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1966-03-10 第51回国会 衆議院 農林水産委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月十日(木曜日)    午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 中川 俊思君    理事 大石 武一君 理事 倉成  正君    理事 田口長治郎君 理事 舘林三喜男君    理事 本名  武君 理事 赤路 友藏君    理事 東海林 稔君 理事 芳賀  貢君       伊東 隆治君    小枝 一雄君       小山 長規君    坂村 吉正君       白浜 仁吉君    綱島 正興君       丹羽 兵助君    野原 正勝君       長谷川四郎君    藤田 義光君       松田 鐵藏君    森田重次郎君       卜部 政巳君    江田 三郎君       兒玉 末男君    千葉 七郎君       松浦 定義君    森  義視君       湯山  勇君    中村 時雄君       林  百郎君  出席政府委員         農林政務次官  仮谷 忠男君         農林事務官         (農林経済局         長)      森本  修君         農林事務官         (農政局長)  和田 正明君         水産庁長官   丹羽雅次郎君  委員外出席者         農林事務官         (畜産局参事         官)      太田 康二君        専  門  員 松任谷健太郎君     ————————————— 三月十日  委員亘四郎君辞任につき、その補欠として坂村  吉正君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  漁船損害補償法の一部を改正する法律案内閣  提出第三九号)  北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法  の一部を改正する法律案内閣提出第八六号)  農業近代化資金助成法の一部を改正する法律案  (内閣提出第九七号)  農業信用基金協会法の一部を改正する法律案(  内閣提出第九八号)      ————◇—————
  2. 中川俊思

    中川委員長 これより会議を開きます。  漁船損害補償法の一部を改正する法律案議題といたします。  別に質疑申し出もありませんので、本案に対する質疑はこれにて終局いたしました。
  3. 中川俊思

    中川委員長 これより本案討論に付するのでありますが、別に討論申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  漁船損害補償法の一部を改正する法律案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  4. 中川俊思

    中川委員長 起立総員。よって、本案原案のとおり可決いたしました。
  5. 中川俊思

    中川委員長 ただいま議決いたしました本案について、田口長次郎君外二名から附帯決議を付すべしとの動議提出されております。  提出者から趣旨説明を求めます。田口長次郎君。
  6. 田口長治郎

    田口(長)委員 ただいま議決されました漁船損害補償法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につき、提案者である自民、社会及び民社の三党を代表して、簡単に提案趣旨を御説明いたします。  まず、案文を朗読いたします。    漁船損害補償法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、漁船保険事業の健全な発達を促進し、漁業経営の安定に資するため、左記事項について適切な措置を講ずべきである。      記  一、中小漁船付保率は逐年向上している。かかる実勢に即応して、この種漁船に対する保険料国庫負担の増額を図るため、国庫負担対象となる付保率引き上げ等措置について努力すること。  二、漁船装備近代化等による危険率の低下、あるいは将来における国の再保険事業経営状況を勘案して、保険料率引き下げを図る等の措置を講じ漁業者負担軽減につとめること。  三、満期保険については、一層の改善につとめ、制度本来の趣旨に沿いうるよう加入の促進を図ること。  四、漁船保険中央会に対する交付金活用については、将来にわたって事業を実施するため、その運用益利用を原則とすること。  右決議する。  以上四項目にわたっておりますが、一と二は、実質的に保険料率引き下げにつとめ、漁業者負担軽減につとむべきであるという趣旨であり、その他は、満期保険制度の充実あるいは漁船保険中央会に対する十二億円の交付金活用に関するものであります。これはいずれも質疑を通じ明らかにされておりますので、省略いたします。  何とぞ各位の御賛成をお願いいたします。(拍手
  7. 中川俊思

    中川委員長 本動議について別に発言もないようでありますので、直ちに採決いたします。  ただいまの田口長治郎君外二名提出動議賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  8. 中川俊思

    中川委員長 起立総員。よって、漁船損害補償法の一部を改正する法律案附帯決議を付するに決しました。  この際、ただいまの附帯決議について政府所信を求めます。仮谷農林政務次官
  9. 仮谷忠男

    仮谷政府委員 ただいま御決議をいただきました漁船損害補償法の一部を改正する法律案に対する附帯決議につきましては、決議趣旨を十分に尊重いたしまして、今後努力してまいりたいと存じます。      ————◇—————
  10. 中川俊思

    中川委員長 次に、北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案議題といたします。  別に質疑もないようでありますので、本案に対する質疑はこれにて終局いたしました。     —————————————
  11. 中川俊思

    中川委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  12. 中川俊思

    中川委員長 起立総員。よって、本案原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  13. 中川俊思

    中川委員長 ただいま議決いたしました本案について、芳賀貢君外二名から附帯決議を付すべしとの動議提出されております。  提出者から趣旨説明を求めます。芳賀貢君。
  14. 芳賀貢

    芳賀委員 ただいま可決されました北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党民主社会党を代表して、附帯決議を付するの動議提出いたします。  この際、案文について朗読いたします。    北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   本法の施行により北海道寒冷地営農改善計画認定期間が二年間延長されることとなるが、政府自立農家育成の線に沿い、おおむね左記各項に留意して、本法制定趣旨達成を期すべきである。   なお、政府は、右延長期間内に畑作農業を振興するための畑作振興対策室を設け、北海道南九州等畑作地域の調査とこれに基づく抜本的振興方策を樹立する等諸般の準備を整え、畑作営農振興に関した長期的総合的具体策が継続して実施されるよう所要措置を講ずべきである。      記  一、経営改善対象農家の範囲の拡大にともない、営農改善計画認定が円滑に行なわれるようその手続の簡素化を図り、その自主的な計画が着実に達成されるよう指導体制の強化につとめること。  二、融資方法については、計画内容に応じ、自作農維持資金活用とあわせて畜産経営拡大資金土地取得資金等一括貸付を行なう方途を講ずるとともに、営農改善資金貸付金利軽減につとめること。  三、既貸付者についても、必要に応じその経営改善計画の改訂を認め、所要資金追加貸付ができるよう措置すること。  右決議する。  内容については、昨日農林大臣に対し、この附帯決議の主たる内容点等について十分質疑を行ないまして、政府からも明快な態度の表明がありましたので、この際説明は省略いたしまして、全員の皆さんの御賛成をお願い申し上げる次第でございます。(拍手
  15. 中川俊思

    中川委員長 本動議について別に発言もないようでありますので、直ちに採決いたします。  ただいまの芳賀貢君外二名提出動議賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  16. 中川俊思

    中川委員長 起立総員。よって、北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議について政府所信を求めます。仮谷農林政務次官
  17. 仮谷忠男

    仮谷政府委員 ただいまの附帯決議につきましては、決議趣旨を十分に尊重いたしまして、今後努力を続けてまいりたいと存じます。     —————————————
  18. 中川俊思

    中川委員長 なお、ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 中川俊思

    中川委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  20. 中川俊思

    中川委員長 次に、農業近代化資金助成法の一部を改正する法律案農業信用基金協会法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  質疑申し出がありますので、順次これを許可いたします。坂村吉正君。
  21. 坂村吉正

    坂村委員 それでは、ただいま議題となりました農業近代化資金助成法改正法律案、それから農業信用基金協会法改正法律案両方につきまして、一括して質疑を申し上げたいと思います。   〔委員長退席舘林委員長代理着席〕  この問題について質疑をいたしますのは、実は本委員会におきまして、私が三十六年に、この農業近代化資金助成法について、農林省政府委員として答弁をいたしましたいきさつもある法律でございまして、非常に感慨無量なものがあるのであります。  三十六年に農業近代化資金助成法が生まれまして、その後五年間たっておるわけでございますが、三十六年におきまして農業近代化資金という制度を新しく立てましたときの意図はどういうことかといいますと、あの当時、農業金融制度を充実させなければいかぬ、農林漁業金融公庫資金だけではどうもやはり資金量として不十分じゃないか。そこへ持ってまいりまして、農協系統の中には非常に膨大な資金が簡単に言えば埋もれておる。その当時でもおそらく一兆円をこえておるだろう、一兆円前後までいっておったのじゃないかと思うのでございますが、そういう膨大な資金が眠っておる。これがどうして農業に還元されないのだろうか、これを農業に生かさなければいかぬじゃないか、こういう非常に強い意欲を持ってこの近代化資金が生まれたと思うのでございます。  生まれましてから数年間の近代化資金実績を見ますと、私は、必ずしも近代化資金というものが当初の意図どおりに動いておるかどうか、非常に疑問を持たざるを得ないのでございます。もちろん、政府の非常な御努力国会のえらい勉強によりまして、近代化資金につきましても、資金ワク等は逐年増加をいたしてまいりました。四十一年度におきましては大体八百億を予定しておる。その当時、一番最初は三百億か五百億くらいかと思ったのでございますが、そういう状況から八百億まで資金は伸びておる。しかし、それにもかかわらず、私は、必ずしも、農村の末端にいって近代化資金という制度がフルに運用されておるか、ほんとう農業近代化のために農民が喜んで使いやすい金としてこれを使っておるかどうか、こういう点については、非常な疑問なしとしないのでございます。私も立案者といたしまして、実は非常に反省しておる面がある。農村を歩いてみますと、そういう意見をしょっちゅう聞くのでございまして、そういうことから、今回政府近代化資金について法律改正をやろうということをお考えいただき、それから農業信用基金協会法についての改正案提出されたわけでございまして、いずれにいたしましても、時期としては、もう両方制度を少し手直しをしなければならぬという時期にきているのじゃないかというような感じがするのでございまして、その点はまことに時宜を得た、いい時期にいい改正を考えたというふうに申し上げていいんじゃないかと私は思うのでございます。  しかし、その改正内容については、まだいろいろ検討しなければならぬ問題があります。政府のその改正案を中心にして、いままでの五年間の実績を大体検討いたしまして反省をして、そうしてよりよい、ほんとう農民のために、農業近代化のためにこの金が使われる、こういう制度に仕上げてまいるのがわれわれの任務だと思うのでございまして、そういう観点から、私の質疑をひとつ進めてまいりたいというふうに考えるわけでございます。  そこで、あまり大きな準備もございませんので、思いつくままに質疑を進めてまいりたいと思っておるのでございますが、第一番目に、いま言いましたように、この五年間の近代化資金制度運用状況からして、今度の改正考え方というものは、その運用状況のどこにどういう力点を置いて、その点をどういうぐあいに改正しようとしているのか。くどくど答弁は要りませんから、こういう点が非常に問題だった、こういう点が欠陥だった、そういう点を今度はこういうぐあいに直そうとしておるのだ、こういう点を個条書きにひとつ初めに御答弁をいただきたいと思います。
  22. 森本修

