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1966-03-23 第51回国会 衆議院 農林水産委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月二十三日(水曜日)    午前十時四十分開議  出席委員    委員長 中川 俊思君    理事 大石 武一君 理事 倉成  正君    理事 田口長治郎君 理事 舘林三喜男君    理事 本名  武君 理事 赤路 友藏君    理事 東海林 稔君 理事 芳賀  貢君       伊東 隆治君    池田 清志君       宇野 宗佑君    金子 岩三君       小枝 一雄君    坂村 吉正君       高見 三郎君    丹羽 兵助君       野原 正勝君    野呂 恭一君       長谷川四郎君    藤田 義光君       松田 鐵藏君    森田重次郎君       江田 三郎君    兒玉 末男君       千葉 七郎君    西宮  弘君       松浦 定義君    湯山  勇君       中村 時雄君  出席国務大臣         農 林 大 臣 坂田 英一君  出席政府委員         農林政務次官  仮谷 忠男君         農林事務官         (大臣官房長) 大口 駿一君         農林事務官         (農林経済局         長)      森本  修君         農林事務官         (農政局長)  和田 正明君         農林事務官         (農地局長)  大和田啓気君         農林事務官         (園芸局長)  小林 誠一君  委員外出席者         農林事務官         (畜産局参事         官)      太田 康二君        専  門  員 松任谷健太郎君     ————————————— 三月二十二日  入会林野等に係る権利関係近代化の助長に関  する法律案内閣提出第一一一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農業近代化資金助成法の一部を改正する法律案  (内閣提出第九七号)  農業信用基金協会法の一部を改正する法律案  (内閣提出第九八号)      ————◇—————
  2. 中川俊思

    中川委員長 これより会議を開きます。  農業近代化資金助成法の一部を改正する法律案及び農業信用基金協会法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許可いたします。湯山勇君。
  3. 湯山勇

    湯山委員 前回、信用協会につきまして質問を申し上げておりましたが、資料が不備でございましたので、その資料をいろいろお尋ねして、それも整いましたから、引き続いてお尋ねをいたしたいと思います。  前回お尋ねいたしました信用協会に関する点では、一つは、構成団体任意加入、脱退の問題、これは大臣お尋ねするということで、その次にお尋ねいたしましたのは、七十八条一、二項の包括保険選択保険の区分、これは将来全部包括に含めるべきではないかということをお尋ねいたしておりましたが、この点も結論は留保しておくことにいたします。  きょうお尋ねいたしたいのは、主として信用協会保険設計についてでございますが、いろいろお聞きした資料等で見まして、信用協会が非常に不安定だという感じがいたします。そこで、その問題を中心にしてお尋ねをいたしたいと思います。一つは、包括任意関係、これが大体依存度が五〇%ということでございましたが、先般の質問によって、これはもっとふえる、そういう可能性があると思います。  それからその次に、事故率の問題ですが、事故率政府のほうではいま幾らに見ておられましょうか。
  4. 森本修

    森本政府委員 事故率は先般もお答え申し上げましたように、〇・三%ということで想定をいたしております。
  5. 湯山勇

    湯山委員 もう一度お尋ねいたしますが、〇・三%ですか。
  6. 森本修

    森本政府委員 ちょっと言い間違えましたが、三%でございます。
  7. 湯山勇

    湯山委員 それでわかりましたが、三%の根拠、これをこの前にお尋ねしかかっておったわけです。事故率三%はどういう根拠から出た数でしょうか。
  8. 森本修

    森本政府委員 昭和三十七年と三十八年の延滞率のうち、一年を経過したものの延滞率によって三%ということにいたしてございます。
  9. 湯山勇

    湯山委員 一年を経過したのが三%だということになりますと、一年未満というのは、三%プラスアルファ、こういう形になると思いますが、そういう解釈でいいわけですか。
  10. 森本修

    森本政府委員 一年未満のものでございますと、三%より若干上回ってくるといったようなことに実績ではなってございます。
  11. 湯山勇

    湯山委員 そうすると、事故率三%というのは、これよりも実際は多いというただいまの御答弁なので、ではどれくらいになるかという、もう少し正確なことをお尋ねいたしたいと思うわけです。一カ月あるいは二カ月、三カ月と月別に区切って延滞率が出ておれば、それをお尋ねいたしたい。出ていなければ、どういうふうにとっておられるか、その一カ年未満の分の延滞状況、これを御説明いただきたいと思います。
  12. 森本修

    森本政府委員 先ほど申し上げました、三十七年と三十八年に償還期が到来いたしましたものの事故率を見てまいりますと、償還期を過ぎて三カ月以上延滞になっているもの、それが約六%ということになっております。
  13. 湯山勇

    湯山委員 三カ月以上が六%というのは、その中に一年以上も含まれてでございましょうか。
  14. 森本修

    森本政府委員 もちろん、その中に一年以上延滞するであろうというものも含まれておるわけでございます。
  15. 湯山勇

    湯山委員 先ほど一年以上のものが三%ということでございました。そうすると、それは六%かう引くわけですか。六%の中に含まれているわけですか。
  16. 森本修

    森本政府委員 数字性格としましては、内ワクでございます。
  17. 湯山勇

    湯山委員 そうすると、三カ月以上が、いまの一カ年以上の三%をのけても、なお三%あるということは、これは延ばせば一年以上の一%程度に当たっておる、三カ月以上の三%ですから。半年もあればあるいはもっと多いのもあると思います。だから、少なくとも三%というこの設定は、四%もしくはそれ以上ということでなければ、保険設計としては危険である、こういうことになるのではないでしょうか。
  18. 森本修

    森本政府委員 先般も申し上げましたように、近代化資金延滞は、いろいろな性格のものが含まれておるわけでございます。かなり多い部分がいわゆる経過的な延滞ということで、最終的には延滞になりませんけれども、時期的に形式的に区切ってみますと、延滞という形になるというふうなものがかなり多いだろう。実績を見ましても、先ほど来申し上げましたように、三カ月以上延滞が六%、それが九カ月たちますと三%に下がってくる。それからさらにもう少し時間が経過いたしますと、延滞の率が下がってくる、こういうふうな経緯になっておりますので、われわれとしましては、一年以上延滞をしたものについて事故率として算定をすれば、まずまず保険設計上そう大きな支障はないのではないか、こういうことで、その数字をとっておるわけでございます。
  19. 湯山勇

    湯山委員 こういうことではないでしょうか。一年以上延滞というのは三%、これは了解できます。しかし、それをぎりぎり一ぱい見ておるのは、どれだけプラスアルファになるかわかりませんけれども、ともかくもプラスアルファ、あるいは一%になるのか、もっと少ないのかもしれませんけれども、ともかくも三%よりは、いまの御説明では幾らか多くなるということになると思いますが、それはそういう判断でいいわけですか。
  20. 森本修

    森本政府委員 いままでの実績を見てまいりますと、先ほど申し上げましたように、三%程度事故率を見ておれば、あとは時間的な経過の問題でございますから、保険設計としてはそう大きな支障はないのではないか、こういうふうに見ております。ただ、御指摘のように、形式的にある時点をとりますと、それよりも上回った事故率が出ておりますけれども、その点は、保険をやっていきます上にはそれほど大きく問題とすべきことではないのではないか、そういうふうに思っておるわけでございます。
  21. 湯山勇

    湯山委員 保険設計から見れば、なるべく安全に見ておくほうがいいと思いますので、この点ももう少し安全に見る必要があるのじゃないかと思いますけれども、一応それは御説明で了解したことにいたしまして、この近代化資金の場合は、災害等によって近代化資金支払いができない、天災融資を受ける、あるいはさらにそれの激甚災の指定を受けるというような例が、ここ数年続いておると思います。これはどの程度見ておられるのか、その見ておられる根拠はどういうところにあるか、これをお聞きしたいと思います。
  22. 森本修

    森本政府委員 災害等が起こりまして、近代化資金期限内の返済ができない、ことに当年度予定をされております償還額がその時期には返済が困難だという場合には、近代化資金のほうでもその期限猶予といいますか、そういうふうなことをしばしばやっておるわけですし、今後も随時実情に応じてそういう措置をとっていくつもりでございますので、そういうことになりますれば、その分は延滞ということにはならないわけでございます。そういうことを考えますと、災害等によって、その償還猶予について適切に行なわれれば、事故率がそう上がってくるということではないのじゃないか、そういうふうに見ております。
  23. 湯山勇

    湯山委員 保険の場合は、そういったような事故に対しての予想ということも必要であると思うのです。確かに貸し付けしたものが災害によって焦げつくということは少ないかもしれませんけれども、しかし、保険としては、それらを予想して、そういう場合には焦げつきになる率も多いと思いますので、その予想と対応する対策が必要だと思いますが、それはどのようになされておりますか。
  24. 森本修

    森本政府委員 事故率等についての見方はそういうことでございますが、先日もお答えいたしましたが、保険設計の中に、中央の保険協会にはいわゆる責任準備金という資金を積むことになっておりますが、異常な危険が発生いたしました場合には、そこの保険責任準備金を取りくずして保険金支払いができるというふうな仕組みにいたしておりますので、災害その他の異常事態に対しましてはその保険準備金をもって対応できる、こういうふうなことになっておるわけでございます。
  25. 湯山勇

    湯山委員 その準備金の具体的な額とか、あるいは何に対する率とか、そういう基準はどうなっておるでしょうか。
  26. 森本修

    森本政府委員 保険責任準備金計算は、異常事故によりまして保険金支払いが倍増するというような場合にも、十分対応できる額を算定して造成することにいたしております。具体的な額としましては、四十一年度は約六億二千万円、それを三年間にわたって造成をしてまいりまして、約十八億ないし十九億の準備金造成する予定でございます。
  27. 湯山勇

    湯山委員 これで大体保険設計要素についてほお尋ねをしたわけですが、御説明を聞きますと、近代化資金総額は一千億をこえてくる。そして保険協会への依存度は五〇%を上回ってくる。しかも事故率は三%ということですが、なおこれを上回ることが予想される。さらに今度は保険掛け金ですけれども、これも前回お尋ねいたしますと、〇・三%はこれは最高であって、それよりふえるということはないという局長の御答弁。こういうことを見て、ただいままでお示しいただいた資料計算してまいりますと、この保険はだんだんと年を経るに従って赤字になってくるという計算が出てまいります。つまり、回収金掛け金、その合計で支払ってまいりますと、どうしても足りなくなってくる。こういう計算になりますが、政府のほうの計算はどのようになっておるでしょうか。
  28. 森本修

    森本政府委員 保険のことでございますから、数年を経過する間に保険設計と事実の間に一時的なギャップを生じるということはあり得るわけでございます。現在の想定では、私ども先ほど来申し上げました諸要素を組み合わせまして保険設計をいたしておりまして、ことに準備金は、三年間で先ほど申し上げましたように十九億近くというようなことで造成をするわけでございますから、さしあたり数年間はその造成される準備金で十分対応できる、保険の運行上、財政的にそう大きな支障は来たさない、こういう見通しを持ってやっておるわけでございます。
  29. 湯山勇

