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1966-03-17 第51回国会 衆議院 農林水産委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月十七日(木曜日)    午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 中川 俊思君    理事 大石 武一君 理事 倉成  正君    理事 田口長治郎君 理事 本名  武君    理事 赤路 友藏君 理事 東海林 稔君    理事 芳賀  貢君       伊東 隆治君    池田 清志君       金子 岩三君    小枝 一雄君       坂村 吉正君    笹山茂太郎君       中川 一郎君    丹羽 兵助君       野原 正勝君    野呂 恭一君       藤田 義光君    松田 鐵藏君       森田重次郎君    足鹿  覺君       江田 三郎君    兒玉 末男君       千葉 七郎君    西宮  弘君       松浦 定義君    森  義視君       湯山  勇君    稲富 稜人君       中村 時雄君    林  百郎君  出席政府委員         農林政務次官  仮谷 忠男君         農林事務官         (農林経済局         長)      森本  修君         農林事務官         (農政局長)  和田 正明君         農林事務官         (農地局長)  大和田啓気君         農林事務官         (園芸局長)  小林 誠一君  委員外出席者        専  門  員 松任谷健太郎君     ————————————— 三月十七日  委員小山長規君、松井誠君、玉置一徳君及び林  百郎君辞任につき、その補欠として野呂恭一  君、足鹿覺君、稲富稜人君及び川上貫一君が議  長の指名で委員に選任された。 同日  委員足鹿覺君及び稲富稜人君辞任につき、その  補欠として松井誠君及び玉置一徳君が議長の指  名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農業近代化資金助成法の一部を改正する法律案  (内閣提出第九七号)  農業信用基金協会法の一部を改正する法律案  (内閣提出第九八号)      ————◇—————
  2. 中川俊思

    中川委員長 これより会議を開きます。  農業近代化資金助成法の一部を改正する法律案及び農業信用基金協会法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。足鹿覺君。
  3. 足鹿覺

    足鹿委員 私は、二法案に関連いたしまして、法案自体の問題は同寮の皆さんから相当内容を御質問になっておられますので、これに関連しながら、若干の具体的な農林金融実情を中心に政府所見を求めたいと思います。  私は、最近全国各地を歩く機会が多いので、ここではあまり抽象的な議論をするというよりも、農民農林金融問題についていろいろな不平や不満や、したがって要求を持っておる、そのなまの声を当委員会を通じて申し上げ、これに抽象的ではなくして、具体的な御答弁をわずらわしたい、かように存じますので、よろしくお願いをいたしたいと存じます。  昨日同僚湯山委員から、農業近代化ということについて、だいぶきめのこまかい御質問があって、局長答弁に窮していたようではありますが、それは理論的に尽きておると思いますから、私は、具体的な一つ近代化内容について、まず実情をお示しして伺ってみたいと思います。  近代化資金融資の状況を見ますと、建物農機具のみで制度創設以来毎年総融資額の八〇ないし九〇%を占め、しかもそのウエートは年とともに増加傾向を示しております。これではこの資金が俗に豆トラ資金といわれておりますのも無理はないと思いますが、今日までの結果から見て、政府の言う農業近代化ということは、建物農機具をふやすことである、こういうふうに受け取っても言い過ぎではないと思うのです。いわゆる農業近代化内容がまことに空虚なものであるということを物語っておると思うのです。近代化資金貸し出し内容は、これは政府もよく実態を把握しておられると思いますが、念のために申し上げてみますと、三十六年、三十七年、三十八年、三十九年の実績を見ましても、三十六年で建物四九・二、農機具三〇・四、家畜二八・四、果樹〇・九、これは創設直後のことでありますから、これをもって直ちに判断はできませんが、これが三年後の三十九年になりますと、建物が五〇・三、農機具が三七・五、家畜が五・一、果樹が一・〇、いずれも%であります。小土地改良などには一%弱でありまして、当初はかなりのウエートを占めておった家畜も、今度は三十九年に比べると、三十六年一六・四あったものが、三十九年には五・一というふうに減っておる。だから、私がいま言ったことは架空のことではなくして、建物農機具融資だ、こういうことになると思う。  そこで、伺いたいのでありますが、今回の改正で、言うならば中期運転資金のような形のものが一部認められました。これは別に悪いことではありませんが、その内容をもうちょっと広げる必要があるのではないか。言うならば農業生産に要する資金一般に対する利子補給をやる必要があるのではないか、この資金を、組合金融公庫融資とはそれぞれ異なった制度金融として、明確に位置づける必要があるのではないか、私はそういうふうに存ずるのでありますが、農林省のこれに対する御所見を承っておきたい。
  4. 森本修

    森本政府委員 昨日も湯山先生の御質問に対しましてお答えを申し上げたのでありますが、農業近代化あるいは農業経営近代化ということになりますと、きわめて広範な手段政策によって実現をはかっていくというふうな性質のものであろう。もちろん、金融手段というものも一つの有力なものでありますことは、申し上げるまでもございません。金融手段ということに限ってみましても、現在農林漁業金融公庫といったようなものがございますし、あるいは先般来御審議いただいております近代化資金といったようなものもございます。また、系統金融農家に対して貸し出しをしておるといったように、いろいろな性質金融手段が現在あるわけであります。主として公庫資金のほうは、たとえば土地改良でありますとか、そういった基盤整備、あるいは農地取得資金といったような規模の拡大関係、あるいは構造改善事業の推進、果樹園経営改善、あるいは畜産経営拡大資金といったようなことで、主として計画的に経営改善なり拡大を推進していくというような、やや政策的な目標が明確になっておるものに対して、長期低利資金を貸し付けるといったような形に実はなっておるわけであります。きのうも申し上げましたように、農業近代化資金というのは、名前が実は近代化一般のように受け取られますけれども、われわれの考えておりますところは、資金性質としては、いわば近代化施設資金といったような形のものにほぼ対象をしぼっておる、こういうふうな形になっております。個々の農家あるいは農家が共同してそういった施設導入するというふうな所要資金に対して融通をするということで、運用してきておるわけであります。系統金融のほうは、大体事業なり生活に関する資金ということで、従来は短期の経営資金なりあるいは生活資金を貸し付けておる。もちろん、それぞれの、いま言いましたような資金の境界というものは、必ずしも明確でない点もございまして、従来から交通整理問題というのがきわめて大きな課題として残されておるわけでありますが、ほぼそういった融資分野というふうなことで、現在まで運用をいたしておるわけであります。昨日も申し上げましたけれども、今回新しく中期運転資金を取り入れましたのは、従来の施設あるいは家畜その他について、いわゆる施設資金貸し出しておりましたが、それは主として施設の新設に要する資金、あるいは家畜導入に要する資金のみを貸し出しておる、こういう関係になっております。ところが、御案内のように、果樹園を造成する、あるいは家畜導入いたしましても、その後一定期間育成に要する資金が要るわけであります。従来の経過を見てみますと、そういった育成に要する中期的な資金を、導入資金とあわせて貸し出しませんと、固定資産増加あるいはその形成が十分にいかないといったような面が出てまいりましたので、御提案をいたしておりますような中期的な運転資金を新しく今回融資対象に加えよう、そういうふうな趣旨で改正を予定いたしております。
  5. 足鹿覺

    足鹿委員 それなら一つ伺いますが、本改正法がかりに成立いたしたとしますならば、個人施設が六分、共同施設が七分と、それぞれわずか五厘の金利引き下げが行なわれることになるわけです。現状からいって、六分の金利が純粋な農業収益から返済し得るとあなた方は考えておるのですか。あとで私は農地金融等について具体的な例を申し上げますが、一体農林省は、現在の農業経営でどの程度金利水準なら農家負担にたえられると考えておいでになるか。もっと掘り下げて検討してもらわなければ困ると思う。いままで長期資金の場合、補助をもらうのは全部六分五厘ですね。そうすると、十六、七年年賦で元金と同額になるのです。あとで具体的な数字を申し上げますが、そういう元金金利、そういうものが農業収益の中から生み出されるかどうかという問題なんです。まあ、これは常識をもってしては生み出されるはずはないです。特に価格が不安定な際は、そのことは私は申し上げても言い過ぎじゃないと思う。私どもは、この間、全国の出かせぎ農民の総決起大会を東京で二月二十二日開き、三月十三日には大阪で西日本の総決起大会を開きました。その出かせぎ農民が一様に出かせぎの理由について体験を発表しておることを申し上げますと、出かせぎの最大の理由借金返済のためというのが圧倒的なんです。借りた金を農業で戻せぬ。だから出かせぎをしてそれを戻す。こういう矛盾した話がありますか。いかに農業経営実態金利が高過ぎるか。制度金融においてしかり。いわんや、農協金融のようなコストの高いものにつきましては返せる道理がないです。だから出かせぎが激増してくるのです。そのことをあなた方は知っておられますか。現在まであなた方の言っておることは、企業としての農業、もうかる農業ということをスローガンにして指導しておいでになったと思うのですが、全く夢物語りなんですね。もっと財政金融面から農業特殊性というものを考えて、方途を考えられる必要な段階に私はきておると思う。農業構造改善よりも、金融構造改善をあなた方もっとやる必要があると思う。出かせぎのおもなる理由は、さっき述べましたように、借金返済生活費補給、その次が教育費の問題なんです。何も出かせぎをして金もうけをしてぜいたくをしようなんというものではないです。しかも夫婦共かせぎ、夫婦とも比較的農閑期に出かせぎをしておる事例は、この間もその家族から体験発表がありましたが、あとは中学校のかしら子が、七十、八十のおじいさん、おばあさんのどちらかと、その幼い子供たちと一緒に薄暗い電灯のところで、ろくな食事もとれないというような実情なんです。これは明らかに、もうかる農業だとか、あるいは農業近代化だとか、いかにも聞いているとりっぱな題目ですけれども現実には近代化農民の所得につながっておらないということを物語っておる。いわんや、もうかる農業だとか企業としての農業などということはもう夢です。そういう事態をふまえてあなた方はもっと真剣に考えていかなければならないと思うのです。少なくとも近代化資金返済する、その他の借金返済するために農民が出かせぎをしなければならないという、これが農基法制定下における農村の実態じゃありませんか。そのことをふまえて、あなたたち金融そのもの構造改善をもっと踏み込んで検討される必要がありはしないか。この出かせぎの問題は、矛盾を通り越して残酷物語りです。人道的な面からも、社会的な面からも、単にこれは農民の出かせぎ問題として等閑視することはできないですよ。その理由が少なくとも借金だということが明確になっておる以上は、当然そういう面について措置が構じられなければならぬと思いますが、これは政策上の問題でありますので、政務次官にひとつ政府の御所見をこの際承っておきたいと思う。何らかの措置を講じられなければならぬ段階だと私は思うのです。
  6. 仮谷忠男