    森本政府委員 御指摘のように、近代化資金制度昭和三十六年に発足をいたしました。今年まで五年程度経過をいたしておるわけでございます。制度運用実績と申しましても、きわめて制度自体多面的でございますので、一口に言ってどうということは、詳細にわたることになりますので、申し上げるのもあれでございますが、先ほど言われましたように、二つ目的近代化資金制度は持っておるわけであります。一つは、御案内のように、農家あるいは農業者資本装備高度化、それに必要な資金を供給するという目的一つと、それからもう一つは、これまた先ほど強調されましたような農協系統金融機関資金をできるだけ農村に還元する、こういった二つ目的ないしはねらいをもって本日まで運用してきておるわけであります。  最近までの実績を見てまいりますと、毎年ずっと四、五百億貸し出しをいたしておりまして、三十九年度までは融資の残高といたしましては約千七百億程度にのぼっております。毎年相当大きな資金量増加をいたしております。制度金融の中におきましてもかなりウエートを最近は占めてきておる。ことにまた、先ほど来強調されました系統金融機関貸し出し伸長という点におきましても、御案内のように、最近系統金融機関貸し出し状況を見ますと、長期資金貸し出し割合が漸次増加をしてきておる。その中の近代化資金割合も、また相当なウエートを占めてきておるといったような点から見まして、先ほど来の系統金融機関貸し出し伸長という面においても、相当な役割りを果たしてきた、こういうことが言えると思います。ところが、先ほど来御指摘がございましたように、毎年実は予算融資ワク設定いたしておりますけれども、その融資ワクと実際の融資実績といったような点から見ますと、ここ一、二年その消化率が落ちてきておるというふうな状況でございます。  これはいろいろな要因があると思います。もちろん、予算上のワク設定自体かなりゆとりをもって設定をしておるといったような事情もございますが、一面また融資の面において、先ほど目的にというお話がございましたので、思い当たる、あるいは一般に指摘されておる要因としましては、たとえば先ほど来の資本装備高度化といったような融資対象としても、毎年同じような調子で伸びていくというわけではないと思います。ある程度資金一巡という事情が考えられるのではないかといったような問題。それから保証制度、これもいわば制度発足当時は、従来ありました保証機関活用するといったような形で制度ができております。そういう観点からいきますと、従来の保証制度がはたして十全であったかどうかといったような問題も指摘されておるわけでございます。それから農協貸し出し体制あるいは貸し出しに対する意欲といったような点も、当時あるいは最近までの客観的な金融情勢といったような背景もございまして、必ずしも十全ということではないのではないか、こういう点も一つございます。それから府県の財政負担近代化資金との関係といったようなことも、その一つ要因ではないかと指摘する人もございます。いずれにしましても、そういった思い当たる諸種の要因があるわけでございます。そういうものに対しまして今回できる限り改善措置を講じていきたいというのが制度改正のねらいでございます。
  23. 坂村吉正

    坂村委員 非常に話が抽象的で、どうも具体的に頭にぴんとこない点もあるのでございますが、そういう意味からひとつ具体的に話を伺っていきたいと思います。  第一番目に、実施状況からいたしまして、毎年毎年消化が十分でない、こういう点でございますが、最近の各都市の消化状況、特に四十年のワクと実際に貸し出した金額との対比が、私は今後の近代化資金制度を考えていく場合に非常に基本になるのじゃないかと思いますので、その点を数字とパーセントでお示しいただきたいと思います。
  24. 森本修

    森本政府委員 数字で申し上げますと、三十六年度は発足当時でございますから除きますと、三十七年度は予算上の融資ワクが五百億、それに対して融資実績が四百七十五億、したがって、消化率でいきますと九五%ということになっております。それから三十八年度は予算上のワクが五百二十億、それに対して融資実績が四百八十六億ということで、消化率は約九三・四%ということになっております。三十九年度は予算上のワクが六百億、それに対しまして融資実績が五百三十億ということでございまして、消化率にいたしますと約八四%程度ということでございます。四十年度は現在融資の実行中でございますので、こういつた実績という形ではお示しすることがむずかしいのでございますが、融資ワクとしましては七百億を予定いたしておりまして、現在私どもの見込みでは大体六百億をやや上回るような実績になるのではないか、こういうふうに考えております。
  25. 坂村吉正

    坂村委員 初めのうちはわりあいに魅力があったので、相当近代化資金に飛びついていろいろ利用もされた。しかし、やってみるとなかなかむずかしいので、だんだん実際は利用状況も減っていった。それにもかかわらず、政府のほうではワクを一生懸命ふやすことだけ努力をしまして、いままで中身の改善という問題にわりあいに熱心でなかったのじゃないか、こういうことが私はこの実績から言えるのじゃないかと思うのでございます。どうしてこういう融資ワクが十分に消化をされないのか、こういうようなことの説明のところで、先ほど、わりあいにゆとりをもって資金ワクをつくっておった、こういうことを申されておりました。それも実際かもしれません。それに関連をいたしまして、大体装備高度化というものの資金需要一巡をしたのじゃないか、こういうような話があったのです。実際問題としては、農業近代化がそれほどいま進んでおるとは思わない。いろいろ設備高度化装備高度化ということを考えていく場合に、いま農村がそれほど満足する状態にあるのかというと、そうじゃない。資金需要一巡をしたのだという考え方は、これは少し思い過ごしじゃないかというふうな感じがするのでございます。資金需要一巡をしたなら、何も今度資金ワクをふやしてやる必要は一つもないのじゃないか、こういう感じがするのですが、全般的に見て、農村資金需要はまだ幾らでもあるんだ、あるんだけれども、借りにくいからなかなか借りられない、こういうのが私は実態じゃないかと思うのでございます。農業金融の一番の責任者である農林経済局長が、農業設備資金近代化資金需要一巡したのだというようなことを、公の席で、しかも国会でそういうことを言うのは、いかにも無責任じゃないか、こういう感じがするのでございまして、その点もう一度森本局長答弁をお願いしたいと思います。
  26. 森本修

    森本政府委員 ちょっと表現がまずかったと思うのですが、一巡をしてあとがないということではございません。御案内のように、この資金の貸し付けの対象になるものが、あるいは農機具でありますとか、あるいは鶏舎でありますとか、そういった施設のものでありますれば、御案内のように、農機具ブームといったようなことで、相当導入の時期等についてはピークがあったり、また農機具を買った後に幾らか一定の期間をおいて更新するといったような、いわゆる資金需要についての循環といいますか、そういう形があるのではないだろうかというふうに思います。私が申しましたのはそういう関係でございます。  それからまた、先ほど説明いたしました要因というのも、実は農林省が確定的にこういう要因であるということでは必ずしもございませんで、いろいろその要因を当たりましたけれども、どれが基本的な要因であるかは必ずしもそれを十分突きとめるわけにはまいりません。いろいろな人の話なり意見なりを総合いたしまして御紹介をしたわけでございます。念のために申し上げますけれども、そういうことでございますから、農業近代化のためにはますます投資の必要がある、また農村にもある意味では相当広範な資金需要が存在するということは、私どもも十分に考えておるわけでございます。
  27. 坂村吉正