    湯山委員 大ざっぱな見通しではなくて、いままで個々の項目について数字を押えてお尋ねをしてまいったわけです。  そこで、もう少しこまかくお尋ねいたしますと、保険収支赤字になってくる、収支勘定だけで見ると赤字になってくるというのは、一体何年目くらいからになるでしょうか。
  30. 森本修

    森本政府委員 保険収支見通しを申し上げますと、四十一年度から四十三年度までは、その年次保険料収入に比べまして、保険金支払いが少ないという形に見通されております。したがって、この三年間は保険料収入が累積してくるというふうなかっこうになります。四年目以降は、その年度の保険料収入をもって保険金支払いは多少足が出るといったような計算になると思います。現在の見通しでは、そろいうふうにして保険料収入を三年間累積してためてまいりましたものが、五年目ないし六年目ごろまでに保険金支払いの補てんに充てるというふうな形になります。それ以降はある年次までは保険準備金、それをもって保険金支払い不足額に充当していくということで、大まかに年次を区分して申し上げますと、そういった推移をたどるものと思っております。
  31. 湯山勇

    湯山委員 非常に重大な問題で、この保険としては一番大切な問題だと思います。つまり、発足して三年目もしくは四年目までは掛け金回収金とで黒字である。しかし、四、五年先ではその収支赤字に転ずる。赤字に転じたものはいまの準備金のほうでこれを支払っていく、こういうことになっている。こうなりますと、ずっとそれ以後赤字が続いていく、つまり、準備金の取りくずしが行なわれていく、こういうことになると思います。これは簡単に計算すればわかることであって、かりに資金総額が一千億と見て、そうして基金協会保証依存率七〇%程度と見て、保険協会保険に依存するものが五〇%、その中の保証が七〇%で、事故率三%、こう見ても、四年目あたりから赤字になります。さらにこれが保険協会への依存度包括選択関係で六〇、七〇となってくる、事故率がいまのように三%プラスアルファ、こうなってくると、もう赤字転化は非常に早い。発足してまともにすべり出さないうちにもう赤字が出てくる。こういう保険設計になっておるのですが、私がいま申し上げましたことについては、そのとおりだというようにお認めになられましょうか。
  32. 森本修

    森本政府委員 大まかに言いまして、いま御指摘のような推移をたどるものと想定をいたしておりますが、何ぶんこの保険設計三つ要素で組み立てられております。一つ保険料一つ支払い保険金一つ回収金、こういう三つ要素で組み合わされておるわけであります。回収金のほうはやや長期にわたって回収をする予定でございますので、いま申し上げましたような期限を限っていきますと、御指摘のような推移になるわけでございますが、ただ、赤字がずっと将来累積し続けるというふうなことには想定しておりません。もう少しロングランに見通しを立ててみますと、むしろ回収金のほうが多くなってくるという時期がくるわけであります。そういうふうなことを想定いたしますと、四、五年以降は赤字が累増し続けるとはわれわれは想定していないわけでありまして、十年あるいは十五年たちますと、また赤字が減少してくる、そうしてまあ二十年ぐらいのタームで見てまいりますと、長期的な均衡がはかられる、そういうふうな設計をいたしております。その間の資金繰りのために、先ほど申しました保険責任準備金を必要額造成する、そういうふうな形になっておるわけでございます。
  33. 湯山勇

    湯山委員 非常に重大な問題ですから、政務次官お尋ねいたしたいと思うのです。  いま局長からも御答弁がございましたように、当初保険の発足当時は、確かに保険財政黒字で出発いたします。ところが、いま御説明にあったような資料を組み立てていっても、四年目ぐらいから保険では入ってくる金よりも出る金が多いのです。そうして赤字がずっと続いていく。そしてその赤字がいま局長の言われたとおりにしても、二十年ぐらいたたなければその状態はなくならない、解消しない、こういう御説明なんですけれども、もうすでに出発して軌道に乗ったときには赤字になっている。そうして準備金の取りくずしがそれから始まって、あるいは十年、十二、三年、十四、五年のころはもうとてもこの準備金では足りない。先ほどのように保険安全性から見れば、その必要な額の二倍くらい見ておかなければならない。ところが、もう十年目ぐらいで二倍は見られない、足りなくなるわけです。そうなると、この保険というものは、せっかく出発しても、きわめて危険なものになってくる、その限りにおいては非常に不安定だということになるわけで、そういうものをいま直ちにこれでよろしゅうございますということは、だれでも言えないと思うのです。政務次官もそれでは困る、十年もたてばもう準備金の半分以上食いつぶす、そうして支払う金額のほうは大きくなって、その差はもっと開いてくる、こうなってくると、ある段階ではもう準備金なんというものは一文もなくなる、これはそう長くない間、十二、三年もすればもうなくなってしまう、これではたいへんですが、これは一体どうお考えでしょうか。
  34. 仮谷忠男

    仮谷政府委員 ただいまのお説は、ごもっともであります。しかし、われわれも、この法案というものは現在非常に必要を感じて、ぜひ将来十分にその趣旨が徹底するようにつとめていかなければならぬと思っておりますから、準備金の取りくずし等のために、かりに将来問題が生ずるようなことになるとすれば、その際には、交付金等によって十分に調整して、制度が将来そのことによっていろいろな欠陥を生ずることのないように十分配慮していかなければならぬことは当然であります。
  35. 湯山勇

    湯山委員 いま政務次官が御答弁になられましたように、現在の交付金だけでは、もう非常に近い期間に危険な状態に陥る、これは明瞭なことです。そこで、将来の交付金について、その必要は政務次官認めになられました。政府として、将来の交付金について何らかのめどを立てておられるのかどうか、これは局長いかがでしょう。
  36. 森本修

    森本政府委員 くどいようですが、もう一回保険設計について補足させていただきますと、三年あるいは四年といったような区切りをいたしますと、さっき御指摘になったような傾向をたどる見込みでございますけれども赤字は九年目がとりあえず最高になる予定でございまして、十年目以降からは減少してくるといったような見通しになっております。したがいまして、私ども設計では、現在の保険準備金の額でもってそれほど危険な保険状態になるというふうには思っていないのでございます。しかし、先ほども申し上げましたように、設計と実施との間にはギャップが生じることも想定をしておかなければならぬわけでございますから、その間において意外に保険金支払いが多くなるというふうなことで、保険準備金をもう少し余分に造成しなければならないという事態になりますれば、当然政府としても、その造成のための所要財源措置をとるということは予定をいたしておるわけでございます。
  37. 湯山勇

    湯山委員 この点は局長、遠慮なさらないで、明確にお答えいただくほうがいいと思うのです。これは政策的なものでもありますけれども、計数的なものですから、遠慮なさらないで、あなたの責任でどうこうということを申し上げているのじゃありませんから、ひとつ思い切って大胆にお答えいただくほうが将来のためになるわけです。そこで、かりに十年目、あるいはいまおっしゃった九年目がピークになるだろうということですが、しかし、そうなっても、あと数年にわたって基金の取りくずしが行なわれる。そうなったときには、支払い額に匹敵する、二倍ないし二倍以上の準備金を持つことができないということは、すぐこれはおわかりでしょう。つまり、保険安全性からいえば、保険金相当額準備金を持っていなきゃならない。その体制は十年もたてばくずれる、確保困難になる、これは間違いないと思いますが、いかがですか。
  38. 森本修

    森本政府委員 そういう事態があるいはくることが想定されるかもしれません。そういう場合には、われわれとしましては、なるべく早めに安全をとって、その準備金造成に取りかかりたい、そういうふうに思っております。
  39. 湯山勇

    湯山委員 私が聞いておるのと局長の答えとは逆になっておるのです。私は局長の御答弁をもとにして、そういう事態になるのじゃありませんかということを申し上げておるので、そうすると、局長のほうはそれを受けて、あるいはそういう事態が起こるかもしれない、こう非常にあいまいにお答えになっておられる。そうではなくて、局長の言われたことからいえば、そういうことになります、こういう御答弁があってしかるべきなので、私のほうは、あるいはそういう事態が起こるのじゃないだろうかというお尋ねをしておる。それをはねかえしてもらったのでは困るので、いままで御説明にあったそれぞれの数字、それから率、それらを見て、いま予想しておる計算ではそうなる、こうお答えになるのが至当だと思いますが、そういうふうに御答弁願いたいと思うのです。
  40. 森本修

    森本政府委員 計数的には、お手元に差し上げてございますから、お手元の計数によってお読み取りをいただきますれば、おわかりいただけると思うわけでありますが、先ほど来言っておられますように、保険金支払い予定額に対しまして、必要な責任準備金といいますか、それを二倍積むという想定をいたしますれば、四十七年あるいは四十八年ごろには所要額を割るというふうな事態想定されるわけでございます。
  41. 湯山勇

    湯山委員 そういうふうにお答えいただくと、たいへん楽になります。  そこで、せっかく発足して、すでに七、八年先ではそういう危険な状態予想されるということは、これはこの保険を進めていく上からも、場合によっては支障を来たす、こういうことになりかねないわけで、保険であればあるだけに、その場合にどう対処するか、これはこの際、この審議を通じて明瞭にしておく必要があると思います。そのことについては、政務次官も、それはどうするのだということを明らかにする必要がある。こういうことでございますが、これはこの保険にとってはきわめて重大な問題でございますから、ひとつ大蔵省とも十分お話し合いになって、そして局長、次官の答弁が不満というわけではありませんけれども責任者である大臣からそれについて答弁する、それについて大蔵省ともこういうふうに話し合いをしているという点を、大臣のおいでになった機会に明らかにしていただきたいと思います。いまのは重大問題でございますかう、ひとつ委員長においてもそのようにお計らい願いたいと存じます。
  42. 中川俊思

    中川委員長 はい、承知いたしました。
  43. 湯山勇

    湯山委員 それでは、委員長から御了解を得ましたので、この保険設計については、なおいろいろ意見もございますけれども、一応おいて、この点については終わることにいたしまして、次に、これとは別に小さい問題ですが、役員ですね。この数は一体どうなるのでしょうか。提案説明の中で、出資額に応じて出すようにすれば中金のようになってしまうとして、中金のようになってしまうのがいいとも悪いとも書いてないですけれども、ともかくそういうふうになってしまう、そこで、この役員構成についてはこうこうというような御説明があるのですが、それがあまりよくわからないわけですが、どういうふうになるのか、ひとつ御説明をしていただきたいと思います。
  44. 森本修

    森本政府委員 役員の数は、とりあえず理事四名、それから監事一名というようなことで出発いたしたいと思っておりますが、その構成は当然会員の選任ということできまるわけでございますが、私ども見通しとしましては、中金あるいは地方の基金協会代表者あるいは学識経験者といったような方がその役員構成するものと予想をいたしております。
  45. 湯山勇