    仮谷政府委員 出かせぎの問題が、一つの社会問題としていまたいへん重要な問題であることは申し上げるまでもないのであります。ただ、出かせぎの実情というものが、たとえば私どもの出身の南のほう、西日本関係では比較的少ないのであります。これは年間通して大体それぞれ就業いたしておるわけでありますが、やはり東北方面の冬季の時期、いわゆる農業としての農閑期、そういう時期が特に利用されておることは御承知のとおりであります。ただ、その実態そのものを見ますと、全部が全部は借金支払いのためにということはないとも思いますけれども、やはり農業現金収入が比較的少ないということで、現金を得ることによって借金返済に充てるというふうな面は確かにあると思うのでありまして、そういう観点から、農業の一般的な問題としては、冬の期間雇用拡大あるいはまた事業の増大ということによって、いわゆる出かせぎをする必要のない環境をつくり上げていくことも、一つの大きな問題ではないかと思います。ただ、金融の問題ですべてが解決つくとは思いませんけれども、確かに、金利その他の面で農民に大きな負担をかけておる面もあることは間違いないと思います。そういう面でできるだけ低金利農業資金貸し出しするということは、われわれも考えなければならぬし、それを理想といたしております。そういう意味で、三分五厘資金というものも先年創設をいたしてやっておりますが、ただ、単独事業の場合と補助残融資の場合とは、若干そこに開きができておることも事実でありまして、こういう問題は金融全体の構想でひとつ十分に検討しなければならないということも、先生のお説のとおり、われわれも十分承知をいたしておるわけであります。なお、金融の問題につきましては、局長からも答弁させることにいたします。
  7. 足鹿覺

    足鹿委員 次官に申し上げますが、農林金融制度全体の問題については、これからまたいろいろ各論的に申し上げますが、いまあらわれておる実態というものは、農業借金が返せない状態になっておる、それを出かせぎでまかなうという、こういう顕著な矛盾というもの、悲劇というものに全然ノータッチであっていいはずはない。法律が生きておる限り、その運用なり指導なりで活用して、そういった矛盾をどう解消していくか、やってみてどうしてもそれが行政手段や運営の問題では片がつかぬという場合には、これは私は何らかの法的な措置が必要になってくると思うのです。だから、少なくとも現実にあらわれておる、この百万といわれ、あるいは人によっては百五十万といわれる出かせぎ農民、その人々が借金を返すために出かせぎをしておるのだという実態に対して、労働省だけが職安行政を通じていろいろ心配をしたり、われわれ民間の者がその意向をとりまとめて非常な犠牲と努力を払って、ようやく世論の面で取り上げるようになってきたと私は思うのです。労働省といえども賃金不払い問題等については、建設省と協力して、この間業者を集めて、下請と元請との賃金不払いに対する責任関係、この問題についても説示を行なっておるし、また、そういうことのないような行政指導も手をつけ始めておるのですよ。農林省はそういうことに対して何らの行政的な対策も考えておらない。私は経営全体の面から論ずるのはあとで申し上げますが、そこにあらわれておる悲惨な現実というものに、あなた方は行政手段としてどう対処されようとしておるか。少なくともこれに対しては、あなた方はいままで知らぬはずはないと思うのですよ。知っておってやらなかったならば怠慢であるし、知らなければ、その実態を調べて何らかの対策を講ずる、善処するというくらいの答弁を私は欲しております。この点いかがでありますか。
  8. 仮谷忠男

    仮谷政府委員 借金を返すために出かせぎに行くということですけれども、出かせぎの問題と農業借金の問題ですが、これはもちろん大いに関連しておりますが、そういう面からも解決をつけていかなければならぬことは確かでありますが、ただ、なぜ百姓借金をするかというと、近代化を進めていきたいという考え方のもとに、かくかくの資金を借りたいという申し込みがあり、それに基づいて資金を貸し付けておる。その申し込みのいわゆる計画が十分に完全なものであれば、必ずしもその借金支払いが出かせぎにまたなきゃならぬということはないはずだ、これは理論的な問題でありますけれども、そういうことも考えられる。そうすると、その借金貸し方自体が、あるいは計画自体が、もう少し真剣に討議されなきゃいかぬ問題ではないか。そういう問題についての指導といいますか、そういった面も確かに欠ける面があるのじゃないか。そういうふうな基本問題をまず考えなきゃならぬ。そうして現実計画どおりやっても、なおかつ農業収入支払いとの間にアンバランスがあるということになれば、それは金利の問題であるかどうかという問題も十分に検討しなければならぬと思うのです。いずれにしても、農業立場からそういった面は十分に検討し、善処しなければならぬことは当然であり、一日も早く農業者がいわゆる借金のために出かせぎをしなきゃならぬという事態を解消することについては、これは大きな農業問題でもあり、政治問題でもあり、努力しなければならぬことは当然であると思います。
  9. 足鹿覺

    足鹿委員 あなたの御答弁を聞いておりますと、何か百姓が返すめどのない借金をしたようにもとれるのですが、それはいままであなた方が制度金融なりその他の金融指導をやられて、法の運用をされていかれたこと自体間違いがあったという告白にも一面なると思うのです。私はそれを責めようとしておるのじゃないのです。適正な貸し出しが行なわれたと前提をして、それが戻せないということは、農業が破滅的な状態になってきておるからなんです。これは容易な政策では問題は解決つかぬと思う。だから、まず当面出かせぎの百万、百五十万の人間の大部分が借金返済のために出かせぎをしておるという事態というものを農林省はどう把握し、これをどう対処されるか。少なくとも何らかの施策というものを、労働省建設省十分相談をされるまでもなく、農林省自体として取り上げていかなければならないことではないか。次官、私はそのことを一つ事例として申し上げておるのですよ。だから、その根本論根本論としてまたやりますが、そのことに対して、何か借金して戻せない、それは借金した者が無理があったんじゃないかというふうにとれるような御答弁は、私自身非常に心外に思うのですよ。役人ならともかく、民意を代表して、長いことお互いに農林行政に国会の立場から参与しておる次官が、いまの御答弁をもっていいとお考えになると私は思わぬが、あまり横のほうからいろいろなことをつぎ込まれないように、あなた自身の判断に基づいた、思い切った何らかの御答弁を私は期待しております。くどいようですけれども……。
  10. 仮谷忠男

    仮谷政府委員 率直に申し上げますが、確かに農民借金に苦しむために出かせぎをしなければならぬという人もあると思います。ただしかし、その系統の金を借りて、そうしてりっぱに成功をして、それで十分やっておる農民もあることは事実であります。この点は足鹿先生も御理解いただけると思うのでありますが、ただ、一体その借金がどういう性質借金なのかという問題にもさかのぼって考えなきゃならぬと思います。系統資金貸し出しが悪いのか、また政府のやり方が悪いからそういうふうになったというのか、あるいは借金そのものがどういう形の借金であるかという問題にも、考え方によれば根本的にメスを入れてやらなければならぬ問題もあると思うのであります。たとえば、近代化資金等は三十六年から始めまして、率直に言って、滞納は三%程度でありまして、これはほかの金融機関の貸し付けたものと比較して、必ずしも高い滞納率ではないので、これはわずか四、五年くらいの期間でありますけれども現実の問題としてそういう数字もあらわれておるのでありまして、したがって、そういう系統資金貸し出し等によりまして、さらに償還ができない者に対するいままでの対策としては、借金肩がわりのためのいわゆる自創資金の貸し付けといったような問題もございますし、あるいは特別に償還条件を緩和するといったような方法も講じてはおりますけれども、そういった面が十分に行き渡らず、なおかつ先生がおっしゃるような事態があるとするならば、そういう問題については十分に検討をして善処するようにせなければならぬという考え方については、私どもも全く同感である、こういうふうに申し上げるより道はないんじゃないかと思います。とにかく善処し努力するということについては、先生のおっしゃるとおりの気持ちでおることを御理解いただきたいと思うのであります。
  11. 足鹿覺

    足鹿委員 私は、具体的にあらわれておる一番悲惨な問題を一つの例にしておるのでありまして、その実態をあなた方が把握されれば、これはたいへんだということにならざるを得ないと思うのです。だから、まず実態農林省自体としてはお調べになる必要があると思います。現在的確に把握しておられないでしょう、いわゆる出かせぎ農民の問題に対して。これは各局にまたがるたいへんな問題なのです。だから、少なくともその実態を把握され、出かせぎの原因について、私が指摘しておったことの正当性をお認めになれば、これは当然何らかの措置を講じてやらなければならぬということになると思うけれども、あなた方自体がまだそこまで手が伸びておらぬというところから、いわゆる次官の抽象的な答弁にならざるを得ないんじゃないか。私はあなたの御答弁を好意的に受け取りますが、少なくとも大前提として、その実態を把握するだけの努力をなさっておりますか。おらないならば、それを御調査になって、そうして今後その実情に基づいて対策を講じたい、検討したい、こういうことであれば、私はこの問題であまり時間を費やしたくありませんから、先へ進みますが、いまの答弁では私はどうしても納得がいかないのです。
  12. 仮谷忠男

    仮谷政府委員 よくわかりました。そういう実態の把握も十分できていない点も確かにあると思いますから、実態をよく調査いたします。そうしてそれに基づいて善処いたします。
  13. 足鹿覺

    足鹿委員 それでは先へ進みますが、特に最近地方財政が窮乏してきておりまして、県によっては近代化資金融資ワク政策的に低く押える傾向の県も出てきております。今後さらにこの傾向は強まっていくものではないかと私は心配しておるものでありますが、これを緩和していくためには、国の利子補給率というものについて、もっと御配慮になる必要があるのではないかと思うのですが、この点いかがでしょうか。  いま一つ、この利子補給の問題について、この近代化資金についての政府の姿勢がきわめてあいまいなために、先ほどの例とは別に、県によっては、県や市町村が単独利子補給をさらに上乗せしていっておるところもあります。また、融資対象にも各県が各個のばらばらの基準、たとえば耕うん機については、耕地面積が幾らの面積以上のものでなければならぬというようなものをつくって、そして、それ以下のものには貸し出しを押えるというような地域もございます。地域実情に応じて弾力性を持たせること自体は、私は悪いとは言いませんが、低いほうに押える弾力性を持たれることは、これは困るわけなのです。しかし、それは地方自治体が財政的に窮乏しておるから、本意ではないかもしれぬが、やはりそういうふうにして抑制をしなければならぬ実情にあることから原因が来ておると思うのです。でありますから、同じ農民でありながら、財政力の豊かなところの農民と、財政力の貧弱なところの農民が、政策的に一つ制度として打ち出されたこの資金が借りられる、借れないとか、あるいはそれが借りたくても借りられなくて、また借りてもなかなか戻せないとかというふうに、県によってアンバランスがあるということは、これは一つ制度の弾力的運営という面から出てくる当然のことだとは思いますが、府県自体が同じ水準にない限りは、国自身がもっと資金に対する責任の所在というものを明確にされる必要があるのではないか。つまり、金利補給の問題に対して対処されるならば、この弊害はある程度緩和されるのではないか。そういう点についてどうですか、御検討になっておりますか。
  14. 森本修