    坂村委員 そういう意味であれば、それでは先ほどのことばは一応表現が悪かったというふうに了解をいたしまして、次に進みたいと思います。  私は、農業資金については、たとえば経済局長が例をあげた農機具につきましても、まだまだ資金需要というものはあります。同時に、たとえば豚舎をつくりたい、鶏舎をつくりたい、いろいろそういう設備設備資金はまだまだ一巡どころではなくて、やりたいけれども、金がないからできないのだ、こういう実態が私は幾らでもあるのじゃないかと思うのでございます。この点は、農業近代化資金の総ワクについても、そういう考え方ではなくて、まだまだ需要があるのだけれども、これが農村ほんとうに使いやすい金になるように制度を直して、そうして農村需要にこたえていく、農業近代化に役立たしていく、そういう考え方のもとに、今後の改正案運用についても、あるいは今後近代化資金を考える場合において毛、そういう点に思いをいたし、ひとつやっていただきたい、こういうことを特に要望を申し上げておきます。  具体的に言うと、私が近代化資金についてのいろいろの文句、愚見、注文を聞きますものは、先ほど局長からも抽象的に言われましたが、   〔舘林委員長代理退席大石(武)委員長代理着席〕 第一番目に農民から率直に言われることは、運転資金の何とか安いものを貸してくれ、こういうことが非常に強い全体の要望でございます。いままで大体農業金融というものを考えてみますと、農林漁業金融公庫を見ましても、新たにつくった近代化資金を見ましても、主体は設備資金である。長期設備資金が非常に困っておったということは当然でございますから、設備資金から先に農業金融改善をはかってまいりますことは当然でございます。歩み方としては当然な歩み方であろうと思いますけれども、それにあわせて、どうしても運転資金が非常に高利だ、こういう問題がある。運転資金農協プロパー金融でやったらいいじゃないか、こういうことが当初からの考え方でございますが、それではなかなか農業近代化というものは進まないのじゃないかという感じが私はするのでございまして、その点ぜひとも、運転資金にも制度金融があるんだ、こういうことをひとつ新しい方面として打ち出してまいる必要があるんだ、こういうことを痛感しておったわけでございます。それにつきまして、運転資金を今度の制度改正では考えたようでございますが、私のいままで受け取っておる農業資金需要考え方と、それから今度の制度改正とどういうぐあいにマッチをするのか、マッチをしないのか、その点、要点だけ簡単に答弁していただきたいと思います。
  28. 森本修

    森本政府委員 御指摘のように、従来農業関係制度金融の主として対象になっておりましたのは、設備資金といいますか、あるいはその事業資金といいますか、共同の事業資金、そういう主として長期に償還を要する設備ないし事業といったような関係になっておると思います。これは何といいましても、その資金の性格上、財政資金ないしは制度金融で見るべき範囲としては適当であるといったような考えで、従来やってきたものであります。ところが、御指摘のありましたように、単に設備を入れる、あるいは家畜なり果樹を入れるといったような関係だけの部面について融資をいたしておりましても、たとえば果樹でありますれば、果樹園を植栽いたしました後に、一定の期間成園になるまでには相当ないわゆる運転資金がかかる。したがって、植栽資金だけを貸しましても、経営としては十分ではないといったような関係があるのであります。それから家畜等につきましても、たとえば生産家畜を入れまして、その入れる部分については、御案内のように、従来から近代化資金で見ておるわけでありますが、それが一定の年齢に達するまで相当な資金がかかる。また返しても、長期というとあれですけれども、いわゆる中期の償還を要するような資金であるといったような関係になっております。少なくともそういうものについては制度金融対象に見てもいいのではないか。また従来の考え方を延長いたしましても、そういう点がぜひ制度金融の分野として適当ではないか、こういう感じがするのであります。今回の近代化資金融資対象拡大の中にも、そういう観点から、果樹など永年作物についての育成資金、それから生産家畜についての育成資金を新しく融資対象に加えるということにいたしておるわけであります。
  29. 坂村吉正

    坂村委員 新しく運転資金についての制度金融を今度取り入れた、こういうことになるわけでございますが、私は、農民ほんとうの素朴な要求にこれは大体こたえられる、こういう期待を持って、これはいずれあとでいろいろ中身については質問を申し上げることにいたします。  もう一つ農民の要求ですが、近代化資金を借りようと思っても、農協に行って申し込んでも、なかなか借りられないというのが実情であります。と申しますのは、やはり担保の問題、相変わらず大部分が連帯保証人を置いて、そうして連帯保証がなければ農協でも近代化資金さえも貸せないというのが、私は大部分の農協実態じゃないかと思うのでございます。そういう意味からいって、県には信用基金協会というものがあって、そうして担保がなくても、県の信用基金協会が保証をする、だから安心して農協でも貸せるし、農民も借りていいのだ、こういうことを幾ら説明をし、話をしましても、現実問題としては、農協でやはり連帯保証をとらなければなかなか貸せない、こういうのが実態であろうと思うのです。このやっかいなところを何とかひとつ直してもらいたい、こういうのが私は農民から出る一番素朴な要求じゃなかったかと思うのです。私が現に世話をしてあげた問題でも、豚舎、鶏舎をつくるので、近代化資金を使おうというので、農協にいろいろ相談に参りましたが、どうしても農協から貸せないわけです。そこで、やむを得ず、私は農林漁業金融公庫の豚鶏資金で世話をしてあげました。農林漁業金融公庫から直接貸しで豚鶏資金を貸してやった。こういうケースは私が実際に世話をしたケースでございますから、非常になまなまと感じておるわけでございますが、連帯保証人がなければ制度金融でもやはり借りられないのだ、こういうところについて、今度の制度改正はどういう改正を考えておるか、どういうねらいを置いてそこのところを解決しようとしておるのか、ほんとう農民の要求にマッチするのかしないのか、そこら辺をひとつ簡単に要領よくお話をいただきたいと思います。
  30. 森本修

    森本政府委員 先ほども申し上げましたけれども近代化資金制度農民の受信力を補完するという見地から、現在の保証制度、県に基金協会というものが設立されまして、それによって保証して農家の受信力を補完してきた、こういう実情にあるわけです。ただ、数年やってまいりますと、必ずしもその保証制度は十分機能を果たしておるとは言いがたい面もあらわれてきております。それは、現在の保証制度制度的にやや不備な点があるというふうな点が一つと、もう一つは、やはりそういった基金協会その他こういう保証制度運用している人たちの心がまえといったような問題もあろうかと思います。  前者の問題につきましては、制度的な問題でありますから、農林省としても十分これは手当てをしなければならない、そういう考えで、今回の保証制度改正を考えたわけであります。いままでの保証制度の欠陥といいますか、不備といいますか、そういう点は、御案内のように、全国で約九十億ばかりになりますけれども、基金を保有いたしまして、その基金をファンドにして農家に対して信用の保証をしておる、こういうことになっておるわけです。ところが、保証協会の側にしてみますと、保証料は必ずしも徴収しない。それで一たん事故が起こると、代位弁済ということで、基金を取りくずして、融資機関にかわって弁済をしなければならない、こういう関係になっております。ところが、その基金の果たしておる役割りといったようなことを考えますと、一つには、基金は保証協会の運営費のファンドになっておるといったような関係にあります。したがって、基金が減耗することが運営費の減少を来たすといったような関係がある。それから基金が減耗いたしますと、保証の限度が減ってくるといったような関係になりますので、従来の保証しておったものも継続してやっていけない、あるいは将来増大する保証需要に対して基金が制約になる、こういうふうな関係になるわけであります。それを回避するためには増資をしなければいけない、こういう関係になりますが、増資をするとなりますと、御案内のように、半分は系統団体あるいは市町村などが増資をするということになります。そういう点にも一つのネックがあったわけであります。そういう点を回避いたしますために、一つは、基金協会のリスクに対して、全国的な規模でリスクの分散をはかるということで、大体いま考えております保険制度では、ほぼ各県の基金協会おしなべて見ますと、そのリスクの半分程度は中央の団体で危険分担ができる、こういうような設定になっておりまして、あとの半分は基金協会独自のものとして危険負担が残るわけであります。その関係は従来と同じことになりますから、あとの半分というと語弊がありますが、各県の基金協会に残る負担部分について、直ちに基金を取りくずして代位弁済をするということであれば、従来の不備の点がそのまま残るわけであります。今回は、御説明いたしましたように、中央の保険協会に融資資金というのを設けまして、融資資金から必要な支払い準備資産を各県に貸し付ける、その支払に準備資産をもって代位弁済に充てられる、こういうことにいたしたわけであります。そういたしますと、各県の基金協会は、直ちに基金を取りくずして代位弁済をする必要がないということになるわけでございます。そういう点の改正をいたしました。  それからもう一点は、先ほど来担保保証の問題がございました。従来は、基金協会の保証というのは、融資額の八〇%を限度にしております。したがって、あとの二〇%は、融資機関としては自分のリスクが残るという関係で、ある程度担保を徴収し、また人的保証を徴収しなければならぬような状態になっておった。その点は、今回は原則として、少なくとも農家融資を受ける分については、そういう融資分については保証限度を一〇〇%まで引き上げるということにいたしたわけでありますから、その点からも相当な改善になろうと思います。
  31. 坂村吉正