    湯山委員 理事長は理事の中から選ばれるわけですか。
  46. 森本修

    森本政府委員 理事長は理事の中から選任をされるということになります。
  47. 湯山勇

    湯山委員 その理事長について、何か腹案がおありなんですか。
  48. 森本修

    森本政府委員 現在のところは、まだそういう目鼻はついておりません。
  49. 湯山勇

    湯山委員 たとえば、中金理事長等が兼務するということはないわけですか。そういうこともあり得るわけですか。
  50. 森本修

    森本政府委員 まだちょっとそこまでは見通し理事長についてはついておりませんので、お答えする用意はございません。
  51. 湯山勇

    湯山委員 それから監事一名ですね。これはいつも申し上げているし、この前行管の方からも、監事一名は好ましくないということを、私がお尋ねしたら、御答弁があったのです。これだけの金を運転していって、しかもこれだけ大きなことをやっていこうというのに、監事一名というのは、複数にする必要が私はあると思うのですが、いかがでしょうか。
  52. 森本修

    森本政府委員 実はこういう団体でございますから、なるべく事務、人件費も節約をするというふうな趣旨で、とりあえず一名というふうに予定をいたしておりますが、御説のようなこともございましょうから、事業量が大きくなってくるといったような時期には、そういう趣旨に沿って検討してしかるべきものと思っております。
  53. 湯山勇

    湯山委員 ぜひひとつ一千億をこえる資金ですから、早く監事は複数にして、監事の役目が果たせるようにすべきだと思います。  そこで、それとの関連もあるわけですが、議決権、これは会員各一個と、政令をこえる出資については二以上、こういうような説明ですけれども、具体的にはどういうことになるのでしょうか。
  54. 森本修

    森本政府委員 政令で基準を設けることを予定いたしておりますが、その予定としましては、会員のうち、一億円以上を出資する会員に対して、議決権が三分の一以内というふうな政令の基準を設けまして、その基準に従って、定款で自主的に決定をしていただく、そういうふうに予定をいたしております。
  55. 湯山勇

    湯山委員 現在大体出資金はどこが幾らかわかっておりますね。そうすると、議決権は何個になって、その分配は中金が幾ら、それから基金が幾ら——基金では一以上はないと思うのですが、どういうふうになりましょうか。
  56. 森本修

    森本政府委員 ちょっといまお尋ねの趣旨がよくわからなかったのですが、当然地方の会員は議決権が一つといったようなことになりますから、四十六出てまいりますが、中金のほうは、先ほど申し上げましたように、最高限度を三分の一と押えるわけでございますので、三分の一まで達しますか、あるいはその達しないところで定款できめられるか、そういうことによって数は変わってくると思います。
  57. 湯山勇

    湯山委員 一億以上の場合は、三分の一までは権限がある、先ほどのはこういう解釈ですか、それだといまおっしゃったようなわけです。しかし、一億以上でも、十億もあれば、もっと言えば二十億もある。一億一千万もある。一億をこえるわけですからね。その場合に、どんなふうに三分の一まで権限があるものか、その場合の段階というものはあるのか、この点がはっきりしなかったから、いまのようなお尋ねをしたわけです。
  58. 森本修

    森本政府委員 私どもの感じとしましては、さしあたり農林中金が会員のうちで支配的な決議権を持つということを防止する趣旨で、三分の一の頭打ちということにいたしたわけでございます。もちろん、その基準に従って決定を定款でしていただくわけでありますが、それはまたどういうふうな考え方できめられていくか、その点はちょっとしかとお答えがしかねるというふうに思うわけであります。
  59. 湯山勇

    湯山委員 いまの問題は、最初お尋ねしました加入脱退の自由、ここへ結びつけて考えますと、かなり重要な問題になってまいるわけです。そういうことでお尋ねをしたわけですけれども、全体として中金を三分の一以内に押えて、中金の発言力を弱めて、その意思を無視して運営していくということになれば、加入脱退自由ですから、じゃ私はやめますというようなことになると、これはたいへんなんで、そういう意味でのお尋ねですから、これ以上の御答弁は求めないことにいたします。  全体を通じて私の感じました点は、せっかくの保険ではあるけれども、まだ何となくたよりないところがあるように思います。そこで、委員長からもお約束いただきましたけれども、いまの保険協会資金関係、これについて最も重要な点ですから、大臣から御答弁いただく。それから包括選択の問題、これも当然こういう区分をすべきでないというものを暫定的にこうされておるのであって、この協会が機能を果たせば果たすほど、この区分は不当だと思いますので、これを将来包括一本にする点について、なお大臣にひとつお尋ねをしたいのと、それからいまの加入脱退の自由、これはともかくも法文がそうなっているということは、実際の運営とは違うという御説明ですけれども、やはり心配ですから、これもなお確めさしていただきたい。それから保険料の問題、事故率の問題、これらもなおあらためて大臣お尋ねをすることをひとつ御了解いただきまして、質問を終わりたいと思います。
  60. 中川俊思

    中川委員長 ただいまの湯山委員から御要求のありました点については、次回大臣が出席されました冒頭に答弁をしていただきたいと思います。政府委員にそのようにひとつ御準備願いたいと思います。
  61. 兒玉末男

    ○兒玉委員 それでは関連しまして、近代化資金制度の問題について、若干御質問をしたいと思います。  時間の制約もあるそうでございますので、簡潔に御質問したいと存じますが、すでにこの制度が制定されてから五年目を迎えておるわけでありますけれども、一体、農業の近代化、いわゆる近代化資金制度というものが、制度においても相当変化が伴っておるわけでありますが、大体、農業基本法が制定された当時のいわゆる専業農家、自立経営、こういうふうな一つのバラ色のビジョンというもの、こういう農業の形態というものは、相当変貌しておるわけでありますけれども、この際、近代化資金制度はあらゆる点において基本的な改革が迫られておる段階にあるのではないかと思うのですが、一体、近代化ということを資金制度との関係について農林省当局としてはどういうふうなお考えをお持ちか、この基本的な点について局長の御見解を承りたいと存じます。
  62. 森本修

    森本政府委員 先般も湯山先生から同じようなお尋ねがあったわけでございますが、農業の近代化あるいは農業経営の近代化というふうな課題を果たしますには、きわめて多くの手段、方法を必要とするわけでございます。あるいは経営規模の拡大といったような点を強力に推進しなければならない、あるいはまた農地の集団化、つまり、一軒の農家が多数の圃場を分散して持っておるのを集団化して能率の上がるような経営にしていくといったようなことも必要でありましょうし、また、いわゆる資本装備の増大ということで、機械を導入する、家畜を導入する、あるいは施設を近代的な合理的なものにするといったような各種の手段、方法が必要になるわけでございます。で、それを達成いたしますのに、またいろいろな政策、手段が、総合的にその組み合わせによって効果を発揮しなければならないというふうな関係になっております。その中の近代化資金の役割りということになりますと、先般来も申し上げておりますように、系統資金を極力活用いたしまして、主として農業の近代化に必要な固定資本の増加、いわゆる資本装備の増大、そういうふうな点をこの近代化資金によってはかっていこうというのが、近代化資金制度の主たるねらいである、そういうふうに御理解をいただきたいと思います。
  63. 兒玉末男

    ○兒玉委員 農林中金の調査部からの資料によりますと、いま局長の言われたような目的を達成する過程として、三十七年、三十八年、三十九年、それぞれ五百億、五百二十億、六百億と、せっかくの融資ワクが確定をされて、積極的な取り組みを示しておりますけれども、肝心のいわゆる貸し付けを利用する側における達成率というものは、年々消化率が減退をしている傾向を示しております。   〔委員長退席、舘林委員長代理着席〕 三十七年に九五%であったのが、三十八年度は九三・四、三十九年度は八三・八、さらに四十年度もその傾向を強めるというようなことが指摘をされておるのでございますが、この近代化資金が不消化の傾向を強めておるというのは、一体どこにその原因があるのか、その解明がどういうふうに処理されようとしておるのか、その点明らかにしていただきたいと考えます。
  64. 森本修

    森本政府委員 近代化資金が御指摘のように、最近二、三年来、予算上で想定しておりましたワクに比べまして、消化の実績の割合が低下してきておる、そういう事実がございます。どういう原因なり要因でそういうことになってきておるかということでございますが、一つは、近代化資金の融資対象でありますところの施設あるいは機械といったようなものの資金需要、これはやはり年々によってある程度変動する性質のものであろうというふうに思われるわけであります。そういった資金需要の年次的な変動ということが一つあろうと思います。  それからもう一つは、今回の改正にも予定しておりますように、保証制度がもう一つ十分完備されていない。長期資金を農家に貸し出す際におきまして、農家の受信力を高めるということが最も必要であります。と同時に、貸し付けをいたします農協側としても、安心して貸し出しができるという両面があるわけでございますが、その保証制度がもう一つ制度的にも完備していないというような点があって、動かないという点が想定をされます。  それからもう一つは、最近の金融の客観情勢からいきまして、系統金融機関としては、外部に相当有利な資金の運用先があったというふうなことから、知らず知らずの間に員内に対する貸し出しの熱意が薄れがちであったというようなことも、別段計数的には捕捉はできませんけれども、やはり近代化資金制度の運用に何らかの影響を与えておったのではないか、そういうふうに想定をいたしておるわけでございます。
  65. 兒玉末男

    ○兒玉委員 外部金融ということをいま局長が言われましたが、現在農林中金等の系統金融の中において、いわゆる農業関係以外にどの程度、大体大筋でけっこうでございますが、いままで貸し出されておるのか、その点おわかりであったらひとつお答えいただきたいと思います。
  66. 森本修

    森本政府委員 大まかに申しまして、系統全体を通じて預金として上がってまいります額の約半額が外部に運用されておるというのが最近までの状況でございます。
  67. 兒玉末男

    ○兒玉委員 その金利は大体幾らくらいで運用されているのか、お答え願います。
  68. 森本修

    森本政府委員 外部運用は、運用先によって違うわけでありますが、関連産業に対する貸し出しあるいは株式の取得、あるいはまたかなり大口でございましたが、従来はコールなりインターバンクなりといったようなことで運用しておりますが、コールあるいはインターバンクといったようなものは、御案内のように、昨年の後半から下がってまいりましたけれども、それ以前の高い時期には、あるときは一割以上も運用利回りがあったというような状況になっておったわけでございます。
  69. 兒玉末男

    ○兒玉委員 時間の制限もございますので、それは一応後日また機会を見ていろいろ検討したいと思いますが、現在この中金の調査部資料によりましても、あるいは農政調査委員会からの資料によりましても、大体三十九年度までの動向というものを見ておりますと、いわゆる自立経営可能といわれる二町歩以上の対象と、それ以下の貸し出しの対象というものを階層別に見てまいりますと、二町歩以下が大体全体の七六%を占めておるわけでございますが、この点、農業基本法の思想なり、あるいはこの近代化資金制度の当初の構想から見ますと、かなり形態というものが逆の傾向を示しておるのじゃないか。いわゆる専業農家というよりも、兼業農家のほうにこの貸し出しの対象が非常に多いのじゃないか。この点どのような判断をされておるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  70. 森本修