    森本政府委員 近代化資金地方財政、地方負担の問題でございますが、私どもがいま見ておりますところでは、全般的にいって、地方財政負担近代化資金貸し出しをしかく抑制しておるというふうにも見られないわけでございます。ただ、地方あるいは地方公共団体によりましては、先ほど御指摘がございましたように、単に近代化資金のワク内での負担のみでなしに、県自体として、あるいはいわゆる県単の融資事業をやる、あるいは数県においては利子を上乗せして補給をしておるといったようなことで、そういうものを含めますと、かなりな財政負担になっておるというふうな実情は見受けられるわけであります。近代化資金のみというとおかしいのですけれども近代化資金の、基本法でやっておりますところの、それに基づく直接的な地方の負担というものを見てまいりますと、大体全国おしなべて、農業行政費の約五%くらいになっておるわけでございます。そういう点を考えますれば、現在の段階においては、地方財政のネックが近代化資金貸し出しを総体としてそれほど抑制しているというふうにも実は見られないのであります。ただ、御案内のように、近代化資金のワクが漸次ふえてまいりますと、それにつれて利子補給の所要額も増加してまいるわけであります。それから出資に対する地方公共団体の負担もそれにつれて増加をいたしてまいります。したがいまして、将来の問題としては、そういうふうに増加してまいりますと、地方財政が必ずしも良好な方向に向かっていないという趨勢と考え合わせますと、あるいはその点が近代化資金の遂行上一つのネックになるというふうなこともあり得るかというふうに思っておるわけであります。四十一年度から、たびたび申し上げますように、基金協会に対してリスクを負担する保険制度ができるということで、地方の出資額が従来のペースほど増加する必要がなくなってまいります。一例をあげますと、四十一年度の試算でありますと、従来の方式でまいりますれば、出資に要する地方公共団体の負担が約八億ぐらいにのぼるわけですが、今回のような改正制度ということになりますと二億程度で済むわけであります。また、この負担額も、両三年ぐらいすれば、ほとんど地方の出資を必要としないというふうないまの見通しになっております。そういう関係からいきまして、出資額に対する地方公共団体の負担というのは、今回の制度改正でかなり軽減されるということになるわけであります。地方公共団体に対しまして、そういった地方財政の窮乏というようなことからネックがまいらないように、そういう点からも実は配慮いたしております。  それから第二点の、地方公共団体のほうで、近代化資金貸し出しに地方限りの基準を設けてやっておる、こういうことも多少私ども承知をいたしております。ただ、現在のところでは、それほど地方公共団体が財政が苦しいからそういった基準を設けているということでも必ずしもない。いわゆる地方的な事情から、地方行政の一つ運用上の目的なり指導方針なりということから、基準を設けておるところが多いようであります。ただ、これにつきましても、実態をこまかく検討すれば、あるいは足鹿先生の御指摘のように、近代化資金貸し出しに対して制約の条件になっているということが絶無であるとも言い切れないと思いますので、そういう点も十分実情を調査して、支障がある場合には、指導を十分行なっていきたい、そういうように思っております。
  15. 足鹿覺

    足鹿委員 絶無ではないなんて、そんななまやさしいものではない。何を言っているのです。あなた方は知っておって、知らぬふりをする。絶無ではないというような、そういう答弁はいただけませんね。そういう答弁はそっくり返上しますよ。しかも、これに何ぼ、これに何ぼというように、みんないろいろなワクがきめてあるのです。あるワクには殺倒していく、それで足らなくなる。あるワクはなかなかそれに達しないというような矛盾もあるのです。これはこの制度ができて一年目ぐらいからもう出てきているのです。局長、あなたは転々と役職をかわっておられるが、三重県の経済部長をしておったでしょう。保険課長から経済部長に出られたが、あなたはそんなことがわからぬですか。何言っているのですか。いまの答弁はそっくり返上するから、答弁し直してください。
  16. 森本修

    森本政府委員 私が申し上げましたのは、あるいは表現が悪くて、誤解を生じたかもしれませんが、各府県で基準を設けて貸し出しておるというのは、私の聞いているところでは、財政の負担が苦しいから、それをしぼるために基準を設けておるというふうなことでは必ずしもないようだ。要するに、県の行政の一つ指導の方針として、こういうふうなもののほうに貸し出しを促進したほうがいい、たとえば農機具にしてみれば、こういう種類のものが貸し出し対象として適当だといったようなことについて、一例でございますが、そういう関係でやや指導的な基準を設けておる点が多いのではないか。財政負担が苦しいから、それをしぼるために、基準を設けて融資ワクをしぼっておるという関係は、案外少ないのではないか。足鹿先生のほうは、それが大部分だとあるいは言われるのかもしれませんけれども、私が申し上げましたのは、そういうことを申し上げたわけでございます。そういうことでありますれば、それぞれ地方、地方の実情に応じて行政の指導面がある程度弾力性を帯びて行なわれることは、これはやむを得ないといいますか、ある意味では当然のことでありますが、それが近代化資金貸し出しを極端に制限するような形であるなら、先ほど申し上げましたように、十分指導を加えたい、こういうふうに申し上げておるわけでございます。
  17. 足鹿覺

    足鹿委員 私は、財政が苦しいから制限を加えておるという質問をしたつもりではないのです。ただ、実態がそういうふうになっておる。それは結局、近代化資金の窓口が農協になっておる。御承知のように、相当長期にわたって返していく。農協の理事の任期は三年ですね。だから、三年の理事が受け判をして六年も先の、自分の任期が切れた先までその責任を負うことはいやだから、どうしてもこれは押えるようになるのですよ。そういう面からくる矛盾もあるのです。いろいろなものが累積しているのですよ。だから、そういう点については、私は、農協を窓口にされたこの近代化資金というものの矛盾をそろそろ剔決していかなければならぬ、そういうふうに思っておりますが、とにかくそういう実情を調べて対処するということですから、十分ひとつこの点は御善処を願っておきたいと思います。——うなづいておられるから、やってもらえるものとして、先に進みます。  ここで一つ例を申し上げます。これから具体的なものを一つ申し上げますが、農家の借り入れ金について、最近ある県で、代表的な農家の負債状況というものを調査したものがあるのです。これはなかなか示唆に富んだものが出てきておる。それを御参考までに申し上げますと、農家の借り入れ金の内容は、公庫資金が七・九%、いいですか。さっき次官は、非常に公庫資金の需要が増大したといったような答弁をして喜んでおられたが、これは七・九%ですよ。これは貧農の場合だろうと思う。それ以外の制度資金が五五・七%、その五五・七%のうちの近代化資金が五丁二%だから、近代化資金を相当その面では農家が借りておるということが言えますが、あとで二つの問題がある。県信連の転貸資金というものが一・六%で、その次の単協プロパーの資金というものが三四・八%あるのです。これが問題なんです。この単協資金近代化資金合わせて八六%を占めておる。しかも担保物件のほとんどが公庫資金に先取りされるのですね。したがって、単協プロパーの資金というものは、短期なものにもなるわけもありますが、ほとんど信用貸し付けなんです。そこで、単協プロパー資金が利息の面からいくと、大体一割で三四・八%、まあ四〇%の者が一割前後の資金を借りざるを得ないということになっておるのです。ですから、短期営農資金というようなことについて、何かもっと検討の余地があると私は指摘しておきたいのですが、私もそれをあまり深く検討する実績がまだありませんから、どうしたらいいかということについては申し上げませんが、なぜそういうふうに単協プロパー資金の利用率が高いかというと、手続が簡単で、早く借りれるということです。農協の融資にもいろいろ問題がありますけれども、歩積み、両建てなんていうものはありませんからね。その点は、農協は営利追求機関ではありませんから、いい面があるわけなんですが、いずれにしましても、いまの短期営農資金というものは非常に金利が高くつく。それは償却についてとても苦労せざるを得ないことになっておると思うのです。そこで、単協プロパー資金への依存度の高いものは何かということをその調査は言っておるのですが、養豚とか養鶏などです。この単協プロパーのものはほとんど養豚とか養鶏なんです。公庫資金などを借りておるものは、和牛、果樹というようなものが比較的多い。つまり、養豚、養鶏農家は高い利子で借金をしておるという実態があらわれておる。ところが、これが非常に価格が不安定なものであるために、最近あなた方の近代化資金の代位弁済がこのごろ県の信用保証協会で相当あらわれてきております。私もある県で調べてみましたが、いま代位弁済を迫られておるものはほとんどが養鶏と養豚ですよ。これはあなたも知っておるでしょう。つまり、あなた方が奨励した選択的拡大の線に沿ったものが、一番返済が困難となって、代位弁済を余儀なくされておる段階がきておる。これが実態なんです。養鶏、養豚を基幹とする農家はなぜ困るかというと、飼料と子畜のためにほとんどその運転資金をとられる。特に最近の飼料高は目に余るものがある。どんどんどんどん上がっていきますね。これにも問題がありますが、それは別の機会にただすこととし、検討することとして、ほとんどこの購入飼料に依存したり、いわゆる営農団地方式になっておらぬから、子畜をどこかからでも高い値段で買ってこなければならぬ、その資金に多く使われておる。ということは、経営が一番不安定なこの作目が一番金利の高いものを借りて、ますます不利な状態に置かれておるということなんです。今回の改正運転資金が曲がりなりにも新設されたことは、一歩前進だと私は思います。そこで、伺いますが、養鶏は今度の場合入っておりますか。
  18. 森本修

    森本政府委員 昨日も御答弁申し上げたのですが、今回運転資金といいますか、中期の運転資金を入れましたのは、先ほど来も申し上げましたけれども果樹家畜育成に要する資金ということで、資本を投下するにも数年を要する、また回収にも数年を要するといったような形の資金を実は新しく加えることにしたわけでございます。養豚、養鶏の関係は、従来から鶏舎でありますとか、あるいは豚舎でありますとか、こういった施設関係は、当然近代化資金を利用することができるわけですが、今回は豚の関係では種豚の育成、そういうのが入っております。養鶏の関係は、運転資金が大体短期でありまして、一年以内に回収されるといったような性質でありますから、一応金融性質としては中期資金というわけにはいかないということで、今回の改正では見送りになっておるわけです。
  19. 足鹿覺

