが、どういうものをどういうぐあいの基準で入れたらいいかというところは、どうもなかなか結論まで出ていないのが実情でございます。しかし、
現状
のままでほうっておく、こういうわけにもまいらぬじゃないか。入れられるものはなるべく入れてやったらいいじゃないか、こういう感じがするのでありますが、この問題は、当委員会等においても十分ひとつ今後も
審議
の対象にしていただいて、そうして何とか救えるものは救って加入の道を開いてやる、こういう親心をもって、この問題については今後
審議
を進めてまいりたい、こういう感じがするのでございますから、この点一応私の考え方を申し上げまして、この問題は留保をいたしておきたいと思うのでございます。
政府
側におきましても、十分ひとつ至急に御研究いただきたいというふうに考えておる次第でございます。 全体として一応一あたり、いままでの団体側の御要望、それからいままでの問題というような点について、ごく荒っぽく触れたのでございますが、まだまだ
改正
の
内容
については、もっと突っ込んだ
審議
をしなければならぬ問題が一ぱいあるわけでございます。したがいまして、時間もあまりありませんから本日はこの程度でとどめておきますが、今後突っ込んだ
審議
を進めてまいりまする過程で、またあらためて突っ込んだ御質問をひとついたしたいというふうに考えておりますので、質問を留保いたしまして、本日の質疑はこれでもって終わりたいと思います。
中川俊思
50
○
中川委員長
湯山勇
君。
湯山勇
51
○
湯山
委員 ただいま坂村委員から、
政府
の今回出された農林
年金
法の要点についてお尋ねがございましたが、私もまたいろいろお尋ねしたいこともあるのですけれども、
趣旨
から申しますと、この
改正
は、決して今回突如として出たものではなくて、昨年の五月一日からの
改正
、三十九年の
改正
、三十三年の成立、ずっと継続しておる問題だと思います。特にそういう長い経験が今回集約してここに持ち出されたものであって、
政府
が当初お考えになったことも、私どもが法案として出しているものも、それから今度
政府
で出されたものも、団体が要望しておるものも、よく検討してみますと、それぞれ相通ずるものがございます。したがって、そういう観点から一応整理する必要があると思います。ここでこの問題に一応ピリオドを打つという使命をいまも負わされたわけでありますから、そういう点からいえば、整理をする必要があるかと思います。 そこで、
政府
のお出しになった案と、それから私どものほうで出している案との相違、あるいは一致している点、これを時間が短くて恐縮でございますけれども、よくわかるように、ひとつ十分くらいで御
説明
をいただきたいと思います。
和田正明
52
○
和田
(正)
政府委員
社会党で御
提案
になりましたものと
政府
で
提案
をいたしましたものとの違う点を申し上げれば、あとの点は、表現その他は違うにしても、同じであると思いますので、違う点を簡単に申し上げますが、大体八つぐらいあると思います。 順序がかってで恐縮でございますが、一つは、
国庫補助率
でございます。
政府
の原案は御承知のように、この
法律
を施行いたします日を十月一日と予定いたしまして、その日から
国庫補助率
を一六%に上げることにいたしておりますが、社会党の御
提案
では、
国庫補助率
が二〇%ということになっております。 それから第二に、完全通算の関係でございますが、
政府
の
提案
は、先ほども申しましたように、
給付率
は旧法
期間
について三三・三と
現状
のままでございますが、社会党の御
提案
では、その
給付率
は、新法並みに旧法
期間
も四〇%にするようになっております。 それから第三は、
既裁定年金
に関する部分でございますが、これも社会党の御
提案
では、新法並みに計算をいたすことになっております関係で、先ほどもちょっと触れました
給付率
が四〇%になるわけでございますが、
政府
の原案では、
給付率
は三三・三のままでございます。 それから
既裁定者
の
最低保障額
につきましては、社会党の御
提案
では、新法をそのまま既裁定の
年金
者にも最低保障をいたしますほかに、現在の
最低保障額
をそれぞれ、
退職年金
は八万四千円でございますのを九万六千円に、
遺族年金
は六万七千二百円でございますのを七万六千八百円に、
障害年金
は一級、二級、三級で数字が違いますので、数字を申し上げることは省略いたしますが、いずれも
現行
の
制度
よりもさらに
引き上げ
ることを御
提案
になっておられますが、
政府
案では、新法
期間
については手を触れませんほかに、
既裁定者
につきましては、先ほども坂村委員の御質問にお答えをいたしましたように、
退職年金
と
障害年金
については六万円、
遺族年金
については三万円という、二十年の
組合員期間
を持ちます者についてのみ
既裁定年金
額の最低保障をいたしておる点が違う点でございます。 それからその次の違いは、社会党の御
提案
には、
退職年金
の在職
支給
の
制度
がございまして、
農業
法人等におきましては、六十五歳でございましたかの年齢になりますと、在職のままで
退職年金
が
支給
できるような仕組みになっておりますが、その分は
政府
の原案には
提案
をいたしておらないわけでございます。 それから掛け金の負担区分を、雇用主である団体と雇われております
組合
員との間で、現在、
制度
上は五十対五十ということで、半々の負担にいたしておるのでございますが、社会党の御
提案
では、ここのところを雇い主である団体側が五十五、職員である
組合
員が四十五ということで、負担の比率を差をつけるようにしておられるわけでございますが、
政府
の原案におきましては、五十対五十という現在の
制度
そのままの負担区分にいたしておるのでございます。 それから社会党の御
提案
では、現在
法律
で制限列挙になっております団体のほかに、民法上の法人につきまして、
一定
の
条件
のもとに政令で指定をいたしました団体は、その
共済組合
に加入ができるような仕組みになるような
規定
が織り込まれておるのでございますが、
政府
の原案では、先ほども坂村委員の御質問の際にお答えを申し上げましたように、どのような基準でその民法法人の加入をはかるべきかについて、なお最終の結論を私どもとしては得ておりませんので、その分は
政府
の原案にはないのでございます。 最後にスライド制の原則につきましては、
政府
原案は、先ほどもお話があり、両方分かれた法案になっておるから、
政府
としては両法案が同時に通過するように努力をするようにという御
趣旨
のお話があったのでございますが、社会党の御
提案
では、スライド制の原則がこの農林
年金
法の
改正
案の中に含まれておるほかに、スライドの基準を数字的に一応明確にしておられるという点が、
政府
案と違うところであろうと思います。 その他の部分は、大体先ほど坂村委員からお尋ねがございまして、盛り込んである旨を私からお答えを申し上げました部分は、社会党の御
提案
にもそのまま入っておるので、大体いま申し上げました点を除けば、ほぼ
政府
案と同様のものではないかというふうに承知をいたしておる次第でございます。
湯山勇
53
○
湯山
委員 それではこれで終わります。
中川俊思
54
○
中川委員長
次会は明七日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後二時五十二分散会