    坂村委員 先ほど説明でありますが、当初、県の基金協会を考えましたとき、県の基金協会の基金をこの程度に国と県あるいは農業団体で造成しておけば、それで大体——保証は何倍ですか、十倍ですか、二十倍ですか、保証機能は果たせるのだ、そういう計画で最初の基金の造成を考えたのだろうと私は思うのでございますが、それが現実には初めの所期どおりに動いていなかった、回っていなかった、こういうことでございますか。初めの計画は、これだけの基金造成をすれば、これで大体何倍かの保証ができるのだから、保証機能というのは十分なんだ、こういう計画で、農業近代化資金制度を考える場合に保証基金というものを考えたと私は思うのでございます。その点が、現実には政府の計算と現実の姿とは食い違っておったのだ、こういうぐあいに理解していいのですか。
  32. 森本修

    森本政府委員 計数的には、融資額あるいは保証の見込み額に対して必要な基金を造成してきておるわけであります。国の助成もありますし、県の助成もありますし。したがって、必要な保証額に対する基金は造成をされてきておるわけでございます。その関係では何ら見込み違いということはございません。しかし、先ほど申し上げましたのは、運営してまいりまして、その制度の運営の実績を見ますと、いま言ったような運営上のやや不備な点が出てきた。そういうふうな実績といいますか、経験に徴しまして、先ほど来の改正を考えたわけでございます。
  33. 坂村吉正

    坂村委員 そうすると、いままでの運営状況から見て、初めの計数上のいろいろの計画は、ある程度見込み違いの点もあった、そういう点もカバーする意味で、今度の制度改正で、保証の問題については全面的にそれをひとつなくそう、よくしよう、こういうようなことで考えたのだ、そういうふうに理解をして差しつかえないわけであろうと思いますので、それでは、今度の制度改正によって、先ほど私が申し上げましたように、近代化資金を借りようと思った場合に、やはりいつもと同じように連帯保証人がなければだめなんだということで、非常に窮屈に末端の単協で運営をされなければならないというような事態は、簡単に言って解消するのかしないのか、これは全国の農民が一番気にしておる問題だと思いますので、その点をはっきりと明確にしておいてもらいたいと思います。
  34. 森本修

    森本政府委員 先ほど申し上げましたように、保証率としては、少なくとも農家が借り入れをするようなものについては、基金協会は一〇〇%の保証をするといったような制度にいたしたわけであります。それから基金協会側の運用上、消極的になるような要因については、保険制度あるいは融資制度によってカバーをして、改善していくというふうな制度のたてまえになっておるわけでございます。したがいまして、制度的な観点からいきますならば、全額農家融資を受けます部分については基金協会の保証で足りる、ほかに担保なりあるいは連帯保証人を要しないといったような制度の仕組みにいたしたわけでございます。ただ、何ぶん、農協融資機関と借り入れをする農家との関係でございますから、融資機関としては、どういうふうな考えで融資をしていくかはある程度自主的な判断にまかせられておる点がございますので、私どもとしましても、いま言ったように、国のほうとしても制度改正を相当いたしたわけでございますから、できるだけ御指摘のように、担保をとるとか、さらに連帯保証人を要求するとかいったようなことのないように、十分指導を加えてまいりたいと思います。
  35. 坂村吉正

    坂村委員 もちろん、金を借りるほうと貸すほうでありますから、それはべらぼうな金の貸し方はできませんし、べらぼうな金の借り方ができないのは当然であります。ですから、普通の状態で農協が組合員に対して近代化資金を貸そう、こういうような場合には、いまのように何人かの理事の連帯保証をとらなければならぬとかそういうような事態は、特殊なケースを除いては解決されるんだ、解消されるんだ、そして非常にスムーズに、円滑に近代化資金を借りられるという、こういう制度に——もちろん、運用の面で十分指導もし、それから訓練もしなければならぬと思いますし、運用の面は非常に大事でございますが、制度としてはそういう制度になったのだ、こういうぐあいに考えていいんじゃないかと思うのですが、どうですか。いいか悪いかをはっきりひとつお答えいただきたいと思います。
  36. 森本修

    森本政府委員 制度としては、御指摘のような制度にいたしたつもりでございます。
  37. 坂村吉正

    坂村委員 もう一点大事な問題としてお伺いしておきたいのは、この農業近代化資金制度発足いたします場合に、農協の系統機関といたしましてはいろいろの意見がありました。第一番目に、農協系統機関の自主性に対してどういうぐあいにこの制度を考えるか。たとえば農協系統機関というのは自主的な団体である。その団体が金融の仕事をしてまいります場合に、政府から利子補給をもらうとかあるいは政府の金で債務保証を受ける。そうなりますと、いわゆる農協金融事業の自主性というものは非常に失われて、いわゆる政府の支配、官僚の支配を非常に受けてしまう。こういうことに農協がなりはせぬか、こういう心配が一時あったわけでございます。と同時に、農協がせっかく持っている金に対して、いかにも政府が、人の金を利子補給をやったり債務保証をやったりしてかってに動かすような、そういう政府意図によって農協の金が動かされる、そういう点についての心配も、農協制度との関連で議論があったような、そういう記憶が私はあるのでございます。それで、その点は、農協にそういう考え方のあることも、私は農協陣営としては当然なことであろうと思うのでございます。と同時に、一面、農協がそれだけの多額の資金を持っておるのにそれが動かないのは、農民のためにも非常にぐあいが悪いから、それに対して動かない面については政府が援助をして、そうして農民のためにこれを動かそうじゃないか、こういう考え方に大体全体が割り切られてこの制度発足したんじゃないかというふうに考えておるのでございますが、そういう点の状況ですか、今後だんだんと農協資金に対してこういう支配力といいますか、影響力が大きくなってまいるわけでございますから、その点についての政府としての考え方はどういうぐあいにお考えになっておるか、その点一点、初めの序論の問題としてお尋ねしておきたいと思います。
  38. 森本修

    森本政府委員 御指摘のような問題は、おそらく三十六年の制度発足のときにいろいろ論議されたことと思っておりますが、論議の結果、現行の制度のようなことで数年を経過いたしてきておるわけであります。それで、経過いたしてきておりますと、農協系統機関も近代化資金制度にある程度なれてきておるというか、習熟をしてきておるというか、そういう状態になっております。特に最近のような金融の客観情勢ということで、近代化貸し出しを促進しなければいけないといったようなことになってまいりましたので、おそらく私ども感じといたしましては、近代化資金制度を積極的に活用して近代化貸し出しを促進していこう、こういうふうに思っておるものと理解をいたしております。なお、政府のほうとしても、そう極端に農協系統機関に対して規制を強化するといったような考えは持っておりません。
  39. 坂村吉正

    坂村委員 いま議論がございましたように、そういう農協の問題が、近代化資金運用の場合におきましては、農協の金を農協がこれは運用する、それに対して政府が援助をしていく、こういう姿でございますから、農協の組織とか姿とか、そういうものが非常に大事な今後の問題になってまいるのじゃないかと思うのでございます。  そこで、それではいまの農協の実際の実情が、この近代化資金の運営について十分な状態になっておるかどうか、こういう点もこの際検討していく必要があるんじゃないか、そういう感じがするのでございます。と同時に、もう一つは、農協で集めておる貯金の将来の姿としては、どういう方向で運用されてまいるのがいいのか、こういう点も、私はやはり考えておく必要があるんじゃないか、こういう感じがするのでございます。そういう観点から、いまの農協資金の——全体でけっこうでございます。単協あるいは信連、中金と、こういうぐあいに区分しないでけっこうでございますから、農協の系統機関の全体の資金状況、たとえば貯金、預金の集まり状況、それについての貸し出し状況、そういうものを具体的に数字でお示しをいただきたいと思います。   〔大石(武)委員長代理退席、委員長着席〕
  40. 森本修

    森本政府委員 農協系統機関が各段階で分かれておりますから、一々について申し上げるのもあれでございますから、たとえば各段階の系統機関を一機関として案計をいたした数字で申し上げますと、三十九年度末の状態では、預貯金が二兆二千万円くらいございます。それから運用状況を見てまいりますと、貸し付け金、それから経済事業の流用費といったような、いわゆる員内で消化をしておるものが一兆三千億くらいにのぼるわけでございます。あとはいわゆる余裕金の運用というふうな形でやっておりますが、そのうち、たとえば中金の関連産業貸し出しというふうなものが約二千七百億くらいございます。これはどういう範疇に入れて解釈をすればいいかという問題があります。あとは金融機関貸し出しあるいは有価証券の保有、金銭信託といったような形で、いわゆる純粋の余裕金の運用の状態、こういうふうに御理解を願いたいと思います。
  41. 坂村吉正