    森本政府委員 貸し出しの状況を見ますと、御指摘のように、端的に言いますと、各階層ほとんどまんべんなく利用していただいておるというふうな状況になっております。しいて申しますと、ややまん中から上といったようなところが利用率が高いかというふうにも見えるわけでございます。この近代化資金性格といたしましては、農家が自主的に資本装備を増大したいというものに対しては、あまり大きな制約なしに、かつ便利に利用していただくというふうな資金性格でございますので、そういう点からいきますれば、かなりいろいろな階層の農家に使用されるということも、あながち問題にすべきことではないと私どもは思っております。
  71. 兒玉末男

    ○兒玉委員 この点、もう少し具体的にいろいろ御質問したいわけでありますけれども、問題となっている点を少しただしたいと存じますが、大体現在のこの近代化資金の一号から六号までの資金別の内容を見ましても、金利が一応利子補給を含めて平均、標準といいますか、六・五%が標準ではなかろうかと思うのですが、これだけの金利でもって、いま局長答弁されましたとおり、二町歩以下の、零細とまでいかなくても、中農的な経営規模において、政策的にも、あるいは農業経営という面から考えましても、私は、十分にその目的を達成することは困難ではなかろうかと考えるわけでありまして、諸外国の例等を見ましても、特に基盤整備、土地改良等については、思い切った低金利政策と長期の償還によって、農業経営上非常に負担の軽減をはかることに積極的な努力を示しておるようでございます。今回の改正によって、若干据え置き期間なり償還期限の延長がなされたにいたしましても、まだまだ五分以下の金利という農民の要求する額とは相当の隔たりがあるわけでございますが、この金利の思い切った切り下げという点について、局長は、今後のいわゆる構想としてでもけっこうでありますが、もう少し積極的な施策が必要じゃなかろうかと存じますが、金利の面について、いま少し具体的な御答弁をいただきたいと思います。
  72. 森本修

    森本政府委員 農業金融としましては、制度資金としても、この近代化資金のほかに、農林漁業金融公庫からの貸し出しもございます。主として公庫のほうは土地改良でありますとか、あるいは構造改善事業でありますとか、あるいは農地取得といったような、いわゆる農業経営を拡大していく、あるいは合理化していく上の基本的な、あるいは計画的な事業に対して貸し出しをしている、そういう関係になっております。御案内のように、そちらのほうはかなり低利、長期のものもございます。近代化資金のほうの金利の問題でございますが、私どもとしても、なるべく農業経営あるいは農家の負担を軽減していく上において、金利の引き下げということはきわめて重要なことであるということは認識をいたしておりまして、近代化資金発足いたしましてから、三十七年にも御案内のように金利の引き下げをし、今回も、不十分という御指摘がありましょうけれども、ともかくも金利の五厘引き下げを予定いたしておるわけであります。ただ、一言申し上げたいと思いますのは、何ぶんにも農協の原資を使っておる制度でございますから、農協の預金金利といったようなものとの関連も考えなければ貸し付け金利の設定ができないといったようなこともございますので、そういう点を配慮しながら、できるだけ農家経営上有利なような金利に持っていくよう、私どもも配慮しておるつもりでございます。
  73. 兒玉末男

    ○兒玉委員 この点、私はもう少し積極的な施策を要望したいということは、農林中金等のいわゆる系統金融が、農民から吸い上げた預金を部外に貸し出す場合においては、いままで多少公定歩合の引き上げの影響もありまして、金利は下がったとはいいましても、やはり農民が預けている預金の率に比較して、農林中金等が外部に利用しているこの一割前後の高金利で、相当の利ざやをかせいでいると思うわけです。そういう点と比較して考えましても、特に今日の農業がいわゆる中零細性であり、しかも粗収入にしましても三けた以下の農業が大半であります。しかもいわゆる天然現象に支配されやすい農業経営という点から考えますならば、何といいましても、長期の計画ということと金利が低いということが、絶対的な農業経営を維持するための条件であり、それが私は農業経営の近代化への大きなステップになるものと確信をいたすわけでありまして、その点今後もう少し積極的な取り組みを要望したいと存じます。  それでは、現在まですでに五カ年間の経過を経ましたが、この近代化資金の償還というほうは、一体どういうふうになっておるのか、延滞の、いわゆる一号から六号までの資金でございますが、大体六号資金のうちに、どの部分が最も償還がおくれておるのか、それらの状況について御説明をいただきたいと思います。
  74. 森本修

    森本政府委員 近代化資金延滞の問題でございますが、この前もお答え申し上げましたように、本格的な償還期を現在迎えつつあるような状況でございまして、従来の実績では、必ずしも近代化資金の本格的な償還期における延滞の状況を直ちに予測するということもむずかしいかと思いますが、とりあえず実績のわかっておりますところでは、昭和三十七年と三十八年に償還期が到来いたしましたもので、償還期以後一年を経過したものの延滞率は、二年を通算いたしますと三%ということになってございます。
  75. 兒玉末男

    ○兒玉委員 全体で三%でありますが、一号から六号までの資金のうちにどの部分が一番延滞率が高いのか、その点、次の質問をする上にぜひ必要でございますので、お聞かせいただきたいと思います。
  76. 森本修

    森本政府委員 資金の種類、号別に調べたものは現在ございませんので、その点ひとつ御猶予をいただきたいと思います。
  77. 兒玉末男

    ○兒玉委員 私の農林省からいただいている「日本農業」という四十三号によりますと、現在までの比率からいうと、四号資金である畜産関係の導入あるいは育成資金の部分が、最も高い比率を示しているということが数字で示されておりますが、一体農林省がそれを知らないということは、私はちょっと無責任じゃないかと思うのですが、どうですか。
  78. 森本修

    森本政府委員 あるいは御指摘の書物に載っておるかもしれませんが、一つの事例なりあるいはある県の調査というものはあるかと思いますが、全国的に調べた資料がいま私ども手元にはございませんので、先ほど来申し上げたような御答弁を申し上げておるわけでございます。
  79. 兒玉末男

    ○兒玉委員 今後の近代化資金運用と、それから政策的な問題としても、ぜひその動向を知りたいので、早急にひとつ調査の上、資料として当委員会に提出されるよう、委員長を通じて私は要求したいと思います。
  80. 森本修

    森本政府委員 ちょっと事務的なことを申し上げて恐縮ですが、それを調べますには、貸し付けの個票を全部当たりまして、かなり膨大な作業を要するんじゃないかというふうに思いますので、できるだけ整えるようには努力をいたしますけれども、そういう事情にありますことを御了承願いたいと思います。
  81. 兒玉末男

    ○兒玉委員 次に、これはこの前わが党の足鹿委員からも特に質問があったわけですが、私の南九州地区においては、最近非常に農業経営が零細性のために、相当数が出かせぎに出まして、かろうじて一家の家計をささえておるわけですが、それに並行いたしまして、比較的飼育の容易である養豚というものに——また最近これが三十七年度のあの暴落期を転機として復活の傾向にありますし、一部の単協等におきましては、親豚を農協で貸し付けて、生産ごとに若干ずつの償還をしていく、こういう積極的な施策がとられておるわけでございますが、現在肉類全体の需給関係も、非常に不足している現状から推しましても、先般の局長答弁によりますと、養豚等の場合においては、種豚以外はその対象になっていないような御答弁をなされましたが、特にこれからの畜産振興の過程におきましても、当然一般の飼育豚の購入等についても、この対象としてワクの拡大をはかっていくべきではないか。しかも全体的な肉類の需給関係から推しましても、また農家の経営安定という面からも、きわめて重大な要素を持つものではなかろうか。私がこの本の中から引き出した中においても、四号資金というのが最も延滞の率が高い、こういう状況かう判断をいたしましても、やはり畜産関係に対するもう少し思い切ったところの措置なり、あるいは資金ワクの増大、また金利の面においても、これはいわゆる回転も早いわけでありますから、ある程度の金利の引き下げ、こういう点、私は技術的にも不可能ではない、こういうふうに判断するわけですが、四号資金のワクの拡大という点について、局長の見解を承りたいと思います。
  82. 森本修

    森本政府委員 先般もお答え申し上げましたが、畜産の振興、また御指摘の養豚の振興の重要性あるいは必要性は、決して否定をいたしておるわけではございません。十分私どもも了承をいたしておるところでございますが、近代化資金は、しばしば申し上げておりますように、いわゆる短期資金というふうなものを対象にするという点につきましては、きわめてまだ踏み切りを要する段階でございまして、今回改正いたしましたのも、いわゆる中期の運転資金を対象に加えるという点が前進をいたしたところでございます。将来短期資金まで加えるかどうかということは、農業金融の中の一つの分野の調整上の問題として、かなり基本的な課題に属するわけであります。そういうふうなことを十分検討いたしませんと、まだ現在の段階では入れるまで踏み切りはいたしておりません。そういうことでございますので、畜産振興については、十分私どもも理解をいたしておるつもりでございますが、金融制度のたてまえとしては、今回のような改正でもってとりあえず四十一年度かう出発をいたしたい、そういうふうに思っておるわけであります。
  83. 兒玉末男

    ○兒玉委員 ただいまの答弁、きわめて不満でありまして、もう少し積極的にひとつ取り組んでいただきたいということを要望申し上げ、最後に、基本的な点でございますけれども、現在の近代化資金の融資ということは、当然政府の予算措置を必要とするわけでありますが、いわゆる近代化資金の融資にあたりまして、いわゆるその需要というものは、どういう根拠に立って測定をし、しかも融資目標というものをどのように定めるか、この点は当然予算編成の当初において策定されるわけでありますが、一方この融資ワクを農林省がきめるにあたりまして、当然農家からのいわゆる借り入れ要求額といいますか、申し込みといいますか、   〔舘林委員長代理退席、委員長着席〕 そういう点等も、やはり四十年度は四十年度のいわゆる全体的な実施計画というものに基づいて、そうして年度の終わりに、全国の農協を通じてのいわゆる農民の要求額というものが集計をされて、最終的な策定がされる。そういたしますと、農林省の資金需要の策定というものと、実際に農民から要求を出してきましたところの融資額決定との、一つの時期的なギャップというものが生ずると思うのですが、その辺の調整はいままでどういうふうな作業を進めてきたか。実際に農民の要求するワクと農林省のいわゆる政府予算支出の策定とのタイムギャップの問題について、どのような作業をしてこられたか、この調整についてはどういうふうにやってきたのか、この点最後にお尋ねしまして、私の質問を終わることにいたします。
  84. 森本修

    森本政府委員 予算上の資金ワクを設定いたしますには、私どもはいろいろなファクターを考慮して決定をすることにしております。一つは、従来の実績推移といったようなものも考慮いたします。また、来年度一体どの程度の希望があるかということを、それぞれ末端の普及員、県庁を通じて需要の見通しをいただきまして、そういったものがかなり有力な資料となって予算上のワクが決定をされておるわけであります。実際に貸し出しをいたします際には、従来は予算のワクがきまると各県に割り当て、各県からまた末端に割り当てるといったようなことを出発当初はやっておった例がありますが、最近ではそういうふうな各県なり各市町村への割り当てというようなことはほとんどやっておりません。御案内のように、予算ワクに対して実績が下回ってきておるという状況でありますので、借り入れの申し込みがあれば、ほとんどワクというふうなことを考慮することなく、需要に応じて貸し付けをいたしておるというふうな実態でございます。
  85. 兒玉末男

