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森本政府委員 先ほども申し上げましたけれ
ども、
近代化資金制度で
農民の受信力を補完するという見地から、現在の
保証制度、県に基金協会というものが設立されまして、それによって保証して
農家の受信力を補完してきた、こういう実情にあるわけです。ただ、数年やってまいりますと、必ずしもその
保証制度は十分機能を果たしておるとは言いがたい面もあらわれてきております。それは、現在の
保証制度が
制度的にやや不備な点があるというふうな点が
一つと、もう
一つは、やはりそういった基金協会その他こういう
保証制度を
運用している人たちの心がまえといったような問題もあろうかと思います。
前者の問題につきましては、
制度的な問題でありますから、
農林省としても十分これは手当てをしなければならない、そういう考えで、今回の
保証制度の
改正を考えたわけであります。いままでの
保証制度の欠陥といいますか、不備といいますか、そういう点は、御
案内のように、全国で約九十億ばかりになりますけれ
ども、基金を保有いたしまして、その基金をファンドにして
農家に対して信用の保証をしておる、こういうことになっておるわけです。ところが、保証協会の側にしてみますと、保証料は必ずしも徴収しない。それで一たん事故が起こると、代位弁済ということで、基金を取りくずして、
融資機関にかわって弁済をしなければならない、こういう
関係になっております。ところが、その基金の果たしておる
役割りといったようなことを考えますと、
一つには、基金は保証協会の運営費のファンドになっておるといったような
関係にあります。したがって、基金が減耗することが運営費の減少を来たすといったような
関係がある。それから基金が減耗いたしますと、保証の限度が減ってくるといったような
関係になりますので、従来の保証しておったものも継続してやっていけない、あるいは将来増大する保証
需要に対して基金が制約になる、こういうふうな
関係になるわけであります。それを回避するためには増資をしなければいけない、こういう
関係になりますが、増資をするとなりますと、御
案内のように、半分は系統団体あるいは市町村などが増資をするということになります。そういう点にも
一つのネックがあったわけであります。そういう点を回避いたしますために、
一つは、基金協会のリスクに対して、全国的な規模でリスクの分散をはかるということで、大体いま考えております保険
制度では、ほぼ各県の基金協会おしなべて見ますと、そのリスクの半分
程度は中央の団体で危険分担ができる、こういうような
設定になっておりまして、あとの半分は基金協会独自のものとして危険
負担が残るわけであります。その
関係は従来と同じことになりますから、あとの半分というと語弊がありますが、各県の基金協会に残る
負担部分について、直ちに基金を取りくずして代位弁済をするということであれば、従来の不備の点がそのまま残るわけであります。今回は、御
説明いたしましたように、中央の保険協会に
融資資金というのを設けまして、
融資資金から必要な支払い
準備資産を各県に貸し付ける、その支払に
準備資産をもって代位弁済に充てられる、こういうことにいたしたわけであります。そういたしますと、各県の基金協会は、直ちに基金を取りくずして代位弁済をする必要がないということになるわけでございます。そういう点の
改正をいたしました。
それからもう一点は、
先ほど来担保保証の問題がございました。従来は、基金協会の保証というのは、
融資額の八〇%を限度にしております。したがって、あとの二〇%は、
融資機関としては自分のリスクが残るという
関係で、ある
程度担保を徴収し、また人的保証を徴収しなければならぬような状態になっておった。その点は、今回は原則として、少なくとも
農家が
融資を受ける分については、そういう
融資分については保証限度を一〇〇%まで引き上げるということにいたしたわけでありますから、その点からも相当な
改善になろうと思います。