    足鹿委員 今回の改正に含まれておらぬというと、次には考えられますか。いま言ったような矛盾があるから、短期のものだから、今度の中期運転資金というものには入らない——あなた方がいわゆる選択的拡大で奨励をしておられるものについて、そういう画一的な原則を押し当てられること自体が、私は間違いではないかと思うのですよ。これはなるべく近い将来に検討されますか。要するに、この即物的な金融の原則で、農家経営全体としての総合的なとらえ方というものがない。そこからくる矛盾じゃないですか。これは学者もみんな指摘していますよ。あなた方は部分的な各品目別にばかり見るけれども、やっておる農家一つなんですから、もっと総合的な、いわゆる農家経営というものの中で、養豚なり養鶏というものがあるのです。まだほかにもあるのですよ。だから、そういういわゆる即物的な、部分的な考え方ではなしに、経営全体として総合的にとらえていくという観点から検討される用意がありますか。これは仮谷さんひとつ、政策上の問題ですから……。
  20. 森本修

    森本政府委員 確かに、御指摘の点は、現在の金融制度を検討する際のきわめて大きな課題であろうと思うわけです。現在の金融制度は、先ほど来御指摘がありましたように、資金性質なり、あるいは長期である、短期であるといったようなことで編成をされてきておる。これもまた一つ考え方ではあると思うのです。といいますのは、やはり長期資金ということになりますと、資金友融通してから回収するまでにきわめて不安定な要素がある。その間にいろいろな条件の変化もありましょうし、そういった形で、やはり最も資金の融通が困難な部面ということに一般的にはなってくるわけであります。そういう観点から、主として長期資金に対して制度金融の分野を広げてきたという経緯は、やはり一つ考え方ではあると思います。ただ御指摘のように経営全体を総合してみて、農家がどういう借り入れの状態であり、それに対してどういうふうな制度的な手当てをすべきかということについては、先ほど御指摘がありましたように、学識経験者の中にもそういった指摘をする人も数多くおられるわけであります。しかし、その問題は、農業金融政策としてもきわめて基本的な問題に属するわけでございます。われわれとしても、将来はそういう方向の問題について十分検討を深めていきたいとは思っております。
  21. 足鹿覺

    足鹿委員 建物制度金融対象にする——鶏が本尊なんでしょう。それで卵を生むのは鶏なんです。それにえさを与えねば、これは養鶏経営にならないですよ。どうもあなた方のやっておることは小刻み過ぎて、もっと太い線で総合的に問題を処理されることを考えられないとおかしいですよ。御本尊は鶏なんですからね。鶏が卵を生み、豚が子を生むんだ。豚そのものの肉をつくることが目的なんですよ。だから、将来なんていうことを言わず、即刻、これは早急にこの体系について検討を加えて対処する、こういう決意を、ひとつ政務次官、どうですか。
  22. 仮谷忠男

    仮谷政府委員 御承知のように、近代化資金施設資金長期資金として出発をしたわけでありまして、この中期の運転資金の問題にしましても、委員会でもずいぶん議論をされた問題でありまして、せめてこの中期の運転資金だけでも何とかということで、ずいぶん大蔵省と折衝をやったわけであります。いまの先生のおっしゃる問題も、確かにその個々の問題をつかまえますと、たとえば鶏の施設近代化資金で借りて、それから今度は運転資金は別の資金でまた借りるというような矛盾もあるし、農家全体の総合的な運営の面から考えてみると、基本的な問題で確かにそのことはあるわけです。われわれもできればそこまでもう進めたいという気持ちを持っておったわけですけれども近代化資金という一つ性質からいろいろ問題を検討してきまして、今日ようやくただいま提案しているところまでこぎつけてまいったわけでありまして、したがいまして、ただいまの問題は、一つの基本的な問題として今後十分に検討せねばならぬ問題だということは、先ほど局長から申し上げたとおりでありますが、いま直ちにこれを検討を始めて実施しますということになりますと、これはなかなかわれわれも率直にただいま申し上げるわけにもまいらぬのであります。しかし、基本的な問題として今後十分に検討するということで、ひとつ御理解をいただきたいと思います。
  23. 足鹿覺

    足鹿委員 納得をいたしませんが、押し問答になりそうですから、これ以上申し上げませんが、十分配慮されたいと思います。この点は強く御要望申し上げておきたい。  次に、いよいよ近代化資金償還期を迎えるわけですね。先ほどもちょっと触れましたが、この問題について、少しお尋ねをしてみたいと思う。  今日まであなた方は近代化資金の延滞について調べておられますか。四十年からの償還が一番多いと思うから、まだそうたいしたむずかしい問題ではないと思います。それから代位弁済の大体の実態はどのように把握をしておられますか。
  24. 森本修

    森本政府委員 延滞の状況でございますが、延滞の状況は、償還期を過ぎまして一年を経過したものは、昭和三十七年、三十八年の年度のものについて見てみますと、平均をいたしますと約三%というふうな状況でございます。  それから代位弁済でありますが、代位弁済のほうは、実は先ほど御指摘がございましたように、制度が発足をいたしまして、履行期が、御案内のように据え置き期間があるわけですから、まだ本格的に到来をしていないといったような状況もございまして、代位弁済額としてはそれほど多いわけではございませんで、昭和三十八年に代位弁済をいたしましたのが全国で約三百三十万円、それから三十九年が千百万円というようなことでございます。
  25. 足鹿覺

    足鹿委員 県の農業信用保証協会があまり代位弁済をかかえ込まないということは、一面いいことだろうと思うのですけれども、一面はなるべくその責任を回避するような運営がなされておるということも、また一面の真実だろうと私は思うのです。だから、開店休業状態でおる。それはけっこうと言えばけっこうですが、一面どこへそのしわが寄っておるかということをこれから申し上げましょう。  延滞額の数字は、あなた方はまあたいして痛くもかゆくもないわけですね。これは農協が責任を持っておるのだし、それから信用保証協会が責任を持っておる。政府自身は、これはいまのところたいして痛くもかゆくもないから、そういうことになると思うのですが、延滞額の数字というものはわからぬですよ。代位弁済までいく過程でわからなくなっておる。農協の取り扱いがみなまちまちですから、その農協の運営によってみな違っておると思うのです。個々のケースが出ておる。厳格に延滞として処理して罰則的な高金利を課したり、あるいは農協プロパーの貸し付けとして形式的に延滞としなかったり、そういうことをみんなやっておるのですよ。だから、代位弁済がいま言われたような少額にとどまっておるということが一面言えると私は思うのです。農協だって社会事業じゃありませんから、これは私はやむを得ないと思うが、そこに農協を窓口にしたあなた方の一つのねらいがあると思うのです。政府利子補給してふところ手をしておる。これはこの資金制度ができる当時からわれわれが指摘したとおりで、非常に問題がある。私の見たところによりますと、約定償還額の約一割、六、七億だろうと思うのですが、これがいま言ったような罰則的な高金利を課せられたり、農協プロパーの貸し付けという形式で、一応片をつけたりしておるのではないかと思うのです。ですから、これはなかなか調査は困難だろうと思いますが、問題だと思うのです。これからこれはもっと深刻になりますよ。その点について、あなた方は最善の努力を払ってこれに対処してもらいたいと思うのです。特にこの償還期間が集中する本年から三カ年間というものは、ぐんぐんそれは上昇していくと思うのです。いままではきわめて軽微であったと思うのです。そういう意味において、これは重大な時期を迎えると思うのですが、契約どおりに償還すれば、生活ができなくなるか、あるいは生活を極度に切り下げていかなければならぬ。それができぬとするならば、経営を縮小して財産を処分するかという事態が出てくるのです。農家としては命取りですよ。そういう重大な危機が出てくると私は思う。もう現にあらわれておるのです。数字はここに持っておりますけれども、あなた方もそれくらいのことは資料を持っておると思いますから、あとで時間があれば私はお目にかけてもいいと思うのです。  この原因を考えてみますと、農政全体のしわ寄せ、つまり、劣悪な生産構造といいますか、そして不安定な価格、体系のない機械化というようなことについて、あなた方はもっと真剣に考えなければならぬ段階がきたと私は思うのです。いわゆる安上がりの金融農政、金融が独走していくという強引な近代化政策というものは、ここ三カ年間の約定償還期がくるときに、一つの破綻があらわれると私は思うのです。これは私の想定でありますから断定はいたしませんが、そういう事態が起きる心配が多分にある。私はそう思うのです。  そこで、延滞は弱体な部門にあらわれてくる傾向がありまして、畜産と協業、これは多額の運転資金を必要としておりますし、また零細農や少額借り入れよりも、規模拡大をはかろうとした中規模の意欲的な農家の上に、この傾向があらわれてくると思うのです。いわゆる金融農政に忠実な農家ほど、この傾向が強くあらわれてくると思うのです。借りたものは返さなければならぬということは、農家だって知っていますよ。だけれども実態がいま言ったような状況であれば、生活を詰めるか、経営を縮小するか、投げ出すか、処分して約定償還をしていかなければならぬ重大な事態になると思うのですよ。それは、そのことを考えないでやった農家は一人もないと思うけれども、いま言ったように、体系のない近代化、機械化、不安定な価格、そういったものからそこにしわがあらわれてくると思うのです。農業近代化資金償還延期の問題について検討される用意はありませんか。五年据え置き三十年償還金利三分五厘程度の、経営再建資金とでも私は言いたいのですが、そういうものを検討、新設される用意はありませんか。そして三百万円くらいを限度に、旧債を一括して切りかえるようなことを考えてみたらどうか。あるいは、この点答えてもらいたいのですが、逆に公庫資金返済を一時延期して、そして単協プロパーの金利の高いものをまず始末する、そして農家経営を楽にしていく、こういうことも考えられると思うのですが、そのどちらかを考えてもらわなければ、私はそれに対処する道はないと思うのです。これは土地改良資金といえども一緒です。あと土地改良の問題について触れますが、どうですか、その点について。
  26. 森本修