    ○兒玉委員 これはいまのに関連する質問でありますけれども、そういうことでありますと、大体いままでいわゆる借り入れの申し込みをしてから認定まで平均五十日程度の期日を要するように統計が出ております。いま局長答弁のような事情でありますならば、申し込みから認定までの期間をもう少し短縮することが可能ではないか、こういうふうに私は判断いたすわけですが、その点いかがでございますか。
  86. 森本修

    森本政府委員 農家の資金の申し込みがありましてから、貸し付けをいたしますまで若干の日時を要しております。これは単協に借り入れの申し込みがございまして、その申請書を県等で認定する、承認するといったような手続が要りますので、若干の日時を要するわけでありますが、われわれとしましても、できるだけそれを短期間に手続が終了するよう、極力県庁等を指導いたしております。最近の実績を見てまいりますと、三十八年から三十九年にかけまして、約十日程度所要日数の短縮がはかられておるというふうな状況でございます。今後とも手続の簡素化等に極力努力をいたしまして、所要日数の短縮について配慮をしていきたい、そういうふうに思っております。
  87. 中川俊思

    中川委員長 この際、暫時休憩いたします。    午前十一時五十八分休憩      ————◇—————    午後一時四十九分開議
  88. 中川俊思

    中川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  午前に引き続き質疑を続行いたします。  質疑の通告がございますので、順次これを許可いたします。芳賀貢君。
  89. 芳賀貢

    ○芳賀委員 農林大臣お尋ねしますが、先日来近代化資金法並びに信用基金協会法の改正案について審議を進めておるわけでございますが、特に大臣責任において明らかにしたい点だけを御質問することにいたします。  第一の点は、近代化資金設置法の改正がすでに衆議院においては行なわれまして、現在参議院で審議中でありますが、この法律は当委員会において審議中の近代化資金助成法とうらはらの法律でありますが、大蔵委員会に付託された関係もありまして、この点に対する直接の検討は機会がなかったわけでありますが、この近代化資金設置法の改正のときには、従来は基金を設けまして、基金の運用益で近代化資金の利子補給に充てておったわけでありますが、今回はこの基金よりの利子補給の原資調達をやめて、基金を取りくずして、それを一般会計に一応繰り入れて、一般会計から今後は毎年度必要な利子補給をやるということに改正されたわけで、われわれから見ると、これは制度の後退であるというふうに考えられるわけであります。したがって、このような設置法の改正が行なわれた場合、今後近代化資金助成法の将来の運営について、どういうような変化と影響が生ずるかという点について明らかにしてもらいたいわけです。あわせて、今後近代化資金の運営について、少なくとも五カ年を限度とした資金計画を立てた場合に、現在の近代化資金の四十一年度の計画が八百億円でありますから、これを基礎にしてどういうような拡大をはかるつもりであるか、その点もあわせて明確にしていただきたいのです。
  90. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 ただいまの点についてお答えいたします。  昭和四十一年度においては、特別な財政事情を顧みまして、一般会計の歳出の財源に充てるために、助成資金から一般会計に繰り入れることにいたしましたが、四十一年度においては、近代化資金の八百億円を融通することにするために、必要かつ十分な利子補給、補助金が一般会計予算に計上されておりますので、農民の必要に応じ、円滑に農業近代化資金を融通することに何ら支障はないと思います。  なお、本制度は、やはり存続をすることといたしております。そのたてまえから十億円を存置しております。今後財政事情が好転した場合にありましては、この助成資金所要の積み立てを行なう考えでございます。  なお、その後の五カ年計画等があるかという問題でございますが、今年は八百億でございますが、五カ年間に数字的にかためてはおりませんけれども、年々その需要に応じて増額してまいりたい、かように存じております。需要に対しては十分仕事のできるように取り計らってまいりたい、かように存じておる次第でございます。
  91. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ただいまの点ですが、それでは助成資金設置法の改正は、四十一年度の政府の予算編成上、財政上の都合で、基金から四十一年度に充当するべく所要額を取りくずしたのであるけれども、四十二年以降は従前のような基金政府が出資するとか、その基金の運用益を中心にして利子補給を行なう従来どおりの方法に四十二年は改めるというわけですか。これは今年一年限りの暫定措置としての法改正であったということか。もう一度明確にしてもらいたいと思います。
  92. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 来年度からは、財政のほうから場合によりますと十億のほうをまたふやすということも考えないこともないのでありますが、それよりも、大体やはり今年どおりの方式によって、利子補給金等を資金ワクに即応してふやしてまいりたい、かように考えておるわけであります。
  93. 芳賀貢

    ○芳賀委員 大臣はその点をのみ込んでいないのですか。必要な利子補給は当然政府がするわけですね。利子補給の方法、手順について、従来設置法に基づいて、そこから補給すべき資金を出しておったわけですが、ことしはこの基金から一般会計に繰り入れを行なって、一般会計から四十一年度分として利子補給に必要な支出を行なう、こういうふうに法律が改正されて、大きな変化がきたわけですよ。先ほど大臣答弁からいうと、それは政府の財政上の都合で、四十一年一年限りの法改正であるというような趣旨の答弁をされたわけですが、われわれはあの改正案の内容というものを検討した場合に、必ずしもそうだとは認めていないわけです。しかし、政府を代表して大臣が言われるのだから、提案した政府のほうが確実と思いますけれども、法律の内容が正確なのか、大臣答弁が正確なのか、どっちが正確ですか。
  94. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 今年の方法をとるわけでありまして、今年やりましたとおりに、この利子補給、補助金等を出していくのでありまして、先ほど申しましたのは、この助成資金のたてまえというものを存続するという、そういう意味で十億というものをそのままそれだけは残してあるということであって、これを来年すぐどうするというのではありません。
  95. 芳賀貢

    ○芳賀委員 当分の間は今回の改正の方向で運営する、こういうことですか。
  96. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 当分の間、四十一年度の方式によるのでございます。
  97. 芳賀貢

    ○芳賀委員 なお、資金計画については少しずつふやすようにしたいというお話ですが、大体毎年度どのくらいずつふやす見込みであるか。従来は百億円ぐらいずつふえてきたというふうに見受けられるわけですが、今後いつまでも百億きざみというわけにいかないと思うのです。需要が増大すれば、それに見合って百五十億とか二百億とか、必要に応じてこれを拡大する考えかどうか。はっきり五カ年計画がわからなければ、大体どのくらいの速度でこれを拡大するかという点について示してもらいたい。
  98. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 もちろん、今後の実績を見ていくわけでありますが、今年は特にワクをふやし、またいわゆる貸し付け対象を二つばかりふやしてまいりましたわけですが、それらについての貸し付けの実績等をしんしゃくいたしまして、でき得る限りふやしてまいりたい、大体こういう考え方を持っております。
  99. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この点は昨日も論議したわけですが、最近毎年度の政府の利子補給対象の資金ワクが消化されないでいるのですね。この制度が発足した当初は、九三%ぐらい消化したわけですが、それが九〇%あるいは八七%ということになって、昭和三十九年度は八三%しか消化されていないのです。どうしてこの政府資金ワクに対して八三%で終わるかという点については、農林経済局長からいろいろ内容について説明を徴したわけですが、やはりこれは政府の指導上の欠陥もあると思うのですね。あるいは都道府県の取り扱いの態度であるとか、あるいは農協自身が自己資金を充当するわけでありますからして、それぞれの面に問題点はあると思うわけです。ですから、この原因を究明してすみやかに改善をはかると同時に、農家がこの制度の有利性を十分認識して活用できるような指導、啓発を行なわないといかないと思うわけです。それとあわせて、やはり積極的に資金ワクを拡大すべきであるとわれわれは考えるわけですが、いかがですか。
  100. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 御指摘のとおり、今年は制度の改正をやったわけでありますし、また貸し付けの対象をふやしたことでもあります。さらにまた、それと同時に、われわれとしては指導を十分やってまいるわけでございますので、十分これらの資金は消化できるでありましょうし、さらにより以上の資金の増額が必要になってまいるのじゃないかと私は存じておるわけでございます。
  101. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次にお尋ねしたい点は、近代化資金の貸し出し条件の改善について、政府としてはあまり努力をしておらないわけですが、今後どのように具体的な改善策を講ずるかという点であります。  その一つは、近代化資金助成法ができましたのが昭和三十六年の国会でありますが、当時当委員会で論議した焦点の一つに——当時は農林大臣もやはり農林委員をやっておったわけだから記憶されておると思うわけです。まず貸し出しの金利については、当時は六分五厘あるいは七分五厘というようなことで発足したわけでありますが、これは不当に高過ぎる、近代化資金と銘打って法律をつくる場合においては、少なくともこの貸し出し金利の水準というものは五分以内にすべきであるということが、委員会一致の意見であったわけであります。政府においても、当時すみやかにこれは改善しますということを明確にすると同時に、委員会としては、法律の制定当時の附帯決議においても、五分以内にこれを引き下げることを目途にして政府は善処すべきであるということを明らかにしておるわけであります。それが現在においても実行されていない。しかも今回の貸し出し金利の引き下げは、農業協同組合自体の基準金利が五厘下がったわけですから、従来の九分五厘が九分に下がった関係上、この近代化資金助成法にうたってある各種の貸し出し金利についても、それぞれ自動的に五厘ずつ下がっておるわけです。ただ、この下がったというのは、政府の努力でも何でもないわけですね。わが国の金利水準が五厘下がったということもいえると思うわけですからして、今後今度の改正によって個人の施設資金等は六分、あるいは共同利用施設等は七分ということになるわけでありますが、これをすみやかに五分以内に引き下げるということになれば、当然政府の利子補給を増大するという以外に速急の改善策はないと思うわけでありますが、これはどうされるかという点を明らかにされたいのであります。
  102. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 従来から引き下げを行なってきたのでありますが、なお末端金利を五分以内に引き下げることにつきましては、近代化資金が系統資金を活用するものでありますから、預貯金金利、一年定期五分六厘との均衡を考えますならば、これ以上の引き下げはまず容易ではないと考えられますが、なお附帯決議の趣旨もありますので、今後十分慎重に検討してまいりたい、かように存じております。
  103. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これは別に慎重を期する必要はないのですよ。三十六年委員会で審議した際、それじゃ政府は、これは農協の自己資金から貸し出すわけだからして、農協の貯金利子との見合いで、五分なんということはできませんと言えばよかったじゃないですか。最初に法律をつくるときにはそういうことを何も言わぬで、坂田さんもこれは当時理事の一人だったと思いますが、何のためにこれは委員会一致の附帯決議をつけたわけなんですか。委員や理事の場合は五分以内にしろと言って力んでおって、大臣になったとたんに、今度は局長あたりに知恵をつけられて、それは農協の金利が五分六厘ですから、それとの見合いでなかなかできませんというのはおかしいじゃないですか。それじゃ一貫した政治信念がないじゃないですか。
  104. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 附帯決議の趣旨もありますので、今後十分この点検討を加えたいと思います。
  105. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それではどのくらいの期間検討が必要ですか。あなたが在任中検討して結論を出すのか、やめて次の大臣にそれを引き継いで検討してもらうつもりか、その点はいかがですか。
  106. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 十分検討いたしたいと思います。
  107. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次に、これに関連しまして、現在までは国の行なう利子補給は、まず都道府県がたとえば三分とか、二分の利子補給を行なう、その都道府県の行なった利子補給に対して、国がおおよそ二分の一の補助をするということになっておるわけですから、まあ都道府県と国が大体五分五分の負担ということになっておるわけです。これをさらに貸し出し金利水準を下げるということになれば、今後も都道府県と国が折半というわけにはまいらぬと思うわけです。ですから、これを改善するということになれば、今後の分は都道府県の利子補給分をふやさないようにして、補給のふえた分は国の負担、国の責任で補給をするという明らかな方針を立てないと、いつまでたっても地方団体に半分負担させるということでは、国の責任所在が不明確になると思いますが、その点はいかがですか。
  108. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 お答えします。  今後の問題につきましては、地方財政等の問題もあわせて考慮しながら、この問題を検討していきたい、かように存じております。
  109. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これとあわせて、結局農協の基準金利が五厘下がったわけですね。農協の金利が下がったわけだからして、政府がとやかく言う筋合いはないわけですね。したがって、政令の第二条にうたってある各資金の種類、償還年限あるいは据え置き期間、利率というものに対して——これは法律が改正になれば、やはり必要な政令、省令の改正は行なわれるというふうに考えられますし、ただいまも昨日要求した案が配付にはなっておりますが、五厘の分は全面的に引き下げされるという——これは当然の質問ですが、大臣から念のためお答え願いたいわけであります。
  110. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 いまの御質問でありますが、小土地改良資金等につきましては、近代化資金制度の創設の際に、旧農業改良資金から引き継いだものであるのであります。また、融資額十万円以上の規模の土地改良については、農林公庫資金において貸し付けワクは余裕を持って組んでおり、農家の必要に応じて十分貸し出してきておることとなっておること等によりまして、今回はこの金利を据え置くことを予定しておるのでありますが、御趣旨の点も十分考慮し、今後検討することにいたしたいと存じます。
  111. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ちょっとわからぬですね。農協が基準金利を五厘下げたわけだからして、自然に下がっちゃったのですよ。だから、従来六分五厘のものは六分になった。七分五厘のものは七分に、五分のものは四分五厘に当然なるのですね。それを妨げるかどうかということが、農林省の行政的な態度だろうと思うのです。だから、農林大臣として妨害するかしないか、それを下げるなと言えば、土地改良関係だけが基準金利を五厘下げなくてもいいということになるのですよ。そういうことはできないと思うのです。土地改良関係資金だけは、従来どおり九分五厘にしておけというわけにはいかぬと思うのですよ。その点はいかがですか。
  112. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 この点はやはり検討すべき問題でございまして、ある意味においては、金利が下がったときには補助金を減額したらどうかといろ問題すら出るのでありますが、しかし、そういうことはいかぬというので、やはり下げたことがそのまま下に届くようにこの際やっていこう。しこうして、制度上のその他の改善によって、この際は十分農家その他の近代化資金の利用者のために、十分この制度が生きていけるように努力しよう、そういうことからかようにいたしたわけでございます。  なお、これらについては、御指摘のとおりの問題もありますので、今後十分これらの点を検討を加えてまいりたい、かように存じておるわけでございます。
  113. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私のお尋ねしているのは、農協の基準金利が五厘下がったわけだから、結局総体的に貸し出し金利が五厘ずつ下がることになるではないかということを指摘しておるわけです。だから、ある種の資金だけについてこれは下げる必要がないということになれば、農協がその分だけ五厘下げる必要がないということをやらせないと、これは手の打ちようがないでしょう。その分だけ下がったのをいいことにして、政府が利子補給を減うすわけにいかぬでしょう。そうかといって、その種類の資金だけについて、この分だけは九分五厘ですというわけにもいかぬと思うのです。だから、全面的に五厘下がると解釈して差しつかえないかどうか。これは法律改正になれば、当然全面的に政令は改正するわけですからね。
  114. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 御趣旨の点も十分考慮をいたしまして、今後でき得る限りの検討をいたして考慮を進めていきたい、かように存じております。
  115. 芳賀貢

