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大口政府委員 先ほど来の御
質問、主として米の問題が中心でございましたので、私どもいろいろな
角度で米の消費の過去の実績なり、それから
農林省でまとめました農産物の需要と生産の
長期見通しにおいてはどういうふうに見ておったかというようなこと、その後それを中間的に検討いたしました際にどうだったかというようなことから、まず申し上げてみたいと思うのです。
先ほど来
大臣が申されておりますとおりに、最近の二、三年の間におきましては、一人当たりの米の消費量はわずかながら減っております。数字で申し上げますと、三十七年が年間一人当たり百十七キロ、三十八年が百十六・三キロ、三十九年が百十四・七キロ、こういうふうに微減いたしておるのでありますが、いま私が申しました年度の前には、三十四年から三十七年までの間は、むしろ逆に一人当たりの消費量はふえた時代があったのであります。したがいまして、いまの時点で直ちに、米の一人当たりの消費量の微減傾向が今後も必ず続くのだということを一〇〇%の自信を持って断定するには、やや材料が不足だと思いますが、ただ、
食糧の構成が、最近の経済の成長に伴いまして、非常に食生活の構造がいわゆる高度化をしておる。でん粉質
食糧の割合が逐次減って、西欧
諸国が過去においてたどりました
方向と同じ
方向を食生活の面でたどっておることは、事実でございまして、その
意味で、野菜、果物、肉類、乳製品等の需要量が最近飛躍的に伸びておることも、そのことを物語っておると思うのでございます。ただ、でん粉質
食糧が減りましても、その中に占める米の割合というものが、
日本人の粒食に対する非常な執着等を
考え合わせますと、でん粉質
食糧が減っても、米の消費がそれと同じような
角度で減らないのではないかというふうな見方も成り立ち得るのでございます。何年か先の
食糧構造を想定いたします際に、その間における経済成長率がどういう数字になるのか、それに伴って
国民の所得水準がどういうふうに上がっていくかということ、それからまた所得弾性値を幾らに置くべきかということ等がございますので、いろいろな前提を置いて計算をする必要がありますことは御承知のとおりでございますが、私ども三十七年に
発表いたしました
長期見通しにおきましては、米の需要と生産のバランスの問題は、一人当たりの消費量が、過去に示しましたよりももっとよけいな減り方を示すけれども、耕地面積等は大体横ばいで、米の生産量と消費量とは、大体昭和四十六年ぐらいになれば、気象条件の変化というものを一応捨象して
考えますと、大体バランスがとれるんじゃないかという計算をしておったことは事実でございますが、その後、昨年の秋に、中間検討ということで、過去を振り返って実績とその
長期見通しの際の数字とつき合わしてみたわけでございますが、その結果、生産面におきましては、米の単位面積当たりの収量が最近三年間ばかり減っておる。面積の
関係はそれほど大きな動きはなかったのでありますが、そういうことと気象条件その他からいたしまして、米の生産が、
長期見通しを策定いたしました当時よりはどうも少ないということは、
先ほど来
大臣が申されましたが、需要の面で申しますと、
長期見通しをやりました際に
考えましたほどは一人当たりの消費量が減らない。それから加工需要は意外に伸びておる。それから人口の増加は大体一%ぐらいの人口増加率でございますから、それらを勘案いたしました需要量というものが、どうも
長期見通しで
考えておったほど減らないのではないかというふうな反省を昨年の秋の中間検討ではいたしたのでございますが、最近、中期経済計画の改定作業とかいろいろな作業が現在経済企画庁で進行中でございますので、経済成長率の前提その他の的確な数字がまだございませんが、一応仮の計算をいたしますと、昭和五十年ごろには、大体一人当たりの米の消費量が、現在の百十四・七キロに対しまして大体百三、四キログラムぐらいになるのではないかという数字を部内の純然たる作業用の数字として持っております。そのような一人当たりの消費量を前提として、人口増加率を
考えてみました場合の米の需要量というものは、大体千三百五十万トンから千四百万トンをちょっとこすくらいの数字が、昭和五十年の米の需要ではなかろうかという数字を部内の全くの作業の結果として私どもつかんでおりますが、生産の問題は、最近の単位面積当たりの収量の減をいろいろな技術の面でこれを補ってまいりたいということを
考えておりますので、現在の単位面積当たりの収量は全国平均で大体四百キロを少し割ったところでございますが、これが大体一割ぐらい十年間に伸ばし得たならば、
先ほど大臣が申されましたような国内の自給というものが、よほどの天候の異変がない限り達成できるんじゃないかという試算は持っております。