○
松田(鐵)
委員 遭難の表があるのですよ。
水産庁でも見ていると思いますが、大きい船より、小さい船が
遭難の率が多いのですよ。そこで
水産庁だけが考えてはだめです。その
地方地方における県庁なり道庁なりというものも考えなければならぬことですよ。一番小さい船が一番数が多いのだから……。
積載量を
制限するということを考えてやるのならば、小さい船をやるのが一番早いでしょう。小さい船で
鉄船というのはほとんどありますまい。五トンや七トンの船で
鉄船なんてありはしないのだ。いままでの
漁業者は、五トンでもって
許可をとったものを七トンにしてくれ、十トンにしてくれ、こういうことを言っているのだが、私はそれに耳をかして言うわけじゃないのです。それは誤解しないでくださいよ。それよりも、七トンの船でもって代
船建造はしてはいけない、老朽船になったってそれでもって沖に出て行けという。七トンの船で
積み荷は幾ら積めますか。木船でもって七トンの船ならばどれだけの
積載量があるかということは、
漁船課長、簡単にわかるじゃありませんか。そうしたならば、それに対しての
浮揚力を増すということからいって、くぎづけした
エアタンクをともなり表なりにつくって、魚を積ませないというやり方をやるのだったら、簡単にできるじゃありませんか。
漁船課長、あなたは博士号を持っておる
漁船課長だが、そんなことは、その辺の海岸の船大工は一番先にわかるだろう。そんなことに二年も三年もかかるという理由はないじゃありませんか、ほんとのことを言ったら。どこの
沿岸の船大工でも、どれだけあったら
積載量はこれと同様だ、ハッチはこれと同様にしてどれだけの空積があったならば船は沈んでいかないかということは、役人だからあなたそういうことを言うけれども、船大工に聞かせたらすぐわかるじゃありませんか。そうしたならば、県庁なり道庁なりと相談をされて、簡単に割り切って、これ以外の大きな船はつくっちゃいけないぞ、ここのところには
エアタンクをこうしろ、とものほうにはこうしろということを言ったならば、ぼくでさえわかるのだから、おまえさんのような
課長がわからぬことがあるのか。
日本の
漁船を一手に握っている人じゃありませんか。あまり詳しくやるからものごとができなくなる。簡単に少しずつオーバーしたくらいの空積をつくるということを考えたならば朝めし前だ。ぼくなら一晩かかればできる。そのようにして小さな漁民と
漁船を持っておる者をまず救ってやらなければなりませんよ。二十トン以上、百トン、三百トン、五百トンなんということよりも、一番多い
沿岸の大衆漁民を救うということならば、こんなものはぼくのところへ来てごらんなさいよ。すぐ
設計してやるから。そんなものは一晩でできてしまう。そういうことを
長官よく考えて善政をしがなければだめですよ。
第二番目は、ぼくは御
説明がなかったからわからぬけれども、九六型というのも、三十九年に
着氷を考えてやったということになるのでしょう。ところが、
漁船課長の先ほどの
説明では、技術的に見てこれならば
装備の点においてもけっこうであろうということから、あなたのほうでは九六型の
漁船を
許可しているのでしょう。ところが、この新造船が今日みんな
遭難している。そうしたならば、この新造船が
遭難している原因はどうかというと、
長官、こういうことがある。
北海道の水産試験場の場長であった大島という博士、場長としてりっぱな人だった。この人のせがれが稚内の水産試験場に勤務している。そうしてこれは北の海では画期的なことをやったのだ。南のほうではカツオ・
マグロでやっている画期的なことをやったのです。ハッチを全部十トンなり二十トンなりに仕切っちゃったのだ。そしてそれにマイナスの五度くらいの海水を入れて、それを冷却して、それに魚を漁獲したら直ちに入れちゃうのだ。海の水は冬でも大体十二度から十四度あるでしょう。これをそのマイナス五度の水の中へ入れて二時間くらいやって、またエンジンをかけているとすっかり冷却する。冷却したものをポンプで吸い上げて、その水を出してしまう。だから空壁がなく、びっしりと
積み荷ができる。あの函館公海の二百九十トンの船が沈没した理由もそこにある。三百トンの船であの
積み荷が二百五十トンあった。ぼくは
水産庁の
課長、君のほうにも言うけれども、去年は二百七十トン積んできた船がある。三百トンの
漁船に二百七十トン。二百五十トンの魚を積んで満足に来るというのが誤りだとぼくは思うのだ。満足にそれが港につくということが誤りだと思う。そこで、そういう
方法でやりますから、いまの、魚を冷却させてそのままバラ積みにやってきて、鮮度が二週間もつ。そういうことだから、鮮度はいいし、魚価は高いしということから、ほとんどそれをやるのです。そうしたならば、それに波が来たならばさぎりをかぶるということなんだ。そうしたら、ほとんど一日のさぎりをかぶったら何トンのさぎりをかぶるか。私の船が一そう
遭難して、一そうがそれを救助に行って、帰ってきたときは、デッキの上の氷が一尺五寸あった。四分のワイヤーが六寸くらいになるのだ。考えられないほどなんだ。サンタクロースのおじいさんどころの騒ぎじゃないのだから。その魚を積んだほかにそれをやられたら、三百トンの船に四百トンも加重がかかるということでしょう。九六型の船だって百五十トンかかるということだろうと思う。だから、こういうところで議論するばかりでなく、もっともっと真剣に
人命をたっとぶ、
漁業の
経済を安定させるということからいったならば、これから調べていただかなければならぬ。私の調べたところなら、
ボイラーをつけた。それから
漁船課長、あなたに言っておくが、船員室は中心部にある。それは安定していいが、私の
考え方からいけば、これはいいと言うのじゃないですよ。船員室は表にやっておったならば、それだけ表が空積になるだろうと思う。それで、いままでの船員室のところに
ボイラーをつけて、またこれは空積をとったらどうか。これは私だけの
考え方だから……。ところが、
漁業経済からいったならば、そういう船を使ったらちょうど役所の試験する船と同じだ。これじゃ
漁業経済は成り立たぬのだから、そういう
装備をする、改良するというものに対しては、
許可の
トン数をそれだけ与えてやったらいいと思う。何も
長官の
許可じゃないのだ。
人命をたっとぶということから言うならば、それだけのものは与えてやっていいと思う。もしそれをやらないものは、検査もあるし、
海上保安庁もはっきりとそれを把握すればいいし、封印すればいいし、そのくらいの画期的な
考え方をもっていかなかったら、北の海の
操業というものは、毎年毎年こういう
事故が起きるのじゃないかと思うのだが、一体どのようにお考えになりますか。