    ○芳賀委員 検討をして考慮するのでは何にもならぬじゃないですか。たとえば、検討してその結論をもって実行するとかいう形になれば、まだ幾ぶん期待する余地があるけれども、検討してからまた考慮するということになれば、これはいつまでたっても実行できないということになるのです。ことばじりをとるわけではありませんが、そういう言いのがれをするなら、むしろ、できませんとか、やれませんとか、はっきり言ったほうがいいんじゃないですか。
  116. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 今回はこのことでこういう行き方で進んでおるわけでございますから、その点は御了承を願いたいと存じます。今後については、御趣旨の点等について十分検討をいたしたい、かように存じます。
  117. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次に、近代化資金については、農協の資金をまず活用することになっておるわけですが、それとあわせて、共済連の資金あるいは中金資金の転貸を受けて、そうして充当することもできることになっておるわけです。中金並びに共済連の資金は、数字的に見ると非常に僅少でありますが、しかし、農林省としても、これは資金源として対象にできるということになっておるわけだから、政府資料によっても、共済連の資金等が単協の転貸資金という形で活用されておるわけです。そこで、昨日もこれは経済局長にも質問をしたわけでありますが、これは農林大臣としても直ちに明快な答えはできないと思いますけれども、問題は、共済連の扱っておる資金は、これは当然農業協同組合法に基づいて単協が行なっておる共済事業を通じて、組合員の掛け金等が蓄積され、運用されるということになるわけです。したがって、この資金は貯金ではありませんから、利子は不要ということになるわけです。当然これについては農林省あるいは大蔵省の厳重な監督を受けておるわけですから、無制限に積み立て金とか運用資金というものを貸し出しに回すことはできないわけですが、しかし、近代化資金に回せるということが法律上きまっておるわけだから、それは貸し出しの場合の方法としては、必ずしも信連を通じなければ貸し出しができないというものではないわけですね。これが一つの問題になるわけです。  そこで、明らかにしていただきたい点は、一体、都道府県段階の共済連の資金運用上、資金コストというものはどのくらいの程度のものになっておるか、たとえば信連が扱っておる自己資金と比較した場合に、どういうようなコスト上の差があるか、それを信連を経由して単協に転貸する場合は、コストの違った資金が、結局信連経由となれば同一の金利で単協に流れることになっておるわけですから、その利ざやというものは、一体共済連がそれを自己で受けておるか、信連がその利ざやを吸収しておるか、いずれかであるというふうに考えられるわけでありますので、この点は、農林大臣として関心を持っておられれば答えてもらいたいわけです。
  118. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 金利については後ほどお答えいたしますが、共済資金を農村へ還元することは、農協共済事業の重要な役割りの一つであり、現に運用資産の約六割に相当する金額が、信連の預金、単協に対する貸し付け、共済約款による貸し付け等、各種の方法で実質的に農村へ還元されておる。従来貸し付け窓口一元化の趣旨から、約款貸し付け以外の貸し付けは信連を通じて行なう体制をとっておるが、要は、これらの貸し付けが最も効率的に行なわれるためには、系統全体の事業体制の中で、これをどのように位置づけるのがよいかという問題でございますので、御指摘の直接貸し付けの点については、関係者の意見を聞いて慎重に検討いたしたいと思います。  なお、金利等の点については、農政局長からお答え申し上げます。
  119. 和田正明

    ○和田(正)政府委員 いま大臣からお話がございましたように、共済資金の運用状況といたしましては、三十九年度末の運用資金が全体として約二千八百億でございまして、そのうち六四%ほどに当たりますが、ただいま大臣がお話になりましたように、信連への預金あるいは約款上の貸し付け、それから農村還元資金あるいは団体貸し付けという形で、農協を通して貸し付けられております。約款貸し付けの末端貸し付け金利は、平均的には六分三毛でございます。信連あるいは団体を通して貸し付けいたしますものについては、いろいろの幅がございますが、信連、単協等の系統との関連もございまして、末端の貸し出し金利は同一でございますが、共済連自身の資金運用の金利といたしましては、民間の保険会社との競合の関係等もありますので、たとえば配当というような形で、ある程度加入者に還元いたさなければいけません等の事情もございまして、団体側自身としては、運用利回りを八分三厘程度にしたいということを希望しておりますが、現段階におきます運用資産の総利回り金利は七分六厘三毛でございます。
  120. 芳賀貢

    ○芳賀委員 その場合、共済連が信連に預託する場合の預金金利は幾らになるのですか。
  121. 和田正明

    ○和田(正)政府委員 県の共済連から県の信連に預金をいたします金利の総平均は七分六厘四毛ということでございます。それから信連を通して単協に貸し付けをいたします場合の平均が六分九厘二毛でございます。  もう一つ御参考に申し上げますと、県信連の経済分析によりますと、七分でございますから、単協への貸し付けの基礎はほぼ似たような金利になると思います。
  122. 芳賀貢

    ○芳賀委員 大体内容がわかりましたが、問題は、共済連から近代化資金を単協に直接流すことの是非の問題ですが、大体コストに大きな幅がないということであり、また単協が扱っておる建物共済等については、そういう建物の建設資金は、これは直接共済連から単協に流してあるわけですから、近代化資金だけはどうしても信連を通さなければ流せないという問題ではないと思うのですね。との見解は大臣としていかがですか。
  123. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 これは農協の組織団体の意向によりまして、それらの資金をまちまちに出すということでなしに、それを県信連にまとめまして、そこから一途に出すということに相なっておることは御了承のとおりでございまして、そのために信連、それから共済連及び中央会三者寄りまして、御存じのとおりに、運営委員会を置いて、そして貸し付けをする、こういう方向でいっておるわけでございます。  なお、別に保険契約書を担保とするような約款の貸し付けにつきましては、これは当然共済連直接の貸し付けになることは言うまでもございません。
  124. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それではどうして近代化資金法の政令で共済連の金を転貸できると書いてあるのですか。信連を通さないとできぬのだったら、そういうものは何も政令にうたう必要はないじゃないですか。
  125. 和田正明

