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1966-04-05 第51回国会 衆議院 農林水産委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年四月五日(火曜日)    午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 中川 俊思君    理事 大石 武一君 理事 倉成  正君    理事 小枝 一雄君 理事 舘林三喜男君    理事 本名  武君 理事 赤路 友藏君    理事 東海林 稔君       伊東 隆治君    池田 清志君       金子 岩三君    笹山茂太郎君       白浜 仁吉君    田口長治郎君       田邉 國男君    高見 三郎君       綱島 正興君    中川 一郎君       野原 正勝君    長谷川四郎君       藤田 義光君    松田 鐵藏君       森田重次郎君    卜部 政巳君       江田 三郎君    兒玉 末男君       永井勝次郎君    西宮  弘君       松浦 定義君    湯山  勇君       中村 時雄君    林  百郎君  出席国務大臣         農 林 大 臣 坂田 英一君  出席政府委員         外務事務官         (経済協力局         長)      西山  昭君         農林政務次官  仮谷 忠男君         農林事務官         (大臣官房長) 大口 駿一君         農林事務官         (農林経済局         長)      森本  修君         農林事務官         (農地局長)  大和田啓気君         食糧庁長官   武田 誠三君  委員外出席者         農林事務官         (農林経済局参         事官)     岩下 龍一君         農林事務官         (農政局参事         官)      横尾 正之君         農 林 技 官         (食糧庁総務部         長)      田中  勉君        専  門  員 松任谷健太郎君     ————————————— 四月五日  委員松井誠君及び稲富稜人君辞任につき、その  補欠として永井勝次郎君及び中村時雄君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員永井勝次郎辞任につき、その補欠として  松井誠君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 四月二日  農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正す  る法律案内閣提出第一三八号) 同月五日  学校給食の用に供する牛乳の供給等に関する特  別措置法案湯山勇君外二十一名提出衆法第  三〇号) 同月四日  農林漁業団体職員共済組合法の改正に関する請  願(井谷正吉紹介)(第二三〇八号)  同外一件(石田宥全君紹介)(第二三〇九号)  同外二件(上村千一郎紹介)(第二三一〇  号)  同(小林進紹介)(第二三一一号)  同外三件(小山長規紹介)(第二三一二号)  同外二件(佐々木良作紹介)(第二三一三  号)  同外十三件(田中彰治紹介)(第二三一四  号)  同外十七件(高橋清一郎紹介)(第二三一五  号)  同外二件(中垣國男紹介)(第二三一六号)  同外一件(中村高一君紹介)(第二三一七号)  同外二件(有田喜一紹介)(第二三三〇号)  同外十四件(大竹太郎紹介)(第二三三一  号)  同外六十八件(金子一平紹介)(第二三三二  号)  同外十四件(鴨田宗一紹介)(第二三三三  号)  同(菅野和太郎紹介)(第二三三四号)  同外六件(高見三郎紹介)(第二三三五号)  同外十件(竹山祐太郎紹介)(第二三三六  号)  同(塚田徹紹介)(第二三三七号)  同(中村幸八君紹介)(第二三三八号)  同外十九件(丹羽兵助紹介)(第二三三九  号)  同外百四十八件(野田卯一紹介)(第二三四  〇号)  同(廣瀬正雄紹介)(第二三四一号)  同外九件(相川勝六紹介)(第二三八〇号)  同外二十件(荒舩清十郎紹介)(第二三八一  号)  同(伊東正義紹介)(第二三八二号)  同外五件(勝澤芳雄紹介)(第二三八三号)  同外十一件(木部佳昭紹介)(第二三八四  号)  同外十二件(熊谷義雄紹介)(第二三八五  号)  同(小島徹三紹介)(第二三八六号)  同外六件(小山長規紹介)(第二三八七号)  同外十七件(兒玉末男紹介)(第二三八八  号)  同外三十五件(河本敏夫紹介)(第二三八九  号)  同外二十件(桜井茂尚君紹介)(第二三九〇  号)  同外一件(田澤吉郎紹介)(第二三九一号)  同外九件(田中龍夫紹介)(第二三九二号)  同(竹内黎一君紹介)(第二三九三号)  同外三件(竹本孫一紹介)(第二三九四号)  同外六件(竹山祐太郎紹介)(第二三九五  号)  同外二十三件(千葉三郎紹介)(第二三九六  号)  同(塚田徹紹介)(第二三九七号)  同外四件(塚原俊郎紹介)(第二三九八号)  同外一件(中村幸八君紹介)(第二三九九号)  同(中村高一君紹介)(第二四〇〇号)  同(灘尾弘吉紹介)(第二四〇一号)  同外八件(西村直己紹介)(第二四〇二号)  同外二十一件(福永健司紹介)(第二四〇三  号)  同外十三件(藤井勝志紹介)(第二四〇四  号)  同外二十一件(森下國雄紹介)(第二四〇五  号)  同外三十九件(森田重次郎紹介)(第二四〇  六号)  同(吉川兼光紹介)(第二四〇七号)  同外十一件(江崎真澄紹介)(第二五五〇  号)  同外五十三件(小川三男紹介)(第二五五一  号)  同外五件(木部佳昭紹介)(第二五五二号)  同(高橋清一郎紹介)(第二五五三号)  同外四件(高見三郎紹介)(第二五五四号)  同外二十件(竹山祐太郎紹介)(第二五五五  号)  同外四十四件(千葉三郎紹介)(第二五五六  号)  同外十二件(渡海元三郎紹介)(第二五五七  号)  同外三件(中村幸八君紹介)(第二五五八号)  同外十二件(永田亮一紹介)(第二五五九  号)  同外十二件(松山千惠子紹介)(第二五六〇  号)  同外三件(山田彌一君外一名紹介)(第二五六  一号)  同外二件(早稻田柳右エ門紹介)(第二五六  二号)  団体営農道改良事業国庫補助率引上げ等に関  する請願(櫻内義雄紹介)(第二五四九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件      ————◇—————
  2. 中川俊思

    中川委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許可いたします。江田三郎君。
  3. 江田三郎

    江田委員 たまたまあすからアジア開発閣僚会議が開かれるわけでありますが、この閣僚会議あたりまして、いままでわれわれが新聞その他を通じて受け取っておりますところは、今度の会議の主要なテーマとして、農業開発会議を提唱するということが伝えられておりまして、この農業開発会議がどういう性格のものかということを承りたいのであります。ただ、この問題は、将来の日本食糧需給計画と大きなつながりがあるわけでありまして、最近あるいは経済同友会の将来農業への提言ということがあったり、あるいはまた松永安左エ門さんの研究所でも同じようなことがなされておりますし、あるいはまた農林省農林水産技術会議議長小倉さんあたりも、東南アジアの米の開発輸入ということを提唱されておりまして、今度の農業会議の問題というものは、ただそのことだけを切り離して考えるのじゃなしに、日本食糧政策全体につながる課題だと思いますので、さような問題について御質問したいと思います。  まず、この閣僚会議そのものでありますが、これについても私たちはいろいろな疑問を持っておるわけであります。きのうあたり新聞を見ますと、国民総所得の一%——一昨年世界貿易開発会議できめられたこの一%をできるだけ早く出すようにしたいということがいわれておりますが、しかし、大蔵省あたりは相当渋っているということもいわれておる。これだけ大がかりに関係国閣僚を集めて、一昨年の貿易開発会議できまったことが、まだこれから数年かかってそろそろやりますのだというようなことになってくれば、私は、この会議日本アジア外交の前進になるのでなしに、むしろ関係国に大きな失望を与えるだろうと思うのであります。あるいはまた、このアジア開発構想というものが、ジョンソン大統領のかつて提案された十億ドル援助ということの、はなはだ自主性のない露払いになっていくのじゃないかということも一つ問題点だと思いますが、そういう閣僚会議そのものの問題につきましては、いずれ適当な委員会で取り扱われると思いますので、ここは農林水産委員会でありますから、私はそういう点には触れないで、直接政府がいままで宣伝されました、この会議で主要なテーマとして取り上げるのだといっておった農業開発会議について御質問しますが、一体これはどういう構想のものなのか、その点をまずお伺いしたいのです。
  4. 坂田英一

    坂田国務大臣 この農業開発会議というものを別にやるのではなしに、東南アジア全体に対する農業中小工業、それからいろいろの衛生関係問題等について会合を催すのでございまして、そのうちで、農業の問題は非常に大きな議題であることは、これは言うまでもございません。しかし、農業会議というものを別に催してまいるというような考えは持っておらぬのでございます。もしそれが必要であるといたしましても、日本のわがほうからそれらの必要を主張するのではなしに、参加国のほうにおいてそれが非常な希望として述べられる場合において、あるいは農業会議開催するというようになるかもしれぬと思うのでございますが、同時に、わが国のほうからこれらの開催を主張するという考えは持っておらぬわけであります。
  5. 江田三郎

    江田委員 外交の問題というのは、なかなかあとで簡単に取り消しができないものであります。国内問題ならば、あとでこれを打ち消したところで大きな影響はありませんが、外交問題はそうはいかないと思うのであります。  そこで、いまの大臣お答えだと、農業開発会議というものを考えておるのじゃないのだ、向こうから言われたならばそういうことも取り上げるかもわからぬということであります。しかし、この閣僚会議開催がきまりましてから今日まで、新聞その他を通じて農業開発会議構想が大きく宣伝されたことは、これは否定できないことであります。これは外務省あたりがそういうことをマスコミにPRなさったのじゃないかと思うのであります。マスコミが根拠のないことを書くはずはないと思うのであります。また、そういうようなマスコミに伝えられた内容というものは、やはり関係各国に反映しておると思うのであります。これが単なる副次的な議題というのでなしに、今度の会議で、おくれたアジア農業開発するために最も力こぶを入れなければならぬ課題だというように宣伝されたものが、いまの大臣お答えを聞きますと、何か急に方向が変わったように思うのでありますが、なぜ一体、各新聞社なり放送なりが今日までそういう宣伝をしてきたのか。それはマスコミのかってな誤解であるのか、あるいは外務省なり農林省ミスリードであるのか、その点は一体どういうように思ったらいいのですか。
  6. 坂田英一