    森本政府委員 確かに、近代化資金につきまして、御指摘になりました延滞の状況、あるいは代弁の状況は、ほぼそういう実態にあるのではないかというふうに思っております。確かに率としては、まだ本格的な償還期に来ておりませんから、そう大きな率を実績としては示しておりませんけれども、本格的な償還期を迎えつつある現在、あるいは今後においては、その問題を真剣に考えなければいかぬというふうに思います。今回の改正でも、そういうふうなことを考えまして、保証制度の整備拡充を主要な改正の眼目にしておるわけでございます。つまり、一つは、基金協会のほうで、先ほど言われましたように、農協側でも延滞があって直ちに代弁に持ち込まないといったような傾向がありますとともに、受けますところの基金協会でも、必ずしも制度的に完備した状態ではないというふうに思っておるわけです。そういう点を今回基金協会側の体制を整備しようということでございます。なお補足して申し上げますれば、いままで基金協会のほうで延滞がありまして、あるいは代弁を申し込まれましても、容易に代弁に応じられないといったような形になっておったのではないか。たとえば、代弁をします際には、基金を取りくずして代位弁済をしなければならない。ところが、その基金は、基金協会の運営費のファンドになっておるといったこと、あるいは保証倍率のもとになっておるといったようなことから、なかなか基金を取りくずして代位弁済がしにくいような仕組みになっておったのではないか。その点を今回中央の保険によってリスクをカバーし、もう一つは、基金協会に対する融資制度を設けまして、直ちに、代位弁済が基金の減耗につながらないというような制度の仕組みを考えたわけでございます。したがって、そういう点からいえば、農家が借り入れ金を不幸にして返済できない、そういう事態になれば、今回の保証制度改正によって、かなりその点の改善には役立つというふうに私どもは思っておるわけであります。  第二点の、従来借りておりましたものの延滞、履行がしにくいといったような問題に対する対処策でありますけれども、確かに階層により、あるいは地方によって、そういう借り入れ金の返済が困難だといったようなところも、御指摘のようにかなりあろうかと思います。もちろん、計数的にすべてを把握しているわけではありませんけれども、そういう問題もあろうかと思いますが、それをいま何らかの制度的な金融創設することによって解決をする必要があるかどうか。私どもが従来やっておりますのは、それぞれ個別の地方なり農家に対しましては、履行期を延期する、いわゆる償還期限の緩和といったようなことを行なっております。それからまた、自創資金をもっと貸し出すということが、そういった借り入れ金の有利な運用ということに役立っておるというふうにも思っておるわけでありまして、そういうふうな従来の対策をもう少し実態に即するように運用をしていくということによって、当面は対処していきたい。御指摘のような点については確かに一つの御見解でございますから、われわれとしても、実態とのかね合わせで研究を深めさしていただきたい、こういうふうに思います。
  27. 足鹿覺

    足鹿委員 私が指摘したことはお認めになった。そこで、今度できる危険分散の中央の協会ですか、それを運用してやるんだとか、あるいは自創資金を出して転貸をして緩和をするんだとか、現行のあらゆる手段を通じて、少なくともせっかく手をつけたその経営を放棄したり、縮少したり、あるいは生活を思い切って縮少する、あるいは経営財産を処分するというような最悪の事態にならないように、あなた方は最善の措置をとられる必要があると私は思う。農協が運営に行き詰ったときには再建整備というものができて、連合会のときには経営再建整備という法律ができておる。農業経営自体がいま言ったような危機に直面しておるわけですから、経営再建という——名称が適当であるかどうかは別として、そういった構想をひとつ検討して、旧債の借りかえもこそくなことではなしに、堂々とこの際検討してもらいたい。  いま一つは、それとあわせて、先ほどからもくどいようですけれども、これは政務次官に、いま申し上げておるこの二点は、少し高い角度から御答弁願いたいのですが、公庫資金返済を一時ストップする、そしてこの単協プロパーの金利の一割近い、あるいは一割前後のものをまず返済する、これは制度金融とは直接の関係のない問題になると思いますが、高金利のものをとにかく始末して、そして公庫はその間待ってもらう、こういう行き方は現実の問題として私は可能だと思うのですが、あなた方の行政指導でも、後者の場合は私は可能だと思うのです。それを公庫当局に十分検討を命ぜられ、あなた方自身も御善処になる必要があると私は思いますが、これは政務次官いかがでしょう。
  28. 仮谷忠男

    仮谷政府委員 経営転換のための一つ金融制度的な面の御提案でありますが、確かにこれは御意見として十分傾聴できると思いますし、研究しなければならぬ問題だと私どもも思っておるわけでございます。ただ、先ほど局長も申しましたように、現在の段階において自創資金貸し出し、あるいは貸し出し期限の延伸といったごとくに、地域的にはやっておるわけでございまして、これをさらに強化充実をいたしまして、その目的を達成せしめるように現段階では努力をいたしてまいりたいと思っておるわけであります。  金融公庫の支払いを一時ストップという問題でありますが、これは現実金融公庫の貸し出しを進めているその途中で、旧債のものを一切ストップするということは、そう簡単な問題ではない、容易な問題ではないというふうに私は感じているわけでありまして、これは直ちにそれを右する左するとここで御返答申し上げることは、なかなか大きな問題だと思いますが、ひとつ私どもも十分に研究させていただきたいと思います。
  29. 足鹿覺

    足鹿委員 私は非常に無理なことを言っているつもりはないと思うのですよ。これはある程度検討してもらえば、処理ができる一つの暫定措置じゃないかと思いますので、ひとつ十分検討するということでありますが、本気になって検討してもらいたいと思います。これは課題として提案を申し上げておきたい。  なぜ私がそういうことを言うかと申しますと、これはある県の実態を調べたものでありますが、酪農の場合、専業で七頭、これの四十年の借り入れ金の残高が百十八万一千三百円、それで四十年に幾ら返すかというと、五十九万二千百円、その内訳は、制度資金元金が十七万四千六百円、金利が四万八百円、合計して二十一万五千四百円ということになる。それから農協の貸し付けが元金三十五万一千円、金利が二万五千七百円、計三十七万六千七百円というものがある。営農の貸し越しの場合は二銭六厘程度でいいのですが、延滞利息となると大体三銭一厘ですね。ですから、この農協貸し付けの分は、もっと金利がかさんでくると思います。もっとこまかい数字はたくさん持っておりますが、くどくなりますから、省略いたします。とにかくそれが四十年がピークで、四十一年からだんだん少なくなってきまして、四十四年の借り入れ金の残高が二十二万五千七百円となり、元利償還額が六万七千九百円、これは制度資金だけで、元金が五万九千三百円、金利が八千六百円、計六万七千九百円となる。これを最低としてこれが償却を完全に行なうということになりますと、借り入れ金残高が合計十六万六千四百円、元利償還額が百十五万六千百円ということになる。この内訳は、制度資金元金が六十六万三千九百円、金利が十一万五千五百円、計七十七万九千四百円ということになる。農協の分が元金が三十五万一千円、金利が二万五千七百円、計三十七万六千七百円ということになります。そこで、問題が出てくるのは、それではこの農家の所得は一体どうかということを見ますと、要するに、専業で七頭の酪農をやっているこの農家の所得は四十八万六百円です。四十年の元利償還の五十九万二千円には遠く足らぬですよ。そういう数字が出ておるのです。これは重大な問題ですよ。だから、私は先ほど指摘しておるようなことを言わざるを得ない。決して私はいいかげんな想定に基づいておるものではないということを指摘しておきたい。そこで、やむなく、農協の貸し付け分の三十七万六千七百円は全額借りかえの手続をするということになるようであります。制度資金の元利二十一万五千四百円を全部返却すると、もう生活ができない。償還が四十年から四十二年が最も大きくて、多頭飼育の見通しがついたとたんに、ようやく経営の見通しがついたとたんに、今度は償還に追われて、転落自滅の道をたどらざるを得ない、これが実態ですよ。あなた方は選択的拡大だといって、かねや太鼓で奨励なさった。すべてとは言いませんが、もうこれはれっきとした資料がありますから、あとでお目にかけますが、こういう状態なんですよ。これを憂えずしてどうしたらいいのです。  養鶏の場合を申し上げましょうか。養鶏の場合は、四十年の借り入れ残高が二百十四万七千三百円、元利償還額が九十一万一千二百円、この内訳は、制度資金元金五万二千二百円、金利が七万四百円、計十二万二千六百円。農協の貸し付けが元金七十一万七千六百円、金利が七万一千円、計七十八万八千六百円ということになりまして、これも四十二年までを見ると、元利償還が四十年が九十一万一千二百円、四十一年が三十三万五千五百円、四十二年が三十六万六千七百円となって、一番ここで危機状態に追い込まれてくる。これは養鶏も酪農と同様なことが私は言えると思うのです。だから、約定どおり償還すれば、経営はめちゃになってしまう。そういう状態ですよ。あなた方は総合農政局なんというものをつくって、きめのこまかい農政をやると言っておるが、こういう実態をもっと調べなさい。屋上屋を架すような農政局をつくられて、あなた方がほんとうにきめのこまかい農政をなさるならば、全部に命じてそういう資料を集めて、そして本気の対策を講ずる重大な段階がきたと申し上げて差しつかえないと私は思います。  ある県の乳牛一頭当たりの負債は、成牛で二十万六千円、これに対して中金の投資限度は十四万円です。養鶏の場合は、一羽当たり負債が千三十五円という数字が出ておるのです。養豚の場合を申し上げますと、一頭当たり二万三千円、これに対して中金の投資限度は一万七千九百二十円、いずれも中金の基準よりかなり高いものが事実としてあらわれてきております。これも矛盾だと私は思うのです。だから、ここ三カ年間というものは非常な重大な段階がくる。  そこで、代位弁済の危険分散程度の、中央の信用保険協会程度のもので始末がつくかつかぬか。もう破綻したものは救うことはできませんよ。その日至るということを想定して、これに手を打っていく。だから、あなた方が今度中央の協会をつくられて危険分散をされる、代位弁済を楽にやるという構想が効を奏すれば、私は、ある程度これは緩和できると思いますが、いままでの県の農業信用保証協会の運営、これに今度新しくできるもので、はたして解決がつくかどうか、私は心配をいたします。私の心配が杞憂に終わればけっこうです。しかし、現実にあらわれたときには、選択的拡大はこれまた破綻だ、そういう重大な段階だと私は思うのです。政務次官、これは架空の議論でぼありませんので、正確緻密な資料に基づいて私は申し上げておるのでありまして、この重大な問題に対して、先ほどあなたはなかなかむずかしいとおっしゃった。しかし、検討はするとおっしゃったが、この事実をよく記憶にとどめていただいて、早急に真剣な対策をお講じ願いたい。このことを重ねて申し上げておきたいと思いますが、くどいようですけれども、いま一度御所見を承っておきたいと思います。
  30. 仮谷忠男