    ○和田(正)政府委員 実際の資金運用につきましては、いま大臣から御答弁ございましたように、現段階で県の共済連、県信連、それから県の中央会で運営委員会をつくりまして、いわゆる信用事業によります資金吸収の貸し付けと共済連系統との貸し付けが現実に競合をいたしませんように、いろいろな調整をいたしておるわけでございます。もちろん、信連を通しません単協からの貸し付け金の中にも、近代化資金に使われておる部分も現実にはございます。先生のおっしゃる御趣旨は、信連を通さずになるべく単協から近代化資金にもっと貸せるような方向にすべきではないかという御趣旨だと思います。御趣旨のほどはよく理解ができるわけでございますが、信用事業の系統の余裕金の運用と共済連の運営資金との間にいたずらなる競合を起こすことは、団体運営上問題がございますので、冒頭大臣から御答弁がございましたように、今後十分その点の調整については検討をし、努力もいたしたいというふうに思っております。
  126. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この点は、都道府県の信連、共済連、中央会が協議して運営の方針をきめるということも、いかにも自主的に聞こえますが、これはやはり農協法によって共済規程というものが厳存しておるわけですから、その共済事業による資金運用等について自主的にまかせるということでなくて、自主的にやるということは、やはり連合会の利益性というものをある程度温存するような傾向にいきやすいものなんです。だから、これは当然農林大臣あるいは大蔵大臣の指導方針として、共済資金等の運用についてはこういう形で行なうべきであるということで、この種の事業とか資金運用については、行政的に方向づけをされたほうがむしろいいじゃないかと思うわけです。農林大臣はそう思わぬですか。
  127. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 もちろん御指摘のとおりでございますから、そういうような方向に向かってまた検討もいたしたいと思いますが、現在のところ、さようにまいっておりません。
  128. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次は、農家の固定負債の処理の問題でありますが、これは直接近代化資金とはつながりがないように見受けられるが、たとえば近代化資金を借りる場合に、今後の近代化計画を立てようとしても、あるいは構造改善事業を行なう場合の計画の樹立についても、先般審議しましたマル寒法の場合においても同様でありますが、農家が経営の自立を目ざして積極的に前進しようとする場合、やはり障害になるのは焦げつきの資金です。固定化負債をどうするかという問題にまず当面するわけですが、これについては、国の制度としては自作農維持資金の制度がありまして、大半はこれに依存しておるわけですが、しかし、現在の自作農維持資金の運用を見ても、農業関係災害が発生した場合の災害対策の資金として大部分が使われておるわけであって、本来的な農家の負債整理のためにこれが十分供給されておるとは思われないわけです。これは全国の都道府県のそれぞれの地域の農家の経営の実態とか、あるいは経済力の実態等によって、相当な地域差はありますが、しかし、特に北海道の地域とか東北地域等においては、相当の経営上の固定負債があることは、大臣も御承知のとおりであります。この際、そういう固定した専業農家の負債をもう少し積極的に処理する方策というものを立てる必要性についてお尋ねしたいと思うのです。
  129. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 お答えいたしますが、全国的に見て、一般的に農家負債が問題であるとは私は思っておりませんが、お説のように、地域によっては固定化負債が問題となるところもあると思いますので、その実情を十分把握をして、これに対処し得るよう、今後十分検討してまいりたいと、かように存じます。
  130. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私の指摘しているのは、第一種兼業、第二種兼業という兼業農家の負債を対象にして言うのではなくして、やはり専業農家を主体にして、現在の専業農家が将来にわたって完全な自立経営ができる形態に進むためには、当然経営面においても構造の改善とかあるいは営農の近代化、機械化というものが必要になるわけです。それを行なうには、相当多額な資金が必要になって、それが政府の助長によって導入されたとしても、農業の収益性が非常に低いわけですから、なかなか十分に償還が進まない、あるいはその間に災害等が起きるということになれば、結局は負債が固定化する状態になるわけです。だから、これを排除するためには、制度上の問題としては、いまある自作農維持資金の内容をもう少し拡大して、専業農家を主体にした固定負債については、明らかな負債整理計画というものを政府が指導して立てさせて、それに必要な資金を融通して、そして従来の高率な、あるいは償還年限の短いような焦げつきを切りかえるということにすれば、負債の償還も容易であるし、また農業の改善発展も並行して行なわれるということになると思うわけですから、これはやはり農業政策上の問題としても重要な点でもあるわけです。ですから、単に検討検討ということでなく、やはり地域の実態を十分調査して、いまでも自作農維持資金制度というものがあるわけですから、この内容を十分改善して活用することができるような道を開けば、相当期待が持てると思うわけです。その点についてお尋ねしておるわけですから、具体的に大臣として、十に一つくらいは明快な答弁をしてもらいたいと思うのです。
  131. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 あるいはことばも足りませんのでなんでございますが、いま御指摘のようなことがあると思うのです。しかし、専業農家で大きな農家であっても、資本操業をやるということの結果として、相当負債を負う、そのやり方がまずかったという場合もありましょうし、また災害が起こって非常に不幸な目にあってきたとか、いろいろそれぞれの実情があろうと思います。また地域によって非常に違う。こういうことも考えられますので、そういう地域の問題、それからいま言った実情等をも十分把握いたしまして、それらに即応したようにこれらの問題を検討していかなければならぬ、こう考えておるわけでございます。
  132. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次の問題は、近代化資金とは違いますが、一昨年近代化資金助成法の改正あるいは農林漁業金融公庫法の改正等を行ないました場合、農業協同組合のあり方について、政府としてはどう考えるかという問題が提起されたわけです。当時、赤城農林大臣の答えとしては、目下農林省において、農林大臣の私的な諮問機関というような意味で、石井英之助君を会長とする農協問題懇談会——これは名前は明らかでありませんで、あるいは農協問題調査会かもしれません。政府のほうで明確にしてもらえばいいわけですが、そういうものを設けて検討を加えておるので、いずれ近いうちに、農林省として、農協に対する今後の対策等については、委員会に明らかにしたいという話があったわけであります。その後また農協中央会からも、この農協問題調査会等に対して、農協の立場からの意見の具申等が行なわれておるということも承知しておるわけであります。すでに二年以上を経過した今日でありますから、この調査会等においても相当具体的な作業を行なっておると思いますし、特に最近の国内の経済事情の変化等から見ても、あるいはことしの農業白書におきましても、従来の農業協同組合の総合事業というものは、金融事業からの利益に依存する度合いが強かったが、最近の低金利の傾向から見た場合に、そういう信用事業の収益だけに依存するような農協の経営方針というものは誤りである、危険であるというような指摘も、実は行なわれておるわけです。この際、やはり農協問題については、われわれとしても重要視しておることでありますから、農林大臣から、農林省として農協に対してどういうような検討を下しておるか、この点を説明してもらいたいわけです。
  133. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 昨年の九月ごろから学識経験者に寄っていただいて、農業協同組合全体に関する研究会をやっております。非常な広範な点にわたって研究をいたしていただいておりますわけで、もちろんまだ結論も出ておりません。しかし、この五月ごろ、大体中間報告を受けたい、こういうふうに考えておるわけでございます。なお、先ほどお話しに相なりました、農業協同組合自体が改善に関する広大な——またなかなかうがった点も非常に多いのでございますが、ずいぶん広範にわたっての改革と申すか、改善意見をまとめまして、それらの批判をいろいろわれわれにも申し出ておるのでございます。これは答申というわけではありません、諮問いたしたのじゃないのでありますから。いわゆる自発的に農協全体の問題についての改善策を協議されて、そしてでき上がったものでございます。非常に広範なものでございます。内容も相当しっかりしておるものと私は見ておるのでございます。しかし、これらに対しても、また一部にはいろいろ問題もございます。そういうようなわけでございまして、これらの問題といい、また農政局が中心になって学識経験者に寄ってもらって研究しておる問題等、農協に関する十分な研究をわれわれは期待する。日本の農業がいかに大きくなるとしても、また経営の拡大が行なわれるとしても、やはり小農の域を脱しないものであるのであります。したがって、協同組合というものは絶対必要なものであることは言うまでもございませんので、これらの組織がほんとうによくいくかいかぬかという問題、つまり、農協のための農協でなしに、農民のための農協として、でき得る限りの力が伸び得るような点について、十分検討を加えていきたい、かように考えておるわけでございます。とにかく非常に大きな問題であり、また歴史を持つものであり、いろいろの関連の多いものでございますので、いまこうしたらいいということを一言にしては言い得ないのでございますが、そういうことでございまして、農林省といたしましても、この問題はひとつ十分検討を加えてまいりたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  134. 芳賀貢

    ○芳賀委員 大臣のお話は大体わかりましたが、私の聞いているのは、もう少し内容的にしてもういたいわけです。二年もたっておるわけで、いままでに二度にわたって中間報告というものが行なわれておるわけです。先ほども言ったとおり、農協中央会からも具申が行なわれておる。これは農政局長のところで扱っておられるわけですから、この主たる問題点ですね、特に農協の組合員の構成から見ても、とにかく全国的に見ると、専業農家が二割しかおらぬ、第二種兼業が四三%というような、兼業がどんどん激化する状態の中で、一定の組合員資格を持った者は農協の構成員になっておるわけですから、構成上から見ると、専業農家のほうは非常に僅少になっているわけです。農林大臣の石川県は専業一割しかないということを常に宣伝されておるようですが、以前の農協の正組合員の構成内容と今日の内容とは、非常に質的な変化を来たしておるわけです。しかも農協が全組合員の利益に貢献しなければならぬということになれば、おのずからその使命とする点とか、あるいは行なう事業の内容等についても、それに対応する農協の体質というものが要求されてくると思うわけです。そういう点は検討すべき事項の重要課題になっておると思いますので、それらの問題点を中心にして調査会が検討している問題点、あるいは農林省自体として問題にしておる点等について、要点だけを農政局長からでいいですから、述べてもらいたい。
  135. 和田正明