    坂田国務大臣 今度の東南アジアに対する問題は、もちろん、農業開発ということが非常に大きな問題であることは、これは言うまでもないことでございます。したがいまして、今度の会議以前から、東南アジアに対する技術援助は、コロンボ計画その他によって、これらの地域に対していままで相当力を入れておるわけでございますが、しかしながら、何と申しましても、これらの諸国農業問題は非常に立ちおくれております。そのような関係からして、食糧等につきましても、どちらかと申しますと、これらの関係諸国においては非常に窮乏しておる国が多いわけでございます。中にはそうでない国も若干加わっておりますけれども、そういう国が非常に多いところでございます。したがいまして、東南アジア農業開発援助につきましては、将来に向かってもわが国としては十分の援助をしていかなければならぬ、こう考えてはおるのでございます。そういう考えのもとに今度会議に臨むのでございますけれども、この会議後においてさらに引き続いて農業開発会議をやるかやらぬかという問題になりますと、これは加わってまいりました諸国の要請がある場合において、それらにこたえるために、この開発会議をどうするかという問題は、それは出るかもしれませんけれども、当方から引き続いてこれらの開発会議をやるということを申すわけではないということを申したわけでございます。
  7. 江田三郎

    江田委員 私の質問に端的に答えていただきたいのでありまして、農業開発会議という構想外務省農林省も事前に報道関係にPRしたことはないのか、報道関係がかってにそういう解釈をしてやったのか、それともあなた方のほうがそういう宣伝をされたのか、まずその点からはっきりさしてもらいたい。
  8. 坂田英一

    坂田国務大臣 お答え申しますが、農林省といたしまして、今度参集されます諸国の情勢から申しまして、食糧問題が非常に重要な問題であることは言うまでもございません。これはもうよく御了承のことであると思いますが、そういう関係にありますので、食糧会議を引き続いて開催するという考えはございません。こちらから積極的に要請することはございません。
  9. 江田三郎

    江田委員 大臣のあやふやな答弁でなしに、官房長外務省経済協力局長から端的に答えていただきたい。
  10. 大口駿一

    大口政府委員 報道関係にそのような発表をしたかという趣旨お尋ねでございますので、私から便宜補足してお答え申し上げたいと思います。  新聞紙上において東南アジア閣僚会議記事が報道されます際に、東南アジア農業開発会議というものを提唱するという趣旨記事が多くの新聞に出たことは、私も読んで承知をいたしております。もし農林省からそういう発表をしたかというお尋ねでございますれば、農林省からそのような発表をしたことはございません。したがって、大臣先ほどからお答えになっておりますのは、農業開発会議とか、東南アジア農業開発についての重要性なり、今後の問題の検討は内部でいたしております。ただ、いまのお尋ねのように、農業開発会議開催を提唱するという趣旨発表農林省からいたしたことはございません。
  11. 西山昭

    西山政府委員 先ほど農林大臣から御説明がありましたように、昨今の後進国開発の問題をながめますと、農業の問題が非常に重要性を増してきておる。工業化の進展に非常に努力しておりますけれども、社会的な基盤として、農業の問題を従来にも増して努力する必要があるということが世界的に痛感されておりまして、たとえばインドの最近の事情のごときは端的な例であるということをひとしくみんな言っておるわけであります。そういう意味で、農業問題をさらに実際的な見地から検討する心要があるのではないか。なかんずく、各国農業開発しながら、国の経済的な繁栄を漸進的に均衡をとった形で進めていくという必要が痛感されておりまして、そういう角度から農業のいろいろの関係を議論するために会議をやってはいかがかという意見が、内部では確かにございました。そういう意味で、そういう作業があるいは新聞等に伝えられたかもしれませんけれども、外務省としては、政府の最終的な決定があったわけではございませんし、積極的に外部に発表したとか、そういう事実はございません。
  12. 江田三郎

    江田委員 エープリルフールということがあるのですが、あれはエープリルフールよりだいぶ前に出たことですから、どうもわれわれもキツネにつままれたような感じがするのです。しかし、当時の新聞を見ると、農業開発会議の具体的な協力方法として、農業技術指導のための農業開発センターをつくるんだ、あるいは農業機械、肥料などの購入資金融資のために農業開発基金をつくるんだ、そういう内容まで出ておるわけでありまして、私は、そういうことをあなた方のほうが何ら意思表示をされないのに、報道関係がかってに書くはずがないと思うのです。先ほども申しましたように、これは国内問題でなしに、外交関係がある問題で、日本新聞が何を書いておるかということは、その日のうちにそれぞれの国に伝わるわけであります。そういうものが途中で幽霊のように消えてしまうということは、外交あり方としてもまことに遺憾なことであります。要するに、あなた方が言われるのは、そういう構想報道関係がかってに書いたのだということに受け取っていいわけですか。
  13. 大口駿一

    大口政府委員 先ほど私がお答えをいたしましたのは、御質問趣旨が、新聞にたくさんそういうことが出ておったのは発表したかというお尋ねでございましたので、私のほうから積極的に発表したことはございませんということを申し上げたのでございますが、しかし、東南アジア経済協力とか、あるいは経済協力の中における農業協力技術協力重要性とかいうものを、いろいろな方がいろいろな場において論議をされておることは事実でございますので、もちろん、農林省におきましても、そのような問題について、どういうことを今後研究をし、どういうことを準備すべきであるかというようなことは、所管の省でございますから、十分研究はいたしております。しかし、会議開催を今度の閣僚会議の席で提晶する予定であるという趣旨発表をしたことはない、こういうふうにお答えをいたしたのでございます。
  14. 江田三郎

    江田委員 たとえば農業開発会議の問題について、朝日新聞のごときは社説で取り上げておるわけであります。よほどあわて者の新聞社ということになるのです。そういうことがあなた方の言明のように受け取りようがないじゃありませんか。私は、そういうことをあいまいにぼかされるならぼかされるで、それ以上申しませんけれども、とにかく、今度の閣僚会議そのものが、非常な無責任な思いつきの上に立っておるのじゃないかと思うのです。最初に触れましたように、あらためて一%の援助をこれから検討するんだ、それは大蔵省は五年と言い、外務省は三年先だと言っておる。そういうようなことをいまごろ検討するようなことで、ほんとうに関係国に喜ばれるような外交ができるわけはないじゃありませんか。思いつきばかり並べた外交がどんなに危険なものであり、どんなに国益を損するかということは、あなた方にもわかっておると思うのであります。  そこで、それをだれが発表したかどうかということはこれ以上追及しませんが、この問題を論ずる中において、われわれが新聞報道から受け取った内容によりますと、今後日本東南アジアからの長期の継続的な米の輸入考えるべきだということを佐藤総理大臣発表をされて、関係大臣指示された、こういうことまで伝わっておりますが、その点はどういうことであったのか、これは大臣から答えていただきます。
  15. 坂田英一

    坂田国務大臣 さような指示を受けたことはございません。
  16. 江田三郎

    江田委員 これも全く新聞誤報だと言うのですか。
  17. 坂田英一

    坂田国務大臣 新聞誤報であるかないかは私は存じませんが、私はそういう指示を受けたことはございません。   〔委員長退席舘林委員長代理着席
  18. 江田三郎

    江田委員 関係大臣といえば、これはもちろん農林大臣だけでなしに、通産大臣もそうでしょう。あるいは外務大臣もそうかもしれませんが、しかし、一つ新聞だけでなしに、多くの新聞が同じような内容のことを書いておるわけなんです。先ほどの発言といい、いまのお答えといい、あなた方は、国民とともに農業問題あるいは日本外交問題を語り合おうという姿勢はないのですか。ただ秘密外交、何か質問があればおとぼけで済ませるということが、日本政治あり方としてはたして許されることかどうか、その心がまえをまず言っていただきたい。
  19. 坂田英一

    坂田国務大臣 同じことを申すようでありますが、指示を受けないことをはっきりと指示を受けないと申すのでございます。したがって、指示を受けないから、新聞の論評はどうであったかということは、私に関係したことではないと思うのでありますが、実際、それは指示を受けないものを受けたということは言うわけにいきませんから、それは受けないと申しておるわけでございます。
  20. 江田三郎

    江田委員 あなたのようなそういうことは、これはしっぽをつかまれないための国会答弁ではあるかもしれませんけれども、しかし、まじめに政治を担当するものの態度じゃないと思うのです。だから、これも否定なさるならなさってよろしい。  そこで、大臣お尋ねしますが、一体指示があろうとなかろうと、今後東南アジアからの長期継続的な米の輸入ということは可能なことだと考えておられるのか、角度を変えて質問します。
  21. 坂田英一

    坂田国務大臣 今度参りまする諸国のほうからは、日本の米、いわゆる食用として輸入し得るものはないのであります。と申しますのは、現在食用として輸入しておりますのは、準内地米と申しまして、いわゆる長米でなしに、まんまるい日本種のものでございますが、今度参ります諸国については、それらの日本種、いわゆる準内地米というものを生産している国はないのであります。したがいまして、これらの国がら日本のいわゆる食用の米を長期輸入することはできないという事実問題に立っておるわけでございます。
  22. 江田三郎

    江田委員 これからの日本食糧問題というのは、私は容易ならぬ事態に立ち至ってきたと思っているのです。昨年度の食糧及びえさの輸入が一千万トンになった。これから先日本食糧需給計画はどうするのか、いまこそこれは真剣に論議して、今後のあやまちのない方向を出さなければならぬと思うのでありまして、これは農民にとっても大事なことでありますし、また消費者にとっても、あるいは日本国際収支にとっても、ゆるがせにできない問題なんであります。それだけに、大臣もおざなりなことでなしに、責任を持った答弁をしていただきたいと思うのですが、東南アジアからの米の長期継続的な輸入はできない、そういう考え方は、大臣考え方であると同時に、政府の統一した見解なのかどうか。たとえば、そういう中におきまして、あるいはせんだっての経済同友会農業への提言の中にも、日本食糧自給度を引き下げて、東南アジア開発輸入をしたほうがいいというような考え方が出ておるし、先ほどもちょっと触れましたが、農林省関係のある小倉農林水産技術会議議長なんかも、東南アジアの米の開発輸入ということに触れておるのでありますが、政府としては、東南アジアからの長期継続的な米の輸入は不可能だ、こういう見解を持っておると受け取ってよろしいのでありますか。
  23. 坂田英一

    坂田国務大臣 私が申しましたのは、今度参りまする国においては、準内地米をつくっておる国はないのであります。したがって、そういう国から長期的に食糧として輸入することはできない、こういうことでございます。
  24. 江田三郎