    坂村委員 預貸率にしますと、どのくらいになりますか。大体ほかの金融機関や何かと比べてどういう状況になりますか。その点も数字がありましたらひとつお示しをいただきたいと思います。
  42. 森本修

    森本政府委員 これは全体をひっくるめたやつではございませんが、単協の貯貸率は四十年の三月末では四九%、約半分、こういうことでございます。
  43. 坂村吉正

    坂村委員 ほかの金融機関と比べて……。
  44. 森本修

    森本政府委員 ちょっと具体的な計数を持っておりませんので、後ほどまた……。
  45. 坂村吉正

    坂村委員 抽象的で——それでは頭で、ほかの金融機関よりは高いのか低いのか……。
  46. 森本修

    森本政府委員 おそらく比較すれば低い状態ではないかと思います。
  47. 坂村吉正

    坂村委員 その点で、今後の農協の大きな方向を考える場合に、私、非常に大事な問題じゃないかと思うのでございます。農協に対して農民が一生懸命貯金をする、しかもだんだんと貯金率も上がってはきておるようでございますが、非常に低いので、その金が農業には還元されないというのが実情でございます。それはどういうところに問題があるかというと、やはり単位農協自体の組織があまり充実されていないのじゃないか、こういう点が一つあるのではないかと思います。それと同時に、いかにも系統利用、系統利用ということだけにこだわって、貸せない金はむしろ信連に全部預けろ、信連は農林中金に預けろ、こういう姿が現実である。しかも、今度は金を貸す場合には、自分の金を貸さないで、農林中金から信連は借りてくる、信連から単協は借りてくる、そして借りてきた金を農民に貸しているという姿が、私は現実の姿として非常に多いんじゃないだろうか、そういう感じがするのでございます。これは感じでございます。そういう姿だから、農協資金は五段階、六段階、こういうことをいわれておる。だから、これを段階整理をやったらいいじゃないかというような議論さえ生まれてくるというのが実情じゃないかと思うのでございます。その上、私の考え方からすれば、単協が金融機関である以上は、預かった金を一番有利に運用するのはどういうことかといえば、それは預金をするよりも何よりも、金を貸すのが一番有利な運用だというふうにいっていいんじゃないかと思うのでございますし、また信連にしても、一番有利な運用というのは、やはり貸し付けが一番有利な運用になるのではないか、こういう感じがするのでございまして、なるべく系統の上の機関に預けてしまえ、こういう昔からの指導が、むしろかえって農協の弱点になっているのではないか、こういう感じがするのですが、その点どういうふうにお考えですか。これは政務次官も一緒にお答えをいただきたいと思います。
  48. 森本修

    森本政府委員 御指摘のように、先ほど数字を見ましても、貯貸率が約五〇%という状況で、預かりました資金は、本来の姿としては系統金融活用するというのが方向であろうと思いますが、そういうことに状態はなっておるわけであります。そこで、私どもとしましては、積極的に系統金融機関が員内に貸し出しをしていくというふうな方向で努力をしてもらいたいというふうに思っておるわけでございます。ただ、先ほど指摘がありました単協の貸し出し体制の問題等、今後十分整備し、改善をしなければならぬ点があろうかと思います。そういう点についても、十分指導ないし援助を加えていきたい、こういうふうに思います。
  49. 坂村吉正

    坂村委員 単協の貸し出し体制の点があまり十分でない、こういうことでございますが、その点は、たとえばどういうことが単協としては不十分なんだというように考えておられるか。もしそういうことであるならば、その点を積極的に指導して直してまいらなければならぬ、こういうことが、私は、農業金融を考える場合、特に近代化資金をどんどん整備していくということでありますから、一番ポイントになる、単協が安心して円滑に農民に貸せるような体制をつくっていかなければならぬ、こういうことが非常に大事な問題だと思うのでありますが、その点はどこが欠けておるのか、どういう点に欠陥があるのか、そういう点のお考えがあったらひとつ答弁いただきたいと思います。
  50. 森本修

    森本政府委員 先ほど来申し上げましたように、一つは、客観情勢が、ある程度員内貸し出しに対して意欲を必ずしも高めない。外部に運用するとか、あるいは先ほど来御指摘がありましたような形で資金を持っていったほうが、農協としても採算上有利だといったような客観情勢があったわけであります。そういう関係から、ある意味では員内貸し出し意欲という点でもう一つ欠ける点があったというふうにも思います。そういう点は、昨年来の金融情勢の変化ということで、おそらく農協系統機関としても、員内貸し出しを積極的にやらなければいかぬというような感じになってきておるというふうに理解をいたしております。なお、貸し出し体制の整備といったようなことでございますと、たとえば単協の中でも、貸し出しに回っておる担当者の数あるいは素質といったような点からいいまして、もう少し整備をしなければならぬ、あるいはまた単協でありますから、融資といろいろな指導といったようなものを一体化していくことがこれまた一つの方向だと思うのですが、そういう点についても、必ずしも十全でなかったというような点もあろうかと思います。
  51. 坂村吉正

    坂村委員 経済局長のおっしゃることも大体わかります。そういうことではないかと思うのでございますけれども、単協が信連に預金しているほうが、実際問題としては、預金者保護の面からいえば安全なんですよ。単協の貸し出しに自信がなければ、どうしたって信連にやはり預金してしまいます。そして組合員に貸す場合には、信連から借りてきて貸すという、そういう姿になってしまうのでございまして、そこをもう少し何か思い切って、単協の内部で貸し出しの、いわゆる金融機関としての事務能力といいますか、そういう体制をできるだけ積極的に整備させる、そういうことが非常に大事なことじゃないか、こういうことが考えられるのでございますが、それについては、具体的に何か農林省として手を打っているとか、あるいはこれから打とうとしているとか、そういうような問題はございませんか。
  52. 森本修

    森本政府委員 そういう面におきましては、一つは、貸し出しに当たる職員の質の向上といいますか、金融上の知識なり能力の向上といったような点が必要であろうと思うのでございます。農林省としても、そういう点を系統金融機関が相当積極的にやっていただくということを、従来から、特に最近申しておりまして、系統機関としても、金融の担当の職員の研修といったようなこともやっておるようでございます。あるいは中金から人が行きまして、地方へ駐在をして、積極的に貸し出す事務の教育といいますか、指導といいますか、そういうふうな形もやっておるようでございまして、われわれとしても、そういう方向をできるだけ推進していきたいと思っております。
  53. 坂村吉正

    坂村委員 その単協の指導といいますか、研修、そういう点も、研修施設や何か、いろいろ農業協同組合関係予算ではとっておるんじゃないかと思いますし、それから金融関係でもあろうと思うのでございますが、これが実際問題としては非常に微々たるものです。そうしていろいろの、どちらかといえば事務費的な性格になるものですから、そういうものは予算としても非常にとりにくいんじゃないか、こういう感じがするのでございます。しかし、そこが農業金融の一番ポイントだ、一番大事な問題がそこにあるんだ、こういうことを十分認識をいただいて、政務次官、今後そういう問題についても相当十分な予算をとって、人にまかせておくのではなくて、たとえば農林中金あたりを使って、政府でも直接乗り出して、そうしてその問題をまんべんなくじゅうたん爆撃のように、単協がそういう貸し出し体制といいますか、金融についての指導、研修、こういうものをうんと充実していく、こういうお考えはありませんか。
  54. 仮谷忠男

    仮谷政府委員 いま一番農協の悩みの問題だと思うのですが、確かに、系統貯金の集中という問題は、積極的に実は系統でやったわけであって、余裕金は系統貯金へということでやったことは御承知のとおりです。そういうことが集中的に行なわれて、従来はいわゆる利ざやかせぎでできておったのが、今度は逆の形になった。したがって、奨励金といったようなものも、中金のも全部かぶってしまうから、今度は単協へまたしわ寄せがきたことは御承知のとおりであります。従来単協の運営というものが、信用事業にたよって、それによって経済事業等をやっておったというのが単協の実際の運営なんです。だから単協自体の根本的な立て直しと申しますか、こういう問題も考えていかなければならぬ。そこで、資金貸し出しの問題といいますか、単に職員の講習をするとか、そういうものをやってなかなか簡単に片づくものじゃない。私も実は単協の組合長をやった経験があるのですが、金を貸そうということになりますと、役員会を開いて、この甲という者は金を借る資格があるのかないのか、調査をする。転貸資金であれば、役員の連帯責任で又貸しすることがある。もし万一のことがあれば、全部保証人がかぶらなければならないという問題が生じてくる。ところが、甲に貸して乙に貸さぬということはできない。甲と乙の比較の問題が出てくる。そういう問題から考えて、資金そのものが組合員の貯金を預かった資金でございますから、それを貸す場合には、自分たちで組合員同士牽制し合うという問題があるわけです。そういう問題があることによって、非常に貸しにくい現実の問題がある。しかも貸す場合には、資金コストが一番問題なんです。高い金利で貯金を受けて、それを安い金利で貸そうというのですから、これはなかなかむずかしい問題です。したがって、そういう問題を改善する一環として保証制度改正をやって、農民自身には一〇〇%保証しようというところまで政府制度的に保証を持っていったわけです。今度は単協の運営の問題になってくると思うのですが、そういうふうに政府は積極的にやっているから、それを受けて、単協がそれをいかに農民に徹底させ、そうして窓口改善をやっていくかという心がまえが必要ではないかと思うのです。そういうふうな単協の根本的な施策の問題と資金コストの問題、政府の施策、そういうようなものをにらみ合わせて、今後の単協の立て直しというものを考えていくべきではないか。非常にむずかしい問題ですけれども努力をしなければならぬ現実の問題だ、こういうふうに考えております。
  55. 坂村吉正