    仮谷政府委員 たいへん具体的な数字で、現実の問題として取り上げられたわけでありますが、そういう実態が十分に把握できていないところに一つの問題点があると思うわけでありまして、ただいまの御意見のように、十分に実態をまず把握したいと思います。そうして今度提案をしておるいわゆる協会の運営とも相まちまして、最善を期していかなければなりませんが、それと同時に、ただいまのお説につきましては、先ほど申し上げましたように、今後ひとつ十分に研究をし、これについての検討を続けていかなければならぬ、こういう考え方を持っております。
  31. 足鹿覺

    足鹿委員 ぜひ御善処願いたいと思います。  一通り経済局長質問をして、あと園芸局と農地局にお尋ねをいたしますが、ついででありますので、関連して農業後継者育成資金について伺っておきたい。これはかなりの資金需要があると聞いております。この制度ができたときに、全国の後継者をもって任ずる人々は非常に期待をした。ところが、ふたをあけてみたら、一県に五、六人だというようなことで、だいぶん失望した事例もあります。ことしは農免道路の農業用ガソリン税の分をまた入れて、若干ふやしておられますが、そのふやしたことが悪いというのじゃないのですよ。悪いのじゃないですが、まあ、これは雨夜の星といいますか、雨天のときに星をさがすようなもので、この資金を借りるのは富くじを引くようなものですよ。しかも償還にあたっては、据え置き期間がないから、翌年から戻さなければならぬ。こういうばかなことがありますか。名前は後継者育成資金だなんて大看板をかけて、そしてその資格者はきわめて少ない。翌年からもう戻さなければならぬ。これに対して県の行政当局はほとほと困っておるのですよ。だから、知事なりその他でやはり心配をする人は、県で利子補給をしておる。一年間ないし二年間の事実上の償還延期の策を講じておるところはざらですよ。こんなばかな制度がありますか。後継者育成資金なんという、いわゆる次の農業経営をしょって立つ人々に対して、こんな看板倒れの中身であり、資金の性格からいって、当然三年ないし五年の据え置き期間を私は設けるべきだと思うのです。どうですか、この点については多くを申し上げませんが、そのものずばりでひとつしっかりした御答弁を願いたい。
  32. 和田正明

    ○和田(正)政府委員 ただいま御指摘がございました後継者育成資金につきましては、御承知のように、中身が二つございまして、特に部門経営の開始資金が全体の九九%ぐらいの実績を占めておるわけでございますが、現在は貸し付けを受けますと、翌年の最初から返さなければいかぬことになっております。御指摘の点につきましては、最近府県知事その他からも強い要望がございますので、現在、据え置き期間を設けることができますように大蔵省等と検討をいたしておる段階でございますが、御指摘のような問題がございますので、私どもとしては、四十一年度からそういう据え置き期間が設けられますような方向で、現在善処をいたしておるところでございます。
  33. 足鹿覺

    足鹿委員 どういう案で折衝していますか。そんなことまで一々大蔵省と折衝しなければ実現できぬですか。これは政策上の問題ですよ。しかも後継者をつくるという大義名分の上からいって、いまになって検討するということ自体が手おくれだと思いますが、手おくれであってもやらぬよりましだ、それはけっこうですが、どういう案で交渉していますか、そしていつからそれは実現しますか。
  34. 和田正明

    ○和田(正)政府委員 大蔵省と交渉をいたします理由は、償還で返ってまいりますものが、その返ります年に新たに貸し付けの財源の一部に回るわけでございますので、据え置き期間を置きますことが、来年度以降の貸し付け金の計画を立てます場合の一つのファクターになるわけです。そういう意味で大蔵省ともよく打ち合わせをいたしておきませんと、来年度以降貸し付けワクを逐次広げたいということを私どもとして考えておりますので、そういう点で大蔵省と話し合いをいたしておるわけでございます。  内容はどうかというお話でございましたが、まだ最終結論に到達をいたしておりませんので、細部にわたりましてはこの際御猶予をいただきたいと思います。
  35. 足鹿覺

    足鹿委員 御猶予をせいということですが、私がいま指摘したように理解していいですか。私がいま指摘した程度のものを期待してよろしいですか。
  36. 和田正明

    ○和田(正)政府委員 いま足鹿先生が御指摘になったのは、たしか三年とか四年とかいうふうにおっしゃいましたが、貸し付けを受けます経営内容によっていろいろな違いがあろうと思いますが、そう必ずしも一律にはまいらないと思いますが、できるだけ据え置き期間現実にできますように善処をいたしたいと思います。
  37. 足鹿覺

    足鹿委員 見込みがありますか。大蔵省とやってみたらいけぬだったというふうなことでは困るですからね。念を押しておきます。
  38. 和田正明

    ○和田(正)政府委員 私どもとしては、据え置き期間を設置することがどうしても必要であるという立場で交渉をいたしております。
  39. 足鹿覺

    足鹿委員 政務次官、これは大事な問題ですから、ひとつあなたの政治力を投じて、きちっと実現するように御努力を願いたいと思いますが、いかがですか。
  40. 仮谷忠男

    仮谷政府委員 後継者資金の問題は、確かにおっしゃるとおりです。私も同感です。そういう考え方のもとに私ども努力を続けてまいっておるわけでございまして、せっかくの資金がほんとうに生きて効果をあらわすようにしなければならぬ。これは県知事の要望もあることは私ども十分承知をしております。したがって、本年度の予算編成の場合におきましても、この問題は強く押し出したわけでありますけれども、何さま全部無利子ということでございますから、ほかの資金と若干性質も違っておりまして、そういう問題で十分な詰めができずに今日に至っていることは、私ども残念だと思っております。したがいまして、据え置き期間をあるいは三年にするか、四年にするかという問題でありますが、いまわれわれもいろいろ折衝いたしておりますが、でき得る限りひとつ御期待に沿えるような線で努力をしていかなければならぬ、かように思っておるわけであります。
  41. 足鹿覺

    足鹿委員 私は後継者資金を言っているのですよ。少し急ぎますから、ぜひひとつ来年度から実現するように全力をあげてもらいたいと思います。  それから、これは経済局長に尋ねますが、最近生鮮食料品等の流通問題がやかましくなってきておる。これに対して、たとえば農協なら農協、あるいは他のいわゆる公益機関、特に営利を追求しない農協がやる事例が方々に出てきております。これに対して大臣指定の融資対象にするような運営はつかぬものですか。これはあなたたちは流通問題をいろいろ論議されるけれども、こういった生産者がみずからの力で流通部門に努力をしておる事例がだんだん出てくるし、それはいいことだと私は思うのですが、公庫の業務方法書の中に一定のファンドを設けて借りてもけっこうですし、大臣指定でこれはおやりになってもけっこうだと思いますが、いまの場合はその道が閉ざされておる。何らかの措置を講じられる必要があると思いますが、この点いかがでありますか。
  42. 森本修

    森本政府委員 農林漁業金融公庫貸し出しの種目の中に共同利用施設という種目がございます。この種目で、農協あるいは農協連合会が御指摘のような青果物の販売施設をつくるという際には、すでに融資対象としておりますので、申し込みがあれば、審査の上貸し出しができると思います。
  43. 足鹿覺

    足鹿委員 私は、数年前から、この問題で一ぺん委員会でも発言したことがあるのですが、どうもうまくいかないために、農林中金にやってくれ、こういうふうに言うのですよ。それはやはり長期融資ということにならぬ、金利も高い。だから、いまおっしゃったことを私も了承いたしますが、ぜひそういう指導をして、そうして実現されるように御配慮をわずらわしておきたいと思います。  それから天災資金について、これもやはり私は不合理な点があると思うのですが、この天災資金貸し出しに対して、半額は自治体が保証することになっていることは御承知のとおりですね。にもかかわらず、担保物件をとるという制度が行なわれておる。天災資金ですよ。これはどうかと思うのですがね。これはよくわかりませんが、違法行為ではないでしょうか。自治体が保証しておるものに対して担保をとる、これは一体どういう趣旨のものであるか、これをひとつ解決していくべきものだと思うのです。天災資金ですからね。だから、この点について担保問題をひとつ解決してもらいたい。  ついでに、担保の問題で、これは農協に対する指導でありますが、自創資金の場合でも、その他の場合でも、担保物件の制度をやめるか、事実上においてこれは制度金融のときには、私どもは、現在の農地法からいって、これを担保にするということについては疑義があるので、公庫の業務方法書の中でこれをうたうということで、この制度をつくるときに話し合った経験を持っておるのですが、その評価額が非常に低い。したがって、借りようとする者にとって期待を裏切るという事態がある。あまり物件の評価額を上げるということは、またこれは問題があり、限度があると思いますが、二・七倍という声が地方ではあるのです。この点についてどのようにお考えになっておりますか。担保関係であります。  それから、これはどの制度ということではありませんが、大体いまの運営を見ておりますと、資金によっては、担保物件を取った上にさらに保証人を取るのですね。そんなことではとてもじゃないがめんどうくさくて借りられない。また借りても非常に窮屈だ。いずれか一つにしたらどうか。全然無担保というわけにもいかぬし、保証なしということもいかぬでしょうが、山一証券にはずいぶん寛大な融資をしておられる政府のことですから、あれは信用があるからやられたのか、ないからやられたのか、私よくわかりませんが、とにかく担保を取った上に保証人を取るなんて、そんなことがありますか。どっちかに一つにしなさい。この担保関係三つ、御答弁願いたい。
  44. 森本修

    森本政府委員 まず天災資金の問題でございますが、天災資金のほうは、従来から担保を取らないように指導を実はしてきておるわけであります。ただ、あるいは具体的な事例をお持ちのようかとも思いますが、そういう点がございますれば、われわれのほうとしても、いままでの指導方針とは違うわけでありますから、そのようなことのないように今後十分指導に心がけていきたい、そういうふうに思います。  それから二番目の、公庫の融資をいたします際の担保評価の話ですが、ことに農地の担保評価の掛け目の問題ですが、これは御指摘のように、従来担保評価の掛け目が実態から著しく低過ぎるといったようなことがございまして、すでに四十年度から、従来農地の時価の五割までというふうなめどで評価をしておったわけですが、それを八割まで引き上げるというふうなことで、すでに実行をいたしておるわけであります。  それから三番目の、担保と保証人を併用するという問題でございますが、御指摘のように、担保と保証人をダブって徴取するということは、事務上も繁雑でございますし、担保を提供するほうでもめんどうなことであろうと思うのですが、やはり一応の保証なり担保を取って貸し出しをするということになっておりますから、できれば一つのものに限るようなことにしたほうがいいと思いますけれども、担保価値が一つでは十分まかなえないといったようなことも実情からあろうと思います。そういうものを全然やめにしろというわけにもまいりませんけれども、先ほども申し上げましたようなことで、借りるほうにも貸すほうにもめんどうなことでございますから、なるべく簡素な形で担保を要求するように指導をしていきたいと思います。
  45. 足鹿覺