    江田委員 東南アジアで、今度来てない、しかも米をつくっておるということになると、ビルマが残ると思いますけれども、しかし、条件はそう変わっておるわけはないのでありまして、私たちも、太い粒の日本米東南アジアで増産するということは非常に困難な問題だと思っておるわけです。あるいは台湾においてそういうことが成功したじゃないかという人もありますけれども、台湾は言うまでもなく、日本植民政策のもとにおいて、従来あの土地の人々が食わなかった米を食わすように押しつけたわけでしょう。東南アジアはなかなかそういうわけにはまいりません。だから、米の輸出ということが、自分たちの食っている米をなお増産して輸出するというのなら、これは可能でしょう。しかし、自分たちの食っている米ではない米をつくらなければ日本への輸出はできないわけです。非常に近代化された農業でありますならば、あるいは大規模の農業でありますならば、そういう商品としての生産も可能でしょうが、東南アジア農業は、そういう大規模の近代農業でないことも言うまでもないことなんです。そういう点から、私たちも米の開発輸入ということについては大きな疑問を持っておるのでありますが、その点は、いま私が考えたことと大臣考え方は同じなのか。消費者の問題であり、農民の問題であり、日本国際収支の問題であり、大きな影響があることですから、いいかげんな答弁でなしに、はっきり答えていただきたい。
  25. 坂田英一

    坂田国務大臣 いま江田委員の申されたとおりの気持ちでおるわけでございます。ただ、この問題としてさらにつけ加えて申しますならば、食糧以外のもの、たとえば飼料作物の問題については、東南アジアとの交流などを考えていきたいという問題があります。それからさらにつけ加えて、誤解のないように申し上げたいことは、現在日本そのものがまだ完全な自給ではございませんことは、御存じのとおりでございます。さようなときでございますから、やはり日本と同じようなまるい種のものでなくても、雑用とか工業用といったようなもので、ビルマ等から輸入はいたしておることをつけ加えて申し上げておく次第でございます。
  26. 江田三郎

    江田委員 だから、お菓子の原料とかそういう問題で可能性があるということは申すまでもありませんが、しかし、準内地米としてわれわれの食べる米としては今後もその可能性はないと、こうはっきり見ていいのか。そうでないと、これからのわが国農業政策なりあるいは食糧政策に大きな影響があるわけですから、こういう点は明確にしておいていただきたいわけです。
  27. 坂田英一

    坂田国務大臣 大体、江田委員のいまおっしゃったことと、私と、意見は一致しておるわけでございます。
  28. 江田三郎

    江田委員 そこで、えさの問題なら可能性があるということを言われましたが、あるいはえさの問題について、タイのトウモロコシあたりのことをお考えになったのじゃないかと思いますが、しかし、一体タイのトウモロコシの輸入というのは、ほんとうにタイでできているトウモロコシが輸入されておるのか。何しろ一方においてアメリカのコストの安い大量生産があるわけでありまして、そういう中において東南アジアあたりでえさの開発をやるということになれば、よほど農業の構造を変えていかなければならぬと思うわけです。いまのままの多少の技術援助を加えたような形で、東南アジアからのえさの輸入ができるといういうようにお考えになっているのか、あるいはあれだけ大量の余剰農産物を持っておるアメリカ農業ということを考えていけば、これもそう簡単ではないというお考えなのか、その点はどうですか。
  29. 坂田英一

    坂田国務大臣 トウモロコシ、マイロ等の飼料の輸入につきましては、これは長くなりますが、私どもといたしましては、一ところに限ることなく、東南アジアあるいはアメリカというふうに、でき得る限り多数と申しますか、産地を一ところにきめずに輸入するという方向をたどりたい、かように考えておるわけでございます。そして東南アジアもその一つであることは言うまでもございません。
  30. 江田三郎

    江田委員 日本輸入されているタイのトウモロコシは、タイの原産であることは間違いありませんか。
  31. 大口駿一

    大口政府委員 いまのお尋ねの原産という意味は、品種がアメリカから来たかということではなくして、積み出し港なり……。
  32. 江田三郎

    江田委員 いや、向こうの地でできたものか。
  33. 大口駿一

    大口政府委員 私どもの承知する限りにおいては、タイから入っておりますトウモロコシは、タイの国で生産をされたトウモロコシだと承知をいたしております。
  34. 江田三郎

    江田委員 そういう承知をされているということ以上には出ないだろうと思うのでありまして、なかなかそう簡単な問題ではないと私は受け取っておるわけであります。  そこで、わが国食糧の需要供給の長期にわたる計画というものも、非常に重大な段階に来ておるわけでありますが、いまの御説明だと、東南アジアからは、長い何十年も先のことになれば別ですけれども、近い将来にそういう可能性がないということになると、一体、現在の不足しているところの内地米、準内地米をどういうように補っていかれるかということが問題になってくるわけです。最近、韓国の朴農林部長官は、日本人の記者団との会見において、国際収支の改善のために米の長期契約輸出を話し合いたいということを言っておるということが報道されておりましたが、そういう事実を農林省は知っておられるのかどうか。
  35. 坂田英一

    坂田国務大臣 韓国の問題でございますが、さようなことをそう具体的には聞いたことはございませんが、この前向こうへ参りましたときにも、さような希望の一つを聞いたことがございます。これはあとからお答えしてもいいと思いますが、ついでに申しますが、韓国が実はいまから二年ほど前でしたか、むしろ逆に不足いたしまして、日本から二万トンばかりお世話をして米を輸入させたことがあるようなわけでございまして、そういう問題がありますので、私としては、やはりこれは長期的なそういう計画によらずして、実情に即応して進みたい、かように考えておるわけでございますし、さように申しておったわけでございます。
  36. 江田三郎

    江田委員 実情に即してというのは、具体的にどういうことですか。いまあなたのお答えの中にもありましたように、韓国自身が米が余っておるのじゃない、ある意味で飢餓輸出をやっておるわけであります。そうすると、具体的な実情に即してということは、これも可能性はないということですか。
  37. 坂田英一

    坂田国務大臣 お答えいたします。  それは長期輸入という問題でなしに、現在は日本のいわゆる食糧の自給が足らないのでございますから、それらを満たす意味において、朝鮮の事情をもよくお互いに調べ上げて、そして必要な分量をその年々輸入する、かような考え方を持っておるわけでございます。
  38. 江田三郎

    江田委員 さらに、申すまでもなく、いま日本に入っている準内地米、一番大口は中国でしょうが、二番目は何といってもアメリカであります。そのアメリカの農務省の海外農務局長が、アメリカの生産者団体と日本政府との間に契約栽培をしたいということを示唆されたということが伝えられておりますが、その点はどうですか。
  39. 坂田英一

    坂田国務大臣 お答えいたします。  さようなことは聞いてはおりますけれども、私が直接その話を承ったこともございません。
  40. 江田三郎

    江田委員 あなたは農林大臣なんで、聞いてはおるけれども——そういうことをよそごとのように言われて済むことかどうかということなんです。そういうことを具体的に言われた場合にどうされますか。
  41. 坂田英一

    坂田国務大臣 私は、米の問題については、国内の自給を将来に向かってはかってまいりたいという方向でもって進んでおるのでございますから、さような契約を長期にわたって結ぶといったようなことは、やるつもりはございません。
  42. 江田三郎

    江田委員 いまの大臣お答えのように、そういうことは、長期にわたって契約栽培などはしない。しかし、あなたのおことばの中にもありましたように、米の需要ということ、この要請にこたえていかなければならぬと言われておるわけでありますが、一体日本の米というものは、今後どういうことになっていくのか。また米審が始まりますけれども、ややもすると、この米価審議会などあると、一般の国民の受け取り方は、米というものはいつまでも安心して食えるのだということが前提になっておるのじゃないかと思うのです。そこから、米価についても、その角度からの発言が多いように思うのでありますが、いま私が申すまでもなく、この二、三年来米の収穫は減っております。これは一体なぜ減ってきたのか。気象条件が悪かったということで解釈していいのか、そうでないのか。いまのお話のように、東南アジアからの輸入はできないということ、韓国にしても飢餓輸出の状態だということ、中国で米の増産ができたところで、中国自身が膨大な小麦を外国から輸入しておるということ、アメリカは事情が違いますけれども、しかし、あなたはアメリカと長期契約輸入なんかはする意思がないということ、そういう中で、一体日本食糧需給はどうなるのかということを、ひとつ確信のある答えをしていただきたい。
  43. 坂田英一

    坂田国務大臣 現在、根本的には、少なくとも米は日本の国内で自給するという方向に努力を進めてまいりたい、かように存じます。しかし、いま直ちにそれは不可能であることは言うまでもございません。しかし、大体において、年によると九八%、最近は九六%を下回っておるという実態でございますので、現在のところは、どうしてもこれはやはり準内地米輸入によるほかはございません。そういう点で、この輸入という問題を進めておるわけでございます。現在、準内地米として輸入し得る量というものが、普通の場合でございますが、大体のところ、百七十万トン程度のものが輸入のものとしてあるわけでございまして、日本は今年はわりあい多量の輸入をいたしております。大体八十二万トンの輸入の予定でございまして、そのうち、大体七十三万トンの輸入をいまいたしておるわけでございます。現実の状態としてはさようなことでございますが、米についてはどうしても国内の自給をはかりたい、またその方向でもって進みたい、かように存じておる次第でございます。
  44. 江田三郎

    江田委員 人口は申すまでもなく年々ふえていくわけです。そして一方において最近の情勢を見ると、耕地は、新しくできるよりもつぶれるほうが多いわけです。そういうことを考えたときに、ことしの輸入計画が八十二万トンだと言われますが、この八十二万トンというのは、あなたの考え方では、特に昨年度気象条件が悪かったから八十二万トンになったのだという考え方なのか、それとも今後この程度のものは続く、あるいは人口増なり耕地の壊廃によってこれはふえるという考えなのか、ただばく然と努力をするとかつとめますとかいうことでなしに、もっと具体的に答えていただきたい。
  45. 坂田英一

    坂田国務大臣 もちろん、具体的にそれを考えておるわけでございまして、さればこそ、現在直ちに自給はできない、しかし、その方向に努力はいたしておるわけでございます。その方向と申しますならば、それは第一には土地改良についての十カ年計画をやっております。それによって、水田その他農地の増強、いわゆる十カ年間に三十五万町歩、それから草地で四十万町歩というものを目的にしてのそういう方向一つの道であります。それからこれらの生産についての技術問題、あるいは反収をふやすという問題、その他について、こまごまとして、いろいろ重要な問題も含めてそれぞれ施策を講じておるわけでございます。
  46. 江田三郎

    江田委員 あなたは農林省がこういうことをやっておるという自慢をされたところで、これはどうでもいいのです。なかなか実績があがっていないということは、だれも承知しているわけです。私がお尋ねをしているのは、昨年及び本年度の八十万トンとか九十万トンとかという輸入量というものは、異常なことであって、これは今後減るのだという見方なのか、今後さらにふえるのだという見方なのか、その点、はっきりしていただきたいというのです。
  47. 坂田英一

