○芳賀
委員 この
改正法案については、昨日、
事務当局からかなり詳細な説明と、それに対する質疑を行なったわけですが、最終的な締めくくりといたしまして、責任のある
農林大臣から明確な答弁を願いたいわけであります。こちらで
問題点をあらかじめ整理して申し上げますので、明快なお答えを願いたいわけであります。
まず、通称マル寒法といわれるこの
法律の制定の経過については、当時から
農林大臣は当農林
委員会の
理事等をせられて、中堅的な活躍をされてきたので、御承知と思いますが、
昭和三十三年の十月に、私
ども社会党から、寒冷地畑作
農業振興臨時
措置法案と
農家負債整理
資金融通特別
措置法案の二案を
提出いたしまして、社会党としては、単に
現行法のごとく北海道の寒冷地畑地帯だけを対象にするということだけでなくて、
法律の中に、たとえば積算温度二千六百度以下あるいは無霜期間百七十日以内というような
規定づけを行なって、北海道を中心とする、その他東北等に及ぶ寒冷地畑作
農業の振興と、これを進めるためには、どうしても前提となる
農家の固定負債を整理しなければならないということで、二つの法案を
提出したわけです。その後、
政府におきましても、三十四年の三月に、現在の
北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法案なるものが提案されたわけであります。そこで、当
委員会といたしましては、この三案を一括対象にして真剣な審議をしたわけでありますが、その結果、
委員会において
理事が中心となりまして、特に社会党提案の寒冷地畑作振興法案と
政府提案の北海道寒冷地営農改善法案を調整いたしまして、
委員会の修正という形で現在のような
法律が制定されたわけであります。
特にその中で
改正された重大な点は、
政府案では
貸し付け条件の中の
金利については七分としてありましたのを、これを五分五厘に引き下げたというような点は、特徴的な修正であったと思うわけであります。そこで、このマル寒法の最も特徴とするところは、営農改善計画を立てて
事業を実行する場合に、それに必要な総合的な
資金の
融通を行なういわゆるセット
融資、組み合わせ
融資制度が初めて生まれたわけであります。このセット
融資を創始したということについては、本法が最も貢献したものでありまして、その後、農林省におきましては、構造改善
資金の
制度あるいは
近代化資金制度等が、相次いでこれを手本にして生まれて、実行されて今日に至っておるということは、これは大臣としても御承知のとおりであります。
ただ、あの当時、審議の中で問題として取り残された点を申しますと、一つは、営農改善計画を立てる場合に当然必要になる、先ほど申しました
農家の固定負債の整理というものをどうするかという問題と、その次は、
経営拡大をするためには、どうしても農地及び草地の造成あるいは農用地の取得が必要になるわけでありますが、これらの
資金に対してはどうするかという問題、それからこの
法律の対象は、もちろん混同
経営あるいは主畜
経営というところに条件が置かれておりますので、これを進めるためには、当然乳牛を中心とした
家畜の積極的な導入が必要であるが、これを具体的にどうするか。社会党の案ではこれが
規定されておったわけでありますが、
政府案にはこれが
規定されておらないので、この点を議論したわけでありますが、結局
話し合いの結果、農地の造成取得
資金と負債整理
資金については、とりあえず当時ありました自作農創設維持
資金融通法を活用して実施する、これに伴って自創
資金法の大幅
改正を行なうというのが一点であります。その次は、
家畜の導入については、当時国有貸付牛
制度というものが有畜
農家創設の
制度に基づいてありましたので、これを並行的に活用するということで一応の
話し合いがつきまして、この重要な
事項については、
委員会が附帯決議を付して
政府の善処を促したわけであります。
その後、
法律が六年以上実際に運用されたわけでありますが、現在において見れば、やはりこの
問題点となりました三点の
事項というものが、
政府の熱意によって完全に解決されない関係もありまして、これが、本
制度に対する対象
農家の期待が非常に薄らいだというような点、あるいはマル寒の
制度というものが影をひそめてきたというようなところの原因であることが痛感されるわけであります。
以上が、この
法律の制定当時から今日に至る主たる経過でありますが、この点は、
農林大臣は終始当
委員会で活躍されておるので、いま私が述べました経過等については、そのとおりであるかどうか、この際、記憶を呼び起こして確認を願いたいわけです。