    坂村委員 政務次官はさすがに単協の組合長をおやりになっただけあって、実態をよく御存じの御答弁で、私もそのとおりだと思います。これはだいぶ前の話でございますが、あるところで、相当預金を持っておって、なかなか貸し出し伸長しない、そういう組合の役員会に行きまして、私いろいろお話をしたことがございます。そのときに、もっと貸し倒れ準備金というようなものでも積極的に積んで、そうして金をもっと消化することを考えたらどうか、こういうことを実は言ったことがあります。そうしますと、単協の組合長のお話では、とんでもないお話だ、貸し倒れ準備金なんかを積むと言うこと自体、これは総会で非常に議論が起こります。おれの預けた金を踏み倒させるのか、初めから踏み倒される前提でそういう経営をするのはおかしいじゃないか、こういう議論が出るというのです。そのこと自体、私は、金融機関として単協が経営をやっていく場合に、いろいろの組織上の問題があろうと思うのです。組合員お互いに引っぱりあったりする問題もございましょうし、そういう点が非常に今後の大きな問題になるのではないだろうかという感じがするのでございます。その点はひとつ十分今後も政府においても本腰を入れて、農協の、単協の貸し出し体制の整備のためにいろいろの施策を講じてもらいたいと思うのでございます。この点を要望いたしておく次第でございます。  と同時に、もう一つ問題は、そういうことをいろいろ整備しよう、充実させようと思っておっても、いまの状態では、ほかの金利、農協以外の全般の金利、公定歩合をはじめとして全体の金利が安くなっている。そういう傾向、そういう状況の中にあります。その中で、先ほど政務次官がくしくも言われましたが、いろいろ奨励金を削減するとかそういうようなことで、農協の、単協の経営自体も相当追い込まれつつあるというような実情にあるのではあるまいか、私はこういう感じがいたすのでございます。その点は、実際私どもが中に入って具体的に知っているわけではございませんけれども感じとして、全体の経済情勢からして、そういう状況にいまあるのではないか、こういう心配がございますので、それがあまりにもほかの影響があって、農協の経営難というところへだんだん追い込まれるという情勢にありますと、このことは、将来の問題として、あるいは現実の問題かもしれませんが、大きな問題ではないかと思うのでございますが、その点はどういう情勢判断をしておられるのか、その点も、もし数字がありましたら、数字をもとにしてお示しをいただけば非常にありがたいと思います。
  56. 森本修

    森本政府委員 今回の制度改正に伴いまして、最近の実勢に即して、実は基準金利も、従来は九分五厘といったような形になっておりましたのを九分程度引き下げる、それに伴って、末端貸し付け金利も、従来は個人は六分五厘ということになっておりましたが、六分に引き下げる、こういうふうな形にしようと思っておるわけでございます。基準金利につきましては、三十六年当時には、農協の実質の貸し出しの利回りといったようなものが、農林省の統計によりますと、約九分五厘ということに全部おしなべてなっておりました。毎年そういう調査を継続してやっておりますが、その調査の三十九年度の実績によりますと、同じ数字が九分程度になっておるといったようなことから、基準金利についても実勢に合わせるようにということでやってまいりたいと思っております。
  57. 坂村吉正

    坂村委員 それじゃあまり時間もないようでございますから、ひとつ簡単に進めてまいりますが、いまの農協の経営の問題でございますが、これは今後も非常に重要な問題であろうと思います。全体として非常に両方から困る問題があるわけでありますけれども、系統金融を充実しようというふうなことで、いろいろ奨励金を出したりなんかして、ボーナスを出していろいろやっている。それはもちろんけっこうなことでございます。しかし、それがコストに全部はね返ってまいって、そうして系統金融の金利がそれだけ上がってくる、こういうこともまた非常に困った問題でございまして、そこら辺をいかに調整するかということが非常に大事じゃないか、政治としても行政としても非常に大事な問題じゃないか、こういう感じがするのでございます。いまの状況を見ますと、もうばたばたと奨励金やボーナスを切っているというような状態じゃないかと思うのでございまして、そこら辺については、あまり急激な断層が起こらないように、だんだんと農協の内部の合理化にあわせて、それと並行していろいろ将励金、ボーナス、そういうものは減らしてまいる、つまり、農協の合理化と経営の合理化とあわせて、そういうものは考えていくべきものだというふうに考えるのでございますが、その点についてどういうぐあいに現在指導され、お考えになっておるのか、その点をお伺いいたします。
  58. 森本修

    森本政府委員 御指摘のように、この問題の処理は、そのタイミングなりあるいは程度なりということがきわめてむずかしい問題だと思います。昨年来の金融情勢の変化で、ある程度農協系統金融機関としては、いままでのような高利回り、それからまた高コストといったような形の経営態度は、修正を余儀なくされてきておるというふうに思うわけでございます。また、系統金融機関としての将来のあり方としても、ある程度コストを低下していくという方向に努力を払うべきことは当然のことであろうというふうに思うわけでございます。そういう観点から、中金なりあるいは信連なりが従来の預金に対する奨励金を漸進的に切り下げていくという方向は、系統金融機関全体のあり方として、あるいはまた客観情勢との関連からいっても、当然なことではないかと思います。ただ、それをあまり急激にやりますと、末端の単位協同組合に対する影響が大きくなるといったようなこともございます。したがって、われわれとしましては、一つは、中金のいわゆる余裕金の運用に対しても弾力的な指導を加えまして、あるいは株式取得についての規制の緩和と申しますか、承認のやり方を変えていく、あるいはまた鉄道債等有利な債券の保有について、農林省としても十分指導していくといったようなことで、影響が急激に及ばないような指導を加えるというふうなことも考えておりますし、また中金なりあるいは信連なりにおいても、みずからの経費をできるだけ節減するといったようなことで、それぞれの段階でそういった影響を吸収するような形をとっていただくということも、十分指導をいたしておるわけであります。そういう観点から、コストの低下は、将来の方向としては推進をしていかなければなりませんけれども、そのテンポなり影響の程度については、農林省としても十分注視をしてまいりたい、こういうふうに思っております。
  59. 坂村吉正

    坂村委員 実際家として仮谷政務次官のお考えをひとつお伺いしておきたいと思いますが、いま私も、大体経済局長のような考え方で、一応いまの段階といたしましてはやらざるを得ないのじゃないだろうか、こういう感じがするのでございます。政務次官の答弁をひとついただきます。
  60. 仮谷忠男

    仮谷政府委員 大体局長がいま申されたような問題が、一応具体的な問題としていろいろ浮かび上がってくるわけでありますが、私は、やはり根本的な問題は、単協というものの現在の内容を見ると、さきにも申し上げましたように、信用事業ほとんど一本じゃないか。いわゆる利ざやかせぎでそれをまかないをしておるというのがほとんどの農協じゃないかと思うのです。この姿は変えていかなければならぬ。それをどういう形へ変えるかということが今後の非常に問題でございますけれども、私も実は単協経営をやってきまして、購買事業、指導事業をいろいろやってみましたけれども、これなんかほんとうにあなたがおっしゃるように合理化をして、そうしてそれ自体が独立していけるような体制がまず必要じゃないか。そうして信用事業そのものにすべてをたよるという体制から抜け出すということが必要で、たいへんむずかしい問題でありますけれども、そういった点にひとつメスを入れた単協の指導というものが必要じゃないかと考えております。
  61. 坂村吉正

    坂村委員 もう一つ農協の強化の問題で、幸い、いままで五年間でございますか、時限法で農協の合併助成法があるわけでございまして、それが相当私は農協合併については恩恵を与えているというふうに考えておるのでございます。ことしの三月で大体あの農協合併助成は切れるわけでございます。大部分の農協は合併が済んだ、こういうふうに見ておりますけれども、相当残っておるというものがあるのじゃないかと思うのでございます。これらの問題については、今後どういうぐあいにお考えいただくか。これはちょうど担当の局長がおりませんで、まことになにかと思いますけれども、非常に大事な問題でございますので、一言お伺いをしておきたいと思います。
  62. 仮谷忠男