    坂田国務大臣 全体の米の消費の問題から申しますと、一人当たりの消費は最近微減、少しばかり減っておる状況でございます。人口がふえておりますから、微増と申し上げたほうがよかろうと思うのですが、人口等がふえておるということから微増、一人当たりの消費量は微減、こういう現在の状態でございます。もっとも、これはここ三年間ばかりの情勢から見ての話でございますが、さような状況に相なっておるわけでございます。したがって、これらに対する全体の需給関係を見計らって、そして増産の問題を進めていく、こういう方向で、両々相まってこれらの目的を達成しようという考え方でございます。
  48. 江田三郎

    江田委員 日本食糧問題を心配される人々の中には、昨年及び本年度の輸入量というものは、気象条件が悪かったからこういうことになったんだ、したがって、将来は輸入量がもっと減るのだという見方もあるわけです。そういう見方をする場合、そうでない見方をする場合、食糧政策あり方、したがってまた、農業政策のあり方というものは、大きく変わってこなければならぬ問題でありますから、私はその点をはっきりと答えていただきたいと言っておるのでありまして、ただ、いまのような答弁では、われわれとしてはまことに不満足な印象しか受けないわけであります。大臣農業と長く取っ組んでこられたお方なんですから、もう少し自信を持ってはっきりと答えていただきたい。
  49. 坂田英一

    坂田国務大臣 これは分解すると、二つばかりあると思います。一つは、昨年の天候が非常に悪い、すなわち、昨年の四月ごろは天明以来の飢饉になるのじゃないかという大騒ぎであった。これは御存じのとおりであります。天候が非常に悪かった。しかし、天候が悪いわりに、この程度の、千二百四十万トン程度の作ができたということでございます。非常に天候が悪かったにしてはよくとれたというのは御存じの状況でございます。したがいまして、将来の問題はどうなるか、こういう御質問じゃないかと思うのでございますが、それらについて断片的に申し上げて恐縮でありますが、一つは、生産技術その他いわゆる増産の施策が現実に達成されますからして、そういう意味において増産ができ得る。一面は、先ほど申しましたように、米の消費はいままでのようではなしに、一人当たりにすると微減する、全体としては、人口がふえるから、これは少しばかりふえるという消費の面がありますから、両々相まってこれは考察する必要があるわけでございますが、私の考えでは、したがってこれは努力は必要でございますが、自給はでき得るという確信を持っておるわけでございます。
  50. 江田三郎

    江田委員 あなた方は野党にしっぽでもつかまれてはならぬという配慮かどうか知りませんけれども、いつも楽観的なことを言われるわけです。しかし、日本農業問題というものは、そういう楽観を許さない条件が出ていると私は思うのでありまして、とにもかくにも昨年度食糧とえさとで一千万トンの輸入をしたということは、これは全くたいへんな問題だと思うのです。しかもそういう中において、経済同友会のように比較的進歩的な経営者の団体といわれる諸君も、まだ現在の自給度を下げていいんじゃないか、イギリスの四五%までにはいかないけれども、もっと下げてもいいんじゃないかというような考え方がある。しかし、先ほど東南アジアや韓国の情勢を聞いてみましても、そう簡単に外国食糧輸入ということはできるものじゃないということもあなたは考えておられるわけです。一体、これからの世界の食糧事情というものをどのように考えておられるのか。御承知のように、国連の食糧会議において、低開発国のいわゆる飢え死にからの自由ということが問題になりまして、長期にわたって低開発国の人口増を考えれば、十年後には世界食糧が絶対的に不足するというような専門家の答えも出ておるわけです。さらに、そういう中において、一体食糧の価格がどうなるかという問題も出てくるわけです。私は、現在のソ連や中国の食糧輸入というものは一時的なものじゃないと思っておるわけです。ソ連の食生活というものは、われわれの知った範囲によると、でん粉食率が七七%というような、まだきわめて低い食生活の内容です。そういうことを考えていけば、どんなにソ連が農業開発をやっても、あそこの食糧輸入は減らないだろうと思う。中国にしたってそうだと思う。だから、そういうことをもっと真剣に考えて、緻密な計画を立てていかなければ、われわれの食うものがどうなるかということになってくるわけなんでして、いま大臣の答えでは、昨年は天明以来の飢饉というような条件もあったということですが、一昨年はどうだったのですか。一昨年は神武以来の飢饉だったのです。しかも一昨年九十万トン以上の米を輸入したじゃありませんか。そういう気象条件というもので考えていいのかどうか。あなたのほうで出されている農業白書を見ましても、米の生産の漸減ということは、単に気象条件だけじゃないのだ、異常気象というだけじゃなくて、耕地の減少、労働力の急減、兼業化の進展、革新的技術の未熟、そういう問題を出されておるわけでありまして、今後日本の経済がいわゆる近代資本主義として進んでいきますならば、これらの条件の中の耕地の減少にしても、労働力の急減にしても、兼業化の進展にしても、食糧生産という面から見れば、マイナスの条件のほうが多いんじゃありませんか。そういうことを考えても、あなたは日本食糧自給は心配ないという考え方なのか。もしそうでなしに、現在の八十万トンというものをさらに輸入量をふやしていかなければならぬといった場合に、国際市場に出回っているところの準内地米の絶対量から見て、完全なる売り手市場であるところのこういう条件の中で、われわれは一体幾らの米を買うようなことになるのか、そういうことについて、もう少し具体的に答えてもらいたい。
  51. 坂田英一

    坂田国務大臣 江田さんのいまお話しのとおり、私が昨年の災害の問題を申しましたけれども、それだけではもちろんございませんので、この食糧の減るという問題についてのいろいろの事柄については申し上げなかっただけでございまして、それは御存じのとおりでありますから、繰り返して申しませんが、さような関係でございまするので、食糧というものの自給をはかることは、そうたやすいことであるとは考えておりません。したがいまして、私どもといたしましては、第一に土地改良十カ年計画、それによって圃場整備等をやりますこと、その圃場整備にいたしましても、いわゆる地力をよくするということ以外に、やっぱり労働力が減りますので、それらの労働力に対応しての問題も考えながら、それらの問題もやる、なお、耕地の造成も、先ほど申しましたようにやってまいる、こういういわゆる土地問題、これの大きな躍進をはかってまいりたいということが一つでございます。それからなお、それのみならず、構造改善の問題は、引き続いてもちろんこれは進めてまいるのでございます。それから価格政策にいたしましても、やはり小農でございますものを直ちに大経営のようなわけにいきませんので、でき得る限りそういう面を考えつつも、やはり価格政策というものは、ある程度これは考えていかなければならぬことは言うまでもございませんので、それらの点については、常に連絡の上で、また皆さんにも御協力を得て進めておることは、御存じのとおりでございます。これらについていろいろございますけれども、江田委員もよく御存じのことでございますので、長くは言う必要もないと思いますが、それらのことを進めてまいる。それから一つは、これも繰り返して言う必要はございませんが、消費の面についても、いま申しましたように、一人当たりの米の消費は微減しておる、こういう関係もある。しかし、人口がふえるので、ここしばらく統計で見ましても、若干総量において微増というような問題もございます。そういうようないろいろな問題を見まして、私どもとしては、でき得る限りこれらの施策を充実せしめて、そして食糧のうちの大宗である米については、少なくともこれは自給の方向へ持ってまいりたい。しかし、家畜等も、これは非常に需要がふえるのでございまして、同じ食糧であっても、家畜、それから野菜といったようなものも、これは自給せざるを得ない。家畜についてはそこまでいきませんけれども、これらの問題については、家畜については御存じのとおりえさが要るわけで、飼料問題ということになります。飼料までも完全に自給できるかというと、草のほうは自給することに努力はいたしますけれども、草以外の濃厚飼料になりますと、ことごとくこれを自給によって達成するということは、私は困難であるというふうに考えております。そういう意味から、そういうえさの面については、やはり東南アジアその他の方面にずっと長くこれは期待せざるを得ないであろう、こういうふうに考えておるわけでございます。
  52. 江田三郎

    江田委員 これから十カ年で土地改良をやるということなんですが、十カ年ではたしてどれだけのものができるのかということです。さらに、新しい耕地をつくるんだといったところで、現に、農林省が干拓として開いたところが、いつの間にか工業用地と変わっておるようなところがたくさんあるじゃありませんか。鉄道の沿線から見ても、どれだけの耕地がつぶれておるかということを考えたときに、あなた方のそういうような考え方は、希望的観測としてはあっても、現実の問題としてはなかなか出てこないのです。農林省というものがあって、日本農業技術の進歩なりあるいは生産の拡大なりにいままで努力されたと思うのですが、せんだって当委員会においてあなた方の発表によると、単位面積当たりの米の粒数はふえているけれども、重量は減ってきたんだということを言われましたが、まことに重大な問題でありまして、この一つの事実をもってしても、今日までの農林行政というものは完全に失敗しておったのだということをお認めになりますか。そういうことをお認めになるということになると、いまの希望的観測だって、また例によって例ということを判断せざるを得ぬわけです。
  53. 坂田英一

    坂田国務大臣 少なくとも米に関しては、最近のいろいろの情勢は江田委員のおっしゃるとおりでございまして、われわれはこれらの問題に対処していくことについては、より以上の努力は払わなきゃならぬということについては、江田委員と同じ考え方でございますが、しかし、米についてのいままでの努力というものは、これは相当なものでございまして、たとえば終戦後、いまから十年前といまとはたいへんな違いでございます。十年前は六千四百万石くらいが平年作、こういわれておったものが、現在は八千三百万石前後が平年作、こういう非常な大きな問題、ここに増産が実現されておるということでございまして、日本の米作の問題ということについては、努力次第によってかなり進み得るという確信を持っておるわけでございます。
  54. 江田三郎

    江田委員 終戦当時幾らで、いま幾らになったというようなことを言われたところで、それじゃ一体工業生産のほうはどういう率かということを考えてみられたら、そんなに大きなことは言えないじゃありませんか。それよりも、あなたが担当しておられるこの二、三年来は、米の収穫は減っているんですよ。隆々として米の生産が伸びて日本農業が発展しているなら、こういう条件は起きなかったはずでしょう。現に減っているという事実をどう判断されているのですか。
  55. 坂田英一