    足鹿委員 これは行政指導で徹底することですから、私がいま指摘した点は、みんな事実に基づいているのですから、強く御指導になって、成果があがるように期待をいたしますが、政務次官におかれても、農林省として力を入れるという旨の御言明をいただいておきたいと思います。
  46. 仮谷忠男

    仮谷政府委員 おっしゃるとおりで、もちろん善処をいたします。特に担保の問題は、天災資金の場合は大体現実には保証人だけでやっておる、われわれはそういうふうに思っておったのですけれども、何か特別な例外があるかもしれませんが、そういう方針で進みます。
  47. 足鹿覺

    足鹿委員 今度は園芸局長に一問だけ申し上げますが、最近農林省の機構改革で園芸局というものができて、あなたは二代目の局長さんですか、農業改良資金に関連して伺っておきたいのですが、技術導入資金対象に葉たばこの苗床用のビニールハウスが入っておらぬ。これは専売公社が葉たばこは指導しておるのだから農林省は知らぬわいでは済まぬと私は思うのですが、県によってはこれは米に次ぐものですよ。しかも私は、この間、北陸からずっと山陰方面をいろいろな会合で歩いてきて、あの地帯における要望を聞いてみると、最近葉たばこが非常にふえておる、ぜひこれを対象にすべきだということをみな熱心に言っております。あなたのところには特産課というものがあるのだけれども、たとえ所管が大蔵省であっても、専売公社であっても、たばこをつくったり、野菜をつくったり、稲をつくっておる農家一つですから、行政官庁のなわ張りで問題が不利になったりすることは、まことに不合理だと私は思うのです。蔬菜なんかの場合は、盛んにこれをやってある程度成果をあげております。調べてみますと、苗床用のビニールハウスの反当必要資金は、多段式、積み重ねていくのがあるのだそうですね、多段式の場合は大体一万五千円くらいである。鉄骨じゃありませんよ。竹でやったものです。ところが、多段式は非常に労力を要するし、管理運営にもなかなかむずかしい。あっちへ向けたりこっちへ向けたりしなければならぬ。そういうことがあって、どうしても耕作者は平面式のビニールハウスを希望しておる。そうしますと、反当三倍以上の費用がかかる。いま日本における葉たばこ耕作者の耕作の問題は非常に重要な問題になってきておる。特に山村の水田裏作地帯、あるいは砂丘地帯方面にどんどん入ってきておる。それが技術導入資金対象になってない。まことに私は不可思議なことだと思うのです。公社と話し合われたことがありますか、どうですか。
  48. 小林誠一

    ○小林(誠)政府委員 突然のお尋ねでございまして、私まだこの点について勉強をしておりません。公社とそういう意味で話し合った覚えがまだないのでございます。この問題につきましては、技術導入資金関係は主管が農政局長でございまして、特産物として、これは主として栽培のほうは公社のほうが指導しておるのでございます。もっとも、米、麦、雑穀以外の生産につきましては、園芸局も関係はあるわけでございますけれども、その点につきましては、後刻いま申されました御趣旨につきまして、農政局長とよく話し合ってみたいと存じます。
  49. 足鹿覺

    足鹿委員 農政局の所管になるのですか。しかし、特産課というものをあなたは持っておられるので、だからそれを指導奨励の意味から、あなたも必要は認めますね。
  50. 小林誠一

    ○小林(誠)政府委員 まだ私初めての質問でございまして、必要性の有無につきまして、いまここで意見を持っていませんので、検討させていただきたいと思います。
  51. 足鹿覺

    足鹿委員 あなたは必要を認めますかということを聞いているのですよ、園芸局長として。
  52. 小林誠一

    ○小林(誠)政府委員 その点につきましては、内容につきましてよく調査いたしまして、その上で農政局長と相談したいと思います。
  53. 足鹿覺

    足鹿委員 これは所管が違うから、あなた方がここで言明されぬということは、その苦衷のほどはわかります。だけれども、山陰や北陸の積雪寒冷地帯において、耕作者がこれは多年にわたって要望し、交渉しておる。そして都道府県の特産課長会議を、いわゆる葉たばこ関係が、連絡協調のために開くわけですが、その場合でも、もう結論は出て、全面的に必要だということを認めておる。これはあとで善処してもらいたいと思うのですが、大事な問題だと思うのです。政務次官、いかがでございますか。
  54. 仮谷忠男

    仮谷政府委員 確かに、その問題は私どもも地方の関係者から陳情も受けておりますし、技術導入資金の必要なことも十分承知いたしております。ただ、施設関係資金等は近代化資金で当然農林省のほうでやっておるわけですけれども、技術関係になりますと、御承知のように、これは専売公社のほうがやっておりまして、農林省とは全く関係がないという行き方になっておるものですから、したがって、その資金をどうするかということについては、いままで解決つけにくい問題があったわけであります。しかし、これはいつまでもそういうことを言っておる性質のものでもありませんし、何らかの形で解決をつけなければならぬということは、私どもも十分考えておりますから、関係局とも十分相談をいたしまして、方向をきめなければならぬ、かように思っております。
  55. 足鹿覺

    足鹿委員 葉たばこをつくるのは農家ですからね。これはくどく申し上げますまい。よく御検討になって、この要望を……。きょう専売公社を呼んでおけばよかった。これは私のミスです。  最後に、長々お待ちをいただいた農地局長にお尋ねをします。それで私の質問を終わりますが、今度、農林省は画期的な二兆六千億、十カ年の土地改良長期計画なるものを策定されました。この間の本会議で、湯山議員の質問に答えて、福田大蔵大臣は鼻をうごめかしながら、画期的な政策だと言っておった。大蔵大臣がああいうことを言うのはよほど自信があるらしいのですが、この計画その他のこまかい点については、私は別な機会があろうと思いますので、きょうは触れません。ただ、従来までの補助率が低いために、補助残融資が多額に必要になる。したがって、その金利等で農民負担が非常に過重になって、一生懸命事業の認可を受けたが、今度は負担の問題でつまづくという傾向は各地に出ておりますし、いままでに事業を行なったところにおいては——わが党が前に土地改良区の再建整備法というものを出して、ほとんど成立寸前までいったのに、これはいまだに実現しておりません。非常に遺憾ですが、いずれにいたしましても、各地で問題になっておる。問題になるということは、あなた方がどんなりっぱな計画を立てられても、その実現性が乏しくなるということですよ。政策の実行が不可能になるということを意味するから、私は伺うわけですが、どれくらい負担がかさむかということを御調査になっておると思いますが、念のために、団体営の事業が三年−五年、県営で七年ないし十四年、国営がそれ以上ということに完工期がなっている。それがみんなずれる。早期完工なんということは、実際できておらぬ。ますます困るのですね。国庫補助も、団体営については四〇ないし四五、県営は五〇%以上、今度県費補助制度が認められましたから、少しはよくなった。構造改善も七割だ。国営は六〇%、特定土地改良区は五八%と承知しておりますが、どうしてこんなに区別をされるのか、私どもにはわかりません。ひとつ、ここに生きた証拠がありますから申し上げますが、これは新潟県のある土地改良区でありまして、二千四百四十六町歩、国営、県営かん排、部分的に団体営の土地改良区が五地区あるところであります。そう言えば、あなたはははあと思うでしょう。三十八年度に千二百六十万円借りておる。この元利合計償還額が二千九十六万八千九百七十五円になる。驚くなかれ、利息は八百三十三万八千九百七十五円です。これは県営部分です。今度三十九年の県営の補助残の借り入れ金が七百八十一万円、元利合計償還額が千二百九十六万一千八百七十五円、利息がこれまた五百十五万一千八百七十五円ということになる。ここまできて済むかというと、まだこの次には団体営がこれに重なってくるわけです。とにかく、六分五厘の補助残融資で、しかも補助残の八割しか融資がない。あとの二割は個人負担か、農協その他から借りますから、とにかく二年据え置きの十六年償還で、元金と利息が一緒になる。これは水田の場合ですが、畑かんの場合をとってみましょう。これは鳥取県のある地域の二百二十六町歩の畑かん事業でありますが、三十五年の県営補助残が四百二十八万円、元利合計七百三十二万七百十円、利息が三百四万七百十円、これもほとんど元金にひとしい利息を取られておる。借り入れ条件は、三年据え置きの十七年賦で六分五厘であります。これは県営ですから、団体営が下にくっつく。そうしますと、この団体営の補助残の元金が千百九十四万円、利息が七百三十一万八千六百二十円、元利合計千九百二十五万八千六百二十円、借り入れ条件は、三年据え置きの十六年賦で、利息六分五厘でいってこれですよ。このほかに、付帯事業として非補助の借り入れ金がある。四百三十八万円、元利合計六百三十八万七千四百八十円、利息が二百万七千四百八十円、こういう状態です。大体六分五厘でこれです。補助残の全額借りたとしてもこれです。制度金融で全額借りられぬのですからね。これは矛盾ではないですか。どうしてそれをいっぱいいっぱい貸さないのか。しかも、この土地改良区というやつは、計画したときの当初と実際の負担区域というものはみんな違うのです。この畑かんの場合、二百二十六町歩で計画を立てたが、実際の負担区域は百九十町歩に減っておる。どこでもそうです。これは共通です。農地局長よく御存じのとおり。ですから、ますます個々の農家負担が重なっていく。ですから、いいことはわかっておるけれども、やれないというのが実情ですよ。これは構造改善事業だってそうですよ。これからいよいよ構造改善償還が始まってきますが、これはたいへんですよ。そういう事態をあなた方は踏まえて、二兆六千億の長期十カ年計画をこのままの条件でおやりになるのですか。やれっこありませんよ、そんなことは。ほかのほうへおおばんぶるまいをしておるものだから、何か農民にも兆のつく金をちょっと見せびらかすというふうにもとれる。二兆六千億というと、ちょっと景気のいい数字ですからね。だけれども、実際は、農民負担がいま言ったようにかさんでついて回る。これはいいことはわかっておっても、やれません。しかも三年程度の据え置きがあるということは、つまり、施行後その間は生産力が低下する。場合によっては石ころだけのたんぼができてきます。そういうところではもう何もつくれません。また客土もやらなければならぬ。とにかく県営でやっても国営でやっても、みんな農民負担がこれにくっついております。ですから、私はやれっこないと思うのです。何らかこの条件を是正されない限り、砂上に楼閣を築くようなことだと思う。そう申し上げても私は過言でないと思う。一体、この実態をどう解決されていく御所存でありますか。とにかく既設の土地改良区はもちろんのこと、今後の処置も同時並行して解決されなければならぬ問題だと私は思う。しからざれば、農業近代化基盤整備などといったってできっこない。これをあえて強行するならば、農民一揆が起きますよ。もう現に各地で深刻な事態です。事業の認可はおりた、調査設計も終わった、ところが、物価はどんどん上がっていくし、最初聞いておったことと話が違うというのがみんなそうですよ。そこで、各地で物議が起きておる。そうしてもう県庁に押しかけるとか、たいへんな騒ぎが各地で起きておる。これをどう処理されようとしておるか。二兆六千億の長期計画をどういう具体的な案によって裏づけをされていこうとするか。そのこまかいことは別の機会に私はまた申し上げますが、この内容を、いま私が指摘したような農民負担の増高をどういう形において軽減し、あるいは既設の土地改良区の苦しみを解消していく御所存でありますか。これは農林大臣がおいでになるときに私はしかと承りたい重大な問題だと思う。あなた方が二兆六千億などという膨大な計画を出しておる。なるがゆえに、私はこの問題は徹底的に追及をしたいと思っておりますが、とにかくこういうことではやれません。どうされる御所存でありますか。それをひとつこの際大和田さんにお尋ねをいたします。
  56. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 いま御指摘のように、土地改良関係農民負担が総体的に大きいということは、私は十分考えられると思います。それで、現在土地改良区は全国で一万二千ほどございますけれども、そしてまた、土地改良関係で公庫から土地改良区が借りている金の残高が全体で八百三十億ほどございますけれども、そのうちで一年以上元利の延滞しているものが七億ちょっとこえるくらいでございます。それで、私ども土地改良区の負債の整理につきましては、経理の指導ばかりではございませんで、土地改良区の事実上の再建整備の形で種々の指導をやってまいりまして、相当数延滞元利の問題が解消に向かいつつあるものがございます。ただ、そういう土地改良区の土地改良関係の元利の延滞ということだけの問題ではなくて、土地改良区の負担農業経営にどれだけの意味を持つか、したがって、私どもが現在取り組んでおります土地改良長期計画がはたしてできるかどうかということでございますが、私は率直に申し上げますと、今後の動きとして、農民負担の適正化ということはやはりどうしても考えなければならないと思います。現に昭和四十年度の予算におきましても、相当な補助率のアップをいたしておりますし、四十一年度の予算におきましても、四十一年度以降完了する国営事業につきましては、償還期間事業完了後十年を十五年に延長しております。私は、これはなかなか補助率なり負担率の是正ということは時間のかかる問題で、そう簡単にはいかないと思います。第一、国営の事業でいいましても、国費率が一般会計では六割で、県が二割で、農民負担が二割という状態でございますし、県営の土地改良でいえば、国費が五〇%で、県が二五%追加して、農民負担が二五%ということでございますから、相当国なり県なりが力を入れて財政負担をしていることも、これも事実であると思います。それで私は、金利を引き下げるということも事実なかなかむずかしい問題でありますけれども金利あるいは補助残の融資率あるいは償還期間等々をひっくるめて、長期計画を遂行する上に必要な措置を今後だんだんに講じてまいりたい。ただ、申し上げたいことは、そういういわばおぜん立てが全部そろわなければ土地改良長期計画は無意味かというと、私はそうは思いませんので、いままでも土地改良を無計画にやっていたわけじゃありませんけれども、年々の予算で、ごしごし予算を毎年毎年取るだけで、非常に極端に言いますと、長期展望のもとに土地改良をやらなかったということではありませんけれども、十分明確な目標がなかったことに比べれば、私は、一応十年間で圃場整備でありますとか、あるいは基幹用排水施設、農用地の造成等等、相当思い切った事業量を掲げて、政府全体を拘束して、それを遂行するために必要な措置をだんだんに講じていくという態度で、この問題に取り組んでしかるべきであろうというふうに思います。御指摘の点も私は非常によくわかりますので、簡単ではございません問題であることは、先生もよく御承知でございましょうから、今後できるだけ機会をとらえて、農民負担の是正化、適正化につとめてまいりたいと思います。
  57. 足鹿覺