    仮谷政府委員 おっしゃるとおりでありまして、大体合併促進法に基づいて、いまでは全国的に見ますと、九〇%程度その目的は達成されておるようでありますが、ただ、残る一〇%そのものも、県によっては二〇%から三〇%も残っておる県もある。県自体ではもう少し存続してもらいたいという考え方も非常に強い、団体でも強いものがあるようであります。ただ、われわれ期限を切ってその問題をやってきた、その期限内にあくまでもやろうという県があり、組合があるわけですから、事前にこれを延長するかということを、農林省自体がそれを考えることはどうかということで、実は期限切れのような状態になっております。しかし、これはほうっておけない問題でありまして、あるいは率直に申し上げますと、党等でも、内部においてもいろいろとこういう問題を検討されておるようでありまして、何らかの形でこの問題が、もし単協や県がそれが特に必要だということになれば、この問題は検討しなければいかぬことだ、かように考えております。
  63. 坂村吉正

    坂村委員 十分ひとつ御検討をいただきたいと思っておる次第でございます。  せっかく始めたのでございますから、あまり時間もありませんけれども、私、中身をやはり質問を通じて農民に、ほんとうにこういう制度になるのだということを、ある程度、大ざっぱでもいいから、示しておく必要があるだろうと思うのでございます。特にこれは与党質問でございますから、はっきりと私どもの考えておるところも示しておく必要があろうと思うのでございますので、二、三点改正の要点について、簡単にひとつ御質疑を申し上げまして、明らかにしていただきたいと思います。  第一に、貸し付けの、今度拡大しようとする対象でございますが、これは先ほどの御説明にもありましたように、中期の運転資金に貸し付け対象を広げるということと同時に、もう一つは環境整備関係資金に対して貸し付けをする、こういうことを言っておるのでございますが、中期の運転資金の中で、果樹その他の永年作物、それから乳牛その他の家畜の育成に要する資金、こういうようなことでございますが、まず第一に、果樹その他の永年性植物の育成資金、こういうのはどういうものを対象に考えておられるのか、これをひとつはっきりと明示をしていただきたいと思います。
  64. 森本修

    森本政府委員 中期運転資金の果樹その他の永年作物の範囲でございますが、現在のところ考えておりますのは、果樹はその種類は問いません。それから茶とかあるいは桑、従来近代化資金で植栽資金を貸しておりました永年作物の種類程度にいたしておきたいと思っておるわけでございます。
  65. 坂村吉正

    坂村委員 政令事項でございますから、いろいろ今後検討されることと思うのでございますが、原則として、いままで植栽資金を貸しておるものについての運転資金を考えるのだというふうに了解しておいてよろしゅうございますか。
  66. 森本修

    森本政府委員 大体その範囲に限りたいつもりでございます。
  67. 坂村吉正

    坂村委員 家畜の場合はどういうぐあいに考えておられますか。
  68. 森本修

    森本政府委員 家畜につきましては、先ほど来一申し上げましたような生産家畜といったような考え方で、搾乳牛、繁殖用肉牛、それから種豚といったようなものにいたしたいと思っております。
  69. 坂村吉正

    坂村委員 制度としては、いろいろ今後の考え方もありましょうが、私は、短期の運転資金をみんな制度金融にのっけるのがいいかどうか、これはやはり非常に問題でございます。したがいまして、たとえば家畜の場合なども、短期の鶏をどうするのだとか、いろいろの議論があろうと思うのでございますが、制度というものは、そう急に一足飛びに全面的に広がるのが必ずしもいいとは限らないのでありまして、やはり世間的に見ても中期の運転資金を大体主体にして、そして農村要望にこたえていくように考えていくというふうに考えていってもいいのじゃあるまいか、こういうような感じがするのでございまして、大体経済局長のいまの答弁を中心にして、いろいろ今後政令の品目を考えます場合には、ひとつ十分御検討をいただきたいというふうに考えておる次第でございます。  次に、環境整備資金の問題については、どういうぐあいに範囲をお考えになっておるか。
  70. 森本修

    森本政府委員 環境整備資金の範囲は、大体一般的に農村におきまして共同してそういった施設をつくるというふうな範囲のものということで、たとえば医療施設でありますとか、あるいはいわゆる農事放送の施設でありますとか、あるいは簡易水道、託児所、集会所といったような、農村に普通につくられるような、非常に利用が多いといった施設を対象にしていきたいと思っております。
  71. 坂村吉正

    坂村委員 この問題も、できるだけ農村要望にこたえていただくように今後十分御検討をいただいて、政令をきめる段階においては、十分そういう点を頭に置いて御検討いただきたいというふうに考えておる次第でございます。  これはいまの農村にとっては非常に大事な問題であろうと思います。農業本法を施行して、いろいろ農業近代化というものを進めてまいります過程で、私は、農村の環境整備というものがどちらかといえばおくれておるという感じがするのでございまして、この点は、近代化資金の中に環境整備関係資金が取り入れられたということは、非常に画期的なものといってもいいのじゃないか、こういう感じがいたします。ただ、これを出しました場合に、私は、一般の農民の受ける感じは、農業改良資金で生活改善資金があります。そうすると、生活環境の整備のためにどこからどういう金を借りたらいいのだろうか、こういうようないろいろな疑問が起こるのじゃないかと思うのでございますが、生活改善資金との関係は、たとえば、こういうものを借りるときにはこっちにいけばいいのだ、こういう場合にはこっちにいけばいいのだ、こういうものをはっきり示していただくと、これは答弁を通して全体の農村で納得するのじゃないだろうか、こういう感じがしますので、その点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  72. 森本修

    森本政府委員 生活改善資金のほうは、主として個人の生活改善の用に供するような施設の取得ないし改善ということになっておるのでございます。こちらのほうは、できれば、先ほど来申し上げておりますように、共同して農村の環境を整備する資金というふうなことで区別をいたしていきたいと存じます。  なお、末端といいますか、農村において混淆を生じないように、できるだけPRといいますか、普及といいますか、そういう点は配慮していきたいと思います。
  73. 坂村吉正

    坂村委員 一応貸し付けの対象を広げるという問題を具体的な問題としてお伺いしたのでございますけれども、時間もないようでございますし、このあといろいろ金利の問題であるとか、あるいは償還期限の問題であるとか、そういう問題もございますし、信用基金制度の問題についてもお聞きしなければならない問題が非常に多いのでございますが、丹羽先生の関連質問もあるようでございますので、一応私は本日は質問をここで留保いたしまして、本日の質問をやめておきます。
  74. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 ただいませっかく坂村委員がお尋ねのところ、私がそのお尋ねに対して政府から答えられたその答えをもとにして関連質問を申し出まして、たいへん御迷惑をかけますが、そうした立場でございますから、きわめて簡単にお尋ねしておきたいと思うのです。  ただいま坂村さんから、今回の法の一部改正について、従来せっかくこれだけの法律がありながら、法の精神と十分よくいってない問題点をあげて、事こまかにあらゆる角度からのお尋ねがあったのであります。私はそのお尋ね並びにそのお尋ねに対しての答弁を聞いておりまして、非常に熱意を持って、この近代化資金というものが農民の血となり肉となっていくように、また農村近代化のために役立たせようと努力しておられ、またそのために必要な点を改正せられようとするそのお気持ちは、十分理解できるのであります。そこで、そうしたことを理解しつつ、私はお尋ねするのでありますから、率直にお答えいただきたいのですが、この法案をつくるについて、もちろん農林省全体の責任ではありましょうけれども、中心は経済局が御苦労いただいたわけですが、一体経済局は、これらの借り受ける対象となる農家のことを考えて、それぞれめんどうを見られるところの各局との打ち合わせは十分できておるとは思いますが、特に畜産局の意見を十分尊重して考えて、これが法文化をされたものかどうかということを、まず一点承っておきたいのであります。
  75. 森本修

    森本政府委員 御指摘のように、担当は農林経済局でございますが、制度改正するにあたりましては、十分各局とも打ち合わせをいたしまして、畜産局とももちろん打ち合わせをした結果の改正でございます。
  76. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 そうしますと、こまかいことになりますが、法律改正の二点、三点、四点柱が立っておりますけれども、まず第一に、坂村さんもお尋ねございましたが、果樹資金とか家畜資金の充実ということについて、いままでは家畜の購入に必要な資金だとか、こういうことを規定されておったのでありますが、今後は中期運転資金というたてまえから、育成に要する資金というところに踏み切られた、前進されたと思います。  そこで、育成に要する資金までもうあなた方に踏み切っていただいて、そこまでいかなくちゃならぬとせられるならば、先ほど坂村さんのお尋ねにありましたように、政令においておきめになる家畜の対象でございますが、生産家畜に限定するかのような御答弁があったが、私はそうとは聞き取れない。ほんとうに日本の家畜振興ということを大きく考えていただくならば、ただいま局長のおっしゃいましたように、生産家畜に限定するかのような答弁では、これはとても賛成できない。これは私の聞き違いかどうかと思うのですが、そういうようなお考えはよもやないと思いますが、重ねて承っておきます。
  77. 森本修