    坂田国務大臣 本年の非常な不作という問題は、これは先ほど申しましたような天明以来の大不作、大凶作であり、非常な問題でございましたが、これは東北地方、北陸地帯あるいは北海道等の官民相協力しての努力というものがこれを防いで、今日現在の程度に上げられましたことは、私ども農村の皆さんに非常に感謝しておるようなわけでございます。しかし、現在、ここ数年間若干の減少を示しておるのはおっしゃるとおり事実でございます。これらの問題について、いま申しましたように、気象という問題もございますが、なお一面においては、労働人口の非常な減少ということもございます。そのほか、いわゆる第二種兼業といって、御存じのとおり、兼業を主にしたそういうものが増加しておる状態、そういう面も加わりまして、若干の減少を見ておることは、お説のとおりでございます。さような関係でございますし、なおまた一面、水田はそのわりに減りませんけれども、それも合わせまして、水田及び畑が他の方面に転換いたしまして減少いたしておる、こういうことも大きな原因であろうかと思います。そういういろいろの原因がありまして、それらが一緒になって若干の減少を見ておる、そういう姿であろうか、こう思います。したがいまして、それらの原因に即応して、それぞれの政策を立ててまいる、こういうことでございまして、一つは、いわゆる水田あるいは畑の減少に向かっては、草地を加えて十カ年間に七十五万町歩の増強をはかる。それから労働力の不足、いろいろの問題がありますから、圃場の整備ということによりまして、労働力が少なくても、機械等によってこれらの問題を整備していけるようにしていこう、これは江田さんがよく御存じのことばかりだから、あまりに重複して申し上げることもいかがかと思うのですが、そういうようなこと、それから水管理の問題については、今度は特別の施設もやってまいりたいということで、いろいろの技術問題、それから労働問題、すべてにわたってこれらの問題を解決してまいりたい、かように存じておるわけでございます。
  56. 江田三郎

    江田委員 私が知っておろうと知っていまいと、あなたの信念は申し述べられたらけっこうだと思う。ただ、ことばの羅列だけでは困るのでして、もっと的確な答えをしていただかなければならぬと思うのです。  いま大臣があげられた、また農業白書にも触れておるところの、たとえば兼業化の問題というのは、最近の農林統計を見ても、ふえているのでしょう。条件は悪くなるということなんでしょう。労働力が減るということも、日本の資本主義が発展するという前提に立てば、これまた農業にはマイナスの条件が出てくるわけでしょう。しかし、あなたのほうは、たとえば機械によって省力農業をやると言われますけれども、いまあなた方は、日本の大型機械による一貫経営というものは、一体どういう機械を組み合わせたらできるのだという自信があるのですか。構造改善で買った大型機械を倉庫の中にはこりまみれにしている事例が幾らもあるじゃありませんか。あなた方がこれならば機械化一貫作業ができるという確信を持って指導しておるのではなしに、農民の危険と犠牲の上に立って試験研究をやらせているのではありませんか。官僚的な思いつきと無責任な放言だけでやられたのではたまったものじゃないと思うのです。そういう問題は幾らやっても押し問答になりますから、ただ私は、そういうことについてはもっと根本的に反省してもらいたいと思うことだけつけ加えておきます。  もう一つ、次に聞きたいのは、米の消費というものは、わずかではあるけれども、減っていくのだ、他の食糧がふえるのだということを言われましたが、たとえば長期の見通しにおいて、あなた方が何年を、十年後でも十五年後でも想定されてよろしいが、そのときの日本の食生活の構造というものはどういう形になっておるのか、どこへ持っていこうとしておられるのか、そういうことがはっきりしなければ、ただ農業政策はその日その日のお天気次第でこう薬ばりに終わってしまうわけなんです。だから、たとえば十年先なり十五年先なりにおいて、日本の食生活の構造というものをどう考えておられるのか。たとえばでん粉食率というものをどのくらいに考えるのか、これを答えていただきたい。
  57. 大口駿一

    大口政府委員 先ほど来の御質問、主として米の問題が中心でございましたので、私どもいろいろな角度で米の消費の過去の実績なり、それから農林省でまとめました農産物の需要と生産の長期見通しにおいてはどういうふうに見ておったかというようなこと、その後それを中間的に検討いたしました際にどうだったかというようなことから、まず申し上げてみたいと思うのです。  先ほど大臣が申されておりますとおりに、最近の二、三年の間におきましては、一人当たりの米の消費量はわずかながら減っております。数字で申し上げますと、三十七年が年間一人当たり百十七キロ、三十八年が百十六・三キロ、三十九年が百十四・七キロ、こういうふうに微減いたしておるのでありますが、いま私が申しました年度の前には、三十四年から三十七年までの間は、むしろ逆に一人当たりの消費量はふえた時代があったのであります。したがいまして、いまの時点で直ちに、米の一人当たりの消費量の微減傾向が今後も必ず続くのだということを一〇〇%の自信を持って断定するには、やや材料が不足だと思いますが、ただ、食糧の構成が、最近の経済の成長に伴いまして、非常に食生活の構造がいわゆる高度化をしておる。でん粉質食糧の割合が逐次減って、西欧諸国が過去においてたどりました方向と同じ方向を食生活の面でたどっておることは、事実でございまして、その意味で、野菜、果物、肉類、乳製品等の需要量が最近飛躍的に伸びておることも、そのことを物語っておると思うのでございます。ただ、でん粉質食糧が減りましても、その中に占める米の割合というものが、日本人の粒食に対する非常な執着等を考え合わせますと、でん粉質食糧が減っても、米の消費がそれと同じような角度で減らないのではないかというふうな見方も成り立ち得るのでございます。何年か先の食糧構造を想定いたします際に、その間における経済成長率がどういう数字になるのか、それに伴って国民の所得水準がどういうふうに上がっていくかということ、それからまた所得弾性値を幾らに置くべきかということ等がございますので、いろいろな前提を置いて計算をする必要がありますことは御承知のとおりでございますが、私ども三十七年に発表いたしました長期見通しにおきましては、米の需要と生産のバランスの問題は、一人当たりの消費量が、過去に示しましたよりももっとよけいな減り方を示すけれども、耕地面積等は大体横ばいで、米の生産量と消費量とは、大体昭和四十六年ぐらいになれば、気象条件の変化というものを一応捨象して考えますと、大体バランスがとれるんじゃないかという計算をしておったことは事実でございますが、その後、昨年の秋に、中間検討ということで、過去を振り返って実績とその長期見通しの際の数字とつき合わしてみたわけでございますが、その結果、生産面におきましては、米の単位面積当たりの収量が最近三年間ばかり減っておる。面積の関係はそれほど大きな動きはなかったのでありますが、そういうことと気象条件その他からいたしまして、米の生産が、長期見通しを策定いたしました当時よりはどうも少ないということは、先ほど大臣が申されましたが、需要の面で申しますと、長期見通しをやりました際に考えましたほどは一人当たりの消費量が減らない。それから加工需要は意外に伸びておる。それから人口の増加は大体一%ぐらいの人口増加率でございますから、それらを勘案いたしました需要量というものが、どうも長期見通しで考えておったほど減らないのではないかというふうな反省を昨年の秋の中間検討ではいたしたのでございますが、最近、中期経済計画の改定作業とかいろいろな作業が現在経済企画庁で進行中でございますので、経済成長率の前提その他の的確な数字がまだございませんが、一応仮の計算をいたしますと、昭和五十年ごろには、大体一人当たりの米の消費量が、現在の百十四・七キロに対しまして大体百三、四キログラムぐらいになるのではないかという数字を部内の純然たる作業用の数字として持っております。そのような一人当たりの消費量を前提として、人口増加率を考えてみました場合の米の需要量というものは、大体千三百五十万トンから千四百万トンをちょっとこすくらいの数字が、昭和五十年の米の需要ではなかろうかという数字を部内の全くの作業の結果として私どもつかんでおりますが、生産の問題は、最近の単位面積当たりの収量の減をいろいろな技術の面でこれを補ってまいりたいということを考えておりますので、現在の単位面積当たりの収量は全国平均で大体四百キロを少し割ったところでございますが、これが大体一割ぐらい十年間に伸ばし得たならば、先ほど大臣が申されましたような国内の自給というものが、よほどの天候の異変がない限り達成できるんじゃないかという試算は持っております。
  58. 江田三郎

    江田委員 官房長のいまのお答えの中で、食糧政策というものを考え直していかなければならぬ、かつて農業基本法のときに、これからの成長部門は果樹や畜産であって、米のごときはもうたいしたことはないのだというような指導をなさいましたけれども、これを大きく変えていかなければならぬという反省をされておることはけっこうだと思うのですが、ただ、それに伴うところの政策の裏づけがあるのかどうかということが問題になってくるわけです。私は、そういうようなことについては、もっと国民に実態を知らすべきだと思うのです。多くの国民は、まだ米というものはどこからでも買えるのだ、心配ないんだというような認識を持っている。そこから農業政策について誤った圧力がかかってくるわけです。あまりそういうことについて知識のない諸君だけでなしに、経済同友会あたり考え方の中にも同じようなものが出てきているわけです。どうもそういう点について、農林省国民とともにものを考えるということを忘れているのではないかという気がするわけでございますが、それはそれとして、いまの官房長の説明によって米のことはわかりますが、そのときの日本のでん粉の食率はどのくらいになるという計算になっているのですか。
  59. 大口駿一

    大口政府委員 いまのでん粉質食糧の割合は、昭和三十九年の数字しかここに持っておりませんが、六四・六の数字でございますが、これは農業白書にも載っておりますが、先ほどの計算をいたしました計算の方法が少し違いますので、ちょっといまの江田委員の御質問に的確にお答えできないのでございます。と申しますのは、先ほど私が申しました昭和五十年の部内の試算と申しますのは、一応過去の傾向をある程度将来に投影をする方法をとっておりますので、でん粉質食糧の食率を幾らにして、その中の米を幾らというふうな、将来の食生活の構成から逆にスタートした計算をいたしておりませんので、その点が、ちょっといまの私が申しました数字と見合う性格のでん粉質食糧の比率が幾らかという数字を手元に持っておりませんが、少なくとも最近五カ年間のでん粉質食糧の比率は、三十五年度六九・八から六四・六まで減ってきておりますので、その趨勢をたどってまいりますと、六〇を割ったような数字がでん粉質食糧の比率として想定されるのではないかというふうに考えております。
  60. 江田三郎