    足鹿委員 そういう御答弁では私は納得できませんが、まあ時間もだいぶん経過いたしましたし、もうあまり長々と弁ずることも他の同僚の皆さんにも御迷惑をかけると思いますので、くどくは申し上げません。別の機会に私はもっと追及をいたします。とにかく、先ほど来るる私が述べたように、みんな借金農政ですよ。そういうことで一体日本農業がいわゆる近代化され——かりに近代化されたとしたって、それが所得増につながらない。そこに問題があるのです。ですから、もう、ここらあたりで大きな転換をしていかなければならぬ時期だと思う。少なくともこういう大きな問題に取り組む場合は、現状と将来の展望に立って、いわゆる審議会を設けるとか、衆知をもっと集めて、そしてその対策を立てるべきです。農政審議会にもこの計画はかかっておらぬと聞いておる。全く言語道断ですよ。しかも四十年度からもう入っておる。しかし、あとになって改良すれば、四十年度からは、この仕事の変わったものは、遡及規定が適用が受けられない場合はまた損をしなければならぬ。そういうことばかりやっておる。それで、私は長期計画そのものをけなすわけではありません。けっこうです。要はその内容です。私が指摘していることは、私はそう無理なことを申し上げておるつもりはございません。  その一例を申し上げましょうか。あなた方は一ぺん「市町村農政」の三十九号の十ページをお読みなさい。どういうことが載っておるか。とにかく宮城県の町村会長の佐々木さんという人が、社会党は全額すべて国庫負担でやれ、公費負担でやれ、こういうので、もうとても地方におると社会党と戦いにならぬ、悲鳴をあげて、何とかひとつしてもらわねばわれわれは困る、こういうことです。社会党が言っておるのではないですよ。全額負担は、もう学界でも、なかなか金融関係についても詳しい、そしてきわめて慎重な意見を吐く大内力博士も、これはもう最近の持論として強調しておられる。基盤整備は全額国がやるべきだ。そのやり方についてはいろいろ問題があるでしょうけれども、とにかく農民負担をかけないのが妥当である、こういう結論であります。佐々木さんの言っておることを一応読んでみましょう。現行の国営の特別会計の土地改良事業のごとく、一応国費でやり、あとから完成後二割内外の額を長期で分割徴収するという方法等は、必ずしも予算をふやさなくとも、土地改良法の改正なり土地改良事業指導運用の妙でやれるわけである。あるいは補助残を全額長期融資を認めるという方法もあると、こう言っております。要点は、現行土地改良区のようにまず国がやって、そして投資効果が上がって、土地の生産力が向上し、百歩譲っても農民負担に耐えられる範囲内、私をして言わしめるならば、反当千円が限界だと思う。私はそういう結論を持っているが、とにかくそういった思い切った構想をやらなければ、どうして二兆六千億の長期十カ年計画が完成できますか。少なくとも農政審議会にもかけ、さらにこの問題だけの専門の、土地改良その他農地関係金融対策について、基本的な再検討なくして何ができますか。この佐々木さんの要望に対して、前農林大臣、現赤城政調会長は、お話は私も全く同感であると言っております。二期にわたってつとめた前農林大臣ですよ。それがたったこの間、公式の場で言っておる。「市町村農政」にちゃんとそれが載っておるじゃありませんか。だから、われわれ社会党が言っておることがいまや世論の支持を受け、保守党を支持しておる人といえども、あるいは市町村の末端の行政に当たっておる人といえども、これではやれないということを客観的に証明しておるじゃありませんか。もっと構想を大きく、緻密に検討されてしかるべきだと思う。私はこれ以上申し上げませんが、このような膨大な計画は、現状の融資制度補助率、あるいは関連するやり方では達成できないと思いますが、この長期計画をスムーズに進めていくということについて、少なくともこの問題について審議会等を設けて、そうしてその完ぺきを期すべきである。要は農民負担の軽減に中心を置き、そうして工事のすみやかなる完了をはかるべきであろうと私は思いますが、その一点だけ——局長の御答弁だけでは、私はこれ以上申し上げません。少なくとも衆知を集めて、そして実行可能な裏づけをすべきだと思う。農政審議会にはかられることもけっこうでしょうが、それのみでは私は足らないと思う。審議会を組織し、そしてこれには受益者代表も加えて、ほんとうに権威あるものをつくってもらいたい、かように私は思うものでありますが、農林大臣がおいでになれば、別の機会に私はもっとこまかく伺い、意見も申し上げ、御所見を承りたいと思いますが、決して仮谷政務次官で私は不足ではございません。その手腕力量の上から申しましても、私非常に敬意を表しておりますから、この問題については真剣なる御検討の要があろうと思いますので、この際、御所見を承っておきたいと思います。
  58. 仮谷忠男

    仮谷政府委員 足鹿先生のお話は、当初から一貫して、農民負担の軽減という点に集中されておるように思います。近代化資金の問題にしても、あるいは今回の土地改良の問題にいたしましても、私どもも全く同感であります。基盤整備は全額国庫負担でやるというのが理想であって、われわれもそういう考え方に決して反対するものじゃございませんし、積極的に進めるべきだという考え方には変わりがありません。ただ、現実の問題として、なかなかそこまでに及ばないところに問題点があるわけでございまして、したがって、先ほど局長答弁をいたしましたように、本年度も何らかの形で負担軽減をやろうということで努力をいたし、若干補助率の引き上げもいたしましたが、資金のいわゆる利子の引き下げはできません。そのかわりに、償還期限、据え置き期間の延長といったようなことで、本年は進むことに相なったわけでありますが、いずれにしても、そういう理想に向かって、一挙にいかなくても、一歩一歩近づけていく最善の努力をしなければならぬということは、私どもも肝に銘じて承知をいたしておるわけでございます。したがいまして、これから先の長期計画の遂行にいたしましても、農政審議会等に十分はかり、必要があれば、具体的にそういった問題を十分に検討することも十分考えあわせまして、今後衆知を集めてこの問題の遂行に努力をいたしてまいりたい、こういうように考えております。
  59. 足鹿覺

    足鹿委員 それでは、私の質問は相当長時間にわたりましたので、本日はこれで打ち切りたいと思いますが、長時間たいへん失礼いたしました。
  60. 中川俊思

    中川委員長 次会は来たる二十二日開会することといたしまして、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十九分散会