    森本政府委員 私が先ほど申し上げましたけれども、今回の育成資金対象になりますものは、搾乳牛、繁殖用肉牛、種豚といったような、いわゆる生産家畜といわれるものでございます。
  78. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 そうしますと、日本の畜産の中では、そうした乳牛だとか繁殖用の肉牛とかというものが畜産の主体であって、忘れているものがあるのじゃないかな。日本の畜産の幅広い中にもっと大きなウエートを持っておるものを畜産局は忘れているのじゃないか。そういうことで経済局のほうに了解を与えたとするならば、私はこれはたいへんなことだと思うのです。日本の農家の生産高といいますか、それをよく調べていただいて、御答弁を願いたい。米、それから麦、その間何がある。酪農もありましょうし、あるいは養豚もありましょうし、あるいはまた肉牛もある。しかし、農家大衆として最も大きな用途をかかえているのは養鶏じゃないか。この養鶏を無視して、これは回転が早いとかいうので、この近代化資金の中に考えないと言い切るということは私は承知できない。それじゃ日本の畜産というものは、手数のかからない、いわゆる大家畜だけをめんどう見て、大衆的な家畜というものは全然考えないというやり方かどうか。それでは私としては承知できない。日本農業の中に、養鶏というものは一体どれだけの重きをなしておるか、それをひとつ承りたい。農林省畜産局は考えてないのか、日本の養鶏はどうなってもいいと思っていらっしゃるのか、その点を承りたいのであります。
  79. 太田康二

    ○太田説明員 養鶏が日本の農業の中に非常に高いウエートを占めているということは、先生のおっしゃるとおりでございまして、三十九年度の農業総産出額で見ますと、鶏卵の生産額は千六百四十八億、全体の中で六・一%、それから食鶏が三百八十四億、一・四%、畜産の中でも非常にウエートが高いということは、先生のおっしゃるとおりでございます。  そこで、今回の農業近代化資金助成法の一部改正を行なうにあたりまして、中期の運転資金対象近代化資金助成法の改正をやろうということになったわけでございます。その際われわれが考えましたのは、自家生産あるいは購入した乳用の雌牛、肉用の繁殖雌牛及び繁殖豚の子畜についてこれを育成し、その生産物の販売を開始するまでに要する現金支出経費を貸し付けの対象にする。そこで、こういったものをわれわれ生産費調査等で見てまいりますと、育成期間、要するに初産までの育成期間、それから初産時から販売代金の回収開始までの期間をとってまいりますと、乳用雌牛の場合、これは自家生産あるいは購入の場合に若干違いますが、やはり二十九カ月ぐらいかかる。肉用の繁殖雌牛につきましても大体三十四カ月ぐらいかかる。最も短期の繁殖豚におきましても十五カ月ぐらいかかるということでございまして、いわば中期の運転資金にまさに該当する資金であるわけでございます。養鶏の重要性について、決してこれを無視しておるわけではございませんが、御承知のとおり、養鶏のような短期間に回収が可能な性格を持つものにつきましては、本来短期の運転資金として系統で一般的に見るべきものではないかということで、本来系統金融融資分野である、これを補完するものとしての制度金融があるわけでございまして、今回の場合には、一応ここまで見れば中期の運転資金としてはいいのではないかということで、いま申し上げたような家畜についての育成資金を見るということにいたしたような次第でございます。
  80. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 見解の相違というのですか、ものの考え方の相違でしょうか、現在は中期の運転資金というものを考えておるのだ、その考えに基づいてのいまの御説明はわかるのです。しかし、養鶏という立場から考えると、いまの説明のように中期的なものをやっていく、それはとりもなおさず大家畜に集まっていってしまうのですよ。そういうものはいくのだけれども、小家畜については全然考えていない。しかも議員立法ではなくして、養鶏振興ということまで法律にあるのですよ。こんなときに、その養鶏振興法の精神を生かして、大家畜偏重のやり方ではなくして、最も大衆的な家畜という養鶏に踏み切るべきだ。たとえて申しますと、なるほどあなたのおっしゃいましたように、購入資金だとか飼料代金だとか——ひなを育成して半年もたてば上がるのですから、その必要はないかとも思いますが……。  では、私からお尋ねいたしますが、今度法定伝染病といわれるニューカッスルが出た。今日あれが出ましたら、その地域は全然養鶏はだめなんですよ。そうして相当の資本を投じた養鶏農家、ふ卵器業者ばかりでなくて、養鶏業者はお手上げになるのです。こういうときに、法定伝染病だと政府はそれをきめておきながら、何らの対策を考えてないのでしょう。もちろん、あわててワクチンをつくる。生ワクチンは危険だ。従来のワクチンも全然ない。だから相当の期間移動禁止になり、農家はせっかく大きな資本を投じてかかったのに、生産は上がらない。こういうことを考えてみますと、ただ長期的な問題としては、私は解決できないと思う。だから、そうしたものを救済するという、新しい時代に立ち向かっていくというには、やはり近代化資金なんかをやれる道を考えておくべきだ、こういう意見を私は持っておるのですよ。それをただ、いつも社会党さんや何かの言われるように、農業の中でも大資本的な大家畜だけは見てやるけれども、大衆に近い、こまかい養鶏は手数がかかって見られないというのじゃ、真の養鶏振興にもならないし、家畜の振興にもならない。片手落ちなんです。これはこの次まで保留しておきます。一体大蔵省がこの政令の内容について文句を言うのか、一体農林省に養鶏に対する、大衆的な家畜に対する熱意がないのか、愛情がないのか、一体どうだということを、この次私はよく聞きますから、政務次官、私の言うことは無理じゃないと信じておりますので、よくお考えの上、政令内容をつくっていただくように保留しておきまして、質疑を打ち切らしていただきます。
  81. 仮谷忠男

    仮谷政府委員 先生の御説はごもっともであって、私どもも、養鶏の問題は決して軽視をしているわけでもありませんし、愛情を失っておるわけでもないし、それはそれなりに畜産局でも積極的につとめておるわけであります。ただ、近代化資金というものの性質が、御承知のように、施設の長期資金であるというたてまえで出発し、その間、たとえば果樹のように十年余り、あるいは牛や豚のごとき数年間といったその間に、育成資金が必要となるものについては、そのままにもしこれを放置すると、果樹そのものの植栽資金を貸し付けたことに意義を失うことになり、ひいては果樹資金の借り入れ意欲というものもなくなる、そういう問題が、近代化資金貸し出しが比較的停滞した一つの理由にもなっておるのじゃないかというふうに考えられます。そういう意味で、せめて中期的な運営資金はぜひ何とかしたいという交渉を大蔵省と実はやったわけでありまして、これをきわめて短期な運営資金まで下げていきますと、限界というものもいろいろございまして、そういうことから大蔵省にももとより強い抵抗もありますし、農林省自体も限界を考えなければいけないという考え方から、実は今回は果樹と生産牛豚等に限ったという実情なわけでありまして、先生の御意見は十分われわれもわかるわけでありますので、将来の問題としてこれは検討しなければならないのじゃないかというふうに思います。
  82. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 農政に詳しい政務次官からの御答弁で、私どもも全面的にあなたのお考えを了承しなくてはならぬ立場にあります。しかし、ただ言っておきたいことは、今度は果樹まで、中期的なものまでめんどう見るということを聞いておるわけです。しかも、いま畜産局の参事官の御説明にありましたように、養鶏の生産高というものは、農家所得の上から見ると、大きなウエートを持っているのでしょう。ただ、これが長期にならないから、鶏は見れないというような考え方は、日本の畜産というものの立場から、全体から考えたら、じゃ養鶏にはめんどう見ないかということです。いま何かの資金があるから、それをそっちへ回せばいいと言うが、私は、養鶏というものを近代化していかなくてはならぬ、養鶏というものも、酪農とか肉牛と同じように、近代的なものにしていくべきだ、それから養鶏のような短期的なものに貸せば、もっと運転は早くていいという考え方なんです。さらにもう一つは、法定伝染病なんかあってみんな倒れたときに、何かその道を立てておかなかったら——果樹にはこういう制度を設ける、牛のほうにもやる、豚にもやる、ヤギにもやる、こう言いながら、一番大きな鶏にどんな伝染病が出ても、そして農家全部つぶれても、ほうってしまうというようなやり方では、これは私は、幅の広い、政府の考えていらっしゃる畜産振興にはならないと思う。だから、もう一ぺん政令の内容をよく御検討いただいて、次の機会までにぜひ御返答をちょうだいいたしたい、私はそういうことを強く要望して、きょうは私の質問は保留さしていただきます。
  83. 中川俊思

    中川委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十六分散会