    江田委員 六〇を割るということになるのは、これは当然のことなんでありますが、常識的には、食生活の高度化というものは、でん粉食率が下がることというように一般的にはいわれておるわけでしょう。そういう中において、たとえばアメリカのごときは二四%ぐらいになっておる。米を食いなれた日本人がアメリカの食生活にそのままいくとは私は思いませんけれども、大体現在のヨーロッパあたりで、ほとんどの国が五〇%あるいはそれ以下のところにいっておるわけで、西ドイツにしても三八%というような数字が出ておるわけであります。したがって、日本が経済が成長して、いわゆる先進国だというようなことがいわれる段階になれば、しかも昭和五十年ということを考えていけば、当然日本のでん粉食率も五〇%前後にならなければならぬはずだと思うわけです。そういうことになってきたときに、一体、これだけでなしに、動物たん白なりその他いろいろな問題が出てくるわけでありますが、それらについて、あなた方のほうは自信のある計画、プランがあるわけですか、その点はどうでしょう。
  61. 坂田英一

    坂田国務大臣 これは畜産の問題につきましては、すなわち、牛乳の問題、それから肉の問題等について、これから現在の情勢を見まして、大体肉については二倍から二倍強というところに増強するということを目当てにいたしまして、それに対する問題を処理してまいる。それから牛乳につきましても、将来はでき得る限りいわゆる飲用牛乳に主眼を置くということで進みたいと思うのでございます。しかし、牛につきましては、大体いわゆる飼料、草の生産に努力してまいるのでございまして、それらについての計画を立てて進めておるわけでございます。ただ、豚あるいは鶏等の肉についての飼料につきましては、これはやはり草というわけにいきませんので、穀物その他の飼料が要るという問題になります。この点については、全部国内で自給するということは、これは非常にむずかしいということを考えておるわけでございます。これらについての問題等は、詳細をまた官房長から……。
  62. 江田三郎

    江田委員 大臣答弁は、発音は聞こえるのですけれども、意味はよくわからぬので、別に無理して答えていただかなくていいです。事務当局でいいですから。  そこで、官房長は、でん粉食率を六〇%以下ということを言われましたが、私は、近代国家ならば、どうしたところで五〇%前後にいかなければならぬと思うわけであります。そのときに、一体土地生産物の総カロリーというものは、どうなるのか。現在の六四%として、一人の一日当たりのいわゆるオリジナル・カロリーが三千四百幾らになっておると思うのですが、それが五〇%あるいはその前後ということになると、その倍以上の総熱量が必要になってくるわけでしょう。それが一体どこまで日本で生産できるのか。ただ希望的観測だけでなしに、そういうことを考えたならば、いまのような行き方をする限りは、全く答えは出てこないのではないか。現在のオリジナル・カロリーが倍になったときに、日本食糧及びえさの総輸入量はどのくらいになるとお考えですか。
  63. 大口駿一

    大口政府委員 先ほど大臣お答えになりましたように、かりに昭和五十年ぐらいの時点で考えますと、牛乳、乳製品が大体現在の二倍半くらい、それから肉の需要が大体二倍くらいというような見当を私どももつけておりますが、その際の増加するえさの要輸入量がどのくらいになるかということは、私どもいろいろいま畜産局においても部内で検討いたしております。ただ、きわめてはっきりいたしておることは、先ほど大臣が申されておりますように、重要な食糧である米でありますとか、あるいは輸入が非常に困難な肉等については、つとめて国内自給につとめるという方向で生産対策をやりましても、濃厚飼料の輸入量というものの増加することは、現在の時点で考えます限り、やや避けられないのではないかというふうに考えております。ただ、昭和五十年のいまの二倍半の牛乳、乳製品の生産とか需要とか、あるいは肉が二倍になったときに、えさの輸入量が具体的に幾らになるかという数字は、非常に計算がむずかしいので、部内でもいろいろな方法で計算をいたしておりますので、いまここで、きわめて責任ある答えとして、数字が幾らぐらいということを申し上げることがちょっとできないのでございますが、ただ、現在のえさの輸入量と比較をいたしますと、相当大きな率での増加が避けられないのではないかというふうに考えております。
  64. 江田三郎

    江田委員 さっきも申しましたように、土地生産物の総熱量というものは、ほとんど現在の倍にならなければ計算は合ってこないと思うのです。そういうときに、昨年のえさと食糧輸入量が二十億ドルということ、この数字でも私はなかなかゆるがせにできないことだと思いますけれども、将来、いま申しましたような、ほとんど倍以上の総熱量が要るという段階になると、たいへんな輸入量になってくるのじゃないか。しかも、そのときには、世界の食糧市場というものは、完全な売り手市場になっておると思うのです。あるいは東南アジアあたりでえさをつくりましても、御承知のように、世界の貿易開発会議において、いわゆる南北問題からして、低開発国の第一次産品の買い上げ価格の引き上げということが強い要請として出てきているわけだし、しかも、一方において、世界の食糧全体が絶対不足をするのではないかということがいわれ、あるいは中国が米を三十万トン売ってくれたからといって、中国の経済が軌道に乗ったときに、値のいい米を売って、安い小麦を買うというようなことをいつまでも続けていくのかどうかということが問題になってくる。そうなると、残るところは、アメリカだけということになってくるのではないか。私は、何も食糧問題についてアウタルキーでいいという考え方じゃありませんけれども、しかし、膨大な食糧あるいはえさの輸入というものが、アメリカという一国の政策に完全に寄りかかっていかなければならぬということは、非常に危険なことだと思うのです。  あなた方は、一体昭和五十年においては、的確な答えでなくともよろしいけれども、輸入量というものは、おおよそ何億ドルになるという推算をされましたか。しかも、売り手市場ですから、単価は上がっていくわけですから、どういう数字を持っておられますか。
  65. 大口駿一

    大口政府委員 先ほど申し上げましたように、まだ的確な責任ある数字をつかんでおりませんが、ごく大ざっぱに申し上げますと、これはえさの需要量からだけ見た数字でございますが、昭和五十年くらいには、現在の倍近い数量を輸入しなければならないのではないかというふうに考えております。  それから、単価の問題でお尋ねでございますが、現在の時点で外国市場の単価の見通しをつけるということは、いまの数量以上にむずかしいことと思いますので、その点は的確に計算をまだいたしておりません。
  66. 江田三郎

    江田委員 現在の倍程度の輸入量というものは、私はきわめて甘い考え方だと思うわけです。大臣あたり宣伝されるところの国内農業の近代化がいわれるようにできても、それでもなかなかそういう数字ではおさまらぬと思うのです。もっと大きなものになってこざるを得ぬと思うのです。何しろ国民の食べることなんです。しかも農業というものは、ことし方針を変えたからといって、すぐに実りがあるものでもないことは言うまでもないわけでありまして、そういう点については、もっとはっきりとした見通しを持ち、そういう真相を十分に国民に納得させる中で、政策を立てていただかなければ、から回りに終わると思うわけです。  私は、なおいろんな問題を質問したいわけで、たとえば牛肉の問題にしても、やがてはこれがカズノコ並みになるのではないかといわれる。そういう中において、それでは、一体農林省の指導されておるところの食肉の生産政策というものは当を得ているのかどうか。残念ながら、私は当を得ているとは思わぬのです。あるいはその他の問題についても多くの問題がありますけれども、時間が来ましたからやめますけれども、ただ私は、この際、農林大臣というか、政府というか、農業の問題を、そのときどきのこう薬張りでなしに、もっと根本的に考えていただきたいということをお願いしたいと思うのです。したがって、当委員会におきましても、そういう問題をもっと十分時間をかけて掘り下げて、長期日本食糧政策というものをどうするかということを方向を出すように、政府当局のほうも委員長のほうも、御努力願いたいと思うわけであります。急にどうといってできるものじゃないのですから。どうも見ておりますと、そういう根本問題が置き忘れになって、ただ目先だけの、やれ近代化資金であるとか何だとかいうような、そういうことだけに追われて、長い目で見たところの政策というものについて、一つも的確な答えをお出しになっていないように思うのであります。  そのことをお願いしまして、私の質問を終わります。
  67. 舘林三喜男

    ○舘林委員長代理 本会議散会後再開することとし、この際、休憩いたします。    午後零時二十二分休憩      ————◇—————    午後四時七分開議
  68. 舘林三喜男

    ○舘林委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  午前に引き続き、農林水産業振興に関する件について質疑を行ないます。湯山勇君。
  69. 湯山勇

    湯山委員 本年の一月に、農事組合法人全国向上組合連合会という法人から、代表理事天野次太郎、その代理人三木仙太郎という人たちが、香川県におきまして地代金請求という訴訟を起こしております。四十六名の人が被告としてあげられておりまして、その訴訟請求の趣旨は、三十四年以後四十年までの地代小作料代金納制に基づく金員及びこれが各弁済期日より支払い済みに至るまで年五分の割合による損害金を支払え、こういうことから、四十六名の人に対して、多くは数十万円、少ないものも数万円の請求の訴訟が提起されている。このことについて、農林省のほうは関知しておられるかどうか、まず伺いたいと思います。
  70. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 香川県からの報告によりまして、ただいまの農事組合法人全国向上組合連合会が、本年の二月のたしか四日と十日と思いますが、小作人合計五十数名を被告として、地代の請求訴訟を提起したということを承知いたしております。
  71. 湯山勇

    湯山委員 そこで、まずお尋ねいたしたいのは、農事組合法人というのは、農業基本法が制定されたときに、それに伴う措置として、農事組合法人というものを認めることになったわけですが、農事組合法人には特にそれについての制限がございました。農事組合法人という名称をかってに使ってはならない、あるいは農事組合法人は農事組合法人という名称を使わなくてはならないというような規定がございましたし、農事組合法人は、農業生産の協業によって共同の利益を推進することを目的とする組合だという規定があったと思うのですが、この農事組合法人全国向上組合連合会、こういう農事組合法人はどういう組合で、適法の組合なのかどうか、これはどうなっておるのでしょうか。
  72. 横尾正之

    ○横尾説明員 ただいま御指摘のございました農事組合法人は、四十年七月十四日に設立登記をされまして、中国四国農政局にその届け出が出ております。定款等によって見る限りにおきましては、違法の点は一応なく、合法的に設立されておるものと考えますが、その事業内容は、共同利用施設の設置、農作業の共同化のほか、農業経営も行なうというふうに定款ではなっております。
  73. 湯山勇

    湯山委員 手続は合法的に行なわれているということですが、この内容ですね。はたして法律で規定されておるような事業をやっておるのかどうか。これには出資組合と非出資組合とがありますね。どちらになっておるのでしょうか。
  74. 横尾正之

    ○横尾説明員 定款によりますれば、出資制をとっております。現金出資制でございます。
  75. 湯山勇

    湯山委員 どういう農業生産をやっておるのですか。
  76. 横尾正之

    ○横尾説明員 定款では、特に農作業なり対象農業の範囲は限定せず、共同利用施設の設置、農作業の共同化のほか、農業経営を行ない得るという定款の規定になっております。
  77. 湯山勇