    ○和田(正)政府委員 農協問題に関します検討は、先ほど大臣からお答えがございましたように、昨年の九月から学識経験者約二十人ほどにそのつどお集まりをいただきまして、大体月に一ぺんないし二へんぐらいずつ本年の一月くらいまで累次開催をしてまいりました。そこで、非常に広範にわたりましていろいろ御議論をいただいておりますので、まだこうというふうにきめる段階ではございませんけれども、大体いままでいろいろ議論をいただいておりますおもな点を拾って申し上げますと、第一は、いま芳賀先生御指摘のございましたように、いろいろな経済状況の変化あるいは農家の質的な変化に対応いたしまして、農協のあり方について、もっと純化論と申しますか、ほんとうに農業を中心にやっているような人だけに組合員資格を逆に限定をするような考え方、また他面では、そろいうふうに考えずに、やはり農業地域社会を全体としてひっくるめた昔の産業組合のようなものとして考えるべきではないかという問題、それで進みましては、いまのような状況の中で農協が農業生産にさらに——現在もいろいろ努力をしてもらっておりますが、一そうそれを効果あらしめるためには、事業運営の面でどのようなことを考慮したらよろしいか、さらに県連の段階につきましては、現在組合の基本思想として一人一票制というたてまえをとっておりますが、非常に事業量の大きい組合と小さな組合といろいろばらつきが出てきたこととの前提において、特に連合会の段階では、一人一票制を事業量とか組合員数とかに対応して若干手直しをする必要があるのではないか、そういう問題、   〔委員長退席、大石(武)委員長代理着席〕 それから特に最近、ごく一部の農協で、信用事業面等で定款違反等の貸し付けがあって、若干の事件を起こしておりますが、そういう意味におきまして、農協の執行体制にもう少し責任体制を確立するというような問題がもう少し制度的にも検討さるべきではないだろうか。さらに中央会が、県段階にしろ全国段階にしろ、いろいろな批判があるわけでございますが、今後中央会がどういう事業に重点を置いて進んでいくべきか、そういうような点を広範にわたりまして、九月から一月まで先ほど申しましたように、月に一回ないし二回学識経験者にお集りをいただいて議論を重ねてまいったわけでございますが、私どもの事務局的な気持ちとしては、四十一年度末までに一応の結論を出すということで、予算も四十年度と四十一年度と二年にわたって調査研究のための経費が計上さされておるのでございますが、少なくともそのうち当面急ぐ部分につきましては、五、六月ごろには何らかの中期的な結論を取りまとめたいという考え方で、現在皆さまの議論の結果などに基づいて取りまとめを急いでおりますが、四月にもなりましたらさらにまたお集まりを願って再開していただいて、詰めてまいりたいというふうに考えております。  それからなお、全国農協中央会が総合審議会というのをつくりまして、昨年十一月に、団体側の立場として自主的にきめましたものがございます。これは別に答申とかそういうことではなくして、農業団体自身として今後こういう問題点を検討したいということで、全体三章に分かれております。単協段階について、総合農協、専門農協のあり方の問題とか、組合員の数をどの程度を基準にすべきであるかとか、それから第二章は、県段階の問題として、現在のような三段制ではなしに、取り扱う物資によっては二段制ということもあり得るのではないかとか、それから第三章では、現在のような販売、購買、信用といったような連合会のあり方を総合連合会にするのはどうかとか、あるいはブロック別の連合会をつくったらどうかというようなことについて、いろいろ団体側での問題意識を取りまとめられたわけでございますが、相当広範でありますのと、たとえば取り扱いの三段制を二段制にするといいましても、物別に違うということですけれども、物別にどうするかというような最終的な詰めはまだ行なわれておりませんで、きわめて抽象的な部分が多いわけでございますが、中央会自身としても、これに基づいて、情勢としてこういうふうに法律を直してほしいというような具体的な形としては、まだ農業団体側も動いておりませんので、これも先ほどから申し上げております研究会等では、一応参考にはしながら議論を進めていただいておる、そういう段階にあるわけでございます。
  136. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この問題は、いずれ適当な機会に取り上げることにしたいと思います。  最後に、農林大臣お尋ねしたい点は、御承知のとおり、農協合併促進法の五年間の期限が三月末で完了するわけでありますが、これに対して現在のところ、農林省として、この合併促進法をさらに延長する意思があるのかないのか、あるいはないとすれば、どういう理由でないのか、必要と考えた場合には、政府提案がいまの段階でできない事情にあれば、むしろ議員立法として委員会提案等で出してもらいたいという考えを持っているか、何かお考えはあると思いますので、この点が第一点。  もう一つは、農林漁業金融公庫法の附則の二十三条、四条と思いますが、乳業資金に対して国庫から資金融通ができる道を、これは五年前に農林委員会において、われわれが議員提案という形で公庫法の一部を改正したわけですが、これも三月で期限が切れるわけです。特に四月から乳価の不足払い制度等も開始されるわけでありますし、また酪農近代化の相当積極的な構想が打ち出される機会でありますからして、これらの資金を継続的に公庫から出す必要があるとすれば、やはり期限延長をする必要も生じてくると思うわけですが、これに対する政府の最終的な方針をこの機会に聞かせてもらいたい。  最後にもう一点は、農林年金法の改正でありますが、これはもうすでに、衆議院の予算委員会において大蔵大臣からも、法律の改正案を必ず出しますということが確約されておるにもかかわらず、今日までまだ政府から改正案が提案を見ていないということは、まことにこれは遺憾にたえない点ですが、せっかく国会で約束をしておりながら、どうして年金法の改正案を出せないのか、これが出ないと、近代化法は提出の時期が早かった関係もあって、先着順で今日までやってきておるが、これをもし二つあげた場合には、審議する法案ということになれば、社会党が提出した農林年金法の改正案の審議に直ちに入るという順序になるわけです。全部社会党提案にまかせてそのまま通してくれるといろのであれば、これはいと簡単であるが、政府のいままでの態度を見ると、それほど熱のこもったやり方はできないと思うわけです。ですから、この点は一体いつお出しになるつもりでおるのか、あるいはいつまでも今後も引き延ばすつもりでおるのか、その点を農林大臣から明らかにしてもらいたいわけです。答弁いかんによっては、今後当委員会の法案の審議等についても、これは委員長はじめ理事全体が重大な決意で対処しなければならないと思うわけですからして、正直に答えてもらいたいわけです。
  137. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 三つの問題でございます。  第一は、農協合併助成法の問題でございます。これは元来政府で計画したその計画の九九%が達成されておるということであり、その後の問題としては、法案としては、それだけではなかなか合併の目的を達し得ないというような情勢等もありました関係上、政府提案というものを出さない、こういうふうにいたしておったのでありますが、その後、いわゆる法人税その他登録税などの、合併についての税の問題は、非常に問題として考えなければならないというので、協議もいたしておるようなわけでありまして、したがって、この農協合併の法案につきましては、御相談をいたし、議員提案でも提出していただけばいいのではないかというふうに考えておるわけでございます。  それから乳業資金の問題でございますが、これは政府提案はしないということで進んでおったのでありますが、議員提案で提出するという話し合いを聞いておるわけでございます。そういうふうになれば、政府としても、これはさようなふうに進み得るものではないか、かように考えておるわけでございます。  それから農林年金法でございますが、これは現在法案作成中でございます。なお、若干の時間を要するとは思いますが、その点はひとつ御了承願いたい、こう思います。なるべく早く成案を得たい、こう考えております。
  138. 芳賀貢

    ○芳賀委員 作成中というのはどういうのですか。国庫補助を一五%を一六%にするという作成であれば、これはもう一時間もかからぬでできるのですよ。今日まで延び延びになっているというのは、相当広範囲にわたって抜本的な改正をするために作業を行なっておる、だからもう少しかかる。慎重ということじゃないのでしょう。作業が大きいから時間がかかるというのでしょう。
  139. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 これはいまのようなちょっと一点を直すくらいならば時間を要しないのでございますから、その点はよく御了承願いたいと思います。慎重審議をいたしておるのであります。
  140. 大石武一

    ○大石(武)委員長代理 それでは湯山君。
  141. 湯山勇

    湯山委員 非常に重要な問題点、大臣の御答弁をいただくということを委員長から計らっていただいておりましたので、端的にお尋ねをいたしますから、ひとつ簡単に、しかも明確にお願いいたしたいと思います。  一つは、信用保険協会でございますが、政府委員並びに政務次官お尋ねいたしまして、保険設計が非常に不安定である、ことに四年、五年あたり赤字が出てまいりまして、十年ぐらいになると準備金が相当減少して、これはたいへんなことになる。そこで、数年後には当然国からの交付金による手当てが必要であろうと思いますが、交付金を国からさらに追加出資する、追加手当てする、そういう方針をとっておられるのかどうか、これが第一でございます。まず、これからお答えいただきたいと思います。
  142. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 今後の保険協会の業務の推移を見て、これら資金の追加造成が必要と考えられる場合には、時期的に十分な余裕を持って国の交付金等を確保し、保証保険制度の円滑な推進に支障なさよう万全の措置を講じてまいる所存でございます。
  143. 湯山勇

    湯山委員 けっこうでございます。  その次にお尋ねいたしたいのは、基金協会からの信用保険協会に対する保険ですけれども、これは五十万円を境目にして包括、つまり自動的に保険に入れるものと、これを基金協会において選択するもの、この二本立てになっております。しかし、この保険性格、趣旨から見て、こういう二本立てというのは、はなはだ当を得ない措置であって、将来必ず包括一本にすべきだ、このように考えますが、これについて大臣の御所見を伺いたいと思います。
  144. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 選択包括の制度により、今後円滑に保険が行なわれるものと考えておりますが、お説の点は、保険制度の運営の実態を見て、必要があれば今後の問題として十分検討いたしてまいります。
  145. 湯山勇

    湯山委員 ただいまのは検討だけじゃなくて、そうしなければならないように、保険が価値があればあるほどそうならなければならないわけですから、検討じゃなくて、そういう方向で大臣も施策を進めていく、一挙にそうなるかならないかは別ですけれども、そういうふうにあっていただきたいと思います。あとの御答弁と一緒に願います。  第三番目は、信用保険協会への加入、脱退が自由であるということが法文の上に明記されております。しかし、これの構成から見て、自由に加入、脱退をざれたのではたいへんなので、基金協会一つ脱退すれば、その県はこの事業が困ります。中金が脱退なんかすれば、これは資金的にも業務の上からもたいへんな問題なんです。法律にはそうなっているけれども、実際には加入、脱退というようなことが起こらないような措置が必要であると思います。それについてどのように指導されるのか、これを伺いたいと思います。
  146. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 先ほどの点でございますが、運用の実態を見て、必要があればその方向ででき得るように検討したいと思います。  それから次の問題でございますが、すべての基金協会及び農林中金が加入するよう指導し、また加入の見込みであるので、法制上、自由加入、自由脱退として構成したとしても、実態上これが保険事業の遂行に支障となることはないと存じます。
  147. 湯山勇

    湯山委員 つまり、加入したものの任意脱退というものは起こらないように指導もするし、運営もしていく、こういうことでなければならないと思います。この点、もう一度お答えいただきたい。
  148. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 でき得る限りその方向で指導いたしたいと思います。
  149. 湯山勇

    湯山委員 できる限りではなくて、そうでないと困るのです。ですから、そういうふうにしますと、こうおっしゃらないとたいへんなことになります。
  150. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 さように指導いたします。
  151. 湯山勇

    湯山委員 保証料、保険料が〇・三%ということになっておるのですが、政府委員にいろいろお尋ねいたしますと、保険財政もなかなか容易ではない、将来政府交付金も当てにしなければならないという状態ですが、保険料保証料の〇・三%を将来引き上げるというようなことになると、また別に問題が起こってまいりますので、この〇・三%という保証料、保険料率は、これより上げるということはない、あってはならないと思うのですが、最後に、これについてお答えをいただきたいと思います。
  152. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 基金協会保証料及び保険協会保険料は、他の同種の制度から比べてかなり低率となっておるが、この料率で保険事業の運営に支障はないものと考えており、当分はこの料率で運営してまいる所存でございます。
  153. 湯山勇

    湯山委員 大臣、遠慮をなさらずに——当分なんて言われるけれども、もう四年ばかりしたら赤字になるのです。赤字になったら、今度は上げるのではないかというのが心配ですから、そこで、上げない方針である、こうおっしゃっていただかないと、当分では困るわけです。
  154. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 できるだけさような方針で進みたいと存じます。
  155. 大石武一

    ○大石(武)委員長代理 両案に対する質疑はこれにて終局いたしました。  次会は、明二十四日委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時十分散会