    湯山委員 やっておるかやってないかはわからないのですね。
  78. 横尾正之

    ○横尾説明員 その点を特に確認をいたしたわけではございませんが、設立が新しいことと、現在までの経緯から見ますと、推定でございますが、農業経営のごときものはやっていないであろうというふうに推定として申し上げます。
  79. 湯山勇

    湯山委員 農業経営をやっていなければ、当然農事組合法人という資格に欠けるということになるわけだと思います。そういう場合、いろいろ申し上げたい点はあるのですけれども、もうおわかりですから省きますが、それぞれの行政官庁はこれの検査をしたり、報告を求めたり、あるいは極端な場合にはこれの解散を命ずるというようなことが、協同組合法七十二条以降ずっとあると思います。適法の組合でなければ、当然これは認めない、認可しないということもできるだろうし、解散を命ずるというようなこともできると思いますが、その点はどうなんでしょう。
  80. 横尾正之

    ○横尾説明員 御指摘のように、報告の徴収権、これは具体的に条文で申し上げますと、農協法の九十三条でございますが、それから九十四条で、業務または会計状況の検査、それから九十五条で、不法行為があります場合にとるべき措置の命令規定、九十五条の二、行政庁による解散命令の規定がございます。  ただ、ここでつけ加えて申し上げたいのは、行政庁による解散命令は、条件が限定をされております。御承知のことで、特に申し上げる必要はないかと存じますが、九十五条の二の一号、二号、三号、三つの条件が限定されておりまして、そのような条件に該当する場合に、行政庁として解散命令を発し得る、こういうことになっております。
  81. 湯山勇

    湯山委員 九十五条の二の事業、いまのように農業生産性をちっともやっていないということになれば、これはやはり適用になるんじゃないかと思うのですが……。
  82. 横尾正之

    ○横尾説明員 御指摘の、事業をやっていないことと解散命令を発し得る事由との関係でございますが、九十五条の二に「組合が、正当な理由がないのに、その成立の日から一年を経過してもなおその事業を開始せず、又は一年以上事業を停止したとき。」という条件は、解散命令を発し得る条件として規定はされております。
  83. 湯山勇

    湯山委員 そこで、参事官が御答弁になったように、農業生産はやってないようだ。それから、いまのような諸規定がありますから、そこで、もしこれをほっておけば、ただ訴訟のための農事組合法人ということになるわけで、すみやかに調査をされて適切な行政上の措置をおとりいただきたいと思いますが、いかがですか。
  84. 横尾正之

    ○横尾説明員 御指摘のございました解散の問題につきまして、御承知のことでございますが、念のため最初に申し上げておきたいのは、先ほども申しましたように、成立の日から一年を経過してもなおその事業を正当な理由がなくて開始しないという期限的な条件を入れてございまして、当該問題になっておりまする農事組合法人全国向上組合連合会は、先ほども申し上げましたが、四十年七月十四日に設立登記をされておりますので、解散命令の当該条項に直ちに該当するという要件が満たされておるという状況にはなっておりません。しかしながら、ただいま御指摘のございました点につきましては、私どもといたしましては、地方農政局とも連絡をして、なお調査を重ねる用意はございます。
  85. 湯山勇

    湯山委員 いまの点、おっしゃるとおりですから、私もそのつもりで申し上げたので、すみやかに行政上の措置というのは、調査とか報告とかおとりになる、さらに時期が来ればいまのように解散命令もお出しになる、そういうことを申し上げておるので、御答弁で了承いたします。  次に、この訴訟の内容ですが、代金納制によって、つまり収量の五割五分に相当する額を払えというのです。けれども、その根拠とするところは、従来地代は物納もしくは代物納あるいは代金納であったのが、終戦後被告らは農地に関する告示の改廃によって地代を代金納制一律にせよという法規を曲解して、金納制にすりかえておる、そして千五百円か幾らか、そういう金額を払ってきた、これははなはだけしからぬという指摘ですが、この点について、農地局長はどのように解釈されるか、承りたいと思います。
  86. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 戦後農地改革によりまして、小作料の金納化が行なわれ、またそれ以降一貫して小作料の統制が金納の形で行なわれておりますことが適法であることは、あらゆる有権者の認めるところでございまして、その訴状によって示される原告の主張は、私ども理由のないことだと確信いたしております。
  87. 湯山勇

    湯山委員 私も同様に考えておりますが、この原告側の主張によりますと、地代金というものは、農地法の基本法規である農調法施行令の第十二条において収量の五割五分に毎年の内閣主催の物価庁の定めた米価に換算した額が地代である、こういうたてまえに立ちまして、農林省の行政官が、農地改革において農地に関する代金納制一律の改正に伴って、地代金が代金納制であるにもかかわらず、故意に法を曲解して金納制にすりかえて実施した、こういう不当なやり方というものは、本来地代というものには金額に統制はないはずだ、にもかかわらず、金額の統制を告示をもってやった、これは憲法違反である、こういう論拠に立っておりますが、この論拠はどういうお考えでしょう。
  88. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 昭和二十年の終わりでございましたか、いわゆる第一次農地改革をやりましたときの農地調整法の改正で、小作料の金納化の規定がございます。念のためお読みをいたしますと、農地調整法の九条の二で「小作料ハ金銭以外ノ物ヲ以テ又ハ金銭以外ノ物ヲ基準トシテ之ヲ契約シ、支払ヒ又ハ受領スルコトヲ得ズ」という規定があります。「金銭以外ノ物ヲ以テ」というのは物納でございます。それから「金銭以外ノ物ヲ基準トシテ之ヲ契約シ、」云々というのは代金納でございます。したがいまして、すでに二十年の末に、農地調整法九条の二によって、小作料の金納化が行なわれておるわけでございます。
  89. 湯山勇

    湯山委員 そこで、いま局長のような御答弁があることを予想してだろうと思うのですけれども、原告側はこういうことを訴状に述べております。かかる違法を排除するために農業基本法ができた。それに伴って農地法の一部改正が行なわれて、農事組合法人の設立が認められるようになった。ところが、その農事組合法人では、組合員に対する配当は、組合員の出資に対する配当を年六分という規定がしてある。この年六分という規定は、これは明らかに従来の収量の五割五分というものに匹敵する率である。したがって、当然いまのような金納制、これは誤りであって、その誤りが農業基本法及び改正された農地法によって正されたものだ、こういう理由を述べておりますが、これは正しいかどうか、御見解を伺いたいと思います。
  90. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 農業生産法人の出資配当に関します農地法二条七項第六号の規定は、法人に対します出資に対する配当の割合を年六分をこえてはならないという規定でございまして、これはあくまでこの出資額に対する六分の配当ということが、イコール小作料の統制額に通ずるとか、あるいはこれによって小作料の統制の水準を改めるということでは毛頭ございません。小作料の水準につきましては、御承知のように、昭和三十年に統制の基準がきめられて以来変更されておりませんけれども、小作料の水準を動かす場合は、それは農地法に基づく小作料の規定を用いて直すべきでありまして、いま申し上げました出資配当に関する件で小作料の水準を動かそうとするものでは全然ございません。
  91. 湯山勇

    湯山委員 和田農政局長が農地部長のころでございますか、「新農地法詳解」という木を出しまして、その中でこの問題を取り上げております。その和田正明氏の「新農地法詳解」というのは、明らかにいまの原告側の主張を認めたものだということをやはりこの訴状に書いてあるのですが、これは正しいかどうか、御当人がおられればまことによくわかるのですけれども、担当の農地局長からごらんになっていかがでしょう。
  92. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 私もこの訴状を読んでおりますけれども、原告の主張がはなはだわかりづらくて、正当な論理をもって事が運ばれてないようでございますので、一々反駁もいたしませんけれども、現在の農政局長の書きました農地法の解釈におきましても、この原告が言っているようなことをバックするものは全然ございません。
  93. 湯山勇

    湯山委員 そうすると農政局側の御答弁によって、この農事組合法人というものは、法の示しておる条件に沿っていないものと思われるという御指摘がありましたし、農地局長の御答弁によって、この訴訟の内容、これはいまの政府のお考えをもってすれば、一々この訴えというものは不当なものだというように私は受け取りましたが、それでよろしゅうございますか。
  94. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 先ほど農政局から御答弁がありましたように、この問題はいままでいろいろ経過がございまして、現在問題になっておりますこの団体の戦術もなかなか巧妙になりまして、表面的にいって、すぐ違法だというふうに言われないような用意もいろいろいたしておるようでございます。たとえば農事組合法人の定款におきましても、共同化をうたって、現在訴訟で提起しておるような問題についての記載は全然ございません。したがいまして、形式的に申しますれば、これが違法の団体というふうになかなか言えないわけでございますけれども、私ども農地行政の面から一つの例を申し上げますと、訴状にはっきり書いてございますように、この農事組合法人に権利が移転したというふうに言ってございます。しかし、その権利の移転につきましては、県知事の許可もございません。その点についても違法の疑いが十分あるわけでございますから、違法の疑いがあるということで、私ども農政局と連絡をしてだんだんと処置をしてまいりたい、かように考えております。
  95. 湯山勇

    湯山委員 農事組合法人の性格については、いまの御答弁でよくわかりました。  なお、この地代金を請求しておる理由ですね。先ほどお尋ねいたしましたが、その理由はもっともだとお考えになられますか。これは全く見当はずれだというふうにお考えになられますか。実はこれと同じようなことが数年前に行なわれました。当時は土地取り上げの問題で、小作地へかってにイモの苗を植えたり、あるいは植えてあるのをひっこ抜いたりして、これは地元の警察の非常によくわかった計らい、処理によって、その物件を差し押えるという形で押収いたしまして、そのままその件は消えたと思います。当時、この件について、農林省の職員の人も何人か職権乱用で告発されたりしておりました。これも解消したと思いますが、その同じ者が同じようなことをまた別な形でやっておるというように私は感じられるわけで、それで、この申し立てておる理由ですね。それについてどうお考えになられますか。
  96. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 私がいままで御質問に対してお答えいたしておりますように、原告の申し立てば理由のないものだと私は確信いたしております。
  97. 湯山勇

    湯山委員 これで終わります。
  98. 舘林三喜男

    ○舘林委員長代理 兒玉末男君。
  99. 兒玉末男

    兒玉委員 農林経済局長にお伺いしたいのでありますが、去る二月二十三日の衆議院予算委員会におきまして、時間の制約もありまして、十分ただすことができませんでしたが、関門の商品取引所に関する問題でありまして、現在私の手元にも相当多数の人から被害を受けた——これに対して、特にこの関門商品取引所に関連する仲買い人の商行為というものは、非常に悪らつであり、しかも、このような商品取引に関する無知につけ込んで、私の手元に来ておる損害額は、大体一千五百万をこえる相当な額になっております。この点については、監督官庁である農林省としてどのような処置をとっておるのか、この点について、農林大臣は、定款の改正なり、あるいは委託者紛議に関しましては、簡単に同意書に判を押させるような当事者の被害を防ぐためにも努力せなければいけないし、そしてまた、仲買い人の営業態度についても、やはり改めるについては積極的にこの解決に努力をしたい、このような答弁をなされておるわけでありますが、現在、農林省当局に対して、おそらく相当数の被害者からの投書なり抗議書が来ているはずでございますが、その後どのような指導をされておるのか、まず総括的な立場からお伺いしたいと思います。
  100. 森本修

    ○森本政府委員 御指摘のように、最近、商品取引所におきまして取引量が増大をいたしますと同時に、委託者との間に紛議がかなり増加をいたしておる。個々の委託者から私どものほうにも、こういう点で紛議があるといったような申し立てもございますし、また、直接仲買い人との間で紛議のような形で交渉が行なわれておるというようなケースもあるわけでございます。私どもとしましては、紛議の問題は、農林省に持ち込まれたものにつきましても、あるいは直接的な交渉をやられておりますものにつきましても、いずれも取引所に対しまして、できるだけ円満に紛議が解決されるように十分申し伝えておりますと同時に、当該仲買い人に対しましても、委託者からの申し立てに対してできるだけ懇切丁寧に紛議を解決するように指導監督をいたしておるわけでございます。ただ、紛議が起こりましてからその解決に奔走するということだけでは十分ではございませんので、むしろ紛議が起こらないように、できるだけ委託者との関係で、委託の扱いについて十分慎重を期するように、あるいは仲買い人なり、その代表者となってやっておりますところの外務員の素質を向上するといったような、各般の紛議の多発を防止するための指導監督をここ一、二年来強化しておる、そういうふうなことで対処をいたしておるわけでございます。
  101. 兒玉末男

    兒玉委員 現在農林省に、いろいろ紛議等があって、解決なりその他についていろんな書面が来ていると思うのですが、大まかでもけっこうでありますけれども、大体どういう仲買い人を対象としてそのような紛争が提起されておるのか、その点わかっておりましたならば、ひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  102. 森本修

    ○森本政府委員 具体的に御指摘のございました関門商品取引所の紛議の状況を申し上げますと、昨年の九月から現在まで、取引所の報告によりまして私どもが承知いたしておりますところでは、十三件ばかり紛議が発生をいたしております。そのうち、八件は紛議の円満解決を見ておる。それから一件については解決について交渉中であるというふうなことで、残る四件につきましては、やや紛議が長引いておりまして、いろいろな手段で解決に努力をしておる、あるいは裁判に持ち込まれておるといったようなものもあるようでございす。具体的にどういう仲買い人についてというお話がございましたけれども、事は一つの商取引に関係することでもございますので、具体的に仲買い人の名前をあげて申し上げることもいかがかと思いますけれども、全般の紛議の発生状況、それから最近における解決なり、紛議の進捗状況といったようなものは、以上申し上げたようなことになっております。
  103. 兒玉末男

    兒玉委員 具体的な仲買い人の名称は出さないにいたしましても、今後やはりこのような事柄をさらに拡大しないし、あるいはまたこのような紛争をさらに紛糾させない、こういう点についても、先般の農林大臣答弁の中にもありましたとおり、大体紛争を提起している最大の原因というものが、この仲買い人の中におけるいわゆる外交員の無資格者もしくは誇大な宣伝、それにまた当事者の無知につけ込むなど、その行為というものは、非常に卑劣な行為と、無知につけ込んだところの非常にあくどい行為によって、このような紛争が提起されているのですが、このような行為を規制するための法律なりあるいは規則なり、また行政官庁としての監督指導というものは、どの程度まで拘束力を持つのか、その辺の点をひとつ御説明をいただきたいと思います。
  104. 森本修

    ○森本政府委員 紛議が発生をいたします要因は、いろいろな要因があるわけでございますが、一つは、御案内のように過大宣伝といいますか、そういうふうな広告、宣伝の面におきまして、商品取引所の取引の中に一般の大衆を勧誘するといいますか、そういうふうな問題、それから個々の委託者と仲買い人との間の勧誘のやり方が必ずしも適当でないといったような問題、あるいは受託のやり方が適正でないといったような問題、あるいは直接受託の関係に当たりますところの外務員の素質なりあるいは行為が適切でないといった各般の要因があるわけでございます。  私どもは、そういった問題に対しまして、一昨年以来いろいろな角度から規制あるいは監督指導といったようなことをやってきておるわけでございますが、第一の広告、宣伝の面につきましては、いたずらに過大な、あるいは一般の大衆をそそり立てるような広告、宣伝は必ずしも適当でないということで、私どものほうで通達を出し、あるいは事実上指導監督をいたしまして、できるだけそういった広告、宣伝面についても適正を欠くような形でやられないようにやってもらっておるわけです。具体的には、現在取引所におきまして、広告、宣伝についての自主的な規制をやっております。自粛要領といったようなものをつくりまして、あるいは広告、宣伝の媒体の使い方、その宣伝内容、規模といったようなものについて、できるだけ適正な広告、宣伝に限るように自主的に規制をしておるといったような点がございます。  それから個々の勧誘のやり方でございますが、これにつきましても、間々紛議の原因になりますのは、一定の利益を保証する、あるいは損失が起これば仲買い人が損失をカバーするといったようなことを言いまして、一般大衆の勧誘に当たる。それが紛議の大きな間違いのもとになるということが多いわけでございます。そういう点につきましても、そういったことは絶対にしないようにということで、しばしば通達を出し、また事実上指導を強化してきておりまして、最近におきましては、そういうものは、取引所としては、利益の保証とか損失の保証を約束をして勧誘をすることは禁止するといったようなことを定款上きめております。  それから受託関係につきましても、あるいは無断売買をするといったようなこと、一任売買をするといったようなこと、こういうことが紛議の非常に大きな要因になっておるわけです。そういう点につきましても、あるいは受託契約準則を改正するといったようなことで、できるだけ委託者の指示に従って仲買い人が売買をするという点についての諸規定の改正をしておるといったような状況でございます。  あるいは外務員の資質の向上等につきましても、新たに講習をやる、講習を受けた者でないと外務員に登録をしないといったようなこと、先ほど来申し上げました禁止事項に違反をして勧誘をしたような外務員に対しては、登録を取り消すといったようなこと、そういった各般の点につきまして、できるだけ委託者の紛議が起こらないように私どものほうでも指導をいたしております。取引所のほうとしても自律的な規定を改正して自粛していこう、こういうふうな形に現在のところはなっております。
  105. 兒玉末男

    兒玉委員 現在まで営業停止を行なった仲買い人もあるのじゃないかと思うのですが、営業停止の処分を行なう場合は、大体どういうことを基準とし、あるいはどのような違反行為に対して営業停止の処置をとっておるのか、その例があるならば、ひとつ例を示していただきたいと思います。
  106. 森本修

    ○森本政府委員 従来営業停止をしてまいりました件数が過去数件ございますが、主として私どものほうで仲買い人を検査をいたしまして、検査の結果、法令違反でありますとか、あるいは諸規定違反でありますとか、そういうふうな事実が判明いたしますれば、その違反事実の軽重に従って営業停止をする、あるいは文書による戒告をするといったようなことで、仲買い人に対しまして処分をいたしておるわけです。営業停止をいたしました事実としてかなり大きいものは、あるいは登録を受けない事務所で営業行為をやっておる、あるいは登録を受けていない外務員がお客との間に取引をしておるといったようなケース、そういったことが営業停止の主たる原因になっておるわけです。
  107. 兒玉末男

    兒玉委員 私も、ここで農林省が具体的な個々のケースをすべて解決をする義務はないと思うのですが、少なくとも私の手元にあるいろいろな被害者からの内容によりますと、相当悪質な行為によって、いま局長が答弁されましたような事項に該当するような行為も、少なくとも私が知る限りではあるように思われるわけです。そこで、私は個々の仲買い人の名称を指摘することは控えたいと存じますが、少なくともかなり規模の大きい、しかも歴史も古いといわれているような四社が私の手元にきております。この点、私がここで指摘するまでもなく、局長も十分理解をされていようかと存じますが、提起されている問題の内容は、これは当然農林省当局が解決すべき問題、あるいは単に指導、監督等によって正す問題とに区別されるべきでありますけれども、やはり今日依然としてこのような被害者からの抗議書等が続くことは、まだまだ農林省当局のきちんとした監督が行き届いておらぬということを示すものではなかろうかと私は考えるわけであります。そういう点から、いま提起されている四社の点については、さらに積極的な指導によってこの問題の解決がすみやかにできますことを私は特に要望申し上げると同時に、この際、せっかく次官も御出席でございますので、問題が少数の人間といえども、やはりその金額は大体二百万、三百万、その全財産が全く無に帰するような重要な政治課題でもありますし、この点が表面化しますと、おそらく私は、北海道から名古屋、大阪、神戸等、各商品取引所に関連する一般の大衆にも相当の問題が提起されるのじゃないか、このように考えますので、この際、特に政治的にも、また行政上の問題としても、十二分の配慮をいたしまして、このような無知につけ込んだ商取引行為によって一般の大衆に被害を与えないように、積極的な指導を私は要望し、次官の御所見を求めまして、私の質問を終わりたいと思います。
  108. 仮谷忠男

    ○仮谷政府委員 兒玉先生の御質問、私ども全く感を同じくするものでありまして、実は私のほうにもいろいろな方面から直接陳情を受けておるのであります。特に商品取引関係に比較的知識の乏しい一般大衆が、こういうものによって犠牲を受けるということは、これはわれわれとしてもほんとうに真剣に考えなければならぬ問題だ。絶えずそういうことを関係者とも話し合いまして、厳重にいろいろやっておりますが、従来まだまだ十分に行き渡らない面もあって、まことに申しわけないと思っております。大体紛議調停ということを指示いたしまして、それによって大部分のものは円満解決がついていっておりますけれども、一部分訴訟に持ち込まなければならないものもあります。要するに、御説のように、そういった問題がすみやかに解決され、また今後そういうことを未然に防ぐように、われわれは全力をあげて指導し、監督していかなければならぬ、こういうふうに思っております。御説に沿って努力をしてまいりたいと存じます。
  109. 舘林三喜男

    ○舘林委員長代理 本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十八分散会